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特表2024-535196オポチュニスティックWLANセンシングに対応する通信装置および通信方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】オポチュニスティックWLANセンシングに対応する通信装置および通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 27/26 20060101AFI20240920BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20240920BHJP
【FI】
H04L27/26 114
H04W24/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024513270
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 SG2022050573
(87)【国際公開番号】W WO2023048636
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】10202110496T
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SG
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プシュカルナ ラジャット
(72)【発明者】
【氏名】チトラカール ロジャン
(72)【発明者】
【氏名】シム ホン チェン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】浦部 嘉夫
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA13
5K067DD11
5K067DD43
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
オポチュニスティックWLANセンシングに対応する通信装置および通信方法が提供される。例示的な一実施形態は、第1の通信装置であって、動作中に、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信する受信機であって、第1のPPDUが第1のPPDUのPHYパラメータを示し、第2のPPDUが第2のPPDUのPHYパラメータを示す、受信機と、動作中に、第1のPPDUと第2のPPDUとの比較、ならびに、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータに基づいて、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータがセンシングに使用されるかどうかを決定する回路と、を備える、第1の通信装置、を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の通信装置であって、
動作中に、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信する受信機であって、前記第1のPPDUが前記第1のPPDUのPHYパラメータを示し、前記第2のPPDUが前記第2のPPDUのPHYパラメータを示す、受信機と、
動作中に、前記第1のPPDUと前記第2のPPDUとの比較、ならびに、前記第1のPPDUおよび前記第2のPPDUの前記PHYパラメータに基づいて、前記第1のPPDUおよび前記第2のPPDUの前記PHYパラメータがセンシングに使用されるかどうかを決定する回路と、
を備える、第1の通信装置。
【請求項2】
前記受信機が、第1の期間に前記第1のPPDUを受信し、第2の期間に前記第2のPPDUを受信するようにさらに構成されており、前記第2の期間が前記第1の期間の後であり、前記回路が、前記第1のPPDUと前記第2のPPDUとが同じPPDUフォーマットを有するという判定に基づいて、前記第2のPPDUをセンシングに使用するようにさらに構成されている、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項3】
前記受信機が、第1の期間に第1のPPDUを受信し、第2の期間に前記第2のPPDUを受信するようにさらに構成されており、前記第2の期間が前記第1の期間の後であり、前記回路が、前記第1のPPDUの前記PHYパラメータを保存し、前記第2のPPDUが前記第1のPPDUのPHYパラメータと同じPHYパラメータを有する場合に、前記第2のPPDUのCSIを抽出するようにさらに構成されている、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項4】
前記第1のPPDUが、前記第1のPPDUの送信パラメータをさらに示し、前記第2のPPDUが、前記第2のPPDUの送信パラメータをさらに示し、前記PPDUの前記送信パラメータが、Q行列、受信送信(Tx)電力、受信信号強度インジケータ(RSSI)、ロングトレーニングフィールド(LTF)の数、および空間ストリームの数のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項5】
前記回路が、PPDUフォーマット、または、LTF数、空間ストリーム数、およびRSSIを含むPHYパラメータ、に基づいてベンチマークPPDUを決定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項6】
前記第1のPPDUがベンチマークPPDUであり、前記回路が、前記ベンチマークPPDUに関連する情報を記憶し、前記第2のPPDUのPPDUフォーマットを前記記憶された情報と比較し、前記比較に基づいて、チャネル測定を実行するかどうかを決定するようにさらに構成されている、請求項5に記載の第1の通信装置。
【請求項7】
前記記憶される情報が、前記ベンチマークPPDUに関連するCSI行列、空間ストリーム数、送信アンテナ数、帯域幅、およびRSSIを含む、請求項6に記載の第1の通信装置。
【請求項8】
前記第2のPPDUがCSI行列をさらに含み、前記回路が、前記ベンチマークPPDUからの前記記憶されたCSI行列のランクを計算し、前記第2のPPDUのCSI行列のランクを前記記憶されたCSI行列の前記計算されたランクと比較するようにさらに構成されている、請求項7に記載の第1の通信装置。
【請求項9】
前記回路が、前記比較により、前記記憶されたCSI行列の前記ランクと前記第2のPPDUの前記CSI行列の前記ランクとが同じであることが示される場合に、前記第2のPPDUの前記CSI行列を上位層に転送するようにさらに構成されている、請求項8に記載の第1の通信装置。
【請求項10】
第2の通信装置との間でチャネル測定を実行するようにさらに構成されており、前記チャネル測定が、前記第2の通信装置から第3の通信装置に送信されるPPDUに基づく、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項11】
第2の通信装置から送信される周期的な送信に基づいてチャネル測定を実行するようにさらに構成されている、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項12】
第2の通信装置であって、
動作中に、送信パラメータの変更を示すPPDUを生成する回路と、
動作中に、前記PPDUおよび前記示された送信パラメータの変更に基づいてチャネル測定を実行できるように、前記PPDUを第1の通信装置に送信する送信機と、
を備える、第2の通信装置。
【請求項13】
前記送信機が、実際の送信パラメータを示す別のPPDUを前記第1の通信装置に送信するようにさらに構成されており、前記チャネル測定が、前記実際の送信パラメータおよび前記示された送信パラメータの変更に基づく、請求項12に記載の第2の通信装置。
【請求項14】
前記回路が、前記別のPPDUを非ビームフォーミングPPDUとして設定するようにさらに構成されている、請求項13に記載の第2の通信装置。
【請求項15】
前記回路が、閾値計算フェーズ中にヌルデータパケット(NDP)フォーマットを記憶するようにさらに構成されており、前記送信機が、前記記憶されたNDPフォーマットと同じNDPフォーマットを有するNDPをセンシングセッションのために前記第1の通信装置に送信するようにさらに構成されている、請求項12に記載の第2の通信装置。
【請求項16】
前記PPDUが、送信パラメータの前記変更を前記PPDUの媒体アクセス制御(MAC)ヘッダにおいて示す、請求項12に記載の第2の通信装置。
【請求項17】
通信方法であって、
第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信するステップであって、前記第1のPPDUが前記第1のPPDUのPHYパラメータを示し、前記第2のPPDUが前記第2のPPDUのPHYパラメータを示す、ステップと、
前記第1のPPDUと前記第2のPPDUとの比較、ならびに、前記第1のPPDUおよび前記第2のPPDUの前記PHYパラメータに基づいて、前記第1のPPDUおよび前記第2のPPDUがセンシングに使用されるかどうかを決定するステップと、
を含む、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、一般には通信装置に関し、より詳細には、オポチュニスティック無線ローカルエリアネットワーク(WLAN:wireless local area network)センシングに対応する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)の標準化において、IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax技術との下位互換性を有する新しい無線アクセス技術がIEEE 802.11ワーキンググループで議論され、802.11be超高スループット(EHT:Extremely High Throughput)WLANと命名された。
【0003】
P802.11bf PARは、「MACより上位の層がWLANセンシング測定を要求および取得するためのMACサービスインタフェース」を可能にする修正を定義している。WLANセンシング測定には、センシングのためのヌルデータPPDU(NDP)などの物理プロトコルデータユニット(PPDU:Physical Protocol Data Units)を使用することができる。
【0004】
WLANセンシング手順を効率的に実行する方法について検討が進められている。WLANセンシング手順に含まれる詳細については、依然として議論中である。そのような詳細には以下が含まれる。
- WLANセンシングのための特別なシーケンスから生じるオーバーヘッド(これは閾値ベースのWLANセンシングでも存在する)など、オーバーヘッドをどのように低減するか
- 受信機はいつ、どのようにチャネル測定結果を上位層に転送するか(これはオポチュニスティックセンシングに限定されず、センシング専用の特別なシーケンス(センシング用NDPAなど)が使用されない場合は、NDPにも適用され得る)
- 受信機は、チャネル測定を実行するために必要な送信パラメータをどのようにして知るか
- 受信機は、どのPPDUについて、オポチュニスティックセンシングのためにチャネル測定結果を上位層に転送するべきであるかをどのようにして知るか
- PPDUがNDPである場合、チャネル測定を実行し、その結果をMACに転送することができるが、現在、サウンディングのPPDU以外ではこの手順は行われていない。したがって、通常のPPDUの場合に、受信機がチャネル測定を上位層に転送できるようにするにはどうすればよいか(例えば、チャネル測定がNDPを使用して実行される場合、NDPの前にNDPAフレームが存在し、受信機はこのNDPAフレームに基づいてチャネル測定結果をMACに転送するが、他のPPDUの場合はそうではない)。
- チャネル条件に起因して変更されたときに、通常のPPDUのフォーマットおよび送信パラメータが、オポチュニスティックWLANセンシングのチャネル測定結果に影響を与えないことを保証する方法。例えば、図6の図解600を参照すると、チャネル条件または他の要因によるビームフォーミング606に起因して、PPDU 602の送信とPPDU 604の送信の間にチャネル条件が変更されることがあり、このことは、PPDU 602を使用して計算されるチャネル測定結果とPPDU 604から計算されるチャネル測定結果とに影響を与えることがある。PPDU 602および604は、NDP、データフレーム、ビーコン、または他の同様のフレームであり得る。
【0005】
しかしながら、オポチュニスティックWLANセンシングに関する議論はこれまでなされていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】IEEE contributions 21/504r1 (Specification Framework for TGbf, Claudio da Silva)
【非特許文献2】20/1851r4 (Overview of Wi-Fi Sensing Protocol, Cheng Chen et. al.)
【非特許文献3】IEEE 802.11-21/1069 (Threshold-based Sensing Measurement Follow up (Huawei))
【非特許文献4】IEEE 802.11-21/1015 Non-TB and TB measurement procedure for WLAN Sensing. (LGE)
【非特許文献5】IEEE 802.11-21/908 Sensing measurements: Interfaces and reporting (Intel,908)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、上述した課題を解決することができる通信装置および通信方法が必要とされている。さらに、他の望ましい特徴および特性は、添付の図面および本開示の背景技術のセクションと併せて考慮される、後からの詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0008】
非限定的かつ例示的な実施形態は、オポチュニスティックWLANセンシングに対応する通信装置および通信方法の提供を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様によれば、第1の通信装置であって、動作中に、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信する受信機であって、第1のPPDUが、第1のPPDUのPHYパラメータを示し、第2のPPDUが、第2のPPDUのPHYパラメータを示す、受信機と、動作中に、第1のPPDUと第2のPPDUとの比較、ならびに、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータに基づいて、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータがセンシングに使用されるかどうかを決定する回路と、を備える、第1の通信装置、が提供される。
【0010】
本開示の別の態様によれば、第2の通信装置であって、動作中に、送信パラメータの変更を示すPPDUを生成する回路と、動作中に、PPDUおよび示された送信パラメータの変更に基づいてチャネル測定を実行できるように、PPDUを第1の通信装置に送信する送信機と、を備える、第2の通信装置、が提供される。
【0011】
本開示の別の態様によれば、通信方法であって、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信するステップであって、第1のPPDUが第1のPPDUのPHYパラメータを示し、第2のPPDUが第2のPPDUのPHYパラメータを示す、ステップと、第1のPPDUと第2のPPDUとの比較、ならびに、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータに基づいて、第1のPPDUおよび第2のPPDUがセンシングに使用されるかどうかを決定するステップと、を含む、通信方法、が提供される。
【0012】
一般的または特定の実施形態は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム、記憶媒体、またはこれらの任意の選択的な組合せとして実施することができることに留意されたい。開示されている実施形態の追加の恩恵および利点は、本明細書および図面から明らかになるであろう。これらの恩恵および/または利点は、本明細書および図面の様々な実施形態および特徴によって個々に得ることができ、このような恩恵および/または利点のうちの1つ以上を得るために、実施形態および特徴のすべてを設ける必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
添付の図は、以下の詳細な説明とともに本明細書に組み込まれてその一部を形成しており、様々な実施形態を図解し、本実施形態による様々な原理および利点を説明する役割を果たす。個別の図全体を通じて、類似する参照数字は同一または機能的に類似する要素を指す。
図1】一例による、ヌルデータパケット(NDP)を使用してのWLANセンシングプロセスの図解を示している。
図2】一例による、高効率(HE)物理プロトコルデータユニット(PPDU)フレームフォーマットの図解を示している。
図3】一例による、様々な直交周波数分割多元接続(OFDMA)PPDUフォーマットの図解を示している。
図4】一例による、WLANセンシングのための閾値ベースのフィードバックの実装形態を示している。
図5】別の例による、WLANセンシングのための閾値ベースのフィードバックの実装形態を示している。
図6】一例によるチャネル測定プロセスの図解を示している。
図7A】一例による、WLANセンシングがどのように実行され得るかを示す図である。
図7B】一例による、WLANセンシングがどのように実行され得るかを示す図である。
図8】一例による、NDPを使用するチャネル測定の図解を示している。
図9】一例による、EHT(超高スループット)NDPアナウンスメントフレームにおけるステーション(STA)情報フィールドのフォーマットの図解を示している。
図10】一例によるセンシングトリガーフレームのバリアントの図解を示している。
図11】一例による、センシングに使用される受信PPDUの媒体アクセス制御(MAC:medium access control)フィルタリングの図解を示している。
図12】一例によるセンシングNDPの図解を示している。
図13】一例によるセンシングプロセスの図解を示している。
図14】別の例によるセンシングプロセスの図解を示している。
図15】様々な実施形態によるオポチュニスティックWLANセンシングの図解を示している。
図16】様々な実施形態によるオポチュニスティックWLANセンシングの別の図解を示している。
図17】第1の実施形態による、受信機STAが対象のSTAとオポチュニスティックWLANセンシングを実行し、他のSTAからのPPDUをフィルタリングにより除外する方法の例を示している。
図18】第1の実施形態による、ベンチマークPPDUを選択する方法の図解を示している。
図19】第1の実施形態によるセンシング受信機の動作の図解を示している。
図20】対象のPPDUからCSIを抽出するように物理層(PHY)に発行される媒体アクセス制御(MAC)プリミティブの図解を示している。
図21】第1の実施形態によるセンシング受信機の動作の別の図解を示している。
図22】物理層(PHY)が、フィルタリングを通過したPPDUからのCSIを自動的にMACに渡すように、特定のPPDUをフィルタリングするためにMACによって設定される媒体アクセス制御(MAC)プリミティブの別の図解を示している。
図23】第1の実施形態の変形形態による、送信ビームフォーミングシーケンスを使用したWLANセンシングの図解を示している。
図24】第1の実施形態の別の変形形態による、レンジングシーケンスを使用したWLANセンシングの図解を示している。
図25】第2の実施形態によるWLANセンシング手順の図解を示している。
図26】第2の実施形態による、WLANセンシング能力要素におけるオポチュニスティックセンシングサポート能力の図解を示している。
図27】第2の実施形態による、オポチュニスティックセンシング能力をアドバタイズするために使用することができるTDLS(トンネル化ダイレクトリンクセットアップ:Tunneled Direct Link Setup)発見要求フレームの図解を示している。
図28】第2の実施形態によるセンシングセッションの図解を示している。
図29】第2の実施形態の変形形態によるセンシングセッションの図解を示している。
図30】第2の実施形態の変形形態によるセンシングセッションの図解を示している。
図31】第2の実施形態による、例示的なHEリンクアダプテーション(HLA)A-controlフィールドの図解を示している。
図32】第2の実施形態による、送信パラメータの変更を補正するために受信機によって適合化されるチャネル測定プロセスの図解を示している。
図33】第2の実施形態による例示的なWLANセンシング送信(Tx)パラメータ指示(WLAN Sensing Transmit (Tx) parameter indication)フレームの図解を示している。
図34】第2の実施形態による、送信側STAが受信側STAに新しいパラメータを示す方法の図解を示している。
図35】第3の実施形態による、例示的な閾値ベースのセンシング手順の図解を示している。
図36】第3の実施形態による、NDPを使用する例示的な閾値ベースのセンシング手順の図解を示している。
図37】第4の実施形態による、例示的なセンシングタイプ通常のPPDUの図解を示している。
図38】第5の実施形態による、周期的に送信されるPPDUを使用するセンシングプロセスの図解を示している。
図39】様々な実施形態による受信機の概略図を示している。
図40】様々な実施形態による送信機の概略図を示している。
図41】様々な実施形態によるオポチュニスティックWLANセンシングの方法を示したフロー図を示している。
図42】様々な実施形態による、オポチュニスティックWLANセンシングのために実施することのできるSTAの、部分的に枠で囲んだ概略図を示している。
【0014】
図中の要素は簡潔かつ明確であるように図解されており、必ずしも正しい縮尺では描かれていないことが、当業者には理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、実施形態、または実施形態の適用および用途を限定することを意図するものではない。さらに、先の背景技術または発明を実施するための形態のセクションに提示されている理論に拘束されるように意図するものではない。さらには、添付の図面および本開示の背景と合わせて考慮される、以下の詳細な説明および添付の請求項から、他の望ましい特徴および特性が明らかになるであろう。
【0016】
WLANセンシングプロトコルの概要は、非特許文献1および非特許文献2に提供されている。図1を参照すると、送信機102と受信機104との間のWLANセンシングプロセス100にNDP 106を使用することができる。NDP 106はセンシングNDPと称することができる。
【0017】
多入力多出力(MIMO:Multiple-input multiple-output)チャネル測定は、PHYプリアンブルの一部としてロングトレーニングフィールド(LTF:long training field)を送信する結果として、すべてのPPDUで行われる。例えば、図2を参照すると、HE PPDUフレームフォーマット200のHE-LTFフィールド202をチャネル測定に使用することができる。
【0018】
空間マッピング行列は、信号で使用される空間マッピングのタイプを指定する。IEEE 802.11n/ac/ax/be[2]規格では、空間マッピング行列は「Q行列」と称されることがある。WLANセンシングプロセスにおいて送信機によって使用され得るQ行列には様々なタイプがある。送信機によって単位行列が使用されるとき、Q行列は直接割当として知られている。直接割当では、各時空間ストリームは1つの送信機アンテナのみに送られ、時空間ストリーム間の干渉はない。Q行列はフーリエ行列としても知られている。フーリエ行列は、すべての時空間ストリームをすべての選択アンテナにミックスするもので、運用可能な送信機を配備する際に一般的に使用される。
【0019】
明示的ビームフォーミングでは、STA Aが、ビームフォーミングされたパケットをSTA Bに送信するために、STA Bはチャネルメトリックを測定し、STA Aに実効チャネルHeff,k、またはビームフォーミングフィードバック行列Vのいずれかを送信し、STA Aはステアリング行列Qsteer,k=Qを決定する。ここで、Qは、Vを引き出す(elicit)サウンディングPPDUを送信するために使用された直交空間マッピング行列であり、Qsteer,kは、次のビームフォーミングされたデータ送信においてQの新しいステアリング行列を更新するための数学項として定義される。
【0020】
ビームフォーミングフィードバック行列には、非圧縮ビームフォーミングフィードバックと圧縮ビームフォーミングフィードバックの2種類があった。現在の仕様(802.11ax)では、圧縮ビームフォーミングフィードバックが実装されている。ビームフォーマは、圧縮ビームフォーミングフィードバックを使用してステアリング行列Qを決定することができる。
【0021】
PPDUのフォーマットおよび送信パラメータは、チャネル条件、隣接チャネル干渉などに基づいて変更されることがある。図3の図解300に示したように、11ax自体には5つの異なるタイプのODFMA HE PPDUフォーマット、例えば、HE-シングルユーザ(HE-SU)302、HE-マルチユーザ(HE-MU)304、HE-屋外シングルユーザ(HE-xSU)306、HE-トリガーレスポンス(HE-TRIG)308、およびダウンリンクチャネルサウンディング用のHE-NDP 310がある。Q行列、PPDU内のLTF数、変調・符号化方式(MCS:Modulation and Coding Scheme)、帯域幅などの送信パラメータは、チャネルの条件に依存し、変化する可能性がある。
【0022】
非特許文献3には、チャネル測定が実行されるたびにフィードバックを送信するオーバーヘッドを削減することを目的とする、WLANセンシングのための閾値ベースのフィードバックが記載されている。例えば、図4の図解400は、NDP 402を用いた、閾値ベースのフィードバックを使用する例示的なWLANセンシングプロセスを示している。閾値ベースの測定では、明示的なフィードバックが送信される回数が減少するが、WLANセンシングのための特別なシーケンスが依然として使用される(例えば、チャネル測定では、閾値を超えたかどうかをチェックするためだけにNDPA 404およびNDP 402を送信する必要があり、これは依然としてオーバーヘッドである)。
【0023】
WLANセンシングのタスクグループTGbfは、トリガーベース(TB)センシング、非TBセンシング、NDPベースセンシングなど、WLANセンシングを実行することのできる複数の方法を提案している(例えば、非特許文献4)。また、通常のPPDU、例えば、センシングNDPのようなセンシング専用のPPDU以外のPPDU(そのような通常のPPDUを、非センシングPPDUと称することができる)に基づいて、WLANセンシングを実行できる可能性もある。図3を参照すると、様々なHE PPDUフォーマットには、データフレームおよびNDPフレーム(例えばHE-NDP 310)が含まれる。802.11仕様では、LTF(例えば様々なHE PPDUフォーマットにおけるHE-LTFフィールド)は、チャネル推定に使用されるロングトレーニングフィールドとして定義されている。
【0024】
WLANセンシングにNDPを使用する利点はほとんどないが、NDPAフレームおよびNDPフレームなどセンシング用の特別なフレームを送信する必要があるため、進行中の通信にオーバーヘッドが加わる。通常のPPDUを使用して、最小限のオーバーヘッドまたはまったくオーバーヘッドなしでチャネルを測定することが可能であり、なぜならこれらのPPDUは進行中のWiFi動作のために送信されるためである。受信機(例えば受信側STAまたは受信機STA)は、送信機(例えば送信側STAまたは送信機STA)から複数のPPDUを受信することがあり、すべての受信PPDUからのチャネル状態情報(CSI:channel state information)を処理することにより、システムリソースおよびコンピューティングリソースを不必要に消費する可能性がある。受信機はまた、例えば、図7Aおよび図7Bにさらに図示して説明するように、受信機がWLANセンシングの実行を望む相手であるSTAからのものではないPPDUをフィルタリングにより除外することができるべきである。
【0025】
STAは、閾値を超えたかどうかをチェックするために、別のSTAから受信した通常のPPDUに基づいてチャネル測定を実行することができる。閾値を超えた場合、STAは、受信したPPDU内のLTFに基づいて完全なチャネル測定を実行し、明示的なフィードバックを送信することができる。例えば、図5の図解500を参照すると、閾値を超えたかどうかの検出のためのNDPAおよびNDP送信のオーバーヘッドをさらに低減するために、通常のPPDU 502および504などの非センシングフレームを使用してWLANセンシングを実行することができる。CSI(すなわち、受信したPPDUのトレーニングシンボル中に測定されたチャネル)は、非特許文献5で議論されているように、サブ7GHz WLANセンシングのためのセンシング測定結果の一種である。
【0026】
オポチュニスティックセンシングとは、非センシングPPDUを使用してWLANセンシングを実行する手順として定義される。WLANセンシングは、受信したPPDUのLTFからCSIを抽出し、受信機のMACが自身にCSIを渡すように要請するプリミティブを発行することによって、受信機によってオポチュニスティック的に(opportunistically)実行することができる。図7Aおよび図7Bを参照すると、STA2 704は、STA1 702から受信したPPDU 708、およびAP3 706から受信したPPDU 710からチャネル測定結果を計算するように構成することができるが、PPDUにおいて伝えられるフレームの送信アドレス(TA)が、センシング送信機、例えばSTA1 702(STA2 704がWLANセンシング712を実行する相手)のTAと一致する場合にのみ、計算からのCSI結果をMACに渡すように要請する。
【0027】
一般に、NDPAフレームは、そのNDPAフレームがセンシングNDPAフレームであるかどうかを通知するための指示をフレーム内に有する(したがって、その後に送信されるNDPフレームがセンシングNDPフレームであるかどうかも示す)。図8の図解800を参照すると、NDPAフレーム802がセンシングNDPAである場合、NDPフレーム804はセンシングNDPである。センシングNDPフレームは、センシングNDPAフレームに続いて、またはセンシングトリガー(例えば図10の図解1000に示したセンシングトリガータイプのバリアント)に応答して送信することができる。PHYが7GHz以下で修正されない限り、センシングNDPは既存のNDP、例えばHT NDP、VHT NDP、HE NDP、HEレンジングNDP/HE TBレンジングNDP(セキュアHE-LTFを有するレンジングNDPを含む)、またはEHT NDPのうちの1つと同じフォーマットとすることができる。
【0028】
図9は、例えば図8のNDPAフレーム802において使用することのできる、EHT NDPAフレームにおけるSTA情報フィールドフォーマット900の図解を示している。予備ビット902は、NDPAフレームがセンシングNDPAであるかどうかを示すために使用することができる。例えば、そのNDPAがセンシングNDPAであり、それに続くNDPがセンシングNDPであることを示すために、予備ビット902を1に設定することができる。あるいは、図10のセンシングトリガーフォーマット1000の形式など、NDPAフレームの代わりにセンシングトリガーを使用することができる。センシングトリガーフォーマット1000では、センシングトリガーサブタイプ(Sensing Trigger Subtype)フィールド1002を使用して、センシングトリガーフレームのサブバリアント(例えば、測定ポーリング、サウンディングなど)をシグナリングすることができる。それがセンシングトリガーフレームであることを示すために、例えばセンシングトリガーサブタイプ(Sensing Trigger Subtype)フィールド1002においてトリガータイプサブフィールド値9(例えば、テーブル1004のエントリ1006)を示すことができる。
【0029】
PPDUのフィルタリングを、チャネル測定用のPPDUフォーマット(これに限定されない)にさらに拡張することができる。受信機は、PHYからMACにチャネル測定結果を要請する対象のPPDUを選択することができる。フィルタリングは、以下の1つ以上に基づくことができる。
- 受信機は、受信機のMACがMAC層にCSIを要請するために、PPDU内に存在すべき最小数のLTF(または帯域幅、送信電力などの他のPHYパラメータ)を選択することができる。
- 受信機は、特定のPPDUフォーマット(例えばSU-PPDU)についてのみMACにCSIを要請することを選択することができる。
- 受信機は、特定のフレームタイプ(例えばデータフレーム)を伝えるPPDUについてのみMACにCSIを要請することを選択することができる。
【0030】
センシング受信機のフィルタリング規則を満たすフレームについては、受信機のMACは、CSIがMAC層に渡されない場合、PHYプリミティブPHY-CSI_RECEIVE.request(CSI_PARAMETER)を発行し、収集されたセンシング測定値を(例えばPHY-CSI_RECEIVE.confirm(CSI_MATRIX)プリミティブにおいて)MACに渡すようにPHYに命令することができる。PPDUをフィルタリングする主な目的は、センシングが実行される対象のSTAからのPPDUのCSIを要請することである。しかし、Txパラメータが変更された場合、この手順は有用ではない。センシングセッション中にPPDUのフォーマットが同じままであるようにするために、送信機はセンシングセッション中に同じPPDUフォーマットを送信することができる。しかしながら、これはデータ送信に影響を与えるため、最適な解決策ではない。
【0031】
図11は、一例によるMACフィルタリングプロセス1100の図解を示している。ステップ1102において、受信機がPPDUを受信する。ステップ1104において、受信機は、チャネルを測定する目的でフィルタを通過するPPDUを選択するために、MACフィルタリング規則をチェックする。受信したPPDUがフィルタリング規則を満たさない場合、プロセスはステップ1106に進み、受信機のMACはWLANセンシングに関してPPDUを破棄する。そうではなく、フィルタリング規則が満たされる場合、プロセスはステップ1108に進み、TAアドレスが一致する場合、受信機のMACはPHYからのCSIを要請するためのPHYプリミティブを発行する。
【0032】
「オポチュニスティックWLANセンシングにおいて、チャネル条件に起因して通常のPPDUのフォーマットおよび送信パラメータが変更された場合に、チャネル測定結果に影響を与えないようにするにはどうすればよいか」という問題は、センシングのためのNDPにも適用することができ、なぜならこの条件を保証するための具体的な規則は定義されていない。IEEE仕様にも同様の目的のための規則が含まれている。このような規則を「センシングのためのNDP」に適用することも必要であり得る。例えば、図12を参照すると、センシングNDPは、以下の規則に従うHEセンシングNDP 1200として定義することができる。Q行列は波形に適用されない。センシングNDP 1200のHE-SIG-A 1202のBeamformedフィールドは常に0に設定される。HE-STF 1204およびHE-LTF 1206の送信では、NSTS=NTXの場合、Q行列は単位行列であり、NSTS<NTXの場合、Q行列はアンテナスワップなしのアンテナ選択行列に基づく。さらに、すべての「0」要素が除去されると、Q行列は単位行列になる。
【0033】
図13は、一例によるセンシングプロセス1300の図解を示している。センシング送信機AP 1304からセンシング受信機STA 1302に送信される通常のPPDU 1306は、センシングセッションの間、例えばセンシングセットアップ1308の後、1310で(明示的なセンシングティアダウンまたは暗黙的な終了規則のいずれかによって)センシングが終了するまで、センシングのための同じTxパラメータを有する。NDPがセンシングセッション中に送信される場合、NDPは、第1のオプションでは、通常のPPDU 1306と同じTxパラメータを有することができる。センシング受信機STA 1302は、センシングのために通常のPPDUおよびNDPの両方を使用することができる。第2のオプションでは、NDPは、通常のPPDU 1306と同じTxパラメータを有さない。NDPの規則は、センシングNDPについて説明した規則と同じとすることができる。センシング受信機STA 1302は、通常のPPDU 1306またはセンシングNDPのいずれかを使用することができる。あるいは、センシング受信機STA 1302は、センシングのために通常のPPDUを使用し、別のセンシングのために個別にNDPを使用することができる。
【0034】
図14は、別の例によるセンシングプロセス1400の図解を示している。センシングプロセス1300と似ているが、センシングセットアップフェーズ1408の間に測定セットアップID 1412がネゴシエートされる。測定セットアップID 1412は、センシング受信機STA 1402からセンシング送信機AP 1404に送信されるセンシングセットアップ要求1414、またはセンシング送信機AP 1404からセンシング受信機STA 1402に送信されるセンシングセットアップ応答1416に含めることができる。通常のPPDU 1406が、そのペイロードに、例えば、PPDUで伝えられるMACフレームのA-controlフィールドに、測定セットアップIDを含むこともできる。センシング送信機AP 1404は、センシング用のTxパラメータが異なる場合、測定セットアップID 1412の値と同じ値を有する測定セットアップIDを通常のPPDU 1406に含めないものとする。この規則により、センシング受信機STA 1402は、測定セットアップID 1412の値と同じ測定セットアップIDの値を含むPPDUが、センシングのための同じTxパラメータを有することを認識することができる。
【0035】
上述した様々な問題に対処するために、オポチュニスティックWLANセンシングのための様々な方法を提案する。図15の図解1500を参照すると、受信機STA2 1504が、通常のWiFi動作における挙動を変更することなくオポチュニスティックWLANセンシングを実行するための方法が提案されている。受信機STA2 1504は、他のSTAからのPPDUを受信すると、受信機がWLANセンシングの実行を望む相手であるSTAからのPPDU(例えば送信機STA1 1502からのPPDU)以外のPPDUをフィルタリングにより除外するためにMACフィルタリングを実行する。受信機STA2 1504は、期間中に様々なフォーマットのPPDUを受信し、ベンチマークPPDUフォーマット(例えばPPDU 1506)を選択して、一貫したチャネル測定を実行するために、選択されたベンチマークPPDU 1506と同じフォーマットのPPDUを使用してWLANセンシングを実行する。ベンチマークPPDUフォーマットは、ビーコン間隔中に受信機STA2 1504で最大回数受信されたPPDUフォーマット、または受信機がセンシングの実行を望む相手であるSTA(例えば送信機STA1 1502)からセンシングセッション前に受信した最後のPPDUフォーマットとして定義することができる。SPSで提案されているフィルタリング方法を使用して、ベンチマークPPDU以外のPPDUをフィルタリングにより除外することができ、ベンチマークPPDUはベンチマーク測定値を抽出するために使用される。RSS1、Nsts、NtxなどのベンチマークPPDUフォーマットからの情報を、受信機STA2 1504によって保存することもできる。
【0036】
受信したPPDUフォーマットがベンチマークPPDUフォーマットと同じである場合(例えばPPDU 1508)、受信機は、受信したPPDUのチャネル測定結果(例えばPPDU 1508からCSIを抽出する)およびベンチマーク測定に対して正規化チャネル測定(normalized channel measurement)を実行し、送信パラメータの変更の影響を最小限に抑える。そうではなく、受信したPPDUのフォーマットがベンチマークPPDUのフォーマットと異なる場合(例えばPPDU 1510)、CSIを抽出しない。正規化チャネル測定では、現在のチャネル測定結果(例えばCSI行列)およびベンチマークチャネル測定結果のランクおよび次数に基づいて行列のサブセットが抽出される。行列のランクとは、行列内の線形的に独立した行または列の数を指す。Q行列が受信機STA2 1504によって提供される場合、逆チャネル(reverse channel)を計算することができる。行列が有する行および列の数は、行列の次数または次元と呼ばれる。慣例により、行が最初にリストされ、列が2番目にリストされる。
【0037】
図16のセンシングプロセス1600を参照すると、受信機STA2 1604が、送信機、例えば送信機STA1 1602からの指示に基づいてチャネル測定の適合化を実行するための方法も提案されている。送信機1602および受信機1604は、それぞれのオポチュニスティックセンシング能力をネゴシエートする。送信機1602は、Txパラメータを変更すると、PPDU 1606内でTxパラメータ変更指示1608を受信機1604に提供し、Txパラメータ変更指示1608は、以前の送信からのTxパラメータの変更を示す。その後、受信機1604は、送信機1602からTxパラメータ変更指示1608を受信すると、Txパラメータ変更1608を組み込んでPPDU 1606について正規化チャネル測定を実行し、例えばTxパラメータの変更に起因するチャネル測定における変動を有利に補正することができる。
【0038】
第1の実施形態では、受信機STAは、センシングの実行を望む相手であるSTAから受信したPPDUから自身の能力に基づいてWLANセンシングを実行することができる。例えば、図17の図解1700を参照すると、STA2 1702はMACフィルタリングを実行して、STA2 1704がセンシングの実行を望む相手であるSTA以外からのPPDUをフィルタリングにより除外することができ、その後、ベンチマークPPDUを選択する。その後、STA1 1704とSTA2 1702との間でWLANセンシングが実行され、STA2 1702はオポチュニスティックセンシング対応STAである。
【0039】
さらに図18の図解1800を参照すると、ベンチマークPPDU(例えば、送信機1802から受信されたPPDU 1806)により、「ベンチマーク」チャネル測定値(例えばCSI行列)が得られ、この測定値はその後にチャネル測定を実行するために使用される。例えば、受信機1804はベンチマーク測定値(例えばCSI行列)のランクを計算し、それを保存する。WLANセンシングのためのチャネル測定中、受信機1804は、受信したPPDUのフォーマットがベンチマークPPDU 1806のフォーマットと同じである場合、受信したPPDU(例えばPPDU 1810)のCSIを計算し、計算されたCSI行列のランクをベンチマーク測定値のランクと比較する。そうではなく、受信したPPDUがベンチマークPPDU 1806とは異なると判定された場合(例えばPPDU 1808)、PPDU 1808はフィルタリングにより除外され、PPDU 1808から得られた測定値は破棄される。
【0040】
図19は、第1の実施形態によるセンシング受信機の動作の図解を示している。ステップ1902において、受信機STAがPPDUを受信する。ステップ1904において、受信したPPDUのフォーマットがベンチマークPPDUのフォーマットと同じであるかどうかを判定する。フォーマットが異なる場合、プロセスはステップ1906に進み、受信したPPDUについてCSIを抽出しない。そうでない場合、プロセスはステップ1904からステップ1908に進み、PHYヘッダ内の情報がベンチマークPPDUのPHYヘッダ内の情報と同じであるかどうかを判定する。同じでないと判定された場合、プロセスはステップ1910に進み、受信したPPDUについてCSIを抽出しない。同じであると判定された場合、プロセスは代わりにステップ1912に進み、受信したPPDUについてCSIを抽出する。
【0041】
第1の実施形態による、センシング測定値(例えばCSI)を受信するためのPHY受信手順の一例を図20の図解2000に示す。MAC 2002は、CSIを抽出するべきPPDU(例えばA-MPDU 2006)を自身が受信した後(例えばPHY-RXEND.indication 2008がPHY 2004によって発行された後)にのみ、PHY_CSI_EXTRACT.requestプリミティブ2010をPHY 2004に発行する。PHY 2004は、MACからの指示を受信した後、新しいプリミティブPHY-CSI.indication(RXVECTOR)2012を使用して、CSIをMAC 2002に渡す。
【0042】
Q行列などのパラメータについて、現在のチャネル測定行列のランクがベンチマーク測定におけるランクと同じままであるとき、受信機は以下のように実行する。
- 現在のチャネル測定の行列の次数がベンチマーク測定の次数と同じである場合、CSIはWLANセンシングに使用される。
- 現在のチャネル測定結果がベンチマーク測定結果よりも高次の行列である場合、レスポンダはTxチェーンおよびアンテナ選択ペア(正規化測定)に基づいて現在の測定値からサブセット行列を抽出し、ベンチマーク測定値と比較することができる。
- 現在のチャネル測定結果が、前回の測定結果よりも低次の行列である場合、CSIはWLANセンシングに使用される。
- 現在のチャネル測定行列のランクがベンチマーク測定のランクと異なる場合、その測定値は破棄される。
【0043】
行列のランクは、変化がチャネルの変動かTxパラメータの変更かを示す。チャネルの変動によりCSI行列が変化しても、ランクが変化することはない。閾値ベースの測定の場合、ベンチマーク測定は閾値測定と交換可能に使用することができる。
【0044】
図21は、第1の実施形態によるセンシング受信機の動作の別の図解を示している。ステップ2102において、センシング受信機はベンチマーク測定を実行する。これは、ベンチマークPPDUが選択され、後続のPPDUがベンチマークPPDUと一致した後である。ステップ2104において、現在の測定のランクがベンチマーク測定のランクと異なるかどうかを判定する。現在の測定のランクがベンチマーク測定のランクと異なる場合、それはTxパラメータに変更があることを意味する。異なると判定された場合、プロセスはステップ2106に進み、CSIは上位層に転送されない。そうでない場合、プロセスはステップ2104からステップ2108に進み、現在の測定の次数をベンチマーク測定の次数と比較する。現在の測定の次数がベンチマーク測定の次数と同じであるか、またはそれより小さいと判定された場合、プロセスはそれぞれステップ2110またはステップ2114に進み、CSIがセンシングに使用される。一方、ステップ2108において、現在の測定の次数がベンチマーク測定の次数よりも高いと判定された場合、プロセスはステップ2112に進み、現在の測定からサブセットを抽出する(正規化チャネル測定)。
【0045】
別のオプションでは、図22の図解2200を参照すると、MAC 2202が、ベンチマークフォーマットに一致するすべてのPPDUに対してCSIの抽出を実行する代わりに、MAC 2202は、例えばPHY-CSI-FILTER-SET.requestプリミティブ2206を使用してPHY 2204に対して(すべてではないにしても少なくとも一部のパラメータについて)PPDUフィルタを設定することができる。これにより、有利なことに、PHY 2204はPPDUフィルタリングを自ら実行することができ、PPDUがフィルタを通過する場合、PHY 2204は、データ部の開始を示すために使用されるPHY-START.indicationのおそらくは同じRXVECTOR内で(例えばPHY-RXSTART.indication(RXVECTOR)プリミティブ2208を使用して)、CSIをMAC 2202に自律的に渡すことができる。ただしRXVECTORの重要な変更点は、PSDU_lengthが0より大きくてもCHAN_MATプリミティブが存在することである。
【0046】
第1の実施形態の変形形態では、受信機がオポチュニスティックセンシングを実行するための別のオプションは、送信ビームフォーミングシーケンスを介してである。図23の図解2300を参照すると、受信機STA2 2304は、受信機STA2 2304と、受信機STA2 2304がチャネル測定の実行を望む相手であるSTA、例えば送信機STA1 2302との間で実行される送信ビームフォーミングに基づいて、オポチュニスティックセンシングを実行することができる。NDPA 2306が、オポチュニスティックセンシングを実行するSTAに宛てられている場合、そのSTAは、NDP 2308を用いて計算したCSIを保存することができる。さらに、NDPA 2306が、代わりに他のSTAに宛てられている場合、明示的フィードバック2310からCSIを抽出することができる。
【0047】
第1の実施形態の別の変形形態では、802.11az(レンジング)シーケンスもWLANセンシングに使用することができる。この場合、他のSTAが11azのみをサポートし、11bfをサポートしない場合でも、センシングを実行することができる。両方のSTAが11azおよび11bfをサポートする場合、レンジングおよびセンシングを同時に実行することができる。例えば、図24の図解2400を参照すると、トリガーベースのレンジング2400または非トリガーベースのレンジング2420を、レスポンダSTA(RSTA)2402とイニシエータSTA(ISTA)2404との間のWLANセンシングのために使用することができる。このセットアップでは、NDPをセンシングに使用することができる(例えば、I2R NDP 2408および2416、R2IレンジングNDP 2412、およびR2I NDP 2418)。レスポンダRSTA 2402およびイニシエータISTA 2404の両方がWLANセンシング能力もサポートしている場合、トリガーフレーム(例えばTFレンジングサウンディングフレーム2406)およびNDPA(例えばR2IレンジングNDPAおよびNDPA 2414)を、センシングをサポートするように修正することができる。
【0048】
第2の実施形態によれば、WLANセンシングが正確かつ高い信頼性であるためには、チャネル測定の変動がTxパラメータの変更によるものであり、チャネル条件の変化によるものではないことを受信機が認識するために、送信機がTxパラメータの変更を示すことが重要である。例えば、図25の図解2500を参照すると、ビームフォーミング2508の後に送信されるPPDU 2510は、Txパラメータの変更、チャネルにおける変化などの要因のため、ビームフォーミング前のPPDU 2506とは異なる可能性がある。送信機STA1 2502は、受信機STA2 2504にTxパラメータの変更を示すことができるが、受信機STA2 2504がそのような指示を理解するためには、受信機2504と送信機2502との間でネゴシエーションが必要である。
【0049】
図26を参照すると、オポチュニスティックWLANセンシングをサポートするSTAは、例えば、オポチュニスティックセンシングがサポートされていることを示す1ビット指示2604を使用して、WLANセンシング能力(WLAN Sensing Capability)要素2600内のセンシング能力(Sensing capabilities)フィールド2602においてそのようなサポートを示すことができる。オポチュニスティックWLANセンシングをサポートするSTAの発見は、以下の方法の1つまたはすべてとして実行することができる。
- APは、ビーコン、プローブ応答フレーム、アソシエーション応答フレーム、FILS発見フレームなどにおけるWLANセンシング能力(WLAN Sensing Capability)要素を使用して、自身のオポチュニスティックWLANセンシング能力をアドバタイズすることができる。
- 非AP STAは、プローブ要求フレーム、アソシエーション要求フレームなどのフレームにWLANセンシング能力(WLAN Sensing Capability)要素を含めることによって、自身のオポチュニスティックWLANセンシング能力をアドバタイズすることができる。
【0050】
非AP STAは、同じAPに関連付けられるBSS内の他の非AP STAがオポチュニスティックWLANセンシング能力をサポートするかどうかをTDLSを介して判定することができる。例えば、図27を参照すると、WLANセンシング能力要素2600は、TDLS発見要求/応答フレーム(例えば、STA1 2702からAP 2704を介してSTA2 2706に送信されるTDLS発見要求フレーム2700およびTDLS発見応答フレーム2708)またはTDLSセットアップ要求/応答フレームにおいて伝えることができる。STAは、能力を発見した後、TDLSリンクのセットアップを行う。例えば、センシングのセットアップはSTA間で直接実行され、ダイレクトパスで送信されるPPDUがオポチュニスティックセンシングに使用される。
【0051】
オポチュニスティックWLANセンシング対応STAが発見された後、イニシエータは、別のオポチュニスティックWLANセンシング対応STAにセンシング要求を送信する。ネゴシエーションは、WLANセンシングがオポチュニスティック的に実行される期間を設定する際にも有益である。オポチュニスティックセンシングはまた、スケジューリングされたSPにおいて、オポチュニスティックWLANセンシング対応APとその関連するオポチュニスティックWLANセンシング対応STAとの間で実行することもできる。ネゴシエートされるパラメータは以下とすることができる。
- センシング期間:PPDUがWLANセンシングに使用される期間
- Txパラメータ:Tx電力、帯域幅、PHYフォーマットなど
- 周期性:要求される性能を満たすために、周期的な送信がネゴシエートされるものとする。例えば、WiFiトラフィックは本質的にバースト的であるため、センシングセッション中に送信機が、送信するPPDUを有さないことがある。このような場合、送信機は、センシングセッション中、ネゴシエートされた周期(例えば10ms)でPPDUを受信機に送信する。PPDUはペイロードを伝える、または伝えないことができる。
【0052】
例えば、WiFiでは、トラフィックはバースト的な性質を有することが確認されており、オポチュニスティックWLANセンシングが実行されるように指定された期間中にPPDUが送信されていない場合、送信機は指定された送信レートでNDPなどを送信する。
【0053】
図28は、第2の実施形態によるセンシングセッション2800の図解を示している。センシングセットアップ2806の間、STA 2802からAP 2804に送信されるセットアップ要求2806は、センシング期間、Txパラメータ、フィードバックタイプ、測定ID、および周期性などの様々なパラメータの要求を含むことができる。センシングセッション中、異なるTxパラメータを有する様々な通常のPPDU 2808が存在することがある(例えば、制御フレームまたは管理フレームのPPDUは、データフレームのPPDUとは異なるTxパラメータを使用し得る)。一種のIDを使用して、同じTxパラメータを有するPPDUを識別することができ、例えば、PPDUがセンシングセッションのために使用されることが意図されている場合、「センシングA-controlフィールド」にセットアップIDが含まれる。さらに、オポチュニスティックセンシングのためのセットアップの下でのセンシング測定PPDU 2810は、センシングセットアップの同じセッションにおける以前の通常のPPDU 2808と同じTxパラメータを有するものとする。
【0054】
図29および図30は、それぞれ、第2の実施形態の変形形態によるセンシングセッションの図解2900および図解3000を示している。この変形形態では、センシング測定2914の間に送信されるすべてのフレーム2916は、STA 2902ではなく別のSTAに宛てられたものでもよい。センシングSTA 2902は、他のステーションを宛先とする通常のPPDU 2908を使用することができ、例えば図30を参照して、センシングSTA 3002、3004、および3006は、AP 3010から別のSTA 3008を宛先とするフレームなど、他のSTAのためのPPDUをリッスンすることができる。その場合、センシングセットアップ2906は、AP 2904から別のSTAへのトラフィックを対象に、センシングSTA 2902とAP 2904との間で実行される。センシングセットアップは、オポチュニスティックセンシングの恩恵を増大させるために、このような構成を有利に許容することができる。STA 2902は、センシングセットアップ2906の間に、別のSTAに送信されたPPDUをリッスンし得ることをAP 2904に示すことができる。
【0055】
第2の実施形態によれば、送信機は、ビームフォーミングまたはTxパラメータの変更後、HEリンクアダプテーション(HLA)A-controlフィールド内の1ビット指示を使用して、送信パラメータの変更(存在時)について受信機に示すものとする。図31は、第2の実施形態による例示的なHLA A-controlフィールド3100の図解を示している。1ビット指示は、HLA A-controlフィールド3100の制御情報(Control Information)フィールド3102のビットB25 3104を介して提供することができる。あるいは、受信機にパラメータを示すための新しいA-controlフィールド、例えば「センシングA-controlフィールド」を定義することもできる。受信機は、送信機から送信パラメータの変更の指示を受信すると、図32のチャネル測定プロセス3200に示したようにチャネル測定を実行することができる。
【0056】
チャネル測定プロセス3200はステップ3202から開始され、送信機がTxパラメータの変更を受信機に示す。ステップ3204において、受信機はSPSからのMACフィルタリング手順に従い、受信したPPDUがどのようにフィルタリングされるかを判定する。受信したPPDUがフィルタリングにより除外される場合、プロセスはステップ3206に進み、受信機のMACは、受信したPPDUについてCSIを要請しない。そうでない場合、プロセスは代わりにステップ3208に進み、現在のチャネル測定のランクをベンチマーク測定のランクと比較する。比較されたランクが同じであると判定された場合、プロセスはステップ3210に進み、現在のチャネル測定を使用する。比較されたランクが異なると判定された場合、プロセスはステップ3212に進み、現在の測定の次数をベンチマーク測定の次数と比較する。現在の測定の次数がベンチマーク測定の次数と同じであると判定された場合、プロセスはステップ3214に進み、チャネル測定結果を破棄する。現在の測定の次数がベンチマーク測定の次数よりも大きいと判定された場合、プロセスはステップ3216に進み、チャネル測定からサブセットを抽出する。現在の測定の次数がベンチマーク測定の次数より小さいと判定された場合、プロセスはステップ3218に進み、現在のチャネル測定をセンシングに使用する。
【0057】
閾値ベースのWLANセンシングが実装されている場合、受信機は、Txパラメータ変更ビットが1に設定されているがランクが異なるとき、以下のように閾値検出を実行することを選択することができる。
- 現在のチャネル測定の行列の次数がベンチマーク測定の次数と同じである場合、受信機は測定結果を破棄することができる。
- 現在のチャネル測定結果がベンチマーク測定結果よりも高次の行列である場合、現在のチャネル測定値のサブセットが、閾値と比較するために使用されるTxチェーンおよびアンテナ選択ペアに基づいて抽出されるものとする。このサブセットは正規化チャネル測定値と呼ばれ、閾値を超えているかを判定するために閾値と比較することができる。
- 現在のチャネル測定結果が、前の測定結果よりも低次の行列である場合、現在のチャネル測定値をセンシングに使用する。
【0058】
新しい管理フレーム、例えば、図33のWLANセンシングTxパラメータ指示フレーム3300を定義することができ、このフレームは、Txパラメータの変更時に送信機によって送信することができる。WLANセンシングTxパラメータ指示フレーム3300は、Txパラメータの変更(存在時)を示すためのTx変更指示フィールド3302、チャネルのTx電力を示すためのTx電力フィールド3304、および送信機によって適用されるQ行列を示すためのQ行列フィールド3306を含むことができる。送信機は、ビームフォーミングまたはチャネル条件などに基づいてTxパラメータを適応させるときに、WLANセンシングTxパラメータ指示フレーム3300を送信することができる。このフレームは、送信機がTxパラメータを変更した直後に送信することができる。
【0059】
送信側STAは、パラメータ変更の実行時に、WLANセンシングTxパラメータ指示フレーム3300を使用して新しいパラメータを示すことができる。さらに図34の図解3400を参照すると、送信機STA1 3402は、送信機STA1 3402が送信のために変更した実際のTxパラメータ(Q行列、Tx電力など)3408を受信機STA2 3404に通知することができる。受信機STA2 3404は、送信機STA1 3402から新しいTxパラメータを受信すると、指示のあるPPDU 3406についてチャネル測定を実行し、受信したQ行列の逆行列を取り、それに現在のチャネル測定行列を乗算して、Q行列変更前のチャネルを得ることができる(計算されたチャネル測定値)。計算されたチャネル行列のランクとベンチマーク測定のランクが互いに異なる場合、チャネル測定結果を上位層またはイニシエータに渡す。Tx電力などのパラメータが以前の送信から変更された場合、送信機は、以前の送信から現在の送信へのTx電力の変更を、WLANセンシングTxパラメータ指示フレームの中で示すことができる。変更が後続のPPDUにおいて最適なセンシング電力を上回る場合、受信したPPDU 3406からCSIを抽出しない。最適なセンシング電力は、全送信電力(例えば2.4GHzにおける100mWなど)の50%と定義することができる。これは、センシングセットアップ中にネゴシエートすることができ、アプリケーション固有であってもよい。Tx電力が受信機に既知である場合、現在のTx電力とベンチマークTx電力との差を計算し、要素ごとの現在のチャネル行列が変化する場合、チャネルパラメータに変化があると想定する。
【0060】
第3の実施形態によれば、閾値ベースのセンシングのために、イニシエータは、異なるPPDUフォーマットを使用して複数の閾値を計算し、閾値が、特定のレスポンダに適合するPPDUフォーマットに対応するように、レスポンダに閾値を示すことができる。イニシエータは、異なるPPDUフォーマットに基づいて、PPDUフォーマットに対応する異なる閾値を計算し、それを「WLANセンシング閾値」要素を使用して示すことができる。WLANセンシング閾値要素は、ブロードキャスト/ユニキャストフレームにおいて伝えることができる(実装に依存する)。STAのグループに対して閾値を設定するには、ビーコン、プローブ応答フレームなどのブロードキャストフレームを使用することができる。個々のSTAに対して閾値を設定するために、センシング要求フレームなどの新しい管理フレームを使用することができる。図35の図解3500を参照すると、イニシエータSTA1 3502からレスポンダSTA2 3504に送信されるPPDU 3506および3508の各々は、閾値ベースのセンシングのための閾値計算に使用され得る異なるPPDUフォーマットである。STA2 3504は、STA2 3504に適合するPPDUフォーマットに対応する閾値を使用することができ、これは、例えばこの場合にはPPDU 3506のPPDUフォーマットに対応する閾値である。その結果、PPDU 3506に対応するPPDUフォーマットを有するPPDU(例えばPPDU 3510)は、センシングに使用される閾値に基づいてフィルタリングされる。
【0061】
図36は、第3の実施形態による、NDPを使用する例示的な閾値ベースのセンシング手順3600の図解を示している。閾値の計算中および閾値の測定中にNDPの同じフォーマットを維持するために、送信機STA1 3602は、閾値の計算に使用されるNDP 3606のフォーマット(例えば、NDP内のLTFの数、HT/VHTなどのPPDUフォーマットなど)を保存し、実際のチャネル測定中に閾値を超えたかどうかを検出するために同じフォーマットを使用することができる。したがって、NDP 3606と同じフォーマットを有する次のNDP 3608を閾値の計算に有利に使用することができる。
【0062】
第4の実施形態によれば、送信機がTxパラメータのいずれかを変更したとき、受信機がチャネル測定を適宜実行できるように、送信機は1つの予備ビットを使用して指示を提供することができる。この指示は、ビームフォーミング後のPPDUによって伝えられるフレームにおいて伝えられる。この指示が有効な場合、PPDUはベンチマークPPDUとして使用される。図37は、第4の実施形態による例示的な通常のPPDUフレーム3700の図解を示している。プロトコルバージョン「02」3702は、センシングのために通常のPPDU 3700を使用できることを受信機に示すために送信機によって使用することができる。この指示は、データフレーム、管理フレームなどのMACヘッダにおいて伝えることができる。例えば、この指示は、ビームフォーミングの直後に送信されるフレームにおいて伝えることができる。
【0063】
第5の実施形態によれば、オポチュニスティックセンシング/閾値検出は、図38のセンシングプロセス3800に示したように、例えばビーコン3802などの周期的に送信されるフレームを使用して実行することもできる。条件として、センシングセッションの間、オポチュニスティックセンシングに対応するAPは、センシングが実行される送信パラメータを変更するべきではない。APは、例えば、センシングのためのターゲットウェイトタイム(TWT:target wait time)間隔など、Txパラメータが一定のままである間隔をアナウンスすることができる。
【0064】
したがって、オポチュニスティックWLANセンシングを、送信機を介することなく、または送信機からのTxパラメータ変更指示を伴うことなく、受信機の能力に基づいて行うことができる。さらに、オポチュニスティックWLANセンシングは、受信機のMACフィルタリング規則、WLANセンシングのための特定のPPDUフォーマットを選択するためのPPDUベンチマーキング、送信機からの1ビット指示(1ビット指示によって示されるTxパラメータ変更を有利に補正するために受信機がチャネル測定を実行する)、送信機が管理フレームを使用して新しいTxパラメータを指示すること、および/または、閾値ベースのセンシングにおいてPPDUフォーマットの変化の影響を有利に最小化するために異なるPPDUフォーマットに対して計算される複数の閾値、を伴うことができる。
【0065】
図39は、様々な実施形態による受信機3900の概略図を示している。受信機3900は、センシング測定のために送信機と通信するように構成することができ、閾値モジュール3902を含むことができ、閾値モジュール3902は、閾値ベースのセンシングのための閾値を計算するように構成することができる。閾値モジュール3902はまた、WLANセンシングのための正規化チャネル測定値を計算することができる。受信機3900は、オポチュニスティックセンシングを実行するように構成することのできるセンシングモジュール3904をさらに含むことができる。センシングモジュール3904は、チャネル測定を実行するためのPPDUフォーマットおよび関連情報を記憶するために使用され得る自身の内蔵メモリを有することができ、したがってチャネル測定は、送信機からの指示または送信機が関与することなしに受信機3900によって実行することができる。
【0066】
図40は、様々な実施形態による送信機4000の概略図を示している。送信機4000は、センシング測定のために受信機と通信するように構成することができ、Txパラメータの変更を追跡してセンシングセッション中に受信機、例えば受信機3900に適切な指示を提供するように構成することのできるセンシングモジュール4002を備えることができる。
【0067】
図41は、様々な実施形態による通信方法を示すフロー図4100を示している。ステップ4104において、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信し、第1のPPDUは第1のPPDUのPHYパラメータを示し、第2のPPDUは第2のPPDUのPHYパラメータを示す。ステップ4104において、第1のPPDUと第2のPPDUの比較と、第1のPPDUおよび第2のPPDUのPHYパラメータとに基づいて、第1のPPDUおよび第2のPPDUがセンシングに使用されるかどうかを決定する。
【0068】
図42は、第1~第5の実施形態によるオポチュニスティックWLANセンシングのために実施することのできる通信装置4200の、部分的に枠で囲んだ概略図を示している。通信装置4200は、様々な実施形態に従って、STAまたはAPとして実施することができる。
【0069】
通信装置4200の様々な機能および動作は、階層モデルに従って各層に配置される。このモデルでは、IEEE仕様に従って下位の層が上位の層に報告し、上位の層から指示を受け取る。説明を簡潔にする目的で、本開示では階層モデルの詳細については説明しない。
【0070】
図42に示したように、通信装置4200は、回路4214と、少なくとも1つの無線送信機4202と、少なくとも1つの無線受信機4204と、複数のアンテナ4212とを含むことができる(簡潔さを目的として、図42では説明を目的として1つのアンテナのみが描かれている)。回路は、少なくとも1つのコントローラ4206を含むことができ、コントローラ4206は、無線ネットワーク内の1つ以上の他のデバイスとの通信の制御を含む、実行するように設計されたタスクをソフトウェアおよびハードウェアの支援下で実行するために使用される。少なくとも1つのコントローラ4206は、少なくとも1つの無線送信機4202を介して1つ以上の他のSTAまたはAPに送信されるフレームを生成するための少なくとも1つの送信信号生成器4208と、1つ以上の他のSTAまたはAPから少なくとも1つの無線受信機4204を介して受信されたフレームを処理するための少なくとも1つの受信信号処理器4210とを制御することができる。少なくとも1つの送信信号生成器4208および少なくとも1つの受信信号処理器4210は、上述した機能のために少なくとも1つのコントローラ4206と通信する、通信装置4200の独立したモジュールとすることができる。あるいは、少なくとも1つの送信信号生成器4208および少なくとも1つの受信信号処理器4210を、少なくとも1つのコントローラ4206に含めることができる。これらの機能モジュールの配置は柔軟であり、実際のニーズおよび/または要件に応じて変化してもよいことが当業者には理解されるであろう。データ処理装置、記憶装置、および他の関連する制御装置は、適切な回路基板上および/またはチップセットに設けることができる。
【0071】
様々な実施形態において、動作中に、少なくとも1つの無線送信機4202、少なくとも1つの無線受信機4204、および少なくとも1つのアンテナ4212は、少なくとも1つのコントローラ4206によって制御することができる。さらに、1つの無線送信機4202のみが示されているが、複数のそのような送信機が存在し得ることが理解されよう。
【0072】
様々な実施形態において、動作中に、少なくとも1つの無線受信機4204は、少なくとも1つの受信信号処理器4210と共に、通信装置4200の受信機を形成する。通信装置4200の受信機は、動作中に、センシング動作に必要な機能を提供する。1つの無線受信機4204のみが示されているが、複数のそのような受信機が存在し得ることが理解されよう。
【0073】
通信装置4200は、動作中に、オポチュニスティックWLANセンシングに必要な機能を提供する。例えば、通信装置4200は第1の通信装置とすることができる。受信機4204は、動作中に、第1のPPDUおよび第2のPPDUを受信することができ、第1のPPDUは第1のPPDUのPHYパラメータを示し、第2のPPDUは第2のPPDUのPHYパラメータを示す。回路4214は、動作中に、第1のPPDUと第2のPPDUとの間の比較と、第1のPPDUと第2のPPDUのPHYパラメータとに基づいて、第1のPPDUのPHYパラメータと第2のPPDUのPHYパラメータとがセンシングに使用されるかどうかを決定することができる。
【0074】
受信機4204は、第1の期間において第1のPPDUを受信し、第2の期間において第2のPPDUを受信するようにさらに構成することができ、第2の期間は第1の期間の後であり、回路4214は、第1のPPDUおよび第2のPPDUが同じPPDUフォーマットを有するという判定に基づいて、センシングのために第2のPPDUを使用するようにさらに構成することができる。受信機4204は、第1の期間において第1のPPDUを受信し、第2の期間において第2のPPDUを受信するようにさらに構成することができ、第2の期間は第1の期間の後であり、回路4214は、第1のPPDUのPHYパラメータを保存し、第2のPPDUが第1のPPDUのPHYパラメータと同じPHYパラメータを有する場合に、第2のPPDUのCSIを抽出するようにさらに構成することができる。第1のPPDUは、第1のPPDUの送信パラメータをさらに示すことができ、第2のPPDUは、第2のPPDUの送信パラメータをさらに示すことができ、PPDUの送信パラメータは、Q行列、受信送信(Tx)電力、受信信号強度インジケータ(RSSI:Received Signal Strength Indicator)、ロングトレーニングフィールド(LTF)の数、および空間ストリームの数のうちの少なくとも1つを含む。
【0075】
回路4214は、PPDUフォーマット、または、LTF数、空間ストリーム数、およびRSSIを含むPHYパラメータに基づいて、ベンチマークPPDUを決定するようにさらに構成することができる。第1のPPDUはベンチマークPPDUとすることができ、回路4214は、ベンチマークPPDUに関連する情報を記憶し、第2のPPDUのPPDUフォーマットを記憶された情報と比較し、比較に基づいて、チャネル測定を実行するかどうかを決定するように、さらに構成することができる。記憶される情報は、ベンチマークPPDUに関連するCSI行列、空間ストリーム数、送信アンテナ数、帯域幅、およびRSSIを含むことができる。第2のPPDUはCSI行列をさらに含むことができ、回路4214は、ベンチマークPPDUからの記憶されたCSI行列のランクを計算し、第2のPPDUのCSI行列のランクを、記憶されたCSI行列の計算されたランクと比較するように、さらに構成することができる。回路4214は、比較により、記憶されたCSI行列のランクと第2のPPDUのCSI行列のランクとが同じであることが示された場合、第2のPPDUのCSI行列を上位層に転送するようにさらに構成することができる。
【0076】
第1の通信装置4200は、第2の通信装置とのチャネル測定を実行するようにさらに構成することができ、チャネル測定は、第2の通信装置から第3の通信装置に送信されるPPDUに基づくことができる。第1の通信装置は、第2の通信装置から送信される周期的な送信に基づいてチャネル測定を実行するようにさらに構成することができる。
【0077】
さらに、通信装置4200は、第2の通信装置とすることができる。回路4214は、動作中、送信パラメータの変更を示すPPDUを生成することができる。送信機4202は、動作中、PPDUおよび送信パラメータの示された変更に基づいてチャネル測定を実行できるように、PPDUを第1の通信装置に送信することができる。
【0078】
送信機4202は、実際の送信パラメータを示す別のPPDUを第1の通信装置に送信するようにさらに構成することができ、チャネル測定は、実際の送信パラメータおよび送信パラメータの示された変更に基づくことができる。回路4214は、別のPPDUを非ビームフォーミングPPDUとして設定するようにさらに構成することができる。回路4214は、閾値計算フェーズ中にヌルデータパケット(NDP)フォーマットを記憶するようにさらに構成することができ、送信機4202は、センシングセッションのために、記憶されたNDPフォーマットと同じNDPフォーマットを有するNDPを第1の通信装置に送信するようにさらに構成することができる。PPDUは、PPDUの媒体アクセス制御(MAC)ヘッダにおいて送信パラメータの変更を示すことができる。
【0079】
本開示は、ソフトウェアによって、ハードウェアによって、またはハードウェアと協働するソフトウェアによって、実施することができる。上述した各実施形態の説明において使用されている各機能ブロックは、その一部または全体を、集積回路などのLSIによって実施することができ、各実施形態において説明した各プロセスは、その一部または全体を、同じLSIまたはLSIの組合せによって制御することができる。LSIは、複数のチップとして個別に形成する、または、機能ブロックの一部またはすべてが含まれるように1個のチップを形成することができる。LSIは、自身に結合されたデータ入出力部を含むことができる。LSIは、集積度の違いに応じて、IC、システムLSI、スーパーLSI、またはウルトラLSIとも称される。しかしながら、集積回路を実施する技術は、LSIに限定されず、専用回路、汎用プロセッサ、または専用プロセッサを使用することによって実施することができる。さらには、LSIの製造後にプログラムすることのできるFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ:Field Programmable Gate Array)や、LSI内部に配置されている回路セルの接続および設定を再設定できるリコンフィギャラブルプロセッサ(reconfigurable processor)を使用することもできる。本開示は、デジタル処理またはアナログ処理として実施することができる。半導体技術または別の派生技術が進歩する結果として、将来の集積回路技術がLSIに置き換わる場合、その将来の集積回路技術を使用して機能ブロックを集積化することができる。バイオテクノロジを応用することもできる。
【0080】
本開示は、通信デバイスと呼ばれる、通信の機能を有する任意の種類の装置、デバイス、またはシステムによって実施することができる。
【0081】
通信装置は、送受信機と、処理/制御回路とを備えることができる。送受信機は、受信機および送信機を含む、および/または、受信機および送信機として機能することができる。送信機および受信機としての送受信機は、増幅器、RF変調器/復調器などを含むRF(無線周波数)モジュールと、1つ以上のアンテナとを含むことができる。
【0082】
このような通信デバイスの非限定的ないくつかの例としては、電話(例:携帯電話、スマートフォン)、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)(例:ラップトップ、デスクトップ、ノートブック)、カメラ(例:デジタルスチル/ビデオカメラ)、デジタルプレイヤー(デジタルオーディオ/ビデオプレイヤー)、ウェアラブルデバイス(例:ウェアラブルカメラ、スマートウォッチ、トラッキングデバイス)、ゲームコンソール、電子書籍リーダー、遠隔医療/テレメディシン(リモート医療・医薬)デバイス、通信機能を提供する車両(例:自動車、飛行機、船舶)、およびこれらのさまざまな組合せ、が挙げられる。
【0083】
通信デバイスは、携帯型または可搬型に限定されず、非携帯型または据え付け型である任意の種類の装置、デバイス、またはシステム、例えば、スマートホームデバイス(例:電化製品、照明、スマートメーター、制御盤)、自動販売機、および「モノのインターネット(IoT:Internet of Things)」のネットワーク内の任意の他の「モノ」なども含むことができる。
【0084】
通信は、例えばセルラーシステム、無線LANシステム、衛星システム、およびこれらのさまざまな組合せを通じて、データを交換することを含むことができる。
【0085】
通信デバイスは、本開示の中で説明した通信の機能を実行する通信装置に結合されたコントローラまたはセンサなどの装置を備えることができる。例えば、通信デバイスは、通信デバイスの通信機能を実行する通信装置によって使用される制御信号またはデータ信号を生成するコントローラまたはセンサ、を備えていることができる。
【0086】
通信デバイスは、インフラストラクチャ設備、例えば、上の非限定的な例における装置等の装置と通信する、またはそのような装置を制御する基地ステーション、アクセスポイント、および任意の他の装置、デバイス、またはシステムなどを、さらに含むことができる。
【0087】
ステーションの非限定的な例は、マルチリンクステーション論理エンティティ(すなわちMLDなど)に属する第1の複数のステーションに含まれるステーションであってもよく、第1の複数のステーションのうちのステーションは、マルチリンクステーション論理エンティティに属する第1の複数のステーションの一部として、上位層への共通の媒体アクセス制御(MAC)データサービスインターフェースを共有し、共通のMACデータサービスインターフェースは共通のMACアドレスまたはトラフィック識別子(TID)に関連付けられる。
【0088】
このように、本実施形態は、オポチュニスティックWLANセンシングに対応する通信装置および通信方法を提供することを理解できる。
【0089】
本発明の実施形態のここまでの詳細な説明では、例示的な実施形態を提示してきたが、膨大な数の変形形態が存在することを理解されたい。さらに、例示的な実施形態は例であり、本開示の範囲、適用性、動作、または構成を何ら制限するようには意図していないことを理解されたい。むしろ、ここまでの詳細な説明は、例示的な実施形態を実施するための便利な指針を当業者に提供するものである。例示的な実施形態に記載された動作のステップおよび方法の機能および編成と、例示的な実施形態に記載されたデバイスのモジュールおよび構造には、添付の請求項に記載されている主題の範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
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図17
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図31
図32
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図36
図37
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図39
図40
図41
図42
【国際調査報告】