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特表2024-535206表面処理、好ましくは車両のリムの塗装のための装置及びその方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】表面処理、好ましくは車両のリムの塗装のための装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/04 20060101AFI20240920BHJP
   B60B 3/02 20060101ALI20240920BHJP
   B05C 13/02 20060101ALI20240920BHJP
   B05C 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   B05D 1/02 20060101ALI20240920BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   B05C 9/12 20060101ALI20240920BHJP
   B05B 12/00 20180101ALI20240920BHJP
   B05B 16/20 20180101ALI20240920BHJP
【FI】
B05B13/04
B60B3/02
B05C13/02
B05C21/00
B05D1/02 H
B05D3/00 C
B05C9/12
B05B12/00 A
B05B16/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024514611
(86)(22)【出願日】2022-09-16
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 DK2022050192
(87)【国際公開番号】W WO2023041135
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】PA202170457
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA202270142
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(31)【優先権主張番号】PA202270143
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524084171
【氏名又は名称】ブロス ホールディングス エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリステンセン、ヘンリク ブロ
【テーマコード(参考)】
4D073
4D075
4F035
4F042
【Fターム(参考)】
4D073AA01
4D073BB03
4D073DD02
4D073DD25
4D073DD35
4D075AA01
4D075AA56
4D075AA76
4D075DA08
4D075DC13
4F035AA03
4F035BB02
4F035BC02
4F035CA05
4F035CB05
4F035CC01
4F035CD11
4F035CD18
4F042AA03
4F042AA09
4F042AB00
4F042BA10
4F042DB18
4F042DB42
4F042DD41
4F042DD45
4F042DE01
4F042DE09
4F042DF03
4F042DF28
4F042DF32
(57)【要約】
リム又は別の回転対称の物品の塗装のための装置並びに方法。
装置は、
- ロボット・アーム、及び硬化性流体を物品に塗布するための1つ又は複数の噴霧ノズルを有するコーティング・ユニット、
- 硬化性流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転軸を中心に物品を回転させる目的で、物品を分離可能に固定するための組付体を備え付けられる物品保持器、
- 物品保持器が組み付けられ、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に物品保持器を回転させるように、及び物品が回転されているときに、物品保持器を角度付けるように適合される吊持ブラケット、
- 硬化ユニット、並びに
- 所定のコーティング・パターンに従って流体を物品に塗布するために、物品に対してコーティング・ユニットを位置付けるように構成される制御装置
を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転対称の物品、好ましくは車両のリムの塗装のための装置(1)であって、
- 開閉可能な塗装ブースであって、吸気口及び排気口、及び動作中に前記塗装ブースを閉じるための扉を有する、塗装ブース、
- 硬化性流体(4)を物品に塗布するための1つ又は複数の噴霧ノズル(82)を有するコーティング・ユニット(3’)、
- 前記流体(4)でのコーティング中に、好ましくは前記物品の中心軸と一致する回転の軸(13)を中心とする回転のために、前記物品を分離可能に固定するための組付体(62)を設けられる物品保持器(60)、
- 前記物品保持器が取り付けられ、好ましくは前記物品を通る直径と一致する前記回転の軸(13)に垂直な方向に延びる旋回点(66)を中心に前記物品保持器を回転させるように、及び前記物品が回転されている間、前記物品を角度付けるように適合される吊持ブラケット(64)、
- 硬化ユニット(84)、並びに
- 動作中に前記装置の異なる要素を制御するために、これらへ接続される制御装置(70)
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記組付体が、前記物品をその周縁部で支持するための少なくとも3つ、好ましくは4つの回転輪を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記回転輪が、異なる物品寸法に応じた調整のために、互いに向かう及び互いに離れる変位の方式で組み付けられる、その結果、前記物品の中心が、好ましくは、前記旋回点(66)と前記回転の軸(13)との交点と一致することを特徴とする、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも1つの回転輪が、前記装置が動作しているときに、前記物品を回転させるためのモータ(6)へ接続されることを特徴とする、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項5】
前記吊持ブラケット及び前記噴霧ノズルが、相互に変位可能であるように配置されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
噴霧ノズル及び硬化ユニットが、同じガイド(80)に組み付けられることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御装置(70)が、所定のコーティング・パターンに従って前記流体(4)を前記物品に塗布するために、前記物品に対して前記コーティング・ユニットを位置付けるように構成されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コーティング・ユニットが、1つ又は複数の噴霧ノズルを保持し、作動させるように適合される把持デバイスを備えることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記コーティング・ユニット(3’)が、ロボット・アーム(80)及び、前記硬化性流体を前記物品に塗布するための1つ又は複数の噴霧ノズル(82)を備えることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
噴霧ノズル及び硬化ユニットが、同じ前記ロボット・アームに組み付けられることを特徴とする、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記硬化性流体が、赤外線(IR:Infrared)硬化性であり、前記硬化ユニットが、赤外線(IR)源を備えることを特徴とする、請求項1から10までのいずれかに記載の装置。
【請求項12】
前記硬化性流体がUV硬化性であり、前記硬化ユニットが1つ又は複数のUV光源を備えることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置の全体が、1つのハウジングに設けられることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
回転対称の物品、好ましくは車両のリムのための調整可能な物品保持器(60)であって、好ましくは前記物品の中心軸と一致する回転の軸(13)を中心に前記物品を回転させるために、前記物品を分離可能に固定するための組付体(62)が設けられ、前記組付体が、前記物品をその周縁部で支持するための少なくとも3つ、好ましくは4つの回転輪を備え、前記回転輪が、異なる物品寸法に調整するために、互いに向かう及び互いに離れる変位を可能にするように組み付けられ、その結果、前記物品の中心が、好ましくは、前記物品保持器への組付け中に前記回転の軸(13)と一致することを特徴とする、物品保持器。
【請求項15】
回転対称の物品、好ましくは車両のリムの塗装するための方法であって、
- 物品保持器(60)の組付体(62)に物品を取り付けるステップ、
- ロボット・アーム及び1つ又は複数の噴霧ノズル(82)を備えるコーティング・ユニット(3)を使用して、硬化性流体(4)でコーティングするステップ、
- 前記流体(4)でのコーティング中に、好ましくは前記物品の中心軸と一致する回転の軸(13)を中心に前記物品を回転させるステップ、
- 前記物品保持器を角度付けるステップであって、好ましくは前記物品を通る直径と一致する前記回転の軸に垂直な方向に延びる旋回点(66)を中心に行われるステップ、
- 硬化ユニットを用いて前記流体を硬化させるステップ、並びに
- 前記組付体から前記物品を取り外すステップ
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項16】
前記物品保持器の組付体における前記物品の取付けが、異なるリム寸法に適応するために、前記組付体が互いに離れる及び/又は互いに向かう方向に変位されることを含むことを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コーティング・ユニット(3)が、ロボット・アーム(80)及び1つ又は複数の噴霧ノズル(82)を備えることを特徴とする、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法により、硬化性流体を塗布するためにロボット・アーム及び物品保持器を制御するための方法であって、
- 塗装される物品の直径及び前記物品の表面の設計に関する入力を受け付けるステップ、
- 塗装される前記物品の直径及び前記物品の表面の設計に基づいて、前記流体を塗布するための塗布パターンを算出するステップ、
- 前記算出されたコーティング・パターンを達成するために、前記物品及びコーティング・ユニットについて相互移動パターンを算出するステップ、並びに
- 前記算出された移動パターンに基づいて、前記物品及び前記コーティング・ユニットを移動させるステップ
を含む、方法。
【請求項19】
リムの塗装のための請求項17に記載の方法により、硬化性流体の塗布のためにロボット・アーム及び物品保持器を制御するための方法であって、
- 前記リムの寸法及び前記リムのスポークの数に関する入力を受け付けるステップ、
- 前記スポークの数及びリム寸法に基づいて、前記流体を塗布するためのコーティング・パターンを算出するステップ、
- 前記算出されたコーティング・パターンを達成するために、前記リム及びコーティング・ユニットについて相互移動パターンを算出するステップ、並びに
- 前記算出された移動パターンに基づいて、前記リム及び前記コーティング・ユニットを移動させるステップ
を含む、方法。
【請求項20】
請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置を設けるステップを含むことを特徴とする、請求項15から19までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
硬化性UV流体及び硬化性IR流体のうちから流体を選択するステップを含むことを特徴とする、請求項15から20までのいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転対称ユニット、主に車両のリムの塗装のための装置及び手法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は車両のリムを念頭に開発されたが、他の種類の回転対称の物品の加工のためにも使用され得る。
【0003】
これまで、車両のリムの補修は、特にこれらの塗装に関連して、困難を伴うとされてきた。車両のリムが塗装ブースを占有するので、容量に起因して、従来の塗装ブースにおいて車両のリムを塗装することは、したがって、困難となる。
【0004】
これにより、しばしば、車両のリムは補修されずに、廃棄されることになる。通常、車両が車両用の通年タイヤ又は冬用及び夏用タイヤのいずれを有するかにより、各車両に付随して4つ又は8つのリムがあるので、これは明らかな欠点である。
【0005】
リムを補修する場合に、これらは、場合により事前に仕上げ加工され得る。このような前処理には、例えばリムの旋削による、歪みの修復が必要となり得るが、同様に、例えばサンドブラストによる、古い塗装の除去も必要となり得る。
【0006】
その後に、補修には、リムの表面処理が必要となる。
【0007】
このような表面処理には、通常、リムを塗装する、又は代替的に、クリヤ・ラッカでリムをラッカ塗装することが必要となる。
【0008】
塗装ブースを使用する作業の量を軽減するために、塗装ブースを使用する従来の塗装作業ではない、リムの表面処理のための代替的な解決手段が望まれている。
【0009】
したがって、補修時のリムが上述の変形例の前処理を受けているかにかかわらず、塗装又はコーティングのいずれかの形態でリムに表面処理を施すことができることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、車両のリム及び他の回転対称の物品を補修する際に使用するための装置及び手順を提案し、これらに表面処理又は表面コーティングを行う効果的で簡単な手段を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によると、これは、リム又は別の回転対称の物品の塗装のための装置を用いて達成され、装置は、
- 開閉可能な塗装ブースであって、吸気口及び排気口、及び動作中に塗装ブースを閉じるためのゲートを有する塗装ブース、
- 流体を物品にコーティングするための1つ又は複数の噴霧ノズルを有するコーティング・ユニット、
- 硬化性流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転軸を中心に物品を回転させる目的で、物品を分離可能に固定するための組付体を備え付けられる物品保持器、
- 物品保持器が組み付けられ、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に物品保持器を回転させるように、及び物品が回転されているときに、物品保持器を角度付けるように適合される吊持ブラケット、
- 硬化性流体を固めるように構成される硬化ユニット、並びに
- 動作中に装置の別個の要素を制御するために、これらへ接続される制御装置
を備えることを特徴とする。
【0012】
代替的に、本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品を塗装するための装置を用いて達成され、装置は、
- 開閉可能な塗装ブースであって、吸気口及び排気口、及び動作中に塗装ブースを閉じるためのゲートを有する塗装ブース、
- 硬化性UV流体を物品にコーティングするための1つ又は複数の噴霧ノズルを有するコーティング・ユニット、
- 硬化性UV流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転軸を中心に物品を回転させる目的で、物品を分離可能に固定するための組付体を備え付けられる物品保持器、
- 物品保持器が組み付けられ、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に物品保持器を回転させるように、及び物品が回転されているときに、物品保持器を角度付けるように適合される吊持ブラケット、
- UV硬化光を供給される照射ユニット、並びに
- 動作中に装置の別個の要素を制御するために、これらへ接続される制御装置
を備えることを特徴とする。
【0013】
代替的に、本発明による本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品、好ましくは車両のリムを塗装するための装置を用いて達成され、装置は、
- 開閉可能な塗装ブースであって、吸気口及び排気口、及び動作中に塗装ブースを閉じるためのゲートを有する塗装ブース、
- ロボット・アーム、及び流体を物品にコーティングするための1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニット、
- 硬化性流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転軸を中心に物品を回転させる目的で、物品を分離可能に固定するための組付体を備え付けられる物品保持器、
- 物品保持器が組み付けられ、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に物品保持器を回転させるように、及び物品が回転されているときに、物品保持器を角度付けるように適合される吊持ブラケット、
- 硬化ユニット、並びに
- 所定のコーティング・パターンに従って流体をリムに塗布するために、物品に対してコーティング・ユニットを位置付けるように構成される制御装置
を備えることを特徴とする。
【0014】
代替的に、本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品、好ましくは車両のリムを塗装するための装置を用いて達成され、装置は、
- 物品保持器の組付体に物品を組み付けるステップ、
- 1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニットを使用して、硬化性流体でコーティングするステップ、
- 硬化性流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転の軸を中心に物品を回転させるステップ、
- 回転中に物品保持器を角度付けるステップであって、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に行われるステップ、
- 光ユニットを用いた物品のUV露光ステップ、及び
- 組付体から物品を取り外すステップ
を含むことを特徴とする。
【0015】
代替的に、本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品、好ましくは車両のリムを塗装するための装置を用いて達成され、装置は、
- 物品保持器の組付体に物品を組み付けるステップ、
- 1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニットを使用して、硬化性UV流体でコーティングするステップ、
- 硬化性UV流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転の軸を中心に物品を回転させるステップ、
- 回転中に物品保持器を角度付けるステップであって、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に行われるステップ、
- 硬化性流体を硬化させるように構成される硬化ユニットを用いて流体を硬化させるステップ、及び
- 組付体から物品を取り外すステップ
を含むことを特徴とする。
【0016】
代替的に、本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品を塗装するための装置を用いて達成され、装置は、
- 物品保持器の組付体に物品を組み付けるステップ、
- ロボット・アーム及び1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニットを使用して、硬化性流体でコーティングするステップ、
- 流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転の軸を中心に物品を回転させるステップ、
- 物品保持器を角度付けるステップであって、好ましくは物品を通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に行われるステップ、
- 硬化ユニットを用いて流体を硬化させるステップ、並びに
- 組付体から物品を取り外すステップ
を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明による装置は、塗装ブースにおいて一般的であるような、適度な換気を要する作業場などの中に容易に設置され得る、簡素な構造である。
【0018】
本発明による装置は、単一のハウジングに設けられる、簡素な構造である。本装置は、開閉可能な塗装ブースが装置に備えられる追加の要素を備えるように、設計され得る。
【0019】
本発明によって達成される技術的効果は、UV硬化性であるラッカ又は塗料の形態で表面処理が行われた、補修される車両のリム又は他の回転対称の物品の確立である。
【0020】
同様の技術的効果は、本発明がIR硬化性流体、及びその硬化ユニットとしてUV光を用いる照射ユニットの代わりにIR硬化ユニット用をいることで、達成され得る。
【0021】
以下において、本発明は、硬化性UV流体、及びその硬化ユニットとしてのUV照射を用いる付属する照射光源の使用により説明されることを基本とするものである。同様の形式で、同様の技術的効果により、本発明は、硬化性IR流体、及びIR硬化ユニットとも呼ばれる、IR放射を発する適切な硬化ユニットを用いて為され得る。
【0022】
同様に、本発明は、リムを塗装する又はリム保持器にリムを取り付けるために説明されることを基本とするものである。
【0023】
硬化性UV流体を用いると、他のラッカ/塗料における通常の硬化時間と比較して、硬化時間が短縮されるので、より迅速な処理が達成され得る。
【0024】
通常、2分の硬化時間が、車両のリムために適用され得る。
【0025】
本発明の方法による処理を用いると、リムが粗悪なラッカ/塗装作業によるものであっても、リムを再利用することが可能になる。
【0026】
塗料の新しい塗膜を塗布すること、又は代替的に古いラッカ/塗料の上にコーティングを作成する、ラッカ塗装を行うことが可能である。
【0027】
装置は、硬化性UV流体でのコーティング、及び硬化性UV流体の塗布されたコーティングを硬化させるためのUV照射中に、物品の回転を容易にする回転ユニットを備える。したがって、流体は、リムに見られ得る複雑な構造においてでさえも、塗布され、硬化され得る。
【0028】
リムをコーティングした後に、物品は、リムへ塗布された流体の硬化を達成するために、UV照射に曝される。
【0029】
使用されている流体は、クリヤ・ラッカ又は物品の所望の着色のための着色塗料の形態で提供され得る、硬化性UV又はIR流体であり得る。
【0030】
硬化性UV流体での表面処理の一部として、物品がUV光に対して回転される及び/又は角度付けられることは重要である。代替的に、物品は、UV曝露中に、第2の処理ユニットの使用中に回転される。これは、物品が回転されていない及び/又は角度付けられていない場合に、到達することが困難であり得る多くの表面及び穴を有する、車両のリムなどの複雑な構造体において特に重要である。
【0031】
代替的に、UV光源が物品を中心に回転される室内で、固定された位置に物品を設置することも可能である。このような回転は、固定された回転軸を中心にのみ行われ得る、又はUV光の下で、処理を行っている物品により変化する角度付けを受ける、回転軸を中心に回転されている光源を用いて行われ得る。
【0032】
別の実施例によると、装置は、本発明により、組付体が、物品における中心ボアと係合するためのものである、円錐形状体を備えることを特徴とする。
【0033】
中心ボアは、車両の全てのリムにある。円錐形状体を利用することによって、同じユニットが、中心ボアの直径が変わる場合がある、異なるリムに使用され得る。
【0034】
別の実施例によると、装置は、本発明により、組付体が、リムをその周縁部で支持するための少なくとも3つ、好ましくは4つの回転輪を備えることを特徴とする。好ましくは、リムの外周部、又は代替的に、別の外周部では、硬化性UV流体でのコーティングは必要とされない。
【0035】
したがって、リムは、それが硬化性UV流体でのコーティング中に固定され、回転されているような方式で組み付けられることが可能であり、その結果、十分な硬化性UV流体が、リムを取り外す及び再び取り付ける必要なく、コーティングが意図される全てのリム部分に塗布されることが可能である。
【0036】
別の実施例によると、装置は、本発明により、回転輪が、異なるリム寸法に調整するために、互いに向かう及び互いに離れる変位を可能にするように、組み付けられることを特徴とする。
【0037】
回転輪を変位させる能力と組み合わせて、リムの周縁部で車輪によりリムを固定又は支持することによって、同じ組付体が、リムの直径が変わる異なるリムに適用され得る。
【0038】
回転輪は、したがって、リムの中心に対して互いに向かって及び互いに離れて、変位され得る。
【0039】
別の実施例によると、装置は、本発明により、少なくとも1つの回転輪が、装置の動作中にリムを回転させるためのモータと接続されることを特徴とする。
【0040】
別の実施例によると、装置は、本発明により、吊持ブラケット及び噴霧ノズルが、相互に変位可能に配置されることを特徴とする。
【0041】
別の実施例によると、装置は、本発明により、噴霧ノズル及び光ユニットが、同じガイドに組み付けられることを特徴とする。
【0042】
別の実施例によると、装置は、本発明により、それが異なる方向に光源からのUV光を反射するための鏡を備えることを特徴とする。
【0043】
別の実施例によると、装置は、本発明により、リム保持器の組付体におけるリムの組付けが、異なるリム寸法に適応するために、組付体が互いに離れる及び/又は互いに向かう方向に変位されることを含むことを特徴とする。
【0044】
別の実施例によると、装置は、本発明により、説明された実施例による装置を設ける及び/又は利用することを特徴とする。
【0045】
リム保持器は、有利には、リム保持器への又はそれからのリムの取付け及び取外し中に、回転軸が垂直位置にある状態で配置され得る。
【0046】
同様に、物品の角度が、UV曝露中に垂直方向に対して変化されることが可能である。
【0047】
したがって、物品の全ての部分が、車両のリムなどの複雑な構造体においてさえも、UV光を当てられることを確実にする。
【0048】
別の実施例によると、方法は、本発明により、硬化性UV塗料及び硬化性UVラッカのうちから流体を選ぶステップを含むことを特徴とする。
【0049】
代替的に、方法は、硬化性IR流体、及び硬化の目的でIR放射を発するために適した硬化性IR硬化ユニットの使用に適応するように調整され得る。IR硬化ユニットは、したがって、UV光と交換することが可能である。硬化性UV流体及び光ユニットを用いる方法における同様の技術的効果は、硬化性IR流体及びIR硬化ユニットが使用される方法を用いて成し遂げられ得る。
【0050】
上述したように、流体は、塗料だけでなく、ラッカでもあり得る。ラッカは、塗装面又は研磨面に塗布されるクリヤ・ラッカであることが可能であり、その結果、表面の色が保たれる。異なる色が所望される場合に、塗料が選ばれる。
【0051】
装置は、例えば、図1図8に例示されるように構築され得る。
【0052】
本明細書において、数ある中でも、リム保持器のためのガロース支持体を伴う装置のための制御ユニットが、例示され、その結果、方法の全てのステップが、1つのハウジングにおいて完遂され得る。
【0053】
代替的に、本発明の目的は、予備的に説明される変形例の装置を用いて達成され、装置は、
- 開閉可能な塗装ブースであって、吸気口及び排気口、及び動作中に塗装ブースを閉じるためのゲートを有する塗装ブース、
- ロボット・アーム、及び硬化性流体をリムに塗布するための1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニット、
- 硬化性流体でのコーティング中に、好ましくはリムの中心軸と一致する回転軸を中心に物品を回転させる目的で、リムを分離可能に固定するための組付体を備え付けられるリム保持器、
- リム保持器が組み付けられ、好ましくはリムを通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心にリム保持器を回転させるように、及びリムが回転されているときに、物品保持器を角度付けるように適合される吊持ブラケット、
- 硬化ユニット、並びに
- 所定のコーティング・パターンに従った流体のリムへの塗布を容易にするために、リムに対してコーティング・ユニットを位置付けるように構成される制御装置
を備える。
【0054】
別の実施例によると、装置は、本発明により、組付体が、リムをその周縁部で支持するための少なくとも3つ、好ましくは4つの回転輪を備えることを特徴とする。
【0055】
別の実施例によると、装置は、本発明により、回転輪が、異なるリム寸法に調整するために、互いに向かう及び互いに離れる変位を可能にするように、組み付けられ、その結果、リムの中心が、好ましくは、旋回点と回転の軸との交点と一致することを特徴とする。
【0056】
別の実施例によると、装置は、本発明により、少なくとも1つの回転輪が、装置が動作しているときに、リムを回転させるためのモータ(6)と接続されることを特徴とする。
【0057】
別の実施例によると、装置は、本発明により、1つ又は複数の噴霧ノズルを保持し、作動させるように適合される把持デバイスを備える、塗布ユニットを特徴とする。
【0058】
把持デバイスの効果の1つは、装置が、装置に常時組み付けられるわけではない、噴霧ノズルを有する個別の噴霧缶又は供給ホースなどの、外部噴霧ユニットを扱うことが可能であることである。これによりもたらされる利益は、噴霧ノズルが外部ユニットに組み付けられ、したがって、流体と同時に切り替えられるので、必要な洗浄及び維持管理が軽減及び低減されることである。基本として、噴霧ノズルは、最も多くの洗浄及び維持管理を必要とする要素の1つである。
【0059】
別の実施例によると、方法は、本発明により、噴霧ノズル及び硬化ユニットが、同じロボット・アームに組み付けられることを特徴とする。
【0060】
代替的に、本発明の目的は、リム又は別の回転対称の物品を塗装するための方法を用いて、本発明により達成され、方法は、
- リム保持器の組付体におけるリムの組付けステップ、
- ロボット・アーム及び1つ又は複数の噴霧ノズルを備えるコーティング・ユニットを使用して、硬化性流体でコーティングするステップ、
- 流体でのコーティング中に、好ましくは物品の中心軸と一致する回転の軸を中心に物品を回転させるステップ、
- 物品保持器を角度付けるステップであって、好ましくはリムを通る直径と一致する回転の軸に垂直に延びる旋回点を中心に行われるステップ、
- 硬化ユニットを用いて流体を硬化させるステップ、並びに
- 組付体から物品を取り外すステップ
を含む。
【0061】
別の実施例によると、本発明の目的は、リム又は他の回転対称の物品の塗装のための、硬化性流体でのコーティングのためのロボット・アーム及びリム保持器の制御のための方法を用いて達成され、方法は、
- リムの寸法及びリムのスポークの数に関する入力を受け付けるステップ、
- スポークの数及びリム寸法に基づいて、流体を塗布するためのコーティング・パターンを算出するステップ、
- 算出されたコーティング・パターンを達成するために、リム及びコーティング・ユニットについて相互移動パターンを算出するステップ、並びに
- 算出された移動パターンに基づいて、リム及びコーティング・ユニットを移動させるステップ
を含む。
【0062】
別の実施例によると、方法は、本発明により、組付体におけるリムの組付けが、異なるリム寸法に適応するために、組付体が互いに離れる及び/又は互いに向かう方向に変位されることを含むことを特徴とする。
【0063】
別の実施例によると、装置は、本発明により、それが、ロボット・アームを備える実施例において装置を設けることを含むことを特徴とする。
【0064】
別の実施例によると、装置は、本発明により、それが、硬化性UV流体及び硬化性IR流体のうちから流体を選ぶことを含むことを特徴とする。
【0065】
例えば、ロボット・アームを有する装置は、図7図8に例示されるように設計され得る。
【0066】
本明細書において、数ある中でも、リム保持器のためのガロース支持体を伴う装置のための制御ユニットが、例示され、その結果、方法の全てのステップが、1つのハウジングにおいて完遂され得る。
【0067】
適用は、以下の通りであり得る。
ステップ1
リムが組付体に組み付けられる。
ステップ2
塗装ブースへのドアが閉じられ、潜在的な安全システムが作動する。
ステップ3
換気が開始される。
ステップ4
リム保持器及びコーティング・ユニットが開始位置へ移動される。
ステップ5
コーティング・ユニットが、流体が第1のスポークに塗布されるように、第1のスポークに沿って移動される。次に、リム保持器が、コーティング・ユニットが次のスポークの反対側の位置となるまでリムを回転させ、以後、この工程が、全てのスポークがラッカ塗装されるまで繰り返される。
その後、リム保持器が回転し、場合によっては、リムの外縁部のラッカ塗装ためにリムを角度付ける。
ステップ6
硬化ユニットが作動され、硬化工程が始まる。所要時間は、塗布される流体のコーティング厚及び流体の種類に基づいて変わり得る。
ステップ7
リム保持器が、リムのもう一方の側における開始位置へリムを角度付け、回転させ、以後、ステップ4、5及び6による工程が繰り返され、その結果、リムが塗装され、流体が両側で徹底して硬化される。
換気が停止し、ドアが開かれ得る。
ステップ8
リムが、組付機関がリムから外されることによって、リム保持器から取り外され得る。
【0068】
本発明が、以下の概略的な図面を参照して以降で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】方法の実行のための様々な動作状態における、装置の実施例による部分断面図である。
図2】装置のさらなる実施例を示す図である。
図3】装置のさらなる実施例を示す図である。
図4】装置のさらなる実施例を示す図である。
図5】装置のさらなる実施例を示す図である。
図6】装置のさらなる実施例を示す図である。
図7】ロボット・アームを備えるコーティング・ユニットを有する、装置のさらなる実施例を示す図である。
図8】ロボット・アームを備えるコーティング・ユニットを有する、装置のさらなる実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
図1図6において、様々な図が方法の実行のための異なる動作状態を例示する、噴霧ノズルを有するコーティング・ユニット3’及びリム保持器60を有する装置1の実施例の概略的な図解が、例示される。
【0071】
図1A図1Dは、それぞれ上面図及び側面図で示された、装置1の概略的な図解を例示する。本装置は、塗装ブースの上部及び下部における矢印で図1Bから図1Dに例示されるように、吸気口及び排気口を有する塗装ブースを備える。塗装ブースは、動作中に塗装ブースを閉じるためのドア(図示せず)を備え得る。
【0072】
装置は、硬化性UV流体4をリムに塗布するための噴霧ノズルを有する、コーティング・ユニット3’を備える。コーティング・ユニットは、ガイド80における変位を可能とするように組み付けられる。
【0073】
同様に、示された実施例における装置は、リムを固定するため及び回転の軸13を中心にそれを回転させるための組付体62を設けられる、リム保持器60を備える。回転の軸は、好ましくは、硬化性UV流体の塗布中にリムの中心軸と一致する。リムは、分離を可能とするように固定され、その結果、リムは、容易に取り付けられる、及び取り外される。
【0074】
リム保持器は、吊持ブラケット64に組み付けられる。吊持ブラケットは、旋回点66を中心にリム保持器を回転させるように適合される。旋回点は、回転の軸に垂直に延び、好ましくは、リムを通る直径における平面と一致する。吊持ブラケットに潜在する目的の1つは、リム保持器が回転されているときに、同時にリム保持器を角度付けることを可能にすることである。動作中のリムのこの角度付けが、図1B図1Dに例示される。
【0075】
装置は、同様に、リムへの塗布後に硬化性UV流体を硬化させるためのUV硬化光を供給する、光ユニット12’を備える。
【0076】
制御装置70(図5を参照)は、動作中に装置の様々な要素を制御するために、これらへ接続されて、それにより、コーティング・ユニットの配置及び作動に応じたリムの回転及び角度付けを確実にすることによって、リムの全ての所望の表面においてUV流体でコーティングすることを確実にする。これは、UV流体が塗布され、それが全ての塗布領域において十分に硬化されるかに基づいて作動させられる必要がある、光ユニットにも関係する。
【0077】
図2図6は、塗装ブースの可能な設計での実例がより明確に詳細に表される、装置のさらなる実施例を示す。
【0078】
図2及び図3は、リムがリム保持器に組み付けられ、リムがそれぞれ垂直及び水平向きに角度付けられた状態で吊持ブラケットに吊持された、装置を例示する。
【0079】
示される実施例は、リムのその周縁部での支持及び回転それぞれのための、回転輪の形態の組付体62の使用を示す。回転輪は、リムの外周部に設置され、リムが使用中にタイヤによって覆われる領域に作用するように例示される。したがって、回転輪は、回転輪が使用される間、塗料又はラッカでのコーティングが必要とされない領域に作用する。
【0080】
特に図4において、コーティング・ユニット3’及び光ユニット12’のための可能なガイドが、例示され、ユニットは、等しい方向に配置されたガイド上で、それぞれ垂直及び水平向きに変位され得る。
【0081】
図5及び図6は、リム保持器が中心点の周りに2つの変位可能なアームを備え、各アームが回転輪の形態の2つの組付体62を備える、さらなる実施例を例示する。したがって、回転輪が、互いに向かって及び離れて変位されることが可能であり、その結果、リム保持器が、異なるリム寸法での使用のために調整されることが可能であることが成し遂げられる。図6Bにおいて見られるように、リム保持器は、リムが角度付けられ得るように、吊持ブラケットに吊持されるように適合される。図6Dは、リムが回転され得るように、回転輪のうちの少なくとも1つを動作させるためのモータ6を示す。有利には、リムは、各スポーク間の角度付けと対応する特定の角度で回転されることが可能であり、その結果、コーティング・ユニットは、硬化性UV流体を特定のスポークに塗布するために、スポークに沿って水平移動を行うことが可能であり、以後、リムは、UV流体を次のスポークにコーティングすることを可能にするために、もう一度特定の角度で回転される。この手順は、リムが360度全回転するまで継続する。次に、リムは、180度で角度付けされて、もう一方の側においてUV流体でコーティングすることを可能にし得る。代替的に、UV流体は、もう一方の側においてUV流体でコーティングするためにリムを180度に角度付ける前に、光ユニットを使用して硬化され得る。
【0082】
図7及び図8において、ロボット・アーム80、及び硬化性流体をリムに塗布するための1つ又は複数の噴霧ノズル82を備えるコーティング・ユニット3’を用いる、さらなる実施例が示される。それにより、コーティング・ユニットの動きの自由度がより高い装置が達成され、その結果、硬化性流体での物品(リム)の完全な被覆が達成される可能性が高まる。
【0083】
ロボット・アームは、例えば、「協働ボット」である場合があり、それは、噴霧塗料を塗布する技術分野における熟練した専門家によって訓練されることが可能である。
【0084】
ロボット・アームを用いる実施例は、所定の塗布パターンに従って流体をリムに塗布するために、リムに対してコーティング・ユニットを位置付けるように構成される、制御装置70をさらに含む。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8A
図8B
【国際調査報告】