(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-27
(54)【発明の名称】頭部衝突性能を向上させた車両内装システム用の曲げ自在性ガラス物品
(51)【国際特許分類】
B60K 37/00 20240101AFI20240919BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240919BHJP
【FI】
B60K37/00 A
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504821
(86)(22)【出願日】2022-07-21
(85)【翻訳文提出日】2024-03-21
(86)【国際出願番号】 US2022037773
(87)【国際公開番号】W WO2023009370
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】バダー,アメイ ガンパット
(72)【発明者】
【氏名】キスター,エヴァン グレイ
(72)【発明者】
【氏名】ミーナクシ サンダラム,バラムルガン
(72)【発明者】
【氏名】カラウシュ,ユスフ カイエド
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート,ジェイソン スコット
【テーマコード(参考)】
3D020
3D344
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BB01
3D020BC03
3D020BD05
3D344AA01
3D344AB01
3D344AC04
(57)【要約】
車両内装システム用のガラス物品の実施形態を開示する。ガラス物品は、第1の側と第2の側とを有するガラス板を備える。第1のフレームが、ガラス板の第1の側に配置され、第2のフレームが、ガラス板の第2の側に配置される。第1のフレームと第2のフレームとの間には、マンドレルが配置される。マンドレルは、少なくとも150Pa・m3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm3の密度を有する。ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなす。第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面と、該第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、
前記ガラス板の前記第1の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第1のフレームと、
前記ガラス板の前記第2の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第2のフレームと、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置されたマンドレルであって、少なくとも150Pa・m
3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm
3の密度を有するマンドレルと、
を備える、車両内装システム用のガラス物品であって、
前記ガラス板の前記第2の側が、前記マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動し、
前記第1の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第1の角度をなし、前記第2の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第2の角度をなし、前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる角度である、ガラス物品。
【請求項2】
前記曲げ剛性が最大1000Pa・m
3までであり、前記密度が少なくとも1g/cm
3である、請求項1に記載のガラス物品。
【請求項3】
前記マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項4】
前記マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項5】
前記ガラス物品が、前記第2のフレームに接続されたアクチュエータアームをさらに備え、
前記第2のフレームが、前記マンドレルに隣接する近位端と、前記マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、
前記アクチュエータアームが、前記ガラス板を前記第1の配置と前記第2の配置との間で回動させるように構成されている、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項6】
前記第2のフレームが、前記近位端と前記遠位端との間の中間点を有しており、
前記アクチュエータアームが、前記第2のフレームの該中間点から前記遠位端までの範囲の位置に接続されている、請求項5に記載のガラス物品。
【請求項7】
前記ガラス物品が、前記ガラス板と前記第1のフレーム及び前記第2のフレームとの間に配置された金属裏当て板をさらに備え、
該金属裏当て板が、前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間に薄肉部を有する、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項8】
前記ガラス物品が、
前記ガラス板と前記第1のフレーム及び前記第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、
をさらに備え、
前記第2の金属裏当て板と前記第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、該隙間は、前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の位置に設けられる、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項9】
前記第1のフレームが第1の厚さを有し、前記第2のフレームが前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有し、
前記第1のフレームが第1の密度を有し、前記第2のフレームが前記第1の密度より小さい第2の密度を有する、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【請求項10】
前記ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、前記ガラス板の前記マンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがなく、
前記人頭模型衝突試験後に前記ガラス板が割れていない、請求項1又は2に記載のガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2021年7月28日を出願日とする米国仮特許出願第63/226263号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この仮出願のすべての開示内容は、本明細書の依拠するところとし、参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、ガラス物品に関し、より詳細には、人頭模型(headform)加速度とガラスにかかる最大主応力とを低減するように構成された車両内装システム用の曲げ自在性ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
車両の内装には、様々なディスプレイ画面が含まれている。これまで、このようなディスプレイ画面を車両全体の美的意匠に融合させようという努力がなされてきた。その過程で、ダッシュボードなどの連続面にディスプレイを組み入れる試みが行われている。さらに、美的意匠と機能性を共に高めるため、ガラスを利用してこのような連続面を形成することも行われてきた。しかし、ガラスを採用した場合、自動車産業において多大な時間をかけて進化してきたプラスチック、金属、複合材料などの他の従来材料を採用する場合に比べて、設計上の課題が増えてしまう。
【発明の概要】
【0004】
一態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のガラス物品に関する。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するガラス板を備える。さらに、ガラス板は、第1の側と第2の側とを有する。1つ以上の実施形態において、第1のフレームが、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置され、第2のフレームが、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置される。1つ以上の実施形態において、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上にマンドレルが配置される。かかる1つ以上の実施形態では、マンドレルは、少なくとも150Pa・m3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm3の密度を有する材料で作られる。1つ以上の実施形態において、ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなす。1つ以上の実施形態において、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0005】
他の態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のガラス物品に関する。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するガラス板を備える。さらに、ガラス板は、第1の側と第2の側とを有する。1つ以上の実施形態において、第1のフレームが、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置される。1つ以上の実施形態において、第2のフレームが、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置される。1つ以上の実施形態において、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上にマンドレルが配置される。1つ以上の実施形態において、アクチュエータアームは第2のフレームに接続され、ガラス板の第2の側は、アクチュエータアームの作動により、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。1つ以上の実施形態において、第2のフレームは、マンドレルに隣接する近位端と、マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有する。1つ以上の実施形態において、アクチュエータアームは、遠位端と近位端との中間位置又は遠位端により近い位置に配置される。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなす。1つ以上の実施形態において、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0006】
さらに他の態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のガラス物品に関する。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するガラス板を備える。さらに、ガラス板は、第1の側と第2の側とを有する。1つ以上の実施形態において、第1のフレームが、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置され、第2のフレームが、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置される。複数の実施形態において、1枚以上の金属裏当て板が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置される。かかる実施形態では、1枚以上の金属裏当て板は、第1のフレームと第2のフレームとの間に第1の厚さを有する領域を画定し、第1の厚さは、1枚以上の金属裏当て板が当該領域の外部に画定する第2の厚さよりも小さい。1つ以上の実施形態において、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上にマンドレルが配置される。かかる実施形態では、ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなす。1つ以上の実施形態において、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0007】
また、さらに他の態様によれば、本開示の実施形態は、車両内装システム用のガラス物品に関する。1つ以上の実施形態において、ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するガラス板を備える。さらに、ガラス板は、第1の側と第2の側とを有する。1つ以上の実施形態において、第1のフレームが、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置される。かかる1つ以上の実施形態では、第1のフレームは、第1の厚さを有するとともに、第1の密度及び第1の構造を有する第1の材料で構成されている。さらに、かかる1つ以上の実施形態では、第2のフレームが、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置され、第2のフレームは、第1の厚さよりも小さい第2の厚さ、及び第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料、及び第1の構造とは異なる第2の構造を有する第1の材料、のうちの少なくとも1つを有している。1つ以上の実施形態において、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上にマンドレルが配置される。かかる1つ以上の実施形態では、ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなす。1つ以上の実施形態において、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0008】
以下の詳細な説明において、さらなる特徴及び利点の説明を行う。下記のさらなる特徴及び利点は、当業者であれば、ある程度はその説明からただちに理解するであろうし、あるいは、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面を含む本明細書に記載の実施形態を実施することによって理解するであろう。
【0009】
上述の概略的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、例示的なものに過ぎず、特許請求の範囲に記載の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図するものであることを理解されたい。添付の図面は、理解をより深めるために付するものであり、本明細書に組み込まれ、その一部をなすものとする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成するものであり、以下の詳細な説明とともに本発明の原理を説明するためのものである。
【
図1】例示的な実施形態に係る、車両のダッシュボードにリビングヒンジを有するガラス物品が一体化された車両内装を示す図
【
図2】例示的な実施形態に係る、
図1のガラス物品を示す図
【
図3】例示的な実施形態に係る、リビングヒンジを有するガラス物品を示す簡略側面図
【
図4】例示的な実施形態に係る、
図3に示すガラス物品の後面図
【
図5A】例示的な実施形態に係る、様々な質量のマンドレルに対して行った人頭模型衝突試験に関するシミュレーション及び実験の設定を示す図
【
図5B】例示的な実施形態に係る、様々な質量のマンドレルに対して行った人頭模型衝突試験に関するシミュレーション及び実験の設定を示す図
【
図5C】例示的な実施形態に係る、様々な質量のマンドレルに対して行った人頭模型衝突試験に関するシミュレーションデータを示す図
【
図5D】例示的な実施形態に係る、様々な質量のマンドレルに対して行った人頭模型衝突試験に関する実験データを示す図
【
図6A】例示的な実施形態に係る、曲げ領域を局所的に肉薄とした裏当て板を示す図
【
図6B】例示的な実施形態に係る、曲げ領域を局所的に肉薄とした裏当て板を示す図
【
図6C】例示的な実施形態に係る、曲げ領域を局所的に肉薄とした裏当て板に関連する最大主応力シミュレーションに関するデータを示す図
【
図6D】例示的な実施形態に係る、曲げ領域を局所的に肉薄とした裏当て板に関連する最大主応力シミュレーションに関するデータを示す図
【
図7A】例示的な実施形態に係る、固定側に比べて自由側の質量を小さくしたガラス物品を示す図
【
図7B】例示的な実施形態に係る、固定側に比べて自由側の質量を小さくしたガラス物品を示す図
【
図7C】例示的な実施形態に係る、固定側に比べて自由側の質量を小さくしたガラス物品に関連する最大主応力に関するデータを示す図
【
図8A】例示的な実施形態に係る、ガラス物品の自由側における種々のブラケット取り付け位置を示す図
【
図8B】例示的な実施形態に係る、人頭模型衝突試験時に、各取り付け位置でブラケットを取り付けた場合のピーク加速度に関するデータを示す図
【
図8C】例示的な実施形態に係る、人頭模型衝突試験時に、各取り付け位置でブラケットを取り付けた場合のガラスにかかる最大主応力に関するデータを示す図
【
図9A】ブラケット取り付け位置がマンドレルに近すぎるガラス物品と、その場合に生じる過度の曲げを示す図
【
図9B】ブラケット取り付け位置がマンドレルに近すぎるガラス物品と、その場合に生じる過度の曲げを示す図
【
図10A】例示的な実施形態に係る、ブラケット位置及びブラケット剛性に基づく、人頭模型衝突試験時のピーク加速度を示す図
【
図10B】例示的な実施形態に係る、ブラケット位置及びブラケット剛性に基づく、人頭模型衝突試験時にガラス板にかかる最大主応力を示す図
【
図11A】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、平らな配置で人頭模型衝突試験を行った場合の最大主応力に対する接着層厚効果を示す図
【
図11B】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、平らな配置で人頭模型衝突試験を行った場合の最大主応力に対する接着層厚効果を示す図
【
図11C】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、平らな配置で人頭模型衝突試験を行った場合のピーク加速度に対する接着層厚効果を示す図
【
図12A】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、曲げた配置で人頭模型衝突試験を行った場合の最大主応力に対する接着層厚効果を示す図
【
図12B】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、曲げた配置で人頭模型衝突試験を行った場合の最大主応力に対する接着層厚効果を示す図
【
図12C】例示的な実施形態に係る、ガラス板とガラス物品のフレームの間の接着剤について、曲げた配置で人頭模型衝突試験を行った場合のピーク加速度に対する接着層厚効果を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の実施形態は、車両内装システムの曲げ自在性ガラス物品であって、ガラス物品が曲がるヒンジ領域における人頭模型衝突性能を向上させたガラス物品に関する。本明細書では、種々の技術を用いて、ガラス物品との衝突時に人頭模型が受けるピーク加速度の低減、又はガラスの前面又は後面にかかる最大主応力の低減を図っている。これにより、本ガラス物品は、米国運輸省規格FMVSS201などの、衝突時の頭部への衝撃に関する関連安全基準を満たす又は上回るように構成される。上記及び上記以外の態様及び利点については、以下の記載や図面に示す実施形態に関する説明を通して説明するものとする。なお、これらの実施形態は、説明のために提示するものであり、限定のために提示するものではない。
【0012】
図1は、ダッシュボード基部12を含む車両内装10を示している。複数の実施形態において、ダッシュボード基部12は、センターコンソール領域14と計器盤領域16とを備えている。通常、ダッシュボード基部12は、車両の中心線軸18を跨いで配置される。中心線軸18により、車両は長手方向に、運転席側20と助手席側22とに分けられる。計器盤領域16は、中心線軸18に対して運転席側20にあり、センターコンソール領域14は、運転席側20と助手席側22の両方に跨るように、中心線軸18を横切って延在することができる。複数の実施形態において、センターコンソール領域14が第1のディスプレイ画面24を備え、計器盤領域16が第2のディスプレイ画面26を備えている。複数の実施形態において、ダッシュボード基部12は、それぞれが追加ディスプレイ画面30を備える1つ以上の追加ディスプレイ領域28を備えることができる。
【0013】
複数の実施形態において、センターコンソール領域14の第1のディスプレイ画面24は、車両の運転者、同乗者、又はその双方に対して情報提供と制御盤の提示を行うインフォテインメントセンターである。例えば、第1のディスプレイ画面24は、車両情報、GPS進路案内、空調制御、オーディオ制御などを表示することができる。複数の実施形態において、第1のディスプレイ画面24はタッチパネルとして構成することができる。複数の実施形態において、計器盤領域16の第2のディスプレイ画面26は、速度計、燃料計、タコメーター、冷却液温度、タイヤ空気圧などを表示することができる。追加ディスプレイ画面30を含む実施形態では、追加ディスプレイ画面30は、例えば、車両の前方、車両の後方、又は車両の1つ以上の死角を遠隔カメラで捉えた映像を表示することができる。
【0014】
第1のディスプレイ画面24、第2のディスプレイ画面26、及び追加ディスプレイ画面30(含まれる場合)のすべてが、同じ曲面ガラス物品32に組み込まれている。後述するように、第2のディスプレイ画面26(及び追加画面30)は、ダッシュボード基部12の計器盤領域16に固定され、センターコンソール領域14の第1のディスプレイ画面24は、第2のディスプレイ画面26に対して曲げ自在とされる。複数の実施形態において、第1のディスプレイ画面24は、運転席側20への向きと助手席側22への向きが実質的に等しくなるように第1のディスプレイ画面24を向けた第1の位置から、第1のディスプレイ画面24を運転席側20に向けた第2の位置まで曲がる。曲げ可能とするため、ガラス物品32は、第1のディスプレイ画面24側に自由端を有している。
【0015】
図2は、第1のディスプレイ画面24、第2のディスプレイ画面26、及び追加ディスプレイ画面30を備えるガラス物品32を示している。第1のディスプレイ画面24はガラス物品32の第1の側34に設けられ、第2のディスプレイ画面26及び追加ディスプレイ画面30はガラス物品32の第2の側36に設けられる。
図2の実施形態に示すように、ガラス物品32は、1つ以上の湾曲部38a~38dを備えることができる。図示されているように、第2のディスプレイ画面26は、第1のディスプレイ画面24及び追加ディスプレイ画面30より奥に配置されている。なお、上記の説明での「奥に(behind)」とは、第2のディスプレイ画面26が存在する平面が、第1のディスプレイ画面24及び追加ディスプレイ画面30が位置する平面に比べて、運転者から遠い位置にあることを意味している。複数の実施形態において、第1のディスプレイ画面24と追加ディスプレイ画面30は同一平面上に配置することができ、他の実施形態では、第1のディスプレイ画面24と追加ディスプレイ画面30を異なる平面上に配置することができる。さらに、複数の実施形態において、ディスプレイ画面24、26、30が配置される平面はそれぞれ、他のどの平面にも平行でない、他の平面のうちの一方と平行である、又は他の平面のどちらにも平行である、のいずれであってもよい。
図2に示す位置関係をつくるため、ガラス物品32は、追加ディスプレイ画面30と第2のディスプレイ画面26との間に第1の凸湾曲部38aと第2の凹湾曲部38bとを備えている。さらに、ガラス物品32は、第2のディスプレイ画面26と第1のディスプレイ画面24との間に第3の凹湾曲部38c及び第4の凸湾曲部38dとを備えている。
【0016】
上述したように、ガラス物品32の第2の側36はダッシュボード基部12に固定されており、ガラス物品32の第1の側34は曲げ軸40を中心にガラス物品32の第2の側36に対して曲げ自在とされる。複数の実施形態において、第4の凸湾曲部38dは曲げ軸40上に形成される。これにより、第1の側34は、第4の凸湾曲部38dの曲率が変化するように、特に、第4の凸湾曲部38dをガラス物品32から引き離すように、曲げ自在とされる。すなわち、ガラス物品32の第1の側34は、ガラス物品32の第3の凹湾曲部38cとガラス物品32の第1の側34との間が実質的に平らになるように曲げることができる。
【0017】
複数の実施形態において、第1のディスプレイ画面24を運転席側20に向ける配置では、ガラス物品32の第2の側36の少なくとも一部が、第1の側34と約180°の角度をなす(すなわち、第1の側34に対して実質的に平らになる)。複数の実施形態において、第1のディスプレイ画面24を運転席側20と助手席側22の間に向ける配置では、第2の側36の少なくとも一部が、第1の側34と190°~290°の角度をなす。
【0018】
さらに、複数の実施形態において、第1の画面24は、長さ寸法L1と幅寸法W1とを有している。複数の実施形態において、曲げた配置では、長さ寸法L1と幅寸法W1のうちの少なくとも一方が中心線軸18に対して垂直となり、一方、平らな配置では、曲げた配置のときに中心線軸18に対して垂直であった長さ寸法L1又は幅寸法W1の少なくとも一方が、中心線軸18に対して横方向となる。例えば、
図2に示すように、幅寸法W1は、曲げた配置では中心線軸18に対して実質的に垂直となり、第1の側34を回動させて平らな配置とすると、幅寸法W1が、中心線軸18に対して横方向となる。
【0019】
これに加えて、複数の実施形態において、曲げた配置にあるとき、ガラス物品32の第1の側34の第1の部分が中心線軸18に対して運転席側20にあり、第2の部分が中心線軸18に対して助手席側22にある状態となる。そして、第1の側34を回動させて平らな配置とすると、ガラス物品32の第1の側34における運転席側20の第1の部分が増加し、ガラス物品32の第1の側34における助手席側22の第2の部分が減少する。すなわち、平らな配置にあるとき、第1の側34は運転席側20に向けられている。
【0020】
図3は、ガラス物品32における(
図2に示すような)曲げ軸40の領域を示す簡略模式側面図である。図から見てとれるように、ガラス物品32は、第1の主面44と第2の主面46とを有するガラス板42を備えている。第2の主面46は第1の主面44の反対側にあり、第1の主面44と第2の主面46の間に厚さが画定されている。複数の実施形態において、厚さは、平均で0.3mm~2.0mm、特に0.4mm~1.1mmである。ガラス板42の外周に延在する副面48が、第1の主面44と第2の主面46とをつないでいる。
【0021】
第2の主面46には、マンドレルヒンジ50として図示されている、少なくとも1つのヒンジが配置されている。複数の実施形態において、マンドレルヒンジ50により、ガラス板42が第1の側(可動側)34と第2の側(固定側)36とに分けられるとともに、ガラス物品32の第2の側36に対して第1の側34を曲げ可能とされる。複数の実施形態において、第1の側34の角度を、第1の側34の最大可動位置間(すなわち、運転席側に向けた平らな配置と、運転席側への向きと助手席側への向きが実質的に等しくなるように曲げた配置との間)の任意の角度とすることができるように、マンドレルヒンジ50を配置することができる。さらに、複数の実施形態において、マンドレルヒンジ50は手動で作動可能とされる、すなわち、ユーザが手動でガラス物品32の第1の側34を位置決めすることができる。他の実施形態では、マンドレルヒンジ50は電気機械的に作動可能とされ、ユーザが、例えば、タッチ機能、音声コマンド、又は押しボタンによってアクチュエータを作動し、このアクチュエータによって、第1の側34を位置決めすることもできる。なお、図中、ヒンジはマンドレルヒンジ50として示されているが、リビングヒンジ、弾性ヒンジ、格子状ヒンジ、リンク式ヒンジなど、曲げ軸40を設けるのに適した様々なヒンジのいずれであってもよい。
【0022】
図3に示す実施形態では、マンドレルヒンジ50は、第1のフレーム52と第2のフレーム54の間に配置されている。第1のフレーム52は、車両内装の基部、例えばダッシュボード基部12(
図1に示す)に固定され、第2のフレーム54は、マンドレルヒンジ50を中心に曲がるように構成されている。
図3の模式図に示すように、第1のフレーム52は、第1のブラケット56を用いて車両内装の基部に取り付けられるように構成されている。図中、第2のフレーム54は、第2のブラケット58を備えるものとして示されている。第2のブラケット58は、電気機械式アクチュエータ又は手動式アクチュエータのアーマチュアの代表的な例である。
【0023】
第1のフレーム52は、第1のフレーム面60と第2のフレーム面62とを有しており、第2のフレーム54は、第3のフレーム面64と第4のフレーム面66とを有している。第1のフレーム面60は第2のフレーム面62の反対側の面であり、第1のフレーム面60と第2のフレーム面62の間に、第1のフレーム52の第1の厚さT1が画定される。第3のフレーム面64は第4のフレーム面66の反対側の面であり、第3のフレーム面64と第4のフレーム面66の間に、第2のフレーム54の第2の厚さT2が画定される。以下により詳細に説明するように、第1のフレーム52の第1の厚さT1は、第2のフレーム54の第2の厚さT2と異なるものとすることができる。さらに、第1のフレーム52を、第2のフレーム54とは異なる材料で作ることや、第2のフレーム54とは異なる構造を有するようにすることもできる。
【0024】
図3に示すように、第1のフレーム52は、第2のフレーム54から空間Sだけ離れている。マンドレルヒンジ50は、空間S内に配置されている。複数の実施形態において、マンドレルヒンジ50は第1のフレーム52に接続されている。複数の実施形態において、第1のフレーム52とマンドレルヒンジ50とは、1つの連続材料による一体構造又は1部品構造を形成している。他の実施形態では、マンドレルヒンジ50は、例えば、締結具、接着剤(bonding agent、adhesive)、溶接などを用いて第1のフレーム52に取り付けられる。複数の実施形態において、第2のフレーム54はアダプタ68を備えている。アダプタ68は、ガラス物品32を曲げた配置としたときに、マンドレルヒンジ50に係合するように構成されている。図示の実施形態では、アダプタ68は、マンドレルヒンジ50の端部の構造と相補的な構造を有しており、アダプタ68がマンドレルヒンジ50に係合することにより、マンドレルヒンジ50を中心とする第2の側36の回動が過回動となるのを抑止している。
【0025】
図4は、
図3の簡略模式図に示すガラス物品32の後面図である。
図4に見られるように、第1のブラケット56は第1のフレーム52の第2のフレーム面62に接続され、第2のブラケット58(例えば、アクチュエータアームなどの代表例)は第2のフレーム54の第4のフレーム面66に接続されている。複数の実施形態において、ブラケット56は第1のフレーム52のフレーム面62に恒久的に取り付けられ、ブラケット58は第2のフレーム54のフレーム面66に恒久的に取り付けられる。かかる恒久的取り付けの方法としては様々な可能性が考えられるが、例えば、一体成形、溶接、又は接着剤により行われる。他の実施形態では、ブラケット56は第1のフレーム52のフレーム面62に可逆的に取り付けられ、ブラケット58は第2のフレーム54のフレーム面66に可逆的に取り付けられる。かかる可逆的取り付けの方法としては様々な可能性が考えられるが、例えば、締結具、スライドロック係合、又はツイストロック係合により行われる。
【0026】
上述したように、本明細書に開示されるガラス物品32の種々の設計は、人頭模型衝突試験(headform impact testing:HIT)要件を満足し、向上させることを意図したものである。HIT試験では、衝突事故時に車両内装システムに頭部が衝突した場合に頭部に加わる衝撃のシミュレーション結果に基づいて、車両の各種内装面の検査を行い、車両内装システムが、関連する頭部傷害基準(head injury criterion:HIC)を満たしているかどうかが判定される。詳細には、人間の頭部を模した人頭模型を使用して、試験対象の車両内装システムとの衝突時の減速特性を求める。良好な試験結果を得るには、減速度の大きさと減速度が発生する時間の長さの両方を低減する必要がある。米国運輸省が定める連邦自動車安全基準(FMVSS)201には、人頭模型(6.8キログラム、直径165mmの人頭模型)が時速15マイル(約24.14km)で衝突した場合、3ミリ秒超にわたり80Gを超えてはならないことが規定されている。これに加えて、傷害の原因となる恐れのある鋭利なガラス片が生じることのないよう、HIT試験後にガラス板42が破損していないことも求められている。
【0027】
図5A及び
図5Bに示すように、マンドレルヒンジ50の領域でHITシミュレーションを行い、HIT試験の結果を向上させる方法を求めた。詳細には、ガラス板42とマンドレルヒンジ50との接触が、空間S全体にわたる接触とはならない平面的な配置で、シミュレーションを行った。
図5Aは、ガラス板42の第1の主面44に人頭模型70が衝突した瞬間を示している。第1のフレーム52と第2のフレーム54の間の空間Sの中心に人頭模型70が衝突した場合の衝撃を検討した。
【0028】
HITシミュレーションでは、様々な構成の検討を行った。特定的には、マンドレルヒンジ50の材料と構造を様々に変更してシミュレーションを行い、HIT試験結果を測定した。第1のシミュレーションでは、マンドレルヒンジを完全緻密アルミニウム合金とした。第2のシミュレーションでは、マンドレルヒンジを、完全緻密アルミニウム合金の4分の1の質量を持つアルミニウム合金(例えば、膨張させた構造、発泡構造、又はハニカム構造を持つマンドレルヒンジ)とした。第3のシミュレーションでは、マンドレルヒンジをポリオキシメチレン(POM)(例えば、DuPont社(デラウエア州ウィルミントン)から入手可能なDelrin(登録商標)など)製とした。第4のシミュレーションでは、(
図5Bに示すような)マンドレルヒンジを持たないガラス物品の性能を検討した。現実には、マンドレルヒンジがないガラスは割れてしまうのだが、マンドレルを持たない条件でのシミュレーションは、ガラス板との衝突時の減速度の検討を行うためのベースラインシミュレーションとして行った。
【0029】
図5Cは、上記の4つのシナリオに従って行ったシミュレーション結果データを示すグラフである。グラフから読み取れるように、最も大きな加速度スパイクである、130Gを上回るスパイクが見られたのが、完全緻密アルミニウム製のマンドレルヒンジであった。マンドレルなしの条件でのシミュレーションでは、大きなスパイクのない比較的滑らかな加速度曲線が得られた。ただし、繰り返すが、マンドレルを持たないガラス物品は割れてしまうため、現実には望ましくないと考えられる。POMのシミュレーションと4分の1質量のアルミニウムのシミュレーションからは、いずれも完全緻密アルミニウムよりも良好な結果が得られた。具体的には、POMマンドレルと4分の1質量のアルミニウムマンドレルの加速度スパイクはいずれも100G未満であり、両者とも完全緻密アルミニウムよりもはるかに小さい加速度スパイクを示した。
【0030】
また、シミュレーション結果の確認のため、完全緻密アルミニウム製マンドレルの条件とマンドレルなしの条件で実際の実験も行った。その結果を
図5Dに示す。これらの実験結果は、
図5Cに示す完全緻密アルミニウム製マンドレルの条件とマンドレルなしの条件で行ったシミュレーション結果と実質的に一致している。すなわち、
図5Dには、完全緻密アルミニウム製マンドレルでは、大きなスパイク(ただし、シミュレーション結果の加速度スパイクよりもさらに大きいスパイクではあるが)が生じることが示されている。さらに、
図5Dには、マンドレルなしの条件では、100Gを上回るスパイクが見られず、比較的滑らかな加速度曲線となることも示されている。
【0031】
これらのシミュレーションデータ及び実験データから、本発明者らは、マンドレルヒンジ50のサイズと形状を同じ状態に維持したまま、その質量を、完全に緻密な金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、又はマグネシウム)製のマンドレルヒンジ50の質量より抑えれば、HIT試験結果が向上するのだと確信した。特に、マンドレルヒンジ50の質量を小さくすることにより、HIT試験の初期に見られる、マンドレルヒンジ50の慣性抵抗による加速度スパイクが抑えられる。さらに、本発明者らは、マンドレルヒンジ50の質量を小さくすることにより、振動特性も向上し、人頭模型とガラス板42との間に連続的な接触が生じて、衝撃エネルギが時間的に均等に分散されるのだと予想した。とはいえ、人頭模型70の衝突によりガラスが割れてしまわないよう、マンドレルヒンジ50は、十分な曲げ剛性を持つ構造とする必要がある。複数の実施形態において、マンドレルヒンジ50は、少なくとも150Pa・m3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm3の密度を有するように選択される。
【0032】
1つ以上の実施形態において、曲げ剛性の範囲は、約150Pa・m3~約1000Pa・m3、約200Pa・m3~約1000Pa・m3、約250Pa・m3~約1000Pa・m3、約300Pa・m3~約1000Pa・m3、約350Pa・m3~約1000Pa・m3、約400Pa・m3~約1000Pa・m3、約450Pa・m3~約1000Pa・m3、約500Pa・m3~約1000Pa・m3、約200Pa・m3~約950Pa・m3、約200Pa・m3~約900Pa・m3、約200Pa・m3~約850Pa・m3、約200Pa・m3~約800Pa・m3、約200Pa・m3~約750Pa・m3、約200Pa・m3~約700Pa・m3、約200Pa・m3~約700Pa・m3、約200Pa・m3~約650Pa・m3、約200Pa・m3~約600Pa・m3、約300Pa・m3~約900Pa・m3、約300Pa・m3~約800Pa・m3、約300Pa・m3~約700Pa・m3、又はこれらの間の任意の範囲及び部分範囲である。
【0033】
1つ以上の実施形態において、曲げ剛性の範囲は、約1g/cm3~約2.75g/cm3、約1g/cm3~約2.7g/cm3、約1g/cm3~約2.6g/cm3、約1g/cm3~約2.5g/cm3、約1g/cm3~約2.4g/cm3、約1g/cm3~約2.3g/cm3、約1g/cm3~約2.2g/cm3、約1g/cm3~約2.1g/cm3、約1g/cm3~約2g/cm3、約1g/cm3~約1.9g/cm3、約1g/cm3~約1.8g/cm3、約1g/cm3~約1.7g/cm3、約1g/cm3~約1.6g/cm3、約1g/cm3~約1.5g/cm3、約1.1g/cm3~約2.7g/cm3、約1.2g/cm3~約2.7g/cm3、約1.3g/cm3~約2.7g/cm3、約1.4g/cm3~約2.7g/cm3、約1.5g/cm3~約2.7g/cm3、約1.6g/cm3~約2.7g/cm3、約1.7g/cm3~約2.7g/cm3、約1.8g/cm3~約2.7g/cm3、約1.9g/cm3~約2.7g/cm3、約2g/cm3~約2.7g/cm3、約1.2g/cm3~約2.5g/cm3、約1.3g/cm3~約2.2g/cm3、約1.4g/cm3~約2g/cm3又は及びこれらの間の任意の範囲及び部分範囲である。
【0034】
所望の曲げ剛性(ガラス物品32の形状寸法上の制約の範囲内での曲げ剛性)と密度を実現するため、エンジニアリングプラスチック又は複合材料を用いることもできる。かかる材料の例としては、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性材料や複合材料が挙げられる。さらに、複数の実施形態において、膨張させた構造、発泡構造、又はハニカム構造の金属、特に、アルミニウム、ステンレス鋼、マグネシウム合金を使用することもできる。さらに他の実施形態では、プラスチック層と金属層を有する積層材料を使用することもできる。
【0035】
他の態様によれば、人頭模型70の衝突時にガラス板42にかかる応力を低減することにより、HIT試験結果を向上させることもできる。一実施形態によれば、局所的な薄肉領域を画定する1枚以上の裏当て板72をガラス板42の後方に設けることにより、HIT試験中にガラス板42にかかる応力を低減することができる。
図6Aに、接着剤層74により1枚の裏当て板72をガラス板42の第2の主面46に接合した実施形態を示す。
図6Aに見られるように、裏当て板72は、異なる2つの厚さを有している。具体的には、裏当て板72の中央領域76が第1の板厚P
1を有し、裏当て板72の外側領域78が第2の板厚P
2を有している。中央領域76の第1の板厚P
1は、外側領域78の第2の板厚P
2よりも小さい。複数の実施形態において、第2の板厚P
2は、第1の板厚P
1の1.1倍~2倍の厚さである(すなわち、1.1P
1≦P
2≦2P
1)。複数の実施形態において、第1の板厚P
1は0.05mm~5mmである。1つ以上の実施形態において、中央領域76の幅は、裏当て板72の幅の25%~95%である。
【0036】
図6Bは、他の実施形態として、3枚の裏当て板72a、72b、72cを使用して局所的に薄肉領域を設けた実施形態を示す。具体的には、ガラス物品32は、第2の主面46上に配置される第1の裏当て板72aを備えている。さらに、外側領域78の一方には第2の裏当て板72bが設けられ、外側領域78のもう一方には第3の裏当て板72cが設けられている。複数の実施形態において、第2の裏当て板72b及び第3の裏当て板72cは、第1の裏当て板72aに接続されている。かかる実施形態では、裏当て板72b、72cの第1の裏当て板72aへの接続は、機械的拘束(例えば、スポット溶接、リベット締め、締結具など)又は接着剤により行うことができる。他の実施形態では、第2の裏当て板72b及び第3の裏当て板72cは、第1の裏当て板72aに接続されない。
【0037】
第2の裏当て板72bと第3の裏当て板72cとの間には、局所的な薄肉領域である中央領域76を画定するための空間が設けられている。複数の実施形態において、第2の裏当て板72bと第3の裏当て板72cとの間の空間は、第1の裏当て板72aの幅の25%~95%である。
図6Aの実施形態と同様、3枚の裏当て板72a~72cを用いる
図6Bの実施形態でも、第1の板厚P
1の1.1倍~2倍である第2の板厚P
2を画定することができる。
【0038】
複数の実施形態において、裏当て板72又は裏当て板72a~72cは、アルミニウム合金、マグネシウム合金、又は鋼合金(ステンレス鋼合金など)などの金属材料で構成される。ガラス物品32が裏当て板72又は裏当て板72a~72cを備える実施形態では、裏当て板をフレーム52、54に接合することができる。かかる接合の方法としては様々な可能性が考えられるが、例えば、スポット溶接、リベット締め、又は締結具により行うことができる。
【0039】
図6Cは、ガラス物品を
図6Dに示すような曲げた配置とした場合のガラス板42の第1の主面44にかかる応力を示す。
図6Cに示すデータを生成したシミュレーションでは、3つの条件の検討を行った。第1の条件では、単一の板厚0.254mmを有するステンレス鋼製の裏当て板を1枚用いる条件で検討を行った。第2の条件では、単一の板厚0.508mmを有するステンレス鋼製の裏当て板を1枚用いる条件で検討を行った。第3の条件では、
図6A又は
図6Bに示すような板厚が変化するハイブリッド厚裏当て板72又は72a~72cを用いる条件で検討を行った。
図6Cに見られるように、一定の薄い板厚の裏当て板を用いる第1の条件では、最大主応力が900MPaを上回り、最も大きくなった。
図6Dに、第1の主面44にかかる最大主応力の位置を示す。第1の主面44にかかる最大主応力の位置は3つの条件で同じ位置であったが、最大主応力の大きさは異なっていた。一定の厚い板厚の裏当て板を用いる第2の条件では、第1の主面44にかかる最大主応力が600MPa強となり、最も小さくなった。ただし、第2の条件は、発生する最大主応力は最小となるものの、曲げ領域を跨ぐ裏当て板の厚さが大きいため、ガラス物品を平らな配置と曲げた配置との間で動かす際に大きな曲げ力が必要となり望ましくない。
【0040】
また、
図6Cに示すように、局所的な薄肉領域を有するハイブリッド裏当て板を用いた場合、700MPa強の最大主応力が発生した。さらに、裏当て板72又は裏当て板72a~72cは局所的な薄肉領域を有しているため、ガラス物品を平らな配置と曲げた配置との間で動かす際の曲げ力が大きくならない。したがって、裏当て板72又は裏当て板72a~72cによって画定される局所的な薄肉領域により、均一に厚い板厚の裏当て板ほど曲げ力を増加させることなく、均一に薄い板厚の裏当て板に比べて第1の主面44にかかる最大主応力を低減することができる。
【0041】
他の実施形態によれば、固定側の第1のフレーム52に対して可動とされる第2のフレーム54の質量を減らすことによっても、第1の主面44にかかる最大主応力を小さくすることができる。第2のフレーム54の質量は様々な方法で減らすことができる。例えば、上述のマンドレルヒンジ50に関する説明で述べたように、第2のフレーム54の質量は、中実の完全に緻密な材料を、異なる材料に替える、又は同材料の構造を、膨張させた構造、発泡構造、又はハニカム構造に替えることにより減らすことができる。したがって、例えば、第2のフレーム54を、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、ポリテトラフルオロエチレンなどの熱可塑性材料や複合材料で作ることができるほか、あるいは、第2のフレームを、膨張させた構造、発泡構造、又はハニカム構造のアルミニウム、ステンレス鋼、又はマグネシウム合金で作ることもできる。さらに、第2のフレーム54を、プラスチック層と金属層を有する積層材料で作ることもできる。他の実施形態では、第2のフレーム54を、第1のフレーム52と同一の材料だが、第1のフレーム52よりも薄い板厚で作ることもできる。
【0042】
図7A及び
図7Bは、第2のフレーム54の板厚を第1のフレーム52よりも薄くした例を示している。
図7Aでは、第2のフレーム54の厚さを3mm、第1のフレーム52の厚さを10mmとしている。
図7Bでは、第2のフレーム54の厚さを6mm、第1のフレーム52の厚さを10mmとしている。
図7Cには、
図7Aと
図7Bに示す2つの条件に加えて、(1)第1のフレームと第2のフレームの板厚が等しい条件、及び(2)第1のフレームと第2のフレームの板厚が等しく、かつマンドレルアダプタ(
図3の参照番号68)を第2のフレームに締め付けた(例えば、溶接した)状態とする条件で行ったHIT試験において、ガラス板42の第1の主面44にかかった最大主応力を示している。
【0043】
図7Cに見られるように、第1のフレームと第2のフレームの板厚が等しい条件では、900MPaを上回る最大主応力が発生する。さらに、マンドレルアダプタをフレームに縛り付けた状態とする条件では、1000MPaに近い最大主応力が発生する。また、
図7Cには、
図7Bに示す条件では最大主応力が550MPaを下回り、
図7Aに示す条件では最大主応力が350MPaを下回ることも示されている。このように、可動側の質量を減らす(すなわち、慣性抵抗を低減する)ことにより、第1の主面44にかかる最大主応力が小さくなる。
【0044】
他の実施形態によれば、マンドレルヒンジ50を第1のフレーム52に固定してマンドレルヒンジ50の剛性を高めることによっても、第1の主面44にかかる最大主応力を小さくすることができる。具体的には、マンドレルヒンジ50を第1のフレーム52に堅固に固定すること、又はマンドレルヒンジ50と第1のフレーム52とを単体の一体部品として形成することにより、マンドレルヒンジ50の剛性が増大して、ガラス板42の第1の主面44に発生する最大主応力の大きさが、ガラス板42が割れるほどにはならないことが明らかとなった。
【0045】
他の態様によれば、第2のブラケット58の剛性及び位置の設定によっても、HIT試験における加速度スパイクとガラスにかかる最大主応力をともに低減することができる。
図4に戻ると、第2のブラケット58は、理論的には、第4のフレーム面66上の任意の位置に取り付けることができる。しかしながら、本発明者らは、第2のブラケット58を第2のフレーム54の自由端により近い位置に取り付けることにより、加速度スパイクが小さなるとともに、ガラス板42の第2の主面46にかかる最大主応力も低減するということを確認した。
【0046】
次に
図8Aを参照すると、ガラス物品32の後面が示されている。第2のフレーム54の第4のフレーム面66には、第2のブラケット58の3つの取り付け位置がそれぞれ区別して示されている。第1の位置は、マンドレルヒンジ50から最も遠く、自由端80に最も近い位置である。第2の位置は、自由端80とマンドレルヒンジ50の間の位置であり、第3の位置は、マンドレルヒンジ50に最も近く、自由端80から最も遠い位置である。これらの第2のブラケット58の位置に基づいて、HIT試験の加速度曲線と最大主応力を求めた。
図8Bに加速度曲線を示し、
図8Cに主応力曲線を示す。
図8Bに見られるように、マンドレルヒンジ50に最も近い第3の位置で、最も大きな加速度スパイクが発生した。さらに、
図8Cに示すように、ガラス板42の第2の主面46に生じる最大主応力についても、第3の位置が最も大きかった。本発明者らは、最大主応力が大きくなったのは、
図9A及び
図9Bに示すように、ヒンジ部分のガラスに過度の曲げが加わったためと考えている。また、
図8B及び
図8Cから、第1の位置と第2の位置のいずれでも、加速度のピークと最大主応力がより小さくなったことが実証されている。
【0047】
図8B及び
図8Cに示すデータを生成したシミュレーションでは、第2のブラケット58の板厚を0.125インチ(約25.4mm)として検討を行った。また、ピーク加速度と最大主応力に対する剛性の影響を調べるため、第2のブラケット58の板厚が0.09インチ(約2.3mm)の条件でもシミュレーションを行った。
図10A及び
図10Bに、そのシミュレーション結果を示す。図から見てとれるように、このシミュレーションでも、第3の位置で加速度ピークと最大主応力が最大となり、第1の位置と第2の位置では、ほぼ同じ加速度ピークと最大主応力を示した。ただし、第2のブラケット58の板厚を減少させて剛性を低下させると、ピーク加速度と最大主応力の大きさも全体的に小さくなっている。例えば、第2のブラケット58の板厚が厚い場合の3ミリ秒累積加速度は、第1の位置で71.82G、第2の位置で73.02Gであったが、第2のブラケット58の板厚が薄い場合の3ミリ秒累積加速度は、第1の位置で46.47G、第2の位置で46.17Gであった。同様に、第1の位置及び第3の位置では、第2のブラケット58の板厚が厚い場合には、最大主応力曲線の大部分が600MPaを上回ったが、第2のブラケット58の板厚が薄い場合には、最大主応力曲線の大部分が600MPaを下回った。
【0048】
これらの第2のブラケット58の位置及び剛性に関するシミュレーションから、本発明者らは、ピーク加速度及び最大主応力の低減には、第2のブラケット58の塑性変形によるエネルギ吸収が関係していると考えている。したがって、複数の実施形態において、第2のブラケット58を第4のフレーム面66に取り付ける位置を、マンドレルヒンジ50と自由端80との間の中間点の位置から自由端80に隣接する位置までの範囲とすることにより、ピーク加速度と最大主応力を低減することができる。
【0049】
他の態様によれば、ガラス板42を第1のフレーム52及び第2のフレーム54に接合する接着剤層の厚さを低減することにより、ピーク加速度の増加や第1の主面44にかかる最大主応力の実質的な増加を起こすことなく、ガラス板42の第2の主面46にかかる最大主応力を低減することができる。具体的には、
図11A及び
図12Aは、ガラス板42の第2の主面46にかかる最大主応力を示すグラフであり、
図11Aは平らな配置とした場合のグラフ、
図12Aは曲げた配置とした場合のグラフである。図から見てとれるように、平らな配置と曲げた配置のいずれの場合も、接着剤の厚さを2mmとした場合に比べて1mmとした場合の方が、第2の主面46にかかる最大主応力は小さくなる。
図11B及び
図12Bは、ガラス板42の第1の主面44にかかる最大主応力を示すグラフであり、
図11Bは平らな配置とした場合のグラフ、
図12Bは曲げた配置とした場合のグラフである。接着剤層の厚さを薄くすると、最大主応力はわずかながら大きくなるものの、これは上述の技術のいずれかにより対処することができる。さらに、
図11C及び
図12Cは、ピーク加速度を示すグラフであり、
図11Cは平らな配置とした場合のグラフ、
図12Cは曲げた配置とした場合のグラフである。グラフから見てとれるように、接着剤の厚さを低減しても、HIT試験時のピーク加速度に大きな変化は現れない。したがって、複数の実施形態において、ガラス板42とフレーム52、54の間の接着剤層の厚さは、0.5mm~1.5mm、特に約1mmである。
【0050】
以上、HIT試験時のピーク加速度又は最大主応力を低減するための構想について個別に説明してきたが、これらの種々の技術を組み合わせて、HIT試験時のピーク加速度又は最大主応力を全体としてより大幅に抑えることができることに留意されたい。
【0051】
ここまで、ガラス物品32の種々の実施形態を説明してきたが、次に、ガラス物品32の形成方法について説明する。複数の実施形態において、ガラス物品32の(詳細には、第2の側36の)湾曲部38a~38cは、熱間成形(hot-forming)、冷間成形(cold-forming)のいずれによっても製造することができる。「冷間成形」とは、ガラスの軟化温度未満の温度で、ガラス板42に湾曲部38をつけることを意味している。より詳細には、冷間成形は200℃未満、100℃未満、さらに又は室温で行われる。一方、「熱間成形」は、プレス機、サギング装置、成形用徐冷炉などを用いて、ガラス板42の軟化温度以上の温度で行われる。また、熱間成形を冷間成形から区別する特徴としては、さらに、熱間成形でつけた湾曲部38は、ガラス板42が軟化温度以上の温度で再成形されない限りその湾曲を保持するという意味での恒久性を有している点も挙げられる。
【0052】
一方、冷間成形でつけた湾曲部にそのような恒久性はない。詳細には、冷間成形時には、ガラス板42に圧力をかけて、ガラス板42を所望の形状に従った形状とする。圧力は、真空圧、機械プレス、ローラなど、多種多様な方法で加えることができる。その後、ガラス板42を支持構造体(例えば、フレーム52、54)に接着することにより、ガラス板42を冷間成形された形状に保持する。しかし、ガラス板42を支持構造体から剥離すると、ガラス板42は平面の状態に戻る。
図2に示す第4の湾曲部38dでは、この特性を利用するとともにマンドレルヒンジ50を使用することにより、平らな配置(運転席側20に向ける配置)と曲げた配置(運転席側20と助手席側22の間に向ける配置)との間でガラス板42を曲げることが可能とされている。一方、他の湾曲部38a~38cは、固定側である第2の側36に設けられるため、冷間成形された位置のまま保持されることになる。
【0053】
以下の段落では、
図1及び
図2を参照しながら、ガラス板42の様々な形状寸法上の特性及びガラス板の組成について説明する。上述したように、ガラス板42は、第1の主面44と第2の主面46との間の距離として画定される、実質的に一定な厚さを有している。複数の実施形態において、この厚さは0.3mm~2.0mmである。さらに、ガラス板42は、第1の主面44又は第2の主面46のうちの一方における、当該厚さに直交する第1の最大寸法として画定される幅W2と、第1の主面44又は第2の主面46のうちの一方における、厚さと幅の両方に直交する第2の最大寸法として画定される長さL2とを有している。他の実施形態では(例えば、幅又は長さが一定ではないガラス板42の場合)、幅W2をガラス板42の平均幅、長さL2をガラス板42の平均長さとすることができ、他の実施形態では、幅W2をガラス板42の最大幅、長さL2をガラス板42の最大長さとすることもできる。種々の実施形態において、幅W2は5cm~250cmの範囲にあり、長さL2は約5cm~約1500cmの範囲にある。さらに、種々の実施形態において、ガラス物品32の湾曲部38a~38dそれぞれの曲率半径を、約20mm~約10000mmの範囲とすることができる。
【0054】
さらに、車両内装システムの種々の実施形態は、列車、自動車(例えば、乗用車、トラック、バスなど)、海上船舶(ボート、船舶、潜水艦など)、航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット機、ヘリコプターなど)、宇宙船などの車両に組み込むことができる。
【0055】
複数の実施形態において、ガラス板42は強化ガラスとすることができる。1つ以上の実施形態において、ガラス板42は、表面から圧縮深さ(depth of compression:DOC)まで延在する圧縮応力を含むように強化することができる。圧縮応力領域は、引張応力を示す中心部分と釣り合っている。圧縮深さは、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に応力が変化する深さである。
【0056】
種々の実施形態において、ガラス板物品内における熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域と引張応力を示す中心領域とを作り出すことによって、ガラス板42を機械的に強化することができる。いくつかの実施形態では、ガラス転移点を上回る温度までガラスを加熱し、その後急冷することによって、ガラス板を熱的に強化することもできる。
【0057】
種々の実施形態では、イオン交換によってガラス板42を化学的に強化することもできる。イオン交換プロセスでは、ガラス板の表面又はその近傍にあるイオンが、価数や酸化状態の等しいより大きなイオンに置換される。ガラス板がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含む実施形態では、物品の表層部のイオン及び上述のより大きなイオンは、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+などの一価のアルカリ金属カチオンである。あるいは、これに代えて、表層部中の一価のカチオンを、Ag+などの、アルカリ金属カチオンとは異なる一価のカチオンに置換することもできる。かかる実施形態では、イオン交換によりガラス板に導入された一価のイオン(カチオン)により応力が発生する。
【0058】
イオン交換プロセスは、通常、ガラス板中の小さなイオンと置換されることになる大きなイオンを含有する溶融塩浴(又は、2つ以上の溶融塩浴)にガラス板を浸漬することにより行われる。なお、水性塩浴を利用することもできることに留意されたい。また、(1つ以上の)浴の組成に含まれる大きなイオンは、2種類以上(例えば、Na+及びK+)であってもよく、あるいは1種類であってもよい。イオン交換プロセスのパラメータとしては、浴の組成と温度、浸漬時間、(1つ以上の)塩浴へのガラス板の浸漬回数、複数の塩浴の使用、アニール工程や洗浄工程などの追加工程が挙げられるが、これらに限定されない。そして、当業者であれば、かかるイオン交換プロセスのパラメータが、通常、ガラス板の組成(物品の構造や存在する結晶相を含む)、並びに強化の結果として望まれるガラス板の圧縮深さ及び圧縮応力によって定められることが理解されよう。例示的な溶融浴組成物としては、大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩、塩化物を挙げることができる。代表的な硝酸塩としては、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4、及びそれらの組み合わせが挙げられる。溶融塩浴の温度は通常、約380℃~約450℃の範囲であり、浸漬時間は、ガラス板の厚さ、浴の温度、ガラス(つまり、一価イオン)の拡散性に応じて、約15分~約100時間の範囲で決まる。ただし、上記とは異なる温度や浸漬時間を用いることもできる。
【0059】
1つ以上の実施形態において、ガラス板は、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO3溶融塩浴、100%KNO3溶融塩浴、又はNaNO3とKNO3とを組み合わせた溶融塩浴に浸漬することができる。いくつかの実施形態では、ガラス板は、約5%~約90%のKNO3と、約10%~約95%のNaNO3とを含む溶融混合塩浴に浸漬することができる。1つ以上の実施形態において、ガラス板を第1の浴に浸漬した後に、第2の浴に浸漬することもできる。第1の浴と第2の浴は、互いに異なる組成及び/又は温度を有することができる。浸漬時間も、第1の浴と第2の浴との間で変えることができる。例えば、第2の浴槽への浸漬に比べて、第1の浴槽への浸漬を長くすることもできる。
【0060】
1つ以上の実施形態において、約420℃未満(例えば、約400℃又は約380℃)の温度を有する、NaNO3とKNO3とを(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%で)含む溶融混合塩浴に、ガラス板を約5時間未満、又は約4時間、又はそれ未満の時間にわたり浸漬することができる。
【0061】
イオン交換条件は、イオン交換の結果得られるガラス板の表面又はその近傍において、「スパイク」の生成や、応力プロファイルの勾配上昇を生じさせるように調整することができる。スパイクによって、表面圧縮応力値をより大きくすることができる。このスパイクは、本明細書に記載のガラス板に用いられるガラス組成物が有する特異的な特性により、1つの浴又は複数の浴(各浴は、単一の組成物を有していても混合組成物を有していてもよい)によって生成することができる。
【0062】
イオン交換により2種類以上の一価イオンをガラス板に導入する1つ以上の実施形態において、イオン交換によりガラス板内のどの深さまで導入するかを、一価イオンの種類ごとに変えることができる(ひいては、生じる応力の大きさをガラス板内の深さによって変化させることができる)。その結果得られる、応力発生源となる各イオンの相対的な深さは特定することができ、かかるイオンの深さの相対関係によって、得られる応力プロファイルの特性も異なる。
【0063】
圧縮応力は、当技術分野において公知の手段、例えば、有限会社折原製作所(日本)製のFSM-6000などの市販の機器を用いて、表面応力計(FSM)で測定することができる。表面応力を測定するためには、ガラスの複屈折に関係している応力光学係数(stress optical coefficient:SOC)の正確な測定が必要となる。また、応力光学係数は、ファイバ法、4点曲げ法、バルクシリンダ法などの当技術分野において公知の方法により測定される。ファイバ法及び4点曲げ法については、いずれもASTM規格C770-98(2013)「ガラスの応力光学係数測定の標準試験法(Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient)」に記載されており、本記載のすべての内容は、参照により本明細書に援用するものとする。本明細書において用いられる「圧縮応力」は、圧縮応力層内で測定された最も高い圧縮応力値である「最大圧縮応力(maximum compressive stress)」とすることができる。いくつかの実施形態では、最大圧縮応力の位置は、ガラス板の表面にある。他の実施形態では、最大圧縮応力が生じる位置を、表面より下方の深さ位置とすることもでき、その場合の圧縮応力プロファイルの外観は、「ピークが奥にある状態(buried peak)」となる。
【0064】
圧縮深さ(DOC)は、FSM又は散乱光偏光器(scattered light polariscope:SCALP)(エストニアのタリンに拠点を置くGlasStress Ltd.社から入手可能な散乱光偏光器SCALP-04など)により測定することができ、測定方法は、ガラス強化の方法や条件に応じて決定することができる。ガラス板をイオン交換処理により化学強化する場合には、FSMとSCALPのいずれを使用するかを、イオン交換によりガラス板に導入するイオンの種類に応じて決めることができる。ガラス板内の応力発生が、カリウムイオンをガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはFSMを用いて測定される。一方、応力発生が、ナトリウムイオンをガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはSCALPを用いて測定される。また、ガラス板内の応力発生が、カリウムイオンとナトリウムイオンの両方をガラス板に導入するイオン交換によるものである場合、圧縮深さはSCALPを用いて測定される。これは、かかるガラス板におけるイオン交換によるカリウムイオンの導入深さは、FSMを用いて測定されるが、イオン交換によるナトリウムの導入深さが圧縮深さを示し、イオン交換によるカリウムイオンの導入深さは、圧縮応力の大きさの変化を示す(が、圧縮応力から引張応力への応力の変化は示していない)と考えられるためである。「中心張力(central tension:CT)」は、最大引張応力であり、SCALPにより測定される。
【0065】
1つ以上の実施形態において、ガラス板は、或る圧縮深さを示すまで強化することができる。この圧縮深さは、(本明細書で記載しているように)ガラス板42の厚さTに対する比率で表記することができる。例えば、1つ以上の実施形態において、圧縮深さは、約0.05T以上約0.25Tまでとすることができる。いくつかの例では、圧縮深さを、約20μm~約300μmとすることもできる。さらに、1つ以上の実施形態において、強化ガラス板の圧縮応力(ガラス板の表面で特定されるか圧縮応力、又はガラス板内の或る深さで特定される圧縮応力)は、約200MPa以上、約500MPa以上、又は約1000MPa以上とすることができる。1つ以上の実施形態において、強化ガラス板の最大引張応力(中心張力(CT))は、約20MPa以上、約50MPa以上、又は約85MPa以上とすることができる。
【0066】
ガラス板42に使用するのに適したガラス組成物としては、ソーダ石灰ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラス、アルカリ含有アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリ含有ホウケイ酸塩ガラス、及びアルカリ含有アルミノホウケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0067】
1つ以上の実施形態において、ガラス組成物は、約66モル%~約80モル%範囲の量のSiO2と、約4モル%~約15モル%の範囲の量のAl2O3と、約0モル%~約5モル%の範囲の量のB2O3と、約0モル%~約2モル%の範囲の量のP2O5と、約8モル%~約20モル%の範囲の量のR2Oと、約0モル%~約2モル%の範囲の量のROと、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のZrO2と、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のSnO2とを含むことができる。上記組成物において、R2Oは、Li2O、Na2O、K2O、Rb2O、Cs2Oなどのアルカリ金属酸化物の総量を指す。特に、Na2Oは、約8モル%~約20モル%の範囲の量で存在することができ、K2Oは、約0モル%~約4モル%の範囲の量で存在することができる。さらに、上記組成物において、ROは、CaO、MgO、BaO、ZnO、SrOなどのアルカリ土類金属酸化物の総量を指す。特に、CaOは、約0モル%~約1モル%の範囲の量で存在することができ、MgOは、約0モル%~約7モル%の範囲の量で存在することができる。
【0068】
複数の実施形態において、ガラス組成物は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ce、W、Moなどの金属の他の酸化物を含むこともできる。特に、Fe2O3の形態のFeは、約0モル%~約1モル%の範囲の量で存在することができ、TiO2は、約0モル%~約5モル%の範囲の量で存在することができる。
【0069】
例示的なガラス組成物は、約65モル%~約75モル%の範囲の量のSiO2と、約8モル%~約14モル%の範囲の量のAl2O3と、約12モル%~約17モル%の範囲の量のNa2Oと、約0モル%~約0.2モル%の範囲の量のK2Oと、約1.5モル%~約6モル%の範囲の量のMgOとを含む。任意選択的に、SnO2を、本明細書に開示している量とは異なる量で含むこともできる。
【0070】
態様(1)は、車両内装システム用のガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置された第1のフレームと、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置された第2のフレームと、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上に配置されたマンドレルであって、少なくとも150Pa・m3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm3の密度を有するマンドレルと、を備える。ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなし、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0071】
態様(2)は、曲げ剛性が最大1000Pa・m3までであり、密度が少なくとも1g/cm3である、態様(1)に記載のガラス物品に関する。
【0072】
態様(3)は、マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、態様(1)又は(2)に記載のガラス物品に関する。
【0073】
態様(4)は、マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、態様(1)又は(2)に記載のガラス物品に関する。
【0074】
態様(5)は、第1の側とマンドレルとで一体構造を構成する、態様(1)~(4)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0075】
態様(6)は、ガラス物品が、第2のフレームに接続されたアクチュエータアームをさらに備え、第2のフレームが、マンドレルに隣接する近位端と、マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、アクチュエータアームが、ガラス板を第1の配置と第2の配置との間で回動させるように構成されている、態様(1)~(5)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0076】
態様(7)は、第2のフレームが、近位端と遠位端との間の中間点を有しており、アクチュエータアームが、第2のフレームの中間点から遠位端までの範囲の位置に接続されている、態様(6)に記載のガラス物品に関する。
【0077】
態様(8)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された金属裏当て板をさらに備え、金属裏当て板が、第1のフレームと第2のフレームとの間に薄肉部を有する、態様(1)~(7)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0078】
態様(9)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、をさらに備え、第2の金属裏当て板と第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、隙間は、第1のフレームと第2のフレームとの間の位置に設けられる、態様(1)~(7)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0079】
態様(10)は、第1のフレームが第1の厚さを有し、第2のフレームが第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、態様(1)~(9)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0080】
態様(11)は、第1のフレームが第1の密度を有し、第2のフレームが第1の密度より小さい第2の密度を有する、態様(1)~(9)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0081】
態様(12)は、第1のフレーム及び第2のフレームが、接着剤層によりガラス板の第2の主面に接着され、接着剤層の厚さが、0.5mm~1.5mmである、態様(1)~(11)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0082】
態様(13)は、ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、ガラス板のマンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがない、態様(1)~(12)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0083】
態様(14)は、人頭模型衝突試験後にガラス板が割れていない、態様(13)に記載のガラス物品に関する。
【0084】
態様(15)は、車両内装システム用のガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置された第1のフレームと、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置された第2のフレームと、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上に配置されたマンドレルと、第2のフレームに接続されたアクチュエータアームと、を備える。ガラス板の第2の側は、アクチュエータアームの作動により、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第2のフレームは、マンドレルに隣接する近位端と、マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有する。アクチュエータアームは、遠位端と近位端との中間位置又は遠位端により近い位置に配置される。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなし、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0085】
態様(16)は、マンドレルが、150Pa・m3~1000Pa・m3の範囲の曲げ剛性と、1g/cm3~2.75g/cm3の範囲の密度を有する、態様(15)に記載のガラス物品に関する。
【0086】
態様(17)は、マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、態様(16)に記載のガラス物品に関する。
【0087】
態様(18)は、マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、態様(16)に記載のガラス物品に関する。
【0088】
態様(19)は、第1の側とマンドレルとで一体構造を構成する、態様(15)~(18)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0089】
態様(20)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された金属裏当て板をさらに備え、金属裏当て板が、第1のフレームと第2のフレームとの間に薄肉部を有する、態様(15)~(19)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0090】
態様(21)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、をさらに備え、第2の金属裏当て板と第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、隙間は、第1のフレームと第2のフレームとの間の位置に設けられる、態様(15)~(19)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0091】
態様(22)は、第1のフレームが第1の厚さを有し、第2のフレームが第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、態様(15)~(21)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0092】
態様(23)は、第1のフレームが第1の密度を有し、第2のフレームが第1の密度より小さい第2の密度を有する、態様(15)~(21)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0093】
態様(24)は、第1のフレーム及び第2のフレームが、接着剤層によりガラス板の第2の主面に接着され、接着剤層の厚さが、0.5mm~1.5mmである、態様(15)~(23)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0094】
態様(25)は、ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、ガラス板のマンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがない、態様(15)~(24)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0095】
態様(26)は、人頭模型衝突試験後にガラス板が割れていない、態様(25)に記載のガラス物品に関する。
【0096】
態様(27)は、ガラス板の第1の側が、熱間成形又は冷間成形された湾曲部を少なくとも1つ備える、態様(15)~(26)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0097】
態様(28)は、第1の角度が約180°であり、第2の角度が190°~290°である、態様(15)~(27)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0098】
態様(29)は、車両内装システム用のガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置された第1のフレームと、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置された第2のフレームと、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された1枚以上の金属裏当て板と、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上に配置されたマンドレルと、を備える。1枚以上の金属裏当て板は、第1のフレームと第2のフレームとの間に第1の厚さを有する領域を画定し、第1の厚さは、1枚以上の金属裏当て板が当該領域の外部に画定する第2の厚さよりも小さい。ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなし、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0099】
態様(30)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された1枚の金属裏当て板をさらに備え、当該1枚の金属裏当て板が、第1のフレームと第2のフレームとの間に薄肉部を有する、態様(29)に記載のガラス物品に関する。
【0100】
態様(31)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、をさらに備え、第2の金属裏当て板と第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、隙間は、第1のフレームと第2のフレームとの間の位置に設けられる、態様(29)に記載のガラス物品に関する。
【0101】
態様(32)は、マンドレルが、150Pa・m3~1000Pa・m3の範囲の曲げ剛性と、1g/cm3~2.75g/cm3の範囲の密度を有する、態様(29)~(31)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0102】
態様(33)は、マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、態様(32)に記載のガラス物品に関する。
【0103】
態様(34)は、マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、態様(32)に記載のガラス物品に関する。
【0104】
態様(35)は、第1の側とマンドレルとで一体構造を構成する、態様(29)~(34)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0105】
態様(36)は、ガラス物品が、第2のフレームに接続されたアクチュエータアームをさらに備え、第2のフレームが、マンドレルに隣接する近位端と、マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、アクチュエータアームが、ガラス板を第1の配置と第2の配置との間で回動させるように構成されている、態様(29)~(35)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0106】
態様(37)は、第2のフレームが、近位端と遠位端との間の中間点を有しており、アクチュエータアームが、第2のフレームの中間点から遠位端までの範囲の位置に接続されている、態様(36)に記載のガラス物品に関する。
【0107】
態様(38)は、第1のフレームが第1の厚さを有し、第2のフレームが第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、態様(29)~(37)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0108】
態様(39)は、第1のフレームが第1の密度を有し、第2のフレームが第1の密度より小さい第2の密度を有する、態様(29)~(37)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0109】
態様(40)は、第1のフレーム及び第2のフレームが、接着剤層によりガラス板の第2の主面に接着され、接着剤層の厚さが、0.5mm~1.5mmである、態様(29)~(39)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0110】
態様(41)は、ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、ガラス板のマンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがない、態様(29)~(40)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0111】
態様(42)は、人頭模型衝突試験後にガラス板が割れていない、態様(41)に記載のガラス物品に関する。
【0112】
態様(43)は、第1の角度が約180°であり、第2の角度が190°~290°である、態様(29)~(42)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0113】
態様(44)は、車両内装システム用のガラス物品に関する。ガラス物品は、第1の主面と、第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、ガラス板の第1の側のガラス板の第2の主面上に配置された第1のフレームと、ガラス板の第2の側のガラス板の第2の主面上に配置された第2のフレームと、第1のフレームと第2のフレームとの間のガラス板の第2の主面上に配置されたマンドレルと、を備える。第1のフレームは、第1の厚さを有するとともに、第1の密度及び第1の構造を有する第1の材料で構成されている。第2のフレームは、第1の厚さよりも小さい第2の厚さ、及び第1の密度よりも小さい第2の密度を有する第2の材料、及び第1の構造とは異なる第2の構造を有する第1の材料、のうちの少なくとも1つを有している。ガラス板の第2の側は、マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動する。第1の配置では、第1の側は第2の側と第1の角度をなし、第2の配置では、第1の側は第2の側と第2の角度をなし、第1の角度は第2の角度とは異なる角度である。
【0114】
態様(45)は、第1のフレームが、中実の完全に緻密な材料の第1の構造を有し、第2のフレームが、当該第1の材料の発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造である第2の構造を有する、態様(44)に記載のガラス物品に関する。
【0115】
態様(46)は、マンドレルが、150Pa・m3~1000Pa・m3の範囲の曲げ剛性と、1g/cm3~2.75g/cm3の範囲の密度を有する、態様(44)又は(45)に記載のガラス物品に関する。
【0116】
態様(47)は、マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、態様(46)に記載のガラス物品に関する。
【0117】
態様(48)は、マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、態様(47)に記載のガラス物品に関する。
【0118】
態様(49)は、第1の側とマンドレルとで一体構造を構成する、態様(44)~(48)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0119】
態様(50)は、ガラス物品が、第2のフレームに接続されたアクチュエータアームをさらに備え、第2のフレームが、マンドレルに隣接する近位端と、マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、アクチュエータアームが、ガラス板を第1の配置と第2の配置との間で回動させるように構成されている、態様(44)~(49)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0120】
態様(51)は、第2のフレームが、近位端と遠位端との間の中間点を有しており、アクチュエータアームが、第2のフレームの中間点から遠位端までの範囲の位置に接続されている、態様(50)に記載のガラス物品に関する。
【0121】
態様(52)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された金属裏当て板をさらに備え、金属裏当て板が、第1のフレームと第2のフレームとの間に薄肉部を有する、態様(44)~(51)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0122】
態様(53)は、ガラス物品が、ガラス板と第1のフレーム及び第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、第1の金属裏当て板と第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、をさらに備え、第2の金属裏当て板と第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、隙間は、第1のフレームと第2のフレームとの間の位置に設けられる、態様(44)~(51)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0123】
態様(54)は、第1のフレーム及び第2のフレームが、接着剤層によりガラス板の第2の主面に接着され、接着剤層の厚さが、0.5mm~1.5mmである、態様(44)~(53)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0124】
態様(55)は、ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、ガラス板のマンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがない、態様(44)~(54)のいずれか1つに記載のガラス物品に関する。
【0125】
態様(56)は、人頭模型衝突試験後にガラス板が割れていない、態様(55)に記載のガラス物品に関する。
【0126】
なお、別段の明示的な記載がない限り、本明細書に記載のいかなる方法も、各ステップ(工程)を特定の順序で実施することを要請していると解釈されることを意図していない。したがって、方法クレームにおいてステップの順序を実際に記載している場合を除き、又は、各ステップが特定の順序に限定される旨のその他の記載が請求の範囲又は発明の詳細な説明において明確になされている場合を除き、各ステップの順序として特定の順序が推測されることはまったく意図していない。さらに、本明細書において、冠詞「a」は、1つ又は2つ以上の構成要素又は要素を含むことを意図しており、「1つだけ」を意味するものとして解釈されることを意図するものではない。
【0127】
当業者であれば、本開示の実施形態の趣旨及び範囲から逸脱しない範囲で、種々の変形及び変更を行うことができることは明らかであろう。当業者であれば、本開示の実施形態の意図及び趣旨を盛り込んだ上で、これらの実施形態の変形、組み合わせ、部分的組み合わせ、及び変更を想到することができると考えられるため、本開示の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内にあるすべてを含むと解釈すべきものである。
【0128】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0129】
実施形態1
第1の主面と、該第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、
前記ガラス板の前記第1の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第1のフレームと、
前記ガラス板の前記第2の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第2のフレームと、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置されたマンドレルであって、少なくとも150Pa・m3の曲げ剛性と、最大2.75g/cm3の密度を有するマンドレルと、
を備える、車両内装システム用のガラス物品であって、
前記ガラス板の前記第2の側が、前記マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動し、
前記第1の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第1の角度をなし、前記第2の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第2の角度をなし、前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる角度である、ガラス物品。
【0130】
実施形態2
前記曲げ剛性が最大1000Pa・m3までであり、前記密度が少なくとも1g/cm3である、実施形態1に記載のガラス物品。
【0131】
実施形態3
前記マンドレルが、ポリオキシメチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリルポリマー、炭素繊維複合材料、ガラス繊維複合材料、及びポリテトラフルオロエチレンを含む、実施形態1又は2に記載のガラス物品。
【0132】
実施形態4
前記マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、実施形態1又は2に記載のガラス物品。
【0133】
実施形態5
前記第1の側と前記マンドレルとで一体構造を構成する、実施形態1~4のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0134】
実施形態6
前記ガラス物品が、前記第2のフレームに接続されたアクチュエータアームをさらに備え、
前記第2のフレームが、前記マンドレルに隣接する近位端と、前記マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、
前記アクチュエータアームが、前記ガラス板を前記第1の配置と前記第2の配置との間で回動させるように構成されている、実施形態1~5のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0135】
実施形態7
前記第2のフレームが、前記近位端と前記遠位端との間の中間点を有しており、
前記アクチュエータアームが、前記第2のフレームの該中間点から前記遠位端までの範囲の位置に接続されている、実施形態6に記載のガラス物品。
【0136】
実施形態8
前記ガラス物品が、前記ガラス板と前記第1のフレーム及び前記第2のフレームとの間に配置された金属裏当て板をさらに備え、
該金属裏当て板が、前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間に薄肉部を有する、実施形態1~7のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0137】
実施形態9
前記ガラス物品が、
前記ガラス板と前記第1のフレーム及び前記第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、
をさらに備え、
前記第2の金属裏当て板と前記第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、該隙間は、前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の位置に設けられる、実施形態1~7のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0138】
実施形態10
前記第1のフレームが第1の厚さを有し、前記第2のフレームが前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0139】
実施形態11
前記第1のフレームが第1の密度を有し、前記第2のフレームが前記第1の密度より小さい第2の密度を有する、実施形態1~9のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0140】
実施形態12
前記第1のフレーム及び前記第2のフレームが、接着剤層により前記ガラス板の前記第2の主面に接着され、
該接着剤層の厚さが、0.5mm~1.5mmである、実施形態1~11のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0141】
実施形態13
前記ガラス物品に対して、米国運輸省規格FMVSS201に準拠した人頭模型衝突試験を行った場合に、前記ガラス板の前記マンドレル上の領域に衝突した人頭模型が、減速中に3ミリ秒超にわたり80Gの力を受けることがない、実施形態1~12のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0142】
実施形態14
前記人頭模型衝突試験後に前記ガラス板が割れていない、実施形態13に記載のガラス物品。
【0143】
実施形態15
第1の主面と、該第1の主面とは反対側の第2の主面とを有するとともに、第1の側と第2の側とを有するガラス板と、
前記ガラス板の前記第1の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第1のフレームと、
前記ガラス板の前記第2の側の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置された第2のフレームと、
前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の前記ガラス板の前記第2の主面上に配置されたマンドレルと、
前記第2のフレームに接続されたアクチュエータアームと、
を備える、車両内装システム用のガラス物品であって、
前記ガラス板の前記第2の側が、前記アクチュエータアームの作動により、前記マンドレルを中心に第1の配置から第2の配置まで回動し、
前記第2のフレームが、前記マンドレルに隣接する近位端と、前記マンドレルから最も遠い位置に位置する遠位端とを有し、
前記アクチュエータアームが、前記遠位端と前記近位端との中間位置又は前記遠位端により近い位置に配置され、
前記第1の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第1の角度をなし、前記第2の配置では、前記第1の側は前記第2の側と第2の角度をなし、前記第1の角度は前記第2の角度とは異なる角度である、ガラス物品。
【0144】
実施形態16
前記マンドレルが、150Pa・m3~1000Pa・m3の範囲の曲げ剛性と、1g/cm3~2.75g/cm3の範囲の密度を有する、実施形態15に記載のガラス物品。
【0145】
実施形態17
前記マンドレルが、発泡構造、膨張させた構造、又はハニカム構造を有する金属を含む、実施形態16に記載のガラス物品。
【0146】
実施形態18
前記第1の側と前記マンドレルとで一体構造を構成する、実施形態15~17のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0147】
実施形態19
前記ガラス物品が、
前記ガラス板と前記第1のフレーム及び前記第2のフレームとの間に配置された第1の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第1のフレームとの間に配置された第2の金属裏当て板と、
前記第1の金属裏当て板と前記第2のフレームとの間に配置された第3の金属裏当て板と、
をさらに備え、
前記第2の金属裏当て板と前記第3の金属裏当て板との間に隙間が設けられ、該隙間は、前記第1のフレームと前記第2のフレームとの間の位置に設けられる、実施形態15~18のいずれか1つに記載のガラス物品。
【0148】
実施形態20
前記第1のフレームが第1の厚さを有し、前記第2のフレームが前記第1の厚さよりも小さい第2の厚さを有する、及び
前記第1のフレームが第1の密度を有し、前記第2のフレームが前記第1の密度より小さい第2の密度を有する、
のうちの少なくとも一方である、実施形態15~20のいずれか1つに記載のガラス物品。
【符号の説明】
【0149】
10 車両内装
12 ダッシュボード基部
14 センターコンソール領域
16 計器盤領域
18 車両の中心線軸
20 車両の運転席側
22 車両の助手席側
24 第1のディスプレイ画面
26 第2のディスプレイ画面
28 追加ディスプレイ領域
30 追加ディスプレイ画面
32 ガラス物品
34 第1の側
36 第2の側
38a 第1の凸湾曲部
38b 第2の凹湾曲部
38c 第3の凹湾曲部
38d 第4の凸湾曲部
40 曲げ軸
42 ガラス板
44 ガラス板の第1の主面
46 ガラス板の第2の主面
48 ガラス板の副面
50 マンドレルヒンジ
52 第1のフレーム
54 第2のフレーム
56 第1のブラケット
58 第2のブラケット
60 第1のフレーム面
62 第2のフレーム面
64 第3のフレーム面
66 第4のフレーム面
68 マンドレルアダプタ
70 人頭模型
72 裏当て板
72a 第1の裏当て板
72b 第2の裏当て板
72c 第3の裏当て板
74 接着剤層
76 中央領域
78 外側領域
80 自由端
【国際調査報告】