(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】調整可能なサイズ選択を使用して細胞試料からゲノムDNAを抽出するためのデバイス、方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240920BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240920BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240920BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20240920BHJP
G01N 33/48 20060101ALI20240920BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240920BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240920BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20240920BHJP
G01N 1/04 20060101ALI20240920BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240920BHJP
C12N 15/115 20100101ALN20240920BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20240920BHJP
C12N 9/16 20060101ALN20240920BHJP
C12N 9/10 20060101ALN20240920BHJP
C12M 1/34 20060101ALN20240920BHJP
C07K 2/00 20060101ALN20240920BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20240920BHJP
C12N 5/04 20060101ALN20240920BHJP
C12N 1/14 20060101ALN20240920BHJP
C07K 16/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/686 Z
C12Q1/6869 Z
C12N15/09 200
G01N33/48 S
G01N33/53 Y
G01N37/00 101
G01N1/28 J
G01N1/04 M
G01N21/64 F
C12N15/115 Z
C12N15/10 110Z
C12N9/16 Z
C12N9/10
C12M1/34 Z
C07K2/00
C12N5/0783
C12N5/04
C12N1/14 A
C07K16/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024515563
(86)(22)【出願日】2022-09-09
(85)【翻訳文提出日】2024-05-02
(86)【国際出願番号】 US2022043093
(87)【国際公開番号】W WO2023039182
(87)【国際公開日】2023-03-16
(32)【優先日】2021-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524090194
【氏名又は名称】インソ バイオサイエンシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ビソーニ, アダム
(72)【発明者】
【氏名】クレイグヘッド, ハロルド
(72)【発明者】
【氏名】ティアン, ハーヴェイ
【テーマコード(参考)】
2G043
2G045
2G052
4B029
4B063
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
2G043AA03
2G043AA04
2G043BA16
2G043CA04
2G043EA01
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2G052AD29
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4H045EA50
(57)【要約】
細胞または細胞核から選択されたサイズ範囲のゲノムDNAの断片を抽出するためのマイクロ流体の流れに基づくデバイスを開示する。デバイスは、マイクロ流体チャネルおよび規定の形体でマイクロ流体チャネル内に配置されたマイクロピラーのアレイを含む。かかるデバイスおよび流体制御モジュールを含むシステムも開示する。細胞または細胞核から所望のサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を抽出するためのパラメーターを選択する方法、および細胞または細胞核から選択されたサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を単離する方法をさらに開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞または細胞核から選択されたサイズ範囲のゲノムDNAの断片を抽出するためのマイクロ流体の流れに基づくデバイスであって、
入口から出口に向かう流れ方向に流すことを可能にする少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する少なくとも1つのマイクロ流体チャネル;および
前記マイクロ流体チャネル内に配置されたマイクロピラーの少なくとも1つのアレイ
を含み、ここで、
前記マイクロピラーの直径が、3マイクロメートルと50マイクロメートルとの間である;
前記マイクロピラーが、2マイクロメートルと150マイクロメートルとの間の間隔によって相互に分離されている;
前記アレイが、1平方ミリメートルと1600平方センチメートルとの間の区域内で境されている;
前記マイクロピラーの高さが、1~200マイクロメートルの間である;そして
前記マイクロピラーが、規定の形体で前記アレイ内に配置されている、デバイス。
【請求項2】
前記マイクロピラーの形状が、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、十字形、六角形、菱形、多角形、ドーム型、ピラミッド形、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記チャネルが、
(a)ランダム配向;
(b)正方格子;
(b)六方格子;または
(c)2またはそれを超える前述の任意の組み合わせ
のマイクロピラーを含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記チャネルが、正方格子のマイクロピラー、ランダム配向のマイクロピラー、および六方格子のマイクロピラーの交互領域を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記正方格子および六方格子のマイクロピラーの交互領域が、(a)連続しているか、あるいは(b)前記領域が構造領域によって分離されて不連続である、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記マイクロピラーが、可変間隔のグラジエントで配置されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記可変間隔のグラジエントが、(a)滑らかなグラジエント、(b)段階的なグラジエント、または(c)(a)と(b)の組み合わせを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記チャネルが、少なくとも1つのより短いマイクロピラーアレイ領域(例えば、
図29)を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記チャネルが、少なくとも2つまたは少なくとも3つのより短いマイクロピラーアレイ領域を含み、必要に応じて、前記より短いマイクロピラーアレイ領域が構造領域で分離されている、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記より短いマイクロピラーアレイ領域の長さが、前記チャネルの長さの約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%未満である、請求項8または9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記デバイスが、前記マイクロピラーアレイ領域内まで伸長している1またはそれを超えるカナルをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記1またはそれを超えるカナルが前記流れ方向に沿って整列され、必要に応じて、前記1またはそれを超えるカナルが、真っすぐであるか、分岐しているか、湾曲しているか、交差している、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記デバイスが、異なる長さの少なくとも2つのカナルを含む、請求項11または12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記直径、前記間隔、前記区域、前記形体、またはそれらの組み合わせが、前記細胞または細胞核のタイプに基づいて選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物の細胞または細胞核、必要に応じて、ヒトの細胞または細胞核である、請求項1~14のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記細胞または細胞核が、白血球またはT細胞の細胞または細胞核である、請求項1~15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記デバイスが、(a)前記アレイの先端部のシングルセルサイズの開口部、および/または(b)シングルセルからゲノムDNAの断片を抽出可能な前記入口近傍のより狭い形体(例えば、マイクロピラー間隔)を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
「溝状の」分岐チャネルをさらに含む、請求項1~17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
前記デバイスが、(a)前記アレイの先端部のマルチセルサイズの開口部および/または(b)前記入口近傍のより広い形体(例えば、マイクロピラー間隔)を含み、それにより、複数の細胞からゲノムDNAの断片を抽出可能である、請求項1~16および18のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項20】
前記細胞または細胞核に結合する薬剤をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項21】
前記薬剤が、抗体、その抗原結合断片、またはアプタマーである、請求項20に記載のデバイス。
【請求項22】
前記マイクロ流体チャネルに対する二次チャネルをさらに含む、請求項20または21に記載のデバイス。
【請求項23】
前記二次チャネル(例えば、
図4)が、前記細胞が前記薬剤に結合した後に、前記細胞を溶解し、前記ゲノムDNAを捕捉することを可能にする、請求項22に記載のデバイス。
【請求項24】
前記マイクロピラーが、ポリマー、プラスチック、金属、シリコン、ガラス、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせを含む、請求項1~23のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項25】
前記マイクロピラーがポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項26】
前記マイクロピラーが、約2~30マイクロメートルの範囲の間隔、必要に応じて、5マイクロメートルまたはそれ未満の間隔で相互に分離している、請求項1~25のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項27】
前記マイクロピラーの高さが5~50マイクロメートルの間である、請求項1~26のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項28】
前記デバイスが、マイクロピラーのアレイを含む少なくとも2つのマイクロ流体チャネルを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項29】
前記デバイスが、少なくとも6、12、8、12、24、48、96、384、または1536のチャネルを含む、請求項1~28のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項30】
(a)前記チャネルが、デバイス中でスタガード形体またはサイドバイサイド形体である;そして/または
(b)前記チャネルが、マルチウェルプレート形体と位置合わせされている秩序形体である、請求項28または29に記載のデバイス。
【請求項31】
前記少なくとも2つのマイクロ流体チャネルが垂直に積み重なっている、請求項28~30のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項32】
細胞および/または細胞核を組織から単離する機器をさらに含む、請求項1~31のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項33】
前記機器が、ホモジナイザー、超音波処理器、および/または組織グラインダーを含み、必要に応じて、ここで、前記ホモジナイザーが、TissueLyserII(Qiagen)、TissueRuptorII(Qiagen)、ダウンス型ホモジナイザー、ヒーター付きgentleMACS(商標)Octo Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-096-427)、gentleMACS(商標)Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-093-235)、およびSingulator100(S2 Genomicsから選択される、請求項32に記載のデバイス。
【請求項34】
前記組織が、未処理であるか、凍結されているか、急速凍結されているか、ホルマリン固定パライン包埋(FFPE)されているか、あるいは最適切断温度化合物(OCT)中で保存されている、請求項32または33に記載のデバイス。
【請求項35】
細胞または細胞核を選別する機器をさらに含む、請求項1~34のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項36】
前記機器が、フローサイトメーター、蛍光標示式細胞分取(FACS)機器、および/または顕微鏡を含む、請求項35に記載のデバイス。
【請求項37】
細胞または細胞核の溶解を容易にする少なくとも1つの薬剤(例えば、溶解緩衝液 変性剤、および/または洗浄緩衝液)をさらに含む、請求項1~36のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項38】
消化緩衝液、1またはそれを超える酵素、DNA標識剤(例えば、ビオチン、蛍光分子、バーコード)、ハイブリッド形成剤(例えば、(例えば、検出可能なマーカー、例えば、蛍光分子、ビオチンで標識された)プライマー)、および/または洗浄緩衝液をさらに含む、請求項1~37のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項39】
前記1またはそれを超える酵素が、DNA切断酵素、DNA修飾酵素(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、T4 DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ)、およびDNA会合タンパク質を修飾する酵素から選択される、請求項38に記載のデバイス。
【請求項40】
前記1またはそれを超える酵素が、制限酵素、エンドヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、II型CRISPR-Cas9タンパク質、およびdsDNAフラグメンターゼから選択される、請求項38または39に記載のデバイス。
【請求項41】
前記1またはそれを超える酵素が、1またはそれを超える制限酵素を含む、請求項38~40のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項42】
DNA切断および/またはチャネルからのDNA放出を容易にする少なくとも1つの機器をさらに含む、請求項1~41のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項43】
前記少なくとも1つの機器が、超音波処理器、ネブライザー、光源(例えば、可視光、UV光、X線、ガンマ線、または電離放射線を放射する)、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせから選択される、請求項42に記載のデバイス。
【請求項44】
前記マイクロピラーが、折り畳み可能である、融解可能である、機械的に格納可能である、溶解可能である、機械的に剥離される、機械的に屈曲可能である、そして/または電気的に屈曲可能である、請求項1~43のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項45】
単離したDNAを分析する少なくとも1つの器具をさらに含む、請求項1~44のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項46】
前記少なくとも1つの器具が、顕微鏡、蛍光顕微鏡、光学顕微鏡、マイクロアレイ、質量分析計(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)、PCR、リアルタイムPCR、ゲル電気泳動、キャピラリーゲル電気泳動、およびシーケンサー(例えば、NGS、第三世代シーケンサー)から選択される、請求項45に記載のデバイス。
【請求項47】
ロボット試料調製プラットフォームおよび/またはプレートリーダーをさらに含む、請求項1~46のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項48】
前記回収されたゲノムDNAが、少なくとも1つのDNA結合タンパク質を含む、請求項1~47のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項49】
前記少なくとも1つのDNA結合タンパク質が、ヒストン、転写因子、複製タンパク質、DNA修復タンパク質、DNA修飾酵素(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ)、および/またはヌクレアーゼを含む、請求項48に記載のデバイス。
【請求項50】
少なくとも1つの入口への接続に適する少なくとも1つの流体制御モジュールをさらに含む、請求項1~49のいずれか1項に記載の少なくとも1つのデバイスを含むシステム。
【請求項51】
前記流体制御モジュールが、ピペットまたはシリンジを含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記流体制御モジュールが、加圧空気源(例えば、圧縮空気)、制御圧力源、制御空気圧源、圧力駆動ポンプ、シリンジポンプ、真空ポンプ、または蠕動ポンプを含む、請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
出口への接続に適する1またはそれを超える収集リザーバをさらに含み、必要に応じて、ここで、前記1またはそれを超える収集リザーバが、試料収集リザーバおよび廃棄物収集リザーバを含む、請求項50~52のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項54】
マイクロ流体チャネル内のDNAを電気泳動により駆動するための制御電圧源をさらに含む、請求項50~53のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項55】
少なくとも1つの温度制御モジュールをさらに含み、必要に応じて、ここで、(a)前記少なくとも1つの温度制御モジュールが、異なる温度で前記デバイスの異なる部分を加熱することができ、そして/または(b)前記少なくとも1つの温度制御モジュールを、時間制御様式で制御することができる(例えば、ある特定の持続時間加熱することができる)、請求項50~54のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項56】
前記少なくとも1つの温度制御モジュールが、前記デバイスの温度を約2℃~100℃の範囲で設定することができる、請求項55に記載のシステム。
【請求項57】
前記システムが、少なくとも2つのデバイスを含み、必要に応じて、ここで、前記少なくとも2つのデバイスが垂直に積み重なっている、請求項50~56のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項58】
細胞または細胞核から所望のサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を抽出するためのパラメーターを選択する方法であって、
少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、請求項1~49のいずれか1項に記載のデバイスまたは請求項50~57のいずれか1項に記載のシステムによって、
前記1またはそれを超える酵素の各々の濃度;
前記1またはそれを超える酵素の数;
前記消化緩衝液の緩衝液組成;
消化時間;および
消化温度;
を含むパラメーターを使用して、少なくとも1回処理する工程;
収集された試料の断片サイズのメトリックを決定する工程;ならびに、前記断片サイズのメトリックに基づいて、
前記断片サイズのメトリックが前記所望のサイズのメトリックに対応する場合、使用される前記パラメーターを選択する工程;
前記断片サイズのメトリックが前記所望のサイズのメトリックより小さい場合、前記断片サイズのメトリックが前記所望のサイズのメトリックより小さくなくなるまで、前記濃度を低下させるか、前記数を減少させるか、前記消化時間を減少させるか、酵素の効率を低下させるために前記消化温度を変化させるか、酵素の効率を低下させるために前記緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程;および
前記断片サイズのメトリックが前記所望のサイズのメトリックより大きい場合、前記断片サイズのメトリックが前記所望のサイズのメトリックより大きくなくなるまで、前記濃度を増加させるか、前記数を増加させるか、前記消化時間を増加させるか、酵素の効率を増大させるために前記消化温度を変化させるか、酵素の効率を増大させるために前記緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程
を含む、方法。
【請求項59】
前記断片サイズのメトリックが、断片サイズの平均または断片サイズの中央値である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記処理する工程が、前記試料を前記デバイス中にロードすることおよび前記洗浄緩衝液を使用して前記デバイス中で少なくとも1つの細胞または細胞核を洗浄することを含む、請求項58または59に記載の方法。
【請求項61】
前記1またはそれを超える酵素を失活させる工程をさらに含む、請求項58~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記失活が熱失活を含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
試料から細胞または細胞核を単離する方法であって、請求項1~49のいずれか1項に記載のデバイス、または請求項50~57のいずれか1項に記載のシステムによって前記試料を流動させる工程;および
前記デバイス中に捉えた前記細胞または細胞核を収集する工程
を含む、方法。
【請求項64】
核膜がインタクトなままで細胞膜または細胞壁を溶解する工程をさらに含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記捉えた細胞または細胞核を洗浄する工程をさらに含む、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、植物の細胞または細胞核である、請求項63~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記試料が、血液、血漿、リンパ、唾液、尿、in vitro細胞培養物、および組織ホモジネートから選択され、必要に応じて、ここで、前記組織ホモジネートが植物組織ホモジネートである、請求項63~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記試料が、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマーをさらに含む、請求項63~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
大きなサイズのゲノムDNA(例えば、インタクトなgDNA、染色体全体、または500kbを超えるgDNAの断片)を単離する方法であって、少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、請求項1~49のいずれか1項に記載のデバイスまたは請求項50~57のいずれか1項に記載のシステムによって処理する工程を含み、必要に応じて、ここで、前記デバイスが、折り畳み可能である、融解可能である、機械的に格納可能である、溶解可能である、機械的に剥離される、機械的に屈曲可能である、そして/または電気的に屈曲可能であるマイクロピラーを含む、方法。
【請求項70】
少なくとも1つの細胞または細胞核から選択されたサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を単離する方法であって、
(a)少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、請求項1~49のいずれか1項に記載のデバイス、または請求項50~57のいずれか1項に記載のシステムによって処理する工程;および
(b)前記処理によって単離された前記ゲノムDNAの断片を収集する工程
を含む、方法。
【請求項71】
前記gDNAの断片を、DNA切断酵素での消化、超音波処理、噴霧、流動条件の変更、光による方法、機械的方法、またはこれらのうちの2つまたはそれを超える方法の組み合わせによって産生する、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記方法が、請求項58~62のいずれか1項に記載の方法によって選択されたパラメーターを使用する工程を含む、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
請求項63~68のいずれか1項に記載の細胞または細胞核を単離する方法をさらに含む、請求項70~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
(a)前記溶解の前に捉えた細胞または細胞核を洗浄する工程;
(b)前記消化の前に前記ゲノムDNAを洗浄する工程;および/または
(c)前記1またはそれを超える酵素を失活させる工程(例えば、熱失活)
をさらに含む、請求項70~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記ゲノムDNAの断片が、約1kb~500kbの範囲にある、請求項70~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記ゲノムDNAの断片が、200kb、30kb、25kb、14kb、10kb、または8kbの範囲にある、請求項70~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記ゲノムDNAが、シングルセルまたはシングルセルの核に由来する、請求項70~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ゲノムDNAの断片を収集する工程が、手作業のピペッティングによるか、管材料を通じて収集リザーバから前記断片を取り出すことを含む、請求項70~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記ゲノムDNAの断片を収集する工程が、前記収集リザーバに取り付けられた電気泳動チャネルを介して前記収集リザーバから前記断片を取り出すことを含む、請求項70~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記ゲノムDNAを配列決定し、増幅し、ハイブリッド形成し、末端標識し、そして/またはバーコード化する工程をさらに含む、請求項70~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、ヒトの細胞または細胞核である、請求項70~80のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記細胞または細胞核が、白血球またはT細胞の細胞または細胞核である、請求項70~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記試料が、血液、血漿、リンパ、唾液、尿、精液、in vitro細胞培養物、および/または組織ホモジネートを含む、請求項70~82のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記試料が、部分精製されたか完全精製された細胞または細胞核を含む、請求項70~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
ゲノム中の変異を検出する方法であって、
(a)請求項69~84のいずれか1項に記載の方法にしたがってゲノムDNAまたはその断片を単離する工程;および
(b)回収された前記DNAを分析し、それにより、前記変異を検出する工程
を含む、方法。
【請求項86】
前記変異が、置換、欠失、挿入、重複、DNA融合、および/または染色体融合を含む、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記DNAを、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、ハイブリッド形成、PCR、リアルタイムPCR、質量分析(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)、サザンブロッティング、配列決定(例えば、NGS、第三世代配列決定)、マイクロアレイ、およびこれらのうちの任意の2つまたはそれを超える手技の組み合わせから選択される1つまたは複数を使用して分析する、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
前記ゲノムDNAが、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、ヒトのゲノムDNAである、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記試料または緩衝液(例えば、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液、消化緩衝液など)が、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマー)を含む、請求項69~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記少なくとも1つのチャネルが、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマー)を含み、必要に応じて、ここで、前記ブロッキング剤が、前記チャネルの内面および/または前記チャネル内のマイクロピラーをコーティングする、請求項1~49のいずれか1項に記載のデバイスまたは請求項50~57のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年9月9日出願の米国仮出願第63/242,216号;および2022年3月16日出願の米国仮出願第63/320,389号(これらの内容全体は、本明細書中で参考として援用される)に基づく利益を主張する。
【0002】
権利の記載
本発明を、米国国立科学財団によって授与された助成金番号1940395の下で政府支援を受けて実施した。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
細胞を含む試料からのゲノムDNAなどのDNAの抽出は、種々の用途で必要である。例えば、抽出したDNAは、他にも多数の用途があるが、パルスフィールドゲル電気泳動、増幅、および特定の遺伝子座の検出、または配列決定に必要であろう。これらの用途は、同様に、癌、感染症、および他の多くの疾患などの重要な現象の理解に有用であり得る。
【0004】
マイクロ流体デバイスの使用は、細胞からDNAを抽出するための選択肢のうちの1つである。例えば、溶解した細胞由来のゲノムDNA(gDNA)を固定し、次いで、アレイからそのgDNAを抽出するために、デバイス内にマイクロピラーアレイを使用し得る。多数の利点があるにもかかわらず、これらの方法は、しばしば、種々のサイズのgDNA断片の混合物が得られ、しばしば、処理可能な試料の範囲が制限される。
【0005】
したがって、当該分野において細胞試料からgDNAを抽出する方法をさらに開発する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本発明は、いくつかの態様では、細胞または細胞核を含む試料から選択可能な断片サイズのゲノムDNA(gDNA)を抽出および単離する方法に関する。抽出されたDNAを、断片のサイズによる選別、選択的増幅、または配列決定などの種々の技術によって分析し得る。この能力は、生物学的研究および医学的用途(疾患の診断および治療の指示など)において有用である。特定の配列決定技術に最適なgDNA断片サイズを選択することにより、プロセスの効率が改善される。また、開示のアプローチは、試料の調製に必要な工程数を減少させ、小さなサイズの試料に効率的なはずである。
【0007】
選択された断片サイズで選択された細胞または細胞核からgDNAを抽出するために、しばしば、酵素アプローチを利用してDNAを所望のサイズに剪断し、ピラー様障害物が固定されたマイクロ流体デバイス中のピラー様障害物からより短いDNA断片を放出させる。次いで、gDNAを、デバイスから取り出すか、あるいは、緩衝液の交換またはデバイスの第2段階での濃縮などのさらなる処理に供することができる。gDNAは、その後の選択的増幅、検出、または配列決定などの分析プロセスに適合する。
【0008】
マイクロ流体デバイスを作製する方法は、モールディング、型押し、または射出成形を使用してポリジメチルシロキサン、(PDMS)、または他のポリマー中に再現することができる鋳型を作製するための標準的なリソグラフィーおよびエッチングアプローチを使用する。デバイスの作製方法の一例は、Benitez et al.に記載されている。モールディングされたPDMSを、ガラスプレートに容易に接着して構造体を完成させることができるか、あるいは、デバイスを、異なるポリマー材料の組み合わせによって構築し得る。
【0009】
あるいは、マイクロ流体デバイスを、他の材料を使用して作製することができる。例えば、ポリマー(例えば、PDMS)に加えて、ガラス、プラスチック、金属、シリコン、またはその任意の組み合わせなどの材料を使用することができる。
【0010】
チャネルの寸法、ピラーサイズ、およびピラーアレイの組織化の組み合わせを、所望の試料型または試料体積のために変動させることができる。例えば、より小さな細胞または細胞核を捉えるためにより小さなピラー間隔が使用されるであろうし、一方、試料中により小さな実体を含む混合物からより大きな細胞を選択するためにより大きな間隔が使用されるであろう。
【0011】
いくつかの態様では、細胞または細胞核から選択されたサイズ範囲のゲノムDNAの断片を抽出するためのマイクロ流体の流れに基づくデバイスは、入口から出口に向かう流れ方向で流動させることを可能にするための入口および出口を有するマイクロ流体チャネルを含む。好ましい実施形態では、デバイスは、マイクロ流体チャネル内に配置したマイクロピラーのアレイを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーの直径は、好ましくは、少なくとも約3マイクロメートルと約15マイクロメートルとの間であるが、少なくとも約1マイクロメートルから約100マイクロメートルまでの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、直径は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、もしくは100マイクロメートル;またはこれらの値の間の任意の範囲である。
【0013】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーの好ましい高さは、少なくとも約15~約25マイクロメートルであるが、少なくとも約1から約200マイクロメートルまでの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、高さは、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、もしくは200マイクロメートル;またはこれらの値の間の任意の範囲である。
【0014】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーは、好ましくは少なくとも約2マイクロメートルと約150マイクロメートルとの間の間隔で相互に分離されているが、0.1マイクロメートルから300マイクロメートル超までの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、間隔は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、もしくは400マイクロメートル;またはこれらの値の間の任意の範囲である。
【0015】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーの各々のアレイは、25平方ミクロンまたはそれを超える区域内で境されている。いくつかの実施形態では、マイクロピラーの各々のアレイは、1平方ミリメートルまたはそれを超える区域内で境されている。いくつかの実施形態では、区域は、少なくとも約1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、もしくは500平方ミリメートル;またはこれらの値の間の任意の範囲である。いくつかの実施形態では、マイクロピラーの各々のアレイは、約200平方ミリメートル未満の区域内で境されている。いくつかの実施形態では、マイクロピラーの各々のアレイは、約100平方ミリメートル未満の区域内で境されている。好ましい実施形態では、マイクロピラーの各々のアレイは、約1600平方センチメートル未満の区域内で境されている。
【0016】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーは、規定の形体でアレイ内に配置されている(例えば、
図9および
図10に示す)。
【0017】
いくつかの実施形態では、マイクロピラーは、ポリマー(例えば、マイクロピラーはポリマーから作製される)、プラスチック、金属、シリコーン、ガラス、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、マイクロピラーを、リソグラフプロセスを使用して作製する。いくつかの実施形態では、デバイスは、マイクロピラーのアレイの前述の区域内に伸長している1またはそれを超えるカナルをさらに含む。いくつかの実施形態では、1またはそれを超えるカナルは、流れ方向に沿って整列されている。いくつかの実施形態では、前述の直径、前述の間隔、前述の区域、前述の形体、またはその組み合わせを、前述の細胞または細胞核のタイプに基づいて選択する。いくつかの実施形態では、前述の細胞は白血球である。いくつかの実施形態では、前述の細胞は哺乳動物細胞である。いくつかの実施形態では、前述の細胞はT細胞である。いくつかの実施形態では、前述の核は、植物細胞核(または別の生物由来の細胞核)である。いくつかの実施形態では、前述の形体が入口近傍で狭いことによって、前述の形体はシングルセルからゲノムDNAの断片を抽出可能である。いくつかの実施形態では、前述の形体は、複数の細胞または細胞核からゲノムDNAの断片を抽出可能である。いくつかの実施形態では、デバイスは、細胞または核に結合する薬剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、薬剤は、抗体、その抗原結合断片、またはアプタマーである。いくつかの実施形態では、デバイスは、マイクロ流体チャネルに対して垂直方向に二次チャネルをさらに含む。あるいは、第1のチャネルと交差している二次チャネルは、任意の角度であり得る。いくつかの実施形態では、二次チャネルは、細胞が薬剤に結合した後に細胞を溶解することを可能にする。いくつかの実施形態では、マイクロピラーは、ポリジメチルシロキサンを含む。
【0018】
いくつかの態様では、これらのデバイスの任意の実施形態を含むシステムは、入口への接続に適した流体制御モジュールをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、流体制御モジュールは、ピペットまたはシリンジを含む。いくつかの実施形態では、流体制御モジュールは、加圧空気源(例えば、圧縮空気)、制御圧力源、制御空気圧源、圧力駆動ポンプ、シリンジポンプ、真空ポンプ、または蠕動ポンプを含む。いくつかの実施形態では、システムは、出口への接続に適した1またはそれを超える収集リザーバをさらに含む。いくつかの実施形態では、1またはそれを超える収集リザーバは、試料収集リザーバおよび廃棄物収集リザーバを含む。いくつかの実施形態では、システムは、マイクロ流体チャネル内のDNAを電気泳動により駆動するための制御電圧源をさらに含む。いくつかの実施形態では、システムは、複数のマイクロ流体チャネル内に複数のマイクロピラーのアレイを含む。いくつかの実施形態では、アレイは、デバイス中でスタガード形体である。いくつかの実施形態では、アレイは、マルチウェルプレート形体と位置合わせされている秩序形体である。いくつかの実施形態では、前述のマルチウェルプレートは、6ウェル、12ウェル、24ウェル、48ウェル、96ウェル、384ウェルプレート、1536ウェル、または他の類似の形式である。いくつかの実施形態では、流体制御モジュールは、細胞、溶解緩衝液、1またはそれを超える酵素を含む消化緩衝液、および洗浄緩衝液をマイクロ流体チャネル中に送達可能である。いくつかの実施形態では、システムは、前述の消化緩衝液をさらに含み、ここで、1またはそれを超える酵素は、1またはそれを超える制限酵素を含む。いくつかの実施形態では、システムは、前述の消化緩衝液をさらに含み、ここで、1またはそれを超える酵素は、1またはそれを超えるヌクレアーゼ(エンドヌクレアーゼなど)を含む。
【0020】
いくつかの態様では、細胞または細胞核から所望のサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を抽出するためのパラメーターを選択する方法は、少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、本開示のシステムによって、前述の1またはそれを超える酵素の各々の濃度;前述の1またはそれを超える酵素の数;前述の消化緩衝液の緩衝液組成;消化時間;および消化温度を含むパラメーターを使用して、少なくとも1回処理する工程;収集された試料の断片サイズのメトリックを決定する工程;ならびに、前述の断片サイズのメトリックに基づいて、前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックに対応する場合、使用される前述のパラメーターを選択する工程;前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより小さい場合、前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより小さくなくなるまで、前述の濃度を低下させるか、前述の数を減少させるか、前述の消化時間を減少させるか、酵素の効率を低下させるために前述の消化温度を変化させるか、酵素の効率を低下させるために前述の緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程;および前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより大きい場合、前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより大きくなくなるまで、前述の濃度を増加させるか、前述の数を増加させるか、前述の消化時間を増加させるか、酵素の効率を増大させるために前述の消化温度を変化させるか、酵素の効率を増大させるために前述の緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前述の断片サイズのメトリックは、断片サイズの平均または断片サイズの中央値である。いくつかの実施形態では、前述の処理する工程は、試料をデバイス中にロードすることおよび洗浄緩衝液を使用してデバイス中で少なくとも1つの細胞または細胞核を洗浄することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、1またはそれを超える酵素を失活させる工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前述の失活は熱失活を含む。
【0022】
いくつかの態様では、細胞または細胞核から選択されたサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を単離する方法は、少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、本明細書中に記載の方法によって選択されたパラメーターを使用して、本開示のシステムによって処理する工程;および前述の処理によって単離されたゲノムDNAの断片を収集する工程を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、方法は、収集された断片を回収する工程をさらに含む。いくつかの実施形態では、前述の回収する工程は、手作業のピペッティングによるか、管材料を通じて収集リザーバから断片を取り出すことを含む。いくつかの実施形態では、前述の回収する工程は、収集リザーバに取り付けられた電気泳動チャネル介して収集リザーバから断片を取り出すことを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】ゲノム分析のための試料調製のための開示のシステムの例示的な実施形態を利用した場合のワークフローの概要。ここでは、4つの重要な工程で、細胞試料調製のための開示のプラットフォームテクノロジーを利用した場合のワークフローの全容を概説する。これらを、一般に、(1)少なくとも1つの細胞を含む生物試料(例えば、全血または細胞試料溶液)を得ること、(2)前述の試料を本開示のデバイスにロードすること(次いで、流体制御およびユーザーインターフェースを担うプラットフォーム機器にロードするであろう)、(3)プラットフォームから処理後/調整済み試料を取り出し、次いで、試料を分析すること、および(4)データを分析し、工程3から結論を導くこととして記載することができる。
【0025】
【
図2】
図2A~D。細胞gDNA抽出から収集したgDNAサイズ断片の記載の調整方法のために使用されるマイクロピラーアレイテクノロジーの例示的なワークフローの概要。ここでは、マイクロピラーアレイテクノロジーによって実施した4工程のゲノムDNA(gDNA)抽出プロセスは、(A)試料内の細胞を固定すること、(B)溶解緩衝液(表面活性物質または高塩緩衝液など)で細胞を化学的に溶解すること、(C)gDNAを隣接ピラー内に物理的に絡め取られるようにし、次いで、マイクロピラーアレイに絡め取られたままでgDNAを処理し、そして/またはイメージングのためにgDNAを蛍光染色すること、および、最後に、(D)ピラーアレイから放出させるために、gDNAをより小さな断片に切断することから開始する。
【0026】
【
図3】マイクロピラーアレイテクノロジーを使用して抽出されたゲノムDNAの顕微鏡写真。ゲノムDNAは、蛍光挿入色素で染色されており、蛍光顕微鏡法によって可視化される予定である。
図3は、ピラー間の間隔の「段階的」グラジエントが出口に向かう方向にピラー数が密に増加する(マイクロピラー間隔の減少)ように変化した六方格子(スタガード配向)を含むデバイスを示す。
【0027】
【
図4】標的細胞の捕捉およびその後のgDNA抽出のワークフローのイラストレーション。非標的細胞(赤色)は、大きい方の構造アレイに妨害されることなく流れることがき、標的細胞(紫色)とともに溶解されない。次いで、大きい方のピラー(交差点にある)の表面上に、その表面結合特性に起因して停止するようになる標的細胞を、垂直方向に溶解して、
図2および
図3に記載のgDNA抽出に供することができる。垂直方向にある二次チャネルを例として示しているが、第1のチャネルと交差している二次チャネルは、第1のチャネルに対して任意の角度であり得る。
【0028】
【
図5】
図5A~C。例示的なシングルセルワークフローのイラストレーション。ここに示す一般的な工程は、
図2中の工程と同一であるが、主な相違点はチャネル構造である。隙間のない壁構造がマイクロピラーアレイを取り囲んでおり、一方で、アレイの先端部のシングルセル専用サイズの開口部はシングルセルのみを各々のマイクロピラーアレイ領域中にロードするのが可能であり、一方で、さらなる細胞は、必要とされる用途に応じて、側面の「溝状の」チャネルを介してさらなる下流のピラーアレイ中に漏斗状にロードされるか破棄される。右側の2つのパネルは、マイクロピラーアレイの先端部にロードされたヒト癌シングルセル、ならびに溶解および染色後に画像化されたシングルセルのgDNAを示す顕微鏡写真である。
【0029】
【
図6】マイクロ流体チップのアレイ部分内のマイクロピラーの種々のピラーの直径。(寸法をミクロンで示す)。ここでは、約4μmから約6.4μmまでの範囲のピラー直径サイズの4つの別々の例を示す。
【0030】
【
図7】マイクロ流体チップのピラーアレイ部分内の種々のピラー間の間隔。(寸法をミクロンで示す)。ここでは、2.8μm~105μmのピラー間の間隔を示す。これらを、特定の適用のための細胞サイズに応じて、必要に応じて自由に調整することができる。
【0031】
【
図8】マイクロ流体チップ内の種々のマイクロピラー領域のサイズ。(測定値をミクロンで示す)。マイクロピラーアレイ領域の長さおよび幅を、シングルセルの適用から試料あたり数十万個の細胞を必要とする適用までの範囲の種々の細胞投入サイズが受け入れられるように変動させることができる。
【0032】
【
図9】種々のチップ形体、マイクロチャネルの分布、およびマイクロ流体チャネルの全体レイアウト。各々のチャネルの配向およびサイズは自由に調整可能であり、別個のチャネルを、同一のシリコンウェーハマスター上の他のチャネルとは別に作製することができる。
【0033】
【
図10】96ウェル「マイクロプレート」形体およびマイクロ流体チャネルのレイアウト。投入ポートおよび排出ポートが96ウェルマイクロプレート中の別個のウェルの間隔と一致するようにチャネルの間隔を開けると、マイクロプレートあたり合計48のチャネルを有する形体が可能である。これにより、開示のマイクロピラーテクノロジーの機能性を保持しながら、標準化されたマイクロプレート/96ウェル形式で開示のテクノロジーを操作可能である。48チャネルの各々は、単一のマイクロピラーアレイチャネルまたはセットを含むと考えられ、次いで、48チャネルの全てを同時に制御することができるか、あるいは各々のチャネルに個別に対処することができる流体系で操作することができる。操作の自由度および柔軟性は、適用に依存し得る。
【0034】
【
図11】入口に管材料を装着した典型的なマイクロ流体チップデバイスの写真。
【0035】
【
図12】圧力駆動フローシステムの概要図。加圧空気源は、管材料を通じてデバイスに接続され、チップを通じて溶液を収集用の排出ポートに押し出す。
【0036】
【
図13】流体を導入してマイクロ流体チップから回収するための流体制御システムの概要図。
【0037】
【
図14】異なるタイプのポンプおよび弁の形体を使用することができることを示す、交互配置の流体制御を用いた流体制御の概要図。
【0038】
【
図15】流体を駆動するための従来のポンプと組み合わせた、DNAまたはRNAなどの荷電分子を駆動するために電位を印加する流体制御システムの概要図。
【0039】
【
図16】異なる流体排出成分を異なる収集体積に向けることができる流体制御システムの概要図。
【0040】
【
図17】選択されたサイズのDNA断片を得るための方法を示すフローチャート。開示の方法を使用して、DNA断片サイズを、開示のデバイスに対して条件を変化させることによって調整することができる。
【0041】
【
図18】Femto Pulseシステムを使用したパルスフィールドキャピラリー電気泳動分析により、開示のテクノロジーを使用して哺乳動物細胞から生成した断片化gDNAのサイズ分布が明らかとなる。この試料で使用した特定の条件で得られたサイズ範囲は狭く、主ピークは8kbである。
【0042】
【
図19】Femto Pulseシステムを使用したパルスフィールドキャピラリー電気泳動分析により、開示のテクノロジーを使用して哺乳動物細胞から生成した断片化gDNAのサイズ分布が明らかとなる。この試料で使用した特定の条件で得られたサイズ範囲は狭く、主ピークは10kbである。
【0043】
【
図20】Femto Pulseシステムを使用したパルスフィールドキャピラリー電気泳動分析により、開示のテクノロジーを使用して哺乳動物細胞から生成した断片化gDNAのサイズ分布が明らかとなる。この試料で使用した特定の条件で得られたサイズ範囲は狭く、主ピークは14kbである。
【0044】
【
図21】Femto Pulseシステムを使用したパルスフィールドキャピラリー電気泳動分析により、開示のテクノロジーを使用して哺乳動物細胞から生成した断片化gDNAのサイズ分布が明らかとなる。この試料で使用した特定の条件で得られたサイズ範囲は狭く、主ピークは25kbである。
【0045】
【
図22】Femto Pulseシステムを使用したパルスフィールドキャピラリー電気泳動分析により、開示のテクノロジーを使用して哺乳動物細胞から生成した断片化gDNAのサイズ分布が明らかとなる。この試料で使用した特定の条件で得られたサイズ範囲は広く、主ピークは200kbである。
【0046】
【
図23】
図23A~B。マイクロピラーアレイ領域中への細胞のさらなる/より深いローディングを容易にするための一体型の「カナル」構造。(A)流れ方向にカナルをさらに下って進行するほど間隔が密集するようになるようにマイクロピラーがカラム中に等間隔で配置されている、通常のマイクロピラーアレイ領域を示す。このシナリオでは、ロードされた細胞は、ピラーアレイ中の類似の領域内に局在する可能性があり、それ故に、流れがせき止められるか目詰まりし得る。(B)では、最後の細胞ローディングが広がるようにするためにピラーアレイの最初の部分を直通できるようにカナルをピラーアレイ領域中に構築する。これにより、抽出されたgDNAがより濃い「ロープ状」に束ねられることを防止することによって細胞溶解と最終的なDNA処理の両方が容易になる。
【0047】
【
図24】マイクロ流体デバイス中のスタガードマイクロピラーアレイ領域。この画像は、デバイス内のマイクロピラーアレイの可能なかかる形体の1つを示しており、ここで、細胞が全て小さな区域内に拘束されて局在化するようになるよりもむしろ、細胞をロードするが細胞がより大きな区域に広がるように改善するために複数のピラーアレイが交互に配列されている。
【0048】
【
図25】
図25A~B。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)このデバイスデザインについては合計で8つのチャネルのうちの2つの並列したマイクロ流体チャネルを切り取り画像として示しており、流れ方向は上下である。(B)は、本明細書中で「正方」格子と命名された配置でマイクロピラーが配置されていることを示し、それにより、ピラーは、相互に指定の距離で離れた明確な横列および縦列を有するような方法で配置されている。したがって、正方格子構成の種々の間隔のピラーの「滑らかな」グラジエントが、マイクロピラーアレイ領域を規定する。マイクロピラーチャネルは相互に同一であり、8つのチャネルが並行しているのは、1つの巨大なチャネルを作製することの代替としての機能を果たすことも意味する。
【0049】
【
図26】
図26A~C。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)
図25と同様に、このデバイスデザインについては合計で8つのチャネルのうちの2つの並列したマイクロ流体チャネルを切り取り画像として示しており、流れ方向は上下である。(B)および(C)は、正方格子マイクロピラーアレイが異なる間隔を有することを示しており、この間隔は意図的にデザインされているので、任意の他の所望の間隔または寸法に変更可能であり得る。
図25と異なり、このデバイスは、チャネル中で「滑らかな」グラジエントであるよりもむしろ「段階的な」グラジエントであり、間隔の移行がマイクロピラーアレイの上部から下部への滑らかなものであるよりもむしろ、間隔がある周期に均一に保持された後に間隔が次の周期に変化する。また、マイクロピラーチャネルは相互に同一であり、8つのチャネルが並行しているのは、1つの巨大なチャネルを作製することの代替としての機能を果たすことも意味する。
【0050】
【
図27】
図27A~C。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)
図25および
図26と同様に、このデバイスデザインについては合計で8つのチャネルのうちの2つの並列したマイクロ流体チャネルを切り取り画像として示しており、流れ方向は上下である。(B)および(C)は、「六方」格子のマイクロピラーアレイが異なる間隔を有することを示しており、この間隔は意図的にデザインされているので、任意の他の所望の間隔または寸法に変更可能であり得る。
図25および
図26と同様に、ピラー間隔のグラジエントは、滑らかまたは段階的のいずれかであり得る。さらに同様に、2つのマイクロピラーチャネルは、合計8つの並行チャネルのうちの他の6つと比較して相互に同一であり、1つの巨大なチャネルを作製することの代替としての機能も果たす。
【0051】
【
図28】
図28A~F。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)流れ方向は上下であり、8つ全ての並行マイクロ流体チャネルをズームアウトで示す。(B)また、パネル(A)から2つのチャネルをズームインしている。(C)は、このデザインが正方格子のみまたは六方格子のみのマイクロピラーアレイよりも試料(細胞または核)のローディングを改善するかどうかを判定するために、チャネル内で、このデザインが、正方格子領域と六方格子領域とが混交していることを示す。(D)、(E)、および(F)は、交互に並ぶ正方格子領域と六方格子領域が間近に見えるようなさらに一層ズームインした切り取り画像を示す。
【0052】
【
図29】
図29A~B。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)流れ方向は上下であり、8つ全ての並行マイクロ流体チャネルをズームアウトで示す。(B)このデザインは、マイクロピラーアレイ領域全体を切り詰める/短くすることを目的としており、マイクロピラーアレイが本明細書中に示した他のデザイン(例えば、
図25または
図26)の長さより短く、チャネル(幅、高さ)またはマイクロピラー(高さ、直径、形状、間隔など)の任意の他の寸法を必要に応じて自由に調整することができる方法と同様に、全体の長さを任意に望ましく調整することができる。マイクロピラーアレイ領域の下流のより大きく広がったピラー(出口近傍;パネル(B)の下半分)は、単純に構造を保つために存在する支持ピラーであるが、しかしながら、必要に応じて他のフィーチャデザインに変更することもできる。
【0053】
【
図30】
図30A~D。例示的なマイクロ流体デバイス。(A)流れ方向は上下であり、8つ全ての並行マイクロ流体チャネルをズームアウトで示す。(B)このデザインは、支持構造中にある距離で分離されたマイクロピラーアレイ領域を反復することを目的としており、ここで、マイクロピラーアレイは、正方格子、六方格子、またはその組み合わせのいずれかが可能であり、滑らかまたは段階的な間隔の任意のグラジエントが可能であり、反復マイクロピラー領域は、同一であることが可能であるが、完全に異なることも可能である。(C)マイクロピラーと空白/支持構造領域が交互に存在する単一チャネルのズームイン。(D)空白/支持構造領域で分離された2つのマイクロピラーアレイ領域のさらにズームインして拡大された例。このデザインでは、本明細書中に示した全てのマイクロ流体チャネルの全ての他のデザインと同様に、支持構造は、間隔、サイズ、形状、および周期性を変動させることができる。
【0054】
【
図31】
図31A~C。(A)流れ方向は上下であり、8つ全ての並行マイクロ流体チャネルをズームアウトで示す。この図では、
図30にあるように、マイクロピラーアレイの反復領域をデザインしているが、ここでは、マイクロピラーアレイ領域が2つよりもむしろ3つ存在する。また、各々のマイクロピラーアレイ領域は、空白/支持構造領域の間隔によって分離されている。(B)および(C)は、異なる領域をより良好に示すためのCAD描画のさらなるズームインしたスクリーンショットである。(B)中の3つのマイクロピラー領域のための間隔が同一であることまたは異なることが可能である(例えば、マイクロピラー密度の増加/ピラー間の距離の減少、または任意の他の所望の変動もしくは代替の間隔)に留意することが重要である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
詳細な説明
本開示は、調整可能なサイズ選択を用いて細胞試料からゲノムDNAを抽出するためのシステム、方法、およびデバイスに関する。以下の特許および刊行物の各々は、その全体が本明細書中で参考として援用される:米国特許第10,947,528号,Craighead et al.Microfluidic device for extracting,isolating,and analyzing DNA from cells;米国特許第9,926,552号,Craighead et al.Microfluidic device for extracting,isolating,and analyzing DNA from cells;米国特許第9,856,513号,Cerf et al.Methods and arrays for controlled manipulation of DNA and chromatin fragments for genetic and epigenetic analysis;Benitez,J.J.,Topolancik,J.,Tian,H.C.,Wallin,C.B.,Latulippe,D.R.,Szeto,K.,Murphy,P.J.,Cipriany,B.R.,Levy,S.L.,Soloway,P.D.,et al.(2012).Microfluidic extraction,stretching and analysis of human chromosomal DNA from single cells.Lab on a Chip 72,4848;Tian,H.C.,Benitez,J.J.,and Craighead,H.G.(2018).Single cell on-chip whole genome amplification via micropillar arrays for reduced amplification bias.PLOS ONE 13,e0191520;Reinholt,S.&Craighead,H.G.(2018)Microfluidic Device for Aptamer-Based Cancer Cell Capture and Genetic Mutation Detection.Anal Chem.90 2601-2608.doi:10.1021/acs.analchem.7b04120;およびH.W.Hou et al.Microfluidic Devices for Blood Fractionation.Micromachines 2011,2(3),319-343;https://doi.org/10.3390/mi2030319。
【0056】
定義
冠詞「a」および「an」を、本明細書中で、冠詞の文法上の目的語が1つまたは1つを超えること(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用する。例として、「an element」は、1つの要素または1つを超える要素を意味する。
【0057】
特記していないか、文脈から明らかでない限り、本明細書中で使用される場合、用語「約」は、当該分野における通常の許容範囲内であると理解される(例えば、平均の2標準偏差以内)。約は、記載の値の50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%以内と理解され得る。そうでないことが文脈から明らかでない限り、本明細書中に提供した全ての数値は、約という用語で修飾される。
【0058】
本明細書中に提供された全ての数値範囲は、範囲内の全ての小数値および分数値の省略表現であると理解される。例えば、1~50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50からなる群由来の任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲、ならびに前述の整数の間の全ての介在する小数値(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、および1.9など)および前述の整数の間の全ての介在する分数値(例えば、1/2、1/3、1/4、1/5、1/6、1/8、および1/9など)、および前述の値の全ての倍数を含むと理解される。部分範囲に関して、前述の範囲のいずれかの端点からの「入れ子になった部分範囲」が具体的に意図される。例えば、1~50の例示的範囲の入れ子になった部分範囲は、一方の方向での1~10、1~20、1~30、および1~40、または他方の方向での50~40、50~30、50~20、および50~10を含み得る。
【0059】
本明細書中で使用される場合、用語「試料」は、より複雑な混合物の成分として単離または検出されたか、前駆体種から合成された任意の流体、溶液、または混合物を包含すると理解されるであろう。用語「試料」は、任意の生物学的に誘導された試料または生物試料(血液、血漿、血清、リンパ、唾液、涙、脳脊髄液、尿、汗、植物または食用植物の抽出物、精液、in vitro細胞培養物、組織ホモジネート(例えば、動物組織ホモジネート、植物組織ホモジネートなど)、解離した細胞または細胞核を含む溶液、および腹水が挙げられるが、これらに限定されない)を包含する。試料は、ネイティブであってもなくてもよい。例えば、試料は、無細胞種(例えば、破壊された細胞、核)を含み得る。さらに、試料は、固定されているか、他の方法で処理されていてよい。いくつかの実施形態では、試料または生物試料は、少なくとも1つの細胞、少なくとも1つの細胞核、および/またはgDNAの少なくとも一部(部分的に単離されているか、完全に単離されている)を含む。
【0060】
本開示のデバイスは、サイズが変動し得る。gDNAまたはその断片の単離テクノロジーは、デバイスのサイズに制限されない。したがって、本明細書中に提供した寸法は、実用のみを目的とし、デバイスの寸法は、表示より大きいまたは小さい寸法が可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、デバイスの長さまたは幅は、約450ミリメートルまたはそれ未満であり得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、デバイスの高さまたはデバイス内の内部チャネルの高さは、1μm~200μmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、前述の高さは、少なくとも約1、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200μmであり得る。いくつかの実施形態では、前述の高さは、15μm~35μmの範囲であり得る。
【0063】
本発明は、細胞を含む試料からゲノムDNA(gDNA)を抽出および単離する方法に基づく。
図1は、開示のシステムの例示的なワークフローを示す。
【0064】
図2に示すように、例示的な方法は、1またはそれを超えるマイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイス中への試料(例えば、全血、または細胞懸濁液)の導入から開始する。これを、ピペッティングまたはシリンジポンプ、蠕動ポンプなどを利用する任意の他の手段、または流体を制御可能に駆動する他の手段によって手作業で行うことができる。
【0065】
試料をマイクロ流体チャネル中に導入するとき、流体に印加した軽度の圧力により、細胞溶液がチャネルを介して排出リザーバへ押し出される。この過程中に、細胞溶液が、マイクロピラーのアレイを含むチャネル領域を通過し、チャネル中の流体の流れを変化させる。
【0066】
これらのマイクロピラーは、任意の形状または形を有することができる。例えば、マイクロピラーのヘッドおよび/またはマイクロピラーの先端部は、円形(それにより、円筒状のマイクロピラーを形成する)、楕円形、正方形、三角形、矩形、十字形、六角形、菱形、多角形、ドーム型(三次元)、ピラミッド形、またはこれらの任意の組み合わせ(複数可)の形状を含むことができる。
【0067】
マイクロピラーを、目的の標的細胞のサイズに応じて変動可能な間隔の寸法で配置することができる。ほとんどの動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)の直径は、10μmから100μmの間である。HeLa細胞は、培養条件に応じて、通常、直径10~40μmである。赤血球(最小のヒト細胞の1つ)の直径は、約8μm未満である。一方で、筋繊維細胞およびニューロンは、極度に長い場合がある。哺乳動物細胞核(例えば、ヒト細胞核)の直径は、約10μmであり得る。植物細胞は動物細胞よりも大きい傾向があるが、直径は依然として10μm~100μmであり得る。真菌細胞の直径は、2μm~10μmの間であり得る。原生生物の直径または長さは、1μm~3ミリメートルの間であり得る。出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの直径は、約4μmである。球菌の平均直径は、0.5μm~2.0μmである。桿菌または糸状性細菌の場合、長さは1μm~10μmであり、直径は0.25μm~1μmである。細胞のサイズおよび核のサイズは、当該分野で周知である。細胞または細胞核は、任意の生物(動物(マウス、イヌ、猫、ヒト、ウシなど)、真菌、原生生物、細菌、または植物が挙げられる)に由来し得る。
【0068】
プロセス中の次の工程は、緩衝液から任意の望ましくない物質を除去するように作用し、チャネル中に詰まり得る任意のばらばらの粒子の洗い流しに役立つ好適な緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)を用いた短時間の洗浄工程を行うことである。次に、捉えられた細胞のゲノムDNA(gDNA)を、デバイス中またはデバイスを通じて溶解緩衝液を流すことによって放出させる。細胞溶解の際に、ゲノムDNAが核から放出され、相対的に長いgDNA分子が捕らえられるようになってマイクロピラー状に保持され、一方で、全ての他の細胞成分が排出リザーバへ流され、それにより、全ての他の細胞成分からgDNAが単離される。次いで、チャネルから溶解緩衝液を除去するための別の洗浄工程を行う。これを
図3に示す。
【0069】
細胞がアレイを横切るときに、標的細胞は、ピラー間隔の拘束に起因してアレイ中に捉えられるようになり、一方で、制限ピラー間隔よりも小さいサイズの溶液中の全ての粒子は、排出リザーバに向かって制限なく通過するであろう。例えば、全血試料では、白血球などのより大きい方の細胞は、制限マイクロピラー間隔に起因してマイクロピラー間に捉えられるようになると考えられ、一方、小さい方の細胞(例えば、赤血球、血小板、細菌)および他の無細胞物質(例えば、ウイルス粒子、タンパク質、脂質、RNA)は、制限なくマイクロピラーアレイを通過して排出リザーバに到達する。
【0070】
あるいは、親和性選択アプローチを採用する場合、1つの抗体または複数の抗体(またはアプタマーなどの特異的な親和性を付与する他の分子)を用いてチャネルを機能化するようにチャネルを前処理することができ、異なる表面マーカーを発現する類似のサイズの細胞から選択することができるように、ピラー間隔による制限を緩和する(例えば、細胞を捉えるのに必要とされるよりも大きくする)ことができる。このアプローチを使用して、ある特定のマーカーまたはマーカーセットを発現する細胞のみがピラーアレイ中に捉えられ、一方で、他の細胞はアレイを通過するであろう。また、サイズ選択と親和性選択の組み合わせを使用することができる。かかる組み合わせは、任意の配列または形体であり得る。いくつかの実施形態では、親和性捕捉のためのマイクロピラーのアレイを、サイズ選択のためのマイクロピラーのアレイと比較して、入口のより近くか遠くに配置することができる。他の実施形態では、親和性捕捉のためのマイクロピラーとサイズ選択のためのマイクロピラーとの混合物を、チャネル中の同一の区域内に配置することができる。さらなる他の実施形態では、マイクロピラー(例えば、親和性捕捉用対サイズ選択用)の異なるアレイを、異なるチャネル中に配置することができる(例えば、以下の直交チャネルまたは分岐チャネル、例えば、
図4を参照のこと)。
【0071】
このチャネル表面機能化ストラテジーを利用して、混合された生物学的成分の試料内から目的の細胞を捕捉することができる。
図4に示されるように、適用例としては、直交した2つのマイクロ流体チャネルの交点にあるより大きな構造でのチャネル機能化を利用することであろう。
図4中の例として直交した二次チャネルを示しているが、第1のチャネルと交差している二次チャネルは、第1のチャネルに対して任意の角度であり得る。より大きな構造を、抗体、DNA/RNAアプタマー、または特定の細胞型を選択的に標的にして拘束する能力を付与する一方で、全ての他の細胞が妨害されることなく通過することを可能にする任意の他の分子で機能化することができる。次いで、捕捉された標的細胞を、直交するチャネル中のピラーアレイ領域に向かって溶解することができる。これにより、目的の細胞由来のDNAを選択的に捕捉および抽出し、次いで、標的細胞の遺伝子材料を収集および分析することが可能であり、一方で、他の細胞またはデブリをこの回収物から分離することができる。
【0072】
gDNAを回収するために、以下のシステムでは、絡み合ったDNAを、二本鎖DNAを切断する酵素を使用することによってより小さな断片に切断する。DNAのより小さな断片は、ピラーからより容易に抜け出し、排出リザーバに向かって流れる。次いで、gDNAを、下流処理のためにデバイスから取り出すか、デバイスの第2段階での酵素の熱失活、緩衝液の交換、試料の濃縮、または配列決定プラットフォームのためのライブラリー調製などのさらなる処理に供することができる。gDNAは、その後の増幅、遺伝子の同定、または配列決定などの任意の分析プロセスに適合する。本開示は、絡み合ったDNAをより小さな断片に切断するための種々の手段(例えば、エンドヌクレアーゼ消化(例えば、制限酵素)、超音波処理、高輝度の光、流動条件の変更、当該分野で公知のgDNAをより小さな断片に切断する任意の他の方法、またはこれらの任意の組み合わせを包含する(さらなる考察については以下を参照のこと)。
【0073】
デバイスの拡張性を、マイクロピラーアレイテクノロジーの機能性および性能を保持しながらシングルセルの処理に落とし込むことができる。
図5は、シングルセルのワークフローを示し、これは
図2に記載のマルチセルワークフローと非常に類似している。ここでは、マイクロピラーアレイ領域を取り囲む一体型の壁により、マイクロピラーアレイの先端部でシングルセルのみを捕捉可能である。細胞が捕らえられた時点で、さらなる細胞のマイクロピラーアレイへのアクセスが妨げられ、チャネルに入ってくる任意のさらなる細胞が「溝状の」分岐チャネルを介して下流の廃棄物チャネルに再度仕向けられるか、さらなるシングルセルチャネルに接続される。細胞溶解の際に、シングルセルgDNAのみが各々のマイクロピラーアレイ中に収集され、DNAが切断されて収集された時点でシングルセルをさらに分析することを可能にする。
【0074】
図2から
図5は、リソグラフプロセスによってPDMS中に作製されたピラーのアレイからなるマイクロ流体デバイスを示す。PDMS構造は、ガラスプレートで蓋がされており、それにより、選択された細胞を捕捉し、その後に選択された断片の長さのDNAを捕捉および選択するためのミクロ構造が組み込まれた流体チャネルを形成する。マイクロピラーアレイを、必要に応じて全ての寸法で構成することができ、これを、小さな試料または大きな試料に特異的に合わせることができる。
図6から
図11は、種々のデバイスのデザインを示す。
【0075】
マイクロ流体システムの機能性を、広範なチャネルの形体および寸法で保持することができる。マイクロチャネル内で、このコンフィギュアビリティとしては、細胞の捕捉ならびに細胞溶解中のゲノムDNAの抽出および保持を担うミクロ構造のサイズ、形状、密度、および間隔が挙げられる。チップ全体の寸法について、チャネルの高さ、幅、および長さを変更すると同時に、システムの機能性を保持することができる。これには、チップの全サイズおよび容量の拡大縮小だけでなく、シングルセル処理に好適な形式、大量の細胞の処理に好適な形式、およびマイクロウェルプレート形体内で操作する他の試料の調製および/または分析システムへさらなるレベルで統合することができる96ウェルまたはマイクロウェルプレート形式などの種々の形式へのチップの設定が挙げられる。これらの代替マイクロウェルプレートシステムとしては、他のロボット試料調製プラットフォーム、フローサイトメータープラットフォーム、プレートリーダーなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
本開示は、ここに、選択された細胞から規定のサイズのDNAの断片を調製および収集するためのいくつかのシステム、デバイス、および方法を実証し、意図する。これらにより、配列決定および他の分析のためのDNA調製が改善される。
【0077】
システム
図11に示すように、開示のシステムは、細胞およびDNAを処理するためのマイクロ流体「チップ」デバイスおよび試料をマイクロ流体チップデバイスに送達させ、マイクロ流体チップを通過する異なる試薬の一連の流れを制御するシステムを含む。
【0078】
よく利用されている流体システムの1つは、約10マイクロリットル~約50mLの体積の流体の試料および試薬を入口にピペットで入れる簡便なものである。いくつかの実施形態では、体積は、少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.22、0.24、0.26、0.28、0.3、0.32、0.34、0.36、0.38、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50mL;またはこれらの値の間の任意の範囲であり、流体チップのPDMS部分に組み込まれる。
図6は、入口および排出ポートを装着した典型的なマイクロ流体デバイスの画像を示す。圧縮空気由来の数PSIの空気圧の印加によって流体が駆動されてマイクロ流体チップデバイスを通過する。制御圧力源に接続したチューブをデバイスの入口に挿入することによって、所望量の流体を駆動するのに必要な期間にわたって気圧を印加する。流れが起きた後にチューブを除去して、プロセスに必要な次の液体または試薬を入口中にピペッティングし、その後に別の圧力駆動工程を実施する。
【0079】
本開示は、必要な流体を駆動するために圧力を印加するためのチューブの着脱を必要としない他のシステムを包含する。
図8は、必要とされる工程段階に必要な流体を選出するための選択弁を有する任意のポンプタイプ(加圧空気源(例えば、圧縮空気)、制御圧力源、制御空気圧源、圧力駆動ポンプ、シリンジポンプ、真空ポンプ、または蠕動ポンプなど)によって流体を駆動することができるシステムの略図を示す。流速および流量を、標準的なプロセスによって測定し、制御することができる。
【0080】
方法
サイズ選択されたDNA断片の抽出方法は、特定の断片長のgDNA断片を産生するためにDNA切断酵素のカクテル、印加させる流れ圧力、インキュベーション時間、および時間の特定の組み合わせを使用する工程を含む。
【0081】
任意の試料または溶液(消化緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液、溶解緩衝液などが挙げられるが、これらに限定されない)を、加圧力(例えば、正のpsiまたは流速で測定される)または真空圧(例えば、負のpsiまたは流速で測定される)を使用してマイクロ流体デバイス中にロードすることができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、加圧力または真空圧は、少なくとも約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、もしくは200psi;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。ここでは、加圧力に関するpsiは正のpsiを示し、それに対して、真空圧に関するpsiは負のpsiを示す。
【0083】
いくつかの実施形態では、流速は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499、500、501、502、503、504、505、506、507、508、509、510、511、512、513、514、515、516、517、518、519、520、521、522、523、524、525、526、527、528、529、530、531、532、533、534、535、536、537、538、539、540、541、542、543、544、545、546、547、548、549、550、551、552、553、554、555、556、557、558、559、560、561、562、563、564、565、566、567、568、569、570、571、572、573、574、575、576、577、578、579、580、581、582、583、584、585、586、587、588、589、590、591、592、593、594、595、596、597、598、599、600、601、602、603、604、605、606、607、608、609、610、611、612、613、614、615、616、617、618、619、620、621、622、623、624、625、626、627、628、629、630、631、632、633、634、635、636、637、638、639、640、641、642、643、644、645、646、647、648、649、650、651、652、653、654、655、656、657、658、659、660、661、662、663、664、665、666、667、668、669、670、671、672、673、674、675、676、677、678、679、680、681、682、683、684、685、686、687、688、689、690、691、692、693、694、695、696、697、698、699、700、701、702、703、704、705、706、707、708、709、710、711、712、713、714、715、716、717、718、719、720、721、722、723、724、725、726、727、728、729、730、731、732、733、734、735、736、737、738、739、740、741、742、743、744、745、746、747、748、749、750、751、752、753、754、755、756、757、758、759、760、761、762、763、764、765、766、767、768、769、770、771、772、773、774、775、776、777、778、779、780、781、782、783、784、785、786、787、788、789、790、791、792、793、794、795、796、797、798、799、800、801、802、803、804、805、806、807、808、809、810、811、812、813、814、815、816、817、818、819、820、821、822、823、824、825、826、827、828、829、830、831、832、833、834、835、836、837、838、839、840、841、842、843、844、845、846、847、848、849、850、851、852、853、854、855、856、857、858、859、860、861、862、863、864、865、866、867、868、869、870、871、872、873、874、875、876、877、878、879、880、881、882、883、884、885、886、887、888、889、890、891、892、893、894、895、896、897、898、899、900、901、902、903、904、905、906、907、908、909、910、911、912、913、914、915、916、917、918、919、920、921、922、923、924、925、926、927、928、929、930、931、932、933、934、935、936、937、938、939、940、941、942、943、944、945、946、947、948、949、950、951、952、953、954、955、956、957、958、959、960、961、962、963、964、965、966、967、968、969、970、971、972、973、974、975、976、977、978、979、980、981、982、983、984、985、986、987、988、989、990、991、992、993、994、995、996、997、998、999、または1000μl/分であり得る。いくつかの実施形態では、流速は、0.1μl/分から1000μl/分までの範囲である。いくつかの実施形態では、流速は、約0.1μl/分から約500μl/分までの範囲である。
【0084】
マイクロ流体デバイス中への細胞を含む試料のローディング
少なくとも約10マイクロリットルから約50mLまでの範囲の体積(例えば、少なくとも約0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.22、0.24、0.26、0.28、0.3、0.32、0.34、0.36、0.38、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50mL;またはこれらの値の間の任意の範囲)の懸濁液中に細胞を含む試料(例えば、解離した動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)、全血)を、1またはそれを超えるチャネルを含むマイクロ流体デバイス中にロードする。各々のチャネルは、入口、マイクロピラーのアレイ、排出リザーバ、ならびに試料の加熱、緩衝液の交換、試料の濃縮、およびライブラリーの調製を含むさらなる処理のための第2段階からなる。
【0085】
デバイス上への試料のローディングを、試料体積を保持することができるマイクロ流体チャネルとインターフェイスしている器具中に溶液を手作業でピペッティングするか、加圧空気源(例えば、圧縮空気)、制御圧力源、制御空気圧源、圧力駆動ポンプ、シリンジポンプ、真空ポンプ、もしくは蠕動ポンプ、または類似のデバイスのいずれかによって行う。次いで、細胞を含む試料を、器具への加圧力(0.001~50psi)を使用するか、規定の速度のポンプシステムを介して駆動してチャネルを通過させる。
【0086】
次いで、所望の体積が駆動されてデバイスを通過するまで(1秒間から数時間まで)、試料をデバイス中に流す。この間に、試料は、マイクロピラーのアレイを通過する。ピラーのサイズ、間隔、およびアレイの長さを、ピラーの間に特定の間隔(ある特定の実施形態では、最小で1マイクロメートル)を有する、特定の細胞型に合わせたピラーアレイを作製するようにカスタマイズすることができる。細胞がアレイに遭遇したときに、ピラー間隔より大きい任意の細胞が物理的に捉えられるようになり、アレイおよびチャネルを通過し続けることができないであろう。ピラー間隔より小さい任意の細胞または他の粒子は、排出リザーバに向かってチャネルを制限なく流れることができる。
【0087】
例えば、全血を含む試料の場合、ピラー間隔のグラジエントが100から8マイクロメートルまでの範囲のアレイは、アレイ中の白血球または循環腫瘍細胞を捉える一方で、全血の全ての他の成分(例えば、エリスロサイト、栓球、アルブミン、細菌、ウイルスなど)を、これらのサイズがより小さいので、ピラーを制限なく通過させるであろう。これらのより小さな成分は、チャネルおよび排出リザーバ中のプールに流れ続け、プールにおいて、成分を廃棄物として除去することができるか、さらなるオフデバイス分析のために使用することができる。
【0088】
親和性選択が望ましい場合、チャネルおよびピラーを、特異的抗体(またはアプタマーもしくは任意の親和性を付与するタンパク質、溶液、分子、もしくは核酸)で機能化することができる。例えば、成熟T細胞を全血から単離することを所望する場合、チャネルおよびアレイを、抗CD3(成熟T細胞の特異的マーカー)で機能化するように処置することができ、ピラーを、全ての白血球がピラーを物理的に横切るように規定することができる。したがって、CD3-細胞は通過するであろうし、一方で、CD3+は親和性によって捕捉されるであろう。種々の細胞表面マーカーに結合する抗体は、市販されている。例えば、CD3に結合する抗体を、R&D systems(代表的なカタログ番号MAB100、MAB100R、FAB100Aなど)、Abeam(代表的なカタログ番号abll089、ab5690、ab52959など)、ThermoFisher Scientific(代表的なカタログ番号14-0037-82、16-0037-81、48-0037-42、16-0038-81、13-0037-82など)、およびBioLegend(代表的なカタログ番号317319、317301、344801など)などの販売者から購入することができる。また、標識された抗体(例えば、ビオチン標識抗体)が販売者から入手可能であり、その後に、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロピラーに容易に付着させることができる。最後に、(例えば、抗体またはアプタマーを用いて)機能化したマイクロピラーを含むチャネルを、少なくとも1つの細胞または細胞核を含む溶液に、(約0.001~約50psi;または少なくとも約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50psi;またはこれらの値の間の任意の範囲)の加圧力または規定の流速で、1分間から数時間または数日間まで曝露することができる。いくつかの実施形態では、デバイス中に流れる溶液の総体積は、少なくとも約10μlから約100mlまでの範囲(またはこれらの値の間の範囲)であり得る。いくつかの実施形態では、流れを停止させて、結合を最大にするために、機能化したマイクロピラーと細胞をインキュベートすることが可能であり得る。細胞結合と同様に、捉えた/結合した細胞を、上記表示と同一の圧力、流速、または緩衝液の量を使用して、溶液を洗浄緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水、pH7~7.9)と交換することによって洗浄することができる。
【0089】
捕捉細胞の溶解およびgDNAのトラッピング
ピラー間に捉えられた細胞からgDNAの内容物を放出させるために、細胞の核膜の溶解に好適な溶解緩衝液(例えば、PBS中の1%SDS(pH7~8)、または4Mグアニジウムイソチオシアナート)をデバイスに添加し、加圧力(約0.001~約50psi、例えば、0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50psi)を用いて約0.001~約120分間にわたって細胞上に流した。溶解緩衝液の組成を、溶解の際に未変性のヒストン複合体が保持されるように変更し得る。したがって、回収されたゲノムDNAへのタンパク質の結合量を、溶解緩衝液および/または洗浄緩衝液のタイプ(例えば、より厳しいかより穏やかな変性剤などを含む)によって制御および調整することができる。溶解中に、全ての細胞の内容物が1つの細胞または複数の細胞から放出されるが、ゲノムDNAがマイクロピラー上に絡まって捉えられるようになる一方で、全ての他の内容物(脂質、タンパク質、RNAなど)は、ピラーを通過して排出リザーバに向かって流れ、ここで、前述の他の内容物を、廃棄物としてかさらなる分析のためにデバイスから除去することができる。ピラーは、1つの細胞または複数の細胞中に含まれると予想されるゲノムDNAのほぼ100%を保持する。次いで、リン酸緩衝生理食塩水をデバイスに添加して、約0.001~約50psiの圧力下で約0.1秒間~約120分間にわたって溶解緩衝液を洗い流す。いくつかの実施形態では、圧力は、少なくとも約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50psiである。これらの条件下で、捉えられたgDNAは、ピラー上に数日間保持される。
【0090】
gDNAの調整可能な剪断および放出
マイクロピラーからgDNAを放出させて回収するために、以下の例示的な方法を使用し得る:
1.酵素的切断
2.流動条件の変更
3.超音波処理
4.光による方法(例えば、高輝度の光)
5.噴霧
6.機械的方法/ピラーの融解または崩壊
7.1~5の任意の組み合わせ
当業者は、上記方法に加えて、当該分野で公知のgDNAの任意の切断/剪断方法を、本開示のデバイス、システム、および/または方法と組み合わせることができる。
【0091】
酵素的方法
異なる酵素的プロセスおよび条件を使用して、回収されたgDNA断片のサイズを、所望の下流分析用途のための至適条件を満たすように特定のサイズ範囲に調整することができる。二本鎖DNAをヌクレアーゼ切断することができる任意の酵素を使用してこれを行うことができる。
【0092】
かかる例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:制限酵素(例えば、I型制限酵素(酵素の認識配列から離れたDNAを切断する制限および修飾酵素)、II型制限酵素(平滑末端またはオーバーハング末端のカッター)、III型制限酵素(その認識配列の外側を切断し、切断には同一のDNA分子内に逆向きの2つのかかる配列を必要とする)、IV型制限酵素(修飾された(例えば、メチル化された)DNA)を認識/切断する酵素)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、II型CRISPR-Cas9タンパク質、またはdsDNAを切断する他の市販の酵素(例えば、New England BiolabsのdsDNAフラグメンターゼ(代表的なカタログ番号:M0348S、M0348L))。デバイスから回収されたgDNAのサイズを、以下などのいくつかの条件に基づいて選択的に調整することができる:使用される酵素のタイプおよび数、1つの酵素または複数の酵素の濃度、緩衝液組成、インキュベーション温度、インキュベーション時間、および流動条件(psiおよび特定のpsiでの時間)。
【0093】
制限エンドヌクレアーゼを使用した酵素的方法の概要
特定の断片サイズ範囲内のgDNA断片を回収するために、以下を含む反応混合物を調製する:
〇1またはそれを超えるII型制限酵素および/またはホーミングエンドヌクレアーゼ(最終的に1×10-4~5U/マイクロリットル)
〇緩衝液中に以下を含む:
Tris-HCl(0~500mM)
NaCl(0~500mM)
MgCl2(0~100mM)
酢酸カリウム(0~500mM)
Tris酢酸(0~500mM)
DTT(0~10mM)
【0094】
器具(ピペッティングまたはシリンジポンプによる)によって緩衝液をマイクロ流体チャネルに導入する。デバイスを、制御反応温度(10~70℃)に設定する。0.01~50psiの流れ圧力下で、好ましくは1~60分間、次いで、0.5~50psiで1~30分間反応を進行させる。特に、ある特定の状況では、(酵素インキュベーション中に使用した流速と比較して)DNA放出中の流速がより高いほど、gDNA断片の回収率が高い。いくつかの実施形態では、少なくとも約0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50psiの圧力を使用して、DNA放出中により高い流速(「ブラスト」)を適用し得る。いくつかの実施形態では、少なくとも約0.1μl/分~約1000μl/分の範囲(またはこれらの値の間の任意の範囲)の流速のブラストを適用し得る。いくつかの実施形態では、ブラストを、およそ数分の1秒の持続時間(例えば、ミリ秒範囲)にわたって適用し得る。いくつかの実施形態では、ブラストを、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59秒間の持続時間にわたって適用し得る。いくつかの実施形態では、ブラストを、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30分間の持続時間にわたって適用し得る。好ましい実施形態では、ブラストを、少なくとも約0.1秒~10分間の範囲の持続時間にわたって適用する。
【0095】
一般に、ユーザーは、以下の原理により、回収された断片サイズを調整することを可能にする。変更を別個または様々に組み合わせて、異なる断片サイズを得ることができる。
1.断片サイズが大きい場合
1.総酵素濃度の低下
2.異なる酵素の数の減少
3.酵素の効率を低下させるための緩衝液の交換
4.消化時間の減少
5.消化温度の低下
6.流動条件の変更
2.断片サイズが小さい場合
1.総酵素濃度の増加
2.異なる酵素の数の増加
3.酵素の効率を増加させるための緩衝液の交換
4.消化時間の増加
5.消化温度の上昇
6.流動条件の変更
【0096】
DNA断片化のための他の酵素的および非酵素的アプローチ
また、以下の他の酵素的アプローチを使用して、規定のサイズにgDNAを剪断し、ピラーから放出させ得る。
・II型CRISPR-Cas9
・トランスポザーゼ
・フラグメンターゼ
・細菌トランスポザーゼTn5などのタグメンテーションアプローチ(DNAの断片化に加えて、DNAを変化させたままにするアプローチ(下流の方法で使用されるヌクレオチドまたは他のアダプターを用いた断片化されたDNAの末端のバーコード化など)が挙げられる)
・二本鎖DNAを断片化する市販の酵素
【0097】
酵素的切断の代替法としてDNAを断片化するために、物理的な力を使用することもできる。例えば、液体の流速を増加させると、固定されたgDNAに対して流体力学的な力が生じ、それによりDNAが断片化するであろう。流体の超音波による撹拌(例えば、超音波処理)もDNAを切断することが知られており、固定化されたgDNAを断片にするために適用され得る。紫外光を単独でまたは前述の他のプロセスと組み合わせてデバイスに照射して、gDNAの断片化/放出が可能である。
【0098】
したがって、本開示のデバイス、システム、および/または方法は、(a)gDNAの断片への切断および/または(b)gDNA断片または前述の断片に会合しているタンパク質の修飾を容易にする少なくとも1つの薬剤および/または少なくとも1つの機器をさらに含み得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤は、少なくとも1つの酵素を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの酵素は、DNA切断酵素、DNA修飾酵素(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNA断片を標識することができるターミナルトランスフェラーゼ、増幅のためにDNA断片にPCRプライマーをライゲーションすることができるT4 DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ(例えば、PCR増幅用;例えば、Taqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼなど)、ならびに/またはDNA会合タンパク質(例えば、ヒストン、転写因子など)を修飾する酵素(例えば、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、デメチラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、デアセチラーゼ、キナーゼ、ホスファターゼ、ユビキチンリガーゼ、脱ユビキチン化酵素、O-GlcNAcトランスフェラーゼ(OGT)、O-GlcNAcase(OGA)、E3 SUMOリガーゼ、SUMO特異的プロテアーゼ、プロテアーゼ、Poly-ADPリボースポリメラーゼ、(Adp-リボシル)ヒドロラーゼARH1およびARH3、タンパク質アルギニンデイミナーゼ4(PAD4)、Fpr4(プロリン異性化))を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの機器は、超音波液体処理器(例えば、超音波処理器)を含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの機器は、gDNAを断片化する高輝度の光のための光源を含む。いくつかの実施形態では、高輝度の光のための光源は、UV光、X線、ガンマ線、および/または電離放射線を放射/生成する。好ましい実施形態では、光源はUV光を放射する。
【0102】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの機器は、ネブライザーを含む。噴霧によってDNAが断片化されることが当該分野で認識されている(例えば、Lentz et al.(2005)J Aerosol Sci 36:973-990;Sambrook and Russell(2006)CSH Protoc pdb.prot4536(その各々が、本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。
【0103】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの機器は、gDNAを断片化することができる流体力学的な力を生成する機器(例えば、Point-sink Shearer(PtS)、再循環式ポイントシンクフローシステム、バブリングシステム、および/または例えば、Yew and Davison(1968);Thorstenson et al.(1998)Genome Res 8:848-855;Shui et al.(2013)Rsc Adv 3:13115-13118;Oefner c/ a/.(1996)Nucleic Acids Res 24:3879-3886;Nesterova et al.(2012)Lab Chip 12:1044-1047;Joneja and Huang(2009)Biotechniques 46:553-556;Shui et al.(2011)Nanotechnology 22:494013;Li et al.(2017)Scientific Reports 7:40745(その各々が、本明細書中で参考として援用される)に記載の任意の機器)を含む。
【0104】
光による方法
ある特定の態様では、非酵素的アプローチ/方法を使用して、gDNAを切断し、マイクロピラーから放出させる。かかる方法は、gDNAが捕捉/抽出されるチップカートリッジ(デバイス)の領域上に直接または集中させて方向づけた光(高輝度であり得る)の使用を含み得る。このアプローチでは、1またはそれを超える光源を、座標で定義された角度または一連の角度でチャネルの上部または下部に直接適用する(または領域全体をスキャンする)ことができる。光は、単独または化学物質(DNA結合剤または蛍光色素が挙げられるが、これらに限定されない)と併せて二本鎖分解物を生じる;あるいは、集合的なgDNAの物理的/機械的性質を脆弱にし、次いで、gDNAをマイクロピラーアレイ中の係留ピラーからより容易に放出または開放可能な複数の一本鎖DNA分解物を作出するのに最低限十分に強力な輝度であるべきである。これを、補助として流体の流れの増加もしくはチャネルの内圧の変化による剪断力の増加、または酵素的切断、または記載の任意の他の切断方法と組み合わせることができる。
【0105】
また、光による方法で利用した原理と同一の原理は、ヒトの眼の可視スペクトルを超える波長(X線、紫外線が挙げられる)、または他の波長(放射性波長などであるが、これに限定されない)にまで拡大することができる。
【0106】
超音波処理法
ある特定の態様では、gDNAを切断してマイクロピラーから放出させる非酵素的アプローチは、抽出されたgDNAを剪断し、それにより、gDNAをマイクロピラーから放出することができる超音波処理の使用を含み、超音波処理は、マイクロ流体チャネルを通過する流体の一定または間欠的な流れを用いても用いなくても実施することができる。この用途では、1またはそれを超える超音波処理源を、チャネルに直接埋め込むか、パネルの上方または下方に直接シールし得るか、あるいは、チップ全体を、超音波処理室または超音波処理溶液/超音波処理浴中に収容または配置し得る。超音波処理力を間欠的または一定で適用する場合、gDNAは剪断されるであろう。流体の流れがその後または同時にマイクロ流体チャネルに適用される場合、剪断/超音波処理されたDNAは、抽出/細胞または核の溶解中に最初はgDNAを係留していた物理的/機械的な絡み合う力から開放されると考えられ、したがって、その後に流す/回収する/取り出す/収集することができる。
【0107】
流れを変化させる方法
流速を、ピラーからgDNAまたはgDNA断片を放出させるために使用した力および方法に影響を及ぼすいくつかの方法で操作することができる。例えば、gDNAを切断するために酵素を使用しながら、流速を低下させて酵素のDNAとの相互作用およびプロセスをより頻繁にまたはより速くし、それにより、より多くのDNAを切断することができる。逆に、流速を加速させて酵素-DNA相互作用事象を最小にすることができる。別の用途では、酵素的切断によってDNAとマイクロピラーとの間の物理的/機械的な絡み合う力を弱めた後に、流速を増大させるとDNA分子に対してより高い剪断力を誘導することができ、この速度の増大はマイクロピラー由来のDNAをさらに解すか剪断し、それにより、チャネルを「一掃する/洗い流す」ように作用し、チップカートリッジ(複数可)中に投入された元の細胞試料または核試料から収集されたDNAの回収率/収率の改善/最大化に役立つであろう。
【0108】
機械的方法/融解または崩壊用のピラー
いかなる生化学的/酵素的処理を使用することなくマイクロピラー内で物理的に絡まった抽出gDNAの放出および回収率/収率を向上させるために、いくつかの方法は、機械的に曲げるか(もはやチャネル面に対して垂直ではない)、(チップカートリッジ/マイクロ流体チャネルの1つの壁またはキャップ層中に)機械的に格納するか、マイクロピラーに付着した層の剥離によって機械的に除去されるか、あるいは全体または一部を化学的に溶解して、gDNAを流体の流れの中でマイクロピラーから滑り落とすか流下させ、断片化されなかったか断片化が最小限のものを排出ポート中に収集することができるマイクロピラーの使用を含み得る。マイクロピラーは、常磁性粒子を含む軟質ポリマー(PDMSなど)から構成することが可能であり、次いで、チャネル上部に位置している単一の磁性体を使用して、マイクロピラーを一方向に傾くように操作または動作させることができる。同様に、収集のためにマイクロピラーを溶解することによりgDNAを放出させるために、溶液をチャネルに流し、チャネル内のgDNAに対して不活性であるかダメージが最小限でありながらマイクロピラー材料の一部または全部を溶解することができる。
【0109】
gDNA断片のサイズ
本開示のデバイス、システム、および方法は、インタクトなゲノムDNA(染色体全体が挙げられる)を回収することができる。あるいは、本開示のデバイス、システム、および方法は、種々のサイズのgDNA断片を生成することもできる。例えば、gDNA断片のサイズは、少なくとも約1kb~500kbの間;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、gDNA断片のサイズは、少なくとも約1kb~500kbの間;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、gDNA断片のサイズは、少なくとも約1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、もしくは500kb;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。
【0110】
用語「gDNA断片のサイズ」は、全ての断片が同一のサイズ(例えば、長さ、分子量)を有することを意味しない。むしろ、回収された溶液中のgDNA断片の代表的または平均的なサイズを指す。例えば、いくつかの実施形態では、gDNA断片のサイズが少なくとも約5kbである場合、回収した溶液中のgDNA断片の少なくとも約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の平均サイズが少なくとも約5kbである。
【0111】
いくつかの実施形態では、gDNA断片のサイズは、回収した溶液中のgDNA断片の少なくとも約50%の平均サイズを表す。
【0112】
いくつかの実施形態では、細胞/核溶解後のチャネル内の総ゲノムDNAの少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、または80%が、所望の断片サイズ+/-10kbを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、細胞/核溶解後のチャネル内の総ゲノムDNAの少なくとも約50%が、所望の断片サイズ+/-10kbを含む。
【0114】
デバイスからの試料の回収率
gDNAが剪断反応中に切断されるとき、gDNAは、ピラーから放出され、排出リザーバに向かって流れるであろう。反応完了時に、次いで、gDNAを2つの方法のうちの1つで処理し得る。
【0115】
(1)第1の方法は、手作業のピペッティングによるか、管材料を通じて排出リザーバから剪断されたgDNAを取り出す工程を含み、それにより試料がデバイス外の収集チューブ中にポンピングされる。サイズ選択されたgDNAを含む総排出体積は、少なくとも約0.001、0.002、0.003、0.004、0.005、0.006、0.007、0.008、0.009、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.12、0.14、0.16、0.18、0.2、0.22、0.24、0.26、0.28、0.3、0.32、0.34、0.36、0.38、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、もしくは50mL;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。好ましい実施形態では、サイズ選択されたgDNAを含む総排出体積は、1マイクロリットルから5mLまでの範囲;またはこれらの値の間の任意の範囲であり得る。酵素を使用した場合、試料を、使用した特定の酵素について示した特定の温度にて特定の時間(例:80℃で15分間)インキュベートして、試料中に存在する酵素を失活させる。
【0116】
(2)第2のアプローチは、第2のチャネルの連続段階を含む。剪断反応の完了時に、排出リザーバの下流の弁を開き、電気泳動チャネルに試料を曝露する。
【0117】
酵素的失活後、gDNA試料を、パルスフィールドゲル電気泳動、特定の遺伝子座の増幅および検出、または配列決定などの下流の適用のために準備する。
【0118】
いくつかの実施形態では、任意の試料または緩衝液(例えば、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液)は、回収されたgDNA断片の収率またはインタクトな染色体もしくはgDNAの回収率を最大にするためのブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、または別の荷電剤)および/または潤滑剤(例えば、ポリマー)をさらに含み得る。かかるブロッキング剤および/または潤滑剤は、マイクロピラーまたはチャネル表面へのgDNAの絡みつきを軽減し、物理的牽引によるインタクトなまたは大型のgDNAの剪断を回避し得る。さらなる考察については以下を参照のこと。
【0119】
機械的および電気的なマイクロピラーの摂動(pertubation)
マイクロピラーに対する機械的摂動を、マイクロピラーアレイ内のマイクロピラーのうちの1つまたは複数に対して種々の方法にて、同時に、連続的に、または他の間隔のいずれかで行うことができる。摂動(pertubation)としては、マイクロピラーの機械的傾斜または崩壊、マイクロピラーの機械的または物理的格納、またはマイクロピラーが付着されているチャネルの層/壁の剥離によるマイクロピラー全体の除去を挙げることができる。また、これらのマイクロピラーに粒子を埋め込むことができ、この粒子は、DNAの切断または断片化を必要とせずに抽出されたゲノムDNAを放出できることを目的として、形状または他の機械的もしくは物理的性質を変化させるために機械的または電気的に作用することができる。電気的摂動は、マイクロピラー内の受電構成要素(ワイヤ、金属製のアンカーなど)がマイクロピラー全体の形状を強制的に変化させるか、変化を誘導ための電荷または電場の印加を含むことができる。
【0120】
化学的なマイクロピラーの摂動(pertubation)
化学的摂動は、マイクロ流体チャネル中に流された溶液を介したマイクロピラー構造材料の部分的または完全な溶解または分解を含むことができる。また、化学的摂動は、チャネル内に固定または付着された部分からのマイクロピラーの放出を可能にするような様式で、マイクロピラーの特定の部分にダメージを与えるか分解することを含むことができる。また、この摂動を、チップカートリッジ上/チャネル内の任意の数のマイクロピラーアレイ内のマイクロピラーの特定のサブセットを摂動の標的にすることによって行うことができ、DNA抽出およびその後の摂動のために作製されたマイクロピラー(かかる構造に制限されない)の材料を選択することによって選択することができ、構想的には支持構造、壁、またはチャネル内の他のデザインされた構造に適用することができる。
【0121】
DNAを滑らせるためのマイクロピラーのコーティング
マイクロピラーアレイまたはさらにはチャネル全体内の1またはそれを超えるマイクロピラーに、マイクロピラーアレイ内に抽出されて絡みついたDNAをマイクロピラーから滑り落とし、それ故に、断片化を必要とせずに回収可能にする/収集されると考えられる化学物質または材料でコーティングすることができる。チャネル内のインキュベーション時間だけでなく、分子(PEGもしくはPEOポリマー、またはさらにはBSAもしくは他の生体分子など)を調整することができ、これらは、チャネルもしくはマイクロピラーの総内部表面の被覆率と相関し、そして/またはかかる構造の表面自体のコーティングの厚さと相関するであろう。
【0122】
開示のマイクロ流体チャネルのための他のデバイスの形体のバリエーション
ピラーの形状、ピラーの寸法、およびピラー間の間隔についてバリエーションが存在する基本的なマイクロピラーアレイのレイアウトに加えて、細胞のローディング中の機能性を改善するための三次構造をマイクロピラーアレイ内にデザインすることもできる。例示的なバリエーションを、以下に記載する。
【0123】
マイクロピラーアレイ中の追加のカナル
例えば、「カナル」(
図23および
図24中に示す)を、アレイ中に細胞をさらにロードすることを可能にすると考えられる様式でピラーの一片を除去することによって、マイクロピラーアレイ内に生成することができる。これにより、局所的な領域の周囲に全てが停滞するよりもむしろアレイ領域の至る所に細胞をより広げることが可能であろう。これにより、ピラーアレイ領域内での目詰まりまたは流動障害の可能性が軽減されるだけでなく、これにより、高密度にロードされた細胞を有する局在化領域中でDNAがロープ状に束ねられるのを防止するのにも役立つであろう。同様に、これにより、細胞からのDNA抽出が容易になるだけでなく、酵素消化中の抽出DNAの取り出しおよびオフチップでの収集も容易になる。
【0124】
したがって、本発明者らのマイクロピラーアレイ内にかかるカナル構造を構築すると、細胞ローディングが容易になり、デバイス内の細胞容量を増加でき、局在化された細胞クラスターの目詰まりの防止に役立ち、オンチップでのDNA抽出容量が改善されるであろう。
【0125】
複数のチャネル
ある特定の態様では、本開示のデバイスまたはシステムは、少なくとも1つのチャネルを含み得る。いくつかの実施形態では、本開示のデバイスまたはシステムは、複数のチャネル(例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、またはそれを超えるチャネル)を含み得る。いくつかの実施形態では、かかるチャネルを、水平に配置し得る。いくつかの実施形態では、複数のチャネルを、相互に平行に配置し得る。他の実施形態では、複数のチャネルを、スタガード形体に配置し得る(例えば、
図24)。
【0126】
スタック型デバイス(2またはそれを超えるデバイスを、接着または無接着のいずれかで重ね合わせたもの)
マイクロピラーアレイ領域自体を、細胞ローディング工程中に細胞試料のさらにより良好な広がりを容易にするために、積み重ね様式で戦略的に配置することができる。
【0127】
例えば、本開示のデバイスおよびシステムは、相互の上部に(垂直面に)垂直に積み重ねられた別個のまたは接続/接着されたチャネルまたはチップカートリッジの配置を含み得る。これらの積み重ねられたチップカートリッジまたはチャネルは、マクロスケールおよびマイクロ流体チャネル自体の両方で同一のデザインまたは異なるデザインであり得る。これにより、チャネルの水平方向のフットプリントを拡大することを必要とせずにチャネル体積/マイクロピラー区域をより高度に処理することができる可能性があり、本発明者らは、このことが、gDNAの総回収量の増大もしくは増加、チップカートリッジフットプリント全体の水平方向の広がりの減少、および/または生物(細胞または核)試料の処理中のチップカートリッジのスループットの改善に有用であると予想する。
【0128】
他のバリエーション
他のバリエーションとしては、
図25~
図31に示したバリエーションが挙げられる。また、かかるデザインを、以下の実施例の部に記載する。
【0129】
図29~
図31は、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域を含む。いくつかの実施形態では、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域の長さ(流体の流れの方向で測定)は、チャネルの長さの少なくとも約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%またはそれ未満である。
【0130】
いくつかの実施形態では、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域の長さは、チャネルの長さの少なくとも約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%である。
【0131】
他の実施形態では、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域の長さは、チャネルの長さの約1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%未満である。
【0132】
いくつかの実施形態では、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域の長さは、5μmから450μmまでの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、長さは、20μm~50μmの間である。いくつかの実施形態では、長さは、50ミリメートル未満である。
【0133】
いくつかの実施形態では、より短い/短縮されたマイクロピラーアレイ領域の長さは、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、または450μmであり得る。
【0134】
追加の機器
本開示のデバイス、システム、または方法は、(a)組織をシングルセルに解離すること、(b)マイクロ流体デバイスに侵入する細胞を分析すること、(c)回収されたgDNAもしくはgDNA断片を分析すること、または(d)その任意の組み合わせを行う機器、薬剤、および/または方法をさらに含み得る。
【0135】
いくつかの実施形態では、機器、薬剤、および/または方法は、組織をシングルセルに解離し得る。多数の機器および薬剤は、市販されている。例えば、超音波処理器、ホモジナイザー(例えば、例えば、TissueLyserII(Qiagen)、TissueRuptorII(Qiagen)、ダウンス型ホモジナイザー、ヒーター付きgentleMACS(商標)Octo Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-096-427)、gentleMACS(商標)Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-093-235)、Singulator100(S2 Genomics)が挙げられる)、および/または組織グラインダーを使用して、組織をシングルセルに破壊することができる。さらに、機器および方法としては、WO2021/236666A1号、WO2018/102471A1号、およびWO2019/232504A2号(その各々が、本明細書中で参考として援用される)に記載のものが挙げられる。
【0136】
いくつかの実施形態では、機器、薬剤、および/または方法は、マイクロ流体デバイスに侵入する細胞を分析し得る。例えば、細胞または細胞核を、サイズ、形態学、剛性、細胞の機械的性質、またはある特定の細胞表面マーカーの存在によって選別することができる。したがって、いくつかの実施形態では、本開示のデバイス、システム、または方法は、細胞分画装置、フローサイトメーター、蛍光標識単一細胞分取(FACS)、顕微鏡(光学顕微鏡、蛍光顕微鏡など)、またはこれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、機器、薬剤、および/または方法は、回収されたgDNAまたはgDNA断片を分析し得る。いくつかの実施形態では、回収されたgDNAまたはgDNA断片を、パルスフィールドゲル電気泳動、ハイブリッド形成、マイクロアレイ、増幅、質量分析(例えば、LC-MS)、サザンブロッティング、配列決定、またはこれらの組み合わせによって分析し得る。したがって、本開示のデバイス、システム、または方法は、前述の分析(例えば、ゲル電気泳動、PCR、リアルタイムPCR、質量分析計(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)、シーケンサー(例えば、次世代配列決定、第三世代配列決定)、マイクロアレイ、またはこれらの組み合わせ)を実施することができる機器をさらに含み得る。
【0138】
配列決定
当該分野で公知の種々の配列決定反応のうちのいずれかを使用して、回収されたgDNA断片を直接配列決定することができる。配列決定反応の例としては、Maxam and Gilbert(1977)Proc.Natl.Acad.Set.USA 74:560またはSanger(1977)Proc.Natl.Acad Set.USA 74:5463によって開発された技術に基づいたものが挙げられる。種々の自動化配列決定手順(Naeve(1995)Biotechniques 19:448-53)のうちのいずれかを利用することができることも意図される(質量分析法による配列決定(例えば、PCT国際公開番号WO94/16101号;Cohen et al.(1996)Adv.Chromatogr.36:127-162;およびGriffin et al.(1993)Appl.Biochem.Biotechnol.38:147-159を参照のこと)が挙げられる)。特に、質量分析法(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)を使用して、DNAを配列決定し得る(Chowdhury and Guengerich(2013)Curr Protoc Nucleic Acid Chem 7:Unit-7.1611を参照のこと)。
【0139】
ある特定の実施形態では、gDNA断片の検出を、シーケンシングバイハイブリダイゼーション(SBH)、シーケンシングバイライゲーション(SBL)、定量的漸増蛍光ヌクレオチド付加配列決定(QIFNAS)、パイロシーケンシング、蛍光in situ配列決定(FISSEQ)、FISSEQビーズ(米国特許第7,425,431号)、ゆらぎ配列決定(PCT/US05/27695)、マルチプレックスシーケンシング(2008年2月6日出願の米国特許出願第12/027,039号;Porreca et al.(2007)Nat.Methods 4:931)、重合コロニー(POLONY)配列決定(米国特許第6,432,360号、同第6,485,944号、および同第6,511,803号、ならびにPCT/US05/06425);およびナノグリッドローリングサークル配列決定(ROLONY)(2008年5月14日出願の米国特許出願第12/120,541号)などが挙げられるが、これらに限定されない方法を使用して行うことができる。また、ハイスループット配列決定法(例えば、プラットフォーム(Roche 454、Illumina SolexaまたはMiSeqまたはHiSeq、AB-SOLiD、Helicos、およびPolonatorプラットフォームなど)を使用したサイクリックアレイ配列決定などによる)を利用することができる。ハイスループット配列決定法は、2009年3月24出願の米国特許出願第61/162,913号に記載されている。種々の光ベースの配列決定テクノロジーが当該分野で公知である(Landegren et al.(1998)Genome Res.8:769-76;Kwok(2000)Pharmocogenom.1:95-100;およびShi(2001)Clin.Chem.47:164-172)(例えば、米国特許出願第2013/0274117号、同第2013/0137587号、および同第2011/0039304号を参照のこと)。
【0140】
次世代配列決定(NGS)は、疾患または他の生物学的現象に関連する遺伝的変異を研究するためにDNA配列を決定するためのテクノロジーである。2005年に商業利用のために導入されたとき、この方法は、キャピラリー電気泳動(CE)による伝統的なサンガー配列決定などの一度に1つのDNA鎖の代わりに、多数のDNA鎖を同時に配列決定することができるので、最初に「超並列シーケンシング」と呼ばれていた。
【0141】
NGSの速度、スループット、および精度のために、NGSは、複数の試料中の何十万ものgDNA断片を一度に調査可能であり、単一の配列決定ランにおいて異なるタイプのゲノムの特徴(一塩基変異(SNV)からコピー数および構造バリアント、さらにはDNA融合まで)も発見および分析可能である。NGSは、ランあたり理想的なスループットを提供し、迅速かつ費用効率よく研究を行うことができる。NGSのさらなる利点としては、サンガー配列決定より低い試料投入要件、高い精度、およびより低い対立遺伝子頻度でのバリアントの検出能が挙げられる。
【0142】
次世代配列決定(NGS)を使用した全ゲノムの分析により、全てのゲノムの変化(一塩基変異(SNV)、挿入欠失、コピー数の変化、ならびに構造バリエーションが挙げられる)が塩基ごとに表示される。ペアードエンド全ゲノム配列決定は、DNA断片の両端の配列決定を含み、それにより、基準とアラインメントされる可能性が上がり、ゲノムの配置、反復配列、および遺伝子融合の検出が容易になる。
【0143】
いくつかの実施形態では、長いおよび短いペアエンドの組み合わせを使用するIllumina「フェーズドシーケンシング」プラットフォームを使用することができる。いくつかの実施形態では、Illumna「ロングリードアッセイ」は、約10kb長のDNA断片の連続するリードを得ることができる。他の実施形態では、第三世代単一分子配列決定テクノロジー(例えば、ONT)は、DNA配列のはるかにより長いリードを得ることができる。
【0144】
いくつかの実施形態では、「ディープシーケンシング」またはIllumina NGSの高回収バージョンを使用することができる。ディープシーケンシングは、1つの試料の複数回、時折、数百回、またはさらには数千回の配列決定を指す。ディープシーケンシングは、元の試料の1%ほどしか含まれないmiRNA、稀なクローン型、細胞、または微生物の検出が可能である。IlluminaのNovaSeqは、かかる全ゲノム配列決定を効率よくかつ高い費用効果を実施し、その拡張性のある出力により、簡潔で合理化された自動化ワークフローを用いたデュアルフローセルモードで最大6Tbおよび200億のリードを生成する。
【0145】
マイクロアレイ
ある特定の実施形態では、マイクロアレイを使用してgDNA断片を分析することができる。ハイスループットマイクロアレイは、種々の試料(例えば、組織型および細胞型)中のある特定の遺伝子座またはDNAの異常(例えば、変異)(例えば、置換、欠失、挿入、重複、DNA融合、染色体融合など)の存在を同定および検出するために開発されている。
【0146】
いくつかの実施形態では、フルオロフォアの共有結合を使用して、マイクロアレイ分析で用いるためのgDNA分子を、例えばDNAを標識する市販のキットを使用して直接標識することができる。
【0147】
ある特定の実施形態では、DNA結合タンパク質(例えば、転写因子)を含む未変性形態の回収gDNA(例えば、クロマチン)を、クロマチン免疫沈降と組み合わせたマイクロアレイ(「ChIPチップ」とも呼ばれる)中で使用することができる。
【0148】
例示的な実施形態
1.細胞または細胞核から選択されたサイズ範囲のゲノムDNAの断片を抽出するためのマイクロ流体の流れに基づくデバイスであって、
入口から出口に向かう流れ方向に流すことを可能にする少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有する少なくとも1つのマイクロ流体チャネル;および
前述のマイクロ流体チャネル内に配置されたマイクロピラーの少なくとも1つのアレイ
を含み、ここで、
前述のマイクロピラーの直径が、3マイクロメートルと50マイクロメートルとの間である;
前述のマイクロピラーが、2マイクロメートルと150マイクロメートルとの間の間隔によって相互に分離されている;
前述のアレイが、1平方ミリメートルと1600平方センチメートルとの間の区域内で境されている;
前述のマイクロピラーの高さが、1~200マイクロメートルの間である;そして
前述のマイクロピラーが、規定の形体で前述のアレイ内に配置されている、デバイス。
【0149】
2.前述のマイクロピラーの形状が、円形、楕円形、正方形、三角形、矩形、十字形、六角形、菱形、多角形、ドーム型、ピラミッド形、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせである、1に記載のデバイス。
【0150】
3.前述のチャネルが、
(a)ランダム配向;
(b)正方格子;
(b)六方格子;または
(c)2またはそれを超える前述の任意の組み合わせ
のマイクロピラーを含む、1または2に記載のデバイス。
【0151】
4.前述のチャネルが、正方格子のマイクロピラー、ランダム配向のマイクロピラー、および六方格子のマイクロピラーの交互領域を含む、3に記載のデバイス。
【0152】
5.前述の正方格子および六方格子のマイクロピラーの交互領域が、(a)連続しているか、あるいは(b)前述の領域が構造領域によって分離されて不連続である、4に記載のデバイス。
【0153】
6.前述のマイクロピラーが、可変間隔のグラジエントで配置されている、1~5のいずれか1つに記載のデバイス。
【0154】
7.前述の可変間隔のグラジエントが、(a)滑らかなグラジエント、(b)段階的なグラジエント、または(c)(a)と(b)の組み合わせを含む、6に記載のデバイス。
【0155】
8.前述のチャネルが、少なくとも1つのより短いマイクロピラーアレイ領域(例えば、
図29)を含む、1~7のいずれか1つに記載のデバイス。
【0156】
9.前述のチャネルが、少なくとも2つまたは少なくとも3つのより短いマイクロピラーアレイ領域を含み、必要に応じて、前述のより短いマイクロピラーアレイ領域が構造領域で分離されている、8に記載のデバイス。
【0157】
10.前述のより短いマイクロピラーアレイ領域の長さが、前述のチャネルの長さの約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%未満である、8または9に記載のデバイス。
【0158】
11.前述のデバイスが、前述のマイクロピラーアレイ領域内まで伸長している1またはそれを超えるカナルをさらに含む、1~10のいずれか1つに記載のデバイス。
【0159】
12.前述の1またはそれを超えるカナルが前述の流れ方向に沿って整列され、必要に応じて、前述の1またはそれを超えるカナルが、真っすぐであるか、分岐しているか、湾曲しているか、交差している、11に記載のデバイス。
【0160】
13.前述のデバイスが、異なる長さの少なくとも2つのカナルを含む、11または12に記載のデバイス。
【0161】
14.前述の直径、前述の間隔、前述の区域、前述の形体、またはその組み合わせが、前述の細胞または細胞核のタイプに基づいて選択される、1~13のいずれか1つに記載のデバイス。
【0162】
15.前述の細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物の細胞または細胞核、必要に応じて、ヒトの細胞または細胞核である、1~14のいずれか1つに記載のデバイス。
【0163】
16.前述の細胞または細胞核が、白血球またはT細胞の細胞または細胞核である、1~15のいずれか1つに記載のデバイス。
【0164】
17.前述のデバイスが、(a)前述のアレイの先端部のシングルセルサイズの開口部、および/または(b)シングルセルからゲノムDNAの断片を抽出可能な前述の入口近傍のより狭い形体(例えば、マイクロピラー間隔)を含む、1~16のいずれか1つに記載のデバイス。
【0165】
18.「溝状の」分岐チャネルをさらに含む、1~17のいずれか1つに記載のデバイス。
【0166】
19.前述のデバイスが、(a)前述のアレイの先端部のマルチセルサイズの開口部および/または(b)前述の入口近傍のより広い形体(例えば、マイクロピラー間隔)を含み、それにより、複数の細胞からゲノムDNAの断片を抽出可能である、1~16および18のいずれか1つに記載のデバイス。
【0167】
20.前述の細胞または細胞核に結合する薬剤をさらに含む、1~19のいずれか1つに記載のデバイス。
【0168】
21.前述の薬剤が、抗体、その抗原結合断片、またはアプタマーである、20に記載のデバイス。
【0169】
22.前述のマイクロ流体チャネルに対する二次チャネルをさらに含む、20または21に記載のデバイス。
【0170】
23.前述の二次チャネル(例えば、
図4)が、前述の細胞が前述の薬剤に結合した後に、前述の細胞を溶解し、前述のゲノムDNAを捕捉することを可能にする、22に記載のデバイス。
【0171】
24.前述のマイクロピラーが、ポリマー、プラスチック、金属、シリコン、ガラス、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせを含む、1~23のいずれか1つに記載のデバイス。
【0172】
25.前述のマイクロピラーがポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、1~24のいずれか1つに記載のデバイス。
【0173】
26.前述のマイクロピラーが、約2~30マイクロメートルの範囲の間隔、必要に応じて、5マイクロメートルまたはそれ未満の間隔で相互に分離している、1~25のいずれか1つに記載のデバイス。
【0174】
27.前述のマイクロピラーの高さが5~50マイクロメートルの間である、1~26のいずれか1つに記載のデバイス。
【0175】
28.前述のデバイスが、マイクロピラーのアレイを含む少なくとも2つのマイクロ流体チャネルを含む、1~27のいずれか1つに記載のデバイス。
【0176】
29.前述のデバイスが、少なくとも6、12、8、12、24、48、96、384、または1536のチャネルを含む、1~28のいずれか1つに記載のデバイス。
【0177】
30.(a)前述のチャネルが、デバイス中でスタガード形体またはサイドバイサイド形体である;そして/または
(b)前述のチャネルが、マルチウェルプレート形体と位置合わせされている秩序形体である、28または29に記載のデバイス。
【0178】
31.前述の少なくとも2つのマイクロ流体チャネルが垂直に積み重なっている、28~30のいずれか1つに記載のデバイス。
【0179】
32.細胞および/または細胞核を組織から単離する機器をさらに含む、1~31のいずれか1つに記載のデバイス。
【0180】
33.前述の機器が、ホモジナイザー、超音波処理器、および/または組織グラインダーを含み、必要に応じて、ここで、前述のホモジナイザーが、TissueLyserII(Qiagen)、TissueRuptorII(Qiagen)、ダウンス型ホモジナイザー、ヒーター付きgentleMACS(商標)Octo Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-096-427)、gentleMACS(商標)Dissociator(Miltenyi Biotec、カタログ番号130-093-235)、およびSingulator100(S2 Genomicsから選択される、32に記載のデバイス。
【0181】
34.前述の組織が、未処理であるか、凍結されているか、急速凍結されているか、ホルマリン固定パライン包埋(FFPE)されているか、あるいは最適切断温度化合物(OCT)中で保存されている、32または33に記載のデバイス。
【0182】
35.細胞または細胞核を選別する機器をさらに含む、1~34のいずれか1つに記載のデバイス。
【0183】
36.前述の機器が、フローサイトメーター、蛍光標示式細胞分取(FACS)機器、および/または顕微鏡を含む、35に記載のデバイス。
【0184】
37.細胞または細胞核の溶解を容易にする少なくとも1つの薬剤(例えば、溶解緩衝液 変性剤、および/または洗浄緩衝液)をさらに含む、1~36のいずれか1つに記載のデバイス。
【0185】
38.消化緩衝液、1またはそれを超える酵素、DNA標識剤(例えば、ビオチン、蛍光分子、バーコード)、ハイブリッド形成剤(例えば、(例えば、検出可能なマーカー、例えば、蛍光分子、ビオチンで標識された)プライマー)、および/または洗浄緩衝液をさらに含む、1~37のいずれか1つに記載のデバイス。
【0186】
39.前述の1またはそれを超える酵素が、DNA切断酵素、DNA修飾酵素(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ、ターミナルトランスフェラーゼ、T4 DNAリガーゼ、DNAポリメラーゼ)、およびDNA会合タンパク質を修飾する酵素から選択される、38に記載のデバイス。
【0187】
40.前述の1またはそれを超える酵素が、制限酵素、エンドヌクレアーゼ、ホーミングエンドヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、II型CRISPR-Cas9タンパク質、およびdsDNAフラグメンターゼから選択される、38または39に記載のデバイス。
【0188】
41.前述の1またはそれを超える酵素が、1またはそれを超える制限酵素を含む、38~40のいずれか1つに記載のデバイス。
【0189】
42.DNA切断および/またはチャネルからのDNA放出を容易にする少なくとも1つの機器をさらに含む、1~41のいずれか1つに記載のデバイス。
【0190】
43.前述の少なくとも1つの機器が、超音波処理器、ネブライザー、光源(例えば、可視光、UV光、X線、ガンマ線、または電離放射線を放射する)、または2またはそれを超える前述の任意の組み合わせから選択される、42に記載のデバイス。
【0191】
44.前述のマイクロピラーが、折り畳み可能である、融解可能である、機械的に格納可能である、溶解可能である、機械的に剥離される、機械的に屈曲可能である、そして/または電気的に屈曲可能である、1~43のいずれか1つに記載のデバイス。
【0192】
45.単離したDNAを分析する少なくとも1つの器具をさらに含む、1~44のいずれか1つに記載のデバイス。
【0193】
46.前述の少なくとも1つの器具が、顕微鏡、蛍光顕微鏡、光学顕微鏡、マイクロアレイ、質量分析計(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)、PCR、リアルタイムPCR、ゲル電気泳動、キャピラリーゲル電気泳動、およびシーケンサー(例えば、NGS、第三世代シーケンサー)から選択される、45に記載のデバイス。
【0194】
47.ロボット試料調製プラットフォームおよび/またはプレートリーダーをさらに含む、1~46のいずれか1つに記載のデバイス。
【0195】
48.前述の回収されたゲノムDNAが、少なくとも1つのDNA結合タンパク質を含む、1~47のいずれか1つに記載のデバイス。
【0196】
49.前述の少なくとも1つのDNA結合タンパク質が、ヒストン、転写因子、複製タンパク質、DNA修復タンパク質、DNA修飾酵素(例えば、DNAメチルトランスフェラーゼ)、および/またはヌクレアーゼを含む、48に記載のデバイス。
【0197】
50.少なくとも1つの入口への接続に適する少なくとも1つの流体制御モジュールをさらに含む、1~49のいずれか1つに記載の少なくとも1つのデバイスを含むシステム。
【0198】
51.前述の流体制御モジュールが、ピペットまたはシリンジを含む、50に記載のシステム。
【0199】
52.前述の流体制御モジュールが、加圧空気源(例えば、圧縮空気)、制御圧力源、制御空気圧源、圧力駆動ポンプ、シリンジポンプ、真空ポンプ、または蠕動ポンプを含む、50に記載のシステム。
【0200】
53.出口への接続に適する1またはそれを超える収集リザーバをさらに含み、必要に応じて、ここで、前述の1またはそれを超える収集リザーバが、試料収集リザーバおよび廃棄物収集リザーバを含む、50~52のいずれか1つに記載のシステム。
【0201】
54.マイクロ流体チャネル内のDNAを電気泳動により駆動するための制御電圧源をさらに含む、50~53のいずれか1つに記載のシステム。
【0202】
55.少なくとも1つの温度制御モジュールをさらに含み、必要に応じて、ここで、(a)前述の少なくとも1つの温度制御モジュールが、異なる温度で前述のデバイスの異なる部分を加熱することができ、そして/または(b)前述の少なくとも1つの温度制御モジュールを、時間制御様式で制御することができる(例えば、ある特定の持続時間加熱することができる)、50~54のいずれか1つに記載のシステム。
【0203】
56.前述の少なくとも1つの温度制御モジュールが、前述のデバイスの温度を約2℃~100℃の範囲で設定することができる、55に記載のシステム。
【0204】
57.前述のシステムが、少なくとも2つのデバイスを含み、必要に応じて、ここで、前述の少なくとも2つのデバイスが垂直に積み重なっている、50~56のいずれか1つに記載のシステム。
【0205】
58.細胞または細胞核から所望のサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を抽出するためのパラメーターを選択する方法であって、
少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、1~49のいずれか1つに記載のデバイスまたは50~57のいずれか1つに記載のシステムによって、
前述の1またはそれを超える酵素の各々の濃度;
前述の1またはそれを超える酵素の数;
前述の消化緩衝液の緩衝液組成;
消化時間;および
消化温度;
を含むパラメーターを使用して、少なくとも1回処理する工程;
収集された試料の断片サイズのメトリックを決定する工程;ならびに、前述の断片サイズのメトリックに基づいて、
前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックに対応する場合、使用される前述のパラメーターを選択する工程;
前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより小さい場合、前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより小さくなくなるまで、前述の濃度を低下させるか、前述の数を減少させるか、前述の消化時間を減少させるか、酵素の効率を低下させるために前述の消化温度を変化させるか、酵素の効率を低下させるために前述の緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程;および
前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより大きい場合、前述の断片サイズのメトリックが前述の所望のサイズのメトリックより大きくなくなるまで、前述の濃度を増加させるか、前述の数を増加させるか、前述の消化時間を増加させるか、酵素の効率を増大させるために前述の消化温度を変化させるか、酵素の効率を増大させるために前述の緩衝液組成を変化させるか、あるいはこれらの組み合わせを行う工程
を含む、方法。
【0206】
59.前述の断片サイズのメトリックが、断片サイズの平均または断片サイズの中央値である、58に記載の方法。
【0207】
60.前述の処理する工程が、前述の試料を前述のデバイス中にロードすることおよび前述の洗浄緩衝液を使用して前述のデバイス中で少なくとも1つの細胞または細胞核を洗浄することを含む、58または59に記載の方法。
【0208】
61.前述の1またはそれを超える酵素を失活させる工程をさらに含む、58~60のいずれか1つに記載の方法。
【0209】
62.前述の失活が熱失活を含む、61に記載の方法。
【0210】
63.試料から細胞または細胞核を単離する方法であって、1~49のいずれか1つに記載のデバイス、または50~57のいずれか1つに記載のシステムによって前述の試料を流動させる工程;および
前述のデバイス中に捉えた前述の細胞または細胞核を収集する工程
を含む、方法。
【0211】
64.核膜がインタクトなままで細胞膜または細胞壁を溶解する工程をさらに含む、63に記載の方法。
【0212】
65.前述の捉えた細胞または細胞核を洗浄する工程をさらに含む、63または64に記載の方法。
【0213】
66.前述の細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、植物の細胞または細胞核である、63~65のいずれか1つに記載の方法。
【0214】
67.前述の試料が、血液、血漿、リンパ、唾液、尿、in vitro細胞培養物、および組織ホモジネートから選択され、必要に応じて、ここで、前述の組織ホモジネートが植物組織ホモジネートである、63~66のいずれか1つに記載の方法。
【0215】
68.前述の試料が、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマーをさらに含む、63~67のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
69.大きなサイズのゲノムDNA(例えば、インタクトなgDNA、染色体全体、または500kbを超えるgDNAの断片)を単離する方法であって、少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、1~49のいずれか1つに記載のデバイスまたは50~57のいずれか1つに記載のシステムによって処理する工程を含み、必要に応じて、ここで、前述のデバイスが、折り畳み可能である、融解可能である、機械的に格納可能である、溶解可能である、機械的に剥離される、機械的に屈曲可能である、そして/または電気的に屈曲可能であるマイクロピラーを含む、方法。
【0217】
70.少なくとも1つの細胞または細胞核から選択されたサイズのメトリックを有するゲノムDNAの断片を単離する方法であって、
(a)少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料を、1~49のいずれか1つに記載のデバイス、または50~57のいずれか1つに記載のシステムによって処理する工程;および
(b)前述の処理によって単離された前述のゲノムDNAの断片を収集する工程
を含む、方法。
【0218】
71.前述のgDNAの断片を、DNA切断酵素での消化、超音波処理、噴霧、流動条件の変更、光による方法、機械的方法、またはこれらのうちの2つまたはそれを超える方法の組み合わせによって産生する、70に記載の方法。
【0219】
72.前述の方法が、58~62のいずれか1つに記載の方法によって選択されたパラメーターを使用する工程を含む、70または71に記載の方法。
【0220】
73.63~68のいずれか1つに記載の細胞または細胞核を単離する方法をさらに含む、70~72のいずれか1つに記載の方法。
【0221】
74.(a)前述の溶解の前に捉えた細胞または細胞核を洗浄する工程;
(b)前述の消化の前に前述のゲノムDNAを洗浄する工程;および/または
(c)前述の1またはそれを超える酵素を失活させる工程(例えば、熱失活)
をさらに含む、70~73のいずれか1つに記載の方法。
【0222】
75.前述のゲノムDNAの断片が、約1kb~500kbの範囲にある、70~74のいずれか1つに記載の方法。
【0223】
76.前述のゲノムDNAの断片が、200kb、30kb、25kb、14kb、10kb、または8kbの範囲にある、請求項70~75のいずれか1項に記載の方法。
【0224】
77.前述のゲノムDNAが、シングルセルまたはシングルセルの核に由来する、70~76のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
78.前述のゲノムDNAの断片を収集する工程が、手作業のピペッティングによるか、管材料を通じて収集リザーバから前述の断片を取り出す工程を含む、70~77のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
79.前述のゲノムDNAの断片を収集する工程が、前述の収集リザーバに取り付けられた電気泳動チャネルを介して前述の収集リザーバから前述の断片を取り出すことを含む、70~78のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
80.前述のゲノムDNAを配列決定し、増幅し、ハイブリッド形成し、末端標識し、そして/またはバーコード化する工程をさらに含む、70~79のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
81.前述の細胞または細胞核が、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、ヒトの細胞または細胞核である、70~80のいずれか1つに記載の方法。
【0229】
82.前述の細胞または細胞核が、白血球またはT細胞の細胞または細胞核である、70~81のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
83.前述の試料が、血液、血漿、リンパ、唾液、尿、精液、in vitro細胞培養物、および/または組織ホモジネートを含む、70~82のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
84.前述の試料が、部分精製されたか完全精製された細胞または細胞核を含む、70~83のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
85.ゲノム中の変異を検出する方法であって、
(a)69~84のいずれか1つに記載の方法にしたがってゲノムDNAまたはその断片を単離する工程;および
(b)回収された前述のDNAを分析し、それにより、前述の変異を検出する工程
を含む、方法。
【0233】
86.前述の変異が、置換、欠失、挿入、重複、DNA融合、および/または染色体融合を含む、85に記載の方法。
【0234】
87.前述のDNAを、ゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動、ハイブリッド形成、PCR、リアルタイムPCR、質量分析(例えば、LC-MS、LC-MS/MS)、サザンブロッティング、配列決定(例えば、NGS、第三世代配列決定)、マイクロアレイ、およびこれらのうちの任意の2つまたはそれを超える手技の組み合わせから選択される1つまたは複数を使用して分析する、85または86に記載の方法。
【0235】
88.前述のゲノムDNAが、動物、真菌、原生生物、または植物、必要に応じて、ヒトのゲノムDNAである、85~87のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
89.前述の試料または緩衝液(例えば、溶解緩衝液、洗浄緩衝液、溶出緩衝液、消化緩衝液など)が、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマー)を含む、69~88のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
90.前述の少なくとも1つのチャネルが、ブロッキング剤(例えば、BSA、イオン性界面活性剤、別の荷電剤、PEG、またはPEOポリマー)を含み、必要に応じて、ここで、前述のブロッキング剤が、前述のチャネルの内面および/または前述のチャネル内のマイクロピラーをコーティングする、1~49のいずれか1つに記載のデバイスまたは50~57のいずれか1つに記載のシステム。
【実施例】
【0238】
本開示を、以下の具体的な実施例を参照してさらに例証するであろう。これらの実施例は、例証のために記載しており、以下の開示やクレームを制限することを意味しない。
【0239】
実施例1:マイクロ流体デバイスの作製
主型を作製するために、Microposit S1813フォトレジスト(Shipley;Marlborough、MA)を、シリコン・オン・インシュレーター(SOI)ウェハー(Ultrasil;Hayward、CA)上にスピンし、UVコンタクトリソグラフィー(EVG620、EVG Group;Albany、NY)によって曝露する。曝露された樹脂レジストを726MIF現像液(Microchemicals)で現像し、パターンをUnaxis SLR 770ディーブリアクティブイオンエッチングシステム(Unaxis USA Inc.;St.Petersburg、FL)におけるBoschプロセスによって厚さ20μmのトップシリコン層にパターンを移す。(1H、1H、2H、2Hペルフルオロオクチル)トリクロロシランの単層を、MVD100分子ウェハー蒸着システム(Applied Microstructures;San Jose,CA)中でエッチングしたウェハー上に蒸着して、PDMSの鋳型への粘着を防止する。Sylgard 184(Dow Coming;Midland,MI)PDMSベースレジンを、硬化剤と10:1の比で混合し、室温にて真空下で脱気し、主型に注ぎ、150℃で45分間硬化させる。次いで、鋳込んだエラストマーを鋳型から剥離し、マイクロチャネルの投入口および排出口へのアクセスホールを、1.5mm生検パンチ(Sklar Instruments;West Chester,PA)を使用して作出する。チャネル作製を完了するために、パターン形成したPDMSを、酸素プラズマで1分間処理し、厚さ170μmの石英ガラスウェハー(Mark Optics;Santa Ana,CA)に接合する。
【0240】
実施例2:10kbのDNAの抽出のための例示的なプロトコール
1.細胞試料の調製。デバイス上に有効にロードするために、いかなる試料、も溶液でなければならない。2つの試料型の調製を以下に詳述する。
血液:ランセットを使用してヒトの指に突き刺して、1~2滴の血液(約100uL)を得る。次いで、血液を、500uLの5mM EDTAを含む1×PBSを有するチューブに移し、穏やかに混合する。次いで、細胞溶液を、デバイス上にロードするまで氷上で貯蔵する。
動物細胞(例えば、哺乳動物細胞):培養物中で増殖している不死化されているか初代の動物細胞(例えば、哺乳動物細胞)を、標準的な方法を使用して調製することができる。簡潔に述べれば、細胞が成長しているプレートから培地を吸引し、細胞を1×PBSで1回洗浄する。次いで、細胞をトリプシン+EDTAで処理して、細胞をプレートから放出させる。次いで、細胞を培地で洗浄し、2,000RPMで2分間スピンダウンさせる。上清を除去し、細胞を培地中に再懸濁する。次いで、再懸濁した細胞を、40マイクロメートルのセルストレーナーを使用して濾過し、デバイス上にロードする準備が整うまで氷上で貯蔵する。
植物細胞:粗核植物調製物からの植物化合物または二次代謝産物の除去
植物DNAを配列決定する場合、最初に植物組織から核を調製しなければならない。細胞壁からおおよその核を放出させる植物の核の放出方法がしばしば使用されるが、この方法は、望ましくない植物化合物(デンプンおよびポリフェノールなどの二次代謝産物が挙げられる)も含む。これらの粒子は除去が困難であり、配列決定反応を妨げるので望ましくない。
粗試料をマイクロピラーを有するマイクロ流体デバイス中にロードし、ここで、マイクロピラーは、核を捕らえるが、遥かに小さな植物化合物または二次代謝産物(デンプンまたはポリフェノールなど)はアレイを回避可能である。これらの化合物の粒径が小さいので、最終的には約5マイクロメートルのマイクロピラー間隔サイズを有効な分離のために使用する。したがって、植物の核を、アレイ内に単離し/捉え、望ましくない植物化合物から精製する。
2.マイクロ流体デバイスの調製。マイクロ流体デバイス(PDMS製)を、細胞ローディング前に最初に準備する。デバイスを1~3分間手短にプラズマ洗浄し、次いで、100%エタノールをバックローディングしてチャネル全体に充填する。次に、投入ポートを、圧力および溶液の送達機構と接続する。この場合、器具をデバイスに直接差し込み、デバイスは、溶液の体積を保持する空間を含み、圧力弁、調整器、およびタンクに接続したホースで塞がれている。
3.細胞のローディング。オーバーローディングすることなく所望のgDNA収量を得るのに十分な細胞でマイクロピラーアレイを満たしたときに最適なローディングが達成される。細胞を、細胞濃度に応じて0.1~0.5psiで数秒間から数分間ロードする。ローディングの完了後、1×PBSを数分間ピペッティングするか、0.1~0.5psiで流すことによって器具由来の溶液と交換する。この時点で、細胞のみがデバイス中に捕捉される-培地の全ての他の成分またはアレイ中に捕らえられなかった任意の他の粒子は、排出ポートに洗い流される。
4.細胞の溶解。細胞を溶解するために、器具の溶液を、好適な溶解緩衝液(この場合、1×PBS中の1%SDS(任意の他の化学的溶解緩衝液も作用するであろう))と0.1~0.5psiの圧力下で5分間交換する。即時に溶解するが、確実に完全に溶解させるために数分間溶解を継続する。次に、器具中の緩衝液を洗い流し、1×PBSと交換し、次いで、デバイスをこの溶液にて0.1~0.5psiで5分間洗浄する。
5.gDNAの断片化および放出。10kbの断片長でマイクロピラー上に捉えられたgDNAを放出させるために、以下の緩衝液を使用する:10mM Tris-HCl、50mM NaCl、10mM MgCl2(1mM DTTを含む)。200uLのこの緩衝液に、以下の酵素を添加する:0.2U EcoRV、0.2U EcoRI、0.2U HindIII、および0.2U SeaI。緩衝液を器具中で交換し、0.3~0.4psiにて27℃で15分間流す。15分後、全ての溶液がデバイスを通過するまで、圧力を1.6psiに5~10分間上昇させる。次いで、gDNAをチップから収集し、80℃で15分間加熱して酵素を失活させ、次いで、氷上で冷却し、4℃で貯蔵する。
6.gDNAの分析。試料を最初にQubitを使用して定量して、収量および濃度を決定する。必要に応じて、次いで、試料を、Femto Pulseパルスフィールドキャピラリー電気泳動システムを使用した断片サイズ分析のために400ng/uLに希釈して、断片化の品質およびサイズを確認する。
異なる組み合わせにおいて上記変数を変化させて種々のサイズのgDNA断片を産生することができる方法を実証する具体例を、以下に概説する。
以下の全てのデータを、培養HeLa細胞ならびに以下のパラメーターおよび寸法を有するデバイスを使用して作成した:
・各々のデバイスについて1つの投入口および4つの排出口
・各々のデバイス中の各々のチャネルについて幅4mm×長さ3.6mmのアレイ領域
・アレイ内のマイクロピラー間(中心間)の間隔:33.3マイクロメートルから18マイクロメートルまでの連続勾配
・マイクロピラーの直径:6.3マイクロメートル
・マイクロピラーの高さ:18~20マイクロメートル
【0241】
実施例3(
図18):II型制限酵素を用いた断片サイズの調整:8kbの範囲。
8kb近傍のメインピークを有するgDNAを回収するために、以下を含む反応混合物を調製した:
〇4つのII型制限エンドヌクレアーゼ(最終0.8~1.2U/uL)
〇緩衝液中に以下を含む:
-Tris-HCl(10mM)
-NaCl(50mM)
-MgCl2(10mM)
-DTT(1mM)
緩衝液を、ピペッティングまたはシリンジポンプによって器具を通じてマイクロ流体チャネルに導入した。デバイスを、制御された反応温度(27℃)に設定した。0.3psiの流れ圧力下にて15~20分間、次いで、1.3~1.8psiで5~15分間反応を進行させた。
【0242】
実施例4(
図19):II型制限酵素を用いた断片サイズの調整:10kbの範囲
10kb近傍のメインピークを有するgDNAを回収するために、以下を含む反応混合物を調製した:
〇4つのII型制限エンドヌクレアーゼ(最終0.7~0.9U/uL)
〇緩衝液中に以下を含む:
-Tris-HCl(10mM)
-NaCl(50mM)
-MgCl2(10mM)
-DTT(1mM)
緩衝液を、ピペッティングまたはシリンジポンプによって器具を通じてマイクロ流体チャネルに導入した。デバイスを、制御された反応温度(27℃)に設定した。0.3psiの流れ圧力下にて15~20分間、次いで、1.3~1.8psiで5~15分間反応を進行させた。
【0243】
実施例5(
図20):II型制限酵素を用いた断片サイズの調整:14kbの範囲
14kb近傍のメインピークを有するgDNAを回収するために、以下を含む反応混合物を調製した:
〇4つのII型制限エンドヌクレアーゼ(最終0.6~0.7U/uL)
〇緩衝液中に以下を含む:
-Tris-HCl(10mM)
-NaCl(50mM)
-MgCl2(10mM)
-DTT(1mM)
緩衝液を、ピペッティングまたはシリンジポンプによって器具を通じてマイクロ流体チャネルに導入した。デバイスを、制御された反応温度(27℃)に設定した。0.3psiの流れ圧力下にて15~20分間、次いで、1.3~1.8psiで5~15分間反応を進行させた。
【0244】
実施例6(
図21):II型制限酵素を用いた断片サイズの調整:30kbの範囲
25~30kb近傍のメインピークを有する1~165kbの範囲のgDNA断片を回収するために、以下を含む反応混合物を調製した:
〇1つのII型制限酵素(最終0.8U/uL)
〇緩衝液中に以下を含む:
-Tris-HCl(10mM)
-NaCl(50mM)
-MgCl2(10mM)
-DTT(1mM)
緩衝液を、ピペッティングまたはシリンジポンプによって器具を通じてマイクロ流体チャネルに導入した。デバイスを、制御された反応温度(27℃)に設定した。
0.35~0.4psiの流れ圧力下にて15分間、次いで、1.6psiで5分間反応を進行させた。
【0245】
実施例7(
図22):II型制限酵素を用いた断片サイズの調整:200kbの範囲
200kb近傍のメインピークを有するgDNA断片を回収するために、以下を含む反応混合物を調製した:
〇1つのII型制限酵素(最終0.2U/uL)
〇緩衝液中に以下を含む:
-Tris-HCl(10mM)
-NaCl(50mM)
-MgCl2(10mM)
-DTT(1mM)
緩衝液を、ピペッティングまたはシリンジポンプによって器具を通じてマイクロ流体チャネルに導入した。デバイスを、制御された反応温度(27℃)に設定した。0.2psiの流れ圧力下にて15分間、次いで、0.3psiで5分間、次いで、1.6psiで15分間反応を進行させた。
数100塩基対から数Mb塩基対までの範囲の多数のより起こり得る断片サイズを、上記パラメーターを調整することによって調整することができる。
【0246】
実施例8:回収されたDNAの分析(リアルタイムPCR)
代表的なプロトコールは、以下を含む:回収されたgDNAを1:20に希釈し、2plを、ある特定の遺伝子座にハイブリッド形成する順方向および逆方向のPCRプライマーを用いたリアルタイムPCRで使用する。gDNA断片を、10ulの2×PowerSYBRグリーンマスターミックス(Applied Biosystem)、1ulの10uMプライマーミックス、および7ulの水を含むマスターミックスに添加する。反応物を、Applied Biosystems 7500リアルタイムPCRシステム中にて95℃で10分間、その後に、95℃で15秒間、60℃で15秒間、および72℃で32秒間の45サイクルでインキュベートする。その後に、解離段階/融解曲線分析を行う。
分析したときに、本開示のデバイス、システム、および/または方法を使用して回収したgDNA断片は、同一のリアルタイムPCR反応において伝統的に調製した(例えば、CsCl精製した)gDNA断片よりも驚異的に優れていた。
【0247】
実施例9:gDNAの増幅
本発明者らは、首尾の良いオンチップおよびオフチップのDNA増幅を実証した。
オンチップの場合、本発明者らは、多重置換増幅(MDA)を使用して等温増幅を実証していた(Tian et al.(2018)PLOS ONE 13(2):e0191520(本明細書中で参考として援用される)を参照のこと)。次いで、本発明者らは、増幅されたDNAを首尾よく収集し、方法の対象範囲の実証としてIlluminaシーケンサーで全エクソーム配列決定を行い、管内MDAと比較して増幅バイアスが小さいことも示した(実施例10も参照のこと)。
オフチップの場合、本発明者らは、抽出およびDNA断片化/切断後にチップデバイスから精製されたDNAを首尾よく収集した。本発明者らは、DNA試料を採取し、次いで、PCRおよびqPCRでDNAを増幅し、次いで、Illuminaシーケンサーで試料を首尾よく配列決定できることを実証した。
オンチップ増幅(PCRまたは等温のいずれか)とオフチップ増幅(PCRまたは等温のいずれか)の組み合わせも可能である。
【0248】
実施例10:回収したDNAの分析(次世代配列決定)
回収したgDNA断片を、製造者の説明書(Illumina,San Diego,CA)に従って次世代配列決定(NGS)を使用して配列決定した。結果は、伝統的に調製された(例えば、CsCl精製された)gDNA断片を使用して行った配列決定よりも驚異的かつ予想外に優れていた。
【0249】
実施例11:例示的なデバイス
作製した例示的なデバイスを、本明細書中に示した図面中に示す(例えば、
図3、
図5、
図23(AおよびB)、
図24、および
図25~
図31)。選択したデザインについてのさらなる説明を以下に提供する。
種々のデザインの1つの態様/目的は、試料(少なくとも1つの細胞または細胞核を含む試料)のローディングを改善することである。試料ローディングの改善としては、より良好に広げることができることを含み、それができれば、チャネルにロードされる細胞または核が相互に十分に離れてマイクロピラーアレイ内で拘束されて/捉えられて、流体の流れを詰まらせる影響が低下する/最小になるであろう。より良好な試料ローディングのために以下のデバイスをデザインする。
マイクロピラーのうちのいずれの格子(ランダム格子が含まれる)でもgDNAまたはその断片の抽出で機能するであろうが、正方格子および六方格子では、特により良好に試料がローディングされる。
下記のグラジエント(滑らかなグラジエントおよび段階的なグラジエントの両方)に関して、種々のグラジエント数を試験した。特に、2段階しかない段階的なグラジエント(合計で2段階であり、これは隣接マイクロピラーアレイ領域を除き、各々に異なる間隔が設定されている)、および30段階ものグラジエントを試験した。
図25は、正方格子のマイクロピラーを有する少なくとも1つのチャネルを有するデバイスを示し、ここで、前述のピラーを、相互に指定の距離で離れた明確な横列および縦列を有するような方法で配置した。正方格子は、均一な間隔であることを意味するマイクロピラーアレイ領域の場合、(ピラー間の)各間隙が次の隣接間隙に対して真っすぐに配置されているマイクロピラー(micrpillar)の格子を指す。換言すれば、各々のピラーは、次のピラーと真っすぐに並んでいる。このデバイスには、正方格子の構成で種々のピラー間隔の滑らかなグラジエントを組み込んだ。また、このデバイスには、グラジエントとしてより小さな範囲のピラー間隔を組み込んだ。意図するゲノムDNAの分子量がより高い場合、出口近傍のマイクロピラー間隔が減少したグラジエントが望ましい場合があり、これは、かかるグラジエントが、試料内の細胞および試料中の他のより小さな粒子から離れた細胞をより良好に広げることが可能であるからである。
図26は、マイクロピラー間隔中に段階的なグラジエントを含む正方格子のマイクロピラーアレイを有するデバイスを示す。ここでは、間隔の移行がマイクロピラーアレイの上部から下部への滑らかなものであるよりもむしろ、間隔がある周期に均一に保持された後に間隔が次の周期に変化した。
図27は、六方格子マイクロピラーアレイを有するデバイスを示す。六方格子は、各々の間隙が、ピラーが交差するように並んでいるマイクロピラーの格子を指す。換言すれば、ピラーおよび間隙は、マイクロピラーアレイを流れる任意の粒子が物体(例えば、隣接および/または下流の次のマイクロピラー)に遭遇する可能性または確率が最大になるように交互に配置される。ピラー間隔のグラジエントは、滑らかまたは段階的のいずれかであり得る。
図28は、混交した正方格子領域と六方格子領域が組み込まれたデバイスを示す。
図29は、
図25~
図28のデバイスと比較して短いマイクロピラーのアレイが組み込まれたデバイスを示す。マイクロピラーアレイの長さがより短いと、マイクロ流体チップカートリッジから回収されるDNAの収率/DNAの量を改善する場合があり、より短いマイクロピラーアレイに占有されていないチャネル内の区域は、チップカートリッジの崩壊を防止するためのある特定の構造を含んでよく、この構造は、PDMSなどの柔軟な材料を用いて作製されたデバイスに必要であり得る。しかしながら、(例えば、プラスチックまたは金属を用いて作製された)特定のデバイスにおいて構造の完全性を考慮しない場合、かかる区域は空でよい(すなわち、構造またはマイクロピラーを欠く)。本明細書中で使用される場合、より短いマイクロピラーアレイに占有されていない区域を、この区域が空であり、かついかなる構造物も欠く場合でさえ、「構造領域」と称する。
図30は、非マイクロピラー/空白/支持構造領域を有する混在マイクロピラー領域が組み込まれたデバイスを示す。ここでは、2つのマイクロピラーアレイ領域を、ある距離の支持構造によって分離した。2つのマイクロピラーアレイが引き離されていると、より小さな細胞または核にさらなる間隔が開いて相互に離れ、それにより、試料の溶解およびDNA抽出工程中の重度に集合した/ロープ状になったDNAに由来する流体の流れの抑制が低減される/最小になることによって試料のローディングが改善され得る。
図31は、支持構造によって分離された3つマイクロピラーアレイ領域を示す。3つが混在しているマイクロピラーアレイ領域は、
図30の2つが混在しているマイクロピラーアレイ領域よりも性能が良い場合がある。さらに、反復マイクロピラーアレイ領域が多いほど、DNA切断後にチップカートリッジから収集される最終のDNA収量についての結果が良くなる場合がある。
【0250】
種々の実施形態が本明細書中に詳細に描写および記載されているが、開示の意図を逸脱することなく種々の修正、追加、および置換などが可能であり、したがって、これらは以下のクレーム中に定義した開示の範囲内にあると見なされることが関連分野の当業者に明らかであろう。
【0251】
参照による援用
本明細書中で言及した全ての米国特許、ならびに米国およびPCTの特許出願公開は、各々の特許または特許出願公開が参考として援用されることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が本明細書中で参考として援用される。矛盾する場合、本明細書中の任意の定義を含む本出願を優先するものとする。
【0252】
均等物
当業者は、日常的な実験しか使用せずに、本明細書中に記載の本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を認識するか、確認することができるであろう。かかる均等物は、以下の特許請求の範囲に含まれることを意図する。
【国際調査報告】