(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテル用のカプラ及びアセンブリ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20240920BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61M25/06 500
A61M25/09 530
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516883
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-15
(86)【国際出願番号】 US2022044923
(87)【国際公開番号】W WO2023049522
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト、シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ベヒシュタイン、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ビビアーノ、カーター
(72)【発明者】
【氏名】マリー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】スパタロ、ジョー
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA24
4C267AA28
4C267BB04
4C267BB18
4C267BB31
4C267BB40
4C267BB53
4C267CC08
4C267EE01
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)用のカプラ及びそのアセンブリである。例えば、RICC用のイントロデューサニードルアセンブリは、イントロデューサニードル及び該イントロデューサニードルに連結されたカプラとを含み得る。イントロデューサニードルは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを有するニードルを含む。シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下のニードルスロットの一部を除いて、その下のニードルスロットを封止するニードルシャフトを覆う。ニードルハブは、ニードルシャフト及びシースの近位部分上で遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含み得る。ニードルハブは、RICCの一部を内部に保持するように構成されたRICCクリップのニードルハブ部分を含み得る。カプラは、カプラハウジングに接続されたRICCクリップの相補的なカプラ部分を含み得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)挿入アセンブリであって、
RICCと、
イントロデューサニードルであって、
ニードルシャフトであって、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むニードルシャフトと、
シースであって、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、その下の前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆うシースと、
前記ニードルシャフト及び前記シースの前記近位部分を覆うニードルハブであって、遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含むニードルハブと、
前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、前記RICCの一部を内部に保持するように構成されたRICCクリップのニードルハブ部分と
を含む、イントロデューサニードルと、
アクセスガイドワイヤであって、
近位端を含む近位部分と、
前記RICC挿入アセンブリの前記少なくとも展開準備完了状態において、前記イントロデューサニードル内で前記ニードル先端部のすぐ近位に配置された遠位端を含む遠位部分と
を含むイントロデューサニードルと、
前記RICC、前記イントロデューサニードル、及び前記アクセスガイドワイヤを一緒に連結するカプラであって、
カプラハウジングと、
前記カプラハウジングに接続された前記RICCクリップのカプラ部分であって、前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び前記遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される、カプラ部分と
を含むとカプラと
を備えるRICC挿入アセンブリ。
【請求項2】
前記カプラハウジングは、近位方向に延びるカプラハウジング支持体を含み、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、少なくとも前記ニードルハブ延長アームは該カプラハウジング支持体上に摺動可能に配置される、請求項1に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項3】
前記RICCクリップの前記カプラ部分は、前記カプラハウジング支持体の近位部分から懸架された前記RICCクリップの第1の「C」字形部分であり、前記RICCクリップの前記ニードルハブ部分は、前記ニードルハブの近位部分から懸架された前記RICCクリップの第2の「C」字形部分であり、前記RICCクリップの前記第1および第2の「C」字形部分は、前記RICCクリップが前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で完成するように、互いに向かい合って開く、請求項2に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項4】
前記RICCクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCが前記RICC挿入アセンブリから懸架されるように、前記RICCの1つ以上の延長レッグを内部に保持するように構成される、請求項2又は3に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項5】
前記RICCクリップは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記RICCの前記1つ以上の延長レッグをそこから解放するように構成される、請求項4に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項6】
前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にあるニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブ延長アームを含む前記ニードルハブの遠位部分は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記ニードルハブレセプタクル内に配置される、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項7】
前記カプラは、前記ニードルハブレセプタクルの前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含み、前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記シース開口部を通って延びる前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分との周囲を封止することにより、前記イントロデューサニードルを介して漏れの無い吸引を可能とする、請求項6に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項8】
前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下の前記ニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含み、前記ブレードは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含むことにより、前記ニードルスロットを介して前記アクセスガイドワイヤが前記ニードルシャフトから出ることを許容する、請求項7に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項9】
前記カプラは、前記カプラハウジングの両側を通って延びる一対のロックボタンを含み、前記一対のロックボタンは、前記カプラハウジング内に係留的に保持される一対の軸上にそれぞれ取り付けられ、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは対応する軸上で回動する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項10】
前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、突起と間隙とを有し、前記突起は、該突起を前記ロックボタンの外部押圧可能部分に接続するクロスアームから延び、前記間隙は、前記突起と前記外部押圧可能部分との間で前記クロスアームと対向している、請求項9に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項11】
前記一対のロックボタンは、前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記突起が、前記一対のロックボタンのデフォルト状態において、前記ニードルハブ延長アームの両側の前記ニードルハブ延長アームの壁の一対の切欠きのうちの1つの切欠き内に配置されるように、前記カプラの中心線から離れるように付勢される、請求項10に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項12】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンが前記カプラの前記中心線に向かって押圧されるとき、前記ニードルハブ延長アームの両側にある前記ニードルハブ延長アームの前記壁が、前記突起と前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の間隙を通過する、請求項11に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項13】
前記ニードルハブは、近位方向に延びるニードルハブクレードルを含み、該ニードルハブクレードルは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれた場合に、前記RICC挿入アセンブリを保持することを容易とすべく、前記ニードルハブクレードルの両側に把持パッドを備える、請求項1乃至12のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項14】
請求項13に記載のRICC挿入アセンブリは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記イントロデューサニードルに流体接続されたシリンジを更に含み、該シリンジのバレルは、前記シリンジの前記バレルの側面に位置する把持パッドを備える前記ニードルハブクレードル内に配置されている、RICC挿入アセンブリ。
【請求項15】
別のRICCクリップが、前記シリンジのプランジャフランジから延びるプランジャフランジ延長部に一体化され、前記別のRICCクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCが前記RICC挿入アセンブリから懸架されるように、前記RICCのカテーテルハブを内部に保持するように構成される、請求項14に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項16】
前記ニードルハブは、前記ニードルシャフト及び前記シースの近位部分上にある遠位方向に延びるニードルハブ延長管の切欠きによって形成されたアクセスガイドワイヤチャネルを含む、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項17】
前記ニードルハブは、横方向に延びるバーと、該バーと前記アクセスガイドワイヤチャネルとの間のニードルハブパッドとを含み、前記バー及び前記ニードルハブパッドは、患者の皮膚の領域から血管内腔までの穿刺経路を確立するときに、前記アクセスガイドワイヤを定位置に押圧及び保持するように構成されている、請求項16に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項18】
前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記RICCクリップの前記カプラ部分と同じ側で長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含み、前記カプラハウジングスロットは、ニードルシャフトの前記ニードルスロットの反対方向に開口し、前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成されている、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項19】
前記カプラハウジングスロットは、幅狭部と、該幅狭部の近位にある幅広部とを含み、前記カプラハウジングスロットの前記幅広部は、前記RICC挿入アセンブリを組み立て中に、少なくとも前記ニードルハブのニードルハブ位置合わせレールを位置合わせするように構成されている、請求項18に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項20】
前記アクセスガイドワイヤは、前記アクセスガイドワイヤの遠位端上にあるアクセスガイドワイヤハブを含み、前記アクセスガイドワイヤは、前記アクセスガイドワイヤを過剰に前進させることを防止するように構成されている、請求項1乃至19のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項21】
イントロデューサニードルアセンブリであって、
イントロデューサニードルであって、
ニードルシャフトであって、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むニードルシャフトと、
シースであって、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、その下の前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆うシースと、
前記ニードルシャフト及び前記シースの前記近位部分を覆うニードルハブであって、遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含むニードルハブと、
RICCの一部を内部に保持するように構成された迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)クリップのニードルハブ部分と
を含むイントロデューサニードルと、
前記イントロデューサニードルに連結されたカプラであって、
カプラハウジングと、
前記カプラに接続された前記RICCクリップのカプラ部分と
を含むカプラと
を備えるイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項22】
前記カプラハウジングは、近位方向に延びるカプラハウジング支持体を含み、少なくとも前記ニードルハブ延長アームは、前記カプラハウジング支持体上に摺動可能に配置される、請求項21に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項23】
前記RICCクリップの前記カプラ部分は、前記カプラハウジング支持体の近位部分から懸架された前記RICCクリップの第1の「C」字形部分であり、前記RICCクリップの前記ニードルハブ部分は、前記ニードルハブの近位部分から懸架された前記RICCクリップの第2の「C」字形部分であり、前記RICCクリップの前記第1および第2の「C」字形部分は、前記RICCクリップが完成するように、互いに向かい合って開く、請求項22に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項24】
前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブ延長アームを含む前記ニードルハブの遠位部分は前記ニードルハブレセプタクル内に配置される、請求項21乃至23のいずれか一項に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項25】
前記カプラは、前記ニードルハブレセプタクルの遠位にある、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールを更に含み、前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、存在する場合には前記シース開口部を通って延びるアクセスガイドワイヤの遠位部分との周囲を封止することにより、前記イントロデューサニードルを介した漏れの無い吸引を可能とする、請求項24に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項26】
前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下のニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含み、前記ブレードは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む、請求項25に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項27】
前記カプラは、前記カプラハウジングの両側を通って延びる一対のロックボタンを含み、前記一対のロックボタンは、前記カプラハウジング内に係留的に保持される一対の軸上にそれぞれ取り付けられ、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは対応する軸上で回動する、請求項21乃至26のいずれか一項に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項28】
前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、突起と間隙とを有し、前記突起は、該突起を前記ロックボタンの外部押圧可能部分に接続するクロスアームから延びており、前記間隙は、前記ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の前記クロスアームに対向している、請求項27に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項29】
前記一対のロックボタンは、前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記突起が、前記一対のロックボタンのデフォルト状態において、前記ニードルハブ延長アームの両側の前記ニードルハブ延長アームの壁の一対の切欠きのうちの1つの切欠き内に配置されるように、前記カプラの中心線から離れるように付勢される、請求項28に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【請求項30】
前記一対のロックボタンが前記カプラの前記中心線に向かって押圧されるとき、前記ニードルハブ延長アームの両側にある前記ニードルハブ延長アームの前記壁が、前記突起と前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の間隙を通過する、請求項29に記載のイントロデューサニードルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中心静脈カテーテル(CVC:Central venous catheter)は一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、患者の脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法を実施中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0002】
本願では、上記に対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly insertable central catheter)用のカプラ及びアセンブリが開示される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、いくつかの実施形態では、RICCと、イントロデューサニードルと、アクセスガイドワイヤと、前記RICC、前記イントロデューサニードル、及びアクセスガイドワイヤを一緒に連結するカプラとを含む、RICC挿入アセンブリが開示される。前記イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと、シースと、前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆うニードルハブとを含む。前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含む。前記シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、その下の前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆う。前記ニードルハブは、遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含む。加えて、前記ニードルハブは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、前記RICCの一部を内部に保持するように構成されたRICCクリップのニードルハブ部分を含む。前記アクセスガイドワイヤは、近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。前記アクセスガイドワイヤの遠位端は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記イントロデューサニードル内でニードル先端部のすぐ近位に配置される。前記カプラは、カプラハウジングと、カプラハウジングに接続された前記RICCクリップのカプラ部分とを含む。前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び前記遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは近位方向に延びるカプラハウジング支持体を含む。少なくとも前記ニードルハブ延長アームは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記カプラハウジング支持体上に摺動可能に配置される。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記RICCクリップの前記カプラ部分は、前記カプラハウジング支持体の近位部分から懸架された前記RICCクリップの第1の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記ニードルハブ部分は、前記ニードルハブの近位部分から懸架された前記RICCクリップの第2の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記第1および第2の「C」字形部分は、前記RICCクリップが前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で完成するように、互いに向かい合って開く。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記RICCクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCが前記RICC挿入アセンブリから懸架されるように、前記RICCの1つ以上の延長レッグを内部に保持するように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記RICCクリップは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記RICCの前記1つ以上の延長レッグをそこから解放するように構成される。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルをさらに含む。前記ニードルハブの遠位部分は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記ニードルハブレセプタクル内に配置された前記ニードルハブ延長アームを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、前記ニードルハブレセプタクルの遠位側にある、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含む。前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記シース開口部を通って延びる前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分との周囲を封止する。前記シースおよび前記アクセスガイドワイヤの周囲の前記シールは、前記イントロデューサニードルを介した漏れのない吸引を可能にする。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下のニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含む。前記ブレードは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む。前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すことにより、前記アクセスガイドワイヤが前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットを経由して、前記ニードルシャフトから出ることを可能にする。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、該カプラハウジングの両側を通って延びる一対のロックボタンを含む。前記一対のロックボタンは、前記カプラハウジング内に係留的に保持される一対の軸上にそれぞれ取り付けられ、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは対応する軸上で回動する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、突起を有し、該突起は、該突起を前記ロックボタンの外部押圧可能部分に接続するクロスアームから延びている。加えて、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、前記突起と前記ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の前記クロスアームに対向する間隙を有する。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンは、前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記突起が、前記一対のロックボタンのデフォルト状態において、前記ニードルハブ延長アームの両側の前記ニードルハブ延長アームの壁の一対の切欠きのうちの1つの切欠き内に配置されるように、前記カプラの中心線から離れるように付勢される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンが前記カプラの前記中心線に向かって押圧されるとき、前記ニードルハブ延長アームの両側にある前記ニードルハブ延長アームの前記壁が、前記突起と前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の間隙を通過する。
【0015】
いくつかの実施形態では、ニードルハブは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれた場合に、前記RICC挿入アセンブリを保持することを容易とすべく、前記ニードルハブクレードルの両側に把持パッドを備える近位方向に延びるニードルハブクレードルを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記RICC挿入アセンブリは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記イントロデューサニードルに流体接続されたシリンジを更に含む。前記シリンジのバレルは、前記シリンジの前記バレルの側面に位置する把持パッドを備える前記ニードルハブクレードル内に配置されている。
【0017】
いくつかの実施形態において、プランジャフランジ延長部に一体化された別のRICCは、前記シリンジのプランジャのプランジャフランジから延びている。他のRICCクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCが前記RICC挿入アセンブリから懸架されるように、前記RICCのカテーテルハブを内部に保持するように構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記ニードルハブは、前記ニードルシャフト及び前記シースの近位部分上にある遠位方向に延びるニードルハブ延長部の切欠きによって形成されたアクセスガイドワイヤチャネルを含む。
【0019】
いくつかの実施形態において、横方向に延びるバーと、前記バーと前記アクセスガイドワイヤチャネルとの間のニードルハブパッドとを含む。前記バー及び前記ニードルハブパッドは、患者の皮膚の領域から血管内腔までの穿刺経路を確立するときに、前記アクセスガイドワイヤを定位置に押圧及び保持するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記RICCクリップの前記カプラ部分と同じ側で長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含む。前記カプラハウジングスロットは、ニードルシャフトの前記ニードルスロットと反対方向に開口する。前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記カプラハウジングスロットは、幅狭部と、該幅狭部の近位にある幅広部とを含む。前記カプラハウジングスロットの前記幅広部は、前記RICC挿入アセンブリを組み立て中に、少なくとも前記ニードルハブのニードルハブ位置合わせレールを位置合わせするように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記アクセスガイドワイヤは、前記アクセスガイドワイヤの遠位端上にあるアクセスガイドワイヤハブを含む。前記アクセスガイドワイヤは、前記アクセスガイドワイヤを過剰に前進させることを防止するように構成されている。
【0023】
本明細書では、いくつかの実施形態では、イントロデューサニードルと、該イントロデューサニードルに連結されたカプラとを含むイントロデューサニードルアセンブリが開示される。前記イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと、シースと、前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆うニードルハブとを含む。前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含む。前記シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、その下の前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆う。前記ニードルハブは、遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含む。加えて、前記ニードルハブは、前記RICCの一部を内部に保持するように構成されたRICCクリップのニードルハブ部分を含む。前記カプラは、カプラハウジングと、カプラハウジングに接続された前記RICCクリップのカプラ部分とを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは近位方向に延びるカプラハウジング支持体を含む。少なくとも前記ニードルハブ延長アームは、前記カプラハウジング支持体上に摺動可能に配置される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記RICCクリップの前記カプラ部分は、前記カプラハウジング支持体の近位部分から懸架された前記RICCクリップの第1の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記ニードルハブ部分は、前記ニードルハブの近位部分から懸架された前記RICCクリップの第2の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記第1および第2の「C」字形部分は、互いに向かい合って開き、前記RICCクリップを完成する。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルをさらに含む。前記ニードルハブの遠位部分は、前記ニードルハブレセプタクル内に配置された前記ニードルハブ延長アームを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、前記ニードルハブレセプタクルの遠位側にある、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含む。前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、存在する場合には前記シース開口部を通って延びるアクセスガイドワイヤの遠位部分との周囲を封止する。前記シースおよび前記アクセスガイドワイヤの周囲の前記シールは、前記イントロデューサニードルを介した漏れのない吸引を可能にする。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下のニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含む。前記ブレードは、前記イントロデューサニードルが前記カプラから引き抜かれるときに、前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、該カプラハウジングの両側を通って延びる一対のロックボタンを含む。前記一対のロックボタンは、前記カプラハウジング内に係留的に保持される一対の軸上にそれぞれ取り付けられ、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは対応する軸上で回動する。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、突起を有し、該突起は、該突起を前記ロックボタンの外部押圧可能部分に接続するクロスアームから延びている。加えて、前記一対のロックボタンの各ロックボタンは、前記突起と前記ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の前記クロスアームに対向する間隙を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンは、前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記突起が、前記一対のロックボタンのデフォルト状態において、前記ニードルハブ延長アームの両側の前記ニードルハブ延長アームの壁の一対の切欠きのうちの1つの切欠き内に配置されるように、前記カプラの中心線から離れるように付勢される。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記一対のロックボタンが前記カプラの前記中心線に向かって押圧されるとき、前記ニードルハブ延長アームの両側にある前記ニードルハブ延長アームの前記壁が、前記突起と前記一対のロックボタンの各ロックボタンの前記外部押圧可能部分との間の間隙を通過する。
【0033】
また、RICCを患者の血管管腔内に挿入するための方法も本明細書に開示されている。本方法は、いくつかの実施形態では、RICC挿入アセンブリ取得ステップと、穿刺経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、イントロデューサニードル引き抜きステップと、RICC前進ステップとを含む。前記RICC挿入アセンブリ取得ステップは、カプラによって互いに連結された、前記RICCと、ニードルシャフトを覆うシースを含むイントロデューサニードルと、アクセスガイドワイヤとを含むRICC挿入アセンブリを取得するステップを含む。加えて、前記アクセスガイドワイヤの近位部分は、前記RICCの一次管腔内に配置され、前記アクセスガイドワイヤの遠位端は、前記カプラのカプラハウジング内に配置されたバルブモジュールによって、前記イントロデューサニードル内に配置される。前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び前記遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される。前記穿刺経路確立ステップは、前記イントロデューサニードルを用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。前記アクセスガイドワイヤ前進ステップは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端を、前記ニードルシャフト内で前記ニードルシャフトのニードル先端部のすぐ近位のその初期位置から血管内腔内へ前進させることを含む。前記イントロデューサニードル引き抜きステップは、前記アクセスガイドワイヤを血管内腔内の定位置に残したままで、前記イントロデューサニードルを前記カプラから引き抜くことを含む。前記RICCクリップのニードルハブ部分とカプラ部分との間に形成された前記RICCクリップは、前記イントロデューサニードルの前記カプラ部分からの引き抜きに伴い、そこに保持された前記RICCの一部を出すように分離する。前記イントロデューサニードルは、前記ニードルシャフトの近位部分からニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含み、前記イントロデューサニードルの前記カプラ部分からの引き抜きに伴い、前記アクセスガイドワイヤがそこから逃がすことができる。前記RICC前進ステップは、前記RICCを血管内腔へ挿入するために前記RICCのカテーテルチューブを前記アクセスガイドワイヤ上で前進させることを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記RICCクリップの前記カプラ部分は、近位方向に延びるカプラハウジング支持体の近位部分から懸架された前記RICCクリップの第1の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記ニードルハブ部分は、近位方向に延びるニードルハブクレードルの近位部分から懸架された前記RICCクリップの第2の「C」字形部分である。前記RICCクリップの前記第1および第2の「C」字形部分は、前記RICCクリップが前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で完成するように、互いに向かい合って開く。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記方法は、ニードルハブ解除ステップを更に含む。ニードルハブ解除ステップは、前記イントロデューサニードル引き抜きステップにおいて、前記イントロデューサニードルを前記カプラから引き抜く前に前記ニードルハブを解除することを含む。前記ニードルハブを解除することは、前記カプラハウジングのアームの両側を通して前記カプラハウジング内に延びる一対のロックボタンを押すことを含むことにより、遠位方向に延びるニードルハブ拡張アームの壁が前記突起と前記一対のロックボタンの各ロックボタン用のロックボタンの外部押圧可能部分との間の間隙を通過することを許容する。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記穿刺経路確立ステップは、前記アクセスガイドワイヤを横方向に延びるバー又は前記ニードルハブのニードルハブパッドに抗して定位置に押圧及び保持することを含む。前記ニードルハブパッドは、遠位方向に延びるニードルハブ延長チューブの切欠きによって形成される前記アクセスガイドワイヤチャネルと前記バーとの間にある。
【0037】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリの側面図を示す。
【
図2】いくつかの実施形態による別のRICC挿入アセンブリの斜視図を示す。
【
図3】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの上部の斜視図を示す。
【
図4】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの底部及びシリンジの斜視図を示す。
【
図5】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの側面図を示す。
【
図6】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの平面図を示す。
【
図7】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの底面図を示す。
【
図8】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルがカプラから引き抜かれた状態のイントロデューサニードルアセンブリの側面図を示す。
【
図9】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルがカプラから引き抜かれた状態のイントロデューサニードルアセンブリの平面図を示す。
【
図10】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルがカプラから引き抜かれた状態のイントロデューサニードルアセンブリの底面図を示す。
【
図11】イントロデューサニードルアセンブリの特定の特徴を視覚化することを補助すべくカプラハウジングの半分及びニードルハブの半分が取り外された、いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの斜視図を示す。
【
図12】イントロデューサニードルアセンブリの特定の特徴を視覚化することを補助すべくカプラハウジングが取り外された、いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルアセンブリの斜視図を示す。
【
図13】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルの両シース及びニードルシャフト上のカプラのバルブモジュールの側面図を示す。
【
図14】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルの両シース及びニードルシャフト上のカプラのバルブモジュールの長手方向の断面図を示す。
【
図15】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルの側面図を示す。
【
図16】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルの平面図を示す。
【
図17】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルのニードルシャフト上のシースを示す。
【
図18】いくつかの実施形態によるシースの平面図を示す。
【
図19】いくつかの実施形態による、ニードルシャフトの平面図を示す。
【
図20】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのRICCを示す。
【
図21】いくつかの実施形態によるRICCのカテーテルチューブの遠位部分の詳細を示す図。
【
図22】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の横断面を示す。
【
図23】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の別の横断面を示す。
【
図24】いくつかの実施形態によるカテーテルチューブの遠位部分の長手方向の断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0040】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、特に指定されない限り、1つまたは複数の特徴もしくはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0041】
「近位」に関しては、例えばカテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0042】
「遠位」に関しては、例えば、カテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0043】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
セルジンガー法に関して上述したように、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法を実施中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0044】
本明細書に開示されるのはRICC用のカプラ及びそのアセンブリである。例えば、RICC用のイントロデューサニードルアセンブリは、イントロデューサニードル及び該イントロデューサニードルに連結されたカプラとを含み得る。イントロデューサニードルは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを有するニードルを含む。シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下のニードルスロットの一部を除いて、その下のニードルスロットを封止するニードルシャフトを覆う。ニードルハブは、ニードルシャフト及びシースの近位部分上で遠位方向に延びるニードルハブ延長アームを含み得る。ニードルハブは、RICCの一部を内部に保持するように構成されたRICCクリップのニードルハブ部分を含み得る。カプラは、カプラハウジングに接続されたRICCクリップの相補的なカプラ部分を含み得る。
【0045】
前述の特徴並びにカプラ及びRICC用のアセンブリの他の特徴は、RICC挿入アセンブリの文脈における前述の説明の特定の実施形態を説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。特に、RICC挿入アセンブリは、例えばカテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得るカテーテルの1つのタイプを含むにすぎない。末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheters)、透析カテーテルなどが、以下のカテーテル挿入アセンブリのようなカテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得ることを理解されたい。
【0046】
RICC挿入アセンブリ
図1は、いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリ100を示す。
図2は、いくつかの実施形態による別のRICC挿入アセンブリ200を示す。簡潔にするために、RICC挿入アセンブリ100,200又はそのサブアセンブリの中で属タイプの特徴(例えば、イントロデューサニードル104のニードルハブ160)は、ここでは単一の参照番号で参照される。RICC挿入アセンブリ100,200の各RICC挿入アセンブリ又はそのサブアセンブリは、別のRICC挿入アセンブリ又はサブアセンブリの特徴から特定のタイプの特徴を異ならせる種タイプの特徴(例えば、RICC挿入アセンブリ100のために
図1に示されるニードルハブ160のバー198及びニードルハブパッド202に対するRICC挿入アセンブリ200のために
図2に示されるニードルハブ160のピンチホルダ204)を含む。加えて、RICC挿入アセンブリ100が便宜上ここで最初に参照されるが、RICC挿入アセンブリ100についての説明は、文脈が示唆しない限り、RICC挿入アセンブリ200まで継続することを理解されたい。
【0047】
示されるように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサニードル104と、アクセスガイドワイヤ106と、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてRICC102、イントロデューサニードル104、及びアクセスガイドワイヤ106を互いに連結するカプラ108とを含む。RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態において、以下に説明するように、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、RICC102のルアーコネクタに連結されたアクセスガイドワイヤハブ250内に配置され、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、イントロデューサニードル104のニードル管腔174内に配置される。これにより、アクセスガイドワイヤ106にループが形成される。RICC102は、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態でループの上方に配置され、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0048】
RICC挿入アセンブリ100は、少なくともRICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態において、イントロデューサニードル104に流体接続されたシリンジ110を更に含むことができる。以下に説明するように、シース164は、ニードルシャフト162のニードルスロット168を封止する。特に、シース164は、バルブモジュール218の外側でニードルスロット168を封止する。次に、バルブモジュール218は、次に、ニードルスロット168に対して開くシース164のシース開口部178を覆って封止する。また、バルブモジュール218は、アクセスガイドワイヤ106の周囲を封止する。このような封止により、シリンジ110が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することが可能になる。
【0049】
特に、以下に記載されるRICCクリップ186に加えて、またはその代替として、RICCクリップ112は、内部にRICC102のカテーテルハブ132を保持するための適切に構成されたプランジャフランジ延長部114によってシリンジ110に組み込まれ得る。
図2に示すように、プランジャフランジ延長部114は、管状プランジャ120の近位部分に挿入されたプランジャストッパ118のプランジャフランジ116から延び得る。前述したものとは異なる形態では、プランジャフランジ延長部114は、代わりに、直交する長手方向に延びる支持部材を備えたプランジャを有する使い捨てシリンジに一般的に見られるようなプランジャと一体のプランジャフランジから延びてもよい。前述したものとは別の異なる形態では、プランジャフランジ延長部114は、代わりに、シリンジ110のバレル126上に摺動可能に配置されたプランジャ連結バレルキャップ124に組み込まれた、任意選択でテクスチャ加工されたプランジャフランジ122から延びてもよい。(バレルキャップ124のプランジャフランジ122については
図3を参照されたい。)いずれにしても、プランジャフランジ延長部114は、内部にプランジャフランジ延長スロット128を含むことにより、RICCクリップ112を形成する。該RICCクリップ112は、RICC102がRICC挿入アセンブリ100または200の少なくとも展開準備完了状態においてRICC挿入アセンブリ100または200から懸架されるように、内部にRICC102のカテーテルハブ132を保持するように構成される。
【0050】
最後に、少なくともRICC102、イントロデューサニードル104、アクセスガイドワイヤ106、カプラ108、およびシリンジ110から選択されるRICC挿入アセンブリ100の任意の構成要素、または上記構成要素から選択される構成要素の任意の部分は、その上またはその中に抗菌剤を含むことができる。一例では、RICC102のカテーテルチューブ130は、カテーテルチューブ130の反管腔側表面、カテーテルチューブ130の管腔側表面、または両表面上に抗菌コーティングを含むことができる。別の例では、カテーテルチューブ130の押し出し成型前の材料は、押し出し成型されたときに抗菌剤がカテーテルチューブ130に組み込まれるように、材料の中に混合された抗菌剤を含むことができ、抗菌剤は、カテーテルチューブ130の反管腔側表面及びカテーテルチューブ130の管腔側表面の両方を微生物汚染から保護する。
【0051】
図20は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のRICC102を示す。
示されるように、RICC102は、カテーテルチューブ130と、カテーテルハブ132と、1つ以上の延長レッグ134と、1つ以上の延長レッグコネクタ136とを含む。
【0052】
図21~
図24は、いくつかの実施形態による、RICC102のカテーテルチューブ130の様々な図を示す。
カテーテルチューブ130は、カテーテルチューブ130の遠位部分の第1のセクション138と、第1のセクション138の近位のカテーテルチューブ130の遠位部分の第2のセクション140と、カテーテルチューブ130の第1のセクション138と第2のセクション140との間のテーパ状接合部142とを含む。
【0053】
カテーテルチューブ130の第1のセクション138は、接合部142の遠位にある第1のセクション138の遠位部分の外径から第1のセクション138の遠位端の外径まで、比較的短いテーパを有するカテーテル先端部144を含む。カテーテル先端部144のテーパは、イントロデューサニードル104で確立された穿刺経路の周囲にある組織を、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の遠位部分の外径まで、即時に拡張するように構成されている。
図24に最もよく示されるように、カテーテルチューブ130の第1のセクション138はまた、接合部142の遠位部分の穴内に配置され、かつ、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってその穴に固定的に連結された近位部分を含む。
【0054】
カテーテルチューブ130の第2のセクション140は、第2のセクション140の遠位端から第2のセクション140の近位端まで、その長さにわたって一定の外径を含む。カテーテルチューブ130の第2のセクション140の一定の直径は、カテーテルチューブ130の第1のセクション138及び接合部142による任意の拡張後の、穿刺経路及び標的血管系内への円滑な挿入のために構成されている。カテーテルチューブ130の第2のセクション140の遠位端は、接合部142の平坦面近位端と同一平面上にあり、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってその近位端に固定的に連結された平坦面を有する。
【0055】
接合部142は、接合部142の近位端から接合部142の遠位端まで、その長さにわたってテーパを含む。接合部142のテーパは、穿刺経路の周囲にある組織を、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の近位部分における外径からカテーテルチューブ130の第2のセクション140の外径まで、即時に拡張するように構成されている。接合部142の反管腔側表面は、カテーテルチューブ130が穿刺経路に挿入されるときに皮膚に引っ掛かる縁部を生じることなく、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の反管腔側表面からカテーテルチューブ130の第2のセクション140の反管腔側表面へ滑らかに移行する。縁部が最小限ないし無視できる程度であることに加えて、縁部は、カテーテルチューブ130を形成するポリマー材料のうちの溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これにより、カテーテルチューブ130の第1のセクション138から接合部142への移行、及び接合部142からカテーテルチューブ130の第2のセクション140への移行が滑らかになる。特に、接合部142は、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の露出部分の長さにほぼ相当する長さ、又はカテーテルチューブ130の第1のセクション138の露出部分の長さと第2のセクション140の露出部分の長さとの間の長さを有する。このように、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の露出部分の長さは、接合部142の長さよりも短く、最大で接合部142の長さにほぼ相当する。
【0056】
カテーテルチューブ130の第1のセクション138は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタン)から形成される。カテーテルチューブ130の第2のセクション140は、第1のデュロメータ硬さよりも小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、別のポリウレタン、又はシリコーン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ130の第1のセクション138は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリウレタンから形成することができ、カテーテルチューブ130の第2のセクション140は、第1のデュロメータ硬さよりも小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2の異なるポリウレタン(例えば、同じ又は異なるジイソシアネート若しくはトリイソシアネートが、異なるジオール又はトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、同じ又は異なるジオール若しくはトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、異なる条件下で又は異なる添加剤を用いて、同じジオール又はトリオールと反応したものなど)から形成され得る。実際、ポリウレタンは、室温では相対的に剛性であり得るが、生体内では体温でより可撓性になり得、これにより血管壁への刺激並びに静脈炎が低減されるという点で、カテーテルチューブ130に好都合である。また、ポリウレタンは、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低くなり得るという点でも好都合である。接合部142は、第1のデュロメータ硬さよりも小さく、かつ第2のデュロメータ硬さに比べて、大きいか、ほぼ等しいか、又は小さい第3のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料(例えば、更に別のポリウレタン)から形成される。
【0057】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬さ、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬さ、及び第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬さは、異なるスケールによるもの(例えば、タイプA又はタイプD)であってもよいことを理解されたい。この理解により、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬さ又は第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬さは、第2のデュロメータ硬さ又は第3のデュロメータ硬さが第1のデュロメータよりも小さい場合に、絶対値的には、第1のポリマー材料の第1のデュロメータよりも小さくない可能性がある。実際に、第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料の硬度は、やはり第1のポリマー材料の硬度よりも低い場合がある。それぞれ0~100の範囲である異なるスケールが、同様の硬度を有する材料の群における別々の材料を特徴付けるように設計されているためである。
【0058】
上述したカテーテルチューブ130の第1のセクション138、カテーテルチューブ130の第2のセクション140、及びカテーテルチューブ130の第1のセクション138と第2のセクション140との間の接合部142によれば、カテーテルチューブ130は、イントロデューサニードル104で確立された穿刺経路内に挿入されたときに、カテーテルチューブ130の座屈を防止するのに十分なカラム強度を有する。また、カテーテルチューブ130のカラム強度は、別個の拡張器を用いて穿刺経路周囲の組織又は血管系のいかなる血管も予め拡張することなく、患者の血管系を通してカテーテルチューブ130を前進させるときに、カテーテルチューブ130の座屈を防止するのにも十分である。
【0059】
カテーテルチューブ130は、カテーテルチューブ130を通って延びる1つ以上のカテーテルチューブ管腔を含む。しかしながら、通常、多管腔RICC(例えば、二管腔RICC、三管腔RICC、四管腔RICC、五管腔RICC、六管腔RICCなど)において、カテーテルチューブ130の近位端からカテーテルチューブ130の遠位端まで延びるカテーテルチューブ管腔は1つだけである。(
図21~24を参照。)実際、カテーテルチューブ130の第1のセクション138は、
図24に最もよく示されるように、通常、そこを通る単一の管腔を含む。
【0060】
カテーテルハブ132は、カテーテルチューブ130の近位部分に連結される。カテーテルハブ132は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔に数が対応する1つ以上のカテーテルハブ管腔を含む。1つ以上のカテーテルハブ管腔は、カテーテルハブ132の近位端からカテーテルハブ132の遠位端までカテーテルハブ132の全体を通って延びる。
【0061】
1つ以上の延長レッグ134の各延長レッグが、その遠位部分によってカテーテルハブ132に連結される。1つ以上の延長レッグ134はそれぞれ、1つ以上の延長レッグ管腔を含み、ひいては、この延長レッグ管腔の数は、1つ以上のカテーテルハブ管腔の数に対応する。1つ以上の延長レッグ管腔の各延長レッグ管腔は、延長レッグの近位端から延長レッグの遠位端まで延長レッグ全体を通って延びる。
【0062】
1つ以上の延長レッグコネクタ136の各延長レッグコネクタは、1つ以上の延長レッグ134のうちの1つの延長レッグの近位部分上にある。例えば、1つ以上の延長レッグコネクタ136の各延長レッグコネクタは、1つ以上の延長レッグ134のうちの1つの延長レッグの近位部分上のルアーコネクタであり得る。そのような延長レッグコネクタを通して、対応する延長レッグ及びその延長レッグ管腔は、別の医療デバイス及びその管腔に接続されることができる。しかしながら、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態では、少なくとも1つの延長レッグコネクタ(例えば、RICC102の一次管腔146の一部を含む延長レッグコネクタ)が、カプラ108の延長アームの延長アームクリップに接続されて、アクセスガイドワイヤ106及びその上のRICC102にループを形成する。
【0063】
示されるように、RICC102は、3つの管腔のセットを含む三管腔RICCである。しかしながら、RICC102は、上述の3つの管腔のセットに限定されない。3つの管腔のセットは、3つのカテーテルチューブ管腔、3つのカテーテルハブ管腔、及び3つの延長レッグ管腔の流体接続された部分から形成される、一次管腔146、二次管腔148、及び三次管腔150を含む。一次管腔146は、カテーテルチューブ130の第1のセクション138の遠位端に一次管腔開口152を有し、一次管腔開口152は、カテーテルチューブ130の遠位端及びRICC102の遠位端に対応する。二次管腔148は、カテーテルチューブ130の遠位部分の側面に二次管腔開口154を有する。三次管腔150は、二次管腔開口154の近位のカテーテルチューブ130の遠位部分の側面に三次管腔開口156を有する。
【0064】
図3~
図12は、いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルアセンブリ158の様々な図を示す。
示されるように、イントロデューサニードルアセンブリ158は、RICC挿入アセンブリ100のサブアセンブリである。実際に、イントロデューサニードルアセンブリ158は、相互に連結されたイントロデューサニードル104およびカプラ108を含む。
【0065】
図15~
図19は、いくつかの実施形態による、イントロデューサニードル104又はその部品の様々な図を示す。
図示されるように、イントロデューサニードル104は、長尺状部分と、イントロデューサニードル104の長尺状部分の近位部分を覆うニードルハブ160とを含む。示されるように、イントロデューサニードル104の長尺状部分は、ニードルシャフト162及びシース164を含み、該シース164は、ニードルハブ160がニードルシャフト162の近位部分とシース164の近位部分の両方を覆うように該ニードルシャフト162を覆う。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、ニードルシャフト162及びシース164は、ニードルハブ160から、カプラ108のバルブモジュール218を通って、カプラ108のカプラハウジング212の遠位端から外へ延びる。
【0066】
ニードルシャフト162は、ニードルシャフト162の遠位部分のニードル先端部166と、ニードル先端部166までニードルシャフト162の少なくとも近位部分から長手方向に延びるニードルスロット168とを含む。
【0067】
ニードル先端部166は、先端部ベベルと、該先端部ベベルの近位にある一次ベベルとを有するベベル170を含む。図示されていないが、先端部ベベルの先端部ベベル角度は、ベベル170がニードル先端部166にわたって滑らかな移行を提供するように、一次ベベルの一次ベベル角度よりも大きい。したがって、そのようなニードル先端部は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って、皮膚の領域から患者の血管内腔内までの穿刺経路を確立するように構成されている。
【0068】
ニードルスロット168は、ニードルシャフト162の少なくとも近位部分からニードル先端部166まで延びる。実際には、ニードルスロット168は、任意選択でニードルシャフト162の近位端からニードル先端166まで延びる。いずれにしても、ニードルチャネル172は、ニードルスロット168に対応するニードルシャフト162の長さに沿って延びる。ニードルスロット168は、アクセスガイドワイヤ106の外径に従って寸法決めされた幅を有し、これにより、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップが実行されるときに、アクセスガイドワイヤ106が、ニードルシャフト162の少なくとも近位部分からニードル先端部166まで通過することが可能になる。
【0069】
ニードルシャフト162は、ニードルスロット168を含むが、イントロデューサニードル104は、ニードル管腔174を含むことを理解されたい。しかしながら、ニードル管腔174は、ニードルシャフト162とニードルシャフト162を覆うシース164との組み合わせでもたらされる。実際、ニードルシャフト162を覆うシース164は、その下のニードルスロット168を封止して、イントロデューサニードル104のニードル管腔174を形成し、シリンジ110が後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0070】
シース164は、シース164の遠位部分のシース先端部176と、シース164の近位部分の側面にシース開口部178とを含む。
シース先端部176は、シース164の遠位部分の外径からシース164の遠位端の外径までの比較的短いテーパを含み、後者は、ニードルシャフト162の遠位部分の外径に相当する。テーパは、ニードル先端部166の一次ベベルの一次ベベル角度よりも小さいテーパ角度を有し、ひいては、このテーパ角度は、ニードル先端部166の先端部ベベルの先端部ベベル角度よりも小さい。このようなテーパを有するシース先端部176は、後述する方法の穿刺経路確立ステップのために、ニードル先端部166からシース本体への滑らかな移行を提供するように構成されている。
【0071】
シース開口部178は、ニードルシャフト162のニードルスロット168に対して開いており、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部178を通って、ニードルチャネル172または形成されたニードル管腔174に入ることを可能にする。従って、シース開口部178は、ニードルスロット168の幅にほぼ相当する幅を有し、ひいては、ニードルスロットは、アクセスガイドワイヤ106の直径に従って寸法決めされる。また、シース開口部178は、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部178を通過してニードルスロット168または形成されたニードル管腔174に入るのに十分な長さを有し、またシース開口部178の遠位端の下にバルブモジュール218のブレード236を収容する。特に、ニードルシャフト162を覆うシース164は、シース開口部178の下を除いて、その下のニードルスロット168を封止する。しかしながら、バルブモジュール218は、その中のニードルシャフト162及びシース164の近位部分を封止することによって、シース開口部178によって露出されるニードルスロット168を覆って封止し、それにより、シリンジ110が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0072】
シース164又はそのシース本体は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って、患者の皮膚の領域から血管内腔へのイントロデューサニードル104の滑らかで一貫した挿入を容易にするように構成されたポリマー材料から形成される。加えて、ポリマー材料は、後述する方法の血液吸引ステップが行われるときに、ニードルシャフト162のニードルスロット168内へのシース164の圧潰に抵抗するのに十分なシース164の厚さにおける機械的特性を有し、特にまた後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップに従ってニードルシャフト162からシース164を切り離すことも容易にする。そのようなポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリテトラフルオロエチレンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0073】
ニードルハブ160は、ニードルハブ160の遠位部分において遠位方向に延びるニードルハブ延長アーム180と、近位方向に延びるニードルハブクレードル182と、ニードルハブ160の近位部分、具体的にはニードルハブクレードル182の近位部分から接続または懸架されたRICCクリップ186のニードルハブ部分184とを含む。加えて、ニードルハブ160は、アクセスガイドワイヤチャネル188と、必要に応じてアクセスガイドワイヤ106を定位置に保持するための保持手段と、ニードルハブ位置合わせレール190とをさらに含むことができる。
【0074】
ニードルハブ延長アーム180は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてニードルハブレセプタクル224内にロックされるように構成されている。ニードルハブ延長アーム180は、ニードルハブ延長アーム180の構成に応じて1つ以上の壁192を含む。一例では、ニードルハブ延長アーム180は、ニードルハブ延長アーム180が半直円筒面または楕円円筒面に近似するように構成される場合に1つの壁を含むことができる。一例では、ニードルハブ延長アーム180は、該ニードルハブ延長アーム180がスルースボックスに近似するように構成される場合に3つの壁を含むことができる。ニードルハブ延長アーム180のそのような例は、
図12に示され、3つの壁は、底壁と、底壁に隣接する2つの側壁とを含む。特に、底壁は湾曲していてもよいが、代わりに底壁は平坦であってもよい。1つ以上の壁192の数にかかわらず、ニードルハブ延長アーム180は、その1つ以上の壁192に最大で一対の切欠き194を含む。
図12に示すように、例えば、ニードルハブ延長アーム180は、底壁に隣接するニードルハブ延長アーム180の2つの側壁など、ニードルハブ延長アーム180の両側に一対の切欠き194を含むことができる。以下に記載される一対のロックボタン220の各ロックボタンの突出部242は、一対のロックボタン220のデフォルト状態において、ニードルハブ延長アーム180内の一対の切欠き194の対応するノッチ内に配置される。したがって、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態でカプラハウジング212のニードルハブレセプタクル224内に配置されるニードルハブ延長アーム180も、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態でニードルハブレセプタクル224内にロックされる。
【0075】
ニードルハブクレードル182は、シリンジ110のバレル126を受容するように構成されるため、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてシリンジ110を支持する。有利には、ニードルハブクレードル182は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って患者の皮膚の領域から血管内腔内への穿刺経路を確立する場合にRICC挿入アセンブリ100を保持することを容易にするように構成されたテクスチャ加工された把持パッド196をニードルハブクレードル182の両側に任意選択で含む。加えて、グリップパッド196も、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいて、カプラ108からイントロデューサニードル104を引き抜く場合に、ニードルハブ160を保持することを容易にするように構成される。把持パッド196がテクスチャ加工される場合、把持パッド196は、例えば、隆起、バンプ、または逆に窪みでテクスチャ加工され得、これにより、漂遊流体によってRICC挿入アセンブリ100またはニードルハブ160を保持することが困難となり得る環境において、RICC挿入アセンブリ100またはニードルハブ160を保持することが容易となる。
【0076】
RICCクリップ186は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、内部にRICC102の一部分を保持するように構成される。RICCクリップ186のニードルハブ部分184も、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、内部にRICC102の前述の部分を保持するように構成されることになる。RICCクリップ186のカプラ部分216が、後述するRICCクリップ186の第1の「C」字形部分である場合、RICCクリップ186のニードルハブ部分184は、ニードルハブ160の近位部分、具体的にはニードルハブクレードル182の近位部分から懸架されたRICCクリップ186の第2の「C」字形部分である。RICCクリップ186の第1の「C」字形部分および第2の「C」字形部分は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、RICCクリップ186が完成するように、任意選択で重って完成するように互いに向かって開く。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態で完成すると、RICCクリップ186は、
図1に示すようにRICC102がRICC挿入アセンブリ100から懸架されるように、例えば、RICC102の1つ以上の延長レッグ134を内部に保持することができる。後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、特に、RICCクリップ186は、RICC102の部分(例えば、1つ以上の延長レッグ134)をそこから解放するように構成される。実際に、カプラ108からイントロデューサニードル104を引き出すことにより、RICCクリップ186のカプラ部分216とニードルハブ部分184とが分離するため、RICCクリップ186は、RICC102の部分(例えば、1つ以上の延長レッグ134)をそこ解放するように開く。
【0077】
アクセスガイドワイヤチャネル188は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分を、RICC102の遠位端からアクセスガイドワイヤ導管234を経由してバルブモジュール218内へと案内するように構成される。図示されるように、アクセスガイドワイヤチャネル188は、ニードルハブ延長管189の遠位部分内の切り欠きによって画定され、ニードルハブ延長管189のその部分は、シース164のシース開口部178のすぐ近位にあるか又はシース開口部178の僅かに上方にある、ニードルシャフト162およびシース164の近位部分の上方にある。特に、アクセスガイドワイヤチャネル188は、代替的に別のアクセスガイドワイヤ導管として構成され得るが、ニードルハブ延長管189の遠位部分を通る。
【0078】
アクセスガイドワイヤ106を定位置に保持するための保持手段は、必要に応じて、
図8、
図9、
図11および
図12に最もよく示されているように、横方向に延びるバー198と、バー198及びアクセスガイドワイヤチャネル188の間のニードルハブパッド202とを含み得る。特に、バー198およびニードルハブパッド202の両方は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、カプラハウジング212の両側部の間にある。バー198及びニードルハブパッド202は、患者の皮膚の領域から血管内腔までの穿刺経路を確立する場合などに、アクセスガイドワイヤ106を定位置に(親指で)押圧及び保持するように構成されている。しかしながら、アクセスガイドワイヤ106を定位置に保持するための保持手段は、必要に応じて、ガイドワイヤを定位置に手動で保持するためのバー198およびニードルハブパッド202に限定されない。実際、アクセスガイドワイヤ106を定位置に保持するための保持手段は、必要に応じて代替的に、
図2に示すようなピンチホルダ204であってもよい。そのようなピンチホルダは、アクセスガイドワイヤ106は、ピンチホルダ204内に押し込まれ、エラストマーシリンダ206によるアクセスガイドワイヤ106上の圧縮によってその中に自動的に保持されるように、ニードルハブ160に沿って長手方向に配向された一対の接近して離間されているかまたは接触するエラストマー直円形中実シリンダ206を含むことができ、
ニードルハブ位置合わせレール190は、RICCクリップ186のニードルハブ部分184と同じ側でニードルハブクレードル182から延びるが、それに対して遠位であり、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサニードルアセンブリ158を組み立てる間に、ニードルハブ160の遠位部分をカプラハウジング212のニードルハブレセプタクル224に挿入する場合に、ニードルハブ160をカプラ108と少なくとも位置合わせするように構成される。特に、後述するように、カプラハウジング212のカプラハウジングスロット226は、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサニードルアセンブリ158を組み立てる間にニードルハブ160をカプラ108と位置合わせするためのニードルハブ位置合わせレール190を受け入れるように構成されたカプラハウジングスロット226の幅広部230を含む。有利なことに、カプラハウジングスロット226の幅広部230内に配置されたニードルハブ位置合わせレール190は、ニードルハブ160とカプラ108との間の任意の相対回転、ひいては任意の位置合わせ不良を最小限にするかまたは排除することによって、例えば一対のロックボタン220を用いて問題(例えば、詰まり)なしに、ニードルハブ160のニードルハブ延長アーム180をカプラ108のニードルハブレセプタクル224にロックしたり、そこからロック解除したりすることができることを確実にする。
【0079】
ニードルハブコネクタは、ニードルハブ穴208と、ニードルハブコネクタ208の周囲の任意選択のニードルハブフランジ210とを含む。
ニードルハブコネクタのニードルハブ穴208は、イントロデューサニードル104をシリンジ110に流体接続するために、シリンジ110のシリンジ先端部(図示しない)をその中に受け入れるように構成されている。(流体接続されたイントロデューサニードル104およびシリンジ110については
図1乃至
図4を参照されたい。)実際、ニードルハブ穴208は、その中にシリンジ先端部を受け入れるように構成されたルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、シリンジ先端部は、ルアーテーパを用いて相補的に構成され得る。
【0080】
存在する場合、ニードルハブ穴208の周囲のニードルハブフランジ210は、シリンジ110のシリンジ先端部の周囲のねじ山付きカラーの雌ねじと螺合するように構成されている。シリンジ110のねじ山付きカラーは任意選択であるが、ニードルハブフランジ210は、有利には、両方が存在する場合、ねじ山付きカラーの雌ねじとのいわゆるルアーロック式接続を提供する。これにより、イントロデューサニードル104とシリンジ110との不用意な分離に対する安全性が、別様のルアースリップ型の接続による安全性よりも高くなる。
【0081】
図8~
図10は、いくつかの実施形態によるカプラ108の様々な図を示す。
図示されるように、カプラ108は、カプラハウジング212と、該カプラハウジング212の近位方向に延びるカプラハウジング支持体214と、カプラ108の近位部分、具体的にはカプラハウジング支持体214の近位部分から接続または懸架されるRICCクリップ186のカプラ部分216とを含む。
図8乃至
図10には示されていないが、カプラ108は、カプラハウジング212内に、具体的にはニードルハブレセプタクル224の遠位側のカプラハウジング212のバルブモジュール室222内に配置されたバルブモジュール218をさらに含む。そのようなバルブモジュールは、代替的に
図13および14では、イントロデューサニードル104のシース164のシース開口部178を覆って示されている。最後に、カプラ108は、カプラハウジング212の両側を通って延びる一対までのロックボタン220をさらに含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、カプラ108は、代替的に、カプラハウジング212の側面を通って延びる単一のロックボタンを含むことができることを理解されたい。
【0082】
図11は、いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルアセンブリ158の斜視図を示し、カプラハウジング212の半分は、ある特徴を可視化することを補助するために取り外されている。
【0083】
カプラハウジング212は、RICC挿入アセンブリ100を用いて、左利きによる静脈穿刺には左手で、若しくは右利きによる静脈穿刺には右手で、アンダーハンド(例えば、ゆりかご状)で快適に保持できるように構成された弾丸形本体を形成するように、互いに連結された(例えば、固定された、若しくはねじ又はボルトで締結された)2つの成形片を含む。2つの成形片の各片の内側は、2つの成形片が互いに連結されるとき、カプラハウジング212の遠位部分にバルブモジュール室222と、カプラハウジング212の近位部分においてその遠位側にニードルハブレセプタクル224とを形成する複数の窪みを含む。また、明示的には示されていないが、2つの成形片の各片は、以下に記載されるように、カプラハウジング212の両側を通って延びる一対のロックボタン220のうちの1つのロックボタンを収容するように構成されたロックボタン貫通孔を含む。しかしながら、一対のロックボタン220の代わりにカプラ108内にニードルハブ160をロックするために単一のロックボタンを利用するイントロデューサニードルアセンブリ158の実施形態では、カプラハウジング212の2つの成形片の間に単一のロックボタン貫通孔のみが必要となる。最後に、カプラハウジング212は、2つの成形片が連結された場合に2つの成形片の間に形成される長手方向に延びるカプラハウジングスロット226を含む。
【0084】
バルブモジュール室222は、内部にバルブモジュール218を保持するように構成されている。特に、バルブモジュール室222は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、バルブモジュール218がアクセスガイドワイヤ106を出すために分離可能とするための十分な空間を有するように更に構成されている。
【0085】
ニードルハブレセプタクル224は、イントロデューサニードル104のニードルハブ160の遠位部分がその中に挿入されるときに、ニードルハブ160のニードルハブ延長管189およびニードルハブ延長アーム180の両方を受容するように構成される。実際、ニードルハブレセプタクル224は、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサニードルアセンブリ158の少なくとも展開準備完了状態において、ニードルハブレセプタクル224の中に挿入されたニードルハブ延長管189およびニードルハブ延長アーム180を含む。特に、ニードルハブ延長アーム180の1つ以上の壁192に一対のノッチ194を有するニードルハブ160のニードルハブ延長アーム180は、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサニードルアセンブリ158の少なくとも展開準備完了状態において、一対のロックボタン220によってニードルハブレセプタクル224内にロックされるように構成される。
【0086】
カプラハウジングスロット226は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング212から出ることを可能にするように構成されている。カプラハウジングスロット226は、カプラハウジング212の2つの成形片が互いに連結されたときに、カプラハウジング212におけるRICCクリップ186のカプラ部分216と同じ側に形成される。加えて、カプラハウジングスロット226は、ニードルシャフト162のニードルスロット168と反対の方向に開口する。カプラハウジングスロット226は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング212から落下し、そこから出ることを可能にするように構成されている。上記に関わらず、カプラハウジングスロット226は、代替的に、上述した
図4、
図7、及び
図10に示された位置とは別の位置に配置され得ることを理解されたい。例えば、カプラハウジングスロット226は、特に、一対のロックボタン貫通孔を再配置するなどの他の変更を伴って、上述した
図4、
図7、及び
図10に示されたものとは反対に又は直交して代替的に配置されてもよい。
【0087】
また、カプラハウジングスロット226は、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサ-ニドルアセンブリ158を組み立てる間に、ニードルハブ160の遠位部分(例えば、ニードルハブ延長アーム180)をカプラハウジング212のニードルハブレセプタクル224に挿入する場合に、ニードルハブ160をカプラ108と少なくとも位置合わせするように構成される。
図10に最もよく示されるように、カプラハウジングスロット226は、幅狭部228と、該幅狭部228の近位にある幅広部230とを有し、カプラハウジングスロット226の幅広部230は、カプラハウジング支持体214内にある。カプラハウジングスロット226の幅広部230は、RICC挿入アセンブリ100を組み立てる間に、少なくともニードルハブ160をカプラ108と位置合わせするためにニードルハブ160のニードルハブ位置合わせレール190を受容するように構成されている。有利なことに、カプラハウジングスロット226の幅広部230は、ニードルハブ位置合わせレール190が内部に配置される場合、ニードルハブ160とカプラ108との間の任意の相対回転、ひいては任意の位置合わせ不良を最小限にするかまたは排除することによって、例えば一対のロックボタン220を用いて問題(例えば、詰まり)なしに、ニードルハブ160のニードルハブ延長アーム180をカプラ108のニードルハブレセプタクル224にロックしたり、そこからロック解除したりすることができることを確実にする。
【0088】
カプラハウジング支持体214は、イントロデューサニードル104がカプラ108と連結されるときに、ニードルハブ160のニードルハブ延長アーム180およびニードルハブクレードル182によってイントロデューサニードル104を支持するように構成される。特に、ニードルハブ160の少なくともニードルハブ延長アーム180は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、カプラハウジング支持体214上に摺動可能に配置される。実際、ニードルハブ160のニードルハブクレードル182は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてカプラハウジング支持体214の上に摺動可能に配置されるが、ニードルハブクレードル182から延びるニードルハブ位置合わせレール190は、カプラハウジング支持体214内のカプラハウジングスロット226の幅広部230内に摺動可能に配置される。
【0089】
また、RICCクリップ186は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、内部にRICC102の一部分を保持するように構成される。RICCクリップ186のカプラ部分216は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、RICC102の上述した部分を内部に保持するように構成されることになる。RICCクリップ186のカプラ部分216は、カプラハウジング支持体214の近位部分から懸架されたRICCクリップ186の第1の「C」字形部分であり、RICCクリップ186のニードルハブ部分184は、上述したようにRICCクリップ186の第2の「C」字形部分である。また、RICCクリップ186の第1の「C」字形部分および第2の「C」字形部分は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、RICCクリップ186が完成するように、任意選択で重って完成するように互いに向かって開く。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態で完成すると、RICCクリップ186は、
図1に示すようにRICC102がRICC挿入アセンブリ100から懸架されるように、例えば、RICC102の1つ以上の延長レッグ134を内部に保持することができる。後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、特に、RICCクリップ186は、RICC102の部分(例えば、1つまたは複数の延長レッグ134)をそこから解放するように構成される。実際に、カプラ108からイントロデューサニードル104を引き出すことにより、RICCクリップ186のカプラ部分216とニードルハブ部分184とが分離するため、RICCクリップ186は、RICC102の部分(例えば、1つ以上の延長レッグ134)をそこ解放するように開く。
【0090】
図13及び
図14は、いくつかの実施形態による、イントロデューサニードル104のシース164およびニードルシャフト162の両方を覆うカプラ108のバルブモジュール218の異なる図を示す。
【0091】
図示するように、バルブモジュール218は、シース164の近位部分と、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてシース開口部178を通って延びるアクセスガイドワイヤ106の遠位部分との周囲を封止するように構成されている。シース164およびアクセスガイドワイヤ106の周囲のそのようなシールは、以下に説明される方法の血液吸引ステップの間、イントロデューサニードル104を介した漏れのない吸引を可能にする。バルブモジュール218は、イントロデューサニードル232と、アクセスガイドワイヤ導管234と、一体型ブレード236とを含む。
【0092】
イントロデューサニードル導管232は、イントロデューサニードル針104の長尺状部分(すなわち、ニードルシャフト162およびそれを覆うシース164)をバルブモジュール218およびカプラハウジング212の両方を通して方向付けるように構成される。実際、イントロデューサニードル導管232は、RICC挿入アセンブリ100またはそのイントロデューサニードルアセンブリ158の少なくとも展開準備完了状態でその中に配置されたイントロデューサニードル104の長尺状部分を含む。図示されていないが、イントロデューサニードル導管232は、イントロデューサニードル104がイントロデューサニードル導管232内に配置され、任意選択で圧縮されたときに、イントロデューサニードル104の長尺状部分の周りを封止するように構成されたシール(例えば、エラストマースリーブの2つの半体)をその中にさらに含む。
【0093】
アクセスガイドワイヤ導管234は、アクセスガイドワイヤ106を、カプラハウジング212のカプラハウジングスロット226から、シース164のシース開口部178と、ニードルシャフト162のニードルチャネル172またはイントロデューサニードル104のニードル管腔174との両方に導くように構成されている。実際に、アクセスガイドワイヤ導管234は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、その中に配置されたアクセスガイドワイヤ106を含む。図示されていないが、アクセスガイドワイヤ導管234は、アクセスガイドワイヤ106がアクセスガイドワイヤ導管234内に配置され、任意選択で圧縮されたときに、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周りを封止するように構成されたシール(例えば、エラストマースリーブの2つの半体)をその中にさらに含む。
【0094】
ブレード236は、ブレード236がシース164のシース開口部178の遠位端の下のニードルスロット168内に配置されるように、バルブモジュール218内の取付点からニードルシャフト162のニードルスロット168内に延びる。ブレード236は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から近位方向に引き抜かれるときに、シース164をニードルシャフト162から切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部238を含む。シース164をニードルシャフト162から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106が、そのニードルスロット168を経由してニードルシャフト162から出ること、およびカプラハウジング212のカプラハウジングスロット226を経由してカプラ108から出ることの両方が可能にする。
【0095】
カプラハウジング212の両側の一対のロックボタン貫通孔をそれぞれ通して延びる一対のロックボタン220は、カプラ108内にイントロデューサニードル104のニードルハブ160をロックするように構成される。具体的には、一対のロックボタン220は、ニードルハブ160のニードルハブ延長アーム180をカプラ108のニードルハブレセプタクル224内にロックするように構成される。このために、一対のロックボタン220は、カプラハウジング212内に係留的に保持される一対の軸240上にそれぞれ取り付けられ、一対のロックボタンの各ロックボタン220は対応する軸上で回動する。特に、一対の軸240は、図示されるように、一対の係止ボタン220の近位部分を通ってもよいし、または一対の軸240は、該一対の軸240が一対の係止ボタン220の遠位部分を通るように、カプラハウジング212内に再配置されてもよい。一対のロックボタン220の各ロックボタンは、突起242を有し、該突起242は、該突起242をロックボタンの外部押圧可能部分246に接続するクロスアーム244から延びている。加えて、一対のロックボタン220の各ロックボタンは、突起242とロックボタンの外部押圧可能部分246との間のクロスアーム244に対向する間隙248を有する。最後に、図示されていないが、一対のロックボタン220は、それぞれ一対の圧縮ばねによって、または一対のロックボタン220の間の単一の圧縮ばねによって、カプラ108の中心線から離れるように付勢され得る。いずれにしても、一対のロックボタン220は、一対のロックボタン220の各ロックボタンの突起242が、一対のロックボタン220のデフォルト状態において、ニードルハブ延長アーム180の1つ以上の壁192の一対の切欠き194のうちの1つの切欠き内に配置されるように、付勢される。しかしながら、一対のロックボタン220の各ロックボタンの突起242は、一対のロックボタン220がカプラハウジング212内に押し込まれたときに、上述した位置から変位する。実際、一対のロックボタン220がカプラハウジング212内に押し込まれると、ニードルハブ延長アーム180の両側にあるニードルハブ延長アーム180の1つ以上の壁192は、突起242と一対のロックボタン220の各ロックボタンの外部押圧可能部分246との間の間隙248を通過することができるため、以下に記載される方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいて、イントロデューサニードル104をカプラ108から引き抜くことが可能とする。
【0096】
図1及び
図2は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100,200の一部としてのアクセスガイドワイヤ106を示す。
アクセスガイドワイヤ106は、任意選択的にアクセスガイドワイヤハブ250内に配置された近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、RICC102の近位端から、任意選択で、RICC102のルアーコネクタに連結されたアクセスガイドワイヤハブ250内で延びる。いずれにしても、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、RICC102の近位端から、前述のルアーコネクタを通って、RICC102の一次管腔146に沿って延びる。また、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は、RICC102の一次管腔146に沿って延びるが、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は更に、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態において、RICC102の遠位端から出て、アクセスガイドワイヤ導管234を経由してバルブモジュール218内に入り、シース164のシース開口部178及びニードルシャフト162のニードルスロット168の両方を通ってニードルシャフト162内に入り、ニードルシャフト162のニードルチャネル172又はイントロデューサニードル104のニードル管腔174に沿って延びる。
図1及び
図2に示されるように、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、イントロデューサニードル104のニードル管腔174内でニードル先端部166のすぐ近位に配置される。また、アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106にループを形成し、そのループ上にRICC102が配置され、それによって、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0097】
アクセスガイドワイヤ106の遠位端上のアクセスガイドワイヤハブ250は、便利なハンドルを提供するように構成され、ハンドルによって、アクセスガイドワイヤ106は、以下に記載されるアクセスガイドワイヤ引き出しステップの間に、RICC挿入アセンブリ100又はそのサブアセンブリから引き出され得る。加えて、アクセスガイドワイヤハブ250は、有利には、以下に説明する方法のアクセスガイドワイヤ前進ステップの間、アクセスガイドワイヤ106の過剰前進を防止し、ひいては、RICC102の一次管腔146内でアクセスガイドワイヤ106の近位端を失うことを未然に防ぐ。アクセスガイドワイヤハブ250は、任意の都合の良い形状であり得るが、
図1及び
図2のアクセスガイドワイヤハブ250は、比較的平坦な主表面を有するタブとして示されている。平坦ではあるが、そのような主要表面は、例えば、隆起、バンプ、または逆に、くぼみを用いてテクスチャ加工されてもよく、それにより、漂遊流体がアクセスガイドワイヤハブ250を保持することを困難にし得る環境内でアクセスガイドワイヤハブ250を保持することが容易となる。
【0098】
アクセスガイドワイヤ106は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分にガイドワイヤ先端部252を含むことができ、これは、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成された「J」字形を採用する。そのようなガイドワイヤ先端部は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において真っ直ぐな状態をとり、RICC挿入アセンブリ100の展開状態においてガイドワイヤ先端部252がニードル先端部166を越えて前進させられる(例えば、血管内腔内に前進させられる)ときに湾曲状態をとる。
【0099】
アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分と、該裸線部分の近位にある巻線部分とを更に含むことができる。図示されていないが、裸線部分は、存在する場合、バルブモジュール218がアクセスガイドワイヤ106の裸線部分の周囲に流体密封封止を形成するように、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、バルブモジュール218のアクセスガイドワイヤ導管234を通って遠位方向に延びる。特に、前述の裸線部分は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106の平坦巻き又は接地巻き部分であってもよく、平坦巻き部分は、円形ワイヤの代わりにテープの巻線を含み、接地巻き部分は、巻線を平坦にするように接地された円形ワイヤの巻線を含む。
【0100】
方法
方法は、RICC102を患者の血管管腔に挿入するための方法を含む。このような方法は、RICC挿入アセンブリ取得ステップ、穿刺経路確立ステップ、血液吸引ステップ、アクセスガイドワイヤ前進ステップ、ニードルハブ解除ステップ、イントロデューサニードル引き抜きステップ、RICC前進ステップ、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップ、操縦ガイドワイヤ前進ステップ、別のRICC前進ステップ、及び操縦ガイドワイヤ引き抜きステップから選択される1つ以上のステップを含む。
【0101】
RICC挿入アセンブリ取得ステップは、RICC挿入アセンブリ100を取得することを含む。上述したように、RICC挿入アセンブリ100は、カプラ108によって互いに連結された、RICC102と、ニードルシャフト162を覆うシース164を含むイントロデューサニードル104と、アクセスガイドワイヤ106とを含む。加えて、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、RICC102の一次管腔146内に配置され、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、カプラ108のカプラハウジング212内に配置されたバルブモジュール218によって、イントロデューサニードル104内に配置される。アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、アクセスガイドワイヤ106にループを形成し、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態でRICC102がループの上方に配置される。
【0102】
穿刺経路確立ステップは、イントロデューサ104を用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。加えて、穿刺経路確立ステップは、バー198、ニードルハブ160のニードルハブパッド202又はその両方に抗してアクセスガイドワイヤ106を定位置に押圧及び保持することを含み得る。再度、ニードルハブパッド202は、遠位方向に延びるニードルハブ延長チューブ189の切欠きによって形成されるアクセスガイドワイヤチャネル188とバー198との間にある。最後に、穿刺経路確立ステップは、穿刺経路を確立にする間に、血液逆流を確実にすることを含むことができる。穿刺経路を確立する間に血液逆流を確実にすることは、特にニードルハブ160が透明かつ無色である場合には、イントロデューサニードル104のニードルハブ160、イントロデューサニードル104に流体接続されたシリンジ110のシリンジ先端部、シリンジ110のバレル126、又はそれらの組み合わせ内に血液が逆流することを確実にすることを含む。穿刺経路を確立すると、血液が少なくともイントロデューサニードル104のニードルハブ160内に逆流するように、穿刺経路を確立する間に、シリンジ110を用いてわずかな真空を引き込むことができる。前述に従って血液が逆流することを確実にすることにより、穿刺経路が血管内腔内に延びていることが確認される。
【0103】
血液吸引ステップは、特にイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてカプラ108からイントロデューサニードル104を引き抜く前に、穿刺経路が血管内腔内に延びていることを確認するために、ニードルハブ160に連絡されたシリンジ110を用いて血液を吸引することを含む。また、ニードルシャフト162を覆うシース164は、その下のニードルシャフト162のニードルスロット168を封止する。特に、シース164は、バルブモジュール218の外側でニードルスロット168を封止する。次に、バルブモジュール218は、シース164のシース開口部178を覆って封止し、シース開口部178は、アクセスガイドワイヤ106が、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態においてニードルスロット168を経由してニードルシャフト162内へ通過することを可能にする。また、バルブモジュール218は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分の周囲を封止する。このような封止により、シリンジ110が、血液吸引ステップにおいて血液を吸引することが可能になる。
【0104】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤ106の遠位端を、ニードルシャフト162内でニードルシャフト162のニードル先端部166のすぐ近位の初期位置から血管内腔内へ前進させることを含むことにより、RICC前進ステップにおいてRICC102用の血管内腔アクセスが確保される。
【0105】
ニードルハブ解除ステップは、イントロデューサニードル引き抜きステップにおいてカプラ108からイントロデューサニードル104を引き抜く前に、ニードルハブ160を解除することを含む。ニードルハブ160を解除することは、カプラハウジング212のアームの両側を通してカプラハウジング212内に延びる一対のロックボタン220を押すことを含むことにより、遠位方向に延びるニードルハブ拡張アーム180の壁192が突起242と一対のロックボタン220の各ロックボタン用のロックボタンの外部押圧可能部分246との間の間隙248を通過することを許容する。
【0106】
イントロデューサニードル引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を血管内腔内の定位置に残したままで、イントロデューサニードル104をカプラ108からニードルハブ160によって引き抜くことを含む。イントロデューサニードル引き抜きステップは、イントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、カプラハウジング212のバルブモジュール室222内に配置されたバルブモジュール218のブレード236を用いて、ニードルシャフト162からシース164を同時に切り離すことを含む。シース164をニードルシャフト162から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106がニードルスロット168を経由してニードルシャフト162から出ることが可能になる。特に、ニードルシャフト162およびシース164の周囲のバルブモジュール218は、イントロデューサニードル104がイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がバルブモジュール218からさらに出ることを可能にするように分離する。加えて、カプラハウジング212は、イントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング212からさらに出ることを可能にするように構成されたカプラハウジングスロット226を含む。最後に、イントロデューサニードル引き抜きステップは、RICCクリップ186のニードルハブ部分184とカプラ部分216との間に形成されたRICCクリップ186を同時に分離することを含む。実際、RICCクリップ186は、イントロデューサニードル104のカプラ108からの引き抜きに伴い、そこに保持されたRICC102の一部(例えば、1以上の拡張レッグ134)を出すように分離する。
【0107】
RICC前進ステップは、RICC102のカテーテルチューブ130をアクセスガイドワイヤ106上で血管内腔内へ前進させることによって、RICC102を血管内腔へ挿入することを含む。
【0108】
アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブ130を血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤ106を引き抜くことを含む。
操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICC102の一次管腔146を経由して血管内腔内へ、そして患者の心臓の上大静脈(SVC:superior vena cava)の下部1/3まで操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。
【0109】
他のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ130の遠位部分を、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓の上大静脈(SVC)の下部1/3まで血管内腔内に更に前進させることを含む。
【0110】
操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブ130を残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
【国際調査報告】