(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】集積オンチップワイヤレス光通信端末
(51)【国際特許分類】
H04B 10/112 20130101AFI20240920BHJP
G02F 1/01 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04B10/112
G02F1/01 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517498
(86)(22)【出願日】2022-08-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-14
(86)【国際出願番号】 US2022041180
(87)【国際公開番号】W WO2023048876
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2022-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】エルクメン,バリス
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクリー,デビン
(72)【発明者】
【氏名】エップ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ムーディー,ジョン
【テーマコード(参考)】
2K102
5K102
【Fターム(参考)】
2K102BA01
2K102BB04
2K102BD01
2K102BD09
2K102DC08
2K102EA21
2K102EA25
2K102EB02
2K102EB10
2K102EB20
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5K102AA24
5K102AL23
5K102AL28
5K102PB01
5K102PB02
5K102PB03
5K102PH15
5K102PH31
5K102PH41
5K102RB01
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】 1つ以上のフォトニック集積チップ上に集積され得るワイヤレス光通信端末のためのシステムアーキテクチャを提供することである。
【解決手段】 自由空間光通信システムは、光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップ(114)と、送受信機フォトニック集積チップ(112)と、1つ以上のプロセッサ(104)とを含む。OPAチップは、複数のアレイ要素(120)と、複数の移相器(121)とを含む。送受信機チップは、1つ以上の送信機構成要素(116)及び1つ以上の受信機構成要素(118)を含む。1つ以上のプロセッサは、OPAチップ及び送受信機チップを介して第1の信号を送信し(402)、OPAチップ及び送受信機チップを介して第2の信号を受信する(410)ように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由空間光通信システムであって、
光フェーズドアレイ(OPA)チップであって、
複数のアレイ要素と、
複数の移相器と、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)チップと、
送受信機チップであって、
1つ以上の送信機構成要素と、
1つ以上の受信機構成要素と、を含む、送受信機チップと、
1つ以上のプロセッサであって、
前記OPAチップ及び前記送受信機チップを介して第1の信号を送信し、
前記OPAチップ及び前記送受信機チップを介して第2の信号を受信する、ように構成された、1つ以上のプロセッサと、
を備える、自由空間光通信システム。
【請求項2】
自由空間からの光を捕捉し、前記OPAチップからの光を透過する望遠鏡を形成する複数のレンズを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
シングルモードサーキュレータと、前記OPAチップと前記シングルモードサーキュレータとを接続するシングルモード導波路と、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の送信機構成要素がシードレーザを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の受信機構成要素がセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記1つ以上の受信構成要素が、減衰器及び増幅器を更に含む、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記送受信機チップと前記OPAチップとの間で前記第1の信号の利得を増加させる増幅器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ステアリングミラーを更に備え、
前記1つ以上のプロセッサが、前記ステアリングミラーを制御して、前記第1の信号及び前記第2の信号の波面又はポインティング方向を調整するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
光通信のための波面補正を実行する方法であって、前記方法が、
通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて、第1の光通信ビームを受信することと、
前記通信システムの1つ以上のプロセッサによって、前記フォトニック集積チップ上にある複数の移相器において、前記第1の光通信ビームの位相面を測定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記測定された位相面に基づいて前記第1の光通信ビームの波面誤差を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記決定された波面誤差に基づいて、前記通信システムの波面又はポインティング方向を調整することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記フォトニック集積チップ及び前記調整された波面又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記位相面を測定することが、前記複数の移相器における位相シフト設定を検出することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記波面誤差の前記決定が、チップ項及びチルト項を決定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、ミラーの機械的ステアリングを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、前記複数の移相器を使用する電子ステアリングを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、
より大規模な低周波数調整のために二次ステアリング要素を制御することと、
より小規模な高周波数調整のために前記フォトニック集積チップを制御することと、を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第1のセットが、前記位相面の前記測定、前記波面誤差の前記決定、及び前記波面又はポインティング方向の前記調整を実行し、
前記1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第2のセットが、前記第2の光通信ビームの送信を実行する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記位相面の前記測定、前記波面誤差の前記決定、及び前記波面又はポインティング方向の前記調整が、フィードバックループを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記フィードバックループを使用して、前記第1の光通信ビームの変化を追跡することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、光通信のための波面補正を実行するための方法を実施することであって、前記方法が、
通信システム内のフォトニック集積チップ上にある複数の移相器において第1の光通信ビームの位相面を測定することであって、前記第1の光通信ビームが、前記フォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて受信されている、第1の光通信ビームの位相面を測定することと、
前記測定された位相面に基づいて前記第1の光通信ビームの波面誤差を決定することと、
前記決定された波面誤差に基づいて、前記通信システムの波面又はポインティング方向を調整することと、
前記フォトニック集積チップ及び前記調整された波面又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信することと、
を含む、方法を実施する、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項19】
前記位相面を測定することが、前記複数の移相器における位相シフト設定を検出することを含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項20】
前記波面誤差の前記決定が、チップ項及びチルト項を決定することを含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項21】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、
ミラーの機械的ステアリング、
前記複数の移相器を用いた電子ステアリング、又は
より大規模な低周波数調整のために二次ステアリング要素を制御し、より小規模な高周波数調整のために前記フォトニック集積チップを制御すること、を含む、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年8月18日に出願された米国特許出願第17/890,378号及び2021年9月21日に出願された米国仮特許出願第63/246,599号の出願日の優先権と利益を主張するものであり、それらの全開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ワイヤレス光通信は、送信ビームの狭い角度幅によって提供される高い利得に部分的に起因して、高スループット及び長距離通信を可能にする。しかしながら、狭いビームはまた、遠隔端で端末開口部に位置合わせされたままにするために、正確かつ能動的に向けられなければならないことを必要とする。このポインティングは、ビームを操縦するように作動される小型ミラー(例えば、MEMS又はボイスコイルベースの高速ステアリングミラー機構)によって達成され得る。他の実装形態では、可動部分のないビームの電気光学ステアリングが、ビームを操縦するために使用され、これは、コスト、寿命、及び性能の利点を提供する。光フェーズドアレイ(OPA)は、適応光学、ポイントツーマルチポイントサポート、及びメッシュネットワークトポロジに対して追加の利点を有する重要な技術構成要素である。OPA内の各能動要素は、電気光学位相シフト能力を必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本開示の態様は、自由空間光通信システムを提供する。自由空間光通信システムは、複数のアレイ要素と複数の移相器とを有する光フェーズドアレイ(OPA)チップと、1つ以上の送信機構成要素と、1つ以上の受信機構成要素とを有する送受信機チップと、OPAチップ及び送受信機チップを介して第1の信号を送信し、OPAチップ及び送受信機チップを介して第2の信号を受信するように構成された1つ以上のプロセッサと、を含む。
【0004】
一例では、システムはまた、自由空間からの光を捕捉し、OPAチップからの光を透過する望遠鏡を形成する複数のレンズを含む。別の例では、システムはまた、シングルモードサーキュレータと、OPAチップとシングルモードサーキュレータとを接続するシングルモード導波路と、を含む。更なる例では、1つ以上の送信機構成要素はシードレーザを含む。更に別の例では、1つ以上の受信機構成要素はセンサを含む。この例では、1つ以上の受信構成要素はまた、減衰器及び増幅器を含む。
【0005】
また更なる例では、システムはまた、送受信機チップとOPAチップとの間で第1の信号の利得を増加させる増幅器を含む。別の例では、システムはまた、ステアリングミラーを含み、1つ以上のプロセッサはまた、ステアリングミラーを制御して、第1の信号及び第2の信号の波面又はポインティング方向を調整するように構成される。
【0006】
本開示の他の態様は、光通信のための波面補正を実行するための方法を提供する。方法は、通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて、第1の光通信ビームを受信することと、通信システムの1つ以上のプロセッサによって、フォトニック集積チップ上にある複数の移相器において、第1の光通信ビームの位相面を測定することと、1つ以上のプロセッサによって、測定された位相面に基づいて第1の光通信ビームの波面誤差を決定することと、1つ以上のプロセッサによって、決定された波面誤差に基づいて、通信システムの波面又はポインティング方向を調整することと、1つ以上のプロセッサによって、フォトニック集積チップ及び調整された波面又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信することと、を含む。
【0007】
一例では、位相面を測定することが、複数の移相器における位相シフト設定を検出することを含む。別の例では、波面誤差の決定が、チップ項及びチルト項を決定することを含む。更なる例では、波面又はポインティング方向の調整が、ミラーの機械的ステアリングを含む。更に別の例では、波面又はポインティング方向の調整が、複数の移相器を使用する電子ステアリングを含む。更に別の例では、波面又はポインティング方向の調整は、より大規模な低周波数調整のために二次ステアリング要素を制御し、より小規模な高周波数調整のためにフォトニック集積チップを制御すること、を含む。
【0008】
別の例では、1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第1のセットが、位相面の測定、波面誤差の決定、及び波面又はポインティング方向の調整を実行し、1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第2のセットが、第2の光通信ビームの送信を実行する。この例では、位相面の測定、波面誤差の決定、及び波面又はポインティング方向の調整が、フィードバックループを含む。更にこの例では、方法はまた、フィードバックループを使用して、第1の光通信ビームの変化を追跡することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の態様による、第1の通信デバイス及び第2の通信デバイスのブロック
図100である。
【
図2】本開示の態様による、
図1の第1の通信デバイスのための例示的なシステムアーキテクチャの絵
図200である。
【
図3】本開示の態様によるネットワークの絵図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概要
本技術は、1つ以上のフォトニック集積チップ上に集積され得るワイヤレス光通信端末のためのシステムアーキテクチャに関する。システムアーキテクチャは、複数の機能を組み合わせて合理化し、ポインティング/ビームステアリング、取得、及び追跡における革新を活用するように構成され得る。例えば、チップは、位置合わせ機能及び通信機能の両方に使用されてもよく、これは、別個の位置合わせ又は追跡アーキテクチャからの任意のボアサイト誤差を排除する。システムアーキテクチャは、フォトニック集積送受信機及びソフトウェア定義光モデムを含むことができる。
【0011】
システムアーキテクチャは、入射ビームの波面補正を提供するように設計された光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積回路又はチップを含むことができる。特に、OPAチップは、波面補正を提供するための十分に高い空間分解能を提供するために十分に高い要素数及び密度を有するOPAを用いて設計され得る。OPAチップは、OPAのアレイ要素によって受信される信号及びOPAのアレイ要素から送信される信号を制御するように構成された複数の移相器を含み得る。OPAチップはまた、光ビームを受信及び送信するための単一の送受信機構成要素に接続された単一経路の完全に相反的な光学設計を含み得る。
【0012】
入射ビームの到来角を更に調整して、入射ビームを端末のセンサ又は光ファイバにより良好に位置決めするために、二次ステアリング要素をシステムに含めることができる。二次ステアリング要素は、高速ステアリング/高速ポインティングミラーなどのステアリングミラー、又はアクチュエータによって制御される他のタイプのステアリング可能要素であってもよい。あるいは、二次ステアリング要素は、液晶、空間光変調器、又は他のタイプの信号変調手段であってもよい。
【0013】
システムの1つ以上のプロセッサは、入射ビームの到来角を決定するためにOPAを使用してもよい。例えば、入射ビームの位相面は、OPAの各アレイ要素で受光されたビーム部分及びOPA全体の空間分解能に基づいて測定及び抽出され得る。すなわち、入射ビームに対する複数の移相器の位相シフト設定を抽出し、波面誤差及び対応する波面補正を計算するために使用することができる。波面誤差は、チップ及びチルト項(例えば、推定された到来角の項)、並びにビームの他の変動に関連する高次項を含み得る。ビームの変動は、環境外乱、大気乱流、又は他の外部要因によって引き起こされる可能性がある。
【0014】
1つ以上のプロセッサは、計算された波面補正に基づいて、機械的ステアリング又は電子ステアリングを引き起こし得る。例えば、1つ以上のプロセッサは、波面補正を行うために、二次ステアリング要素、OPA、又はその両方を制御することができる。ハイブリッド追跡構成では、二次ステアリング要素は、より大規模及び/又は低周波数調整のために制御されてもよく、OPAは、より小規模及び/又はより高い周波数調整のために制御されてもよい。入射ビームに対して波面補正が実施されると、このシステムアーキテクチャの単一送受信設計は、本質的に、同じ補正に基づいて端末からの送信ビームの事前補正波形歪みを実行する。大気乱流におけるビーム伝搬の相反性は、局所的に受信された補正に基づく事前歪みが、通信リンクにわたる逆方向における電力結合を最大化することを保証する。
【0015】
システムアーキテクチャはまた、従来のディスクリート構成要素であるフォトニクスを完全に統合するオンチップシングルモード送受信機を含んでもよい。例えば、フィルタ、マルチプレクサ、デマルチプレクサ、光検出器、光増幅器、可変光減衰器、及び電子回路などのフォトニクスを単一チップ上に集積することができる。送受信機チップは、端末によって受信及び送信される光ビームを受信及び処理するように構成される。いくつかの実装形態では、送受信機チップは、OPAチップの一部として統合され得る。
【0016】
全体として、この設計はまた、シングルモードファイバに結合するために、高価な適応光学を使用するシステムでのみ以前に達成可能であった感度及びデータレートで依然として動作することができる低コストシステムを可能にする。集積チップ設計は、送受信機及びフィルタ構成要素などの構成要素の調達及び製造に関連するコスト削減を可能にする。システムアーキテクチャはまた、有利には、IM/DD(強度変調及び直接検出)及びコヒーレント(ホモダイン、ヘテロダイン、イントラダイン)システムの両方をサポートする。
【0017】
この設計では、ビーコンビーム、専用光学、又は専用センサなど、追跡又は位置合わせに専用の構成要素をシステムから省略することができる。追跡/位置合わせ構成要素を通信リンクと位置合わせするための労働集約的な製造及び保守ステップも省略することができる。送信アーキテクチャと受信アーキテクチャとが構成要素及び経路を共有するので、送信アーキテクチャと受信アーキテクチャとの間の位置合わせのための製造及び保守ステップにおいて同様の省略を行うことができる。
【0018】
加えて、OPAを使用する光電気ビームステアリングは、光機械ビームステアリングの代わりに、位置合わせ及び追跡のための主要手段であり得、より少ない移動構成要素及びより少ない誤差をもたらす。追加又は代替として、システム内に二次ステアリング要素を含むことは、1000個未満の要素などの比較的少ない要素数を有するOPAの使用を可能にし、これは、とりわけ、製造、電力消費、熱管理、及び電気的インタフェースにおいてOPAに関連するコストを低減し得る。いくつかの他の例では、OPAは、すべてのステアリング能力を達成するために十分に大きい要素密度及び数で設計されてもよく、これは、システムからすべての他のステアリング構成要素を完全に省略することを可能にする。
【0019】
全体として、光通信端末のためのこのシステムアーキテクチャは、光学構成要素の数、アセンブリ公差、光学品質要件を低減し、したがって、最終的に、光学アセンブリ及びワイヤレス光通信端末のコストを低減する。
【0020】
システムの例
図1は、例えば自由空間光通信(FSOC)システムなどのシステムの一部として、第2の通信端末の第2の通信デバイスと1つ以上のリンクを形成するように構成された第1の通信端末の第1の通信デバイスのブロック
図100である。
図2は、
図1の第1の通信デバイスの例示的なシステムアーキテクチャの絵
図200である。例えば、第1の通信デバイス102は、1つ以上のプロセッサ104と、メモリ106と、送受信機フォトニック集積チップ112と、光フェーズドアレイ(OPA)フォトニック集積チップ114とを含む。いくつかの実装形態では、第1の通信デバイス102は、2つ以上の送受信機チップ及び/又は2つ以上のOPAチップを含み得る。
【0021】
1つ以上のプロセッサ104は、市販のCPUなどの任意の従来のプロセッサであり得る。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)などの専用デバイス、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array、FPGA)などの他のハードウェアベースのプロセッサであってもよい。
図1は、1つ以上のプロセッサ104及びメモリ106を、
図2に示されるデジタル信号処理のためのモデム202など、同じブロック内にあるものとして機能的に示すが、1つ以上のプロセッサ104及びメモリ106は、実際には、モデム202及び別個の処理ユニット203の両方など、同じ物理的ハウジング内に格納されてもされなくてもよい複数のプロセッサ及びメモリを備え得る。したがって、プロセッサ又はコンピュータへの言及は、並列に動作してもしなくてもよいプロセッサ又はコンピュータ又はメモリの集合への言及を含むと理解されよう。
【0022】
メモリ106は、1つ以上のプロセッサ104によって実行されてもよいデータ108及び命令110を含む、1つ以上のプロセッサ104によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、又は他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体、並びに他の書き込み可能及び読み取り専用メモリを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意の種類のメモリであってもよい。システム及び方法は、上記の様々な組合せを含んでもよく、それによって、データ108及び命令110の様々な部分が、様々な種類の媒体に格納される。メモリ106などの各通信デバイスのメモリには、信号を追跡するために決定された1つ以上のオフセットなどの較正情報が格納されてもよい。
【0023】
データ108は、命令110に従って、1つ以上のプロセッサ104によって検索、格納、又は修正されてもよい。例えば、システム及び方法はいずれの特定のデータ構造によっても制限されないが、データ108は、複数の異なるフィールド及びレコード、XML文書又はフラットファイルを有するテーブルとして、リレーショナルデータベースのコンピュータレジスタに格納され得る。データ108は、バイナリ値又はユニコードなどであるがこれらに限定されない任意のコンピュータ可読フォーマットでフォーマットされてもよい。更なる単なる例として、画像データがビットマップとして格納され得、ビットマップは、圧縮又は非圧縮、無損失(例えば、BMP)又は損失(例えば、JPEG)、及びビットマップ又はベクトルベース(例えば、SVG)、並びにグラフィックスを描画するためのコンピュータ命令であるフォーマットに従って格納されるピクセルの格子からなる。データ108は、番号、記述テキスト、専用コード、同じメモリ又は異なるメモリの他の領域(他のネットワーク場所を含む)に格納されたデータへの参照、又は関連データを計算するために関数によって使用される情報などの、関連情報を識別するのに十分な任意の情報を含んでもよい。
【0024】
命令110は、1つ以上のプロセッサ104によって直接実行される命令(機械コードなど)又は間接的に実行される命令(スクリプトなど)の任意のセットであり得る。例えば、命令110は、コンピュータ可読媒体にコンピュータコードとして格納されてもよい。この点に関して、用語「命令」及び「プログラム」は、本明細書では交換可能に使用され得る。命令110は、1つ以上のプロセッサ104による直接的な処理のためにオブジェクトコード形式で格納されてもよく、あるいは要求に応じて解釈されるか、又は事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプト又はコレクションを含む、任意の他のコンピュータ言語で格納されてもよい。命令110の関数、方法、及びルーチンについては、以下でより詳しく説明する。
【0025】
1つ以上のプロセッサ104は送受信機チップ112と通信してもよい。
図2に示されるように、モデム202内の1つ以上のプロセッサは、送受信機チップ112と通信してもよく、入射光信号を受信及び処理し、光信号を送信するように構成される。送受信機チップ112は、1つ以上の送信機構成要素及び1つ以上の受信機構成要素を含み得る。したがって、1つ以上のプロセッサ104は、送信機構成要素を介して、信号でデータを送信するように構成されてもよく、また、受信機構成要素を介して、信号で通信及びデータを受信するように構成されてもよい。受信信号は、1つ以上のプロセッサ104によって処理されて、通信及びデータを抽出してもよい。
【0026】
送信機構成要素は、少なくともシードレーザ116などの光源を含むことができる。他の送信機構成要素は、高出力半導体光増幅器204などの増幅器を含んでもよい。いくつかの実装形態では、増幅器は別個のフォトニックチップ上にある。シードレーザ116は、分布帰還型レーザ(DFB)、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、ファイバレーザ、又は固体レーザであってもよい。シードレーザ116の光出力又は光信号は、受信した電気信号を変調する変調器などからシードレーザに直接印加される電流又は電気信号によって制御することができる。シードレーザ116から送信された光は、OPAチップ114によって受信される。
【0027】
受信機構成要素は、少なくともフォトダイオードなどのセンサ118を含むことができる。センサは、受信した光又は光信号を、1つ以上のプロセッサによって処理することができる電気信号に変換することができる。他の受信機構成要素は、可変光減衰器206などの減衰器、半導体光増幅器208などの増幅器、又はフィルタを含むことができる。
【0028】
1つ以上のプロセッサ104は光フェーズドアレイチップ114と通信してもよい。OPAチップ114は、送信機構成要素から光を受信し、第2の通信デバイス122などの遠隔通信デバイスによって受信されるコヒーレント通信ビームとして光を出力する。OPAチップ114はまた、第2の通信デバイス122からの通信ビームなどの光を自由空間から受け取り、それを受信機構成要素に提供する。
【0029】
OPAチップ114は、複数のアレイ要素120と、複数の移相器121とを含み得る。複数のアレイ要素120は、隣接する要素間に一貫したピッチ又は距離を有する格子パターンで配置されてもよい。他の例では、アレイ要素120は、異なる数の行及び列、異なる形状、及び/又は異なるピッチ(一貫又は一貫しない)を有する異なる配置であってもよい。移相器121は、入射光及び出射光を変化させる。入射光は受信機構成要素に提供され、出射光はアレイ要素120に提供される。複数の移相器121のアーキテクチャは、複数のアレイ要素120内の各アレイ要素に接続された1つの移相器を有する移相器の少なくとも1つの層を含む。いくつかの例では、移相器アーキテクチャは移相器の複数の層を含み、第1の層内の移相器は、第2の層内の1つ以上の移相器と直列に接続され得る。OPAチップは、必要なフォトニック処理を提供して、入射光ビームを、ビームを送受信機チップ112に向けて方向付けるシングルモード導波路に結合することができる。いくつかの実装形態では、OPAチップはまた、処理ユニット203内のプロセッサなどの1つ以上のプロセッサ104に到来角推定値を生成及び提供することができる。
【0030】
システムは、通信端末の機能をサポートする追加の構成要素を含むことができる。例えば、システムは、望遠鏡を形成する1つ以上のレンズ及び/又はミラーを含んでもよい。望遠鏡は、コリメートされた光を受光し、コリメートされた光を出力し得る。望遠鏡は、対物部分、接眼部分、又はリレー部分を含むことができる。
図2に示されるように、システムは、対物レンズ210、接眼レンズ212、及びリレーレンズ214、216を含んでもよい。システムは、入射光及び出射光を少なくとも部分的に別個の経路上に保ちながらそれらをルーティングする、シングルモードサーキュレータ218等のサーキュレータを含んでもよい。システムは、環境特徴及び/又はシステム構成要素の測定を検出するための1つ以上のセンサ220を含むことができる。システムは、OPAチップ114の一部であり得る1つ以上の移相器を制御するための1つ以上のバイアス手段などの1つ以上のステアリング機構、及び/又は高速/微細ポインティングミラーなどのアクチュエーテッド/ステアリングミラー222を含み得る。いくつかの例では、アクチュエーテッドミラーは、MEMS2軸ミラー、2軸ボイスコイルミラー、又は圧電2軸ミラーであってもよい。処理ユニット203内のものなどの1つ以上のプロセッサ104は、1つ以上のセンサ220、送受信機チップ112、及び/又はOPAチップ114からの信号を受信して処理し、以下でより詳細に説明するポインティング方向及び/又は波面形状を調整するために1つ以上のステアリング機構を制御するように構成され得る。システムはまた、光学構成要素を接続し、シードレーザ116とOPAチップ114との間の経路及びOPAチップ114とフォトダイオード118との間の経路を作成する、光ファイバ又は導波路を含む。
【0031】
図1に示すように、第1の通信デバイス102は、第2の通信デバイス122に向けられた光ビーム20aを出力することができる。
【0032】
同様に、第2の通信デバイス122は、1つ以上のプロセッサ124、メモリ126、送受信機チップ132、及びOPAチップ134を含む。1つ以上のプロセッサ124は、上述した1つ以上のプロセッサ104と同様であってもよい。メモリ126は、プロセッサ124によって実行されてもよいデータ128及び命令130を含む、1つ以上のプロセッサ124によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリ126、データ128、及び命令130は、上述したメモリ106、データ108、及び命令110と同様に構成されてもよい。加えて、第2の通信デバイス122の送受信機チップ132及びOPAチップ134は、送受信機チップ112及びOPAチップ114と同様であり得る。送受信機チップ132は、送信機構成要素と受信機構成要素の両方を含み得る。送信機構成要素は、シードレーザ116と同様に構成されたシードレーザ136などの光源を含むことができる。他の送信機構成要素は、高出力半導体光増幅器などの増幅器を含んでもよい。受信機構成要素は、センサ118と同様に構成されたセンサ138を含むことができる。他の受信機構成要素は、可変光減衰器などの減衰器、半導体光増幅器などの増幅器、又はフィルタを含むことができる。OPAチップ114は、複数のアレイ要素140及び複数の移相器141を含んでもよく、これらはそれぞれアレイ要素120及び移相器121と同様であってもよい。上述した追加構成要素と同様に、通信デバイス122の機能をサポートするための追加構成要素が含まれてもよい。通信デバイス122は、
図2に示されるシステムアーキテクチャと同一又は類似のシステムアーキテクチャを有し得る。
【0033】
図1に示されるように、第2の通信デバイス122は、光ビーム20bを受信する第1の通信デバイス102に向けられた光ビーム20bを出力することができる。
【0034】
図1に示されるように、第1及び第2の通信デバイスの送受信機が位置合わせされると、第1の通信デバイス102と、第2の通信デバイス122との間に通信リンク22が形成され得る。位置合わせは、光ビーム20a、20bを使用して、通信デバイス102、122間に見通し線が確立されたときを判定することによって判定することができる。通信リンク22を使用して、1つ以上のプロセッサ104は、光ビーム20aを使用して自由空間を介して第2の通信デバイス122に通信信号を送信することができ、1つ以上のプロセッサ124は、光ビーム20bを使用して自由空間を介して第1の通信デバイス102に通信信号を送信することができる。第1の通信デバイス102と第2の通信デバイス122との間の通信リンク22は、2つのデバイス間のデータの双方向送信を可能にする。特に、これらの例における通信リンク22は、自由空間光通信(FSOC)リンクであってもよい。他の実装形態では、通信リンク22のうちの1つ以上は、無線周波数通信リンク又は自由空間を通って移動できる他のタイプの通信リンクであり得る。
【0035】
図3に示されるように、第1の通信デバイス102及び第2の通信デバイス122などの複数の通信デバイスは、複数の通信端末間に複数の通信リンク(矢印として示される)を形成し、それによってネットワーク300を形成するように構成されることができる。ネットワーク300は、クライアントデバイス310及び312、サーバデバイス314、及び通信デバイス102、122、320、322、及び324を含むことができる。クライアントデバイス310、312、サーバデバイス314、及び通信デバイス320、322、及び324の各々は、1つ以上のプロセッサ、メモリ、送受信機チップ、及び上述のものと同様のOPAチップを含むことができる。送信機及び受信機を使用して、ネットワーク300内の各通信デバイスは、矢印で示すように、別の通信デバイスとの少なくとも1つの通信リンクを形成することができる。通信リンクは、光周波数、無線周波数、他の周波数、又は異なる周波数帯域の組合せに対するものとすることができる。
図3では、クライアントデバイス310及び通信デバイス122、320、及び322との通信リンクを有する通信デバイス102が示されている。通信デバイス122は、通信デバイス102、320、322、及び324との通信リンクを有するように示されている。
【0036】
図3に示すネットワーク300は、単なる例示であり、いくつかの実装形態では、ネットワーク300は、追加の又は異なる通信端末を含んでもよい。ネットワーク300は、複数の通信デバイスが複数の地上通信端末上にある地上ネットワークであってもよい。他の実装形態では、ネットワーク300は、1つ以上の高高度プラットフォーム(HAP)を含み得、気球、小型飛行船、又は他の飛行船、飛行機、無人航空機(UAV)、衛星、又は任意の他の形式の高高度プラットフォーム又は他のタイプの移動可能又は固定通信端末であり得る。いくつかの実装形態では、ネットワーク300は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブルデバイス、又はタブレットコンピュータなどのクライアントデバイス用のアクセスネットワークとして機能することができる。ネットワーク300はまた、インターネットなどのより大きなネットワークに接続されることができ、より大きなコンピュータネットワーク上に格納された、又はより大きなコンピュータネットワークを介して提供されるリソースへのアクセスをクライアントデバイスに提供するように構成されることができる。
【0037】
方法の例
動作中、1つ以上のプロセッサ104は、光通信のための波面補正を実行することができる。
図4に、上述した態様のうちのいくつかによるフロー
図400を示し、これは第1の通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104によって実施され得る。追加又は代替として、第2の通信デバイス122の1つ以上のプロセッサ124はフロー
図400の1つ以上のステップを実施してもよい。
図4は特定の順序でブロックを示しているが、順序は変更されてもよく、複数の動作が同時に実施されてもよい。また、動作が追加又は省略されてもよい。
【0038】
ブロック402において、第1の光通信ビームは、通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて受信され得る。第1の光通信ビームは、遠隔通信システム又はクライアントデバイスからのデータを搬送することができる。第1の光通信ビームは、光フェーズドアレイの複数のアレイ要素において受信され得る。所与のアレイ要素で受信された各ビーム部分は、少なくとも1つの移相器を通して方向付けられ得る。ビーム部分は導波路に結合され、導波路は、集められたビーム部分を、処理される通信システムの受信機構成要素に向ける。データは、処理され、及び/又はネットワーク内の次のホップに送信され得る。例えば、光ビーム20bは、通信デバイス102のOPAチップ114における光フェーズドアレイにおいて受信され得る。光ビーム20bは、OPAチップ114における移相器121を通ってシングルモード導波路に方向付けられ、結合されてもよく、シングルモード導波路は、光ビームをセンサ118などの受信機構成要素に方向付ける。
【0039】
ブロック404において、通信システムの1つ以上のプロセッサは、フォトニック集積チップ上にある複数の移相器において、第1の光通信ビームの位相面を測定してもよい。位相シフト設定は、各移相器について検出されてもよく、設定は、位相面を決定するために使用されてもよい。例えば、通信デバイス102の1つ以上のプロセッサ104は、複数の移相器121から受信した信号に基づいて、光ビーム20bの位相面を測定してもよい。
【0040】
ブロック406において、1つ以上のプロセッサは、測定された位相面に基づいて第1の光通信ビームの波面誤差を決定してもよい。波面誤差の決定は、光ビームの波面の到来角に関連する項を決定することを含み得る。これらの項は、チップ、チルト、又はより高次の項の組合せを含み得る。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、測定された位相面に基づいて、光ビーム20bの波面誤差を決定してもよい。
【0041】
ブロック408において、1つ以上のプロセッサは、決定された波面誤差に基づいて、通信システムの波面又はポインティング方向を調整してもよい。波面及び/又はポインティング方向は、機械的ステアリング、電子ステアリング、又は両方の組合せを使用して調整され得る。機械的ステアリングは、アクチュエーテッドミラーなどの二次ステアリング要素の角度を制御することを含んでもよい。電子ステアリングは、各移相器に対する位相シフト設定を設定することなどによって、複数の移相器を制御することを含み得る。いくつかの実装形態では、二次ステアリング要素をステアリングすることは、より大規模な低周波数調整のために使用され得、複数の移相器を使用するステアリングは、より小規模な高周波数調整のためであり得る。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、決定された波面誤差に基づいて、通信デバイス102の波面及び/又はポインティング方向を調整し得る。機械的ステアリングは、ステアリングミラー222を制御することを含み得る。電子ステアリングは、複数の移相器121を制御することを含み得る。
【0042】
ブロック410において、1つ以上のプロセッサは、フォトニック集積チップ及び調整された波面及び/又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信してもよい。例えば、1つ以上のプロセッサ104は、OPAチップ114のアレイ要素120及び移相器121並びに調整されたポインティング方向を使用して光ビーム20aを送信し得る。局所的に受信された補正に基づく波面及びポインティング方向の事前歪みは、大気を通るビーム伝搬の相反性のために、通信リンクにわたる逆方向における電力結合を最大化することを可能にし得る。
【0043】
いくつかの実装形態では、1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第1のセットは、位相面の測定、波面誤差の決定、及びポインティング方向の調整を実行し、一方、1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第2のセットは、第2の光通信ビームの送信を実行する。位相面の測定、波面誤差の決定、及びポインティング方向の調整は、フィードバックループを含んでもよい。フィードバックループを使用して、第1の光通信ビームの変化は、1つ以上のプロセッサによって追跡され得る。変化は、ドリフト、フェージング若しくはシンチレーションなどの位置変化、又は他のタイプの変化を含み得る。
【0044】
本明細書で説明する特徴は、集積フォトニックチップを実装することによって、より費用効果が高く正確な通信システムを提供することができる。このシステムモードシステムの単一経路送受信設計は、複雑さがより低く、より安価な構成要素の使用を可能にする。更に、この設計は、通信デバイス間の位置合わせ誤差、並びに追跡システムと各端末内の通信システムとの間の位置合わせ誤差も低減する。この設計はまた、追跡ビームと通信ビームとの間のボアサイト要件を、分岐ビームではなく通信ビームに直接接続されたフィードバックループに置き換えることによって誤差を低減することができる。
【0045】
特に明記しない限り、前述の代替例は相互に排他的ではなく、独自の利点を達成するために様々な組合せで実施することができる。上記の特徴のこれら及び他の変形及び組合せは、特許請求の範囲によって定義される主題から逸脱することなく利用でき、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって定義される主題の限定としてではなく、例示として解釈されるべきである。更に、本明細書に記載の例の提供、並びに「など」、「含む」などの表現は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの例は、多くの可能な実施形態のうちの1つのみを説明することを意図している。更に、異なる図面の同じ参照符号は、同一又は同様の要素を識別することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由空間光通信システムであって、
光フェーズドアレイ(OPA)チップであって、
複数のアレイ要素と、
複数の移相器と、を含む、光フェーズドアレイ(OPA)チップと、
送受信機チップであって、
1つ以上の送信機構成要素と、
減衰器及び増幅器を含む1つ以上の受信機構成要素と、を含む、送受信機チップと、
1つ以上のプロセッサであって、
前記OPAチップ及び前記送受信機チップを介して第1の信号を送信し、
前記OPAチップ及び前記送受信機チップを介して第2の信号を受信する、ように構成された、1つ以上のプロセッサと、
を備える、自由空間光通信システム。
【請求項2】
自由空間からの光を捕捉し、前記OPAチップからの光を透過する望遠鏡を形成する複数のレンズを更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
シングルモードサーキュレータと、前記OPAチップと前記シングルモードサーキュレータとを接続するシングルモード導波路と、を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の送信機構成要素がシードレーザを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記1つ以上の受信機構成要素がセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送受信機チップと前記OPAチップとの間で前記第1の信号の利得を増加させる増幅器を更に備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
ステアリングミラーを更に備え、
前記1つ以上のプロセッサが、前記ステアリングミラーを制御して、前記第1の信号及び前記第2の信号の波面又はポインティング方向を調整するように更に構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
光通信のための波面補正を実行する方法であって、前記方法が、
通信システム内のフォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて、第1の光通信ビームを受信することと、
前記通信システムの1つ以上のプロセッサによって、前記フォトニック集積チップ上にある複数の移相器において、前記第1の光通信ビームの位相面を測定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記測定された位相面に基づいて前記第1の光通信ビームの波面誤差を決定することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記決定された波面誤差に基づいて、前記通信システムの波面又はポインティング方向を調整することと、
前記1つ以上のプロセッサによって、前記フォトニック集積チップ及び前記調整された波面又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信することと、
を含む、方法。
【請求項9】
前記位相面を測定することが、前記複数の移相器における位相シフト設定を検出することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記波面誤差の前記決定が、チップ項及びチルト項を決定することを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項11】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、ミラーの機械的ステアリングを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項12】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、前記複数の移相器を使用する電子ステアリングを含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項13】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、
より大規模な低周波数調整のために二次ステアリング要素を制御することと、
より小規模な高周波数調整のために前記フォトニック集積チップを制御することと、を含む、請求項
8に記載の方法。
【請求項14】
前記1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第1のセットが、前記位相面の前記測定、前記波面誤差の前記決定、及び前記波面又はポインティング方向の前記調整を実行し、
前記1つ以上のプロセッサのうちのプロセッサの第2のセットが、前記第2の光通信ビームの送信を実行する、請求項
8に記載の方法。
【請求項15】
前記位相面の前記測定、前記波面誤差の前記決定、及び前記波面又はポインティング方向の前記調整が、フィードバックループを含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
前記フィードバックループを使用して、前記第1の光通信ビームの変化を追跡することを更に含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
命令が記憶された非一時的コンピュータ可読記録媒体であって、前記命令が、1つ以上のプロセッサによって実行されると、光通信のための波面補正を実行するための方法を実施することであって、前記方法が、
通信システム内のフォトニック集積チップ上にある複数の移相器において第1の光通信ビームの位相面を測定することであって、前記第1の光通信ビームが、前記フォトニック集積チップ上の光フェーズドアレイにおいて受信されている、第1の光通信ビームの位相面を測定することと、
前記測定された位相面に基づいて前記第1の光通信ビームの波面誤差を決定することと、
前記決定された波面誤差に基づいて、前記通信システムの波面又はポインティング方向を調整することと、
前記フォトニック集積チップ及び前記調整された波面又はポインティング方向を使用して第2の光通信ビームを送信することと、
を含む、方法を実施する、非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項18】
前記位相面を測定することが、前記複数の移相器における位相シフト設定を検出することを含む、請求項
17に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項19】
前記波面誤差の前記決定が、チップ項及びチルト項を決定することを含む、請求項
17に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【請求項20】
前記波面又はポインティング方向の前記調整が、
ミラーの機械的ステアリング、
前記複数の移相器を用いた電子ステアリング、又は
より大規模な低周波数調整のために二次ステアリング要素を制御し、より小規模な高周波数調整のために前記フォトニック集積チップを制御すること、を含む、請求項
17に記載の非一時的コンピュータ可読記録媒体。
【国際調査報告】