(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】生分解性昆虫捕獲器
(51)【国際特許分類】
A01M 1/14 20060101AFI20240920BHJP
A01P 19/00 20060101ALI20240920BHJP
A01N 63/14 20200101ALI20240920BHJP
A01M 1/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A01M1/14 A
A01P19/00
A01N63/14
A01M1/02 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516761
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022043581
(87)【国際公開番号】W WO2023043871
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523348656
【氏名又は名称】ダニマー・アイピーシーオー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レゲット,キャロル・ジー
(72)【発明者】
【氏名】ウェア,シェリル・ジー
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA11
2B121BA03
2B121BA05
2B121BA06
2B121BA09
2B121BA11
2B121BA41
2B121BA47
2B121BA51
2B121CC14
2B121EA12
2B121EA26
2B121FA03
2B121FA15
4H011AC07
4H011BB20
4H011DD07
4H011DE17
4H011DG16
(57)【要約】
第1の表面を有する基材と、基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤と、昆虫誘引剤と、を含む生分解性昆虫捕獲器が提供される。基材は、(1)ポリマーウェブであって、結果的に、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成されるポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、板紙ウェブが、板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される板紙ウェブ、のいずれかから構成され得る。本開示によれば、粘着剤もまた、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面を有する基材であって、前記基材が、(1)少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、前記板紙ウェブが、前記板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、前記コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記板紙ウェブ、を含む前記基材と、
前記基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤であって、前記粘着剤が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記粘着剤と、
昆虫誘引剤と、
を含む生分解性昆虫捕獲器。
【請求項2】
前記基材が、頭上の支持物から吊り下げられる伸長シートを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項3】
前記基材が、昆虫を捕獲するための囲いへと成形されている、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項4】
前記基材が、昆虫を捕獲するための箱へと成形されており、前記基材第1表面が、前記箱の内側に配置されている、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項5】
前記昆虫誘引剤が、昆虫を誘引するフェロモンを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項6】
前記昆虫誘引剤が、Diabrotica barberi、Diabrotica undecimpunctata、Diabrotica undecimpunctata howardi Barber、Cerotoma trifurcata、Hypena scabra、Nezara viridula、Acrosternum hilare、Euschistus servus、Pseudoplusia includens(Walker)、Trichoplusia ni(Hubner)、Anthonomus grandis、Aphis glycines(Matsumura)、Epicauta属の種(pennsylvania、pestifera、fabricii)、及び/またはChrysodeixis includensを誘引するフェロモンを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項7】
前記フェロモンが、前記基材の少なくとも一部の上にコーティングとして適用されている、請求項5に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項8】
前記基材が、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項9】
前記基材が、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項10】
前記基材が、75~99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、0.1~25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び0.1~25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項11】
前記基材が、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート-co-ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の1つの生分解性ポリマーを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項12】
前記粘着剤が、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項13】
前記粘着剤が、75~99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、0.1~25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び0.1~25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項14】
前記粘着剤が、生分解性タッキファイヤーをさらに含む、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項15】
前記昆虫捕獲器が、ASTM D5988によって決定されるように生分解性である、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項16】
前記昆虫捕獲器が、ASTM D6400によって決定されるように家庭で堆肥化可能である、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項17】
前記昆虫捕獲器が、殺虫剤を含まない、請求項1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【請求項18】
農地の上に昆虫捕獲器を配置するステップと、
前記捕獲器で昆虫を捕獲するステップと、
前記捕獲器を前記農地に埋めることによって前記捕獲器を処分するステップと、
を含む、昆虫を捕獲するための方法であって、
前記昆虫捕獲器が、
第1の表面を有する基材であって、前記基材が、(1)少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、前記板紙ウェブが、前記板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、前記コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記板紙ウェブを含む前記基材と、
前記基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤であって、前記粘着剤が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記粘着剤と、
昆虫誘引剤と、
を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年9月15日出願の米国仮出願63/244,285の先の出願日の利益を主張するものであり、当該仮出願の内容は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は昆虫捕獲器に関する。より具体的には、本開示は、生分解性材料から形成される昆虫捕獲器に関する。
【背景技術】
【0003】
昆虫捕獲器は、居住環境及び商業的環境において一般に使用される。昆虫捕獲器は、有害生物防除のために特に農業環境においても使用され、大規模な商業的農業にも小規模な個人庭にも使用される。各状況において、昆虫捕獲器は、典型的には、難分解性の非生分解性材料から形成される。昆虫捕獲器は、ヒト及び/または作物に有害であり得る殺虫剤も一般には含むことになる。
【0004】
結果的に、農業においては、使用のために圃場を耕し得る前に、使用した昆虫捕獲器を圃場から除去しなくてはならない。同様に、居住空間及び商業的空間からも、使用した昆虫捕獲器を最終的には除去しなくてはならない。
【0005】
この観点から、除去を必要とせず、代わりに単に土壌に耕し込み得る昆虫捕獲器を提供することによって、使用した昆虫捕獲器を除去するこのステップをなくすことが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0006】
第1の態様では、本開示は、生分解性昆虫捕獲器を提供する。一実施形態では、この昆虫捕獲器は、第1の表面を有する基材と、基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤と、昆虫誘引剤と、から構成される。
【0007】
本開示によれば、基材は、(1)ポリマーウェブであって、結果的に、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成されるポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、板紙ウェブが、板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される板紙ウェブ、のいずれかから構成され得る。本開示によれば、粘着剤もまた、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される。
【0008】
捕獲器の構造形態は、本開示に従って異なり得る。ある特定の実施形態では、基材は、好ましくは、頭上の支持物から吊り下げられる伸長シートから構成される。他の実施形態では、基材は、好ましくは、昆虫を捕獲するための囲いへと成形される。いくつかの実施形態では、基材は、好ましくは、昆虫を捕獲するための箱へと成形され、基材第1表面は、箱の内側に配置される。
【0009】
ある特定の実施形態によれば、昆虫誘引剤は、好ましくは、昆虫を誘引するフェロモンから構成される。場合によっては、昆虫誘引剤は、好ましくは、Diabrotica barberi、Diabrotica undecimpunctata、Diabrotica undecimpunctata howardi Barber、Cerotoma trifurcata、Hypena scabra、Nezara viridula、Acrosternum hilare、Euschistus servus、Pseudoplusia includens(Walker)、Trichoplusia ni(Hubner)、Anthonomus grandis、Aphis glycines(Matsumura)、Epicauta属の種(pennsylvania、pestifera、fabricii)、及び/またはChrysodeixis includensを誘引するフェロモンから構成される。
【0010】
ある特定の実施形態では、フェロモンは、好ましくは、基材の少なくとも一部の上にコーティングとして適用される。
【0011】
ある特定の実施形態によれば、基材は、好ましくは、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される。
【0012】
異なる形態のポリヒドロキシアルカノエートが基材に使用され得る。いくつかの実施形態では、基材は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む。他の実施形態では、基材は、好ましくは、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む。
【0013】
場合によっては、基材は、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート-co-ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の1つの生分解性ポリマーも含み得る。
【0014】
異なる形態のポリヒドロキシアルカノエートが粘着剤にも使用され得る。いくつかの実施形態では、粘着剤は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む。他の実施形態では、粘着剤は、好ましくは、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む。
【0015】
場合によっては、粘着剤は、コラーゲンベースのタッキファイヤーまたは粘液タッキファイヤーなどの生分解性タッキファイヤーからも構成される。
【0016】
昆虫捕獲器も生分解性である。ある特定の実施形態によれば、昆虫捕獲器は、好ましくは、ASTM D5988によって決定されるように生分解性である。ある特定の他の実施形態では、昆虫捕獲器は、好ましくは、ASTM D6400によって決定されるように家庭で堆肥化可能である。
【0017】
ある特定の実施形態では、また好ましくは、いずれの殺虫剤も含まない。
【0018】
別の態様では、本開示は、昆虫を捕獲するための方法も提供する。一実施形態によれば、この方法は、農地の上に昆虫捕獲器を配置するステップと、捕獲器で昆虫を捕獲するステップと、捕獲器を農地に埋めることによって捕獲器を処分するステップと、を含む。
【0019】
方法に従って使用される昆虫捕獲器は、第1の表面を有する基材と、基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤と、昆虫誘引剤と、から構成される。基材は、(1)ポリマーウェブであって、結果的に、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成されるポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、板紙ウェブが、板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される板紙ウェブ、のいずれかから構成され得る。本開示によれば、粘着剤もまた、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートから構成される。
【0020】
より明確に詳細を示すために図は寸法通りにはなっていないが、こうした図と併せて考慮すると、詳細な説明を参照することによって本発明のさらなる利点が明らかになる。いくつかの図を通じて同じ参照番号は同じ要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本開示の一実施形態による昆虫捕獲器構造の断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、吊り下げ式ストリップとして形成された昆虫捕獲器の透視図である。
【
図3】本開示の一実施形態による、囲いとして形成された昆虫捕獲器の透視図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、漏斗状捕獲器として形成された昆虫捕獲器の透視図である。
【
図5】本開示の一実施形態による、パネル捕獲器として形成された昆虫捕獲器の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、生分解性材料から構築される昆虫捕獲器を提供する。一般に、昆虫捕獲器は、少なくとも、基材と、基材の少なくとも一部の上に適用される粘着剤と、昆虫誘引剤と、を含む。
【0023】
図1に例示されるように、昆虫捕獲器10は基材12を含む。基材12は、第1の表面14及び第2の表面16を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、基材12は、ポリマーウェブから形成され得る。そのような場合、ポリマーウェブは、典型的には、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含み、好ましくは、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含み、より好ましくは、少なくとも90重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む。
【0025】
他の実施形態では、基材12は、板紙ウェブから形成され得るものであり、板紙ウェブは、板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し得る。こうした実施形態では、コーティング層は、典型的には、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含み、好ましくは、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含み、より好ましくは、少なくとも90重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む。
【0026】
本開示によれば、異なる形態のポリヒドロキシアルカノエートが基材に使用され得る。一般に、基材のポリヒドロキシアルカノエートは、ホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーのいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、基材は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む。他の実施形態では、基材は、好ましくは、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む。
【0027】
さらに、いくつかの実施形態では、基材におけるポリヒドロキシアルカノエートは、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート-co-ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の追加の生分解性ポリマーと組み合わせられ得る。
【0028】
昆虫捕獲器10は、基材第1表面14の少なくとも一部の上に適用される粘着剤18も含む。場合によっては、粘着剤18は、基材18の第1の表面14及び第2の表面16の両方の一部の上に適用され得る。
【0029】
本開示によれば、粘着剤は、典型的には、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含み、より好ましくは、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む。
【0030】
基材と同様に、本開示に従って、異なる形態のポリヒドロキシアルカノエートが基材に使用され得る。一般に、基材のポリヒドロキシアルカノエートは、ホモポリマー、コポリマー、またはターポリマーのいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、基材は、好ましくは、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート(「P(3HB-co-3HHx)」)を含む。他の実施形態では、基材は、好ましくは、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む。
【0031】
ポリヒドロキシアルカノエートに加えて、粘着剤は、生分解性タッキファイヤーも含み得る。ある特定の実施形態では、粘着剤は、例えば、コラーゲンベースのタッキファイヤー(工業用ゼラチンまたは動物性粘着物質もしくはタンパク質粘着物質など)あるいは粘液タッキファイヤーを含み得る。
【0032】
基材及び誘引剤の他にも、昆虫捕獲器は昆虫誘引剤も含む。場合によっては、昆虫誘引剤は、昆虫を誘引するフェロモンを含み得る。例えば、昆虫誘引剤は、Diabrotica barberi、Diabrotica undecimpunctata、Diabrotica undecimpunctata howardi Barber、Cerotoma trifurcata、Hypena scabra、Nezara viridula、Acrosternum hilare、Euschistus servus、Pseudoplusia includens(Walker)、Trichoplusia ni(Hubner)、Anthonomus grandis、Aphis glycines(Matsumura)、Epicauta属の種(pennsylvania、pestifera、fabricii)、及び/またはChrysodeixis includensを誘引するフェロモンを含み得る。
【0033】
代替的には、昆虫誘引剤は、昆虫を誘引する食物源として提供され得る。そのような食物ベースの誘引剤の例としては、タイム油、チョウジ油、ゲラニオール、及びオイゲノールが挙げられる。他の非食物誘引剤には、2-フェニルエチルプロピオネート、メタジメトキシベンゼン、パラ-ジメトキシベンゼン、トリメトキシベンゼン、グアヤコール、インドール、フェニルアセトアルデヒド、シンナムアルデヒド、シンナモニトリル、β-イオノン、4-メトキシシンナムアルデヒド、4-メトキシシンナモニトリル、4-メトキシ-1-ビニル-ベンゼン、4-メトキシ-1-プロピル-ベンゼン、4-メトキシフェニルエチルエーテル、4-メトキシフェニルアセトニトリル、アリルベンゼン、2-メトキシシンナムアルデヒド、シンナミルアセテート、桂皮酸メチルエステル、ジヒドロシンナミルアルデヒド、ベンズアルデヒド、及びフェニルプロピオニトリルが含まれる。
【0034】
場合によっては、フェロモンまたは他の誘引剤は、基材の少なくとも一部の上にコーティングとして適用され得る。これは、誘引剤を粘着剤に含めることによって、または基材及び/もしくは粘着剤の少なくとも一部の上に別の層として誘引剤を適用することによって達成され得る。
【0035】
任意選択で、昆虫捕獲器は、誘引剤に加えて殺虫剤も含み得る。しかしながら、殺虫剤は、本開示の昆虫捕獲器に必須のものとは見なされない。
【0036】
存在する場合、殺虫剤は、好ましくは、作物に無害な殺虫剤、及び/または急速に分解されて無害な形態となる殺虫剤である。昆虫捕獲器に使用され得る適切な殺虫剤の例としては、ニーム油、オルスピノシン(orspinosyn)、フルベンダイミド(flubendaimide)、インドキサカルブまたはカルバメート、エスフェンバレレート、ペルメトリン、ベータ-シフルトリン、ビフェントリン、チオジカルブ、アセフェート、及びカルバリルが挙げられる。昆虫捕獲器は、好ましくは、カルボフラン、イソフェンホス、ホレート、及びテルブホスからなる群から選択される殺虫剤をいずれも含まない。
【0037】
繰り返しになるが、殺虫剤は、本開示の昆虫捕獲器に必須のものとは見なされない。したがって、ある特定の実施形態では、本開示の昆虫捕獲器は、いずれの殺虫剤も含まない。
【0038】
本開示による昆虫捕獲器10は前述の基材、粘着剤、及び昆虫誘引剤を含むことになるが、昆虫捕獲器の基材は、本発明に従って、さまざまな最終形状のうちの1つに変形またはその他の様式で成形され得る。したがって、昆虫捕獲器の最終的な全体構造は異なり得る。
【0039】
例えば、ある特定の実施形態では、昆虫捕獲器は、
図2に例示されるように、木の枝または他の構造物から吊り下げられ得るストリップまたはシート20として提供され得る。ストリップまたはシート20は、典型的には、作付け地の上または付近に吊り下げられる。場合によっては、昆虫捕獲器10は、ポリヒドロキシアルカノエート及び/または別の生分解性ポリマーを同じく含むフックまたはクリップ16を使用して吊り下げられ得る。
【0040】
他の実施形態では、昆虫捕獲器は、はい回る昆虫または飛翔する昆虫を捕獲するための囲い30として提供され得る。
図3に例示されるように、この囲い30は、昆虫の侵入用の開口部を少なくとも1つ有する、ポリヒドロキシアルカノエートから作られた小箱構造、漏斗状構造、円筒構造、三角構造、四角構造、または多面構造であり得る。囲い30は、誘引剤が含められているまたはスプレーされているポリヒドロキシアルカノエート含有生分解性粘着剤でコーティングされた少なくとも1つの表面を有する。
【0041】
一実施形態では、昆虫捕獲器は漏斗状捕獲器40であり得、この漏斗状捕獲器40は、ポリヒドロキシアルカノエートから作られた複数の漏斗を含み、好ましくは、雨水の流れ込みを阻止するための覆いが上部に付属し、粘着剤及び誘引剤で満たされたチャンバーが下部に付属する。
図4に一例が示される。
【0042】
別の実施形態では、昆虫捕獲器は、折り畳み式パネル捕獲器50として提供され得る。
図5に示されるように、パネル捕獲器は自立式であり、ポリヒドロキシアルカノエートから作られた複数のパネルを含み、捕獲器の1つ以上のパネルに粘着剤及び誘引剤が添加される。
【0043】
さらに別の実施形態では、昆虫捕獲器は、木の幹の一部の周囲に巻き付けられる樹木バンド捕獲器として使用され得る。
【0044】
重要なことに、本開示による昆虫捕獲器もまた、生分解性である。ある特定の実施形態によれば、昆虫捕獲器は、好ましくは、ASTM D5988によって決定されるように生分解性である。ある特定の他の実施形態では、昆虫捕獲器は、好ましくは、ASTM D6400によって決定されるように家庭で堆肥化可能である。
【0045】
昆虫捕獲器は生分解性及び/または堆肥化可能であることから、使用後に昆虫捕獲器を除去及び処分する必要性がなくなる。代わりに、昆虫捕獲器を回収し、別に処分するための別のステップを行うことなく、単に土壌に耕し込めばよい。
【0046】
したがって、本開示は、昆虫を捕獲するための方法も提供する。一実施形態によれば、この方法は、農地の上に昆虫捕獲器を配置するステップと、捕獲器で昆虫を捕獲するステップと、捕獲器を農地に埋めることによって捕獲器を処分するステップと、を含む。
【0047】
実施形態
本開示は、下記の実施形態によってもさらに例示される。
【0048】
実施形態1
第1の表面を有する基材であって、前記基材が、(1)少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、前記板紙ウェブが、前記板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、前記コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記板紙ウェブを含む前記基材と、
前記基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤であって、前記粘着剤が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記粘着剤と、
昆虫誘引剤と、
を含む、生分解性昆虫捕獲器。
【0049】
実施形態2
前記基材が、頭上の支持物から吊り下げられる伸長シートを含む、実施形態1に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0050】
実施形態3
前記基材が、昆虫を捕獲するための囲いへと成形されている、実施形態1または2に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0051】
実施形態4
前記基材が、昆虫を捕獲するための箱へと成形されており、前記基材第1表面が、前記箱の内側に配置されている、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0052】
実施形態5
前記昆虫誘引剤が、昆虫を誘引するフェロモンを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0053】
実施形態6
前記昆虫誘引剤が、Diabrotica barberi、Diabrotica undecimpunctata、Diabrotica undecimpunctata howardi Barber、Cerotoma trifurcata、Hypena scabra、Nezara viridula、Acrosternum hilare、Euschistus servus、Pseudoplusia includens(Walker)、Trichoplusia ni(Hubner)、Anthonomus grandis、Aphis glycines(Matsumura)、Epicauta属の種(pennsylvania、pestifera、fabricii)、及び/またはChrysodeixis includensを誘引するフェロモンを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0054】
実施形態7
前記フェロモンが、前記基材の少なくとも一部の上にコーティングとして適用されている、実施形態5または6に記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0055】
実施形態8
前記基材が、少なくとも80重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0056】
実施形態9
前記基材が、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0057】
実施形態10
前記基材が、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0058】
実施形態11
前記基材が、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート-co-ブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート、及びそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加の1つの生分解性ポリマーを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0059】
実施形態12
前記粘着剤が、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート「P(3HB-co-3HHx)」)を含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0060】
実施形態13
前記粘着剤が、約75~約99.9モルパーセントの、3-ヒドロキシブチレートのモノマー残基、約0.1~約25モルパーセントの、3-ヒドロキシヘキサノエートのモノマー残基、及び約0.1~約25モルパーセントの、5~12個の炭素原子を有する第3の3-ヒドキシアルカノエートのモノマー残基から構成されるターポリマーを含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0061】
実施形態14
前記粘着剤が、生分解性タッキファイヤーをさらに含む、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0062】
実施形態15
前記昆虫捕獲器が、ASTM D5988によって決定されるように生分解性である、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0063】
実施形態16
前記昆虫捕獲器が、ASTM D6400によって決定されるように家庭で堆肥化可能である、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0064】
実施形態17
前記昆虫捕獲器が、殺虫剤を含まない、先行実施形態のいずれかに記載の生分解性昆虫捕獲器。
【0065】
実施形態18
農地の上に昆虫捕獲器を配置するステップと、前記捕獲器で昆虫を捕獲するステップと、前記捕獲器を前記農地に埋めることによって前記捕獲器を処分するステップと、を含む、昆虫を捕獲するための方法であって、
前記昆虫捕獲器が、第1の表面を有する基材であって、前記基材が、(1)少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含むポリマーウェブ、または(2)板紙ウェブであって、前記板紙ウェブが、前記板紙ウェブの少なくとも一部の上に適用されるコーティング層を有し、前記コーティング層が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記板紙ウェブを含む前記基材と、前記基材第1表面の少なくとも一部の上に適用される粘着剤であって、前記粘着剤が、少なくとも50重量パーセントのポリヒドロキシアルカノエートを含む前記粘着剤と、昆虫誘引剤と、を含む、前記方法。
【0066】
本発明に好ましい実施形態についての前述の説明は、例示及び説明を目的として示されている。それらは、包括的であること、または本発明を開示の詳細形態に限定することを意図するものではない。上記の教示を踏まえれば、自明の改変または変形が可能である。実施形態は、本発明の原理及びその実用的な用途の最良な例示を提供し、それによって当業者がさまざまな実施形態において本発明を利用できるようにするための努力の中で選択及び説明されており、企図される具体的な使用に適するようにさまざまな改変が施される。そのような改変及び変形はすべて、それらが公平に、法的に、かつ公正に権利が付与される広がりに従って解釈される場合、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に含まれる。
【国際調査報告】