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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電気化学装置及び電気使用設備
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/342 20210101AFI20240920BHJP
   H01M 50/109 20210101ALI20240920BHJP
   H01M 50/655 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M50/342 101
H01M50/109
H01M50/655
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517416
(86)(22)【出願日】2023-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2023110806
(87)【国際公開番号】W WO2024046023
(87)【国際公開日】2024-03-07
(31)【優先権主張番号】202211054875.0
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100160691
【弁理士】
【氏名又は名称】田邊 淳也
(72)【発明者】
【氏名】黄 明悦
(72)【発明者】
【氏名】李 洋
(72)【発明者】
【氏名】趙 唯
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
5H023
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H012AA04
5H012BB03
5H012DD05
5H012FF01
5H012GG01
5H023AS01
5H023AS10
5H023CC11
5H023CC30
(57)【要約】
本願は、ハウジングと封止ピンとを含む電気化学装置及び電気機器を開示するものである。ハウジングには、貫通孔が設けられている。封止ピンは、ハウジングに設けられ、且つ貫通孔を遮蔽して封止する。封止ピンは薄弱領域を含み、薄弱領域の厚さは封止ピンの厚さより小さく、薄弱領域は互いに離間している開始端と終了端を含む。ハウジングの厚さをH1とし、封止ピンの厚さをH2とすると、0.1≦H2/H1≦0.7である。上述した電気化学装置は、内部気圧が増大したときに薄弱領域が突き破られ、排気し、圧力を放出することができるだけでなく、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと封止ピンとを含む電気化学装置であって、
前記ハウジングには、貫通孔が設けられており、
前記封止ピンは、前記ハウジングに設けられており、前記貫通孔を遮蔽して封止し、且つ薄弱領域を有し、
前記薄弱領域の厚さは前記封止ピンの厚さより小さく、前記薄弱領域は、互いに離間している開始端と終了端を含み、
前記ハウジングの厚さをH1とし、前記封止ピンの厚さをH2とすると、0.1≦H2/H1≦0.7である
ことを特徴とする電気化学装置。
【請求項2】
前記ハウジングは、頂壁と、側壁と、底壁とを含み、
前記側壁は、前記頂壁と前記底壁とを接続し、
前記貫通孔は、前記頂壁、前記側壁または前記底壁の何れかに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項3】
1/3≦H2/H1≦1/2であることを特徴と請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項4】
前記薄弱領域の厚さをH3とすると、0.2≦H3/H2≦0.9であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項5】
0.2≦H3/H2≦0.5であることを特徴とする請求項4に記載の電気化学装置。
【請求項6】
前記封止ピンの周長をL1とし、前記薄弱領域の長さをL2とすると、0.25≦L2/L1≦1.4であり、前記薄弱領域の長さL2は、前記薄弱領域の前記開始端から前記終了端までの全長であることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項7】
0.35≦L2/L1≦0.8であることを特徴とする請求項6に記載の電気化学装置。
【請求項8】
前記封止ピンには、第1凹部が設けられており、
前記第1凹部は、前記封止ピンの表面が窪んで形成されており、
前記第1凹部の底壁は、前記薄弱領域の部分表面を構成し、
前記封止ピンの厚さ方向に沿って見ると、前記第1凹部の投影は前記薄弱領域の投影と重なっていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項9】
前記第1凹部の開口部位の幅をW1とし、前記第1凹部の底壁の幅をW2とすると、W1/W2≧1.1であることを特徴とする請求項8に記載の電気化学装置。
【請求項10】
前記ハウジングには、第2凹部が設けられており、
前記第2凹部は、前記ハウジングの表面が窪むことによって形成されており、
前記貫通孔は、前記第2凹部を貫通し、
前記封止ピンの少なくとも一部は、前記第2凹部に収容され且つ前記第2凹部の底壁に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項11】
前記封止ピンは、前記第2凹部の底壁に固定して接続されており、
前記封止ピンと前記第2凹部の底壁との接触部分は、閉ループの接続領域を形成し、
前記封止ピンの厚さ方向において、前記接続領域の投影は、前記薄弱領域の投影を包囲することを特徴とする請求項10に記載の電気化学装置。
【請求項12】
前記第2凹部の深さをH4とすると、H4≧H2であることを特徴とする請求項10に記載の電気化学装置。
【請求項13】
10μm≦H2≦60μm、50μm≦H1≦300μmであることを特徴とする請求項1に記載の電気化学装置。
【請求項14】
60μm≦W1≦200μm、W2≧0であることを特徴とする請求項9に記載の電気化学装置。
【請求項15】
請求項1~14の何れか一項に記載の電気化学装置を備えることを特徴とする電気使用設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はエネルギー貯蔵技術分野に関し、特に電気化学装置及び電気使用設備に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハードケース電池の安全性を高めるために、通常はケースにおいて加工して薄弱領域を形成している。電池内の気圧が大きいと、電池内のガスがこの薄弱領域を突き破り、電池が排気して圧力を放出するようにできる。ハードケース電池はシェルが厚いため、薄弱領域を加工する際に、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量が大きく、加工コストが高くなることを招く。また、ハードケース電池のシェルはパンチ材が多く、その厚さの変動が大きく、薄弱領域の残りの厚さの精度が悪くなることを招き、それによって放圧効果に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような状況に鑑み、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を低減できる電気化学装置を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の実施形態は、ハウジングと封止ピンとを含む電気化学装置を提供する。ハウジングには貫通孔が設けられている。封止ピンは、ハウジングに設けられて、貫通孔を遮蔽して封止している。封止ピンは、薄弱領域を含む。薄弱領域は、厚さが封止ピンの厚さより小さく、開始端と末尾端を含む。開始端と終了端は、互いに離間している。ハウジングの厚さをH1とし、封止ピンの厚さをH2とすると、0.1≦H2/H1≦0.7である。
【0005】
上述の電気化学装置において、封止ピンの厚さはハウジングの厚さより小さく、非閉ループの薄弱領域は封止ピンに設けられ、薄弱領域の厚さは封止ピンの厚さより小さく、且つ封止ピンの厚さとハウジングの厚さとの比は0.1~0.7の間にある。これにより、電気化学装置は内部気圧が増大した時に薄弱領域を突き破って排気して圧力を放出することができるようにするだけでなく、同等の放圧要求を満たすことを前提として、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。
【0006】
本願の幾つかの実施形態では、1/3≦H2/H1≦1/2である。
【0007】
上記封止ピンの厚さとハウジングの厚さとの比は1/3~1/2の間にあり、封止ピンの構造強度を保証して、封止効果を確保することを前提として、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。
【0008】
本願の幾つかの実施形態では、ハウジングは頂壁、側壁及び底壁を含み、側壁は頂壁及び底壁に接続され、貫通孔は頂壁、側壁または底壁に設けられる。
【0009】
本願の幾つかの実施形態では、薄弱領域の厚さをH3とすると、0.2≦H3/H2≦0.9である。
【0010】
上記薄弱領域の厚さと封止ピンの厚さとの比は0.2~0.9の間にあり、電気化学装置内の気圧が増大した時に、薄弱領域を封止ピンより先に破裂させて、圧力を放出させることができるとともに、薄弱領域の加工難度を低減し、薄弱領域の加工品質を高めることができる。
【0011】
本願の幾つかの実施形態では、0.2≦H3/H2≦0.5である。
【0012】
上記薄弱領域の厚さと封止ピンの厚さとの比は0.2~0.5の間にあり、電気化学装置の圧力漏れ時の圧力閾値を低下させ、電気化学装置の安全性をさらに向上させることができる。
【0013】
本願の幾つかの実施形態では、封止ピンの周長をL1とし、薄弱領域の長さをL2とすると、0.25≦L2/L1≦1.4であり、薄弱領域の長さL2は薄弱領域の開始端から終了端までの全長である。
【0014】
上記の薄弱領域の長さと封止ピンの周長との比は0.25~1.4の間にあり、電気化学装置の内部の気圧が増大した時に、薄弱領域を封止ピンより先に破損させることによって、排気及び圧力漏れの効果を実現することができる。
【0015】
本願の幾つかの実施形態では、0.35≦L2/L1≦0.8である。
【0016】
上記薄弱領域の長さと封止ピンの周長との比は0.35~0.8の間にあり、電気化学装置内の放圧の精度を高め、電気化学装置内の気圧に対する安全制御を高めることができる。
【0017】
本願の幾つかの実施形態では、封止ピンには、封止ピンの表面が窪んで形成された第1凹部が設けられ、第1凹部の底壁は、薄弱領域の表面の一部を構成している。封止ピンの厚さ方向に沿って見ると、第1凹部の投影は薄弱領域の投影と重なり合っている。
【0018】
前記第1凹部は封止ピンにおける薄弱領域を構成し、電気化学装置内の気圧が増大する時に、内部ガスは薄弱領域を突き破って電気化学装置を排気して圧力を放出させて、電気化学装置の安全性を高めることができる。
【0019】
本願の幾つかの実施形態では、第1凹部の開口部位の幅をW1とし、第1凹部の底壁の幅はW2とすると、W1/W2≧1.1である。
【0020】
本願の幾つかの実施形態では、ハウジングには第2凹部が設けられ、第2凹部はハウジングの表面が窪むことによって形成され、貫通孔は第2凹部を貫通し、封止ピンの少なくとも一部は第2凹部に収容され且つ第2凹部の底壁に接続されている。
【0021】
上記封止ピンは第2凹部に部分的に収容され、且つ第2凹部の底壁に接続される。これにより、封止ピンの体積が電気化学装置の体積に与える影響を低減し、封止ピンが電気化学装置のエネルギー密度に与える影響を低減することができる。
【0022】
本願の幾つかの実施形態では、封止ピンは第2凹部の底壁に固定して接続され、封止ピンの第2凹部の底壁と接触する部分は閉ループの接続領域を形成しており、封止ピンの厚さ方向に沿って、接続領域の投影は薄弱領域の投影を包囲する。
【0023】
上記封止ピンは、第2凹部の底壁に固定して接続されており、且つ封止ピンと第2凹部との接続領域の投影は、薄弱領域の投影を包囲し、電気化学装置内のガスが薄弱領域に作用し、薄弱領域を突き破る可能性があるようにする。
【0024】
本願の幾つかの実施形態では、第2凹部の深さをH4とすると、H4≧H2である。
【0025】
前記第2凹部の深さは封止ピンの厚さよりも小さくなく、封止ピンが第2凹部の底壁を接続する際に、封止ピンの全てが第2凹部内に位置し且つ第2凹部から突出しないようにすることで、封止ピンの厚さが電気化学装置の容積又は外郭体積に与える影響を低減し、電気化学装置のエネルギー密度を高めることができる。
【0026】
本願の幾つかの実施形態では、10μm≦H2≦60μm、50μm≦H1≦300μmである。
【0027】
上述した側壁と封止ピンの厚さ範囲は、側壁及び封止ピンの構造強度を保証することを前提として、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、及び薄弱領域の加工後の残留厚さの精度を向上させることができる。
【0028】
本願の幾つかの実施形態では、60μm≦W1≦200μm、W2≧0である。
【0029】
上記第1凹部の開口部位及び底壁幅の寸法範囲は、薄弱領域を形成できるとともに、第1凹部を加工する際のシェルの除去量を減少させ、コストを節約することができる。
【0030】
本願の実施形態はまた、上記何れかの実施形態に記載の電気化学装置を含む電気使用設備を提供する。
【0031】
上述した電力使用設備において、電気化学装置は内部気圧が増大した時に薄弱領域を突き破って排気して圧力を放出することができるとともに、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減らすこともできる。さらに、電気化学装置の安全性を高める場合には、電気化学装置のコストを節約することができ、電気化学装置の内部気圧が大きすぎることによる電力使用設備への影響を低減し、電力使用設備のコストを節約した。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本願の一実施形態における電気化学装置の第1の図である。
図2】本願の一実施形態における電気化学装置の分解図である。
図3】本願の一実施形態における電気化学装置の第2の図である。
図4図3におけるIV―IV断面の部分構成図である。
図5】本願の一実施形態における封止ピンの構造概略図である。
図6図5に示された封止ピンの拡張実施例の構成図である。
図7図5に示された封止ピンの拡張実施例の構成図である。
図8】比較例4における封止ピンの構造概略図である。
図9】本願の一実施形態における電気使用装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の具体的な実施形態について、上述の図面に基づいて本願をさらに説明する。
以下、本願の実施形態の図面を参照しながら、本願の実施形態における技術的態様を説明するが、説明された実施形態は本願の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではないことは明らかである。
【0034】
1つの部品が他の部品に「連接される」と称される場合、それは直接に他の部品に連接されてもよいし、他の要素を介由して連接されてもよい。また、1つの部品が他の部品に「設けられる」と称される場合、それは直接に他の部品に設けられてもよいし、同時に中間媒体が存在してもよい。特に定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本願の技術分野に属する技術者が一般に理解するものと同じ意味である。本願の明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本願を制限するものではない。
【0035】
本発明の実施形態による電気化学装置は、ハウジングと封止ピンとを含む。ハウジングには、貫通孔が設けられている。封止ピンは、ハウジングに設置され、且つ貫通孔を遮蔽して封止している。封止ピンは、薄弱領域を含む。薄弱領域の厚さは、封止ピンの厚さより小さい。薄弱領域は、互いに離間している開始端と終了端とを含む。ハウジングの厚さをH1とし、封止ピンの厚さをH2とすると、0.1≦H2/H1≦0.7である。
【0036】
上述の電気化学装置において、封止ピンの厚さはハウジングの厚さより小さく、非閉ループの薄弱領域は封止ピンに設けられ、薄弱領域の厚さは封止ピンの厚さより小さく、封止ピンの厚さとハウジングの厚さとの比は0.1~0.7の間であり、これにより、電気化学装置は、内部気圧が増大した時に薄弱領域が突き破られ、排気し、圧力を放出することができるだけでなく、同等の放圧要求を満たすことを前提として、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。
【0037】
以下、図面を用いて本願の実施例についてさらに説明する。
【0038】
図1及び図2に示すように、本願の実施形態による電気化学装置100は、ハウジング10と、ハウジング10に設けられた封止ピン20と、ハウジング10の内部に設けられた電極アセンブリ30とを含む。ハウジング10には貫通孔111が設けられ、封止ピン20はハウジング10に設けられ、封止ピン20は貫通孔111を遮蔽して封止し、封止ピン20は薄弱領域21を含み、薄弱領域21の厚さは封止ピン20の厚さより小さく、薄弱領域21は互いに離間している開始端211と終了端212とを含む。ハウジング10の厚さをH1とし、封止ピン20の厚さをH2とすると、0.1≦H2/H1≦0.7である。
【0039】
上述の電気化学装置100では、封止ピン20はハウジング10に設けられ、封止ピン20の厚さはハウジング10の厚さよりも小さく、薄弱領域21は封止ピン20に設けられ、薄弱領域21の厚さは封止ピン20の厚さよりも小さく、封止ピン20の厚さとハウジング10の厚さとの比は0.1~0.7の間である。これにより、電気化学装置100は内部気圧が増大した時に薄弱領域21を突き破って排気して圧力を放出させることができるだけでなく、同等の放圧要求を満たすことを前提として、薄弱領域21を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。また、薄弱領域21の開始端211と終了端212とは互いに離間しており、薄弱領域21に囲まれた領域を非閉ループの構造としている。この場合、電気化学装置100内のガスが薄弱領域21を突き破ると、薄弱領域21が破損した部分が開口構造を形成するが、開始端211と終了端212との間の部分は接続構造とすることができ、薄弱領域21に囲まれた部分が封止ピン20から離脱することを回避し、封止ピン20における部分構造が内部ガスによって吹き飛ばされることによる外部環境への影響、例えば衝撃で人を傷つけるなどを防止する。
【0040】
一実施例では、1/3≦H2/H1≦1/2であり、封止ピン20の構造強度を保証して、封止効果を確保することを前提として、薄弱領域21を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。そして、封止ピン20の厚さはハウジング10より薄く、且つより均一であるので、薄弱領域21を加工した後、封止ピン20の残りの厚さの精度も高く、圧力漏れ効果の向上に有利である。オプションとして、H2/H1=0.4である。
【0041】
一実施例において、ハウジング10の材質はステンレスであり、ハウジング10の構造強度を保証することを前提として、ハウジング10の厚さを減少させ、ハウジング10の厚さが電気化学装置100のエネルギー密度に与える影響を減少させることができる。一実施例では、50μm≦H1≦300μmである。ハウジング10の厚さ範囲は、その構造強度が電気化学装置100の設計要求を満たすことを保証できるとともに、その厚さが電気化学装置100のエネルギー密度に対する影響を小さくすることができる。一実施例では、100μm≦H1≦200μmである。オプションとして、H1=150μmである。
【0042】
一実施例において、封止ピン20の材質はステンレスであり、封止ピン20の構造強度を保証することを前提として、封止ピン20の厚さを減少させることができ、それによって薄弱領域21を加工する際のシェルの除去量を減少させ、コストを節約することができる。また、封止ピン20の厚さが小さく、その厚さ精度を高めることができ、さらに薄弱領域21の残留厚さの精度を高め、電気化学装置100の放圧精度を高めることができる。一実施例では、10μm≦H2≦60μmである。封止ピン20の厚さ範囲は、その構造強度が電気化学装置100の設計要求を満たすことを保証できるだけでなく、薄弱領域21を加工する際のシェルの除去量を減少して、コストを節約できる。一実施形態では、20μm≦H2≦40μmである。オプションとして、H2=30μmである。
【0043】
ハウジング10は、頂壁11と収容体12とを含む。収容体12は、開口を有する。頂壁11は、収容体12を接続し、且つ収容体12の開口を閉鎖することができる。これによって、電極アセンブリ30を収容するできる収容空間13を形成する。一実施例では、頂壁11と収容体12とは、溶接によって接続されている。一実施例では、収容体12の材質は、ステンレスであり、収容体12の構造強度を保証することを前提に、収容体12の厚さを減少させ、さらに収容体12の厚さが電気化学装置100のエネルギー密度に与える影響を減少させることができる。
【0044】
収容体12は、頂壁11と底壁122とを接続する側壁121と、底壁122とを備える。頂壁11、側壁121及び底壁122は、取り囲んで収容空間13を形成する。一実施形態では、側壁121と底壁122とは、溶接により接続されている。一実施例では、側壁121と底壁122は一体成形構造であり、プレスにより形成される。一実施例では、頂壁11と底壁122は、プレスによって形成された一体構造であり、側壁121と底壁122は溶接によって接続されている。
【0045】
一実施形態では、貫通孔111は頂壁11を貫通し、封止ピン20は頂壁11に設けられている。一実施例では、貫通孔111は底壁122を貫通し、封止ピン20は底壁122(図示せず)に設けられている。例示的には、以下、貫通孔111が頂壁11を貫通し、封止ピン20が頂壁11に設けられることを例にして、さらに説明する。
【0046】
本願発明において、頂壁11の厚さはH1である。オプションとして、側壁121及び底壁122の厚さもH1である。
【0047】
一実施例では、封止ピン20は、頂壁11に連結された底板23を含む。薄弱領域21は底板23に設けられ、封止ピン20の厚さH2は底板23の厚さである。他の実施形態では、封止ピン20は、底板23に設けられた他の構造(図示せず)、例えばゴム突起などを含む。
【0048】
一実施例では、電極アセンブリ30は、第1電極シート、第2電極シート及びセパレータ(図示せず)を含む。セパレータは、第1電極シートと第2電極シートとの間に設けられる。第1電極シート、セパレータ及び第2電極シートは、電極アセンブリ30を形成するために積層または巻設されている。オプションとして、第1電極シート、セパレータ、及び第2電極シートが順次に積層するように配置される。
【0049】
一実施例では、第1電極シート及び第2電極シートのうち一方は正極シートであり、第1電極シート及び第2電極シートのうちの他方は負極シートである。
【0050】
例示的には、以下では、第1電極シート、セパレータ及び第2電極シートが順次積層して配置される例についてさらに説明する。
【0051】
一実施例では、電極アセンブリ30は、複数の第1電極シート、セパレータ、及び第2電極シートを含む。セパレータは、隣接する第1電極シートと第2電極シートとの間に設けられる。
【0052】
一実施例では、電気化学装置100は、頂壁11に設けられた極柱(図示せず)をさらに含む。極柱の一部は頂壁11において露出する。複数の第1電極シートのうちの少なくとも1つは、収容体12に電気的に接続される。複数の第2電極シートのうちの少なくとも1つは、極柱に電気的に接続される。収容体12と極柱は、それぞれ電気化学装置100の正極と負極を構成する。一実施例では、電気化学装置100はボタン電池である。
【0053】
一実施形態において、電気化学装置100はさらに絶縁部材(図示せず)を含む。極柱の一部は、ハウジング10の内部に位置する。絶縁部材は、極柱と頂壁11とを絶縁的に接続して、極柱が頂壁11と電気的に接続することに起因する電気化学装置100の短絡リスクを低減する。
【0054】
一実施例では、すべての第1電極シートは収容体12に電気的に接続され、すべての第2電極シートは極柱に電気的に接続される。
【0055】
一実施例では、頂壁11には第2凹部112が設けられ、第2凹部112は頂壁11の表面が窪むことによって形成され、貫通孔111は第2凹部112を貫通し、封止ピン20の少なくとも一部は第2凹部112内に位置し、封止ピン20は第2凹部112の底壁に接続されている。封止ピン20は、第2凹部112に部分的に収容され、且つ第2凹部112の底壁に接続される。これにより、封止ピン20の体積が電気化学装置100の体積に与える影響を低減し、封止ピン20が電気化学装置100のエネルギー密度に与える影響を低減することができる。一実施例では、底板23は第2凹部112内に位置している。
【0056】
一実施例では、第2凹部112は頂壁11の収容空間13から離れる側に設けられ、封止ピン20は収容空間13の外に位置する。他の実施形態では、第2凹部112は、頂壁11の収容空間13に近い側(図示せず)に設けられ、封止ピン20の一部は収容空間13内に位置する。
【0057】
図2図3及び図4に示すように、一実施例では、底板23は第2凹部112の底壁に固定して接続され、底板23と第2凹部112の底壁とが接触する部分はクローズドループの接続領域113を形成する。底板23の厚さ方向に沿って、接続領域113の投影は薄弱領域21の投影を包囲して、電気化学装置100内のガスを薄弱領域21に作用させ、薄弱領域21を突き破ることを可能にする。一実施例では、底板23の厚さ方向に沿って、薄弱領域21の投影は貫通孔111の投影内に位置する。
【0058】
一実施例では、底板23は第2凹部112の底壁に溶接により固定して接続され、底板23と第2凹部112の底壁との溶接領域は接続領域113を構成し、これにより、固定および接続の効果を果たすだけでなく、封止の役割も果たし、底板23と第2凹部112との間の隙間を通じてハウジング10内の物質が流出するリスクを低減することができる。
【0059】
一実施例では、第2凹部112の深さはH4であり、H4≧H2であり、底板23が第2凹部112の底壁に接続されているときに、底板23のすべてが第2凹部112内に位置し且つ第2凹部112から突出しておらず、底板23の厚さが電気化学装置100の容積や外郭体積に与える影響を低減し、電気化学装置100のエネルギー密度を高めることができる。オプションとして、H4>H2である。
【0060】
一実施例では、底板23の周長をL1とし、薄弱領域21の長さをL2とすると、0.25≦L2/L1≦1.4であり、電気化学装置100の内部の気圧が増大した時に、薄弱領域21を底板23の他の部分より先に破損させ、排気及び圧力漏れを実現することができる。ここで、薄弱領域21の長さL2は、薄弱領域21の開始端211から終了端212までの全長である。
【0061】
一実施例において、0.35≦L2/L1≦0.8であり、電気化学装置100内の放圧時圧力の精度を高め、電気化学装置100内の気圧に対する安全制御を高めることができる。オプションとして、L2/L1=0.5である。
【0062】
一実施例において、薄弱領域21の厚さをH3とすると、0.2≦H3/H2≦0.9であり、電気化学装置100内の気圧が増大した時に、薄弱領域21を底板23の他の部分より先に破裂させて圧力を放出させることができ、また薄弱領域21の加工難度を低減し、薄弱領域21の加工品質を高めることができる。
【0063】
一実施例において、0.2≦H3/H2≦0.5であり、電気化学装置100の圧力降下閾値を低下させ、電気化学装置100の安全性能をさらに向上させることができる。オプションとして、H3/H2の値は0.2、0.3、0.4、及び0.5のうちの何れかである。
【0064】
一実施例において、底板23には、底板23の表面が窪んで形成された第1凹部22が設けられる。第1凹部22の底壁は、薄弱領域21の部分表面を構成している。底板23の厚さ方向に沿って見ると、第1凹部22の投影は薄弱領域21の投影と重なっている。第1凹部22は、底板23の部分領域の厚さを薄くして、薄弱領域21を形成する。電気化学装置100内の気圧が増大するときに、内部ガスは薄弱領域21を突き破って、電気化学装置100に排気させて、圧力を放出させて、電気化学装置100の安全性を高めることができる。
【0065】
一実施例では、第1凹部22の開口部位の幅をW1とし、第1凹部22の底壁の幅をW2とすると、W1/W2≧1.1であり、第1凹部22の横断面は底部よりも開口の方が大きい窪み構造を呈している。電気化学装置100の内部のガスが薄弱領域21を突き破ると、第1凹部22の底壁は破損し、ガスは第1凹部22の底部から第1凹部22の開口部位を介して流出する。第1凹部22の開口が底部よりも大きい構造は、ガスの流れに対する抵抗を低減し、第1凹部22内にガスが溜まるリスクを低減し、ガスを迅速に排出させることができる。オプションとして、W1/W2=1.5である。オプションとして、第1凹部22の断面は台形構造である。
【0066】
一実施例では、60μm≦W1≦200μmである。第1凹部22の開口部位における幅の寸法範囲は、第1凹部22を加工する際のシェルの除去量を減少させ、コストを節約することができる。一実施例では、100μm≦W1≦160μmである。オプションとして、W1=120μmである。
【0067】
一実施例では、W2≧0であり、これにより、電気化学装置100内の気圧が増大した時に突き破られ、次いで排気されることができるように、第1凹部22の底部に封止ピン20の薄弱領域21を形成することができる。
【0068】
一実施例では、第1凹部22の開口は、収容空間13から離反する方向を向いている。他の実施例では、第1凹部22の開口は収容空間13に向い、且つ収容空間13(図示せず)と連通する。
【0069】
一実施例では、第1凹部22はレーザーエッチング加工により形成される。
【0070】
一実施例では、電気化学装置100は、貫通孔111を介してハウジング10内に電解液を注入し、封止ピン20の第2凹部に接続される底壁は、貫通孔111を封止するために用いられる。
【0071】
一実施例において、底板23は板状構造であり、底板23の厚さは比較的に均一であり、収容体12はプレス構造であり、収容体12の厚さの誤差はより大きい。収容体12に薄弱領域21を設けることに比べて、底板23に薄弱領域21を設けることは、薄弱領域21の加工後の残留厚さの寸法精度を向上させ、さらに電気化学装置100の圧力漏れ効果を高めることができる。
【0072】
図5に示すように、一実施例では、底板23の厚さ方向に沿って見ると、薄弱領域21の軌跡形状は略円弧状であり、開始端211と終了端212との間の薄弱領域21の部分の中心角をR1とし、R1>180°である。オプションとして、R1=270°である。
【0073】
図6に示すように、一実施例では、R1=180°である。
【0074】
図7に示すように、一実施例では、底板23の厚さ方向に沿って見ると、薄弱領域21の軌跡形状は略e型であり、薄弱領域21の長さを延長して、さらに電気化学装置100内の薄弱領域21を介して圧力を放出する時の気圧閾値を小さくすることができる。
【0075】
本願における電気化学装置100の放圧効果を検証するためにテストを行ったが、具体的な情報は以下の通りである。
【0076】
[実施例1]
本願の何れか1つの実施形態に記載の電気化学装置100を採用する。そのうち、頂壁11、収容体12及び封止ピン20の材質はいずれも316Lステンレス鋼であり、頂壁11と収容体12との厚さはいずれも150μmであり、底板23の厚さは45μmであり、封止ピン20の周長は2.1*πmmであり、接続領域113の周長は1.6*πmmであり、第1凹部22の開口部位の幅は110μmであり、第1凹部22の深さは24±6μmであり、薄弱領域21の軌跡は図5に示すような形状であり、薄弱領域21の軌跡長は1.2*πmmである。
【0077】
テスト環境は、次の通りである。電気化学装置100を満充電状態で熱箱に入れ、熱箱の内部環境温度は180℃~200℃であり、放置時間は30分である。
【0078】
10組の全く同じである電気化学装置100を上記のテスト環境に置き、テストが完了すると、10組の電気化学装置100の状態及び薄弱領域21が破損した状態及び数を記録する。高温(180℃~200℃)の環境下で、電気化学装置100の内部に大量のガスと熱が発生したため、もし電気化学装置100が爆発せず、かつ薄弱領域21に亀裂現象が発生すれば、当該電気化学装置100は排気及び圧力の漏洩を完成でき、テスト結果が合格であることを示す。電気化学装置100が爆発するかまたは薄弱領域21が完全に損傷していない場合には、当該電気化学装置100は薄弱領域21で排気して圧力の漏洩を完了できなく、テスト結果が不合格であることを示す。
【0079】
[実施例2]
テスト条件及び環境が実施例1と異なる点は、薄弱領域21の形状及び長さのみにある。実施例2において、薄弱領域21の軌跡は、図6に示すような形状であり、その長さがπ/2mmである。
【0080】
[実施例3]
テスト条件及び環境が実施例1と異なる点は、薄弱領域21の形状及び長さのみにある。実施例3において、薄弱領域21の軌跡は、図7に示すような形状であり、その長さが(1.2*π+1.2)mmである。
【0081】
実施例1、実施例2及び実施例3でテストする際に、各10組の電気化学装置100における薄弱領域21の破損数を記録する。
【0082】
[比較例]
テスト条件及び環境が実施例1と異なる点は、薄弱領域21の形状及び長さのみにある。比較例におけて、薄弱領域21の軌跡は図8に示すような直線であり、その長さが1.2mmである。
【0083】
比較例でテストする際に、10組の電気化学装置100における薄弱領域21の破損数を記録する。
【0084】
次の表に示すように、上記の4組のデータを比較する。
【0085】
【表1】
【0086】
上記の表から、3つの実施例では、すべての電気化学装置100は薄弱領域21を通じて気圧を排出することに成功したが、比較例に係る電気化学装置100は本願の実施例を採用しておらず、比較例における電気化学装置100は薄弱領域21を通じて気圧を排出することはほとんどできないことが分かる。
【0087】
以上のように、本願の電気化学装置100では、封止ピン20はハウジング10に設けられ、封止ピン20の厚さはハウジング10の厚さよりも小さく、非閉ループの薄弱領域21は封止ピン20に設けられ、薄弱領域21の厚さは封止ピン20の厚さよりも小さく、且つ封止ピン20の厚さとハウジング10の厚さとの比は0.1~0.7の間にある。これにより、電気化学装置100は、内部気圧が増大した時に薄弱領域21を突き破って排気して圧力を放出させることができるだけでなく、同等の放圧要求を満たすことを前提下で、薄弱領域を加工する際のシェルの除去量を減少させ、加工コストを節約することができる。
【0088】
図9に示すように、本願の実施形態はさらに、上記の何れかの実施形態に記載の電気化学装置100を含む電気使用設備200を提供する。電気化学装置100は、電気化学装置200に電気エネルギーを提供することができる。
【0089】
一実施例では、電気使用設備200は、ドローン、携帯電話、腕時計、タブレット及びノートパソコンなどの電子デバイスを含む。
【0090】
上述した電気使用設備200において、電気化学装置100は内部気圧が増大した時に薄弱領域21を突き破って排気して圧力を放出させることができるとともに、薄弱領域21を加工する際のシェルの除去量を減らすこともできる。そして、電気化学装置100の安全性を高める前提下で、電気化学装置100のコストを節約し、電気化学装置100の内部気圧が大きすぎることによる電気使用設備200への影響を低減し、電気使用設備200のコストを節約することができる。
【0091】
また、当業者は本願精神内で本願発明に対して変更することができるが、もちろん、これらの本願の精神に基づいて行われた変化は、いずれも本願に開示された範囲に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0092】
100 電気化学装置
10 ハウジング
11 頂壁
111 貫通孔
112 第2凹部
113 接続領域
12 収容体
121 側壁
122 底壁
13 収容空間
20 封止ピン
21 薄弱領域
211 開始端
212 末端
22 第1凹部
23 底板
30 電極アセンブリ
200 電気使用設備
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】