(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】レーザエッチングされたエアロゾル生成物品ラッパー、そのようなものを含むエアロゾル生成物品、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
A24D 1/02 20060101AFI20240920BHJP
A24C 5/60 20060101ALI20240920BHJP
D21H 27/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A24D1/02
A24C5/60
D21H27/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024510398
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 EP2022075536
(87)【国際公開番号】W WO2023041586
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小野 広善
(72)【発明者】
【氏名】ボルデイ-ムービレーヌ, アレクサンドル
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4L055
【Fターム(参考)】
4B045AB11
4B045AB12
4B144CB28
4L055EA07
4L055EA08
4L055EA12
4L055EA15
4L055FA30
4L055GA50
(57)【要約】
本発明は、第1の表面(1a)から第1の表面と反対の第2の表面(1b)まで延びる、少なくとも35マイクロメートルの厚さ(t)及び少なくとも25N/15mmの引張強度を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含むエアロゾル生成物品ラッパー(1)に関する。ラッパー材料は、第1の表面(1a)又は第2の表面(1b)の一方からラッパー材料の厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたって前記少なくとも1つの層にエッチングされる印(I)の少なくとも一部を含む。本発明は更に、レーザビーム(5a)を用いて印ベクトル線に従って前記セルロース系材料層の厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたってラッパー材料を蒸発させることにより、ラッパー(1)に印(I)の少なくとも一部をエッチングする工程を含む、そのようなエアロゾル生成物品ラッパー(1)を製造する方法に関する。本発明は、最終的に、その少なくとも一部分の周囲にそのようなラッパーを含むエアロゾル生成物品であって、ラッパーのエッチングされた印(I)は、エアロゾル生成物品(10)の外側に面する表面に配置されている、エアロゾル生成物品に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面(1a)から前記第1の表面と反対の第2の表面(1b)まで延びる、少なくとも35マイクロメートルの厚さ(t)及び少なくとも25N/15mmの引張強度を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含むエアロゾル生成物品ラッパー(1)において、
前記ラッパー材料は、前記第1の表面(1a)又は前記第2の表面(1b)の一方から前記ラッパー材料の厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたって前記少なくとも1つの層にエッチングされる印(I)の少なくとも一部を含むことを特徴とする、
エアロゾル生成物品ラッパー(1)。
【請求項2】
前記エッチングされる印(I)の前記決められた深さ(d)は、前記セルロース系材料層の前記厚さ(t)の少なくとも10分の1、好ましくは5分の1である、請求項1に記載のエアロゾル生成物品ラッパー(1)。
【請求項3】
前記エッチングされる印(I)の前記決められた深さは、前記セルロース系材料層の前記厚さ(t)の多くとも2/3、好ましくは多くとも半分である、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成物品ラッパー(1)。
【請求項4】
前記セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも34g/m
2、好ましくは少なくとも40g/m
2の坪量を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品ラッパー。
【請求項5】
前記セルロース系材料の少なくとも1つの層は、多くとも15CU(コレスタ単位)の気孔率を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品ラッパー。
【請求項6】
前記セルロース系材料の少なくとも1つの層は、前記少なくとも1つの層の前記第1の表面(1a)から前記第2の表面(1b)まで延びる穿孔(16)を更に含み、前記穿孔(16)と前記印(I)は、前記ラッパー材料(1)の少なくとも1つの層内で非ゼロの距離(g)だけ互いにオフセットしている、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品ラッパー。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載のラッパー材料(1)を製造する方法であって、
a.約20W~100Wの公称出力を有するレーザ源(5)を含むレーザマーキングデバイスを用意する工程と、
b.エアロゾル生成物品ラッパー(1)材料を用意する工程であって、前記ラッパー材料は、第1の表面(1a)から前記第1の表面と反対の第2の表面(1b)まで延びる、少なくとも35マイクロメートルの厚さ(t)及び少なくとも25N/15mmの引張強度を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含む、エアロゾル生成物品ラッパー(1)材料を用意する工程と、
c.レーザビーム(5a)を用いて印ベクトル線に従って前記セルロース系材料層の前記厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたってラッパー材料を蒸発させることにより、前記ラッパー材料に印(I)の少なくとも一部をエッチングする工程と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記レーザビーム(5a)は、放出点(S)から前記ラッパー材料(1)の前記第1の表面(1a)又は前記第2の表面(1b)の一方に対して垂直に向けられ、前記レーザビーム放出点(S)と前記エアロゾル生成物品ラッパー材料の前記第1の表面又は前記第2の表面との間の距離は、少なくとも50mmである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記エッチングされる印(I)の前記決められた深さ(d)は、前記セルロース系材料層の前記厚さ(t)の少なくとも10分の1、好ましくは5分の1である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記エッチングされる印(I)の前記決められた深さは、前記セルロース系材料層の前記厚さ(t)の多くとも2/3、好ましくは多くとも半分である、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも34g/m
2、好ましくは少なくとも40g/m
2の坪量を有する、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記セルロース系材料の少なくとも1つの層は、多くとも15CU(コレスタ単位)の気孔率を有する、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記エアロゾル生成材料ラッパー(1)は、リールに巻かれた材料の連続ウェブとして提供され、前記方法は、
a.前記リールから前記ウェブを巻き出し、前記ウェブを前記レーザビーム(5a)の方向に対して実質的に垂直な処理方向(F)に沿って、決められた直線速度で循環させる工程と、
b.前記処理方向(F)に沿って、前記ラッパー材料ウェブの長さに沿って規則的な間隔でラッパー材料(1)の前記ウェブに前記印(I)又は前記印(I)の一部を順次エッチングする工程と、
を更に含む、請求項7~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記レーザビーム(5a)は、前記ラッパー材料(1)の前記表面上を少なくとも5m/min、好ましくは少なくとも15m/minの直線速度で移動させる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの印(I)又は印(I)の一部は、エアロゾル生成物品(10)の一部分に巻き付けられた後の前記ラッパー材料(1)にエッチングされる、請求項7~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記レーザビーム(5a)は、前記ラッパー材料(1)の前記表面上を少なくとも50m/min、好ましくは少なくとも100m/minの直線速度で移動させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
エアロゾル生成物品(10)であって、前記エアロゾル生成物品(10)の少なくとも一部分の周囲に請求項1~6のいずれか一項に記載のラッパー材料(1)を含み、前記ラッパーの前記エッチングされる印(I)は、前記エアロゾル生成物品(10)の外側に面する表面に配置されている、
エアロゾル生成物品(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼式又は非燃焼加熱式(HNB)タバコ含有物品などのエアロゾル生成物品製造の分野に関する。より具体的には、本発明は、ラッパー材料の厚さ内にエッチングされた印の少なくとも一部を含むエアロゾル生成物品ラッパー、そのようなエアロゾル生成物品ラッパー及びそのようなラッパーを含むエアロゾル生成物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ラッパー、特に、既存の燃焼式若しくはHNBエアロゾル生成物品のエアロゾル生成材料及び/又はマウスピース及びフィルタ構成要素を包むためのラッパーは、主に装飾目的及びブランディング目的のために、エンボス加工、デボス加工、又は印刷によって形成される印を含むことが多い。実用的であり、一般的であり、高品質ではあるが、これらの既存の印提供技術には欠点がないわけではない。
【0003】
エンボス加工などの材料変形技術では、ラッパー材料に形成される各印デザインに対して特別なエンボス加工ローラなどの形成ツールを必要とする。したがって、新たな印デザインのそれぞれは、各エアロゾル生成物品製造機械又はラッパー製造機械において、対応する新たなローラを必要とする。エンボス加工ローラは、新たなデザインに合わせて後付けしたり変換したりすることができないため、このことは、デザイン変更プロセスに非常にコストがかかることを意味する。
【0004】
印刷技術は、極めて普及しており費用効果が高い。しかしながら、それらは、印刷されたラッパーを通して、エアロゾル生成材料に、又は使用中、そのようなラッパーを含むエアロゾル生成物品の消費中に生成されるエアロゾルに、及びそれに伴い、使用者に移ることがある様々なインク又はワニスの使用を意味する。更に、地方当局によって製造者に課される規制の制約が変化することでも、特定のインク、ワニス、又はラッパー充填材の使用が制限又は禁止される可能性があり、これにより逆に、ラッパー設計者が利用可能なラッパー品質又は印刷インクの範囲が減少する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述の欠点に苦慮することなく、エアロゾル生成物品の装飾及びブランド刻印のために前記ラッパー上に印を提供するためのより高い柔軟性を提供する、新規なエアロゾル生成物品ラッパー及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、この目的は、第1の表面から第1の表面と反対の第2の表面まで延びる、少なくとも35マイクロメートルの厚さ(t)及び少なくとも25N/15mmの引張強度を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含むエアロゾル生成物品ラッパーであって、前記ラッパーは、第1の表面又は第2の表面の一方からその厚さ(t)未満の決定された深さ(d)にわたって前記少なくとも1つの層にエッチングされる印の少なくとも一部を含む、エアロゾル生成物品ラッパーの提供により満たされる。
【0007】
本発明の文脈では、引張強度は、ISO1924-2:2008に定義された方法を使用して測定される。
【0008】
本発明者らは、有利には、従来技術から知られるようなラッパー上の印刷又は材料変形により得られる印は、多くの場合、ラッパー材料の一部をその総厚さの決められた深さにわたってエッチングすることで代替できることを見出し、確認した。エッチングされた印は、従来技術の方法に比べて満足のいく視覚的表現、コスト効率の高い加工、及びデザイン変更の柔軟性の向上を提供することが判明した。最も重要なことには、本明細書中に定義される選択された品質のラッパー材料に印をエッチングすることで、ラッパーが使用されるエアロゾル生成製品に要求されるラッパーの物理的性能に重大な変化は生じなかったことも確認された。特に、エッチングされたラッパーは、エアロゾル生成物品の機械製造中及び消費者による通常の使用中に満足のいく機械抵抗を呈することが認められた。
【0009】
本発明の文脈では、「エッチング」という用語は、主材料層への化学的プロセス又は物理的プロセスによって、その主材料層に制御された深さ、長さ及び幅にわたって、材料が、ベクトル線に従って定義され得る特定のデザインに従って制御された手法で不可逆的に除去されるプロセス又は技法と解釈されるものとする。
【0010】
本発明によれば、エアロゾル生成物品ラッパーにエッチングされる印を作成するために特に好適なエッチング技法はレーザエッチングであり、レーザエッチングにより、セルロース系ラッパー材料を、ラッパーシート上を選択した直線速度で移動する決められた波長及び出力のレーザビームを集束させることによってラッパーシートから蒸発させ、シート材料から線を刻み出す。
【0011】
一実施形態では、エッチングされる印の決められた深さ(d)は、セルロース系材料層の厚さ(t)の少なくとも10分の1、好ましくは5分の1であるように選択される。そのような深さは、印のエッチングされる線部分の幅が最小限の場合でもラッパー上で肉眼で視覚的に認識可能な印を得るために最も適切であると判断した。
【0012】
一実施形態では、エッチングされる印の決められた深さは、セルロース系材料層の厚さ(t)の多くとも2/3、好ましくは多くとも半分であるように選択される。そのような最大深さは、エッチングされるラッパーの機械的特性及び物理的特性が、ラッパー及び/又はエアロゾル生成物品の両方の製造の製造上の制約を満たすことを確実にするように選択される。
【0013】
一実施形態では、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも34g/m2、好ましくは少なくとも40g/m2の坪量を有する。
【0014】
一実施形態では、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、多くとも15CU(コレスタ単位)の気孔率を有する。
【0015】
そのような坪量及び気孔率は、デザイン特徴及び印を最も有することになる先端ラッパーなどのエアロゾル生成物品のマウスピースラッパーのために特に選択される。
【0016】
一実施形態では、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも1つの層の第1の表面から第2の表面まで延びる穿孔を更に含み、穿孔と印は、少なくとも1つの層内で非ゼロの距離だけ互いにオフセットしている。そのような穿孔は、例えば、エアロゾル生成物品のフィルタ部分、特に先端ラッパーの通気のために設けられることがある。
【0017】
一実施形態では、穿孔と印は、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mmだけ互いにオフセットしている。
【0018】
本発明の第2の態様は、本明細書中に前述したラッパー材料を製造する方法であって、
- 約20W~100Wの公称出力を有するレーザ源を含むレーザマーキングデバイスを用意する工程と、
- エアロゾル生成物品ラッパー材料を用意する工程であって、前記ラッパー材料は、第1の表面から第1の表面と反対の第2の表面まで延びる、少なくとも35マイクロメートルの厚さ(t)及び少なくとも25N/15mmの引張強度を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含む、エアロゾル生成物品ラッパー材料を用意する工程と、
- レーザビームを用いて印ベクトル線に従って前記セルロース系材料層の厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたってラッパー材料を蒸発させることにより、ラッパー材料に印の少なくとも一部をエッチングする工程と、
を含む方法に関する。
【0019】
本発明者らは、レーザエッチングが、エアロゾル生成物品の個々のラッパーレベルにおいてエッチングされる印を得るのに最も適したエッチング技法であり、優れたデザイン柔軟性及びエッチング速度並びに限定された品質欠陥を有することを見出した。
【0020】
レーザエッチングは、ラッパー材料上のレーザビームの移動パターンだけを変更しなければならないため、刻印されるデザインの容易な変更を可能にする。好ましくは、刻印機は、ラッパー材料上におけるレーザビームの移動を制御する制御システムを含む。好ましくは、制御システムは、制御システムに取り込まれたデジタル画像ファイルを制御信号に変換し、レーザビームの移動を制御する。このようにして、任意のデジタル画像ファイルをレーザエッチングされる印に変換することができる。エッチングされるデザインを変更するために、デジタル画像ファイルを変更するだけでよい。好ましくは、制御システムは、デジタル画像ファイルを保存することができるデータストレージを含む。このようにして、定期的に使用されるデジタル画像ファイルを制御システムで直接選択することができる。
【0021】
また、レーザエッチングは、ラッパー材料に更なる物質を添加することなくデザインを適用することを可能にする。このことは、添加物を含まず、且つ容易に適応可能な刻印につながる。プロセスに添加物を含まないため、エアロゾル生成物品によって生成されるエアロゾルに感覚的な影響もない。
【0022】
選択されるレーザビームの出力は、単位面積あたりのラッパー材料が受けるエネルギーの量が、ラッパー材料の切断、燻焼、又は燃焼を防止するために十分に低くなるように、十分に低い。一方、レーザ出力は、所望のエッチング又は刻印効果を生じさせるほど十分に高い。
【0023】
本方法の一実施形態では、レーザビームは、放出点からラッパー材料の第1の表面又は第2の表面の一方に対して垂直に向けられ、前記レーザビーム放出点とエアロゾル生成物品ラッパー材料の第1の表面又は第2の表面との間の距離は、少なくとも50mmである。
【0024】
一実施形態では、エッチングされる印の決められた深さ(d)は、セルロース系材料層の厚さ(t)の少なくとも10分の1、好ましくは5分の1である。
【0025】
一実施形態では、エッチングされる印の決められた深さは、セルロース系材料層の厚さ(t)の多くとも2/3、好ましくは多くとも半分である。
【0026】
一実施形態では、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも34g/m2、好ましくは少なくとも40g/m2の坪量を有する。
【0027】
一実施形態では、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、多くとも15CU(コレスタ単位)の気孔率を有する。
【0028】
一実施形態では、レーザ源は、10.6マイクロメートルのビーム波長を有するCO2レーザ源である。
【0029】
別の実施形態では、レーザ源は、1062ナノメートルのビーム波長を有するファイバレーザ源である。
【0030】
上記のCO2レーザ源及びファイバレーザ源の両方が、本発明によるエアロゾル生成物品ラッパー上にエッチングされる印を提供するのに許容可能であることが判明している。各レーザ源は、更に、高い実装柔軟性を伴って、ラッパー製造レベル又はエアロゾル生成物品製造施設のいずれかに様々な構成で配置することができる。
【0031】
本発明の方法の第1の代替例では、エアロゾル生成材料ラッパーは、リールに巻かれたラッパー材料の連続ウェブとして提供され、本方法は、
- リールから前記ウェブを巻き出し、ウェブをレーザビームの方向に対して実質的に垂直な処理方向に沿って、決められた直線速度で循環させる工程と、
- 処理方向に沿って、ラッパー材料ウェブの長さに沿って規則的な間隔でラッパー材料のウェブに印又はその一部を順次エッチングする工程と、
を更に含む。
【0032】
ラッパー製造レベルにおける印のエッチングに適した、本発明の方法の上記で定義した実施形態においては、レーザビームは、ラッパー材料の表面上を少なくとも5m/min、好ましくは少なくとも15m/minの直線速度で移動させることが好ましい。
【0033】
更に、この第1の代替的な実施形態では、本方法は、各個々のシートがその表面にエッチングされた少なくとも1つの印を含むように、エアロゾル生成ラッパー材料の個々のシートを連続ウェブから切断する工程を更に含む。
【0034】
本発明の方法の第2の代替的な実施形態では、少なくとも1つの印又は印の一部は、エアロゾル生成物品の一部分に巻き付けられた後のエアロゾル生成ラッパーにエッチングされる。
【0035】
この第2の代替的な実施形態では、本方法は、印又は複数の印をエアロゾル生成物品の群にわたって一度にエッチングすることを可能にし、場合により、単一の印が、物品の集合体などの複数の物品にわたってエッチングされ、それにより、それぞれ個々の物品が印の一部のみを有し、したがって個々に完全に独特なものとなり、開封時に、単一の印の印象を消費者に与えるデザイン機会を提供する。
【0036】
本発明の方法のこの第2の代替例では、エッチングされる印が、個々のラッパーに対して提供される場合よりもはるかに大きくなり得るため、レーザビームは、有利には、前述の代替案よりもはるかに速く移動させることができる。したがって、レーザビームは、ラッパー材料の表面上を少なくとも50m/min、好ましくは少なくとも100m/minの直線速度で移動させることができる。
【0037】
上記の本発明の方法の実施形態のいずれか1つにおいては、更に、制御及び品質のために、印の縁とエアロゾル生成物品ラッパー材料の縁との間に少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mmのマージンが配置されることも対象とされ得る。このマージンは、ラッパー材料がエアロゾル生成物品部分に巻き付けられるときの重なり領域として機能する。ラッパー材料を所定位置に固定するために、接着剤が重なり領域に適用され得る。
【0038】
本発明の更なる目的はまた、有利には、物品の少なくとも一部分に巻き付けられた前述のラッパー材料を含むエアロゾル生成物品であって、ラッパーのエッチングされた印は、エアロゾル生成物品の外側に面する表面に配置されている、エアロゾル生成物品に関する。そのようにして、ラッパーレベルでエッチングされたデザイン特徴を有するエアロゾル生成物品は、物品を構成する材料に配置された視覚的に識別可能な印を備えることができ、製造者及び消費者の両方にとって最小限のコストで非常に特徴的なデザインが提供される。
【0039】
本発明の更なる利点、目的及び特徴について、添付の図面を参照して以下の説明においてあくまでも例として説明する。図面では、異なる実施形態の類似の構成要素に同じ参照符号が付される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】本発明によるエアロゾル生成物品ラッパーエッチングプロセスの概略図である。
【
図2】
図1の方法により得られるレーザエッチングされた先端ラッパーを含むエアロゾル生成物品の概略図である。
【
図3】3つの異なるデザインのレーザエッチングされた印を有する3つの異なるラッパー材料連続ウェブである。
【
図4】個々のエアロゾル生成物品先端ラッパーシート上のCamel(登録商標)ビーストを表す個々のレーザ-エッチングされた印の写真を示す。
【
図5】束にした集合的なエアロゾル生成物品の先端ラッパーにわたってエッチングされた印の写真を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
疑義を回避するために、本明細書全体を通して、エアロゾル生成物品ラッパー材料1に言及し、これは、ラッパー製造業者で作製されるボビン形式で巻き取られたラッパー材料の連続ウェブ、又は例えばフィルタプラグラッパー若しくは特に先端ラッパーなど、エアロゾル生成物品の一部をその製造中に包むために個々に使用される、そのようなラッパー材料の連続ウェブから切断される個々のラッパー材料シートを意味し、且つこれと区別なく解釈されるものとする。
【0042】
本発明は、主として、以下で説明するようにエッチングされ、好ましくはレーザエッチングされるブランド印などのデザイン特徴を含むエアロゾル生成物品ラッパー材料1の提供に関する。エッチングされるラッパーは、エアロゾル生成物品ラッパー上に単純な単一色の印を提供する従来技術のエンボス加工及び印刷技術に比べていくつかの利点をもたらす。
【0043】
とりわけ、レーザエッチングによる印は高速で、ラッパー材料自体又は最終のエアロゾル生成物品レベルのいずれかの製造プロセスの様々な工程で提供することができ、実施及び印デザインのシフト変更の大きな柔軟性が提供される。
【0044】
更に、レーザエッチングは、添加物を含まないマーキングプロセスであり、ラッパー材料を複数回印刷に通すこと又は複数の変形ローラを必要とすることなく、エアロゾル生成物品に、複数の印デザイン及びこれらの組み合わせをラッパーレベルで作成することを可能にする。
【0045】
図1は、エッチングされるエアロゾル生成物品ラッパー材料1の連続ウェブを製造するための第1のレーザエッチングプロセスの概略図を示す。真新しい即ちエッチングされていないラッパー材料1の連続ウェブは、巻き出しステーションAの第1のリールからレーザエッチングステーションBを通して供給方向Fに供給される。ラッパー材料1は、典型的には、
図1の拡大断面図に示されるように、第1の表面1aから第1の表面と反対の第2の表面1bまで延びる、少なくとも35マイクロメートル、好ましくは少なくとも40マイクロメートルの厚さ(t)を有するセルロース系材料の少なくとも1つの層を含むエアロゾル生成エアロゾル物品先端ラッパー材料であり得る。更に、ラッパー材料1は、少なくとも25N/15mm、好ましくは少なくとも27N/15mmの引張強度を有していなければならない。この厚さt及び引張強度は、試験され、本発明者らによって、後のエアロゾル生成物品製造のための、穿孔もラッパーの機械的抵抗の変化もないラッパー材料1の高品質且つ再現性のあるレーザエッチングのための重要なラッパー品質として確認されたものである。
【0046】
更に好ましくは、ラッパー材料がエアロゾル生成物品の先端ラッパー、即ちマウスピース外側要素として使用される場合、セルロース系材料の少なくとも1つの層は、少なくとも34g/m2、好ましくは少なくとも40g/m2の坪量、及び多くとも15CU(コレスタ単位)の気孔率を有する。しかしながら、フィルタプラグラッパー又はタバコ基材ラッパーなどの典型的なエアロゾル生成物品の他のラッパー材料構成要素として使用するために、他のラッパー材料の坪量及び気孔率が企図されてもよい。
【0047】
ラッパー材料1の連続ウェブは、供給ステーションAから引き出され、エッチング領域Eの前方及び後方にそれぞれ配置された2対のローラ2a、2b及び3a、3bによって、レーザエッチングステーションBを通して、レーザエッチングステーションB内で供給方向Fに沿って供給される。対の両ローラ2a、2b、3a、3bは、ラッパー材料1の2つの表面1a、1bの一方とそれぞれ接触し、ラッパー材料のウェブ1上の均質な摩擦及びレーザエッチングステーションBにわたるその一定の直線速度を確実にするために、同一の角速度ωで回転する。
【0048】
レーザエッチングステーションBは、レーザ源5を更に含み、レーザ源5は、多くとも約20W~100Wの公称出力を有するレーザビーム5aを発生させる。レーザビーム5aは、レーザヘッドからラッパー材料1の第1の表面1a上に、例えばミラー6を介して向けられる。レーザヘッド及びミラー6は、レーザビーム5aからラッパー材料1への過剰なエネルギー伝達及びその切断若しくは穿孔の可能性を回避するために、レーザヘッド又はミラー6のどちらがラッパー材料1の表面1a上にレーザビーム5aを向けるかに応じて、レーザヘッド又はミラー6のいずれかからの距離Dが少なくとも50mmであるように配置されている。
【0049】
レーザ源5及びミラー6は、専用の制御プログラムを実行するコンピュータ(図示せず)などのデジタル制御手段によって制御される。コンピュータは、有利には、また、ROM(読み出し専用メモリ)若しくはRAM(ランダムアクセスメモリ)などのローカル記憶デバイス、又は遠隔地、特に、有線又は無線構成でインターネットを介してアクセス可能なクラウドベースのライブラリのいずれかに格納されたデジタルデザインライブラリに接続される。デジタルデザインライブラリは、有利には、レーザ制御に適合する例えばCADファイル形式又は同等のコンピュータ可読形式で格納されるベクトル線としてデジタル的に定義される複数の個々の印デザインを格納し、これらは、対応する1つ又はいくつかの印を、レーザビーム5aの真下のラッパー材料の表面1a上にエッチングするために、対応する駆動コマンドをレーザ源及びミラーの両方に送信するために、コンピュータの制御プログラムによってロードされる。そのようなレーザ制御技術は、材料レーザ加工の分野で周知であり、本明細書ではこれ以上説明しない。
【0050】
レーザ源5は、10.6マイクロメートルのレーザビーム波長を有するCO2レーザ源、又は1062ナノメートルのビーム波長を有するファイバレーザ源のいずれかであるように選択され得る。両レーザ源は、エッチングプロセスのニーズに良く適合し、ラッパー材料1としてのセルロース系材料を蒸発させるのに特に好適である。
【0051】
ラッパー材料のウェブ1がレーザエッチングステーションB内のエッチング領域Eに入ると、レーザビーム5aは、制御用コンピュータによって駆動されるレーザビーム5aがたどるエッチング経路に沿って前記ラッパー材料を蒸発させることによって、順次エッチングする、即ちラッパーからセルロース系材料を部分的及び恒久的に除去し、前記制御用コンピュータに接続されたメモリに格納された少なくとも1つの印デザインに対応する印ベクトル線に従って専用の印Iを形成する。したがって、エッチングされた印Iが、
図3に表されるように、供給方向Fに沿って、ラッパー材料ウェブ1の長さに沿って規則的な間隔で提供される。当然ながら、エッチングは、必要に応じて、ラッパー材料の連続した長さにわたって連続的に行うこともできる。
【0052】
エッチングは、レーザビーム5aの出力及びラッパー材料の表面1aに対する距離の一定制御並びにローラ2a、2b、3a、3bの対の牽引下でのウェブの一定供給速度によって、セルロース系材料層の厚さ(t)未満の決められた深さ(d)にわたって制御された手法で行われる。本発明者らによって行われた様々な試験によれば、エッチングされる印の深さ(d)は、セルロース系材料層の厚さ(t)の少なくとも10分の1、好ましくは5分の1、及びセルロース系材料層の厚さ(t)の多くとも2/3、好ましくは多くとも半分であり得る。
【0053】
ラッパー材料1の表面1a上にレーザビーム5aを向けるためにミラー6が使用される場合、ミラー6は、少なくとも1つの、好ましくは2つの直交する方向X、Yに沿って、及びこの周りで移動可能である。移動方向X、Yは、両方とも供給方向Fに対して垂直に延びることが好ましく、方向Xは、供給方向Fと共に、ラッパー材料1のウェブの水平面を定義し、方向Yは、垂直方向Vに平行なその供給面に対して垂直に延びる。可動ミラー6によるレーザビーム5aの移動により、より迅速により複雑な印デザインのエッチングを可能にする。より具体的には、そのような可動レーザビーム5aの構成では、レーザビーム5aは、好ましくは、ラッパー材料1の表面上を少なくとも5m/min、好ましくは少なくとも15m/minの直線速度で移動させてもよい。
【0054】
エッチング領域E及び第2の対のローラ3a、3bを通過した後、エッチングされたラッピング材料1のウェブは、最終調整ステーションCにおいて最終リールに巻かれてもよく、又は更に、エアロゾル生成物品メーカアセンブリに直接供給されてもよく、ラッパー材料1は、その後、各個々の切断シートが、その表面にエッチングされた少なくとも1つの印Iを含むように連続ウェブ1からエアロゾル生成ラッパー材料の個々のシートに切断され、
図2に示すようなそのようなエッチングされた印Iを含む1つのエアロゾル生成物品が提供される。
【0055】
図2は、先端ラッパー13の外面にレーザエッチングされた印Iを含むエアロゾル生成物品10の一実施形態の概略図を示す。エアロゾル生成物品10は、最も一般的な業界標準のとおりに円筒状の形状を含む。エアロゾル生成物品10は、フィルタロッド11及びエアロゾル生成材料ロッド12からなり、この両方は、長手方向Ldに沿って、先端ラッパー13により互いに長手方向に取り付けられている。エアロゾル生成材料ロッド12は、典型的なシガレットラッパー14が周方向に巻かれている。フィルタロッド11は、一般に、第1のプラグラッパー15が周方向に巻かれており、その外面に、印Iが消費者に見えるように外面に印Iを有する先端ラッパー13が更に巻かれている。
【0056】
レーザエッチングされた印Iは、ラッパー13のエッチングされた領域を示し、この領域は、
図2又は
図4の対応するエッチングされた先端ラッパー13の写真に示すように、ラッパー13の外面の特定の部分のみであり得る。しかし、先端ラッパー13の外面が複数の各々の刻印領域に1つより多いレーザエッチングされた印Iを含むこと、又は先端ラッパーの外面全体に連続的な印Iがエッチングされることも考えられる。
【0057】
先端ラッパー13は、この例では、ラッパー材料層を完全に通過して(即ち、ラッパーが
図1に示すように平坦であると考えられる場合、第1の表面1aから第2の表面1bまで)延びる追加の通気穿孔16を更に含む。通気穿孔16とエッチングされた印Iは、ラッパー材料1の少なくとも1つの層内で非ゼロの距離gだけ互いにオフセットしている。
【0058】
穿孔16は、典型的には、エアロゾル生成物品の製造中、先端ラッパー材料13がフィルタロッド11とタバコロッド14の周りに巻かれて共に取り付けられた後、レーザ穿孔によって作成される。しかしながら、エッチングと穿孔に要求される出力及び動きは異なるため、1つの同じレーザデバイスで同時に又は引き続き印Iと穿孔16の両方を提供することはできない。そのため、
図1の方法のとおりに連続的なラッパーボビンレベルでのエアロゾル生成物品製造の前に、又は以下で更に説明するような包装プロセス中などの後の段階に、印のエッチングを穿孔と別々に行うことが好ましい。
【0059】
図3は、ラッパー材料の長さに沿って、中央のエッチングされた領域1cに沿って配置された異なるデザインを特徴として備えるレーザエッチングされた印Iを有する
図1の方法から得られる3つの異なるラッパー材料1を示す。ラッパー材料1はまた、エッチングされた領域1cとは対照的に、エッチングされていない側方領域1dを含む。ラッパー材料1は、長手方向Lに沿って延び、ラッパー材料1の一部のみが示されている。
【0060】
図3に示される最も左側のラッパー材料1には、マージン20が示されている。マージン20は、ラッパー材料1の縁24に配置されている。縁24は、長手方向に平行であり、エッチングされた印を全く含まない。前記マージン20は、長手方向Lに対して垂直に測定された幅22を示し、マージン20は、ラッパー材料1の縁24とラッパー材料の長手方向軸線から最も遠い印Iの一部との間で、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも2mmである。
【0061】
マージン20は、好ましくは及び有利には、
図2の先端ラッパー13などのラッパー材料の個々の切断シートの重なり合う接着領域に対応するように設けられる。これらの重ね合わせ領域は、エアロゾル生成物品の製造及び更なる使用中に、エアロゾル生成物品の対応する部分の周りにラッパーがより良好に接触及び接着することを確実にし、それによりラッパーが物品から不要に剥がれるのを防止するために、印を含まないことが好ましい。
【0062】
本発明は、
図1~
図4に示し、上述したように、個々のエアロゾル生成物品のフィルタロッドの周りに配置された先端ラッパーなどの個々のラッパーにエッチングされた印を含むラッパー材料の提供に特に好適であるが、更に、より広いレベルで、特に、
図5に示されるように束BUに配置されたエアロゾル生成物品の群にわたってレーザエッチングされた印の提供にも及ぶことができる。
【0063】
そのような実施形態では、少なくとも1つの印I又は印の一部は、前記物品を切断して製造する前、即ちオフラインではなく、前記ラッパー1がエアロゾル生成物品10の一部分に巻かれ、更に、タバコ業界で周知のように外側の厚紙又は紙製外側パッケージで包装される前に集合体に束ねられた後に、エアロゾル生成物品ラッパー1にエッチングされる。
【0064】
そのような場合のエッチングプロセスは、エアロゾル生成物品10のまとめられた束BUがラッパー材料の連続ウェブ1に取って代わり、レーザビーム5aにさらされて、束内の物品の群全体にまたがる印I又は複数の印Iを形成することを除いて、
図1に関連して説明したものとほとんど同じである。当然ながら、個々のラッパー、例えば、束に含まれる物品のそれぞれ又はいくつかの先端ラッパーは、
図1の方法に従って提供された個々のエッチングされた印を更に含んでもよい。
【0065】
物品BUの群にわたるエッチング印Iの利点は、個々のラッパーと比較してはるかに大きなエッチング領域、及びまた、レーザビーム5aが、加工される束内の物品10の群のラッパー材料の表面上を少なくとも50m/min、好ましくは少なくとも100m/minの直線速度で移動する、はるかに速いレーザ速度操作を提供することである。
【0066】
本発明は、したがって、既存のラッパー装飾技術と比較して競争力のあるコストで、エアロゾル生成物品製造の様々な時点で実施する高い柔軟性、及びデザインの極めて高い柔軟性を有する、前述の様々な方法によって得られるエッチングされた装飾的な印を有する新規なエアロゾル生成物品ラッパーを提供する。
【国際調査報告】