(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】雨水から汚染物質を除去するためのシステム、方法、及びデバイス
(51)【国際特許分類】
E03F 5/14 20060101AFI20240920BHJP
B01D 21/00 20060101ALI20240920BHJP
B01D 21/02 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
E03F5/14
B01D21/00 Z
B01D21/02 F
B01D21/02 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517068
(86)(22)【出願日】2021-12-01
(85)【翻訳文提出日】2024-04-03
(86)【国際出願番号】 US2021072664
(87)【国際公開番号】W WO2023043479
(87)【国際公開日】2023-03-23
(32)【優先日】2021-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521259530
【氏名又は名称】ストームトラップ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】STORMTRAP LLC
【住所又は居所原語表記】1287 Windham Parkway, Romeoville, IL 60446, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100119426
【氏名又は名称】小見山 泰明
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアムズ,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ファジマン,ダン
(72)【発明者】
【氏名】モラン,ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マッテソン,ルーク
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063DB01
2D063DB07
(57)【要約】
雨水処理デバイスが、床及び壁を有するチャンバと、壁に形成されていてチャンバの入口側へ雨水を受け入れる入口と、壁に形成されていてチャンバの出口側から雨水を排出する出口と、チャンバの出口側内に配置された強化型沈降分離デバイスと、チャンバの下側部分内の分流板と、出口に近接して配置された出口制御分流器と、を含み得る。雨水は、入口によって第1の流れ方向に受け入れられ、入口側からチャンバの下側部分へ第2の流れ方向に流れ、強化型沈降分離デバイスを通ってチャンバの上側部分へ第3の流れ方向に流れ、出口制御分流器を通って第4の流れ方向に流れ、出口によって第5の流れ方向に排出される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨水処理デバイスであって、
床及び壁を有するチャンバと、
前記壁に形成されていて前記チャンバの入口側へ雨水を受け入れる入口と、
前記壁に形成されていて前記チャンバの出口側から雨水を排出する出口と、
前記チャンバの少なくとも一部分を前記入口側と前記出口側に分割している垂直バッフルであって、前記入口側と前記出口側は流体連通にある、垂直バッフルと、
前記チャンバの前記出口側内に配置された強化型沈降分離デバイスであって、前記チャンバの前記強化型沈降分離デバイスの底部より下方の部分が当該チャンバの下側部分を画定し、前記チャンバの前記強化型沈降分離デバイスの頂部より上方の部分が当該チャンバの上側部分を画定する、強化型沈降分離デバイスと、
前記チャンバの下側部分内の分流板と、
前記出口に近接して配置された出口制御分流器と、を備える雨水処理デバイスにおいて、
雨水は、前記入口によって第1の流れ方向に受け入れられ、前記入口側から前記チャンバの前記下側部分へ第2の流れ方向に流れ、前記強化型沈降分離デバイスを通って前記チャンバの上側部分へ第3の流れ方向に流れ、前記出口制御分流器を通って第4の流れ方向に流れ、前記出口によって第5の流れ方向に排出される、雨水処理デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水処理デバイスであって、
前記垂直バッフル上に配置された複数の実質的に垂直方向の羽根を更に備え、前記複数の実質的に垂直方向の羽根は前記チャンバの前記入口側へと延びている、雨水処理デバイス。
【請求項3】
請求項1に記載の雨水処理デバイスであって、
前記垂直バッフル上に配置された水平方向の羽根を更に備え、前記水平方向の羽根は前記チャンバの前記入口側へと延びている、雨水処理デバイス。
【請求項4】
請求項3に記載の雨水処理デバイスであって、
複数の垂直方向の羽根を更に備え、前記垂直方向の羽根は前記水平方向の羽根の端から延びている、雨水処理デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記強化型沈降分離デバイスは複数の管を備え、各管は前記壁から前記垂直バッフルに向かって角度を成して配置されている、雨水処理デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記強化型沈降分離デバイスは複数の管を備え、前記複数の管の第1のサブセットは水平に対し第1の角度に配置され、前記複数の管の第2のサブセットは水平に対し第2の角度に配置されている、雨水処理デバイス。
【請求項7】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記強化型沈降分離デバイスの頂部は、前記出口制御分流器の下側表面より下方にある、雨水処理デバイス。
【請求項8】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
特定の値より上の流量を有する雨水は前記垂直バッフルを越えて流れる、雨水処理デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記出口制御分流器は、底面部片及び2つの垂直方向側面部片を含み、雨水を受け入れるための開口部が前記底面部片と前記垂直方向側面部片の1つと前記壁とによって画定されている、雨水処理デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記流れ方向の変化は前記雨水が前記チャンバ内で費やす時間を最適化する、雨水処理デバイス。
【請求項11】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記チャンバは円柱形である、雨水処理デバイス。
【請求項12】
請求項1に記載の雨水処理デバイスにおいて、
前記チャンバは矩形である、雨水処理デバイス。
【請求項13】
雨水から懸濁汚染物質を除去するための方法であって、以下の工程、即ち、
懸濁汚染物質を含有する雨水を雨水処理デバイスの入口にて受け入れる工程であって、前記雨水は前記雨水処理デバイスの入口側へと流れ入り、当該雨水の流体速度が減少する、工程と、
前記雨水を前記雨水処理デバイスの下側部分に受け入れる工程と、
前記下側部分からの前記雨水を強化型沈降分離デバイスに受け入れる工程であって、前記雨水は前記強化型沈降分離デバイスを上り前記チャンバの出口側の当該チャンバの上側部分へ流れ入るように方向を変える、工程と、
前記上側部分からの前記雨水を出口制御分流器にて受け入れる工程であって、前記雨水は前記出口制御分流器によって受け入れられるように方向を変える、工程と、
前記雨水を出口にて排出する工程と、を備える方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記強化型沈降分離デバイスは複数の管を備え、各管は前記雨水処理デバイスの外側壁から角度を成して配置されている、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記強化型沈降分離デバイスは複数の管を備え、前記複数の管の第1のサブセットは水平に対し第1の角度に配置され、前記複数の管の第2のサブセットは水平に対し第2の角度に配置されている、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、
前記強化型沈降分離デバイスの頂部は、前記出口制御分流器の下側表面より下方にある、方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、
特定の値より上の流量を有する雨水は垂直バッフルを越えて流れる、方法。
【請求項18】
請求項13に記載の方法において、
前記出口制御分流器は底面部片及び2つの垂直方向側面部片を備え、雨水を受け入れるための開口部が前記底面部片と前記垂直方向側面部片の1つと前記雨水処理デバイスの外側壁とによって画定されている、方法。
【請求項19】
請求項13に記載の方法において、
前記流れ方向の変化は前記雨水が前記チャンバ内で費やす時間を最適化する、方法。
【請求項20】
請求項13に記載の方法において、
前記チャンバは円柱形である、方法。
【請求項21】
請求項13に記載の方法において、
前記チャンバは矩形である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概括的には、雨水から汚染物質を除去するためのシステム、方法、及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]雨が降ったとき、雨水は下水道へ到達する前に様々な表面を進んでゆく。その経路に沿って、雨水は自然のものと人工のもの両方の汚染物質を拾い上げ、懸濁させ、汚染物質を下水道へ運ぶ。下水道は、雨水が水域へとその道のりを継続する前に、雨水からこれらの汚染物質の幾らかを除去する最初の機会を提供している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003]雨水から汚染物質を除去するためのシステム、方法、及びデバイスを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004]或る実施形態によれば、雨水処理デバイスが以下を含み、即ち、床及び壁を有するチャンバと、壁に形成されていてチャンバの入口側へ雨水を受け入れる入口と、壁に形成されていてチャンバの出口側から雨水を排出する出口と、チャンバの少なくとも一部分を入口側と出口側に分割している垂直バッフルであって、入口側と出口側は流体連通にある、垂直バッフルと、チャンバの出口側内に配置された強化型沈降分離デバイスであって、チャンバの強化型沈降分離デバイスの底部より下方の部分がチャンバの下側部分を画定し、チャンバの強化型沈降分離デバイスの頂部より上方の部分がチャンバの上側部分を画定する、強化型沈降分離デバイスと、チャンバの下側部分内の分流板と、出口に近接して配置された出口制御分流器と、を含み、雨水は、入口によって第1の流れ方向に受け入れられ、入口側からチャンバの下側部分へ第2の流れ方向に流れ、強化型沈降分離デバイスを通ってチャンバの上側部分へ第3の流れ方向に流れ、出口制御分流器を通って第4の流れ方向に流れ、出口によって第5の流れ方向に排出されるようになっていてもよい。
【0005】
[0005]1つの実施形態では、雨水処理デバイスは、更に、垂直バッフル上に配置された1つ又はそれ以上の羽根を含み、複数の羽根はチャンバの入口側へと延びていてもよい。
【0006】
[0006]1つの実施形態では、水平方向の羽根が垂直バッフル上に配置されていて、チャンバの入口側へと延びていてもよい。加えて、複数の垂直方向の羽根が提供されていて、垂直方向の羽根は水平方向の羽根の端から延びていてもよい。
【0007】
[0007]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイスは複数の管を含み、各管は壁から垂直バッフルに向かって角度を成して配置されていてもよい。1つの実施形態では、角度は、それぞれの管毎に異なる、複数の管毎に異なる、などであってもよい。
【0008】
[0008]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイスは複数の管を含み、複数の管の第1のサブセットは水平に対し第1の角度に配置され、複数の管の第2のサブセットは水平に対し第2の角度に配置されていてもよい。
【0009】
[0009]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイスの頂部は、出口制御分流器の下側表面より下方にあってもよい。
【0010】
[0010]1つの実施形態では、特定の値より上の流量を有する雨水は垂直バッフルを越えて流れる。
【0011】
[0011]1つの実施形態では、出口制御分流器は、底面部片及び2つの垂直方向側面部片を含み、雨水を受け入れるための開口部が底面部片と垂直方向側面部片の少なくとも1つと壁とによって画定されていてもよい。
【0012】
[0012]1つの実施形態では、流れ方向の変化は雨水がチャンバ内で費やす時間を最適化する。
【0013】
[0013]1つの実施形態では、チャンバは円柱形であってもよい。
【0014】
[0014]別の実施形態によれば、雨水から懸濁汚染物質を除去するための方法が以下の工程を含み、即ち、(1)懸濁汚染物質を含有する雨水を雨水処理デバイスの入口にて受け入れる工程であって、雨水は雨水処理デバイスの入口側へと流れ入り、雨水の流体速度が減少する、工程と、(2)雨水を雨水処理デバイスの下側部分に受け入れる工程と、(3)下側部分からの雨水を強化型沈降分離デバイスに受け入れる工程であって、雨水は強化型沈降分離デバイスを上りチャンバの出口側のチャンバの上側部分へ流れ入るように方向を変える、工程と、(4)上側部分からの雨水を出口制御分流器にて受け入れる工程であって、雨水は出口制御分流器によって受け入れられるように方向を変える、工程と、(5)雨水を出口にて排出する工程と、を含んでいてもよい。
【0015】
[0015]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイスは複数の管を含み、複数の管の第1のサブセットは水平に対し第1の角度に配置され、複数の管の第2のサブセットは水平に対し第2の角度に配置されていてもよい。
【0016】
[0016]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイスの頂部は、出口制御分流器の下側表面より下方にあってもよい。
【0017】
[0017]1つの実施形態では、特定の値より上の流量を有する雨水は垂直バッフルを越えて雨水処理デバイスの上側部分へ流れ入る。
【0018】
[0018]1つの実施形態では、出口制御分流器は、底面部片及び2つの垂直方向側面部片を含み、雨水を受け入れるための開口部が底面部片と垂直方向側面部片の少なくとも1つと壁とによって画定されていてもよい。
【0019】
[0019]1つの実施形態では、流れ方向の変化は雨水がチャンバ内で費やす時間を最適化する。
【0020】
[0020]1つの実施形態では、チャンバは円柱形であってもよい。
【0021】
[0021]別の実施形態によれば、雨水から汚染物質を除去するためのシステムが以下を含み、即ち、水平方向の床及び床へ取り付けられた垂直方向の壁を有するチャンバであって、チャンバ壁は円柱を形成し、入口及び出口が円柱の互いに反対側にある、チャンバと、汚染された雨水を受け入れるための一方の壁の入口及び処理された雨水を排出するための壁の出口と、チャンバ内の垂直バッフルであって、垂直バッフルは入口を二等分する垂直平面に直角であり且つチャンバを入口側と出口側に分割しており、出口側はバッフルと出口開口部の間にあり、入口側はバッフルと入口開口部の間にあり、2つの側は流体連通している、垂直バッフルと、出口側内に配置されたラメラ管の積重体であって、各管の長軸は入口を二等分する垂直平面に略直角の水平に対し角度を成しており、管の積重体の頂部は出口のインバートより少なくとも6インチ(15.24cm)下方にある、ラメラ管の積重体と、ラメラ管の積重体より下方の出口側のチャンバの壁へ取り付けられた1つ又はそれ以上の分流板と、出口への進入部に設置された分流器と、を含んでいてもよい。
【0022】
[0022]1つの実施形態では、チャンバの壁は矩形角柱構造を形成していてもよい。
【0023】
[0023]1つの実施形態では、入口を二等分する垂直平面と出口を二等分する垂直平面の間の角度は45~315度の間である。
【0024】
[0024]1つの実施形態では、設計流量を超える流量では水が垂直バッフルの頂部を通り越してゆくように、垂直バッフルの頂部は入口管のインバートより上方のレベルにある。
【0025】
[0025]1つの実施形態では、垂直バッフルの底部はチャンバの底部から少なくとも2フィート(60.96cm)にある。
【0026】
[0026]1つの実施形態では、垂直バッフルは、バッフルから入口に向かって直角に延びる1つ又はそれ以上の羽根を有していてもよい。
【0027】
[0027]1つの実施形態では、少なくとも2つの羽根はバッフルから1~5インチ(2.54~12.7cm)延びていてもよい。
【0028】
[0028]1つの実施形態では、少なくとも2つの羽根は、バッフルがバッフルの各側辺の槽の壁に交わる点から3~6インチ(7.62~15.24cm)に設置されており、その様な羽根の配設は入口を二等分する垂直平面周りに対称である。
【0029】
[0029]1つの実施形態では、各管の長軸は、水平から50~70度の角度にあり、この角度の方向は、入口を二等分する垂直平面に対して45~135度の間である。
【0030】
[0030]1つの実施形態では、ラメラ管の積重体の底部は垂直バッフルの底部より上方にある。
【0031】
[0031]1つの実施形態では、分流板は平板状であり、少なくとも1つの板は、板が出口と同じ中心線を有するように及び板が水平から45~135度の間の角度を形成するようにして出口より下方の壁へ取り付けられている。第2の分流板は、板の中心線が壁の中心線と一致するようにしてラメラ管の角度の方向に壁へ取り付けられていてもよい。第3の分流板は、板の中心線が壁の中心線と一致するようにして第2の分流板とは反対側の壁へ取り付けられていてもよい。第2及び第3の分流板は、45~135度の範囲内で、水平に対する角度が第1の分流板と同じであってもよいしそうでなくてもよい。1つの実施形態では、1つより多い分流板が単一部片として製造されていてもよい。
【0032】
[0032]1つの実施形態では、各分流板の矢(sagitta)は3~14インチ(7.62~35.56cm)の間であってもよい。
【0033】
[0033]1つの実施形態では、出口の分流器は、出口インバートと同じ高度の水平方向底面部片及び2つの垂直方向側面部片を含み、第1の垂直方向側面部片は出口開口部の一方の側から出口を二等分する垂直平面に平行に突出し、第2の垂直方向側面部片は、実質的に第1の垂直側方部片に直角であり且つ出口の中点のチャンバ壁の接線に平行であり、底面部片と2つの垂直方向側面部片は開口部を形成し、この開口部を通って水は出口開口部に到達することができる。
【0034】
[0034]1つの実施形態では、第2の垂直方向側面部片は湾曲していてもよい。
【0035】
[0035]1つの実施形態では、出口の分流器は、出口開口部の一方の側から少なくとも6インチ(15.24cm)突出した第1の垂直方向側面部片及び長さが少なくとも8インチ(20.32cm)の第2の垂直方向側面部片を含んでいてもよい。出口の分流器は、水平方向側面部片から少なくとも4インチ(10.16cm)上に突出する2つの垂直方向側面部片を含んでいてもよい。
【0036】
[0036]1つの実施形態では、出口の分流器は開口部を含み、この開口部を通って、水はラメラ管の角度から出口側の反対側にある出口開口部へ到達することができ、したがって管を通って流れる水は分流器の開口部に進入するためには少なくとも2回方向を反転させなければならない。
【0037】
[0037]1つの実施形態では、出口の分流器は開口部を含み、この開口部を通って水は少なくとも6インチ(15.24cm)幅の出口開口部に到達することができる。
【0038】
[0038]本開示、その目的及び利点をより完全に理解するために、これより、以下の説明を添付図面と関連づけて考察しながら参照する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】或る実施形態による雨水処理デバイスの等角図を描いている。
【
図2A】或る実施形態による例示的な羽根の実施形を描いている。
【
図2B】或る実施形態による例示的な羽根の実施形を描いている。
【
図3】或る実施形態による
図1の雨水処理デバイスの側面立面図を描いている。
【
図4】或る実施形態による
図1の雨水処理デバイスの正面立面図を描いている。
【
図5】或る実施形態による第1、第2、及び第3の分流器の平面図を描いている。
【
図6】或る実施形態による
図1の雨水処理デバイスの平面図を描いている。
【
図7】1つの実施形態によるラメラ管の断面図を描いている。
【
図8】1つの実施形態によるラメラ管の側面図を描いている。
【
図9】別の実施形態による雨水処理デバイスの等角図を描いている。
【
図10】
図9の実施形態による雨水処理デバイスの、内側チャンバの内部を示す側面図を描いている。
【
図11】1つの実施形態による、雨水から汚染物質を除去するための方法を描いている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[0050]諸実施形態は、雨水から汚染物質を除去するためのシステムに向けられている。
図1-
図8を参照すると、或る実施形態による雨水処理デバイスの諸図が提供されている。
【0041】
[0051]雨水処理デバイス100は、入口105、出口110、壁115、垂直バッフル120、1つ又はそれ以上の分流器130、及び出口制御分流器135を含むチャンバを画定していてもよい。1つの実施形態では、汚染物質を運ぶ雨水は、入口105に進入し、雨水処理デバイス100の下側部分150へ流れてゆくことができる。1つの実施形態では、雨水の流入速度に依って、雨水は垂直バッフル120に当たり、速度を落とし、下方へ流れることになる。
【0042】
[0052]1つの実施形態では、垂直バッフル120の入口105からの距離は、強化型沈降分離デバイス125内により多くの要素を有することと洗浄及び点検を可能にする開口部を有することの間のバランスであるとしてもよい。距離を短くすれば性能は上がるだろうが、洗浄及び点検がより難しくなる可能性がある。加えて、距離を短くすれば洗掘が増す可能性もある。
【0043】
[0053]1つの実施形態では、垂直バッフル120は、設計流量を超える流量では雨水が垂直バッフル120の頂部を通り越してゆくように垂直バッフル120の頂部が入口105のインバートより上方の高さになるような配置及び/又は大きさであってもよい。
【0044】
[0054]垂直バッフル120は、雨水処理デバイス100によって画定されるチャンバを入口側と出口側に分割していてもよい。
【0045】
[0055]1つの実施形態では、垂直バッフル120の底部は、雨水処理デバイス100の下側部分150内の水の流れを最適化するように配置され、雨水処理デバイス100の大きさに応じて配置されることができる。1つの実施形態では、垂直バッフル120の底部は、雨水処理デバイス100の底部から少なくとも2フィート(60.96cm)であってもよい。必要及び/又は所望に応じて他の設置位置が使用されてもよい。
【0046】
[0056]雨水は、雨水処理デバイス100の下側部分150から雨水処理デバイスの上側部分155へ進み続けることができる。1つの実施形態では、ラメラ管の様な強化型沈降分離デバイス125が下側部分150と上側部分155の間に配置されていてもよい。
【0047】
[0057]諸実施形態では、強化型沈降分離デバイス125は、複数のシートを備え、各シートが角度を成したリッジを備えて形成されていてもよい。1つの実施形態では、シートは、隣り合うシートのリッジ同士が平行になるように設置され、垂直に対して角度を成して配置された管を形成していてもよい。別の実施形態では、シートは、隣り合うシートのリッジ同士が直角になるように設置され、一連の曲がりくねった経路を作成していてもよい。
【0048】
[0058]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイス125の底部は、垂直バッフル120の底部より上方にあってもよい。
【0049】
[0059]雨水処理デバイス100の下側部分150に1つ又はそれ以上の分流器130、131、及び132を設けて、懸濁汚染物質が懸濁液から脱落するのにより多くの時間を持てるように未処理の雨水の流れを迂回させてもよい。1つの実施形態では、分流器130、131、及び/又は132は、更に、流入する未処理の雨水が汚染物質を再懸濁するのを防止するであろう。
【0050】
[0060]1つの実施形態では、分流器130、131、及び/又は132は板であってもよい。1つの実施形態では、板は平板状であってもよい。1つの実施形態では、第2の分流器(131)は、第2の分流器の中心線が壁115の中心線と一致するようにしてラメラ管の角度の方向に壁115へ取り付けられていてもよい。第3の分流器132は、第3の分流器の中心線が壁115の中心線と一致するようにして第2の分流器131とは反対側の壁115へ取り付けられていてもよい。分流器の2つ又はそれ以上が単一部片として製造されていてもよい。各分流器の矢(sagitta)は、3インチ(7.62cm)乃至反対側の壁又はバッフルまでの距離の30%であるとしてもよい。例えば、直径48インチ(121.92cm)の槽については14インチ(35.56cm)が上限ということになるだろう。
【0051】
[0061]雨水が出口110を出ることができるようになる前に出口制御分流器135が更に雨水の流れを絞ることになる。1つの実施形態では、出口制御分流器は、雨水が流れ方向を変えることなく下側部分150から上側部分155へそして出口110から外へ直接流れるのを防止することができる。出口制御分流器135は、更に、懸濁汚染物質を懸濁液から脱落させるだろう。
【0052】
[0062]出口制御分流器135は、平板状であって、出口制御分流器135の板が出口110と同じ中心線を有し且つ出口制御分流器135が水平から45~135度の角度を形成するようにして出口110より下方の壁115へ取り付けられていてもよい。
【0053】
[0063]出口制御分流器135は、出口110のインバートと同じ高さの水平方向底面部片及び2つの垂直方向側面部片を含んでいてもよい。第1の垂直方向側面部片は、出口110の一方の側から突出していて、出口110を二等分する垂直平面に実質的に平行であってもよい。第2の垂直方向側面部片は、第1の垂直方向側面部片に実質的に直角であり、出口の中心線でとられた壁115の接線に平行であってもよい。底面部片及び2つの垂直方向側面部片は開口部を形成し、この開口部を通って水は出口110に到達することができる。1つの実施形態では、各垂直方向側面部片は水平方向側面部片から少なくとも4インチ(10.16cm)突出していてもよい。
【0054】
[0064]出口制御分流器135及びその諸部分の寸法は雨水処理デバイス100の大きさに基づいて変わり得るが、1つの実施形態では、第1の垂直方向側面部片は出口110の一方の側から少なくとも6インチ(15.24cm)突出し、第2の垂直方向側面部片は長さが少なくとも8インチ(20.32cm)であるとしてもよい。寸法は雨水処理デバイス100の大きさに依って変わり、概して、より大きいデバイスはより大きい要素を有し、より小さいデバイスはより小さい要素を有するであろう。1つの実施形態では、第2の垂直方向側面部片は湾曲していてもよい。側面部片の大きさは、依然として出口110の大きさに近いながらも出口110までの経路長を最大化するように選択されてもよい。
【0055】
[0065]1つの実施形態では、入口105を二等分する垂直平面に直角の最大寸法は、入口105を二等分する垂直平面に平行な最大寸法以下とすることができる。例えば、入口105と出口110の間の長さはチャンバの幅より大きくてもよい。このことは、例えば、チャンバの形状が矩形である場合に有用であるだろう。入口105を二等分する垂直平面と出口110を二等分する垂直平面の間の角度は45~315度の間であってもよい。必要及び/又は所望に応じて他の角度が使用されてもよい。
【0056】
[0066]
図7及び
図8を参照すると、強化型沈降分離デバイス125に関する例示的な詳細が諸実施形態に従って提供されている。強化型沈降分離デバイス125は、複数のラメラ管を含んでいてもよい。ラメラ管は何れの適切な形状を有していてもよく、1つの実施形態では、
図7に示されている様に、ラメラ管は六角形の形状を有することができる。矩形、平行四辺形、円などの様な他の管形状も同様に使用できる。1つの実施形態では、各管の寸法は、管によって提供される各チャネルの高さを最小化するように、つまり沈降分離距離を最小化するように選択されてもよい。
【0057】
[0067]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイス125のラメラ管は、水平から角度を成して配置されていてもよい。1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイス125を通って流れる水は、出口制御分流器135の開口部に進入するためには少なくとも2回方向を反転させなければならない。例えば、雨水は、下側部分150から上側部分155へ強化型沈降分離デバイス125を経由して進む際に方向を反転させ、強化型沈降分離デバイス125から出口110へ進む際に再び方向を反転させる。出口分流器135が更に別の方向転換を余儀なくさせるだろう。
【0058】
[0068]1つの実施形態では、角度は、強化型沈降分離デバイス125での沈降対管の自己洗浄を最適化するように選択されてもよい。例えば、角度は45~75度の間であってもよい。必要及び/又は所望に応じて他の角度が使用されてもよい。
【0059】
[0069]1つの実施形態では、強化型沈降分離デバイス125のラメラ管は、水平に対して異なる角度に配置されていてもよい。例えば、ラメラ管の第1のサブセットが水平に対して第1の角度に配置され、ラメラ管の第2のサブセットが水平に対して第2の角度に配置される、などであってもよい。(単数又は複数の)角度は必要及び/又は所望に応じて選択されてもよい。
【0060】
[0070]1つの実施形態では、
図2Aに示されている様に、垂直バッフル120は、入口側で垂直バッフル120の頂部から下に延びる1つ又はそれ以上の羽根140であって入口側の流れに渦が形成されるのを防止するのに役立つ羽根140を含んでいてもよい。例えば、羽根140は、垂直バッフル120の頂部より下方に12~36インチ(30.48~91.44cm)且つバッフルから1~5インチ(2.54~12.7cm)離れて延びていてもよい。羽根140の寸法は雨水処理デバイス100の大きさに依って変わってもよい。1つの実施形態では、少なくとも一方の羽根140は、バッフル120が雨水処理デバイス100の壁に交わる点から少なくとも3インチ(7.62cm)に配置されていて、他方の羽根140はバッフル120の他方の側辺が雨水処理デバイス100の壁に交わる点から少なくとも3インチ(7.62cm)に配置されていてもよい。羽根140の任意の配設は、垂直バッフル120を二等分し且つ垂直バッフル120に直角である垂直平面周りに対称であってもよい。
【0061】
[0071]別の実施形態では、
図2Bに示されている様に、羽根140は水平方向の向きで提供されている。
【0062】
[0072]雨水処理デバイス100は、雨水処理デバイス100内の水の流れを数回方向転換させるように構成されていてもよい。方向転換の目的は、雨水が雨水処理デバイス100内で費やす時間を最適化することである。重力沈降には時間がかかるので、雨水処理デバイス100の寸法によって体積及び流量が制限されることもあることから、この方向転換は雨水処理デバイス100内の体積を可能な限り有効に使っている。
【0063】
[0073]
図9及び
図10を参照すると、別の実施形態による雨水処理デバイスの等角図及び断面図がそれぞれ提供されている。雨水処理デバイス900は、入口905、出口910、壁915、内側チャンバ壁960、及び支持体965を含むチャンバを画定していてもよい。1つの実施形態では、汚染物質を運ぶ雨水は、入口905に進入し、雨水処理デバイス900の外側チャンバ950へ落下することになる。雨水は、次いで、強化型沈降分離デバイス925を通って雨水処理デバイス900の内側チャンバ955へ流れ入り、その後、出口910を介して出てゆくことができる。
【0064】
[0074]認識しておくべきこととして、或る代わりの実施形態では、強化型沈降分離デバイス925は雨水処理デバイスの外側チャンバ950内に設けられていて、雨水は入口905を介して雨水処理デバイス900の内側チャンバ965へ提供されるようになっていてもよい。出口910は外側チャンバ950に設けられており、したがって雨水が強化型沈降分離デバイス925を通って流れたら、雨水は出口910を介して雨水処理デバイス900から出てゆく。
【0065】
[0075]強化型沈降分離デバイス925は、以上に説明されている強化型沈降分離デバイス125と同様であってもよい。
【0066】
[0076]
図11を参照すると、雨水から汚染物質を除去するための方法が、1つの実施形態に従って開示されている。
【0067】
[0077]工程1105では、汚染物質を運ぶ雨水が雨水処理デバイスの入口側へ流れ入り、拡がることで流体速度が減少する。
【0068】
[0078]工程1110では、流れが特定の設計流量を超えない限り雨水は雨水処理デバイスの下側部分へ流れ入る。例えば、流れが特定の設計流量より上である場合、特定の設計流量より上の流れの量に比例した雨水の量がバッフルを越えて雨水処理デバイスの上側部分へ直接流れてゆき、一方、流れの残りは雨水処理デバイスの下側部分へ流れ入ることになる。
【0069】
[0079]工程1115では、雨水は下側部分に流れ入り、汚染物質が重力沈降に因り懸濁液から解放されることになる。沈降した汚染物質は、雨水処理デバイスの下側部分内に蓄積してゆく。
【0070】
[0080]工程1120では、雨水は方向を変え、ラメラ管の様な強化型沈降分離デバイスを上って流れる。これらの管はより短い沈降距離を提供していて、沈降に要する時間を短縮させる。これは、より小さい粒子の沈降を捗らせる。強化型沈降分離デバイスに沈降した粒子は最終的には雨水処理デバイスの下側部分へと落下してゆく。
【0071】
[0081]工程1125では、雨水は、強化型沈降分離デバイスを出て、雨水処理デバイスの上側部分で方向を変える。
【0072】
[0082]工程1130では、雨水は出口分流器に到達し、出口から外へ流れることができる。1つの実施形態では、出口分流器の構造は、雨水が出口を介して出てゆく前に雨水に再び方向を変えさせるようになっていてもよい。
【0073】
[0083]本発明は以上に具体的に示され説明されたものに限定されないことが当業者には理解されるだろう。むしろ、本発明の範囲は、以上に説明されている諸特徴の組合せと部分的組合せの両方ならびに従来技術にはないその変形及び修正を含む。更に、これらの実施形態は互いに排他的ではないものと認識されたい。
【0074】
[0084]当業者には容易に理解される様に、ここに開示されている諸実施形態は広範な実用性及び応用が可能である。本明細書に記載されているもの以外の本発明の多くの実施形態及び適応、ならびに多くの変形、修正、及び等価的配設が、本発明の要旨又は範囲から逸脱することなく、本発明及び本発明の前述の説明から明らかになり又は合理的に示唆されるだろう。
【0075】
[0085]したがって、本明細書では本発明がその例示的な実施形態に関連して詳細に説明されているが、本開示は説明が目的であり本発明の例示にすぎず、発明の実施可能な程度の開示を提供するためになされたものと理解されたい。したがって、前述の開示は、解釈されることを又は本発明を限定することを意図するものでもなければ、何れかの他のその様な実施形態、適応、変形、修正、又は等価的配設を排除しようとするものでもない。
【符号の説明】
【0076】
100 雨水処理デバイス
105 入口
110 出口
115 壁
120 垂直バッフル
125 強化型沈降分離デバイス
130、131、132 分流器
135 出口制御分流器
140 羽根
150 下側部分
155 上側部分
900 雨水処理デバイス
905 入口
910 出口
915 壁
925 強化型沈降分離デバイス
950 外側チャンバ
955 内側チャンバ
960 内側チャンバ壁
965 支持体
【国際調査報告】