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特表2024-535194光学エンジン、ディスプレイ構造、ディスプレイ・デバイス及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光学エンジン、ディスプレイ構造、ディスプレイ・デバイス及び車両
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20240920BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20240920BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240920BHJP
   H01L 33/58 20100101ALI20240920BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20240920BHJP
   H01L 33/30 20100101ALI20240920BHJP
   H01S 5/02255 20210101ALI20240920BHJP
   G02B 5/18 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B27/01
H01L33/00 L
H01L33/58
H01L33/60
H01L33/30
H01S5/02255
G02B5/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024513134
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 FI2022050623
(87)【国際公開番号】W WO2023047016
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】20215991
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520184365
【氏名又は名称】ディスペリックス オサケ ユキチュア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リッコラ、リク
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
5F142
5F173
5F241
【Fターム(参考)】
2H199CA04
2H199CA12
2H199CA24
2H199CA27
2H199CA29
2H199CA30
2H199CA32
2H199CA45
2H199CA49
2H199CA54
2H199CA66
2H199CA67
2H199CA68
2H199CA69
2H199DA02
2H199DA13
2H199DA17
2H199DA18
2H249AA03
2H249AA07
2H249AA13
2H249AA25
2H249AA60
2H249AA62
5F142DB34
5F142DB38
5F142DB42
5F142GA02
5F142HA01
5F173MA10
5F173MF13
5F173MF24
5F173MF28
5F241CA14
5F241CA34
5F241FF06
(57)【要約】
この開示は、光学エンジン1000、ディスプレイ構造4000、5000、7200、ディスプレイ・デバイス7000、8100及び車両8000に関する。光学エンジン1000は、第1のピーク波長を有する第1の光1111を放出するように構成される第1の光源1110と、第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有する第2の光1122を放出するように構成されるスーパールミネッセント光源1120と、を備える照明装置1100を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ・デバイスのための光学エンジン(1000)であって、前記光学エンジン(1000)は、照明装置(1100)を備え、前記照明装置(1100)は、
-第1のピーク波長
【数1】

を有する第1の光(1111)を放出するように構成された第1の光源(1110)と、
-前記第1のピーク波長
【数3】

と異なる第2のピーク波長
【数2】

を有する第2の光(1122)を放出するように構成されたスーパールミネッセント光源(1120)と、を備え、
前記第1の光源(1110)は、レーザー光源として、又は、発光ダイオード源として実施され、前記スーパールミネッセント光源(1120)は、スーパールミネッセント・ダイオード(1123)を備える、
光学エンジン(1000)。
【請求項2】
前記第2のピーク波長
【数4】

は、前記第1のピーク波長
【数5】

より高い、
請求項1に記載の光学エンジン(1000)。
【請求項3】
前記第2の光(1122)は、2nm以上又は3nm以上又は4nm以上又は5nm以上及び/又は50nm以下又は40nm以下又は30nm以下又は20nm以下又は10nm以下の半値全幅FWHM線幅
【数6】

を有する第2の光スペクトル(2002)を有する、
請求項1又は2に記載の光学エンジン(1000)。
【請求項4】
前記第2のピーク波長
【数7】

は、600nmから750nmまで又は610nmから700nmまで又は620nmから650nmまで又は625nmから640nmまで延在する赤色波長範囲(2030)内にある、
請求項1から3までのいずれかに記載の光学エンジン(1000)。
【請求項5】
前記スーパールミネッセント・ダイオード(3000)は、アルミニウム・ガリウム・リン化インジウムAlGaInPを備える活性層(3020)を備える、
請求項1から4までのいずれかに記載の光学エンジン(1000)。
【請求項6】
前記照明装置(1100)は、前記第1のピーク波長
【数9】

及び前記第2のピーク波長
【数10】

の各々と異なる第3のピーク波長
【数8】

を有する第3の光(1133)を放出するように構成されるさらなる光源(1130)を備える、
請求項1から5までのいずれかに記載の光学エンジン(1000)。
【請求項7】
前記さらなる光源(1130)は、さらなるレーザー光源として、又は、さらなるスーパールミネッセント光源として実施される、
請求項6に記載の光学エンジン(1000)。
【請求項8】
前記第2のピーク波長
【数11】

は、前記第3のピーク波長
【数12】

より高い、
請求項6又は7に記載の光学エンジン(1000)。
【請求項9】
前記光学エンジン(1000)は、前記照明装置(1100)によって生成される光を偏向させるための光スキャナ装置(1300)をさらに備える、
請求項1から8までのいずれかに記載の光学エンジン(1000)。
【請求項10】
前記光スキャナ装置(1300)は、マイクロミラー・スキャナ(1310)を備える、
請求項1から9までのいずれかに記載の光学エンジン(1000)。
【請求項11】
ディスプレイ構造(4000)であって、前記ディスプレイ構造(4000)は、
-導波路(4100)と、
-インカップリング構造(4210)と、
-全反射による前記導波路(4100)内の伝搬のために、前記インカップリング構造(4210)を介して、光(4301)を前記導波路(4100)内に導くように構成される、請求項1から10までのいずれかに記載の光学エンジン(4300)と、
を備えるディスプレイ構造(4000)。
【請求項12】
前記インカップリング構造(4210)は、回折インカップリング構造として実施される、
請求項11に記載のディスプレイ構造(4000)。
【請求項13】
前記導波路(4100)は、0.25mm以上又は0.27mm以上又は0.3mm以上及び/又は5mm以下又は2mm以下又は1mm以下の厚さTを有する、
請求項11又は12に記載のディスプレイ構造(4000)。
【請求項14】
請求項11から13までのいずれかに記載のディスプレイ構造(7200)を備えるディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項15】
ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイスのようなシースルー・ディスプレイ・デバイスとして実施される、
請求項14に記載のディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項16】
ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイスとして実施される、
請求項14又は15に記載のディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項17】
請求項14から16までのいずれかに記載のディスプレイ・デバイス(8100)を備える車両(8000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、ディスプレイ・デバイスに関する。特に、この開示は、多色光学エンジン、この種の光学エンジンを備える導波路ベースのディスプレイ構造、この種のディスプレイ構造を備えるディスプレイ・デバイス及びこの種のディスプレイ・デバイスを備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
現代のディスプレイ・デバイスでは、レーザー光源は、この種の源によって達成可能なそれらのより高いイメージ鮮鋭度及びより低いエネルギー消費並びにより小さいフォーム・ファクタのために通常用いられている。後者の2つの利益、すなわち、より低いエネルギー消費及びより小さいフォーム・ファクタは、ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイスのようなポータブル・ディスプレイ・デバイスにとって特に有益である。
【0003】
ポータブル・ディスプレイ・デバイスのサイズ及び質量は、この種のディスプレイ・デバイスの光学エンジンからユーザの片目又は両目の方に光を導くための導波路ベースの構造の利用によって、さらに減少しうる。追加的に、この種の導波路ベースの構造を利用するとき、ディスプレイ・デバイスのサイズ及び質量のさらに他の減少は、光を導波路内にカップリングするための回折インカップリング構造を用いることにより達成可能となりうる。
【0004】
典型的な光学エンジンによって生成されるイメージは、比較的小さいので、射出瞳拡大方法は、従来のポータブル導波路ベースのディスプレイ・デバイスにおいて出力イメージのサイズを増加させるために通常用いられる。
【0005】
しかしながら、回折インカップリング構造の色分散及び典型的なレーザー光源によって放出される光ビームの狭さに起因して、イメージ品質を極端に妨げることなく、回折インカップリング構造を介して、従来のレーザー・ベースの多色光学エンジンによって放出されるすべての光を導波路内にカップリングすることは困難となりうる。
【0006】
これを考慮して、ディスプレイ・デバイスに関連した新規な解決法を開発することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、以下、詳細な説明においてさらに詳述される概念の選択を簡略化された形で導入するために提供される。この概要は、請求された主題の鍵となる特徴又は必須の特徴を特定することを意図するものではなく、請求された主題の範囲を制限するために用いられることも意図するものではない。
【0008】
第1の態様によれば、ディスプレイ・デバイスのための光学エンジンが提供される。光学エンジンは、第1のピーク波長を有する第1の光を放出するように構成される第1の光源と、第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有する第2の光を放出するように構成されるスーパールミネッセント光源と、を備える照明装置を備える。
【0009】
第2の態様によれば、ディスプレイ構造が提供される。ディスプレイ構造は、導波路と、インカップリング構造と、全反射による導波路内の伝搬のために、インカップリング構造を介して、光を導波路内に導くように構成される第1の態様に従う光学エンジンを備える。
【0010】
第3の態様によれば、第3の態様に従うディスプレイ構造を備えるディスプレイ・デバイスが提供される。
【0011】
第4の態様によれば、第3の態様に従うディスプレイ・デバイスを備える車両が提供される。
【0012】
本開示は、添付の図面を考慮して以下の詳細な説明を読むことでより良く理解される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】光学エンジンを示す。
図2】照明装置の正規化された発光スペクトルを示す。
図3】スーパールミネッセント・ダイオードの断面図を示す。
図4】ディスプレイ構造を示す。
図5】他のディスプレイ構造を示す。
図6】導波路を示す。
図7】ディスプレイ・デバイスを示す。
図8】車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
明示的に反対のことが述べられない限り、上述した図面のいかなる図面も縮尺通りには描画されていない可能性があるので、前記図面の実施例の特定の構造的態様を強調するために、前記図面内のいかなる要素も前記図面内の他の要素に対して不正確な比率で描画されている可能性がある。
【0015】
さらに、上述した図面のいかなる2つの図面の実施例における対応要素も、前記2つの図面の実施例の特定の構造的態様を強調するために、前記2つの図面内で互いに対して不釣り合いの可能性がある。
【0016】
この詳細な説明において述べられる光学エンジン、ディスプレイ構造及びディスプレイ・デバイスに関して、以下に留意されたい。
【0017】
この明細書において、「ディスプレイ・デバイス」は、イメージ及び/又はデータの視覚的表現のために動作可能な出力デバイス、例えば、電子デバイスを意味してもよい。ディスプレイ・デバイスは、概して、少なくとも1つの光学エンジンを備えてもよい。ディスプレイ・デバイスは、オプションで、イメージ及び/又はデータの視覚的表現に必要又は有益な任意の1つ以上の部分又は要素、例えば、パワー・ユニット、コンバイナ光学ユニット、例えば、導波路ベースのコンバイナ光学ユニット、アイ・トラッキング・ユニット、ヘッド・トラッキング・ユニット、ジェスチャ感知ユニット及び/又は深さマッピング・ユニットをさらに備えてもよい。ディスプレイ・デバイスは、ポータブル・ディスプレイ・デバイス、例えば、ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイス及び/又はシースルー・ディスプレイ・デバイス、例えば、ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイスでもよいし、これらでなくてもよい。
【0018】
本願明細書において、「ユニット」は、少なくとも1つの特定のプロセスを実行するのに適切な、又は、実行するように構成される要素を意味してもよい。ユニットは、概して、1つ又は複数の部分を備えてもよく、1つ又は複数の部分の各々は、前記ユニットの装置に属していると分類されてもよい。プロセスを実行するように構成されるユニットの「装置」は、前記プロセスの少なくとも1つの特定のサブプロセスを実行するのに適切な、又は、実行するように構成される前記ユニットの1つ又は複数の部分のセットを意味してもよい。このように、「装置を備えるユニット」は、前記装置に属している1つ又は複数の部分を備える前記ユニットを意味してもよい。概して、装置は、その特定のサブプロセスを実行するために必要及び/又は有益な1つ又は複数の任意の要素、例えば、機械、電気及び/又は光学素子を備えてもよい。
【0019】
さらに、「光学エンジン」又は「ディスプレイ・エンジン」は、ディスプレイ・デバイスのユーザのためのビジュアル・コンテンツを生成するのに適切な、又は、生成するように構成されるディスプレイ・デバイスのためのユニット、又は、ディスプレイ・デバイスのユニットを意味してもよい。追加的に又は代替的に、「光学エンジン」は、例えば、角スペクトルにおける、インカップリング構造に伝えられるイメージを形成するのに適切な、又は、形成するように構成されるディスプレイ・デバイスのためのユニット、又は、ディスプレイ・デバイスのユニットを意味してもよい。光学エンジンは、少なくとも1つの光源を備え、オプションで、前記少なくとも1つの光源を制御するために必要又は有益な1つ以上の部分又は要素を備える照明装置を備えてもよい。光学エンジンは、オプションで、ビジュアル・コンテンツの生成のために必要又は有益な任意の1つ以上の部分又は要素、例えば、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU:graphics processing unit)、光コンバイナ装置、ライト・ステアリング・オプティクス、例えば、光スキャナ装置及び/又は光リレー装置をさらに備えてもよい。
【0020】
この開示の全体にわたって、「ディスプレイ構造」は、ディスプレイ・デバイスの少なくとも部分を意味してもよい。このように、ディスプレイ構造は、動作可能なディスプレイ・デバイスを形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0021】
図1は、一実施例に従った光学エンジン1000を概略的に示す。光学エンジン1000は、照明装置1100を備え、照明装置1100は、第1のピーク波長
【数1】

を有する第1の光1111を放出するように構成される第1の光源1110と、
【数3】

と異なる第2のピーク波長
【数2】

を有する第2の光1122を放出するように構成されるスーパールミネッセント光源1120と、を備える。概して、スーパールミネッセント光源を備える導波路ベースのディスプレイ・デバイスのための光学エンジンの照明装置は、導波路からカップリングアウトされるイメージ内の光学干渉によって生じる空間的強度変化を減少させるのを容易にしうる。追加的に又は代替的に、第1のピーク波長を有する第1の光を放出するように構成される第1の光源と、第1のピーク波長と異なる第2のピーク波長を有する第2の光を放出するように構成されるスーパールミネッセント光源と、を備える光学エンジンの照明装置は、ディスプレイ・デバイスのイメージ品質を極端に妨げることなく、回折インカップリング構造を介して、光学エンジンによって放出される光をディスプレイ・デバイスの導波路内にカップリングするのを容易にしうる。
【0022】
この開示において、「導波路」は、光導波路を意味してもよい。追加的に又は代替的に、導波路は、2次元導波路を意味してもよく、光は、前記導波路の厚さ方向に沿って制限されてもよい。
【0023】
この明細書の全体にわたって、「インカップリング構造」は、全反射による導波路内の伝搬のために、光を導波路内にカップリングするのに適切な、又は、カップリングするように構成される構造を意味してもよい。概して、インカップリング構造は、例えば、1つ又は複数の回折光学素子、例えば、回折格子、1つ又は複数の反射光学素子、例えば、ミラー、及び/又は、1つ又は複数の屈折光学素子、例えば、プリズムを備えてもよい。
【0024】
本願明細書において、「回折光学素子」は、動作が光の回折に基づく光学素子を意味してもよい。概して、回折光学素子は、可視光の波長のオーダの少なくとも1つの寸法、例えば、1マイクロメートル未満の少なくとも1つの寸法を有する構造的特徴を備えてもよい。回折光学素子の典型的な実例は、回折格子、例えば、1次元及び2次元の回折格子を備え、単一領域の回折格子として、又は、多重領域の回折格子として実施されてもよい。回折格子は、概して、少なくとも表面レリーフ回折格子又は体積ホログラフィック回折格子として実施されてもよく、それらは、透過及び/又は反射タイプの回折格子として機能するように構成されてもよい。
【0025】
したがって、「回折インカップリング構造」は、回折光学素子を備えるインカップリング構造を意味してもよい。
【0026】
図1の実施例では、第1の光源1110は、レーザー光源として実施される。他の実施例では、第1の光源は、任意の適切な方法で、例えば、レーザー光源、スーパールミネッセント光源又は発光ダイオード源として実施されてもよい。
【0027】
図1において点線を用いて示されるように、スーパールミネッセント光源1120は、スーパールミネッセント・ダイオード1123を備えてもよい。概して、スーパールミネッセント・ダイオードを備えるスーパールミネッセント光源は、光学エンジンの照明装置を減少したフォーム・ファクタで形成するのを容易にしうる。他の実施例では、スーパールミネッセント光源は、スーパールミネッセンス又は増幅自然放出を達成するための1つ又は複数の任意の適切なタイプの1つ又は複数の構成要素、例えば、1つ以上のスーパールミネッセント・ダイオード及び/又は1つ以上のダイ・ベースの発光デバイスを備えてもよい。
【0028】
図1において点線を用いてさらに示されるように、照明装置1100は、
【数5】

及び
【数6】

の各々と異なる第3のピーク波長
【数4】

を有する第3の光1133を放出するように構成されるさらなる光源1130を備えてもよい。概して、この種のさらなる光源を備える光学エンジンの照明装置は、3色を有する加法混色のための、例えば、RGBイメージ形成のための前記光学エンジンを用いることを可能にしうる。他の実施例では、照明装置は、第1の光源及びスーパールミネッセント光源に加えて、1つ又は複数のさらなる光源を備えてもよいし、備えなくてもよい。この種の他の実施例では、前記1つ又は複数のさらなる光源の少なくとも1つ、例えば、各々は、第1のピーク波長及び/又は第2のピーク波長と異なる1つ又は複数のピーク波長で光を放出するように構成されてもよいし、構成されなくてもよい。いくつかの実施例では、複数の光源は、単一、すなわち、同一波長の光を放出するように構成されてもよい。
【0029】
図1の実施例では、さらなる光源1130は、さらなるレーザー光源として実施されてもよい。概して、さらなる光源がさらなるレーザー光源として又はさらなるスーパールミネッセント光源として実施されることは、3色を有する加法混色に適した光学エンジンのフォーム・ファクタ及び/又はエネルギー消費を減少するのを容易にしうる。他の実施例では、照明装置は、第1のピーク波長及び第2のピーク波長の各々と異なる第3のピーク波長を有する第3の光を放出するように構成されるさらなる光源を備え、さらなる光源は、任意の適切な方法で、例えば、さらなるレーザー光源として、又は、さらなるスーパールミネッセント光源として実施されてもよい。
【0030】
図1の実施例では、光学エンジン1000は、第1の光源1110によって放出される少なくとも第1の光1111と、スーパールミネッセント光源1120によって放出される第2の光1122と、を結合し、結合光1201を形成するための光コンバイナ装置1200を備える。他の実施例では、光学エンジンは、この種の光コンバイナ装置を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0031】
照明装置1100がさらなる光源1130も備える場合、光コンバイナ装置1200は、第1の光源1110によって放出される第1の光1111と、スーパールミネッセント光源1120によって放出される第2の光1122と、さらなる光源1130によって放出される第3の光1133と、を結合し、結合光1201を形成するように構成されてもよい。他の実施例では、照明装置は、少なくとも1つのさらなる光源及び光コンバイナ装置を備え、光コンバイナ装置は、照明装置の個々の光源の一部又は全部によって放出される光を結合するのに適切であるか、又は、結合するように構成されてもよい。
【0032】
図1の実施例の光学エンジン1000は、照明装置1100によって生成される光を偏向させるための光スキャナ装置1300をさらに備える。光学エンジン1000は、光コンバイナ装置1200によって形成される結合光1201を受信するように構成される。概して、この種の光スキャナ装置を備えるディスプレイ・デバイスの光学エンジンは、ディスプレイ・デバイスのフォーム・ファクタを減少することを可能にしうる。他の実施例では、光学エンジンは、任意の適切な方法で実施されてもよい。このように、光学エンジンは、照明装置によって生成される光を偏向させるための光スキャナ装置を備えてもよいし、備えなくてもよい。いくつかの実施例では、光学エンジンは、非走査マイクロミラー・デバイス、例えば、マイクロミラー・アクチュエータのアレイを備えるマイクロミラー・デバイス及び/又は液晶オン・シリコン(LCoS:Liquid Crystal on Silicon)デバイスを、光スキャナ装置に加えて又は光スキャナ装置の代わりに備えてもよい。
【0033】
図1の実施例の光スキャナ装置1300は、マイクロミラー・スキャナ1310を備える。概して、マイクロミラー・スキャナは、減少した質量及び/又は電力消費を提供してもよい。追加的に又は代替的に、マイクロミラー・スキャナは、保守の必要を減少し、及び/又は、厳しい動作条件で信頼性を増加することができる。他の実施例では、光学エンジンは、照明装置によって生成される光を偏向させるための光スキャナ装置を備え、光スキャナ装置は、1つ又は複数の任意の適切なタイプの1つ又は複数の構成要素、例えば、1つ以上のマイクロミラー・スキャナ、1つ以上のファイバ・スキャナ、1つ以上の一体化した電気光学スキャナ、1つ以上の音響光学変調器、1つ以上のフェーズド・アレイ・ビーム・ステアラ及び/又は1つ以上の表面音響波(SAW:surface acoustic wave)スキャナを備えてもよい。
【0034】
本願明細書において、「マイクロミラー・スキャナ」又は「マイクロスキャナ」又は「走査マイクロミラー」は、光の変調のためのマイクロミラー・ベースのアクチュエータを意味してもよい。追加的に又は代替的に、マイクロミラー・スキャナは、照明装置によって生成される光を偏向させるマイクロ光電気機械システム(MOEMS:microoptoelectromechanical system)を意味してもよい。概して、マイクロミラー・スキャナは、デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD:digital micromirror device)を備えてもよいし、備えなくてもよい。マイクロミラー・スキャナにおいて、光の変調は、ミラー、例えば、マイクロミラーの、1つ又は複数の軸上の並進及び/又は回転運動によって生じてもよい。
【0035】
図1の実施例では、マイクロミラー・スキャナ1310は、第1の偏向ミラー1311及び第2の偏向ミラー1312を備える。第1の偏向ミラー1311及び第2の偏向ミラー1312の各々は、1次元方向に走査するマイクロミラーである。したがって、図1の実施例のマイクロミラー・スキャナ1310は、二重の1次元のマイクロミラー・スキャナとして実施される。他の実施例では、光スキャナ装置は、マイクロミラー・スキャナを備え、マイクロミラー・スキャナは、任意の適切な方法で、例えば、1次元のマイクロミラー・スキャナ、二重の1次元のマイクロミラー・スキャナ又は2次元のマイクロミラー・スキャナとして実施されてもよい。
【0036】
図1の実施例の光学エンジン1000は、非瞳イメージングのために構成されてもよい。他の実施例では、光学エンジンは、非瞳イメージングのために構成されてもよいし、構成されなくてもよい。例えば、いくつかの実施例では、光学エンジンは、光学エンジンの中間イメージ及び出力瞳を形成するように構成される光リレー装置を備える瞳イメージングのために構成されてもよい。
【0037】
図2は、一実施例に従った光学エンジンの照明装置の正規化された発光スペクトル2000を示す。図2の実施例の光学エンジン又はその任意の1つ若しくは複数の部分は、図1を参照して、又は、図1に関連して開示される実施例のいずれかに従ってもよい。
【0038】
図2の実施例の発光スペクトル2000は、例えば、レーザー光源として実施されてもよい第1の光源によって放出される第1の光の第1の光スペクトル2001と、スーパールミネッセント光源によって放出される第2の光スペクトル2002と、を備える。第1の光は、第1のピーク波長
【数7】

を有し、第2の光は、
【数9】

と異なる第2のピーク波長
【数8】

を有する。
【0039】
図2の実施例では、
【数10】

は、
【数11】

より高い。典型的には、ディスプレイ構造の導波路の回折インカップリング構造は、光をその1次の回折次数にカップリングするように構成される。この種の条件では、より長い波長の光は、より長いバウンス期間を有する導波路において伝搬する。概して、
【数12】


【数13】

より高いことは、特にこの種のより長い波長において、ディスプレイ・デバイスのイメージ品質を極端に妨げることなく、回折インカップリング構造を介して、光学エンジンによって放出される光をディスプレイ・デバイスの導波路内にカップリングするのを容易にしうる。他の実施例では、第2のピーク波長は、第1のピーク波長より高くてもよいし、高くなくてもよい。いくつかの実施例では、第2のピーク波長は、第1のピーク波長より低くてもよい。
【0040】
図2の実施例では、第1の光スペクトル2001は、半値全幅(FWHM:full-width-half-maximum)線幅
【数14】

を有し、第2の光スペクトル2002は、
【数16】

より大きいFWHM線幅
【数15】

を有する。他の実施例では、第2の光スペクトルのFWHM線幅は、第1の光スペクトルのFWHM線幅より大きくてもよいし、大きくなくてもよい。
【0041】
図2の実施例では、
【数17】

は、2ナノメートル(nm)未満である。他の実施例では、第1の光スペクトルは、任意の適切な線幅、例えば、2nm未満、4nm未満又は5nm未満の線幅を有してもよい。
【0042】
図2の実施例では、
【数18】

は、2nmより大きい。概して、第2の光の第2の光スペクトルのより高い線幅は、導波路のアウトカップリング構造で、サブ瞳の密度を増加させてもよく、ひいては、イメージ品質を極端に妨げることなく、回折インカップリング構造を介して、光学エンジンによって放出される光を導波路内にカップリングするのを容易にしうる。追加的に又は代替的に、第2の光の第2の光スペクトルのより高い線幅は、導波路からアウトカップリングされるイメージ内の光学干渉によって生じる空間的強度変化を減少させるのを容易にしうる。
【0043】
図2の実施例では、
【数19】

は、10nm未満である。概して、第2の光の第2の光スペクトルのより低い線幅は、分散関連のイメージ欠陥を減少しうる。他の実施例では、第2の光の第2の光スペクトルは、任意の適切な線幅、例えば、2nm以上又は3nm以上又は4nm以上又は5nm以上の線幅、及び/又は、50nm以下又は40nm以下又は30nm以下又は20nm以下又は10nm以下の線幅を有してもよい。
【0044】
図2の実施例では、照明装置は、
【数21】

及び
【数22】

の各々と異なる第3のピーク波長
【数20】

を有する第3の光を放出するように構成されるさらなる光源を備えてもよい。したがって、図2において、点線を用いて示すように、発光スペクトル2000は、この種の第3の光の第3の光スペクトル2003を備えてもよい。
【0045】
図2の実施例では、
【数23】

は、
【数24】

及び
【数25】

の各々より低くてもよい。他の実施例では、さらなる光源によって放出される第3の光の第3のピーク波長は、第1の光源によって放出される第1の光及び/又はスーパールミネッセント光源によって放出される第2の光より低くてもよいし、低くなくてもよい。
【0046】
図2の実施例の
【数26】


【数27】

及び
【数28】

は、それぞれ、緑色波長範囲2020、赤色波長範囲2030及び青色波長範囲2010内にある。他の実施例では、第1のピーク波長、第2のピーク波長及び第3のピーク波長のいずれかは、青色波長範囲、緑色波長範囲及び赤色波長範囲のいずれか内でもよいし、いずれか内でなくてもよい。例えば、第2のピーク波長は、青色波長範囲、緑色波長範囲又は赤色波長範囲内にあってもよいし、内になくてもよい。
【0047】
この明細書の全体にわたって、「青色波長範囲」は、440nmから490nmまで又は450nmから485nmまで延在する波長範囲を意味してもよい。
【0048】
この明細書において、「緑色波長範囲」は、495nmから575nmまで又は500nmから565nmまで延在する波長範囲を意味してもよい。
【0049】
さらに、「赤色波長範囲」は、600nmから750nmまで又は610nmから700nmまで又は620nmから650nmまで又は625nmから640nmまで延在する波長範囲を意味してもよい。
【0050】
図2の実施例では、第3の光スペクトル2003は、2nm未満のFWHM線幅
【数29】

を有してもよい。他の実施例では、第3の光スペクトルは、任意の適切な線幅、例えば、2nm未満又は4nm未満又は5nm未満の線幅を有してもよい。
【0051】
いくつかの実施例では、さらなる光源は、さらなるスーパールミネッセント光源として実施されてもよい。この種の実施例では、さらなる光源によって放出される第3の光の第3の光スペクトルは、例えば、2nm以上又は3nm以上又は4nm以上又は5nm以上の線幅、及び/又は、50nm以下又は40nm以下又は30nm以下又は20nm以下又は10nm以下の線幅を有してもよい。
【0052】
図3は、一実施例に従った光学エンジンの照明装置のスーパールミネッセント光源又はさらなるスーパールミネッセント光源のスーパールミネッセント・ダイオード3000の断面図を概略的に示す。図3の実施例の光学エンジン又はその任意の1つ若しくは複数の部分は、図1及び図2のいずれかを参照して、又は、図1及び図2に関連して開示される実施例のいずれかに従ってもよい。
【0053】
図3の実施例では、スーパールミネッセント・ダイオード3000は、基板3030、基板3030上に配置される第1のクラッド層3011、第1のクラッド層3011上の活性層3020及び活性層3020上の第2のクラッド層3012を備える。活性層3020は、第1のクラッド層3011と第2のクラッド層3012との間に配置される。
【0054】
図3の実施例のスーパールミネッセント・ダイオード3000は、動作の間、第1のクラッド層3011と活性層3020と第1のクラッド層3011とに動作電圧を適用するための、基板3030に接続されている第1の電極3001及び第2のクラッド層3012に接続されている第2の電極3002をさらに備える。他の実施例では、スーパールミネッセント光源は、スーパールミネッセント・ダイオードを備え、スーパールミネッセント・ダイオードは、任意の適切なタイプの構造を有してもよい。
【0055】
図3の実施例では、活性層3020は、第1の端面3021及び第2の端面3022を備え、スーパールミネッセント・ダイオード3000は、レーザー発振が禁止されるように活性層3020内の光学フィードバックを制限するために、第1の端面3021上の第1の反射防止コーティング3041及び第2の端面3022上の第2の反射防止コーティング3042を備える。他の実施例では、スーパールミネッセント・ダイオードは、任意の適切な手段によってそのレーザー発振閾値未満で動作するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施例では、スーパールミネッセント・ダイオードの活性層は、傾斜した反射防止コーティングの端面を備えてもよい。
【0056】
図3の実施例では、活性層3020は、アルミニウム・ガリウム・リン化インジウムAlGaInPを備える。概して、AlGaInPを備えるスーパールミネッセント・ダイオードの活性層は、減少したエネルギー消費を有する赤色波長範囲の、特により短い波長での放出を可能にしうる。他の実施例では、スーパールミネッセント・ダイオードの活性層は、AlGaInPを備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0057】
特に、図3の実施例の活性層3020は、AlGaInP多重量子井戸活性層として実施されてもよい。この種の場合、スーパールミネッセント・ダイオード3000によって放出される光のピーク波長は、活性層3020の量子井戸厚を調整することによって調節可能でもよい。他の実施例では、活性層は、多重量子井戸活性層として、例えば、AlGaInP多重量子井戸活性層として実施されてもよいし、実施されなくてもよい。
【0058】
上述した第1の態様の実施例を互いと組み合わせて用いてもよいことを理解されたい。実施例のいくつかをともに組み合わせて、さらなる実施例を形成してもよい。
【0059】
主に光学エンジンに関連した態様が上述される。以下では、ディスプレイ構造及びディスプレイ・デバイスに関連した態様がより強調される。光学エンジン態様に関連した実施の方法、定義、詳細及び利点について上述されたことは、必要な変更を加えて、後述する態様にあてはまる。同じことは、逆もまたあてはまる。
【0060】
図4は、一実施例に従ったディスプレイ構造4000を示す。図4の実施例は、図1から図3のいずれかを参照して、又は、図1から図3に関連して開示される実施例のいずれかに従ってもよい。
【0061】
追加的に又は代替的に、図4に明確には示されないが、図4の実施例又はその任意の部分は、概して、図4から省略される図1から図3の実施例のいずれかの任意の特徴及び/又は要素を備えてもよい。
【0062】
図4の実施例では、ディスプレイ構造4000は、導波路4100及びインカップリング構造4210を備える。図4の実施例のディスプレイ構造4000は、この明細書の第1の態様に従った、光学エンジン4300をさらに備える。光学エンジン4300は、全反射による導波路4100内の伝搬のために、インカップリング構造4210を介して、光4301を導波路4100内に導くように構成される。
【0063】
図4の実施例では、ディスプレイ構造4000は、少なくとも第1の複製方向4101に沿って、瞳複製によって射出瞳拡大を実行するように構成される。他の実施例では、ディスプレイ構造は、この種の方法で構成されてもよいし、構成されなくてもよい。
【0064】
本願明細書において、「射出瞳拡大」は、光のアウトカップリングが発生する前記導波路の部分を拡大するように、制御された方法で導波路内に光を分散させるプロセスを意味してもよい。
【0065】
さらに、「瞳複製」は、射出瞳拡大プロセスを意味してもよく、複数の射出サブ瞳は、イメージング・システム内で形成される。射出瞳拡大のために瞳複製に依存する導波路ベースの多色イメージング・システムでは、個々の射出サブ瞳は、好ましくは、光のアウトカップリングが発生する前記導波路の部分で、光のすべての角度及びすべての色のための重複する方法で配置されるということが発見された。射出サブ瞳のこの種の装置は、典型的には暗フリンジと認められる、アウトカップリングされるイメージ内の空間的強度変化の形成を回避することを可能にしうる。
【0066】
この明細書の全体にわたって、「第1の複製方向」は、導波路が瞳複製を実行するように構成される方向を意味してもよい。さらに、「少なくとも第1の複製方向に沿った瞳複製」を実行するように構成される導波路は、1次元の瞳複製、例えば、水平若しくは垂直の瞳複製、又は、2次元の瞳複製、例えば、水平若しくは垂直の瞳複製を、実行するように構成される前記導波路を意味してもよい。
【0067】
図4の実施例のインカップリング構造4210は、回折インカップリング構造として実施される。このように、インカップリング構造4210は、インカップリング格子4211を備える。他の実施例では、インカップリング構造は、任意の適切な方法で、例えば、回折インカップリング構造として実施されてもよい。
【0068】
図4の実施例の光学エンジン4300は、第1の光源4310及びスーパールミネッセント光源4320を備える。追加的に、図4には示されないが、光学エンジン4300は、第1の光源4310及びスーパールミネッセント光源4320に加えて、1つ又は複数のさらなる光源をさらに備えてもよい。この種の1つ又は複数のさらなる光源は、任意の適切な方法で、例えば、1つ若しくは複数のレーザー光源及び/又は1つ若しくは複数のさらなるスーパールミネッセント光源及び/又は1つ若しくは複数の発光ダイオード源として実施されてもよい。
【0069】
図4の実施例では、ディスプレイ構造4000は、インカップリング構造4210から光4301を受信するように構成される中間瞳拡大構造4220と、中間瞳拡大構造4220から光4301を受信するように構成されるアウトカップリング構造4230と、を備える。他の実施例では、ディスプレイ構造は、この種の中間瞳拡大構造及びこの種のアウトカップリング構造を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0070】
この開示において、「アウトカップリング構造」は、導波路から光をアウトカップリングするように構成される構造を意味してもよい。概して、アウトカップリング構造は、例えば、1つ若しくは複数の回折光学素子、例えば、回折格子、1つ若しくは複数の反射光学素子、例えば、ミラー、及び/又は、1つ若しくは複数の屈折光学素子、例えば、プリズムを備えてもよい。
【0071】
図4の実施例のディスプレイ構造4000は、中間瞳拡大構造4220を用いて第1の複製方向4101に沿った瞳複製、及び、アウトカップリング構造4230を用いて第1の複製方向4101に垂直な第2の複製方向4102に沿った瞳複製によって射出瞳拡大を実行するように構成される。他の実施例では、ディスプレイ構造は、この種の方法で構成されてもよいし、構成されなくてもよい。
【0072】
図4の実施例では、インカップリング構造4210、中間瞳拡大構造4220及びアウトカップリング構造4230の各々は、1つ又は複数の1次元回折格子を備えてもよい。他の実施例では、インカップリング構造、中間瞳拡大構造及びアウトカップリング構造の一部又は全部は、1つ又は複数の1次元回折格子を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0073】
図4の実施例の導波路4100は、約0.3ミリメートル(mm)の厚さ(T)を有してもよい。概して、導波路のより小さい厚さは、導波路のアウトカップリング構造でのサブ瞳の密度を増加させてもよく、ひいては、アウトカップリングされるイメージ内の空間的強度変化の形成を回避するのを容易にしうるし、一方、導波路のより大きい厚さは、導波路ベースのディスプレイ・デバイスの製作を容易にしうる。他の実施例では、導波路は、任意の適切な厚さ、例えば、0.25mm以上又は0.27mm以上又は0.3mm以上及び/又は5mm以下又は2mm以下又は1mm以下の厚さを有してもよい。
【0074】
図5は、一実施例に従ったディスプレイ構造5000を示す。図5の実施例は、図1から図4のいずれかを参照して、又は、図1から図4に関連して開示される実施例のいずれかに従ってもよい。追加的に又は代替的に、図5に明確には示されないが、図5の実施例又はその任意の部分は、概して、図5から省略される図1から図4の実施例のいずれかの任意の特徴及び/又は要素を備えてもよい。
【0075】
特に、図4の実施例のディスプレイ構造4000と同様に、図5の実施例のディスプレイ構造5000もまた、導波路5100並びに第1の光源5310及びスーパールミネッセント光源5320を備える光学エンジン5300を備える。追加的に、導波路5100は、光学エンジン5300から生じる光5301を導波路5100内にカップリングするように構成される回折インカップリング構造5210を備える。
【0076】
しかしながら、図4の実施例とは異なり、図5の実施例の導波路5100は、インカップリング構造5210から光5301を直接受信するように構成されるアウトカップリング構造5230を備える。
【0077】
図5の実施例のディスプレイ構造5000は、アウトカップリング構造5230を用いて第1の複製方向5101及び第2の複製方向5102に沿った瞳複製によって射出瞳拡大を実行するように構成される。他の実施例では、ディスプレイ構造は、この種の方法で構成されてもよいし、構成されなくてもよい。
【0078】
図5の実施例では、インカップリング構造5210及びアウトカップリング構造5230は、1つ又は複数の2次元回折格子を備えてもよい。他の実施例では、インカップリング構造、中間瞳拡大構造及びアウトカップリング構造の一部又は全部は、1つ又は複数の2次元回折格子を備えてもよいし、備えなくてもよい。
【0079】
図6は、導波路6100の概略図面を示す。図6において、図面の平面は、導波路6100の面に平行して延在する。
【0080】
この開示において、導波路の「面」は、特定の視認方向から見える、又は、特定の視認方向に対向する前記導波路の表面の部分を意味してもよい。追加的に又は代替的に、導波路の面は、全反射による前記導波路内の光を制限するのに適切な、又は、制限するように構成される表面を意味してもよい。
【0081】
図6において、第1の回折構造6141は、第2の回折構造6142に光を向けるように構成され、光は、全反射によって導波路6100内を伝搬する。第1の回折構造6141は、例えば、インカップリング構造でもよく、第2の回折構造6142は、例えば、中間瞳拡大構造又はアウトカップリング構造でもよい。
【0082】
図6において、第1の伝搬経路6151及び第2の伝搬経路6152が示され、第1の光源によって放出される第1の光は、第1の伝搬経路6151に沿って伝搬し、スーパールミネッセント光源によって放出される第2の光は、第2の伝搬経路6152に沿って伝搬する。
【0083】
図6に示される第1の光は、第1のピーク波長及び第1の光スペクトルを有する。第2の光は、第1の光スペクトルより幅広い第2の光スペクトルを有する。しかしながら、例えば、図1の実施例の第1の光1111及び第2の光1122とは異なり、図6に示される第2の光は、図6に示される第1の光と同じ第1のピーク波長を有する。
【0084】
一方、第1の光スペクトルのより低い幅を強調するために、図6では、第1の光の任意の特定の入射角のために、第1の光が、等しく間隔を置かれたピーク波長サブ瞳6161で導波路6100の面から反射するように、第1の光は、モノクロとして示される。
【0085】
他方、第2の光スペクトルの増加した幅を強調するために、図6では、第2の光は、第1の光の任意の特定の入射角のために、第2の光が、単にピーク波長サブ瞳6161だけではなく等しく間隔を置かれた第2の波長サブ瞳6162及び等しく間隔を置かれた第3の波長サブ瞳6163で導波路6100の面から反射するように示される。
【0086】
第2の波長サブ瞳6162は、ピーク波長サブ瞳6161より高いサブ瞳間距離を呈し、第3の波長サブ瞳6163は、ピーク波長サブ瞳6161より低いサブ瞳間距離を呈する。異なる波長でのサブ瞳間距離のこの変化に起因して、第2の光は、第2の回折構造6142での第1の光より高いサブ瞳密度を呈する。スーパールミネッセント光源によって達成可能なこの種のより高いサブ瞳密度は、導波路からアウトカップリングされるイメージ内の空間的強度変化の形成を回避するのを容易にしうる。特に、この種のより高いサブ瞳密度は、この種のイメージに対して移動する観察者によって知覚できる、いわゆる「瞳バンディング(pupil banding)」影響を減少しうる。
【0087】
図7は、一実施例に従ったディスプレイ・デバイス7000を示す。図7の実施例は、図1から図5のいずれかを参照して、又は、図1から図5に関連して開示される実施例のいずれかに従ってもよい。追加的に又は代替的に、図7に明確には示されないが、図7の実施例又はその任意の部分は、概して、図1から図5の実施例のいずれかの任意の特徴及び/又は要素を備えてもよい。
【0088】
図7の実施例では、ディスプレイ・デバイス7000は、シースルー・ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイスとして、より詳しくは、シースルー・ディスプレイを備える眼鏡として実施される。他の実施例では、ディスプレイ・デバイスは、任意の適切な方法で、例えば、シースルー・ディスプレイ・デバイスとして及び/又はヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイスとして実施されてもよい。
【0089】
この明細書の全体にわたって、「シースルー・ディスプレイ・デバイス」又は「透明なディスプレイ・デバイス」は、そのユーザが、ディスプレイ・デバイス上に示されるイメージ及び/又はデータを見ることができるとともに、ディスプレイ・デバイスを通して見ることができるディスプレイ・デバイスを意味してもよい。
【0090】
さらに、「ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイス」は、ヘッドギアの部分として頭部に装着される、及び/又は、目に又は目の上に装着されるように構成されるディスプレイ・デバイスを意味してもよい。
【0091】
図7の実施例では、ディスプレイ・デバイス7000は、フレーム7100及びフレーム7100によってサポートされる第2の態様に従うディスプレイ構造7200を備える。
【0092】
ディスプレイ構造7200は、導波路7210、回折インカップリング構造7221、インカップリング構造7221から光を受信するように構成される回折アウトカップリング構造7223及び光学エンジン7230を備え、光学エンジン7230は、第1の光源7231及びスーパールミネッセント光源7232備え、全反射による導波路7210内の伝搬のために、インカップリング構造7221を介して、光を導波路7210内に導くように構成される。
【0093】
図8は、一実施例に従った車両8000を概略的に示す。図8の実施例では、車両8000は、車として実施される。他の実施例では、車両は、車として実施されてもよいし、実施されなくてもよい。例えば、いくつかの実施例では、車両は、自動車、例えば、車、トラック又はバス、レールの車両、例えば、電車又は路面電車、船舶、例えば、船又はボート、航空機、例えば、飛行機、ヘリコプター、又は、宇宙船として実施されてもよい。
【0094】
図8の実施例では、車両8000は、第3の態様に従うディスプレイ・デバイス8100を備える。図8に明確に示されない場合であっても、図8の実施例又はその任意の部分は、概して、図1から図5の実施例のいずれかの任意の特徴及び/又は要素を備えてもよい。
【0095】
図8の実施例では、ディスプレイ・デバイス8100は、導波路8110、インカップリング構造8121、中間瞳拡大構造8122、アウトカップリング構造8123及び光学エンジン8130を備える。他の実施例では、車両は、第3の態様に従う1つ又は複数の任意の適切なタイプの1つ又は複数のディスプレイ・デバイスを備えてもよい。
【0096】
図8の実施例のディスプレイ・デバイス8100は、ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイスとして実施される。他の実施例では、ディスプレイ・デバイスは、ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイスとして実施されてもよいし、実施されなくてもよい。
【0097】
本願明細書において、「ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイス」は、車両の操作者、例えば、ドライバ又はパイロットに、前記操作者が自分の通常の視点から目をそらす必要なく、イメージ及び/又はデータを提示するように構成されるシースルー・ディスプレイ・デバイスを意味してもよい。
【0098】
図8の実施例では、ディスプレイ・デバイス8100は、薄板状のウィンドウ8200をさらに備え、導波路8110は、ウィンドウ8200内に延在する。他の実施例では、1つ又は複数の導波路は、1つ又は複数の任意の適切な方法で配置されてもよい。いくつかの実施例では、導波路は、薄板状のウィンドウ、例えば、フロントガラス内に延在してもよい。いくつかの実施例では、車両は、ウィンドウから離れた導波路を備えてもよい。
【0099】
本発明の基本的な着想が技術の進歩によって種々の方法で実施されうることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明及びその実施例は、上述した実例に限定されるものではなく、その代わりに、それらは、請求項の範囲内で変化してもよい。
【0100】
上述した任意の利益及び利点は、一実施例に関してもよいし、又は、いくつかの実施例に関してもよいことを理解されたい。実施例は、述べられた問題の一部又は全部を解決するもの又は述べられた利益及び利点の一部又は全部を有するものに限定されるものではない。
【0101】
この明細書において、「備える」という用語を用いて、その後に続く1つ又は複数の追加の特徴又は行為を含むことを意味し、その際、1つ又は複数の追加の特徴又は行為の存在を排除しない。単数形のアイテムの記載は、それらのアイテムが1つ又は複数であることを意味することをさらに理解されたい。
【符号の説明】
【0102】
【数30】

第1の光の第1のピーク波長
【数31】

第2の光の第2のピーク波長
【数32】

第3の光の第3のピーク波長
【数33】

第1の光の第1の光スペクトルの線幅
【数34】

第2の光の第2の光スペクトルの線幅
【数35】

第3の光の第3の光スペクトルの線幅
T 導波路の厚さ
1000 光学エンジン
1100 照明装置
1110 第1の光源
1111 第1の光
1120 スーパールミネッセント光源
1122 第2の光
1123 スーパールミネッセント・ダイオード
1130 さらなる光源
1133 第3の光
1200 光コンバイナ装置
1201 結合光
1300 光スキャナ装置
1310 マイクロミラー・スキャナ
1311 第1の偏向ミラー
1312 第2の偏向ミラー
2000 発光スペクトル
2001 第1の光スペクトル
2002 第2の光スペクトル
2003 第3の光スペクトル
2010 青色波長範囲
2020 緑色波長範囲
2030 赤色波長範囲
3000 スーパールミネッセント・ダイオード
3001 第1の電極
3002 第2の電極
3011 第1のクラッド層
3012 第2のクラッド層
3020 活性層
3021 第1の端面
3022 第2の端面
3030 基板
3041 第1の反射防止コーティング
3042 第2の反射防止コーティング
4000 ディスプレイ構造
4100 導波路
4101 第1の複製方向
4102 第2の複製方向
4210 インカップリング構造
4211 インカップリング格子
4220 中間瞳拡大構造
4230 アウトカップリング構造
4300 光学エンジン
4301 光
4310 第1の光源
4320 スーパールミネッセント光源
5000 ディスプレイ構造
5100 導波路
5101 第1の複製方向
5102 第2の複製方向
5210 インカップリング構造
5230 アウトカップリング構造
5300 光学エンジン
5301 光
5310 第1の光源
5320 スーパールミネッセント光源
6100 導波路
6141 第1の回折構造
6142 第2の回折構造
6151 第1の伝搬経路
6152 第2の伝搬経路
6161 ピーク波長サブ瞳
6162 第2の波長サブ瞳
6163 第3の波長サブ瞳
7000 ディスプレイ・デバイス
7100 フレーム
7200 ディスプレイ構造
7210 導波路
7221 インカップリング構造
7223 アウトカップリング構造
7230 光学エンジン
7231 第1の光源
7232 スーパールミネッセント光源
8000 車両
8100 ディスプレイ・デバイス
8110 導波路
8121 インカップリング構造
8122 中間瞳拡大構造
8123 アウトカップリング構造
8130 光学エンジン
8200 ウィンドウ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導波路(4100)と、
インカップリング構造(4210)と、
全反射による前記導波路(4100)内の伝搬のために、前記インカップリング構造(4210)を介して、光(4301)を前記導波路(4100)内に導くように構成された光学エンジン(1000)と、
を備えたディスプレイ構造(4000)であって、
前記光学エンジン(1000)は、照明装置(1100)を備え、
前記照明装置(1100)は、
第1のピーク波長
【数1】

を有する第1の光(1111)を放出するように構成された第1の光源(1110)と、
前記第1のピーク波長
【数3】

と異なる第2のピーク波長
【数2】

を有する第2の光(1122)を放出するように構成されたスーパールミネッセント光源(1120)と、を備え、
前記第1の光源(1110)は、レーザー光源として実施され、前記スーパールミネッセント光源(1120)は、スーパールミネッセント・ダイオード(1123)を備える、
ディスプレイ構造(4000)
【請求項2】
前記第2のピーク波長
【数4】

は、前記第1のピーク波長
【数5】

より高い、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項3】
前記第2の光(1122)は、2nm以上又は3nm以上又は4nm以上又は5nm以上及び/又は50nm以下又は40nm以下又は30nm以下又は20nm以下又は10nm以下の半値全幅FWHM線幅
【数6】

を有する第2の光スペクトル(2002)を有する、
請求項1又は2に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項4】
前記第2のピーク波長
【数7】

は、600nmから750nmまで又は610nmから700nmまで又は620nmから650nmまで又は625nmから640nmまで延在する赤色波長範囲(2030)内にある、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項5】
前記スーパールミネッセント・ダイオード(3000)は、アルミニウム・ガリウム・リン化インジウムAlGaInPを備える活性層(3020)を備える、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項6】
前記照明装置(1100)は、前記第1のピーク波長
【数9】

及び前記第2のピーク波長
【数10】

の各々と異なる第3のピーク波長
【数8】

を有する第3の光(1133)を放出するように構成されるさらなる光源(1130)を備える、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項7】
前記さらなる光源(1130)は、さらなるレーザー光源として、又は、さらなるスーパールミネッセント光源として実施される、
請求項6に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項8】
前記第2のピーク波長
【数11】

は、前記第3のピーク波長
【数12】

より高い、
請求項6又は7に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項9】
前記光学エンジン(1000)は、前記照明装置(1100)によって生成される光を偏向させるための光スキャナ装置(1300)をさらに備える、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項10】
前記光スキャナ装置(1300)は、マイクロミラー・スキャナ(1310)を備える、
請求項1に記載のディスプレイ構造(4000)
【請求項11】
前記インカップリング構造(4210)は、回折インカップリング構造として実施される、
請求項に記載のディスプレイ構造(4000)。
【請求項12】
前記導波路(4100)は、0.25mm以上又は0.27mm以上又は0.3mm以上及び/又は5mm以下又は2mm以下又は1mm以下の厚さ(T)を有する、
請求項に記載のディスプレイ構造(4000)。
【請求項13】
請求項に記載の前記ディスプレイ構造を備えるディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項14】
ヘッド・アップ・ディスプレイ・デバイスのようなシースルー・ディスプレイ・デバイスとして実施される、
請求項13に記載のディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項15】
ヘッド・マウント・ディスプレイ・デバイスとして実施される、
請求項13又は14に記載のディスプレイ・デバイス(7000)。
【請求項16】
請求項13又は14に記載のディスプレイ・デバイス(8100)を備える車両(8000)。
【国際調査報告】