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特表2024-535214少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用する方法、コーティングを有するセンサアセンブリ、コーティングキャリア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用する方法、コーティングを有するセンサアセンブリ、コーティングキャリア
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/18 20060101AFI20240920BHJP
   G01K 1/08 20210101ALI20240920BHJP
   B05C 3/10 20060101ALI20240920BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20240920BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20240920BHJP
   H01C 17/02 20060101ALI20240920BHJP
   H01C 7/04 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
B05D1/18
G01K1/08 Z
B05C3/10
B05D3/00 B
B05D7/00 H
H01C17/02
H01C7/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515148
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 EP2022071688
(87)【国際公開番号】W WO2023036520
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】102021123241.4
(32)【優先日】2021-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィチャンドラン,サブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】ホヤス,ゲルハルト
【テーマコード(参考)】
4D075
4F040
5E032
5E034
【Fターム(参考)】
4D075AB01
4D075AB31
4D075AB41
4D075DC21
4F040AA12
4F040AB04
4F040BA36
4F040BA47
4F040CC02
4F040CC14
4F040CC18
5E032BB10
5E032CA11
5E032CB01
5E032CC16
5E032DA03
5E034BA09
5E034BB01
5E034DB05
5E034DC02
5E034DE16
(57)【要約】
【課題】 電子部品にコーティングを適用する方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの電子部品(1,30)にコーティングを適用する方法が記載され、方法は:
A) コーティングキャリア(20)を提供するステップであって、コーティングキャリアは、
- メインベース(21)と、
- ウェル(23)を有するコーティングベース(22)と、
- さらなるウェル(25)を有する可動リザーバ(24)と、を備える、ステップと、
B) リザーバ(24)のウェル(25)にコーティング材料(29)を充填するステップと、
C) 前記コーティングキャリア(20)の長手軸(X)に沿ってリザーバ(24)をシフトさせ、したがってコーティングベース(22)のウェル(23)をコーティング材料(29)で満たす、ステップと、
D) 少なくとも1つの電子部品(1,30)を提供し、
コーティングベース(22)のウェル(23)内に提供されたコーティング材料(29)内に電子部品(1,30)を少なくとも部分的に浸漬して、電子部品(1,30)のコーティング(6)を適用する、ステップと、を含む。
さらに、温度を測定するためのセンサアセンブリ(1)が記載され、センサアセンブリは上述の方法によって適用されたコーティング(6)を有する。
さらに、少なくとも1つの電子部品(1,30)にコーティング(6)を適用するためのコーティングキャリア(20)が記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用する方法であって:
A) コーティングキャリアを提供するステップであって、前記コーティングキャリアは、
- メインベースと、
- ウェルを有するコーティングベースと、
- さらなるウェルを有する可動のリザーバと、を備える、ステップと、
B) 前記リザーバの前記さらなるウェルにコーティング材料を充填するステップと、
C) 前記コーティングキャリアの長手軸に沿って前記リザーバをシフトさせ、したがって前記コーティングベースの前記ウェルを前記コーティング材料で満たす、ステップと、
D) 少なくとも1つの電子部品を提供し、前記コーティングベースの前記ウェル内に提供された前記コーティング材料内に前記電子部品を少なくとも部分的に浸漬して、前記電子部品のコーティングを適用する、ステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記リザーバの前記さらなるウェルは、前記さらなるウェルの底部に配置された空所を有し、
ステップC)において、前記リザーバは、前記空所が前記コーティングベースの前記ウェルの上方に配置されるまで、前記コーティングベースを介して移動する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記リザーバの前記さらなるウェルは、前記さらなるウェルの底部に配置された空所を有し、
ステップC)において、前記リザーバは、前記さらなるウェルの前記空所が閉じられる開始位置から、前記さらなるウェルの前記空所がもはや閉じられない終了位置へシフトされ、したがって、コーティング材料が前記リザーバの前記さらなるウェルから前記ウェルの前記空所を介して前記コーティングベースのウェル内へ移される、
請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングベースの前記ウェルをコーティング材料で充填した後に、前記リザーバは前記開始位置に戻される、
請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングキャリアは、少なくとも部分的に前記メインベースに沿って配置された少なくとも2つのガイド要素を有し、
ステップD)において、前記リザーバは前記ガイド要素に沿ってシフトする、
請求項1乃至4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記リザーバが前記長手軸に沿って移動するとき、及び/又は、前記ウェル及び/又は前記さらなるウェルがコーティング材料で充填されるとき、前記コーティング材料がこぼれない、
請求項1乃至5いずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記コーティング材料はコーティングパウダー又は樹脂を含む、
請求項1乃至6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電子部品は温度を測定するためのセンサアセンブリを含む、
請求項1乃至7いずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記コーティングの全長のばらつきは、既存のコーティング技術に比べて小さい、
請求項1乃至8いずれか1項記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのコーティングキャリアであって、
- メインベースと、
- 前記メインベース上に配置され、ウェルを有するコーティングベースであって、前記ウェルはコーティング材料を受容し保持するために適合しており、配置されている、コーティングベースと、
- 少なくとも部分的に前記コーティングベース上に取り付けられた可動のリザーバであって、コーティング材料を受容し保持するために適合しており、配置されているさらなるウェルを有する、リザーバと、
を備えるコーティングキャリア。
【請求項11】
前記リザーバは、前記コーティングベースの主延在方向に対して垂直に延在している、
請求項10記載のコーティングキャリア。
【請求項12】
前記リザーバは、前記コーティングキャリアの長手軸に沿って移動する、
請求項10又は11記載のコーティングキャリア。
【請求項13】
前記リザーバの前記さらなるウェルは、前記さらなるウェルの底部に配置された空所を有する、
請求項10乃至12いずれか1項記載のコーティングキャリア。
【請求項14】
前記リザーバは開始位置と終了位置との間でシフト可能であり、
前記開始位置では、前記コーティングベースの上面が前記空所の下部境界を形成し、
前記終了位置では、前記リザーバの前記さらなるウェルは前記コーティングベースの前記ウェルの上方に配置される、
請求項13記載のコーティングキャリア。
【請求項15】
前記コーティングキャリアは、少なくとも部分的に前記メインベースに沿って配置された少なくとも2つのガイド要素を有する、
前記リザーバは前記ガイド要素に沿ってシフト可能である、
請求項10乃至14いずれか1項記載のコーティングキャリア。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電子部品は温度を測定するためのセンサアセンブリを含む、
請求項10乃至15いずれか1項記載のコーティングキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの、好ましくは複数の、電子部品にコーティングを適用する方法に関するものである。特に、コーティングは、複数のセンサアセンブリに適用される。本発明は、さらに、コーティングを含むセンサアセンブリ、好ましくは温度センサアセンブリに関する。本発明は、さらに、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのコーティングキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
NTC(Negative Temperature Coefficient)温度センサなどの電子部品の需要が高まる中、材料やエネルギーの消費を抑えて、コスト効率の良い生産を行うことが求められている。しかし、高い信頼性を得るためには、新たな材料や製造技術を協調して組み合わせることが必要である。
【0003】
高い信頼性を得るための必須条件は、通常パウダーベース及び樹脂ベースのコーティング材料を有する、定義された幾何学的寸法(コーティング厚さ、ヘッド径、コーティング長さ)のコーティング保護層(機械、気候、化学、熱、光などの影響に対する保護)である。
【0004】
ワイヤコンタクトの電子部品のコーティングの従来技術は、静電法、流動層法、スプレーガン法、浸漬法などがある。
【0005】
これらの技術では、コーティング材料の無駄(Verschwendung)(部品に必要なコーティング材料と失われるコーティング材料の比率)が多くなってしまう。また、使用されなかったコーティング材料をリサイクルする必要があり、その結果として異物が蓄積する。高精度化の要求と設計の小型化の要求が同時に高まっているため、上記の技術では歩留まりの低下(Ertragsverlust)が生じている。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、上述の問題を解決することである。この課題は、独立請求項に係る方法及びセンサアセンブリによって解決される。
【0007】
第1態様によれば、コーティングを適用するための方法が提供される。特に、少なくとも1つの電子部品、好ましくは複数の電子部品の少なくとも一部に、コーティングが適用される(aufgebracht)。それぞれの電子部品は、例えば温度センサなどの任意の電子部品であることができる。しかしながら、本開示は、温度センサに限定されないことを理解されたい。
【0008】
この手順は、以下のステップを含む:
【0009】
第1ステップA)では、コーティングキャリアが提供される。コーティングキャリアは、メインベースを備える。メインベースは、平坦な、例えば長方形の、ベースを備え、コーティングキャリアのさらなるコンポーネントを受け入れるのに適合しており、配置されたものである。
【0010】
コーティングキャリアは、コーティングベースをさらに備える。コーティングベースは、メインベース上に配置され、ウェル又は凹部(Vertiefung)を有する。ウェルは、コーティング材料を受け入れて保持するように適合しており、配置されている。ウェルは、コーティングベースのコーティング材料ベッドを形成する。
【0011】
コーティングキャリアは、リザーバをさらに備える。リザーバは、少なくとも部分的にコーティングベース上に取り付けられている。リザーバは、コーティングベースの主延在方向に対して垂直に延在する。リザーバは、可動である。特に、コーティングキャリア/メインベースの長手軸に沿って移動可能である。リザーバは、さらなるウェルを有する。リザーバのウェルは、コーティング材料を受け入れて保持するのにも適合しており、配置されている。このウェルは、リザーバのコーティング材料ベッドを表す。
【0012】
次のステップB)では、コーティング材料をリザーバのウェルに充填する。これは、あふれることなく(verschuettungsfrei)行われる。コーティング材料が無駄になることがない。コーティング材料は、パウダーや樹脂を含む。
【0013】
次のステップC)では、リザーバをコーティングキャリアの長手軸に沿ってシフトさせ、したがってコーティングベースのウェルがコーティング材料で満たされるようにする。これは、こぼれなしに行われる。リザーバのシフト又は変位(Verschieben)は、手動又は自動で行われる。
【0014】
次のステップD)では、少なくとも1つの電子部品、好ましくは複数の電子部品が提供される。それぞれの電子部品は、コーティングベースが充填されたウェルの上方に配置される。それぞれの電子部品は、コーティングベースのウェルに提供されたコーティング材料に少なくとも部分的に浸漬され、電子部品のコーティングを(少なくとも部分的に)形成する。コーティング材料への浸漬によるコーティング層の形成は、漏れや飛散なしに(auslauf- und spritzfrei)行われる。
【0015】
飛散のないコーティングプロセスは、プロセスに追加の機械機能を含める必要なく、定義された幾何学的な寸法でコーティング保護層を製造することができる。
製品コストは、以下の方法で最小化することができる:
a) パウダー材料を最大80%、樹脂材料を最大20%削減する、
b) 外来物の蓄積を抑える、
c) 機械的機能を少なくする(機械内でのリサイクル、ドージング、スプレー、レベリング、撹拌を不要にする)、
d) コーティング飛散を低減/解消する。全体として、非常に効果的でコスト効率の良いコーティング層の塗布方法が提供さる。
【0016】
一実施形態によれば、リザーバのウェルは、空所を有する。空所は、上述のウェルの底部に配置されている。空所は、リザーバのウェルの底部に開口部を形成する。空所は、長手軸に垂直に延在する。空所は、コーティング材料をコーティングベースのウェル内に移す(uebertragen)ように適合しており、配置されている。
【0017】
ステップC)では、リザーバは、空所がコーティングベースのウェルの直上(direkt ueber)に位置するまで、コーティングベースを介して、特にコーティングベースの上面を介して移動する。
【0018】
ステップC)では、リザーバは、開始位置から終了位置までシフトされる。開始位置では、リザーバのウェルの空所は閉じられる。特に、空所は、リザーバが少なくとも部分的に取り付けられているコーティングベースの上面を介して閉じられている。終了位置では、空所はもはや閉じられていない。特に、終了位置では空所は、コーティングベースのウェルの直上に配置される。したがって、コーティング材料は、リザーバのウェルから空所を介してコーティングベースのウェルに移され又はその中に落ちる。
【0019】
このようにして、コーティング材料は、リザーバからコーティングベースのウェルに、容易に、かつ、あふれることなく(kleckerfrei)移されることができる。
【0020】
一実施形態によれば、コーティングベースのウェルにコーティング材を充填した後、リザーバは開始位置に戻される。これは、手動又は自動で行われる。リザーバの移動中、残りのコーティング材料はリザーバのウェルに確実に留まる。コーティング材料の無駄を防ぐことができる。
【0021】
一実施形態によれば、コーティングキャリアは、少なくとも2つのガイド要素を備える。ガイド要素は、メインベースの上面に固定されたレール(例えば、金属製レール)を有する。ガイド要素は、少なくとも部分的にメインベースに沿って配置されている。ガイド要素は、メインベースの長手軸に沿って互いに平行に延在する。ステップD)において、リザーバは、ガイド要素に沿ってシフトされる。このようにして、コーティング材料を有するリザーバは、メインベースに沿って確実に移動される。コーティング材料の無駄/こぼれ(Eine Verschwendung/ein Verschuetten)を効果的に防止することができる。
【0022】
一実施形態によれば、従来のコーティング技術と比較して、コーティングの全長のばらつき(Variation)が小さくなる。コーティングの全長とは、それぞれの電子部品の主長手軸に沿ったコーティングの全広がり(gesamte Ausdehnung)、すなわち、電子部品のコーティングされた長さを意味する。
【0023】
コーティング材料の使用、すなわちコーティング材料の量は、前述した方法によって削減されると結論づけることができる。さらに、コーティングの非常によく定義された幾何学的寸法は、飛散のないコーティングプロセスによって達成されることができる。
【0024】
本開示の別の態様によれば、センサアセンブリが提供される。センサアセンブリは、温度を測定するように構成されることができる。センサアセンブリは、ワイヤコンタクトであることができる。例えば、センサアセンブリは、NTC温度センサアセンブリであってもよい。
【0025】
センサアセンブリは、セラミックの基体と少なくとも2つの電極とを有するセンサ素子を含む。電極は、セラミック基体の外面に配置されている。また、センサアセンブリは、センサ要素と電気的にコンタクトするための少なくとも2つのコンタクト要素を有する。コンタクト要素は、接続領域において電極に接続されている。
【0026】
センサアセンブリは、さらに、コーティングを含む。コーティングの材料は、パウダー又は樹脂である。コーティングは、上述の方法によって、センサアセンブリに、特にセンサアセンブリの部分に適用される。方法に関連して説明されたすべての特徴は、センサアセンブリにも適用され、その逆もまた然りである。
【0027】
少なくともセラミック基体及び接続領域は、コーティングによって完全に覆われている。コーティングは、センサアセンブリの保護層となる。コーティングによって、センサアセンブリの少なくとも部分は、環境の影響から効果的に保護される。
【0028】
一実施形態によれば、センサアセンブリは、センサヘッドを備える。センサヘッドは、センサアレンジメントの上部領域を形成する。センサヘッドは、電極及び接続領域を有するセンサ要素と、コンタクト要素の少なくとも部分領域と、を備える。コーティングは、センサヘッドのスリーブを形成する。
【0029】
センサヘッドの長さのばらつきは、従来のコーティング技術に比べて小さい。また、コーティングの全長のばらつきも、従来のコーティング技術に比べて小さい。したがって、明確に定義された寸法を有する非常にコンパクトなセンサアセンブリが提供される。
【0030】
本願発明は、特に以下の態様を有する:
1. 少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用する方法であって、方法は:
A) コーティングキャリアを提供するステップであって、前記コーティングキャリアは、
- メインベースと、
- ウェルを有するコーティングベースと、
- さらなるウェルを有する可動リザーバと、を備える、ステップと、
B) リザーバのウェルにコーティング材料を充填するステップと、
C) コーティングキャリアの長手軸に沿ってリザーバをシフトさせ、したがってコーティングベースのウェルをコーティング材料で満たす、ステップと、
D) 少なくとも1つの電子部品を提供し、コーティングベースのウェル内に提供されたコーティング材料内に電子部品を少なくとも部分的に浸漬して、電子部品のコーティングを適用する、ステップと、
を含む。
【0031】
2. 態様1による方法であって、リザーバのウェルは、ウェルの底部に配置された空所を有し、ステップC)において、リザーバは、空所がコーティングベースのウェルの上方に配置されるまで、コーティングベースを介して移動する。
【0032】
3. 態様1又は2による方法であって、リザーバのウェルは、ウェルの底部に配置された空所を有し、ステップC)において、リザーバは、ウェルの空所が閉じられる開始位置から、ウェルの空所がもはや閉じられない終了位置へシフトされ、したがって、コーティング材料がリザーバのウェルからウェルの空所を介してコーティングベースのウェル内へ移される。
【0033】
4. 態様3による方法であって、コーティングベースのウェルをコーティング材料で充填した後に、リザーバは開始位置に戻される。
【0034】
5. 態様1乃至4いずれか1つによる方法であって、コーティングキャリアは、少なくとも部分的にメインベースに沿って配置された少なくとも2つのガイド要素を有し、ステップD)において、リザーバはガイド要素に沿ってシフトされる。
【0035】
6. 態様1乃至5いずれか1つによる方法であって、リザーバが長手軸に沿って移動するとき、及び/又は、ウェルがコーティング材料で充填されるとき、コーティング材料がこぼれない。
【0036】
7. 態様1乃至6いずれか1つによる方法であって、コーティング材料はコーティングパウダー又は樹脂を含む。
【0037】
8. 態様1乃至7いずれか1つによる方法であって、少なくとも1つの電子部品は温度を測定するためのセンサアセンブリを含む。
【0038】
9. 態様1乃至8いずれか1つによる方法であって、コーティングの全長のばらつきは、既存のコーティング技術に比べて小さい。
【0039】
10. 温度を測定するセンサアセンブリであって:
- セラミック基体と少なくとも2つの電極とを有するセンサ要素であって、電極がセラミック基体の外面に配置されている、センサ要素と、
- センサ要素の電気的コンタクトための少なくとも2つのコンタクト要素であって、コンタクト要素は、接続領域において電極に接続されている、コンタクト要素と、
- 少なくともセラミック基体及び接続領域を完全に覆うコーティングであって、 態様1乃至9いずれか1つによる方法によって適用される、コーティングと、を備える。
【0040】
11. 態様10によるセンサアセンブリであって、センサヘッドを有し、センサヘッドは、センサ要素とコンタクト要素の少なくとも一部とを含み、コーティングは、センサヘッドのスリーブを形成する。
【0041】
12. 態様11によるセンサアセンブリであって、従来のコーティング技術と比較して、センサヘッドの長さ及びコーティングの全長のばらつきが小さい。
【0042】
13. 態様10乃至12いずれか1つによるセンサアセンブリであって、コーティングの材料は、パウダー又は樹脂を含む。
【0043】
14. 態様10乃至13いずれか1つによるセンサアセンブリであって、センサアセンブリは、NTC温度センサアセンブリである。
【図面の簡単な説明】
【0044】
さらなる特徴、改良点及び利便性は、図面と併せて例示的な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
図1図1は、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用する方法のプロセス図を示す。
図2図2は、コーティングキャリアの斜視図である。
図3A図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3B図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3C図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3D図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3E図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3F図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図3G図3A乃至図3Gは、少なくとも1つの電子部品にコーティングを適用するためのプロセスの様々なステップを示す。
図4図4は、コーティングされた電子部品を模式的に示す側面図である。
図5図5は、図4に示す電子部品を模式的に示す斜視図である。
図6A図6A及び図6Bは、本発明の方法によって適用されたコーティングの全長と、従来技術によって適用されたコーティングの全長とを説明する図である。
図6B図6A及び図6Bは、本発明の方法によって適用されたコーティングの全長と、従来技術によって適用されたコーティングの全長とを説明する図である。
図7A図7A及び図7Bは、本発明の方法によって適用されたコーティングを有するセンサアセンブリのヘッド長と、従来技術によって適用されたコーティングとを有するセンサアセンブリのヘッド長とを示す図である。
図7B図7A及び図7Bは、本発明の方法によって適用されたコーティングを有するセンサアセンブリのヘッド長と、従来技術によって適用されたコーティングとを有するセンサアセンブリのヘッド長とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図面において、同じ構造及び/又は同じ機能を有する要素は、同じ参照符号で指定することができる。図面に示された実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺通りに描かれているわけではないことを理解されたい。
【0046】
図1は、少なくとも1つの、好ましくは複数の電子部品30にコーティング6を適用する方法のプロセス図を示す。それぞれの電子部品30は、ワイヤコンタクト型電子部品であることができる。それぞれの電子部品30は、温度を測定するためのセンサアセンブリ1、例えばNTC温度アセンブリであることができる(図4及び5に関連した説明も参照)。
【0047】
方法の第1ステップA)において、コーティングキャリア20が提供される(図2及び図3Aも参照)。コーティングキャリア20は、メインベース21を備えている。メインベース21は、矩形状の基本形状を有する。
【0048】
コーティングキャリア20は、コーティングベース22をさらに備える。コーティングベース22は、矩形状を有し、メインベース21の上側面(oberen Flaeche)の中央領域に設けられる。
換言すると、コーティングベース22は、メインベース21の側部エッジまで達していない。メインベース21の長手軸Xに沿ったコーティングベース22の広がり(Ausdehnung)は、長手軸Xに垂直な軸に沿ったコーティングベース22の広がりよりも大きい。換言すると、コーティングベース22の主広がり方向は、メインベース21/コーティングキャリア20の(主)長手軸Xに沿って延在する。
【0049】
コーティングベース22は、例えばメインベース21に、接着又はネジ止めすることができる。コーティングベース22は、ウェル23を有する。ウェル23は、記載された方法のさらなる経過においてコーティング材料29を受け入れるのに適合しており、配置されている。ウェル23は、コーティングベース22の上面の側部領域(図2:上面の左側領域)に配置され、長手軸Xに対して垂直に延在することができる。ウェル23は、例えば、コーティングベース22の上面にフライス加工で形成する(eingefraest)ことができる。
【0050】
コーティングキャリア20は、さらに、リザーバ24を備える。リザーバ24は、矩形の形状を有し、開始位置において、メインベース21の上面(Oberseite)の側部領域(Seitenbereich)(ここでは右側領域)に配置されている。リザーバ24は、少なくとも部分的にコーティングベース22の上面(開始位置:コーティングベース22の上面の右側領域)上に支持されている。メインベース21の長手軸Xに沿ったリザーバ24の広がりは、長手軸Xに垂直な軸に沿ったリザーバ24の広がりよりも小さい。換言すると、リザーバ24の主広がり方向は、(主)長手軸X/コーティングベース22に対して垂直である。
【0051】
リザーバ24は、ウェル25を有する。ウェル25は、コーティング材料29を受け入れるように適合され配置されている。ウェル25は、リザーバ24の上面の中央領域に配置され、長手軸Xに対して垂直に延在する。ウェル25は、例えば、リザーバ24の上面にフライス加工されることができる。リザーバ24は、ウェル25がコーティングベース22の上面の直上に配置されるように構成され配置されている。
【0052】
ウェル25は、ウェル25の底面に配置された空所28を含む。空所28によって、後述するように、リザーバ24のウェル25からコーティングベース22のウェル23にコーティング材料29を移すことを可能にする。開始位置では、コーティングベース22の上面が空所28の下部境界を形成し、すなわち、空所28を閉じる。
【0053】
リザーバ24は、長手軸Xに沿って移動可能である。このため、リザーバ24は、2つのスライダ26上に配置されている。両スライダ26は、互いに対向して配置されている。コーティングキャリア20の上面図において、一方のスライダ26はコーティングベース22の上方に配置され、他方のスライダ26はコーティングベース22の下方に配置される。
【0054】
コーティングキャリア20は、2つのガイド要素31をさらに備える。それぞれのスライダ26は、ガイド要素31を取り囲み、それぞれのガイド要素31に沿ってシフトすることができる。ガイド要素31は、長手軸Xに沿って延在し、メインベース21にネジ止めされている。
【0055】
リザーバ24は、手動又は自動で移動可能である。リザーバ24は、前述の開始位置(リザーバ24はメインベース21の右側部領域に配置され;コーティングベース22の上面が空所28の下部境界を形成する)から、終了位置(リザーバ24はメインベース21の左側部領域に配置され;コーティングベース22のリザーバ23(特にリザーバ23の底部)が空所28の下部境界を形成する)へ移動可能である。
【0056】
コーティングキャリア20は、さらに、2つのストッパ27を備える。ストッパ27は、メインベース21にねじ止めされている。ストッパ27は、長手軸Xに対して垂直に延在している。ストッパ27は、薄いレール又はストリップを有する。レール又はストリップは、例えば、金属を含むことができる。ストッパ27は、メインベース21の上面を相対向する2つの側面(図2:メインベース21の左側及び右側)で区切っている。特に、ストッパ27は、長手軸Xに沿ったリザーバ24の移動を制限するのに適合しており、配置されている。ストッパ27は、リザーバ24が、先に説明した開始位置と終了位置との間でのみ移動できることを保証する。
【0057】
コーティングキャリア20を提供した後、まず徹底的に洗浄し(図3A参照)、既述のコーティング材料29に混入する可能性のある汚染物を除去する。
【0058】
方法のステップB)において、コーティング材料29は、リザーバ24のウェル25に充填される(図3Bも参照)。コーティング材料29は、パウダー又は樹脂を含むことができる。コーティング材料29は、ウェル25の上端まで充填されることができる。空所28からのコーティング材料29の漏出は、空所28の下方に位置するコーティングベース22の上面によって防止される。
【0059】
方法のステップC)において、リザーバ24は、長手軸Xに沿って(すなわち、ガイド要素31に沿って)シフトされる。リザーバ24は、開始位置から終了位置まで移動され、その際、リザーバ24のウェル25は、コーティングベース22のウェル23の上方に配置される。開始位置から終了位置への移動の間、コーティングベース22の上面を介してコーティング材料29の空所28からの漏出が防止される。さらに、リザーバ24の移動中に、例えばウェル25の縁部を越えるようなオーバーフローは起きない。
【0060】
終了位置では、コーティング材料29が空所28を介してコーティングベース22のウェル23に落下し、すなわちコーティングベース22のウェル23がコーティング材料29で満たされる(図3C参照)。これにより、コーティング材料29の漏れが防止される。その後、リザーバ24は、その開始位置まで(自動又は手動で)戻される。
【0061】
方法ステップD)において、少なくとも1つの電子部品30、好ましくは複数の電子部品30が提供される(図3D参照)。電子部品30は、コーティングベース22のウェル23の直上、すなわちコーティング材料29の直上に配置される。電子部品30は、コーティングベース23のウェル23の方向に移動し、コーティングベース22のウェル23に提供されたコーティング材料29内に少なくとも部分的に浸漬され(図3E参照)、飛散せず、あふれることなく、それぞれの電子部品30のコーティング6(少なくとも部分)を形成する。その後、電子部品30は、ウェル23の上方の開始位置に戻される(図3F)。
【0062】
電子部品30のコーティング後、リザーバ24のウェル25(その後、コーティングベース22のウェル23)には、上述のようにコーティング材料29が補充される(図3G参照)。
【0063】
これは、コーティングキャリア20の特別な構造により、あふれることなく起きる。特に、上述の方法は、スピルフリーコーティング技術又はあふれのないコーティング技術(eine verschuettungsfreie Beschichtungstechnologie)である。それは、プロセスにおける追加の機械機能なしに、定義された幾何学的寸法における保護コーティング層(コーティング6)の製造を可能にする。製品コストは、以下の方法で最小化することができる:
a) パウダー材料を最大80%、樹脂材料を最大20%削減する、
b) 外来物の蓄積を抑える、
c) 機械的機能を少なくする(機械内でのリサイクル、ドージング、スプレー、レベリング、撹拌を不要にする)、
d) コーティング飛散を低減する。
【0064】
図4及び図5は、コーティングされた電子部品30の一例を示す。
【0065】
それぞれの電子部品30は、ワイヤコンタクト型電子部品を有する。それぞれの電子部品30は、温度を測定するように設計されたセンサアセンブリ1、例えば、NTC温度センサアセンブリを含むことができる。センサアセンブリ1は、高温で使用するように設計されることができる。
【0066】
センサアセンブリ1は、センサ要素又はセンサーチップを有する。センサ要素は、好ましくは、NTCサーミスタチップである。センサ要素は、セラミック基体2を備える。セラミック基体2は、相対向して配置された側面2aを備える。センサ素子は、さらに、2つの電極3を備える。電極3は、センサ要素の外面に形成されている。特に、電極3は、セラミック基体2の相対向する側面2aに形成されている。
【0067】
センサアセンブリ1は、センサ要素の電気的コンタクトのための2つの接触要素4をさらに備えている。コンタクト要素4は、好ましくはワイヤを有する。コンタクト要素4は、接続領域7において電気的及び機械的に電極3に接続される。電極3とコンタクト要素4とは、例えば、コンタクトペースト5を介して互いにコンタクトすることができる。
【0068】
センサアセンブリ1は、コーティング6、すなわち先に説明したプロセスによって得られたコーティング6を、さらに含んでいる。コーティング6は、センサ要素のセラミック基体2及び接続領域7の両方を完全に包囲している。特に、コーティング6は、センサアセンブリ1のヘッド8(センサヘッド8)を完全に包囲する。センサヘッド8は、図4及び図5に見られるように、センサ要素及びコンタクト要素4の少なくとも部分的な領域を有する。コーティング6は、センサヘッド8のスリーブを形成し、センサヘッド8を環境の影響から保護する。
【0069】
コーティング6の下面には、コーティング6の窪み6aがある。これは、上述した電子部品30又はセンサアセンブリ1のコーティング材料29への浸漬によって生じる。
【0070】
センサヘッド8は、センサアレンジメント1の上端から窪み6aの頂点(すなわち、センサヘッド8の全長L1)まで延在する。センサヘッド8の全長L1、すなわち電子部品30/センサアセンブリ1(図7A参照)の主長手軸に沿ったセンサヘッド8の全体的広がりは、従来のコーティング技術(図7B参照)と比較して小さい。
【0071】
より正確には、全長L1の偏差は、従来のコーティング技術と比較して低い(図7Aを参照)。換言すると:従来のコーティング方法で達成されるヘッド全長のばらつきは、本発明による方法と比較して統計的に有意に高い(図7Bを参照)。
【0072】
さらに、コーティング6の全長L2、すなわち電子部品30/センサアセンブリ1(図6A参照)の主長手軸に沿ったコーティング6の完全な広がり(vollstaendige Ausdehnung)は、従来のコーティング技術(図6B参照)と比較して小さい。
【0073】
コーティング6の全長L2のばらつきは、従来のコーティング技術と比較して低い(図6Aを参照)。換言すると、従来のコーティング方法で達成されるコーティングの全長のばらつきは、本発明による方法と比較して統計的に有意に高い(図6B)。
【0074】
全体として、前述のスピルフリーコーティング方法によれば、センサヘッドの長さのばらつきや全長のばらつきは、従来のコーティング技術に比べ、統計的に有意に小さい。さらに、コーティングの飛散を避けることができる。このようにして、スピルフリーコーティング方法は、明確な幾何学的寸法を有するコンパクトでコスト効率の良い電子部品を提供する。
【符号の説明】
【0075】
1 センサアセンブリ(Sensoranordnung)
2 基体(Grundkoerper)
2a 基体の側面(Seitenflaeche des Grundkoerpers)
3 電極(Elektrode)
4 コンタクト要素(Kontaktierungselement)
5 コンタクトペースト(Kontaktierungspaste)
6 コーティング(Beschichtung)
6a 窪み(Einbuchtung)
7 接続領域(Anschlussbereich)
8 センサヘッド(Sensorkopf)
20 コーティングキャリア(Beschichtungstraeger)
21 メインベース(Hauptsockel)
22 コーティングベース(Beschichtungssockel)
23 コーティングベースのウェル(Vertiefung des Beschichtungssockels)
24 リザーバ(Vorratsbehaelter)
25 リザーバのウェル(Vertiefung des Vorratsbehaelters)
26 スライダ(Schieber)
27 ストッパ(Stopper)
28 空所(Aussparung)
29 コーティング材料(Beschichtungsmaterial)
30 電子部品(Elektronisches Bauteil)
31 ガイド要素(Fuehrungselement)
L1 センサヘッドの全長(Gesamtlaenge des Sensorkopfes)
L2 コーティングの全長(Gesamtlaenge der Beschichtung)
X 長手軸(Laengsachse)
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
【国際調査報告】