(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】バッテリー診断方法、その方法を提供するバッテリー診断装置、およびバッテリーシステム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/396 20190101AFI20240920BHJP
G01R 31/389 20190101ALI20240920BHJP
G01R 31/00 20060101ALI20240920BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240920BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/389
G01R31/00
H01M10/48 P
H02J7/00 Q
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517548
(86)(22)【出願日】2023-01-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 KR2023001311
(87)【国際公開番号】W WO2023224209
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】10-2022-0061921
(32)【優先日】2022-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・キム
【テーマコード(参考)】
2G036
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G036AA03
2G036AA22
2G036BB08
2G216BA51
2G216BB02
2G216BB03
2G216BB07
2G216BB09
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA09
5G503GD06
5H030AA01
5H030AS20
5H030FF42
5H030FF43
(57)【要約】
バッテリ診断装置は、バッテリの両端電圧であるバッテリ電圧および前記バッテリに流れる電流であるバッテリ電流を測定する測定部、バッテリの欠陥を診断する診断時点ごとにバッテリ電圧およびバッテリ電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出される実測内部抵抗値および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト内部抵抗値を記憶する記憶部、そして診断時点ごとに、診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値を移動平均値に基づいて算出される基準値と比較して前記バッテリの欠陥を診断する制御部を含み、制御部は、複数の診断時点が標本個数より小さければ、標本個数に対応する実測内部抵抗値およびテスト内部抵抗値に基づいて移動平均値を算出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流を測定する測定部、
前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出される実測内部抵抗値および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト内部抵抗値を記憶する記憶部、そして
前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値を前記移動平均値に基づいて算出される基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測内部抵抗値および前記テスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出する、バッテリー診断装置。
【請求項2】
前記基準値は、
前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含む、請求項1に記載のバッテリー診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出し、
前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、
前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出する、請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項4】
前記記憶部は、
前記診断時点ごとに算出される実測標準偏差および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト標準偏差をさらに記憶し、
前記制御部は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測標準偏差および前記テスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出する、請求項3に記載のバッテリー診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗が前記上限値を超過すれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断する、請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、
前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断する、請求項2に記載のバッテリー診断装置。
【請求項7】
複数のバッテリーセルを含むバッテリー、
前記バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流を測定する測定部、
前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出される実測内部抵抗値および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト内部抵抗値を記憶する記憶部、そして
前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値を前記移動平均値に基づいて算出される基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する制御部を含み、
前記制御部は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測内部抵抗値および前記テスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出する、バッテリーシステム。
【請求項8】
前記基準値は、
前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含む、請求項7に記載のバッテリーシステム。
【請求項9】
前記制御部は、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出し、
前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、
前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出する、請求項8に記載のバッテリーシステム。
【請求項10】
前記記憶部は、
前記診断時点ごとに算出される実測標準偏差および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト標準偏差をさらに記憶し、
前記制御部は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測標準偏差および前記テスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出する、請求項9に記載のバッテリーシステム。
【請求項11】
前記制御部は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、
前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断する、請求項8に記載のバッテリーシステム。
【請求項12】
前記制御部は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、
前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断する、請求項10に記載のバッテリーシステム。
【請求項13】
バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流それぞれの測定値を収集する段階、
前記バッテリーの欠陥を診断する所定の診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出して標本集団を決定する段階、
前記標本集団に属する複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記移動平均値に基づいて前記バッテリーの欠陥を診断する基準である基準値を算出する段階、そして
前記診断時点に対応する実測内部抵抗値を前記基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する段階を含み、
前記基準値を算出する段階は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する実測内部抵抗値およびテスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出し、
前記実測内部抵抗値は、前記診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出され、
前記テスト内部抵抗値は、所定の基準によって決定される、バッテリー診断方法。
【請求項14】
前記基準値は、
前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含む、請求項13に記載のバッテリー診断方法。
【請求項15】
前記基準値を算出する段階は、
前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出する段階、および
前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出する段階をさらに含む、請求項14に記載のバッテリー診断方法。
【請求項16】
前記基準値を算出する段階は、
前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する実測標準偏差およびテスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出し、
前記実測標準偏差は、前記診断時点ごとに前記標本個数に対応する複数の実測内部抵抗値に基づいて算出され、
前記テスト標準偏差は、所定の基準によって決定される、請求項15に記載のバッテリー診断方法。
【請求項17】
前記基準値を算出する段階は、
前記複数の診断時点が存在しなければ、前記標本個数に対応するテスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出する、請求項15に記載のバッテリー診断方法。
【請求項18】
前記バッテリーの欠陥を診断する段階は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断する、請求項14に記載のバッテリー診断方法。
【請求項19】
前記バッテリーの欠陥を診断する段階は、
前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断する、請求項14に記載のバッテリー診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2022年5月20日付韓国特許出願第10-2022-0061921号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、バッテリーの状態を診断することができるバッテリー診断方法、その方法を提供するバッテリー診断装置、およびバッテリーシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などに搭載される大型バッテリーは、携帯用端末、ノートパソコンなどに搭載される小型バッテリーより大容量のバッテリーであることが要求される。大容量のバッテリーは、複数のバッテリーを直列および/または並列連結して構成できる。この時、複数のバッテリーは、並列連結された複数のバッテリーセルを含むことができる。
【0004】
一方、バッテリーに含まれるバッテリーセルの数が多くなれば、バッテリーセル自体の問題および/またはバッテリーセル間の連結問題によってバッテリーに欠陥(defect)が発生することがある。例えば、バッテリーセル間の断線(disconnection)、短絡(short)などの欠陥が発生することがある。バッテリーに欠陥が発生する場合、欠陥を速く診断及び修正し、バッテリーが搭載されるシステム(例えば、自動車、エネルギー貯蔵装置など)が正常に運用されるようにする必要がある。
【0005】
しかし、複数のバッテリーセルが並列に連結される場合、連結上の構造的な問題などによって、個別バッテリーセルのセル電圧などを直接測定(sensing)することは容易ではない。即ち、バッテリーセル自体の欠陥を直接推定して、バッテリー全体の欠陥を診断することは難しい。
【0006】
また、バッテリー単位で直流内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)を推定し、推定された直流内部抵抗(DCIR)値を予め設定された(固定された)基準値と比較してバッテリーの欠陥を診断する技術は、バッテリー内に多数のバッテリーセルが同時に断線または短絡される場合には欠陥を検出することができないという制限がある。そして、経年劣化によって直流内部抵抗値が変化した程度を欠陥が発生したと誤診断する問題が発生しうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点を解決するために案出されたもので、並列連結された複数のバッテリーセルを含むバッテリーの状態を精密に診断することができるバッテリー診断方法、およびその方法を提供するバッテリーシステムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一特徴による、バッテリー診断装置は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流を測定する測定部、前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出される実測内部抵抗値および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト内部抵抗値を記憶する記憶部、そして前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値を前記移動平均値に基づいて算出される基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する制御部を含み、前記制御部は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測内部抵抗値および前記テスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出する。
【0009】
前記基準値は、前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含むことができる。
【0010】
前記制御部は、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出し、前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出することができる。
【0011】
前記記憶部は、前記診断時点ごとに算出される実測標準偏差および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト標準偏差をさらに記憶し、前記制御部は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測標準偏差および前記テスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出することができる。
【0012】
前記制御部は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗が前記上限値を超過すれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断することができる。
【0013】
前記制御部は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断することができる。
【0014】
本発明の他の特徴によるバッテリーシステムは、複数のバッテリーセルを含むバッテリー、前記バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流を測定する測定部、前記バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出される実測内部抵抗値および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト内部抵抗値を記憶する記憶部、そして前記診断時点ごとに、前記診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出し、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値を前記移動平均値に基づいて算出される基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する制御部を含み、前記制御部は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測内部抵抗値および前記テスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出することができる。
【0015】
前記基準値は、前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含むことができる。
【0016】
前記制御部は、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出し、前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出することができる。
【0017】
前記記憶部は、前記診断時点ごとに算出される実測標準偏差および所定の基準によって決定される少なくとも一つのテスト標準偏差をさらに記憶し、前記制御部は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する前記実測標準偏差および前記テスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出することができる。
【0018】
前記制御部は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断することができる。
【0019】
前記制御部は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断することができる。
【0020】
本発明の他の特徴によるバッテリー診断方法は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流それぞれの測定値を収集する段階、前記バッテリーの欠陥を診断する所定の診断時点を基準にして所定の標本個数に対応する以前の複数の診断時点を抽出して標本集団を決定する段階、前記標本集団に属する複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測内部抵抗値の平均である移動平均値を算出し、前記移動平均値に基づいて前記バッテリーの欠陥を診断する基準である基準値を算出する段階、そして前記診断時点に対応する実測内部抵抗値を前記基準値と比較して前記バッテリーの欠陥を診断する段階を含み、前記基準値を算出する段階は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する実測内部抵抗値およびテスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出し、前記実測内部抵抗値は、前記診断時点ごとに前記バッテリー電圧および前記バッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて算出され、前記テスト内部抵抗値は、所定の基準によって決定される。
【0021】
前記基準値は、前記移動平均値より所定値が大きい上限値および前記移動平均値より所定値が小さい下限値を含むことができる。
【0022】
前記基準値を算出する段階は、前記複数の診断時点それぞれに対応する複数の実測標準偏差の平均である標準偏差平均値に所定の倍数をかけて誤差値を算出する段階、および前記移動平均値に前記誤差値をプラスして前記上限値を算出し、前記移動平均値から前記誤差値をマイナスして前記下限値を算出する段階をさらに含むことができる。
【0023】
前記基準値を算出する段階は、前記複数の診断時点が前記標本個数より小さければ、前記標本個数に対応する実測標準偏差およびテスト標準偏差に基づいて前記標準偏差平均値を算出し、前記実測標準偏差は、前記診断時点ごとに前記標本個数に対応する複数の実測内部抵抗値に基づいて算出され、前記テスト標準偏差は、所定の基準によって決定できる。
【0024】
前記基準値を算出する段階は、前記複数の診断時点が存在しなければ、前記標本個数に対応するテスト内部抵抗値に基づいて前記移動平均値を算出することができる。
【0025】
前記バッテリーの欠陥を診断する段階は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記上限値を超過すれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥が発生したことと診断することができる。
【0026】
前記バッテリーの欠陥を診断する段階は、前記診断時点ごとに算出される実測内部抵抗値が前記下限値未満であれば、前記バッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥が発生したことと診断することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、複数のバッテリーセルが並列連結される場合にも、バッテリーの欠陥を精密度高く診断することができる。
【0028】
本発明は、固定された基準値を使用してバッテリーの欠陥を診断する従来技術とは異なり、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、バッテリーの内部抵抗値の変化を反映する基準値を設定してバッテリーの欠陥を診断するため、バッテリーの老化による内部抵抗値の増加をバッテリーの欠陥と誤診断するか、一時的な内部抵抗値の増加をバッテリーの欠陥と誤診断する問題を予防することができる。
【0029】
本発明は、標本個数に対応する以前診断時点が存在しない場合にも、記憶部に予め記憶された複数の内部抵抗値および複数の標準偏差に基づいて基準値を算出することができるので、初期診断時点でも精密にバッテリーの欠陥を診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】一実施形態によるバッテリー診断装置を説明する図である。
【
図2】他の実施形態によるバッテリーシステムを説明する図である。
【
図3】複数の診断時点ごとに算出された移動平均値、上限値、および下限値を累積して表示した一例示図である。
【
図4】実施形態によるバッテリー診断方法を説明するフローチャートである。
【
図5】
図4の標本集団決定段階(S200)を詳細に説明するフローチャートである。
【
図6】
図4の基準値決定段階(S300)を詳細に説明するフローチャートである。
【
図7】
図4の欠陥診断段階(S400)を詳細に説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付された図面を参照して本明細書に開示された実施形態を詳しく説明するが、同一であるか類似の構成要素には同一、類似の図面番号を付与し、これに関する重複する説明は省略する。以下の説明で使用される構成要素に対する接尾辞“モジュール”および/または“部”は明細書作成の容易さのみが考慮されて付与されるか混用されるものであって、それ自体で互いに区別される意味または役割を有するものではない。また、本明細書に開示された実施形態を説明することにおいて、関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示された実施形態の要旨を不明にする可能性があると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付された図面は本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付された図面によって本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物または代替物を含むと理解されなければならない。
【0032】
第1、第2などのように序数を含む用語は多様な構成要素を説明することに使用できるが、前記構成要素は前記用語によって限定されない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0033】
ある構成要素が他の構成要素に“連結されて”いる、または、“接続されて”いると言及されたときは、その他の構成要素に直接的に連結されているかまたは接続されていることもあるが、中間に他の構成要素が存在することもあると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に“直接連結されて”いる、または、“直接接続されて”いると言及されたときは、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0034】
本出願で、“含む”または“有する”などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0035】
図1は、一実施形態によるバッテリー診断装置を説明する図である。
【0036】
図1を参照すれば、バッテリー診断装置1は、測定部110、記憶部130、そして制御部150を含む。
【0037】
測定部110は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧およびバッテリーに流れる電流であるバッテリー電流などを測定することができる。バッテリー電圧およびバッテリー電流はバッテリーの内部抵抗を算出することに必要なバッテリーデータであり得る。例えば、内部抵抗は、直流内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)を含むことができる。
【0038】
測定部110は、バッテリーの両端に電気的に連結されてバッテリー電圧を測定する電圧センサー(図示せず)、およびバッテリーと直列連結されてバッテリー電流を測定する電流センサー(図示せず)を含むことができる。例えば、測定部110は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとにバッテリー電圧およびバッテリー電流を測定し、測定結果を制御部150に伝達することができる。
【0039】
記憶部130は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、バッテリー電圧およびバッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて制御部150が算出する内部抵抗値を記憶することができる。また、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、制御部150は、測定部110から受信したバッテリー電圧値およびバッテリー電流値を記憶部130に記憶することができる。
【0040】
例示的な一実施形態によれば、記憶部130は、所定の基準によって決定された複数のテスト診断時点それぞれに対応する内部抵抗値および標準偏差を記憶することができる。この時、テスト診断時点は、バッテリー10の欠陥を診断するための実際診断時点でなくてもよい。テスト診断時点は、実験値などを含む理論的な診断時点であってもよい。具体的にテスト診断時点は、以下説明する標本集団を構成する標本個数より実測診断時点の個数が小さい場合、補充的に提供される診断時点であり得る。したがって、テスト診断時点は、以下説明する移動平均値(MA;Moving Average)、上限値(UB_Th;Upper Band Threshold)、および下限値(LB_Th;Lower Band Threshold)を算出するために提供される内部抵抗値および標準偏差がマッピングされて記憶部130に記憶できる。
【0041】
制御部150は、予め設定された条件による診断時点(N)が到来すれば、移動平均値(MA)、移動平均値より所定値が大きい上限値(UB_Th)、移動平均値より所定値が小さい下限値(LB_Th)、そして診断時点(N)に対応する内部抵抗値を算出する。
【0042】
実施形態によって、バッテリーの充電が始まる時点またはバッテリーの放電が終了する時点がバッテリーの欠陥を診断する診断時点(N)であり得る。診断時点(N)が到来すれば、測定部110は、所定の期間、所定の周期でバッテリー電圧およびバッテリー電流それぞれを測定し、測定結果を制御部150に伝達することができる。
【0043】
まず、制御部150は、現在診断時点(N)を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、予め設定された標本個数(the number of sample、SN)に含まれる複数の診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。この時、標本個数(SN)は、標本集団に含まれる複数の診断時点の個数で、実験などに基づいて最適の個数として決定できる。標本集団は、母集団である過去複数の診断時点の部分集団で、以下説明する移動平均値(MA)および標準偏差平均値(σ_ave)などを算出するための集団であり得る。
【0044】
以下、表1は、複数の診断時点それぞれで算出された内部抵抗(DCIR)値、移動平均値(MA)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)に関する一例示である。標本個数(SN)は、5であると仮定する。
【0045】
【0046】
参照として、表1で最初診断時点(1)の移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)は直接算出が難しいことがある(よって、表1で対応する値は空欄で表示される)。それだけでなく、最初診断時点(1)に隣接した診断時点(2、3、…)での移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)も算出するための過去診断値がないか不足して直接算出が難しいことがある。この場合、実験によって平均的に算出される値を初期診断時点(1、2、3、…)での移動平均値(MA)、標準偏差(σ)、標準偏差平均値(σ_ave)、上限値(UB_Th)、および下限値(LB_Th)で代替することができる。以下の表2は、これに関する一例示である。
【0047】
【0048】
表2で、第-5~第-1診断時点(-5、-4、-3、-2、-1)は先に説明したテスト診断時点であり得る。第-5~第-1診断時点それぞれに対応する内部抵抗値および標準偏差は実験的に算出されるか、同一性能の複数のバッテリーの内部抵抗値および標準偏差の平均値などで算出できる。
【0049】
前記表1に開示された診断時点は実測診断時点と定義し、実測診断時点に対応する内部抵抗値および標準偏差などは実測内部抵抗値および実測標準偏差で説明することができる。また、前記表2に開示されたテスト診断時点に対応する内部抵抗値および標準偏差などはテスト内部抵抗値およびテスト標準偏差で説明することができる。
【0050】
例えば、表1および表2を参照すれば、第1診断時点(1)では、標本個数(SN)に対応する以前の実測診断時点が存在しない。制御部150は、テスト診断時点である第-5~第-1診断時点(-5、-4、-3、-2、-1)それぞれに対応する複数のテスト内部抵抗値(25、27、23、24、20)に基づいて移動平均値(MA1、23.8)を算出することができる。また、制御部150は、テスト診断時点である第-5~第-1診断時点(-5、-4、-3、-2、-1)それぞれに対応する複数のテスト標準偏差(1.56、1.60、1.70、1.60、1.82)に基づいて標準偏差平均値(σ1_ave、1.656)を算出することができる。
【0051】
他の例として、表1および表2を参照すれば、第3診断時点(3)では、標本個数(SN)に対応する以前の実測診断時点が不足する。前記表1には、第1診断時点および第2診断時点それぞれに対応する内部抵抗値および標準偏差値が開示されていないが、開示されていると仮定してみよう。先に説明した同様の方法で、制御部150は、テスト診断時点である第-3~第-1診断時点(-3、-2、-1)および実測診断時点である第1~第2診断時点(1、2)それぞれに対応する内部抵抗値および標準偏差値に基づいて移動平均値(MA3)および標準偏差平均値(σ3_ave)を算出することができる。
【0052】
以下、説明の便宜のために、表1に開示された実測診断時点、実測内部抵抗、実測標準偏差などは診断時点、内部抵抗、標準偏差などで説明することができる。但し、表1と表2を区別するために、表2に開示されたテスト診断時点の場合、内部抵抗、標準偏差などは、テスト内部抵抗、テスト標準偏差などとして記載される。
【0053】
表1を参照すれば、制御部150は、現在診断時点(N)を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-4診断時点、および第N-5診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。
【0054】
制御部150は、複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)を抽出して標本集団を決定し、標本集団内に属する複数の診断時点それぞれで算出された内部抵抗値に基づいて欠陥診断に使用される基準値(以下説明する上限値および下限値)を決定することができる。そうすれば、バッテリーを長期間使用することによる老化程度および/または一時的な内部抵抗値の変動をバッテリーの欠陥と誤診断する問題を解決することができる。
【0055】
その次に、制御部150は、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれで算出された内部抵抗値に基づいて第N診断時点でバッテリーの欠陥を診断する基準値(上限値および下限値)を決定する。
【0056】
例示的な一実施形態によれば、制御部150は、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIR)値を上限値(UB_Th)および下限値(LB_Th)と比較して、バッテリーの欠陥を診断する。例えば、表1を参照すれば、第N診断時点で、制御部150は、内部抵抗値(
【0057】
【0058】
)、上限値(
【0059】
【0060】
)および下限値(
【0061】
【0062】
)を算出し、算出した内部抵抗値(
【0063】
【0064】
)を上限値(
【0065】
【0066】
)および下限値(
【0067】
【0068】
)と比較してバッテリーの欠陥を診断する。この時、上限値(
【0069】
【0070】
)および下限値(
【0071】
【0072】
)を算出するために、移動平均値(
【0073】
【0074】
)および標準偏差平均値(
【0075】
【0076】
)が必要である。但し、標準偏差(
【0077】
【0078】
)は、第N診断時点の欠陥診断時に必要な値ではないが、以後診断時点(N+1、N+2、…)の欠陥診断時に必要であるので、第N診断時点で算出されて記憶部130に記憶できる。以下、表1の第N診断時点で制御部150が算出する内部抵抗値(
【0079】
【0080】
)、移動平均値(
【0081】
【0082】
)、標準偏差(
【0083】
【0084】
)、標準偏差平均値(
【0085】
【0086】
)、上限値(
【0087】
【0088】
)および下限値(
【0089】
【0090】
)を説明する。
【0091】
制御部150は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流に基づいて第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、下記式(1)によって、内部抵抗(DCIRN、
【0092】
【0093】
)値は算出できる。
【0094】
【0095】
例えば、制御部150は、充電が始まる第1時点に対応するバッテリー電圧(V1)および第1時点から所定の時間が経過した第2時点に対応するバッテリー電圧(V2)間の電圧差(ΔV=|V1-V2|)を算出することができる。制御部150は、バッテリーに流れる充電電流(I)および電圧差(ΔV)に基づいて内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値は30Ωとして算出されると仮定する。
【0096】
制御部150は、前記表1を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(23Ω、24Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均(23Ω+24Ω+20Ω+21Ω+23Ω/5=22.2Ω)して診断時点(N)に対応する移動平均値(MAN、
【0097】
【0098】
)を算出することができる。即ち、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値は22.2Ωであってもよい。
【0099】
【0100】
制御部150は、下記表3を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する内部抵抗値(DCIR)および移動平均値(MA)に基づいて診断時点(N)に対応する標準偏差(
【0101】
【0102】
)を算出することができる。
【0103】
【0104】
先に説明したように、診断時点(N)に対応する標準偏差(
【0105】
【0106】
)は、第N診断時点の欠陥診断時に必要な値ではないが、以後診断時点(N+1、N+2、…)の欠陥診断時に必要である。したがって、診断時点(N)に対応する標準偏差(
【0107】
【0108】
)は、第N診断時点で算出されて記憶部130に記憶できる。
【0109】
制御部150は、下記表4を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の標準偏差(σN-5、σN-4、σN-3、σN-2、σN-1)に基づいて診断時点(N)に対応する標準偏差平均値(
【0110】
【0111】
)を算出することができる。
【0112】
【0113】
制御部150は、移動平均値(MAN)より所定値が大きい上限値(UBN_Th)および移動平均値(MA)より所定値が小さい下限値(LBN_Th)を算出することができる。例示的な実施形態によれば、制御部150は、標準偏差平均値(
【0114】
【0115】
)に所定の第1倍数をかけた第1誤差値を算出し、移動平均値(MAN)に第1誤差値をプラス演算して上限値(UBN_Th)を算出することができる。また、制御部150は、標準偏差平均値(
【0116】
【0117】
)に所定の第2倍数をかけた第2誤差値を算出し、移動平均値(MAN)から第2誤差値をマイナス演算して下限値(LBN_Th)を算出することができる。この場合、第1倍数および第2倍数は同一であってもよいが、これに限定されず、多様な倍数で算定できる。
【0118】
例示的な一実施形態によれば、制御部150は、標本集団の標準偏差の平均である標準偏差平均値(
【0119】
【0120】
)と所定の倍数(Q)をかけて誤差値(
【0121】
【0122】
)を算出することができる。この場合、倍数(Q)は、所定の誤差を反映するための値で、実験によって多様な値に決定できる。例えば、倍数(Q)は、自然数3と仮定する。
【0123】
制御部150は、下記式(3)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)に誤差値((
【0124】
【0125】
)をプラス計算して上限値(UBN_Th)27.3を算出することができる。また、制御部150は、下記式(4)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)から誤差値(
【0126】
【0127】
)をマイナス計算して下限値(LBN_Th)17.1を算出することができる。
【0128】
【0129】
その次に、制御部150は第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を第N診断時点に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリーの欠陥を診断することができる。
【0130】
例示的な一実施形態によれば、内部抵抗(DCIRN)値が上限値(UBN_Th)を超過すれば、制御部150はバッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥(disconnection defect、DD)が発生したことと診断することができる。内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)未満であれば、制御部150はバッテリーに含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥(short defect、SD)が発生したことと診断することができる。即ち、内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)以上上限値(UBN_Th)以下に対応する正常範囲外であれば、制御部150はバッテリーに欠陥(断線欠陥または短絡欠陥)が発生したことと診断することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値が正常範囲内であれば、制御部150はバッテリーの状態を正常と診断することができる。
【0131】
例えば、先に表1および表4、そして式(1)~式(4)を通じて説明したように、第N診断時点に対応する内部抵抗値(DCIRN)、上限値(UBN_Th)、および下限値(LBN_Th)それぞれは、30(Ω)、27.3、17.1として算出できる。この場合、制御部150は内部抵抗値(DCIRN=30)が上限値(UBN_Th=27.3)を超過することを根拠にして、バッテリーの欠陥(断線、disconnection defect)を診断することができる。
【0132】
図2は、他の実施形態によるバッテリーシステムを説明する図である。
【0133】
図2を参照すれば、バッテリーシステム2は、バッテリー10、リレー20、電流センサー30、そしてバッテリー管理システム(Battery Management System、以下、BMS)40を含む。
【0134】
バッテリー10は、直列および/または並列連結された複数のバッテリーセルを含むことができる。
図2では、並列連結された3個のバッテリーセルが示されているが、これに限定されるのではなく、バッテリー10は、直列および/または並列連結された多様な個数のバッテリーセルを含むことができる。ある実施形態で、バッテリーセルは充電可能な二次電池であってもよい。また、
例えば、バッテリー10は、所定個数のバッテリーセルが並列連結されてバッテリーバンク(battery bank)を構成し、所定個数のバッテリーバンクが直列連結されてバッテリーパック(battery pack)を構成して、所望の電力を外部装置に供給することができる。他の例として、バッテリー10は、所定個数のバッテリーセルが並列連結されてバッテリーバンク(battery bank)を構成し、所定個数のバッテリーバンクが並列連結されてバッテリーパック(battery pack)を構成して、所望の電力を外部装置に供給することができる。しかし、このような連結に限定されるのではなく、バッテリー10は、直列および/または並列連結された複数のバッテリーセルを含むバッテリーバンクを複数個含み、複数のバッテリーバンクも直列および/または並列連結できる。
【0135】
図2では、バッテリー10は、バッテリーシステム2の二つの出力端OUT1、OUT2の間に連結されている。また、バッテリーシステム2の正極と第1出力端OUT1の間にリレー20が連結されており、バッテリーシステム2の負極と第2出力端OUT2の間に電流センサー30が連結されている。
図2に示された構成および構成間の連結関係は一例で、発明がこれに限定されるのではない。
【0136】
リレー20は、バッテリーシステム2と外部装置間の電気的連結を制御する。リレー20がオンされれば、バッテリーシステム2と外部装置が電気的に連結されて充電または放電が行われ、リレー20がオフされれば、バッテリーシステム2と外部装置が電気的に分離される。この時、外部装置はバッテリー10に電力を供給して充電する充電サイクルでは充電器であり、バッテリー10が外部装置に電力を放電する放電サイクルでは負荷であってもよい。
【0137】
電流センサー30はバッテリー10と外部装置間電流経路に直列連結されている。電流センサー30はバッテリー10に流れるバッテリー電流、即ち、充電電流および放電電流を測定し、測定結果をBMS40に伝達することができる。
【0138】
BMS40は、測定部41、記憶部43、制御部45を含む。
図1に示されたバッテリー診断装置1は
図2に示されたBMS40に対応することができる。具体的に説明すれば、バッテリー診断装置1の測定部110、記憶部130、制御部150それぞれが果たす機能はBMS40の測定部41、記憶部43、および制御部45それぞれが果たす機能に対応できる。例えば、バッテリー診断装置1はバッテリーシステム1と別個に構成できる。他の例として、
図2のように、バッテリーシステム1で、BMS40がバッテリー診断装置1の機能を果たすことができる。
【0139】
測定部41はバッテリー10の両端に電気的に連結されて、バッテリー電流およびバッテリー電圧を測定することができる。例えば、測定部41はバッテリー10をモニタリングし、バッテリー10の状態に対応するバッテリーデータ(電圧、電流など)を測定するASIC(Application Specific Integrated Circuit)で実現できる。
【0140】
例えば、測定部41は、バッテリー10の両端電圧値をセンシングしてバッテリー電圧を収集することができる。測定部41は、電流センサー30からバッテリー電流値を受信することができる。測定部41は、バッテリー電圧値およびバッテリー電流値を制御部150に伝達することができる。
【0141】
記憶部43は、バッテリー10の欠陥を診断する診断時点ごとに、バッテリー電圧およびバッテリー電流のうちの少なくとも一つに基づいて制御部45によって算出される内部抵抗値を記憶することができる。また、制御部45は、バッテリーの欠陥を診断する診断時点ごとに、測定部41から受信したバッテリー電圧値およびバッテリー電流値を記憶部43に記憶することができる。
【0142】
例示的な一実施形態によれば、記憶部43は、所定の基準によって決定された複数のテスト診断時点それぞれに対応する内部抵抗値および標準偏差を記憶することができる。この時、テスト診断時点は、バッテリー10の欠陥を診断するための実際診断時点でなくてもよい。テスト診断時点は、実験値などを含む理論的な診断時点であってもよい。具体的にテスト診断時点は、以下説明する標本集団を構成する標本個数より実測診断時点の個数が小さい場合、補充的に提供される診断時点であり得る。したがって、テスト診断時点は、以下説明する移動平均値(MA;Moving Average)、上限値(UB_Th;Upper Band Threshold)、および下限値(LB_Th;Lower Band Threshold)を算出するために提供される内部抵抗値および標準偏差がマッピングされて記憶部130に記憶できる。
【0143】
制御部45は、予め設定された条件による診断時点(N)が到来すれば、移動平均値(MAN;Moving Average)、上限値(UBN_Th;Upper Band Threshold)、および下限値(LBN_Th;Lower Band Threshold)、そして診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値を算出する。そして、制御部45は、内部抵抗(DCIRN)値を上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較して、バッテリー10の状態を診断することができる。
【0144】
まず、制御部45は、診断時点(N)を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、予め設定された標本個数(the number of sample、SN)に含まれる複数の診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。この時、標本個数(SN)は、標本集団に含まれる複数の診断時点の個数で、実験などに基づいて最適な個数に決定できる。標本集団は、母集団である過去複数の診断時点の部分集団で、以下説明する移動平均値(MA)および標準偏差平均値(σ_ave)などを算出するための集団であり得る。
【0145】
例えば、標本個数(SN)は5である場合と仮定しよう。前記表1で、制御部45は、現在の診断時点(N)を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-4診断時点、および第N-5診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。
【0146】
例示的な一実施形態によれば、現在診断時点(N)以前の診断時点の個数が標本個数(SN)より小さい場合、制御部45は、テスト診断時点を標本集団に追加することができる。例えば、現在診断時点(N)以前の実測診断時点の個数が3個である場合、制御部45は、所定のテスト診断時点二つを標本集団に追加することができる。他の例として、現在診断時点(N)以前の実測診断時点の個数が3個である場合、制御部45は、所定のテスト診断時点のみで標本集団を構成することができる。即ち、実測診断時点が標本個数に対応しなければ、制御部45は、実測診断時点とテスト診断時点で標本集団を構成するか、テスト診断時点のみで標本集団を構成することができる。
【0147】
制御部45は、標本集団に含まれている複数の診断時点に対応する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値(MAN)を算出することができる。例えば、前記表1および上記式(2)を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(23Ω、24Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均して診断時点(N)に対応する移動平均値(MAN)22.2を算出することができる。
【0148】
制御部45は、例えば、前記表1および前記表4を参照すれば、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する標準偏差(σN-5、σN-4、σN-3、σN-2、σN-1)に基づいて診断時点(N)に対応する標準偏差平均値(
【0149】
【0150】
)を算出することができる。
【0151】
制御部45は、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれで算出された内部抵抗値(DCIRN)に基づいて現在診断時点(N)、即ち、第N診断時点でバッテリーの欠陥を診断する基準値である上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を決定する。
【0152】
制御部45は、移動平均値(MAN)より所定値が大きい上限値(UBN_Th)および移動平均値(MA)より所定値が小さい下限値(LBN_Th)を算出することができる。実施形態によって、制御部45は、標準偏差平均値(
【0153】
【0154】
)に所定の第1倍数をかけて第1誤差値を算出し、移動平均値(MAN)に第1誤差値をプラスして上限値(UBN_Th)を算出することができる。また、制御部45は、標準偏差平均値(
【0155】
【0156】
)に所定の第2倍数をかけて第2誤差値を算出し、移動平均値(MAN)から第2誤差値をマイナス演算して下限値(LBN_Th)を算出することができる。この時、第1倍数および第2倍数は同一であってもよいが、これに限定されず、多様な倍数で算定できる。
【0157】
例示的な一実施形態によれば、制御部45は、標本集団の標準偏差の平均である標準偏差平均値(
【0158】
【0159】
)と所定の倍数(Q)をかけて誤差値(
【0160】
【0161】
)を算出することができる。例えば、倍数(Q)は、自然数3と仮定する。制御部45は前記式(3)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)に誤差値((
【0162】
【0163】
)をプラス演算して上限値(UBN_Th)27.3を算出することができる。また、制御部45は、前記式(4)のように、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)から誤差値(
【0164】
【0165】
)をマイナス演算して下限値(LBN_Th)17.1を算出することができる。この時、倍数(Q)は、所定の誤差を反映するための値で、実験によって多様な値に決定できる。
【0166】
その次に、制御部45は、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を第N診断時点に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリー10の欠陥を診断することができる。
【0167】
例示的な一実施形態によれば、内部抵抗(DCIRN)値が上限値(UBN_Th)を超過すれば、制御部45は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥(disconnection defect、DD)が発生したことと診断することができる。内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)未満であれば、制御部45は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥(short defect、SD)が発生したことと診断することができる。即ち、内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)以上上限値(UBN_Th)以下に対応する正常範囲外であれば、制御部45は、バッテリー10に欠陥(断線欠陥または短絡欠陥)が発生したことと診断することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値が正常範囲内であれば、制御部45は、バッテリー10の状態を正常と診断することができる。
【0168】
例えば、先に表1および表4、そして式(1)~式(4)を通じて説明したように、第N診断時点に対応する内部抵抗値(DCIRN)、上限値(UBN_Th)、および下限値(LBN_Th)それぞれは、30(Ω)、27.3、17.1として算出できる。この場合、制御部45は、内部抵抗値(DCIRN=30)が上限値(UBN_Th=27.3)を超過することを根拠にして、バッテリー10の欠陥(断線、disconnection defect)を診断することができる。
【0169】
図3は、複数の診断時点ごとに算出された移動平均値、上限値、および下限値を累積して表示した一例示図である。
【0170】
以下、
図1~
図3、表1、および表4に基づいて、移動平均値(MA
N)、上限値(UB
N_Th)、および下限値(LB
N_Th)を算出する一例示を説明する。
【0171】
図3を参照すれば、BMS40は、所定の診断時点(N)と類似の環境にありながら同時に診断時点(N)と隣接した複数の診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。BMS40は、標本集団に属する複数の内部抵抗値の平均である移動平均値(MA
N)および複数の標準偏差の平均である標準偏差平均値(
【0172】
【0173】
)に基づいて、診断時点(N)に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を算出することができる。
【0174】
例示的な一実施形態によれば、先ずBMS40は、所定の診断時点(N)を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-4診断時点、および第N-5診断時点を抽出することができる。
【0175】
その次に、BMS40は、抽出した複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(23Ω、24Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均して診断時点(N)に対応する移動平均値(23Ω+24Ω+20Ω+21Ω+23Ω)/5=22.2Ωを算出することができる。
【0176】
先に説明した表4、式(3)、式(4)を通じて、BMS40は、上限値(27.3)および下限値(17.1)を算出することができる。
【0177】
その次に、BMS40は、内部抵抗(DCIRN)値を上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリー10の欠陥を診断することができる。この時、例えば、内部抵抗(DCIRN)は30Ωと仮定しよう。BMS40は、内部抵抗値(DCIRN=30)が上限値(UBN_Th=27.3)を超過することを根拠にして、バッテリーの欠陥(断線、disconnection defect)を診断することができる。
【0178】
図3に示された内部抵抗バンド(DCIR Band)は、複数の診断時点ごとに算出される移動平均(MA)、上限値(UB_Th)および下限値(LB_Th)を連結して導出できる。内部抵抗バンド(DCIR Band)は、バッテリー10を使用するにつれて変わる内部抵抗値の傾向を示すことができる。
【0179】
図3で、A区間に対応する診断時点では、以前診断時点が存在しないか標本個数に対応する以前診断時点が不足することがある。先に説明した通り、この場合、標本個数(SN)に不足した実測診断時点の個数をテスト診断時点で満たすことができる。
【0180】
図4は実施形態によるバッテリー診断方法を説明するフローチャートであり、
図5は
図4の標本集団決定段階(S200)を詳細に説明するフローチャートであり、
図6は
図4の基準値決定段階(S300)を詳細に説明するフローチャートであり、
図7は
図4の欠陥診断段階(S400)を詳細に説明するフローチャートである。
【0181】
以下、
図1~
図7を参照して、バッテリー診断方法、その方法を提供するバッテリー診断装置およびバッテリーシステムを説明する。以下、説明するバッテリーシステム2で行われるバッテリー診断方法は、バッテリー診断装置1でも同一に適用できる。
【0182】
まず、BMS40は、バッテリーデータを収集する(S100)。この時、バッテリーデータは、バッテリー10の両端電圧であるバッテリー電圧およびバッテリー10に流れる電流であるバッテリー電流を含むことができる。
【0183】
例えば、バッテリー電圧およびバッテリー電流はバッテリーの内部抵抗(DCIR;Direct Current Internal Resistance)を算出することに必要なバッテリーデータであり得る。
【0184】
その次に、BMS40は、所定の診断時点(N)に隣接した複数の診断時点を抽出して、標本集団を決定する(S200)。
【0185】
BMS40は、所定の診断時点(N)、即ち、第N診断時点を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、予め設定された標本個数(SN)に対応する複数の診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。
【0186】
S200段階で、
図5を参照すれば、BMS40は、標本個数(SN)に対応する実測診断時点の存在有無を判断する(S210)。
【0187】
S210における判断結果が yes であれば、BMS40は、標本個数に対応する実測診断時点に対応するデータを抽出し、標本集団を決定する(S220、S240)。
【0188】
例えば、標本個数(SN)は5である場合と仮定しよう。前記表1で、BMS40は、第N診断時点を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する第N-1診断時点、第N-2診断時点、第N-3診断時点、第N-4診断時点、および第N-5診断時点を抽出して、標本集団を決定することができる。
【0189】
S210における判断結果が no であれば、BMS40は、テスト診断時点および実測診断時点に対応するデータを記憶部43から抽出し、標本集団を決定する(S230、S240)。
【0190】
例えば、標本個数(SN)は5である場合と仮定しよう。前記表1で、BMS40は、第N診断時点を基準にして以前診断時点方向に診断時点をカウントする時、標本個数(SN)である5個に対応する診断時点が存在しない場合、BMS40は、表2のテスト診断時点を抽出して標本集団を決定することができる。
【0191】
例えば、表1および表2を参照すれば、第1診断時点1では、標本個数(SN)に対応する以前の実測診断時点が存在しない。制御部150は、テスト診断時点である第-5~第-1診断時点(-5、-4、-3、-2、-1)を抽出して標本集団を決定することができる。
【0192】
他の例として、表1および表2を参照すれば、第3診断時点3では、標本個数(SN)に対応する以前の実測診断時点が不足する。制御部150は、テスト診断時点である第-3~第-1診断時点(-3、-2、-1)および実測診断時点である第1~第2診断時点(1、2)を抽出して標本集団を決定することができる。
【0193】
その次に、BMS40は、バッテリー10の欠陥診断の基準値を決定する(S300)。例示的な一実施形態によれば、基準値は上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を含むことができる。
【0194】
S300段階で、
図6を参照すれば、BMS40は、標本集団に属する複数の診断時点それぞれに対応する内部抵抗値を平均して標本集団の移動平均値(MA
N)を算出する(S310)。
【0195】
前記表1および前記式(2)を参照すれば、BMS40は、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の内部抵抗値(23Ω、24Ω、20Ω、21Ω、23Ω)を平均して診断時点(N)に対応する移動平均値(MAN)22.2を算出することができる。
【0196】
S300段階で、BMS40は、標本集団の標準偏差平均値(
【0197】
【0198】
)に基づいて誤差値(E)を算出する(S320)。
【0199】
例えば、標本集団の標準偏差平均値(
【0200】
【0201】
)は、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の標準偏差(σN-5、σN-4、σN-3、σN-2、σN-1)を平均して算出できる。
【0202】
前記表1および前記表3を参照すれば、BMS40は、標本集団に属する複数の診断時点(N-5、N-4、N-3、N-2、N-1)それぞれに対応する複数の標準偏差(σN-5、σN-4、σN-3、σN-2、σN-1)に基づいて第N診断時点(N)に対応する標準偏差平均値(
【0203】
【0204】
)を算出することができる。また、BMS40は、標準偏差平均値(
【0205】
【0206】
)と所定の倍数(Q)をかけて誤差値(
【0207】
【0208】
)を算出することができる。この時、倍数(Q)は、所定の誤差を反映するための値で、実験によって多様な値に決定できる。例えば、倍数(Q)は、自然数3と仮定する。
【0209】
S300段階で、BMS40は、移動平均値(MAN)および誤差値((E)に基づいて、上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)を算出する(S330)。
【0210】
前記式(3)を参照すれば、BMS40は、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)に誤差値(
【0211】
【0212】
)をプラス演算して上限値(UBN_Th)27.3を算出することができる。また、前記式(4)を参照すれば、BMS40は、標本集団の移動平均値(MAN=22.2)から誤差値(
【0213】
【0214】
)をマイナス計算して下限値(LBN_Th)17.1を算出することができる。
【0215】
その次に、BMS40は、診断時点(N)に対応する内部抵抗(DCIRN)値を診断時点(N)に対応する上限値(UBN_Th)および下限値(LBN_Th)と比較してバッテリー10の欠陥を診断する(S400)。
【0216】
BMS40は、バッテリーの両端電圧であるバッテリー電圧および前記バッテリーに流れる電流であるバッテリー電流に基づいて第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値はS200段階またはS300段階で算出でき、診断時点であるS400段階以前に算出されるものであれば算出される時点が制限されない。
【0217】
例えば、BMS40は、充電が始まる第1時点に対応するバッテリー電圧(V1)および第1時点から所定の時間が経過した第2時点に対応するバッテリー電圧(V2)間の電圧差(ΔV=|V1-V2|)を算出することができる。BMS40は、バッテリー10に流れる充電電流(I)および電圧差(ΔV)に基づいて内部抵抗(DCIRN)値を算出することができる。例えば、第N診断時点に対応する内部抵抗(DCIRN)値は30Ωとして算出されると仮定する。
【0218】
S400段階で、
図7を参照すれば、BMS40は、内部抵抗(DCIR
N)値が上限値(UB
N_Th)を超過するかどうかを判断する(S410)。
【0219】
S400段階で、S410段階における判断結果が yes であれば、BMS40は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに断線欠陥(disconnection defect)が発生したことと診断する(S420)。
【0220】
例えば、並列連結されている複数のバッテリーセルのうちの一部バッテリーセルの並列連結が切れれば、バッテリー10の内部抵抗値が増加することになる。
【0221】
S400段階で、判断結果、超過しなければ(S410、No)、BMS40は、内部抵抗値(DCIRN)が下限値(LBN_Th)未満であるかどうかを判断する(S430)。
【0222】
S400段階で、S430段階における判断結果が yes であれば、BMS40は、バッテリー10に含まれている複数のバッテリーセルのうちの少なくとも一つに短絡欠陥(short defect)が発生したことと診断する(S440)。
【0223】
例えば、並列連結されている複数のバッテリーセルのうちの一部バッテリーセル同士が互いに接触(short)すれば、バッテリー10の全体抵抗である内部抵抗値が減少することになる。
【0224】
S400段階で、判断結果、以上であれば(S430、No)、BMS40は、バッテリー10の状態を正常と診断する(S450)。
【0225】
内部抵抗(DCIRN)値が下限値(LBN_Th)以上、上限値(UBN_Th)以下に対応する正常範囲外であれば、BMS40は、バッテリー10の状態を欠陥(断線欠陥または短絡欠陥)と診断することができる。また、内部抵抗(DCIRN)値が正常範囲内であれば、BMS40は、バッテリー10の状態を正常と診断することができる。
【0226】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲がこれに限定されるのではなく、本発明の属する分野における通常の知識を有する者が多様に変形および改良した形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0227】
1 バッテリー診断装置
2 バッテリーシステム
10 バッテリー
20 リレー
30 電流センサー
40 バッテリー管理システム
41 測定部
43 記憶部
45 制御部
110 測定部
130 記憶部
150 制御部
【国際調査報告】