(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】安全アセンブリ用電子アクチュエータデバイスおよび関連する安全アセンブリ
(51)【国際特許分類】
H01H 27/00 20060101AFI20240920BHJP
E05F 7/00 20060101ALI20240920BHJP
F16P 3/10 20060101ALI20240920BHJP
H01H 27/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01H27/00 J
E05F7/00 F
F16P3/10
H01H27/06 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517399
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 IB2022059011
(87)【国際公開番号】W WO2023047345
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021000024598
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515332229
【氏名又は名称】ピザト エレットリカ エス.アール.エル.
【氏名又は名称原語表記】PIZZATO ELETTRICA S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピザト,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ゾンタ,シモーネ
(57)【要約】
安全アセンブリ用電子作動式アクチュエータデバイスは、機械もしくはプラントまたは関連する保護の固定部分または可動部分に据え付けられるようになされた据付体(2)と、それを据え付けるための前記据付体(2)に取り外し可能に挿入されるようになされた据付手段と、据付体(2)から所定の伸延軸(A)に沿って突出するアクチュエータピン(3)であって、据付体(2)の内部の第1据付端(4)と、アクチュエータデバイスの接近に続いて切換デバイスと相互作用するようになされた第2外側端(5)と、を有する、アクチュエータピン(3)と、を備える。アクチュエータピン(3)は、伸延軸(A)周りに方向付けられるように、そして伸延軸(A)周りに相互に90°回転する少なくとも2つの位置に基づいて位置決めされるようになされ、据付体(2)の内部は、据付体(2)を据え付けるために据付手段が据付体(2)に挿入されると、伸延軸(A)周りのアクチュエータピン(3)の回転を阻止するように、またはそれを90°未満の値に制限するように設計される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安全アセンブリ用の電子作動式アクチュエータデバイスであって、
安全アセンブリは、機械もしくは産業用プラントまたはそれらの保護に関連付けられるようになされるとともに、受信型または送信型の少なくとも1つの遠隔通信要素(28)が設けられた電子駆動式の切換デバイス(21)を備え、
このアクチュエータデバイスは、
機械もしくはプラントまたは関連する保護の固定部分または可動部分に据え付けられるようになされた据付体(2)と、
機械もしくはプラントまたは関連する保護の固定部分または可動部分への前記据付体(2)の据付手段であって、前記据付手段は、前記据付体(2)に脱着可能に挿入されるようになされている、据付手段と、
所定の伸延軸(A)に沿って前記据付体(2)から突出するアクチュエータピン(3)であって、前記据付体(2)の内部の据付第1端(4)と、前記アクチュエータデバイスの接近に続いて前記切換デバイスと相互作用するようになされた外側第2端(5)と、を有する、アクチュエータピン(3)と、
送信型または受信型の少なくとも1つの遠隔通信要素(18)であって、存否信号を送信または受信することによって受信型または送信型の切換デバイス(21)の前記通信要素(28)と通信するようになされた、遠隔通信要素(18)と、
を備え、
前記アクチュエータピン(3)は、前記据付体(2)に対して前記伸延軸(A)周りに方向付けられ、前記伸延軸(A)周りに相互に90°回転した少なくとも2つの位置に基づいて位置決めされるようになされている、アクチュエータデバイス。
【請求項2】
前記据付体(2)は、その内部が、前記据付手段が前記据付体(2)に当該据付体(2)の据え付けのために挿入されたときに前記伸延軸(A)周りの前記アクチュエータピン(3)の回転を阻止するように、または90°未満の値に制限するように設計されている、請求項1に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項3】
前記遠隔通信要素(18)は、前記アクチュエータピン(3)の内部に置かれている、請求項1または請求項2に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項4】
前記遠隔通信要素(18)は、前記アクチュエータピン(3)の前記第2端(5)に作製された凹部(19)に収容されている、請求項3に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項5】
前記アクチュエータピン(3)の前記第1端(4)は、前記伸延軸(A)に略直交するとともに略四角形状を有するフランジ(9)を備え、前記フランジ(9)は、少なくとも1対の相互に90°回転した位置に基づいて前記据付体(2)に挿入されるようになされている、請求項1から請求項4の何れか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項6】
前記据付体(2)は、相互に直交する2つの壁への選択的据え付けを可能にするのに適した第1据付手段および第2据付手段を備える、請求項1から請求項5の何れか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項7】
前記第1据付手段は、前記伸延軸(A)を横切る横断第1方向(Y)に沿って前記据付体(2)を貫通する、少なくとも1つの第1貫通孔(14)、好ましくは少なくとも1対の第1貫通孔(14)対を備える、請求項6に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1貫通孔(14)の前記横断第1方向(Y)は、前記伸延軸(A)に直交している、請求項7に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項9】
前記第2据付手段は、前記据付体(2)における、前記伸延軸(A)に平行かつ前記少なくとも1つの第1貫通孔(14)の前記横断伸延第1方向(Y)に直交する平面(π)に作製された、少なくとも1つの第2貫通孔(16)、好ましくは少なくとも1対の第2貫通孔(16)対を備える、請求項7または請求項8に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項10】
前記第2貫通孔(16)は、前記伸延軸(A)に平行なそれぞれの第2方向(Z)に沿って延びている、請求項7、請求項8、または請求項9に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項11】
前記第1方向(Y)および前記第2方向(Z)は相互に直交している、請求項7から請求項10の何れか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項12】
前記据付体(2)は、1つまたは複数の内部成形部品(6,7)で構成されて前記アクチュエータピン(3)の前記第1端(4)用の収容座(8)を画定するシェルを備え、前記収容座(8)は、前記シェルの前記内部成形部品(6,7)を一緒に組み立てたときに前記伸延軸(A)周りの前記アクチュエータピン(3)の回転を阻止するように、または90°未満の値に制限するように設計されている、請求項1から請求項11の何れか一項に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項13】
前記収容座(8)は、相互に90°回転された少なくとも1対の位置に基づいて、前記フランジ(9)に略相補的な形状の前部分を有する、請求項5および請求項12に記載のアクチュエータデバイス。
【請求項14】
前記第2据付手段は、前記シェルの前記成形部品の一方(6)に作製された第2貫通孔(16)と、前記シェルの前記成形部品の他方(7)に作製された更なる第2貫通孔(16)と、を備える、請求項10、請求項12、および請求項13に記載のアクチュエータッデバイス。
【請求項15】
電子作動式安全アセンブリであって、
請求項1から請求項14の何れか一項または複数項に記載のアクチュエータデバイス(1)であって、制御すべきアクセスの可動部分または固定部分に据え付けられるように設計されるとともに、送信機型または受信機型の少なくとも1つの第1遠隔通信要素(18)が設けられた、アクチュエータデバイス(1)と、
制御すべきアクセスの固定部分または可動部分に据え付けられるようになされた切換デバイス(21)であって、前記アクセスの閉鎖の際に存否信号を送信または受信することによって前記第1通信要素(18)と通信するのに適した受信型または送信型の少なくとも1つの第2遠隔通信要素(28)が設けられた、切換デバイス(21)と、
を備える、安全アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用の電気デバイスの分野に用途を見出し、特に、機械または産業用プラントの境界またはバリアのアクセスを保護するのに適した、或いは、機械またはプラントの可動部分の近くに置かれるのに適した、電子作動式のスイッチまたは安全センサのような安全アセンブリと関連付けられるように設計された、アクチュエータデバイスを扱う。
【0002】
本発明はまた、上記のアクチュエータデバイスが設けられた、安全スイッチまたは安全センサのような電子作動式安全アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
保護パネル、バリア、安全境界、または機械もしくはシステムの可動部分のような機械または産業用プラントへのアクセスを保護するように設計された安全スイッチまたは安全センサのような既知の安全アセンブリは、一般に、アクセスの固定部分に据え付けられるのに適した切換デバイスと、可動部分に据え付けられるようになされたアクチュエータデバイスと、を備える。
【0004】
2つの切換デバイスおよび操作デバイスは、それらが据え付けられているそれぞれの部分が近付いたときに互いに相互作用して機械またはプラントに信号またはコマンドを送信するようになされており、その性質は特定の安全デバイスに割り当てられた機能によって異なる。
【0005】
例えば、安全スイッチの場合、既知の方法で可動部分が閉鎖されると、切換デバイスとアクチュエータデバイスとの間に相互作用が生じ、作業員の特定の介入を必要とする条件がない限り、機械またはプラントを始動することが可能になる。
【0006】
逆に、アクセスの開放または開放の要求の結果、切換デバイスからアクチュエータデバイスが取り外されると、機械またはプラントの瞬間的または時限的な停止が引き起こされ、そこへの安全な状態でのアクセスが可能とされてもよい。
【0007】
2つのデバイス間の相互作用は、電子機械式であっても、完全に電子的であってもよい。
【0008】
最初のケースでは、アクチュエータデバイスに、通常、既知の方式に従って、切換デバイス内の特別なスロットに挿入されて切換デバイスに収容された切換手段と相互作用する、総じて鍵状のアクチュエータが設けられる。
【0009】
このようなアクチュエータの一例が、独国特許出願公開第19735859号明細書に開示されており、ここでは、アクチュエータに支持要素から突出する円筒形の鍵要素が設けられている。
【0010】
一方、電子作動式アセンブリでは、2つのデバイス間の相互作用は、通常はタグ/RFID型の遠隔通信システムが適切に装備された2つのデバイス間で存否信号を交換することにより、行われる。
【0011】
排他的ではないが、最も一般的な実施形態では、アクチュエータデバイスには、送信型の第1通信要素が設けられ、第1通信要素は、切換デバイスに収容されて上記の存否信号によって第1通信要素と通信するようになされた受信型の第2通信要素と遠隔で相互作用するようになされていてもよい。
【0012】
受信要素は、送信要素によって送信された遠隔制御信号を受信するように設計されたRFID(無線周波数認識)型のアンテナとすることができ、送信要素がアンテナから検出可能な最短距離にある場合には、代わりにトランスポンダとすることができる。
【0013】
具体的には、トランスポンダに、受信要素によって受信され、安全アセンブリを制御するCPUによって認識されなければならない識別コードを備えたRFIDタグが設けられていてもよい。
【0014】
独国特許出願公開第102010007388号明細書には、スイッチの固定部分に置かれた位置検出器と通信するために内部にアンテナを収容するキーアクチュエータが設けられた電子作動式安全スイッチについて記載されている。
【0015】
具体的には、アクチュエータは、アンテナが装備された先端と、アクチュエータをドアに据え付けることを可能にする正方形の固定要素の内部に挿入されるように設計された支持要素と、からなる。
【0016】
しかしながら、アクチュエータおよび関連する鍵形ピンの特定の形状は、そのドアへの固定を可能にする要素に対するアクチュエータピンの向きの変更を可能にするものではないため、アクチュエータは、ヒンジ付ドアおよびスライド式ドアのどちらにも使用するには適さない。
【0017】
実際、固定要素の特定の形状が、互いに90°に角度付けられて固定要素自体に直交する軸に対して回転させた4つの異なる向きに基づいてアクチュエータを内部に挿入することを可能にする場合であっても、アクチュエータの最終的な構成は常に同じであり、その最終位置は締結部材がドアに据え付けられる方法によって常に決定される。
【0018】
電子型アクチュエータの幾つかの構成には、切換デバイスの特別な孔に収まるように、そして切換デバイスに存在する保持機構と相互作用するように設計された保持およびセンタリングピンが装備されていてもよい。
【0019】
ピンは、部分間の不整合を回復させて、上記の2つの通信要素が常に位置合わせされているか、いずれにしても互いに通信できる位置にあることを確実にする機能、並びに、アクセスに伝達されて機械の望ましくない休止時間につながり得る振動その他の応力によるアクセスの偶発的な開放を回避する機能、の両方の機能を有する。
【0020】
解決策も知られており、解決策では、保持およびセンタリングピンが電子アクチュエータとしても作動し、その端にトランスポンダその他の送信通信要素もしくは受信通信要素が設けられて、対応する孔に挿入されると、それ自体がタグまたは他の受信通信要素または送信通信要素の近くに配置される。
【0021】
なお、これらの解決策の設計に当たっては、それぞれの据付部分上の切換デバイスおよび操作デバイスの位置が固有でなく、例えばヒンジ式かスライド式かのアクセスの種類と使用可能な空間との両方に依存することを考慮しなければならない。
【0022】
従って、2つの部分のうちの1つは定番の位置に対して回転された位置に配置する必要があり得、その結果、他方の部分を同様に回転させることができなかった場合には、通信要素間の正しい相互作用が不可能になり得る。
【0023】
切換デバイスおよびその遠隔通信要素の特定の位置に合わせるために90°回転させるのに適した電子式アクチュエータの機能を有するピンの使用を提供するための解決策が、市場に出回っている。
【0024】
しかしながら、この構成の第1の欠点は、使用中であってもケーシングに対するピンの回転が可能になるという事実によって表され、偶発的に回転するともはや正しく機能を発揮できなくなってしまうリスクがある。
【0025】
更に、アクチュエータデバイスの据え付けは前方位置でのみ実施され得、デバイスの適用方法が制限される。
【発明の概要】
【0026】
本発明の目的は、上記欠点を克服して、効率および相対的費用対効果が高いという特徴を有する、産業用機械およびプラントのための安全アセンブリ用アクチュエータデバイスを提供することである。
【0027】
特定の目的は、アクセス制御のための安全スイッチのような安全アセンブリ用のアクチュエータデバイスであって、使用の柔軟性が高く、異なる向きに基づいて据え付けることができ、また、前向きおよび横向きの両方で据え付けることができる、アクチュエータデバイスを提供することである。
【0028】
更に別の目的は、アクチュエータの偶発的な回転に対して安全である、安全アセンブリ用のアクチュエータデバイスを提供することである。
【0029】
これらの目的は、以下でより明白になる他のものと同じく、電子作動式安全アセンブリ用のアクチュエータデバイスによって達成され、請求項1によれば、アクチュエータデバイスは、機械もしくはプラントまたは関連する保護の固定部分または可動部分に据え付けられるようになされた据付体と、前記据付体を機械もしくはシステムまたはそれらの保護の固定部分または可動部分に据え付けるために前記据付体に脱着可能に挿入されるようになされた据付手段と、アクチュエータピンであって、所定の伸延軸(development axis)に沿って前記据付体から突出し、前記据付体の内部の据付第1端、およびアクチュエータデバイスの接近に続いて切換デバイスと相互作用するようになされた外側第2端を有する、アクチュエータピンと、を備える。
【0030】
アクチュエータデバイスにはまた、送信型または受信型の少なくとも1つの遠隔通信要素であって、存否信号を送信または受信することによってアクチュエータデバイスが属する安全アセンブリを構成する切換デバイスに関連付けられた受信型または送信型の更なる通信要素と通信するようになされた、遠隔通信要素が設けられている。
【0031】
アクチュエータデバイスのアクチュエータピンは、前記伸延軸周りを旋回可能に作製され、前記伸延軸周りに相互に90°回転された少なくとも2つの位置に基づいて位置決めされる。
【0032】
このように、据付体に対するピンの向きを必要に応じて変化させてもよいが、アクチュエータデバイスの組み立て段階だけは、使用中に望ましくない回転が起こる可能性が回避される。
【0033】
好都合には、据付体は、その内部が、前記据付手段が前記据付体にその据え付けのために挿入されたときに前記伸延軸周りの前記アクチュエータピンの回転を阻止するように、またはそれを90°未満の値に制限するように、設計されるであろう。
【0034】
このようにすれば、アクチュエータデバイスのネジやピン、リベットのような同様のアクセスの可動部分への据付手段が、据付体に対するピンの回転を防止するであろう。
【0035】
有利には、据付体は、相互に直交する2つの壁への選択的な据え付けを可能にするのに適した第1据付手段および第2据付手段を備えていてもよい。
【0036】
例えば、据付体は、そのときに利用可能な空間に応じて、或いは、保護の相互可動部分または機械もしくはプラントの相互可動部分が互いに接近する様相に応じて、前向きおよび横向きの両方の関連する支持体に据え付けられてもよい。
【0037】
本発明の有利な実施形態は、従属請求の範囲に従って得られる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の更なる特徴および利点は、添付の図表の助けを借りて非限定的な実施例として以下に示す、本発明による安全アセンブリ用のアクチュエータデバイスの、並びに、アクチュエータデバイスが設けられた安全アセンブリの、好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な説明に照らし、より明白になるであろう。
【0039】
【
図1】
図1は、第1作動構成におけるアクチュエータデバイスの斜視図である。
【
図2】
図2は、第2作動構成におけるアクチュエータデバイスの斜視図である。
【
図3】
図3は、アクチュエータデバイスの分解図である。
【
図9】
図9は、第2変形例のアクチュエータデバイスが設けられた安全アセンブリの、引出位置における斜視図である。
【
図10】
図10は、アクチュエータデバイスを備えた
図9の安全アセンブリの、挿入位置における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
添付の図を参照して、本発明によるアクチュエータデバイスの、好ましいが排他的ではない構成を示す。
【0041】
全体が1で参照されるアクチュエータデバイスは、産業用機械もしくはプラントまたはそれらの部分を制御するための、或いは、機械または産業用プラントが稼働している安全境界またはその他の作動領域への危険なアクセスを防止するように設計されたバリアまたは可動パネルのような産業用機械またはプラントの保護を制御するための、安全アセンブリの一部となるように設計されている。
【0042】
以下でより詳細に説明する典型的な用途では、安全アセンブリは、安全境界へのアクセスを監視するための安全スイッチであってもよく、これには、保護の固定部分に据え付けられるのに適した切換デバイスがそのアクセスに装備され、アクセスが閉鎖されたときにアクチュエータデバイスと相互作用し、アクセスの開放に続いて、またはアクセスの開放要求だけが存在する場合に、機械もしくはシステムの作動を、或いは、機械もしくはシステムの1つまたは複数の選択された部分の作動を、即時または時限的な方法で中断させる。
【0043】
代替用途としては、安全アセンブリが、機械もしくはプラントまたはそれらの保護の2つ以上の相互可動部分の相対位置を検出するのに適したセンサである用途があり得るであろう。
【0044】
図1および
図2により明確に示されているように、アクチュエータデバイス1は、アクチュエータデバイス1が関連付けられるように設計されている安全アセンブリの種類に応じて、それ自体が既知として示されていない機械もしくはプラントの固定部分もしくは可動部分への、または関連する保護への、据付体2を備える。
【0045】
据付体2にはアクチュエータピン3が設けられており、アクチュエータピン3は、安全アセンブリの切換デバイスと相互作用するように、そこから所定の伸延軸Aに沿って突出している。
【0046】
具体的には、アクチュエータピン3は、据付体2の内部の据付第1端4と、アクチュエータデバイスと切換デバイスの間の接近に際して切換デバイスと相互作用するようになされた外側第2端5と、を有する。
【0047】
従って、伸延軸Aとは、ピン3の両端4,5から延び、それに沿って両端4,5が相互に位置合わせされることになる軸を意味する。
【0048】
アクチュエータピン3は、方向付け可能な様式で据付体2に配置され、その伸延軸A周りに据付体2に対して回転するようになされており、伸延軸A周りに相互に90°回転された少なくとも2つの位置に基づいて位置決めされるようになされている。
【0049】
アクチュエータピン3の回転は、据付体2に対する相対回転であり得、使用中、伸延軸Aの据付体2に対する相対回転がなければ、アクチュエータピン3は、アクチュエータデバイス1が据え付けられている機械もしくはプラントの部分に対して、または関連する保護に対して、常に同じ向きを保持し得ることを意味する。
【0050】
この場合、代わりに、アクチュエータデバイス1が据え付けられている機械もしくはプラントの部分に対して、または関連する保護に対して、有効に回転するのは、据付体2になるであろう。
【0051】
アクチュエータピン3は、任意選択により、相互に90°角度付けられた4つの異なる位置に回転させてもよい。
【0052】
図3から分かるように、据付体2には、相互に連結されてアクチュエータピン3の第1据付端4用の収容座8を画定するように内部成形された1対の部品6,7によって形成される、シェルが設けられている。
【0053】
好ましくは、必須ではないが、成形部品6,7は、互いに略同一であってもよい。
【0054】
据付体2は、一緒に組み立てられて収容座8を画定するように設計されている1つまたは複数の部品からなり得ることが、理解される。
【0055】
収容座は、シェルの成形部品6,7が一緒に組み立てられるときに、伸延軸A周りのアクチュエータピン3の回転を阻止するか、少なくともその回転を制限して90°の完全な回転を防止するように設計されており、据付体2に対するアクチュエータピン3の90°の完全な相対回転は、成形部品6,7が少なくとも部分的に互いに離隔しているときにのみ生じ得る。
【0056】
一旦、後述する適切な据付手段によってアクチュエータデバイス1がアクセスに据え付けられると、シェルを形成する成形部品6,7を分離することはできない。
【0057】
図の好ましいが排他的ではない構成によれば、アクチュエータピン3の据付第1端4は、フランジ9を備えた略円筒形状を有しており、フランジ9は、伸延軸Aに略直交し、略四角形形状を有し、面取りされるか丸みを帯びた縁を有し得る。
【0058】
フランジ9は、相互に90°回転した少なくとも1対の位置に基づいてフランジ9と略相補的な形状の前部分を有し、収容座8に挿入されるようになされるであろう。
【0059】
フランジ9と収容座8との間の形状の相補性は、円形形状でなければ、完全に組み立てられたときにアクチュエータピン3が据付体2に対して回転するのを防止するか、または少なくとも非常に限られた回転のみを許容する。
【0060】
アクチュエータピン3はまた、以下により明確に説明するように、組み立て中または使用後に生じ得る切換デバイスとアクチュエータデバイス1との間のあらゆる位置合わせミスの回復を可能にするために、静止位置にあるアクチュエータピン3の伸延軸Aと一致する軸Xに対して制限された振動および回転を有してもよい。
【0061】
この目的のため、収容座8の内部に存在してアクチュエータピン3の第1端4の円筒形部分に係合するバネその他の弾性要素10の存在は、アクチュエータピン3を関節接続したままにして、常に軸方向に位置合わせされた位置に戻ることを可能にする。
【0062】
据付体2はまた、エラストマー性鞘13を備えた前プレート11を有していてもよく、エラストマー性鞘13は、アクチュエータピン3が受ける衝撃を減衰させる任務を負い、アクチュエータピン3の関節接続の正しい可能性を損ない得る埃や破片が侵入する可能性に対しても、通路12を保護する。
【0063】
本発明の更に特に有利な態様によれば、据付体2は、利用可能な空間と選択された作動方法に基づいて、アクチュエータデバイス1を、これが据え付けられなければならない機械もしくはプラントまたは関連する保護の部分の相互に直交する2つの壁に、選択的に据え付け可能にするのに適した、第1据付手段および第2据付手段を備える。加えて、第1据付手段および第2据付手段は、利用可能な空間と選択された作動モードに基づいて、アクチュエータデバイス1を、相互に直交する2つの向きに従って壁の同じ表面に選択的に据え付け可能にするものとされている。
【0064】
図示の好ましいが排他的ではない構成では、第1据付手段は、伸延軸Aを横切る第1方向Yに沿って据付体2に作製された1対の第1貫通孔14を備える。更に多くの第1孔を設けるか、単一の第1孔をさえ設けることが可能であろうことが、理解される。
【0065】
第1孔14は、アクチュエータデバイス1を横方向に据え付けるための、図示しないネジ、ピン等のようなそれぞれの締結要素の挿入を可能にするであろう。
【0066】
各第1孔14は、不正加工防止プラグまたはシール15、すなわちその除去の証拠を与えるように設計されたプラグまたはシールによって閉鎖されていてもよい。
【0067】
第2据付手段は、1対の第2貫通孔16を備えており、第2貫通孔16は、常に据付体2に作製され、アクチュエータピン3の伸延軸Aに平行かつ第1孔14の横断伸延第1方向Yに直交する平面πにそれぞれの伸延軸を備える。
【0068】
2つの第2孔16は、アクチュエータデバイス1を前方向に据え付けるための、同じく図示しないネジ、ピン等のようなそれぞれの締結要素の挿入を可能にするであろう。
【0069】
図示の実施形態では、2つの第2孔16は、アクチュエータピン3の伸延軸Aを通過する据付体2の垂直対称平面でもある平面π上に、それぞれの中心を置いて配置されている。
【0070】
このケースでも、幾つかの第2孔、または単一の第2孔をさえ設けることが可能であろうこと、更には、第2孔16の各々が、それぞれ不正加工防止シール17、すなわちその除去の証拠を与えるように設計されたプラグによって閉鎖されてもよいことが、理解される。
【0071】
排他的ではないが好ましくは、第1孔14の第1伸延方向Yは、静止位置で考えるとアクチュエータピン3の伸延軸Aと直交する。
【0072】
第2孔16は、代わりに、アクチュエータピン3の伸延軸Aに平行で常に静止位置にあり、しかも第1の伸延方向Yと直交する、それぞれの第2方向Zに沿って、伸延するであろう。
【0073】
図示の実施形態によるアクチュエータデバイス1は、電子作動式安全アセンブリに、すなわち2つの部分間の存否信号の交換に続いて切換デバイスとの相互作用が生じるアセンブリに、挿入されるようになされている。
【0074】
この構成において、アクチュエータピン3は、切換デバイスに対する保持およびセンタリング要素として作用するようになされているのに加え、アクチュエータとしての機能も有している。
【0075】
具体的には、アクチュエータには、以下に説明するように存否信号を送信または受信することによって切換デバイス内に存在する受信型または送信型の第2通信要素と通信するようになされた、送信型または受信型の第1遠隔通信要素18が設けられる。
【0076】
第1通信要素18は、アクチュエータピン3の第2端5に作製された凹部19に収容され、プラグ32または樹脂コーティングや接着等のような他のシーリングシステムによって再び閉鎖されてもよい。
【0077】
安全スイッチの典型的な構成によれば、アクチュエータピン3は、切換デバイス内に収容された受信型の第2通信要素と遠隔で相互作用するようになされた送信型の第1通信要素18を収容しており、第2通信要素は、一旦、第1通信要素18が最短距離にあることになると、上記の存否信号によって第1通信要素18と通信するようになされている。
【0078】
代替一変形例によれば、アクチュエータピン3に収容される第1遠隔通信要素18は、第2遠隔通信要素によって送信された存否信号を受信する受信型であってもよく、従って、第2遠隔通信要素は、送信型となるであろう。
【0079】
第1実施形態によれば、受信型の要素は、送信型の要素によって送信された遠隔制御信号を受信するように設計されたRFID(Radio Frequency Identification)型のアンテナであってもよく、送信型の要素がアンテナから検出可能な最短距離にあるときには、代わりにトランスポンダであってもよい。
【0080】
具体的には、トランスポンダに、機械またはプラントの始動を可能にするために、受信要素によって受信され、CPUを適切に装備した安全アセンブリの制御手段によって認識されなければならない識別コードを備えたRFIDタグが設けられてもよい。
【0081】
コード認識は、高レベルのコーディングまたは低レベルのコーディングのどちらでの切換を望むかに応じて、固有であるか、または汎用であり得る。
【0082】
有利には、RFIDタグは、受信要素によって固有に認識され得るようにコードされてアクチュエータデバイス1に接続されたもの以外のアクチュエータの使用を防止し、アクセスの安全でない開放のリスクを回避するであろう。
【0083】
しかしながら、送信型の要素はまた、例えばキーアクチュエータのような電気機械的な作用を備えた別の型式のもの、或いは、磁気的、電磁的、光学的、機械的、誘導、圧力または類似の型式のセンサによって作動するものであってもよく、ひいては、受信要素が送信要素の性質に適合されるであろうことが、理解される。
【0084】
図9は、全体を20で示す安全アセンブリ内にあるアクチュエータデバイス1の、好ましいが排他的ではない適用を示している。
【0085】
この構成では、アセンブリ20は、産業用機械またはプラント用の安全境界へのアクセスを制御するための安全スイッチとして作動する。
【0086】
具体的には、アセンブリ20は、制御すべきアクセスの固定部分に据え付けられるようになされた切換デバイス21と、アクセスの可動部分に据え付けられるようになされたアクチュエータデバイス1と、を備える。
【0087】
なお、切換デバイス21およびアクチュエータデバイス1をアクセスのそれぞれの部分に据え付ける方法は、既知の型式のものであって、本発明の一部ではない。
【0088】
切換デバイス21は、図では見えていないがそれ自体が既知の構成である切換手段を内部に収容するケーシング22を備えており、切換手段は、機械またはプラントの主回路および/またはサービス回路および緊急回路に給電および/または制御するための1つまたは複数の電気回路および/または電子回路に、常に既知の方法で作動可能に接続されるのに適している。
【0089】
切換手段は、当分野で一般的に用いられているものから選択すればよく、またスイッチ20の機能性に応じて変化させてもよく、特に制約はない。
【0090】
切換手段の接続方法は、この型式の製品用の典型的なものから選択され得、それらについても、以下では詳細には説明しない。
【0091】
ケーシング22はまた、制御手段、例えば図示しないマイクロプロセッサまたはCPUを収容しており、制御手段は、それぞれの通信チャネルを通じて制御回路および/またはサービス回路からの入力信号を受信してそれらの正しい作動を検証するのに適している。
【0092】
このように、制御手段は、通信チャネルの1つからの通信信号が欠落している場合、または不適合が検出された場合に、エラー信号を送信するおよび/またはプラントを停止するように切換手段に命令してもよい。
【0093】
ケーシング22はまた、トップヘッド23を備えており、トップヘッド23は、以下に説明する方法に従って、アクチュエータデバイス1と相互作用してアクチュエータデバイス1と切換手段との相互作用を可能にするように設計される。
【0094】
この目的のため、ヘッド23には、前面25,26の少なくとも1つに作製された1つまたは複数のスロット24が設けられ、内部へのアクチュエータピン3の挿入と、その結果としての切換手段との相互作用と、が可能になるであろう。
【0095】
図9では、スイッチ20は、開放アクセス状態で表されており、ここでは、アクチュエータピン3がヘッド23から引き出されている一方、
図10では、スイッチ21は、必ずしも係止されていないがアクセスが閉鎖された状態で示されており、ここでは、アクチュエータピン3がスロット24の1つを通してヘッド23に挿入されている。
【0096】
図の好ましい実施形態では、スイッチ21は電子作動式とされ、すなわち、アクチュエータデバイス1と切換手段との間の相互作用がアクチュエータデバイス1から切換手段に送信される遠隔電子信号によって制御されて、アクチュエータデバイス1が切換デバイス21から所定の最短距離にあるときには、例えば、アクチュエータピン3の上記の第1通信要素18と、ヘッド23に収容された第2遠隔通信要素28との間の相互作用によって、アクセスは閉鎖された安全な状態に保持されるであろう。
【0097】
図11の断面図から分かるように、アクチュエータデバイス1は、切換デバイス21のヘッド23に挿入されているが係止されていないアクチュエータピン3を有し、ケーシング22は、アクチュエータピン3の係止/係止解除手段29を収容しており、ヘッド23内部には、アクチュエータピン3の挿入方向Wと直交する上下方向に沿って移動可能な係止ピン30が設けられている。
【0098】
係止ピン30は、アクチュエータピン3を係合してヘッド23の内部に保持する上昇したアクセス係止位置と、アクチュエータピン3が係止ピン30に係合しておらず、これに対応して切換手段が開放され得る下降した解除位置と、の間を移動するように設計されるであろう。
【0099】
次に、アクチュエータピン3には、係止ピン30の上端を挿入するための凹部31が設けられ、この凹部31は、アクチュエータピン3がヘッド23に完全に挿入されたときに係止ピン30と位置合わせされるような位置に配置されるであろう。
【0100】
なお、この文書において、「完全に挿入された」という表現は、アクセスが適切に閉じていると見なすことができるような、ヘッド23内部のアクチュエータピン3の位置をいう。
【0101】
凹部31は、適切な入口径の窪みによってまたは孔によってさえ画定されてよく、アクチュエータピン3の第2端5の下面に作製されて、解除ピン30上端の少なくとも部分的な挿入を可能にし、例えば、係止/係止解除手段29が係止構成にあるときにアクセスが開放されるのを防止する。
【0102】
第1通信要素18は、凹部31の上方に置かれるが、アクチュエータピン3の第2端5に組み込まれていてもよく、他方、第2通信要素28は、アクチュエータピン3がヘッド23に完全に挿入されたときに第1通信要素18と位置合わせされるように、ヘッド23の内部に配置されるであろう。
【0103】
幾つかの使用状況において、アクチュエータピン3の第2端5の向きは、それが挿入されるべきスロット24の向きと一致していなければならないことは明らかである。
【0104】
一例として、アクチュエータピン3の第2端5は、伸延軸A周りの旋回では画定されない断面を有してもよい。例えば、通信要素18の収容を容易にするため、第2端5の断面は、一方の辺が他方よりも大きい矩形形状を実質的に有していてもよい。
【0105】
更に、場合によっては、通信要素18の位置または型式が、それに対する優先的な通信方向を画定し得る。従って、第2端5は、通信要素18と、切換デバイス21の第2通信要素28と、の間の正しい通信を可能にするよう、適切に方向付けられなければならない。
【0106】
そのような場合、本発明によるアクチュエータの利点は更に明白である。
【0107】
実際のところ、据付体2とアクチュエータピン3との間の伸延軸A周りの相互回転が可能になるような状況は、一方では、第2端5の向きをスロット24の向きと一致するように保持することを可能にし、他の側面からは、据付体2の位置を、それが据え付けられるべき保護部分の型式に容易かつ迅速に適合させることを可能にする。
【0108】
スイッチの作動モードは、それ自体が既知の型式であるため、詳細には説明しない。
【0109】
以上より、本発明によるアクチュエータデバイスおよび関連する安全アセンブリが意図された目的を達成することは、明らかである。
【国際調査報告】