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特表2024-535290LIDARセンサー用シリコンフォトニクス装置および製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】LIDARセンサー用シリコンフォトニクス装置および製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/01 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G02F1/01 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517169
(86)(22)【出願日】2022-11-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 US2022080186
(87)【国際公開番号】W WO2023097175
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/535,024
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/535,013
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520390450
【氏名又は名称】オーロラ・オペレイションズ・インコーポレイティッド
【氏名又は名称原語表記】AURORA OPERATIONS, INC.
【住所又は居所原語表記】1654 Smallman Street, Pittsburgh, PA 15222, UNITED STATES OF AMERICA
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】リン, セン
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ, アンドルー スタイル
【テーマコード(参考)】
2K102
【Fターム(参考)】
2K102AA28
2K102BA01
2K102BA08
2K102BA40
2K102BC10
2K102BD09
2K102CA28
2K102DA04
2K102DD03
2K102EA05
2K102EA21
2K102EB08
2K102EB20
2K102EB22
(57)【要約】
LIDAR用シリコンフォトニクス装置の構造は、基板部材上に置かれた1つ以上のエッチングされたシリコン構造上に配置された第1絶縁構造と第2絶縁構造とを含む。金属層は、拡散障壁および接着層の事前蒸着なしに第1絶縁構造上に配置される。薄い絶縁構造が第2絶縁構造上に配置される。金属層、第1絶縁構造、および1つ以上のエッチングされたシリコン構造の第1構成は、自由空間カプラを形成する。第2絶縁構造の上の薄い絶縁構造の第2構成は、エッジカプラを形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンフォトニクス装置を製造するための方法であって、
基板部材を取得し、前記基板部材上にシリコン構造を形成するステップと、
前記シリコン構造上に第1誘電体構造および第2誘電体構造を形成するステップと、
前記第1誘電体構造および第2誘電体構造上に第1酸化物層を配置するステップと、
前記第1酸化物層および第2誘電体構造上に第3誘電体構造を形成するステップと、
前記第1酸化物層および前記第1誘電体構造上に金属層を形成するステップと、
前記金属層の上に拡散障壁および接着層を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記シリコン構造は、格子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1誘電体構造を形成するステップは、
前記シリコン構造上に絶縁体化合物の第1層を配置するステップと、
前記絶縁体化合物の第1層をエッチングして第1誘電体構造を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁体化合物の第1層をエッチングする前に、前記基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を配置するステップと、
前記第1誘電体構造を形成した後に、前記基板部材の下部面に配置された前記絶縁体化合物の第2層を除去するステップと、をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁体化合物の第1層および第2層は、窒化シリコン(Si)およびシリコンからなる群のいずれかである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
シリコン構造上に前記絶縁体化合物の第1層を配置し、前記基板部材の下部面に前記絶縁体化合物の第2層を配置するステップは、低圧化学気相成長(LPCVD)およびプラズマ強化化学気相成長(PECVD)からなる群のうちの1つによって行われる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記金属層上の前記拡散障壁および接着層は、反射ミラー構造を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1誘電体構造および前記第2誘電体構造は、互いに同一平面上に存在する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第3誘電体構造を形成するステップは、
前記金属層の上に第2酸化物層を配置するステップと、
前記第2誘電体構造層上の前記第2酸化物層に開口部をエッチングするステップと、
前記開口部内の前記第2誘電体構造上に前記第3誘電体構造を形成するステップと、を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記金属層は、アルミニウム、金、銀および銅からなる群のいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
拡散障壁および接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、ケイ化銅、窒化タングステンおよび窒化チタンからなる群のいずれかである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、
フォトダイオードを形成するために前記第2シリコン構造の部分をドープするステップと、
前記第2シリコン構造のドープされた部分の上にフォトダイオード用の金属接点を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、
前記第2シリコン構造上に第2拡散障壁および接着層を形成するステップと、
前記第2拡散障壁および接着層および前記第2シリコン構造上に第2金属層を形成するステップと、
前記第2金属層の上に第3拡散障壁および接着層を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シリコン構造上に抵抗性金属合金ヒーターのフィルムを配置するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1ないし請求項14のいずれか一項に記載の方法による工程によって製造されたシリコンフォトニクス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、シリコンフォトニクス装置(Silicon Photonics Device)、具体的には、光検出および距離測定(Light Detection and Rangeing、LIDAR)用途のためのシリコンフォトニクス装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザレーダ(RADAR)とも呼ばれるLIDARは、イメージングおよび衝突回避を含む様々な用途に使用される。変調器、光フィルタ、光スイッチ、光導波管、フォトダイオード、位相シフタ、波長変換器などのLIDARシステムで使用される様々なコンポーネントは、SOI(Silicon-on-Insulator)プラットフォームなどの相補型金属酸化物半導体(CMOS)互換シリコンフォトニクスチップに実施される。LIDARシステムの開発に直面する主な課題の1つは、様々なコンポーネントの結合効率、波長感度、信頼性、およびリンクバジェット性能(Link Budget Performance)に関連する不十分さである。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態によると、本開示は、LIDAR用シリコンフォトニクス装置の構造を説明する。シリコンフォトニクス装置は、基板部材と、基板部材上に形成されたアンテナと、基板部材上に形成され、アンテナと結合されるフォトダイオードと、を含む。アンテナは、一次元格子カプラである。アンテナは、基板部材の上部における第1格子構造の1次形成と、第1格子構造の上部における第1金属層の2次形成と、第1金属層の上部における拡散障壁および接着層の3次形成と、を含み、拡散障壁および接着層および第1金属層は、反射ミラー構造を形成する。例えば、第1金属層は、MT0(Metal0)層である。例えば、第1金属層は、アルミニウム、金、銀、および銅からなる群のいずれかである。アンテナは、第1格子構造に結合された第1誘電体構造を含む。例えば、第1誘電体構造は、窒化シリコンおよびシリコンからなる群のいずれかである。アンテナは、基板部材に結合された第2格子構造と、第2格子構造に結合された第1金属層と、を含む。アンテナは、基板部材と第1格子構造の第1形成との間、および第1格子構造の第1形成と第1金属層の第2形成との間で酸化物層の中間形成を含む。シリコンフォトニクス装置は、第3誘電体構造に結合された第2誘電体構造をさらに含み、第2誘電体構造と第3誘電体構造は、エッジカプラを形成する。例えば、第1誘電体構造と第3誘電体構造は、同一平面上に存在する。例えば、拡散障壁および接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、銅ケイ化物、窒化タングステンおよび窒化チタンからなる群のいずれかである。例えば、第1誘電体構造の下端と第1格子構造の上端との間の第1距離は、100ナノメートルと500ナノメートルの間の範囲にあり、第1金属層の下端と第1格子構造の上端との間の第2距離は、800ナノメートルから1200ナノメートルの範囲にあり、第1誘電体構造の上端と第1金属層の下端との間の第3距離は、500ナノメートルから1600ナノメートルの範囲にある。例えば、第2誘電体構造の下端と第3誘電体構造の上端との間の第4距離は、約450ナノメートルである。例えば、第1誘電体構造と第3誘電体構造は、同じ高さを有する。例えば、第2誘電体構造の高さは、第3誘電体構造の高さの約3倍以下である。例えば、第1金属層の高さは、拡散障壁および接着層の高さの2倍である。本開示は、本明細書に記載のようなシリコンフォトニクス装置を含むLIDARセンサーを説明する。本開示は、本明細書に記載のシリコンフォトニクス装置を含む自律車両制御システムを説明する。
【0004】
一実施形態によると、本開示は、シリコンフォトニクス装置の構造を説明する。シリコンフォトニクス装置は、基板部材と、基板部材上に形成された第1アンテナと、を含む。第1アンテナは、基板部材に結合された第1格子構造と、第1格子構造に結合された第1誘電体構造と、第1誘電体構造に結合された第1金属層と、を含む。シリコンフォトニクス装置は、基板部材上に形成された第2アンテナをさらに含む。第2アンテナは、基板部材に結合された第2格子構造を含み、第1金属層は、第2格子構造に結合される。シリコンフォトニクス装置は、基板部材上に形成され第2アンテナに結合されるフォトダイオードをさらに含む。第1アンテナは、第1金属層の上部に拡散障壁および接着層をさらに含み、拡散障壁および接着層および第1金属層は、反射ミラー構造を形成する。第1アンテナは、第1格子構造と第1誘電体構造との間、および第1誘電体構造と第1金属層との間に中間酸化物層をさらに含む。例えば、第1アンテナは、一次元格子カプラである。例えば、第1金属層は、MT0(Metal0)層である。例えば、第1金属層は、アルミニウム、金、銀および銅からなる群のいずれかである。例えば、第1誘電体構造と第2誘電体構造は、同一平面上に存在する。例えば、第1誘電体構造、第2誘電体構造、および第3誘電体構造は、窒化シリコンおよびシリコンのいずれかを用いて形成される。例えば、拡散障壁および接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、銅ケイ化物、窒化タングステンおよび窒化チタンからなる群のいずれかである。例えば、第1誘電体構造の下端と第1格子構造の上端との間の第1距離は、100ナノメートルと500ナノメートルの間の範囲にあり、第1金属層の下端と第1格子構造の上端との間の第2距離は、800ナノメートルから1200ナノメートルの範囲にあり、第1誘電体構造の上端と第1金属層の下端との間の第3距離は、500ナノメートルから1600ナノメートルの範囲にある。例えば、第2誘電体構造の上端と第3誘電体構造の下端との間の第4距離は、約450ナノメートルである。例えば、第1誘電体構造と第2誘電体構造は、同じ高さを有する。例えば、第3誘電体構造の高さは、第2誘電体構造の高さの約3倍以下である。例えば、第1金属層の高さは、拡散障壁および接着層の高さの2倍である。本開示は、本明細書に記載のようなシリコンフォトニクス装置を含むLIDARセンサーを説明する。本開示は、本明細書に記載のシリコンフォトニクス装置を含む自律車両制御システムを説明する。
【0005】
一実施形態によると、本開示は、LIDAR用のシリコンフォトニクス装置を製造する方法を説明する。方法は、基板部材を取得し、基板部材上にシリコン構造を形成するステップと、シリコン構造上に第1誘電体構造および第2誘電体構造を形成するステップと、第1誘電体構造および第2誘電体構造上に第1酸化物層を配置するステップと、第1酸化物層および第2誘電体構造上に第3誘電体構造を形成するステップと、第1酸化物層および第1誘電体構造上に金属層を形成するステップと、金属層の上に拡散障壁および接着層を形成するステップと、を含む。例えば、シリコン構造は、格子である。例えば、金属層上の拡散障壁および接着層は、反射ミラー構造を形成する。例えば、拡散障壁および接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、銅ケイ化物、窒化タングステンおよび窒化チタンからなる群のいずれかである。例えば、金属層は、アルミニウム、金、銀、および銅からなる群のいずれかである。例えば、第1誘電体構造と第2誘電体構造は、互いに同一平面上に存在する。方法は、シリコン構造上に絶縁体化合物の第1層を配置し、絶縁体化合物の第1層をエッチングして第1誘電体構造を形成することによって、第1誘電体構造を形成するステップをさらに含む。方法は、絶縁体化合物の第1層をエッチングする前に基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を配置するステップと、第1誘電体構造を形成した後に基板部材の下部面に配置された絶縁体化合物の第2層を除去するステップと、をさらに含む。例えば、絶縁体化合物の第1層および第2層は、窒化シリコン(Si)およびシリコンからなる群のいずれかである。例えば、シリコン構造上に絶縁体化合物の第1層を配置し、基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を配置する方法は、低圧化学気相成長(LPCVD)工程およびプラズマ強化化学気相成長(PECVD)工程からなる群のいずれかによって行われる。方法は、シリコン構造上に抵抗性金属合金ヒータの膜を配置するステップをさらに含む。方法は、金属層の上に第2酸化物層を配置し、第2誘電体構造の上の第2酸化物層に開口をエッチングし、開口内の第2誘電体構造上に第3誘電体構造を形成することによって、第3誘電体構造を形成するステップをさらに含む。方法は、基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、フォトダイオードを形成するために第2シリコン構造の一部をドープするステップと、第2シリコン構造のドープされた部分の上にフォトダイオード用の金属接点を形成するステップと、をさらに含む。方法は、基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、第2シリコン構造上に第2拡散障壁および接着層を形成するステップと、第2拡散障壁および接着層および第2シリコン構造上に第2金属層を形成するステップと、第2金属層の上に第3拡散障壁および接着層を形成するステップと、をさらに含む。本開示は、本明細書に記載の方法によって製造されたシリコンフォトニクス装置を説明する。本開示は、また、本明細書に記載の方法によって製造されたシリコンフォトニクス装置を含むLIDARセンサーシステムを説明する。
【0006】
一実施形態によると、本開示は、車両用シリコンフォトニクス装置を製造する方法を説明する。方法は、基板部材を取得し、基板部材に結合される第1シリコン構造を形成するステップと、第1シリコン構造上に第1酸化物層を形成するステップと、第1酸化物層および第1シリコン構造上に金属層を形成するステップと、拡散障壁として作用し、金属層に接着するように構成された金属層上に接着層を形成するステップと、を含む。方法は、第1酸化物層および第1シリコン構造上に第1誘電体構造を形成するステップと、第1誘電体構造上に第2酸化物層を形成するステップと、をさらに含み、第2酸化物層は、第1酸化物層と金属層との間に形成される。方法は、第1酸化物層の化学的機械的研磨を行うステップと、第1シリコン構造と第1誘電体構造との間にスペーサを形成するステップと、をさらに含む。方法は、第1酸化物層上に第2シリコン構造を形成するが、第2酸化物層は、第2シリコン構造上に形成されるステップと、第2シリコン構造および第2酸化物層上に第3シリコン構造を形成するステップと、をさらに含む。例えば、第1誘電体構造および第2シリコン構造は、互いに同一平面上に存在する。方法は、第1酸化物層上に絶縁体化合物の第1層を形成し、第1シリコン構造上に第1誘電体構造を形成するために絶縁体化合物の第1層を第1酸化物層までエッチングすることによって、第1酸化物層および第1シリコン構造上に第1誘電体構造を形成するステップをさらに含む。方法は、絶縁体化合物の第1層をエッチングする前に基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を形成するステップと、第1誘電体構造を形成した後に基板部材の下部面に形成された絶縁体化合物の第2層を除去するステップと、をさらに含む。方法は、第2シリコン構造上に形成された第2酸化物層の開口をエッチングし、開口内に第3シリコン構造を形成することによって、第2シリコン構造および第2酸化物層上に第3シリコン構造を形成するステップをさらに含む。方法は、基板部材上に第4シリコン構造を形成するステップと、第4シリコン構造の特定の1つ以上の部分をドープしてフォトダイオードを形成するステップと、第4シリコン構造の部分の上にフォトダイオードのための1つ以上の金属接点を形成するステップと、をさらに含む。例えば、絶縁体化合物の第1層および第2層は、窒化シリコン(Si)およびシリコンからなる群のいずれかを含む。例えば、第1酸化物層の上に絶縁体化合物の第1層を形成し、基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を形成する方法は、低圧化学気相成長(LPCVD)とプラズマ強化化学気相成長(PECVD)からなる群のいずれかによって行われる。例えば、第1シリコン構造は、格子構造である。例えば、金属層は、アルミニウム、金、銀、および銅からなる群のいずれかを含む。例えば、接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、ケイ化銅、窒化タングステン、窒化チタンからなる群のいずれかを含む。本開示は、本明細書に記載の方法によって製造されたシリコンフォトニクス装置を説明する。本開示は、また、本明細書に記載の方法によって製造されたシリコンフォトニクス装置を含むLIDARセンサーシステムを説明する。
【0007】
当業者は、要約が単に説明のためのものであり、いかなる方法でも制限しようとする意図ではないことを理解するであろう。本明細書に記載の特徴のうちの任意のものは、任意の他の特徴とともに使用でき、このような特徴の任意のサブセットは、様々な実施形態に応じて組み合わせて使用できる。特許請求の範囲によってのみ定義される本明細書に記載の装置および/またはプロセスの他の態様、独創的な特徴および利点は、添付の図面とともに本明細書に提示される詳細な説明から明らかになるであろう。さらに、本開示で使用される言語は、原則として可読性および説明の目的で選択されており、本開示で開示された主題の範囲を限定しない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
実施形態は、類似の参照番号が類似の要素を指す添付の図面の図において、限定ではなく例示として示され、ここで、
【0009】
図1a】一実施形態による自律車両のためのハードウェアおよびソフトウェア環境の例を示すブロック図である。
【0010】
図1b】一実施形態によるコヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置の高レベル系統図である。
【0011】
図2】一実施形態による図1bに示されるシリコンフォトニクス装置の構造を示す概略的な断面図を示す。
【0012】
図3】~
図17】一実施形態による図1bに示されるシリコンフォトニクス装置を製造する方法を例示する概略的な断面図を示す。
【0013】
本明細書に記載の構造および方法の代替的な実施形態は、本明細書に記載の原理から逸脱することなく採用できることが理解されるべきである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明においては、説明の目的のために様々な例示的な実施形態の様々な態様の完全な理解を提供するために多数の特定の詳細が提示される。任意の特定の例示的な実施形態は、様々な場合にすべての特定の詳細なしにおよび/または本明細書に記載の様々な特徴および要素の変形、置換および組み合わせで実行できることに留意されたい。以下、本開示の実施形態について詳細に参照し、その例は、添付の図面に示されている。可能であれば、図面および説明で使用される同じ参照番号は、同一または類似の部品を指す。
【0015】
また、「下部」または「底部」または「後部」または「下」および「上部」または「頂部」または「前面」または「上」などの相対的な用語は、図面に示されるように、1つの要素の他の要素との関係を説明するために使用できる。相対的な用語は、図面に示される方向に加えて装置の様々な方向を含むように意図されることが理解されるであろう。例えば、図面のうちの1つで装置が反転した場合、他の要素の「下部」側にあると説明された要素は、他の要素の「上部」側を向くことになる。したがって、例示的な用語「下部」は、図面の特定の方向に応じて、「下部」および「上部」方向の両方を含み得る。同様に、図面のうちの1つで装置が反転した場合、他の要素の「下」または「底」にあると説明された要素は、他の要素の「上」を向くことになる。したがって、例示的な用語「下」または「底」は、上および下の方向の両方を含み得る。
【0016】
図面を参照すると、同じ番号は、いくつかの図にわたって同じ部分を示し、図1aは、本明細書に開示された様々な技術が実施できる自律車両100のための例示的なハードウェアおよびソフトウェア環境を示す。例えば、車両100は、エネルギー源106によって駆動され、ドライブトレイン108に動力を供給できる原動機104を含むパワートレイン102だけでなく、方向制御112、パワートレイン制御114、およびブレーキ制御116を含む制御システム110を含み得る。車両100は、人および/または貨物を輸送することができ、陸路に移動できる車両を含んで任意の数の様々なタイプの車両で実施でき、前述のコンポーネント102~116は、これらのコンポーネントが活用される車両のタイプによって大きく異なる可能性があることを理解されるべきである。
【0017】
単純化のために、以下で論じる実施形態は、乗用車、バン、トラック、バスなどの車輪付き陸上車両に焦点を合わせる。このような実施形態において、原動機104は、(他のもののうちの)1つ以上の電気モータおよび/または内燃機関を含み得る。エネルギー源106は、例えば、燃料システム(例えば、ガソリン、ディーゼル、水素などを提供)、バッテリーシステム、太陽電池パネルまたは他の再生可能エネルギー源、および/または燃料電池システムを含み得る。ドライブトレイン108は、原動機104の出力を車両運動に変換するのに適した変速機および/または他の任意の機械的駆動コンポーネントとともにホイールおよび/またはタイヤと車両100を制御できるように停止するか、または減速するように構成される1つ以上のブレーキおよび車両100の軌跡を制御するのに適した方向またはステアリングコンポーネント(例えば、車両100の1つ以上のホイールを一般に垂直軸を中心に旋回して車両の縦軸を基準としてホイールの回転平面の角度を変更できるようにするラックおよびピニオンステアリングリンケージ)を含む。一実施形態において、パワートレインとエネルギー源の組み合わせが使用でき(例えば、電気/ガスハイブリッド車両の場合)、他の実施形態においては、複数の電気モータ(例えば、個々のホイールまたは車軸専用)が原動機104として使用できる。水素燃料電池の実施の場合、原動機104は、1つ以上の電気モータを含み得、エネルギー源106は、水素燃料によって駆動される燃料電池システムを含み得る。
【0018】
方向制御112は、車両100が望む軌跡に従うことができるように、方向またはステアリングコンポーネントからフィードバックを制御および受信するための1つ以上のアクチュエータおよび/またはセンサーを含み得る。パワートレイン制御114は、例えば、原動機104の出力パワーを制御し、ドライブトレイン108の変速機のギアを制御するなど、パワートレイン102の出力を制御するように構成されることによって、車両100の速度および/または方向を制御する。ブレーキ制御装置116は、車両100を減速または停止させる1つ以上のブレーキ、例えば、車両の車輪に結合されたディスクまたはドラムブレーキを制御するように構成され得る。
【0019】
全地形対応車両(All-Terrain)または軌道車両および建設機械を含むが、これらに限定されない他の車両タイプは、様々なパワートレイン、ドライブトレイン、エネルギー源、方向制御、パワートレイン制御およびブレーキ制御を活用し得る。また、一実施形態において、コンポーネントのうちの一部は、結合できるが、例えば、車両の方向制御は、1つ以上の原動機の出力を変更することによって主に処理される。したがって、本明細書に開示された実施形態は、自律走行陸上車両における本明細書に説明された技術の特定の用途に限定されない。
【0020】
図示の実施形態において、車両100についての完全または半自律制御は、車両制御システム120で実施され、これは1つ以上のプロセッサ122および1つ以上のメモリ124を含み得、各プロセッサ122は、メモリ124に格納されたプログラムコード命令126を実行するように構成される。複数のプロセッサは、例えば、複数のグラフィックス処理装置(「GPU」)および/または複数の中央処理装置(「CPU」)を含み得る。
【0021】
センサー130は、車両100の動作制御に使用するために車両の周辺環境から情報を収集するのに適した様々なセンサーを含み得る。例えば、センサー130は、1つ以上の検出および距離測定センサー(例えば、RADARセンサー134、LIDARセンサー136、またはその両方)、3Dポジショニングセンサー138、例えば、GPS(Global Positioning System)、GLONASS(Globalnaya Navigazionnaya Sputnikovaya Sistema、またはGlobal Navigation Satellite System)、BeiDouナビゲーション衛星システム(BDS)、Galileo、Compassなどの衛星ナビゲーションシステムを含み得る。3Dポジショニングセンサー138は、衛星信号を使用して地球上の車両位置を決定するために使用できる。センサー130は、選択的にカメラ140および/またはIMU(慣性測定装置)142を含み得る。カメラ140は、モノグラフィックまたはステレオグラフィックカメラであり得、静止および/またはビデオ画像を記録することができる。IMU142は、3方向から車両100の線形および回転運動を検出できるマルチジャイロスコープおよび加速度計を含み得る。ホイールエンコーダなどの1つ以上のエンコーダ144は、車両100の1つ以上のホイールの回転を監視するために使用できる。一実施形態において、LIDARセンサー136は、以下で詳細に説明されるように、コヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置の構造を含み得る。
【0022】
センサー130の出力は、位置推定サブシステム152、知覚サブシステム154、計画サブシステム156、および制御サブシステム158を含む一連の制御サブシステム150に提供され得る。位置推定サブシステム152は、主に周辺環境内、そして一般的に一部の基準フレーム内で車両100の位置および方向(時々「姿勢」または「姿勢推定」とも呼ばれる)を正確に決定する役割を担う。知覚サブシステム154は、主に車両100の周辺環境内のオブジェクトを検出、追跡、および/または識別する役割を担う。一実施形態による機械学習モデルは、オブジェクトを追跡するために活用され得る。計画サブシステム156は、主に環境内の静的および移動オブジェクトだけでなく、望む目的地が与えられた一部の時間フレームにわたって車両100の軌跡または移動経路を計画する役割を担う。一実施形態による機械学習モデルは、車両軌道を計画するために活用され得る。制御サブシステム158は、主に車両100の計画された軌跡を実施するために車両制御システム120の様々な制御を制御するための適切な制御信号を生成する役割を担う。同様に、機械学習モデルが計画された軌道を実施するために自律車両100を制御するための1つ以上の信号を生成するために活用され得る。
【0023】
図1aに示される車両制御システム12のためのコンポーネントの集合は、単なる1つの例に過ぎないことを理解されるべきである。一実施形態においては、個々のセンサーを省略し得る。追加的または代替的に、一実施形態においては、図1aに示される同じタイプの複数のセンサーが冗長的におよび/または車両周辺の様々な領域をカバーするために使用できる。また、車輪付き陸上車両の動作および環境に関連する実際のセンサーデータを提供するために前述したもの以外の他のタイプの追加のセンサーが存在し得る。同様に、制御サブシステムの様々なタイプおよび/または組み合わせを他の実施形態で使用できる。また、サブシステム152~158は、プロセッサ122およびメモリ124とは別のものとして例示されているが、一実施形態において、サブシステム152~158の機能のうちの一部または全部は、1つ以上のメモリ124に常駐し、1つ以上のプロセッサ122によって実行されるプログラムコード命令126として実施でき、これらのサブシステム152~158は、場合によっては、同じプロセッサおよび/またはメモリを使用して実施できる。サブシステムは、少なくとも部分的に様々な専用回路ロジック、様々なプロセッサ、様々なフィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)、様々な特定用途向け集積回路(「ASIC」)、様々なリアルタイムコントローラなどを使用して実施でき、前述したように、複数のサブシステムは、回路、プロセッサ、センサー、および/または他のコンポーネントを用い得る。また、車両制御システム120の様々なコンポーネントは、様々な方法でネットワーク化することができる。
【0024】
一実施形態において、車両100は、また、車両100の冗長またはバックアップ制御システムとして使用できる2次車両制御システム(図示せず)を含み得る。一実施形態において、2次車両制御システムは、車両制御システム120で不利な事象が発生した場合に自律車両100を完全に動作させることができるが、他の実施形態において、2次車両制御システムは、主な車両制御システム120で検出された不利な事象に応答して車両100の制御された停止を実行するなどの限定された機能のみを有し得る。また他の実施形態において、2次車両制御システムは、省略されてもよい。
【0025】
一般的に、ソフトウェア、ハードウェア、回路ロジック、センサー、ネットワークなどの様々な組み合わせを含む様々なアーキテクチャが図1aに示される様々なコンポーネントを実施するために使用できる。各プロセッサは、例えば、マイクロプロセッサとして実施でき、各メモリは、メインストレージを含むランダムアクセスメモリ(「RAM」)装置だけでなく、任意の補足レベルのメモリ、例えば、キャッシュメモリ、不揮発性またはバックアップメモリ(例えば、プログラマブルまたはフラッシュメモリ)、リードオンリーメモリなどを含み得る。また、各メモリは、車両100の他の場所に物理的に位置したメモリストレージ、例えば、プロセッサ内の任意のキャッシュメモリだけでなく、例えば、大容量格納装置または他のコンピュータコントローラに格納されるように仮想メモリとして使用されるいかなる格納容量も含むものと見なすことができる。図1aに示される1つ以上のプロセッサ122、または完全に別のプロセッサは、自律制御目的以外の車両100内の追加機能、例えば、エンターテインメントシステム制御、ドア、照明、便利機能などの動作を実施するために使用できる。
【0026】
また、追加の格納のために、車両100は、1つ以上の大容量格納装置、例えば、リムーバブルディスクドライブ、ハードディスクドライブ、直接アクセス格納装置(「DASD」)、光ドライブ(例えば、CDドライブ、DVDドライブなど)、ソリッドステートストレージドライブ(「SSD」)、ネットワーク接続ストレージ、ストレージエリアネットワーク、および/またはテープドライブなどを含み得る。
【0027】
さらに、車両100は、車両100がユーザまたはオペレータから複数の入力を受信し、このための出力、例えば、1つ以上のディスプレイ、タッチスクリーン、音声および/またはジェスチャーインターフェース、ボタンおよび触覚コントロールなどを生成することを可能にするユーザインターフェース118を含み得る。そうでなければ、ユーザ入力は、他のコンピュータまたは電子装置、例えば、モバイル装置のアプリまたはウェブインターフェースを介して受信され得る。
【0028】
また、車両100は、例えば、クラウドサービスなどの中央サービスを含む他のコンピュータまたは電子装置との情報の通信を可能にするために、1つ以上のネットワーク176と通信するのに適した1つ以上のネットワークインターフェース(例えば、ネットワークインターフェース162)を含み得、これにより、自律制御に使用するために学習された機械学習モデルおよび他のデータを含む情報を受信し得る。1つ以上のネットワーク176は、例えば、通信ネットワークであり得、インターネットなどのワイドエリアネットワーク(「WAN」)、Wi-Fi LAN、メッシュネットワークなどの1つ以上のローカルエリアネットワーク(「LAN」)、および1つ以上のバスサブシステムを含み得る。1つ以上のネットワーク176は、選択的に1つ以上の標準通信技術、プロトコル、および/またはプロセス間通信技術を活用し得る。一実施形態において、1つ以上のセンサー130によって収集されたデータは、追加の処理のためにネットワーク176を介してコンピューティングシステム172にアップロードされることができる。
【0029】
図示の実施形態において、車両100は、ネットワーク176および信号線178を介してコンピューティングシステム172と通信することができる。一実施形態において、コンピューティングシステム172は、クラウドベースのコンピューティング装置である。コンピューティングシステム172上で動作可能な機械学習エンジン166は、車両100の自律制御に使用するためにシミュレーションシナリオおよびシミュレートされたセンサーデータに基づいて機械学習モデルを生成する。機械学習モデルは、コンピューティングシステム172から車両100に送信され、当該機能を行うのに適した制御サブシステム152~158で使用できる。
【0030】
図1aに示される各プロセッサだけでなく、本明細書に開示されている様々な追加のコントローラおよびサブシステムは、一般にオペレーティングシステムの制御下で動作し、以下で詳細に説明するように、様々なコンピュータソフトウェアアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、データ構造などを実行するか、またはこれに依存する。また、様々なアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュールなどは、ネットワーク176を介して車両100に接続された他のコンピュータ(例えば、コンピューティングシステム172)の1つ以上のプロセッサにおいて、例えば、分散型、クラウドベース、またはクライアント-サーバコンピューティング環境で行い得、この場合、コンピュータプログラムの機能を実施するために必要な処理がネットワークを介して複数のコンピュータおよび/またはサービスに割り当てられる。
【0031】
一般に、本明細書に記載されている様々な実施形態を実施するために実行されるルーチンは、オペレーティングシステムの一部または特定のアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュール、または命令シーケンス、またはそのサブセットとして実施されるかどうかにかかわらず、本明細書では、「プログラムコード」と呼ばれる。プログラムコードは、一般に、様々なメモリおよび格納装置に様々な時間にわたって常駐する1つ以上の命令で構成され、1つ以上のプロセッサによって読み取りおよび実行されるとき、本開示の様々な態様を実施するステップまたは要素を実行するために必要なステップを行う。また、実施形態は、完全に機能するコンピュータおよびシステムの文脈で説明されているが、本明細書に記載されている様々な実施形態は、様々な形態のプログラム製品として配布されることができ、そのような実施形態は、実際に配布を実行するために使用される特定のタイプのコンピュータ読み取り可能な媒体に関係なく実施できることが理解されるべきである。
【0032】
コンピュータ読み取り可能な媒体の例としては、揮発性および不揮発性メモリ装置、フロッピーおよび他のリムーバブルディスク、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気テープおよび光ディスク(例えば、CD-ROM、DVDなど)などのタイプの非一時的な媒体を含む。
【0033】
また、以下に説明される様々なプログラムコードは、特定の実施形態で実施されるアプリケーションに基づいて識別できる。しかし、後続の特定のプログラム命名法は、単に便宜のために使用されるものであり、したがって、本開示は、そのような命名法によって識別および/または暗示される任意の特定のアプリケーションでのみ使用するように制限されてはならないことを理解するべきである。さらに、コンピュータプログラムがルーチン、プロシージャ、方法、モジュール、オブジェクトなどで構成され得る方法は一般に無限であり、プログラム機能が通常のコンピュータ(例えば、オペレーティングシステム、ライブラリ、API、アプリケーション、アプレットなど)内に常駐する様々なソフトウェア層に割り当てられる様々な方式を考慮するとき、本開示は、本明細書に記載のプログラム機能の特定の構造および割り当てに限定されないことを理解するべきである。
【0034】
図1aに示される例示的な環境は、本明細書に開示された実施形態を制限することを意図していない。実際、本明細書に開示された実施形態の範囲から逸脱することなく、他の代替ハードウェアおよび/またはソフトウェア環境を使用できる。
【0035】
図1bは、一実施形態によるコヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置105の例示的な高レベルの系統図である。シリコンフォトニクス装置105は、フォトダイオード(PD)125、格子カプラ145、エッジカプラ165、および2×2ミキサ180の構成を含む。一実施形態において、PD125は、ゲルマニウム(Ge)PDであり得る。他の実施形態において、PD125は、シリコンPD、インジウムガリウムヒ素PD、テルル化カドミウム水銀PD、鉛(II)硫化物PD、二硫化モリブデンPD、グラフェンPD、および/またはこれらの組み合わせであり得る。格子カプラ145は、シリコンフォトニクス装置105に、およびシリコンフォトニクス装置105から光を結合するために使用できる。格子カプラ145の動作は、製造工程中のSOI(Silicon-on-Insulator)ウェハ上でのエッチングまたは蒸着によって引き起こされる屈折率変化に関連している。一実施形態において、格子カプラ145は、一次元格子カプラであり得る。例えば、格子カプラ145の屈折率が一方向にのみ変化する場合、これは一次元格子カプラであり、光は、屈折率変化の方向に結合する。他の実施形態において、格子カプラ145は、二次元格子カプラであり得る。格子カプラ145a、145b、145cは、自由空間カプラであり得る。格子カプラ145a、145bは、受信機アンテナに関連付けられ、格子カプラ145cは、送信機アンテナに関連付けられる。それぞれの2×2ミキサ180は、局部発振器(LO、Local Oscillator)信号(例えば、LOSおよびLOP)のうちの1つおよび受信機アンテナに関連する格子カプラ(例えば、145aおよび145b)のうちの1つを介して受信された信号を入力として受信する周波数ミキサである。その後、ミキサ180からの出力信号は、検出およびセンシングのためにフォトダイオード125に向けられる。エッジカプラ165は、増幅器170に結合される。増幅器170は、シリコンフォトニクス装置105のための光源である。例えば、増幅器170は、エッジカプラ165を介してシリコンフォトニクス装置105に結合される光を生成する。送信機アンテナに関連する格子カプラ145cに接続された送信(TX)ポートは、エッジカプラ165に直接または間接的に接続される。
【0036】
図2は、一実施形態によるコヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置200の構造を示す概略的な断面図を示す。シリコンフォトニクス装置200の構造は、SOIウェハを用いて作製される。図3に示すように、SOIウェハ300は、SOI層202、埋め込み酸化物(Buried Oxide、BOX)層206、およびSOIウェハに対する支持を提供するバルクシリコン基板部材204を含み得る。BOX層206は、SOI層202とバルクシリコン基板部材204との間に存在する。SOI層202は、バルクシリコン基板部材204に結合された1つ以上のシリコン構造402、404、406、408でエッチングおよびパターン化できる。例えば、SOI層202は、結晶質シリコン(c-Si)層であり得る。BOX層206上に配置されたc-Si層の部分は、選択的および部分的にエッチングされて1つ以上のシリコン構造402、404、406および408をパターン化できる。シリコン構造402、404、406および408は、アイランド(Island)構造、リブ(Rib)構造、グラート(Grat)構造、およびスラブ(Slab)構造のうちの1つ以上を含み得る。シリコン構造は、光入出力に使用される光導波管を形成する1つ以上の不均一の格子構造を含み得る。光導波管に加えて、レーザ、光変調器、光検出器、および光スイッチなどの他の光装置構造もSOI層202に製造することができる。SOI層202で部分的にエッチングされたシリコン構造のエッジの深さは、約50nm~約300nmの間の範囲であり得る。BOX層206の厚さは、例えば、約3000nmであるが、約1500nm~約3500nmの間の範囲を有し得る。以下に詳細に説明するように、誘電体材料または絶縁体化合物層がシリコン構造上に配置およびエッチングされて1つ以上の絶縁または誘電体構造をパターン化できる。例えば、第1絶縁構造702は、離隔されたシリコン構造404と結合するために絶縁体化合物層にパターン化およびエッチングされる。この実施形態において、第1絶縁構造702は、第2絶縁構造704と同一平面上に存在する。絶縁構造702および704の厚さまたは高さは、図2においては、約400nmであるが、約300nm~約600nmの間の範囲を有し得る。一部の実施形態において、絶縁体複合層は、接触するクラッディング物質よりも光屈折率が大きい誘電物質であり得る。例えば、絶縁体化合物層は、窒化シリコン(Si)層であり得る。コヒーレントLIDARシステム用のシリコンフォトニクスチップにSi層を使用することの利点の1つは、より高い光出力を処理できる能力である。他の例において、絶縁体化合物層は、非晶質シリコン(a-Si)層、結晶質シリコン(c-Si)層などであり得る。第1絶縁構造702の底面とシリコン構造の上部との間の距離は、例えば、約240nmであるが、約100nm~約500nmの範囲を有し得る。ゲルマニウム(Ge)フォトダイオード125は、ドーピングを介してシリコン構造上に製造することができる。
【0037】
シリコンフォトニクス装置200の構造は、相互接続を形成するための複数の金属ルーティング層である金属1(MT1)層1002、金属2(MT2)層1402、および金属3(MT3)層1404を含み得る。MT1層1002の形成後、金属0(MT0)層1108は、第1絶縁構造702に結合され得る。一実施形態において、拡散障壁および接着層1106は、金属層1104に結合され得る。拡散障壁および接着層1106は、金属層1104の上部または頂部の上に配置され得る。金属層1104および拡散障壁および接着層1106からなるMT0層1108は、第1層絶縁構造702と結合される反射ミラー構造を形成し得る。他の実施形態において、反射率などの光学特性に優れた拡散障壁および接着層1106は、金属層1104の上部および下部に配置され得る。拡散障壁および接着層1106は、窒化タンタル、酸化インジウム、銅ケイ化物、窒化タングステン、窒化チタン、および/またはこれらの組み合わせであり得る。シリコンフォトニクス装置200の上に形成された互いに異なる構造の間の空間を埋める酸化物層またはクラッディング1408が存在する。第1絶縁構造702の上端とMT0層1108の下端を分離する距離は、例えば、約900nmであるが、約500nm~約1600nmの間の範囲を有し得る。MT0層1108の下端とシリコン構造404の上端を分離する距離は、約1140nmであるが、約800nm~約1200nmの間の範囲を有し得る。一実施形態において、金属層1104の厚さは、拡散障壁および接着層1106の厚さの2倍であり得る。例えば、金属層1104の厚さは、約100nmであり得、拡散障壁および接着層1106の厚さは、約50nmであり得る。また、第2絶縁構造704には、第1絶縁構造702および第2絶縁構造704と同じ絶縁物質からなる薄い絶縁構造1302が結合され得る。例えば、薄い絶縁構造1302は、第2絶縁構造704の上に配置され得る。一実施形態において、薄い絶縁構造1302の厚さは、第2絶縁構造704の厚さの約3.6倍の割合以下であり得る。例えば、第2絶縁構造704の厚さが約400nmである場合、薄い絶縁構造1302の厚さは、約110nmである。薄い絶縁構造1302の下端と第2絶縁構造704の上端との間の距離は、約450nmであり得る。
【0038】
図2において、MT0層1108、第1絶縁構造702、および部分的にエッチングされたシリコン構造402、404のうちの1つ以上は、自由空間に結合するための格子カプラ145を形成する。例えば、MT0層1108およびシリコン構造402は、コヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置200の受信機アンテナに関連する格子カプラ145を形成する。他の例において、MT0層1108、第1絶縁構造702、およびシリコン構造404は、コヒーレントLIDARシステムのためのシリコンフォトニクス装置200の送信機アンテナに関連する格子カプラ145を形成する。MT0層1108は、シリコンフォトニクスチップ-自由空間インターフェースとして機能する。BOX層206は、低光屈折率クラッディング材料として機能する。酸化物層クラッディング1408は、また、低光学屈折率クラッディング材料として機能する。クラッディングは、シリコン構造402、404および絶縁構造702、704のようなより高い光屈折率のコア材料と接触するより低い光屈折率材料の1つ以上の層であり得る。第2絶縁構造704の上部に配置され、第2絶縁構造704と重なる薄い絶縁構造1302は、増幅器170などの他の半導体装置またはシリコンフォトニクス装置に結合するためのエッジカプラ165を形成する。薄い絶縁構造1302と第2絶縁構造704との結合は、増幅器-シリコンフォトニクスチップインターフェースとして機能する。図2は、エッジからエッジまで重なっている薄い絶縁構造1302および第2絶縁構造704を示すが、これらの重なりには、オフセットがあり得ることが理解されるべきである。一実施形態において、エッジカプラ165は、単一の絶縁構造で製造することができる。二重絶縁構造704および1302の構成で作られたエッジカプラ165は、単一の絶縁構造の構成よりも高い結合効率(CE)を提供し、コヒーレントLIDARシステムの光学モードとよりよく一致する。他の実施形態において、エッジカプラ165の構造は、Siなどの絶縁体化合物を使用する必要なく、結晶質シリコン(c-Si)層自体にパターン化できる。
【0039】
一実施形態において、格子カプラ145の構造は、第1絶縁構造702の上の他の上部絶縁構造(図2には、図示せず)を使用して構成され得る。この上部絶縁構造は、第1絶縁構造702の絶縁材料と同じ絶縁材料からなり得る。上部絶縁構造またはその下の第1絶縁構造702は、エッチングおよびパターン化して絶縁構造の複数の隔離されたバーを形成し、MT0層1108と結合されて格子カプラ145を形成し得る。例えば、絶縁構造の複数の隔離されたバーが上部絶縁構造にパターン化されている場合、これらの隔離されたバーは、MT0層1108とともに受信機アンテナに関連する格子カプラを形成し得る。他の例において、絶縁構造の複数の隔離されたバーが第1絶縁構造702にパターン化されている場合、これらの隔離されたバーは、上部絶縁構造およびMT0層1108とともに送信機アンテナに関連する格子カプラを形成し得る。他の実施形態において、シリコン構造402、404および上部絶縁構造または第1絶縁構造702上にパターン化された絶縁構造の隔離されたバーは、MT0層1108と混合およびマッチングされて格子カプラ145を形成し得る。
【0040】
図2のシリコンフォトニクス装置200にエッチングおよびパターン化された格子カプラ145構造の利点は、自動車グレードのLIDARシステムに使用するためのリンクバジェット要件を満たすのに役立つことである。例えば、格子カプラ145の構造は、コヒーレントLIDARのためのシリコンフォトニクス装置200と送信および受信経路の両方の自由空間との間のインターフェースでの挿入損失を低減させ、全体のリンクバジェットで約2dB~6dBの改善をもたらすことができる。送信機または出力タイプの格子カプラの光損失は、リンクバジェットで2回計算されるが、これは、光がこのようなカプラを出てターゲットから反射し、格子カプラに戻るためである。格子カプラ145の構造は、リソグラフィ制約がなければ、約0.25dBの結合損失を達成することを容易にすることができる。リソグラフィ制約により、格子カプラ145の構造は、約0.5dB~約1.0dBの結合損失の達成を促進することができる。
【0041】
図3図17は、一実施形態によるシリコンフォトニクス装置を製造する方法を例示する概略的な断面図を示す。
【0042】
図3に示すように、SOIウェハ300が提供される。一実施形態において、SOIウェハ300は、第1層またはベース層であるバルクシリコン基板部材204と、第2層または中間層として約3000nmの厚さを有する二酸化シリコン(SiO)などの電気絶縁材料の埋め込み酸化物(BOX)層206と、第3層または最上層として約220nmの厚さを有する活性結晶質シリコン(c-Si)SOI層202と、を含む3層ウェハであり得る。
【0043】
図4に示すように、図3に示すc-Si層またはSOI層202は、BOX層206上に配置されたグラート402、リブ404、アイランド406、およびスラブ408のような不均一なシリコン構造を形成するために精密にパターン化され、エッチングされることができる。図3に示すSOI層202の残りの部分は、BOX層206までエッチングすることができる。グラート402シリコン構造は、約70nmの深さまでエッチングされ、スラブ408シリコン構造は、上から約130nmの深さまでエッチングされる。リブ404構造は、シリコン構造の孤立した全厚さ(例えば、220nm)バー(Bar)にパターン化され、エッチングされる。
【0044】
図5に示すように、酸化物層またはクラッディング502は、シリコン構造402、404、406、408の上にシリコン構造402、404、406、408の上端から約240nmの高さまで蒸着される。酸化物蒸着後、SOIウェハ300の上部は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)または平坦化工程を経る。このような酸化物層蒸着および平坦化工程は、シリコン構造402、404、406、408とSOIウェハ300の上部に次に蒸着される絶縁体化合物または材料との間にスペーサを形成するために行われる。
【0045】
図6に示すように、窒化シリコン(Si)などの絶縁体化合物または材料の第1層602および第2層604は、酸化物層502の上部および基板部材204の下部に蒸着される。このような蒸着は、化学気相成長法を使用して達成することができる。SOIウェハ300の上部に蒸着された第1層602の厚さは、約400nmである。一実施形態において、使用される化学気相成長方法は、低圧化学気相成長(LPCVD)方法であり得る。LPCVD方法において、Siは、SOIウェハ300の両面(上部および下部)に蒸着される。LPCVD法は、SOIウェハ300に強い引張応力を加えて変形させることができる。Siのこのような両面蒸着は、引張応力の影響を排除し、SOIウェハ300構造の反りを防止するために行われる。一実施形態において、プラズマ強化化学気相成長(PECVD)は、SOIウェハ300の上部に絶縁体化合物層を蒸着するための方法として使用できる。PECVD方法において、絶縁体化合物の両面蒸着は不要であり得る。一実施形態において、非晶質シリコン(a-Si)を絶縁体化合物として使用できる。
【0046】
図7に示すように、図6の酸化物層502上部に蒸着された層602は、パターン化およびエッチングされて酸化物層502の上に配置された2つの同一平面絶縁構造または誘電体要素702および704を形成する。絶縁構造702は、シリコン構造404と重なって結合され得る。酸化物層502上部の蒸着された層602の残りの部分は、酸化物層502までエッチングされる。2つの同一平面絶縁構造702および704の厚さは、例えば、約400nmである。SOIウェハ300上部の蒸着された層602がパターン化され、エッチングされた後、SOIウェハ300は、すべてのフォトレジストを除去するために洗浄されることができる。
【0047】
図8に示すように、図7の基板部材204の下部に蒸着された層604は、2つの同一平面絶縁構造702、704を形成した後に除去される。図6のSOIウェハ300上部の蒸着層604がパターン化およびエッチングされることにより、SOIウェハ300上部に加えられた引張応力が解除される。SOIウェハ300の下部に加えられる引張応力のバランスをとるために、図7のSOIウェハ300の下部に蒸着された層604が除去される。SOIウエハ300の下部に蒸着された層604が除去された後、SOIウエハ300の上端は、深く洗浄されてSOIウエハ300の上部に移送された可能性のある汚染物質を除去することができる。
【0048】
図9に示すように、BOX層206上に配置されたエッチングされたシリコン構造406がドープされてフォトダイオード125を形成する。例えば、ゲルマニウムは、図9のフォトダイオード125を形成するための材料として使用できる。シリコン、インジウムガリウムヒ素、鉛(II)硫化物、テルル化カドミウム水銀、またはこれらの組み合わせなどの他の材料も、それぞれのフォトダイオードを形成するために使用できることを理解するべきである。フォトダイオード125の形成に続いて、別の酸化物層902がSOIウェハ300の上部に蒸着される。
【0049】
図10に示すように、MT1層1002およびフォトダイオード125の端子上に3つの導電性ビアが形成される。MT1層1002および導電性ビアは、最初に第1拡散障壁および接着層1004aを蒸着してパターン化することによって形成される。その後、中央に金属1001が蒸着およびパターン化される。最後に、第2拡散障壁および接着層1004bが蒸着およびパターン化される。すなわち、金属1001は、2つの薄い拡散障壁と接着層1004aおよび1004bとの間に挟まれている。一実施形態において、金属1001は、アルミニウム、銅、金、銀、またはこれらの組み合わせのうちの1つ以上を使用して蒸着できる。一実施形態において、拡散障壁および接着層1004a、1004bは、窒化タンタル(TaN)を使用して蒸着できる。拡散障壁および接着層1004a、1004bの厚さは、約50nmである。MT1層1002を形成するために蒸着された金属1001の厚さは、約750nmである。MT1層1002とシリコン構造402の上部との間の距離は、約740nmである。
【0050】
図11に示すように、MT0層1108が形成される。この新しいMT0層1108の目的は、シリコンフォトニクス装置105に反射率の高いミラー構造を形成することである。図10に示すMT1層1102の形成後に、約300nm厚さの酸化物層1102が図11に示すように、SOIウェハ300の上部に蒸着される。金属層1104は、第1絶縁構造702の上に蒸着され、パターン化される。この金属層1104蒸着の厚さは、約100nmである。拡散障壁および接着層1106は、接着力を向上させるために金属層1104の上部に蒸着およびパターン化できる。この上部拡散障壁および接着層1106の厚さは、約50nmである。したがって、蒸着された金属層1104と拡散障壁および接着層1106は、図11に示すように、MT0層1108を形成する。MT0層1108の形成は、ベース拡散障壁および接着層が金属層1104を蒸着する前に蒸着されないという点で異なる。すなわち、金属層1104は、その下に拡散障壁および接着層を有さずに先に蒸着される。例えば、窒化タンタル(TaN)材料の拡散障壁および接着層は、反射率が低い。TaN拡散障壁および接着層が金属層1104の前に蒸着される場合、これは反射率の高いミラー構造を形成するためのMT0層1108の反射率に悪影響を及ぼす可能性がある。他の実施形態において、反射率の面で優れた光学特性を有する材料が金属層1106の下の拡散障壁および接着層として使用できる。MT1層1002とMT0層1108の後続形成の間には、SOIウェハ300の平坦化のためのCMP(Chemical Mechanical Polishing)工程の意図的な省略がある。CMP工程は、2つの異なる層間の酸化物間隔に不確実性をもたらす可能性がある。このようなCMP工程の意図的な省略は、酸化物間隔の変化を最小にするために行われる。一実施形態において、SOIウェハ300は、MT1層1002とMT0層1108の後続形成の間でCMP工程を経てもよい。開口部は、MT0層1108がパターン化できる所望の深さまで酸化物間隔内でエッチングされることができる。MT0層1108、絶縁構造702、およびシリコン構造402、404の構成は、本明細書に記載のように、1つ以上の格子カプラ145を形成する。MT0層1108の下部とシリコン構造404の上部との間の距離は、約1140nmである。MT0層1108の下部と絶縁構造702の上部との間の距離は、約900nmである。第1絶縁構造702の下部とシリコン構造404の上部との間の距離は、約240nmである。
【0051】
図12に示すように、MT1層1002、MT0層1108、酸化物層1102、および上部の他の構造上に別の酸化物層1202が蒸着される。酸化物蒸着後に、SOIウェハ300の上部は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)または平坦化工程を経る。
【0052】
図13に示すように、第2絶縁構造704の上の酸化物層1202に開口部をエッチングすることができる。Siなどの絶縁体化合物の薄い層が開口部に蒸着され、パターン化されて第2絶縁構造704の上部に薄い絶縁構造1302を形成する。薄い絶縁構造1302の厚さは、約110nmである。薄い絶縁構造1302の下部と第2絶縁構造704の上部との間の距離は、約450nmである。第2絶縁構造704の上部の薄い絶縁構造1302の構成は、本明細書に記載のようにエッジカプラ165を形成する。
【0053】
図14に示すように、ライン製造ステップのバックエンドが行われる。これは、MT2層1402およびMT3層1404の形成、異なる金属層を接続する導電性ビアの追加、より多くの酸化物層1408の蒸着、ヒーターHTR1406の蒸着、およびCMP処理ステップの実行を含む。MT3層1404に蒸着された金属の厚さは、MT2層1402に蒸着されたものの約2倍である。例えば、MT2層1402に蒸着された金属の厚さは、約1000nmであり、MT3層1404に蒸着された金属の厚さは、約2000nmである。拡散障壁および接着層の薄いコーティングは、MT2層1402およびMT3層1404の蒸着された金属の上部および下部に蒸着される。抵抗性金属合金の薄いフィルムは、SOI層からエッチングされたシリコン構造上にヒーターHTR1406として蒸着される。抵抗性金属合金の例としては、窒化チタン(TiN)がある。HTR1406は、シリコンフォトニクス装置チップを加熱するために使用できる。ヒーターHTR1406は、また、位相シフタおよび光スイッチの動作に有用な導波管構造の屈折率を変更するために使用できる。MT2層1402の上部とMT3層1404の下部との間の距離は、約800nmである。シリコンフォトニクス装置チップにコンタクトを形成するために、MT3層1404の真上の酸化物層1408に開口部を約200nmの深さにエッチングすることができる。
【0054】
図15に示すように、BOX層206内に浅いトレンチDT_OX1502および基板部材204内に深いトレンチDT_SI1504が形成される。浅いトレンチDT_OX1502の形成は、酸化物層1408およびBOX層206を基板部材204まで除去する。DT_SI1504の深さは、約150μmである。
【0055】
図16に示すように、吊り下げ構造を解除するためにアンダーカットエッチングが行われる。
【0056】
図17に示すように、SOIウェハ300の背面が光学的品質で研磨される。基板部材またはハンドル204の厚さは、SOIウェハ300の背面研磨後約600μmである。
【0057】
前述の概略図は、集積回路チップ設計の一部である。チップ設計は、グラフィカルコンピュータプログラミング言語で生成され、コンピュータ読み取り可能な格納媒体(例えば、ディスク、テープ、物理的ハードドライブ、またはストレージアクセスネットワークなどの仮想ハードドライブ)に格納される。設計者がチップを製造するか、またはチップ製造に使用されるフォトリソグラフィマスクを製作しない場合、設計者は、物理的手段(例えば、デザインを格納するコンピュータ読み取り可能な格納媒体のコピーの提供など)または電子的(例えば、インターネットを通じて)そのような機関(Entity)に直接的または間接的に結果デザインを送信する。格納されたデザインは、一般に、ウェハに形成される当該チップデザインのいくつかのコピーを含むフォトリソグラフィマスク製作のための適切な形式(例えば、GDSII)に変換される。フォトリソグラフィマスクは、エッチングまたは処理されるウェハ(および/またはその上の層)の領域を定義するために使用される。
【0058】
本開示の前述の詳細な説明は、例示および説明の目的で提示されている。これは、開示された正確な形態で本開示を徹底的にまたは制限することを意図していない。前記の教示に照らして、多くの修正および変形が可能である。記載された実施形態は、本開示の原理およびその実際の適用を最もよく説明するために選択され、これにより、当業者が意図する特定の用途に適した様々な実施および様々な修正で本開示を最もよく活用し得る。本開示の範囲は、本明細書に添付された特許請求の範囲によって定義されることが意図される。本開示の一実施形態およびその利点を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によって定義された本開示の思想および範囲から逸脱することなく、様々な変更、代替、および変形が本明細書で行われ得ることを理解するべきである。例えば、本明細書に記載の多くの特徴、機能、プロセスおよび材料は、本開示の範囲内で変更できることが当業者によって容易に理解されるであろう。さらに、本開示の範囲は、本明細書に記載のプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法およびステップの特定の実施に限定されることを意図していない。当業者は、本開示の説明から実質的に同じ機能を行う現在存在するか、または将来開発されるプロセス、機械、製作、物質の組成、手段、方法またはステップを容易に理解するであろう。また、本明細書に記載の対応する実施と実質的に同じ結果を達成することは、本開示によって活用され得る。したがって、添付の特許請求の範囲は、その範囲内にこのようなプロセス、機械、製作、物質の組成、手段、方法またはステップを含むことを意図している。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコンフォトニクス素子を製造するための方法であって、前記方法は、
基板部材を取得し、前記基板部材上にシリコン構造を形成するステップと、
前記シリコン構造上に第1誘電体構造および第2誘電体構造を形成するステップと、
前記第1誘電体構造および前記第2誘電体構造上に第1酸化物層を配置するステップと、
前記第1酸化物層および第2誘電体構造上に第3誘電体構造を形成するステップと、
前記第1酸化物層および前記第1誘電体構造上に金属層を形成するステップと、
前記金属層の上に拡散障壁および接着層を形成するステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記シリコン構造は、格子である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1誘電体構造を形成するステップは、
前記シリコン構造上に絶縁体化合物の第1層を配置するステップと、
前記第1誘電体構造を形成するために前記絶縁体化合物の第1層をエッチングするステップと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記絶縁体化合物の第1層をエッチングする前に、前記基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を配置するステップと、
前記第1誘電体構造を形成した後に、前記基板部材の下部面に配置された前記絶縁体化合物の第2層を除去するステップと、をさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記絶縁体化合物の第1層および第2層は、窒化シリコン(Si )およびシリコンからなる群から選択されたものである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコン構造上に前記絶縁体化合物の第1層を配置するステップおよび前記基板部材の下部面に前記絶縁体化合物の第2層を配置するステップは、低圧化学気相成長(LPCVD)工程およびプラズマ強化化学気相成長(PECVD)工程のうちのいずれかによって行われる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記金属層上の拡散障壁および接着層は、反射ミラー構造を形成する請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1誘電体構造および前記第2誘電体構造は、互いに同一平面上に存在する請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第3誘電体構造を形成するステップは、
前記金属層の上に第2酸化物層を配置するステップと、
前記第2誘電体構造層上の前記第2酸化物層に開口部をエッチングするステップと、
前記開口部内の前記第2誘電体構造上に前記第3誘電体構造を形成するステップと、を含む請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記金属層は、アルミニウム、金、銀および銅からなる群から選択されたものである請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記拡散障壁および接着層は、窒化タンタル、酸化インジウム、ケイ化銅、窒化タングステンおよび窒化チタンからなる群から選択されたものである請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、
フォトダイオードを形成するために前記第2シリコン構造の部分をドープするステップと、
前記第2シリコン構造のドープされた部分の上に前記フォトダイオードのための金属接点を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板部材上に第2シリコン構造を形成するステップと、
前記第2シリコン構造上に第2拡散障壁および接着層を形成するステップと、
前記第2拡散障壁および接着層および前記第2シリコン構造上に第2金属層を形成するステップと、
前記第2金属層の上に第3拡散障壁および接着層を形成するステップと、をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記シリコン構造上に抵抗性金属合金ヒーターの膜を配置するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項15】
シリコンフォトニクス装置であって、
基板部材を取得し、前記基板部材上にシリコン構造および第2誘電体構造を形成するステップと、
前記シリコン構造上に第1誘電体構造を形成するステップと、
前記第1誘電体構造および前記第2誘電体構造上に第1酸化物層を配置するステップと、
前記第1酸化物層および前記第2誘電体構造上に第3誘電体構造を形成するステップと、
前記第1酸化物層および前記第1誘電体構造上に金属層を形成するステップと、
前記金属層上に拡散障壁および接着層を形成するステップと、を含む工程によって製造されたシリコンフォトニクス装置。
【請求項16】
前記第1誘電体構造を形成するステップは、
前記シリコン構造上に絶縁体化合物の第1層を配置するステップと、
前記第1誘電体構造を形成するために前記絶縁体化合物の第1層をエッチングするステップと、を含む請求項15に記載のシリコンフォトニクス装置。
【請求項17】
前記工程は、
前記絶縁体化合物の第1層をエッチングする前に、前記基板部材の下部面に絶縁体化合物の第2層を配置するステップと、
前記第1誘電体構造を形成した後に、前記基板部材の下部面に配置された前記絶縁体化合物の第2層を除去するステップと、をさらに含む請求項16に記載のシリコンフォトニクス装置。
【請求項18】
前記金属層上の拡散障壁および接着層は、反射ミラー構造を形成する請求項17に記載のシリコンフォトニクス装置。
【請求項19】
前記第3誘電体構造を形成するステップは、
前記金属層上に第2酸化物層を配置するステップと、
前記第2誘電体構造上の前記第2酸化物層に開口部をエッチングするステップと、
前記開口部内の前記第2誘電体構造上に前記第3誘電体構造を形成するステップと、を含む請求項18に記載のシリコンフォトニクス装置。
【請求項20】
前記工程は、前記シリコン構造上に抵抗性金属合金ヒーターの膜を配置するステップをさらに含む請求項15に記載のシリコンフォトニクス装置。
【国際調査報告】