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特表2024-535219ステアリングコラムシュラウドの離脱インターフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ステアリングコラムシュラウドの離脱インターフェース
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/19 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B62D1/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515561
(86)(22)【出願日】2022-09-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 US2022043324
(87)【国際公開番号】W WO2023043725
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】63/244,763
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090231
【氏名又は名称】エヌエスケイ ステアリング システムズ アメリカ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ハートマン デヴィッド レイ
(72)【発明者】
【氏名】リード サイモン
【テーマコード(参考)】
3D030
【Fターム(参考)】
3D030DC22
3D030DC37
3D030DC39
3D030DD18
3D030DD25
3D030DD65
3D030DD79
(57)【要約】
シュラウドの一部は、ステアリングコラム組立体に固定されるように適合されている。シュラウドの一部は、締結具の一部を受け入れるためのスロットと、閾値荷重を超える衝撃時にシュラウドがステアリングコラム組立体から離脱することを可能にするために締結具の少なくとも一部が通過することを許容される十分なサイズの開口とを含む。シュラウドは、締結具とコラムチューブに接合される接続部材とを介してステアリングコラム組立体に締結される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
ステアリングコラム組立体に固定されるように適合されたシュラウドの一部を備え、前記シュラウドの一部が、締結具の一部を受け入れるためのスロットと、閾値荷重を超える衝撃時に前記シュラウドが前記ステアリングコラム組立体から離脱することを可能にするために前記締結具の少なくとも一部が貫通することを許容される十分なサイズの開口とを含む、物品。
【請求項2】
前記シュラウドの一部が、前記ステアリングコラム組立体の一部に向かって突出するボスである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記スロットが、前記開口に接続されているか、又は前記開口から始まっており、前記締結具の一部が、前記開口を通して前記スロット内に及び/又は前記スロットから出て滑動することが許容できるようになる、請求項1~2の何れかに記載の物品。
【請求項4】
前記物品が前記締結具を備え、前記締結具が、頭部と細長い本体とを有し、前記頭部が、前記細長い本体の断面の直径よりも大きい幅又は直径を有する、請求項1~3の何れかに記載の物品。
【請求項5】
前記締結具の頭部の幅又は直径が、前記スロットの幅よりも大きい、請求項4に記載の物品。
【請求項6】
前記開口が前記締結具の頭部よりも大きいので、前記シュラウドが前記ステアリングコラム組立体から離脱したときに、前記締結具の頭部が前記開口を通って移動することができる、請求項4又は5に記載の物品。
【請求項7】
前記物品が、前記シュラウドを前記ステアリングコラム組立体に接続するために、前記締結具を介して前記シュラウドが締結される接続部材を備える、請求項1~6の何れかに記載の物品。
【請求項8】
前記接続部材が、前記シュラウドの一部(例えば、ボス)に接触するシュラウド取付部を含む、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記物品がバイアス部材を備え、前記シュラウドと前記ステアリングコラム組立体との間の取付けの離脱荷重が、前記締結具及び前記シュラウド取付部への前記シュラウドの制御された予荷重によって制御される、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記バイアス部材が、前記シュラウドの一部又はボスに形成されて前記スロット内に延びる1又は2以上のバネフィンガーである、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記バイアス部材がバネ部材である、請求項9又は10に記載の物品。
【請求項12】
前記バイアス部材が圧縮可能な部材(例えば、皿バネ、Oリング)である、請求項9~11の何れかに記載の物品。
【請求項13】
前記バイアス部材が、前記シュラウド内の1又は2以上のクラッシュリブ(例えば、前記締結具の一部を受ける領域に位置するクラッシュリブ)である、請求項9~12の何れかに記載の物品。
【請求項14】
前記制御された予荷重が、約100N又はそれ以上である、請求項9~13の何れかに記載の物品。
【請求項15】
前記制御された予荷重が約500N又はそれ以下である、請求項9~14の何れかに記載の物品。
【請求項16】
前記制御された予荷重が、スタンドオフを用いて制御される、請求項9~15の何れかに記載の物品。
【請求項17】
前記スタンドオフが、前記締結具の肩部、前記接続部材(例えば、前記シュラウド取付部)から延びるボス、又は前記シュラウドから延びるボスである、請求項16に記載の物品。
【請求項18】
前記シュラウド取付部が、前記締結具を受け入れるための締結具開口を含む、請求項8~17の何れかに記載の物品。
【請求項19】
前記接続部材が、コラムチューブ接触セグメントにおいて前記ステアリングコラム組立体のコラムチューブに固定されるように適合されている、請求項7~18の何れかに記載の物品。
【請求項20】
前記接続部材が、前記コラムチューブ接触セグメントから離れて延びる略対向する側壁を含む、請求項19に記載の物品。
【請求項21】
前記略対向する側壁が、細長い部材を受け入れるためのスロットを含む、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
前記接続部材が、湾曲部を介して前記コラムチューブ接触セグメントに接続されたエネルギー吸収セグメントを含む、請求項7~21の何れかに記載の物品。
【請求項23】
前記エネルギー吸収セグメントが、塑性変形によってエネルギーを吸収する、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記接続部材が、車両組立体内に固定されている、請求項7~23の何れかに記載の物品。
【請求項25】
前記接続部材が、前記車両組立体内で前記接続部材を固定するための1又は2以上の略横方向のタブを含む、請求項24に記載の物品。
【請求項26】
前記接続部材が、閾値荷重を超える衝撃の間に前記ステアリングコラム組立体の一部(例えば、コラムチューブ)から離脱するように適合されている、請求項7~25の何れかに記載の物品。
【請求項27】
コラプス式ステアリングコラム組立体であって、
(a)コラムチューブと、
(b)少なくとも一部が前記コラムチューブによって回転可能に支持されているステアリングシャフトと、
(c)コラムハウジングと、
(d)前記コラムチューブを少なくとも部分的に保持するブラケットと、
(e)請求項1~26の何れかに記載の物品と、
(f)ステアリングホイールの位置を手動で調整するためのレバーを含む手動操作式ステアリングホイール調整部分組立体と、
を備え、前記物品が、閾値荷重を超える衝撃時に、前記コラムチューブから離脱するように適合されている、コラプス式ステアリングコラム組立体。
【請求項28】
前記コラムチューブが、前記コラムハウジング内に伸縮可能に挿入されるように構成されている、請求項27に記載のコラプス式ステアリングコラム組立体。
【請求項29】
前記ステアリングホイール調整部分組立体が、
(a)前記ステアリングシャフト、前記コラムチューブ、又はその両方を前記長手方向軸に沿って概ね前方又は後方方向に選択的に調整すること、
(b)前記ステアリングシャフト、前記コラムチューブ、又はその両方を選択的に上昇又は降下させること、
又は(a)及び(b)の両方、
を行うように適合されている、請求項27又は28に記載のコラプス式ステアリングコラム組立体。
【請求項30】
前記エネルギー吸収セグメントが、衝撃時のコラムチューブの前方並進の際に塑性変形によってエネルギーを吸収するように適合されている、請求項27~29の何れかに記載のコラプス式ステアリングコラム組立体。
【請求項31】
前記シュラウドの一部が、閾値荷重を超える衝撃時に、前記シュラウドを前記ステアリングコラム組立体に結合する締結具及び/又は接続部材から分離される、請求項27~30の何れかに記載のコラプス式ステアリングコラム組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本教示は、改良されたコラプス式ステアリングコラム組立体及びこれに関連する方法(例えば、二次衝撃時等に構成要素のエネルギー吸収及び離脱を提供する方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の衝突時には、一般に2つの衝撃がある。一次衝撃では、車両が他の物体に衝突する。二次衝突では、車両の乗員が車両の構成要素に衝突する。例えば、車両のオペレータは、慣性に起因してステアリングホイールに衝突することができる。このような二次衝撃から運転者を保護しようとするのを助けるために、衝撃吸収式のステアリングコラムを使用することが一般的なことになっている。コラプス式ステアリングコラムシステムは、衝撃吸収式ステアリングコラムの一例である。
【0003】
衝撃吸収式ステアリングコラム装置の構造は、運転者が二次衝撃を受けたときに、衝撃エネルギーがステアリングコラムに対して車両の前方向から作用するようになっている。ステアリングコラムは、車両本体との1又は2以上の固定点から脱離して前方に移動(例えば、コラプスストロークで)することができ、コラプスストロークの過程で衝撃エネルギーが吸収されるようになる。外部コラプスコラム組立体は、コラム全体がその固定点に対して並進することになるシステムの一例である。内部コラプスコラム組立体は、典型的には、車両内の組立体の端部の1つに近い1又は2以上の固定点で固定されることになる。二次衝撃からのコラプスストローク中、組立体の構成要素は、長手方向に(例えば、一般に、通常動作時に車両内で占める容積内に;即ち、一般に、車両内の「フットプリント」内に)圧潰又は離脱することになるが、一般には、所定の固定点に対してある距離を越えて圧潰することはない。即ち、内部コラプスシステムは、ストロークを有するが、1又は2以上の固定点にて車両に固定されたままとすることができる。
【0004】
多くの用途において、ステアリングコラム組立体には、チルト又は伸縮機能の一方又は両方が組み込まれている。これらの用途では、車両ユーザによるこのような機能の手動実行のためレバーを採用するのが一般的である。一例として、「手動レーキ及びリーチ」ステアリングコラム組立体として知られているものでは、組立体は、チルト(「レーキ」)及び伸縮(「リーチ」)機能の両方を有し、車両ユーザのために設けられたレバーが、手動解除して選択された位置へのレーキ及びリーチ調整をできるようにし、次いで選択された位置にステアリングコラムを固定するために再係合する。
【0005】
ステアリングコラムシュラウドは、ステアリングコラム組立体の部品を囲む又は覆い、ステアリングコラム組立体の要素を保護し、運転者をステアリングコラム組立体の構成要素から隔離し、又はこれらの組み合わせを行う働きをする。シュラウドは、概ね所定位置に固定されたままにすることができる。しかしながら、閾値荷重を超える衝撃時に、運転者を保護する目的で、シュラウドを離脱又は圧潰させることが望ましいとすることができる。
【0006】
幾つかのステアリングコラムレイアウト及び関連するシュラウド取付機構では、ステアリングコラムシュラウドをよりよく支持するために、ステアリングコラムシュラウド取付機構をステアリングホイールから更に離しておくことが望ましい。多くの場合、これには、二次衝撃時のステアリングコラムのコラプスストロークを制限しないようにしながらシュラウドを支持するため、長く複雑なブラケットが必要となる。一部のテレスコープポジティブロック機構を備えたステアリングコラム又はパワーアジャスタブルコラムのような他の事例では、ステアリングコラムの圧潰時にシュラウドの取り付け点が固定されるので、シュラウドを固定取り付け点から分離する方法が必要となる。一部のステアリングコラム設計では、コラムチューブ上には、ハウジングに衝突したときにコラムチューブを破断させる離脱プラスチックボスを有している。しかしながら、これは、コラム圧潰の際に荷重スパイクを生じさせ、最適なコラプス性能にとって通常は望ましくない。
【0007】
コラプス式ステアリングコラム組立体(例えば、内部コラプス式ステアリングコラム組立体)を改良する試みにもかかわらず、代替の組立体、特に、シュラウドの離脱荷重制御を提供し、長いブラケットの無いコンパクトな設計をもたらし、圧潰途中の荷重スパイクのない組立体に対する必要性が依然としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国公開第2010/0300238号明細書
【特許文献2】米国特許第6,467,807号明細書
【発明の概要】
【0009】
本教示は、コラプス式ステアリングコラム組立体などのエネルギー吸収ステアリングコラム組立体を実現するために、比較的少ない構成要素を採用することができる、単純で洗練された構造的手法を利用する。本教示はまた、特に、閾値荷重を超える衝撃のような特定の条件を満たしたときに、組立体内の特定の要素の離脱又は分離を可能にするための、単純で洗練された構造的手法を利用する。
【0010】
本教示は、ステアリングコラム組立体に固定されるように適合されたシュラウドの一部を想定している。シュラウドの一部は、締結具の一部を受け入れるためのスロットを含むことができる。シュラウドの一部は、閾値荷重を超える衝撃時にシュラウドがステアリングコラム組立体から離脱することを可能にするために、締結具の少なくとも一部が貫通することが許容される十分なサイズの開口を含むことができる。シュラウドの一部は、ステアリングコラム組立体の一部に向かって突出するボスとすることができる。スロットは、開口に接続される又は開口から始まることができ、締結具の一部が開口を通ってスロット内に及び/又はスロットから出て滑動することが許容できるようになる。
【0011】
締結具を用いて、シュラウドをステアリングコラム組立体に接合することができる。締結具は、頭部及び細長い本体を有することができる。頭部は、細長い本体の断面の直径よりも大きい幅又は直径を有することができる。締結具の頭部の幅又は直径は、スロットの幅よりも大きくすることができる(例えば、スロットの延在方向に対して略垂直な方向でのスロットを通る締結具の引き抜きを防止するため)。シュラウドの開口は、締結具の頭部よりも大きくすることができ、これにより、シュラウドがステアリングコラム立体から離脱するときに締結具の頭部が開口を通って移動することができる。
【0012】
本教示は、接続部材を想定している。接続部材は、車両及び/又はステアリングコラム組立体の要素を接続するための1又は2以上の特徴を含むことができる。シュラウドは、締結具を介して接続部材に締結することができる。接続部材は、シュラウドの一部(例えば、シュラウドボス)に接触するシュラウド取付部を有することができる。シュラウド取付部は、締結具を受け入れるための締結具開口を有することができる。接続部材は、コラムチューブ接触セグメントにおいてステアリングコラム組立体のコラムチューブに固定されるように適合することができる。接続部材は、コラムチューブ接触セグメントから離れて延びる略対向する側壁を含むことができる。対向する側壁は、チルトボルトのような細長い部材を受け入れるためのスロットを含むことができる。接続部材は、湾曲部を介してコラムチューブ接触セグメントに接続されたエネルギー吸収セグメントを含むことができる。エネルギー吸収セグメントは、塑性変形によってエネルギーを吸収することができる。接続部材は、車両組立体内に固定することができる。接続部材は、接続部材を車両組立体内で固定するための1又は2以上の略横方向のタブを含むことができる。
【0013】
組立体は、バイアス部材を含むことができる。バイアス部材は、シュラウドと一体的に形成することができる。バイアス部材は別個の要素とすることができる。バイアス部材は、シュラウドの一部又はボスに形成された1又は2以上のバネフィンガーとすることができる。バネフィンガーはスロット内に延びることができる。バイアス部材はバネ部材とすることができる。バイアス部材は、皿バネ又はOリングのような圧縮性部材とすることができる。バイアス部材は、1又は2以上のクラッシュリブとすることができる。クラッシュリブは、締結具の一部を受け入れる領域、スロットの領域、又はその両方など、シュラウド内に配置することができる。
【0014】
シュラウドとステアリングコラム組立体との間の取付の離脱荷重は、締結具及びシュラウド取付部へのシュラウドの予荷重によって制御することができる。制御された予荷重は、約25N以上、約50N以上、又は約100N以上とすることができる。制御された予荷重は、約1000N以下、約750N以下、又は約500N以下とすることができる。制御された予荷重は、スタンドオフを用いて制御することができる。スタンドオフは、締結具の肩部、接続部材(例えば、シュラウド取付部)から延びるボス、シュラウドから延びるボス、締結具の頭部とシュラウド又は接続部材との間のリング、又はこれらの組み合わせとすることができる。本教示は、コラプス式ステアリングコラム組立体も企図する。ステアリングコラム組立体は、コラムチューブと、コラムチューブによって少なくとも部分的に回転可能に支持されるステアリングシャフトと、コラムハウジングと、コラムチューブを少なくとも部分的に保持するためのブラケットと、ステアリングホイールの位置を手動で調整するためのレバーを含む手動操作式ステアリングホイール調整部分組立体とを含むことができる。ステアリングコラム組立体は、本教示のシュラウドを含むことができる。ステアリングコラム組立体は、本教示の接続部材を含むことができる。シュラウドは、閾値荷重を超える衝撃時にコラムチューブから離脱するように適合することができる。接続部材は、閾値荷重を超える衝撃時にコラムチューブから離脱するように適合することができる。
【0015】
ステアリングコラム組立体において、コラムチューブは、コラムハウジング内に伸縮可能に挿入するように構成することができる。ステアリングホイール調整部分組立体は、ステアリングシャフト、コラムチューブ又はその両方を略長手方向軸に沿って前方又は後方方向で選択的に調整するように構成することができる。ステアリングホイール調整部分組立体は、ステアリングシャフト、コラムチューブ又はその両方を選択的に上昇又は降下させるように構成することができる。エネルギー吸収セグメントは、衝撃中のコラムチューブの前方並進の際の塑性変形によってエネルギーを吸収するように適合することができる。シュラウドの一部は、シュラウドをステアリングコラム組立体に接合する締結部材及び/又は接続部材から分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本教示による例示的なステアリングコラム組立体の底面図である。
図2】本教示による例示的な接続部材及びシュラウドの斜視図である。
図3】本教示による例示的なシュラウドボスの底面図である。
図4】本教示による接続部材の例示的なシュラウドボス及びシュラウド取付部の側面図である。
図5】本教示による接続部材の例示的なシュラウドボス及びシュラウド取付部の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
必要に応じて、詳細な教示が本明細書に開示されるが、開示される教示は、単に例示的なものであり、様々な形態及び代替の形態で具体化することができることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、特定の構成要素の詳細を示すために、一部の特徴は誇張又は最小化されている場合がある。従って、本明細書に開示された特定の構造的及び機能的詳細は、限定として解釈されるべきではなく、単に、当業者が本教示を様々に採用することを教示するための代表的な基礎として解釈される。
【0018】
一般に、以下の説明から理解されるように、本教示は、コラプス式ステアリングコラム組立体に関する。ステアリングコラム組立体は、ステアリングコラム組立体を固定操作位置で車両に固定するための装着部(例えば、1又は2以上のブラケット構造体体)を含むことができる。組立体は、圧潰部を有することができ、その少なくとも一部は、装着部に対して前方に移動するように適合されているが、装着部は、その固定操作位置に概ね留まる(例えば、装着部の何らかの移動は、約50mm以下、約20mm以下、又は約10mm以下の量に制御されて制限される)。その基本概念の中でも、本教示は、ある閾値量の荷重(例えば、約0.5kN以上又は約2kN以上の荷重;約10kN以下又は約5kN以下の荷重)をもたらす二次衝撃のような衝撃の場合に、圧潰部の少なくとも一部が車両内で前方に移動するように適合することができるステアリングコラム組立体に向けられている。前方への移動は、伸縮式とすることができる(例えば、ステアリングホイールに作動的に接続される少なくとも1つの第1の構造体(コラムチューブなど)が、少なくとも1つの第1の構造体(例えば、コラムハウジング)を少なくとも部分的に取り囲むことができる少なくとも1つの第2の構造体に対して車両内で前方に(例えば、車両の長手方向軸と概ね平行な(例えば、約10°以上、約30°以下、又はその両方、平行な範囲内の)軸に沿って)前進することができる)。
【0019】
本教示は、ユーザがステアリングホイールの傾斜角度を選択できるように適合されたチルト又はレーキ調整、ユーザがステアリングホイールの適切な前後位置を選択できるように適合されたリーチ調整、又はその両方をステアリングコラム組立体が含むことができることを想定している。一般に、何らかのこのような調整は、適切なユーザ操作デバイス(例えば、レバー、電気機械アクチュエータ、モータ又はその他)によって制御することができる。手動操作システムでは、レバー又は他のユーザ操作デバイスは、圧潰部をユーザが選択した位置に維持するために加えられる力を制御するように適合することができる。例えば、レバー又は他のユーザ操作デバイスは、圧潰部の2又は3以上の構成要素を解放可能に(及び場合によっては調整可能に)共に固定するために、1、2又はそれ以上の機構と操作可能に係合した状態にすることができる。固定は、ボルト(例えば、チルトボルト)、ロッド、ストラップ、バー、バンド、くさび、カム等の回転部材、又は他の適切な部材、もしくはこれらの組み合わせ等の適切な固定部材(例えば、細長い力付与部材)によって実現することができる。例えば、固定部材は、ユーザ操作デバイスの作動時に、カム又は回転部材を回転させて接続部材の一部と係合させ、ステアリングホイールを所望の伸縮位置に固定するように適合させることができる。
【0020】
本教示はまた、一般に、1又は2以上のエネルギー吸収デバイスの利用可能性も想定している。エネルギー吸収デバイスは、弾性的に及び/又は弾性的で塑性的に変形するように適合された適切なデバイスとすることができる。従って、変形の過程において、エネルギー吸収デバイスは、変形によってエネルギーを吸収するように適合される。エネルギー吸収デバイスは、2又は3以上の構成要素の間に動作可能に接続又は配置することができる。エネルギー吸収デバイスは、2又は3以上の構成要素間のような相対移動を制限するように構成することができる。エネルギー吸収デバイスは、ワイヤ、プレート、ストリップ等とすることができる。これらは、その長さに沿って一定のプロファイル又は変化するプロファイルを有することができる。エネルギー吸収デバイスは、1又は2以上の固定拘束部(例えば、末端部)を有するように利用することができる。エネルギー吸収デバイスは、1又は2以上の自由端を有することができる。
【0021】
図示の実施例において、本教示は、自動車車両用の内部コラプス式ステアリングコラム組立体に有用な態様を記載する。一般に、本明細書の教示の組立体は、ステアリングシャフト(例えば、ステアリングホイール又は他のステアリングデバイスと結合することができるもの)及び/又はステアリングシャフトを(例えば、1又は2以上の軸受を介して)支持するコラムチューブを含むことができる。コラムハウジングを採用してもよい。コラムハウジングは、コラムチューブと伸縮自在に結合するように適合させることができる。コラムハウジング及びコラムチューブは各々、互いに略平行或いは同軸でもある長手方向軸を有することができる。コラムチューブ又はコラムハウジングの何れか一方又は両方を車両に(例えば、車両横断構造体に)少なくとも部分的に固定するために、1又は2以上のブラケットを採用することができる。ブラケット又は1又は2以上のチルトプレートは、チルト機能のためのガイド構造体を提供するように適合された適切な部分(例えば、略垂直方向に向いたスロット等のスロット)を含むことができる。ユーザが組立体を手動で操作できるようにするために、レバーなどのユーザ操作デバイスを採用することができる。ステアリングコラム組立体は、二次衝撃のような衝撃中に実現される閾値荷重が発生した場合に、組立体(例えば、コラムチューブ、ステアリングシャフト、ステアリングホイール、又はこれらの組み合わせ)の少なくとも一部が、その典型的な操作位置から前方に並進できるように構成することができる。従って、コラムチューブは、コラムハウジングに対して相対的に前方に並進可能にすることができ、取り付けられたステアリングホイールが付随する。その結果、ステアリングホイールが前方に、例えば、ユーザから離れるように並進可能な状態になることを可能にすることが分かる。この前方への並進の間に、組立体の別の要素から離脱するように適合された1又は2以上の要素が存在することができる。例えば、接続部材がコラムチューブから離脱することができる。
【0022】
本教示は、典型的には、コラムチューブ、ステアリングシャフト、ブラケット(例えば、チルトブラケット、枢動ブラケット、又はその両方)、コラムハウジング、及びステアリングホイール調整部分組立体(例えば、手動操作式ステアリングホイール調整部分組立体)を含むことができる組立体に対処する。ステアリングホイール調整部分組立体は、チルト、伸縮、又はその両方を介して部分組立体を作動させる(例えば、手動で作動させる)ように適合されたレバー(上述のように、又は何らかの他のユーザ操作デバイス)を含むことができる。レバーを介した手動作動の代わりに、又はそれに加えて、1又は2以上のモータを使用することができる。例えば、1又は2以上のモータ又は他の電気機械アクチュエータは、傾斜、伸縮又はその両方を引き起こすことができる。更に、レバーを使用して傾斜機能又は伸縮機能を生じさせると共に、モータ又は他の電気機械アクチュエータを使用して、傾斜機能又は伸縮機能の他方を生じさせることも企図される。少なくとも1つの係合手段(例えば、歯付き回転部材、ピン、クランプ機構)を採用して、ステアリングシャフトを(例えば、レバーを介して)ユーザが望む位置(例えば、伸縮位置)に選択的にロックするために、コラムチューブ又はこれに固定された構造体と係合することができる。1又は2以上の回転部材は、(例えば、ビアを介して)ユーザが望む伸縮位置を調整するために、接続部材の一部と(例えば、干渉を介して)係合及び係合解除させることができる。装着構造体は、ステアリングホイール調整部分組立体をブラケット(例えば、チルトブラケット)に対して着脱可能に取り付けることができる。二次衝撃のような衝撃の間、コラムハウジングは、前方枢動装着位置に対して略固定された位置に留まることができる(例えば、いかなる前方並進も比較的小さな量(例えば、約20mm以下又は約10mm以下)に制限される)。
【0023】
本明細書で説明する組立体は、一般に、例えばステアリングシャフトを介してステアリングホイールと動作可能に接続されるチューブを含む。このようなチューブの1つは、本明細書ではコラムチューブと呼ばれ、典型的には、チューブの長さの少なくとも一部(全体ではないとしても)に沿って中空のキャビティを有し、回転可能なシャフト、即ちステアリングシャフト及び場合によっては1又は2以上の軸受を受け入れて支持するようなサイズ及び構成にすることができる。シャフト及びチューブは共に長手方向軸を有する。車両に設置されたときに、シャフト及びチューブ(並びにステアリングコラム組立体全体)の各々の長手方向軸線は、略同軸に整列され、車両の長手方向軸線と略平行に整列され、又は各々整列することができる。シャフト及びコラムチューブは、鉄(例えば、鋼)、マグネシウム、亜鉛、又はアルミニウムのうちの1又は2以上のような適切な金属から作られ、又は他の方法で含むことができる。
【0024】
コラムチューブは、略円筒形で中空とすることができる。コラムチューブは、前方末端部及び後方末端部と、長手方向軸とを有することができる。前方末端部又は後方末端部の何れか一方又は両方は、ステアリングシャフトを回転可能に支持する適切な軸受を含むことができる。
【0025】
ステアリングシャフトは、ステアリングホイール(図示せず)を受けるように適合された後方末端部を有することができる。貫通する前方末端部を有することができ、軸受、キーロックカラー又はその両方によって支持することができる。前述のように、ステアリングシャフトは、少なくとも部分的にコラムチューブによって回転可能に支持され、コラムチューブの長手方向軸線と概ね同軸に整列することができる長手方向軸線を有することができる。
【0026】
1又は2以上の適切なブラケットを採用することができる。このような何らかのブラケットは、ステアリングコラム組立体を車両内に装着するための部分を含むことができる(例えば、車両クロスビーム、インストルメントパネル又は他のもののような車両構造体に固定することができる)。ブラケットは、ステアリングシャフト支持構造体(例えば、コラムチューブ、コラムハウジング又はその両方)に少なくとも部分的に隣接する部分を有することができる。例えば、ブラケットは、ブラケットのチルト部分を定める1又は複数の下方に垂下する(下方に向いた)壁(例えば、チルトプレート)を含むことができる。下方に垂下する壁(例えば、チルトプレート)の1又は2以上は、チルト機能に案内を提供する細長いスロットを有する構造体(例えば、調整中に移動するときにチルトボルトのような固定部材への案内経路を提供し、従って、上方及び下方への移動を制限することができる)を提供するように適合することができる。ブラケットは、チルト部及び装着部が単一の構造体(例えば、鋳造、プレス、又はこれらの組み合わせ)であるように一体化された構造体とすることができる。ブラケットは、装着部及びチルト部を単一の構造体で定めるように組み立てられた別個の構造体から作ることができる。装着部は省略されてもよく、及び/又はステアリングコラム組立体内の他の場所に配置することができる。例えば、装着部は、組立体の前方端部に向かって配置された枢動ブラケットとすることができ、ここで組立体の枢動運動の枢動点が生じる。チルト部は省略することができる。装着ブラケットは、チルト部を定める構造体とは別個に採用することができる。本明細書に記載される例に加えて、採用することができるブラケットの例としては、米国公開第2010/0300238号明細書(その全体は、あらゆる目的のために引用により組み込まれ、例えば、ブラケット20の記載を参照されたい);米国特許第6,467,807号明細書(その全体が、あらゆる目的のために引用により組み込まれる、例えば、ブラケット6及び7並びに関連する構造の記載を参照されたい)が挙げられる。
【0027】
ステアリングシャフト支持構造の少なくとも一部(例えば、コラムチューブ、コラムハウジングの少なくとも一部、又はその両方)を受けるため、及び/又はステアリングコラム組立体を自動車車両内に装着するために、1又は2以上のブラケット(例えば、チルトブラケット)が採用され適合することができる。一例として、本教示のチルトブラケットは、車両クロスビーム、インストルメントパネル又は他のもののような車両構造に固定されるように適合された上側部分を含むことができる。ブラケット(例えば、チルトブラケット)は、略対向する下向き又は突出壁(例えば、チルトプレート)のペアを有することができる。ブラケット(例えば、チルトブラケット)は、ステアリングシャフト支持構造(例えば、コラムチューブ)の少なくとも一部を少なくとも部分的に側方に位置する構造体を有することができる。ブラケット(例えば、チルトブラケット)は、任意選択的に、対向する側壁のペアと、車両(例えば、車両クロスビーム、インストルメントパネル、又は他の適切な構造)に取り付けるように構成された上側壁とを含むことができる。側壁は、上側壁に対して外側に突出することができる(例えば、上側壁に対して概ね直交又は斜めに配置することができる)。ブラケット(例えば、チルトブラケット)は、単一の下方に突出する又は方向付けられた壁を有することができる。ブラケット(例えば、チルトブラケット)は、コラムハウジングの対向部分に対して横方向に上方及び外方に配置することができる。
【0028】
本明細書の教示は、調整可能ではないが圧潰能力を依然として必要とするステアリングコラム組立体に採用することが可能である。このような場合、レーキ又はリーチ調整ハードウェアは存在しない。しかしながら、本明細書における概念は、依然として、コラプス式を達成するように適合させることができる。装着ブラケットは、コラムハウジング又はコラムチューブの一方又は両方を車両に固定することができる。エネルギー吸収デバイスは、コラムチューブ、ステアリングシャフト、又はその両方のようなステアリングコラム組立体の1又は2以上の構成要素の前方への移動を制限するために採用することができる。
【0029】
しかしながら、本教示は、(例えば、レーキ及び/又はリーチに対して)調整可能なステアリングコラム組立体に対して特に適用可能である。組立体は、ステアリングシャフトを長手方向に沿って概ね前後方向に選択的に調整する、ステアリングシャフトを選択的に上昇又は降下させる、又はその両方を行うように適合された手動操作式のステアリングホイール調整部分組立体を含むことができる。ステアリングホイール調整部分組立体は、部分組立体を手動で作動させるために適合されたレバー又はその他を含むことができる。部分組立体は、ユーザが所望する位置(例えば、前方位置又は後方位置)にステアリングシャフトを選択的にロックするために、コラムチューブ又はそれに固定された構造体と係合及び係合解除される少なくとも1つの係合部材(例えば、ピン)を含むことができる。部分組立体には、1又は2以上のスラスト軸受、1又は2以上のナット、1又は2以上のカム固定要素、及び/又は1又は2以上のカム移動要素(例えば、カム固定要素とカム移動要素とが、互いに接触するなどして対向するオペレータ関係にある)など、他の適切なハードウェアを採用することができる。
【0030】
コラムハウジングは、自動車車両内の枢動装着位置(例えば、恒久的に固定された装着位置)に回動可能に取り付けられている。枢動装着位置は、コラムハウジングの前方端から約20mm、約30mm、約40mm又は約50mmの位置又は範囲内にある。枢動装着位置は、コラムハウジングの下側、コラムハウジングの上側、又はコラムハウジングの上側と下側との中間の位置とすることができる。コラムハウジングは、コラムチューブを少なくとも部分的に取り囲んでいる。コラムハウジングは、コラムハウジングとチルトブラケットとを接続するバイアスデバイス(例えばバネ)を受けるための1又は2以上の突出部又は他の構造体を有することができる。コラムハウジングは、鋳造構造(例えば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、及び/又は鉄(例えば、鋼)などの金属を含む)とすることができる。二次衝撃の間、コラムハウジングは、枢動装着位置に対して略固定された位置に留まることができる。比較的少量(例えば、約50mm以下、約20mm以下、又は約10mm以下)前方に並進可能なように固定することができる。
【0031】
衝撃(二次衝撃など)の際、本教示の構造体は、コラムチューブ、ステアリングシャフト又はその両方が、コラムハウジングに対して長手方向前方に並進可能なように配置された要素の適切な組み合わせを含むように構成することができる。
【0032】
本明細書における組立体は、チルト調整部分組立体を含むことができる。この部分組立体は、コラムチューブ、コラムハウジング又はその両方の対向する側に下方に延びる1又は2以上のチルトプレートを有するチルトブラケットを含むことができる。チルトプレートは、1又は2以上の略垂直なスロットを含むことができる。チルトボルト又は他の細長い締結具が2つのチルトプレート間に延びることができ、チルトボルトは垂直スロット内に受け入れることができる。組立体の高さ調整は、レバーのようなユーザ操作デバイスがロック解除位置にあるとき、チルトボルトがスロット内を上方又は下方に移動することにより可能とすることができる。組立体は、レバーのようなユーザ操作デバイスがロック位置に移動されると、所望の角度又は高さに保持することができる。
【0033】
本教示は、伸縮調整部分組立体を含むことができる。伸縮調整部分組立体の特徴は、二次衝撃のような衝撃時のエネルギーを吸収する役割を果たすことができる。伸縮調整部分組立体は、車両乗員(例えば、運転者)に対するステアリングホイールの前後位置の調整を可能にすることができる。伸縮調整部分組立体は、部分組立体をロック位置及び/又はアンロック位置にすることを可能にするレバー又は他のアクチュエータ部材を含むことができる。伸縮調整部分組立体がロック解除されると、ユーザは、ステアリングホイールを調整することができる。伸縮調整部分組立体がロックされると、ステアリングホイールは所望の位置に維持される。
【0034】
ステアリングコラム組立体及び/又は車両組立体は、シュラウドを含むことができる。シュラウドは、ステアリングコラム組立体を保護するように機能することができる。シュラウドは、ステアリングコラム組立体を囲むように機能することができる。シュラウドは、ステアリングコラム組立体の構成要素から運転者を分離するように機能することができる。シュラウドは、所望の外観、ステアリングコラム組立体の所望の被覆、運転者に対する所望の保護、特に衝突時の保護、又はこれらの組み合わせを提供することができる任意の適切な材料で作ることができる。シュラウドは、ポリマー材料で作ることができる。シュラウドは、所望の三次元形状又は所望の輪郭を有するように成形することができる。シュラウドは、複数の要素から作ることができる。例えば、シュラウドは、ステアリングコラム組立体よりも下側に位置する下側部分と、ステアリングコラム組立体よりも上側に位置する上側部分とを有することができる。シュラウドは、シュラウドを車両組立体内にスナップ嵌合又は固定することを可能にする1又は2以上の特徴を有することができる。シュラウドは、シュラウドの別の部分と係合してステアリングコラム組立体の一部の筐体を形成する1又は2以上の特徴を有することができる。シュラウドは、シュラウドをステアリングコラム組立体へ固定するための締結具を受け入れるための1又は2以上の開口を含むことができる。
【0035】
シュラウドは、ステアリングコラム立体に向かって延びる1又は2以上の突出部又はボスを有することができる。本明細書においてシュラウドと呼ばれる場合、記載される特徴は、シュラウドボスの一部とすることができることが企図される。また、記載される特徴は、シュラウドの一部とすることができるが、シュラウドボスの一部ではないことも企図される。ボスは、シュラウドとステアリングコラム組立体の別の要素との間の接触面を提供することができる。ボスは締結具との接触面を提供することができる。ボスは、接続部材との接触面を提供することができる。ボスは、締結具の頭部と接続部材の表面(例えば、シュラウド取付部)の間に位置することができる。ボスは、締結具を受け入れるための1又は2以上の開口を提供することができる。ボスは、締結具がボスから係合解除することを可能にする1又は2以上の開口を提供することができる。ボスは、1又は2以上のバイアス機能を含むことができる。例えば、ボスは、1又は2以上のクラッシュリブ、1又は2以上の圧縮性フィンガー等を含むことができる。
【0036】
ステアリングコラム組立体には、接続部材を含むことができる。接続部材は、シュラウドをステアリングコラム組立体に接続する働きをする。締結具は、シュラウド及び接続部材を通って延び、シュラウドを接続部材に固定することができる。接続部材は、更に、コラムチューブ等のステアリングコラム組立体の別の部分に接続又は接触することができる。
【0037】
シュラウドは、1又は2以上の締結具を介してステアリングコラム組立体に接続することができる。締結具は、ピン、ねじ、ボルト、リベット等、又はこれらの組み合わせとすることができる。締結具は頭部を有することができる。締結具は細長い本体を有することができる。最も幅の広い点から測定した頭部の直径又は幅は、細長い部材の断面の直径よりも幅広とすることができる。頭部は、シュラウドの一部(例えばボスの一部)に接触することができる。頭部は、リング、ワッシャ又は他の部材(例えば、皿バネ又はOリング)に接触することができる。リング、ワッシャ、又は他の部材は、締結具の頭部とシュラウドの表面(例えば、ボス)との間に配置することができる。頭部及び/又はリング、ワッシャ、又は他の部材は、接続部材の開口及び/又はシュラウドの開口又はスロットよりも幅広とすることができ、これにより、車両の通常の動作中に締結具が接続部材及び/又はシュラウドの開口又はスロットを通って貫通することはない。
【0038】
シュラウドは、シュラウドが締結具、接続部材又はその両方から係合解除されることを可能にするための1又は2以上の開口を有することができる。係合解除又は離脱は、閾値荷重を超える衝撃時に生じることができる。ボスは、一般に、接触面の側縁部(例えば、ボスが接続部材に接触する部分)、ボスの側部、又はその両方に位置する開口を有することができる。開口は、ボス内に位置する締結部材の部分が接触することなく開口の外に滑動できるような十分な高さを有することができる。開口は、ボス内に位置する締結部材の一部が接触することなく開口から外に滑動することができるような十分な幅を有することができる。
【0039】
シュラウドは、締結具がシュラウド内へ又はシュラウドの外に滑動することを可能にするスロットを有することができる。スロットは、開口に接合することができ、締結具がスロットを介して開口内に又は開口の外に滑動できるようになる。スロットは、通常の状態又は車両の使用中に締結具及びシュラウドが所望の位置に留まることを可能にする幅を有することができる。スロットは、閾値荷重を超える衝撃時に締結具及びシュラウドが分離することを可能にする幅を有することができる。スロットは、締結具の頭部の幅又は直径未満である幅を有することができる。スロットは、締結具の頭部とボスとの間にあるワッシャリング又はバネの幅又は直径未満の幅を有することができ、締結具及び/又はワッシャ、リング又はバネのデッドがスロットをステアリングコラム組立体又はその一部に向かって通過しないようになっている。スロットは、ボス又は接続部材に接触する部分を横切る途中の位置で終端することができる。スロットは、ボス又は接続部材に接触するように適合されたボスの表面の全長又は幅を通って延びる前に終端することができる。
【0040】
組立体は、1又は2以上のバイアス部材を含むことができる。バイアス部材は、シュラウドに一体的に形成することができる。バイアス部材は、シュラウドに一体的に形成された(例えば、シュラウド及び/又はボスに成形された)1又は2以上のフィンガーとすることができる。フィンガーは、シュラウドのスロット内に延びることができる。バイアス部材は、シュラウドに形成された1又は2以上のクラッシュリブとすることができる。クラッシュリブは、スロットを定める領域内に配置することができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、締結具の一部と接触するように適合することができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、締結具の頭部又は肩部に接触することができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、締結具の細長い部分の一部に接触することができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、締結具に摩擦嵌合を生じさせることができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、スロットと締結具の一部との間の空間を減少させることができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、シュラウド内での締結具の振動又は移動を低減することができる。フィンガー及び/又はクラッシュリブは、通常の使用中に締結具を所定位置に保持するのを補助することができるが、特定の条件(例えば、閾値荷重を超える衝撃)により締結具がシュラウドから外れることを許容することができる。
【0041】
バイアス部材は、シュラウドとは別個の要素とすることができる。バイアス部材は、圧縮可能な部材又は別個のバネとすることができる。例えば、バイアス部材は、皿バネ又はOリングとすることができる。バイアス部材は、締結具の頭部とシュラウドの表面との間(例えば、頭部とボスの内面との間)に配置することができる。
【0042】
閾値荷重を超える衝撃時に、シュラウドは、ステアリングコラム組立体における締結具及び/又は接続部材から離脱することができる。離脱は、シュラウドをステアリングコラム組立体へ締結する締結部材を通過させるためのシュラウドのスロット及び開口によって促進することができる。
シュラウドの開口は、ステアリングコラム立体組立体の後方端部に向かって配置することができ、コラムチューブが前方に並進すると、接続部材が車両及び/又はステアリングコラム立体組立体内に固定されたままであっても、シュラウドはまた、前方方向に圧潰することができるようになる。スロットは、シュラウドの一部から開口まで後方方向に延びて、離脱中に締結部材がスロットを通って及び開口を通って移動することを可能にすることができる。
【0043】
シュラウドとステアリングコラム組立体(例えば、接続部材)との間の取付の離脱荷重は、締結具及びステアリングコラム取付部へのシュラウドの制御された予荷重によって所定の範囲に制御される。シュラウドは、バイアス部材によってステアリングコラム取付点に予荷重をかけることができる。バイアス部材は、制御されたスタンドオフと協働して、予荷重を所望の範囲に設定又は制御する。制御された予荷重は、約25N以上、約50N以上、又は約100N以上とすることができる。制御された予荷重は、約1000N以下、約750N以下、又は約500N以下とすることができる。例えば、制御された予荷重は、約100N~約500Nとすることができる。スタンドオフは、締結具が取り付けられたときにバイアス部材の圧縮を制御するように作用することができる。スタンドオフは、締結具の肩部とすることができる。スタンドオフは、ステアリングコラム取付部(例えば、シュラウド取付部などの接続部材の一部)から出るボスとすることができる。スタンドオフは、シュラウドから出るボスとすることができる。
【0044】
シュラウドをステアリングコラム組立体へ接合する接続部材は、シュラウド取付部においてシュラウドと接触することができる。シュラウド取付部は、シュラウドに接触するように適合された表面を有することができる(例えば、シュラウドのボスにおいて)。シュラウド取付部は、接続部材の側壁など、接続部材の別の部分から延びることができる。シュラウド取付部は、接続部材の本体から離れて延び、シュラウドに達することができる。シュラウドに接触するシュラウド取付部は、接続部材の側壁に対して略垂直とすることができる。シュラウドに接触するシュラウド取付部の表面は、ステアリングコラム組立体のコラムチューブに接触する接続部材のセグメントの表面と略平行とすることができる。
【0045】
シュラウド取付部は、締結具を受け入れるための開口を含むことができる。開口は、締結具がシュラウド取付部内に固定されるように締結具と係合することができる。例えば、開口は、ねじ又はボルトのような締結具のねじ山に係合するようにねじが切られることができる。ナットをシュラウド取付部の対向側に配置して締結具を固定することもできる。開口部は、シュラウドのスロットの一部と概ね整列させることができ、締結具がシュラウドを貫通し、シュラウド取付部の開口内に受け入れられるようにすることができる。
【0046】
接続部材の一部は、コラムチューブの外面に固定することができる。接続部材は、コラムチューブ接触セグメントを含むことができる。コラムチューブ接触セグメントは、接続部材とコラムチューブの外面との間に接触面を提供することができる。コラムチューブ接触セグメントは、一般に、コラムチューブ、コラムハウジング又はその両方の長手方向軸に平行な軸に沿って延在することができる。コラムチューブ接触セグメントは略平面とすることができる。コラムチューブ接触セグメントは、略平面である1又は2以上のセクション又は表面を有することができる。コラムチューブ接触セグメントは、接続部材の揺動を低減又は防止するために、(例えば、コラムチューブと接触する部分において)略相補的な形状を有することができる。コラムチューブ接触セグメントは、接続部材をコラムチューブに固定するための締結具を受け入れるための1又は2以上の開口を有することができる。
【0047】
接続部材をコラムチューブに結合する締結具は、ステアリングコラム組立体の通常の作動及び調整中に接続部材とコラムチューブとの間の接続を維持することができる何れかの締結具とすることができる。締結具は、ねじ、ピン、リベット、ボルト又は同様のものとすることができる。締結具は、ポリマー材料で形成することができる。締結具は、金属又は金属合金から形成することができる。締結具は剪断可能な締結具とすることができる。締結具は、閾値荷重を超える衝撃時に剪断することができ、これにより、接続部材がコラムチューブから離脱することができる。例えば、衝撃時にコラムチューブは、前方に並進することができる。接続部材は、ステアリングコラム組立体内及び/又は車両組立体内に略固定することができる。接続部材が固定されたままステアリングコラムが前方に移動し続けると、接続部材及びコラムチューブを接続するリベットが剪断することができる。
【0048】
接続部材は、コラムチューブ接触セグメントから延びる1又は2以上の側壁を有することができる。側壁は接続部材の剛性を高めることができる。側壁は略平行とすることができる。側壁は略対向する関係にあることができる。側壁は、細長い部材(例えば、チルトボルト)を受け入れるための1又は2以上のスロットを含むことができる。細長い部材は、伸縮調整中にスロット内を移動することができる。スロットは、調整中にステアリングホイール(及び/又はステアリングコラム組立体の他の要素)が並進可能な前方及び/又は後方の距離を定めることができる。スロットは、テレスコ調整中のストップの役割を果たすことができる。スロットを定める境界は、調整中に前方及び/又は後方の並進を制限する、ストップとして機能することができる。スロットを定める境界は、調整中の前方及び/又は後方の並進のためのガイドとして機能することができる。スロットの前縁及び/又は後縁は、細長い部材が縁部に接触すると、更なる移動を制限することができる。スロットの上縁及び細長い部材は、ロックレバーがロック解除位置にあるとき、スロットの上端と細長い部材との間に十分なクリアランスがあり、スムーズな伸縮調節を可能にするように構成することができる。ロックレバーがロック位置にあるとき、細長い部材及びスロットの上縁は、狭いクリアランス又は接触状態にあることができる。
【0049】
接続部材は、ステアリングコラム組立体内又は車両組立体内で固定することができる。接続部材は、そこから延びる1又は2以上のタブを含むことができ、これにより接続部材を(例えば1又は2以上の締結具で)固定することができる。タブは、接続部材を組立体内に装着するために、接続部材の後方端部、前方端部又はその両方に配置することができる。タブは、締結具を受け入れるための1又は2以上の開口を含むことができる。タブは、側壁から側壁に対して略横方向に延びることができる。タブは、側壁に対して約105度以下、約100度以下、又は約90度以下の角度を形成することができる。タブは、接続部材が組立体又は車両内に固定されることを可能にする何らかの向きとすることができる。タブは各側壁から延びることができる。タブは、互いに略平行又は同一平面にあることができる。タブは略対向する方向に延びることができる。タブは、側壁とタブとの間に可撓性を提供する1又は2以上の領域を含むことができる。可撓性により、衝撃時又は調整時等にタブと側壁との間の領域が撓むことができる。
【0050】
本明細書における組立体は更に、エネルギー吸収セグメントを採用することができる。エネルギー吸収セグメントは、閾値荷重を超える衝撃等の特定の条件時に変形するように適合された変形可能なプレート、ワイヤ又は他の構造体とすることができる。エネルギー吸収セグメントは、採用されると、コラムチューブ及び/又はステアリングシャフトがコラムハウジングに沿って並進し始めた後の二次衝撃時に、塑性変形によってエネルギーを吸収することができる。エネルギー吸収セグメントは、塑性変形することができる。エネルギー吸収セグメントは、塑性伸びを伴って又は伴わずに、塑性圧縮を伴って又は伴わずに、塑性座屈を伴って又は伴わずに、又はこれらの何れかの組み合わせで変形することができる。塑性変形可能なエネルギー吸収デバイスは、従って、コラムチューブ、ステアリングシャフト又はその両方の長手方向の移動範囲を制限することができる。エネルギー吸収セグメントは、コラムチューブ、ステアリングシャフト、ステアリングホイール、又はこれらの組み合わせの位置を所望の前後方向に固定するように機能することができる。エネルギー吸収セグメントは、略平面状又は平坦セクションを有する。略平面又は平坦なセクションは、コラムチューブ内に受け入れることができる。エネルギー吸収セグメントは、接続部材のコラムチューブ接触セグメントに対して略平行とすることができる。エネルギー吸収セグメントは、約45度以下、約35度以下、又は約20度以下のコラムチューブ接触セグメントとの角度を形成することができる。エネルギー吸収セグメントは、円弧状又は湾曲部分でコラムチューブ接触セグメントに接合することができる。エネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部分の一部は、コラムチューブ内の開口、ノッチ、又はガイドと係合することができる(例えば、追加の締結の有無にかかわらず)。
【0051】
エネルギー吸収セグメント又はその一部は、コラムチューブ内に配置することができる。湾曲又は円弧状部分は、コラムチューブの縁部又はノッチの周りで湾曲することができる。閾値荷重を超える衝撃時に、コラムチューブは、前方に並進することができ、エネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部分を前方に押し出して、変形を引き起こす。湾曲部分は、真っ直ぐに又は他の方法で変形させることができる。コラムチューブが前方に並進し続けると、エネルギー吸収セグメントの異なる領域が、湾曲又は他の変形を引き起こすことができる。例えば、エネルギー吸収セグメントは短くなり、一方、湾曲部の両側の接続部材の一部(例えば、コラムチューブ接触セグメント又はそれに隣接する部分)は、長くなり、湾曲部の領域は、コラムチューブが前方に並進し、変形がコラムチューブ及び/又はガイド構造体の縁部の周りに案内されるにつれて変化し続ける。
【0052】
ガイド構造体は、コラムチューブの縁部又はノッチに配置することができる。ガイド構造体は、コラムチューブから分離することができる。ガイド構造体は、(例えば、閾値荷重を超える衝撃時に)エネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部の変形をガイドするように機能することができる。ガイド構造体は、通常の使用中、エネルギー吸収セグメントを所定位置に保持するように機能することができる。ガイド構造体は、エネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部分の少なくとも一部を受け入れるための1又は2以上のスロットを有することができる。ガイド構造体は、エネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部分がその周りで巻き付き又はコイル状になることができるピン又は他の部材とすることができる。ガイド構造体は、衝突時にエネルギー吸収セグメント及び/又は湾曲部分がその周りに巻き付く間に及ぼされる力に耐えるのに適した何れかの材料で形成することができる。例えば、ガイド構造体は、ポリマー材料で形成することができる。
【0053】
次に図に目を向けると、図1は、前方端部12及び後方端部14を有する例示的なステアリングコラム組立体10を示している。ステアリングコラム組立体10は、コラムチューブ18とステアリングシャフト20とを支持するコラムハウジング16を含む。ステアリングシャフト20は、ステアリングホイール(図示せず)を支持するように適合され、ステアリングホイールの回転に伴って回転することが許容される。コラムチューブ18は、コラムハウジング16内で直線的に伸縮運動するように装着されている。伸縮調整は、ステアリングコラム組立体をアンロック位置及び/又はロック位置にするためのレバー24として示されるユーザ操作デバイスの作動を介して行われる。ブラケット構造体22は、ステアリングコラム組立体10を車両内に装着するのを補助する。ブラケット構造体22はまた、少なくとも部分的にチルト調整部分組立体を支持することができ、ステアリングシャフト20、コラムチューブ18、コラムハウジング16、又はこれらの組み合わせのチルト調整を可能にする。シュラウド30(又はシュラウドの一部、ここではシュラウドボス32として示す)は、接続部材50を介してステアリングコラム組立体10に接続される。
【0054】
図2は、シュラウド30、又はシュラウドボス32として示されるシュラウドの一部に接合された接続部材50を示す。シュラウドボス32は開口48を有する。接続部材50は、コラムチューブ18(図1参照)の外面に配置されるように適合されたコラムチューブ接触セグメント52を含む。接続部材50は、リベットなどの締結具を介してコラムチューブに固定することができる。略平行な2つの側壁54がコラムチューブ接触セグメントから延びている。各側壁54は、側壁スロット56を含む。側壁スロットは、チルトボルトのような細長い部材を受け入れ及び/又は貫通することができる。側壁及びスロットは、ステアリングコラム組立体の伸縮調整を補助することができる。側壁スロットは、伸縮調整時又は衝撃時にチルトボルトのストップとしての役割を果たすことができる。
【0055】
接続部材50は、1又は2以上の概ね横方向のタブ58を含む。図示のように、略横方向のタブ58のペアは、側壁54から互いに略対向方向に延びている。両方のタブ58は、側壁から略横方向に延びている。略横方向のタブ58は、接続部材50を車両内に固定するための1又は2以上の開口を含むことができる。略横方向のタブは、側壁54とタブ58との間に可撓性を提供する1又は2以上の領域を含むことができ、これにより、更なるエネルギー吸収を提供することができる。
【0056】
接続部材50は、エネルギー吸収セグメント62を含み、このエネルギー吸収セグメント62は、湾曲部60を介してコラムチューブコンタクトセグメント52に接合されている。エネルギー吸収セグメント62は、コラムチューブ18の内部に受け入れられる略平坦な部分として示されている(図1参照)。湾曲部分は、コラムチューブ接触セグメント52がコラムチューブ18の外側にあり、エネルギー吸収セグメント62がコラムチューブ18の内側にあることを可能にするために、コラムチューブの縁部又はコラムチューブ内のノッチに、又はその近傍に位置する。衝撃時には、エネルギー吸収セグメント62は変形することができ、それによりエネルギーを吸収し、及び/又はステアリングコラム組立体の圧潰を遅らせるように作用する。閾値荷重を超える衝撃時など、コラムチューブの前方への並進時には、コラムチューブ18が湾曲部60に接触し、湾曲部60を前方方向に押し、エネルギー吸収セグメント62を直線化及び/又は変形させることができる。エネルギー吸収セグメント62の変形がコラムチューブ及び/又はガイド構造体によって案内されると、新たな湾曲部60を(例えば、以前はエネルギー吸収セグメント62の一部であった領域に)形成することができる。変形は、湾曲部60及び/又はエネルギー吸収セグメント62がガイド構造体に巻き付くように、コラムチューブの縁部又はその近傍(例えば、コラムチューブのノッチ部)に配置されたガイド構造体によって案内することができる。エネルギー吸収セグメント62は、コラムチューブ18が前方に並進すると、前方に引き寄せることができ、ガイド構造体の周りにコイル状になることができる。ガイド構造体のない組立体も企図される。
【0057】
接続部材50は、シュラウド取付部70を含む。図示のようにシュラウド取付部70は側壁54から延びているが、他の構成も企図される。シュラウド取付部は、側壁54の縁部からある角度で延びる(例えば、約90度±約10度の側壁との角度を形成する)。シュラウド取付部70は、シュラウド30との接触面を提供する(例えば、シュラウドボス32において)。
【0058】
図3は、接続部材50の取付部70と接触しているシュラウドボス32を示す。取付部70は、締結具36(図4及び図5参照)を受け入れることができる締結具開口72を含み、シュラウド30を接続部材50に接合する。
【0059】
図3図4及び図5に示されるように、シュラウドボス32は、締結具36(図4及び図5参照)の一部を内部に受け入れることができるスロット46を含む。スロット46の領域には、1又は2以上のバイアス部材40が存在することができる。図3に示すバイアス部材は、シュラウド自体に形成された複数のバネフィンガー42である。図4は、皿バネ又はOリング44のような別個のバネを示している。バイアス部材は、シュラウド内のクラッシュリブモデルとすることができる。シュラウドは、バネフィンガー42、皿バネ又はOリング44、或いはクラッシュリブ配置のようなバイアス部材40によって、シュラウド取付部70に予荷重することができる。バイアス部材40は、予荷重を所望の範囲に設定するために、制御されたスタンドオフと協働することができる。制御されたスタンドオフは、例えば、締結具の肩部又は締結具の頭部とフィンガーとの間に位置するリングとすることができる。
【0060】
シュラウドボス32は、開口48を含み、この開口48により、特定の条件時に締結具36がシュラウドボスとの係合状態の中外に滑動可能になる。例えば、閾値荷重を超える衝撃時に、シュラウド30又はシュラウドボス32は、シュラウド取付部70において接続部材50から離脱することができる。締結具36はシュラウド取付部70に固定されたままとすることができる。シュラウド取付部70及び/又は接続部材50は、ステアリングコラム組立体、車両組立体又はその両方内に固定されたままとすることができる。シュラウド30又はシュラウドボス32は、締結具36、接続部材50、シュラウド取付部70、又はこれらの組み合わせから分離することができ、締結具36はスロット46を通って開口48から移動することが許容される。
【0061】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変更をすることができることが理解される。更に、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本発明の更なる実施形態を形成することもできる。
【0062】
理解できるように、上記の教示の変形形態を採用することができる。例えば、ステアリングホイール調整部分組立体を複数の部分組立体から作ることも可能とすることができる。記載されたエネルギー吸収機構は、他の機構で置き換えることができる。本明細書の教示は、教示の特定の機能的態様が起きたときに二次衝撃事象に言及することができるが、本教示は、二次衝撃事象のみに限定されるものではない。むしろ、二次衝撃に言及する場合、特に限定しない限り、本教示は、通常の運転荷重を実質的に超える閾値荷重(例えば、車両の前方向きの方向)に遭遇し、車両オペレータに伝達されるであろう荷重を実質的に低減するためにコラムチューブの並進が望ましい場合の他の衝撃又は状態を企図しているとみなすべきである。
【0063】
本明細書に記載される何れかの数値は、何らかの下側値と何らかの上側値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを条件として、1単位刻みで下側値から上側値までの全ての値を含む。一例として、構成要素の量又は例えば温度、圧力、時間等のプロセス変数の値が、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると記載されている場合、15~85、22~68、43~51、30~32等の値が本明細書において明示的に列挙されることが意図される。1未満の値については、1単位は適宜0.0001、0.001、0.01又は0.1とみなされる。これらは具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値及び最高値の間の数値の全ての可能な組み合わせは、同様に本願明細書に明示されたものとみなされる。
【0064】
特に断らない限り、全ての範囲は両端点及び両端点間の全ての数値を含む。範囲に関連して「約」又は「約」を使用する場合は、範囲の両端に適用される。従って、「約20~30」は、少なくとも指定された端点を含む「約20~約30」に及ぶことを意図している。
【0065】
特許出願及び刊行物を含む全ての論文及び参考文献の開示は、全ての目的のために引用として組み込まれる。組み合わせを説明するための「本質的にからなる」という用語は、特定された要素、成分、構成要素又は工程、及び組み合わせの基本的且つ新規な特性に実質的に影響を与えない他の要素成分、構成要素又はステップを含むものとする。本明細書において、要素、成分、構成要素又はステップの組み合わせを説明するための「備える」又は「含む」という用語の使用は、要素、成分、構成要素又はステップから本質的になる、又はなることさえある実施形態も企図する。
【0066】
複数の要素、成分、構成要素又はステップは、単一の統合された要素、成分、構成要素又はステップによって提供することができる。或いは、単一の統合された要素、成分、構成要素又はステップを、別々の複数の要素、成分、構成要素又はステップに分割することもできる。要素、成分、構成要素又はステップを説明するための「a」又は「one」の開示は、追加の要素、成分、構成要素又はステップを妨げることを意図するものではない。
【0067】
図面に描かれている要素の相対的な位置関係は、口頭で説明されていない場合でも、本明細書の教示の一部である。図面に示された形状も(限定を意図するものではないが)、口頭で説明されていない場合でも、本教示の範囲内である。
【符号の説明】
【0068】
10 ステアリングコラム組立体
12 前方端部
14 後方端部
16 コラムハウジング
18 コラムチューブ
20 ステアリングシャフト
22 ブラケット構造体
24 レバー
30 シュラウド
50 接続部材
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】