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特表2024-535160表示基板及びその製造方法、表示装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表示基板及びその製造方法、表示装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 77/10 20230101AFI20240920BHJP
   H10K 50/842 20230101ALI20240920BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240920BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240920BHJP
   H10K 59/124 20230101ALI20240920BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H10K77/10
H10K50/842 426
H10K50/844 445
H10K59/122
H10K59/124
G09F9/30 308Z
G09F9/30 309
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549654
(86)(22)【出願日】2021-09-27
(85)【翻訳文提出日】2023-08-16
(86)【国際出願番号】 CN2021121040
(87)【国際公開番号】W WO2023044914
(87)【国際公開日】2023-03-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】511121702
【氏名又は名称】成都京東方光電科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU BOE OPTOELECTRONICS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.1188,Hezuo Rd.,(West Zone),Hi-tech Development Zone,Chengdu,Sichuan,611731,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲賈▼ 立
(72)【発明者】
【氏名】高 涛
(72)【発明者】
【氏名】▲チャン▼ 裕程
(72)【発明者】
【氏名】王 品凡
【テーマコード(参考)】
3K107
5C094
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB08
3K107CC23
3K107CC25
3K107CC33
3K107DD17
3K107DD89
3K107DD90
3K107DD93
3K107EE48
3K107EE49
3K107EE50
3K107FF15
5C094AA51
5C094BA03
5C094BA27
5C094DA06
5C094DA07
5C094FB01
5C094FB02
5C094JA08
(57)【要約】
表示基板であり、フレキシブルベース基板10と、第1充填層61と、パッケージ層40と、を備える。フレキシブルベース基板10は少なくとも1つの伸張表示領域A2を備える。伸張表示領域A2は、互いに分離された複数の画素島領域100と、複数の孔領域300と、画素島領域100と孔領域300との間に位置する接続ブリッジ領域200と、を含む。少なくとも1つの孔領域300には、フレキシブルベース基板10を貫通する1つ以上の第1貫通孔K1が設けられている。第1充填層61は孔領域300に位置し且つ第1貫通孔K1内に充填される。パッケージ層40は、第1充填層61のフレキシブルベース基板10から離れる側に位置し、パッケージ層40のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1充填層61と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示基板であって、フレキシブルベース基板と、第1充填層と、パッケージ層と、を備え、
前記フレキシブルベース基板は、少なくとも1つの伸張表示領域を備え、前記伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含み、少なくとも1つの孔領域には前記フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられ、
前記第1充填層は前記孔領域に位置し且つ前記第1貫通孔内に充填され、
前記パッケージ層は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置し、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない、表示基板。
【請求項2】
更に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第1平坦層を備え、前記第1平坦層と前記第1充填層は同層構造且つ同じ材料である、請求項1に記載の表示基板。
【請求項3】
前記孔領域は更に前記フレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備え、前記複合絶縁層は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通し、
前記複合絶縁層は少なくとも1つの無機層を含み、又は、少なくとも1つの有機層を含み、又は、少なくとも1つの無機層と少なくとも1つの有機層とを含む、請求項1又は2に記載の表示基板。
【請求項4】
更に前記孔領域に位置する第2充填層を備え、前記第2充填層は前記第2貫通孔内に充填され、
前記第2充填層は前記第1充填層に接触し、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップし、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない、請求項3に記載の表示基板。
【請求項5】
更に前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第2平坦層を備え、前記第2平坦層は第1平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置し、前記第2平坦層と前記第2充填層は同層構造且つ同じ材料である、請求項4に記載の表示基板。
【請求項6】
前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板から離れる表面と、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる表面とは、揃えられている、請求項4に記載の表示基板。
【請求項7】
前記表示基板に垂直な方向において、前記第2貫通孔の断面形状は逆台形である、請求項3~6のいずれか1項に記載の表示基板。
【請求項8】
前記第1充填層の表面と前記フレキシブルベース基板の表面とは揃えられている、請求項2~7のいずれか1項に記載の表示基板。
【請求項9】
前記少なくとも1つの孔領域には前記フレキシブルベース基板及び第1充填層に形成された第2分離溝が設けられ、前記第2分離溝は前記複合絶縁層の第2貫通孔に貫通し、前記複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、前記第2延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置し、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影を覆う、請求項3に記載の表示基板。
【請求項10】
前記第2分離溝の深さは約1.5マイクロメートル~2.0マイクロメートルである、請求項9に記載の表示基板。
【請求項11】
前記表示基板に垂直な方向において、前記複合絶縁層の少なくとも1つの絶縁層の第2延出部の側壁と同側の前記第2分離溝の側壁との間の距離は、約0.3マイクロメートル~0.5マイクロメートルである、請求項9に記載の表示基板。
【請求項12】
更に、第1平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置する第2平坦層と、前記第2平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置する不動態化層と、を備え、
前記接続ブリッジ領域には、前記不動態化層及び一部の第2平坦層を貫通して形成された第1分離溝が設けられ、前記不動態化層は第1延出部を有し、前記第1延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する、請求項2~11のいずれか1項に記載の表示基板。
【請求項13】
前記パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層と、有機パッケージ層と、第2無機パッケージ層と、を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の表示基板。
【請求項14】
表示装置であって、請求項1~13のいずれか1項に記載の表示基板を備えた表示装置。
【請求項15】
表示基板の製造方法であって、前記表示基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備え、前記伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含み、
前記製造方法は、
前記孔領域にフレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔を形成することと、
前記孔領域に前記第1貫通孔を充填する第1充填層を形成することと、
パッケージ層を形成し、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしないことと、を含む、表示基板の製造方法。
【請求項16】
更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成すると同時に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に第1平坦層を形成することを含む、請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成する前に、前記フレキシブルベース基板に複合絶縁層を形成し、そして前記孔領域の前記複合絶縁層に第2貫通孔を形成し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通することを含む、請求項15に記載の製造方法。
【請求項18】
更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成した後に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に第2平坦層を形成するとともに、前記孔領域に第2充填層を形成し、前記第2充填層は前記第2貫通孔内に充填されることを含み、
前記第2充填層は前記第1充填層に接触し、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップし、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない、請求項17に記載の製造方法。
【請求項19】
更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成した後に、前記複合絶縁層、一部の第2平坦部、及び一部のフレキシブルベース基板を貫通する第2分離溝を前記孔領域に形成することを含み、前記第2分離溝は前記複合絶縁層の第2貫通孔に貫通し、前記複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、前記第2延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置し、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影を覆う、請求項17に記載の製造方法。
【請求項20】
表示基板であって、フレキシブルベース基板を備え、
前記フレキシブルベース基板は、少なくとも1つの伸張表示領域を備え、前記伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含み、少なくとも1つの孔領域には前記フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられ、
前記孔領域は更に前記フレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備え、前記複合絶縁層は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通し、
前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影とオーバーラップする、表示基板。
【請求項21】
前記複合絶縁層は前記フレキシブルベース基板に接触する第1絶縁層を含み、前記第2貫通孔は前記第1絶縁層に開設された第1スルーホールを含み、
前記第1スルーホールの前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する、請求項20に記載の表示基板。
【請求項22】
更に、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置するパッケージ層を備え、前記パッケージ層は前記孔領域において前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁を覆う、請求項21に記載の表示基板。
【請求項23】
前記第1貫通孔は連通する第1サブ貫通孔と第2サブ貫通孔とを含み、前記第1サブ貫通孔は前記第2貫通孔に貫通し、
前記第1サブ貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2サブ貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する、請求項20に記載の表示基板。
【請求項24】
更に、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置するパッケージ層を備え、前記パッケージ層は前記孔領域において前記第1サブ貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁を覆う、請求項23に記載の表示基板。
【請求項25】
表示基板に垂直な方向において、前記第2サブ貫通孔の断面形状は台形である、請求項23に記載の表示基板。
【請求項26】
前記パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層と第2無機パッケージ層とを含む、請求項22又は24に記載の表示基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施例は表示技術分野に関するが、これには限らず、特に表示基板及びその製造方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光ダイオード(OLED、Organic Light Emitting Diode)は能動発光型表示素子であり、自律発光、超軽量薄型、速い応答速度、広い視野角、低い消費電力等の利点がある。OLED表示技術の発展に伴い、OLED表示技術を採用した表示製品は、現在の曲げ製品形態から折りたたみ可能、ひいては伸張可能な製品形態に徐々に発展している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下は本文が詳細に説明するテーマについての概説である。本概説は特許請求の保護範囲を制限するためのものではない。
【0004】
本開示の実施例は表示基板及びその製造方法、表示装置を提供する。
【0005】
一態様では、本開示の実施例は表示基板を提供し、フレキシブルベース基板と、第1充填層と、パッケージ層と、を備える。フレキシブルベース基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備える。伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含む。少なくとも1つの孔領域には、フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられている。第1充填層は前記孔領域に位置し且つ前記第1貫通孔内に充填される。パッケージ層は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置する。前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【0006】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第1平坦層を備え、前記第1平坦層と前記第1充填層は同層構造且つ同じ材料である。
【0007】
幾つかの例示的な実施形態では、前記孔領域は更に前記フレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備え、前記複合絶縁層は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通する。前記複合絶縁層は少なくとも1つの無機層を含み、又は、少なくとも1つの有機層を含み、又は、少なくとも1つの無機層と少なくとも1つの有機層とを含む。
【0008】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に前記孔領域に位置する第2充填層を備え、前記第2充填層は前記第2貫通孔内に充填される。前記第2充填層は前記第1充填層に接触し、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップする。前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【0009】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第2平坦層を備え、前記第2平坦層は前記第1平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置し、前記第2平坦層と前記第2充填層は同層構造且つ同じ材料である。
【0010】
幾つかの例示的な実施形態では、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板から離れる表面と、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる表面とは、揃えられている。
【0011】
幾つかの例示的な実施形態では、前記表示基板に垂直な方向において、前記第2貫通孔の断面形状は逆台形である。
【0012】
幾つかの例示的な実施形態では、前記第1充填層の表面と前記フレキシブルベース基板の表面とは揃えられている。
【0013】
幾つかの例示的な実施形態では、前記少なくとも1つの孔領域には前記フレキシブルベース基板及び第1充填層に形成された第2分離溝が設けられ、前記第2分離溝は前記複合絶縁層の第2貫通孔に貫通する。前記複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、前記第2延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する。前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影を覆う。
【0014】
幾つかの例示的な実施形態では、前記第2分離溝の深さは約1.5マイクロメートル~2.0マイクロメートルである。
【0015】
幾つかの例示的な実施形態では、前記表示基板に垂直な方向において、前記複合絶縁層の少なくとも1つの絶縁層の第2延出部の側壁と同側の前記第2分離溝の側壁との間の距離は、約0.3マイクロメートル~0.5マイクロメートルである。
【0016】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、前記第1平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置する第2平坦層と、前記第2平坦層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置する不動態化層と、を備える。前記接続ブリッジ領域には、前記不動態化層及び一部の第2平坦層を貫通して形成された第1分離溝が設けられている。前記不動態化層は第1延出部を有し、前記第1延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する。
【0017】
幾つかの例示的な実施形態では、前記パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層と、有機パッケージ層と、第2無機パッケージ層と、を含む。
【0018】
他の一態様では、本開示の実施例は表示装置を提供し、上記の表示基板を備える。
【0019】
他の一態様では、本開示の実施例は表示基板の製造方法を提供する。前記表示基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備え、前記伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含む。前記製造方法は、前記孔領域にフレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔を形成することと、前記孔領域に第1貫通孔を充填する第1充填層を形成することと、パッケージ層を形成し、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしないことと、を含む。
【0020】
幾つかの例示的な実施形態では、上記の製造方法は更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成すると同時に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に第1平坦層を形成することを含む。
【0021】
幾つかの例示的な実施形態では、上記の製造方法は更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成する前に、前記フレキシブルベース基板に複合絶縁層を形成し、そして前記孔領域の前記複合絶縁層に第2貫通孔を形成し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通することを含む。
【0022】
幾つかの例示的な実施形態では、上記の製造方法は更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成した後に、前記画素島領域及び接続ブリッジ領域に第2平坦層を形成するとともに、前記孔領域に第2充填層を形成し、前記第2充填層は前記第2貫通孔内に充填されることを含む。前記第2充填層は前記第1充填層に接触し、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップし、前記パッケージ層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【0023】
幾つかの例示的な実施形態では、上記の製造方法は更に、前記孔領域に前記第1充填層を形成した後に、前記複合絶縁層、一部の第2平坦部、及び一部のフレキシブルベース基板を貫通する第2分離溝を前記孔領域に形成することを含む。前記第2分離溝は前記複合絶縁層の第2貫通孔に貫通し、前記複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、前記第2延出部の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する。前記第2分離溝の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1充填層の前記フレキシブルベース基板における正投影を覆う。
【0024】
他の一態様では、本開示の実施例は更に表示基板を提供し、フレキシブルベース基板を備える。フレキシブルベース基板は、少なくとも1つの伸張表示領域を備え、前記伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含み、少なくとも1つの孔領域には前記フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられている。前記孔領域は更に前記フレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備え、前記複合絶縁層は第2貫通孔を有し、前記第2貫通孔は前記複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通する。前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影とオーバーラップする。
【0025】
幾つかの例示的な実施形態では、前記複合絶縁層は前記フレキシブルベース基板に接触する第1絶縁層を含み、前記第2貫通孔は前記第1絶縁層に開設された第1スルーホールを含み、前記第1スルーホールの前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第1貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する。
【0026】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置するパッケージ層を備え、前記パッケージ層は前記孔領域において前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁を覆う。
【0027】
幾つかの例示的な実施形態では、前記第1貫通孔は連通する第1サブ貫通孔と第2サブ貫通孔とを含み、前記第1サブ貫通孔は前記第2貫通孔に貫通する。前記第1サブ貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影は、前記第2サブ貫通孔の前記フレキシブルベース基板における正投影内に位置する。
【0028】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、前記複合絶縁層の前記フレキシブルベース基板から離れる側に位置するパッケージ層を備え、前記パッケージ層は前記孔領域において前記第1サブ貫通孔及び前記第2貫通孔の側壁を覆う。
【0029】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板に垂直な方向において、前記第2サブ貫通孔の断面形状は台形である。
【0030】
幾つかの例示的な実施形態では、前記パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層と第2無機パッケージ層とを含む。
【0031】
添付図面及び詳しい説明を読んで理解した後、その他の態様を分かることができる。
【0032】
図面は本開示の技術案をより理解するためのものであり、且つ明細書の一部を構成し、本開示の実施例と一緒に本開示の技術案を説明することに用いられ、本開示の技術案を制限するためのものではない。図面における1つ以上の部材の形状及びサイズは実際の縮尺を反映しておらず、本開示の内容を模式的に説明することのみを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1は表示基板とガラス基板との剥離が失効する模式図である。
図2図2は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の模式図である。
図3図3は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の伸張表示領域の部分模式図である。
図4図4図3におけるQ-Q’方向に沿う一部断面模式図である。
図5A図5Aは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5B図5Bは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5C図5Cは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5D図5Dは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5E図5Eは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5F図5Fは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5G図5Gは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5H図5Hは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5I図5Iは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5J図5Jは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図5K図5Kは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の製造プロセスの模式図である。
図6図6図3におけるQ-Q’方向に沿う他の一部断面模式図である。
図7図7図3におけるQ-Q’方向に沿う他の一部断面模式図である。
図8A図8Aは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の他の製造プロセスの模式図である。
図8B図8Bは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の他の製造プロセスの模式図である。
図8C図8Cは本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の他の製造プロセスの模式図である。
図9図9は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の一部断面模式図である。
図10図10は本開示の少なくとも1つの実施例による第1貫通孔及び第2貫通孔が形成された後の表示基板の一部断面模式図である。
図11図11は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の他の一部断面模式図である。
図12図12は本開示の少なくとも1つの実施例による第1貫通孔及び第2貫通孔が形成された後の表示基板の他の一部断面模式図である。
図13図13は本開示の少なくとも1つの実施例による表示装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下は図面を参照しながら、本開示の実施例を詳しく説明する。実施形態は、複数の異なる形式によって実施されてもよい。当業者が容易に理解できるように、方式及び内容は本開示の主旨及びその範囲を離脱せずに他の形式に変換されてもよい。従って、本開示は以下の実施形態に記載される内容に限定されると解釈されるべきではない。衝突しない限り、本開示における実施例及び実施例における特徴は任意に組み合わせることができる。
【0035】
図面では、明確にするために、1つ以上の構成要素のサイズ、層の厚さ、又は領域が誇張表示される場合がある。従って、本開示の1つの方式は必ずしも該サイズに限定されず、図における1つ以上の部材の形状及びサイズは実際の縮尺を反映するものではない。尚、図面には理想的な例が模式的に示されるが、本開示の1つの方式は図に示される形状又は数値等に限らない。
【0036】
本明細書における「第1」、「第2」、「第3」等の序数は構成要素の混同を回避するために設定されたものであり、数量の面で限定するためのものではない。本開示における「複数」は、2つ以上の数を表す。
【0037】
本明細書では、便利のために、「中部」、「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の、方位又は位置関係を指示する記載が使用されることによって、構成要素の位置関係を図面を参照しながら説明されるが、それは本明細書を簡単に説明するためのものに過ぎず、指示される装置や素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを明示又は暗示するものではなく、従って本開示に対する制限と理解されるべきではない。構成要素の位置関係は各構成要素を説明する方向によって適切に変更される。従って、明細書に記載される用語に制限されず、状況に応じて適切に置き換えることができる。
【0038】
本明細書では、特に明確な規定や限定がない限り、「取り付け」、「接続」という用語は広い意味で理解されるべきである。例えば、固定的に接続されること、又は取り外し可能に接続されること、又は一体的に接続されることであってもよく、機械的接続又は電気的接続であってもよく、直接接続、又は中間部材を介した間接接続、又は2つの素子内部の連通であってもよい。当業者にとって、状況によって上記用語の本開示での意味を理解することができる。
【0039】
本明細書では、「電気的接続」は、構成要素が何かの電気的機能を有する素子を介して接続される場合を含む。「何かの電気的機能を有する素子」は特に限定されなく、接続された構成要素間の電気信号の伝送を行うことができるものであればよい。「何かの電気的機能を有する素子」の例は、電極及び配線を含むだけでなく、更にトランジスタ等のスイッチング素子、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、及び他の様々な機能を有する素子等も含む。
【0040】
本明細書では、トランジスタとは少なくとも、ゲート電極、ドレイン電極、及びソース電極という3つの端子を備える素子を指す。トランジスタは、ドレイン電極(ドレイン電極端子、ドレイン領域、又はドレイン電極)とソース電極(ソース電極端子、ソース領域、又はソース電極)との間にチャネル領域を有し、そして電流はドレイン電極、チャネル領域、及びソース電極を流れることができる。本明細書では、チャネル領域とは、電流が主に流れる領域を指す。
【0041】
本明細書では、第1極はドレイン電極であってもよく、第2極はソース電極であってもよく、又は、第1極はソース電極であってもよく、第2極はドレイン電極であってもよい。極性が逆のトランジスタを用いる場合、又は回路動作中の電流方向が変化する等の場合には、「ソース電極」及び「ドレイン電極」の機能は互いに入れ替わる場合がある。従って、本明細書では、「ソース電極」及び「ドレイン電極」は互いに入れ替わることができる。
【0042】
本明細書では、「平行」とは、2本の直線のなす角度が-10°以上且つ10°以下である状態を指し、従って該角度が-5°以上且つ5°以下である状態も含む。尚、「垂直」とは、2本の直線のなす角度が80°以上且つ100°以下である状態を指し、従って、85°以上且つ95°以下の角度の状態も含む。
【0043】
本明細書では、「膜」と「層」は互いに入れ替わることができる。例えば、「導電層」を「導電膜」に置き換えてもよい場合がある。それと同様に、「絶縁膜」を「絶縁層」に置き換えてもよい場合がある。
【0044】
本開示における「約」とは、限界を厳密に限定せず、プロセス及び測定の誤差範囲内を許容することを指す。
【0045】
本開示において、「伸張可能」とは、永久変形、又は破裂のような故障を生じることなく、材料、構造、装置又は装置アセンブリが引張力を受けて変形する(例えば、長くなる、又は広くなる、又は長く且つ広くなる)能力、例えば、長さを少なくとも10%伸ばしても永久変形、破裂、又は切断しない能力を指す。「伸張可能」はまた、伸張可能、膨張可能、又は展開可能な表面を収容し、且つ伸張された、膨張した、又は展開された、伸張可能、膨張可能、又は展開可能な表面に適用された場合、機能を維持するように構成された、アセンブリを有する(これらのアセンブリ自体が単独で上記のように伸張できるかどうかにかかわらず)基板を含むことも意図されている。「伸張可能」は更に、弾性的に又は可塑的に変形可能な基板(即ち、伸張された後、該基板は伸張力が解除されると元のサイズに戻ることができ、又は該基板は元のサイズに戻らないことができ、そして幾つかの例では伸張形態を維持することができる)であって、且つ基板の製造期間、基板を有する装置の組み立て(製造作業の一部と見なされることができる)期間、又は使用(例えば、ユーザが基板を伸張すること及び選択的に曲げること)期間において変形(例えば、伸張及び選択的な曲げ)が生じてもよい基板を含むことも意図されている。
【0046】
幾つかの実現方式では、伸張可能な表示基板は、通常、多量の開孔構造設計を採用する。しかしながら、伸張可能な表示基板の製造プロセスにおいて、フレキシブルベース基板に開孔構造が形成された後、段差が大きい(例えば、10マイクロメートルよりも大きい)ため、後続のプロセスで深孔露光残留が生じやすく、表示基板の伸張性能に影響を与える。そして、表示基板とガラス基板との剥離の際に、パッケージ層が引き裂かれて失効しやすく、伸張可能な表示基板のパッケージの失効を招く。
【0047】
図1は表示基板とガラス基板との剥離が失効する模式図である。図1に示すように、フレキシブルベース基板02の開口領域D0をパッケージ層03が覆っている。開口領域D0では、パッケージ層03はフレキシブルベース基板02の側壁及びガラス基板01に直接接触する。フレキシブルベース基板02がガラス基板01から剥離される時、開孔領域D0内でガラス基板01に直接接触するパッケージ層03はガラス基板01から分離しにくく、それによって剥離プロセスにおいて第1位置D1にパッケージ層03の引き裂き破壊ポイントが発生しやすく、表示基板のパッケージの失効を招く。
【0048】
本開示の少なくとも1つの実施例は表示基板を提供し、フレキシブルベース基板と、第1充填層と、パッケージ層と、を備える。フレキシブルベース基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備える。伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含む。少なくとも1つの孔領域には、フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられている。第1充填層は孔領域に位置し且つ第1貫通孔内に充填される。パッケージ層は、第1充填層のフレキシブルベース基板から離れる側に位置し、パッケージ層のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【0049】
本開示の実施例による表示基板は、フレキシブルベース基板を貫通する第1貫通孔内に第1充填層を充填することにより、深孔露光プロセスで残留が生じることを回避し、表示基板の伸張可能性能を向上させることができ、そして、表示基板とガラス基板との剥離の際にパッケージ層が破裂して失効することを回避でき、それによって表示基板のパッケージ信頼性を向上させることができる。
【0050】
幾つかの例示的な実施形態では、第1充填層の接着性とフレキシブルベース基板の接着性とは異なってもよい。異なる接着性を有する第1充填層を用いてフレキシブルベース基板の第1貫通孔を充填することにより、表示基板の伸張可能効果を確保することができる。
【0051】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第1平坦層を備えてもよい。第1平坦層と第1充填層は同層構造且つ同じ材料である。本例では、第1平坦層と第1充填層は同期して製造されてもよく、それによって製造プロセスが簡略化される。
【0052】
幾つかの例示的な実施形態では、第1充填層の表面とフレキシブルベース基板の表面とは揃えられてもよい。本例では、第1充填層とフレキシブルベース基板の表面とが揃えられるように設置することによって、後にフレキシブルベース基板に形成される膜層を平滑化し、断裂が形成されにくいようにすることができる。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例示的な実施形態では、第1充填層の表面とフレキシブルベース基板の表面とは揃えられなくてもよく、例えば、第1充填層の表面はフレキシブルベース基板の表面よりも高く、又は、第1充填層の表面はフレキシブルベース基板の表面よりも低い。
【0053】
幾つかの例示的な実施形態では、孔領域は更にフレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備える。複合絶縁層は第2貫通孔を有する。第2貫通孔は複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通する。複合絶縁層は少なくとも1つの無機層を含み、又は、少なくとも1つの有機層を含み、又は、少なくとも1つの無機層と少なくとも1つの有機層とを含んでもよい。幾つかの例では、複合絶縁層は無機層のみを含み、即ち無機複合絶縁層であり、又は、複合絶縁層は有機層のみを含んでもよく、即ち有機複合絶縁層であり、又は、複合絶縁層は無機層と有機層とを含んでもよい。本例では、孔領域の複合絶縁層を掘削することにより、表示基板の伸張可能効果を改善することができる。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0054】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に孔領域に位置する第2充填層を備え、第2充填層は第2貫通孔内に充填される。第2充填層は第1充填層に接触し、第2充填層のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層のフレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップする。パッケージ層のフレキシブルベース基板における正投影は、第2充填層のフレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。本例では、パッケージ層は第2充填層を覆わない又は完全に覆うことではないため、表示基板の伸張効果を確保することができる。第2貫通孔内に第2充填層を充填することにより、深孔露光プロセスで残留が生じることを回避し、表示基板の伸張可能効果を改善することができ、そして、表示基板とガラス基板との剥離の際にパッケージ層が破裂して失効することを回避でき、それによって表示基板のパッケージ信頼性を向上させることができる。
【0055】
幾つかの例では、複合絶縁層は有機層を含んでもよく、第2充填層と複合絶縁層の有機層は同層構造且つ同じ材料であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0056】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、画素島領域及び接続ブリッジ領域に位置する第2平坦層を備えてもよい。第2平坦層は第1平坦層のフレキシブルベース基板から離れる側に位置し、そして第2平坦層と第2充填層は同層構造且つ同じ材料である。本例では、第2平坦層と第2充填層は同期して製造されてもよく、それによって製造プロセスが簡略化される。
【0057】
幾つかの例示的な実施形態では、第2充填層のフレキシブルベース基板から離れる表面と、複合絶縁層のフレキシブルベース基板から離れる表面とは、揃えられてもよい。第2充填層と複合絶縁層の表面が揃えられるように設置することによって、後に複合絶縁層に形成される膜層を平滑化し、断裂が形成されにくいようにすることができる。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第2充填層のフレキシブルベース基板から離れる表面は、複合絶縁層のフレキシブルベース基板から離れる表面よりも低くてもよい。
【0058】
幾つかの例示的な実施形態では、少なくとも1つの孔領域にはフレキシブルベース基板及び第1充填層に形成された第2分離溝が設けられてもよい。第2分離溝は複合絶縁層の第2貫通孔に貫通する。複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、第2延出部のフレキシブルベース基板における正投影は、第2分離溝のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。本例では、第2分離溝の一部は第1充填層に形成され、残りの部分はフレキシブルベース基板に形成されてもよい。複合絶縁層の少なくとも1つの絶縁層の第2延出部は、第2分離溝の切り欠きに位置し、それによって、第2分離溝の切り欠きのフレキシブルベース基板における正投影は、第2分離溝のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。第2分離溝のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層のフレキシブルベース基板における正投影を覆う。表示基板に垂直な方向において、第2分離溝の断面形状は凸字型であってもよい。本例では、第1充填層で充填されたフレキシブルベース基板に第2分離溝を形成することにより、発光素子の有機発光層と陰極とが遮断されることができ、それによって表示基板のパッケージ信頼性を向上させる。
【0059】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板は更に、第1平坦層のフレキシブルベース基板から離れる側に位置する第2平坦層と、第2平坦層のフレキシブルベース基板から離れる側に位置する不動態化層と、を備えてもよい。接続ブリッジ領域には、不動態化層及び一部の第2平坦層を貫通して形成された第1分離溝が設けられている。不動態化層は第1延出部を有し、第1延出部のフレキシブルベース基板における正投影は、第1分離溝のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。本例では、第1分離溝は第2平坦層に形成され、不動態化層の第1延出部は第1分離溝の切り欠きに位置し、それによって、第1分離溝の切り欠きのフレキシブルベース基板における正投影は第1分離溝のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。表示基板に垂直な方向において、第1分離溝の断面形状は凸字型であってもよい。本例では、接続ブリッジ領域に第1分離溝を形成することにより、画素島領域の孔領域に近いところに形成された有機発光層と陰極とが第1分離溝のところで遮断されることができ、それによって、孔領域の水と酸素等が発光素子を侵食することを回避することができる。
【0060】
幾つかの例示的な実施形態では、パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層と、有機パッケージ層と、第2無機パッケージ層と、を含んでもよい。本例では、パッケージ層は無機、有機、無機の3層パッケージ構造を採用し、パッケージ効果を高めることができる。
【0061】
以下では幾つかの例によって本実施例の案を説明する。
【0062】
図2は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の模式図である。幾つかの例示的な実施形態では、図2に示すように、表示基板の表示領域は、主表示領域A1と、少なくとも1つの伸張表示領域A2(例えば、4つの伸張表示領域)と、を含んでもよい。表示基板は矩形表示基板であってもよく、4つの伸張表示領域A2は表示基板の4つの角領域に位置してもよく、残りの表示領域はいずれも主表示領域である。本例では、表示基板の四辺が湾曲しているため、4つの角領域に伸張表示領域を設けることにより、応力解放を行うことができ、表示基板を湾曲させた際の断裂を回避する。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例では、伸張表示領域は、表示基板の表示領域が湾曲する必要がある任意の位置に設けられてもよい。例えば、表示基板は三角形表示基板であってもよく、表示基板は3つの伸張表示領域を備えてもよく、3つの伸張表示領域は表示基板の3つの角領域に位置してもよい。また、例えば、表示基板の側辺に近い位置にいずれも伸張表示領域が設けられてもよい。これにより、表示基板の対応する部分領域の伸張可能機能を実現することができる。
【0063】
幾つかの例示的な実施形態では、図2に示すように、伸張表示領域A2は矩形領域であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、伸張表示領域は、円形、五角形等の他の形状であってもよい。
【0064】
図3は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の伸張表示領域の部分模式図である。図3は、伸張表示領域の部分領域の構造を模式的に示し、伸張表示領域の繰り返し単位と見ることができる。
【0065】
幾つかの例示的な実施形態では、図3に示すように、表示基板に平行な平面内において、表示基板の伸張表示領域A2は、互いに分離された複数の画素島領域100と、隣接画素島領域100の間に位置する孔領域300と、隣接画素島領域100を互いに接続させる接続ブリッジ領域200と、を含んでもよい。各画素島領域100の周囲を複数の孔領域300が囲んでもよく、接続ブリッジ領域200は画素島領域と孔領域300との間に位置してもよく、接続ブリッジ領域200は更に隣接する孔領域300の間に位置してもよい。画素島領域100は画像表示に用いられ、孔領域300は伸張時に変形空間を提供することに用いられ、接続ブリッジ領域200は配線(隣接する画素島領域100間の信号を接続する)及び引張力の伝達に用いられる。
【0066】
幾つかの例示的な実施形態では、各画素島領域100は1つ以上の画素ユニットを備えてもよく、各画素ユニットは異なる色の光を出射する3つの発光ユニット(例えば、赤緑青)又は異なる色の光を出射する4つの発光ユニット(例えば、赤緑青白)を備えてもよい。各発光ユニットは、発光素子と、発光素子の発光を駆動するように構成された画素回路と、を備えてもよい。発光素子は、積層された陽極と、有機発光層と、陰極と、を備えるOLED素子であってもよい。有機発光層は、陽極と陰極との間の電圧で発光する。伸張表示領域は外力により伸張されると、主に接続ブリッジ領域200に歪みが発生し、画素島領域100の発光ユニットは基本的に形状を保持し、破壊されない。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、発光ユニットの発光素子は画素島領域に配置されてもよく、一方、画素回路は画素島領域に配置されなくてもよく、例えば、画素回路は接続ブリッジ領域、又は表示領域の外囲の周辺領域に配置されてもよい。
【0067】
幾つかの例示的な実施形態では、図3に示すように、表示基板に平行な平面において、複数の接続ブリッジ領域200は、複数の画素島領域100を互いに接続してもよい。各画素島領域100は矩形であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例では、画素島領域は、円形、正多角形、又はその他の不規則な形状であってもよい。又は、幾つかの例では、複数の画素島領域の形状は異なってもよい。
【0068】
幾つかの例示的な実施形態では、図3に示すように、表示基板に平行な平面において、表示基板が未伸張状態にある場合、孔領域300は、工字型、T型、L型、矩形、円弧、一字型等の形状であってもよい。幾つかの例では、各孔領域300は1つの貫通孔と見なされてもよく、貫通孔の幅は約10マイクロメートル~500マイクロメートルであってもよい。接続ブリッジ領域200は、画素島領域100と孔領域300との間に位置し、又は隣接する孔領域300の間に位置し、隣接する画素島領域100に接続される。接続ブリッジ領域200は、L形状、又は複数のL形状が互いに接続された形状、例えば、
【0069】
【数1】
【0070】
形状、T字型等の形状であってもよく、接続ブリッジ領域200の幅は、約10マイクロメートル~500マイクロメートルであってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0071】
図4図3におけるQ-Q’方向に沿う一部断面模式図である。幾つかの例示的な実施形態では、図4に示すように、表示基板に垂直な方向において、画素島領域100は、フレキシブルベース基板10と、フレキシブルベース基板10に順に配置された駆動構造層と、発光構造層と、パッケージ層40と、バッファ保護層50と、を備えてもよい。駆動構造層は、複数のゲート線と複数のデータ線とを備えてもよく、複数のゲート線と複数のデータ線とは垂直に交差して複数のサブ画素領域を限定し、各サブ画素領域に画素回路が配置される。各画素回路は、複数のトランジスタと少なくとも1つのコンデンサとを備え、例えば、2T1C(2つのトランジスタと1つのコンデンサ)、3T1C(3つのトランジスタと1つのコンデンサ)、又は7T1C(7つのトランジスタと1つのコンデンサ)の構造であってもよい。発光構造層は複数の発光素子を備えてもよい。複数の画素回路と複数の発光素子とは、一対一に対応して電気的に接続されてもよい。図4では、画素島領域100の1つの発光素子、画素回路の1つのトランジスタ及び1つのコンデンサのみを例にして模式的に説明している。
【0072】
幾つかの例示的な実施例では、図4に示すように、表示基板に垂直な方向において、接続ブリッジ領域200は、フレキシブルベース基板10と、フレキシブルベース基板10に設けられた複合絶縁層と、複合絶縁層に設けられた信号線(図4では1本の信号線23のみを模式とする)と、信号線を順次覆う第1平坦層16、第2平坦層17、不動態化層18、パッケージ層40、及びバッファ保護層50と、を備えてもよい。本例では、複合絶縁層は複数の無機層を備える無機複合絶縁層である。無機複合絶縁層は、フレキシブルベース基板10に積層された第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、を含んでもよい。接続ブリッジ領域200には、不動態化層18及び第2平坦層17を貫通して形成された第1分離溝H1が設けられている。不動態化層18は第1分離溝H1の一部を遮蔽する第1延出部を有し、それによって、第1分離溝H1の切り欠きのフレキシブルベース基板10における正投影は、第1分離溝H1のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。本例では、第1絶縁層11~第5絶縁層15はいずれも無機層である。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第5絶縁層は有機層であってもよい。
【0073】
幾つかの例では、接続ブリッジ領域200の信号線は、隣接する画素島領域100間の信号接続を実現するように構成される。例えば、信号を画素島領域100に伝送し、又は、画素島領域100から信号を伝送する。隣接する画素島領域100間の信号接続とは、1つの画素島領域100における発光ユニットと、隣接する他の画素島領域100における発光ユニットとの間の信号接続を指す。接続ブリッジ領域200の複数の信号線は、例えば、隣接する画素島領域100におけるゲート線を接続する接続線、隣接する画素島領域100におけるデータ線を接続する接続線、電源信号の接続線を含んでもよい。幾つかの例では、複数の信号線は複数のフレキシブル信号線であってもよい。
【0074】
幾つかの例示的な実施形態では、図4に示すように、表示基板に垂直な方向において、孔領域300のフレキシブルベース基板10は第1貫通孔を有し、第1貫通孔はフレキシブルベース基板10を貫通する。第1充填層61は第1貫通孔内に充填される。孔領域300は更に第1開口G1を有する。第1開口G1は、第1貫通孔内に充填された第1充填層61を露出させる。伸張時に変形空間を提供するための第1開口G1が孔領域300に配置されることによって、伸張効果が実現される。
【0075】
幾つかの例示的な実施形態では、図4に示すように、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200のパッケージ層40は、積層された第1無機パッケージ層41と、有機パッケージ層42と、第2無機パッケージ層43と、を含んでもよい。孔領域300において、第1開口G1の側壁を第1無機パッケージ層41が覆い、且つ第1無機パッケージ層41のフレキシブルベース基板10における正投影は第1充填層61とオーバーラップしない。即ち、パッケージ層40は孔領域300においては第1充填層61を覆わず、それによって、表示基板の伸張効果が確保される。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例では、第1無機パッケージ層41のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1充填層61と部分的にオーバーラップしてもよく、例えば、第1無機パッケージ層41は第1充填層61のエッジを覆ってもよい。
【0076】
次に、図5A図5Kを参照して、本実施例の表示基板の製造プロセスの例を通して、本実施例の技術案を説明する。図5A図5Kの構造模式図はいずれも図3におけるQ-Q’方向に沿う一部断面図である。
【0077】
本実施例で言及される「パターン化プロセス」は、金属材料、無機材料、又は透明導電材料に対しては、フォトレジストコーティング、マスク露光、現像、エッチング、及びフォトレジスト剥離等の処理を含み、有機材料に対しては、有機材料のコーティング、マスク露光、現像等の処理を含む。堆積ではスパッタリング、蒸着、化学気相堆積のうちのいずれか1つ又は複数を採用してもよく、コーティングではスプレーコーティング、スピンコーティング、及びインクジェット印刷のうちのいずれか1つ又は複数を採用してもよく、エッチングではドライエッチング及びウェットエッチングのうちのいずれか1つ又は複数を採用してもよく、本開示の実施例は限定しない。「薄膜」とは、ある材料でサブストレート基板において堆積、コーティング、又は他のプロセスによって製作した1つの層の薄膜のことを指す。製造プロセス全体において該「薄膜」がパターン化プロセスを必要としない場合、該「薄膜」は更に「層」と称されてもよい。製造プロセス全体において該「薄膜」がパターン化プロセスを必要とする場合、パターン化プロセスの前は「薄膜」と称され、パターン化プロセスの後は「層」と称される。パターン化プロセスを経た後の「層」には少なくとも1つの「パターン」が含まれる。
【0078】
本開示の実施例で言及される「A及びB同層配置」とは、A及びBが同じ回のパターニングプロセスによって同時に形成されることを指す。「同じ層」は、必ずしも層の厚さ又は層の高さが断面図において同じであることを意味するわけではない。「Aの正投影はBの正投影を含む」とは、Bの正投影がAの正投影の範囲内にあること、又は、Aの正投影がBの正投影を覆うことを指す。
【0079】
本実施例の表示基板の製造プロセスは以下(1)~(12)のステップを含んでもよい。
【0080】
(1)ガラス基板60においてフレキシブルベース基板10を製作する。幾つかの例示的な実施形態では、ガラス基板60にフレキシブル材料をコーティングし、硬化して膜を形成し、フレキシブルベース基板10を形成する。幾つかの例では、フレキシブルベース基板10の厚さ範囲は約6マイクロメートル(μm)~10μmであってもよい。幾つかの例では、フレキシブル材料は、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は表面処理されたポリマーフィルム等の材料を採用してもよい。
【0081】
本プロセスの後、画素島領域100、接続ブリッジ領域200、及び孔領域300は、図5Aに示すように、いずれもフレキシブルベース基板10を含む。
【0082】
(2)フレキシブルベース基板10において、第1絶縁層11、第2絶縁層12、半導体層、第3絶縁層13、第1金属層、第4絶縁層14、第2金属層、及び第5絶縁層15を順次に製作する。
【0083】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Aに示すように、フレキシブルベース基板10において、第1絶縁薄膜及び第2絶縁薄膜を順次に堆積し、フレキシブルベース基板10全体を覆う第1絶縁層11及び第2絶縁層12を形成する。
【0084】
その後、半導体薄膜を堆積し、パターン化プロセスによって半導体薄膜をパターン化し、第2絶縁層12に配置された半導体層を形成し、半導体層は少なくとも画素島領域100に位置する第1アクティブ層210を含む。
【0085】
その後、第3絶縁薄膜及び第1金属薄膜を順次に堆積し、パターン化プロセスにより第1金属薄膜をパターン化し、半導体層を覆う第3絶縁層13と、第3絶縁層13に設けられた第1金属層とを形成する。第1金属層は少なくとも画素島領域100に位置する第1ゲート電極211と第1コンデンサ電極221とを備える。
【0086】
その後、第4絶縁薄膜及び第2金属薄膜を順次に堆積し、パターン化プロセスにより第2金属薄膜をパターン化し、第1金属層を覆う第4絶縁層14と、第4絶縁層14に設けられた第2金属層とを形成する。第2金属層は少なくとも画素島領域100に位置する第2コンデンサ電極222を備える。第2コンデンサ電極222と第1コンデンサ電極221のフレキシブルベース基板10における正投影はオーバーラップする。
【0087】
その後、第5絶縁薄膜を堆積し、第2金属層を覆う第5絶縁層15を形成する。
【0088】
本プロセスの後、接続ブリッジ領域200及び孔領域300はいずれも、フレキシブルベース基板10に順に配置された第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、を含んでもよい。第1絶縁層11~第5絶縁層15は無機複合絶縁層と総称されてもよい。
【0089】
幾つかの例示的な実施形態では、第1絶縁層11、第2絶縁層12、第3絶縁層13、第4絶縁層14、及び第5絶縁層15は、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)、及び窒酸化ケイ素(SiON)のうちのいずれか1つ又は複数を採用してもよく、単層、多層、又は複合層であってもよい。第1絶縁層11は更に阻止層と称されてもよく、第2絶縁層12は更にバッファ(Buffer)層と称されてもよく、第1絶縁層11及び第2絶縁層12はフレキシブルベース基板10の耐水性、耐酸素能力を高めることに用いられてもよい。第3絶縁層13及び第4絶縁層14は更にゲート絶縁(GI、Gate Insulator)層と称されてもよく、第5絶縁層15は更に層間媒体(ILD、Inter Layer Dielectric)層と称されてもよい。
【0090】
幾つかの例示的な実施形態では、第1金属薄膜及び第2金属薄膜は、金属材料、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、及びモリブデン(Mo)のうちのいずれか1つ又は複数、又は上記金属の合金材料、例えば、アルミニウムネオジム合金(AlNd)又はモリブデンニオブ合金(MoNb)を採用し、単層構造、又は多層複合構造、例えばTi/Al/Ti等であってもよい。半導体薄膜は、アモルファスインジウムガリウム酸化亜鉛(a-IGZO)、酸窒化亜鉛(ZnON)、インジウム亜鉛スズ酸化物(IZTO)、アモルファスシリコン(a-Si)、多結晶シリコン(p-Si)、ヘキサチオフェン、ポリチオフェン等のうちの1つ又は複数の材料を採用し、即ち、本開示は、酸化物(Oxide)技術、シリコン技術、及び有機物技術に基づいて製造されたトランジスタに適用可能である。
【0091】
(3)、孔領域300の無機複合絶縁層をエッチングして、第2貫通孔K2を形成する。
【0092】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Bに示すように、第5絶縁層15、第4絶縁層14、第3絶縁層13、第2絶縁層12、及び第1絶縁層11をエッチングして、フレキシブルベース基板10の表面を露出する第2貫通孔K2を孔領域300に形成する。幾つかの例では、孔領域300の第5絶縁層15には第5スルーホールK25が開設され、第5スルーホールK25は第4絶縁層14の表面を露出する。第4絶縁層14の第5スルーホールK25により露出された部分には第4スルーホールK24が形成され、第4スルーホールK24は第3絶縁層13の表面を露出する。第3絶縁層13の第4スルーホールK24により露出された部分には第3スルーホールK23が形成され、第3スルーホールK23は第2絶縁層12の表面を露出する。第2絶縁層12の第3スルーホールK23により露出された部分には第2スルーホールK22が形成され、第2スルーホールK22は第1絶縁層11の表面を露出する。第1絶縁層11の第2スルーホールK22により露出された部分には第1スルーホールK21が形成される。第1スルーホールK21~第5スルーホールK25は連通して、第2貫通孔K2を形成する。
【0093】
幾つかの例では、第5スルーホールK25のフレキシブルベース基板10における正投影は第4スルーホールK24のフレキシブルベース基板10における正投影を含み、第4スルーホールK24のフレキシブルベース基板10における正投影は第3スルーホールK23のフレキシブルベース基板10における正投影を含み、第3スルーホールK23のフレキシブルベース基板10における正投影は第2スルーホールK22のフレキシブルベース基板10における正投影を含み、第2スルーホールK22のフレキシブルベース基板10における正投影は第1スルーホールK21のフレキシブルベース基板10における正投影を含む。言い換えれば、第1開孔K21のサイズは第2開孔K22のサイズよりも小さくてもよく、第2開口K22のサイズは第3開孔K23のサイズよりも小さくてもよく、第3開孔K23のサイズは第4開孔K24のサイズよりも小さくてもよく、第4開孔K24のサイズは第5開孔K25のサイズよりも小さくてもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第1開孔、第2開孔、第3開孔、第4開孔、及び第5開孔のサイズは略同じであってもよい。
【0094】
幾つかの例では、表示基板に平行な平面内において、第2貫通孔K2は矩形又は円形であってもよい。表示基板に垂直な方向において、第2貫通孔K2の断面形状は逆台形であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0095】
本開示において、孔サイズとは、孔の大きさの尺度を指す。例えば、円形孔の場合、孔径であってもよく、四角孔の場合、辺長であってもよい。
【0096】
本プロセスの後、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の膜層構造は変化していない。
【0097】
(4)フレキシブルベース基板10をエッチングして、孔領域300に第1貫通孔K1を形成する。
【0098】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Cに示すように、第5絶縁層15をマスクとしてフレキシブルベース基板10をエッチングして、孔領域300のフレキシブルベース基板10に第1貫通孔K1を形成する。第1貫通孔K1はフレキシブルベース基板10を貫通し、そして第2貫通孔K2に貫通する。第2貫通孔K2のフレキシブルベース基板10における正投影は第1貫通孔K1を覆う。幾つかの例では、表示基板に平行な平面内において、第1貫通孔K1は矩形又は円形であってもよく、表示基板に垂直な方向において、第1貫通孔K1の断面形状は矩形であってもよい。しかし、本実施例は第1貫通孔K1の形状については限定しない。
【0099】
本プロセスの後、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の膜層構造は変化していない。
【0100】
(5)前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に第3金属層を形成する。
【0101】
幾つかの例示的な実施形態では、パターン化プロセスにより第5絶縁層15をパターン化し、画素島領域100の第5絶縁層15に少なくとも1つの第1接続孔を形成する。第1接続孔内の第5絶縁層15、第4絶縁層14、及び第3絶縁層13はエッチングされ、半導体層の表面が露出される。
【0102】
その後、第3金属薄膜を堆積し、図5Dに示すように、パターン化プロセスにより第3金属薄膜をパターン化し、第3金属層を形成する。第3金属層は少なくとも、画素島領域100に位置する第1ソース電極212と第1ドレイン電極213と、接続ブリッジ領域200に位置する信号線23と、を備える。第1ソース電極212は、1つの第1接続孔を介して第1アクティブ層210の第1ドーピング領域に電気的に接続されてもよく、第1ドレイン電極213は、他の1つの第1接続孔を介して第1アクティブ層210の第2ドーピング領域に電気的に接続されてもよい。接続ブリッジ領域200の信号線23は、隣接する画素島領域100間の信号接続を実現するように構成されてもよい。幾つかの例では、信号線23は隣接する画素島領域100におけるゲート線を接続する接続線、又は隣接する画素島領域100におけるデータ線を接続する接続線、又は電源信号の接続線であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例では、接続ブリッジ領域200内に配置され、隣接する画素島領域100におけるゲート線を接続するように構成された接続線は、第1金属層又は第2金属層に位置してもよい。
【0103】
これで、フレキシブルベース基板10における複数の画素島領域100の駆動構造層の製作が完成する。図4に示すように、1つの画素島領域100の駆動構造層において、第1アクティブ層210、第1ゲート電極211、第1ソース電極212、及び第1ドレイン電極213は第1トランジスタ21を構成してもよく、第1コンデンサ電極221及び第2コンデンサ電極222は第1コンデンサ22を構成してもよい。
【0104】
本プロセスの後、接続ブリッジ領域200は、フレキシブルベース基板10に積層された無機複合絶縁層と信号線23とを備える。孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0105】
(6)前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に第1平坦層16及び第1充填層61を形成する。
【0106】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Eに示すように、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に有機材料を用いた第1平坦薄膜をコーティングし、そしてパターン化プロセスにより第1平坦薄膜をパターン化し、第1平坦層16及び第1充填層61を形成する。第1平坦層16は接続ブリッジ領域200及び画素島領域100に位置し、第1充填層61は孔領域300に位置する。第1平坦層16は第3金属層を覆い、第1充填層61はフレキシブルベース基板10の第1貫通孔K1内に充填される。第1平坦層16は孔領域300において第6スルーホールK26が開設され、第6スルーホールK26は第2貫通孔K2に連通する。第6スルーホールK26のフレキシブルベース基板10における正投影は第2貫通孔K2のフレキシブルベース基板10における正投影を含んでもよい。
【0107】
幾つかの例示的な実施形態では、第1充填層61のガラス基板60から離れる表面と、フレキシブルベース基板10のガラス基板60から離れる表面とは揃えられてもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第1充填層61のガラス基板60から離れる表面は、フレキシブルベース基板10のガラス基板60から離れる表面よりやや低くてもよく、又はフレキシブルベース基板10のガラス基板60から離れる表面よりやや高くてもよい。
【0108】
本例では、フレキシブルベース基板10の第1貫通孔K1内に第1充填層61を充填することにより、後続プロセスにおける深孔露光残留の問題を回避し、表示基板の伸張性能を改善することができる。第1充填層61と第1平坦層16とは同層に設けられ、プロセスを簡略化することができる。そして、第1充填層61とフレキシブルベース基板10は、接着性の異なる有機材料を採用してもよく、それによって相互間の接着力が比較的に弱いようにさせ、フレキシブルベース基板10の伸張に影響を与えることが回避され、それによって、フレキシブルベース基板に貫通孔構造を用いたような伸張可能効果を得ることができる。
【0109】
(7)前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に、第4金属層、第2平坦層17、不動態化層18、陽極層、画素定義層34、及びスペーサ柱19を順次に形成する。
【0110】
幾つかの例示的な実施形態では、パターン化プロセスにより第1平坦層16をパターン化し、画素島領域100の第1平坦層16に少なくとも1つの第2接続孔を形成する。図5Fに示すように、第2接続孔内の第1平坦層16は除去され、第3金属層の表面が露出される。本プロセスの後、接続ブリッジ領域200及び孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0111】
その後、第4金属薄膜を堆積し、図5Fに示すように、パターン化プロセスにより第4金属薄膜をパターン化し、第4金属層を形成する。第4金属層は少なくとも画素島領域100に位置する接続電極24を備える。接続電極24は、第2接続孔を介して第1トランジスタ21の第1ドレイン電極213に電気的に接続されてもよい。本プロセスの後、接続ブリッジ領域200及び孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0112】
その後、図5Fに示すように、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に有機材料を用いた第2平坦薄膜をコーティングし、パターン化プロセスにより第2平坦薄膜をパターン化し、第4金属層を覆う第2平坦層17を画素島領域100及び接続ブリッジ領域200に形成する。第2平坦層17は孔領域300において第7スルーホールK27が開設され、第7スルーホールK27は第6スルーホールK26に連通する。第7スルーホールK27のフレキシブルベース基板10における正投影は第6スルーホールK26のフレキシブルベース基板10における正投影を含んでもよい。本プロセスの後、孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0113】
その後、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に不動態化薄膜を堆積し、パターン化プロセスにより不動態化薄膜をパターン化し、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200に不動態化層18を形成する。画素島領域100の不動態化層18には、少なくとも1つの第3接続孔が形成される。第3接続孔内の不動態化層18及び第2平坦層17は除去され、第4金属層の表面が露出される。不動態化層18は、孔領域300において第8スルーホールK28が開設され、第8スルーホールK28は第7スルーホールK27に連通する。第8スルーホールK28のフレキシブルベース基板10における正投影は第7スルーホールK27のフレキシブルベース基板10における正投影を含んでもよい。本プロセスの後、孔領域300の膜層構造は変化していない。本例では、第8スルーホールK28、第7スルーホールK27、第6スルーホールK27、及び第2貫通孔K2は連通して、孔領域300の第1開口G1を形成する。
【0114】
その後、図5Fに示すように、第1導電薄膜を堆積し、パターン化プロセスにより第1導電薄膜をパターン化し、陽極層を形成する。陽極層は、画素島領域100の不動態化層18に形成される。陽極層は複数の陽極を含む。図5Fでは、1つの陽極31のみを例にして模式的に説明している。陽極31は第3接続孔を介して接続電極24に電気的に接続され、接続電極24を介して第1トランジスタ21の第1ドレイン電極213との電気的接続が実現される。幾つかの例では、陽極は反射陽極であってもよい。例えば、陽極層は、積層された第1光透過性導電層、反射層、及び第2光透過性導電層を含んでもよい。第1光透過性導電層及び第2光透過性導電層は、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)又は酸化インジウム亜鉛(IZO、Indium Zinc Oxide)等の光透過性導電材料を採用してもよい。反射層は金属層であってもよく、例えば、銀の材質で作られてもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。幾つかの例では、第1導電薄膜は、金属材料、例えば、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、及びモリブデン(Mo)のうちのいずれか1つ又は複数、又は上記金属の合金材料、例えば、アルミニウムネオジム合金(AlNd)又はモリブデンニオブ合金(MoNb)を採用してもよく、単層構造、又は多層複合構造、例えばTi/Al/Ti等であってもよい。本プロセスの後、接続ブリッジ領域200及び孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0115】
その後、図5Fに示すように、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に画素定義薄膜をコーティングし、パターン化プロセスにより画素定義薄膜をパターン化し、画素島領域100に画素定義層34を形成する。画素島領域100の画素定義層34には、複数の画素開口が開設される。図5Fでは、1つの画素開口V1のみを例にして模式的に説明している。画素開口V1内の画素定義層34は現像され、陽極31の表面が露出される。幾つかの例では、画素定義層34は、ポリイミド、アクリル、又はポリエチレンテレフタレート等の材料を採用してもよい。本プロセスの後、接続ブリッジ領域200及び孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0116】
その後、図5Fに示すように、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10にスペーサ柱薄膜をコーティングし、パターン化プロセスによりスペーサ柱薄膜をパターン化し、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200にスペーサ柱19を形成する。幾つかの例では、スペーサ柱19は、ポリイミド、アクリル、又はポリエチレンテレフタレート等の材料を採用してもよい。本プロセスの後、孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0117】
その後、不動態化層18にフォトレジストをコーティングし、フォトレジストを露光した後、現像して不動態化層18を貫通する分離孔を形成し、その後、分離孔を有する不動態化層18をマスクとして、第2平坦層17の少なくとも一部をドライエッチングし、第2平坦層17内の第1凹溝を形成する。不動態化層18の分離孔は第2平坦層17の第1凹溝に連通し、且つ第1凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影は分離孔のフレキシブルベース基板10における正投影を含む。本例では、不動態化層18の分離孔と第2平坦層17の第1凹溝とは第1分離溝H1を形成する。不動態化層18は第1凹溝の上方に位置する第1延出部を有し、不動態化層18の第1延出部のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。不動態化層18の第1延出部は第1分離溝H1の切り欠きを部分的に遮蔽し、それによって、第1分離溝H1の切り欠きのフレキシブルベース基板10における正投影は、第1凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。第1分離溝H1の切り欠きのサイズは、不動態化層18の分離孔のサイズによって決定されてもよい。表示基板に垂直な方向において、第1分離溝H1の断面形状は凸字型であってもよい。本プロセスの後、孔領域300の膜層構造は変化していない。
【0118】
幾つかの例では、第1分離溝H1は、孔領域300に隣接する接続ブリッジ領域200に位置してもよい。第1分離溝H1は、画素島領域100又は接続ブリッジ領域200の孔領域300に近い有機発光層と陰極とを遮断することに用いられ、それによって水蒸気が孔領域300から有機発光層と陰極に沿って発光素子に侵入してそれを損傷することができないようにする。
【0119】
幾つかの例では、第1分離溝H1の深さは約1.5μm~2.5μmであってもよく、それによってその落差深さが有機発光層と陰極とを完全に遮断できることが確保される。第1分離溝H1の深さは、不動態化層18の第1延出部のフレキシブルベース基板10に近い側の表面と第1凹溝の底面との間の距離であってもよい。
【0120】
(8)前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に有機発光層32及び陰極33を順次に形成する。
【0121】
幾つかの例示的な実施形態では、有機発光層32及び陰極33は、蒸着プロセスを採用して画素島領域100、接続ブリッジ領域200及び孔領域300に形成してもよい。画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の有機発光層32は画素定義層34を覆ってもよく、そして画素島領域100の有機発光層32は、画素定義層34の画素開口V1から露出した陽極31に直接接触してもよい。図5Gに示すように、接続ブリッジ領域200の有機発光層32は第1分離溝H1内に位置し、孔領域300の有機発光層32は第1開口G1の側壁及び底部を覆う。
【0122】
幾つかの例では、陰極33は有機発光層32に形成される。画素島領域100の積層された陽極31、有機発光層32、及び陰極33は発光素子を形成する。幾つかの例では、陰極33は、ITO又はIZO等の光透過性導電材料を採用してもよい。発光素子は、透明陰極によりフレキシブルベース基板10から離れる側から光を出射し、トップエミッションを実現してもよい。
【0123】
幾つかの例では、有機発光層32は、積層された正孔注入層と、正孔輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層と、を含んでもよく、それによって、電子及び正孔の発光層への注入効率を高める。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0124】
本例では、第1分離溝H1の存在のため、蒸着により形成された有機発光層32と陰極33とは、第1分離溝H1で切断される。画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の有機発光層32と陰極33とを遮断することにより、孔領域300から画素島領域100の有機発光層32と陰極33への水蒸気侵入経路を完全に遮断し、パッケージの有効性と信頼性を確保することができる。
【0125】
本プロセスの後、孔領域300のフレキシブルベース基板10には有機発光層32及び陰極33が積層される。フレキシブルベース基板10には、第1充填層61が充填される。
【0126】
(9)前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10にパッケージ層40を形成する。
【0127】
幾つかの例示的な実施形態では、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に第1パッケージ薄膜を堆積し、フレキシブルベース基板10全体を覆う第1無機パッケージ層41を形成する。その後、インクジェット印刷プロセスを採用して有機パッケージ層42を形成する。その後、第2パッケージ薄膜を堆積し、フレキシブルベース基板10全体を覆う第2無機パッケージ層43を形成する。本例では、図5Hに示すように、パッケージ層40は、積層された第1無機パッケージ層41、有機パッケージ層42、及び第2無機パッケージ層43の3層構造を含む無機有機積層構造である。幾つかの例では、無機材料は酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、又は窒酸化ケイ素等を採用してもよく、有機材料はPETに基づくフレキシブル高分子材料を採用してもよく、良好なパッケージ効果を有し、有機発光層への水と酸素の侵入を効果的に阻止することができ、そしてフレキシブル変形の特徴を有し、表示基板の伸張変形を実現することができる。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、パッケージ層は、無機/有機/無機/有機/無機の5層構造であってもよい。
【0128】
本プロセスの後、孔領域300は、ガラス基板60に順次に積層されたフレキシブルベース基板10と、有機発光層32と、陰極33と、第1無機パッケージ層41と、有機パッケージ層42と、第2無機パッケージ層43と、を備える。フレキシブルベース基板10には、第1充填層61が充填される。
【0129】
(10)孔領域300の有機パッケージ層42及び第2無機パッケージ層43をエッチングする。
【0130】
幾つかの例示的な実施形態では、パターン化プロセスにより第2無機パッケージ層43をパターン化し、孔領域300の第2無機パッケージ層43を除去する。図5Iに示すように、パターン化された第2無機パッケージ層43をマスクとして、有機パッケージ層42をパターン化し、孔領域300の第1開口G1内の有機パッケージ層42を除去する。幾つかの例では、無機パッケージ層がエッチングされることを回避するために、酸素を用いて有機パッケージ層42をエッチングしてもよい。孔領域300の第2無機パッケージ層43及び有機パッケージ層42をエッチングした後、孔領域300の第1無機パッケージ層41の表面が露出されることができる。
【0131】
(11)孔領域300において、有機発光層32、陰極33、及び第1無機パッケージ層41をパターン化する。
【0132】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Jに示すように、孔領域300において、パターン化プロセスによって、第1無機パッケージ層41、陰極33、及び有機発光層32を順次にパターン化し、第1充填層61及びフレキシブルベース基板10の一部を覆う第1無機パッケージ層41、陰極33、及び有機発光層32を除去して、第1充填層61の表面を露出する。本例では、孔領域300の第1充填層61は残りの膜層構造に覆われなくてもよく、それによって表示基板の伸張可能効果が確保されることができる。
【0133】
(12)バッファ保護層50を形成する。
【0134】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Kに示すように、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10にバッファ保護薄膜を堆積し、パターン化プロセスによりバッファ保護薄膜をパターン化し、バッファ保護層50を形成する。孔領域300のバッファ保護層50はエッチングされ、第1充填層61の表面が露出される。本例では、バッファ保護層50のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1無機パッケージ層41のフレキシブルベース基板10における正投影を含み、且つ第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップしなくてもよい。幾つかの例では、バッファ保護層50はタッチ構造層のベース基板としてもよく、バッファ保護層50にタッチ構造層を配置してもよい。
【0135】
幾つかの例では、表示基板の製造が完了した後、、レーザーリフトオフプロセス(LTO、Laser-Lift-Off)によってフレキシブルベース基板10をガラス基板60から剥離してもよい。本例では、フレキシブルベース基板10の第1貫通孔内に第1充填層61が充填され、パッケージ層40がガラス基板60に直接接触することが回避され、それによって、ガラス基板60を剥離する際にパッケージ層40の引き裂き失効が生じることを回避することができる。
【0136】
本実施例の表示基板の構造及びその製造プロセスは単なる例示的な説明である。幾つかの例示的な実施形態では、実際の必要に応じて対応する構造を変更すること、及びパターニングプロセスを増加又は減少させることができる。例えば、第2平坦層及び第4金属層を省略してもよく、発光素子の陽極は第3金属層に直接接続され、且つ不動態化層及び第1平坦層に第1分離溝を形成してもよい。本開示はここで限定しない。
【0137】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板の主表示領域の構造は、伸張表示領域の画素島領域の構造を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0138】
本例示的な実施形態では、フレキシブルベース基板10の第1貫通孔に第1充填層を充填することにより、後続のプロセスにおける深孔露光残留を回避することができ、そして、フレキシブルベース基板とガラス基板とを分離する際にパッケージ層が引き裂かれてパッケージが失効することを回避することができ、それによって、表示基板のパッケージ効果を高め、そして表示基板の良品率を高めることができる。
【0139】
図6図3におけるQ-Q’方向に沿う他の一部断面模式図である。幾つかの例示的な実施形態では、図6に示すように、表示基板に垂直な方向において、画素島領域100は、フレキシブルベース基板10と、フレキシブルベース基板10に順に配置された駆動構造層と、発光構造層と、パッケージ層40と、バッファ保護層50と、を備えてもよい。図6では、画素島領域100の1つの発光素子、画素回路の1つのトランジスタ及び1つのコンデンサのみを例にして模式的に説明している。接続ブリッジ領域200は、フレキシブルベース基板10と、フレキシブルベース基板10に設けられた無機複合絶縁層と、無機複合絶縁層に設けられた信号線(図6では1本の信号線23のみを模式とする)と、信号線を順次覆う第1平坦層16、第2平坦層17、不動態化層18、パッケージ層40、及びバッファ保護層50と、を備えてもよい。画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の構造については、前の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0140】
幾つかの例示的な実施形態では、図6に示すように、表示基板に垂直な方向において、孔領域300のフレキシブルベース基板10は第1貫通孔を有し、第1貫通孔はフレキシブルベース基板10を貫通する。第1平坦層16の第1充填層61は、第1貫通孔内に充填される。孔領域300の無機複合絶縁層は第2貫通孔を有し、第2貫通孔は無機複合絶縁層を貫通する。第2充填層71は第2貫通孔内に充填される。第2充填層71と第1充填層61とは直接接触している。第2充填層71のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影を覆ってもよい。孔領域300は第2開口G2を有し、第2開口G2は第2充填層71を露出する。本例では、孔領域300において第1充填層61及び第2充填層71を用いて第1貫通孔及び第2貫通孔を充填することにより、深孔露光残留の問題を回避することができる。
【0141】
幾つかの例示的な実施形態では、図6に示すように、孔領域300において、パッケージ層40のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2充填層71のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップしなくてもよく、第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップしなくてもよく、それによって表示基板の伸張効果が確保される。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、パッケージ層40のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2充填層71のフレキシブルベース基板10における正投影と部分的にオーバーラップしてもよく、そして、第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップしなくてもよい。又は、パッケージ層40のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2充填層71のフレキシブルベース基板10における正投影と部分的にオーバーラップしてもよく、そして、第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影とも部分的にオーバーラップしてもよい。
【0142】
幾つかの例示的な実施形態では、表示基板の製造プロセスにおいて、第4金属層を形成した後、フレキシブルベース基板10に有機材料を用いた第2平坦薄膜をコーティングし、パターン化プロセスにより第2平坦薄膜をパターン化し、第4金属層を覆う第2平坦層17を画素島領域100及び接続ブリッジ領域200に形成し、孔領域300に第2充填層71を形成してもよい。第2平坦層17は孔領域300において第7スルーホールK27が開設され、第7スルーホールK27は第1平坦層16の孔領域300において開設された第6スルーホールK26に連通する。第7スルーホールK27のフレキシブルベース基板10における正投影は第6スルーホールK26のフレキシブルベース基板10における正投影を含んでもよい。第2充填層71は孔領域300の第2貫通孔内に充填される。第2充填層71のフレキシブルベース基板10から離れる表面と、第5絶縁層15のフレキシブルベース基板10から離れる表面とは、揃えられてもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第2充填層71のフレキシブルベース基板10から離れる表面は、第5絶縁層15のフレキシブルベース基板10から離れる表面よりも低くてもよい。
【0143】
本例示的な実施形態では、第1平坦層16の第6スルーホールと、第2平坦層17の第7スルーホールと、不動態化層18の第8スルーホールとは、連通して表示基板の第2開口G2を形成してもよい。有機発光層32、陰極33、第1無機パッケージ層41、及びバッファ保護層50は、第2開口G2の側壁及び底部の一部領域を覆い、そして第2充填層71とオーバーラップしなくてもよく、表示基板の伸張可能効果への影響が回避される。
【0144】
本実施例の残りの構造及び製造プロセスについては、前の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0145】
本実施形態に示される構造(又は方法)は、他の実施形態に示される構造(又は方法)と適宜組み合わせられてもよい。
【0146】
図7図3におけるQ-Q’方向に沿う他の一部断面模式図である。幾つかの例示的な実施形態では、図7に示すように、表示基板に垂直な方向において、孔領域300に第2分離溝H2が設けられる。第2分離溝H2は、無機複合絶縁層、第1充填層61の一部、及びフレキシブルベース基板10の一部を貫通することによって形成される。無機複合絶縁層は、フレキシブルベース基板10に順次積層された第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、を含んでもよい。第2分離溝H2は無機複合絶縁層の第2貫通孔に貫通する。無機複合絶縁層の少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有する。第2延出部のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2分離溝H2のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。無機複合絶縁層の第2延出部は第2分離溝H2の切り欠きを部分的に遮蔽し、それによって、第2分離溝H2の切り欠きのフレキシブルベース基板10における正投影は、第2分離溝H2のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。第2分離溝H2のフレキシブルベース基板10における正投影は、第1充填層61のフレキシブルベース基板10における正投影を覆ってもよい。
【0147】
本実施例の表示基板の画素島領域100及び接続ブリッジ領域200の構造については、前述の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0148】
次は、前の実施例の製造プロセス及び図8A図8Cを参照して、図7に示す表示基板の製造プロセスを例示する。
【0149】
幾つかの例示的な実施形態では、図5Eに示すように、画素島領域100及び接続ブリッジ領域200に第1平坦層16を形成し、孔領域300にフレキシブルベース基板10の第1貫通孔を充填する第1充填層61を形成する。その後、図8Aに示すように、第4金属層、第2平坦層17、不動態化層18、陽極層、画素定義層34、及びスペーサ柱19を順次に形成する。
【0150】
その後、不動態化層18にフォトレジストをコーティングし、フォトレジストを露光現像して不動態化層18を貫通する分離孔を形成し、その後、分離孔を有する不動態化層18をマスクとして、第2平坦層17の少なくとも一部をドライエッチングして第1凹溝を形成し、そして第1スルーホールを有する第1絶縁層11をマスクとして、フレキシブルベース基板10及び第1充填層61の少なくとも一部をドライエッチングして第2凹溝を形成する。本例では、不動態化層18の分離孔と第2平坦層17の第1凹溝とは連通して第1分離溝H1を形成する。第1分離溝H1の切り欠きのサイズは、不動態化層18の分離孔のサイズによって決定される。
【0151】
幾つかの例では、無機複合絶縁層は第2凹溝の上方に位置する第2延出部を有し、無機複合絶縁層の第2延出部のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。無機複合絶縁層の第2延出部は第2分離溝H2の切り欠きを部分的に遮蔽し、それによって、第2分離溝H2の切り欠きのフレキシブルベース基板10における正投影は、第2凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影内に位置する。幾つかの例では、無機複合絶縁層の第2延出部は、第2凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップする第1絶縁層11~第5絶縁層15のうちの少なくとも1つから形成されてもよい。幾つかの例では、無機複合絶縁層の第2延出部は、第2凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップする第1絶縁層11、第1絶縁層12、及び第3絶縁層13から形成されてもよい。第1絶縁層11の第1スルーホールとフレキシブルベース基板10の第2凹溝とは連通する。第2分離溝H2の切り欠きのサイズは、第1絶縁層11の第1スルーホールのサイズによって決定される。第2凹溝のフレキシブルベース基板10における正投影は第1スルーホールのフレキシブルベース基板10における正投影を含んでもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第2分離溝の切り欠きのサイズは、第2絶縁層又は第3絶縁層におけるスルーホールのサイズによって決定されてもよい。
【0152】
幾つかの例では、エッチングガスとして四フッ化炭素(CF)と酸素(O)との混合ガス(CF4、O2)を採用してもよく、両者の比例を調整することにより、第2平坦層17に対する横方向エッチングを実現し、第1凹溝を形成し、そして第1充填層61及びフレキシブルベース基板10に対する横方向エッチングを実現し、第2凹溝を形成する。
【0153】
幾つかの例では、フレキシブルベース基板10の厚さは約6μm~10μmであってもよく、例えば、約6μm又は8μmである。第2分離溝H2の深さL2(即ち、第1絶縁層11のフレキシブルベース基板10に近い側の表面と第2凹溝の底面との距離)は約1.5μm~2.0μmであってもよく、例えば、約1.5μm又は1.8μmである。無機複合絶縁層の第2延出部の側壁と同側の第2分離溝H2の側壁との距離L1(即ち、第2分離溝H2の切り欠き縁と該切り欠き縁の同側の第2分離溝H1の側壁との距離)は約0.3μm~0.5μmであってもよく、例えば、約0.3μm又は0.4μmである。本例では、L1は即ち、第1絶縁層11の第1スルーホールの孔壁と同側の第2凹溝の側壁との間の最大距離である。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0154】
その後、図8Bに示すように、蒸着プロセスを採用して、画素島領域100、接続ブリッジ領域200及び孔領域300に有機発光層32及び陰極33を形成する。有機発光層32と陰極33は、第1分離溝H1及び第2分離溝H2において切断される。その後、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10に第1パッケージ薄膜を堆積し、フレキシブルベース基板10全体を覆う第1無機パッケージ層41を形成する。その後、インクジェット印刷プロセスを採用して有機パッケージ層42を形成する。その後、第2パッケージ薄膜を堆積し、フレキシブルベース基板10全体を覆う第2無機パッケージ層43を形成する。本例では、第1無機パッケージ層41は、第2分離溝H2において遮断される。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0155】
その後、図8Cに示すように、孔領域300の有機パッケージ層42及び第2無機パッケージ層43をエッチングし、孔領域300の第1無機パッケージ層41の表面が露出される。孔領域300において、有機発光層32、陰極33、及び第1無機パッケージ層41をパターン化処理し、第2分離溝H2内のフレキシブルベース基板10及び第1充填層61における第1無機パッケージ層41、陰極33、及び有機発光層32を除去して、第1充填層61の表面を露出し、又は第1充填層61及び一部のフレキシブルベース基板10の表面を露出する。例えば、エッチングプロセスにより、第2分離溝H2の底部の、フレキシブルベース基板10及び第1充填層61を覆う第1無機パッケージ層41、陰極33、及び有機発光層32を除去して、第1充填層61の表面を露出し、又は第1充填層61及び一部のフレキシブルベース基板10の表面を露出する。本例では、第1充填層61は残りの膜層構造に覆われていなく、それによって表示基板の伸張可能効果が確保されることができる。しかし、本実施例はこれについて限定しない。例えば、第1充填層61の縁部はパッケージ層50に覆われてもよく、表示基板の伸張可能効果さえ確保されればよい。
【0156】
その後、前述のパターンが形成されたフレキシブルベース基板10にバッファ保護薄膜を堆積し、パターン化プロセスによりバッファ保護薄膜をパターン化し、バッファ保護層50を形成する。孔領域300のバッファ保護層50はエッチングされ、第1充填層61の表面が露出される。
【0157】
本例示的な実施形態では、フレキシブルベース基板10の第1貫通孔に第1充填層を充填し且つ第2分離溝H2を形成することにより、フレキシブルベース基板10とガラス基板60とを分離する際には、パッケージ層が引き裂かれてパッケージが失効することを回避することができ、それによって、表示基板のパッケージ効果を高めることができる。そして、第2分離溝H2を設けることにより、有機発光層と陰極とが遮断され、水蒸気が発光素子に入ることが回避され、それによって表示基板のパッケージ効果をより向上させる。
【0158】
本実施例の残りの構造及び製造プロセスについては、前の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0159】
本実施形態に示される構造(又は方法)は、他の実施形態に示される構造(又は方法)と適宜組み合わせられてもよい。
【0160】
本開示の実施例は更に表示基板の製造方法を提供する。表示基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備え、伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、前記画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含む。本実施例の製造方法は、孔領域にフレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔を形成することと、孔領域に第1貫通孔を充填する第1充填層を形成することと、パッケージ層を形成し、パッケージ層のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしないことと、を含む。
【0161】
幾つかの例示的な実施形態では、本実施例の製造方法は更に、孔領域に第1充填層を形成すると同時に、画素島領域及び接続ブリッジ領域に第1平坦層を形成することを含んでもよい。
【0162】
幾つかの例示的な実施形態では、本実施例の製造方法は更に、孔領域に第1充填層を形成する前に、フレキシブルベース基板に複合絶縁層を形成し、そして孔領域の複合絶縁層に第2貫通孔を形成し、第2貫通孔は複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通することを含んでもよい。
【0163】
幾つかの例示的な実施形態では、本実施例の製造方法は更に、孔領域に第1充填層を形成した後に、画素島領域及び接続ブリッジ領域に第2平坦層を形成するとともに、孔領域に第2充填層を形成し、第2充填層は第2貫通孔内に充填されることを含んでもよい。第2充填層は第1充填層に接触し、第2充填層のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層のフレキシブルベース基板における正投影と少なくとも部分的にオーバーラップし、パッケージ層のフレキシブルベース基板における正投影は、第2充填層のフレキシブルベース基板における正投影と部分的にオーバーラップし、又は、オーバーラップしない。
【0164】
幾つかの例示的な実施形態では、本実施例の製造方法は更に、孔領域に第1充填層を形成した後に、複合絶縁層、一部の第2平坦部、及び一部のフレキシブルベース基板を貫通する第2分離溝を孔領域に形成することを含んでもよい。第2分離溝は複合絶縁層の第2貫通孔に貫通し、複合絶縁層における少なくとも1つの絶縁層は第2延出部を有し、第2延出部のフレキシブルベース基板における正投影は、第2分離溝のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。第2分離溝のフレキシブルベース基板における正投影は、第1充填層のフレキシブルベース基板における正投影を覆う。
【0165】
本実施例の製造方法に関する関連説明は前述の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0166】
本開示の少なくとも1つの実施例は更に表示基板を提供し、フレキシブルベース基板を備える。フレキシブルベース基板は少なくとも1つの伸張表示領域を備え、伸張表示領域は、互いに分離された複数の画素島領域と、複数の孔領域と、画素島領域と孔領域との間に位置する接続ブリッジ領域と、を含む。少なくとも1つの孔領域には、フレキシブルベース基板を貫通する1つ以上の第1貫通孔が設けられている。孔領域は更にフレキシブルベース基板に積層された複合絶縁層を備える。複合絶縁層は第2貫通孔を有する。第2貫通孔は複合絶縁層を貫通し、そして対応する第1貫通孔に貫通する。複合絶縁層のフレキシブルベース基板における正投影は、第1貫通孔のフレキシブルベース基板における正投影とオーバーラップする。
【0167】
本例示的な実施形態による表示基板は、孔領域のフレキシブルベース基板又はフレキシブルベース基板と複合絶縁層との間にアンダーカット構造を形成することにより、孔領域のパッケージ層とガラス基板との間の接着力を改善し、表示基板とガラス基板との剥離の際に存在する、パッケージ層が破裂して失効するという状況を回避し、表示基板のパッケージ信頼性を向上させる。
【0168】
幾つかの例示的な実施形態では、複合絶縁層はフレキシブルベース基板に接触する第1絶縁層を含む。第2貫通孔は第1絶縁層に開設された第1スルーホールを含む。第1スルーホールのフレキシブルベース基板における正投影は第1貫通孔のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。本例では、パッケージ層は孔領域において第1スルーホール及び第1貫通孔の側壁を覆う。本例では、孔領域のフレキシブルベース基板と複合絶縁層を用いてアンダーカット構造を形成する。
【0169】
幾つかの例示的な実施形態では、第1貫通孔は連通する第1サブ貫通孔と第2サブ貫通孔とを含み、第1サブ貫通孔は第2貫通孔に貫通する。第1サブ貫通孔のフレキシブルベース基板における正投影は第2サブ貫通孔のフレキシブルベース基板における正投影内に位置する。本例では、パッケージ層は孔領域において第1サブ貫通孔及び第2貫通孔の側壁を覆う。本例では、フレキシブルベース基板の第1貫通孔を用いてアンダーカット構造を形成する。
【0170】
以下では幾つかの例によって本実施例の案を説明する。
【0171】
図9は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の一部断面模式図である。図10は本開示の少なくとも1つの実施例による第1貫通孔及び第2貫通孔が形成された後の表示基板の一部断面模式図である。
【0172】
幾つかの例示的な実施形態では、図9及び図10に示すように、表示基板に垂直な平面内において、孔領域300のフレキシブルベース基板10は第1貫通孔K1を有する。第1貫通孔K1はフレキシブルベース基板10を貫通する。本例では、複合絶縁層は、複数の無機層を含む無機複合絶縁層である。複合絶縁層は第1貫通孔K1に対応する第2貫通孔K2を有する。第2貫通孔K2は無機複合絶縁層を貫通し、そして第1貫通孔K1に貫通する。無機複合絶縁層は、フレキシブルベース基板10に積層された第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、を含む。第1絶縁層11には第1スルーホールK21が開設され、第2絶縁層12には第2スルーホールK22が開設され、第3絶縁層13には第3スルーホールK23が開設され、第4絶縁層14には第4スルーホールK24が開設され、第5絶縁層14には第5スルーホールK25が開設されている。第1スルーホール21~第5スルーホールK25は連通して、第2貫通孔K2を形成する。第1スルーホール21~第5スルーホールK25のサイズは順次増加する。第2貫通孔K2の断面形状は逆台形であってもよい。
【0173】
幾つかの例示的な実施形態では、図10に示すように、第1貫通孔K1は連通する第1サブ貫通孔K11と第2サブ貫通孔K12とを含む。第1サブ貫通孔K11は第1スルーホールK21に貫通する。第1サブ貫通孔K11のガラス基板60における正投影は第2サブ貫通孔K12のガラス基板60における正投影内に位置する。第2サブ貫通孔K12のサイズはガラス基板60に近い側に沿って徐々に増加する。例えば、第2サブ貫通孔K12の断面形状は台形であってもよく、第1サブ貫通孔K11の断面形状は矩形であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0174】
幾つかの例示的な実施形態では、図10に示すように、第1サブ貫通孔K11の側壁と同側の第2サブ貫通孔K12の側壁との間の最大距離L3は、0.3μm以上であってもよく、例えば約0.3μm又は0.5μmであってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0175】
幾つかの例示的な実施形態では、図9及び図10に示すように、無機複合絶縁層の第1絶縁層11のフレキシブルベース基板10における正投影は、第2サブ貫通孔K12のフレキシブルベース基板10における正投影とオーバーラップする。孔領域300において、第2サブ貫通孔K12によってアンダーカット構造が形成され、それによって、有機発光層32と陰極33とは第1貫通孔K1内において切断される。有機発光層32及び陰極33は、第1貫通孔K1内において第1サブ貫通孔K11の側壁のみを覆い、第2サブ貫通孔K12の側壁を覆っていない。パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層41と第2無機パッケージ層43とを含んでもよい。第1無機パッケージ層41及び第2無機パッケージ層42は、いずれも第2貫通孔K2の側壁及び第1サブ貫通孔K11の側壁を覆い、第2サブ貫通孔K12の側壁には接触しない。本例では、パッケージ層とガラス基板60とが完全に張り合わせられていなく、ガラス基板60を剥離する際にパッケージ層が破裂して失効することを回避することができる。
【0176】
本実施例の表示基板の残りの構造及び製造プロセスについては、前述の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0177】
本実施形態に示される構造(又は方法)は、他の実施形態に示される構造(又は方法)と適宜組み合わせられてもよい。
【0178】
図11は本開示の少なくとも1つの実施例による表示基板の他の一部断面模式図である。図12は本開示の少なくとも1つの実施例による第1貫通孔及び第2貫通孔が形成された後の表示基板の一部断面模式図である。
【0179】
幾つかの例示的な実施形態では、図11及び図12に示すように、表示基板に垂直な平面内において、孔領域300のフレキシブルベース基板10は第1貫通孔K1を有する。第1貫通孔K1はフレキシブルベース基板10を貫通する。本例では、複合絶縁層は、複数の無機層を含む無機複合絶縁層である。無機複合絶縁層は第1貫通孔K1に対応する第2貫通孔K2を有する。第2貫通孔K2は無機複合絶縁層を貫通し、そして第1貫通孔K1に貫通する。無機複合絶縁層は、フレキシブルベース基板10に積層された第1絶縁層11と、第2絶縁層12と、第3絶縁層13と、第4絶縁層14と、第5絶縁層15と、を含む。第1絶縁層11には第1スルーホールK21が開設され、第2絶縁層12には第2スルーホールK22が開設され、第3絶縁層13には第3スルーホールK23が開設され、第4絶縁層14には第4スルーホールK24が開設され、第5絶縁層14には第5スルーホールK25が開設されている。第1スルーホールK21~第5スルーホールK25は連通して、第2貫通孔K2を形成する。第1スルーホールK21~第5スルーホールK25のサイズは順次増加する。第2貫通孔K2の断面形状は逆台形であってもよい。第1スルーホールK21のフレキシブルベース基板10における正投影は第1貫通孔K1のフレキシブルベース基板における正投影に位置する。第1貫通孔K1の断面形状は矩形であってもよい。
【0180】
幾つかの例示的な実施形態では、図12に示すように、第1スルーホールK21の側壁と同側の第1貫通孔K1の側壁との間の最大距離L4は、0.3μm以上であってもよく、例えば約0.3μm又は0.4μmである。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0181】
幾つかの例示的な実施形態では、図11及び図12に示すように、孔領域300において、第1スルーホールK21のサイズが第1貫通孔K1のサイズよりも小さくなるように設定することによって、アンダーカット構造を形成し、それによって有機発光層32及び陰極33は第1貫通孔K1内において切断される。パッケージ層は、積層された第1無機パッケージ層41と第2無機パッケージ層43とを含む。第1無機パッケージ層41は、第2貫通孔K2の側壁及び第1貫通孔K1の側壁を覆い、且つ第1貫通孔K1と第1スルーホールK21との境で切断される。第2無機パッケージ層43は、第2貫通孔K2の側壁及び第1貫通孔K1の側壁を連続的に覆ってもよい。本例では、第1無機パッケージ層は第1貫通孔K1内において切断され、それによって第1貫通孔K1箇所のパッケージは弱く、フレキシブルベース基板がガラス基板から剥離される際にパッケージ層が割れて失効するの状況を回避することができる。
【0182】
本実施例の表示基板の残りの構造及び製造プロセスについては、前述の実施例の説明を参照することができ、ここでは繰り返して説明しない。
【0183】
本実施形態に示される構造(又は方法)は、他の実施形態に示される構造(又は方法)と適宜組み合わせられてもよい。
【0184】
図13は本開示の少なくとも1つの実施例による表示装置の模式図である。図13に示すように、本実施例は表示装置91を提供し、表示基板910を備える。表示基板910は、前述の実施例による表示基板である。幾つかの例では、表示基板910はOLED表示基板であってもよい。表示装置91は、OLED表示装置、携帯電話、タブレットPC、テレビ、ディスプレイ、ノートPC、デジタルフォトフレーム、ナビゲータ、車載ディスプレイ、腕時計、ブレスレット等の表示機能を有する任意の製品又は部品であってもよい。しかし、本実施例はこれについて限定しない。
【0185】
本開示の実施例の記載では、「中部」、「上」、「下」、「前」、「後」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」等の用語で指示される方位又は位置関係は図面に示される方位又は位置関係に基づくものであり、それは本開示を説明しそしてその説明を簡略化するためのものに過ぎず、指示される装置や素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位で構成及び操作されることを明示又は暗示するものではなく、従って本開示に対する制限と理解されるべきではない。
【0186】
本開示に開示される実施形態は以上の通りであるが、その記載内容は本開示を理解するために採用される実施形態に過ぎず、本開示を限定するためのものではない。当業者は本開示に開示される精神と範囲を離脱せずに、実施の形式及び詳細において修正と変更を行うことができるが、本開示の特許保護範囲は、特許請求の範囲に記載の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0187】
10 フレキシブルベース基板
11 第1絶縁層
12 第2絶縁層
13 第3絶縁層
14 第4絶縁層
15 第5絶縁層
16 第1平坦層
17 第2平坦層
18 不動態化層
23 信号線
40 パッケージ層
50 バッファ保護層
60 ガラス基板
100 画素島領域
200 接続ブリッジ領域
300 孔領域
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図5I
図5J
図5K
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】