(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吸音材ブロック及びその製造方法、並びに応用
(51)【国際特許分類】
C08J 9/33 20060101AFI20240920BHJP
C08L 61/28 20060101ALI20240920BHJP
C08L 75/04 20060101ALI20240920BHJP
C08L 33/04 20060101ALI20240920BHJP
C08L 9/08 20060101ALI20240920BHJP
C08L 25/14 20060101ALI20240920BHJP
C08L 23/08 20060101ALI20240920BHJP
C08L 33/02 20060101ALI20240920BHJP
C08L 29/04 20060101ALI20240920BHJP
C08L 1/02 20060101ALI20240920BHJP
C08L 3/00 20060101ALI20240920BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240920BHJP
C08J 9/42 20060101ALI20240920BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C08J9/33 CER
C08L61/28
C08L75/04
C08L33/04
C08L9/08
C08L25/14
C08L23/08
C08L33/02
C08L29/04 B
C08L1/02
C08L3/00
C08K3/34
C08J9/42 CEZ
C09J201/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022576229
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-12-09
(86)【国際出願番号】 CN2022122708
(87)【国際公開番号】W WO2024050899
(87)【国際公開日】2024-03-14
(31)【優先権主張番号】202211077326.5
(32)【優先日】2022-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
【住所又は居所原語表記】A-Block, Nanjing University Research Center Shenzhen Branch, No.6 Yuexing 3rd Road, South Hi-Tech Industrial Park, Nanshan District, Shenzhen Guangdong 518057 People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】汪中洋
(72)【発明者】
【氏名】王和志
(72)【発明者】
【氏名】張捷
【テーマコード(参考)】
4F074
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4F074CA53
4F074CC10Z
4F074CC28Z
4F074CD07
4F074CE04
4F074CE16
4F074CE26
4F074CE35
4F074CE56
4F074CE77
4F074CE86
4F074DA24
4F074DA57
4J002AB03Y
4J002AB05Y
4J002AC08X
4J002BB05X
4J002BB22X
4J002BC07X
4J002BE02Y
4J002BG01Y
4J002BG04X
4J002BG13Y
4J002CC18W
4J002CK02W
4J002CK02X
4J002DJ006
4J002GR00
4J040DB051
4J040DF021
4J040MB05
4J040NA19
(57)【要約】
【課題】本発明には、吸音材ブロック及びその製造方法、並びに応用が提供される。
【解決手段】当該吸音材ブロックは、3次元開孔発泡体、吸音材粉体、接着剤、ゲル化剤及び架橋剤を含み、前記ゲル化剤は、架橋剤及び接着剤により、前記吸音材粉体を互いに接着して三次元開孔発泡体に接続し、前記吸音材粉体の質量によって、前記ゲル化剤は、前記吸音材粉体の1~5wt%を占め、前記接着剤は、前記吸音材粉体の1~8wt%を占め、ゲル化剤の質量によって、前記架橋剤は、前記ゲル化剤の1~10wt%を占める。本発明の吸音材ブロックは、接着剤の添加量を減らすことができ、吸音材ブロックの吸音性能と強度を大幅に向上させる
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元開孔発泡体、吸音材粉体、接着剤、ゲル化剤及び架橋剤を含み、
前記ゲル化剤は、架橋剤及び接着剤により、前記吸音材粉体を互いに接着して三次元開孔発泡体に接続し、前記吸音材粉体の質量によって、前記ゲル化剤は、前記吸音材粉体の1~5wt%を占め、前記接着剤は、前記吸音材粉体の1~8wt%を占め、前記ゲル化剤の質量によって、前記架橋剤は、前記ゲル化剤の1~10wt%を占める、
ことを特徴とする吸音材ブロック。
【請求項2】
前記架橋剤は、N,N′-メチレンビスアクリルアミド、ホウ酸、塩化カルシウム、塩化アルミニウムのうちの1種または複数種である、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸音材ブロック。
【請求項3】
前記3次元開孔発泡体は、その気孔率が60%より大きく、密度が10~100mg/cm
3である、
ことを特徴とする請求項1に記載の吸音材ブロック。
【請求項4】
前記3次元開孔発泡体は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音材ブロック。
【請求項5】
前記吸音材粉体は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなるゼオライト材料である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音材ブロック。
【請求項6】
前記接着材は、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエンラテックス、ポリスチレンメチルアクリレート、ポリスチレン酢酸エステル、ポリウレタン樹脂、ポリエチルビニルアセテート塩のうちの1種または複数種である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音材ブロック。
【請求項7】
前記ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ポリビニルアルコールのうちの1種または複数種である、
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の吸音材ブロック。
【請求項8】
吸音材ブロックの製造方法であって、前記吸音材ブロックは請求項1に記載の吸音材ブロックであり、前記方法は、
吸音材粉体、ゲル化剤、接着剤と溶媒を共同混合し、スラリーAを形成するステップS1と、
前記スラリーAに架橋剤を添加し、均一に攪拌し、スラリーBを得るステップS2と、
前記スラリーBを3次元開孔発泡体に添加し、3次元開孔発泡体にゲルを形成するようにエージングするステップS3と、
エージングされたサンプルを乾燥処理するステップS4と、
乾燥されたサンプルに対し脱水処理を行い、前記吸音材ブロックを得るステップS5と、を含む、
ことを特徴とする吸音材ブロックの製造方法。
【請求項9】
前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、ブタノール及び酢酸エチルのうちの1種または複数種である、
ことを特徴とする請求項8に記載の吸音材ブロックの製造方法。
【請求項10】
収容スペースを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された発音ユニットと、前記発音ユニットとハウジングによって囲まれたリアキャビティとを含むスピーカーであって、
前記リアキャビティには、請求項1に記載の吸音材ブロックが充填されている、
ことを特徴とするスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合材料分野に関し、特に吸音材ブロック及びその製造方法、並びに応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種モバイル端末のオーディオ品質に対する要求はますます高まっており、モバイル端末のオーディオ品質を高めるために、現在、当分野ではふつうスピーカーのリアキャビティに吸音材を充填し、仮想リアキャビティの体積を増加させることで、オーディオ品質を向上させている。
【0003】
通常、吸音材の粉末を接着剤で球状に接着させることで、優れた吸音性能を持たせることを確保している。しかしながら、吸音粒子同士が衝突すると粉落ち、破砕などの劣化現象が発生することがある。これを避けるために、接着剤の吸音材における占有率を高める必要があるが、接着剤の含有量が増加すると、吸音粒子における大量のメソ細孔または細孔の閉塞を招き、吸音性能を大幅に低下させる。したがって、性能と強度の両方の観点から、吸音材粒子における接着剤の含有量は、一定の範囲内に保つ必要があるが、これも吸音材の性能向上を制限している。
【0004】
当分野では、吸音材の強度を増やし、吸音粒子の破砕リスクを低減し、それと同時に吸音性能を高めるために、一般的に吸音材の粉末をブロック材に製造したり、リアキャビティで直接成形したりする方法を採用し、このような方法はプロセスが簡単で、相互衝突による破砕リスクを低減することができる。しかし、このような吸音材ブロックは性能が悪いことが多く、材料粉末が結集しやすく、かつ材料ブロックの破断、粉落ちなどの問題も発生する。
【0005】
したがって、高性能かつ高強度の吸音材ブロック及びその製造方法を提供することは、当分野で早急に解決すべき問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、接着剤の添加量を減らすことができるとともに吸音材ブロックの強度と性能を高めることができる吸音材ブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の技術案は、以下の通りである。吸音材ブロックは、3次元開孔発泡体、吸音材粉体、接着剤、ゲル化剤及び架橋剤を含み、前記ゲル化剤は、架橋剤及び接着剤により、前記吸音材粉体を互いに接着して三次元開孔発泡体に接続し、前記吸音材粉体の質量によって、前記ゲル化剤は、前記吸音材粉体の1~5wt%を占め、前記接着剤は、前記吸音材粉体の1~8wt%を占め、ゲル化剤の質量によって、前記架橋剤は、前記ゲル化剤の1~10wt%を占める。
【0008】
好ましくは、前記架橋剤は、N,N′-メチレンビスアクリルアミド、ホウ酸、塩化カルシウム、塩化アルミニウムのうちの1種または複数種である。
【0009】
好ましくは、前記3次元開孔発泡体は、その気孔率が60%より大きく、密度が10~100mg/cm3である。
【0010】
好ましくは、前記3次元開孔発泡体は、メラミン発泡体またはポリウレタン発泡体である。
【0011】
好ましくは、前記吸音材粉体は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなるゼオライト材料である。
【0012】
好ましくは、前記接着材は、ポリアクリル酸エステル、スチレンブタジエンラテックス、ポリスチレンメチルアクリレート、ポリスチレン酢酸エステル、ポリウレタン樹脂、ポリエチルビニルアセテート塩のうちの1種または複数種である。
【0013】
好ましくは、前記ゲル化剤は、ヒドロキシメチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム、キトサン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ポリビニルアルコールのうちの1種または複数種である。
【0014】
一方、本発明は、本発明の吸音材ブロックの製造方法をさらに提供し、前記方法は、
以下のステップS1~S5を含む。
S1:吸音材粉体、ゲル化剤、接着剤と溶媒を共同混合し、スラリーAを形成すること、
S2:前記スラリーAに架橋剤を添加し、均一に攪拌し、スラリーBを得ること、
S3:前記スラリーBを3次元開孔発泡体に添加し、3次元開孔発泡体にゲルを形成するようにエージングすること、
S4:エージングされたサンプルを乾燥処理すること、
S5:乾燥されたサンプルに対し脱水処理を行い、前記吸音材ブロックを得ること。
【0015】
好ましくは、前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、ブタノール及び酢酸エチルのうちの1種または複数種である。
【0016】
それに応じて、本願は、スピーカーをさらに提供し、前記スピーカーは、収容スペースを有するハウジングと、前記ハウジング内に配置された発音ユニットと、前記発音ユニットとハウジングによって囲まれたリアキャビティとを含み、前記リアキャビティには、本発明の吸音材ブロックが充填されている。
【0017】
本発明の方法によれば、スラリーAの形成ステップS1において、当分野における任意の周知方法を利用して吸音材粉体、ゲル化剤、接着剤と溶剤をブレンドすることができる。室温と攪拌の下でブレンドすることが好ましく、超音波を印加しながらブレンドすることがより好ましい。ブレンド時間はとくに制限されず、均一に混合できればよく、一般的に30~120minで均一に混合できる。
【0018】
本発明の方法によれば、スラリーBの形成ステップS2において、攪拌時間はとくに制限されず、均一に混合できればよく、一般的には5~30minで均一に混合することができ、室温で行うことが好ましい。
【0019】
本発明の方法によれば、ゲルの形成ステップS3において、当分野における任意の周知方法を利用してスラリーBを3次元開孔フォームに添加することができ、滴下によりスラリーBを3次元開孔フォームに添加することが好ましく、室温でエージングすることが好ましく、エージング時間は一般的に30~120minである。
【0020】
本発明の方法によれば、乾燥ステップS4において、当分野における任意の周知方法で乾燥すればよく、凍結乾燥方式で乾燥処理することが好ましい。
【0021】
本発明の方法によれば、脱水ステップS5において、当分野における任意の周知方法で脱水すればよく、ベーキングによる脱水することが好ましく、ベーキング温度は一般的に50~100℃で、ベーキング時間は一般的に1~6hである。
【0022】
また、本願は、本発明の吸音材ブロックを電子機器のスピーカーに適用することに関し、前記電子機器はスマホ、腕時計、タブレット、スマートスピーカー、ノートブック、テレビ及び自動車などを含むが、これらに限定されない。
【0023】
本発明の吸音材ブロックをスピーカーに適用する場合、まず3次元開孔フォームをスピーカーのリアキャビティに適合する形状、例えば球体、楕円体、四面体、六面体またはスピーカーのリアキャビティに適合する他の任意の形状にカットすることができる。
【発明の効果】
【0024】
従来技術と比べて、本発明の利点は下記の通りである。
【0025】
まず、サンプル製造時にゲル化剤と架橋剤を添加して架橋構造を形成することで、接着剤の添加量を減らすことができるため、吸音粉末材料表面の穴を塞ぐことがなく、吸音性能を高めることができる。
【0026】
次に、ゲル化剤の架橋構造と発泡体骨格による二重作用は低接着剤含有量時のサンプルの強度を顕著に高めることができる。
【0027】
また、ゲル化剤は、吸音粉末を溶剤中に均一に分散させ、結集しにくく、長時間静置しても沈降せず、工業的な生産に有利である。
【0028】
最後に、本発明は製造プロセスが簡単で、吸音材ブロックの吸音性能と強度を高めるとともに、吸音材の組み立て効率を高めることができる。
【0029】
本発明の以下の説明と図面を組み合わせると、本発明の特徴と他の目的と利点などは明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施例1における吸音材ブロック表面のSEM図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施例1における吸音材ブロックの切断が100μmのところにあるSEM図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施例1における吸音材ブロックの切断が20μmのところにあるSEM図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本願において、用語「室温」とは、18~25℃の環境温度を指す。
【0032】
3次元開孔発泡体をホルダーとし、ゲル化剤、架橋剤及び接着剤を用いて吸音材粉体を互いに接着して、3次元開孔発泡体ホルダーに接続することにより、本発明には、新しい吸音材ブロックが製造されている。本発明の方法で製造された吸音材ブロックは優れた吸音性能を有するだけでなく、その強度も顕著に向上している。
【0033】
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、ここに記載される具体的な実施例は本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
製造実施例
実施例1
【0034】
本実施例では、次に示すステップによって吸音材ブロックを製造する。
【0035】
アルギン酸ナトリウム0.05gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なアルギン酸ナトリウム水溶液を形成し、その後、前記アルギン酸ナトリウム水溶液にゼオライト材料4gとスチレンブタジエンラテックス0.2g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌かつ超音波処理を20min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブ及びFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0036】
塩化カルシウム0.005gをスラリーAに加え、室温で10min攪拌し、スラリーBを得る。
【0037】
スラリーBを吸い上げ、メラミン発泡体材料に滴下し、室温で60minエージングする。ここで、前記メラミン発泡体の密度は10~100mg/cm3であり、気孔率は60%より大きい。
【0038】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0039】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
【0040】
得られた吸音材ブロックの表面と断面はそれぞれ走査型電子顕微鏡でスキャンされる。そのうち、吸音材ブロックの表面のSEM図を
図1に示し、断面のSEM図を
図2と
図3に示す。図からわかるように、メラミン発泡体ではゼオライト材料の粉末が互いに接着し、メラミン発泡体ホルダーに接続するゲル架橋構造を形成している。
実施例2
【0041】
本実施例では、次に示すステップによって吸音材ブロックを製造する。
【0042】
ポリアクリルアミド0.08gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なポリアクリルアミド水溶液を形成し、その後、前記ポリアクリルアミド水溶液にゼオライト材料5gとポリスチレン酢酸エステル0.15g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌かつ超音波処理を20min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0043】
N,N′-メチレンビスアクリルアミド0.005gをスラリーAに加え、室温で10min攪拌し、スラリーBを得る。
【0044】
スラリーBを吸い上げ、メラミン発泡体材料に滴下し、室温で60minエージングする。ここで、前記メラミン発泡体の密度は10~100mg/cm3であり、気孔率は60%より大きい。
【0045】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0046】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
【0047】
得られた吸音材ブロックの表面と断面はそれぞれ走査型電子顕微鏡でスキャンされ、得られたSEM図は実施例1と類似する。図から明らかにわかるように、メラミン発泡体ではゼオライト材料の粉末が互いに接着し、メラミン発泡体ホルダーに接続するゲル架橋構造を形成している。
実施例3
【0048】
本実施例では、次に示すステップで吸音材ブロックを製造する。
【0049】
ポリアクリル酸ナトリウム0.1gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なポリアクリル酸ナトリウム水溶液を形成し、その後、前記ポリアクリル酸ナトリウム水溶液にゼオライト材料4.5gとポリアクリル酸エステル0.3g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌し、超音波処理を40min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0050】
N,N′-メチレンビスアクリルアミド0.008gをスラリーAに加え、室温で10min攪拌し、スラリーBを得る。
【0051】
スラリーBを吸い上げ、ポリウレタン発泡体材料に滴下し、室温で60minエージングする。ここで、前記ポリウレタン発泡体の密度は10~100mg/cm3であり、気孔率は60%より大きい。
【0052】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0053】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
【0054】
得られた吸音材ブロックの表面と断面はそれぞれ走査型電子顕微鏡でスキャンされ、得られたSEM図は実施例1と類似する。図から明らかにわかるように、ポリウレタン発泡体ではゼオライト材料の粉末が互いに接着し、ポリウレタン発泡体ホルダーに接続されるゲル架橋構造を形成している。
比較例1
【0055】
本比較例では、次に示すステップによって吸音材ブロックを製造する。
【0056】
アルギン酸ナトリウム0.05gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なアルギン酸ナトリウム水溶液を形成し、その後、前記アルギン酸ナトリウム水溶液にゼオライト材料4gとスチレンブタジエンラテックス0.1g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌かつ超音波処理を20min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0057】
スラリーAを吸い上げ、メラミン発泡体材料に滴下し、室温で60minエージングする。ここで、メラミン発泡体の密度は10~100mg/cm3であり、気孔率は60%より大きい。
【0058】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0059】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
比較例2
【0060】
本比較例では、次に示すステップによって、吸音材ブロックを製造する。
【0061】
ポリアクリルアミド0.08gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なポリアクリルアミド水溶液を形成し、その後、前記ポリアクリルアミド水溶液にゼオライト材料4gとポリスチレン酢酸エステル0.8g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌かつ超音波処理を20min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0062】
スラリーAを吸い上げ、メラミン発泡体材料に滴下し、室温で60minエージングする。ここで、前記メラミン発泡体の密度は10~100mg/cm3であり、気孔率は60%より大きい。
【0063】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0064】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
比較例3
【0065】
本比較例では、次に示すステップで吸音材ブロックを製造する。
【0066】
アルギン酸ナトリウム0.05gを秤量し、室温で、水8gに入れて20min撹拌し、均一で透明なアルギン酸ナトリウム水溶液を形成し、その後、前記アルギン酸ナトリウム水溶液にゼオライト材料4gとスチレンブタジエンラテックス0.2g(固形分50wt%)を加え、引き続き撹拌かつ超音波処理を20min行い、スラリーAを得る。ここで、前記ゼオライト材料は、シリコンアルミニウム比が100を超えかつ粒径が10μm未満であるMFIモレキュラーシーブ、MELモレキュラーシーブおよびFERモレキュラーシーブのうちの1種または複数種からなる。
【0067】
塩化カルシウム0.005gをスラリーAに加え、室温で10min攪拌し、スラリーBを得る。
【0068】
スラリーBを吸い上げ、テフロン(登録商標)モールドに滴下し、室温で60minエージングする。
【0069】
そして、凍結乾燥機を用いて、エージングされたサンプルを凍結乾燥処理する。
【0070】
凍結乾燥処理完了後、得られたサンプルを80℃の環境に置いて、2hベーキングして脱水処理を行い、所望の吸音材ブロックを得る。
音響性能試験
【0071】
通常の吸音粒子を対照として、実施例1~3及び比較例1~3の吸音材ブロックについて、音響性能試験を行う。
【0072】
スピーカーの共振周波数の測定方法に基づいて、実施例1~3及び比較例1~3の吸音材ブロックをそれぞれ試験装置に入れ、インピーダンスアナライザーを用いてその共振周波数(F0)の低下値(すなわちΔF0)を測定し、ここで、F0の低下は共振周波数が低周波に移動する程度を示し、一般的にΔF0が大きいほど、スピーカーの低周波性能が良好になる。
【0073】
実験では、各サンプルは10mm*12mm*2mm/0.24cm3(0.4ccと略す)の立方体に製造され、採用される通常の吸音粒子の体積も0.24cc、試験装置のスピーカーのリアキャビティの体積も0.4ccである。
【0074】
また、落下試験により、実施例1~3及び比較例1~3の吸音材ブロックの落下破損状況を測定する。
【0075】
【0076】
上記の表のデータによると、本発明の実施例1~3における吸音材ブロックの吸音性能は、いずれも通常の吸音粒子よりも優れており、且つ粉落ちしないことがわかる。実施例1~3間の性能の差は、添加されるゲル化剤の違いと、添加されるゼオライト含有量の違いによるものである。
【0077】
比較例1のサンプルの場合、吸音性能は実施例1よりも優れているが、架橋剤が添加されておらず、吸音粉末がゲル架橋構造を形成していないため、サンプルの粉落ちがひどい。比較例2では、接着剤の含有量を高めたが、架橋剤は添加されておらず、比較例2のサンプルは落下実験に合格し、粉落ちは発生しなかったが、その吸音性能は大きく低下した。比較例3では、スラリーBは直接にモールドで乾燥され、そのサンプルの吸音性能が高かったが、発泡体ホルダーの支持がないため、サンプル落下後に破断と粉落ちが発生した。
【0078】
以上、本発明の目的、技術案、および利点について詳細に説明したが、上記の説明は、本発明の実施形態および特定の実施例にすぎず、本発明の保護範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本発明の精神および原理の範囲内で、いかなる修正、均等置換、改良なども、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。
【国際調査報告】