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特表2024-535294摺動材料、軸受、並びにそれらの製造方法及び使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】摺動材料、軸受、並びにそれらの製造方法及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   F16C 33/20 20060101AFI20240920BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F16C33/20 A
F16C17/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517377
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 US2022078053
(87)【国際公開番号】W WO2023064861
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】63/262,539
(32)【優先日】2021-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドン,ジン
(72)【発明者】
【氏名】メキレフ,ナフィフ
(72)【発明者】
【氏名】ディマルティノ,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】マーフィー,クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3J011
【Fターム(参考)】
3J011AA06
3J011BA08
3J011DA01
3J011KA03
3J011MA02
3J011QA05
3J011SC01
3J011SC03
3J011SC04
3J011SC05
3J011SC12
3J011SC14
3J011SC20
(57)【要約】
【解決手段】
基材と、基材を覆うテクスチャ加工された摺動層と、を備える摺動材料であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、1)摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、2)摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、3)摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【選択図】図6A

【特許請求の範囲】
【請求項1】
摺動材料であって、
基材と、
前記基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層と、を備え、前記摺動層が、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、前記摺動層が、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、前記テクスチャ加工された摺動層が、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【請求項2】
摺動材料であって、
基材と、
前記基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層と、を備え、前記摺動層が、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、前記摺動層が、10%未満の頂点材料部分を有し、前記テクスチャ加工された摺動層が、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【請求項3】
摺動材料であって、
基材と、
前記基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層と、を備え、前記摺動層が、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、前記摺動層が、75%未満の底材料部分を有し、前記テクスチャ加工された摺動層が、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【請求項4】
前記構成要素の表面が0.4ミクロン未満の表面粗さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項5】
前記基材が、メッシュ材料、グリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートから選択される多孔質金属を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項6】
前記基材が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄又はこれらの合金を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項7】
前記構成要素の表面が、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄又はこれらの合金を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項8】
前記摺動層がフルオロプロイマーを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項9】
前記摺動層が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、又はこれらの混合物を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項10】
前記摺動層が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、又はそれらの混合物を含む有機充填剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項11】
前記摺動層が少なくとも約0.05mmの厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項12】
前記摺動層が約5mm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項13】
前記基材が少なくとも約0.05mmの厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項14】
前記基材が約5mm以下の厚さを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【請求項15】
前記基材が前記摺動層に埋め込まれる、請求項1~3のいずれか一項に記載の摺動材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、摺動材料に関し、特に、軸受に使用される摺動材料、並びにその製造方法及び使用方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一般に、摺動材料を含む摺動部材は、相対運動を所望の運動に抑制し、可動部品間の摩擦を低減する。1つの種類の摺動部材は、アセンブリ内の第1の構成要素の外面と第2の構成要素のボアの内面との間の間隙内に位置してもよい。例示的なアセンブリは、ドア、フード、テールゲート、及びエンジン室ヒンジ、シート(例えば、シートリクライナ)、ステアリングコラム、フライホイール、ドライブシャフトアセンブリを含んでもよく、又は、特に自動車用途で使用される他のアセンブリを含んでもよい。時には、そのようなアセンブリ内の第1の構成要素(シャフト等)及び第2の構成要素(筐体等)等の構成要素にわたって、或る摺動特性を有する必要がある。したがって、アセンブリのより長い寿命を維持しながら、改善された摺動特性を提供する、改善された摺動部材及び摺動材料に対する継続的な必要性がある。
【0003】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0004】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0005】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0006】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0007】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0008】
本発明の実施形態は、基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0009】
本発明の実施形態は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリを含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0010】
本発明の実施形態は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリを含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0011】
本発明の実施形態は、第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリを含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0012】
本発明の実施形態は、基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0013】
本発明の実施形態は、基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0014】
本発明の実施形態は、基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法を含むことができ、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
【0016】
図1図1は、一実施形態による摺動材料を生産する方法を含む図である。
図2A図2Aは、一実施形態による摺動材料の断面図である。
図2B図2Bは、一実施形態による摺動材料の断面図である。
図2C図2Cは、一実施形態による摺動材料の断面図である。
図3図3は、実施形態による摺動材料の表面の形状線を示す概略図である。
図4図4は、説明のための、図3に示した形状線の簡略版を示す概略図である。
図5図5は、図3に示す形状線に沿って凹部の底と凸部の頂点とを互いに結ぶ直線を示す概略図である。
図6A図6Aは、本発明に従って構成される軸受の1つの実施形態の斜視図である。
図6B図6Bは、本発明に従って構成される軸受の1つの実施形態の斜視図である。
図6C図6Cは、本発明に従って構成される軸受の1つの実施形態の斜視図である。
図6D図6Dは、本発明に従って構成されるアセンブリ内の軸受の1つの実施形態の斜視図である。
図6E図6Eは、本発明に従って構成されるアセンブリ内の軸受の1つの実施形態の斜視図である。
図7図7は、ジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図8図8は、ジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図9図9は、ジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図10図10は、ジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図11図11は、ジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図12図12は、ピンオンディスク試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を含む図である。
図13図13は、増加する圧力を受ける試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)の摩擦係数の比較を含む図である。
図14図14は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)の二乗平均平方根勾配の比較を含む図である。
図15図15は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)の頂点材料部分の比較を含む図である。
図16図16は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)の底材料部分の比較を含む図である。
図17図17は、経時的な試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)のトルクの比較を含む図である。
図18図18は、経時的な試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(T,P)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(P)のトルクの比較を含む図である。
【0017】
当業者は、図中の要素が簡略化及び明瞭化を目的として例解されており、必ずしも縮尺どおりに描画されていないことを理解されたい。例えば、図中の一部の要素の寸法は、本発明の実施形態の理解を向上させるのに役立つように、他の要素に対して誇張されている場合がある。異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実施態様及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。しかしながら、本出願に開示される教示に基づいて他の実施形態を使用することができる。
【0019】
「備える、含む(comprises)」、「備える、含む(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」という用語、又はそれらの任意の他の変形は、非排他的包含を網羅することを意図している。例えば、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は(or)」は、包含的なorを指し、排他的なorを指すのではない。例えば、条件A又はBは、以下のうちのいずれか1つによって満たされる、すなわち、Aが真であり(若しくは存在する)かつBが偽である(若しくは存在しない)、Aが偽であり(若しくは存在しない)かつBが真である(若しくは存在する)、並びにA及びBの両方が真である(若しくは存在する)。
【0020】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、少なくとも1つ、又は単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態の代わりに2つ以上の実施形態を使用することができる。同様に、2つ以上の実施形態が本明細書に記載されている場合、単一の実施形態を2つ以上の実施形態に置き換えることができる。
【0021】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に記載されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、摺動材料の技術分野における教科書及び他の情報源に見出すことができる。
【0022】
本明細書に記載される実施形態は、概して、テクスチャ加工された摺動層材料、並びにアセンブリ内の軸受上にテクスチャ加工された摺動材料を作成及び使用する方法に関する。
【0023】
説明のために、図1は、上述の実施形態による摺動材料を生産する方法を含む。形成プロセス10は、ベース材料を設ける第1のステップ12と、ベース材料を摺動コーティングでコーティングして摺動材料を形成する第2のステップ14と、摺動材料を軸受に形成する第3のステップ16とを含むことができる。
【0024】
第1のステップ12を参照すると、ベース材料は基材であってもよい。一実施形態では、基材は、少なくとも部分的に金属を含み得る。或る特定の実施形態によれば、金属は、鉄、青銅、マグネシウム、亜鉛、銅、チタン、スズ、アルミニウム、それらの合金を含んでもよく、又は別の種類の金属であってもよい。より具体的には、基材は、ステンレス鋼、炭素鋼、又はバネ鋼等の鋼を少なくとも部分的に含み得る。例えば、基材は、301ステンレス鋼を少なくとも部分的に含み得る。301ステンレス鋼は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。更に、鋼は、クロム、ニッケル、又はそれらの組み合わせを含むステンレス鋼を含み得る。特定のステンレス鋼は301ステンレス鋼である。ベース材料及び/又は基材は、任意の構造又は形状であってよい。実施形態では、ベース材料及び/又は基材は、プレート、シート、織布、メッシュ、若しくは金属発泡体、又はそれらの組合せであってもよい。例えば、いくつかの実施形態では、基材は、プレート及び織布を含んでもよい。他の実施形態では、基材は、金属プレートと、金属プレートを覆う異なる金属とを含むことができる。基材は、織られたメッシュ又はエキスパンドメタルグリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートを含んでもよい。あるいは、織布メッシュは、織布ポリマーメッシュであり得る。代替的な実施形態では、基材はメッシュ又はグリッドを含まなくてもよい。
【0025】
多数の実施形態では、基材はバネ鋼であってもよい。バネ鋼基材は、焼きなまし、1/4硬、1/2硬、3/4硬、又は完全硬であってもよい。バネ鋼基材は、600MPa以上、例えば700MPa以上、例えば750MPa以上、例えば800MPa以上、例えば900MPa以上、又は例えば1000MPa以上の引張強度を有してもよい。バネ鋼基材は、1500MPa以下、又は例えば1250MPa以下の引張強度を有し得る。
【0026】
他の実施形態では、基材はコーティングを有することができる。コーティングは、別の金属又は合金の層であってもよい。実施形態では、コーティングは、以下の金属:クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム、シリコン、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、及びビスマスのうちの少なくとも1つを含有する金属又は合金であってもよい。更に他の実施形態では、コーティングは、銅合金、銅-スズ合金、銅-亜鉛合金、青銅、リン青銅、ケイ素青銅、黄銅、又はそれらの任意の組合せであり得る。
【0027】
図2Aは、上述の実施形態による軸受用の摺動材料を形成するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る摺動材料又は複合材料1000の図を含む。説明のために、図2Aは、第2のステップ14の後の摺動材料1000の層ごとの構成を示す。多数の実施形態では、摺動材料1000は、基材1119(すなわち、第1のステップ12で設けられるベース材料)と、摺動層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される摺動コーティング)とを備えてもよい。図2Aで見られるように、摺動層1104は、基材1119の少なくとも一部分に結合され得る。特定の実施形態では、摺動層1104は、別の構成要素の別の表面との摺動界面を形成するように、基材1119の表面に結合され得る。摺動層1104は、別の構成要素の別の表面との摺動界面を形成するように、基材1119の径方向内面に結合され得る。摺動層1104は、別の構成要素の別の表面との摺動界面を形成するように、基材1119の径方向外面に結合され得る。別の実施形態において、基材1119は、基材1119の両側に摺動層1104を設けるように、摺動層1104内に埋め込まれてもよい。
【0028】
摺動層は、以下でより詳細に説明するように、テクスチャ加工されてもよい。多数の実施形態では、摺動層1104は、摺動材料を備え得る。摺動材料は、例えば、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリアミドイミド、超高分子量ポリエチレン、フルオロプロイマー、ポリアミド、ポリベンズイミダゾール、又はそれらの任意の組合せ等のポリマーを含み得る。一例では、摺動層1104は、ポリケトン、ポリアラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンスルホン、フルオロポリマー、ポリベンズイミダゾール、それらの誘導体、又はそれらの組合せを含む。特定の例では、摺動/耐摩耗層は、ポリケトン、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアミドイミド、それらの誘導体、又はそれらの組合せ等のポリマーを含む。更なる例では、摺動/耐摩耗層は、ポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone、PEEK)、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトン、それらの誘導体、又はそれらの組合せ等のポリケトンを含む。追加の例では、摺動/耐摩耗層は、超高分子量ポリエチレンを含んでもよい。例示的なフルオロポリマーは、フッ素化エチレンプロピレン(fluorinated ethylene propylene、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride、PVDF)、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkoxy、PFA)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデン(tetrafluoroethylene,hexafluoropropylene,and vinylidene fluoride、THV)のターポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン(polychlorotrifluoroethylene、PCTFE)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ethylene tetrafluoroethylene copolymer、ETFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレンコポリマー(ethylene chlorotrifluoroethylene copolymer、ECTFE)、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート(polybutylene terephthalate、PBT)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate、PET)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリスルホン、ポリアミド(polyamide、PA)、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド(polyphenylene sulfide、PPS)、ポリウレタン、ポリエステル、液晶ポリマー(liquid crystal polymer、LCP)、又はそれらの任意の組合せを含む。摺動層1104は、リチウム石鹸、黒鉛、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、窒化炭素、炭化タングステン、若しくはダイヤモンド状炭素、金属(アルミニウム、亜鉛、銅、マグネシウム、スズ、白金、チタン、タングステン、鉛、鉄、青銅、鋼、バネ鋼、ステンレス鋼等)、金属合金(列挙された金属を含む)、陽極酸化金属(列挙された金属を含む)、又はそれらの任意の組合せを含む固体ベースの材料を含んでもよい。特定の実施形態によれば、フルオロポリマーが使用されてもよい。一実施形態では、摺動層1104はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含まなくてもよい。
【0029】
多数の実施形態では、摺動層1104は、ガラス繊維、炭素繊維、シリコン、PEEK、芳香族ポリエステル、炭素粒子、青銅、フルオロポリマー、熱可塑性充填剤、酸化アルミニウム、ポリアミドイミド(PAI)、PPS、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、LCP、芳香族ポリエステル、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、黒鉛、グラフェン(grapheme)、膨張黒鉛、窒化ホウ素、タルク、フッ化カルシウム、又はそれらの任意の組合せを含む充填剤を更に含んでもよい。更に、充填剤は、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、フッ化カルシウム、窒化ホウ素、マイカ、ウォラストナイト、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫酸バリウム、ジルコニア、カーボンブラック、顔料、又はそれらの任意の組合せを含み得る。或る特定の実施形態では、摺動層1104は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、ペルフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、又はそれらの混合物を含む有機充填剤を含んでもよい。一実施形態では、摺動層1104は、充填剤としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のみを含んでもよい。充填剤は、ビーズ、繊維、粉末、メッシュ、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。充填剤は、摺動層の総重量に基づいて少なくとも1重量%、例えば、摺動層の総重量に基づいて少なくとも5重量%、又は更に10重量%であってもよい。
【0030】
基材1119は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さTsを有することができる。基材1119は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さTsを有することができる。更に、基材1119の厚さTsは、上述の最小値及び最大値のいずれかの間の任意の値であってもよいことが理解されよう。基材1119の厚さは均一であってもよく、すなわち、基材1119の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくなり得る。基材1119の厚さは均一であってもよく、すなわち、基材1119の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さとは異なり得る。
【0031】
摺動層1104は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さTSLを有することができる。摺動層1104は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さTSLを有することができる。更に、摺動層1104の厚さTSLは、上述の任意の最小値及び最大値の間の任意の値であってもよいことが理解されよう。摺動層1104の厚さは均一であってもよく、すなわち、摺動層1104の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくなり得る。摺動層1104の厚さは均一であってもよく、すなわち、摺動層1104の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さとは異なり得る。異なる摺動層1104は異なる厚さを有してもよいことが理解されよう。摺動層1104は、図示される基材1119の一方の主表面の上にあってもよく、又は両方の主表面の上にあってもよい。基材1119は、摺動層1104によって少なくとも部分的に封入されてもよい。すなわち、摺動層1104は、基材1119の少なくとも一部分を覆ってもよい。基材1119の軸方向表面は、摺動層1104から露出してもよい。
【0032】
図2Bは、上述の実施形態による軸受のための摺動材料を形成するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る摺動材料又は複合材料の代替的な実施形態の図を含む。説明のために、図2Bは、第2のステップ14の後の摺動材料1002の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、摺動材料1002は、この摺動材料1002が、摺動層1104を基材1119(すなわち、第1のステップ12で設けられるベース材料)及び摺動層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される摺動コーティング)に結合することができる少なくとも1つの接着層1121も備えることができることを除いて、図2Aの複合材料1000と同様であってもよい。別の代替的な実施形態では、基材1119は、固体構成要素、織布メッシュ又はエキスパンドメタルグリッドとして、摺動層1104と基材1119との間に含まれる少なくとも1つの接着層1121の間に埋め込まれてもよい。
【0033】
接着層1121は、限定するものではないが、フルオロポリマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル/ポリアミドコポリマー、エチレン酢酸ビニル、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ETFEコポリマー、ペルフルオロアルコキシ(PFA)、又はそれらの任意の組合せを含む、軸受技術に一般的な任意の既知の接着材料を含んでもよい。加えて、接着剤は、-C=O、-C-O-R、-COH、-COOH、-COOR、-CF=CF-OR、又はそれらの任意の組み合わせから選択される少なくとも1つの官能基を含み得、式中、Rは、1~20個の炭素原子を含有する環状又は直鎖状有機基である。加えて、接着剤はコポリマーを含み得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。接着層1121は、約1~50ミクロン、例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。一実施形態では、ホットメルト接着剤は、250℃以下、例えば220℃以下の溶融温度を有し得る。別の実施形態では、接着剤は、200℃超、例えば220℃超で分解し得る。更なる実施形態では、ホットメルト接着剤の溶融温度は、250℃超、又は更には300℃超であり得る。
【0034】
接着層1121は、約1ミクロン~約80ミクロン、例えば約10ミクロン~約50ミクロン、例えば約20ミクロン~約40ミクロンの厚さTALを有し得る。多数の実施形態では、接着層1121は、約3~20ミクロンの厚さTALを有してもよい。多数の実施形態では、接着層1121は、約10~60ミクロンの厚さTALを有してもよい。接着層1121の厚さTALは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかの間の任意の値であってもよいことが更に理解されよう。接着層1121の厚さは均一であってもよく、すなわち、接着層1121の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さに等しくなり得る。接着層1121の厚さは不均一であってもよく、すなわち、接着層1121の第1の位置における厚さは、それに沿った第2の位置における厚さと異なり得る。
【0035】
接着層1121の厚さは、基材1119の表面の粗さプロファイルの最大プロファイル頂点高さと最大プロファイル底深さとの間の距離Rmaxとして定義される、基材1119の粗さに本質的に対応し得る。このようにして、摺動層1104と基材1119との間の全面的な接着結合が保証されるように、十分に厚い接着層1121が基材1119に加えられることを保証することができる。接着層1121はまた、あまり厚く製造されるべきではない。この場合、層を接合する際に、接着層1121の一部が接着結合から押し出され得るか、又は摺動材料が剪断応力を受けるときに基材1119表面の粗さプロファイルの上に突出する接着層1121の部分内で凝集破壊が起こり得るリスクがある。
【0036】
例えば、基材1119の表面粗さは、少なくとも約0.01ミクロン、少なくとも約0.02ミクロン、少なくとも約0.05ミクロン、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロン、又は少なくとも約400ミクロンであってもよい。他の実施形態では、表面粗さは、約400ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約25ミクロン未満、約20ミクロン未満、約15ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は更に約1ミクロン未満である。更に別の実施形態では、基材1119は、約0.1ミクロン~約400ミクロン、約0.5ミクロン~約100ミクロン、又は約1ミクロン~約50ミクロンの範囲の表面粗さを有することができる。
【0037】
更に、基材1119の表面を電解亜鉛めっきによって処理して、表面を粗面化、アップグレード、又はコーティングすることができる。これは、接着層1121の塗布前に行われる。他の実施形態では、基材1119の表面積は、機械的構造化によって増加させることができる。構造化には、ブラシ仕上げ、サンドブラスト、エッチング、穿孔、酸洗い、パンチング、プレス、カール、深絞り、反り低減、インクリメンタルシート形成、アイロン、レーザ切断、圧延、ハンマリング、エンボス加工、アンダーカット、及びこれらの任意の組合せが含まれ得る。例えば、構造体のエンボス加工は、噛み合う実現性を可能にし、これは、結果として生じる結合力にプラスの効果を有する。
【0038】
図2Cは、上述の実施形態による軸受のための摺動材料を形成するための形成プロセス10の第1のステップ12及び第2のステップ14に従って形成され得る摺動材料又は複合材料の代替的な実施形態の図を含む。説明のために、図2Cは、第2のステップ14の後の摺動材料1003の層ごとの構成を示す。この特定の実施形態によれば、摺動材料1003は、この摺動材料1003が、基材1119(すなわち、第1のステップ12で設けられるベース材料)及び摺動層1104(すなわち、第2のステップ14で塗布される摺動コーティング)に結合することができる接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を備え得る少なくとも1つの腐食保護層1704、1705及び1708並びに耐食コーティング1124も備えることができることを除いて、図2Bの摺動材料1002と同様であってもよい。
【0039】
基材1119は、処理前に摺動材料1003の腐食を防止するための腐食保護層1704及び1705でコーティングされてもよい。加えて、層1704の上に腐食保護層1708を加え得る。層1704、1705、及び1708のそれぞれは、約1~50ミクロン、例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。層1704及び1705は、亜鉛、鉄、マンガン、若しくはそれらの任意の組合せのリン酸塩、又はナノセラミック層を含み得る。更に、層1704及び1705は、機能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組合せを含み得る。層1708は、官能性シラン、ナノスケールシラン系プライマー、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマーを含み得る。腐食保護層1704、1706、及び1708は、処理中に除去又は保持され得る。
【0040】
摺動材料1003は、耐食コーティング1125を更に含んでもよい。耐食コーティング1125は、約1~50ミクロン、例えば約5~20ミクロン、及び例えば約7~15ミクロンの厚さを有し得る。耐食コーティング1125は、接着促進剤層1127及びエポキシ層1129を備え得る。接着促進剤層1127は、亜鉛、鉄、マンガン、スズ、若しくはそれらの任意の組合せのリン酸塩、又はナノセラミック層を含み得る。接着促進剤層1127は、機能性シラン、ナノスケールシラン系層、加水分解シラン、オルガノシラン接着促進剤、溶媒/水系シランプライマー、塩素化ポリオレフィン、不動態化表面、市販の亜鉛(機械的/ガルバニック)若しくは亜鉛ニッケルコーティング、又はそれらの任意の組合せを含み得る。エポキシ層1129は、熱硬化エポキシ、UV硬化エポキシ、IR硬化エポキシ、電子ビーム硬化エポキシ、放射線硬化エポキシ、又は空気硬化エポキシであり得る。更に、エポキシ層1129は、ポリグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、オキシラン、オキサシクロプロパン、エチレンオキシド、1,2-エポキシプロパン、2-メチルオキシラン、9,10-エポキシ-9,10-ジヒドロアントラセン、又はそれらの任意の組合せを含み得る。エポキシ層1129は硬化剤を更に含み得る。硬化剤としては、アミン、酸無水物、フェノールノボラック硬化剤、例えばフェノールノボラックポリ[N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド](PHPMI)、レゾールフェノールホルムアルデヒド、脂肪族アミン化合物、ポリカルボン酸無水物、ポリアクリレート、イソシアネート、カプセル化ポリイソシアネート、三フッ化ホウ素アミン錯体、クロム系硬化剤、ポリアミド、又はそれらの任意の組合せが挙げられ得る。一般に、酸無水物は、式R-C=O-O-C=O-R’(式中、Rは、上記のようなCであり得る)に従うことができる。アミンとしては、モノエチルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの脂肪族アミン、脂環式アミン、環状脂肪族アミン、シクロ脂肪族アミンなどの芳香族アミン、アミドアミン、ポリアミド、ジシアンジアミド、イミダゾール誘導体など、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0041】
一実施形態では、図1のステップ14の下で、上述のように、摺動材料又は複合材料1000、1002、1003上の層のいずれも、それぞれロール内に配置され、そこから剥離して、圧力下で、高温で(熱間又は冷間プレス又は圧延)、接着剤によって、又はそれらの任意の組合せによって一緒に接合可能である。上述のように、摺動材料1000上の層のいずれも、少なくとも部分的に互いに重なり合うように一緒に積層されてもよい。上述のように、摺動材料1000、1002、1003上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティング等のコーティング技術を使用して、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、一緒に塗布されてもよい。特定の実施形態では、摺動層1104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。摺動層1104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材1119の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、摺動層1104は、鋳造又は成形されてもよい。
【0042】
一実施形態において、摺動層1104は、積層体を形成するために、基材1119に付着されるか又は他の方法で接着され得る。一実施形態では、摺動層1104又は任意の層は、積層体を形成するために、溶融接着層1121を使用して基材1119に付着されるか又は他の方法で接着され得る。一実施形態では、摺動層1104又は任意の層は、積層体を形成するために、ポリマーテープとして基材1119に付着されるか又は他の方法で接着され得る。一実施形態では、材料又は摺動材料1000、1002、1003上の介在層又は突出層のいずれも、積層体を形成してもよい。積層体は、軸受に形成され得るストリップ又はブランクに切断され得る。積層体の切断は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸の使用を含んでもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。積層体を切断すると、基材1119の露出部分を含む切断縁部を作成できる。
【0043】
他の実施形態では、図1のステップ14の下で、上述のように、摺動材料1000、1002、1003上の層のいずれも、例えば、物理的若しくは蒸着、噴霧、めっき、粉末コーティング等のコーティング技術によって、又は他の化学的若しくは電気化学的技術を通して、塗布されてもよい。特定の実施形態では、摺動層1104は、例えば押出コーティングを含むロールツーロールコーティングプロセスによって塗布されてもよい。摺動層1104は、溶融状態又は半溶融状態に加熱され、スロットダイを通して基材1119の主表面上に押し出されてもよい。別の実施形態では、摺動層1104は、鋳造又は成形されてもよい。
【0044】
ここで、図1に示されるような形成プロセス10の第3のステップ16を参照すると、或る特定の実施形態によれば、摺動材料1000、1002、1003を軸受に形成することは、切断動作を含んでもよい。一実施形態では、切断動作は、スタンプ、プレス、パンチ、鋸、深絞りの使用を含んでもよく、又は異なる方法で機械加工されてもよい。多数の実施形態では、切断動作は、摺動材料上に周辺表面を形成してもよい。切削動作は、第1の主表面から開始して第1の主表面の反対側の第2の主表面に向かう切削方向を定義して、周辺表面又は縁部を形成することができる。或いは、切削動作は、第2の主表面から開始して第1の主表面に向かう切削方向を定義して、周辺表面又は縁部を形成することができる。摺動材料は、ここで、所望の用途のための軸受に形作られてもよい。
【0045】
摺動材料を形成した後、摺動材料又は軸受は、形成及びシェーピングプロセスで使用された任意の潤滑剤及び油を除去するために洗浄されてもよい。加えて、洗浄することで基材の露出面にコーティングの塗布の準備をし得る。洗浄は、溶媒を用いた化学的洗浄及び/又は超音波洗浄などの機械的洗浄を含んでもよい。
【0046】
図1の方法の結果として、上述した実施形態によれば、基材内で基材1119を覆う摺動層1104は、摺動層1104自体の巨視的な厚さの変動ではなく、摺動面を形成する微視的に微細な凹凸(例えば、表面上の頂点及び底)を有するようにテクスチャ加工され得る。摺動面は、図2Cに示すように、摺動層1104の一方の面、すなわち、基材1119とは反対側の面である。
【0047】
図3は、X軸を200倍、Y軸を1000倍に拡大した拡大図である。摺動層1104の表面形状は、図3に示す形状線Cとして取得される。形状線Cは、摺動層1104の厚さ方向に平行な面を含有する断面における摺動層1104の表面の頂点及び底を表す。形状線Cは、X-Y座標系を用いて表される。具体的には、X軸は、任意の2点間の配置を表し、Y軸は、摺動層1104の厚さ方向を表し、すなわち、Y軸方向の配置は、表面の頂点及び底の深さ及び高さを表す。したがって、形状線Cは、摺動層1104の表面形状に応じた頂点及び底を含有する。
【0048】
図4は、説明のために、図3に示した形状線Cの簡略版を概略的に示す。頂点及び底を含有する形状線Cは、X軸に平行な仮想直線Lxを基準としてY軸方向に上下に分割される。摺動層1104の摺動面が微視的に平坦である場合、摺動層1104の摺動面とX軸と仮想直線Lxとは互いに平行である。形状線Cを仮想直線Lxで分割すると、仮想直線Lxから下方に突出した凹領域(底)と、仮想直線Lxから上方に突出した凸領域(頂点)とが互いに分離される。図4では、凹領域を「網掛け」で示し、凸領域を「斜線」で示している。凹領域の面積の和S1と凸領域の面積の和S2とが等しくなるように配置された仮想直線Lxを凹凸平均線Lvと定義する。すなわち、摺動層1104の摺動面にわたって、凹凸平均線Lvよりも下方に突出した凹領域の面積の和S1と、凹凸平均線Lvよりも上方に突出した凸領域の面積の和S2とは等しい(S1=S2)。凹凸平均線Lvよりも下方に突出した領域を底21と定義し、凹凸平均線Lvよりも上方に突出した領域を頂点22と定義する。
【0049】
本実施形態では、X軸は、摺動層1104又は摺動材料の表面の周方向及び径方向の中心配置に定義され、測定のための周方向に接する方向として定義される。任意の2点は、摺動層1104の用途を考慮して、測定時の位置の数、配置、及び方向を任意に調整することができる。
【0050】
図5は、説明のために、図4に示した形状線Cの簡略版を概略的に示す。本実施形態では、互いに隣接する底21と頂点22との関係を用いて、摺動層1104又は摺動材料の性能を更に検証する。底21のそれぞれは、底21の最も深い配置、すなわち基材1119に最も近い配置に底部31を有する。底21に隣接する凸部22は、頂点22の最も高い配置、すなわち基材1119から最も遠い配置に頂点32を有する。上述したように、底21及び頂点22が凹凸平均線Lvと互いに隣接する場合、底21の底部31及び頂点22の頂点32を仮想の直線Lと互いに結ぶことができる。直線Lの勾配は、底21の底部31及び頂点22の頂点32の間のY軸方向の測定距離45を、底部31及び頂点32の間のX軸方向の測定距離35で除算した値である。得られた直線Lの勾配の平均が、平均勾配SDQ又は二乗平均平方根勾配である。多数の実施形態では、低摩擦材料の二乗平均平方根勾配は、0.064未満であってもよい。
【0051】
更に、二乗平均平方根勾配は、底から頂点までの平均角度αを有してもよい。角度αは、少なくとも0.01°、例えば0.05°、例えば0.1°、例えば0.15°、例えば0.5°、例えば1°、例えば1.5°、例えば2°、又は例えば3°であってもよい。
【0052】
更に、頂点材料部分Smr1は、頂点を含む低摩擦材料の割合として計算することができる。換言すれば、基材の厚さはTと呼ぶことができ、Smr1は、基材又はコア表面の厚さTから低摩擦材料の全厚さTSLの減少した頂点を除算する面積材料比である。減少した頂点は、隣接する構成要素との最初の摩滅によって除去される面積である。多数の実施形態では、低摩擦材料の頂点材料部分Smr1は、10%未満であってもよい。
【0053】
更に、底材料部分Smr2は、底を含む低摩擦材料の割合として計算することができる。換言すれば、基材の厚さはTと呼ぶことができ、Smr2は、基材又はコア表面の厚さTから低摩擦材料の全厚さTの減少した底を除算する面積材料比である。減少した底は、潤滑性を改善するために表面に塗布された液体(例えば、グリース)を保持する面積である。多数の実施形態では、低摩擦材料の底材料部分Smr1は、75%未満であってもよい。
【0054】
結果として得られるテクスチャ加工された摺動層1104は、複数の頂点22のうちの少なくとも1つの頂点22と複数の底21のうちの少なくとも1つの底21との間の最小距離が0.05mmであってもよい。
【0055】
したがって、本方法は、本明細書の実施形態に従って含まれ得る。本方法は、基材1119を設けることと、積層体に基材1119の上に重なるテクスチャ加工された摺動層1104を設けるために摺動層1104を基材1119に加えることとを含むことができ、摺動層1104は、複数の頂点22及び底21を含む凹凸を含み、1)摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、2)摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、3)摺動層は、75%未満の底材料部分を有する。本方法は、ブランクを切断して積層体を形成することを更に含んでもよい。本方法は、ブランクから半完成軸受を形成することを更に含んでもよい。
【0056】
上述したように、摺動層1104は、別の構成要素の別の表面との摺動界面を形成するように、基材1119の表面に結合され得る。本方法の結果として、摺動層1104は、以下でより詳細に説明するように、別の構成要素に対して0.02未満の摩擦係数を有することができる。
【0057】
多数の実施形態では、結果として得られる摺動材料は、軸受に形成され得る。説明のために、図6Aは、上述のように最初はブランクとして存在し得る複合材料1000、1001、1002、1003の適切な寸法の片を圧延することによって生産され得る軸受(概して100で示す)形状を示す。軸受100は、中心軸に対して軸方向に延在することができる。すなわち、中心軸は、軸受100の長さに沿って長手方向に延在することができる。軸受100は、略円筒形の側壁102を備える。本明細書で使用される場合、「略円筒形」は、軸を中心とする回転体を有する最良適合円筒内に配置されたときに、最良適合円筒から、任意の位置で15%以下、任意の位置で10%以下、任意の位置で5%以下、任意の位置で4%以下、任意の位置で3%以下、任意の位置で2%以下、又は任意の位置で1%以下だけ逸脱する形状を指す。一実施形態では、「略円筒形」は、内側構成要素と外側構成要素との間に組み立てられた、すなわち、設置状態にある略円筒形本体310を指すことができる。別の実施形態では、「略円筒形」は、内側構成要素と外側構成要素との間の組み立て前の、すなわち、未設置状態の略円筒形本体310を指すことができる。特定の実施形態では、略円筒形の側壁102は、2つの長手方向の平坦な端部を有する軸の周りの回転に対応する形状を有する円筒形の側壁であってもよい。多数の実施形態では、ブランクは、環状形状を形成し得る略円筒形の側壁102を形成するように圧延されてもよい。多数の実施形態では、側壁102は、図2A図2Cに示すように、基材1119と、複合材料1000、1001、1002の少なくとも1つの低摩擦層1104とを備えることができる。低摩擦材料1104は、軸受100の内面又は外面のうちの少なくとも1つの本質的に全体を覆ってもよい。
【0058】
説明のために、図6Bは、上述のように最初はブランクとして存在し得る複合材料1000、1001、1002、1003の適切な寸法の片を圧延及びフランジ加工することによって生産され得る軸受(概して100で示す)形状を示す。図6Bは、図6Aの構造及び設計の全てを含むことができ、簡潔にするために、対応する参照番号は同じままであり、図6Aのものと同じ構造を指す。図6Bは、図6Bの軸受100が、軸方向断面において実質的にL字形であり、環状フランジ122を形成する環状形状を有することができるという点で、図6Aと異なってもよい。言い換えれば、軸受100は、半径方向及び軸方向に延在するL字形軸受断面を有することができる。軸受の他の軸方向断面形状も可能である。例えば、軸受100は、C字形状の軸受断面を有してもよい。複数の実施形態において、成形された軸受100のスタンピングを含む深絞り加工により、L型軸受100を実現できる。
【0059】
説明のために、図6Cは、上述のように最初はブランクとして存在し得る複合材料1000、1001、1002、1003の適切な寸法の片を圧延及びフランジ加工することによって生産され得る軸受(概して33で示す)形状を示す。図6Cは、図6A及び図6Bの構造及び設計の全てを含むことができ、簡潔にするために、対応する参照番号は同じままであり、図6A及び図6Bのものと同じ構造を指す。図6Cは、図6Cの軸受33が、テーパ部分を圧延し、端部をフランジ加工することによって形成することができるテーパ円筒形部分を有する軸受側壁102を備えることができるという点で、図6Bとは異なってもよい。
【0060】
説明のために、図6Dは、上述のように最初はブランクとして存在し得る複合材料1000、1001、1002、1003の適切な寸法の片を圧延及びフランジ加工することによって生産され得る軸受(概して34で示す)形状を示す。図6Dは、図6A図6Cの構造及び設計の全てを含むことができ、簡潔にするために、対応する参照番号は同じままであり、図6A図6Cのものと同じ構造を指す。図6Dは、図6Dの軸受34が筐体(又は第2の構成要素150)内に取り付けられたフランジ付き軸受100を示し、シャフトピン(又は第1の構成要素160)がフランジ付き軸受100を貫通して取り付けられてアセンブリを形成する点で、図6Bとは異なっていてもよい。
【0061】
説明のために、図6Eは、上述のように最初はブランクとして存在し得る複合材料1000、1001、1002、1003の適切な寸法の片を圧延及びフランジ加工することによって生産され得る軸受(概して35で示す)形状を示す。図6Eは、図3A図3Dの構造及び設計の全てを含むことができ、簡潔にするために、対応する参照番号は同じままであり、図6A図6Dのものと同じ構造を指す。図6Eは、図6Eの軸受100が筐体に取り付けられた両面フランジ付き軸受100を示しており、シャフトピンが両面フランジ付き軸受100を貫通して取り付けられてアセンブリを形成する点で、図6Bとは異なっていてもよい。図6Eに示すように、半径方向フランジ122は、軸受100の軸方向両端部に配置されてもよい。
【0062】
図6A図6Eに示すように、軸受材料は、上述のようにブランクから形成されてもよく、リング状(実質的に環状)の形状に湾曲されてもよい基材1119(例えば、バネ鋼)を含んでもよい。軸受100の端部は、交わらなくてもよく(例えば、分割リングとして形成されてもよい)、それによって、軸方向間隙を残す。他の実施形態では、略円筒形の側壁は、端部が互いに重なり合うように湾曲してもよい。また更なる実施形態では、軸受100は、連続した切れ目のないリングであってもよい。軸受100は、上述のように、複合材料1000、1001、1002、1003のブランクから摺動層1104として形成されるような、リングの形状に適合する摺動層1104を更に備えることができる。軸受100の内面は、上述のように、複合材料1000、1001、1002、1003から形成されるような、外面132を形成する基材1119を有する軸受100の形状に適合する摺動層1104を有してもよい。代替的に又は追加的に、軸受100の外面は、上述のように複合材料1000、1001、1002、1003から形成されるような、内面を形成する基材1119を有する軸受100の形状に適合する摺動層1104を有してもよい。他の実施形態では、摺動層1104は、リングの両面に積層されてもよい。
【0063】
動作中、軸受100は、上述のように、アセンブリ等において、第1の構成要素又は第2の構成要素等の対向する構成要素に隣接して位置してもよい。動作中、軸受100は、2つの対向する(嵌合する)構成要素の間に位置し得る。例えば、それは、第1の構成要素(例えば、シャフト)と第2の構成要素(例えば、筐体)内のボアとの間の環状空間内に位置してもよい。第1又は第2の構成要素は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、又はそれらの合金を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の材料から製造されてもよい。対向する構成要素の表面粗さは、少なくとも約0.01ミクロン、少なくとも約0.02ミクロン、少なくとも約0.05ミクロン、少なくとも約0.1ミクロン、少なくとも約0.5ミクロン、少なくとも約1ミクロン、少なくとも約2ミクロン、少なくとも約5ミクロン、少なくとも約10ミクロン、少なくとも約20ミクロン、少なくとも約50ミクロン、少なくとも約100ミクロン、少なくとも約200ミクロン、又は少なくとも約400ミクロンであってもよい。他の実施形態では、表面粗さは、約400ミクロン未満、約200ミクロン未満、約100ミクロン未満、約50ミクロン未満、約25ミクロン未満、約20ミクロン未満、約15ミクロン未満、約10ミクロン未満、約5ミクロン未満、約3ミクロン未満、約2ミクロン未満、又は更に約1ミクロン未満であってもよい。更に別の実施形態では、対向する構成要素は、約0.1ミクロン~約400ミクロン、約0.5ミクロン~約100ミクロン、又は約1ミクロン~約50ミクロンの範囲の表面粗さを有することができる。特定の実施形態では、第1の構成要素又は第2の構成要素のうちの少なくとも1つの表面は、0.4ミクロン未満の表面粗さを有する。軸受100の内側又は外側のうちの少なくとも1つは、摺動界面を作成するように、対向する構成要素に接触してもよい。
【0064】
少なくとも1つの実施形態では、アセンブリは、その構成要素のいずれかに潤滑剤を含むことができる。少なくとも1つの実施形態では、潤滑剤は、リチウム石鹸、二硫化リチウム、グラファイト、鉱油又は植物油、シリコーングリース、フルオロエーテル系グリース、アピエゾン、フードグレードグリース、石油化学グリースのうちの少なくとも1つを含むグリースを含んでもよく、又は異なる種類であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、潤滑剤は、グループI-グループIII+油、パラフィン油、ナフテン油、芳香油、バイオ潤滑剤、ヒマシ油、キャノーラ油、パーム油、ヒマワリ種子油、ナタネ油、トール油、ラノリン、合成油、ポリα-オレフィン、合成エステル、ポリアルキレングリコール、リン酸エステル、アルキル化ナフタレン、ケイ酸エステル、イオン性流体、多重アルキル化シクロペンタン、石油化学系油、PTFE増粘グリースのうちの少なくとも1つを含む油を含んでもよく、又は異なる種類であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、潤滑剤は、リチウム石鹸、グラファイト、窒化ホウ素、二硫化モリブデン、二硫化タングステン、ポリテトラフルオロエチレン、金属、金属合金のうちの少なくとも1つを含む固体ベースの潤滑剤を含んでもよく、又は異なる種類であってもよい。多数の実施形態では、グリースは、軸受の全表面積の少なくとも25%に存在してもよい。多数の実施形態では、摺動層内の底は、以下でより詳細に論じられるように、グリースを含有又は収容してもよい。
【0065】
本明細書の実施形態の結果として、アセンブリが形成される。アセンブリは、第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素306及び第2の構成要素302の間に位置し、基材1119及びテクスチャ加工された摺動層1104を備える軸受100とを備えることができ、摺動層1104は、複数の頂点22及び底21を含む凹凸を含み、複数の頂点22の少なくとも1つの頂点22及び複数の底21の少なくとも1つの底21の間の最小距離は0.05mmであってもよく、摺動層1104は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する。
【0066】
アセンブリは、いくつかの実施形態では、自動車のドアヒンジ、フードヒンジ、テールゲートヒンジ、エンジン室ヒンジ等の、例示的なヒンジアセンブリであってもよい。実施形態の用途は、例えば、ヒンジ及び他の車両構成要素のためのアセンブリを含む。更に、摺動材料又はアセンブリの使用は、限定されないが、ドア、フード、テールゲート、及びエンジン室ヒンジ、シート、ステアリングコラム、フライホイール、ドライブシャフトアセンブリ、パワートレイン用途(ベルトテンショナ等)、又は他の種類の用途等のいくつかの用途において、利益を増加させることができる。本明細書の実施形態によると、摺動材料は、軸受構成要素界面におけるグリースの保持及び/又はグリースのより高い流量を可能にし、軸受/アセンブリの寿命にわたって、より一貫した摩擦(例えば、摩擦係数)をもたらし得る。更に、摺動材料は、テクスチャ加工された表面を設けて、アセンブリ内のグリースに対する望ましくない静止摩擦及びスティックスリップ現象を低減することができる。摺動材料は、アセンブリ内の軸受寿命を延ばす軸受と別の構成要素との間の境界条件を維持することができる。本明細書の実施形態による摺動材料又は軸受は、高温、高剛性環境内で改善された性能を提供することができ、アセンブリ内のより高い圧力及び速度に耐えることができる。本明細書の実施形態による摺動材料又は軸受は、驚くべきことに、既存の摺動材料又は軸受にわたって一貫した摩擦係数性能を提供しながら、隣接する材料にわたってアセンブリ内にグリースを保持するための最適な表面テクスチャを設けることができる。本明細書の実施形態による摺動材料又は軸受は、アセンブリ内の潤滑の有無にかかわらず、非常に良好な耐摩耗性の範囲内で機能し得る。
【実施例
【0067】
本明細書の実施形態による摺動材料(軸受に適用される)をいくつかの条件下で試験したところ、材料が寿命にわたって改善された目標摩擦及び摩擦制御を達成したことが示された。アセンブリは、以下の表1に示すように全周にわたって回転負荷をかけて試験され、摺動材料は、本明細書の実施形態によるいくつかの提案されたアセンブリに配置された。
【表1】
【0068】
更に、摺動材料(軸受に適用される)(A)を、いくつかの試験方法を使用して、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対して試験した:1)ジャーナル軸受試験(異なる温度での標準的な潤滑試験及びグリースを用いたストライベック試験);2)高PVでのピンオンディスク試験;3)シートリクライナ試験;4)HVAC用途のための高温でのJPT試験;及び5)より低いピニオンギア用途のためのJBT試験。
【0069】
ジャーナル軸受試験では、軸受を試験シャフトと試験筐体との間に配置し、軸受トルク、モータトルク、温度、及び速度に関するデータ収集を行った。図7及び図8は、摩擦係数及びK係数に基づいたジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を示す。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、室温80℃、及び120℃において、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)よりも高い耐摩耗性を示す。
【0070】
ジャーナル軸受試験では、軸受を試験シャフトと試験筐体との間に配置し、軸受トルク、モータトルク、温度、及び速度に関するデータ収集を行った。図9は、3000lbの負荷及び可変のRPM、温度並びに摩擦係数を用いたストライベック試験に基づいたジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を示す。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、異なる温度及び摩擦係数値において、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)よりも高い耐摩耗性を示す。
【0071】
ジャーナル軸受試験では、軸受を試験シャフトと試験筐体との間に配置し、油を用いた高PVT(120C)条件に関するデータ収集を行った。図10及び図11は、異なるトルク、温度及び油温度値に基づいたジャーナル軸受試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を示す。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、油及び軸受の異なる温度並びにトルク値において、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対してより少ない摩耗深さを示す。
【0072】
高PVでのピンオンディスク試験では、軸受を試験シャフトと試験筐体との間に配置し、軸受トルク、モータトルク、温度、及び速度に関するデータ収集を行った。図12は、23℃の温度、25mmのストローク長さ、及び可変のPV、摩耗率及び摩擦係数でグリース潤滑したピンオンディスク試験下での当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対する、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)の比較を示す。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)よりも高い耐摩耗性を示す。
【0073】
リクライナ試験において、軸受は、3200サイクルのロックツーロック、1サイクル当たり2分、及びシートにおける1000lbの負荷下でのシートリクライナシステムにおいて試験された。本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対して、スティックスリップ/静止摩擦/動摩擦/及び摩耗に関してより良好なトライボロジ挙動を示す。
【0074】
HVAC用途のための高温でのJPT試験では、軸受は、8MPa負荷下で6000RPMで完全に浸漬されたPOE油を使用するHVAC用途で試験された。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)に対して、より高い耐摩耗性及び改善された結合強度を示す。
【0075】
より低いピニオンギア用途のJBT試験では、軸受をグリース条件で試験した。試験パラメータは、80℃下、32RPMで29MPaの負荷下でモリホワイトLSGグリースを使用して130時間であった。示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料を有する軸受(A)は、当技術分野で既知の摺動材料を有する軸受(B)よりも高い耐摩耗性を示す。
【0076】
ジャーナル軸受試験は、表面テクスチャパラメータを決定するために更に使用されてもよい。ジャーナル軸受試験は、滑らかな表面テクスチャ(T)の摺動材料を試験することができる。滑らかな表面テクスチャは、低い摩擦係数を有することができ、流体力学的条件で動作することができるが、動作中に隣接する構成要素との液体保持が不十分である。ジャーナル軸受は、粗い表面テクスチャ(R)の摺動材料を試験することができる。粗い表面テクスチャは、高い摩擦係数を有し得るが、動作中に隣接する構成要素との薄い境界液体潤滑のみが可能であり得る。ジャーナル軸受は、本明細書の実施形態による摺動材料(P)を試験することができる。
【0077】
高周波発振器試験を更に使用して、表面テクスチャパラメータを決定することができる。高周波発振器試験は、滑らかな表面テクスチャ(T)の摺動材料を試験することができる。滑らかな表面テクスチャは、低い摩擦係数を有することができ、流体力学的条件で動作することができるが、動作中に隣接する構成要素との液体保持が不十分である。高周波発振器試験は、粗い表面テクスチャ(R)の摺動材料を試験することができる。粗い表面テクスチャは、高い摩擦係数を有し得るが、動作中に隣接する構成要素との薄い境界液体潤滑のみが可能であり得る。高周波発振器試験は、本明細書の実施形態による摺動材料(P)を試験することができる。
【0078】
図13は、ジャーナル軸受試験下で増加した圧力による滑らかなシャフトに対する摺動材料の摩擦係数のチャートである。摺動材料は、液体として作用するPTFEを含むグリースを有する滑らかなシャフト(0.06μm未満の表面粗さ)を用いて10rpm(0.01m/s)で回転させることができる。図13に示されるように、圧力が増加すると、本明細書の実施形態による摺動材料(P)は、滑らかな表面に負に類似する傾向があり、粗い表面テクスチャの摺動材料(R)とは異なり、流体力学的圧力が、流体力学的潤滑(例えば、流体膜形成)によって生成されることを示唆する。このデータは、圧力の増加に伴って摩擦係数が低下するため、摺動材料(P)内に流体膜が生成されることを示している。摺動材料(P)は、負の傾斜を示し、既存の摺動材料とは異なり、摺動材料(P)と隣接する構成要素との間の流体膜形成を示す。
【0079】
図14は、上述のように、二乗平均平方根勾配(SDQ)に関する摺動材料の摩擦係数のチャートである。図14に示すように、本明細書の実施形態による摺動材料のSDQは、0.064未満の低摩擦係数で流体力学的圧力を生成するのに最適な勾配を示す。この値は、図13に関して上述したように、膜形成による既存の摺動材料に対する最適な摩擦係数を示す。更に、この値は、図17図18に関して上述したように、既存の摺動材料に対して最適なグリース保持を示す。
【0080】
図15は、上述のように、頂点材料部分割合に関する摺動材料のチャートである。図15に示すように、本明細書の実施形態による摺動材料の頂点材料部分は、10%未満の流体力学的圧力を生成するのに最適な割合を示す。この値は、図13に関して上述したように、膜形成による既存の摺動材料に対する最適なグリース保持及び軸受圧力を示す。更に、この値は、図17図18に関して上述したように、既存の摺動材料に対して最適なグリース保持を示す。
【0081】
図16は、上述のように、底材料部分割合に関する摺動材料のチャートである。図16に示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料の底材料部分は、75%未満の流体力学的圧力を生成するのに最適な割合を示す。この値は、図13に関して上述したように、膜形成による既存の摺動材料に対する最適なグリース保持及び軸受圧力を示す。更に、この値は、図17図18に関して上述したように、既存の摺動材料に対して最適なグリース保持を示す。
【0082】
図17は、高周波振動試験(PTFEを含むグリースを用いた、25Hz、+/-10度、定数PV=0.70MPA×m/s)下での時間の関数としての摺動材料トルク傾向のチャートである。図17に示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料(P)は、最適なグリース保持及び摩擦係数に起因して、最も低く、最も一定のトルクを示す。この値は、トルク性能による最適温度性能を示す。また、摺動材料(P)のより長い寿命は、既存の摺動材料に対するグリース保持の最適化を示すことも示される。
【0083】
図18は、高周波振動試験(PTFEを含むグリースを用いた、25Hz、+/-10度、定数PV=0.70MPA×m/s)下での時間の関数としての摺動材料温度傾向のチャートである。図18に示されるように、本明細書の実施形態による摺動材料(P)は、最適なグリース保持及び摩擦係数に起因して、使用中に最低温度を示す。この値は、トルク性能による最適温度性能を示す。また、摺動材料(P)のより長い寿命は、既存の摺動材料に対するグリース保持の最適化を示すことも示される。
【0084】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを以下に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される実施形態のうちのいずれか1つ以上に従い得る。
【0085】
実施形態1:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【0086】
実施形態2:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【0087】
実施形態3:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える摺動材料であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、摺動材料。
【0088】
実施形態4:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、軸受。
【0089】
実施形態5:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、軸受。
【0090】
実施形態6:基材と、基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層とを備える軸受であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、軸受。
【0091】
実施形態7:第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリであって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、アセンブリ。
【0092】
実施形態8:第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリであって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、アセンブリ。
【0093】
実施形態9:第1の構成要素と、第2の構成要素と、第1の構成要素及び第2の構成要素の間に位置し、基材及び基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を備える軸受とを備えるアセンブリであって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、アセンブリ。
【0094】
実施形態10:基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、0.064未満の二乗平均平方根勾配を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、方法。
【0095】
実施形態11:基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、10%未満の頂点材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、方法。
【0096】
実施形態12:基材を設けることと、積層体に基材の上に重なるテクスチャ加工された摺動層を設けるために摺動層を基材に加えることとを含む方法であって、摺動層は、複数の頂点及び底を含む凹凸を含み、摺動層は、75%未満の底材料部分を有し、テクスチャ加工された摺動層は、別の構成要素との回転界面に係合したときに膜の形成を誘発する、方法。
【0097】
実施形態13:構成要素の表面は、0.4ミクロン未満の表面粗さを有する、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0098】
実施形態14:基材は、メッシュ材料、グリッド、エキスパンドシート、又は穿孔シートから選択される多孔質金属を含む、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0099】
実施形態15:基材は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、又はそれらの合金を含む、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0100】
実施形態16:第1の構成要素又は第2の構成要素の少なくとも1つの表面は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、又はそれらの合金を含む、実施形態3~4のいずれか1つによるアセンブリ。
【0101】
実施形態17:摺動層はフルオロプロイマーを含む、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0102】
実施形態18:摺動層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、又はそれらの混合物を含む、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0103】
実施形態19:摺動層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフェニレンスルホン(PPSO2)、液晶ポリマー(LCP)、パーフルオロアルコキシポリマー(PFA)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレン(PE)、UHMWPE、エチレンプロピレンジエン、又はそれらの混合物を含む有機充填剤を含む、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0104】
実施形態20:摺動層は、少なくとも約0.05mm、例えば少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さを有する、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0105】
実施形態21:摺動層は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さを有する、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0106】
実施形態22:基材は、少なくとも約0.05mm、例えば、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.15mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.25mm、少なくとも約0.3mm、少なくとも約0.35mm、少なくとも約0.4mm、又は少なくとも約0.45mmの厚さを有する、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0107】
実施形態23:基材は、約5mm以下、約4mm以下、約3mm以下、約2.5mm以下、約2mm以下、例えば、約1.5mm以下、約1mm以下、約0.9mm以下、約0.8mm以下、約0.7mm以下、約0.6mm以下、約0.55mm以下、又は約0.5mm以下の厚さを有する、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0108】
実施形態24:基材は摺動層に埋め込まれる、前述の実施形態のいずれか1つによる軸受、アセンブリ、又は方法。
【0109】
実施形態25:積層体からブランクを切断することと、ブランクから半完成軸受を形成することとを更に含む、実施形態10~12のいずれか1つによる方法。
【0110】
実施形態26:アセンブリはグリースを更に含む、実施形態7~9のいずれか1つによるアセンブリ。
【0111】
実施形態27:グリースはポリテトラフルオロエチレンを含む、実施形態26によるアセンブリ。
【0112】
実施形態28:摺動層の底はグリースを含有する、実施形態26によるアセンブリ。
【0113】
実施形態29:グリースは、軸受の全表面積の少なくとも25%に存在する、実施形態26によるアセンブリ。
【0114】
上述の特徴の全てが必要とされるわけではなく、特定の特徴の領域が必要とされなくてもよく、記載した特徴に加えて1つ以上の特徴が提供されてもよいことに留意されたい。なおも更に、特徴が列挙される順序は、必ずしも特徴が導入される順序ではない。
【0115】
特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供され得る。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。
【0116】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上述されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴(複数可)は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0117】
本明細書に記載の実施形態の明細書及び例解図は、様々な実施形態の構造の一般的な理解を提供することを意図している。明細書及び例解図は、本明細書に記載の構造又は方法を使用するアセンブリ及びシステムのすべての要素及び特徴の網羅的かつ包括的な説明として役立つことを意図するものではない。別個の実施形態が単一の実施形態中に組み合わせて提供され得、逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈において説明されている様々な特徴が、別々に又は任意の部分的組み合わせで提供され得る。更に、範囲に記載された値への言及は、その範囲内の各々の値全てを含む。多くの他の実施形態が、本明細書を読んだ後にのみ当業者に明らかとなり得る。本開示の範囲から逸脱することなく、構造的置換、論理的置換、又は任意の変更を行うことができるように、他の実施形態を使用し、本開示から導出することができる。したがって、本開示は、限定的ではなく、例示的なものとみなされるべきである。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】