(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】磁気浮上装置及び半導体加工機器
(51)【国際特許分類】
H02K 7/09 20060101AFI20240920BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240920BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H02K7/09
F16C32/04 A
H01L21/68 N
H01L21/68 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516460
(86)(22)【出願日】2022-11-09
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 CN2022130897
(87)【国際公開番号】W WO2023207031
(87)【国際公開日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】202210442450.0
(32)【優先日】2022-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523427010
【氏名又は名称】蘇州蘇磁智能科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU SUPERMAG INTELLIGENT TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】G4-701, Artificial Intelligence Industrial Park, No. 88, Jinjihu Avenue, Suzhou Industrial Park, Suzhou Area, China (Jiangsu) Pilot Free Trade Zone, Suzhou, Jiangsu 215000 China
(74)【代理人】
【識別番号】100134636
【氏名又は名称】金高 寿裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114904
【氏名又は名称】小磯 貴子
(72)【発明者】
【氏名】尹 成科
【テーマコード(参考)】
3J102
5F131
5H607
【Fターム(参考)】
3J102AA01
3J102BA03
3J102BA18
3J102CA16
3J102CA27
3J102DA03
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3J102DA13
3J102DA14
3J102DA16
3J102DA29
3J102GA01
5F131AA02
5F131BA03
5F131BA04
5F131BA12
5F131BA24
5F131BA39
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5F131DB34
5F131DB76
5F131EA24
5F131EB41
5H607BB01
5H607BB14
5H607GG19
(57)【要約】
磁気浮上装置及び半導体加工機器を提供する。磁気浮上装置の固定子(20)は少なくとも3つの磁性固定子基板(201)、永久磁石(202)、及びマグネタイザー(203)を含み、少なくとも3つの磁性固定子基板(201)は固定子(20)の軸方向において互いに間隔をあけて少なくとも2つの隙間(201’)を画定し、永久磁石(202)とマグネタイザー(203)は少なくとも2つの隙間(201’)内に交互に設置され、少なくとも3つの磁性固定子基板(201)のそれぞれは突出部(2012)を含み、突出部(2012)は回転子(10)に向けて永久磁石(202)及びマグネタイザー(202)から突出し、磁気浮上コイル2012cが巻き付けられ、少なくとも3つの磁性固定子基板(201)のうちの第1磁性固定子基板(201a)の突出部(2012)と磁気浮上コイル(2012c)は回転子(10)に固定子(20)の軸方向における上向きの力を印加し、第1磁性固定子基板(201a)の数と少なくとも3つの磁性固定子基板(201)の総数との比は50%以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上装置であって、
回転子と、
前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子が固定子の周りに設置される固定子と、を含み、
前記固定子は少なくとも3つの磁性固定子基板、永久磁石及びマグネタイザーを含み、該少なくとも3つの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において少なくとも2つの隙間を画定するように、前記固定子の軸方向において互いに間隔をあけ、前記固定子の軸方向において前記永久磁石と前記マグネタイザーは前記少なくとも2つの隙間内に交互に設置され、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれは、基板本体、及び基板本体に接続される突出部を含み、前記突出部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、前記突出部に磁気浮上コイルが巻き付けられ、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第1磁性固定子基板を含み、前記第1磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における上向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数と前記少なくとも3つの磁性固定子基板の総数との比は50%以上である磁気浮上装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第2磁性固定子基板をさらに含み、前記第2磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における下向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数は前記第2磁性固定子基板の数以上である請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板の数は4つ以上であり、
前記固定子の軸方向において、隣接する2つの永久磁石の互いに対向する表面の磁性は同じである請求項1又は2に記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記固定子は、少なくとも2つの前記永久磁石の磁場強度が互いに等しい前記永久磁石を含み、請求項3に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、
前記少なくとも3つのフランジは前記第1磁性固定子基板に対応する第1フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第1磁性固定子基板の突出部の中線は前記固定子の軸方向における前記第1フランジの中線よりも高い請求項2-4のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
前記第1磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線が前記第1フランジの前記軸方向の中線よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さである場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さであり、前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも低く、且つ前記第1フランジの上面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合、
(3)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高いか又は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面と同じ高さである場合、及び
(4)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面と同じ高さであるか又は前記第1フランジの上面よりも低く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの下面よりも高い場合のいずれか1つを含む請求項5に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
前記場合(2)において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面と前記第1フランジの上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第1フランジのサイズである請求項6に記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
H≦1/5Haである請求項7に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
前記少なくとも3つのフランジは前記第2磁性固定子基板に対応する第2フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第2フランジの中線は前記固定子の軸方向における前記第2磁性固定子基板の突出部の中線よりも高い請求項5-8のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
前記第2フランジの前記軸方向の中線が前記第2磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さである場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであり、前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも低く、前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低い場合、
(3)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも高いか又は前記第2フランジの下面と同じ高さである場合、及び
(4)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであるか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合のいずれか1つを含む請求項9に記載の磁気浮上装置。
【請求項11】
前記場合(2)において、前記第2フランジの上面と前記第2磁性固定子基板の突出部の上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第2フランジのサイズである請求項10に記載の磁気浮上装置。
【請求項12】
H≦1/5Haである請求項11に記載の磁気浮上装置。
【請求項13】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、
前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間それぞれのサイズは前記Lの少なくとも3倍である請求項5-12のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項14】
前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間それぞれのサイズは前記Lの少なくとも5倍である請求項13に記載の磁気浮上装置。
【請求項15】
前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間それぞれのサイズは前記Lの少なくとも10倍である請求項14に記載の磁気浮上装置。
【請求項16】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、L≦Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記フランジのサイズである請求項5-15のいずれか一項に記載の前記磁気浮上装置。
【請求項17】
L≦1/2Haである請求項16前記磁気浮上装置。
【請求項18】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうちの少なくとも1つの磁性固定子基板は複数の歯部を含み、該複数の歯部は前記基板本体に接続され、該複数の歯部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けられる請求項1-17のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項19】
前記磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている請求項18に記載の磁気浮上装置。
【請求項20】
前記複数の歯部は前記突出部の前記回転子を向く端部に設置される請求項18又は19に記載の磁気浮上装置。
【請求項21】
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において最上層又は最下層に位置する磁性固定子基板である請求項18-20のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板である請求項18-20のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項23】
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は偶数であり、前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置されるか、又は
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1よりも大きい奇数であり、1つの磁性固定子基板は前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板であり、残りの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置される請求項18-20のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項24】
前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、
前記少なくとも1つの磁性固定子基板に対応するフランジの前記少なくとも1つの磁性固定子基板を向く端部は複数の歯部を有する請求項18-23のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項25】
前記第1磁性固定子基板の数は少なくとも2つであり、前記第2磁性固定子基板の数は少なくとも1つである請求項2-24のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項26】
前記第2磁性固定子基板の数は1つである請求項25に記載の磁気浮上装置。
【請求項27】
前記固定子の軸方向において、少なくとも2つの隙間のうち上から奇数番目の隙間内には前記永久磁石が設置され、上から偶数番目の隙間内には前記マグネタイザーが設置される請求項1-26のいずれか一項に記載の前記磁気浮上装置。
【請求項28】
前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記永久磁石とそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される請求項1-27のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項29】
前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記マグネタイザーとそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される請求項1-28のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項30】
前記固定子の軸方向において、前記少なくとも3つの磁性固定子基板は等間隔で設置される請求項1-28のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項31】
前記固定子の軸方向において、前記永久磁石の厚さは前記マグネタイザーの厚さに等しい請求項30に記載の磁気浮上装置。
【請求項32】
前記固定子の軸方向において、前記少なくとも3つの磁性固定子基板の厚さは互いに同じである請求項1-31のいずれか一項に記載の磁気浮上装置。
【請求項33】
請求項1-32のいずれか一項に記載の磁気浮上装置を含む半導体加工機器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
すべての目的のために、本願は、2022年4月25日に提出された中国特許出願第202210442450.0号に基づいて優先権を主張し、ここで上記中国特許出願に開示されている全内容が引用により本願の一部として組み込まれている。
【技術分野】
【0002】
本開示の少なくとも1つの実施例は磁気浮上の技術分野に関し、特に磁気浮上装置に関する。
【背景技術】
【0003】
浮上技術は主に磁気浮上、光浮上、音響浮上、気流浮上、電気浮上、及び粒子ビーム浮上等を含み、その中でも磁気浮上技術は比較的成熟している。磁気浮上技術では、固定子と回転子との磁気相互作用によって回転子を浮上させながら均一に回転させ、回転子と固定子間に接触や機械的摩擦がないため、磁気浮上技術は特に清浄度要件が高い場合に適用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の実施例では、磁気浮上装置を提供し、回転子と、固定子とを含み、前記固定子は前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子は前記固定子の周りに設置され、前記固定子は少なくとも3つの磁性固定子基板、永久磁石及びマグネタイザーを含み、該少なくとも3つの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において少なくとも2つの隙間を画定するように、前記固定子の軸方向において互いに間隔をあけ、前記固定子の軸方向において前記永久磁石と前記マグネタイザーは前記少なくとも2つの隙間内に交互に設置され、前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれは基板本体、及び基板本体に接続される突出部を含み、前記突出部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、前記突出部に磁気浮上コイルが巻き付けられ、前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第1磁性固定子基板を含み、前記第1磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における上向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数と前記少なくとも3つの磁性固定子基板の総数との比は50%以上である。
【0005】
たとえば、前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第2磁性固定子基板をさらに含み、前記第2磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における下向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数は前記第2磁性固定子基板の数以上である。
【0006】
たとえば、前記少なくとも3つの磁性固定子基板の数は4つ以上であり、前記固定子の軸方向において、隣接する2つの永久磁石の互いに対向する表面の磁性は同じである。
【0007】
たとえば、前記固定子は少なくとも2つの前記永久磁石を含み、少なくとも2つの前記永久磁石の磁場強度は互いに等しい。
【0008】
たとえば、前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、前記少なくとも3つのフランジは前記第1磁性固定子基板に対応する第1フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第1磁性固定子基板の突出部の中線は前記固定子の軸方向における前記第1フランジの中線よりも高い。
【0009】
たとえば、前記第1磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線が前記第1フランジの前記軸方向の中線よりも高いことは、(1)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さである場合、(2)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さであり、前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも低く、且つ前記第1フランジの上面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合、(3)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高いか又は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面と同じ高さである場合、及び(4)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面と同じ高さであるか又は前記第1フランジの上面よりも低く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの下面よりも高い場合のいずれか1つを含む。
【0010】
たとえば、前記場合(2)において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面と前記第1フランジの上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第1フランジのサイズである。
【0011】
たとえば、H≦1/5Haである。
【0012】
たとえば、前記少なくとも3つのフランジは前記第2磁性固定子基板に対応する第2フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第2フランジの中線は前記固定子の軸方向における前記第2磁性固定子基板の突出部の中線よりも高い。
【0013】
たとえば、前記第2フランジの前記軸方向の中線が前記第2磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線よりも高いことは、(1)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さである場合、(2)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであり、前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも低く、前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低い場合、(3)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも高いか又は前記第2フランジの下面と同じ高さである場合、及び(4)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであるか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合のいずれか1つを含む。
【0014】
たとえば、前記場合(2)において、前記第2フランジの上面と前記第2磁性固定子基板の突出部の上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第2フランジのサイズである。
【0015】
たとえば、H≦1/5Haである。
【0016】
たとえば、前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間のそれぞれのサイズは前記Lの少なくとも3倍である。
【0017】
たとえば、前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間のそれぞれのサイズは前記Lの少なくとも5倍である。
【0018】
たとえば、前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間のそれぞれのサイズは前記Lの少なくとも10倍である。
【0019】
たとえば、前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、L≦Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記フランジのサイズである。
【0020】
たとえば、L≦1/2Haである。
【0021】
たとえば、前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうちの少なくとも1つの磁性固定子基板は複数の歯部を含み、該複数の歯部は前記基板本体に接続され、該複数の歯部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けられる。
【0022】
たとえば、前記磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れている。
【0023】
たとえば、前記複数の歯部は前記突出部の前記回転子を向く端部に設置される。
【0024】
たとえば、前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において最上層又は最下層に位置する磁性固定子基板である。
【0025】
たとえば、前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板である。
【0026】
たとえば、前記少なくとも1つの磁性固定子基板は偶数であり、前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置されるか、又は前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1よりも大きい奇数であり、1つの磁性固定子基板は前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板であり、残りの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置される。
【0027】
たとえば、前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、前記少なくとも1つの磁性固定子基板に対応するフランジの前記少なくとも1つの磁性固定子基板を向く端部は複数の歯部を有する。
【0028】
たとえば、前記第1磁性固定子基板の数は少なくとも2つであり、前記第2磁性固定子基板の数は少なくとも1つである。
【0029】
たとえば、前記第2磁性固定子基板の数は1つである。
【0030】
たとえば、前記固定子の軸方向において、少なくとも2つの隙間のうち上から奇数番目の隙間内には前記永久磁石が設置されるが、上から偶数番目の隙間内には前記マグネタイザーが設置される。
【0031】
たとえば、前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記永久磁石とそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される。
【0032】
たとえば、前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記マグネタイザーとそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される。
【0033】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記少なくとも3つの磁性固定子基板は等間隔で設置される。
【0034】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記永久磁石の厚さは前記マグネタイザーの厚さに等しい。
【0035】
たとえば、前記固定子の軸方向において、前記少なくとも3つの磁性固定子基板の厚さは互いに同じである。
【0036】
本開示の実施例では、上記磁気浮上装置を含む半導体加工機器をさらに提供する。
【0037】
本発明の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかなように、以下の説明における図面は単に本発明のいくつかの実施例に関するものであり、本発明を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】
図1は本開示の実施例に係る磁気浮上装置の斜視模式
図1である。
【
図3】
図3は
図1に示す磁気浮上装置における磁性固定子基板の突出部2012と回転子のフランジとの相互作用の模式図である。
【
図4】
図4は
図1に示す磁気浮上装置の磁力線の模式図である。
【
図5】
図5は本開示の実施例に係る磁気浮上装置の斜視模式
図2である。
【
図7】
図7は
図5に示す磁気浮上装置における磁性固定子基板の突出部2012と回転子のフランジとの相互作用の模式図である。
【
図9A】
図9Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の回転子の斜視模式図である。
【
図9B】
図9Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁性固定子基板の斜視模式
図1である。
【
図9C】
図9Cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の永久磁石202の斜視模式図である。
【
図9D】
図9Dは本開示の実施例に係る磁気浮上装置のマグネタイザー203の斜視模式図である。
【
図9E】
図9Eは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁性固定子基板の斜視模式
図2である。
【
図9F】
図9Fは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁気回転コイルの斜視模式
図1である。
【
図10A】
図10Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合1の模式
図1である。
【
図10B】
図10Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合1の模式
図2である。
【
図11A】
図11Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合2の模式
図1である。
【
図11B】
図11Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合2の模式
図2である。
【
図12A】
図12Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合3の模式
図1である。
【
図12B】
図12Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合3の模式
図2である。
【
図13A】
図13Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合4の模式
図1である。
【
図13B】
図13Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子の第1フランジとの位置関係の場合4の模式
図2である。
【
図14A】
図14Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合1の模式
図1である。
【
図14B】
図14Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合1の模式
図2である。
【
図15A】
図15Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合2の模式
図1である。
【
図15B】
図15Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合2の模式
図2である。
【
図16A】
図16Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合3の模式
図1である。
【
図16B】
図16Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合3の模式
図2である。
【
図17A】
図17Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合4の模式
図1である。
【
図17B】
図17Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子の第2フランジと第2磁性固定子基板の突出部2012との位置関係の場合4の模式
図2である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら本発明の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は本発明の一部の実施例であり、すべての実施例ではない。説明される本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得るほかの実施例はすべて本発明の保護範囲に属する。
【0040】
特に定義されない限り、ここで使用される技術用語又は科学用語は当業者が理解する通常の意味を有するものとする。本発明の特許出願明細書及び特許請求の範囲で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語はいかなる順序、数又は重要性も示さず、単に異なる構成部分を区別するためのものである。「含む」又は「包含」等の類似する用語は該用語の前に出現する素子又は物品が該用語の後にリストされる素子又は物品及びその同等物をカバーすることを意味するが、ほかの素子又は物品を除外しない。
【0041】
本開示における図面は厳密には実際の縮尺に応じて描画されるものではなく、各構造の具体的なサイズ及び数について実際の必要に応じて決定することができる。本開示において説明される図面は単に模式図である。
【0042】
本開示の実施例は磁気浮上装置を提供する。本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子は回転子に十分な軸方向支持力を印加でき、それにより回転子自体の質量が大きくても回転子は安定して回転及び浮上することができ、回転子が質量の大きな物品を支持又はプルしても回転子は安定して回転及び浮上することができ、それにより本開示の実施例に係る磁気浮上装置の適用範囲は非常に広い。本開示の実施例は、本開示の実施例に係る磁気浮上装置を含む半導体加工機器をさらに提供する。
【0043】
図1は本開示の実施例に係る磁気浮上装置の斜視模式
図1であり、
図2は
図1に示す磁気浮上装置の分解模式図であり、
図3は
図1に示す磁気浮上装置における磁性固定子基板の突出部と回転子のフランジとの相互作用の模式図であり、
図4は
図1に示す磁気浮上装置の磁力線の模式図である。
図9Aは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の回転子の斜視模式図であり、
図9Bは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁性固定子基板の斜視模式
図1であり、
図9Cは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の永久磁石の斜視模式図であり、
図9Dは本開示の実施例に係る磁気浮上装置のマグネタイザーの斜視模式図である。
図1~
図4及び
図9A~
図9Dに示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は回転子10及び固定子20を含み、固定子20は回転子10の周りに設置され、固定子20は少なくとも3つの磁性固定子基板201、永久磁石202及びマグネタイザー203を含み、該少なくとも3つの磁性固定子基板201は固定子20の軸方向Zにおいて互いに間隔をあけていることで、固定子20の軸方向Zにおいて少なくとも2つの隙間201’を画定し、固定子20の軸方向Zにおいて永久磁石202とマグネタイザー203は該少なくとも2つの隙間201’内に交互に設置され、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれは基板本体2011、及び基板本体2011に接続される突出部2012を含み、突出部2012は回転子10に向けて永久磁石202及びマグネタイザー203から突出し、突出部2012に磁気浮上コイル2012cが巻き付けられ、少なくとも3つの磁性固定子基板201は第1磁性固定子基板201aを含み、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cは回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加し、第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%以上である。
【0044】
なお、本開示の実施例では、「固定子20の軸方向Z上向き」とは、回転子10の重力方向とは反対の方向であり、「固定子20の軸方向Z下向き」とは、回転子10の重力方向と同じ方向である。
【0045】
本開示の実施例では、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cは回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加し、第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%以上である。つまり、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、少なくとも3つの磁性固定子基板201のうち半分以上の磁性固定子基板は回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加する第1磁性固定子基板201aであり、それによって磁気浮上装置は十分な軸方向支持力を提供して回転子10の重力及び回転子10が支持又はプルする物品の重力を平衡させることができ、回転子10自体の質量が大きい場合及び/又は回転子10が質量の大きな物品を支持又はプルする場合でも、回転子10はそれ自体の重力の作用及びそれが支持又はプルする物品の重力により不安定になることなく安定して回転及び浮上することができる。従って、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の適用範囲は大幅に拡大され、質量の大きな回転子10を含んでもよく、回転子10は質量の大きな物品を支持又はプルしてもよい。
図3における固定子20と回転子10との相互作用及び
図4における磁力線分布から明らかなように、第1磁性固定子基板201aは回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加し、第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%以上である。たとえば、
図4は
図1のA-A線に沿って切断された回転子10、磁性固定子基板201、永久磁石202及びマグネタイザー203の断面図である。
【0046】
たとえば、回転子10が物品を支持する時、物品は回転子10の上面に配置され、この場合、物品は回転子10の上面と直接接触してもよいし、物品は回転子10の上面と直接接触するのではなく回転子10の上面に設置される支持構造と直接接触してもよい。たとえば、回転子10が物品をプルする時、物品は回転子10の下面と接続されてもよく、この場合、物品は回転子10の下面と直接接続されてもよく、物品は回転子10の下面と直接接続されるのではなく回転子10の下面に接続される接続構造と直接接続されてもよい。
【0047】
なお、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cは回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加し、第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%以上であることについて、磁気浮上装置の正常動作の場合の話であり、磁気浮上装置の正常動作時、回転子10は固定子20の作用下で安定して回転及び浮上する。
【0048】
たとえば、本開示の実施例では、磁気浮上装置は十分な軸方向支持を提供して回転子10の重力及び回転子10が支持又はプルする物品の重力を平衡させることを可能にするために、第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数と比は60%以上であり、さらに70%以上であり、よりさらに80%以上であり、またよりさらに以上90%であり、場合によっては100%に等しい(つまり、少なくとも3つの磁性固定子基板201はすべて第1磁性固定子基板201aである)。
図3及び
図4に示すように、3つの磁性固定子基板201のうち2つは第1磁性固定子基板201aであり、それにより第1磁性固定子基板201aの数と3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%よりも大きい。
【0049】
たとえば、磁気浮上コイル2012cに電流が流れ、磁性固定子基板201の突出部2011と磁気浮上コイル2012cの作用下で回転子10の浮上を実現する。たとえば、磁気浮上コイル2012cにおける電流の大きさは調整可能であり、それにより固定子20が回転子に印加する力は調整可能である。たとえば、第1磁性固定子基板201aの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流の大きさは調整可能であり、それにより第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に印加する固定子20の軸方向Z上向きの力の大きさは調整可能である。このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置が物品を支持又はプルする時、支持又はプルされる物品に応じて回転子10に異なる固定子20の軸方向Z上向きの力を印加することができ、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の動作の柔軟性を向上させる。つまり、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は十分に大きくて調整可能な軸方向支持力を提供することができる。
【0050】
なお、本開示の実施例では、少なくとも3つの磁性固定子基板201における第1磁性固定子基板201aの分布位置を限定せず、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cは回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加し、且つ第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比は50%以上であればよい。たとえば、
図3において、上の2つの磁性固定子基板201が第1磁性固定子基板201aであることが示されているが、下の2つの磁性固定子基板は第1磁性固定子基板201aであってもよい。
【0051】
なお、例として、
図1~
図4は固定子20が回転子10の周りに設置されることを示すが、本開示の実施例はこれに限定されず、回転子10は固定子20の周りに設置されてもよい。
【0052】
たとえば、本開示の実施例では、回転子10と固定子20は互いに間隔をあけており、さらに、たとえば、磁気浮上装置の正常動作状態では、回転子110と固定子20は互いに間隔をあけており、回転子10と固定子20は互いに接触せず、それによって機械的摩擦による発熱、汚染等の一連の問題を回避する。たとえば、固定子20と回転子10が互いに間隔をあけている場合、固定子20と回転子10間の隙間には、必要に応じてほかの構造を設置してもよいし、ほかの構造を設置せずに固定子20と回転子10は空隙のみを介して隔てられるようにしてもよい。
【0053】
たとえば、本開示の実施例では、少なくとも3つの磁性固定子基板201は固定子20の軸方向Zにおいて互いに間隔をあけていることで、固定子20の軸方向Zにおいて少なくとも2つの隙間201’を画定し、この場合、たとえば、磁性固定子基板201の数はNであり、N≧3であり、磁性固定子基板201により画定される隙間201’の数はN-1である。
【0054】
たとえば、本開示の実施例では、固定子20の軸方向Zにおいて永久磁石202とマグネタイザー203は少なくとも2つの隙間201’内に交互に設置され、つまり、隣接する2つの隙間201’について、一方の隙間201’内には永久磁石202が設置され、他方の隙間201’内にはマグネタイザー203が設置される。
図4に示すように、固定子20の軸方向Zにおいて永久磁石202とマグネタイザー203が少なくとも2つの隙間201’内に交互に設置されることで、任意の隣接する2つの磁性固定子基板201において回転子10に作用する閉磁気回路を形成することができ、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれは回転子10に作用力を印加することができ、第1磁性固定子基板201aの数の制御性を確保するとともに、第1磁性固定子基板201aと少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比の制御性を確保する。なお、本開示の実施例では、1つの隙間201’内に永久磁石202が設置されるかマグネタイザー203が設置され、それにより少なくとも3つの磁性固定子基板201のうち任意の隣接する2つの磁性固定子基板201は直接接触しない。
【0055】
たとえば、本開示の実施例では、回転子1は磁性材料からなり、磁性材料の例として、永久磁石材料又は強磁性材料が挙げられるが、これらに限定されない。よりさらに、たとえば、該強磁性材料は透磁率が真空透磁率よりも遥かに大きい軟磁性材料であり、その例として、鉄、コバルト、ニッケル及びその合金、炭素鋼、ケイ素鋼、工業用純鉄が挙げられるが、これらに限定されない。永久磁石材料の例として、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン、フェライトが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、
図9Aに示すように、回転子10の上面に支持構造102が設置され、回転子10が支持する物品は支持構造102に配置され得る。たとえば、回転子10は加工対象の半導体ウエハを支持することに用いられ、該半導体ウエハは支持解構造102に配置される。
【0056】
たとえば、本開示の実施例では、少なくとも3つの磁性固定子基板201は磁性材料からなり、さらに、たとえば、該磁性材料は強磁性材料であり、よりさらに、たとえば、該強磁性材料は透磁率が真空透磁率よりも遥かに大きい軟磁性材料であり、その例として、鉄、コバルト、ニッケル及びその合金、炭素鋼、ケイ素鋼、工業用純鉄が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、少なくとも3つの磁性固定子基板201の材料は同じであってもよいし、異なってもよい。少なくとも3つの磁性固定子基板201の材料は同じであることで、磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化することができる。たとえば、
図9Bに示すように、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれの基板本体2011はリングである。たとえば、
図9Bに示すように、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれは複数の突出部2012を含み、各突出部2012は基板本体2011に接続され、各突出部2012に磁気浮上コイル2012cが巻き付けられる。たとえば、
図9Bに示すように、複数の突出部2012は基板本体2011の内側周方向に等間隔で設置される。たとえば、
図9Bに示すように、基板本体2011の内側周方向における複数の突出部2012のサイズは互いに等しい。たとえば、同一の磁性固定子基板201に含まれる複数の突出部2012は固定子20の軸方向Zにおいて同じ高さで設置され、より具体的には、同一の磁性固定子基板201に含まれる複数の突出部2012の上面は固定子20の軸方向Zにおいて同一平面上にあり、同一の磁性固定子基板201に含まれる複数の突出部2012の下面は固定子20の軸方向Zにおいて同一平面上にある。たとえば、固定子20の軸方向Zにおいて複数の突出部2012の任意の2つの間に永久磁石202及びマグネタイザー203が設置されていないと、該複数の突出部2012は同一の磁性固定子基板201に属する。なお、
図9Bにおいて、例として、同一の磁性固定子基板201が3つの突出部2012を含むことが示されているが、本開示の実施例はこれに限定されず、同一の磁性固定子基板201は任意数の突出部2012を含んでもよく、場合によって柔軟に設計することができる。なお、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれに含まれる突出部2012の数は同じであってもよいし、異なってもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。たとえば、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれに含まれる突出部2012の数は同じであり、それによって磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化する。
【0057】
たとえば、本開示の実施例では、永久磁石202は永久磁石材料からなり、永久磁石材料の例として、サマリウムコバルト、ネオジウム鉄ボロン、フェライトが挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、
図9Cに示すように、永久磁石202はリングである。たとえば、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれの基板本体2011と永久磁石202の径方向のサイズは同じであり、それにより基板本体2011と永久磁石202は固定子20の軸方向Zにおいて完全に重なる。
【0058】
たとえば、本開示の実施例では、マグネタイザー203は磁性材料からなってもよく、さらに、たとえば、該磁性材料は強磁性材料であり、よりさらに、たとえば、該強磁性材料は透磁率が真空透磁率よりも遥かに大きい軟磁性材料であり、その例として、鉄、コバルト、ニッケル及びその合金、炭素鋼、ケイ素鋼、工業用純鉄が挙げられるが、これらに限定されない。たとえば、
図9Dに示すように、マグネタイザー203はリングである。たとえば、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれの基板本体2011とマグネタイザー203の径方向のサイズは同じであり、それにより基板本体2011とマグネタイザー203は固定子20の軸方向Zにおいて完全に重なる。たとえば、基板本体2011、永久磁石202及びマグネタイザー203の三者は固定子20の軸方向Zにおいて完全に重なる。
【0059】
図1~
図4において、例として、磁気浮上装置は3つの磁性固定子基板201を含み、該3つの磁性固定子基板201は2つの隙間201’を画定し、永久磁石202は2つの隙間201’の一方内に設置され、マグネタイザー203は2つの隙間201’の他方内に設置され、3つの磁性固定子基板201のうちの2つは第1磁性固定子基板201aである。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、磁性固定子基板201の数は4つ、5つ、6つ以上であってもよく、それに対応し、隙間201’の数も磁性固定子基板201の数に応じて変化し、永久磁石202とマグネタイザー203は交互に設置される。なお、
図4において、永久磁石202のN極は上にあり、S極は下にあるが、本開示の実施例はこれに限定されず、永久磁石202のN極は下にあり、S極は上にあるようにしてもよい。
【0060】
図5は本開示の実施例に係る磁気浮上装置の斜視模式
図2であり、
図6は
図5に示す磁気浮上装置の分解模式図であり、
図7は
図5に示す磁気浮上装置における磁性固定子基板の突出部と回転子のフランジとの相互作用の模式図であり、
図8は
図5に示す磁気浮上装置の磁力線の模式
図1である。たとえば、
図8は
図5のA-A線に沿って切断された回転子10、磁性固定子基板201、永久磁石202及びマグネタイザー203の断面図である。
図5~
図8に示すように、磁気浮上装置は4つの磁性固定子基板201を含み、該4つの磁性固定子基板201は3つの隙間201’を画定し、永久磁石202とマグネタイザー203は隙間201’内に交互に設置され、4つの磁性固定子基板201のうちの3つは第1磁性固定子基板201aである。
【0061】
なお、
図5~
図8に示すように、4つの磁性固定子基板201のうちの3つは第1磁性固定子基板201aであり、しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、4つの磁性固定子基板201はいずれも第1磁性固定子基板201aであってもよく、4つの磁性固定子基板201のうちの2つは第1磁性固定子基板201aであってもよく、これら2種の場合はいずれも第1磁性固定子基板201aの数と少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比が50%以上であることを満たす。
【0062】
なお、
図5~
図8に示すように、最上部の2つの磁性固定子基板201及び最下部の磁性固定子基板201は第1磁性固定子基板201aであり、しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、4つの磁性固定子基板201のうち任意の3つの又は任意の2つの磁性固定子基板201は第1磁性固定子基板201aであってもよい。
【0063】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子20の軸方向Zにおいて、少なくとも2つの隙間201’のうち上から奇数番目の隙間201’内には永久磁石202が設置され、上から偶数番目の隙間201’内にはマグネタイザー203が設置される。このようにして、永久磁石202の数はマグネタイザー203の数以上であり、回転子10に対する固定子20の作用力を高める。
【0064】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、永久磁石202はそれに隣接する磁性固定子基板201と直接接触する。しかし、本開示の実施例はこれに限定されない。
図18は
図5に示す磁気浮上装置の磁力線の模式
図2である。
図18に示すように、永久磁石202はそれに隣接する磁性固定子基板201と空隙をあけているか、又は永久磁石202とそれに隣接する磁性固定子基板201との間に磁化シート204が挿設され、これら2種の場合、永久磁石202のサイズと隙間201’のサイズは厳密に一致する必要がなく、それによって本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工精度の要件を大幅に低下させる。永久磁石202がそれに隣接する磁性固定子基板201と直接接触せずそれらの間に空隙がある場合、該空隙内に磁化シート204を挿入してもよく、閉磁場に影響することなく該空隙内に磁化シート204を挿入しなくてもよく、実際の状況に応じて柔軟に対応できる。
【0065】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、マグネタイザー203はそれに隣接する磁性固定子基板201と直接接触する。しかし、本開示の実施例はこれに限定されない。
図18に示すように、マグネタイザー203はそれに隣接する磁性固定子基板201と空隙をあけているか、又はマグネタイザー203とそれに隣接する磁性固定子基板201との間に磁化シート204が挿設され、これら2種の場合、マグネタイザー203のサイズと隙間201’のサイズは厳密に一致する必要がなく、それによって本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工精度の要件を大幅に低下させる。マグネタイザー203がそれに隣接する磁性固定子基板201と直接接触せずそれらの間に空隙がある場合、該空隙内に磁化シート204を挿入してもよく、閉磁場に影響することなく該空隙内に磁化シート204を挿入しなくてもよく、実際の状況に応じて柔軟に対応できる。
【0066】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子20の軸方向Zにおいて、少なくとも3つの磁性固定子基板201は等間隔で設置され、このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化するとともに、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の制御操作を簡略化することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子20の軸方向Zにおいて、少なくとも3つの磁性固定子基板201は不等間隔で設置されてもよい。
【0067】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子20の軸方向Zにおいて、永久磁石202の厚さはマグネタイザー203の厚さに等しく、このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化するとともに、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の制御操作を簡略化することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子20の軸方向Zにおいて、永久磁石202の厚さはマグネタイザー203の厚さに等しくなくてもよい。
【0068】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子20の軸方向Zにおいて、少なくとも3つの磁性固定子基板201の厚さは互いに同じであり、このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化するとともに、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の制御操作を簡略化することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子20の軸方向Zにおいて、少なくとも3つの磁性固定子基板201の厚さは互いに異なってもよい。
【0069】
たとえば、
図1~
図8に示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、少なくとも3つの磁性固定子基板201は第2磁性固定子基板201bをさらに含み、第2磁性固定子基板201bの突出部2012とそれに巻き付けられる磁気浮上コイル2012cは回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力を印加し、第1磁性固定子基板201aの数は第2磁性固定子基板201bの数以上である。第2磁性固定子基板201bが設置され、第2磁性固定子基板201bの突出部2012とそれに巻き付けられる磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力を印加することで、上向きの力と下向きの力との合力の作用下で固定子20の軸方向Zにおいて回転子10の位置を調整することができ、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の柔軟性を高める。第1磁性固定子基板201aの数が第2磁性固定子基板201bの数以上であることで、第1磁性固定子基板201aの数と3つの磁性固定子基板201の総数との比が50%よりも大きいことを確保でき、それによって磁気浮上装置は十分な軸方向支持力を提供して回転子10の重力及び回転子10が支持又はプルする物品の重力を平衡させることが可能であることを確保し、回転子10自体の質量が大きい場合及び/又は回転子10が質量の大きな物品を支持又はプルする場合でも、回転子10はそれ自体の重力の作用及びそれが支持又はプルする物品の重力により不安定になることなく安定して回転及び浮上することができる。
【0070】
たとえば、第2磁性固定子基板201bの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流の大きさは調整可能であり、それにより第2磁性固定子基板201bの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に印加する固定子20の軸方向Z下向きの力の大きさは調整可能である。このようにして、実際の状況に応じて固定子20の軸方向Zにおいて回転子の位置をリアルタイムに調整することができ、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の動作の柔軟性を向上させる。
【0071】
たとえば、本開示の実施例では、第1磁性固定子基板201aの数は少なくとも2つであり、第2磁性固定子基板201bの数は少なくとも1つであることで、第1磁性固定子基板201aの数が第2磁性固定子基板201bの数よりも大きいことを確保する。それによって、固定子20の軸方向Zにおける回転子10の位置の調整可能性を確保するとともに、磁気浮上装置は十分な軸方向支持力を提供して回転子10の重力及び回転子10が支持又はプルする物品の重力を平衡させることが可能であることを確保する。
【0072】
たとえば、本開示の実施例では、第2磁性固定子基板201bの数は1つである。この場合、1つの磁性固定子基板は第2磁性固定子基板201bとして機能し、残りの磁性固定子基板はいずれも第1磁性固定子基板201aとして機能し、それによって磁気浮上装置はより十分な軸方向支持力を提供して質量のより大きな回転子10の重力及び回転子10が支持又はプルする質量のより大きな物品の重力を平衡させることができる。
【0073】
なお、本開示の実施例では、少なくとも3つの磁性固定子基板201は第1磁性固定子基板201aとして機能しないだけでなく第2磁性固定子基板201bとしても機能しない磁性固定子基板をさらに含み、つまり、このような磁性固定子基板は回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加しないだけでなく、回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力も印加しない。たとえば、このような磁性固定子基板に磁気回転コイルが設置される。
【0074】
たとえば、
図5~
図8に示すように、本開示の実施例では、少なくとも3つの磁性固定子基板201の数は4つ以上であり、固定子20の軸方向Zにおいて、隣接する2つの永久磁石202の互いに対向する表面の磁性は同じであり、このようにして、任意の隣接する2つの磁性固定子基板201において回転子10に作用する閉磁気回路を形成することができ、それによって少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれは回転子10に作用力を印加することができ、第1磁性固定子基板201aの数の制御性を確保するとともに、第1磁性固定子基板201aと少なくとも3つの磁性固定子基板201の総数との比の制御性を確保する。例として、
図5において、隣接する2つの永久磁石202の互いに対向する表面の磁性は同じであり、いずれもN極であることが示される。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、隣接する2つの永久磁石202の互いに対向する表面の磁性は同じであり、いずれもS極である。なお、「隣接する2つの永久磁石202」とは、該2つの永久磁石202の間にほかの永久磁石202がないことであるが、該2つの永久磁石202の間にはたとえば磁性固定子基板201及びマグネタイザー203など永久磁石202以外のほかの部材が設置されてもよい。
【0075】
たとえば、
図5~
図8に示すように、本開示の実施例では、固定子20は少なくとも2つの永久磁石202を含み、少なくとも2つの永久磁石202の磁場強度は互いに等しく、このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化するとともに、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の制御操作を簡略化することができる。
【0076】
たとえば、
図1~
図8及び
図9Aに示すように、本開示の実施例では、回転子10は、回転子本体100、及び回転子本体100から固定子20へ突出する少なくとも3つのフランジ101を含み、少なくとも3つの磁性固定子基板201と少なくとも3つのフランジ101は同数であり、互いに1対1で対応し、少なくとも3つのフランジ101は第1磁性固定子基板201aに対応する第1フランジ101aを含み、固定子20の軸方向Zにおける第1磁性固定子基板201aの突出部2012の中線は固定子20の軸方向Zにおける第1フランジ101aの中線よりも高い。固定子20の軸方向Zにおける第1磁性固定子基板201aの突出部2012の中線は固定子20の軸方向Zにおける第1フランジ101aの中線よりも高いことで、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加することを確保できる。たとえば、第1磁性固定子基板201aの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流を調整し、及び/又は第2磁性固定子基板201bの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流を調整することによって、固定子20の軸方向Zにおける第1磁性固定子基板201aの突出部2012の中線と固定子20の軸方向Zにおける第1フランジ101aの中線との相対関係を調整することができる。
【0077】
たとえば、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、固定子20の軸方向Zにおける少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれの厚さは固定子20の軸方向Zにおける少なくとも3つのフランジ101のそれぞれの厚さに等しくてもよく、このようにして、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の加工プロセスを簡略化するとともに、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の制御操作を簡略化することができる。しかし、本開示の実施例はこれに限定されず、固定子20の軸方向Zにおける少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれの厚さは固定子20の軸方向Zにおける少なくとも3つのフランジ101のそれぞれの厚さに等しくなくてもよい。
【0078】
図10A-
図10B、
図11A-
図11B、
図12A-
図12B及び
図13A-
図13Bはそれぞれ本開示の実施例に係る磁気浮上装置における第1磁性固定子基板201aの突出部2012と回転子10の第1フランジ101aとの位置関係を示し、これらの図において、固定子20の軸方向Zにおける第1磁性固定子基板201aの突出部2012の中線及び固定子20の軸方向Zにおける回転子10の第1フランジ101aの中線は一点鎖線で示される。
【0079】
たとえば、本開示の実施例では、固定子20の軸方向Zにおける第1磁性固定子基板201aの突出部2012の中線が固定子20の軸方向Zにおける回転子10の第1フランジ101aの中線よりも高いことは、以下の場合のいずれか1つを含む。場合(1):固定子20の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板201aの突出部2012の上面は第1フランジ101aの上面よりも高く、且つ第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面は第1フランジ101aの上面よりも高いか(
図10A参照)又は第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面は第1フランジ101aの上面と同じ高さである(
図10B参照)。場合(2):固定子20の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板201aの突出部2012の上面は第1フランジ101aの上面よりも高いか(
図11A参照)又は第1フランジ101aの上面と同じ高さであり(
図11B参照)、第1フランジ101aの下面は第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面よりも低く、且つ第1フランジ101aの上面は第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面よりも高い。場合(3):固定子20の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板201aの突出部2012の上面は第1フランジ101aの上面よりも高く、且つ第1フランジ101aの下面は第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面よりも高いか(
図12A参照)又は第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面と同じ高さである(
図12B)。場合(4):固定子20の軸方向Zにおいて、第1磁性固定子基板201aの突出部2012の上面は第1フランジ101aの上面と同じ高さであるか(
図13A参照)又は第1フランジ101aの上面よりも低く(
図13B参照)、且つ第1磁性固定子基板201aの突出部2012の下面は第1フランジ101aの下面よりも高い。
【0080】
たとえば、本開示の実施例では、
図11Aに示すように、上記場合(2)において、第1磁性固定子基板201aの突出部2012の上面と第1フランジ101aの上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは固定子20の軸方向Zにおける第1フランジ101aのサイズであり、この場合、固定子20は回転子10を安定して制御し、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加することを安定して確保するとともに、回転子10が安定して回転及び浮上することを確保することができる。よりさらに、H≦1/5Haであり、第1磁性固定子基板201aの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z上向きの力を印加することをより安定して確保するとともに、回転子10が安定して回転及び浮上することを確保することができる。
【0081】
たとえば、
図1~
図8及び
図9Aに示すように、本開示の実施例では、少なくとも3つのフランジ101は第2磁性固定子基板201bに対応する第2フランジ101bを含み、固定子20の軸方向Zにおける第2フランジ101bの中線は固定子20の軸方向Zにおける第2磁性固定子基板201bの突出部2012の中線よりも高い。このようにして、第2磁性固定子基板201bの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力を印加することを確保できる。たとえば、第1磁性固定子基板201aの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流を調整し、及び/又は第2磁性固定子基板201bの突出部2012に巻き付けられる磁気浮上コイル2012cにおける電流を調整することによって、固定子20の軸方向Zにおける第2磁性固定子基板201bの突出部2012の中線と固定子20の軸方向Zにおける第2フランジ101bの中線との相対関係を調整することができる。
【0082】
図14A-
図14B、
図15A-
図15B、
図16A-
図16B及び
図17A-
図17Bはそれぞれ本開示の実施例に係る磁気浮上装置における回転子10の第2フランジ101bと第2磁性固定子基板201bの突出部2012との位置関係を示し、これらの図において、固定子20の軸方向Zにおける第2磁性固定子基板201bの突出部2012の中線及び固定子20の軸方向Zにおける回転子10の第2フランジ101bの中線は一点鎖線で示される。
【0083】
たとえば、本開示の実施例では、固定子20の軸方向Zにおける回転子10の第2フランジ101bの中線が固定子20の軸方向Zにおける第2磁性固定子基板201bの突出部2012の中線よりも高いことは、いかの場合のいずれか1つを含む。場合(1):固定子20の軸方向Zにおいて、第2フランジ101bの上面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも高く、且つ第2フランジ101bの下面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも高いか(
図14A参照)又は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面と同じ高さである(
図14B参照)。場合(2):固定子20の軸方向Zにおいて、第2フランジ101bの上面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも高いか(
図15A参照)又は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面と同じ高さであり(
図15B参照)、第2磁性固定子基板201bの突出部2012の下面は第2フランジ101bの下面よりも低く、第2フランジ101bの下面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも低い。場合(3):固定子20の軸方向Zにおいて、第2フランジ101bの上面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも高く、且つ第2磁性固定子基板201bの突出部2012の下面は第2フランジ101bの下面よりも高いか(
図16A参照)又は第2フランジ101bの下面と同じ高さである(
図16B参照)。場合(4):固定子20の軸方向Zにおいて、第2フランジ101bの上面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面と同じ高さであるか(
図17A参照)又は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面よりも低く(
図17B参照)、且つ第2フランジ101bの下面は第2磁性固定子基板201bの突出部2012の下面よりも高い。
【0084】
たとえば、本開示の実施例では、
図15Aに示すように、上記場合(2)において、第2フランジ101bの上面と第2磁性固定子基板201bの突出部2012の上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは固定子の軸方向Zにおける第2フランジ101bのサイズであり、この場合、固定子20は回転子10を安定して制御し、第2磁性固定子基板201bの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力を印加することを安定して確保するとともに、回転子10が安定して回転及び浮上することを確保することができる。よりさらに、H≦1/5Haであり、第2磁性固定子基板201bの突出部2012と磁気浮上コイル2012cが回転子10に固定子20の軸方向Z下向きの力を印加することをより安定して確保するとともに、回転子10が安定して回転及び浮上することを確保することができる。
【0085】
たとえば、本開示の実施例では、
図11A及び
図15Aに示すように、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれとそれに対応するフランジ101との固定子20の径方向の距離はLであり、固定子20の軸方向Zにおける少なくとも2つの隙間201’のそれぞれのサイズはLの少なくとも3倍であることで、固定子20は回転子10をより安定して制御することができる。たとえば、よりさらに、固定子20の軸方向Zにおける少なくとも2つの隙間201’のそれぞれのサイズはLの少なくとも5倍である。たとえば、よりさらに、固定子20の軸方向Zにおける少なくとも2つの隙間201’のそれぞれのサイズはLの少なくとも10倍である。たとえば、固定子20の径方向は固定子20の軸方向Zと垂直である。
【0086】
たとえば、本開示の実施例では、
図11A及び
図15Aに示すように、少なくとも3つの磁性固定子基板201のそれぞれとそれに対応するフランジ101との固定子20の径方向の距離はLであり、L≦Haであり、Haは固定子20の軸方向Zにおけるフランジ101のサイズであることで、固定子20は回転子10をより安定して制御することができる。よりさらに、たとえば、L≦1/2Ha。
【0087】
図9Eは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁性固定子基板の斜視模式
図2であり、
図9Fは本開示の実施例に係る磁気浮上装置の磁気回転コイルの斜視模式
図1である。たとえば、
図2、
図6及び
図9E-
図9Fに示すように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置では、少なくとも3つの磁性固定子基板201のうちの少なくとも1つの磁性固定子基板201は複数の歯部2013を含み、該複数の歯部2013は基板本体2011に接続され、該複数の歯部2013は回転子10に向けて永久磁石202及びマグネタイザー203から突出し、各歯部2013に磁気回転コイル2013cが巻き付けられる。たとえば、磁気回転コイル2013cに電流が流れている。歯部2013及びそれに巻き付けられる磁気回転コイル2013cの作用下で回転子10が回転する。たとえば、磁気回転コイル2013cにおける電流の大きさは調整可能であることで、それにより回転子10の回転数は調整可能であり、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の動作の柔軟性を高める。歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む該少なくとも1つの磁性固定子基板201は磁気回転と磁気浮上の機能を兼ね備える。たとえば、磁気浮上コイル2012cは磁気回転コイル2013cよりも回転子10から離れている。磁気浮上コイル2012cの周方向ピッチは磁気回転コイル2012cの周方向ピッチよりも大きく、従って、磁気浮上コイル2012cは磁気回転コイル2013cよりも回転子10から離れて設置され、それによって磁気浮上コイル2012cの磁場分布に対する磁気回転コイル2013cの影響を回避することができる。たとえば、複数の歯部2013は突出部2012の回転子10を向く端部に設置される。
【0088】
たとえば、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む少なくとも1つの磁性固定子基板201は第1磁性固定子基板201aであってもよいし、第2磁性固定子基板201bであってもよいし、第1磁性固定子基板201aでも第2磁性固定子基板201bでもなくてもよく、本開示の実施例はこれを限定しない。たとえば、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は、上記少なくとも3つの磁性固定子基板に加えて、もう1つの磁性固定子基板を含み、該もう1つの磁性固定子基板は突出部2012及び磁気浮上コイル2012cを含まず、歯部2013及び磁気回転コイル2013cのみを含むことで、該もう1つの磁性固定子基板は磁気回転機能のみを有する。
【0089】
たとえば、本開示の実施例では、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む少なくとも1つの磁性固定子基板201は1つであり、且つ少なくとも3つの磁性固定子基板201のうち固定子20の軸方向Zにおいて最上層又は最下層に位置する磁性固定子基板201であり、この場合、固定子20の加工が容易になる。
【0090】
たとえば、本開示の実施例では、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む少なくとも1つの磁性固定子基板201は1つであり、且つ少なくとも3つの磁性固定子基板201のうち固定子20の軸方向Zにおいて中間層に位置する磁性固定子基板201であり、この場合、固定子20が回転子10に印加する回転力は固定子20の軸方向Zにおける回転子10の略中部に位置し、それにより回転子10の回転はより安定する。
【0091】
たとえば、本開示の実施例では、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む少なくとも1つの磁性固定子基板201は偶数であり、固定子20の軸方向Zにおいて固定子20の中線に対して対称に設置され、この場合、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む偶数の磁性固定子基板201は固定子20の軸方向Zにおいて対称に設置され、それにより回転子10の回転はより安定する。たとえば、本開示の実施例では、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む少なくとも1つの磁性固定子基板201は1よりも大きい奇数であり、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む1つの磁性固定子基板201は上記少なくとも3つの磁性固定子基板201のうち固定子20の軸方向Zにおいて中間層に位置する磁性固定子基板201であり、歯部2013及び磁気回転コイル2013cを含む残りの磁性固定子基板201は固定子20の軸方向Zにおいて固定子20の中線に対して対称に設置され、それにより回転子10の回転はより安定する。
【0092】
たとえば、
図2、
図6及び
図9Aに示すように、本開示の実施例では、回転子10は回転子本体100、及び回転子本体100から固定子20へ突出する少なくとも3つのフランジ101を含み、少なくとも3つの磁性固定子基板201と少なくとも3つのフランジ101は同数であり、互いに1対1で対応し、上記少なくとも1つの磁性固定子基板201に対応するフランジ101の上記少なくとも1つの磁性固定子基板201を向く端部に複数の歯部103を有し、この場合、歯部2013及び磁気回転コイル2013cは回転力を回転子10によりよく印加して回転子10を効率的に回転させることができる。
【0093】
本開示の実施例では、上記磁気浮上装置を含む半導体加工機器をさらに提供する。
【0094】
半導体加工の分野では、処理対象の半導体ウエハ又はほかの半導体部材は、急速熱処理(RTP、rapidthermalprocessing)、気相成長(たとえば、金属有機物化学気相成長(MOCVD、MetalOrganicChemicalVaporDeposition))、スパッタリング、洗浄、フォトレジスト塗布、エッチング、測定等の半導体工程を経ることとなる。これらの半導体工程では、脆弱なシリコンウエハ又はほかの半導体材料ウエハ又はほかの半導体部材は、制御された超清浄な雰囲気下で加工処理される必要があり、該雰囲気は、たとえば、真空、不活性ガス又はプロセスガスである。大気中のミクロ汚染物質は、処理対象の半導体ウエハ又はほかの半導体部材に直接堆積したり処理ガスとともにウエハ又はほかの半導体部材に堆積したりする可能性があるため、深刻な問題である。ウエハ又はほかの半導体部材上のミクロ粒子はウエハ又はほかの半導体部材の汚染を引き起こし、汚染されたウエハ又はほかの半導体部材からなる半導体製品は欠陥がある。従って、加工対象のウエハ又はほかの半導体部材の清浄度は歩留まりに直接関係し、さらに最終製品のコストに影響を与える。たとえば、半導体加工中、真空又は不活性ガスで充填されたチャネルを使用して複数のチャンバーを接続し、これらのチャンバーは真空チャンバー、又は不活性ガスで充填されたチャンバーであり、特定の半導体工程に専用される。本開示の実施例に係る磁気浮上装置は、回転子と固定子間に接触や機械的摩擦がないため、半導体加工機器に極めて好適である。たとえば、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は半導体加工機器の支持装置として使用される。たとえば、本開示の実施例に係る磁気浮上装置の回転子は回転可能プラットフォームを支持し、該回転可能プラットフォームはさらに処理対象の半導体ウエハ又はほかの半導体部材を支持する。以上のように、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は十分な軸方向支持力を提供することができ、この場合、本開示の実施例に係る磁気浮上装置は質量の大きな回転プラットフォームを支持でき、回転プラットフォームの安定かつ均一な回転を確保し、それによって半導体加工の歩留まりを効果的に確保する。
【0095】
以上、本発明の例示的な実施形態を説明したが、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の保護範囲は添付の特許請求の範囲に定められる。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気浮上装置であって、
回転子と、
前記回転子の周りに設置されるか又は前記回転子が固定子の周りに設置される固定子と、を含み、
前記固定子は少なくとも3つの磁性固定子基板、永久磁石及びマグネタイザーを含み、該少なくとも3つの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において少なくとも2つの隙間を画定するように、前記固定子の軸方向において互いに間隔をあけ、前記固定子の軸方向において前記永久磁石と前記マグネタイザーは前記少なくとも2つの隙間内に交互に設置され、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれは、基板本体、及び基板本体に接続される突出部を含み、前記突出部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、前記突出部に磁気浮上コイルが巻き付けられ、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第1磁性固定子基板を含み、前記第1磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における上向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数と前記少なくとも3つの磁性固定子基板の総数との比は50%以上である磁気浮上装置。
【請求項2】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板は第2磁性固定子基板をさらに含み、前記第2磁性固定子基板の突出部と磁気浮上コイルは前記回転子に前記固定子の軸方向における下向きの力を印加し、前記第1磁性固定子基板の数は前記第2磁性固定子基板の数以上である請求項1に記載の磁気浮上装置。
【請求項3】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板の数は4つ以上であり、
前記固定子の軸方向において、隣接する2つの永久磁石の互いに対向する表面の磁性は同じである請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項4】
前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、
前記少なくとも3つのフランジは前記第1磁性固定子基板に対応する第1フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第1磁性固定子基板の突出部の中線は前記固定子の軸方向における前記第1フランジの中線よりも高い請求項
2に記載の磁気浮上装置。
【請求項5】
前記第1磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線が前記第1フランジの前記軸方向の中線よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さである場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高いか又は前記第1フランジの上面と同じ高さであり、前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも低く、且つ前記第1フランジの上面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合、
(3)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面よりも高く、且つ前記第1フランジの下面は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面よりも高いか又は前記第1磁性固定子基板の突出部の下面と同じ高さである場合、及び
(4)前記固定子の軸方向において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面は前記第1フランジの上面と同じ高さであるか又は前記第1フランジの上面よりも低く、且つ前記第1磁性固定子基板の突出部の下面は前記第1フランジの下面よりも高い場合のいずれか1つを含む請求項
4に記載の磁気浮上装置。
【請求項6】
前記場合(2)において、前記第1磁性固定子基板の突出部の上面と前記第1フランジの上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第1フランジのサイズである請求項
5に記載の磁気浮上装置。
【請求項7】
前記少なくとも3つのフランジは前記第2磁性固定子基板に対応する第2フランジを含み、前記固定子の軸方向における前記第2フランジの中線は前記固定子の軸方向における前記第2磁性固定子基板の突出部の中線よりも高い請求
項4に記載の磁気浮上装置。
【請求項8】
前記第2フランジの前記軸方向の中線が前記第2磁性固定子基板の突出部の前記軸方向の中線よりも高いことは、
(1)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さである場合、
(2)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高いか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであり、前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも低く、前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低い場合、
(3)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも高く、且つ前記第2磁性固定子基板の突出部の下面は前記第2フランジの下面よりも高いか又は前記第2フランジの下面と同じ高さである場合、及び
(4)前記固定子の軸方向において、前記第2フランジの上面は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面と同じ高さであるか又は前記第2磁性固定子基板の突出部の上面よりも低く、且つ前記第2フランジの下面は前記第2磁性固定子基板の突出部の下面よりも高い場合のいずれか1つを含む請求項
7に記載の磁気浮上装置。
【請求項9】
前記場合(2)において、前記第2フランジの上面と前記第2磁性固定子基板の突出部の上面との距離はHであり、H≦4/5Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記第2フランジのサイズである請求項
8に記載の磁気浮上装置。
【請求項10】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、
前記固定子の軸方向における前記少なくとも2つの隙間それぞれのサイズは前記Lの少なくとも3倍である請求
項4に記載の磁気浮上装置。
【請求項11】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のそれぞれとそれに対応するフランジとの前記固定子の径方向の距離はLであり、L≦Haであり、Haは前記固定子の軸方向における前記フランジのサイズである請求
項4に記載の前記磁気浮上装置。
【請求項12】
前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうちの少なくとも1つの磁性固定子基板は複数の歯部を含み、該複数の歯部は前記基板本体に接続され、該複数の歯部は前記回転子に向けて前記永久磁石及び前記マグネタイザーから突出し、各歯部に磁気回転コイルが巻き付けら
れ、
前記磁気浮上コイルは前記磁気回転コイルよりも前記回転子から離れ、
前記複数の歯部は前記突出部の前記回転子を向く端部に設置される請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項13】
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において最上層又は最下層に位置する磁性固定子基板であ
り、
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1つであり、且つ前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板である請求
項12に記載の磁気浮上装置。
【請求項14】
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は偶数であり、前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置されるか、又は
前記少なくとも1つの磁性固定子基板は1よりも大きい奇数であり、1つの磁性固定子基板は前記少なくとも3つの磁性固定子基板のうち前記固定子の軸方向において中間層に位置する磁性固定子基板であり、残りの磁性固定子基板は前記固定子の軸方向において前記固定子の中線に対して対称に設置される請求
項12に記載の磁気浮上装置。
【請求項15】
前記回転子は回転子本体、及び前記回転子本体から前記固定子へ突出する少なくとも3つのフランジを含み、
前記少なくとも3つの磁性固定子基板と前記少なくとも3つのフランジは同数であり、互いに1対1で対応し、
前記少なくとも1つの磁性固定子基板に対応するフランジの前記少なくとも1つの磁性固定子基板を向く端部は複数の歯部を有する請求
項12に記載の磁気浮上装置。
【請求項16】
前記第1磁性固定子基板の数は少なくとも2つであり、前記第2磁性固定子基板の数は少なくとも1つである請求項
2に記載の磁気浮上装置。
【請求項17】
前記固定子の軸方向において、少なくとも2つの隙間のうち上から奇数番目の隙間内には前記永久磁石が設置され、上から偶数番目の隙間内には前記マグネタイザーが設置される請求項
1に記載の前記磁気浮上装置。
【請求項18】
前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記永久磁石はそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記永久磁石とそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項19】
前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と直接接触するか、又は前記マグネタイザーはそれに隣接する磁性固定子基板と空隙をあけているか、又は前記マグネタイザーとそれに隣接する磁性固定子基板との間に磁化シートが挿設される請求項
1に記載の磁気浮上装置。
【請求項20】
請求項
1に記載の磁気浮上装置を含む半導体加工機器。
【国際調査報告】