(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】外科用インプラントの支持部の管理
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514425
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 IB2022057666
(87)【国際公開番号】W WO2023052862
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】イーンホゥイ ウー
(72)【発明者】
【氏名】ハーレン ホアン
(72)【発明者】
【氏名】ネレーア ガルシア ラミラ
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097MM09
4C097SA10
(57)【要約】
眼内レンズ又は他のインプラントを、眼内の様々な位置に挿入する前に、多様な外科的手法を用いて折り畳むために使用することができる装置。いくつかの実施形態は、光学部がノズル内へと折り畳まれる前に1つ以上の支持部を光学部の頂部上に折り畳むように構成された支持部折り畳み機構を含み得る又はそのような支持部折り畳み機構から本質的になり得る。いくつかの実施形態では、前方支持部リフター即ち持ち上げ機構(125)は、インプラント送達中に前方支持部(245)を上げて拘束するように構成され得る。この前方支持部折り畳み機構(125)は、前方支持部(245)を光学部(240)の頂部上に能動的に持ち上げることができる。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科手術用の装置であって、
インプラント区画と、
前記インプラント区画内に配置されるインプラントであって、前記インプラントは、光学体と、前方支持部と、後方支持部とを含む、インプラントと、
リフターアームと、前記リフターアームに結合されたレバーアームとを含む支持部リフターであって、前記レバーアームは、前記リフターアームを前記インプラント区画内で第1の位置から第2の位置に回転させるように構成されており、前記リフターアームは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記前方支持部に係合し、前記前方支持部を前記光学体に対して持ち上げるように構成されている、支持部リフターと、を含む、装置。
【請求項2】
前記支持部リフターは、前記リフターアームが前記第1の位置にある場合、前記インプラント区画内で前記インプラントを保持するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リフターアームは、前記インプラント区画内で前記インプラントを前記第1の位置に保持するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記レバーアームは、前記リフターアームを前記第1の位置から約90度回転させるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記レバーアームは、前記リフターアームを前記第1の位置から90度未満回転させるように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記レバーアームは、前記リフターアームを前記第1の位置から約10~20度回転させるように構成されている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の位置において、前記リフターアームは、前記インプラント区画のベースに接触している、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記リフターアームは、支持部拘束部を有する遠位端を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記レバーアームは、前記リフターアームを前記第1の位置に保持するように構成された第1の移動止めを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記レバーアームは、前記リフターアームを前記第2の位置に保持するように構成された第2の移動止めを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記後方支持部を前記光学体の上に折り畳むように構成された遠位端を有するプランジャを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記リフターアームが前記第2の位置にある状態で、前記前方支持部下に前記光学体を前進させるように構成されたプランジャを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プランジャは、前記前方支持部が前記リフターアームから解放されて前記光学体上に落下するまで前記光学体を前進させるように構成されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
眼科手術用の装置であって、
ノズルと、
前記ノズルに結合されたインプラント区画であって、前記インプラント区画は、ベースと、前記ベースに結合されて前記インプラント区画内に空洞を形成するキャップと、保持クリップとを含む、インプラント区画と、
前記空洞内に配置されるインプラントであって、前記インプラントは、光学体と、前方支持部と、後方支持部とを含む、インプラントと、
リフターアームと、レバーアームと、前記リフターアームと前記レバーアームとの間のピンとを含む支持部リフターであって、前記支持部リフターは、前記リフターアームが少なくとも部分的に前記空洞内に配置されるように前記キャップを通して配置され、前記レバーアームは、前記インプラント区画の外部に少なくとも部分的に露出し、前記保持クリップは前記ピンに係合し、前記支持部リフターは、前記リフターアームを第1の位置から第2の位置に移動させるために前記ピンの周りで回転可能であり、前記リフターアームは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記前方支持部に係合し、前記前方支持部を前記光学体に対して持ち上げるように構成されている、支持部リフターと、
前記ベースに結合されたアクチュエータであって、前記アクチュエータは、前記リフターアームが前記第2の位置にある状態で、前記インプラントを前記インプラント区画から前記ノズル内に前進させるように構成されている、アクチュエータと、を含む、装置。
【請求項15】
前記リフターアームは、前記リフターアームが前記第1の位置にある場合、前記インプラント区画内で前記光学体を保持するように構成されている、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記リフターアームは、前記リフターアームが前記第1の位置にある場合、前記インプラント区画内で前記光学体を保持するように構成されている光学体停止部を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記アクチュエータは、前記後方支持部を前記光学体の上に折り畳むように構成された遠位端を有するプランジャを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記アクチュエータは、前記リフターアームが前記第2の位置にある状態で、前記前方支持部下に前記光学体を前進させるように構成されたプランジャを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記アクチュエータはプランジャを含み、前記プランジャは、前記後方支持部を前記光学体の上に折り畳むように構成された遠位端を有し、前記リフターアームが前記第2の位置にある状態で、前記前方支持部下に前記光学体を前進させる、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記アクチュエータはプランジャを含み、前記プランジャは、前記後方支持部を前記光学体の上に折り畳むように構成された遠位端を有し、前記前方支持部が前記リフターアームから解放されて前記光学体上に落下するまで、前記リフターアームが前記第2の位置にある状態で、前記前方支持部下に前記光学体を前進させる、請求項14に記載の装置。
【請求項21】
光学体と前記光学体に結合された前方支持部とを有する眼内レンズを管理するための装置であって、
ベースと、
前記ベースに結合されたキャップであって、前記眼内レンズを保持するための空洞を形成するキャップと、
ピンと、
前記ピンを前記キャップに回転自在に結合するように構成された保持クリップと、
前記ピンに結合されたリフターアームであって、前記リフターアームが少なくとも部分的に前記ベースと前記キャップとの間に配置されるように少なくとも部分的に前記キャップを通して配置されているリフターアームと、
前記ピンに結合され、前記キャップの上方に少なくとも部分的に露出するレバーアームであって、前記レバーアームは、前記リフターアームを第1の位置から第2の位置に回転させるために前記ピンを移動させるように構成されている、レバーアームと、を含み、
前記リフターアームは、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記前方支持部に係合し、前記前方支持部を前記光学体に対して持ち上げるように構成されている、装置。
【請求項22】
実質的に本明細書に記載されたシステム、装置、及び方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、発明者がYinghui Wu、Harlen Hoang及びNerea Garcia Ramilaである、2021年9月30日に出願された「HAPTIC MANAGEMENT FOR SURGICAL IMPLANTS」という名称の米国仮特許出願第63/250,467号の優先権の利益を主張するものであり、その全体は、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載される本発明は、概して、眼科手術に関し、眼内にインプラントを挿入するためのシステム、装置、及び方法を含むがこれらに限定されない。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、軽度の劣化から視力の完全な喪失までを引き起こす様々な疾患に罹患する可能性がある。コンタクトレンズ及び眼鏡は一部の疾患を補うことができるが、他の場合には眼科手術が必要になることがある。いくつかの例では、インプラントが有益である又は望ましい場合がある。例えば、眼内レンズは、眼内の濁った天然水晶体に取って代わり、視力を改善することができる。
【0004】
眼内レンズ及び他のインプラントの利点は既知であるが、送達システム、構成要素及びプロセスの改善は、結果を改善し、患者に利益をもたらすために継続されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼科手術のための新規且つ有用なシステム、装置、及び方法を添付の特許請求の範囲に記載する。特許請求の対象を当業者が作製及び使用することを可能にするために、例示的な実施形態も提供する。
【0006】
例えば、いくつかの実施形態は、眼内レンズ又は他の光学インプラントを、眼内の様々な位置に挿入する前に、多様な外科的手法を用いて、折り畳み、圧縮するために使用され得る。そのような実施形態は、光学部がノズル内へと折り畳まれる前に1つ以上の支持部を光学部の頂部上に折り畳むように構成された支持部折り畳み機構を含み得る又はそのような支持部折り畳み機構から本質的になり得る。
【0007】
いくつかの実施形態では、前方支持部リフター即ち持ち上げ機構は、インプラント送達中に前方支持部を上げて拘束するように構成され得る。この前方支持部折り畳み機構は、前方支持部を能動的に持ち上げて、光学部の頂部上に落下させることができる。
【0008】
より一般的には、眼科手術用の装置のいくつかの実施形態は、インプラント区画と、インプラント区画内に配置されるインプラントと、支持部リフターとを含み得る。インプラントは、光学体と、前方支持部と、後方支持部とを含み得、支持部リフターは、リフターアーム及びレバーアームを含み得る。レバーアームは、リフターアームをインプラント区画内で第1の位置から第2の位置に回転させるように構成され得る。リフターアームは、第1の位置と第2の位置との間で前方支持部に係合し、前方支持部を光学体に対して持ち上げるように構成され得る。より具体的な実施形態では、リフターアームは、インプラント区画内でインプラントを第1の位置に保持するように構成され得る。装置のいくつかの実施形態は、リフターアームが第2の位置にある状態で、前方支持部下に光学体を前進させるように構成されたプランジャを更に含み得る。
【0009】
他の実施形態では、装置は、ノズルと、ノズルに結合されたインプラント区画とを含み得る。インプラント区画は、ベースと、ベースに結合されてインプラント区画内に空洞を形成するキャップと、保持クリップとを含み得る。眼内レンズなどのインプラントは、ベースとキャップとの間に配置され得る。インプラントは、光学体と、前方支持部と、後方支持部とを含み得る。装置は、リフターアームと、レバーアームと、リフターアームとレバーアームとの間のピンとを有する支持部リフターを更に含み得る。支持部リフターは、リフターアームが少なくとも部分的にベースとキャップとの間に配置されるようにキャップを通して配置され得、レバーアームは、インプラント区画の外部に少なくとも部分的に露出する。保持クリップは、支持部リフターが、リフターアームを第1の位置から第2の位置に移動させるためにピンの周りで回転可能であるようにピンに係合してもよく、リフターアームは、第1の位置と第2の位置との間で前方支持部に係合し、前方支持部を光学体に対して持ち上げるように構成され得る。アクチュエータは、ベースに結合され得、リフターアームが第2の位置にある場合に、インプラントをインプラント区画からノズル内に前進させるように構成され得る。
【0010】
他の実施形態では、眼内レンズ又は他のインプラントを管理するための装置は、ベースと、ベースに結合されたキャップであって、ベースとキャップとの間に眼内レンズを保持するための空洞を形成するキャップとを含み得る。装置は、ピンと、ピンをキャップに回転自在に結合するように構成された保持クリップとを更に含み得る。リフターアームは、ピンに結合され、ベースとキャップとの間の空洞に少なくとも部分的に配置され得、レバーアームは、ピンに結合され、キャップの上方に少なくとも部分的に露出し得る。レバーアームは、リフターアームを第1の位置から第2の位置に回転させるためにピンを移動させるように構成され得、リフターアームは、リフターアームが第1の位置から第2の位置に移動する際に眼内レンズの前方支持部に係合するように構成され得、これにより、前方支持部を眼内レンズの光学体に対して持ち上げることができる。
【0011】
いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素、及び態様はまた、省略すること、組み合わせること、又は代替的な特徴に置換することができる。他の特徴、目的、利点、並びに特許請求の対象を作製及び使用する好ましい態様は、例示的な実施形態の添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0012】
添付図面は、いくつかの目的、利点並びに特許請求の対象のいくつかの実施形態を作製及び使用する好ましい態様を示す。例において、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】眼内にインプラントを送達するための例示的な装置の等角図である。
【
図4B】第2の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図4C】第3の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図4D】第4の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図4E】第5の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図5】眼内にインプラントを送達するための装置の別の例の等角図である。
【
図8B】第2の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図8C】第3の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図8D】第4の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図8E】第5の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
【
図9A-9B】眼にインプラントを送達するための装置の例示的な使用を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の例示的な実施形態の記載は、添付の特許請求の範囲に記載される対象を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既に公知の特定の詳細は省略する場合がある。したがって、以下の詳細な説明は、例示的なものであり、限定的なものではないものと解釈される。
【0015】
例示的な実施形態は、添付図面に描かれた様々な要素間の空間的関係又は様々な要素の空間的方向を参照して本明細書に記載されることもある。一般に、そのような関係又は方向は、インプラントを受け入れる姿勢にある患者に一致する又はこれに対する座標系を想定する。しかしながら、当業者には理解されるように、この座標系は、厳密な規定ではなく、単に記述的な便宜上のものである。
【0016】
図1は、眼内にインプラントを送達することができる装置100の一例の等角図である。いくつかの実施形態では、装置100は2つ以上のモジュールを含み得、これらのモジュールは、保管、組み立て、使用及び廃棄のために、適宜、結合及び分離されるように構成することができる。例えば、
図1に示されるように、装置100のいくつかの実施形態は、ノズル105と、ノズル105に結合されたインプラント区画110と、インプラント区画110に結合されたアクチュエータ115とを含み得る。
【0017】
ノズル105は、概して、切開を通した眼への挿入用に適合された先端120を含む。先端120の大きさは、必要に応じて、外科的要件及び外科的手法に適合され得る。例えば、治癒時間を短縮又は最小化するために、小さい切開が一般に好ましい。いくつかの例では、3ミリメートル未満の切開が好ましいことがあり、いくつかの実施形態では、ノズル105の先端120は、3ミリメートル未満の幅を有し得る。
【0018】
インプラント区画110は、概して、眼内への送達前にインプラントを格納するのに適した多様な装置を表す。いくつかの実施形態では、インプラント区画110は、追加的又は代替的に、送達のためにインプラントを準備するように構成され得る。例えば、インプラント区画110のいくつかの実施形態は、アクチュエータ115のその後の動作による送達のためにインプラントを準備するように、外科医又は他のオペレータによって作動されるように構成され得る。いくつかの例では、インプラント区画110は、インプラントをノズル105内に前進させる前にインプラントの特徴を能動的に変形、伸長、拡張、又は他の手法で操作するように構成され得る。例えば、インプラント区画110は、眼内レンズの支持部などの1つ以上の特徴を持ち上げる又は折り畳むように構成され得る支持部リフター125を含み得る。
【0019】
アクチュエータ115は、概して、インプラントをインプラント区画110からノズル105に、その後、ノズル105から切開を通して眼内に前進させるように構成されている。
図1の例では、アクチュエータ115は、ハウジング130及びプランジャ135を含む。
【0020】
概して、装置100の構成要素は、直接的又は間接的に結合され得る。例えば、ノズル105は、インプラント区画110に直接結合され得、インプラント区画110を介してアクチュエータ115に間接的に結合され得る。結合は、流体的、機械的、熱的、電気的若しくは化学的結合(化学的付着など)、又はいくつかの状況では結合のいくつかの組み合わせを含み得る。例えば、インプラント区画110は、アクチュエータ115に機械的に結合され得、ノズル105に機械的及び流体的に結合され得る。いくつかの実施形態では、構成要素は、物理的近接、単一構造体に対する一体化、又は同一材料片からの形成によっても結合され得る。
【0021】
図2は、
図1の装置100の分解図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、
図2のインプラント区画110は、ベース205と、ベース205に結合され得るキャップ210とを含む。ベース205は、いくつかの例では、アクチュエータ115から延び得る、又はアクチュエータ115に結合され得る。
図2に示すように、キャップ210のいくつかの実施形態は、1つ以上の保持クリップ215を含み得る。支持部リフター125のいくつかの実施形態は、
図2に示されるように、リフターアーム220及びレバーアーム225を含み得る。レバーアーム225は、リフターアーム220に結合され得る。
図2の例では、支持部リフター125は、リフターアーム220とレバーアーム225との間にピン230を更に含む。リフターアーム220は、保持クリップ215がピン230に係合することができるように、キャップ210の開口(
図2に不図示)を通して挿入され得る。
【0022】
インプラント235は、ベース205とキャップ210との間に配置され得る。
図2の例では、インプラント235は、光学体240を有する眼内レンズである。いくつかの例では、光学体240は、眼の天然の水晶体の形状に類似した形状を有し得る。好適な材料の例としては、シリコーン、アクリル、及びそのような好適な材料の組み合わせが挙げられ得る。インプラント235はまた、前方支持部245及び後方支持部250などの、眼内で光学体240を位置決めするための1つ以上の特徴を含み得る。
図2の例では、前方支持部245と後方支持部250は、光学体240の反対の側面から延びる。いくつかの例では、インプラント235は、流体充填式調節型眼内レンズなど、流体が充填され得る。
【0023】
図3は、線3-3に沿って取られた
図1の装置100の断面図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。
図3の例に示されるように、インプラント235は、最初に、インプラント区画110内に格納され得る。プランジャ135の少なくとも一部分は、ハウジング130内に配置され得る。いくつかの実施形態では、プランジャ135の少なくとも一部分は、インプラント区画110内に延び得る。いくつかの実施形態では、プランジャ135の遠位端は、インプラント区画110内のインプラント235に係合するように構成され得る。
【0024】
図4Aは、
図3の装置100の詳細図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、キャップ210は、ベース205に結合されて、キャップ210とベース205との間のインプラント区画110内に空洞を形成し得る。
図4Aの支持部リフター125は、リフターアーム220が少なくとも部分的にインプラント区画110内の、ベース205とキャップ210との間の空洞内に配置されるようにキャップ210を通して配置され、レバーアーム225は、インプラント区画110の外部に少なくとも部分的に露出する。いくつかの例では、リフターアーム220の第1の位置は、インプラント区画110内でインプラント235を保持するように構成され得る。より具体的な例では、リフターアーム220は、第1の位置において、インプラント区画110からノズル105へのインプラント235の移動を制限又は防止するように構成され得る。
図4Aでは、例えば、リフターアーム220は第1の位置で示されており、この位置では、リフターアーム220がインプラント区画110内でインプラント235を保持することを可能にするために、遠位端405が光学体240とノズル105との間でベース205に接触している。
【0025】
いくつかの実施形態では、支持部リフター125は、リフターアーム220を第1の位置に保持するように構成された移動止め機構を更に含み得る。例えば、
図4Aの支持部リフター125は、レバーアーム225に結合された移動止めアーム410を含む。
図4Aの例の移動止めアーム410は、キャップ210に係合するように構成されている。より具体的には、
図4Aの移動止めアーム410は、キャップ210の開口415に挿入されるように構成されている。移動止めアーム410は、リフターアーム220が第1の位置にある場合に支持部リフター125の回転を防止するように構成され得る少なくとも第1の移動止め420を有してもよい。例えば、第1の移動止め420は、開口415に載り、リフターアーム220をベース205に対して付勢し得る、又は第1の移動止め420は、開口415内に挿入されて回転を拘束し得る。
【0026】
図4Bは、第2の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、レバーアーム225は、インプラント区画110内でリフターアーム220を
図4Aの第1の位置から
図4Bに示される第2の位置に移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、例えば、支持部リフター125は、支持部リフター125のピン230(
図4Bに不図示)の周りを回転するように構成され得る。
図4Bの例では、キャップ210の保持クリップ215はピン230に係合し、支持部リフター125の動きをピン230の周りでの回転に実質的に拘束することができる。結果的に、レバーアーム225に加えられる力により、リフターアーム220をピン230の周りで
図4Aの第1の位置から
図4Bの第2の位置に回転させることができる。いくつかの例では、回転角は、90度未満であり得る。より具体的な例では、回転角は、約10度~約20度の範囲内であり得る。いくつかの実施形態では、約16度の回転角が有利な場合がある。
【0027】
図4Bの例に示されるように、リフターアーム220は、リフターアーム220が第1の位置と第2の位置との間で移行する際に前方支持部245に係合するように構成され得る。リフターアーム220が第2の位置に移動する際、リフターアーム220は、
図4Bの例に示されるように、光学体240に対して前方支持部245の遠位部を、キャップ210に向けて持ち上げることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、移動止めアーム410は、少なくとも第2の移動止め425を有し得る。第2の移動止め425は、リフターアーム220が第2の位置にある場合に、支持部リフター125の回転を防止するように構成され得る。例えば、レバーアーム225に加えられる力により、リフターアーム220が第2の位置に回転する際に第2の移動止め425を開口415内に移動させることができ、したがって、戻り回転を拘束することができる。
【0029】
図4Cは、第3の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。リフターアーム220が第2の位置にあり、前方支持部245が光学体240に対して持ち上げられた状態で、プランジャ135をインプラント区画110に向けて前進させ、
図4Cに示されるように、光学体240の上に後方支持部250を折り畳むことができる。
【0030】
図4Dは、第4の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
図4Cに示すように、前方支持部245が持ち上げられ、後方支持部が折り畳まれた状態で、プランジャ135の遠位端をインプラント区画110を通して前進させてもよい。プランジャ135の前進により、光学体240もノズル105に向けて前進させることができる。いくつかの実施形態では、リフターアーム220は、第2の位置において、キャップ210に向けて前方支持部245にわずかな圧力を加えてもよく、これにより、
図4Cに示されるように、その下で光学体240を前進させる際に、前方支持部245の側方移動に対する抵抗を提供することができる。いくつかの実施形態では、支持部拘束部は、前方支持部245の側方移動を拘束するために、リフターアーム220又はキャップ210に結合され得る。例えば、支持部拘束部は、リフターアーム220若しくはキャップ210上若しくは内の溝、切欠部、突起、又はキャッチを含み得る、又はこれらから本質的になり得る。
【0031】
図4Eは、第5の構成における、
図4Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
図4Eの例では、光学体240は、前方支持部245がリフターアーム220から解放され、光学体240の頂部上に落下するまで、プランジャ135によって前進させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、光学体240の前進により、前方支持部245の遠位端がリフターアーム220から光学体240上に引き抜かれるまで前方支持部245に張力を生じさせることができる。プランジャ135を更に前進させて、インプラント235が先端120を通って排出されるまで、折り畳まれた構成のインプラント235をノズル105内の送達ルーメン430を通して移動させることができる。
【0032】
図5は、装置100の別の例の等角図である。
図5の装置100は、ノズル105と、ノズル105に結合されたインプラント区画110と、インプラント区画110に結合されたアクチュエータ115とを含み得る。
図5はまた、支持部リフター125の別の例を示す。
【0033】
図6は、
図5の装置100の分解図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、
図6のインプラント区画110は、ベース205及びキャップ210を含む。
図6はまた、保持クリップ215、リフターアーム220、及びレバーアーム225の他の例を示す。
図6の例では、保持クリップ215は、ピン230に結合されており、ピン230は、リフターアーム220及びレバーアーム225に結合されている。リフターアーム220は、保持クリップ215がキャップ210に係合することができるように、キャップ210の開口(
図6に不図示)を通して挿入され得る。
【0034】
インプラント235は、ベース205とキャップ210との間に配置され得る。
図6の例では、インプラント235は、光学体240と、前方支持部245と、後方支持部250とを有する眼内レンズの別の例である。いくつかの例では、インプラント235は、流体充填式調節型眼内レンズなど、流体が充填され得る。
【0035】
図7は、線7-7に沿って取られた
図5の装置100の断面図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。
図7の例に示されるように、インプラント235は、最初に、インプラント区画110内に格納され得る。プランジャ135の少なくとも一部分は、ハウジング130内に配置され得る。いくつかの実施形態では、プランジャ135の少なくとも一部分は、インプラント区画110内に延び得る。いくつかの実施形態では、プランジャ135の遠位端は、インプラント区画110内のインプラント235に係合するように構成され得る。
【0036】
図8Aは、
図7の装置100の詳細図であり、いくつかの実施形態に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、
図8Aの支持部リフター125は、リフターアーム220が少なくとも部分的にインプラント区画110内の、ベース205とキャップ210との間に配置されるようにキャップ210を通して配置され、レバーアーム225は、インプラント区画110の外部に少なくとも部分的に露出する。いくつかの例では、リフターアーム220の第1の位置は、インプラント区画110内でインプラント235を保持するように構成され得る。より具体的な例では、リフターアーム220は、リフターアーム220が第1の位置にある場合にインプラント区画110からノズル105へのインプラント235の移動を制限又は防止するように構成され得る光学体停止部805を含み得る。
図8Aでは、例えば、リフターアーム220は第1の位置で示されており、この位置では、光学体停止部805がインプラント区画110内でインプラント235を保持することを可能にするために、遠位端405が光学体240とノズル105との間でベース205に隣接又は接触している。
【0037】
図8Aの移動止めアーム410は、レバーアーム225に結合されており、キャップ210に係合するように構成されている。より具体的には、
図8Aの移動止めアーム410は、リフターアーム220が第1の位置にある場合、キャップ210の開口415に挿入され、支持部リフター125の回転を防止するように構成されている。例えば、移動止めアーム410は、回転を拘束するために開口415に挿入され得る。
【0038】
図8Bは、第2の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。例えば、レバーアーム225は、インプラント区画110内でリフターアーム220を
図8Aの第1の位置から
図8Bに示される第2の位置に移動させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、例えば、支持部リフター125は、ピン230の周りを回転するように構成され得る。
図8Bの例では、保持クリップ215(
図8Bに不図示)はキャップ210に係合し、支持部リフター125の動きをピン230の周りでの回転に実質的に拘束することができる。結果的に、レバーアーム225に加えられる力により、開口415から移動止めアーム410を解放し、リフターアーム220をピン230の周りで
図8Aの第1の位置から
図8Bの第2の位置に回転させることができる。いくつかの例では、回転角は、約90度であり得る。
【0039】
図8Bの例に示されるように、リフターアーム220は、リフターアーム220が第1の位置と第2の位置との間で移行する際に前方支持部245に係合するように構成され得る。リフターアーム220が第2の位置に移動する際、リフターアーム220は、
図8Bの例に示されるように、光学体240に対して前方支持部245の遠位部を、キャップ210に向けて持ち上げることができる。
【0040】
図8Cは、第3の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。リフターアーム220が第2の位置にあり、前方支持部245が光学体240に対して持ち上げられた状態で、プランジャ135をインプラント区画110に向けて前進させ、
図8Cに示されるように、光学体240の上に後方支持部250を折り畳むことができる。
【0041】
図8Dは、第4の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
図8Cに示すように、前方支持部245が持ち上げられ、後方支持部が折り畳まれた状態で、プランジャ135の遠位端をインプラント区画110を通して前進させてもよい。プランジャ135の前進により、光学体240もノズル105に向けて前進させることができる。第2の位置において、リフターアーム220は、キャップ210に向けて前方支持部245にわずかな圧力を加えてもよく、これにより、
図8Cに示されるように、その下を光学体240が前進する際に、前方支持部245の側方移動に対する抵抗を提供することができる。いくつかの実施形態では、リフターアーム220は、前方支持部245の側方移動を拘束するように構成された支持部拘束部を有し得る。
【0042】
図8Eは、第5の構成における、
図8Aの例に関連し得る追加の詳細を示す。
図8Eの例では、光学体240は、前方支持部245がリフターアーム220から解放され、光学体240の頂部上に落下するまで、プランジャ135によって前進させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、光学体240の前進により、前方支持部245の遠位端がリフターアーム220から光学体240上に引き抜かれるまで前方支持部245に張力を生じさせることができる。プランジャ135を更に前進させて、インプラント235が先端120を通って排出されるまで、折り畳まれた構成のインプラント235をノズル105内の送達ルーメン430を通して移動させることができる。
【0043】
図9A~
図9Bは、眼900にインプラント235を送達するための装置100の例示的な使用を更に示す概略図である。示されるように、例えば、外科医によって眼900内に切開905が作成され得る。いくつかの例では、切開905は、眼900の強膜910を通して作成され得る。他の例では、切開は、眼900の角膜915に形成され得る。切開905は、インプラント235を水晶体嚢920に送達するために、ノズル105の一部分の挿入を可能にするような大きさにされ得る。例えば、場合によっては、切開905の大きさは、約3000ミクロン(3ミリメートル)未満の長さを有し得る。他の例では、切開905は、約1000ミクロン~約1500ミクロン、約1500ミクロン~約2000ミクロン、約2000ミクロン~約2500ミクロン又は約2500ミクロン~約3000ミクロンの長さを有し得る。
【0044】
切開905の作成後、ノズル105は、切開905を通して眼900の内部部分925に挿入することができる。その後、装置100は、
図4A~
図4E及び
図8A~
図8Eを参照して実質的に説明したように、ノズル105を通して眼900の水晶体嚢920内にインプラント235を排出することができる。
図9A及び
図9Bの例では、インプラント235は、光学体240と、前方支持部245と、後方支持部250とを有する眼内レンズを例示する。インプラント235は、折り畳まれた構成で送達されてもよく、
図9Bに示すように、水晶体嚢920内で、前方支持部245及び後方支持部250が光学体240の周りで少なくとも部分的に湾曲した静止状態に戻ることができる。水晶体嚢920は、光学体240が網膜(図示せず)に向けられた光を屈折するような眼900に対する関係性で眼900内にインプラント235を保持することができる。前方支持部245及び後方支持部250は、水晶体嚢920に係合して、水晶体嚢920の中にインプラント235を固定することができる。インプラント235を水晶体嚢920内に送達した後、ノズル105は切開905を通して眼900から除去することができ、眼900は、一定期間かけて治癒され得る。
【0045】
本明細書に記載されるシステム、装置及び方法は、顕著な利点を提供し得る。例えば、いくつかの実施形態は、眼内インプラントを送達するのに特に有利な場合がある。いくつかの実施形態のより具体的な利点としては、複雑さ又はコストを大幅に増加させることなく前方支持部の高度に一貫した折り畳みが提供されることが挙げられ得る。一貫した信頼性の高い支持部の折り畳みによって、特に事前装填式インプラント送達システムによる小さな切開を通したインプラント送達の一貫性及び信頼性を、屈折力範囲全体において大幅に向上させることができる。
【0046】
いくつかの例示的な実施形態において示してきたが、当業者であれば、本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲内の範囲に含まれる様々な変更形態及び修正形態が可能であることを認識されよう。更に、「又は」等の用語を用いた様々な代替形態の記載は、文脈によって明らかに要求されない限り、相互排他性を必要とせず、また不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈によって明らかに要求されない限り、対象を単一の例に限定するものではない。販売、製造、組立、又は使用を目的として、構成要素を様々な構成で組み合わせたり又は排除したりすることもできる。例えば、いくつかの構成では、ノズル105、インプラント区画110、及びアクチュエータ115は、それぞれ製造又は販売のために、互いに分離することができる又は様々な手法で組み合わせることができる。
【0047】
特許請求の範囲は、特に詳細に記載されていない追加の対象も包含することができる。例えば、特定の特徴、要素又は態様は、新規且つ発明的な特徴を当業者に既に周知のものと区別するために必要でない場合には、特許請求の範囲から省略されることがある。いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素及び態様は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略すること、組み合わせること、又は同一の、同等な若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置換することもできる。
【国際調査報告】