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特表2024-535185コンデンサ用誘電体を製造する方法及びコンデンサを製造する方法及びコンデンサ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コンデンサ用誘電体を製造する方法及びコンデンサを製造する方法及びコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/32 20060101AFI20240920BHJP
   C08L 101/02 20060101ALI20240920BHJP
   C08L 33/04 20060101ALI20240920BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20240920BHJP
   C08F 20/32 20060101ALN20240920BHJP
   C08G 81/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
H01G4/32 551B
C08L101/02
C08L33/04
C08K5/00
H01G4/32 561B
H01G4/32 511L
C08F20/32
C08G81/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509065
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-12
(86)【国際出願番号】 EP2022076388
(87)【国際公開番号】W WO2023052235
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】102021125407.8
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】521402424
【氏名又は名称】ポリマー コンペテンス センター レオーベン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】シックス, ビルギット
(72)【発明者】
【氏名】サックス, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィーズブロック, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ヒルナー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ホイプル, ルーカス
【テーマコード(参考)】
4J002
4J031
4J100
5E082
【Fターム(参考)】
4J002AA031
4J002BG021
4J002BG031
4J002BG071
4J002EC046
4J002EC056
4J002EC066
4J002EF066
4J002EF106
4J002EF126
4J002EN036
4J002EN046
4J002EN076
4J002EN086
4J002EN106
4J002EN116
4J002EV026
4J002FD146
4J002FD156
4J002FD206
4J002GQ00
4J031AA20
4J031AA24
4J031AA27
4J031AB02
4J031AC03
4J031AC04
4J031AC07
4J031AC11
4J031AF23
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100AL10P
4J100AL10Q
4J100BC54P
4J100BC54Q
4J100CA01
4J100CA04
4J100DA28
4J100DA55
4J100FA03
4J100JA43
5E082AB03
5E082FF05
5E082FG06
5E082FG32
(57)【要約】
コンデンサ用誘電体を製造する方法及びコンデンサを製造する方法及びコンデンサ
本出願は、コンデンサ用誘電体を製造するための方法、コンデンサを製造するための方法、及びコンデンサに関する。本方法は、重合によるモノマーからのポリマー鎖の生成を含む。この方法では、ポリマー鎖中のいくつかの繰り返し単位が反応性基で官能化されている。反応性基は、それぞれのポリマー鎖から分岐している。さらに、反応性基は、リンカー分子と反応するのに適している。反応性基は、したがって、リンカー分子と共有結合を形成するのに適している。さらなる方法ステップとして、リンカー分子がポリマー鎖に加えられ、各リンカー分子は少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応基と共有結合を形成するのに適している。最後に、ポリマー鎖の架橋が2つの反応性基を有するリンカー分子の反応により達成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層(2)を製造するステップ及び少なくとも1つの電極(3、4)を誘電体層(2)の片面に取り付けるステップを含むコンデンサ(1)を製造する方法であって、誘電体層(2)を製造するステップが、以下:
それぞれのポリマー鎖から分岐しており、リンカー分子と共有結合を形成するのに適した反応性基を有するポリマー鎖を用意することと、
リンカー分子をポリマー鎖に加えることであって、各リンカー分子が少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応性基と共有結合を形成することが可能である、リンカー分子をポリマー鎖に加えることと、
少なくとも2つの反応性基を有するリンカー分子の共有結合によりポリマー鎖を架橋することとを含む、方法。
【請求項2】
すべての繰り返し単位に対する反応性基を有する繰り返し単位の割合が、20%~100%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リンカー分子に共有結合している反応性基の割合が、25%~99%である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
反応性基を持つ繰り返し単位の少なくとも一部が、アクリレート繰り返し単位であり、ここで、アクリレート繰り返し単位において、反応性基がアクリレート繰り返し単位のカルボキシレート基を介してエステル結合の形態で結合している、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
反応性基が、エポキシドを含み、リンカー分子が、カルボン酸、アミン、アルコール、及び無水物から選択される官能基を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1若しくはS2反応又は付加・脱離機構が架橋に関与する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
マルコフニコフ付加又は逆マルコフニコフ付加が架橋に関与する、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶液からの堆積又は反応押出しのステップを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー鎖が、アクリレート繰り返し単位及び非極性基を有する繰り返し単位を含むコポリマーであり、非極性基が、不飽和又は芳香族基から選択され、アクリレート繰り返し単位の割合が、20~80%である、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
架橋が、反応当量に関して少ない割合で存在する反応性基及びリンカー分子から選択される成分に対して、99%を超える程度まで架橋反応を引き起こすのに適した温度でのアニーリングにより実行される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの電極(3、4)を誘電体層(2)に接して有するコンデンサ(1)であって、誘電体層(2)が、ポリマー主鎖又はポリマー主鎖の異なる部分が架橋リンカー分子を介して互いに共有結合的に連結しているポリマー材料を有する、コンデンサ(1)。
【請求項12】
リンカー分子が共有結合している繰り返し単位の割合が、5%~99%である、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項13】
ポリマー主鎖が、アクリレート繰り返し単位を含み、リンカー分子に共有結合している、又はそのような結合に適した官能基が、エステル結合の形態でそれぞれのアクリレート繰り返し単位のカルボキシレート基を介して結合している、請求項11又は12に記載のコンデンサ(1)。
【請求項14】
官能基を介してリンカー分子に共有結合的に連結している繰り返し単位の割合が、これらの繰り返し単位とリンカー分子に共有結合的に連結するのに適した官能基を有する繰り返し単位との合計に対して25%~99%である、請求項11~13のいずれか一項に記載のコンデンサ(1)。
【請求項15】
共有結合化合物が、エーテル架橋、エステル架橋、アミン架橋、アミド架橋、及びチオエーテル架橋から選択される、請求項11~14のいずれか一項に記載のコンデンサ(1)。
【請求項16】
電極(3、4)が誘電体層(2)と交互に積み重なっており、電極(3、4)が、外部接点(5、6)を介して接触している多層部品である、請求項11~15のいずれか一項に記載のコンデンサ(1)。
【請求項17】
第1の電極(3)が、誘電体層(2)の片面に配置されており、誘電体層(2)及び電極(3)が巻かれてコンデンサロールとなっている巻回型コンデンサである、請求項11~15のいずれか一項に記載のコンデンサ(1)。
【請求項18】
それぞれのポリマー鎖から分岐しており、リンカー分子と共有結合を形成するのに適した反応性基を有するポリマー鎖を用意するステップと、
リンカー分子をポリマー鎖に加えるステップであって、各リンカー分子が少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応性基と共有結合を形成することが可能である、リンカー分子をポリマー鎖に加えるステップと、
少なくとも2つの反応性基を有するリンカー分子の共有結合によりポリマー鎖を架橋するステップとを含む、コンデンサ(1)用誘電体を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、コンデンサ用誘電体を製造する方法、コンデンサを製造する方法、及びコンデンサに関する。
【0002】
ポリマー誘電体又はポリマー含有誘電体は、幅広いパワーエレクトロニクスアプリケーション、特に電気的コンデンサなどの受動部品に使用されている。動作環境の要求がますます厳しくなっているため、例えば、アプリケーションの集積密度がこれまでより高くなっているため、ポリマーは150℃以上の適用温度が要求されている。さらに、誘電特性は、継続して改善される必要があるが、特定の技術的要件を満たすように正確に調節可能である必要もある。
【0003】
有機電界効果トランジスタの分野では、下記の非特許文献1において、ポリアクリレート含有コポリマーがゲート電極の絶縁体(ゲート絶縁体)に提案された。とりわけ、1つのポリマー主鎖を別のものと直接架橋する反応性側基を用いて材料が架橋され得ることがここに開示されている。有利な絶縁耐力が報告された。
【0004】
[非特許文献1]Wentao Xu、Shi-Woo Rhee、Hysteresis-free organic field-effect transistors with high dielectric strength cross-linked polyacrylate copolymer as a gate insulator、Organic Electronics、第11号、第5巻、2010、836~845頁、ISSN 1566-1199
【0005】
本発明は、上記の問題を少なくとも部分的に解決することができる。特に、柔軟に適応可能なシステムを達成することができる。特に、問題は、請求項1の主題により少なくとも部分的に解決することができる。さらなる目的又は好ましい実施形態は、さらなる請求項に見出すことができる。
【0006】
第1の態様によれば、コンデンサ用誘電体を製造するための方法が開示される。この方法は、それぞれのポリマー鎖から分岐している反応性基を有するポリマー鎖を用意するステップを含む。反応性基は、リンカー分子と共有結合を形成するのに適している。さらなる方法ステップとして、リンカー分子がポリマー鎖に加えられ、各リンカー分子は少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応基と共有結合を形成するのに適している。最後に、リンカー分子と2つの反応性基の反応又は共有結合により、ポリマー鎖間又はポリマー鎖において架橋が実行される。
【0007】
本方法によれば、ポリマー鎖の用意が最初の方法ステップであることが好ましい。その後に、リンカー分子が加えられることが好ましい。架橋が上述の2つのステップの後に実行されることがさらに好ましい。
【0008】
ポリマー鎖は、ここ及び以下において、ポリマー材料のポリマー主鎖として理解され得る。「ポリマー主鎖」という用語により強調されるように、ポリマー鎖は、ポリマー鎖内又はポリマー鎖間の架橋及び分岐とは構造的に異なることが好ましい。ポリマー鎖は、そのような構造よりも著しく長いことが好ましい。そのようなポリマー鎖は、繰り返し単位を一般に有する。ポリマー鎖は、重合によりモノマーから形成されることが好ましい。モノマーは、有機分子であることが好ましい。これは、ポリマー鎖を用意するステップの一部となり得る。モノマーは、分子であることが好ましく、有機分子であることがさらにより好ましい。重合後、モノマーから生じたポリマー鎖内の構造単位は、繰り返し単位と呼ばれることがある。しかし、繰り返し単位という用語は、ポリマー鎖に周期性が存在しなければならないことを意味するものではないことに留意すべきである。特に、異なるモノマーから形成されるコポリマー又はターポリマーの場合、周期性がないことが多い。ポリマー鎖内の相互に関連する繰り返し単位の順序又は配置は、一般に限定されない。好ましくは、これは正規分布に従う。これは、例えば、モノマーの混合物が一緒に重合される場合に得ることができ、それは技術的に複雑でない場合があり、したがって好ましい。繰り返し単位という用語は、局所的又はポリマー鎖全体にわたる周期性を排除するものではないことにも留意すべきである。例えば、ホモポリマーは、周期性を有する。ブロックコポリマー又はブロックターポリマーも使用することができる。これらは、例えば、ブロック内に周期性を示すことができる。
【0009】
反応性基は、それぞれ繰り返し単位に配置されていることが好ましい。1つ又は複数の反応性基は、例えば、(1つ又は複数の)官能基として繰り返し単位に共有結合することができる。したがって、反応性基を有する繰り返し単位を指すことが可能である。
【0010】
架橋されたポリマー鎖を有する又は架橋されたポリマー鎖で作られた架橋された材料は、架橋されたポリマー又は架橋されたポリマー材料と呼ぶことができる。
【0011】
ポリマー鎖は、分岐を有することができる。特に、ポリマー主鎖から分岐している反応性基は、好ましい種類の分岐を示す。分岐として分岐している基がポリマー鎖と比較して短いことがさらに好ましい。分岐基は、100個以下の原子を有することが好ましく、20個以下の原子を有することがさらにより好ましい。
【0012】
最大でわずかな割合の架橋結合(cross-connection)が、架橋前にポリマー鎖間又はポリマー鎖内に既に存在することがあり、これは、例えば、最初の重合反応により作られ得る。しかし、そのような架橋度は、反応性基及びリンカー分子を介する架橋よりも低いことが好ましい。好ましくは、架橋前に架橋を既に有するポリマー鎖の割合は、架橋よりも前に、ポリマー鎖が、有機溶媒であることが好ましい溶媒中で可溶のままであるような割合である。好ましくは、ポリマー鎖間のそのような連結の割合は、例えば、ポリマー鎖の繰り返し単位数に対して1%以下である。これは溶解性を促進することができる。
【0013】
反応性基は、リンカー分子の連結点との化学反応を介して共有結合を形成することが可能な、ポリマー鎖上の官能基として理解される。
【0014】
原理上は、少なくとも2つの反応性基が架橋時にリンカー分子と反応することができる。このようにして、2つのポリマー鎖が互いに共有結合又は連結され得る。同様に、1つの鎖の領域も一緒に連結され得る。後者は、長く、例えば、折り畳まれたポリマー鎖の場合に特によく見られる。架橋時には、複数の共有結合が形成されることが好ましい。特に、架橋時に複数の反応が起こり、そのそれぞれにおいて、少なくとも2つの反応性基を有するリンカー分子が共有結合を形成することが好ましい。
【0015】
上述の方法によれば、ポリマー鎖中の少なくともいくつかの繰り返し単位が反応性基で官能化されていることが好ましい。官能化は、モノマーで、すなわち重合前に、又はポリマー鎖中の繰り返し単位で、すなわち重合後に実行することができる。原理上は、ポリマー鎖のすべての繰り返し単位が反応性基で官能化されている場合もある。いくつかの場合では、反応性基で官能化されている繰り返し単位に加えて、反応性基で官能化されていない繰り返し単位も一部存在するコポリマー又はターポリマーが好ましい。「反応性基で官能化されていない繰り返し単位」、又は、類似的に「反応性基で官能化されていないモノマー」は、「反応性基を有さない繰り返し単位」又は「反応性基を有さないモノマー」と呼ぶことができる。いくつかの場合では、非共有結合反応性基、すなわち、架橋されたポリマーに残っている反応性基は、吸湿性である、又は水分若しくは水分子と反応することがある。これは、材料特性を変化させ、したがって誘電体の耐湿性又は湿度安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、反応性基を有さない繰り返し単位又は疎水基若しくは非極性基を好ましくは有する繰り返し単位の割合は、誘電体の耐湿性を改善する手段として使用することができる。
【0016】
原理上は、本発明によれば、2つ以上の反応性基が、反応性基を有する繰り返し単位に配置されている場合もある。そのような場合では、主鎖から分岐している反応性基の方向が異なることが特に好ましい。例えば、そのような基は、ポリマー鎖上に互いに反対側に配置され得る。しかし、反応性基を有する繰り返し単位は、それぞれただ1つの反応性基しか持たないことが特に好ましい。これは、少数の繰り返し単位が多数の反応性基を有する場合よりも、連結点がポリマー鎖にわたってより均等に分布することができるため好ましい。このようにして、高度に凝集した接合部を避けることができる。このようにして、より均一なポリマー材料を得ることができる。
【0017】
ポリマー鎖全体における反応性基の割合を介して、又は1つの反応性基を有する繰り返し単位の割合を介して、誘電体の全体的な架橋度(絶対的架橋度)に対する第1の制御オプションを得ることが可能である。
【0018】
全体的な架橋度を制御する別の方法は、リンカー分子を加えることによるものである。1つのポリマー鎖又は複数のポリマー鎖についての可能な最大絶対的架橋度は、反応性基の数により定義することができる。架橋度は、リンカー分子の量が多くても存在するすべての反応性基と反応するか、又はそれらと共有結合するのに十分である限り、リンカー分子の量により設定することができる。
【0019】
相対的架橋度は、ここで定義することができる。相対的架橋度は、リンカー分子に共有結合している、又は共有結合することになる反応性基の割合である。言い換えれば、相対的架橋度は、リンカー分子に共有結合している反応性基の数の、架橋ステップ前に存在する反応性基の総数に対する比率である。架橋ステップ前に存在する反応性基の総数の代替として、架橋後にリンカー分子に共有結合的に連結していない反応性基と、リンカー分子に共有結合的に連結している反応性基の数との合計を、式の分母として使用することもできる。さらに、絶対的架橋度を定義することができる。絶対的架橋度は、ポリマー鎖のすべての繰り返し単位あたりの架橋の割合である。いくつかの反応性基で官能化されている繰り返し単位は、いくつかの架橋を引き起こす可能性があることに留意すべきである。したがって、この場合、繰り返し単位あたり2つ以上の架橋が絶対的架橋度に含まれ得る。
【0020】
リンカー分子上の連結点は、少なくとも1つの反応性基と共有結合を形成するのに適したリンカー分子上の官能基であることが好ましい。そのような結合の形成は、方法に関連して架橋反応と呼ばれることもある。原理上は、単結合又は多重結合が形成され得る。多重結合も、上記で定義された架橋度において1つの結合としてのみ含まれる。
【0021】
リンカー分子の連結点は、互いに空間的に離れていることが好ましい。例えば、2つの連結点は、リンカー分子の2つの異なる原子に結合することができる。原理上は、連結点が複数の反応性基に対して共有結合を形成することが可能である。ここで、そのような多重連結も、形成された共有結合の数と共に絶対的架橋度に含まれることが留意される。
【0022】
本発明の発明者らは、ポリマー誘電体の温度安定性が相対的及び絶対的架橋度を介して設定され得ることを発見した。したがって、本発明による方法により製造されたポリマー誘電体は、高い温度安定性を有することができる。特に、この温度安定性は、誘電体が150℃以上で使用されることを可能にすることができる。さらに、散逸率の温度安定性及び誘電率としても知られている比誘電率のレベルは、相対的及び絶対的架橋度を介して影響を受ける又は調節される可能性があることが認識された。比誘電率が3.0以上の誘電体を得ることができる。
【0023】
例えば、架橋反応に関与する反応性基が架橋反応によってより温度安定性の高いアナログに変換される場合、低すぎる絶対的架橋度は、低すぎる温度安定性をもたらす可能性があるため、両方の架橋度の単純で正確な調節は、ここで重要である。しかし、絶対的架橋度が高すぎる場合、誘電体又は誘電体のポリマー材料はもろくなる可能性があり、それは機械的応力に十分に耐えられないことを意味する。
【0024】
2つの成分、すなわち反応性基を有するポリマーとリンカー分子が、本発明による架橋方法に関与するため、これは2成分系と呼ぶことができる。絶対的架橋度の調節は、1成分系においてよりも、2つの成分を使用してより正確に、大規模な全体の方法においてより容易に実行することができる。1成分系では、例えば、1つのみの反応性基がポリマー上に提供され、別の反応性基又はポリマー鎖と直接架橋を形成する。結果的に、2成分系である本発明による本方法は、1成分系を記載している非特許文献1による手法よりも、個々の方法ステップにおいて高い耐障害性があるという利点を有する可能性がある。例えば、本発明による方法では、反応性基の割合又は反応性基で官能化されている繰り返し単位の割合に関して、広い耐障害性がある。最終的な架橋度は、加えられるリンカー分子の量により正確に調節することができ、それは大きな技術的労力なしで行うことができる。誘電体の基本的特性は、モノマーを選択することにより明確に規定でき、その特性は、リンカー分子を選択することにより微調整することができる。
【0025】
さらに、本発明の発明者らは、材料の誘電特性が、反応性基及びリンカー分子の選択により、又は結果として生じる架橋する共有結合架橋単位により影響を受ける又は調節される可能性があることを認識している。特に、本発明者らは、相対的及び絶対的架橋度が高くなるにつれ比誘電率が高くなり得ることを認識している。
【0026】
上記で説明したように、一部の反応性基は未反応のままでもよい。本発明の発明者らは、反応した反応性基と未反応の反応性基が誘電体の誘電特性に異なる影響を及ぼすことを見出している。特に、反応した反応性基、すなわち、架橋の確立は、温度安定性及び損失係数を改善することができる。残っている未反応の反応性基を用いて、比誘電率を高めることができる。したがって、本発明の発明者らは、材料の誘電特性を調節するため、特に、比誘電率を高めるために、多くの場合で、誘電体中に未反応の反応性基の割合を残すことがより有利であり得ることを認識している。これは、同じ種類の官能基をポリマー鎖上で使用して、架橋を生成することができ、ここで、反応した基及び未反応の基の正確な割合は、リンカー分子を介して設定され、また誘電特性を規定することができるという利点を有する。このようにして、いくつかは架橋の設定に関与し、その他は誘電特性の設定に関与する、異なる官能基を用いた複雑な官能化を避けることができる。そのような手法によれば、未反応のリンカー分子の割合が技術的に実現可能な範囲内で低い、好ましくはゼロのままであることが好ましい。
【0027】
好ましい態様によれば、すべての繰り返し単位に対する反応性基を含む繰り返し単位の割合は、20%~100%である。
【0028】
相対的及び絶対的架橋度は、十分な温度安定性を確保し、誘電特性を調節するために、反応性基を有するポリマー鎖中の繰り返し単位の上述の割合を介して有利に調節され得る。上記で定義された割合は、反応性基を有する繰り返し単位にそのような基が1つだけ結合している場合に特に好ましい。反応性基を有する繰り返し単位の割合は、40%及び70%が特に好ましい。ここで、上述の効果は特に顕著である。
【0029】
さらなる好ましい態様によれば、リンカー分子に共有結合している又は共有結合するようになる反応性基の割合は、25%~99%であり得る。したがって、相対的架橋度は、25%~99%であり得る。この相対的架橋度の場合、誘電特性及び温度安定性の両方が有利となり得ることが見出された。特に、上記で定義された反応性基を有する繰り返し単位の割合が、本明細書に開示される相対的架橋度と共に、150℃を超える温度安定性の達成を容易にすることが見出されている。
【0030】
高温での安定性及び誘電特性を改善するためには、相対的架橋度が70%~99%である場合が特に好ましい。相対的架橋度が95%~99%である場合がさらにより好ましい。好ましい又はさらにより好ましい範囲の場合、技術的効果は特に顕著である。
【0031】
さらに、絶対的架橋度、すなわち繰り返し単位の総数あたりの共有結合化合物の割合は、5%~99%に設定されることが好ましい。さらにより好ましくは、絶対的架橋度は、18%~60%である。さらにより好ましくは、絶対的架橋度は、40%~60%である。これは、上述の目標がさらに良く達成されることを可能にする。この範囲は、反応性基を有する繰り返し単位にそのような基が1つだけ配置されている場合に特に好ましい。
【0032】
反応性基を有する繰り返し単位の少なくとも一部が、アクリレート繰り返し単位又はアクリレートをベースにした繰り返し単位であることがこの方法には好ましい。好ましくは、反応性基は、アクリレート官能基を用いて、エステル結合を介して、又は類似的に、アミド結合を介してアクリレート繰り返し単位又はアクリレートベースの繰り返し単位に結合することができる。
【0033】
ポリマー鎖がアクリレートモノマーで形成されていることが好ましい。重合は、アクリレートモノマーをポリマー鎖中のアクリレート繰り返し単位に変える。ここで好ましい方法は、ラジカル重合である。
【0034】
反応性基は、エステル結合を介して結合することができる。したがって、モノマー、又は反応性基を有する繰り返し単位は、アクリレートモノマー又はアクリレート繰り返し単位を含み得る。さらにより好ましくは、反応性基を有するすべての繰り返し単位は、アクリレート繰り返し単位である。
【0035】
本発明の発明者らは、アクリレート繰り返し単位を含むポリマー鎖又はコポリマー鎖が、これらがエステル結合を介して容易に化学的に結合することができるため、反応性基を用いた官能化に特によく適していることを見出している。
【0036】
好ましい態様によれば、反応性基は、エポキシドを含む。ここで、リンカー分子は、エポキシドと反応するのに適した官能基を含む。特に且つ好ましくは、官能基は、カルボン酸、アミン、アルコール、及び無水物から選択され得る。
【0037】
好ましくは、エポキシが末端基である。言い換えれば、エポキシ酸素が末端炭素原子を隣接する炭素原子と架橋する場合が好ましい。これは、エポキシ基が立体的に容易に近づきやすいという利点を有し、効率的な架橋反応に寄与する。例えば、エポキシは、グリシジル基であり得る。グリシジル基は、ホモポリマー又はコポリマーとしてグリシジルメタクリレートモノマーの形態でポリマー鎖に導入され得ることが好ましい。グリシジルメタクリレート繰り返し単位は、重合されたポリマー鎖で使用することができる。
【0038】
架橋は、エポキシドを上述の基と反応させることにより容易に達成することができる。この場合、容易とは、化学量論的に完全な架橋反応が30℃~150℃までの穏やかな熱加熱により達成することができることを特に意味することができる。絶対的及び相対的架橋度は、したがって、正確に調節され得る。
【0039】
反応性基としてエポキシドを用いるとき、モノマー、又は反応性基を有する繰り返し単位の割合について、及び相対的架橋度について、上記で与えられた値が特に好ましい。
【0040】
原理上は、2成分架橋は、いわゆるgrafting-from型でも実行することができる。これは、エポキシドの使用に関連して特に可能である。特に、ポリマー鎖上の反応性基は、通常は重合反応として機能し得る反応を介して2つの鎖を一緒に連結するために使用することができる。特に、いくつかの小分子は、1つの反応性基から開始して、別のポリマー鎖上の別の反応性基に向かってオリゴマー様又はポリマー様構造を形成することができる。或いは、鎖内の化合物を同じ種類の反応により生成することができる。例えば、末端エポキシド基は、カチオン開始後に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はエポキシブタンなどのエポキシドモノマーと反応することができる。
【0041】
別の好ましい態様によれば、架橋、すなわち反応性基と連結点の間の少なくともいくつかの共有結合の形成は、S1若しくはS2反応を介して起こり得る、又はそのような反応が関与し得る。
【0042】
1又はS2反応という用語は、ここで、すべての反応を包含する、特に、脱離基が関与し、求核剤が、脱離基が脱離した又は本プロセス中に脱離基が脱離する炭素原子を攻撃することができる付加・脱離機構に従って進行するカルボン酸ハロゲン化物の反応も包含するために使用される。
【0043】
好ましくは、反応性基は、脱離基を有する。リンカー分子は、連結点として求核部位又は求核性官能基を含むことが好ましい。
【0044】
脱離基の例は、炭素上のハロゲンがあり得るが、エポキシド中の酸素もあり得る。例えば、アミン又はアルコールは、求核剤として働くことができる。或いは、カルボン酸ハロゲン化物も使用することができる。これは、grafting-from反応の分野で特に好ましい。
【0045】
さらに好ましい実施形態によれば、マルコフニコフ付加又は逆マルコフニコフ付加が架橋に関与してもよい。逆マルコフニコフ付加が好ましい。
【0046】
特に好ましい逆マルコフニコフ付加の例は、チオエーテルを形成する、チオールとアルケンの炭素-炭素二重結合のチオール-エンクリック反応であり得る。チオール-エンクリック反応の場合、反応性基がチオールであり、リンカー分子が連結点として炭素-炭素二重結合を有するか、又はリンカー分子が連結点としてチオール基を有し、炭素-炭素二重結合が反応性基を表すかのいずれかが好ましい。
【0047】
原理上は、多数の異なる反応性基及びリンカー分子を、本発明による方法のために使用することができ、それらは系内で一緒に存在することもできる。原理上は、リンカー分子は、化学的に異なる連結点を有することもできる。これは、いくつかの場合では好ましくさえあり、誘電特性を調節するために使用することができる。しかし、すべての連結点が、同様の又は同一の反応条件下で、系内に存在するすべての反応性基と共有結合を形成することができることが好ましい。これは、方法における架橋のための様々な条件を避けることができ、方法を技術的に単純にすることができることを意味する。さらに、系内に反応性基が単一の種類のみ存在し、連結点が単一の種類のみ付加されていることがさらにより好ましい。これは、予期せぬ副反応を避け、特に組成物を単純なものに保つために好ましい。例えば、エポキシドを反応性基として使用することができる。エポキシドのみが使用されることもあり得る。エポキシドは、異なる官能基の一部にもなり得る。したがって、単一の種類の連結点が系内に存在する可能性があり、例えば、独占的にアミンが、又は代わりに独占的にカルボン酸が、連結点として存在する可能性がある。しかし、リンカー分子は異なる場合がある。
【0048】
上記で説明したように、単一の種類の反応性基及び単一の種類のリンカー分子のみを用いた単純な系であっても、架橋度及び誘電特性、並びに温度安定性をよく制御することができる。
【0049】
好ましい態様によれば、本方法は、溶液からの堆積又は反応押出しのステップを含む。
【0050】
したがって、本手順では、誘電体は、溶液からの堆積により若しくは溶液からの堆積を用いて、又は反応押出しにより若しくは反応押出しを用いて形成され得る。
【0051】
本発明による方法は、非常にフレキシブルであり、したがって、これらの分離方法の両方に適用又は適応させることができる。
【0052】
溶液からの堆積は、架橋前に実行することができる。例えば、ポリマー鎖及びリンカー分子を含む溶液を、基板又は第1の電極上に堆積させることができる。架橋は、堆積後に行うことができる。
【0053】
誘電体が層として、すなわち誘電体層として形成されることが一般に好ましい。
【0054】
特に、溶液からの堆積及び反応押出しの両方を使用して誘電体を製造できるようにするためには、アクリレート繰り返し単位を有するホモポリマー又はコポリマーが好ましい。ここでは、コポリマーが特に好ましい。
【0055】
これは、通常はカレンダー処理によってのみ製造される、使用頻度の高い二軸延伸ポリプロピレンBOPPを上回る利点として考えることができる。
【0056】
本方法のさらに好ましい態様によれば、ポリマー鎖は、アクリレート繰り返し単位及び非極性又は不飽和炭化水素基を有する繰り返し単位を含むコポリマーである。アクリレート繰り返し単位の割合は、20~80%であることが好ましい。さらにより好ましくは、対応するコポリマー中のアクリレート繰り返し単位の割合は、40~60%であり得る。さらにより好ましくは、そのような割合は、45~55%であり得る。
【0057】
コポリマーでは、アクリレート繰り返し単位は、上述の利点を有する。非極性又は不飽和炭化水素基を有する繰り返し単位の割合を介して、水吸収を減らすことができ、又は耐湿性を改善することができる。
【0058】
さらなる好ましい態様によれば、架橋は、架橋反応を引き起こすのに適した温度でのアニーリングにより実行することができる。さらに、ここでは、温度が、反応当量に関して低い割合で存在する反応性基及びリンカー分子から選択される成分に対して、少なくとも99%まで架橋反応が起こるのに適していることが好ましい。
【0059】
言い換えれば、完全な反応に関連して、反応性基の割合又はリンカー分子の割合のいずれかが少ない量で存在する。好ましくは、リンカー分子は、より少ない量で存在する。アニーリング温度は、少数の成分に関連して、少なくとも99%完全な反応をもたらすのに適していなければならない。さらにより好ましくは、アニーリング温度は、技術的に実現可能な範囲内で化学量論的に完全な反応をもたらすのに適している。
【0060】
共有結合の形成を伴う架橋は、アニーリングによりあまり労力をかけずに技術的に可能である。
【0061】
さらなる態様によれば、コンデンサを製造する方法が開示される。コンデンサを製造する方法は、上述の方法に従って誘電体を製造するステップを含む。さらに、本方法は、誘電体を用いて又は誘電体から誘電体層を生成するステップを含む。さらに、電極が層の片面に取り付けられる。電極は、層の両面に取り付けることもできる。技術的に機能するコンデンサは、2つの電極を有するが、そのうちの1つだけが誘電体層と直接接触している必要がある。
【0062】
多くの実施形態では、両方の電極が誘電体層と直接接触していることが好ましい。この場合、第1の電極が誘電体層を挟むことが好ましいことが多い。
【0063】
好ましくは、誘電体は、例えば、上述の方法を使用して、誘電体層として形成される。
【0064】
コンデンサのための方法及びそれを用いて製造されたコンデンサは、コンデンサ用誘電体を製造するための方法に関して、上述のものと同じ利点を有する。
【0065】
誘電体層の片面に電極を取り付けることは、電極が層に直接施されることを好ましくは意味し得る。
【0066】
好ましくは、誘電体全体は、ラジカル開始剤(radical starter)又は同様の残留物などの技術的に避けられない不純物を除いて、架橋されたポリマー材料のみからなる。
【0067】
さらなる好ましい態様によれば、コンデンサが提供される。好ましくは、コンデンサの誘電体層は、上述の方法により生成することができる。さらにより好ましくは、コンデンサは、先に述べた方法により製造することができる。
【0068】
コンデンサは、誘電体層に配置されている少なくとも1つの電極を有する。或いは、2つの電極が誘電体層の両面に配置されていることもある。誘電体層は、ポリマー主鎖が架橋リンカー分子を介して互いに又はそれ自体と共有結合的に連結しているポリマー材料を有する。
【0069】
コンデンサが上述の方法を使用して製造されることが好ましいため、ポリマー主鎖は、構成要素としてモノマーから形成された繰り返し単位を有する又はこれらからなる架橋ポリマー材料中で特定され得ることが好ましい。ポリマー主鎖は、ポリマー主鎖から分岐している側基を有することが好ましく、この側基は、別のポリマー主鎖に対して、又は同じポリマー主鎖上の別の点に対して架橋を形成する。分岐している側基は、少なくとも1つの反応した反応性基、それに結合している反応したリンカー分子、及びその反応したリンカー分子の異なる部位に配置されているさらなる反応性基を含むことが好ましい。特に好ましくは、ここで、リンカー分子は、上述のリンカー分子に相当する。さらに、ポリマー材料中のリンカー分子が結合している官能基は、上述の反応性基であることが好ましい。
【0070】
好ましくは、本発明によるコンデンサは、反応した反応性基に加えて未反応の反応性基を有することもできる。これは、上述の利点を有する。
【0071】
好ましい態様によれば、リンカー分子が共有結合している繰り返し単位の割合は、5%~99%である。これは、上記で定義された絶対的架橋度である。
【0072】
絶対的架橋度は、18%~60%であることが好ましく、40%~60%であることがさらにより好ましい。
【0073】
上述の範囲の絶対的架橋度では、良好な温度安定性を達成することができ、コンデンサを150℃以上で作動させるのを可能にする。
【0074】
好ましい態様によれば、ポリマー主鎖は、アクリレート繰り返し単位を含み、リンカー分子に共有結合しているか、又はそのような結合に適した官能基が、エステル結合を介してアクリレート繰り返し単位に結合している。
【0075】
したがって、ポリマー鎖は、アクリレート繰り返し単位を含むホモポリマー又はコポリマーであり得る。
【0076】
架橋に適した官能基は、反応した反応性基及び未反応の反応性基を含むことが好ましい。上記で説明したように、アクリレート繰り返し単位は、エステル基が、架橋に適した官能基、すなわち上述の方法の意味での反応性基の結合を可能にするという利点を有する。
【0077】
さらなる好ましい態様によれば、官能基を介してリンカー分子に共有結合的に連結している繰り返し単位の、これらの繰り返し単位とリンカー分子に共有結合的に連結するのに適した官能基を有する繰り返し単位との合計に対する割合は、25%~99%である。
【0078】
上記で説明したように、これは、反応性基を有する繰り返し単位のそれぞれがそのような基を1つだけ有する場合に、相対的架橋度に相当する可能性がある。これは、上記の利点をもたらす。この利点は、反応性基又は連結官能基を有するアクリレート繰り返し単位が含まれる場合に、特に顕著である。
【0079】
さらなる好ましい態様によれば、共有結合化合物又は共有結合的に連結する官能基は、エーテル架橋、エステル架橋、アミン架橋、アミド架橋、及びチオエーテル架橋から選択される。
【0080】
これらの共有結合している架橋は、上述の方法により生じた共有結合連結に相当することが好ましい。これは、対応する利点をもたらす。
【0081】
別の好ましい態様によれば、コンデンサは、多層部品である。この多層部品は、誘電体層と交互に積み重なった多数の電極を含む。この電極は、外部電極を介して接触されることが好ましい。積層方向は、多層部品において規定することができる。多層部品の層は、積層方向に対して垂直に並べられていることが好ましい。
【0082】
多層部品は、いわゆるSMD部品(表面実装型デバイス)として使用することができることが好ましい。
【0083】
別の好ましい態様によれば、コンデンサは、巻回型コンデンサである。巻回型コンデンサは、誘電体層が間に挟まれている2つの第1の電極のみを有することが好ましい。このサンドイッチ様の構造は、巻かれてコンデンサロールとなっている。
【0084】
さらなる態様によれば、誘電体における上述の材料の使用も記載される。さらに、コンデンサにおける誘電体の使用も記載される。この場合、誘電体は、上述の特徴を有する、又は上述の方法を使用して製造される。
【0085】
以下に、図を参照して本発明をより詳細に説明する。図は、化学反応及び部品の表現の両方を含む。特に、部品は縮尺通りに示されていない。部品の大きさは、歪んでいる可能性がある。長さ又は長さの比率は、図面からは判断できない。
【図面の簡単な説明】
【0086】
図1】コンデンサを示す図である。
図2】ポリマーにおける様々な一般的架橋様式を図式的に示す図である。
図3】アクリレートモノマーの一般式を示す図である。
図4】アクリレート繰り返し単位を含むコポリマーの一般的な表現を示す図である。
図5】ラジカル重合を示す図である。
図6】ラジカル重合の副反応を示す図である。
図7】第1の架橋反応を示す図である。
図8】第2の架橋反応を示す図である。
図9】第3の架橋反応を図式的に示す図である。
図10】第4の架橋反応を図式的に示す図である。
図11】第5の架橋反応を図式的に示す図である。
図12】第6の架橋反応を図式的に示す図である。
図13】第7の架橋反応を図式的に示す図である。
図14】コンデンサを製造するための工程図を示す図である。
図15】第1の熱重量分析を示す図である。
図16】第2の熱重量分析を示す図である。
図17】損失係数の架橋度依存性を示す図である。
図18】誘電率の架橋度依存性を示す図である。
図19】本発明による系の破壊電圧分布を示す図である。
図20】積層コンデンサの第1の例を示す図である。
図21】積層コンデンサの第2の例を示す図である。
図22】積層コンデンサの第3の例を示す図である。
図23】積層コンデンサの第4の例を示す図である。
図24】巻回型コンデンサの略図を断面で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0087】
図1は、例えば、板状コンデンサであってもよい、単純なコンデンサ1の略図を示す。コンデンサ1は、第1の電極3及び第2の電極4を有する。誘電体層2は、第1の電極3と第2の電極4の間に配置されている。誘電体層2は、誘電体、又は本発明による方法に従って製造されたポリマー材料で作られたポリマー誘電体を有する。ポリマー材料は、例えば、誘電体2中の層に含まれることができ、又はこの層はポリマー材料からなることができる(両方とも図示せず)。さらに、誘電体層2の材料は、本発明によるポリマー材料と他のポリマーとの混合材料を含むことができる。好ましくは、誘電体層2は、本発明による架橋されたポリマー材料のみからなる。ここで、「からなる」は、それが本発明による材料のみを含むことを意味するが、溶媒残留物又はラジカル開始剤などの技術的に避けられない不純物もその材料中に含まれ得る。技術的に避けられない不純物の割合は、1%未満であることが好ましい。
【0088】
図2は、3つの可能なポリマー状態の模式的スケッチを示す。左側のイメージは、架橋されていない分岐したポリマー鎖を示す。
【0089】
ここで、分岐したとは、ここに灰色の楕円として示した官能基がポリマー鎖又はポリマー主鎖から分岐していることを意味する。ポリマー主鎖は、架橋を有さず、又は他のポリマー鎖に対しても若しくはそれ自体の中にも架橋を有さない。
【0090】
中央のイメージは、左側のイメージと同様のポリマー鎖を示すが、ここでは、結合ドットにより示されるように、反応性基を介して個々の連結も形成されている。本発明の目的では、楕円を結合している結合ドットは、リンカー分子を表す。
【0091】
右側のイメージは、強い架橋度を示し、これによると、連結は分岐している官能基又は反応性基のそれぞれを介して生じる。
【0092】
図3は、一般的なアクリレート構造を示し、これは本発明による方法の好ましいモノマーである。図3による構造は2つの種類の基であるR及びRを有する。さらに、この構造は、炭素-炭素二重結合を有する。炭素-炭素二重結合を介して、以下に示されるラジカル連鎖反応により、重合反応が起こり得る。
【0093】
基Rは、任意の基であり得る。特に、基Rは、水素又はメチル基であり得ることが好ましい。或いは、以下の基のうちの1つが基Rに存在し得るか、又はRが以下の基のうちの1つからなり得る:アルキル基、アルカリル基、ヘテロアルキル基、ヘテロアリール基、アルケニル基、ハロゲン又はハロゲン化物、アミノ基、アミド基、カルボン酸基、エステル基、ヒドロキシ基、エーテル基、イミド基、チオール基、及びチオエーテル基。
【0094】
基Rは、多数の基を持つこともできる。好ましくは、反応性基がエステル結合を介して基Rに配置されている。
【0095】
以下に示されるように、グリシジル基が基Rを表す場合が特に好ましい。グリシジル基は、末端エポキシ基を有する。しかし、原理上は、エポキシドを有するいずれの種類の基も基Rとして使用することができる。末端エポキシ基が特に好ましい。
【0096】
連結は、エポキシ基を介して起こる場合があるが、grafting-from型の反応を介して、他の適切な基を介して起こる場合もある。特に、重合型の反応をここで使用することができ、この反応はポリマー鎖の反応性基から開始し、それからオリゴマー様又はポリマー様の側鎖を形成し、次にその側鎖が別のポリマー鎖、又は最初のポリマー鎖の別の点に結合し、終了する。この反応は、grafting-fromモノマーと呼ぶことができる小分子を介して達成される。grafting-fromモノマーは、2つの反応性基の間にgrafting-from繰り返し単位を形成する。特に、grafting-fromモノマーは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又は1,2-エポキシブタンから選択することができる。
【0097】
或いは、残基Rは、ハロゲン化物を含み得る。
【0098】
さらに、酸素Rモチーフ(O-R)全体をハロゲン化物に置き換えることができ、それによりカルボン酸ハロゲン化物が反応性基を形成する。
【0099】
さらなる代替案として、チオール基を基Rとして又は基Rを介してポリマー鎖に配置することができる。さらなる代替案として、炭素-炭素二重結合を官能基Rを介して反応性基として配置することができる。例えば、炭素-炭素二重結合は、末端二重結合であってもよい。
【0100】
図4は、コポリマー鎖を示す。コポリマー鎖は、アクリレート繰り返し単位を第1の繰り返し単位として有し、アクリレート繰り返し単位は、図3に示されるアクリレートモノマーから形成されることが好ましい。コポリマーは、コポリマーの第2の繰り返し単位としてCをさらに含む。アクリレート繰り返し単位又はXは、原理上は、ブロックコポリマーなど、任意の形態のコポリマーで組み合わされ得る。実際の方法では、コポリマーの繰り返し単位が鎖に沿って無作為に分布していることが好ましい場合がある。或いは、コポリマーは、繰り返し単位が周期的に配置されている場合がある。これは、例えば、モノマーのダイマー又は他の予め形成された単位を重合することにより形成することができる。アクリレート含有コポリマーの例に加えて、これらの概念は、あらゆる種類のコポリマー又はターポリマーにも類似的に適用することができる。
【0101】
図4のアクリレート繰り返し単位は、別のモノマーのプレースホルダーとして見られることもある。
【0102】
Xは、直線状の分岐した又は環状のポリシロキサン、ポリオレフィン、又はヘテロ原子ポリオレフィンから選択することができることが好ましい。これらは、アルカリル基、アルケニル基、ハロゲン基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、アルコール、カルボン酸基、カルボン酸エステル基、又はチオ基で任意選択で官能化することもできる。非極性基を有するアクリレート繰り返し単位であるXも特に好ましい。したがって、ポリマー又はポリマー鎖は、グリシジルメタクリレートと非極性基を有するアクリレート繰り返し単位とのコポリマーであることが好ましい。
【0103】
図5は、ラジカル連鎖反応の例を示す。図5の例は、図3によるアクリレートモノマーが重合される重合反応を示す。しかし、このスキームは、任意の想定されるラジカル重合に類似的に適用される。
【0104】
有機過酸化物などのラジカル開始剤は、熱反応又は光化学反応により2つのラジカルに分裂する。それから、有機過酸化物は、アクリレートモノマーなどのモノマーの炭素-炭素二重結合を攻撃することができる。これが次にラジカルを形成し、連鎖反応が続くことができる。連鎖反応は、停止反応により停止される。ラジカル重合は、平均鎖長又は分子量を特定することができる、正規分布したポリマー鎖長をもたらすことができる。さらに、ラジカル重合は、コポリマーの形成のために、ポリマー鎖内に統計的に分布した繰り返し単位をもたらす。
【0105】
ブロックコポリマー又はブロックターポリマーは、繰り返し単位の統計的分布を有さない。
【0106】
本発明によるアクリレート含有コポリマーの場合、例えば、平均質量32kDa(略さないで書くと、32キロダルトン)を達成することができる。
【0107】
ポリマー鎖は、主鎖から分岐している官能基からなる短い分岐のみを有することが好ましい。ポリマー鎖の分岐、すなわち、ポリマー主鎖の分岐は好ましくない。
【0108】
図6に示されるように、ラジカル連鎖反応は、特定の状況下では、副反応として連結又は架橋されている2つのポリマー鎖をもたらし得る。本発明によれば、対応する架橋反応の割合又は架橋されたポリマー主鎖の割合が低いことが好ましい。特に、このようにして達成される架橋度は、後述の架橋反応を介して達成される架橋度よりも著しく低いことが好ましい。有機溶媒中への溶解を可能にする、1%未満の架橋度が好ましい。
【0109】
図7は、架橋反応の第1の例を示す。これは、反応性基としてのエポキシド(末端エポキシド)及びカルボン酸含有リンカー分子を用いて起こるあらゆる架橋の例示と考えることができる。コハク酸は、カルボン酸含有リンカー分子の例として、又は、特に、二官能性カルボン酸(ジカルボン酸)の例としてここに示される。或いは、且つ単に好ましくは、例えば、シュウ酸、バロン酸(valonic acid)、又はアジピン酸を使用することもできる。カルボン酸基又はその中の単結合酸素は、ここでは連結点として働くことができる。上述のリンカー分子の場合、連結点が、互いに最大距離にある分子の点に位置することが好ましい。
【0110】
この反応では、酸基の単結合酸素が、求核剤として自由対の電極を用いてエポキシ基の末端炭素を攻撃する。プロトンが以前のエポキシ酸素に移動し、エステル結合が形成される。或いは、酸基は、初めに脱プロトン化することでき、形成されたカルボキシレート基が求核剤として攻撃することができる。
【0111】
繰り返し単位並びにリンカー分子及び反応性基から形成される構造が、ポリマー鎖内に特定できることが好ましい。2つの反応性基を介してポリマー鎖をリンカー分子に連結した架橋反応の完了後、この例では、ポリマーの元のモノマー並びに反応性基及びリンカー分子を、反応した形態であっても特定することが可能である。これは必須ではないが、本発明による各反応に対して一般化されることが好ましい。
【0112】
架橋の第2の部分反応は、第1の部分反応の生成物から開始し、第2のカルボン酸が同等の方法でエポキシ基を再び攻撃する。これにより2つのポリマー鎖の間に、又は、類似的に、1つのポリマー鎖の2つの部分内に、架橋が形成される。
【0113】
図8は、ポリマーネットワークを形成する第2の架橋反応の第2の反応又は反応物を示す。ポリグリシジルメタクリレートが、すべてのエポキシ官能化アクリレートの代表として再び示される。ここに示されるリンカー分子は、アミンベースのリンカー分子の代表であるイソホロンジアミンである。或いは、且つ同様に好ましくは、例えば且つまた好ましくは、p-キシリレンジアミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、エチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミンをリンカー分子として使用することができる。或いは、アミン基のうちの1つは、アルコール基に置き換えることもできる。この例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、N-ベンジルエタノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロピオン酸、及び2-アミノシクロペンタノールであってもよい。
【0114】
図8に示される反応の反応機構によれば、1級アミンが連結点として働き、求核剤としてエポキシ基の末端炭素を攻撃することができる。これにより架橋が生じる。本例では、2つ以上の反応性基が連結点としての1級アミンと反応することができる。本例では、ポリマー鎖上の隣接する2つのエポキシ基がそれぞれアミノ基と反応して3級アミンを形成することができる。これには、反応性基がポリマー鎖上で十分に近接している必要がある。反応性基を有さない繰り返し単位を有するコポリマーでは、反応性基を有する繰り返し単位が十分に離れている場合に、この反応を抑制することができる。そのような場合では、反応は、2級アミンの形成のみをもたらすことができる。
【0115】
したがって、本例による1級アミノ基は、2つ以上の反応性基が反応することができる連結点の例である。
【0116】
或いは、アルコール基又は2級アミンを連結点として有する分子を連結分子として使用することができる。
【0117】
図9は、架橋反応の第3の例を示す。ポリグリシジルメタクリレートが、すべてのエポキシ官能化アクリレートの代表として再び示される。ここで、無水マレイン酸がリンカー分子の例として示される。代替的な無水物は、例えば、図7で述べたカルボン酸の無水物、無水フタル酸、及びメチル化無水フタル酸(methylated phthalic anhydride)から選択することができる。
【0118】
図10は、第4の架橋反応の例を示す。示される反応物は、カルボン酸塩化物を有するポリアクリレート誘導体及びリンカー分子としてのイソホロンジアミンである。酸塩化物基は、イソホロンジアミンの1級アミン基と反応してアミドを形成する反応性基である。或いは、他の適切な脱離基、例えば、他のハロゲン官能化官能基も使用することができる。
【0119】
イソホロンジアミンは、リンカー分子としての二官能性アミンの代表である。或いは、且つまた好ましくは、エチレンジアミン又はヘキサメチレンジアミンを使用することができるが、トリアミンも使用することができる。或いは、アミノ基のうちの1つはアルコール基に置き換えることもできる。そのような分子の例は、エタノールアミン、ジエタノールアミン、又は2-アミノシクロペンタノールである。
【0120】
イソホロンジアミンの2つのアミノ基は、酸塩化物基を攻撃する(二官能性の)連結点を表す。
【0121】
図11は、第5の架橋反応を示す。示される反応物は、カルボン酸塩化物を有するポリアクリレート誘導体及びリンカー分子としてのエチレングリコールである。示される反応性基の代替として、図10で述べた代替物を使用することもできる。或いは、例えば、1,4-ブタンジオール、プロピレン-1,3-ジオール、ペンタエリスリトール、又はキシリトールをリンカー分子として使用することができる。アルコール基は、連結点として働く。塩化アシル基は、アルコール基と反応してエステルを形成する反応性基である。
【0122】
図12は、架橋反応の第6の例を示す。ポリマーは、側基と反応性基の結合の点としてアミド結合を有する。ここで、反応性基は、末端チオール基である。
【0123】
2つの炭素-炭素二重結合(アルケニル基)を有するジエンがリンカー分子として使用される。アルケニル基は、連結点として働く。ラジカル的に起こり熱的に又は光化学的に開始され得る、逆マルコフニコフ付加によって、又は、この特定の場合では、チオール-エンクリック反応によって、チオール基はアルケン又はジアルケンの二重結合を攻撃することができ、これによりチオエーテルが形成される。
【0124】
この目的のために使用することができる熱開始剤は、N,N-アゾビスイソブチロニトリル、過酸化ジベンゾイル、過酸化ジクミル、又は過硫酸カリウムを含む。例えば、ベンゾイン又はエチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートを光化学開始剤として使用することができる。
【0125】
リンカー分子として使用することができる不飽和アルケンの例は、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、イソプレン、2,4-ヘキサジエン、ヘキサ-1,3,5-トリエン、及び1,3-ブタジエンを含む。
【0126】
図13は、架橋反応の第7の例を示す。ここで、ポリマーは、反応性基として二重結合を有する。この例では、これは、ヘテロ原子を介して鎖に結合しているのではなく、炭素-炭素結合を介して結合している。エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)が、逆マルコフニコフ付加の例としてのチオール-エンクリック反応のリンカー分子としてここに示される。或いは、グリコールジ(3-メルカプトプロピオネート)、グリコールジメルカプトアセテート、トリメチロールプロパントリ(3-メルカプトプロピオネート)、又はペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオネート)を使用することもできる。
【0127】
図14は、コンデンサ製造方法の略図を示す。
【0128】
最初に、ステップAに従って電極が形成される。原理上は、任意の適切な金属シート又は金属フィルムを電極として使用することができる。しかし、好ましくは、電極は基板に施される。ポリイミドフィルムなどのプラスチックフィルム又はガラス若しくは半導体ウエハを基板として使用することができる。適切な方法を使用して、金属層をこれらに施すことができる。好ましくは、物理蒸着(PVD)の方法がここで使用される。PVDの例は、スパッタリング又は熱蒸発である。第1の電極は、アルミニウム又は銀などの単一材料からなることができる。或いは、クロム/アルミニウム、クロム/銀、又はクロム/ニッケル/アルミニウム若しくはクロム/ニッケル/銀などの多層電極を使用することができる。電極の層の厚さは数10nmのオーダーであり、それぞれのデザインに適応した厚さを有する。
【0129】
次に誘電体は、ステップBに従って施される。原理上は、反応押出し又は溶液からの堆積を誘電体製造に使用することができる。ここで説明する方法では、溶液からの堆積が好ましい。特に、ポリマー溶液は、スロットダイコーティング、スプレーコーティング、又は孔版印刷を介して施すことができる。ポリマー溶液は、架橋されていない又は非常にわずかに架橋された状態のポリマー鎖を含む。ポリマー鎖は、堆積前にモノマーの重合により生成された。ポリマー鎖は、ホモポリマー又はコポリマーであることができ、これらのそれぞれは反応性基を有する繰り返し単位を含む。反応性基は、重合前に官能化によりモノマーに結合するか、又は重合後に繰り返し単位に結合することができる。さらに、ポリマー溶液は、ポリマーを溶液中で維持する溶媒を含む。本発明によるポリ(グリシジルメタクリレート)又は対応するコポリマーの場合、酢酸エチル、乳酸エチル、又はクロロホルムを溶媒として使用することができることが好ましい。ポリマー溶液は、20~500mg/mlのポリマー濃度を有することができる。さらなる添加剤が含まれてもよい。さらに、規定された割合のリンカー分子がポリマー溶液に加えられる。リンカー分子の量は、反応性基の割合及び達成される架橋度により決定される。リンカー分子は、反応性基と反応するのに適した少なくとも2つの連結点を有する。さらに、ポリマー鎖の架橋は、ステップBで実行される。系に応じて、ポリマー鎖の架橋は異なる方法で実行される。30~150℃でのアニーリングによる熱架橋が好ましい。
【0130】
次に第2の電極をステップCでPVD方法を使用して施すことができる。原理上は、第2の電極は、第1の電極と同じ材料から製造又は堆積させることができる。図1に示されるコンデンサを製造するためには、ステップA、B、及びCだけが実行される。可能性のある基板がある場合には、ステップCの後で除去することができる。したがって、巻回型コンデンサでは、ステップA、B、及びCを実行することができる。
【0131】
図21~24に示され、後述される積層コンデンサの場合では、ステップA、B、C、及びその後の繰り返しのステップBが任意の回数繰り返されて層が形成される。特に、積層コンデンサの場合、次に保護ワニス若しくは他の保護デバイス又はバリア層を任意選択のステップDで施すことができる。これは、パリレン又はフッ素ベースの炭化水素(EFTE、PTFE、又は同等のもの)などの温度安定性の不活性疎水性炭化水素からなることが好ましい。これは、蒸着方法又は溶媒ベースのコーティング方法、例えば、スプレーコーティング又はスクリーン印刷を使用して施すことができる。バリア層は、内部電極又は多層部品の電極が露出している面には施されない。最後のステップEでは、それぞれの(内部)電極が露出している面に側部接点又は外部電極が施される。これは、真鍮、銅、及びスズ又はアルミニウム若しくは銀で作られ得る。他の適切な導電材料、好ましくは金属材料をこの目的のために使用することもできる。
【0132】
積層コンデンサの場合、内部電極として働く電極を構造化することができる。
【0133】
或いは、誘電体層は、電極に直接施さずに、溶液から、適切な離型剤が提供された基板上に層を堆積させることにより製造することもできる。上述のように実行することができる架橋ステップの後、フィルムを生成することができ、このフィルムはその後さらに積層コンデンサ又は巻回型コンデンサに加工することができる。
【0134】
フィルムを生成する代替的方法として、カレンダー処理又は反応押出しを使用することもできる。特に、反応性成分、すなわち反応性基を有するポリマー鎖及びリンカー分子は、2軸押出し機を使用して一緒に混合することができ、これらは互いに同時に反応することができる。それから、架橋された反応材料からカレンダー処理によりフィルムを形成することができる。この方法は、巻回型コンデンサの製造、及び巻くことにより製造される「積み重ねられた」コンデンサの製造に好ましい。このようにして製造されたフィルム又は層は、その後両面が金属化されて第1の電極を製造することができる。
【0135】
本発明による方法を使用して製造されたコンデンサは、150℃を超える動作温度を有する。
【0136】
図15は、純粋なポリ(グリシジルメタクリレート)の熱重量分析を示す。これは、25%を超える相対的及び絶対的架橋度を示し、各繰り返し単位が正確に1つの反応性基を持っている。熱重量分析は、1分あたり10ケルビンの昇温速度を用いて空気中で実行した。熱重量分析が示すように、240℃未満では質量損失はほとんどない。5%を超える質量損失は、240℃を超えて初めて観察することができる。実際の質量の急激な低下も250℃を超えて初めて観察することができる。したがって、本発明による対応する材料は、150℃以上の温度での使用に適している。本発明による対応する材料は、はんだ付けにより接続される部品への使用にも適している。この材料は、はんだ付けの通常の条件に容易に耐えることができる。
【0137】
図16は、グリシジルメタクリレート及びブチルメタクリレート繰り返し単位を有するコポリマーの熱重量分析を示し、ここで、グリシジルメタクリレートの割合は20%であり、ブチルメタクリレートの割合は80%であった。相対的架橋度、すなわち架橋グリシジル基の割合も25%であった。他の条件は、図15の熱重量分析の条件に一致した。
【0138】
コポリマーは、図15のホモポリマーと比較して温度安定性がわずかに低下しているが、これは150℃を超える温度で使用するのに適している。温度安定性がわずかに低下したのは、ブチルメタクリレート繰り返し単位の割合のために絶対的又は質量関連架橋度が図15のホモポリマーよりも低くなったことに起因する。
【0139】
しかし、このコポリマーは、グリシジルメタクリレートの含有量が減少したために水分に対してより抵抗性があるという利点を有する。ブチルメタクリレート繰り返し単位のブチル基は、疎水性であり、したがって、残りのグリシジル基の含水特性又は水反応特性を相殺することができる。
【0140】
図17は、損失係数tanδの温度挙動の2つのグラフを示す。
【0141】
図17の上側の提示、又は上側のグラフでは、周波数依存性損失係数tanδを130℃の温度で周波数の関数として測定した。130℃での提示では、架橋されていないポリマー(VG0%)の曲線が、70%を超える相対的架橋度を有するポリマー(VG>70%)の曲線との比較で示される。非架橋ポリマー(VG0%)は、架橋が実行されなかったことを除いて、本発明で使用されるポリマーと一致する。
【0142】
このように、非架橋ポリマー(VG0%)の130℃での損失係数は、強い周波数依存性を示す。対照的に、相対的架橋度が70%を超えるポリマー(VG>70%)の130℃での散逸率は、10~10Hzの周波数範囲にわたり0.02の値でほとんど一定である。
【0143】
同様の挙動は、相対的架橋度が70%を超えるポリマー(VG>70%)で150℃でも見ることができる。180℃の温度の場合(図示せず)、同様のほとんど一定のグラフ曲線が相対的架橋度が70%を超えるポリマー(VG>70%)でまた得られ、ここで損失係数は、およそ0.04高い。
【0144】
図17は、架橋度が、温度安定性及び損失係数の低下に大きく寄与することができることを示す。
【0145】
図18は、150℃の温度での2つの誘電体層の誘電率の周波数依存性を示す。上側の曲線は、相対的架橋度が70%を超え、グリシジルメタクリレートの含有量が70%を超えるポリマー(VG>70%、GA>70%)の挙動を示す。このポリマー(VG>70%、GA>70%)の相対的架橋度は、95%であった。グリシジルメタクリレートの含有量は、100%であった。下側の曲線は、相対的架橋度が70%未満であり、グリシジルメタクリレートの含有量が70%未満であるポリマー(VG<70%、GA<70%)の挙動を示す。このポリマー(VG<70%、GA<70%)の相対的架橋度は、45%であった。グリシジルメタクリレートの割合は、50%であった。両方の場合で、これらは本発明によるポリマーである。このように、両方の場合で誘電率は3を優に上回っており、10~10Hzの全体の周波数範囲にわたりほとんど一定である。しかし、より高い相対的架橋度及びより高いグリシジルメタクリレートの含有量は、誘電率εの増加をもたらすことを観察することができる。
【0146】
したがって、本発明によるポリマーを用いれば、3を優に上回る、又は4さえも上回る一定の誘電率を広い周波数範囲にわたり達成することができることを示すことができる。
【0147】
この傾向は、表1の例によっても認識することができる。
【0148】
表1は、異なる組成及び相対的架橋度を有するポリマーの、異なる周波数及び異なる温度での損失係数tanδ及び誘電率εの値を示す。「rel.Crosslinking」は、相対的架橋度を指す。「グリシジル」は、グリシジルメタクリレートの含有量を指す。「非極性基」は、非極性基を含む繰り返し単位の割合を指す。
【0149】
特に、グリシジル基及び非極性基を異なる組成で有するポリアクリレートを含む3つの異なる組成のコポリマーが表1に示される。ここで、これらの分子のすべてが広い周波数範囲にわたり有利な損失係数及び有利な誘電率の両方を示すことが分かる。しかし、誘電率は、特に高度に架橋された系で最大となることが顕著であるが、一方で、損失係数又は損失係数の定常性はより低く架橋された系で改善され得る。
【0150】
【表1】
【0151】
したがって、本発明の範囲内で、技術的に関連する仕様に従って、最大でほぼ5の値の特に良好な比誘電率を有するか、或いは、損失係数に関して可能な限り一定の材料である材料をテーラーメードすることができる。ここで、対応する他の特性は、極端な場合であっても十分なままであることに留意すべきである。
【0152】
図19は、グリシジルメタクリレートの含有量が50%であり、相対的架橋度が95%である系の破壊電圧の統計的評価を示す。他のモノマーは、非極性基を有する。測定は、およそ3μmの厚さの誘電体層でコーティングされた金属箔上で実行された。金属箔は、第1の電極として機能した。第2の電極は、スパッタリングにより作製した。測定は、1分あたり20kVの電圧ランプ及びおよそ10mAの最大電流を用いて実行した。電圧破壊は、250Vを優に上回って初めて達成することができることが示された。さらに、試験の大多数で500Vの破壊電圧安定性を達成することができる。
【0153】
図20は、積層コンデンサ1の第1の例示的な実施形態の概略的断面を示す。積層コンデンサ1は、電極4と交互に積み重なっている複数の電極3を有する。両方の電極は、平面電極である。誘電体層2は、図1に示される単純なコンデンサの例示的な実施形態からの誘電体層2に概念的に対応し、第1の電極3と第2の電極4の間、すなわちそれぞれの場合において隣接する2つの電極の間に配置されている。
【0154】
第1の電極3及び第2の電極4は、内部電極としての特性を有する。第1の外部接点5及び第2の外部接点6は、積層コンデンサの向かい合った側面に配置されており、第1の外部接点は、第1の電極3を導電的に接続する。第2の外部接点は、第2の電極4を導電的に接続する。
【0155】
このようにして形成されたコンデンサは、表面実装型デバイス(SMD)となることができ、この表面実装型デバイスは、その温度安定性のある誘電体層2のために、はんだ付けに非常に適している。
【0156】
SMD部品としてさらにより有利に積層コンデンサ1を使用することができるようにするために、外部接点5及び6は、クランプ形構造を有することができる(図示せず)。したがって、外部接点5及び6は、構造体の上面又は底面として使用される側面の積み重なっている方向に沿って、少しの程度延びることができる。
【0157】
コンデンサ1は、例えば、立方体状であり、合計で1000個の繰り返し単位からなる場合がある。積層コンデンサの繰り返し単位は、ポリマー鎖の繰り返し単位と混同してはならない。繰り返し単位の数は、より多くなることもある。繰り返し単位は、第1の電極3、誘電体層2、任意選択の第2の電極4、及びさらなる誘電体層2からなる。コンデンサ1は、3~4mmの長さ、2~3mmの幅、及び1~2mmの高さを有することができる。個々の誘電体層は、500nm~5μmの厚さを有することができる。好ましい厚さは、500nm~2μmである。内部電極は、10~50nmの厚さ、好ましくは20nmの厚さを有することができる。
【0158】
図21は、積層コンデンサの第2の例示的な実施形態を示す。図21のコンデンサは、図20に示され、上述されたコンデンサに大部分が対応している。しかし、図21に示される例では、方法で使用された元の基板は、ここでは基板7と表示されているが、未だ部品に存在している。図21に示される例では、基板7は、絶縁性である。それは、例えば、ガラス基板、半導体ウエハ、又はポリイミドフィルム若しくは剥離テープなどのフレキシブルな基板であり得る。
【0159】
図22は、積層コンデンサ1の第3の例示的な実施形態の概略的断面を示す。図22に示される例示的な実施形態は、図21に示される例に非常に類似している。しかし、ここでは、基板7は金属製の導電的基板であり、例えば、アルミニウム、銅、又は同様の材料で作られている。基板7は、ここでは、例えば箔として存在している。その導電性の性質のため、第1の電極3として導電層を基板上に施す必要はない。基板自体が、第1の電極3のうちの1つの代わりとして機能することができる。誘電体層は、基板、又は代わりの電極としての基板に直接施すことができる。上述の方法を状況に応じて適応させることができる。ここで、基板は、コンデンサの全幅及び全長にわたり延びていることが好ましいため、第2の外部接点5が基板7と電気的に接触しないように注意を払わなければならないことに留意すべきである。
【0160】
図23は、積層コンデンサ1の第5の例を示す。これは、図20に示される例に対応するが、外部接点5及び6のそれぞれに、回路基板上又はアプリケーションでのスルーホール実装を可能にする配線8及び9も有する。図23に示されるコンデンサは、したがって、スルーホールコンデンサである。配線8及び9は、アプリケーション中の結合点との電気的接触、及び好ましくはまた機械的接触を作り出す。配線8及び9は、ボンディングなどの任意の方法によりコンデンサ1又は外部接点5及び6に結合することができる。
【0161】
図24は、巻回型コンデンサ1の例の概略的断面を示す。その基本構造では、巻回型コンデンサは図1に示される最初の例に類似している。誘電体層2は、第1の電極3及び第2の電極4により挟まれている。これに対応して比較的薄く平面なサンドイッチ様構造体が巻かれて巻回型コンデンサが形成される。本発明による誘電体層を有する巻回型コンデンサの好ましい層の厚さは、1μm~10μmの範囲である。好ましい層の厚さは、2μm~5μmである。
【0162】
[符号の説明]
1 コンデンサ
2 誘電体層
3 第1の電極
4 第2の電極
5 第1の外部接点
6 第2の外部接点
7 基板
8 第1の配線
9 第2の配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層(2)を製造するステップ及び少なくとも1つの電極(3、4)を誘電体層(2)の片面に取り付けるステップを含むコンデンサ(1)を製造する方法であって、誘電体層(2)を製造するステップが、以下:
それぞれのポリマー鎖から分岐しており、リンカー分子と共有結合を形成するのに適した反応性基を有するポリマー鎖を用意することと、
リンカー分子をポリマー鎖に加えることであって、各リンカー分子が少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応性基と共有結合を形成することが可能である、リンカー分子をポリマー鎖に加えることと、
少なくとも2つの反応性基を有するリンカー分子の共有結合によりポリマー鎖を架橋することとを含む、方法。
【請求項2】
すべての繰り返し単位に対する反応性基を有する繰り返し単位の割合が、20%~100%である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
リンカー分子に共有結合している反応性基の割合が、25%~99%である、請求項に記載の方法。
【請求項4】
反応性基を持つ繰り返し単位の少なくとも一部が、アクリレート繰り返し単位であり、ここで、アクリレート繰り返し単位において、反応性基がアクリレート繰り返し単位のカルボキシレート基を介してエステル結合の形態で結合している、請求項に記載の方法。
【請求項5】
反応性基が、エポキシドを含み、リンカー分子が、カルボン酸、アミン、アルコール、及び無水物から選択される官能基を含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
1若しくはS2反応又は付加・脱離機構が架橋に関与する、請求項に記載の方法。
【請求項7】
マルコフニコフ付加又は逆マルコフニコフ付加が架橋に関与する、請求項に記載の方法。
【請求項8】
溶液からの堆積又は反応押出しのステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー鎖が、アクリレート繰り返し単位及び非極性基を有する繰り返し単位を含むコポリマーであり、非極性基が、不飽和又は芳香族基から選択され、アクリレート繰り返し単位の割合が、20~80%である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
架橋が、反応当量に関して少ない割合で存在する反応性基及びリンカー分子から選択される成分に対して、99%を超える程度まで架橋反応を引き起こすのに適した温度でのアニーリングにより実行される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの電極(3、4)を誘電体層(2)に接して有するコンデンサ(1)であって、誘電体層(2)が、ポリマー主鎖又はポリマー主鎖の異なる部分が架橋リンカー分子を介して互いに共有結合的に連結しているポリマー材料を有する、コンデンサ(1)。
【請求項12】
リンカー分子が共有結合している繰り返し単位の割合が、5%~99%である、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項13】
ポリマー主鎖が、アクリレート繰り返し単位を含み、リンカー分子に共有結合している、又はそのような結合に適した官能基が、エステル結合の形態でそれぞれのアクリレート繰り返し単位のカルボキシレート基を介して結合している、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項14】
官能基を介してリンカー分子に共有結合的に連結している繰り返し単位の割合が、これらの繰り返し単位とリンカー分子に共有結合的に連結するのに適した官能基を有する繰り返し単位との合計に対して25%~99%である、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項15】
共有結合化合物が、エーテル架橋、エステル架橋、アミン架橋、アミド架橋、及びチオエーテル架橋から選択される、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項16】
電極(3、4)が誘電体層(2)と交互に積み重なっており、電極(3、4)が、外部接点(5、6)を介して接触している多層部品である、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項17】
第1の電極(3)が、誘電体層(2)の片面に配置されており、誘電体層(2)及び電極(3)が巻かれてコンデンサロールとなっている巻回型コンデンサである、請求項11に記載のコンデンサ(1)。
【請求項18】
それぞれのポリマー鎖から分岐しており、リンカー分子と共有結合を形成するのに適した反応性基を有するポリマー鎖を用意するステップと、
リンカー分子をポリマー鎖に加えるステップであって、各リンカー分子が少なくとも2つの化学的連結点を有し、化学的連結点のそれぞれが反応性基と共有結合を形成することが可能である、リンカー分子をポリマー鎖に加えるステップと、
少なくとも2つの反応性基を有するリンカー分子の共有結合によりポリマー鎖を架橋するステップとを含む、コンデンサ(1)用誘電体を製造する方法。
【国際調査報告】