(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フィルムマスク
(51)【国際特許分類】
B32B 7/023 20190101AFI20240920BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20240920BHJP
H01L 31/18 20060101ALI20240920BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240920BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B32B7/023
H01L31/04 262
H01L31/04 420
B32B27/00 M
C23C14/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515153
(86)(22)【出願日】2022-09-07
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 CN2022117628
(87)【国際公開番号】W WO2023036200
(87)【国際公開日】2023-03-16
(31)【優先権主張番号】202111063887.5
(32)【優先日】2021-09-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522400560
【氏名又は名称】隆基緑能科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】LONGI GREEN ENERGY TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蔡 永安
【テーマコード(参考)】
4F100
4K029
5F251
【Fターム(参考)】
4F100AK01
4F100AK01A
4F100AK01B
4F100AK03
4F100AK03A
4F100AK03D
4F100AK07
4F100AK07B
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4F100AK25B
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4F100AN02
4F100AN02B
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4F100EJ38A
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4F100JN01
4F100JN01B
4F100YY00A
4F100YY00B
4K029HA02
5F251CB11
5F251CB27
5F251FA06
5F251FA16
(57)【要約】
本願は、第1の層と第2の層とを含むフィルムマスクを提供し、第1の層と第2の層とは積層して配置され、第2の層は粘性膜を含み、第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、第1層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、赤外光光源の波長は1045±20nmであり、第1の層の可視光透過率は90%以下である。本願に係るフィルムマスクは、光学特性を利用しており、通常のフィルムに比べて光源の必要電力が低く、コストを節約することができる。更に、パターニング内容が低電力光源で形成され、粘性膜のコストが低く、パターニング処理を実現するために複雑なプロセスをマッチングする必要がなく、コストを低減し、効率を向上させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と第2の層とを含むフィルムマスクであって、前記第1の層と第2の層とは積層して配置され、前記第2の層は粘性膜を含み、
前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第1層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmであり、
前記第1の層の可視光透過率は90%以下であるフィルムマスク。
【請求項2】
前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項3】
前記第1の層は高分子膜を含み、
前記高分子膜の材料は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンフィルム、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、二軸延伸ポリプロピレンのうちの1種又は複数種を含む請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項4】
前記第1の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項5】
前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmである請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項6】
前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項7】
前記第2の層の厚さは1-30μmであり、好ましい厚さは2-15μmであり、更に好ましい厚さは3-10μmである請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項8】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、シリカゲル、アクリル系粘着剤、ポリウレタン、ゴム、ポリイソブチレンのうちの1種又は複数種を含む請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項9】
前記第2の層の第1の温度での剥離強度は1-50gf/cmであり、好ましい剥離強度は5-30gf/cmであり、更に好ましい剥離強度は6-15gf/cmであり、
ここで、前記第1の温度は15-30℃であり、好ましくは、前記第1の温度は20-30℃であり、更に好ましくは、前記第1の温度は20-25℃である請求項8に記載のフィルムマスク。
【請求項10】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で非可逆性を示す一方向感温性接着剤を含み、
前記一方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って低下する請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項11】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が第2の温度以上の条件で非可逆性を示す熱減ビスコースを含み、
前記熱減ビスコースは、第2の温度以上での剥離強度が第2の温度未満の剥離強度よりも小さく、
ここで、前記第2の温度は70℃であり、好ましい前記第2の温度は70-150℃であり、更に好ましい前記第2の温度は90-150℃である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項12】
前記剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である請求項10に記載のフィルムマスク。
【請求項13】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で可逆性を示す双方向感温性接着剤を含み、
前記双方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って上昇する請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項14】
前記剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である請求項13に記載のフィルムマスク。
【請求項15】
前記フィルムマスクの厚さは10-100μmであり、好ましい厚さは10-50μmである請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項16】
前記フィルムマスクは、第3の層をさらに含み、
前記第3の層は、前記第2の層の前記第1の層から離れた側に積層して配置され、
前記第3の層は離型膜を含み、
前記離型膜は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィンフィルム、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、二軸延伸ポリプロピレンのうちの1種又は複数種を含む請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項17】
前記第3の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである請求項16に記載のフィルムマスク。
【請求項18】
請求項1-15のいずれか1項に記載のフィルムマスクを用いた太陽電池の成膜プロセス。
【請求項19】
機能層成膜プロセス及び/又は導電層成膜プロセスを含み、
前記機能層成膜は、誘電体成膜を含み、前記導電層成膜は、透明導電層成膜及び/又は金属導電層成膜を含む請求項18に記載の成膜プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、フィルム材料技術分野に関し、特にフィルムマスクに関する。
【0002】
<関連出願の相互参照>
本願は、2021年9月10日に中国特許庁に提出された、出願番号が202111063887.5、名称が「フィルムマスク」である中国特許出願の優先権を主張しており、その全ての内容は引用によって本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
フィルムマスクを用いて領域パターンを製造するこの方法は、半導体、表示パネル、タッチパネル、太陽電池、回路マスク、精密印刷などのハイテク分野に広く応用されている。現在一般的に使用されている方法は、フォトレジスト現像またはパターニングされた金属マスクを用いることである。フォトレジストプロセスは複雑で、材料コストが高く、さらにその後化学洗浄が必要であり、環境保護用の費用が増加する。金属マスクは特に凹凸表面を持つ太陽電池に応用される場合、金属マスクと太陽電池表面が貼り合わせられず、パターニング内容の精度が高くなく、使用中に定期的なメンテナンス洗浄が必要であり、メンテナンスコストが増加する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の1つの目的は、フィルムマスクを提供することであり、前記フィルムマスクは、第1の層と第2の層とを含み、前記第1の層と第2の層とは積層して配置され、前記第2の層は粘性膜を含み、
前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第1層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmであり、
前記第1の層の可視光透過率は90%以下である。
【0005】
更に、前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0006】
更に、前記第1の層は高分子膜を含み、
前記高分子膜の材料は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)のうちの1種又は複数種を含む。
【0007】
更に、前記第1の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである。
【0008】
更に、前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmである。
【0009】
更に、前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0010】
更に、前記第2の層の厚さは1-30μmであり、好ましい厚さは2-15μmであり、更に好ましい厚さは3-10μmである。
【0011】
更に、前記第2の層における前記粘性膜の材料は、シリカゲル、アクリル系粘着剤、ポリウレタン、ゴム、ポリイソブチレンのうちの1種又は複数種を含む。
【0012】
更に、前記第2の層の第1の温度での剥離強度は1-50gf/cmであり、好ましい剥離強度は5-30gf/cmであり、更に好ましい剥離強度は6-15gf/cmであり、
ここで、前記第1の温度は15-30℃であり、好ましくは、前記第1の温度は20-30℃であり、更に好ましくは、前記第1の温度は20-25℃である。
【0013】
更に、前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で非可逆性を示す一方向感温性接着剤を含み、
前記一方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って低下する。
【0014】
更に、前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が第2の温度以上の条件で非可逆性を示す熱減ビスコースを含み、
前記熱減ビスコースは、第2の温度以上での剥離強度が第2の温度未満の剥離強度よりも小さく、
ここで、前記第2の温度は70℃であり、好ましい前記第2の温度は70-150℃であり、更に好ましい前記第2の温度は90-150℃である。
【0015】
更に、前記剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である。
【0016】
更に、前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で可逆性を示す双方向感温性接着剤を含み、
前記双方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って上昇する。
【0017】
更に、前記剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である。
【0018】
更に、前記フィルムマスクの厚さは10-100μmであり、好ましい厚さは10-50μmである。
【0019】
更に、前記フィルムマスクは、第3の層をさらに含み、
前記第3の層は、前記第2の層の前記第1の層から離れた側に積層して配置され、
前記第3の層は離型膜を含み、
前記離型膜は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)のうちの1種又は複数種を含む。
【0020】
更に、前記第3の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである。
【0021】
本願の他の目的は、前記フィルムマスクを用いた太陽電池の成膜プロセスを提供することである。
【0022】
更に、前記成膜プロセスは、機能層成膜プロセス及び/又は導電層成膜プロセスを含み、
前記機能層成膜は、誘電体成膜を含み、前記導電層成膜は、透明導電層成膜及び/又は金属導電層成膜を含む。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本願は、フィルムマスクを提供し、第1の層に対して、特定の光学特性を設定し、例えば、吸収係数及び可視光透過率などの特性の制限を設定することにより、第1の層に対して紫外光レーザ、緑色光レーザ又は赤外光レーザなどの特定の波長範囲の光源を照射し、第1の層をパターニング処理し、更に第2の層の粘性膜が粘性を有する特徴を利用して、パターニングされたフィルムマスクを被処理対象物に貼着し、後続の領域パターンの製造を行った。以下の特徴を有する。
【0024】
フォトレジスト現像に比べて、本願に係るフィルムマスクは、光学特性を利用しており、通常のフィルムに比べて光源の必要電力が低く、コストを節約することができる。更に、パターニング内容が低電力光源で形成され、粘性膜のコストが低く、パターニング処理を実現するために複雑なプロセスをマッチングする必要がなく、コストを低減し、効率を向上させることができる。また、金属マスクに比べて、本実施例に係るフィルムマスクは、粘性膜を介して処理対象物の表面に貼着されることで、フィルムマスクと表面を確実に結合させることができ、金属マスク方式に比べて、透かし領域の影響を受けることなく、パターニング内容をより正確にし、品質を向上させることができる。
【0025】
上記の説明は本願の技術的解決手段の概要に過ぎず、本願の技術的手段をより明確に理解して明細書の内容に従って実施することができるようにするために、また本願の上記や他の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下に本願の具体的な実施形態を挙げる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本願の実施例又は従来技術における技術的解決手段をより明確に説明するために、実施例又は従来技術の説明に必要な図面を簡単に説明する。勿論、以下の説明における図面は、本願のいくつかの実施例であり、当業者にとって、創造的な労働を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面をさらに得ることができる。
【
図1】本願の実施例1のフィルムマスクの構造の概略図である。
【
図2】本願の実施例2のフィルムマスクの構造の概略図である。
【
図3】本願の具体的なシーン実施例1の青色PETフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
【
図4】本願の具体的なシーン実施例2の黄色PETフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
【
図5】本願の具体的なシーン実施例3の緑色POフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
【
図6】本願の具体的な適用実施例1の太陽電池セルの、電極ゲート線を製造する方法の概略図である。
【
図7】本願の具体的な適用実施例2の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図である。
【
図8】本願の具体的な適用実施例3の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図である。
【
図9】本願の具体的な適用実施例4の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本願の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明らかにするために、以下、本願の実施例における図面を参照しながら、本願の実施例における技術的解決手段を明確で完全に説明する。勿論、説明された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他の全ての実施例は、本願の保護の範囲に属する。
【0028】
本願が解決しようとする技術問題、技術的解決手段及び有益効果をより明確にするために、以下に図面及び実施例を参照して、本願についてさらに詳細に説明する。本明細書に記載された具体的な実施例は、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0029】
本願の明細書及び特許請求の範囲並びに上記の図面における「第1」、「第2」、「第3」、「第4」等(存在する場合)という用語は、特定の順序又は優先順位を説明するためのものではなく、類似の対象を区別するためのものである。このように使用されるデータは、本明細書で説明される本願の実施例が、例えば、本明細書で図示または説明される順序を除いた順序で実施できるように、適切な場合に交換可能であることを理解されたい。さらに、「含む」及び「有する」などの用語及びそれらの任意の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図しており、例えば、一連のステップ又はユニットを含むプロセス、方法、システム、製品またはデバイスは、明確にリストされているステップ又はユニットに限定されず、明確にリストされていないステップ又はユニット、またはこれらのプロセス、方法、製品、またはデバイスに固有の他のステップ又はユニットを含んでもよい。
【0030】
以下、本願の技術的解決手段を具体的な実施例に基づいて詳細に説明する。以下のこれらの具体的な実施例は互いに結合することができ、同じまたは類似した概念またはプロセスについては、いくつかの実施形態ではもはや説明しないことがある。
【0031】
実施例1:二層の積層構造のフィルムマスク
本願の実施例は、二層の積層構造のフィルムマスクの構造を提供し、
図1は本願の実施例1のフィルムマスクの構造の概略図であり、
図1に示すように、当該フィルムマスクの構造は、
第1の層1及び第2の層2を含み、第1の層1と第2の層2は積層して配置され、当該第2の層2は粘性膜を含む。
【0032】
第1の層1は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、紫外光光源の波長は355±15nmである。
【0033】
又は、第1の層1は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、緑色光光源の波長は530±15nmである。
【0034】
又は、第1の層1は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、赤外光光源の波長は1045±20nmである。
【0035】
第1の層1の可視光透過率は90%以下である。
【0036】
本実施例に係るフィルムマスクは、第1の層に対して、特定の光学特性を設定し、例えば、吸収係数及び可視光透過率などの特性の制限を設定することにより、第1の層に対して紫外光レーザ、緑色光レーザ又は赤外光レーザなどの特定の波長範囲の光源を照射し、第1の層をパターニング処理し、更に第2の層の粘性膜が粘性を有する特徴を利用して、パターニングされたフィルムマスクを被処理対象物に貼着し、後続の領域パターンの製造を行った。
【0037】
フォトレジスト現像に比べて、本実施例に係るフィルムマスクは、光学特性を利用しており、通常のフィルムに比べて光源の必要電力が低く、コストを節約することができる。更に、パターニング内容が低電力光源で形成され、粘性膜のコストが低く、パターニング処理を実現するために複雑なプロセスをマッチングする必要がなく、コストを低減し、効率を向上させることができる。また、金属マスクに比べて、本実施例に係るフィルムマスクは、粘性膜を介して処理対象物の表面に貼着されることで、フィルムマスクと表面を確実に結合させることができ、金属マスク方式に比べて、透かし領域の影響を受けることなく、パターニング内容をより正確にし、品質を向上させることができる。
【0038】
実施例2:三層の積層構造のフィルムマスク
本願の実施例は、三層の積層構造のフィルムマスクの構造を提供し、
図2は本願の実施例2のフィルムマスクの構造の概略図であり、
図2に示すように、当該フィルムマスクの構造は、
第1の層1、第2の層2及び第3の層3を含み、第1の層1、第2の層2及び第3の層3は順に積層して配置され、当該第3の層3は第2の層2の第1の層1から離れた側に積層して配置され、
当該第2の層2は粘性膜を含み、当該第3の層3は離型膜を含む。
【0039】
第1の層1は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、紫外光光源の波長は355±15nmである。
【0040】
又は、第1の層1は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、緑色光光源の波長は530±15nmである。
【0041】
又は、第1の層1は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、赤外光光源の波長は1045±20nmである。
【0042】
第1の層1の可視光透過率は90%以下である。
【0043】
本実施例に係るフィルムマスクは、上記実施例に加えて、離型膜をさらに含み、離型膜の役割は、フィルムマスクをパターニング加工する過程で、粘性膜が加工使用中に他のものを貼着しないように保護し、パターニング加工後に離型膜をはがしやすくし、パターニング後のフィルムマスクを処理対象物に貼着することができることである。
【0044】
以下、上記実施例に記載されたいくつかの特徴について具体的にさらに説明する。
【0045】
更に、第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、更に好ましくは、第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0046】
又は、第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0047】
又は、第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0048】
上記の説明と合わせて、例えば、紫外光光源の場合、厚さが200μm以下である場合の吸収係数は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0049】
上記の説明と合わせて、例えば、緑色光光源の場合、厚さが200μm以下である場合の吸収係数は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0050】
上記の説明と合わせて、例えば、赤外光光源の場合、厚さが200μm以下である場合の吸収係数は、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%またはそれらの間の任意の範囲である。
【0051】
更に、第1の層は高分子膜を含み、高分子膜の材料は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)等のうちの1種又は複数種を含む。
【0052】
上記の説明と合わせて、例えば、第1の層の可視光透過率は90%以下である場合、可視光透過率は、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0053】
更に、第1の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである。
【0054】
上記の説明と合わせて、例えば、第1の層の厚さは、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μmまたはそれらの間の任意の範囲である。
【0055】
ただし、第1の層の上記各種の光源に対する吸収係数の特徴設定は、通常、第1の層の色を調整し、吸収特性を持つ添加剤を添加するなどの方法で実現することができる。例えば、吸収係数の要求を満たすために、PET膜には、様々な染料、添加剤、色母または他の物質が含まれる。例えば、BOPP膜に黒色粒子を添加して100%の吸収係数を実現し、更に、例えば、PO膜に灰色粒子を添加して50%の吸収係数を実現する。
【0056】
更に、第2の層に含まれる粘性膜は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、赤外光光源の波長は1045±20nmである。
【0057】
上記の説明と合わせて、紫外光光源の波長は340nm、345nm、350nm、355nm、360nm、365nm、370nmまたはそれらの間の任意の範囲である。例えば、ここでの紫外光光源としては、例えばパルス幅がピコ秒又はフェムト秒オーダーである超高速パルスレーザ、さらに例えばパルス幅がマイクロ秒またはナノ秒オーダーの短パルスレーザなどのレーザ光源を用いることができる。
【0058】
上記の説明と合わせて、緑色光光源の波長は515nm、520nm、525nm、530nm、535nm、540nm、545nmまたはそれらの間の任意の範囲である。例えば、ここでの緑色光光源としては、例えばパルス幅がピコ秒又はフェムト秒オーダーである超高速パルスレーザ、さらに例えばパルス幅がマイクロ秒またはナノ秒オーダーの短パルスレーザなどのレーザ光源を用いることができる。
【0059】
上記の説明と合わせて、赤外光光源の波長は1025nm、1030nm、1035nm、1040nm、1045nm、1050nm、1055nm、1060nm、1065nmまたはそれらの間の任意の範囲である。例えば、ここでの赤外光光源としては、例えばパルス幅がピコ秒又はフェムト秒オーダーである超高速パルスレーザ、さらに例えばパルス幅がマイクロ秒またはナノ秒オーダーの短パルスレーザなどのレーザ光源を用いることができる。
【0060】
更に、第2の層の可視光透過率は100%以下であり、好ましくは、第2の層の可視光透過率は90%以下である。
【0061】
上記の説明と合わせて、例えば、第2の層の可視光透過率については、可視光透過率は、0%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、100%またはそれらの間の任意の範囲であってもよい。
【0062】
更に、第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である。
【0063】
ここでの吸収係数は、吸収係数に関する上記説明を参照する。
【0064】
ただし、上記の説明と合わせて、この薄膜マスクは、例えばレーザ光源を用いた薄膜マスクのパターニングにおいてレーザのエネルギーを効率的に吸収し、エネルギー効率とターニング精度を向上させるために、ある波長範囲内で高い吸収率を備えるように設計する必要があり、具体的には使用するレーザ光源に応じて設計する必要がある。
【0065】
更に、第2の層に含まれる粘性膜の材料は、シリカゲル、アクリル系粘着剤、ポリウレタン、ゴム、ポリイソブチレン等のうちの1種又は複数種を含む。
【0066】
更に、第2の層の厚さは1-30μmであり、好ましい厚さは2-15μmであり、更に好ましい厚さは3-10μmである。
【0067】
上記の説明と合わせて、例えば、第2の層の厚さは、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μmまたはそれらの間の任意の範囲である。
【0068】
ここで、粘性膜の特徴についてさらに細分化すると、粘性膜の材料がシリカゲル、アクリル系粘着剤、ポリウレタン、ゴム、ポリイソブチレン等のうちの1種又は複数種を含む場合、粘性膜の第1の温度での剥離強度の範囲は1-50gf/cmであり、好ましい剥離強度の範囲は5-30gf/cmであり、更に好ましい剥離強度の範囲は6-15gf/cmである。ここで、第1の温度は15-30℃であり、好ましくは、第1の温度は20-30℃であり、更に好ましくは、第1の温度は20-25℃である。
【0069】
粘性膜の材料が一方向感温性接着剤を含む場合、一方向感温性接着剤の粘性は、異なる温度条件下で非可逆性を示し、そして、一方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って低下する。ここで一方向感温性接着剤を用いた作用は、温度を印加する際にフィルムマスクをはがしやすくすることである。
【0070】
具体的には、第2の層の粘性膜における一方向感温性接着剤は、剥離強度が5-30gf/cmであり、温度が50-140℃である。例えば、温度が50℃である場合、剥離強度は25gf/cmであり、温度が70℃である場合、剥離強度は21gf/cmであり、温度が100℃である場合、剥離強度は15gf/cmであり、温度が140℃である場合、剥離強度は5gf/cmである。ただし、以上のデータは単なる例示であり、具体的なパラメータ要求は実際の生産作業における要求に応じて対応することができる。
【0071】
粘性膜の材料が熱減ビスコースを含む場合、熱減ビスコースの粘性は、第2の温度以上の条件で非可逆性を示し、そして、熱減ビスコースは、第2の温度以上での剥離強度が第2の温度未満の剥離強度よりも小さく、即ち、熱減ビスコースは、第2の温度以上である場合、剥離強度が低下し、好ましくは、剥離強度は急速に低下する。
【0072】
具体的な第2の温度は70℃であり、好ましい第2の温度は70-150℃であり、更に好ましい第2の温度は90-150℃である。
【0073】
粘性膜の材料が双方向感温性接着剤を含む場合、双方向感温性接着剤の粘性は、異なる温度条件下で可逆性を示し、そして、双方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って上昇する。ここで双方向感温性接着剤を用いた作用は、温度を印加する際にフィルムマスクをはがしやすくすることである。
【0074】
具体的には、第2の層の粘性膜における双方向感温性接着剤は、剥離強度が5-30gf/cmであり、温度が50-140℃である。例えば、温度が50℃である場合、剥離強度は5gf/cmであり、温度が80℃である場合、剥離強度は15gf/cmであり、温度が110℃である場合、剥離強度は20gf/cmであり、温度が140℃である場合、剥離強度は30gf/cmである。ただし、以上のデータは単なる例示であり、具体的なパラメータ要求は実際の生産作業における要求に応じて対応することができる。
【0075】
上記の説明と合わせて、例えば、粘性膜の剥離強度は、1gf/cm、2gf/cm、3gf/cm、4gf/cm、5gf/cm、6gf/cm、7gf/cm、8gf/cm、9gf/cm、10gf/cm、11gf/cm、12gf/cm、13gf/cm、14gf/cm、15gf/cm、16gf/cm、17gf/cm、18gf/cm、19gf/cm、20gf/cm、21gf/cm、22gf/cm、23gf/cm、24gf/cm、25gf/cm、26gf/cm、27gf/cm、28gf/cm、29gf/cm、30gf/cm、35gf/cm、40gf/cm、45gf/cm、50gf/cm、55gf/cm、60gf/cm、100gf/cm、150gf/cm、300gf/cm、400gf/cm、500gf/cm、1000gf/cmまたはそれらの間の任意の範囲である。
【0076】
例えば、温度は、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃、80℃、85℃、90℃、95℃、100℃、105℃、110℃、115℃、120℃、125℃、130℃、135℃、140℃、145℃、150℃、155℃、160℃、165℃、170℃、175℃、180℃、185℃、190℃、195℃、200℃またはそれらの間の任意の範囲である。
【0077】
粘性膜は、フィルムマスクを処理対象物にしっかりと密着可能で、カールや反りなどが生じないようにするために、一定の剥離強度を備える必要がある。例えば、あるシーンでは、20℃又は25℃の条件下で、且つ剥離強度が15-20gf/cmの範囲内で作業する必要がある。さらに例えば、別のシーンでは、80℃の条件下で、且つ剥離強度が30-35gf/cmの範囲内で作業する必要がある。全体的に、具体的な剥離強度の選択は、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0078】
ここで、剥離強度の定義については、鋼板に対する中華人民共和国国家基準GB/T2792-2014のテープの剥離強度試験値を本願の剥離強度の認定方式とすることができる。次に、上記実施例のフィルムマスクの厚さについてさらに説明する。
【0079】
更に、フィルムマスクの厚さは10-100μmであり、好ましい厚さは10-50μmである。
【0080】
ここで、全体のフィルムマスクの厚さを考慮すると、上記の説明と合わせて、例えば、全体のフィルムマスクの厚さは、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μmまたはそれらの間の任意の範囲である。
【0081】
例えばレーザ光源などの異なる光源、及びフィルムマスクパターニングの使用要求に対して、光源及びパターニングの実際のニーズに合致するために、全体のフィルムマスクの厚さを設計し、制御する必要がある。
【0082】
全体的に、全体のフィルムマスクの厚さの選択は、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0083】
更に、フィルムマスクの第3の層に含まれる離型膜は、高分子ポリマーであり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリオレフィンフィルム(PO)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)等のうちの1種又は複数種を含む。
【0084】
更に、第3の層の厚さは1-100μmであり、好ましい厚さは5-40μmであり、更に好ましい厚さは10-25μmである。
【0085】
上記の説明と合わせて、例えば、第3の層の厚さは、1μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、100μmまたはそれらの間の任意の範囲である。
【0086】
以上に説明したフィルムマスクを用いると、太陽電池の成膜プロセスに応用することができる。
【0087】
更に、当該成膜プロセスは、機能層成膜プロセス及び/又は導電層成膜プロセスを含む。機能層及び導電層の製造工程のうちの一方のみ又は両方は、当該フィルムマスクを選択して利用することができる。ここで、当該機能層成膜は、誘電体成膜を含み、当該導電層成膜は、透明導電層成膜及び/又は金属導電層成膜を含む。
【0088】
以上説明した誘電体は、パッシベーション層、絶縁層、反射防止層などのうちの1種又は複数種を含む。
【0089】
具体的なシーン実施例1
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0090】
高分子膜は5μmの青色PETフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が90%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が50%以上である。
図3は本願の具体的なシーン実施例1の青色PETフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
図3に示すように、図において、横軸は波長数値範囲であり、単位がnmであり、縦軸は吸収係数であり、単位が%である。図における31は、青色PETフィルム材料を用いた高分子膜の異なる波長範囲内での吸収係数を表す。図における32は、透明PETフィルム材料を用いた高分子膜の異なる波長範囲内での吸収係数を表す。図における33のように、青色PETフィルム材料を用いた高分子膜の、波長が355nmの紫外光波長でのエネルギー吸収係数は53%であることが分かる。
【0091】
粘性膜は、厚さ5μmのシリカゲル接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が90%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が5%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が10-15gf/cmである。
【0092】
具体的なシーン実施例2
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0093】
高分子膜は10μmの黄色PETフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が40%以下であり、530nm緑色光波長エネルギー吸収係数が20%以上である。
図4は本願の具体的なシーン実施例2の黄色PETフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
図4に示すように、図において、横軸は波長数値範囲であり、単位がnmであり、縦軸は吸収係数であり、単位が%である。図における41は黄色PETフィルム材料を用いた高分子膜の異なる波長範囲内での吸収係数を表す。図における42のように、黄色PETフィルム材料を用いた高分子膜の、波長が530nmの緑色光波長でのエネルギー吸収係数は23%であることが分かる。
【0094】
粘性膜は、厚さ7μmのシリカゲル接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が40%以下であり、530nm緑色波長エネルギー吸収係数が35%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が20-25gf/cmである。
【0095】
具体的なシーン実施例3
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0096】
高分子膜は15μmの緑色POフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、1065nm赤外波長エネルギー吸収係数が20%以上である。
図5は本願の具体的なシーン実施例3の緑色POフィルム材料を用いた高分子膜の波長と吸収係数の概略図である。
図5に示すように、図において、横軸は波長数値範囲であり、単位がnmであり、縦軸は吸収係数であり、単位が%である。図における51は、緑色POフィルム材料を用いた高分子膜の異なる波長範囲内での吸収係数を表す。図における52のように、緑色POフィルム材料を用いた高分子膜の、波長が1065nmの赤外光波長でのエネルギー吸収係数が20%であることが分かる。
【0097】
粘性膜は、厚さ10μmのシリカゲル接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、1065nm赤外波長エネルギー吸収係数が25%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が10-15gf/cmである。
【0098】
具体的なシーン実施例4
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0099】
高分子膜は、5μmの茶色PIフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、355nm紫外波長エネルギー吸収係数が20%以上である。
【0100】
粘性膜は、厚さ5μmのシリカゲル接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下、355nm紫外波長エネルギー吸収係数が20%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が15-20gf/cmである。
【0101】
具体的なシーン実施例5
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0102】
高分子膜は、10μmの青色PVCフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が70%以下であり、343nm紫外波長エネルギー吸収係数が40%以上である。
【0103】
粘性膜は、厚さ7μmのアクリル接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、343nm紫外波長エネルギー吸収係数が30%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が20-25gf/cmである。
【0104】
具体的なシーン実施例6
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0105】
高分子膜は、20μmの茶色BOPPフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、1030nm赤外波長エネルギー吸収係数が15%以上である。
【0106】
粘性膜は厚さ15μmのポリウレタン膠接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が90%以下であり、1030nm赤外波長エネルギー吸収係数が20%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が25-30gf/cmである。
【0107】
具体的なシーン実施例7
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0108】
高分子膜は5μmの青色PETフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が90%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が20%以上である。
【0109】
粘性膜は、厚さ5μmの一方向感温性接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が73%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が10%以上であり、15-25℃の条件下で、剥離強度が20-25gf/cmである、50-100℃の条件下で、剥離強度が20-30gf/cmであり、140℃の条件下で、剥離強度が5-7gf/cmである。
【0110】
具体的なシーン実施例8
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0111】
高分子膜は、8μmの赤色POフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が43%以下であり、545nm緑色光波長エネルギー吸収係数が36%以上である。
【0112】
粘性膜は、厚さ7μmの一方向感温性接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が32%以下であり、545nm緑色光波長エネルギー吸収係数が41%以上であり、20-30℃の条件下で、剥離強度が23-25gf/cmであり、60-110℃の条件下で、剥離強度が17-24gf/cmであり、130℃の条件下で、剥離強度が5-6gf/cmである。
【0113】
具体的なシーン実施例9
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0114】
高分子膜は6μmの青色PETフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、350nm紫外光波長エネルギー吸収係数が25%以上である。
【0115】
粘性膜は、厚さ6μmの双方向感温性接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が61%以下であり、350nm紫外光波長エネルギー吸収係数が5%以上であり、50℃の条件下で、剥離強度が5-7gf/cmであり、80-100℃の条件下で、剥離強度が15-21gf/cmであり、120-140℃の条件下で、剥離強度が26-30gf/cmである。
【0116】
具体的なシーン実施例10
当該フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成される。
【0117】
高分子膜は10μmの赤色BOPPフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が75%以下であり、520nm緑色光波長エネルギー吸収係数が45%以上である。
【0118】
粘性膜は厚さ8μmの双方向感温性接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が49%以下であり、520nm緑色光波長エネルギー吸収係数が12%以上であり、55℃の条件下で、剥離強度が6-10gf/cmであり、70-90℃の条件下で、剥離強度が12-19gf/cmであり、100-130℃の条件下で、剥離強度が20-25gf/cmである。
【0119】
具体的なシーン実施例11
当該フィルムマスクは、高分子膜、粘性膜及び離型膜が積層して構成される。
【0120】
高分子膜は8μmの青色PVCフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が80%以下であり、340nm紫外光波長エネルギー吸収係数が30%以上である。
【0121】
粘性膜は厚さが9μmであるシリカゲル系接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が8%以下であり、340nm紫外光波長エネルギー吸収係数が34%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が16-18gf/cmである。
【0122】
離型膜は厚さが5μmである透明PET膜である。
【0123】
具体的なシーン実施例12
当該フィルムマスクは、高分子膜、粘性膜及び離型膜が積層して構成される。
【0124】
高分子膜は、10μmの緑色POフィルム材料を使用し、具体的なパラメータは、可視光透過率が48%以下であり、1040nm赤外光波長エネルギー吸収係数が39%以上である。
【0125】
粘性膜は、厚さが8μmであるシリカゲル系接着剤であり、具体的なパラメータは、可視光透過率が31%以下であり、1040nm赤外波長エネルギー吸収係数が31%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が10-15gf/cmである。
【0126】
離型膜は、厚さが5μmである透明PET膜である。
【0127】
当該フィルムマスクの具体的な適用実施例は以下のように、太陽電池セルの製造分野の適用され、具体的には、電極ゲート線の製造プロセスに適用される。
【0128】
具体的な適用実施例1
ここで、具体的に採用されたフィルムマスクの特徴について、フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成され、高分子膜は、5μmの青色PETフィルムを使用し、可視光透過率が73%以下であり、350nm紫外光波長エネルギー吸収係数が47%以上である。粘性膜は、厚さ5μmのシリカゲル接着剤であり、可視光透過率が54%以下であり、350nm紫外光波長エネルギー吸収係数が24%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が10-15gf/cmである。
【0129】
光学性能が特別に設定された高分子フィルム及び粘性膜を採用することにより、両者の紫外光波長段内でのエネルギー吸収が良好になり、紫外光レーザを用いてフィルムマスクをスクライブしてパターニング内容を形成する場合、紫外光レーザの電力需要が小さく、コストを節約することができる。
【0130】
また、粘性膜の剥離強度範囲に対して、適切な数値範囲を採用することにより、フィルムマスクの粘性が加工要求を満たすようになり、粘性は緩すぎても粘すぎてもいけない。即ち、電極ゲート線を製造する過程でフィルムマスクが脱落せず、電極ゲート線を製造した後に膜をはがす過程でも太陽電池セルを破壊しない。
【0131】
図6は、本願の具体的な適用実施例1の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図であり、
図6に示すように、本実施例における具体的な方法は下記のステップS101~S105を含む。
【0132】
S101、レーザによりフィルムマスクの電極ゲート線パターンをスクライブし、パターニングフィルムマスクを形成する。
【0133】
まず、フィルムマスクにおいて、設計されたパターンをレーザーエッチングプロセスでスクライブし、レーザは、ピコ秒オーダーの紫外光光源を採用し、波長が350nmである。パターン幅は、好ましくは1μm-500μm、さらに好ましくは1μm-20μmであり、パターン線ピッチは50μm-5mm、さらに好ましくは500μm-2mmである。ただし、フィルムマスク上に設計されたパターンは、後続の太陽電池セル上の電極ゲート線パターンであり、また、パターンの幅及び線ピッチの選択については、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0134】
S102、パターニングされたフィルムマスクを太陽電池セルに貼着する。
【0135】
次に、電極ゲート線パターンがスクライブされたフィルムマスクを太陽電池セル上の、電極ゲート線を設置する必要がある面に貼着し、即ち、フィルムマスクのシリカゲル接着剤の露出している面を太陽電池セルに貼着する。
【0136】
S103、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。
【0137】
次に、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。具体的には、物理気相成膜(PVD)方式を採用することにより金属電極ゲート線を製造し、或いは、電気めっき方式を採用することにより電極ゲート線を太陽電池セル上に製造する。ここで、PVD方式及び電気めっき方式は、いずれも公知の技術であり、ここでは特に説明しない。
【0138】
S104、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを剥離する。
【0139】
その後、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを剥離し、太陽電池セル上の被覆された領域には電極ゲート線が形成されておらず、被覆されていない領域には電極ゲート線が形成された。
【0140】
S105、太陽電池セルをアニール処理する。
【0141】
最後に、パターニングされた電極ゲート線が形成された太陽電池セルをアニール処理し、電極ゲート線の製造を完了した。
【0142】
具体的な適用実施例2
ここで、具体的に採用されたフィルムマスクの特徴について、フィルムマスクは、高分子膜、粘性膜及び離型膜が積層して構成され、高分子膜は、10μmの赤色BOPPフィルムを使用し、可視光透過率が48%以下であり、530nm緑色光波長エネルギー吸収係数が31%以上である。粘性膜は、厚さ3μmのシリカゲル接着剤であり、可視光透過率が61%以下であり、530nm緑色光波長エネルギー吸収係数が32%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が16-21gf/cmである。離型膜は、厚さが10μmである透明PETフィルムである。
【0143】
光学性能が特別に設定された高分子フィルム及び粘性膜を採用することにより、両者の緑色光波長段内でのエネルギー吸収が良好になり、緑色光レーザを用いてフィルムマスクをスクライブしてパターニング内容を形成する場合、緑色光レーザの電力需要が小さく、コストを節約することができる。
【0144】
また、粘性膜の剥離強度範囲に対して、適切な数値範囲を採用することにより、フィルムマスクの粘性が加工要求を満たすようになり、粘性は緩すぎても粘すぎてもいけない。即ち、電極ゲート線を製造する過程でフィルムマスクが脱落せず、電極ゲート線を製造した後に膜をはがす過程でも太陽電池セルを破壊しない。
【0145】
図7は、本願の具体的な適用実施例2の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図であり、
図7に示すように、本実施例における具体的な方法は下記のステップS201~S205を含む。
【0146】
S201、レーザによりフィルムマスクの電極ゲート線パターンをスクライブし、パターニングフィルムマスクを形成する。
【0147】
まず、フィルムマスクにおいて、設計されたパターンをレーザーエッチングプロセスでスクライブし、レーザは、ピコ秒オーダーの緑色光光源を採用し、波長が530nmである。パターン幅は、好ましくは1μm-500μm、さらに好ましくは1μm-20μmであり、パターン線ピッチは50μm-5mm、さらに好ましくは500μm-2mmである。ただし、フィルムマスク上に設計されたパターンは、後続の太陽電池セル上の電極ゲート線パターンであり、また、パターンの幅及び線ピッチの選択については、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0148】
S202、パターニングされたフィルムマスクを太陽電池セルに貼着する。
【0149】
次に、電極ゲート線パターンがスクライブされたフィルムマスクの離型膜をはがした後に、太陽電池セル上の、電極ゲート線を設置する必要がある面に貼着し、即ち、フィルムマスクのシリカゲル接着剤の露出している面を太陽電池セルに貼着する。
【0150】
S203、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。
【0151】
次に、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。具体的には、物理気相成膜(PVD)方式を採用することにより金属電極ゲート線を製造し、或いは、電気めっき方式を採用することにより電極ゲート線を太陽電池セル上に製造する。ここで、PVD方式及び電気めっき方式は、いずれも公知の技術であり、ここでは特に説明しない。
【0152】
S204、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを剥離する。
【0153】
その後、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを剥離し、太陽電池セル上の被覆された領域には電極ゲート線が形成されておらず、被覆されていない領域には電極ゲート線が形成された。
【0154】
S205、太陽電池セルをアニール処理する。
【0155】
最後に、パターニングされた電極ゲート線が形成された太陽電池セルをアニール処理し、電極ゲート線の製造を完了した。
【0156】
具体的な適用実施例3
ここで、具体的に採用されたフィルムマスクの特徴について、フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成され、高分子膜は、15μmの青色POフィルムを使用し、可視光透過率が62%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が58%以上である。粘性膜は、厚さ10μmの一方向感温性接着剤であり、可視光透過率が75%以下であり、355nm紫外光波長エネルギー吸収係数が24%以上であり、20℃の条件下で、剥離強度が35gf/cmであり、50-85℃の条件下で、剥離強度が20-30gf/cmであり、140℃の条件下で、剥離強度が5gf/cmである。
【0157】
光学性能が特別に設定された高分子フィルム及び粘性膜を採用することにより、両者の紫外光波長段内でのエネルギー吸収が良好になり、紫外光レーザを用いてフィルムマスクをスクライブしてパターニング内容を形成する場合、紫外光レーザの電力需要が小さく、コストを節約することができる。
【0158】
また、粘性膜の剥離強度範囲に対して、適切な数値範囲を採用することにより、フィルムマスクの粘性が加工要求を満たすようになり、粘性は緩すぎても粘すぎてもいけない。即ち、電極ゲート線を製造する過程でフィルムマスクが脱落せず、電極ゲート線を製造した後に膜をはがす過程でも太陽電池セルを破壊しない。
【0159】
S301、レーザによりフィルムマスクの電極ゲート線パターンをスクライブし、パターニングフィルムマスクを形成する。
【0160】
図8は本願の具体的な適用実施例3の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図であり、
図8に示すように、本実施例における具体的な方法は下記のステップS301~S305を含む。
【0161】
まず、フィルムマスクにおいて、設計されたパターンをレーザーエッチングプロセスでスクライブし、レーザは、ピコ秒オーダーの紫外光光源を採用し、波長が350nmである。パターン幅は、好ましくは1μm-500μm、さらに好ましくは1μm-20μmであり、パターン線ピッチは50μm-5mm、さらに好ましくは500μm-2mmである。ただし、フィルムマスク上に設計されたパターンは、後続の太陽電池セル上の電極ゲート線パターンであり、また、パターンの幅及び線ピッチの選択については、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0162】
S302、パターニングされたフィルムマスクを太陽電池セルに貼着する。
【0163】
次に、電極ゲート線パターンがスクライブされたフィルムマスクを太陽電池セル上の、電極ゲート線を設置する必要がある面に貼着し、即ち、フィルムマスクの一方向感温性接着剤の露出している面を太陽電池セルに貼着する。
【0164】
S303、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。
【0165】
次に、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。具体的には、物理気相成膜(PVD)方式を採用することにより金属電極ゲート線を製造し、或いは、電気めっき方式を採用することにより電極ゲート線を太陽電池セル上に製造する。ここで、PVD方式及び電気めっき方式は、いずれも公知の技術であり、ここでは特に説明しない。
【0166】
S304、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを加熱方式により剥離する。
【0167】
その後、成膜処理後の太陽電池セルを加熱することにより、例えば、熱フィラメントを用いて150℃で5分間加熱し続けたり、赤外線ランプを用いて150℃で10分間加熱し続けたりすることにより、一方向感温性接着剤の150℃の条件下での剥離強度は室温での剥離強度に比べて弱くなるため、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを容易に剥離することができ、最終的に、太陽電池セル上の被覆された領域には電極ゲート線が形成されておらず、被覆されていない領域には電極ゲート線が形成された。
【0168】
S305、太陽電池セルをアニール処理する。
【0169】
最後に、パターニングされた電極ゲート線が形成された太陽電池セルをアニール処理し、電極ゲート線の製造を完了した。
【0170】
具体的な適用実施例4
ここで、具体的に採用されたフィルムマスクの特徴について、フィルムマスクは、高分子膜及び粘性膜が積層して構成され、高分子膜は、20μmの緑色PVCフィルムを使用し、可視光透過率が58%以下であり、547nm緑色光波長エネルギー吸収係数が39%以上であり。粘性膜は厚さ15μmの双方向感温性接着剤であり、可視光透過率が41%以下であり、547nm緑色光波長エネルギー吸収係数が65%以上であり、25℃の条件下で、剥離強度が5gf/cmであり、50-80℃の条件下で、剥離強度が17-22gf/cmであり、120-140℃の条件下で、剥離強度が27-30gf/cmである。
【0171】
光学性能が特別に設定された高分子フィルム及び粘性膜を採用することにより、両者の緑色光波長段内でのエネルギー吸収が良好になり、緑色光レーザを用いてフィルムマスクをスクライブしてパターニング内容を形成する場合、緑色光レーザの電力需要が小さく、コストを節約することができる。
【0172】
また、粘性膜の剥離強度範囲に対して、適切な数値範囲を採用することにより、フィルムマスクの粘性が加工要求を満たすようになり、粘性は緩すぎても粘すぎてもいけない。即ち、電極ゲート線を製造する過程でフィルムマスクが脱落せず、電極ゲート線を製造した後に膜をはがす過程でも太陽電池セルを破壊しない。
【0173】
図9は本願の具体的な適用実施例4の太陽電池セルにおける電極ゲート線を製造する方法の概略図であり、
図9に示すように、本実施例における具体的な方法は下記のステップS401~S406を含む。
【0174】
S401、レーザによりフィルムマスクの電極ゲート線パターンをスクライブし、パターニングフィルムマスクを形成する。
【0175】
まず、フィルムマスクにおいて、設計されたパターンをレーザーエッチングプロセスでスクライブし、レーザは、ピコ秒オーダーの緑色光光源を採用し、波長が547nmである。パターン幅は、好ましくは1μm-500μm、さらに好ましくは1μm-20μmであり、パターン線ピッチは50μm-5mm、さらに好ましくは500μm-2mmである。ただし、フィルムマスク上に設計されたパターンは、後続の太陽電池セル上の電極ゲート線パターンであり、また、パターンの幅及び線ピッチの選択については、使用シーンと必要に応じて調整することができる。
【0176】
S402、パターニングされたフィルムマスクを太陽電池セルに貼着する。
【0177】
次に、電極ゲート線パターンがスクライブされたフィルムマスクを太陽電池セル上の、電極ゲート線を設置する必要がある面に貼着し、即ち、フィルムマスクの双方向感温性接着剤の露出している面を太陽電池セルに貼着する。
【0178】
S403、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを加熱処理する。
【0179】
パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを加熱方式で加熱し、双方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って上昇するため、加熱方式により、パターニングされたフィルムマスクと太陽電池セルとの貼着がより強固になり、後続プロセスの加工と処理が容易になる。加熱方式は、例えば、熱フィラメントを用いて130℃で2分間加熱し続けたり、赤外線ランプを用いて70℃で5分間加熱し続けたりすることにより実現される。
【0180】
S404、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。
【0181】
次に、パターニングされたフィルムマスクが貼着された太陽電池セルを成膜処理する。具体的には、物理気相成膜(PVD)方式を採用することにより金属電極ゲート線を製造し、或いは、電気めっき方式を採用することにより電極ゲート線を太陽電池セル上に製造する。ここで、PVD方式及び電気めっき方式は、いずれも公知の技術であり、ここでは特に説明しない。
【0182】
S405、成膜処理後の太陽電池セルを冷却処理した後に、パターニングされたフィルムマスクを剥離する。
【0183】
その後、双方向感温性接着剤は、剥離強度が温度の上昇に伴って上昇し、剥離強度が温度の低下に伴って低下するという可逆性を有するので、成膜処理後の太陽電池セルの温度を低下させることにより、即ち、冷却処理後に、成膜処理後の太陽電池セル上のパターニングされたフィルムマスクを容易に剥離することができ、最終的に、太陽電池セル上の被覆された領域には電極ゲート線が形成されておらず、被覆されていない領域には電極ゲート線が形成された。
【0184】
S406、太陽電池セルをアニール処理する。
【0185】
最後に、パターニングされた電極ゲート線が形成された太陽電池セルをアニール処理し、電極ゲート線の製造を完了した。
【0186】
上記実施形態の説明において、具体的な特徴、構造、材料、または特点は、任意の1つまたは複数の実施形態または例において適切な方法で結合され得る。
【0187】
以上の説明は、本願の具体的な実施形態にすぎないが、本願の保護範囲はこれに限定されるものではなく、本願が開示した技術範囲内において、当業者は、容易に変更や置換を想到することができ、これらの変更や置換は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲に準じなければならない。
【0188】
最後に説明すべきことは、上記の実施例は、本願の技術案を説明するためのものに過ぎず、制限するためのものではなく、上記の実施形態を参照して本願について詳細に説明したが、当業者は、上記の各実施形態に記載された技術案を修正したり、技術的特徴の一部を同等に置き換えたりすることができ、これらの修正や置換は、対応する技術案の本質を本願の各実施形態の技術案の精神と範囲から逸脱させるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の層と第2の層とを含むフィルムマスクであって、前記第1の層と第2の層とは積層して配置され、前記第2の層は粘性膜を含み、
前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第1層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が20%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmであり、
前記第1の層の可視光透過率は90%以下であるフィルムマスク。
【請求項2】
前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第1の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項3】
前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記紫外光光源の波長は355±15nmであり、又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記緑色光光源の波長は530±15nmであり、又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が5%以上であり、ここで、前記赤外光光源の波長は1045±20nmである請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項4】
前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、紫外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、緑色光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上であり、
又は、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が50%以上であり、好ましくは、前記第2の層は、赤外光光源の照射下で、厚さが200μm以下である場合の吸収係数が80%以上である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項5】
前記第2の層の第1の温度での剥離強度は1-50gf/cmであり、好ましい剥離強度は5-30gf/cmであり、更に好ましい剥離強度は6-15gf/cmであり、
ここで、前記第1の温度は15-30℃であり、好ましくは、前記第1の温度は20-30℃であり、更に好ましくは、前記第1の温度は20-25℃である請求項
1に記載のフィルムマスク。
【請求項6】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で非可逆性を示す一方向感温性接着剤を含み、
前記一方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って低下
し、
前記一方向感温性接着剤の剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項7】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が第2の温度以上の条件で非可逆性を示す熱減ビスコースを含み、
前記熱減ビスコースは、第2の温度以上での剥離強度が第2の温度未満の剥離強度よりも小さく、
ここで、前記第2の温度は70℃であり、好ましい前記第2の温度は70-150℃であり、更に好ましい前記第2の温度は90-150℃である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項8】
前記第2の層における前記粘性膜の材料は、粘性が異なる温度条件下で可逆性を示す双方向感温性接着剤を含み、
前記双方向感温性接着剤の剥離強度は温度の上昇に伴って上昇
し、
前記双方向感温性接着剤の剥離強度は5-30gf/cmであり、前記温度は50-140℃である請求項1に記載のフィルムマスク。
【請求項9】
請求項1-
8のいずれか1項に記載のフィルムマスクを用いた太陽電池の成膜プロセス。
【請求項10】
機能層成膜プロセス及び/又は導電層成膜プロセスを含み、
前記機能層成膜は、誘電体成膜を含み、前記導電層成膜は、透明導電層成膜及び/又は金属導電層成膜を含む請求項
9に記載の成膜プロセス。
【国際調査報告】