(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-26
(54)【発明の名称】GLP-1受容体アゴニストの固形組成物
(51)【国際特許分類】
C07D 491/18 20060101AFI20240918BHJP
A61K 31/55 20060101ALI20240918BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/69 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/40 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240918BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240918BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240918BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240918BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240918BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240918BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240918BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240918BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240918BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240918BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240918BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240918BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240918BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240918BHJP
【FI】
C07D491/18
A61K31/55
A61P3/10
A61K47/69
A61K47/40
A61K47/34
A61K47/44
A61K9/14
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/32
A61P3/04
A61P3/06
A61P3/00
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/12
A61P13/12
A61P17/02
A61P25/00
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024542230
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 CN2022121554
(87)【国際公開番号】W WO2023051490
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111140592.3
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522386884
【氏名又は名称】ハンジョウ ジョンメイ フアドン ファーマシューティカル シーオー.,エルティーディー.
(71)【出願人】
【識別番号】515293333
【氏名又は名称】ブイティーブイ・セラピューティクス・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン,メイメイ
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,フイ
(72)【発明者】
【氏名】タン,ファン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ハイヤン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,リー
(72)【発明者】
【氏名】ビエン,コン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リナ
(72)【発明者】
【氏名】アルマリエゴ,ダニーロ
(72)【発明者】
【氏名】アナンタ,アンディ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA31
4C076AA36
4C076AA53
4C076BB01
4C076CC21
4C076EE16B
4C076EE23E
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4C076EE53E
4C076FF01
4C076FF04
4C076FF06
4C076FF09
4C076FF43
4C076FF61
4C076GG12
4C086AA01
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4C086ZA89
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
(57)【要約】
本発明では、経口投与に適した小分子GLP-1R受容体アゴニストの医薬組成物が提供される。より具体的には、本発明は、(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸(「OAD2」)およびその薬学的に許容可能な塩を含有する医薬組成物ならびにその調製方法に関する。この医薬組成物は、低レベルの1種もしくは複数の酸化分解物質を含有するか、または低レベルの活性酸素種を有し得る。本発明において提供される医薬組成物は、酸化分解不純物Bの含有量が少なく、かつ総不純物含有量が少ないため、常温常湿下で12か月以上安定して保存することができる。本発明はさらに、このような医薬組成物を用いて、II型糖尿病および不適切な血糖値管理に関する適応症を処置するための方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式B
【化1】
で表される化合物である、2-3(4-((3,4-ジクロロベンジル)オキシ)フェニル)-8-オキソ-12-(1-フェニルプロピル)-2,3,6,8,9,10-ヘキサヒドロ-7H-6,9-エピミノ[1,4]ジオキシノ[2’,3’:4,5]ベンゾ[1,2-c]アゼピン-7-イル)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸、およびその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸(OAD2)
【化2】
またはその薬学的に許容可能な塩と、
請求項1に記載の式Bの化合物またはその薬学的に許容可能な塩と
を含む医薬組成物であって、式Bの前記化合物の質量パーセンテージ含有量が2%未満かつ0%超である、医薬組成物。
【請求項3】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、
少なくとも1つの可溶化剤と
を含む医薬組成物であって、前記可溶化剤が、HS15、RH40、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、またはSoluplusから選択される、医薬組成物。
【請求項4】
前記可溶化剤の質量パーセンテージ含有量が0.1%~10%、好ましくは0.2%~5%である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
1つまたは複数の崩壊剤であって、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、および/または質量パーセンテージ含有量が5~40%、好ましくは10~30%である崩壊剤を含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
OAD2およびその薬学的に許容可能な塩が、前記医薬組成物中の唯一の有効成分であり、および/または前記薬学的に許容可能な塩が、塩酸塩、二塩酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、もしくはメタンスルホン酸塩から、好ましくは塩酸塩もしくは二塩酸塩から選択され、および/または前記有効成分の質量パーセンテージ含有量が1~60%、好ましくは5~40%である、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項7】
5~40%のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩、0.2%~5%の可溶化剤、20~60%の充填剤、10~30%の崩壊剤、10~30%の結合剤、および2%未満かつ0%超の式Bの化合物を質量パーセンテージ含有量で含む、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
0.2~5%の潤滑剤、0.2~5%の湿潤剤、0.2~5%の滑沢剤、0.2~5%の吸収促進剤、および5~30%の酸性化剤を質量パーセンテージ含有量でさらに含む、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
式Bの前記化合物の質量パーセンテージ含有量が、0%超かつ1.0%未満、好ましくは0%超かつ0.6%未満、より好ましくは0%超かつ0.3%未満である、請求項2または7に記載の医薬組成物。
【請求項10】
経口医薬組成物であり、および/または錠剤、丸剤、カプセル剤、もしくは顆粒剤から選択される固形組成物である、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
1~300mgのOAD2およびその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
a.充填剤、崩壊剤、可溶化剤、および任意選択で、その他の補助材料をふるいにかけ、その後静置して、補助原料を処理する工程と、
b.製剤量のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩、充填剤、可溶化剤、崩壊剤、ならびに任意選択で、結合剤、酸性化剤、潤滑剤、湿潤剤、酸性化剤、滑沢剤、吸収促進剤、および界面活性剤を造粒し、混合して、造粒および混合を行う工程と、
c.顆粒剤を、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、滑沢剤、酸性化剤、およびその他の補助材料と適宜混合し、かつ混合物を錠剤化する工程であって、硬度が8~20Kgに制御される、工程と
を含む、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物を調製するためのプロセス。
【請求項13】
GLP-1受容体媒介性疾患を処置または予防するための医薬品の調製における、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項14】
GLP-1受容体媒介性疾患を処置または予防する方法であって、GLP-1受容体媒介性疾患の処置または予防を必要とする患者に、請求項2~8のいずれか一項に記載の医薬組成物を治療有効量で投与する工程を含む、方法。
【請求項15】
前記GLP-1受容体媒介性疾患が、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満症、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、GLP-1受容体の活性化により利益を受けるその他の心血管疾患、高血圧症、GLP-1受容体の活性化などにより利益を受ける代謝障害、ならびに神経疾患、網膜障害、腎障害、および創傷治癒障害を含む糖尿病に起因もしくは関連する合併症から、好ましくは、II型糖尿病、I型糖尿病、および肥満症から選択される、請求項14に記載のGLP-1受容体媒介性疾患を処置または予防する方法。
【請求項16】
25~225mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を、GLP-1受容体媒介性疾患の処置または予防を必要とする患者に投与する工程を含む、請求項14に記載のGLP-1受容体媒介性疾患を処置または予防する方法。
【請求項17】
OAD2およびその薬学的に許容可能な塩、ならびに/またはその固形組成物の不純物制御としての、請求項1に記載の式Bの化合物の使用。
【請求項18】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩を酸化させる工程を含むプロセスによって生成される化合物であって、得られた前記化合物が、854の分子量を有することを特徴とする、化合物。
【請求項19】
前記化合物が、逆相液体クロマトグラフィーのグラジエント移動相条件下で、OAD2に対する保持時間が0.45~0.66の間であることを特徴とし、移動相Aが水中で0.05%TFA(v/v)を含み、移動相Bがアセトニトリル:メタノール(1:2)中で0.05%TFA(v/v)を含み、試料が、ゼロ時間(50%移動相A)から38分(99%移動相B)までのステップグラジエントを使用して行われる、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、
請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、
薬学的に許容可能な1つまたは複数の賦形剤と
を含む組成物であって、前記組成物中に存在する請求項18もしくは19に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の量が、0重量%超かつ2.5重量%未満である、組成物。
【請求項21】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、
HPO値が50ppm未満の崩壊剤と
を含む、組成物。
【請求項22】
10重量%~40重量%のOAD2二塩酸塩と、
0.1重量%~20重量%の崩壊剤と
を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記崩壊剤が、クロスポビドンであり、かつ0.2重量%~10重量%の範囲で存在する、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含み、請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の量が、0重量%超かつ1.0重量%未満の量である、請求項21に記載の組成物。
【請求項25】
25℃±2℃/60%RH±5%RHで24か月間の保存後、0.4重量%以下の請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
55℃~65℃で14日間の保存後、1重量%以下の請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項27】
10重量%~40重量%のOAD2二塩酸塩と、
クロスポビドンを含む、1重量%~5重量%の崩壊剤と、
0.1重量%~20重量%の結合剤と、
10重量%~85重量%の充填剤と、
0.25重量%~15重量%の界面活性剤と、
0.1重量%~10重量%の潤滑剤と、
0.1重量%~10重量%の滑沢剤と、
1重量%~約50重量%の酸性化剤と
を含み、
請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含み、
請求項18に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の存在量が、25℃±2℃/60%RH±5%RHで24か月間の保存後、0重量%超かつ0.4重量%以下である、請求項21に記載の組成物。
【請求項28】
錠剤またはカプセル剤の形態である、請求項20~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
1~500mgの間のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を含む、請求項20~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
請求項20~27のいずれか一項に記載の組成物を調製する方法であって、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を1つまたは複数の賦形剤と混合する工程を含む、方法。
【請求項31】
前記方法が、噴霧造粒プロセスである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
疾病を処置する方法であって、疾病の処置を必要とするヒトに、請求項20~31のいずれか一項に記載の組成物を投与する工程を含み、前記疾病が、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満症、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、その他の心血管疾患、高血圧症、ならびに、神経障害、網膜障害、腎障害、および創傷治癒障害を含むがこれらに限定されない糖尿病に起因する合併症からなる群から選択される、方法。
【請求項33】
前記疾病が、II型糖尿病である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
投与されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり25mg~200mgの間である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、1つもしくは複数の薬学的に許容可能な担体補助材料または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経口投与に適した小分子GLP-1R受容体アゴニストの医薬組成物に関し、より具体的には、(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-ホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸(「OAD2」)またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物およびその調製方法に関する。また本発明は、このような医薬組成物を使用して、II型糖尿病型糖尿病および血糖管理不良に関連する適応症を処置する方法にも向けられている。
【背景技術】
【0002】
II型糖尿病は、末梢組織のインスリン抵抗性、高血糖症、ランゲルハンス島b細胞の代償性、高インスリン血症、脂質異常症、肝糖新生増加、最終的にb細胞集団およびb細胞機能の減損のうちの1つまたは複数の代謝障害ならびにそれらの疾患進行によって特徴づけることができる。異常なグルコース代謝および脂質代謝の病態生理学的影響は、腎臓、眼、末梢神経細胞、脈管構造、心臓などの臓器に対する毒性である。したがって、II型糖尿病に関連する疾患の進行を遅らせ、それによって血糖管理の改善、ならびにb細胞集団およびb細胞機能の改善を実現できる薬剤が必要とされている。
【0003】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、回腸内分泌細胞によって分泌される脳腸ペプチドの一種であり、現在は主にII型糖尿病薬の作用標的として使用されている。GLP-1の重要な機能は、ランゲルハンス島b細胞上の受容体を活性化することであり、その好ましい代謝的利点としては、過剰なグルカゴン産生の阻害、胃内容排出時間遅延、ならびにb細胞集団およびb細胞機能の改善を挙げることができるが、これらに限定されない。GLP-1様療法は早期の疾患進行を遅らせることができるという、b細胞集団およびb細胞機能に対するGLP-1の好ましい効果が提供され得る。さらに、GLP-1アゴニストは、また、II型糖尿病患者のインスリンとの併用など、併用療法において使用されてもよい。
【0004】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-ホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸二塩酸塩(以下「OAD2二塩酸塩」と称する。)は、C50H49Cl4N3O6、分子量929.76の式を有し、以下の化学式を有する。
【0005】
【化1】
OAD2二塩酸塩は、非ペプチドの、経口グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1r)アゴニストである。
【0006】
国際公開第2010/114824には、OAD2の遊離塩基の構造が開示されているが、OAD2の組成物またはその薬学的に許容可能な塩は、体系的に研究されていない。
【0007】
任意の小分子薬剤と同様に、製剤を長期保存、もしくは低コスト化できるように、様々な保存条件下で不純物の増殖を低減または排除する製剤を特定する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(「OAD2」)は、糖尿病やその他の関連適応症を処置するために開発中の小分子非ペプチドグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体アゴニストである。OAD2は、856の分子量(MW)を有し、国際公開第2010/114824号で開示されている。OAD2二塩酸塩は、以下の化学構造を有する。
【0009】
【0010】
本発明は、糖尿病などの、ヒトGLP-1受容体の調節が有益である処置条件において、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を含む医薬組成物、その調製方法、およびその使用方法を提供する。
【0011】
また、本発明は、補助原料の適合性の研究および補助材料のスクリーニングにより、不純物Bが低レベルの医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明は、補助原料中の酸化物、過酸化物、超酸化物、およびその他の酸化物または活性酸素の構造成分を減少させることにより、活性酸素種(ROS)が低レベルの医薬組成物を提供する。
【0013】
また、本発明は、総不純物が低レベルの医薬組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
研究により、関連物質、具体的には、酸化分解不純物Bは、常温条件下、OAD2二塩酸塩の固形形態および/または固形製剤中で急速に増殖する可能性があることが示される。酸化分解不純物Bは製剤の創薬性(druggability)リスクを高めると同時に、酸化分解不純物の増殖速度が高すぎるために医薬組成物または製剤の保存条件が厳しくなるため、医薬組成物の製剤後の薬剤投与リスクを低減するために、補助材料の最適化により、酸化分解不純物Bおよび関連物質全体の限界値を制御する必要がある。
【0015】
不純物増殖の原因研究の過程で、研究者らは、OAD2二塩酸塩が酸性条件下で一部の可溶化剤と容易に反応し、結果として関連物質が増殖することを見出した。この点について、研究者らは、独自の処方に基づく補助原料の適合性のスクリーニング、補助材料、具体的には、可溶化剤や崩壊剤の再評価、およびOAD2二塩酸塩と反応しにくい可溶化剤や崩壊剤の選定による関連物質の限界値の制御を行った。
【0016】
本発明は、良好な溶解性、良好な処方性、およびプロセス再現性を有するOAD2二塩酸塩の医薬組成物を提供する。
【0017】
本発明は、酸化分解不純物Bを含む関連物質の少ないOAD2二塩酸塩の医薬組成物を提供する。
【0018】
本発明により提供される医薬組成物には、安定した製造プロセス、および高い再現性を有するという利点があり、調製されたOAD2二塩酸塩の医薬組成物は、溶解性が良好で、酸化分解不純物Bの含有量が少なく、関連物質の含有量が少ない。
【0019】
本発明により提供される医薬組成物によって関連物質の増殖を効果的に制御することができるため、組成物を常温で保存することができ、かつ、一方で、製剤組成物の副作用の確率を低減し、薬剤の安全性を確保することができる。
【0020】
OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物
本発明では、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩、および1つまたは複数の薬学的に許容可能な補助材料を含む医薬組成物が提供される。
【0021】
本発明の組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を、経口投与に適した1つもしくは複数の薬学的に許容可能な賦形剤または担体材料との組合せで含む。本発明の組成物は、崩壊剤、結合剤、充填剤、および界面活性剤のうちの1つもしくは複数と混合されたOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を必要量含んでもよい。また、組成物は、潤滑剤、滑沢剤、酸性化剤、および吸収促進剤の1つまたは複数を含んでもよい。また、組成物は、任意選択で、1つまたは複数の酸化防止剤を含んでもよい。
【0022】
一実施形態では、このような組成物は、即時放出カプセル剤もしくは即時放出錠剤の形態での投与を容易にするために錠剤化またはカプセル化される。
【0023】
本発明では、OAD2、またはその薬学的に許容可能な塩、および少なくとも1つの可溶化剤を含む医薬組成物が提供される。
【0024】
いくつかの実施形態では、有効成分の質量パーセント含有量は、1~60%である。
【0025】
いくつかの実施形態では、有効成分の質量パーセント含有量は、5%~40%である。
【0026】
いくつかの実施形態では、有効成分の質量パーセント含有量は、10~20%である。
【0027】
1つの具体的な実施形態として、有効成分の質量パーセンテージ含有量は、1~5%、2~6%、3~7%、4~8%、5~9%、6~10%、11~15%、12~16%、13~17%、14~18%、15~19%、16~20%、21~25%、22~26%、23~27%、24~28%、25~29%、26~30%、31~35%、32~36%、33~37%、34~38%、35~39%、36~40%、41~45%、42~46%、43~47%、44~48%、45~49%、46~50%、51~55%、52~56%、53~57%、54~58%、55~59%、56~60%である。
【0028】
1つの具体的な実施形態として、有効成分の質量パーセンテージ含有量は、4±2%、6±2%、8±2%、10±2%、12±2%、14±2%、16±2%、18±2%、20±2%、22±2%、24±2%、26±2%、28±2%、30±2%、32±2%、34±2%、36±2%、40±2%、42±2%、44±2%、46±2%、48±2%、50±2%である。
1つの具体的な実施形態として、医薬組成物中の有効成分の質量は、1~600mg、5~300mg、10~150mg、20~75mg、または15~25mg、30~40mg、45~55mg、60~70mg、75~85mg、90~100mg、105~115mg、120~130mg、135~145mg、150~160mg、165~175mg、180~190mg、200~210mg、220~230mg、240~250mg、260~270mg、280~290mg、300~310mg、320~330mg、340~350mg、360~370mg、380~390mg、400~410mg、420~430mg、440~450mgである。
【0029】
1つの具体的な実施形態として、医薬組成物中の有効成分の質量は、10±2.5mg、15±2.5mg、20±2.5mg、25±2.5mg、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、または210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mg、300±5mg、310±5mg、320±5mg、330±5mg、340±5mg、350±5mg、360±5mg、370±5mg、380±5mg、390±5mg、400±5mg、410±5mg、420±5mg、430±5mg、440±5mg、450±5mgである。
【0030】
1.可溶化剤
本発明により提供される医薬組成物では、可溶化剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1%~10%から選択される。
【0031】
いくつかの実施形態では、可溶化剤の質量パーセンテージ含有量は、0.2%~5%である。
【0032】
1つの具体的な実施形態として、可溶化剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~0.6%、0.2~0.7%、0.3~0.8%、0.4~0.9%、0.5~1.0%、1.1~1.6%、1.2~1.7%、1.3~1.8%、1.4~1.9%、1.5~2.0%、2.1~2.6%、2.2~2.7%、2.3~2.8%、2.4~2.9%、2.5~3.0%、3.1~3.6%、3.2~3.7%、3.3~3.8%、3.4~3.9%、4.5~5.0%、5.1~5.6%、5.2~5.7%、5.3~5.8%、5.4~5.9%、5.5~6.0%、6.1~6.6%、6.2~6.7%、6.3~6.8%、6.4~6.9%、6.5~7.0%、7.1~7.6%、7.2~7.7%、7.3~7.8%、7.4~7.9%、7.5~8.0%、8.1~8.6%、8.2~8.7%、8.3~8.8%、8.4~8.9%、8.5~9.0%、9.1~9.6%、9.2~9.7%、9.3~9.8%、9.4~9.9%、9.5~10.0%である。
【0033】
1つの具体的な実施形態として、医薬組成物中の可溶化剤の質量は、0.5~50mg、1~30mg、2~20mg、または2~5mg、6~9mg、10~14mg、15~19mg、20~24mg、25~29mg、30~34mg、35~39mg、40~44mg、45~49mgである。
【0034】
1つの具体的な実施形態として、医薬組成物中の可溶化剤の質量は、3±1mg、6±1mg、9±1mg、12±1mg、15±1mg、18±1mg、21±1mg、24±1mg、27±1mg、30±1mg、33±1mg、36±1mg、39±1mg、42±1mg、45±1mg、48±1mgである。
【0035】
いくつかの実施形態では、可溶化剤は、HS15、RH40、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、SoluPlus、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリエチレングリコールセトステアリルエーテル12のうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0036】
1つの具体的な実施形態として、可溶化剤は、HS15である。
【0037】
1つの具体的な実施形態として、可溶化剤は、RH40である。
【0038】
1つの具体的な実施形態として、可溶化剤は、ヒドロキシプロピルβシクロデキストリンである。
【0039】
1つの具体的な実施形態として、可溶化剤は、SoluPlusである。
【0040】
2.OAD2およびその薬学的に許容可能な塩
いくつかの実施形態では、本発明により提供される医薬組成物中で、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩は、唯一の有効成分である。
【0041】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、二塩酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、メタンスルホン酸塩のうちの1つから選択される。
【0042】
具体的な実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、二塩酸塩である。
【0043】
いくつかの実施形態では、有効成分は、OAD2塩酸塩、OAD2二塩酸塩、OAD2p-トルエンスルホン酸塩、OAD2硫酸塩、OAD2臭化水素酸塩、OAD2酒石酸塩、OAD2クエン酸塩、OAD2グリコール酸塩、およびOAD2メタンスルホン酸塩のうちの1つである。
【0044】
1つの具体的な実施形態として、有効成分は、OAD2二塩酸塩である。
【0045】
1つの具体的な実施形態として、有効成分は、遊離OAD2の形態で医薬組成物中に存在する。
【0046】
1つの具体的な実施形態として、有効成分は、OAD2二塩酸塩の形態で医薬組成物中に存在する。
【0047】
本発明において記載されるOAD2の薬学的に許容可能な塩は、OAD2および薬学的に許容可能な酸から形成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な酸は、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4-アミノサリチル酸、アジピン酸、L-アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、トランス-ケイ皮酸、クエン酸、フマル酸、ガラクトン酸、ゲンチシン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グルタル酸、グリコール酸、カプロン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、L-乳酸、マレイン酸、L-リンゴ酸、マロン酸、R-マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、リン酸、プロピオン酸、サッカリン、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、L-酒石酸、p-トルエンスルホン酸、バニリン酸、およびバニリンからなる群から選択される。
【0049】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な酸は、臭化水素酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、およびスルホン酸からなる群から選択される。
【0050】
本発明の医薬組成物中または投与形態中の有効成分(OAD2またはその薬学的に許容可能な塩)の総量は、限定されない。
【0051】
一実施形態では、有効成分の含有量は、投与形態の総重量に基づき、0.01~80重量%、または0.1~50重量%、または10~40重量%の範囲内である。一実施形態では、有効成分の含有量は、1~4重量%、または2~5重量%、または3~6重量%、または4~7重量%、または5~8重量%、または6~9重量%、または7~10重量%、または8~11重量%、または9~12重量%、または10~13重量%、または11~14重量%、または12~15重量%、または13~16重量%、または14~17重量%、または15~18重量%、または16~19重量%、または17~20重量%、または18~21重量%、または19~22重量%、または20~23重量%、または21~24重量%、または22~25重量%、または23~26重量%、または24~27重量%、または25~28重量%、または26~29重量%、または27~30重量%、または28~31重量%、または29~32重量%、または30~33重量%、または31~24重量%、または32~35重量%、または33~36重量%、または34~37重量%、または35~38重量%、または36~39重量%、または37~40重量%の範囲内である。一実施形態では、有効成分の含有量は、28~32重量%、または10~14重量%の範囲内である。
【0052】
別の実施形態では、有効成分の含有量は、投与形態の総重量に基づき、4±2.5重量%、6±2.5重量%、8±2.5重量%、10±2.5重量%、または12±2.5重量%、または14±2.5重量%、または16±2.5重量%、または18±2.5重量%、または20±2.5重量%、または22±2.5重量%、または24±2.5重量%、または26±2.5重量%、または28±2.5重量%、または30±2.5重量%、または32±2.5重量%、または34±2.5重量%、または36±2.5重量%、または38±2.5重量%、または40±2.5重量%、または42±2.5重量%、または44±2.5重量%、または46±2.5重量%、または48±2.5重量%、または50±2.5重量%である。一実施形態では、有効成分の含有量は、30±2.5重量%、または12±2.5重量%である。
【0053】
別の実施形態では、投与形態が含有する有効成分の量は、1~500mg、または10~250mg、または25~200mg、または20~60mg、または40~80mg、または60~100mg、または80~140mg、または100~160mg、または120~180mg、または140~200mg、または160~220mg、または180~240mg、または200~260mgの範囲内である。
【0054】
別の実施形態では、投与形態が含有する有効成分の量は、25mg±5mg、または30mg±5mg、または40mg±5mg、または50mg±5mg、または60mg±5mg、または75mg±5mg、または80mg±5mg、または90mg±5mg、または100mg±5mg、または110mg±5mg、または120mg±5mg、または125mg±5mg、または130mg±5mg、または140mg±5mg、または150mg±5mg、または160mg±5mg、または170mg±5mg、または175mg±5mg、または180mg±5mg、または190mg±5mg、または200mg±5mg、または225mg±5mg、または250mg±5mgである。別の実施形態では、投与形態が含有する有効成分の量は、25mg±5mg、または50mg±5mg、または75mg±5mg、または100mg±5mg、または125mg±5mgである。別の実施形態では、投与形態が含有する有効成分の量は、25mg±2.5mg、または50mg±2.5mg、または75mg±2.5mg、または100mg±2.5mg、または125mg±2.5mgである。
【0055】
別の実施形態では、組成物中または投与形態中の有効成分は、OAD2二塩酸塩であり、投与形態は、1日1回または1日2回の経口投与に適合され、投与形態が含有するOAD2二塩酸塩の量は25mg±2.5mg、50mg±2.5mg、75mg±2.5mg、または100mg±2.5mgである。
【0056】
一実施形態では、40℃、かつ相対湿度75%で4週間保存した後、組成物中または投与形態中の有効成分(好ましくはOAD2二塩酸塩)の含有量は、保存前の元の含有量の少なくとも90%、または少なくとも98.0%、または少なくとも98.5%、または少なくとも99.0%、または少なくとも99.2%、または少なくとも99.4%、または少なくとも99.6%、または少なくとも99.8%に達する。
【0057】
別の実施形態では、40℃±2℃、かつ相対湿度75%±5%で6か月間保存した後、組成物中または投与形態中の有効成分(好ましくはOAD2二塩酸塩)の含有量は、保存前の元の含有量の少なくとも90%、または少なくとも98.0%、または少なくとも98.5%、または少なくとも99.0%、または少なくとも99.2%、または少なくとも99.4%、または少なくとも99.6%、または少なくとも99.8%に達する。
【0058】
別の実施形態では、30℃±2℃、かつ相対湿度65%±5%で6か月間保存した後、組成物中または投与形態中の有効成分(好ましくはOAD2二塩酸塩)の含有量は、保存前の元の含有量の少なくとも90%、または少なくとも98.0%、または少なくとも98.5%、または少なくとも99.0%、または少なくとも99.2%、または少なくとも99.4%、または少なくとも99.6%、または少なくとも99.8%に達する。
【0059】
別の実施形態では、40℃±2℃、かつ相対湿度65%±5%、もしくは25℃±2℃、かつ相対湿度60%±5%で12か月間保存した後、組成物中または投与形態中の有効成分(好ましくはOAD2二塩酸塩)の含有量は、保存前の元の含有量の少なくとも90%、または少なくとも98.0%、または少なくとも98.5%、または少なくとも99.0%、または少なくとも99.2%、または少なくとも99.4%、または少なくとも99.6%、または少なくとも99.8%に達する。
【0060】
投与形態中の有効成分の含有量を測定するための適切な方法は、当業者に周知であり、その一部は、以下の実施例のセクションに記載される。
【0061】
3.充填剤(希釈剤とも称される)
本発明により提供される医薬組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩に加えて、1つまたは複数の薬学的に許容可能な補助材料も含んでよく、補助材料は、崩壊剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、滑沢剤、酸性化剤、界面活性剤、吸収促進剤であってもよい。
【0062】
また、本発明により提供される医薬組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩に加えて、崩壊剤、充填剤、結合剤、潤滑剤、湿潤剤、滑沢剤、酸性化剤、界面活性剤、吸収促進剤を含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、任意選択であるが、好ましくは、1つまたは複数の薬学的に許容可能な充填剤を担体材料として含む。いくつかの実施形態では、本発明により提供される医薬組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩に加えて充填剤を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、充填剤は、微結晶性セルロース、乳糖、蔗糖、マンニトール、トウモロコシデンプン、プレゼラチン化デンプン(pregelatinized starch)、デキストリン、ソルビトール、無機カルシウム塩、酢酸セルロース、グルコース、エチルセルロース、およびパルミトステアリン酸グリセリンのうちの少なくとも1つから選択される。
【0065】
本発明により提供される医薬組成物中の充填剤の質量パーセンテージ含有量は、10~75%である。
【0066】
いくつかの実施形態では、充填剤は、好ましくは、微結晶性セルロース、乳糖、マンニトール、およびプレゼラチン化デンプンのうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0067】
いくつかの実施形態では、充填材は、微結晶性セルロースと乳糖との組み合わせから選択される。
【0068】
いくつかの実施形態では、充填剤の質量パーセンテージ含有量は、20~60%である。
【0069】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の充填剤の質量パーセンテージ含有量は、15~19%、16~20%、21~25%、22~26%、23~27%、24~28%、25~29%、26~30%、31~35%、32~36%、33~37%、34~38%、35~39%、36~40%、41~45%、42~46%、43~47%、44~48%、45~49%、46~50%、51~55%、52~56%、53~57%、54~58%、55~59%、56~60%である。
【0070】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の充填剤の質量は、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、または210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mg、300±5mg、310±5mg、320±5mg、330±5mg、340±5mg、350±5mg、360±5mg、±5mg、370±5mg、380±5mg、390±5mg、400±5mg、410±5mg、420±5mg、430±5mg、440±5mg、450±5mg、460±5mg、470±5mg、480±5mg、490±5mg、500±5mgである。
【0071】
4.崩壊剤
本発明により提供される医薬組成物は、任意選択で、崩壊剤を含むことができ、いくつかの実施形態では、特に錠剤製剤の場合、好ましくは、1つまたは複数の薬学的に許容可能な崩壊剤を担体材料として含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は微結晶性セルロース、クロスポビドン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、およびカルボキシメチルセルロースカルシウムのうちの少なくとも1つから選択される。
【0073】
本発明により提供される医薬組成物中の崩壊剤の質量パーセンテージ含有量は、5~40%である。
【0074】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、好ましくは、微結晶性セルロース、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムのうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0075】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、微結晶性セルロースと、クロスポビドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウムからなる群から選択されるいずれか1つとの組合せである。
【0076】
いくつかの実施形態では、崩壊剤の質量パーセンテージ含有量は、10~30%である。
【0077】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の崩壊剤の質量パーセンテージ含有量は、5~9%、6~10%、11~15%、12~16%、13~17%、14~18%、15~19%、16~20%、21~25%、22~26%、23~27%、24~28%、25~29%、26~30%、31~35%、32~36%、33~37%、34~38%、35~39%、36~40%である。
【0078】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の崩壊剤の質量は、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、または210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mg、300±5mgである。
【0079】
いくつかの実施形態では、崩壊剤は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースであり、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロポキシル含有量は、5~12%である。
【0080】
5.結合剤
本発明により提供される医薬組成物は、任意選択で、結合剤を含有することができ、いくつかの実施形態では、特に錠剤製剤の場合、好ましくは、1つまたは複数の薬学的に許容可能な結合剤を担体材料として含む。このような結合剤は、理想的には、整粒、潤滑、圧縮、および包装などの通常の加工作業を可能にするが、依然として摂取時の錠剤の崩壊ならびに組成物の吸収を可能にするのに十分な凝集性を錠剤化粉末に付与する。
【0081】
一実施形態では、結合剤は、プレゼラチン化デンプン、デンプン、乳糖、メチルセルロース、エチルセルロース、ポビドン、コポビドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、蔗糖、アルギン酸ナトリウム、イナゴマメガム(carobbean gum)、キトサン、デキストリン、およびベヘン酸グリセリルから選択される。
【0082】
本発明により提供される医薬組成物中の、結合剤の質量パーセンテージ含有量は、5~40%から選択される。
【0083】
いくつかの実施形態では、結合剤は、好ましくは、プレゼラチン化デンプン、乳糖、ヒプロメロースのうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0084】
いくつかの実施形態では、結合剤の質量パーセンテージ含有量は、10~30%である。
【0085】
1つの具体的な実施形態として、結合剤の質量パーセンテージは、11~15%、12~16%、13~17%、14~18%、15~19%、16~20%、21~25%、22~26%、23~27%、24~28%、25~29%、26~30%である。
【0086】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の結合剤の質量は、30±2.5mg、35±2.5mg、40±2.5mg、45±2.5mg、50±2.5mg、55±2.5mg、60±2.5mg、65±2.5mg、70±2.5mg、75±2.5mg、80±2.5mg、85±2.5mg、90±2.5mg、95±2.5mg、100±2.5mg、105±2.5mg、110±2.5mg、115±2.5mg、120±2.5mg、125±2.5mg、130±2.5mg、135±2.5mg、140±2.5mg、145±2.5mg、150±2.5mg、155±2.5mg、160±2.5mg、165±2.5mg、170±2.5mg、175±2.5mg、180±2.5mg、185±2.5mg、190±2.5mg、195±2.5mg、200±2.5mg、205±2.5mg、または210±5mg、220±5mg、230±5mg、240±5mg、250±5mg、260±5mg、270±5mg、280±5mg、290±5mg、300±5mgである。
【0087】
6.潤滑剤
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、任意選択で、1つまたは複数の薬学的に許容可能な潤滑剤を担体材料として含む。
【0088】
一実施形態では、潤滑剤は、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ベヘン酸グリセリル、シリカゲル微細粉末、タルカムパウダー、ポリエチレングリコール、水添植物油、ラウリル硫酸ナトリウム、およびモノステアリン酸グリセリンから選択される。
【0089】
本発明により提供される医薬組成物中の、潤滑剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~10%から選択される。
【0090】
いくつかの実施形態では、潤滑剤は、好ましくは、ステアリン酸マグネシウム、シリカゲル微細粉末、およびタルカムパウダーのうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0091】
いくつかの実施形態では、潤滑剤の質量パーセンテージ含有量は、0.2%~5%である。
【0092】
1つの具体的な実施形態として、潤滑剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~0.6%、0.2~0.7%、0.3~0.8%、0.4~0.9%、0.5~1.0%、1.1~1.6%、1.2~1.7%、1.3~1.8%、1.4~1.9%、1.5~2.0%、2.1~2.6%、2.2~2.7%、2.3~2.8%、2.4~2.9%、2.5~3.0%、3.1~3.6%、3.2~3.7%、3.3~3.8%、3.4~3.9%、4.5~5.0%、5.1~5.6%、5.2~5.7%、5.3~5.8%、5.4~5.9%、5.5~6.0%、6.1~6.6%、6.2~6.7%、6.3~6.8%、6.4~6.9%、6.5~7.0%、7.1~7.6%、7.2~7.7%、7.3~7.8%、7.4~7.9%、7.5~8.0%、8.1~8.6%、8.2~8.7%、8.3~8.8%、8.4~8.9%、8.5~9.0%、9.1~9.6%、9.2~9.7%、9.3~9.8%、9.4~9.9%、9.5~10.0%である。
【0093】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の潤滑剤の質量は、0.1~40mg、0.2~30mg、0.3~20mg、0.4~15mg、0.5~10mg、または1~6mg、2~7mg、3~8mg、4~9mg、5~10mg、11~16mg、12~17mg、13~18mg、14~19mg、15~20mg、21~26mg、22~27mg、23~28mg、24~29mg、25~30mgである。
【0094】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の潤滑剤の質量は、1±0.5mg、2±0.5mg、3±0.5mg、4±0.5mg、5±0.5mg、6±0.5mg、7±0.5mg、8±0.5mg、9±0.5mg、10±0.5mg、11±0.5mg、12±0.5mg、13±0.5mg、14±0.5mg、15±0.5mg、16±0.5mg、17±0.5mg、18±0.5mg、19±0.5mg、20±0.5mgである。
【0095】
7.湿潤剤
本発明により提供される医薬組成物は、任意選択で、湿潤剤も含むことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、湿潤剤は、エタノール、グリセロール、およびTweenから選択される。
【0097】
本発明により提供される医薬組成物中の、湿潤剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~10%から選択される。
【0098】
いくつかの実施形態では、湿潤剤は、好ましくは、Tween(商標)80である。
【0099】
いくつかの実施形態では、湿潤剤の質量パーセンテージ含有量は、1%~10%である。
【0100】
1つの具体的な実施形態として、湿潤剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~0.6%、0.2~0.7%、0.3~0.8%、0.4~0.9%、0.5~1.0%、1.1~1.6%、1.2~1.7%、1.3~1.8%、1.4~1.9%、1.5~2.0%、2.1~2.6%、2.2~2.7%、2.3~2.8%、2.4~2.9%、2.5~3.0%、3.1~3.6%、3.2~3.7%、3.3~3.8%、3.4~3.9%、4.5~5.0%、5.1~5.6%、5.2~5.7%、5.3~5.8%、5.4~5.9%、5.5~6.0%である。
【0101】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の湿潤剤の質量は、0.5~50mg、1~30mg、2~20mg、または2~5mg、6~9mg、10~14mg、15~19mg、20~24mg、25~29mg、30~34mg、35~39mg、40~44mg、45~49mgである。
【0102】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の湿潤剤の質量は、3±1mg、6±1mg、9±1mg、12±1mg、15±1mg、18±1mg、21±1mg、24±1mg、27±1mg、30±1mg、33±1mg、36±1mg、39±1mg、42±1mg、45±1mg、48±1mgである。
【0103】
8.滑沢剤
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、任意選択で、1つまたは複数の薬学的に許容可能な滑沢剤を担体材料として含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、滑沢剤は、シリカゲル微細粉末、タルカムパウダー、コロイド状二酸化ケイ素から選択される。
【0105】
本発明により提供される医薬組成物中の、滑沢剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~10%から選択される。
【0106】
いくつかの実施形態では、滑沢剤は、好ましくは、シリカゲル微細粉末、またはコロイド状二酸化ケイ素である。
【0107】
いくつかの実施形態では、滑沢剤の質量パーセンテージ含有量は、0.2%~5%である。
【0108】
1つの具体的な実施形態として、滑沢剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1~0.6%、0.2~0.7%、0.3~0.8%、0.4~0.9%、0.5~1.0%、1.1~1.6%、1.2~1.7%、1.3~1.8%、1.4~1.9%、1.5~2.0%、2.1~2.6%、2.2~2.7%、2.3~2.8%、2.4~2.9%、2.5~3.0%、3.1~3.6%、3.2~3.7%、3.3~3.8%、3.4~3.9%、4.5~5.0%、5.1~5.6%、5.2~5.7%、5.3~5.8%、5.4~5.9%、5.5~6.0%、6.1~6.6%、6.2~6.7%、6.3~6.8%、6.4~6.9%、6.5~7.0%、7.1~7.6%、7.2~7.7%、7.3~7.8%、7.4~7.9%、7.5~8.0%、8.1~8.6%、8.2~8.7%、8.3~8.8%、8.4~8.9%、8.5~9.0%、9.1~9.6%、9.2~9.7%、9.3~9.8%、9.4~9.9%、9.5~10.0%である。
【0109】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の滑沢剤の質量は、0.1~40mg、0.2~30mg、0.3~20mg、0.4~15mg、0.5~10mg、または1~6mg、2~7mg、3~8mg、4~9mg、5~10mg、11~16mg、12~17mg、13~18mg、14~19mg、15~20mg、21~26mg、22~27mg、23~28mg、24~29mg、25~30mgである。
【0110】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物中の滑沢剤の質量は、1±0.5mg、2±0.5mg、3±0.5mg、4±0.5mg、5±0.5mg、6±0.5mg、7±0.5mg、8±0.5mg、9±0.5mg、10±0.5mg、11±0.5mg、12±0.5mg、13±0.5mg、14±0.5mg、15±0.5mg、16±0.5mg、17±0.5mg、18±0.5mg、19±0.5mg、20±0.5mgである。
【0111】
9.酸性化剤
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は、任意選択で、1つまたは複数の酸性化剤を担体材料として含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、酸性化剤は、酒石酸、クエン酸、プロピオン酸、リン酸、リンゴ酸、乳酸、および塩酸から選択される。
【0113】
本発明により提供される医薬組成物中の、酸性化剤の質量パーセンテージ含有量は、1%~40%から選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、酸性化剤は、好ましくは、クエン酸または無水クエン酸から選択される。
【0115】
いくつかの実施形態では、酸性化剤の質量パーセンテージ含有量は、5%~20%である。
【0116】
10.吸収促進剤
本発明の医薬組成物は、任意選択で、1つまたは複数の吸収促進剤を含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、吸収促進剤は、オレイン酸、ラウロカプラム、メントール、ビタミンE-TPGS、プロピレングリコール、β-シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン、ラウリル硫酸ナトリウム、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチレングリコール、エトキシジグリコール、ビサボロール、リポソーム、アゾン、ピペリン、カプリル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、デカノイルカルニチン、蔗糖エステル、およびキトサンから選択される。
【0118】
本発明により提供される医薬組成物中の、吸収促進剤の質量パーセンテージ含有量は、0.1%~10%から選択される。
【0119】
いくつかの実施形態では、吸収促進剤は、好ましくは、ビタミンE、オレイン酸、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンのうちの1つまたは2つ以上から選択される。
【0120】
いくつかの実施形態では、吸収促進剤の質量パーセンテージ含有量は、0.5~5%である。
【0121】
11.界面活性剤
本発明の医薬組成物は、任意選択であるが、好ましくは、1つまたは複数の薬学的に許容可能な界面活性剤を担体材料として含む。このような界面活性剤は、好ましくは、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を水と強固に結合させておくために選択される。
【0122】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、レシチン、脂肪酸グリセリド、蔗糖脂肪酸エステル、Span、Tween、Myrij、Brij、ポロキサマー、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサデシル硫酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、およびドキュセートナトリウムから選択される。
【0123】
いくつかの実施形態では、界面活性剤の質量パーセンテージ含有量は、0.2%~20%から選択される。
【0124】
12.酸化防止剤
本発明の組成物は、任意選択で、1つまたは複数の酸化防止剤を含む。「酸化防止剤」という用語は、一定期間の貯蔵寿命後、組成物中に許容できない量の酸化分解物が生成されることを防止、および/または阻害し得る、組成物中の成分を指す。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、通常であれば組成物中に不純物を生成することにより組成物を損なう可能性のある酸素と反応し得る。酸素は、組成物の環境から発生するか、または組成物自体から発生する場合がある。例えば、酸素は、組成物を含有するバイアルの上部空間に存在する残留酸素から発生する場合がある。いくつかの実施形態では、酸化分解物は、不純物Bを含み、酸化防止剤は、一定期間の貯蔵寿命後、組成物中の酸化分解物(不純物Bなど)の形成を約5%未満、または約4%未満、または約3%未満、または約2.5%未満、または約2%未満、または約1.5%未満、または約1%未満、または約0.9%未満、または約0.8%未満、または約0.7%未満、または約0.6%未満、または約0.5%未満、または約0.4%未満、または約0.3%未満、または約0.2%未満、または約0.1%未満、または約0.05%未満、または約0.04%未満、または約0.03%未満、または約0.02%未満、または約0.01%未満に制限し得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、組成物が許容できない物理的変化を経ることを阻害かつ/または防止するであろう最低濃度で存在し得る。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、組成物の成分の許容できない酸化を阻害かつ/または防止する最低濃度で存在し得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、亜硫酸塩、アスコルビン酸、チオ尿素、システイン、パルミチン酸アスコルビル、α-トコフェロール、ジブチルクレゾール、チオ二酢酸ジブチル、酒石酸、クエン酸、エデト酸二ナトリウム、トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸、ビタミンEおよびその誘導体などから選択される。
【0127】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤の質量パーセンテージ含有量は、0.5%~10%から選択される。
【0128】
本発明の医薬組成物について、質量パーセンテージ含有量とは、薬剤の総重量に対する百分率を指し、ここで、薬剤の総重量は、コーティング剤の重量を含まない。1つの具体的な投与形態について、これは、例えば錠剤コア(tablet core)または顆粒剤に対する重量である。
【0129】
本発明により提供されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物中の、各成分の質量パーセンテージは、以下である。
【0130】
【0131】
本発明により提供される、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物中の、各成分の質量パーセンテージは、以下である。
【0132】
【0133】
本発明により提供される、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物中の、各成分の質量パーセンテージは、以下である。
【0134】
【0135】
適切な充填剤(単独または組み合わせ)としては、乳糖USP、乳糖USP無水物、乳糖USP噴霧乾燥、デンプンUSP、プレゼラチン化デンプン(例:National 1511、およびStarch 1500)、直接圧縮性デンプン、マンニトールUSP、ソルビトール、デキストロース一水和物、微結晶性セルロースNF、リン酸水素カルシウム二水和物NF、蔗糖系充填剤、粉糖(菓子糖)、一塩基性硫酸カルシウム一水和物、硫酸カルシウム二水和物NF、乳酸カルシウム三水和物顆粒NF、デキストレート類、イノシトール、MaltronおよびMor-Rexなどの加水分解穀類固形物、アミラーゼ、Rexcel、粉末セルロース(例えば、Elcema(登録商標))、炭酸カルシウム、グリシン、ベントナイト、ポリビニルピロリドンなども挙げられる。そのような充填剤は、存在する場合、組成物の総重量に対して合計約5%~約99%、または約10%~約85%、または約20%~約60%、または約10%~約40%、または約15重量%~約30重量%、または約10重量%~約20重量%、または約15重量%~約25重量%、または約20重量%~約30重量%、または約25重量%~約35重量%、または約30重量%~約40重量%を構成する。選択された1つまたは複数の充填剤は、好ましくは適切な流動性を示し、かつ錠剤が必要とされる場合には圧縮性も示す。
【0136】
さらなる実施形態では、(単独で、または組合せでの)乳糖、プレゼラチン化デンプン、および微結晶性セルロースが、好ましい充填剤である。別の実施形態では、充填剤は、微結晶性セルロース、および/またはプレゼラチン化デンプンを、組成物の総重量の20重量%~60重量%の範囲の量で含む。別の実施形態では、充填剤は、微結晶性セルロースを組成物の総重量の20重量%~40重量%の範囲の量で含む。別の実施形態では、充填剤は、組成物の総重量に対して、合計約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%±2.5重量%を構成する。
【0137】
適切な崩壊剤(単独または組み合わせ)としては、デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土(Veegum HVなど)、セルロース類(精製セルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、およびカルボキシメチルセルロースなど)、アルギン酸塩、プレゼラチン化トウモロコシデンプン(例えば、National 1551およびNational 1550)、クロスポビドンUSP NF、ならびにガム類(例えば、寒天、グアール、イナゴマメガム(locust bean gum)、カラギーナン、ペクチン、およびトラガカントゴム)なども挙げられる。崩壊剤は、組成物の調製中の任意の適切な工程で、具体的には、造粒前または圧縮前に粒外賦形剤(extragranular excipient)として添加されてもよい。このような崩壊剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.2重量%~約30重量%、または約0.2重量%~約10重量%、または約0.2重量%~約5重量%を構成する。別の実施形態では、崩壊剤は、合計で、組成物の総重量の約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%±2.5重量%を構成する。
【0138】
クロスポビドン(架橋結合ポリビニルピロリドン)は、錠剤またはカプセル剤の崩壊に好ましい崩壊剤であり、存在する場合は、組成物の総重量の約0.1重量%~約20重量%、または約0.2重量%~約10重量%、または約0.2重量%~約6重量%、または約0.2重量%~約5重量%、または約1重量%~約5重量%を構成する。別の実施形態では、クロスポビドンは、組成物の総重量に対して合計約2重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、または30重量%±1.5重量%を構成する。医薬品組成物に使用されるクロスポビドン(欧州薬局方(Ph.Eur.)、米国薬局方-国民医薬品集(USP-NF)、日本薬局方(JP))は、欧州薬局方クロスポビドンモノグラフクラスAまたはクラスB(European Pharmacopoeia Crospovidone Monograph Class A or Class B)の品質であり得る。別の実施形態では、欧州薬局方クロスポビドンモノグラフクラスAの方法で測定されたクロスポビドン中の過酸化物の量は、50ppm、または45ppm、または40ppm、または35ppm、または30ppm、または25ppm、または20ppm、または15ppm、または10ppmを超えない。別の実施形態では、欧州薬局方クロスポビドンモノグラフタイプB(European Pharmacopoeia Crospovidone Monograph Type B)の方法で測定されたクロスポビドン中の過酸化物の量は、125ppm、または100ppm、または75ppm、または50ppm、または25ppmを超えない。別の実施形態では、クロスポビドンの品質は、Polyplasdone(商標) Ultraの商品名でAshlandから入手可能な、グレード「ウルトラ(Ultra)」または「ウルトラ-10(Ultra-10)」の品質と同等である。別の実施形態では、クロスポビドンの典型的な平均粒径は、110~140ミクロン、または25~40ミクロンである。
【0139】
結合剤としては、(単独で、または組合せで)アラビアガム、トラガカントゴム、蔗糖、ゼラチン、グルコース、デンプン、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースナトリウム(例えば、Tylose)などを含むがこれらに限定されないセルロース材料、アルギン酸およびアルギン酸塩、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ポリエチレングリコール、グアールガム、多糖酸、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、コポビドン(ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体)、ポリメタクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(Klucel)、エチルセルロース(Ethocel)、プレゼラチン化デンプン(National 1511、およびStarch 1500など)も挙げられ得る。このような結合剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.1重量%~約20重量%、または約0.75重量%~約15重量%、または約1重量%~約10重量%、または約1重量%から約5重量%を構成する。
【0140】
クロスポビドンは、錠剤またはカプセル剤の崩壊に好ましい結合剤であり、存在する場合は、組成物の総重量の約0.1重量%~約10重量%、または約0.2重量%~約5重量%、または約0.3重量%~約4重量%、または約0.4重量%~約3重量%、または約0.5重量%~約1重量%を構成する。別の実施形態では、組成物中に存在するクロスポビドンの量は、組成物の総重量の約0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、または5.0重量%±0.5重量%である。
【0141】
適切な潤滑剤(単独または組合せ)としては、ベハピン酸グリセリン(Compritol 888)、ステアリン酸塩(マグネシウム、カルシウム、およびナトリウム)、ステアリン酸、水添植物油(例えば、Sterotex)、タルカムパウダー、蝋、Stearowet 、ホウ酸、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、フマル酸ナトリウム、塩化ナトリウム、DL-ロイシン、ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax 4000、およびCarbowax 6000)、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ならびにラウリル硫酸マグネシウムも挙げられる。このような潤滑剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.1重量%~約10重量%、約0.2重量%~約8重量%、または約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0142】
いくつかの実施形態では、ステアリン酸マグネシウムが好ましい潤滑剤であり、組成物の総重量の0.25重量%~約1.5重量%の量で存在する。
【0143】
適切な滑沢剤(単独または組合せ)としては、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルカムパウダー、リン酸三カルシウム、ステアリン酸およびコロイド状二酸化ケイ素も挙げられ、好ましい滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。このような滑沢剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.1重量%~約10重量%、または約0.2重量%~約8重量%、好ましくは、約0.25重量%~約5重量%を構成する。
【0144】
一実施形態では、滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含み、組成物の総重量の0.25重量%~約1.5重量%の量で存在する。
【0145】
適切な酸性化剤(単独または組合せ)としては、酢酸、アミノ酸、クエン酸、硝酸、フマル酸、およびその他のα-ヒドロキシ酸、塩酸、アスコルビン酸および硝酸、ならびに当業者に既知のその他の酸も挙げられる。好ましい実施形態では、酸性化剤はクエン酸である。
【0146】
このような酸性化剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.1重量%~約50重量%、約1重量%~約50重量%、約1重量%~約10重量%、約5重量%~約15重量%、約10重量%~約20重量%、約15重量%~約25重量%、約20重量%~約30重量%、約25重量%~約35重量%を構成する。
【0147】
一実施形態では、酸性化剤はクエン酸を含む。別の実施形態では、酸性化剤は、クエン酸であり、組成物の総重量の5重量%~15重量%、または25重量%~35重量%の範囲の量で存在する。
【0148】
吸収促進剤は、溶解促進剤および取込み促進剤の両方として機能する界面活性剤とすることもできる。溶解促進剤は、有効成分が最初に放出される水性環境や、腸壁を覆う粘液層の親脂性環境、またはその両方における、有効成分の溶解力を向上させることができる。通過(取込み)促進剤(通常、溶解促進剤として使用される界面活性剤と同じ)は、有効成分が腸壁を通過しやすくするものである。
【0149】
1つまたは複数の吸収促進剤は、1つの機能(例えば、溶解)のみを実行してもよく、あるいは、1つまたは複数の吸収促進剤は、別の機能(例えば、取込み)のみを実行してもよい。いくつかの化合物の混合物を有することも可能であり、そのうちのいくつかは、溶解性を向上させ、いくつかは、取込み性を向上させ、かつ/または、いくつかは両方の機能を果たす。
【0150】
界面活性剤は、溶解促進剤および取込み促進剤として使用可能である。吸収促進剤の非限定的な例としては、サリチル酸ナトリウム、3-メトキシサリチル酸塩、5-メトキシサリチル酸塩、およびホモバニレート(homovanilate)などのサリチル酸塩、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸、およびデオキシコール酸などのコール酸、ポリオキシエチレンエーテル、p-t-オクチルフェノキシポリオキシエチレンエーテル、ノニルフェノキシポリオキシエチレンエーテル(nonylphenoxypolyoxyethyleneether)、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、Tween-20、Tween-80など)、d-αトコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGSなど)などの非イオン性界面活性剤、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの陰イオン性界面活性剤、リゾホスファチジルコリン、およびリゾホスファチジルエタノールアミンなどのリゾリン脂質、ラウロイルカルニチン、ラウロイルコリン、およびセチルリジンなどのアシルカルニチン、アシルコリン、ならびにアシルアミノ酸、中鎖長脂肪酸(カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸など)のモノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド、ポリエチレングリコールの脂肪酸誘導体(カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド(Labrasol)、カプリル酸トリグリセリド(Labrafac(商標))など)、ならびにアルキル糖(ラウロイルマルトシド、ラウロイル蔗糖(lauroyl sucrose)、ミリストイル蔗糖(myristoyl sucrose)、およびパルミトイル蔗糖(palmitoyl sucrose)など)含有する混合物である中鎖グリセリドが挙げられる。
【0151】
このような吸収促進剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.1重量%~約5重量%、または約0.25重量%~約5重量%、または約0.5重量%~約4重量%を構成する。
【0152】
好ましい実施形態では、吸収促進剤は、ビタミンE TPGSを、組成物の総重量の0.5重量%~5重量%、または0.5重量%~2.5重量%の量で含む。
【0153】
適切な界面活性剤(単独または組合せ)として、オレイン酸、モノステアリン酸グリセリン、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、オレイン酸トリエタノールアミン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(Tween 80)、d-αトコフェリルマクロゴール1000コハク酸塩(ビタミンE TPGS)、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポロキサマー、およびポロキサマー188も挙げられる。このような界面活性剤は、存在する場合、合計で、組成物の総重量の約0.25重量%~約15重量%、または約0.4重量%~約10重量%、または約3重量%~約9重量%を構成する。
【0154】
一実施形態では、界面活性剤は、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびポロキサマー188から選択される1つまたは2つの界面活性剤を含み、界面活性剤は、組成物の総重量の0.5重量%~5重量%の量で含まれる。別の実施形態では、界面活性剤は、組成物の総重量の約0.5重量%、1.0重量%、1.5重量%、2.0重量%、2.5重量%、3.0重量%、3.5重量%、4.0重量%、4.5重量%、または5.0重量%±0.5重量%の量で組成物中に存在する。
【0155】
適切な酸化防止剤(単独または併用)として、アミノ酸亜硫酸塩(L-リジン亜硫酸など)、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ベンゾトリアゾール、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、クエン酸、システイン、塩酸システイン、EDTAカルシウム二ナトリウム、EDTA二ナトリウム、ジチオトレイトール、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸、エトキシキノリン、EDTA塩、フマル酸、グルタチオン、グアヤック樹脂、ホモシステイン、クエン酸イソプロピル、L-アスコルビン酸ステアリン酸エステル、チオグリセリン、ノルジヒドログアイヤレチン酸(NDGA)、パルミチン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、EDTA四ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム(sodium metabisulfite)、ピロ亜硫酸ナトリウム(sodium pyrosulfite)、1,3-ブタンジオール、亜硫酸ナトリウム(sodium sulfite)、チオグリコール酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、tert-ブチルヒドロキノン、チオグリセロール、チオ尿素、TPGS(トコフェリルポリエチレングリコールコハク酸)、ビタミンEまたはその誘導体、α-チオグリセロールおよび/またはその塩なども挙げられる。
【0156】
いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、約0.1~9.0重量%の範囲の濃度、または約0.5~5.0重量%の範囲の濃度、または約0.3~1.5重量%の範囲の濃度、または約0.4~1.6重量%の範囲の濃度、または0.5~1.7重量%の範囲の濃度、または0.6~1.8重量%の範囲の濃度、または0.7~1.9重量%の範囲の濃度、または0.8~2.0重量%の範囲の濃度、または1.0~2.5重量%の範囲の濃度、または1.5~3.0重量%の範囲の濃度、または2.0~3.5重量%の範囲の濃度、または2.5~4.0重量%の範囲の濃度、または3.0~5.0重量%の範囲の濃度で含まれる。
【0157】
OAD2の医薬組成物の調製方法
いくつかの実施形態では、本発明により提供されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物は、経口医薬組成物である。
【0158】
本発明により提供される医薬組成物の経口投与に適した液体製剤(例えば、懸濁液、チンキ剤等)は、当技術分野で既知の技術に従って調製することができる一方で、一般的に使用されるあらゆる媒体、例えば、水、エチレングリコール、油類、アルコール類などを使用することもできる。経口投与に適した固形製剤(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、および丸剤)は、当技術分野で既知の技術に従って調製することができる一方で、例えば、充填剤、結合剤、崩壊剤などのいくつかの固形賦形剤を使用することもできる。
【0159】
いくつかの実施形態では、本発明により提供されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物は、固形医薬組成物である。
【0160】
いくつかの実施形態では、本発明により提供されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物は、錠剤、丸剤、カプセル剤、ミニ錠剤(mini-tablets)、または顆粒剤からなる群から選択される投与形態であり、錠剤、丸剤、および顆粒剤は、コーティング剤を有してもよいし、有さなくてもよい。
【0161】
1つの具体的な実施形態として、本発明の医薬組成物は、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、胃溶性ポリマー、腸溶性ポリマーからなる群から選択される1または複数のコーティング剤をコーティング層としてさらに含んでもよい。
【0162】
1つの具体的な実施形態として、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物は、錠剤である。
【0163】
本発明は、さらに医薬組成物の調製方法を提供し、該方法は、主に以下の工程を含む。
a.充填剤、崩壊剤、可溶化剤、および任意選択で、その他の補助材料をふるいにかけ、その後静置する、補助原料を処理する工程、
b.製剤量のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩、充填剤、可溶化剤、崩壊剤、ならびに任意選択で、結合剤、酸性化剤、潤滑剤、湿潤剤、酸性化剤、滑沢剤、吸収促進剤、および界面活性剤を造粒し、混合して、造粒および混合を行う工程、ならびに
c.顆粒剤を、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、滑沢剤、酸性化剤、およびその他の補助材料と適宜混合し、かつ混合物を錠剤化する工程であって、硬度が8~20Kgに制御される、工程。
【0164】
本発明の組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を、経口投与に適した薬学的に許容可能な1つまたは複数の賦形剤と結合させて含む。
【0165】
本発明の組成物は、適切な賦形剤材料と、企図される処置に効果的な、有効成分の用量とを選択することにより、任意の適切な経口経路による投与に適合され得る。したがって、用いられる任意の担体材料は、固形物もしくは液体、またはその両方であり、組成物は、約1重量%~95重量%、約10重量%~約90重量%、または約25重量%~約85重量%、または約10重量%~約40重量%のOAD2もしくはその薬学的に許容可能な塩を含有する。このような医薬組成物は、成分を混合することを含む、薬学の周知の技術のいずれかによって調製することができる。
【0166】
本発明の組成物は、用量単位あたり所望量のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を含有し、例えば、錠剤、丸剤、硬質または軟質のカプセル剤、飴剤、カシェ剤、調剤可能(dispensable)な粉末、顆粒剤、懸濁液、エリキシル剤、液体、または経口投与に合理的に選択される任意の他の形態をとり得る。このような組成物は、所定の量のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩をそれぞれが含む、錠剤、丸剤、またはカプセル剤などの個別用量単位の形態で製造されてもよい。また、錠剤、丸剤などは、コーティング剤を用いて、または用いずに調製可能である。
【0167】
本発明の組成物は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を担体材料と結合させる工程を含む、任意の適切な薬学の方法によって調製することができる。概して、組成物は、OAD2もしくはその薬学的に許容可能な塩を、液体、または微粉化固形担体、あるいはその両方と均一かつ完全に混合し、その後必要に応じて生成物をカプセル化または成形することによって調製される。
【0168】
例えば、錠剤は、化合物の粉末または顆粒を、1つまたは複数の賦形剤とともに圧縮または成形することによって調製することができる。圧縮錠剤は、1つまたは複数の賦形剤と混合したOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を含む、粉末や顆粒などの自由流動性組成物(free-flowing composition)を適切な機械で圧縮することによって調製することができる。成形錠剤は、不活性充填液で湿らせた粉末状化合物を適切な機械で成形することによって製造することができる。
【0169】
これらの医薬品賦形剤は、単独で、または2つ以上の医薬品賦形剤を適量組み合わせて、適宜添加されてもよい。医薬品賦形剤の含有量については、各賦形剤は、本発明の所望の効果が得られるような量で使用され得る。
【0170】
本発明の経口投与用組成物は、例えば、混合、造粒、乾燥、成形(錠剤化)、フィルムコーティングなどの工程を含む既知の方法によって製造することができる。以下で、本発明の経口投与用組成物の製造方法が説明される。
【0171】
混合前に、有効成分および任意の固形賦形剤は、通常の製薬方法で粉砕および/またはふるい分けされてもよい。粉砕機の例としては、ハンマーミル、ボールミル、ジェットミル、コロイドミルなどが挙げられる。粉砕の条件は、適宜選択されてもよく、特に限定されない。
【0172】
成分を混合する工程では、装置および手段は、通常の製薬方法で成分を均一に混合することができる方法であれば、どちらも特に限定されない。
【0173】
造粒工程では、装置および手段は、通常の製薬方法で有効成分と適切な賦形剤とを造粒できる方法であれば、どちらも特に限定されない。
【0174】
水などの溶媒を使用した湿式造粒法で使用される造粒法および造粒装置の例として、高剪断造粒法、製粉(粉状化)造粒法、流動層造粒法、押出造粒法、タンブリング(tumbling)造粒法、噴霧造粒法と、それらの装置などが挙げられる。噴霧造粒法、および噴霧造粒機が好ましく、通常の製薬方法で乾燥を実現することができる限り、乾燥方法については、特に限定されない。
【0175】
乾燥工程では、装置および手段は、通常の製薬方法で粒状製品を乾燥することができる方法であれば、どちらも特に限定されない。装置の例としては、強制空気乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、流動層造粒乾燥機などが挙げられる。
【0176】
乾燥後、必要に応じて、ふるい、Comilなどを用いてふるいにかけ、大きさに従って仕分けしてもよい。
【0177】
成形工程では、装置および手段は、本発明の経口投与用医薬組成物の成形方法である限り、どちらも特に限定されない。方法の例として、有効成分と適切な賦形剤とを造粒して乾燥させ、圧縮成形することで経口投与用医薬組成物を調製する方法、または有効成分と適切な賦形剤とを造粒し、さらに結合剤、充填剤、潤沢剤、潤滑剤、および/または酸性化剤などの1つまたは複数の粒外賦形剤と混合し、その混合物を圧縮成形することで経口投与用医薬組成物を調製する方法などが挙げられる。
【0178】
錠剤化後、経口投与用医薬組成物の表面は、フィルムコーティングされてもよい。フィルムコーティングの方法は、通常の製薬方法でコーティングを実現することができる方法であれば、特に限定されない。コーティングの例として、パンコーティング、浸漬コーティングなどが挙げられる。フィルムコーティング剤は、単独で、または2つ以上を組み合わせて適宜添加してもよい。
【0179】
コーティング率は、フィルムを形成することができる限り、特に制限されない。コーティング率は、例えば、経口投与用医薬組成物の総重量の0.5重量%~10重量%である。別の実施形態では、コーティングは、0.5重量%~5重量%の間、または2重量%~4重量%の間の重量増加をもたらす。
【0180】
フィルムコーティング中、またはフィルムコーティング後、コーティング製品を乾燥させてもよい。乾燥方法は、通常の製薬方法で乾燥を実現することができる方法であれば、特に限定されない。乾燥の条件は、例えば、経口投与用医薬組成物の安定性を考慮して適切に選択される条件であれば、特に限定されない。
【0181】
本発明により提供される医薬組成物の調製方法の具体的な実施方式は、実施例に示される。
【0182】
OAD2医薬組成物の医薬用途および/または処置方法
本発明は、さらに、医療分野におけるOAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の使用を提供する。
【0183】
いくつかの実施形態では、本発明は、GLP-1受容体を媒介する医薬品の調製のために、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の使用を提供する。
【0184】
いくつかの実施形態では、本発明は、GLP-1受容体媒介性疾患の処置または予防のための医薬品の調製のために、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の使用を提供する。
【0185】
いくつかの実施形態では、本発明は、代謝疾患および/もしくは代謝障害の処置または予防のための医薬品の調製のために、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の使用を提供し、この代謝疾患および/もしくは代謝障害は、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、その他のGLP-1受容体の活性化により利益を受ける心血管疾患、高血圧症、GLP-1受容体の活性化により利益を受ける代謝障害など、ならびに神経疾患、網膜症、腎症、および創傷治癒障害を含むが、これらに限定されない糖尿病に起因するか、または関連する合併症からなる群から選択される疾患を含むが、これらに限定されない。
【0186】
1つの具体的な実施形態として、本発明は、II型糖尿病の処置または予防のための医薬品の調製のために、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の使用を提供する。
【0187】
また、本発明は、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を、それを必要とする患者に治療有効量で投与することを含む、GLP-1受容体の媒介方法に関する。
【0188】
また、本発明は、GLP-1受容体アゴニスト媒介性疾患を処置または予防する方法であって、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を、それを必要とする患者に治療有効量で投与することを含む方法に関する。
【0189】
また、本発明は、治療有効量のOAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、代謝疾患および/もしくは代謝障害を処置または予防する方法を対象とし、この代謝疾患および/もしくは代謝障害は、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、その他の心血管疾患、高血圧症、GLP-1受容体の活性化により利益を受ける代謝障害など、ならびに神経疾患、網膜症、腎症、創傷治癒障害を含むが、これらに限定されない糖尿病に起因するか、あるいは関連する合併症を含む。
【0190】
また、本発明は、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物を、それを必要とする患者に治療有効量で投与することを含む、II型糖尿病を処置または予防する方法に関する。
【0191】
また、本発明は、GLP-1受容体アゴニストとして有用な、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物に関する。
【0192】
また、本発明は、GLP-1受容体媒介性疾患および/もしくは障害の処置または予防に用いるための、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物に関する。
【0193】
また、本発明は、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、その他の心血管疾患、高血圧症、GLP-1受容体の活性化により利益を受ける代謝障害など、ならびに神経疾患、網膜症、腎症、および創傷治癒障害からなる群を含むが、これらに限定されない、糖尿病に起因するか、または関連する合併症からなる群から選択される疾患を含むが、これらに限定されない代謝性疾患および/もしくは疾患の処置または予防に用いるための、OAD2および/またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物に関する。
【0194】
また、本発明は、II型糖尿病の処置または予防に用いるためのOAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物に関する。
【0195】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する医薬組成物の一部として、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に治療有効量で投与することによって、I型糖尿病を処置する方法を提供する。
【0196】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する医薬組成物の一部として、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に治療有効量で投与することによって肥満症を処置する方法を提供する。
【0197】
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する医薬組成物の一部として、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に治療有効量で投与することによって、胃内容排出を遅延させる方法を提供する。別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載する医薬組成物の一部として、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩をヒト対象に治療有効量で投与することによってHbA1cレベルを低減させる方法を提供する。一実施形態では、HbA1cの量を低減させる必要のある対象におけるHbA1cの量を少なくとも0.1%、または0.2%、または0.3%、または0.4%、または0.5%、または0.6%、または0.7%、または0.8%、または0.9%、または1.0%低減させることができる。さらに別の実施形態では、処置方法は、HbA1cレベルを低減させる必要のある対象におけるHbA1cレベルを7%未満まで低減させることができる。他の実施形態では、HbA1cレベルは、5%~6.5%の間のレベルまで低減され得る。
【0198】
本発明により提供される処置方法において用いられるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の用量は、疾患の進行度、疾患の重症度、対象の基礎病態などに応じて変動する可能性があり、概して、本発明の医薬組成物の適切な用量は、0.5~1000mgとすることができる。
【0199】
OAD2またはその薬学的に許容可能な塩は、投与されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり1mg~1000mgの間、または1日あたり25mg~200mg、または1日あたり25~75mg、または1日あたり50~100mg、または1日あたり75~125mg、または1日あたり100mg~150mg、または1日あたり125~175mg、または1日あたり150mg~200mg、または1日あたり75mg~150mg、または1日あたり25mg±5mg、または1日あたり30mg±5mg、または1日あたり40±5mg、1日あたり50mg±5mg、または1日あたり60mg±5mg、または1日あたり75mg±5mg、または1日あたり80mg±5mg、または1日あたり90mg±5mg、または1日あたり100mg±5mg、または1日あたり110mg±5mg、または1日あたり125mg±5mg、または1日あたり150mg±5mg、または1日あたり175mg±5mg、または1日あたり200mg±5mg、または1日あたり225mg±5mg、または1日あたり250mg±5mgとなるような用量で投与され得る。一実施形態では、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩は、投与されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり25mg±2.5mg、または1日あたり50mg±2.5mg、または1日あたり75mg±2.5mg、または1日あたり100mg±2.5mg、または1日あたり125mg±2.5mg、または1日あたり150mg±2.5mgとなるような用量で投与され得る。
【0200】
用量は、処置される対象の特定の臨床病態に基づいて臨床医によって個別化されてもよい。
【0201】
任意の特定の対象に対する特定の用量レベルは、使用される特定の化合物の活性、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食生活、投与時期、投与経路、排泄率、薬剤の組合せ、および治療を受けている特定の疾患の重症度を含む、様々な要因に応じて変わるものと理解される。
【0202】
いくつかの実施形態では、本発明のOAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物の用量は、1日あたり0.5~1000mg、または1日あたり1~500mg、1日あたり2~300mg、1日あたり5~200mg、1日あたり10~100mg、1日あたり20~50mg、または1日あたり5~20mg、1日あたり25~40mg、1日あたり45~60mg、1日あたり65~80mg、1日あたり85~100mg、1日あたり105~120mg、1日あたり125~140mg、1日あたり145~160mg、1日あたり165~180mg、1日あたり185~200mg、または1日あたり10±2.5mg、1日あたり15±2.5mg、1日あたり20±2.5mg、1日あたり25±2.5mg、1日あたり30±2.5mg、1日あたり35±2.5mg、1日あたり40±2.5mg、1日あたり45±2.5mg、1日あたり50±2.5mg、1日あたり55±2.5mg、1日あたり60±2.5mg、1日あたり65±2.5mg、1日あたり70±2.5mg、1日あたり75±2.5mg、1日あたり80±2.5mg、1日あたり85±2.5mg、1日あたり90±2.5mg、1日あたり95±2.5mg、1日あたり100±2.5mg、1日あたり105±2.5mg、1日あたり110±2.5mg、1日あたり115±2.5mg、1日あたり120±2.5mg、1日あたり125±2.5mg、1日あたり130±2.5mg、1日あたり135±2.5mg、1日あたり140±2.5mg、1日あたり145±2.5mg、1日あたり150±2.5mg、1日あたり155±2.5mg、1日あたり160±2.5mg、1日あたり165±2.5mg、1日あたり170±2.5mg、1日あたり175±2.5mg、1日あたり180±2.5mg、1日あたり185±2.5mg、1日あたり190±2.5mg、1日あたり195±2.5mg、1日あたり200±2.5mg、1日あたり205±2.5mg、1日あたり210±2.5mg、1日あたり215±2.5mg、1日あたり220±2.5mg、1日あたり225±2.5mg、1日あたり230±2.5mg、1日あたり235±2.5mg、1日あたり240±2.5mg、1日あたり245±2.5mg、1日あたり250±2.5mg、1日あたり255±2.5mg、1日あたり260±2.5mg、1日あたり265±2.5mg、1日あたり270±2.5mg、1日あたり275±2.5mg、1日あたり280±2.5mg、1日あたり285±2.5mg、1日あたり290±2.5mg、1日あたり295±2.5mg、1日あたり300±2.5mgである。
【0203】
また、本発明は、1つまたは複数の他の薬学的有効成分と組み合わせた、または結合させた、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の医薬組成物に関する。一実施形態では、本発明は、1つまたは複数の他の薬学的に有効な化合物、例えば他の抗糖尿病薬と組み合わせた、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の投与を提供する。併用療法は、有効成分ともう一方の薬学的に有効な化合物を、単一の医薬組成物内に含めることができ、ならびに同一の対象に同時にまたは当業者によって決定された時間間隔で投与される2つの別個の医薬組成物内に含めることができる。
【0204】
不純物含有量の少ない医薬組成物
本発明は、不純物の少ない、またはより少ない組成物を提供する。「不純物(impurity)」という用語は、組成物中の望ましくない物質を指す。いくつかの実施形態では、不純物の量は、初期組成物中に存在する場合、および/または組成物の一定の貯蔵寿命後に形成される場合がある。いくつかの実施形態では、組成物の1つまたは複数の成分(例えば、有効成分)の分解によって不純物が形成される場合がある。分解不純物(degradation impurities)の発生源としては、酸化、ラセミ化、可視光線、紫外線、水分、熱、pHの変化、および組成物の成分の相互作用などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0205】
いくつかの実施形態では、本発明により提供される医薬組成物中の不純物の総含有量は、組成物の調製時から組成物の貯蔵寿命まで5重量%以下であるか、または本発明により提供される医薬組成物の総不純物の質量パーセンテージは、4.8%未満、または4.7%未満、または4.6%未満、または4.5%未満、または4.4%未満、または4.3%未満、または4.2%未満、または4.1%未満、または4.0%未満、または3.9%未満、または3.8%未満、または3.7%未満、または3.6%未満、または3.5%未満、または3.4%未満、または3.3%未満、または3.2%未満、または3.1%未満、または3.0%未満、または2.9%未満、または2.8%未満、または2.7%未満、または2.6%未満、または2.5%未満、または2.4%未満、または2.3%未満、または2.2%未満、または2.2%未満、または2.1%未満、または2.0%未満、または1.9%未満、または1.8%未満、または1.7%未満、または1.6%未満、または1.5%未満、または1.4%未満、または1.3%未満、または1.2%未満、または1.1%未満、または1.0%未満、または0.9%未満、または0.8%未満、または0.7%未満、または0.6%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満、または0.09%未満、または0.08%未満、または0.07%未満、または0.06%未満、または0.05%未満、または0.04%未満、または0.03%未満、または0.02%未満である。
【0206】
いくつかの実施形態では、一定期間の貯蔵寿命後、組成物は、不純物の総量が10重量%以下である可能性がある。別の実施形態では、組成物は、不純物の総量が、約9.9重量%以下、または約9.8重量%以下、または約9.6重量%以下、または約9.4重量%以下、または約9.2重量%以下、または約9重量%以下、または約8.8重量%以下、または約8.6重量%以下、または約8.4重量%以下、または約8.2重量%以下、または約8重量%以下、または約7.8重量%以下、または約7.6重量%以下、または約7.4重量%以下、または約7.2重量%以下、または約7重量%以下、または約6.8重量%以下、または約6.6重量%以下、または約6.4重量%以下、または約6.2重量%以下、または約6重量%以下、または約5.8重量%以下、または約5.6重量%以下、または約5.4重量%以下、または約5.2重量%以下、または約5重量%以下、または約4.8重量%以下、または約4.6重量%以下、または約4.4重量%以下、または約4.2重量%以下、または約4重量%以下、または約3.8重量%以下、または約3.6重量%以下、または約3.4重量%以下、または約3.2重量%以下、または約3重量%以下、または約2.8重量%以下、または約2.6重量%以下、または約2.5重量%以下、または約2.4重量%以下、または約2.3重量%以下、または約2.2重量%以下、または約2.1重量%以下、または約2重量%以下、または約1.9重量%以下、または約1.8重量%以下、または約1.7重量%以下、または約1.6重量%以下、または約1.5重量%以下、または約1.4重量%以下、または約1.3重量%以下、または約1.2重量%以下、または約1.1重量%以下、または約1重量%以下、または約0.9重量%以下、または約0.8重量%以下、または約0.7重量%以下、または約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下、または約0.4重量%以下、または約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下、または約0.09重量%以下、または約0.08重量%以下、または約0.07重量%以下、または約0.06重量%以下、または約0.05重量%以下、または約0.04重量%以下、または約0.03重量%以下、または約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下であり得る。
【0207】
本発明は、補助原料の適合性に関する研究を通じて、組成物の不純物含有量を低減する、具体的には、分解不純物Bの含有量を低減するための技術的解決方法および技術的手段を提供する。
【0208】
いくつかの実施形態では、本発明は、医薬組成物中の補助原料の適合性を研究することにより、最終投与形態における薬剤の潜在的な非適合性を予測し、各補助材料の選択および用量をスクリーニングする。中でも、補助原料の適合性に関する研究としては、補助材料/賦形剤の選択、組成物の安定性の評価、分解生成物の特定、および相互作用のメカニズムの研究などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0209】
本発明の研究者らは、加水分解、脱水、異性化、脱離、環化、酸化、光分解効果などの、医薬組成物中の薬剤原料と補助材料/賦形剤との間の化学的相互作用、および補助材料/賦形剤間の固有反応を研究しており、上記の反応に影響を与える主な要因としては、補助材料の温度、pH、含水率、相対温度、露光量、酸素、物理的形態、および粒径などが挙げられるが、これらに限定されない。本研究は、微環境における湿気およびpH値の影響、補助材料/賦形剤とその不純物との反応、安定剤の調査などに焦点を当てている。
【0210】
いくつかの実施形態では、不純物は、例えば、温度、湿度、酸素含有量、pH、露光量などの影響を受けて、組成物の静置中に形成される。
【0211】
本発明の研究者らは、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩の強制分解実験により、有効成分の様々な不純物の異なる条件下での増殖条件を決定することにより、各不純物の考えられる形成理由をさらに分析する。下記に詳述される強制分解実験に基づき、研究者らは、不純物BがOAD2およびその薬学的に許容可能な塩の酸化または分解によって形成された不純物であると合理的に判断し、したがって、補助原料中の酸化物、過酸化物、超酸化物、およびその他の酸化物もしくは活性酸素構成成分の含有量を減少させることにより、分解不純物Bの形成または増殖を減少させることができると判断する。
【0212】
本発明はさらに、不純物Bが低レベルの医薬組成物を提供する。
【0213】
別の態様では、本発明は、補助材料/賦形剤中の活性酸素種の影響を研究することにより、組成中の不純物の含有量を効果的に制御することのできる、活性酸素種の少ない補助材料/賦形剤を含有する組成物を提供する。
【0214】
いくつかの実施形態では、組成物中に存在する不純物の濃度または量は、一定期間の貯蔵寿命後に有効成分以外の組成物の成分が分解することに少なくとも部分的に起因し得る。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命の終了時に組成物中に存在する不純物の濃度または量は、有効成分の分解に少なくとも部分的に起因し得る。いくつかの実施形態では、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の分解は、物理的ストレスまたは化学的ストレスの結果であり得る。ストレスの例としては、酸素、ROS、HPO、pH、光、加工表面、可溶性微量金属への曝露が挙げられるが、これらに限定されない。
【0215】
いくつかの実施形態では、不純物は、組成物中の補助材料の成分の影響を受ける。組成物中の補助材料の成分を最適化することにより、不純物の形成または不純物の増殖速度をある程度抑制することができる。
【0216】
いくつかの実施形態では、組成物の成分は、組成物中の不純物の形成を少なくとも部分的に阻害する濃度または量で存在してもよい。他の実施形態では、組成物は、HPOなどの活性酸素種(ROS)が低レベルの賦形剤を含み得る。
【0217】
いくつかの実施形態では、一定の貯蔵寿命後の組成物中の不純物Bの量は、0重量%超、かつ約5重量%以下とすることができる。別の実施形態では、組成物中の不純物Bの量は、0重量%かつ約4.9重量%以下、または約4.8重量%以下、または約4.7重量%以下、または約4.6重量%以下、または約4.5重量%以下、または約4.4重量%以下、または約4.3重量%以下、または約4.2重量%以下、または約4.1重量%以下、または約4重量%以下、または約3.9重量%以下、または約3.8重量%以下、または約3.7重量%以下、または約3.6重量%以下、または約3.5重量%以下、または約3.4重量%以下、または約3.3重量%以下、または約3.2重量%以下、または約3.1重量%以下、または約3重量%以下、または約2.9重量%以下、または約2.8重量%以下、または約2.7重量%以下、または約2.6重量%以下、または約2.5重量%以下、または約2.4重量%以下、または約2.3重量%以下、または約2.2重量%以下、または約2.1重量%以下、または約2重量%以下、または約1.9重量%以下、または約1.8重量%以下、または約1.7重量%以下、または約1.6重量%以下、または約1.5重量%以下、または約1.4重量%以下、または約1.3重量%以下、または約1.2重量%以下、または約1.1重量%以下、または約1重量%以下、または約0.9重量%以下、または約0.8重量%以下、または約0.7重量%以下、または約0.6重量%以下、または約0.5重量%以下、または約0.4重量%以下、または約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下、または約0.09重量%以下、または約0.08重量%以下、または約0.07重量%以下、または約0.06重量%以下、または約0.05重量%以下、または約0.04重量%以下、または約0.03重量%以下、または約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下とすることができる。
【0218】
いくつかの実施形態では、組成物調製時から貯蔵寿命までの、本発明により提供される医薬組成物中の分解不純物Bの含有量は、4質量%以下、または本発明により提供される医薬組成物の総不純物の質量パーセンテージは、4.0%未満、または3.9%未満、または3.8%未満、または3.7%未満、または3.6%未満、または3.5%未満、または3.4%未満、または3.3%未満、または3.2%未満、または3.1%未満、または3.0%未満、または2.9%未満、または2.8%未満、または2.7%未満、または2.6%未満、または2.5%未満、または2.4%未満、または2.3%未満、または2.2%未満、または2.2%未満、または2.1%未満、または2.0%未満、または1.9%未満、または1.8%未満、または1.7%未満、または1.6%未満、または1.5%未満、または1.4%未満、または1.3%未満、または1.2%未満、または1.1%未満、または1.0%未満、または0.9%未満、または0.8%未満、または0.7%未満、または0.6%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満、または0.09%未満、または0.08%未満、または0.07%未満、または0.06%未満、または0.05%未満、または0.04%未満、または0.03%未満、または0.02%未満、または0.01%未満である。
【0219】
1つの具体的な実施形態として、組成物調製時から貯蔵寿命までの、組成物中の分解不純物Bの質量パーセンテージは、0~1%に保たれる。
【0220】
好ましい実施形態では、一定の貯蔵寿命の後、不純物Bの量は、薬の投与形態の総重量に基づいて、0重量%超、かつ約1.0重量%以下である。別の好ましい実施形態では、不純物Bの量は、0重量%超、かつ25℃±2℃/60%RH±5%RH、または30℃±2℃/65%RH±5%RHにおいて12か月後に約1.0重量%以下、または30℃±2℃/65%RH±5%RHにおいて6か月後に約1.0重量%以下、または40℃±2℃/75%RH±5%RHにおいて6か月後に約1.0重量%以下である。
【0221】
いくつかの実施形態では、組成物中の不純物Bの初期の量または一定の保存期間後の量は、0重量%超、かつ約2.5重量%以下、または約2重量%以下、または約1.5重量%以下、または約1重量%以下、または約0.5重量%以下、または約0.4重量%以下、または約0.3重量%以下、または約0.2重量%以下、または約0.1重量%以下、または約0.09重量%以下、または約0.08重量%以下、または約0.07重量%以下、または約0.06重量%以下、または約0.05重量%以下、または約0.04重量%以下、または約0.03重量%以下、または約0.02重量%以下、または約0.01重量%以下とすることができる。
【0222】
1つの具体的な実施形態として、不純物Bの形成は、組成物に接近可能な酸素を減少させることで不純物Bの形成速度を鈍化させることができるような、酸素に依存したメカニズムに影響を受ける可能性がある。1つの具体的な実施形態として、活性酸素の含有量は、不純物Bの増殖速度に影響を与える。
【0223】
いくつかの実施形態では、組成物中に含まれる酸化分解生成物の濃度は、一定期間の貯蔵寿命後に組成物が物理的変化を受けないような濃度である。物理的変化の例としては、色の変化、および不溶性粒子の形成が挙げられるが、これらに限定されない。
【0224】
いくつかの実施形態では、組成物中の酸化分解生成物の形成速度および/または濃度は、組成物の他の成分によって一定の貯蔵寿命後に低減され得る。いくつかの実施形態では、組成物中の酸化分解生成物の形成速度および/または濃度は、酸化防止剤が含まれることにより低減され得る。
【0225】
1つの具体的な実施形態として、不純物Bは、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の標準物質として使用され得る。
【0226】
また、本発明は、HPOなどの、低レベルのROSを含む組成物を提供する。
【0227】
したがって、一実施形態では、有効成分を配合したいずれの賦形剤または担体材料も、1つまたは複数のHPOなどの、低レベルのROSを含み得る。一実施形態では、HPO値は、単にH2O2量の尺度としてもよい。
【0228】
一実施形態では、組成物中の全材料の合計HPO値、または組成物全体のHPO値は、200ppm未満、または190ppm未満、または180ppm未満、または170ppm未満、または160ppm未満、または150ppm未満、または140ppm未満、または130ppm未満、または120ppm未満、または110ppm未満、または100ppm未満、または90ppm未満、または80ppm未満、または70ppm未満、または60ppm未満、または50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または20ppm未満、または10ppm未満、または5ppm未満である。
【0229】
さらなる実施形態では、組成物中の全材料の合計HPO値、または組成物全体のHPO値は、20,000nmole/g未満、または19,000nmole/g未満、または18,000nmole/g未満、または17,000nmole/g未満、または16,000nmole/g未満、または15,000nmole/g未満、または12,000nmole/g未満、または11,000nmole/g未満、または10,000nmole/g未満、または9000nmole/g未満、または8000nmole/g未満、または7000nmole/g未満、または6000nmole/g未満、または5000nmole/g未満、または4000nmole/g未満、または3000nmole/g未満、または2000nmole/g未満、または1000nmole/g未満、または500nmole/g未満である。
【0230】
別の実施形態では、組成物中の全材料の合計HPO値、または組成物全体のHPO値は、10.0mEq^O2/kg未満、または9.5mEq^O2/kg未満、または9.0mEq^O2/kg未満、または8.5mEq^O2/kg未満、または8.0mEq^O2/kg未満、または7.5mEq^O2/kg未満、または7.0mEq^O2/kg未満、または6.5mEq^O2/kg未満、または6.0mEq^O2/kg未満、または5.5mEq^O2/kg未満、または5.0mEq^O2/kg未満、または4.5mEq^O2/kg未満、または4.0mEq^O2/kg未満、または3.5mEq^O2/kg未満、または3.0mEq^O2/kg未満、または2.5mEq^O2/kg未満、または2.0mEq^O2/kg未満、または1.5mEq^O2/kg未満、または1.0mEq^O2/kg未満、または0.9mEq^O2/kg未満、または0.8mEq^O2/kg未満、または0.7mEq^O2/kg未満、または0.6mEq^O2/kg未満、または0.5mEq^O2/kg未満である。
【0231】
一実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、50ppm未満、または49ppm未満、または48ppm未満、または47ppm未満、または46ppm未満、または45ppm未満、または44ppm未満、または43ppm未満、または42ppm未満、または41ppm未満、または40ppm未満、または39ppm未満、または38ppm未満、または37ppm未満、または36ppm未満、または35ppm未満、または34ppm未満、または33ppm未満、または32ppm未満、または31ppm未満、または30ppm未満、または29ppm未満、または28ppm未満、または27ppm未満、または26ppm未満、または25ppm未満、または24ppm未満、または23ppm未満、または22ppm未満、または21ppm未満、または20ppm未満、または19ppm未満、または18ppm未満、または17ppm未満、または16ppm未満、または15ppm未満、または14ppm未満、または13ppm未満、または12ppm未満、または11ppm未満、または10ppm未満である。好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または10ppm未満である。さらに好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤は、クロスポビドンであり、かつ崩壊剤のHPO値またはH2O2値は、欧州薬局方タイプA方式で測定した場合、50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または25ppm未満、または10ppm未満である。さらなる実施形態では、欧州薬局方タイプA方式は、2012年、2013年、2014年、または2015年の方式であり得る。さらに好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤は、クロスポビドンであり、かつ崩壊剤のHPO値またはH2O2値は、欧州薬局方タイプB方式で測定した場合、125ppm未満、または100ppm未満、または75ppm未満、または50ppm未満である。さらなる実施形態では、欧州薬局方タイプB方式は、2012年、2013年、2014年、2015年の方式であり得る。
【0232】
一実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、6000nmole/g未満、または5000nmole/g未満、または4900nmole/g未満、または4800nmole/g未満、または4700nmole/g未満、または4600nmole/g未満、または4500nmole/g未満、または4400nmole/g未満、または4300nmole/g未満、または4200nmole/g未満、または4100nmole/g未満、または4000nmole/g未満、または3900nmole/g未満、または3800nmole/g未満、または3700nmole/g未満、または3600nmole/g未満、または3500nmole/g未満、または3400nmole/g未満、または3300nmole/g未満、または3200nmole/g未満、または3100nmole/g未満、または3000nmole/g未満、または2900nmole/g未満、または2800nmole/g未満、または2700nmole/g未満、または2600nmole/g未満、または2500nmole/g未満、または2400nmole/g未満、または2300nmole/g未満、または2200nmole/g未満、または2100nmole/g未満、または2000nmole/g未満、または1900nmole/g未満、または1800nmole/g未満、または1700nmole/g未満、または1600nmole/g未満、または1500nmole/g未満、または1400nmole/g未満、または1300nmole/g未満、または1200nmole/g未満、または1100nmole/g未満、または1000nmole/g未満である。好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、5000nmole/g未満、または4000nmole/g未満である。さらに好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤はクロスポビドンであり、崩壊剤のHPO値は、5000nmole/g未満、または4000nmole/g未満である。
【0233】
別の実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、2.00mEq^O2/kg未満、または1.90mEq^O2/kg未満、または1.80mEq^O2/kg未満、または1.70mEq^O2/kg未満、または1.60mEq^O2/kg未満、または1.50mEq^O2/kg未満、または1.40mEq^O2/kg未満、または1.30mEq^O2/kg未満、または1.20mEq^O2/kg未満、または1.10mEq^O2/kg未満、または1.00mEq^O2/kg未満、または0.90mEq^O2/kg未満、または0.80mEq^O2/kg未満、または0.70mEq^O2/kg未満、または0.60mEq^O2/kg未満、または0.50mEq^O2/kg未満、または0.40mEq^O2/kg未満、または0.30mEq^O2/kg未満、または0.20mEq^O2/kg未満、または0.10mEq^O2/kg未満、または0.09mEq^O2/kg未満、または0.08mEq^O2/kg未満、または0.07mEq^O2/kg未満、または0.06mEq^O2/kg未満、または0.05mEq^O2/kg未満である。好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤のHPO値は、1.00mEq^O2/kg未満である。さらに好ましい実施形態では、組成物は崩壊剤を含み、崩壊剤はクロスポビドンであり、崩壊剤のHPO値は、1.00mEq^O2/kg未満である。
【0234】
前述のいずれの実施形態においても、測定されたHPOは、総HPOまたは総H2O2の測定値であり得る。さらに、HPOレベルの定量は、当業者に既知の方法を使用して達成され得る。
【0235】
一実施形態では、HPOレベルは、Gay(Gay et al.1999.Hydroperoxide assay with the ferric-xylenol orange complex“Anal.Biochem 273:149-155)に記載された方法など、酸性条件下でのFe(II)によるHPOの減少を測定する方法に従って決定することができる。
【0236】
別の実施形態では、HPOレベルは、ナカムラ(Nakamura et al.1991.“A simple assay for lipid hydroperoxides based on triphenylphosphine oxidation and high-performance liquid chromatography”Lipids 26:765-768)に記載された方法など、トリフェニルホスフィンからトリフェニルホスフィンオキシドの形成を測定する方法に従って決定することができる。
【0237】
HPOのその他の測定方法は、Wasylaschuk(Wasylaschuk et al.2007.“Evaluation of hydroperoxides in common pharmaceutical exicipents”J.Pharm.Sci.96:106-116)に記載されている。
【0238】
過酸化物(H2O2)のその他の測定方法は、欧州薬局方モノグラフに記載されている。2012年、2013年、2014年、2015年の時点で、Type A:H2O2で表される最大400ppm(400ppm以下)、Type B:H2O2で表される最大1000ppm(1000ppm以下)。
【0239】
上記のHPO測定方法のそれぞれは、参照により本明細書に援用される。
【0240】
また、本発明は、HPOなどのROSレベルが高い組成物と比較して、長期の貯蔵寿命を有し得る組成物を提供する。
【0241】
本明細書で使用される場合、「貯蔵寿命」という用語は、医学的用途に適さなくなることなく生成物を保存することができる期間を指す。医学的用途に適さない組成物の例としては、許容不可能なほど不純物が多量の組成物、ならびに/または本書に記載された物理的変化(例えば、色の変化、および/もしくは不溶性粒子の含有)があること挙げられるが、これらに限定されない。
【0242】
いくつかの実施形態では、組成物の貯蔵寿命の期間は、7日間、または11日間、または14日間、または1か月間、または2か月間、または3か月間、または4か月間、または5か月間、または6か月間、または7か月間、または8か月間、または9か月間、または10か月間、または11か月間、または12か月間、または13か月間、または14か月間、または15か月間、または16か月間、または17か月間、または18か月間、または19か月間、または20か月間、または21か月間、または22か月間、または23か月間、または24か月間、または25か月間、または26か月間、または27か月間、または28か月間、または29か月間、または30か月間、または31か月間、または32か月間、または33か月間、または34か月間、または35か月間、または36か月間、または48か月間であり得る。
【0243】
他の実施形態では、組成物の貯蔵寿命は、ROSレベルが高い同一の、または同様の組成と比較して、7日間、または11日間、または14日間、または1か月間、または2か月間、または3か月間、または4か月間、または5か月間、または6か月間、または7か月間、または8か月間、または9か月間、または10か月間、または11か月間、または12か月間、または13か月間、または14か月間、または15か月間、または16か月間、または17か月間、または18か月間、または19か月間、または20か月間、または21か月間、または22か月間、または23か月間、または24か月間、または25か月間、または26か月間、または27か月間、または28か月間、または29か月間、または30か月間、または31か月間、または32か月間、または33か月間、または34か月間、または35か月間、または36か月間、または48か月間延長され得る。
【0244】
いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、その組成物が医学的用途に不適当であることを示し得る、組成物の特定の特性を測定することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、25℃、かつ相対湿度60%での保存後、組成物中の不純物濃度を測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、37℃、かつ相対湿度65%での保存後、組成物中の不純物濃度を測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、40℃、かつ相対湿度75%での保存後、組成物中の不純物濃度を測定することによって決定され得る。いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、50℃~60℃または55℃~65℃での保存後、組成物中の不純物濃度を測定することによって決定され得る。
【0245】
いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、(長期-12か月)25℃±2℃/60%RH±5%RH、もしくは30℃±2℃/65%RH±5%RH、または(中期-6か月)30℃±2℃/65%RH±5%RH、または(加速-6か月)40℃±2℃/75%RH±5%RHで貯蔵後、組成物中の不純物濃度を測定することによって決定され得る。
【0246】
いくつかの実施形態では、貯蔵寿命は、2003年2月6日発行のICH Harmonized Tripartite Guideline:Stability Testing of New Drug Substances and Products Q1A(R2)に概説されるガイドラインを使用して組成物中の不純物濃度を測定することにより決定され得る。
【0247】
例えば、貯蔵寿命は、長期保存条件、加速保存条件、適切な場合は、中間保存条件について、これらの条件での保存後の不純物濃度を測定することによって、決定され得、組成物は、保存および流通のために提示された包装材と同一または類似の容器栓システムに包装される。
【0248】
不純物Bの識別および制御方法
有効成分の強制分解実験の結果(実施例を参照)から分かるように、酸化破壊の結果、主ピークの前に不純物が出現し、不純物と主ピークとの分離度は0.68であり、これは、主ピークからの分離度が低い不純物であった。一方、各サブ実験における酸化破壊後の主ピークの最低純度は91.6%であり、したがって、OAD2およびその薬学的に許容可能な塩は、第一に、酸化破壊への感受性が最も高く、第二に、高温破壊への感受性が高いため、酸化不純物の発生に対してさらなる制御が必要であることが分かる。
【0249】
強制分解実験における不純物の変化状況から、酸化破壊サブ実験では、酸化破壊後、不純物Bの成分の増殖が2.77に増加しており、各サブ実験において最も明白な変化成分であったので、不純物Bの分析方法を最適化し、不純物Bの限界値を低減させる必要がある。
【0250】
一方、技術者らは、上記の強制分解実験により、不純物Bが、OAD2もしくはその薬学的に許容可能な塩を酸化または分解して形成された不純物であると合理的に判断したため、酸化分解不純物Bの形成または増殖は、補助原料が含有する酸化物、過酸化物、超酸化物、および他の酸化物、あるいは活性酸素構造成分(active oxygen structural components)を減少させることによって減少させることができる。
【0251】
本発明は、構造式Bに示されるように、OAD2の関連物質、すなわち、分解不純物B、2-3(-(4-((3,4-ジクロロベンジル)オキシ)フェニル)-8-オキソ-12-(1-フェニルプロピル)-2,3,6,8,9,10-ヘキサヒドロ-7H-6,9-エピミノ[1,4]ジオキシノ[2’,3’:4,5]ベンゾ[1,2-c]アザピン-7-イル)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸のうちの1つを提供する。分解不純物Bの分子式は、C50H45Cl2N3O6であり、分子量は854.82である。
【0252】
【0253】
不純物Bの検出、分析、特性評価などについてのデータは、実施例に記載される。
【0254】
いくつかの実施形態では、不純物Bは、実施例18~24のセクションに記載されるものなどの、特定のHPLCまたはLCMS条件下で、OAD2に対する相対保持時間が0.45~0.66であることを特徴とする。一実施形態では、不純物BのHPLC相対保持時間は、OAD2に対して0.47~0.63の間である。別の実施形態では、不純物BのHPLC相対保持時間は、OAD2に対して0.55~0.64の間である。
【0255】
別の実施形態では、不純物Bは、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を酸化させる工程を含む方法により生成される生成物である。酸化する工程は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を酸化剤と混合することを含み得る。酸化剤は、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩から2つの電子、および/またはH2を除去できる任意の試薬であってもよい。酸化剤は分子状酸素(O2)、過酸化水素(H2O2)、超酸化物、次亜塩素酸塩、または有機ヒドロペルオキシド(ROOH)であってもよく、Rは、C1-C6アルキル基などの炭素原子である。一実施形態では、酸化剤は、分子状酸素である。別の実施形態では、酸化剤は、過酸化水素である。別の実施形態では、酸化剤は、3-クロロ過安息香酸(mCPBA)などの有機ヒドロペルオキシドである。
【0256】
さらなる実施形態
実施形態A-1
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩を酸化する工程を含むプロセスによって生成される化合物であって、生成された化合物が854の分子量を有することを特徴とする、化合物。
【0257】
実施形態A-2
上記化合物が、逆相液体クロマトグラフィーグラジエント移動相条件下で、OAD2に対する保持時間が0.45~0.66であることをさらに特徴とし、移動相Aが水中(v/v)で0.05%TFAを含み、移動相Bがアセトニトリル:メタノール中(1:2)(v/v)で0.05%TFAを含み、試料が、ゼロ時間(50%移動相A)から38分(99%移動相B)までのステップグラジエントを使用して行われる、実施形態A-1に記載の化合物。
【0258】
実施形態A-3
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、実施形態A-1に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、1つまたは複数の賦形剤とを含み、組成物中の実施形態A-1もしくはA-2に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩が0重量%超かつ2.5重量%未満である、組成物。
【0259】
実施形態A-4
(S)-2-(3S,8S)-3-(4-(3,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル-7-((S)-1-フェニルプロピル)-2,3,6,7,8,9-ヘキサヒドロ-[1,4]-ジオキシノ[2,3-g]イソキノリン-8-イルホルミルアミノ)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロピオン酸(OAD2)またはその薬学的に許容可能な塩と、崩壊剤とを含み、崩壊剤のHPO値が50ppm未満である、組成物。
【0260】
実施形態A-5
10重量%~40重量%のOAD2二塩酸塩、および0.1重量%~20重量%の崩壊剤を含む、実施形態A-4に記載の組成物。
【0261】
実施形態A-6
【0262】
上記崩壊剤が、クロスポビドンであり、かつ0.2重量%~10重量%の範囲に存在する、実施形態A-5に記載の組成物。
実施形態A-7
実施形態A-1もしくはA-2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含み、実施形態A-1もしくはA-2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の量が、0重量%超かつ1.0重量%未満の量で存在する、実施形態A-4に記載の組成物。
【0263】
実施形態A-8
25℃±2℃/60%RH±5%RHで24か月間の保存後、0.4重量%以下の実施形態A-1もしくはA-2に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態A-7に記載の組成物
【0264】
実施形態A-9
55℃~65℃で14日間の保存後、1重量%以下の実施形態A-1もしくはA-2に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態A-7に記載の組成物。
【0265】
実施形態A-10
10重量%~40重量%のOAD2二塩酸塩と、クロスポビドンを含む、1重量%~5重量%の崩壊剤と、0.1重量%~20重量%の結合剤と、10重量%~85重量%の充填剤と、0.25重量%~15重量%の界面活性剤と、0.1重量%~10重量%の潤滑剤と、0.1重量%~10重量%の滑沢剤と、1重量%~約50重量%の酸性化剤とを含み、実施形態A-1もしくはA-2に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含み、実施形態A-1もしくはA-2に係る化合物またはその薬学的に許容可能な塩の量が、25℃±2℃/60%RH±5%RHで24か月間の保存後、0重量%超かつ0.4重量%以下である、実施形態A-4に記載の組成物。
【0266】
実施形態A-11
錠剤またはカプセル剤の形態である、実施形態A-3~A-10のいずれかに記載の組成物。
【0267】
実施形態A-12
1~500mgの間のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を含む、実施形態A-3~A-10のいずれかに記載の組成物。
【0268】
実施形態A-13
実施形態A-3~A-10のいずれかのいずれか1つに記載の組成物を調製する方法であって、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を1つまたは複数の賦形剤と混合する工程を含む、方法。
【0269】
実施形態A-14
上記方法が、噴霧造粒プロセスである、実施形態A-13に記載の方法。
【0270】
実施形態A-15
疾病を処置する方法であって、疾病の処置を必要とするヒトに、実施形態A-3~A-10のいずれかに記載の組成物を投与する工程を含み、上記疾病が、代謝症候群、耐糖能低下、高血糖症、脂質異常症、I型糖尿病、II型糖尿病、高トリグリセリド血症、X症候群、インスリン抵抗性、耐糖能障害(IGT)、肥満症、糖尿病性脂質異常症、高脂血症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、その他の心血管疾患、高血圧症、ならびに、神経障害、網膜障害、腎障害、および創傷治癒障害を含むがこれらに限定されない糖尿病に起因する合併症からなる群から選択される、方法。
【0271】
実施形態A-16
上記疾病が、II型糖尿病である、実施形態A-15に記載の方法。
【0272】
実施形態A-17
投与されるOAD2またはその薬学的に許容可能な塩の量が、1日あたり25mg~200mgの間である、実施形態A-16に記載の方法。
【0273】
用語の定義
「有効成分(active ingredient)」という用語は、OAD2およびその薬学的に許容される塩を指す。
【0274】
「薬学的に許容可能な塩(pharmaceutically acceptable salt)」という用語は、遊離塩基を適切な有機酸もしくは無機酸と反応させるか、酸を適切な有機塩基もしくは無機塩基と反応させることによって調製される化合物の塩を指す。代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、樟脳スルホン酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストール酸塩(estolate)、エシル酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコールリラルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、マレイン酸一カリウム、粘液酸塩、ナフチル酸塩(napsylate)、硝酸塩、N-メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/重リン酸塩、ポリガラトウロン酸塩(polygalacturonate)、カリウム塩、サリチル酸塩、ナトリウム塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、3-エチルヨード化合物、トリメチルアンモニウム塩、および吉草酸塩などが挙げられる。-COOHなどの酸性の置換基が存在する場合には、アンモニウム塩、モルホリニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、カルシウム塩などが、投与形態として用いられるために形成され得る。アミノ基などの塩基性基、またはピリジルなどの塩基性ヘテロアリールラジカルが存在する場合には、塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピルビン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、桂皮酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ピクリン酸塩などの酸性塩が形成され得る。具体的な実施形態では、GLP-1Rアゴニストは塩酸塩または二塩酸塩である。
【0275】
「活性酸素(active oxygen)」という用語は、体内の酸素の一電子還元生成物の一種を指し、活性酸素は、電子が呼吸鎖から漏出し、かつ末端酸化酵素まで移動しないうちに酸素の約2%を消費することによって生成され、中でも酸素の一電子還元生成物:超酸化物陰イオン(O2-)、二電子還元生成物の過酸化水素(H2O2)、三電子還元生成物の水酸ラジカル(OH)、および一酸化窒素を含む。
【0276】
「ヒドロペルオキシド(hydroperoxides)」またはHPOという用語は、Rが炭素原子である、有機ヒドロペルオキシド(ROOH)、または過酸化水素(H2O2)であり得る。
【0277】
「活性酸素種(reactive oxygen species)」またはROSという用語には、過酸化物、ヒドロペルオキシド、HPO、超酸化物、次亜塩素酸塩および/またはギ酸が含まれる。
【0278】
「HPO値」という用語は、HPOの量を意味する。HPO値の単位は、HPO測定に用いられるアッセイに応じて、ppm、mEq^O2/kg、nmole/g、または吸収度の単位であり得る。
【0279】
「貯蔵寿命(shelf life)」という用語は、有効性が保たれるという条件で、医薬組成物を使用せずに保存できる期間を指す。医学的用途に適さない組成物の例としては、不純物レベルが許容不可能なほど高い組成物、ならびに/または色の変化、および/もしくは不溶性粒子が含まれるなど、本明細書に記載された物理的変化の存在が挙げられるが、これらに限定されない。
【0280】
「保存(storage)」という用語は、温度、露光量、相対湿度、および医薬組成物が保存されるその他の条件など、組成物が保存される条件を指す。いくつかの実施形態では、特に明記されない限り、保存は、医薬組成物を温度25±5℃、かつ相対湿度50±10%で保存することを指す。
【0281】
「組成物の質量(mass of the composition)」または「製剤の質量(mass of the preparation)」という用語は、コーティング剤を含まない錠剤芯(tablet core)の重量から算出された有効成分またはその他の薬学的に許容可能な補助材料の使用質量を指す。
【0282】
「賦形剤」という用語には、有効成分を対象に送達するための媒体として使用される任意の物質、および、例えば、その取扱い性を向上させるため、または得られる組成物を所望の形状および粘稠度を有する経口送達可能な単位用量に形成することを可能にするために有効成分に添加される任意の物質が含まれる。賦形剤には、例示としてであって限定するものではないが、希釈剤、崩壊剤、結合剤、接着剤、湿潤剤、潤滑剤、滑沢剤、後味の悪さや悪臭を弱めるか、または中和するために添加される物質、香味料、染料、投与形態の外観を改善するために添加される物質、その他経口投与形態の調製において従来用いられてきた有効成分以外の物質を含み得る。一実施形態では、賦形剤は、過酸化物の含有量が50ppm未満、または40ppm未満、または30ppm未満、または20ppm未満であってもよい。さらなる実施形態では、過酸化物の含有量は、H2O2の尺度であり得る。
【0283】
「対象」という用語は、ヒト、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ラット、イヌ、ネコなどの任意の哺乳類、ならびにチンパンジー、ゴリラ、アカゲザルなどの霊長類を指す。いくつかの実施形態では、「対象」はヒトである。そのようないくつかの実施形態にでは、「対象」は、疾患、障害、または疾病に特徴的な1つまたは複数の症状を示すヒトである。「対象」という用語は、病院、診療所、または研究施設に関して特定の資格(例えば、入院患者、研究参加者など)を有することを必要としない。具体的な実施形態では、対象は、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、または8.0%超のHbA1cレベルを有するヒトである。他の実施形態では、対象はGLP1Rアゴニストの投与を必要とするヒト対象である。必要性の性質は、治療目標によって異なる。いくつかの実施形態では、対象は、血液中の高い糖化ヘモグロビンレベル、例えば、血液中の高いHbA1cレベルを示す。いくつかのそのような実施形態では、GLP1Rアゴニストの投与は、対象のHbA1cレベルを低減させるために実施される。上記の実施形態のいずれかの他の実施形態では、対象は、II型糖尿病と一致する1つまたは複数の症状を示す。いくつかのそのような実施形態では、GLP1Rアゴニストの投与は、II型糖尿病またはI型糖尿病を処置する(これらに関連1つまたは複数の症状を処置することを含む)ために実施される。上記の実施形態のいずれかの他の実施形態では、対象は、体重増加、または場合によっては肥満症がみられる。いくつかのそのような実施形態では、GLP1Rアゴニストの投与は、体量を減らし、肥満症を処置する(これらに関連1つまたは複数の症状を処置することを含む)、または胃内容排出を遅らせるために実施される。いくつかの他の実施形態では、対象は、血糖管理不良と一致する1つまたは複数の症状を示す。そのような実施形態では、GLP1Rアゴニストの投与は、血糖管理を改善させる(これらに関連1つまたは複数の症状を処置することを含む)ために実施される。
【0284】
「投与する」または「投与」という用語は、対象に化合物または組成物を導入するなど、導入することを意味する。この用語は、特定の送達方式のいずれにも限定されるものではないが、好ましくは、経口送達を指す。さらに、投与は、例えば医療従事者(例えば、医師、看護師など)、薬剤師、または対象(すなわち、自己投与)など、様々な個人によって実施され得る。
【0285】
「処置する(treat)」あるいは「処置すること(treating)」あるいは「処置(treatment)」という用語は、病気、障害、もしくは疾病の進行を遅らせること、病気、障害、もしくは疾病を制御すること、病気、障害、もしくは疾病の発症を遅らせること、病気、障害、もしくは疾病に特徴的な1つまたは複数の症状を改善すること、病気、障害、もしくは疾病とその特徴的な症状の性質に応じて、病気、障害、もしくは疾病またはその特徴的な症状の再発を遅らせることの1つまたは複数を指すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0286】
【
図1】不純物Bの質量スペクトル(MS)図である。
【
図2】不純物Bの水素核磁気共鳴スペクトル(
1H-NMR)図である。
【
図3】不純物Bの炭素核磁気共鳴スペクトル(
13C-NMR)図である。
【
図4】不純物Bの核磁気共鳴DEPT135°スペクトル図である。
【
図5】不純物Bの核磁気共鳴炭素-水素相関スペクトル(HSQC)図である。
【
図6】不純物Bの核磁気共鳴炭素-水素遠隔相関スペクトル(HSMBC)図である。
【
図7】不純物Bの核磁気共鳴水素-水素相関スペクトル(
1H-
1H COSY)図である。
【実施例】
【0287】
具体的な実施例を参照して、本発明はさらに詳細に説明される。以下の実施例は、本発明の方法および核となる概念の理解のために提供され、実施可能ないかなる変更または代替物も、本発明の概念から逸脱することなく、本発明の保護範囲内にある。本発明の実施例における特定の条件を明示しない実験方法は、通常、従来の条件であるか、または原料製造業者もしくは製品製造者が提案する条件によるものであり、供給源を明示しない試薬は、通常、市販の従来の試薬である。
【0288】
OAD2の二塩酸塩は、特許CN102378574Aまたは関連する国際公開第2010/114824に記載された方法に従って得ることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0289】
遊離OAD2は、特許CN102378574Aまたは関連する国際公開第2010/114824に記載された方法に従って得ることができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0290】
実施例1
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、Tween、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、プレゼラチン化デンプン、およびクロスポビドンを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、素錠の硬度は、10~14kgに制御した。
【0291】
【0292】
実施例2
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、Tween、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0293】
【0294】
実施例3
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、HS15、ポロキサマー188、ポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0295】
【0296】
実施例4
製剤量のSoluPlus、およびポリビニルピロリドンを、精製水に別々に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0297】
【0298】
実施例5
製剤量のヒドロキシプロピルβシクロデキストリン、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンを、精製水に別々に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0299】
【0300】
実施例6
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、HS15、ポロキサマー188、ポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、プレゼラチン化デンプン、およびクロスポビドンを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、素錠の硬度は、10~14kgに制御した。
【0301】
【0302】
実施例7
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、RH40、ポロキサマー188、ポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、プレゼラチン化デンプン、およびクロスポビドンを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、素錠の硬度は、10~14kgに制御した。
【0303】
【0304】
実施例8
製剤量のポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンを、精製水に別々に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0305】
【0306】
実施例9
製剤量のSoluPlus、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンを、精製水にそれぞれ添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0307】
【0308】
実施例10
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、Tween、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、およびクロスポビドンを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、クロスポビドン、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、素錠の硬度は、10~14kgに制御した。
【0309】
【0310】
実施例11
ビタミンE TPGS 1000を50℃で融解し、融解したビタミンE TPGS 1000、Tween、ポロキサマー188、およびポリビニルピロリドンをそれらの製剤量に応じてそれぞれ精製水に添加した。APIを上記溶液に添加し、完全に溶解するように攪拌した。製剤量の微結晶性セルロース、乳糖、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムを流動層に移動させ、噴霧造粒を行った。調製した顆粒剤を、粒径を安定させるために40メッシュのふるいでふるいにかけ、製剤量の微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および無水クエン酸と混合し、かつ錠剤化し、ここで、錠剤の硬度は、10~14kgに制御した。
【0311】
【0312】
実施例12
OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の組成物の安定性の調査(予備スクリーニング)
実施例1~11に記載の配合、および方法に従って組成物を調製し、調製した組成物を温度25℃、かつ通常湿度の条件下に置き、開始時、1か月、2か月、および3か月での各錠剤の総質量変化をそれぞれ記録した。その結果の記録を表12.1に示す。
【0313】
【0314】
研究者らは、不純物Bが、すべての関連物質の間で唯一の貯蔵寿命不純物(shelf life impurity)であること、すなわち、不純物Bの含有量が、保存時間の延長に伴って徐々に増加することを見出した。そこで、研究者らは、不純物Bの増加状況を独立して分析した。同様に、実施例1~11の配合、および方法に従って組成物を調製し、調製した組成物を温度25℃、かつ通常湿度の条件下に置き、開始時、1か月、2か月、および3か月での医薬組成物中の不純物Bの含有量をそれぞれ記録した。その結果の記録を表12.2に示す。
【0315】
【0316】
実施例13
有効成分の強制分解実験
溶液の調製
(1)非破壊試験物溶液(undestructive test article solution):25mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を50mlの計量フラスコ内に配置した。希釈材を添加することでこれを溶解し、目盛線まで希釈し、よく振盪し、試験物溶液とした。
(2)酸で破壊した試験物溶液:25.35mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を50mlの計量フラスコ内に配置した。2mlの1mol/L塩酸を添加し、混合物を混合し、室温で24時間静置し、1mol/L水酸化ナトリウム溶液でpHを中性に調整した。希釈剤を添加することで混合物を目盛線まで希釈した。混合物をよく振盪し、酸で破壊した試験物溶液として使用した。
(3)アルカリで破壊した試験物溶液:26.64mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を50mlの計量フラスコ内に配置した。2mlの1mol/L水酸化ナトリウム溶液を添加し、混合物を混合し、室温で24時間静置し、1mol/L塩酸でpHを中性に調整した。希釈剤を添加して混合物を目盛線まで希釈した。混合物をよく振盪し、アルカリで破壊した試験物溶液として使用した。
(4)酸系ブランク:2mlの1mol/Lの水酸化ナトリウム溶液を50mlの計量フラスコ内に配置した。溶液を1mol/L塩酸溶液で中和し、その後希釈剤で目盛線まで希釈し、よく振盪することで酸系破壊ブランク溶液として使用した。
(5)酸化で破壊した試験物溶液:28.10mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を50mlの計量フラスコ内に配置した。2mlの15%過酸化水素を添加し、室温で9時間静置した。混合液を希釈剤で目盛線まで希釈した。混合物をよく振盪し、酸化で破壊した試験物溶液として使用した。
(6)酸化破壊ブランク:2mlの15%過酸化水素を50mlの計量フラスコ内に配置し、希釈剤で目盛線まで希釈し、よく振盪し、酸化破壊ブランクとして使用した。
(7)高温で破壊した試験物溶液:26.07mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を正確に計量し、50mlの計量フラスコ内に配置し、105℃の高温で72時間静置した。これを希釈剤で溶解かつ目盛線まで希釈し、よく振盪し、高温で破壊した試験物溶液として使用した。
(8)露光で破壊した試験物溶液:25.12mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を正確に計量し、50mlの計量フラスコ内に配置し、4500Lx+-500Lxの光照射下で6日間静置した。これを希釈剤で溶解かつ目盛線まで希釈し、よく振盪し、露光で破壊した試験物溶液として使用した。
(9)高湿度破壊で破壊した試験物溶液:25.71mgのOAD2またはその薬学的に許容可能な塩を50mlの計量フラスコ内に配置し、その後KNO3飽和溶液を底に配置した乾燥機(湿度は92.5%)に計量フラスコを入れ、5日間静置した。これを希釈剤で目盛線まで溶解かつ希釈し、よく振盪し、高湿度破壊で破壊した試験物溶液として使用した。
(10)破壊しない、高温破壊しない、高湿度破壊しない、かつ光照射破壊しないブランク溶液:希釈剤
【0317】
測定方法は、以下の通りである。上記溶液(1)~(10)のそれぞれ2μlを液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。このうち、強制分解実験の結果を表13.1に、強制分解後の各種不純物成分の変化の結果を表13.2に示す。
【0318】
【0319】
【0320】
【0321】
強制分解実験の結果から、酸化破壊により主ピークの前に不純物が出現し、不純物と主ピークの分離度は0.68であり、主ピークからの分離度が小さい不純物がもたらされたことを見出した。一方、各サブ実験における酸化破壊後の主ピークの最低純度は91.6%であったため、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩は、第一に酸化破壊への感度が最も高く、第二に高温破壊に感度が高いことが判明したため、酸化および破壊から発生する不純物に対するさらなる制御を行うことが必要である。
【0322】
強制分解実験における不純物の変化状況から、酸化破壊サブ実験では、酸化破壊後、不純物Bの成分の増殖が2.77に増加しており、各サブ実験において最も明白に変化した成分であったので、不純物Bの分析方法を最適化し、不純物Bの限界値を低減させる必要がある。
【0323】
一方、技術者らは、強制分解実験により、不純物Bが、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩を酸化または分解して形成された不純物であると合理的に判断したため、酸化分解不純物Bの形成または増殖は、補助原料に含まれる酸化物、過酸化物、超酸化物、および他の酸化物、あるいは活性酸素構造成分(active oxygen structural components)を減少させることによって減少させることができる。OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の医薬製剤への改良として、研究者らは、過酸化物の含有量が少ない可溶化剤および崩壊剤が、酸化分解不純物Bの形成を低減させることを見出した。
【0324】
実施例14
酸化分解不純物Bの特性評価
1.MS:
器械方式:Agilent Q-TOF-6545A、
試験条件:ESI源;
分子式:C50H45Cl2N3O6
理論分子量:854.2758([M+H]+)
高分解能質量分析による測定:M/Z=854.2771
2.NMR:
器械方式:Bruker AVANCE III HD 500MHz、
測定方法:一定量の酸化分解不純物B(バッチ番号:RD 181112)を計量し、DMSO-d6に溶解し、1H-NMR、13C-NMR、DEPT135°、HSQC、HMBC、1H-1H COSYを測定した。
【0325】
表14.1は、不純物Bの1H-NMR、および1H-1H COSYのスペクトルデータを列挙し、表14.2は、不純物Bの13C-NMR、DEPT135°、HSQC、およびHMBCのスペクトルデータを列挙する。
【0326】
【0327】
【0328】
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
不純物Bの質量スペクトルは、ESI源の正イオン検出モードを採用し、C50H45Cl2N3O6に対応する分子量と一致する、試料[M+H]+854.2771のピークを得た。試料の分子構造をNMRによってさらに確認した。水素スペクトル(1H-NMR)、および炭素スペクトル(13C-NMR、DEPT135°)は、試料分子が、水素原子(活性水素なし)44個と炭素原子50個とを有することを示し、2次元相関スペクトル(1H-1H COSY、HSQC、HMBC)の観点から、カルボニル基2個、1,4-二置換ベンゼン環フラグメント2個、一置換ベンゼン環フラグメント1個、1,3,4-三置換ベンゼン環フラグメント1個、1,2,4,5-四置換ベンゼン環フラグメント1個、および1,2,3,4-三置換ピリジン環フラグメント1個が分子内に存在すると判断でき、種々のフラグメントの接続モードは試料のOAD2前駆体の構造と2次元相関スペクトルから判断でき、H-24(δ H5.467,s,1H)およびC-25(δ C173.53,s)関連シグナル、ならびにH-26(δ H4.842,dd,J=10.3,5.4Hz,1H)およびC-24(δ C74.19,d)関連シグナルが、HMBCで観察でき、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩のC-24’のメチレンが酸化され、C25’-NH-と結合することで、4-イミダゾリジノン環構造フラグメントを形成し、その結果、酸化分解不純物Bである、2-3(-(4-((3,4-ジクロロベンジル)オキシ)フェニル)-8-オキソ-12-(1-フェニルプロピル)-2,3,6,8,9,10-ヘキサヒドロ-7H-6,9-エピミノ[1,4]ジオキソノ[2’,3’:4,5]ベンゾ[1,2-c]アゼピン-7-イル)-3-(4-(2,3-ジメチルピリジン-4-イル)フェニル)プロパン酸が得られることがわかる。
【0333】
【0334】
図1~7は、上述の質量分析に対応する分析スペクトルを列挙する。
【0335】
実施例15
OAD2またはその薬学的に許容可能な塩もしくは関連物質の分析方法
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(実施例1~17について):
クロマトグラフィーの条件およびシステム適応性試験:充填剤として、アミドヘキサデシルシリカゲル(Supelco Ascentis Express RP-Amide、3.0mm×150mm、2.7μm)、移動相Aは水中で0.05%トリフルオロ酢酸(V/V)、移動相Bはアセトニトリル中で0.05%トリフルオロ酢酸-メタノール中で0.05%トリフルオロ酢酸(1:2、V/V)、流速は0.5ml/分、カラム温度は50℃、検出波長は280nm、試料注入トレイの温度は5℃、かつ理論プレート数は、OAD2または薬学的に許容可能な塩のピークに応じて計算した5000以上であった。移動相のグラジエントを表15に示す。
【0336】
【0337】
測定方法:適量のOAD2またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその関連物質を250mlの計量フラスコ内に配置した。適量の希釈剤(0.05%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液:0.05%トリフルオロ酢酸水溶液=60:40(V/V))を添加し、混合物を30分間超音波処理にかけることで、OAD2またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその関連物質を溶解させた。溶液を冷却し、希釈剤で目盛線まで希釈し、よく振盪し、濾過した。2mlの後続の濾液を正確に計量し、20mlの計量フラスコ内に配置し、希釈剤を添加することで目盛線まで希釈し、よく振盪することで試験物溶液として使用した。5μlの試験物溶液を正確に計量し、液体クロマトグラフに注入し、クロマトグラムを記録した。別途、OAD2または薬学的に許容可能な塩の適量の標準物質を正確に計量し、これを一定量に溶解希釈するために希釈剤を添加することで、OAD2または薬学的に許容可能な塩の量が試験物溶液と等しい溶液を調製した(有効成分C50H47Cl2N3O6で計算)。両者を同じ方法で測定し、外部標準法に従ってピーク面積を計算した。
【0338】
実施例16
OAD2またはその薬学的に許容可能な塩の組成物の安定性実験(優先検証)
【0339】
実施例1~11における各成分配合の医薬組成物のスクリーニング、実施例12における安定性実験、ならびに総不純物含有量および不純物B含有量のスクリーニングを通じて、さらに、好ましい組成物は、実施例4と実施例5であると判定する。さらに、研究者らは、実施例4および実施例5の組成物の配合における関連物質の状況を測定した。
【0340】
それぞれの医薬製剤を、実施例4と実施例5にそれぞれ対応する配合比率および調製方法に従って調製した。製剤を異なる保存条件下に置き、計画に従って不純物Bの含有量、および製剤中の不純物の総含有量を検出した。実施例4の具体的な安定性実験結果を表16.1および16.2に示す。実施例5の具体的な安定性実験結果を表16.3および16.4に示す。
【0341】
【0342】
【0343】
【0344】
【0345】
【0346】
表16.1~16.4からわかるように、好ましい実施例4および実施例5に対応する組成物は、良好な配合安定性を有し、室温で安定に保存可能である。不純物Bは、時間とともに含有量が増加する唯一の不純物である。製剤中の可溶化剤および崩壊剤の最適化の後、その増殖速度は適切に制御され、その結果、総不純物量も適切に制御されている。
【0347】
実施例17
不純物Bの調製方法
22gの遊離OAD2、および350mlのジクロロメタンを500mlの反応瓶に充填し、混合物を攪拌することで溶解させた。100mlの水を添加し、系が濁った。7gのTEMPOを添加した。15分間攪拌した後、20gのヨードベンゼン二酢酸を数回に分けて添加し、反応物を20℃で2時間、完了するまで反応させた。反応液を15%チオ硫酸ナトリウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄した。反応液を無水硫酸ナトリウムで15分間乾燥させ、濾過することで乾燥剤を除去し、減圧下で濃縮することで、粗不純物Bを得た。
【0348】
粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、酢酸エチル/石油エーテル混合系で2時間スラリー化し、濾過し、オーブン乾燥させることで、オフホワイトの固形物8gを得た。
【0349】
実施例18
強制分解試験No.2
試験群1~6の試料調製
12.90mgのOAD2 2HClをアセトニトリル:水(70:30)に溶解し、最終容量25mL(0.442mg/mL)となるようにストック溶液を調製した。試験群1および試験群2については、2mLのストック液と2mLの水を混合することにより、試液を調製した。試験群3および試験群4については、2mLのストック液と、2mLの0.1N HCl溶液を混合することにより、試液を調製した。試験群5および試験群6については、2mLのストック液と、2mLの0.1N NaOH溶液を混合することにより、試液を調製した。試験群1、3、および5(室温)をアルミホイルで包んで遮光した。
【0350】
試験群7~8の試料調製
5.37mgのOAD2 2HClをアセトニトリル:水(40:60)に最終容量10mL(0.46mg/mL)となるように溶解することにより、ストック溶液を調製した。試験群7については、2mLのストック溶液と、2mLの3%H2O2水溶液を混合することにより、試液を調製した。試験群8については、5.58mg~5.64mgのOAD2 2HClをアセトニトリル:水(40:60)に最終容量25mLとなるように溶解することにより、試液を調製した。
【0351】
各試験群の試料を室温または60℃で保存し、以下の表に示した期間の経過後に観察した。
【0352】
【0353】
試験群7を除き、これらの強制分解研究のいずれにおいても、HPLC分析による不純物の著しい増殖および有効成分の損失は見られなかった。試験群7では、90分後、関連する有効成分の10%損失とともに、不純物の有意な増殖が見られた。さらに、HPLC分析により、最大の不純物は、不純物Bと一致する相対保持時間を有していた。
【0354】
HPLC条件(実施例18~24の場合)
分析(無水ベース)
検証済みの逆相液体クロマトグラフィーグラジエント法を適用することで、アッセイ(有効成分の含有量)を決定した。使用したカラムは、Supelco Ascentis Express RP-Amide、150×3.0mm、2.7μまたは同等のカラムであった。移動相Aは、水中で0.05%TFA(v/v)を含む。移動相Bは、アセトニトリル:メタノール(1:2)中に0.05%TFA(v/v)を含む。試料を、時間ゼロ(50%移動相A)~38分(99%移動相B)のステップグラジエントを使用して実行した。標準液および試料の溶解に用いた希釈剤は、アセトニトリルと水との60:40混合物であった。UV検出器を用いて、クロマトグラフィーのピークを280nmで検出した。既知濃度の試料製剤のピーク面積、および既知濃度の標準製剤から得られるピーク面積で表される、ピーク応答を比較することにより、アッセイ値を得た。
上述のアッセイ手順を用いて不純物を定量した。この方法では、面積標準化の手法を利用することで、各不純物のパーセントレベルを決定した。
【0355】
実施例19
比較製剤1(「製剤CF1」)の調製
以下の工程を用いて75mgの有効成分を有する錠剤を調製した。個々の成分の量を以下の表19.2に示す。
工程1.ポリソルベート80、ビタミンE TPGS、ポロキサマー188、およびコポビドンを、オーバーヘッドスターラーを用いて溶解するまで一定量の水に溶解した。水の量は、(ポリソルベート80/ビタミンETPGS/ポロキサマー188/コポビドンの組合せ重量の)50~100重量%の間と等しくしてもよい。水を50℃に加温することで溶解速度を上げた。
工程2.OAD2二塩酸塩を、上記ポリソルベート80/ビタミンE TPGS/ポロキサマー188/コポビドン溶液に添加し、溶解するまで混合した。
工程3.微結晶性セルロース、プレゼラチン化デンプン、およびクロスポビドンをふるい#20に通し、流動層乾燥機に充填し、混合した。
工程4.工程2の溶液を工程3の混合物に噴霧することで噴霧顆粒を形成した。
工程5.噴霧顆粒を粉砕し、#40スクリーンに通した。
工程6.噴霧顆粒材料中のOAD2二塩酸塩の力価を判定し、1錠あたり75mgの必要な力価が得られるようにすべての粒外材料を調整した。
工程7.コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、クロスポビドン、およびクエン酸を、別個のポリエチレン袋で#30スクリーンに通した。
工程8.スクリーニングした顆粒、およびスクリーニングした工程6の賦形剤を、Vシェルブレンダーに充填し、15~20分間混合した。
工程9.等量の混合物を、ポリエチレン袋内のスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムに充填し、数分間混合した。
工程10.スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムをVシェルブレンダーに充填し、数分間混合した。
工程11.粉末を取り出し、75mgのOAD2二塩酸塩、および約620~640mgの錠剤総重量を有する錠剤に圧縮した。
工程12.圧縮後、錠剤を、Opadry II white 85F18422を用いて3%の重量増加となるようにコーティングした。
【0356】
【0357】
製剤CF1に用いられたクロスポビドンのロットに関する製造業者の分析証明書では、H2O2で表される過酸化物レベルは、Ph.Eur.の“Crospovidone”Type A 第8版、USP37/NF32、日本薬局方第16版 補足1に記載されたプロセスで測定された場合、58ppmであることが示された。クロスポビドンのこのバッチについて、NF 33モノグラフの方法を用いて独立した分析を行い、CF1製剤で使用する前に、H2O2のアッセイは、吸収度0.35がH2O2の400ppmに相当する、適切な補正液(compensation liquid)0.13に対する吸収度を示した。吸収度0.13は、Ph.EurのType Aにおける、H2O2の約148ppmに変換される。
【0358】
【0359】
実施例20
製剤CF1の安定性研究
製剤CF1の3つの別々のバッチ(バッチ1、バッチ2、およびバッチ3)の錠剤を、ICH条件に従ってPVC/アルミホイルブリスターに包装し、製剤CF1の錠剤を、5℃、25℃/60%相対湿度(RH)、および40℃/75%RHで安定性プログラムに置いた。
【0360】
様々な保存条件下での、バッチ1、バッチ2、およびバッチ3のそれぞれにおける不純物Bの経時的な増殖を表20.1、表20.2、および表20.3に示す。
【0361】
表20.1-A、表20.2-A、表20.3-Aは、保持時間がOAD2二塩酸塩の保持時間に比例する、様々な保存条件下での3か月後の各バッチにおける不純物の完全なリストを示し、不純物Bは太字で強調されている。表20.1-A、表20.2-A、および表20.3-Aの時間ゼロ(初期)における不純物Bの相対保持時間は0.56~0.60である。アッセイでは、本明細書に記載される高速液体クロマトグラフィー法を用いた。
【0362】
表中の記号「-」は、データが収集されなかった時点を示す。
【0363】
【0364】
【0365】
【0366】
【0367】
【0368】
【0369】
実施例21
比較製剤2(「製剤CF2」)の調製
以下のプロセスを用いて、100mgの有効成分を含む錠剤を調製した。100mgの有効物質を含む錠剤を調製するためのプロセス。個々の成分の量を以下の表21.2に示す。
工程1.ポリソルベート80、ビタミンE TPGS、およびコポビドンを、オーバーヘッドスターラーを用いて溶解するまで一定量の水に溶解した。水を50℃に加温することで溶解速度を上げた。
工程2.OAD2二塩酸塩を、上記ポリソルベート80/ビタミンE TPGS/コポビドン溶液に添加し、溶解するまで混合した。
工程3.微結晶性セルロース、プレゼラチン化デンプン、およびクロスポビドンをふるい#30に通し、流動層乾燥機に充填し、混合した。
工程4.工程2の溶液を工程3の混合物に噴霧することで噴霧顆粒を形成した。
工程5.噴霧顆粒を粉砕し、#40スクリーンに通した。
工程6.噴霧顆粒材料中のOAD2二塩酸塩の力価を判定し、1錠あたり100mgの必要な力価が得られるようにすべての粒外材料を調整した。
工程7.コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、クロスポビドン、ポロキサマー188、およびクエン酸を、別個のポリエチレン袋で#30スクリーンに通した。
工程8.スクリーニングした顆粒、およびスクリーニングした工程6の賦形剤を、Vシェルブレンダーに充填し、15~20分間混合した。
工程9.等量の混合物を、ポリエチレン袋内のスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムに充填し、数分間混合した。
工程10.スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムをVシェルブレンダーに充填し、数分間混合した。
工程11.粉末を取り出し、100mgのOAD2二塩酸塩、および約820~840mgの錠剤総重量を有する錠剤に圧縮した。
【0370】
【0371】
製剤CF2に用いられたクロスポビドンのロットに関する製造業者の分析証明書では、H2O2で表される過酸化物レベルは、Ph.Eur.の“Crospovidone”第6版、補足6.3(Type A)USP32/NF37、JPE2004に記載されたプロセスで測定された場合、50mg/kg(またはppm)であることが示された。製剤CF2での使用に先立ち、2013年時点の欧州薬局方(TypeA)における方法を用いて、クロスポビドンの同バッチについて独立した分析を行い、H2O2の量が400ppm以下であることを見出した。
【0372】
【0373】
実施例22
製剤CF2の安定性研究
製剤CF2のバッチの錠剤を、表22.1に示す条件下、かつ時点下で安定性プログラムに置いた。錠剤を、75ccの高密度ポリエチレン瓶にレーヨンコイルおよび乾燥剤とともに包装し、蓋をした。
【0374】
表22.1-Aおよび22.1-Bは、保持時間がOAD2二塩酸塩の保持時間に比例する、様々な保存条件下での3、12、および24か月後の製剤CF2のバッチにおける不純物の完全なリストを示し、不純物Bは太字で強調されている。表22.1-Aおよび22.2-Bの、不純物Bの時間ゼロ(初期)における相対保持時間は0.56である。アッセイでは、本明細書に記載される高速液体クロマトグラフィー法を用いた。
【0375】
表中の記号「-」は、データが収集されなかった(ND)時点を示す。
【0376】
【0377】
【0378】
【0379】
【0380】
実施例23
低過酸化物製剤(「製剤LPO」)の調製
以下のプロセスを用いて、75mgまたは150mgの有効成分を含む錠剤を調製した。個々の成分の量を以下の表23.1に示す。製剤LPOと、製剤CF1およびCF2との間の最も顕著な違いは、使用したクロスポビドンの等級である。製剤LPOは、その製品仕様書によれば、最大30ppmの過酸化物(H2O2)を有する等級のクロスポビドン(Ashland ChemicalのPolyplasdone TM Ultra)を使用し、製剤LPOは、9.2ppmという低いH2O2レベルを有し得る(Pharmaceutical Technology Report(PTR-097),Ashland Specialty Ingredients“Utility of Polyplasdone TM crospovidone as a Superdisintegrant”pp.1-5(2014)を参照)。上記の実施例19に記載されるように、製剤CF1に用いられるクロスポビドンのH2O2レベルは、148ppmである。上記の実施例21に記載されるように、製剤CF2に用いられるクロスポビドンのH2O2レベルは、少なくとも50ppm、かつ400ppm以下である。
工程1.ポリソルベート80、ビタミンE TPGS、ポロキサマー188、およびコポビドンを、オーバーヘッドスターラーを用いて溶解するまで一定量の水に溶解し、溶解速度を上げるために50℃に加温する場合もあった。
工程2.OAD2二塩酸塩を、上記ポリソルベート80/ビタミンE TPGS/ポロキサマー188/コポビドン溶液に添加し、溶解するまで混合した。
工程3.微結晶性セルロース、およびプレゼラチン化デンプンをふるい#30に通し、流動層乾燥機に充填し、混合した。
工程4.工程2の溶液を工程3の混合物に噴霧することで噴霧顆粒を形成した。
工程5.噴霧顆粒をスクリーニングし、#40スクリーンに通した。
工程6.噴霧顆粒材料中のOAD2二塩酸塩の力価を判定し、各錠剤に必要な力価が得られるようにすべての粒外材料を調整した。
工程7.コロイド状二酸化ケイ素、微結晶性セルロース、Polyplasdone Ultra、およびクエン酸を、別個のポリエチレン袋で#30スクリーンに通した。
工程8.スクリーニングした顆粒、およびスクリーニングした工程6の賦形剤を、Vシェルブレンダーに充填し、15~20分間混合した。
工程9.等量の混合物を、ポリエチレン袋内のスクリーニングしたステアリン酸マグネシウムに充填し、数分間混合した。
工程10.スクリーニングしたステアリン酸マグネシウムをVシェルブレンダーに充填し、数分間混合した。
工程11.粉末を取り出し、次の規格を有する錠剤に圧縮した。総重量:500mg、OAD2二塩酸塩150mg、総重量:250mgにOAD2二塩酸塩75mg。
工程12.圧縮後、錠剤をOpadry IIを用いてコーティングした。
【0381】
【0382】
【0383】
実施例24
製剤CF2およびLPOの安定性研究
製剤CF2のバッチ、および製剤LPOのバッチの錠剤を、55~60℃の強制分解条件下、オープンディッシュ内に配置し、不純物Bを含む不純物の増殖を研究した。
【0384】
表24.1および表24.2は、これらの条件、ならびに示された時点における不純物Bの増殖をまとめている。表24.1-Aおよび表24.2-A、は、保持時間がOAD2二塩酸塩の保持時間に比例する、これらの保存条件下での示された時点の各バッチにおける不純物の完全なリストを示し、不純物Bは太字で強調されている。表24.1-Aおよび24.2-Aの、時間ゼロ(初期)における不純物Bの相対保持時間は、0.47または0.59である。アッセイでは、本明細書に記載される高速液体クロマトグラフィー法を用いた。
【0385】
表中の記号「-」は、データが収集されなかった(ND)時点を示す。
【0386】
【0387】
【0388】
【0389】
【0390】
上述の実施例は、本発明の方法、および核となる概念を理解するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではない。当業者にとって、本発明の概念から逸脱することなく実施可能ないかなる変形例または代替例も、本発明の保護範囲内である。
【国際調査報告】