(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】触覚フィードバック信号の生成方法、電子機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
H02P31/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022577190
(86)(22)【出願日】2022-11-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2022133520
(87)【国際公開番号】W WO2024055416
(87)【国際公開日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】202211118787.2
(32)【優先日】2022-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522235216
【氏名又は名称】エーエーシー アコースティック テクノロジーズ (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【氏名又は名称】大行 尚哉
(74)【代理人】
【識別番号】100087859
【氏名又は名称】渡辺 秀治
(72)【発明者】
【氏名】マァン ズァン イォウ
(72)【発明者】
【氏名】鄭亜軍
(72)【発明者】
【氏名】向征
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA30
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ26
(57)【要約】
【課題】本発明には、触覚フィードバック信号の生成方法、電子機器及び記憶媒体が提供される。
【解決手段】当該同触覚フィードバック信号の生成方は、初期触覚フィードバック信号を取得することと、初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングし、初期触覚フィードバック信号の周波数領域内における初期スペクトル図を得ることと、初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整し、目標スペクトル図を得ることと、目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングし、目標触覚フィードバック信号を得ることと、を含む。本願では、初期スペクトル図における任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することで、大量で、それぞれ異なる触覚フィードバック効果を有する目標触覚フィードバック信号を得ることができ、触覚フィードバック信号の豊富さを効果的に高めることができる
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期触覚フィードバック信号を取得することと、
前記初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングし、前記初期触覚フィードバック信号の周波数領域内における初期スペクトル図を得ることと、
前記初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整し、目標スペクトル図を得ることと、
前記目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングし、目標触覚フィードバック信号を得ることと、を含む、
ことを特徴とする触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項2】
前記初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することは、前記初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分に予め設定された重み関数を乗算して、前記任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項3】
前記予め設定された重み関数は、線形関数、ハニング窓関数及びガウス窓関数のうちのいずれか1種を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項4】
前記初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングすることは、前記初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングするように、前記初期触覚フィードバック信号に対してフーリエ変換を行うことを含み、
前記目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングすることは、前記目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングするように、前記目標スペクトル図に対応する信号に対してフーリエ変換の逆変換を行うことを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項5】
前記フーリエ変換は次の式で示される、
ここで、
は回転因子を示し、k=0、1、...、N-1、n=0、1、...、N-1である、
ことを特徴とする請求項4に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項6】
初期触覚フィードバック信号を取得することは、
加速度信号を取得することであって、ここで、前記加速度信号とは、電子機器において触覚フィードバック動作を出力するための触覚フィードバックデバイスに必要な加速度のことを指し、前記加速度信号は所望の触覚フィードバック効果に基づいて生成されることと、
前記加速度信号を電圧信号に変換して初期触覚フィードバック信号とすることと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項7】
前記加速度信号を電圧信号に変換することは、振動システムの電気機械結合方程式に基づいて前記加速度信号を電圧信号に変換することを含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項8】
前記振動システムの電気機械結合方程式は下記の通りである、
ここで、mは前記触覚フィードバックデバイスにおける振動子の質量、cは前記触覚フィードバックデバイスの機械的ダンピング、kは前記触覚フィードバックデバイスのバネ係数、BLは電気機械結合係数、R
eは前記触覚フィードバックデバイスにおけるコイルの抵抗、L
eは前記コイルのインダクタンス、iは電流、uは電圧、xは変位、
は速度、
は加速度である、
ことを特徴とする請求項7に記載の触覚フィードバック信号の生成方法。
【請求項9】
いずれも請求項1~8のいずれか1項に記載の触覚フィードバック信号の生成方法によって生成された複数の触覚フィードバック信号が記憶されたメモリを含む、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
プロセッサと触覚フィードバックデバイスとをさらに含み、
前記プロセッサは、異なるトリガ命令に基づいて前記メモリ内から異なる触覚フィードバック信号を選択し、さらに選択された触覚フィードバック信号を前記触覚フィードバックデバイスに入力するために使われ、
前記触覚フィードバックデバイスは、受信した触覚フィードバック信号に基づいて対応する触覚フィードバック動作を出力するために使われる、
ことを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記触覚フィードバックデバイスは、モータとブレーキのいずれか1種を含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
メモリと少なくとも1つのプロセッサとを含み、ここで、前記メモリは、少なくとも1つのプログラムを記憶するために使われ、かつ前記少なくとも1つのプログラムが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行された時に、前記少なくとも1つのプロセッサは、請求項1~8のいずれか1項に記載の触覚フィードバック信号の生成方法を実行する、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、実行可能な命令が記憶され、前記実行可能な命令が実行された時に、請求項1~8のいずれか1項に記載の触覚フィードバック信号の生成方法を実行する、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は触覚フィードバック技術分野に関し、特に触覚フィードバック信号の生成方法、電子機器及び記憶媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
触覚フィードバック技術は聴覚フィードバック技術、視覚フィードバック技術に続く新型フィードバック技術であり、様々な電子機器、特に携帯電話、タブレットなどの消費者用電子機器に広く応用されている。触覚フィードバック技術は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて、作用力や振動などの動作を補助する触覚フィードバックメカニズムであり、人間の実際の触覚体験をシミュレーションし、ユーザーはリアリティのある、より強い没入型感覚体験を得ることができる。
【0003】
従来技術では、電子機器出荷前に多くの触覚フィードバック信号が格納されることが多く、これらの触覚フィードバック信号は予め設計者に設計され、それぞれ異なる触覚フィードバック効果を持っている。実際の応用では、電子機器は、クリック、長押し、スライドなど、ユーザーが入力したさまざまなトリガ命令に応じて異なる触覚フィードバック信号を呼び出して、呼び出された触覚フィードバック信号をモータやブレーキなどの触覚フィードバック装置に入力して、触覚フィードバック装置が受信した触覚フィードバック信号に応じて作用力や振動などの相応する触覚フィードバック動作を出力して、ユーザーに相応する触覚フィードバック効果を提供することができる。しかしながら、デザイナーは触覚フィードバック信号を設計する過程で2つの弊害が普遍的に存在している。第一、デザイナーは大量の触覚フィードバック信号を設計するのに要する時間が長く、迅速性が悪い。第二、触覚フィードバック信号に対応する触覚フィードバック効果は単一であり、豊かさが足りない。
【0004】
従って、前記触覚フィードバック信号の生成方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、触覚フィードバック信号に対応する触覚フィードバック効果は単一であり、豊かさが足りないという従来技術の問題を解決するための触覚フィードバック信号の生成方法、電子機器及び記憶媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1態様では、本願の実施例は、触覚フィードバック信号の生成方法を提供し、初期触覚フィードバック信号を取得することと、前記初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングし、前記初期触覚フィードバック信号の周波数領域内における初期スペクトル図を得ることと、前記初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整し、目標スペクトル図を得ることと、前記目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングし、目標触覚フィードバック信号を得ることと、を含む。
【0007】
第2態様では、本願の実施例は、電子機器を提供し、本願の実施例の第1態様に記載の触覚フィードバック信号の生成方法によって生成された複数の触覚フィードバック信号が記憶されたメモリを含む。
【0008】
第3態様では、本願の実施例は、別の電子機器を提供し、メモリと少なくとも1つのプロセッサとを含み、ここで、前記メモリは、少なくとも1つのプログラムを記憶するために使われ、かつ前記少なくとも1つのプログラムが前記少なくとも1つのプロセッサによって実行された時に、前記少なくとも1つのプロセッサは、本願の実施例の第1態様に記載の触覚フィードバック信号の生成方法を実行する。
【0009】
第4態様では、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、実行可能な命令が記憶され、前記実行可能な命令が実行された時に、本願の実施例の第1態様に記載の触覚フィードバック信号の生成方法を実行する。
【発明の効果】
【0010】
上記の説明から分かるように、従来技術と比べて、本願の有益な効果、以下の通りである。
【0011】
まず、取得された初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングし、初期触覚フィードバック信号の周波数領域における初期スペクトル図を得る。次に、初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整して、目標スペクトル図を得る。最後に、目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングして、目標触覚フィードバック信号を得る。電子機器における触覚フィードバックデバイスは目標触覚フィードバック信号に基づいて対応する触覚フィードバック動作を出力して、対応する触覚フィードバック効果を達成することができる。このことから、初期スペクトル図は複数の周波数帯域からなることがわかる。本願では、初期スペクトル図における任意の周波数帯域(1つまたは複数)の高調波成分の振幅値を調整することにより、初期触覚フィードバック信号を新しい触覚フィードバック信号、すなわち目標触覚フィードバック信号に変換する。理解できるように、振幅値調整時に選択される周波数帯域が異なると、得られる目標触覚フィードバック信号が異なり、異なる目標触覚フィードバック信号は異なる触覚フィードバック効果に対応する。したがって、本願では、初期スペクトル図における任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することで、大量で、それぞれ異なる触覚フィードバック効果を有する目標触覚フィードバック信号を得ることができ、触覚フィードバック信号の豊富さを効果的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
関連技術または本願の実施例における技術案をより明確に説明するために、以下、関連技術または本願の実施例の説明に必要な図面を簡単に説明し、明らかに、以下説明された図面は、本願のいくつかの実施例に過ぎず、すべての実施例ではなく、当業者であれば、進歩的な労働をしなくても、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】
図1は、本願の実施例に係る触覚フィードバック信号の生成方法のフローチャート概略図である。
【
図2】
図2は、本願の実施例に係る初期スペクトル図である。
【
図3】
図3は、本願の実施例に係る初期スペクトル図と目標スペクトル図との比較図である。
【
図4】
図4は、本願の実施例に係る第1電子機器のモジュールブロック図である。
【
図5】
図5は、本願の実施例に係る第2電子機器のモジュールブロック図である。
【
図6】
図6は、本願の実施例が提供するコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のモジュールブロック図である。
【
図7】
図7は、本願の実施例が提供する触覚フィードバック信号の生成から利用までのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本願の目的、技術案及び利点をより明確にかつ理解しやすくするために、以下では、本願の実施例及び対応する図面を組み合わせて本願を明確かつ完全に説明する。ここで、最初から最後まで同一又は類似の符号が同一又は類似の要素又は同一又は類似の機能を有する要素を表す。以下に説明する本願の様々な実施例は、本願を説明するためだけに使用され、本願を限定するために使用されないこと、すなわち、本願の様々な実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他の実施例は、本願の保護範囲に属することを理解すべきである。また、以下に説明する本願の様々な実施例に係る技術的特徴は、互いに衝突が形成されていない限り互いに組み合わされてもよい。
【0014】
図1を参照すると、
図1は、本願の実施例に係る触覚フィードバック信号の生成方法のフローチャート概略図であり、
図1に示すように、この触覚フィードバック信号の生成方法には下記のステップ101~104が含まれる。
【0015】
ステップ101:初期触覚フィードバック信号を取得する。
【0016】
本願の実施例では、所望の触覚フィードバック信号を生成する時に、まず初期触覚フィードバック信号を取得する必要があり、この触覚フィードバック信号は所望の触覚フィードバック効果に基づいて生成され、例えば、戦闘ゲームにおいて、電子機器は打撃効果のある触覚フィードバックをユーザーに提供する必要があり、このような場合、必要な打撃効果に基づいて初期触覚フィードバック信号を生成することができる。さらに、シューティングゲームにおいて、電子機器は銃器の反動力効果を持つ触覚フィードバックをユーザーに提供する必要があり、このような場合、銃器の反動力効果に基づいて初期触覚フィードバック信号を生成することができる。具体的には、初期触覚フィードバック信号とは、実際に、電子機器において触覚フィードバック動作を出力するための触覚フィードバックデバイスに必要な駆動信号のことを指す。
【0017】
ステップ102:初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングし、初期触覚フィードバック信号の周波数領域内における初期スペクトル図を得る。
【0018】
本願の実施例では、初期触覚フィードバック信号を取得した後、初期触覚フィードバック信号の周波数領域における初期スペクトル図を得るために、初期触覚フィードバック信号を現在位置している時間領域から周波数領域にマッピングする必要がある。例えば、初期スペクトル図は
図2に示すようなものであってもよい。
【0019】
ステップ103:初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整し、目標スペクトル図を得る。
【0020】
本願の実施例では、初期スペクトル図を得た後、目標スペクトル図を得るために、初期スペクトル図内の任意の周波数帯域(1つまたは複数)の高調波成分の振幅値を調整する必要がある。理解できるように、初期スペクトル図は初期触覚フィードバック信号に対応し、そのうちの各周波数帯域の高調波成分の振幅値は一定であり、ステップ103によって、初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整した後、初期スペクトル図と異なる新しいスペクトル図を得ることができ、この新しいスペクトル図も初期触覚フィードバック信号に対応せず、新しい触覚フィードバック信号に対応し、この新しい触覚フィードバック信号は即ちステップ104における目標触覚フィードバック信号である。
【0021】
例えば、より集中的でてきぱきした触覚フィードバックを得たいなら、初期スペクトル図における低周波高調波成分を抑制するとともに、初期スペクトル図における高調波成分を増加することができる。ここで、振幅値調整前の初期スペクトル図と振幅値調整後の目標スペクトル図との比較図を
図3に示し、初期スペクトル図では400~500Hzと500~600Hzの2つの周波数帯域の高調波成分を選んで振幅値の調整を行うことができ、具体的にはこれら2つの周波数帯域の高調波成分の振幅値占有率を上げることができる。
【0022】
ステップ104:目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングし、目標触覚フィードバック信号を得る。
【0023】
本願の実施例では、この新しい触覚フィードバック信号を得るために、目標スペクトル図を得た後、目標スペクトル図に対応する新しい触覚フィードバック信号を現在位置している周波数領域から時間領域にマッピングする必要がある。この新しい触覚フィードバック信号は目標触覚フィードバック信号と呼ばれる。理解できるように、目標触覚フィードバック信号は即ち最終的な触覚フィードバック信号であり、目標触覚フィードバック信号を電子機器内の触覚フィードバックデバイスに入力することができ、これによって、触覚フィードバックデバイスは目標触覚フィードバック信号に基づいて対応する触覚フィードバック動作を出力し、対応する触覚フィードバック効果を達成することができる。
【0024】
以上のことから分かるように、初期スペクトル図は複数の周波数帯域からなり、本願の実施例では、初期スペクトル図における任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することにより、初期触覚フィードバック信号を新しい触覚フィードバック信号、すなわち目標触覚フィードバック信号に変換し、理解できるように、振幅値調整時に選択される周波数帯域が異なると、得られる目標触覚フィードバック信号が異なり、異なる目標触覚フィードバック信号は異なる触覚フィードバック効果に対応し、したがって、本願の実施例では、初期スペクトル図における任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することで、大量で、それぞれ異なる触覚フィードバック効果を有する目標触覚フィードバック信号を得ることができ、触覚フィードバック信号の豊富さを効果的に高めることができるとともに、この過程がソフトウェアプログラムによって実現されるため、数秒またはそれより短い時間内に実現することができ、デザイナーが大量の触覚フィードバック信号を設計する時に要する時間を短縮し、触覚フィードバック信号の生成の迅速性を良好に満たすことができる。
【0025】
1つの実施形態として、ステップ101は、具体的には、加速度信号を取得することと、加速度信号を電圧信号に変換して初期触覚フィードバック信号とすることと、を含み、ここで、加速度信号は所望の触覚フィードバック効果に基づいて生成され、加速度信号とは、実際に電子機器において触覚フィードバック動作を出力するための触覚フィードバックデバイスに必要な加速度のことを指し、例えば、触覚フィードバックデバイスがリニアモータである場合、加速度信号はリニアモータに必要な加速度を示し、つまり、リニアモータの加速度が加速度信号に適合した場合、それによって出力される触覚フィードバック動作は所望の触覚フィードバック効果に達することができる。
【0026】
1つの具体的な実施例では、加速度等化式に基づいて加速度信号を電圧信号に変換することができる。すなわち、振動システムの電気機械結合方程式に基づいて加速度信号を電圧信号に変換することができ、振動システムの電気機械結合方程式は下記の通りである。
【0027】
ここで、mは触覚フィードバックデバイスにおける振動子の質量、cは触覚フィードバックデバイスの機械的ダンピング、kは触覚フィードバックデバイスのバネ係数、BLは電気機械結合係数、R
eは触覚フィードバックデバイスにおけるコイルの抵抗、L
eはコイルのインダクタンス、iは電流、uは電圧、xは変位、
は速度(
は変位が時間に対して1次微分係数を求めることを意味する)、
は加速度(
は変位が時間に対して2次微分係数を求めることを意味する)である。
【0028】
理解できるように、振動システムの電気機械結合方程式は主に電圧と変位の間の変換に関し、変換の形態には2種類があり、1つは変位応答計算であり、すなわち電圧は既知であり、上記の電気機械結合方程式によって変位、速度または加速度を求める。もう一つは等化アルゴリズムであり、変位、速度または加速度は既知であり、上記の電気機械結合方程式によって電圧を求める。本具体的な実施例は等化アルゴリズムに基づいて加速度信号を電圧信号に変換したものである。
【0029】
1つの実施形態として、ステップ102における「初期触覚フィードバック信号を時間領域から周波数領域にマッピングする」ことは、具体的に、初期触覚フィードバック信号を現在位置している時間領域から周波数領域にマッピングするように、初期触覚フィードバック信号に対してフーリエ変換を行うことを含むことができる。
【0030】
1つの具体的な実施例では、フーリエ変換は次の式で示される。
【0031】
ここで、
は回転因子を示し、k=0、1、...、N-1、n=0、1、...、N-1である。
【0032】
相応的に、ステップ104における「目標スペクトル図に対応する信号を周波数領域から時間領域にマッピングする」ことは、具体的には、目標スペクトル図に対応する新しい触覚フィードバック信号を現在位置している周波数領域から時間領域にマッピングするように、目標スペクトル図に対応する新しい触覚フィードバック信号、すなわち目標触覚フィードバック信号に対して、フーリエ変換の逆変換を行うことを含むことができる。
【0033】
1つの実施形態として、ステップ103における「初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整する」ことは、具体的には、初期スペクトル図内の任意の周波数帯域の高調波成分に予め設定された重み関数を乗算して、対応する周波数帯域の高調波成分の振幅値を調整することを含むことができる。理解できるように、本実施形態では、初期スペクトル図内で予め設定された重み関数と乗算していない周波数帯域の高調波成分の重みは1であり、即ちその振幅値をそのまま維持する。
【0034】
1つの具体的な実施例では、予め設定された重み関数はハニング窓関数である。もちろん、他の具体的な実施例では、予め設定された重み関数は、線形関数やガウス窓関数など、当分野でよく使われる他の重み関数を選択してもよい。理解できるように、選択された重み関数によって振幅値の調整程度が異なり、同一の重み関数自体のパラメータによって振幅値の調整程度も異なり、また、初期スペクトル図における異なる周波数帯域に対して、同一の重み関数を採用してもよいし、異なる重み関数を採用してもよい。
【0035】
なお、上記の実施形態は、本願の実施例の好適な形態のみであり、ステップ101~104の具体的な流れに対する唯一の限定ではない。これに対して、当業者は、本願の実施例に基づいて、実用シーンに応じて柔軟な設定を行うことができる。
【0036】
図4を参照すると、
図4は本願の実施例に係る第1電子機器のモジュールブロック図である。本願の実施例では、さらにプロセッサと、メモリと、触覚フィードバックデバイスと、を含む電子機器を提供する。ここで、メモリは複数の触覚フィードバック信号を記憶するために使われ、この複数の触覚フィードバック信号はいずれも本願の実施例に提供された前記触覚フィードバック信号の生成方法に基づいて生成されたものである。プロセッサは、異なるトリガ命令に基づいてメモリ内から異なる触覚フィードバック信号を選択し、さらに選択された触覚フィードバック信号を触覚フィードバックデバイスに入力するために使われ、触覚フィードバックデバイスは、受信した触覚フィードバック信号に基づいて対応する触覚フィードバック動作を出力するために使われる。本願の実施例において、触覚フィードバックデバイスは、例えばリニアモータや偏心回転質量モータなどのモータと、リニア共振ブレーキや圧電ブレーキなどのブレーキと、を含んでもよいが、これらに限定されない。触覚フィードバック動作は、作用力と振動を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0037】
さらに、前記電子機器は、ユーザーから入力されたトリガ命令を感知し、感知されたトリガ命令をプロセッサに送信するトリガを含んでもよい。ここで、トリガ命令は、クリック、長押し、短押し、スライドおよび特定図形の作成を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0038】
さらに、前記電子機器は、プロセッサがメモリから選択した触覚フィードバック信号に基づいて駆動信号を生成し、触覚フィードバックデバイスが対応する触覚フィードバック動作を出力するように駆動するための駆動回路を含んでもよい。
【0039】
図5を参照すると、
図5は本願の実施例に係る別の電子機器のモジュールブロック図である。
【0040】
図5に示すように、本願の実施例には、別の電子機器500をさらに提供し、当該電子機器500は、メモリ510と少なくとも1つのプロセッサ520とを含む。ここで、メモリ510は、少なくとも1つのプログラムを記憶するために使われ、かつ少なくとも1つのプログラムが少なくとも1つのプロセッサ520によって実行された時に、少なくとも1つのプロセッサ520は、本願の実施例に係る触覚フィードバック信号の生成方法を実行する。
【0041】
いくつかの実施例では、電子機器500は、メモリ510と少なくとも1つのプロセッサ520との間の通信接続のためのバス530をさらに含んでもよい。
【0042】
図6を参照すると、
図6は、本願の実施例に係るコンピュータ読み取り可能な記憶媒体のモジュールブロック図である。
【0043】
図6に示すように、本願の実施例は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体600をさらに提供し、当該コンピュータ読み取り可能な記憶媒体600には、実行可能な命令610が記憶され、前記実行可能な命令610が実行された時に、本願の実施例に係る触覚フィードバック信号の生成方法を実行する。
【0044】
以上のように、本願の実施例は触覚フィードバック信号の生成と利用に関するものであり、触覚フィードバック信号の生成から利用までの過程は
図7を参照することができる。具体的には、
ステップ701:所望の触覚フィードバック効果を決定し、所望の触覚フィードバック効果に基づいて触覚フィードバックデバイスに必要な加速度信号を生成することと、
ステップ702:加速度等化式に基づいて加速度信号を電圧信号に変換して、初期触覚フィードバック信号とすることと、
ステップ703:初期触覚フィードバック信号を本願の実施例に係る前記触覚フィードバック信号の生成方法を実行するための電子機器に入力することであって、ここで、前記電子機器は、本願の実施例に係る前記触覚フィードバック信号の生成方法を実行することにより、初期触覚フィードバック信号と異なる目標触覚フィードバック信号を得ることと、
ステップ704:電子機器によって出力された目標触覚フィードバック信号を得ることと、
ステップ705:目標触覚フィードバック信号を触覚フィードバックデバイスに入力し、触覚フィードバックデバイスは、対応する触覚フィードバック効果を達成するように、これに基づいて対応する触覚フィードバック動作を出力することと、を含む。
【0045】
ステップ701~705における各ステップのより詳しい流れは、前述に示す関係部分の説明を参照すればよく、本願の実施例について、ここでは繰り返して説明しない。
【0046】
本願で開示した実施例に記載された方法またはアルゴリズムのステップは、直接、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、または両者の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM、電気的消去可能プログラマブルROM、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または技術分野で周知される他のいかなる形態の記憶媒体に格納することができる。
【0047】
上記実施例において、全部または一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせによって実現することができる。ソフトウェアを用いて実現する場合、その全部または一部はコンピュータプログラム製品の形で実現してもよい。コンピュータプログラム製品には、1つまたは複数のコンピュータ命令が含まれる。コンピュータに前記コンピュータプログラム命令をロード・実行する時、本願に記載するフローまたは機能を全面的または部分的に生成する。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラマブル装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶してもよく、あるいは、あるコンピュータ読み取り可能な記憶媒体から他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に伝送してもよい。例えば、コンピュータ命令は、あるウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターから、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、デジタルユーザーケーブルなど)または無線(赤外線、無線、マイクロ波など)によって、他のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンターに伝送することができる。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、コンピュータがアクセス可能な任意の利用可能な媒体であってもよいし、1つまたは複数の利用可能な媒体で統合されたサーバ、データセンターなどのデータ記憶デバイスであってもよい。利用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープ)、光学メディア(例えば、DVD)、又は半導体メディア(例えば、ソリッドステートディスクSolid State Disk)などであってもよい。
【0048】
なお、本願の内容における各実施例は、漸進的に説明され、各実施例が他の実施例と異なる点を重点的に説明しており、各実施例の間の同じ類似部分は互いに参照すればよい。製品クラスの実施例については、方法クラスの実施例と類似しているため、説明は比較的簡単であり、関連点は方法クラスの実施例の一部の説明を参照すればよい。
【0049】
また、本願の内容において、第1および第2などの関係用語は、必ずしもこれらのエンティティまたは操作間にそのような実際の関係または順序が存在することを要求または暗示することなく、1つのエンティティまたは操作を別のエンティティまたは操作と区別するためにのみ使用されることを説明する必要がある。さらに、用語「備える」、「含む」、またはその他の任意の変形は、非独占的包含をカバーすることを意図しており、これによって、一連の要素を含むプロセス、方法、物品、または機器は、それらの要素だけでなく、明示的にリストされていない他の要素、または、そのようなプロセス、方法、部品、または機器に固有の要素も含む。これ以上の制限がない場合、文句「1つの……を備える」によって限定された要素は、その要素を含むプロセス、方法、部品、または機器に別の同じ要素が存在することを除外しない。
【0050】
開示された実施例の上記の説明は、当業者が本願の内容を実現または使用できるようにする。これらの実施例の様々な変更は、本願コンテンツにおいて定義される一般的な原理が、本願コンテンツの精神または範囲から逸脱することなく他の実施例において実現され得ることが当業者には明らかであろう。したがって、本願コンテンツは、本願コンテンツに示されるこれらの実施例に限定されることはなく、本願コンテンツに開示されている原理および新規な特徴と一致する最も広い範囲に適合しなければならない。
【国際調査報告】