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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】リフト装置および勾配制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60L 7/22 20060101AFI20240920BHJP
   B66F 11/04 20060101ALI20240920BHJP
   B60T 7/12 20060101ALI20240920BHJP
   B60T 8/17 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B60L7/22
B66F11/04
B60T7/12 F
B60T8/17 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516562
(86)(22)【出願日】2021-12-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021065420
(87)【国際公開番号】W WO2023043472
(87)【国際公開日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】17/475,788
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512301190
【氏名又は名称】テレックス サウスダコタ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】ファング・ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】ダッラネーゼ・ジュリオ
(72)【発明者】
【氏名】サンチリコ・ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ケース・マーク
(72)【発明者】
【氏名】クラーク・ブライアン・エム
【テーマコード(参考)】
3D246
3F333
5H125
【Fターム(参考)】
3D246BA01
3D246BA08
3D246DA01
3D246DA02
3D246EA05
3D246EA20
3D246FA03
3D246GB33
3D246GC16
3D246HA93A
3D246HB07A
3D246JA02
3D246JB02
3D246JB11
3D246KA01
3D246LA15Z
3F333AA08
3F333AB03
3F333AC02
3F333BA01
3F333BD02
3F333CA11
3F333DB07
3F333FA31
3F333FA32
5H125AA12
5H125AA13
5H125AC12
5H125BA09
5H125BC14
5H125CB02
5H125CB05
5H125DD19
5H125EE08
5H125EE09
5H125EE62
(57)【要約】
リフト装置およびリフト装置の制御方法が提供される。リフト装置は、シャーシに対するリフトプラットフォームを支持するリフト機構を有する。電気モータが牽引装置に駆動連結され、牽引バッテリーが電気モータと電気接続している。ユーザ入力部は、要求速度を入力することによってリフト装置の速度を制御するために提供される。コントローラは、リフト装置が非ゼロの勾配にあり、要求速度が所定の速度より大きい場合に応答して、電気モータに制動トルクを出力し、牽引バッテリーに電力を供給するように命令し、リフト装置の速度を所定の速度に制限するように構成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフト装置であって、
シャーシと、
前記シャーシに対するリフトプラットフォームを支持するリフト機構と、
基礎表面上で、前記シャーシを支持する複数の牽引装置と、
前記複数の牽引装置の少なくとも1つに駆動連結された電気モータと、
前記電気モータと電気接続する牽引バッテリーと、
要求速度を入力することで前記リフト装置の速度を制御するユーザ入力部と、
前記リフト装置が非ゼロの勾配にあり、前記要求速度が所定の速度より大きい場合に応答して、前記電気モータに制動トルクを出力し、前記牽引バッテリーに電力を供給するように命令し、前記リフト装置の速度を前記所定の速度に制限するように構成されるコントローラと、
を備える、リフト装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記複数の牽引装置の少なくとも1つに関連する駐車ブレーキをさらに備え、
前記コントローラは、前記非ゼロの勾配上にある間に前記リフト装置を前記所定の速度に維持するには前記制動トルクが不十分であることに応答して、前記リフト装置を停止させるために前記駐車ブレーキを作動させるように命令する、リフト装置。
【請求項3】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記リフト装置の速度が閾値より大きい場合に、前記制動トルクを出力し、前記リフト装置の速度を前記所定の速度に制限するよう前記電気モータに命令するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項4】
請求項1に記載のリフト装置において、
油圧回路と、ポンプモータと、をさらに備え、
前記油圧回路は、ポンプ、圧力ギャレー、戻りラインおよびバルブを有し、
前記バルブは、前記圧力ギャレー内の圧力を制御し、前記圧力ギャレーを戻りラインに流体接続し、
前記ポンプモータは、前記ポンプに駆動接続され、前記牽引バッテリーに電気接続され、
前記コントローラは、前記電気モータが前記制動トルクを出力し、前記牽引バッテリーに電力を供給している間に、バッテリーパラメータが所定の範囲外であることに応答して、前記ポンプの流量を増加させ、前記バルブの開口の大きさを減少させるよう前記バルブを制御し、前記圧力ギャレー内の圧力を増加させ、それにより、前記牽引バッテリーへの電力を減少させるようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項5】
請求項4に記載のリフト装置において、
前記油圧回路が、前記圧力ギャレーと前記戻りラインとを流体接続するように配置されたアクチュエータを有し、前記アクチュエータが前記リフト機構に結合されている、リフト装置。
【請求項6】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記ユーザ入力部がジョイスティックを備える、リフト装置。
【請求項7】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記複数の牽引装置が、サービス・ブレーキ・システムを備えていない、リフト装置。
【請求項8】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記所定の速度が前記勾配に依存する、リフト装置。
【請求項9】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記電気モータの出力トルクが前記電気モータの回転速度に対して逆方向に加えられることに基づいて、前記リフト装置が前記非ゼロの勾配にあることを推測するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項10】
請求項9に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記勾配を前記電気モータの前記出力トルクに比例するものとして推測するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項11】
請求項9に記載のリフト装置において、
前記コントローラが、前記電気モータの前記出力トルクが所定のトルクより大きいことに応答して、前記勾配を推測するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項12】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記シャーシによって支持された多軸慣性センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記多軸慣性センサから前記勾配を示す信号を受信するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項13】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記シャーシによって支持された多軸加速度センサをさらに備え、
前記コントローラは、前記多軸加速度センサから信号を受信し、前記信号から前記勾配を推測するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項14】
請求項13に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記牽引装置の1つの回転速度の変化に基づき、加速度成分を除去することによって前記信号から前記勾配を決定するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項15】
請求項13に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記信号にフィルタを適用することによって前記勾配を推測するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項16】
請求項15に記載のリフト装置において、
前記フィルタが、前記牽引装置の1つの回転速度の変化から決定される加速度成分に基づいて変調される、リフト装置。
【請求項17】
請求項15に記載のリフト装置において、
前記フィルタは指数フィルタであり、前記フィルタの時定数が、前記牽引装置の1つの回転速度の変化から決定される加速度成分に依存する、リフト装置。
【請求項18】
請求項15に記載のリフト装置において、
前記フィルタが単一の指数フィルタである、リフト装置。
【請求項19】
請求項1に記載のリフト装置において、
前記コントローラは、前記非ゼロの勾配が所定の勾配未満であることに応答して、前記リフト装置の前記速度の制限を解除するようにさらに構成される、リフト装置。
【請求項20】
リフト装置を制御する方法であって、
ユーザ入力部から前記リフト装置の要求速度を受信することと、
車輪に接続された電気モータを介して、前記リフト装置を前記要求速度で推進することであって、前記電気モータは牽引バッテリーに電気接続されていることと、
前記リフト装置が非ゼロの勾配にあるときに、前記要求速度が所定の速度より大きいと判定することであって、前記所定の速度が前記勾配に依存することと、
前記リフト装置が前記非ゼロの勾配にある間、前記電気モータに制動トルクを出力させ、前記牽引バッテリーに電力を供給するよう命令することにより、前記リフト装置の速度を前記所定の速度に制限し、前記非ゼロの勾配にある間、前記リフト装置の速度が前記所定の速度を超えた場合、前記リフト装置を停止させるよう駐車ブレーキに命令することと、
を備える、方法。
【請求項21】
推進装置であって、
少なくとも1つの車輪に連結されるよう適合された電気モータと、
前記電気モータと電気接続する牽引バッテリーと、
要求速度を入力することにより、前記少なくとも1つの車輪の速度を制御するユーザ入力部と、
前記装置が非ゼロの勾配にあり、前記要求速度が所定の速度より大きい場合に応答して、前記電気モータに制動トルクを出力し、前記牽引バッテリーに電力を供給するように命令し、前記装置の速度を所定の速度に制限するように構成されるコントローラと、
を備える、推進装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互参照]
本出願は、2021年9月15日に出願された米国出願シリアル番号17/475,788の優先権を主張するものであり、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
様々な実施形態は、電動ドライブトレインを備えたリフト装置またはユーティリティ・ビークル、および勾配上のリフト装置の制御に関する。
【背景技術】
【0003】
電気駆動系を備えたリフト装置は、牽引モータからの回生制動を使用して牽引バッテリーを充電することがある。リフト装置が勾配を越えて下り坂を走行しているとき、牽引モータは、車両を減速させるために制動を提供することがある。牽引モータは、関連する制動トルク制限を有するので、リフト装置の速度および勾配によっては、牽引モータは、車両を指令された速度に制御することができない場合があり、これにより、車両速度が、要求された速度または指令された速度を超えて上昇する場合があり、あるいは、駐車ブレーキが突然設定される場合がある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、リフト装置は、シャーシと、シャーシに対するリフトプラットフォームを支持するリフト機構と、基礎表面上でシャーシを支持する複数の牽引装置とを備えて提供される。電気モータが複数の牽引装置の少なくとも1つに駆動連結され、牽引バッテリーが電気モータと電気接続する。ユーザ入力部は、要求速度を入力することでリフト装置の速度を制御するために提供される。コントローラは、リフト装置が非ゼロの勾配にあり、要求速度が所定の速度より大きい場合に応答して、電気モータに制動トルクを出力し、牽引バッテリーに電力を供給するように命令し、リフト装置の速度を所定の速度に制限するように構成される。
【0005】
別の実施形態では、リフト装置を制御する方法が提供される。ユーザ入力部からリフト装置の要求速度が受信される。リフト装置は、車輪に接続された電気モータを介して要求速度で推進され、電気モータは牽引バッテリーに電気接続される。要求速度は、リフト装置が勾配の上にあるとき、所定の速度より大きいと判定され、所定の速度は勾配に依存する。リフト装置の速度は、リフト装置が勾配の上にある間、制動トルクを出力し、牽引バッテリーに電力を供給するように電気モータに命令することにより、所定の速度に制限される。リフト装置の速度が勾配の上にある間、所定の速度を超えた場合、リフト装置を停止させるために駐車ブレーキが作動するように命令される。
【0006】
一実施形態では、少なくとも1つの車輪に連結されるよう適合された電気モータと、電気モータと電気接続する牽引バッテリーと、要求速度を入力することにより、少なくとも1つの車輪の速度を制御するユーザ入力部とを備える推進装置が提供される。コントローラは、装置が非ゼロの勾配にあり、要求速度が所定の速度より大きい場合に応答して、電気モータに制動トルクを出力し、牽引バッテリーに電力を供給するように命令し、装置の速度を所定の速度に制限するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態によるリフト装置の透視図である。
【0008】
図2図2は、第2の実施形態によるリフト装置の透視図である。
【0009】
図3図3は、図1または図2のリフト装置の概略図である。
【0010】
図4図4は、図1または図2のリフト装置の油圧回路図である。
【0011】
図5図5は、実施形態によるリフト装置の制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
必要に応じて、本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されているが、開示された実施形態は、様々な代替形態で具体化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。図は必ずしも縮尺通りではなく、一部の特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されている場合がある。したがって、本明細書に開示された特定の構造的および機能的な詳細は、限定的なものとして解釈されるものではなく、単に、本発明を様々に採用することを当業者に教示するための代表的な基礎として解釈されるものである。
【0013】
図1は、第1の実施形態による、本開示と共に使用するためのリフト装置10またはユーティリティビークル10を示す。リフト装置またはユーティリティビークルは、商業的または工業的環境で使用され、可搬式資材リフト、空中作業プラットフォーム、テレハンドラ、シザーリフト、不整地伸縮式ロードハンドラ、および伸縮・関節式ブームを含むリフト装置を含み得る。図1では、リフト装置10は、非限定的な実施例による伸縮ブームとして図示されている。
【0014】
リフト装置10は、図3に関して後述するように、車両を推進する電気推進システムを有している。リフト装置10はまた、リフト装置のリフトプラットフォームなどの作業機能、およびステアリングなどの他の車両システムを作動させる電気式またはハイブリッド式の油圧システムを有しており、図4に関して以下に説明する。あるいは、作業機能は、例えば、油圧システムまたは回路を使用することなく、もっぱら電動式であってもよい。
【0015】
リフト装置10は、4つの車輪14のような複数の牽引装置14によって基礎地形の上に支持されるベース12またはシャーシ12を有する。リフト装置10は、舗装または未舗装の地面、道路、歩道または駐車場のようなエプロン、構造物の内部床または外部床、または他の表面のような支持面16または基礎地形に対して、人、工具、貨物などの荷を持ち上げるように構成される。
【0016】
リフト装置10は、プラットフォームのような車両リフト部品18、ベースまたはシャーシ12、およびプラットフォーム18とベース12を結合する支持アセンブリ20を含む。ベース12は、車輪のような牽引装置14によって支持面16に支持される。牽引装置14は、タイヤおよび/またはトラックを含んでもよい。車両10は、2つの車輪14を有する第1の車軸24と、別の2つの車輪14を有する第2の車軸26とを有する。車軸24は前車軸であってもよく、車軸26は後車軸であってもよい。他の実施形態では、車両10は2つ以上の車軸を有していてもよい。他の実施形態では、牽引装置14は、車両の横軸に沿って互いに整列していてもよいが、それらの間に延びる車軸24、26を有していなくてもよい。
【0017】
支持アセンブリ20は、プラットフォーム18のリフト機構を提供するために、他の構造部材とともに、以下に説明するような油圧アクチュエータなどの1つ以上のアクチュエータを含むことができる。
【0018】
ベース12は、ベースおよび車両の前端部および後端部にそれぞれ対応する第1および第2の対向する側面または端部30、32を有する。車両10は、前進方向と後進方向の両方、例えば、車輪22が回転する方向に応じて車両長手方向軸40に沿っていずれかの方向に移動するように構成されている。
【0019】
リフト装置10の操作者は、例えば、制御パネル上の操作者入力部またはユーザ入力部50を介して、リフト装置に指令を入力する。操作者入力部50は、リフト装置10の速度および方向指令を入力するためのジョイスティックを含むことができる。例えば、ジョイスティックを中立の中心位置に対して前進させると、車両の前進速度指令が得られ、例えば、車両は選択された速度で前進方向、図1では左方向に移動する。ジョイスティックの中立位置に対する逆方向の動きは、車両に逆方向の速度指令を与え、例えば、車両は選択された速度で後方または逆方向、図1では右方向に移動する。速度指令の大きさは、実際のジョイスティック位置と中立中心位置との間の距離に基づいている。
【0020】
コントロールパネル50は、さらに、装置10の速度モードを選択するための操作者入力部を有することができる。一実施例では、リフト装置10は3つの速度モードを有し、各速度モードはリフト装置の異なる最高速度を有する。第1の速度モードは、最も高い最高速度を有し、リフトプラットフォームが収納されているときに使用され、第2の速度モードは、より低い最高速度モードを有し、リフトプラットフォームが収納されているときにも使用され、第3の速度モードは、最も低い最高速度を有し、リフトプラットフォームが収納位置から展開されるときに使用される。ジョイスティックは、ジョイスティックの全前方位置がそのモードで許容される最高速度を提供し、同様に全後方位置も提供するように、モードに基づいて再較正され得る。
【0021】
一例では、第1の速度モードでは、車両10の速度はどちらかの方向でゼロから時速20マイルの範囲にあり、第2の速度モードでは、車両速度はどちらかの方向でゼロから時速5マイルの範囲にあり、第3の速度モードでは、車両速度はどちらかの方向でゼロから時速2マイルの範囲にある。別の例では、第1の速度モードでは、いずれかの方向で時速ゼロから時速4マイルまでの範囲の車速が可能であり、第2の速度モードでは、いずれかの方向で時速ゼロから時速2マイルまでの範囲の車速が可能であり、第3の速度モードでは、いずれかの方向で時速ゼロから時速1マイル未満の範囲の車速が可能である。
【0022】
システムコントローラは、さらに、動作条件に基づいて装置の速度モードを選択することができ、入力部50を介してオペレータの選択を上書きすることができる。
【0023】
コントロールパネル50は、ベース12に対するリフト部品18の位置を制御するような、他の操作者入力部も提供する。更に、コントロールパネル50は、リフト装置10に関する情報を操作者に提供するために、表示スクリーン、表示灯等を含むことができる。
【0024】
図2は、別の実施形態による、本開示と共に使用するためのリフト装置10を示す。図1に関して上述したものと同じであるか、又は類似している要素には、簡略化のために同じ参照番号が付けられている。図2では、リフト装置10は、別の非限定的な例によるシザーリフトとして図示されている。
【0025】
図3は、図1または図2のリフト装置10、またはフォークリフト等の他のリフト装置の概略図である。図1に関して上述したものと同じであるか、または類似している要素には、簡単のために同じ参照番号が付されている。
【0026】
リフト装置10は複数の牽引装置14を有する。一実施例では、牽引装置14は車輪によって提供され、リフト装置10は、図1および図2に関して上に示したように、4つの車輪を有する。他の実施例では、リフト装置10は4つ以上の車輪を有してもよい。
【0027】
リフト装置10は電気推進システム60を有する。電気推進システム60は、複数の牽引装置14の少なくとも一つに駆動連結され、リフト装置を基礎地形上で推進させる一つ以上の電気モータ62を含む。一実施例では、電気モータ62は、車輪14の2つ以上のためのハブモータとして提供される。更なる実施例では、示されるように、電気推進システム60は、4つの車輪14用のハブモータとして提供される4つの電気モータ62を有する。他の例では、電気モータ62は、例えば、ドライブラインのディファレンシャルを介して、2つ以上の車輪に接続されてもよい。あるいは、車輪14の一部だけが、例えば二輪駆動として、車両に牽引力を与える。
【0028】
各電気モータ62は、関連するモータコントローラ66を介して牽引バッテリー64に接続されている。モータコントローラ66は、各電気モータ62の速度とトルクを制御し、モータ62は独立して制御されてもよい。モータコントローラ66は、単一の一体型素子として示されているが、各モータ62に対して別個の素子として設けられてもよい。モータコントローラ66の電圧は、牽引バッテリー64の電圧と同等であってもよい。モータコントローラ66は、関連する電圧制限を有する。モータコントローラ66の各々は、システムコントローラ68と通信している。コントロールパネル50およびジョイスティックなどの操作者入力部も、システムコントローラ68と通信している。
【0029】
牽引バッテリー64は、1つまたは複数のセルによって提供されてもよく、ウェットセルまたはドライセルであってもよく、鉛酸化学電池、リチウムベースの化学電池、または他の化学電池で形成されてもよい。牽引バッテリー64は、関連する電圧制限、電流制限、充電状態制限、または温度制限を有することができる。非限定的な例では、モータコントローラ66は電圧制限を有する。別の例では、リチウム化学電池では、バッテリー64は、電圧制限および電流制限、ならびに動作温度制限を有することができる。例えば、バッテリー64は、温度範囲外のとき、例えば、周囲温度が低いときのコールドスタート後の充電に制限がある場合があり、モータコントローラ66および/またはシステムコントローラ68は、このような状態でのバッテリーの充電を制限する場合がある。
【0030】
システムコントローラ68は、装置10を制御するために、様々な推進および油圧コンポーネントおよびセンサと通信する。コントローラ68は、車両システムコントローラ(VSC)を提供するか、またはその一部であってもよく、任意の数のコントローラを含んでもよく、単一のコントローラに統合されてもよく、または様々なモジュールを有してもよい。コントローラの一部または全部は、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)または他のシステムによって接続されてもよい。また、コントローラは、ランダムアクセスメモリや他のデータ記憶システムに接続されていてもよい。
【0031】
様々な実施例において、装置10は、シャーシ12によって支持され、コントローラ68と通信するセンサ72を有する。センサ72は、例えば、傾斜または勾配に基づいてリフトプラットフォームの展開を制限するために、静止状態の間の装置10の傾斜を決定するために使用されてもよい。センサ72は、ピッチおよびロール角、または水平加速度ベクトルをコントローラ68に報告する多軸加速度センサによって提供される電子傾斜センサであってもよい。多軸加速度センサ72は、シャーシ12および装置10の傾きを推測するために、ソリッドステート加速度センサを含んでもよい。
【0032】
別の例では、センサ72は多軸慣性センサであり、真のスロープまたは勾配を測定してコントローラに報告することができる。
【0033】
モータコントローラ66は、操作者からの速度入力に基づいて、速度制御フィードバックループで電気モータ62を制御してもよい。例えば、操作者は、ジョイスティック50を介して選択された速度を入力することができ、モータコントローラ66は、操作者の要求に基づいて、所望の速度出力を提供するように電気モータ62のトルクを制御または変調することができる。したがって、牽引モータ62の速度を低下させるために、モータコントローラ66は、低下したトルクまたはモータ回転とは逆方向のトルクを出力するように、例えば制動トルクとして、牽引モータに命令することができる。牽引モータ62は、前進制動、前進モータリング、逆モータリング、および逆制動の間で制御可能な4象限モータとして設けられてもよい。
【0034】
さらに、牽引バッテリー64は、例えば、充電ステーションなどの外部電源からの電気入力を介して、外部から充電することができる。
【0035】
各電気モータ62は、第1の方向および第2の方向に回転するように制御されてもよく、さらに、速度およびトルク出力が制御され得る。従って、電気モータ62は、正のトルク出力で下層地形を横切って車両を推進することができる。電気モータ62はさらに、車両を制動または減速させるための負のトルク出力を提供する発電機として機能し、牽引バッテリー64に電力を供給することができる。
【0036】
図示の例では、リフト装置10は、サービス・ブレーキ・システムなしで提供される。このように、電気モータ62は、走行中の車速を制御するために車輪14に制動力を加える唯一の装置である。サービス・ブレーキ・システムは、従来、ドラム・ブレーキ、ディスク・ブレーキなどによって提供され、例えば、車両を低速に減速させるために、操作者による制御されたブレーキ入力を提供する。
【0037】
図示の例では、リフト装置10は駐車ブレーキシステムを備えている。駐車ブレーキシステムでは、駐車ブレーキ70が各車輪14に設けられている。非限定的な一実施例では、駐車ブレーキ70は、牽引モータ62および車輪14駆動アセンブリに一体化され、バネ印加、コイル解放ブレーキ、例えば、ディスク・ブレーキとして提供され得る。コントローラ68または操作者は、リフト装置10を停止させるために駐車ブレーキ70を作動させることができ、あるいは、リフト装置10が基礎の地形に対して移動することを可能にするために駐車ブレーキ70を解放することができる。装置10が動いているときに駐車ブレーキ70が作動または設定されると、車輪14は回転せず、リフト装置10は滑って停止する。
【0038】
図1?3に関して上述したような電気推進リフト装置10では、牽引モータ62は、推進トルクと制動トルクの両方を正逆両方向に提供することができる。これらのモータ62が正のトルクを用いて装置を前進させているとき、牽引バッテリー64は、電力を供給するために放電される。これらの牽引モータ62が制動によって車両を減速させているとき、バッテリー電流の方向は逆になり、制動電力は、例えば回生制動によってバッテリー64を充電する。
【0039】
例えば回生制動を介した充電により、牽引バッテリー64の電圧が上昇する。バッテリー64のサイズおよび化学的性質、ならびに印加される制動電力によっては、バッテリー64の電圧が大幅に上昇することがある。この電圧上昇は一時的なものかもしれないが、モータコントローラ66、牽引バッテリー64、および/または他の車載パワーエレクトロニクス装置には、関連する電圧制限または電流制限がある場合がある。例えば、三相モータコントローラ66は、関連する電圧閾値を有する場合があり、この閾値に達すると、制動時のモータ62のトルクが制限される場合がある。これは、ひいては、例えば勾配において、牽引モータ62が制動し車両10の速度を制御する能力を制限する可能性があり、その結果、装置10の意図しない加速下り坂および/または要求速度もしくは指令された速度を上回るリフト装置速度が生じる可能性がある。図5に関して以下に説明する方法は、このようなシナリオの間のリフト装置10の制御を提供する。
【0040】
図4は、実施例による図1または図2のリフト装置10の油圧回路図であり、装置が油圧システム80を備えている場合である。油圧システム80は、閉ループシステムまたは開ループシステムを備えた油圧回路であってもよい。図示の例では、油圧システムは2つのポンプ82、84を備え、第2のポンプ84は第1のポンプ82にピギーバックされている。あるいは、単一のポンプハウジングを設け、そのハウジングを2つのポンプ82、84の容積を提供するように分割してもよい。第1および第2のポンプ82、84は、ポンプモータコントローラ88を介して、図3を参照して上述した牽引バッテリー64に電気接続された電気モータであるポンプモータ86によって駆動される。ポンプモータ86の速度は、ポンプ82、84からの流量を制御するために制御され得る。本明細書で使用されるように、ポンプ82、84からの流量は、ポンプの速度および/またはポンプからの変位を制御することによって、またはポンプバルブ90、92を介して制御され得る。
【0041】
代替例では、油圧システムは、ポンプモータによって駆動されるポンプ82のような単一のポンプを有することができる。
【0042】
ポンプ82、84は可変容量ポンプとして設けてもよい。あるいは、図示のように、各ポンプ82、84は、関連ポンプを圧力ギャレー100に、または戻りライン102およびタンク104に流体接続する関連ポンプバルブ90、92を有することができる。したがって、第1および/または第2のポンプバルブ90、92を選択的に制御して圧力ギャレー100に流れを供給することによって、圧力ギャレー100への変位または流れを制御することができる。圧力ギャレー100への変位または流量は、ポンプモータ86の速度を選択的に制御することによって、選択された位置にあるポンプバルブ90、92によって提供される範囲内でさらに制御され得る。
【0043】
様々な実施例において、また図示されているように、油圧システム80はさらに、オーバーランニングクラッチ112を介してポンプモータ86に連結されているディーゼルエンジンまたはガソリンエンジンなどの内燃エンジン110を備えている。したがって、ポンプモータ86は、エンジン110とポンプ82、84との間に配置される。エンジン110および/またはポンプモータ86は、ポンプ82、84を駆動するために作動させることができる。オーバーランニングクラッチ112は、エンジン110の出力シャフトの回転速度がポンプモータ86のシャフトの回転速度以下であるときに、エンジン110とポンプモータ86とを互いに機械的に結合するように係合する。したがって、オーバーランニングクラッチ112は切り離され、ポンプモータ86は、ポンプモータの回転速度がエンジンの回転速度より大きいとき、エンジン110から独立して作動する。
【0044】
他の実施例では、油圧システム80は、エンジンやオーバーランニングクラッチがなく、ポンプモータ86のみがポンプを回転させるように、電動式のみとすることができる。
【0045】
エンジン110、ポンプモータコントローラ88、および選択されたバルブも、車両コントローラ68と通信している。
【0046】
第1および第2ポンプ82、84は、加圧流体流を圧力ギャレー100に供給する。リフト装置10の油圧機能120は、圧力ギャレー100に接続され、例えばバルブ122を介してそこから加圧流体を受け取る。例えば、リフトプラットフォームの支持アセンブリ、車輪のステアリング、車軸制御、および他の装置機能のための油圧アクチュエータ124は、圧力ギャレー100に流体接続されている。油圧アクチュエータ124は、圧力ギャレー100およびアクチュエータ124の下流にある戻りライン102にも結合されている。戻りライン102は、圧力ギャレー100およびアクチュエータ124からタンク104およびポンプ82、84への流体経路を提供する。油圧アクチュエータ124は2つだけ示されているが、油圧システム80とともに使用するために、任意の数の油圧アクチュエータが考えられる。
【0047】
リリーフバルブのようなバルブ130は、圧力ギャレー100と戻りライン102との間に配置され、圧力ギャレーを戻りラインに直接流体接続させる。バルブ130は、例えば、比例リリーフバルブまたは反比例リリーフバルブとして、可変位置バルブであってもよい。他の例では、バルブ130は固定リリーフバルブであってもよい。バルブ130の位置は、システムコントローラ68と連通するソレノイドを介して制御することができる。バルブ130の位置は、圧力ギャレー100内の圧力を制御するために制御されてもよい。バルブ130が開いているとき、ポンプ82、84および圧力ギャレー100からの流れは戻りライン102に流れ、アクチュエータ124をバイパスし、圧力ギャレー100内の圧力は最小化される。バルブ130が閉じられると、すべての流れがポンプ82、84から圧力ギャレー100に導かれ、圧力ギャレー100内の圧力が最大になる。バルブ130の位置は、圧力ギャレー100内の圧力を制御するために、開位置と閉位置、および部分的に開位置の間で制御または調節することができる。
【0048】
油圧システム80は、他のバルブ、アクチュエータ、フィルタなどを含む、図示されていない他の構成要素を有していてもよい。
【0049】
油圧システム80は、リフト装置10が電動モータ62を介して制動している間、およびモータ制御装置66、牽引バッテリー64、または他の電力電子デバイスに関連する電圧または他のパラメータが、本開示に従ってそれらの閾値または限界に近づいているときに、バッテリー64から電力を消費するために使用され得る。ポンプ82、84からの流量が増加し、および/またはシステム80内の圧力が増加すると、油圧システム80による電力消費も増加する。例えば、高圧流体がリリーフバルブ130を介して計量されると、電力は熱として流体中に放散される。本開示は、ポンプ82、84の速度および/または変位に対する制御、ならびに弁130の位置に対する制御を提供するので、油圧システム80によって放散される電力量は、図5に関して以下に説明するように制御されて、リフト装置10の作動を電気的限界内に維持し、牽引バッテリー64を充電可能な範囲で充電することができる。
【0050】
図5は、図1-4に関して上に示されたリフト装置10のようなリフト装置を制御するための方法200を示す。様々な実施例において、方法200のステップは、異なる順序で実行されてもよく、並列または直列に実行されてもよく、および/または、追加または省略されてもよい。方法200は、例えば、コントローラ68を介して装置10上で実施されてもよい。
【0051】
方法200の様々な実施形態は、関連する非限定的な利点を有する。例えば、方法200および装置10は、装置10が非ゼロの勾配または下り勾配を走行しているときに車両の速度を制御して、勾配を走行する際の装置の速度上昇または加速を制限し、特に高速走行時に駐車ブレーキ70の係合および装置10の急停止を防止または遅延させる。
【0052】
上述したように、装置10が非ゼロの勾配を走行する間、牽引モータ62は、発電機として機能し、装置10の速度を制御するために制動トルクを提供する必要があり得る。本明細書で使用されるように、非ゼロの勾配または勾配は、傾斜した地形または水平または平坦な地形に対して非ゼロの角度を有する下地を示す。これは、装置10が下り坂を下る間、車速を制御または低減するためのサービスブレーキがないため、特に当てはまる可能性がある。電気モータ62は、車輪のトルクと速度を電力に変える。リフト装置10の高速、急勾配、急減速では、車速を維持するか加速を防止するために必要な制動力は、牽引モータ62から利用可能な制動トルクよりも大きい場合がある。電気モータ62の制動力は、モータ62の速度およびバッテリー64の電圧に依存することがある。モータ62が発生できるトルクは、そのトルク-速度曲線によって制御または制限される。このシナリオでは、装置は勾配を加速して下るか、指令された速度を超える可能性がある。さらに、非限定的な一例ではあるが、モータ62は、低速では高トルクを、高速では低トルクを提供するトルク曲線を備えており、勾配を下る際のモータ62の制動をさらに制限する可能性がある。
【0053】
さらに、牽引モータ62によって生成される制動トルクは、バッテリー64、モータコントローラ66、または別の電気部品に関連する閾値または制限値よりも大きい場合がある。モータコントローラ66は、牽引バッテリー64の電圧、充電状態、または他のパラメータが、バッテリー64および/またはモータコントローラ66を保護するための閾値に近いときに、回生制動を制限することがあり、したがって、電気モータ62による制動は、リフト装置10の特定の状況下で制限されることがある。同様に、装置10がリチウム化学牽引バッテリー64を有する場合、バッテリーは関連する電流および/または電圧閾値を有することがある。
【0054】
リフト装置10にはサービスブレーキがないので、コントローラ68は、装置10が加速しているか、指令速度または別の上限速度閾値を越えている場合、駐車ブレーキ70を設定する必要があり、これは、装置の急停止を提供するとともに、運転性に影響を与える。
【0055】
本開示は、勾配を下る装置10および装置10を制御する方法200を提供する。方法200は、例えば、装置が勾配または斜面を下っているときに、モータ62の制動力がモータ62またはバッテリー64によって設定された制限のいずれかを超えないように装置10を制御する。方法200は、高い制動力、または上限値もしくは上限値付近の制動力が発生する状況に遭遇する前に、例えば、車両の加速および勾配の増加により装置10の速度が指令された速度または要求された速度よりも上昇する前に、装置10の走行速度を低下させる。このような高い制動力の要求は、急勾配で高速から急停止するときに発生する可能性がある。従って、勾配上の速度を維持するのに必要なモータ62のトルクが低いモータ速度に制限された状態で勾配を走行する場合、装置10の駆動速度は低下する。
【0056】
車両10の速度を低下させることにより、モータ62が装置10の速度を制御するのに十分なトルクを発生できるトルク曲線上の点でモータ62を動作させることができる。モータ62が十分な制動トルクを発生できない場合、装置10は勾配を下るときに指令された速度を超える可能性がある。方法200は勾配を推測または決定し、勾配が急すぎて、モータ62が速度を制御できなくなる前に装置10の速度を低下させる。
【0057】
方法200はステップ202で開始し、そこで装置10が動作しているかどうかを判定する。ステップ204で、コントローラ68は、装置10の速度が閾値より大きいかどうか、または牽引モータ62の回転速度が閾値より大きいかどうかを判定する。
【0058】
ステップ206において、方法200は、装置10が勾配上にあるか、または下り勾配上にあるかを判定する。コントローラ68は、装置10に搭載されたセンサに基づいて、またはモータコントローラ66からコントローラ68によって受信された信号を介して、勾配を推測することができる。様々な実施例によれば、コントローラ68は、以下に説明するように勾配を決定または推測することができる。コントローラ68は、ステップ206において、装置が勾配上にあり、さらに、装置が下り坂または下り坂方向に移動していることを判定している。さらに、いくつかの例では、勾配は、方法200がステップ208に進むための閾値勾配よりも大きい。
【0059】
非限定的な例によれば、コントローラ68は、電気モータ62の出力トルクが電気モータ62の回転速度に対して逆方向に加えられることに基づいて、リフト装置10が勾配上にあると推測する。コントローラは、さらに、電気モータ62の出力トルクが所定のトルク値よりも大きい場合、または、モータ62の回転数もしくは要求回転数が所定の回転数以上である場合に、装置10が勾配上にあると推測してもよい。例えば、コントローラ68は、モータ速度および制動トルクがそれぞれ閾値以上であることに応答して、以下のステップ208で説明するような所定の制限を実施することができる。モータ62の制動トルクは、勾配の傾斜角に比例する。したがって、コントローラ68は、勾配、たとえば勾配の値を、電気モータ62の出力トルクに比例するものとして推論するようにさらに構成されてもよい。コントローラ68は、モータ62のトルクセンサから信号を受信してもよく、あるいはその代わりに、例えばルックアップテーブルに基づいて、あるいはモータコントローラ66から供給される速度、電圧、電流および温度などの他のモータパラメータからトルクを決定することによって、モータ62のトルクを推測してもよい。
【0060】
別の非限定的な例によれば、コントローラ68は、質量ベースの多軸加速度センサ72など、シャーシ12に支持された多軸加速度センサ72から信号を受信する。コントローラ68は、多軸加速度センサ72からの信号を使用して勾配を直接推測することができるが、センサ72からの信号には装置10が動いているときの加速度成分が含まれるため、推測される勾配は不正確である可能性がある。
【0061】
別の非限定的な例によれば、コントローラ68は、質量ベースの多軸加速度センサ72など、シャーシ12に支持された多軸加速度センサ72から信号を受信し、勾配を推測するために信号を補正する。一例では、コントローラ68は、信号から加速度成分を除去することによって、勾配を推測するために信号を補正し、加速度成分は、牽引装置のうちの1つの回転速度の変化に基づく。多軸加速度センサ72からの信号は、勾配を示す装置10の傾きと、装置10が駆動または操作されるときの装置10の動きによって生じる加速度または減速度の両方の成分を含む。センサ72からの信号は、車両の傾きおよび勾配を決定する信号から加速度ベクトル成分を除去することによって、勾配を推測するように補正されてもよい。加速度ベクトル成分は、車両加速度を決定するために車輪14の速度の微分を取ることによって決定されてもよい。進行方向の車両加速度ベクトルは、傾斜センサ信号の重力傾斜ベクトルから差し引かれ、補正された傾斜ベクトルが生成される。勾配を示す補正された信号または補正された傾斜ベクトルは、以下に説明するように、装置10の速度を低下させるために使用することができる。
【0062】
さらに別の非限定的な例によれば、コントローラ68は、シャーシ12によって支持された質量ベースの多軸加速度センサ72などの多軸加速度センサから信号を受信し、信号にフィルタを適用することによって勾配を推測する。一実施例では、コントローラ68は、牽引装置14のうちの1つの回転速度の変化から決定される加速度成分に基づいて変調されるフィルタを適用する。例えば、信号フィルタは、フィルタリングされた車両傾斜信号が車両加速度の影響を最小限に受けるように、センサ72信号から加速および減速の影響を除去するように可変であってもよく、勾配を推測するために使用される。さらなる例では、コントローラ68は指数フィルタを適用し、フィルタの時定数は、牽引装置14の1つの回転速度の変化から決定される加速度成分に依存する。指数フィルタは、一例によれば、信号指数フィルタであってもよい。
【0063】
上述したように、質量ベースの多軸加速度センサ72を使用した装置10の傾きまたは勾配の測定は、装置10が運動しているときに角加速度によって引き起こされるバイアスによって影響を受ける。角加速度には、縦加速度と横加速度の両方の成分が含まれる。車両10が加速すると、センサ72は変化する直線速度と角速度の両方を同時に検出し、直線速度は角速度よりも速い速度で変化する。しかし、車両10のシャーシ12は、車輪14の直線加速度によって誘発される高い速度で回転することができない。フィルタが信号に適用され、全体の速度から直線速度または直線加速度に起因する成分が除去され、フィルタリングされた信号には角速度と速度が残る。装置10の勾配に起因する回転速度は、フィルタリングされた信号から決定することができ、これにより、コントローラ68が勾配を推測することができる。
【0064】
信号では、角加速度の帯域幅は線形加速度よりも低い。したがって、信号のフィルタは、車両10が加速しているときに、信号から高い周波数の線形加速度成分を除去するように、コントローラ68によって変調される。フィルタの変調は、車輪14から決定され得る直線加速度率、または加速度計の変化率から決定され得る直線加速度率に基づいて行われる。非限定的な例では、フィルタは、フィルタが動的フィルタであるように、車輪センサまたは牽引モータから決定される縦方向のシャーシ加速度の関数としてコントローラ68によって変調される時定数を有する単一の指数関数フィルタである。さらに、時定数は、2つの限界の間で縦方向シャーシ加速度の関数として変化してもよく、2つの限界の間で線形または非線形に変化してもよい。別の非限定的な例では、フィルタは2つの時定数を設定した二重指数フィルタである。
【0065】
別の例によれば、コントローラ68は、質量ベースの多軸加速度センサ72を使用して、装置10のピッチまたは勾配角に関連するデータを有する信号を受信し、その後、勾配角が、モータ62の現在の速度における電気モータ62のトルク制限に関連する所定の勾配または勾配角に近づくと、ステップ208で駆動速度を低減する。さらに、コントローラ68は、例えば、ヒステリシスに関連するモータ62の速度制限事象を低減または防止するために、センサ72からの信号をさらに条件付けることができる。コントローラ68による信号調整には、例えば装置10の加速度に基づく信号の可変時間平均化を含めることができる。信号調整は、追加的または代替的に、コントローラ68が、重力傾斜ベクトルから測定された車両加速度ベクトルを減算して補正傾斜ベクトルを生成することによってセンサベクトルを補正するために、進行方向における車両10の加速度ベクトルを測定することを含んでもよい。
【0066】
さらなる非限定的な例によれば、コントローラ68は、シャーシ12に支持されたマルチ慣性センサから信号を受信し、センサからの信号は勾配を示す。
【0067】
ステップ208で、コントローラ68は、実際の速度または要求速度が所定の速度より大きい場合、および、車両がステップ206で決定された勾配を下っている間に、それに応答して、リフト装置10の速度を所定の速度に制限する。コントローラ68は、モータ62の速度制御ループを介して所定の速度制限を実施してもよい。コントローラ68は、牽引モータ62に制動トルクを出力するように命令し、牽引バッテリー64に電力を供給して、車両速度を制限または低減することができる。車両速度を所定の速度まで低下させることにより、車両を減速または停止させるために、より低いモータ制動トルクが必要とされ、したがって、モータ62は、モータ62の上限トルク制限または電力制限に達する前に車両速度を制御するために、より大きなトルク帯域幅を有する。
【0068】
所定の速度は、ステップ206で決定された勾配に依存するか、または勾配に基づいてもよい。一例では、所定速度は勾配の関数である。さらなる例では、勾配が高くなるにつれて、所定速度は低下する。例えば、異なる勾配範囲は、関連する所定速度または速度ゾーンを有してもよく、ゼロから10パーセントの勾配は、選択されたモードの最高速度の100%である所定速度を有し、10から20パーセントの勾配は、選択されたモードの最高速度の50%である所定速度を有し、20パーセントを超える勾配は、選択されたモードの最高速度の20%である所定速度を有する。別の例では、勾配範囲は、例えば、選択されたモードに対する最高速度の100%である所定速度を有するゼロから10パーセントの勾配、毎時5マイルである所定速度を有する10から20パーセントの勾配、および毎時2マイルである所定速度を有する20パーセントを超える勾配で、設定される関連する所定速度を有することができる。他の例では、他の勾配のパーセントの範囲や、所定の速度や割合が使用されてもよい。さらなる例では、所定速度は、勾配を入力とする関数またはルックアップテーブルから計算され、所定速度は勾配に応じて連続的に変化する。
【0069】
さらに、リフト装置10は、ステップ208において、所定の速度より小さい速度で移動してもよい。コントローラ68は、ジョイスティック50の端点、例えば全正転位置および逆転位置に関連する速度を、各方向において所定の速度となるように再較正してもよい。速度曲線または要求も同様に、中立位置とジョイスティック50の端点との間で再較正される。したがって、車両10は、ジョイスティック50のニュートラル位置とフル正転またはフル逆転の間の位置に基づいて、所定の速度未満で運転される可能性がある。
【0070】
ステップ210において、コントローラ68は、モータコントローラ66の電圧、バッテリー64の電圧、バッテリー64の充電状態、バッテリー64の温度、またはパワーエレクトロニクス装置に関連する他のパラメータを含むことができるバッテリーパラメータを監視する。
【0071】
電気モータ62が制動トルクを出力し、牽引バッテリー64に電力を供給している間に、バッテリーパラメータが所定の範囲外であることに応答して、コントローラ68は、ステップ212において、ポンプ82、84の流量を増加させ、および/またはバルブ130を制御してバルブ開口の大きさを減少させ、圧力ギャレー100内の圧力を増加させ、それによって牽引バッテリー64への電力を減少させることによって、油圧システム80を作動させる。ポンプ82、84の流量およびバルブ130の開口の大きさは、順次または同時に制御されてもよい。
【0072】
ポンプ82、84の流量を増加させることにより、ポンプモータ86は牽引バッテリー64から電力を消費し、その結果、牽引モータ62から牽引バッテリー64への電力が減少し、牽引モータ62およびモータコントローラ66が制動トルクを発生し続け、油圧システム80に放電している電流を置き換えることができる。
【0073】
同様に、バルブ130の開口部の大きさを小さくして圧力ギャレー100内の圧力を増加させることも、圧力ギャレー100内に高い圧力を供給し、リリーフバルブ130を横切って熱としてエネルギーを放散させることにより、牽引バッテリー64からの電力を消費するため、牽引バッテリー64への電力を減少させ、その結果、牽引モータ62から牽引バッテリー64への電力を減少させ、牽引モータ62およびモータコントローラ66が制動トルクを発生し続け、油圧システム80に排出される電流を交換することを可能にする。
【0074】
ステップ210と212はオプションであり、関連する油圧システム80を備えたリフト装置で実施される可能性があることに留意されたい。ステップ210および212は、油圧システム80のないリフト装置では省略され、さらに、予測される車両運転条件およびバッテリーパラメータの範囲によっては、油圧システムのある車両では省略されることもある。
【0075】
ステップ216で、コントローラ68は、ステップ214でリフト装置10が勾配上にある間、牽引モータ62からの制動トルクがリフト装置10を所定速度以下に維持するには不十分であることに応答して、リフト装置10を停止させるために駐車ブレーキ70に係合するように指令するように構成されている。コントローラ68は、牽引モータ62が、装置10の速度を所定の限界に制御するのに十分なトルク帯域幅を有するか否かを判定している。コントローラ68は、電気モータ62が制動トルクを出力している間にモータコントローラ66の電圧が閾値電圧以上であり、リフト装置10の速度が所定の速度以上であることに応答して、駐車ブレーキ70を設定してもよい。あるいは、コントローラは、電気モータ62の制動トルクが閾値以上であることに応答して駐車ブレーキ70を設定してもよく、閾値は、牽引モータの上限トルクに依存する。さらなる例では、コントローラ68は、モータ62の速度が所定速度より大きいことに応答して、駐車ブレーキを設定してもよく、例えば、速度超過を示す可能性のある所定速度より上のオフセットより大きい。
【0076】
ステップ220で、コントローラ68は、ステップ218で勾配が所定の勾配以下であることに応答して、またはステップ218で制動トルクが閾値未満であることに応答して、ジョイスティック50またはオペレータ入力の終点を、装置10の選択された速度モードに関連する最高速度にリセットする。これにより、装置10から速度の所定の制限が解除される。コントローラ68は、ジョイスティック50の較正のヒステリシスまたはサイクルを制限するために、ステップ218において、勾配が所定の勾配を下回ること、または制動トルクが閾値未満であることを時間にわたって維持することを要求することができる。
【0077】
例示的な実施形態が上述されているが、これらの実施形態が本開示の全ての可能な形態を説明することを意図するものではない。むしろ、本明細書で使用される言葉は、限定ではなく説明の言葉であり、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得ることが理解される。さらに、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、本開示および発明のさらなる実施形態を形成することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】