(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】接続機構、電気エネルギー伝送装置及び自動車
(51)【国際特許分類】
H01R 4/58 20060101AFI20240920BHJP
H01R 13/03 20060101ALI20240920BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20240920BHJP
H01R 13/40 20060101ALI20240920BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01R4/58 B
H01R13/03 B
H01R13/66
H01R13/40 A
H01R13/40 B
H01R13/52 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517565
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2022123146
(87)【国際公開番号】W WO2023051767
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111167062.8
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202122400673.4
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522388383
【氏名又は名称】長春捷翼汽車科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Changchun JETTY Automotive Technology Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 957, Shunda Road, High-tech Development Zone, Chaoyang District Changchun City, Jilin Province, 130000, China
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 超
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FB08
5E021FB20
5E021FC21
5E087FF02
5E087FF15
5E087GG02
5E087LL14
5E087QQ03
5E087QQ04
5E087RR34
(57)【要約】
本発明は、接続機構、電気エネルギー伝送装置及び自動車を提供し、接続機構は、オス端接続機構とメス端接続機構とを含み、前記オス端接続機構は、フラットリボンと、フラット端子と、前記フラットリボン及び前記フラット端子に接続されるオス端ハウジングとを含み、前記メス端接続機構は、嵌合端子と、前記嵌合端子に接続されるメス端ハウジングとを含み、前記オス端接続機構及び前記メス端接続機構は、前記フラット端子及び前記嵌合端子により電気的に接続され、前記オス端ハウジングと前記メス端ハウジングとが組立接続されて、前記接続機構が形成される。フラットリボンが積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、高圧充電ハーネスの遮蔽層構造の解消を達成し、コスト削減、軽量化の目的を達成できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オス端接続機構とメス端接続機構とを含む接続機構であって、
前記オス端接続機構は、フラットリボンと、フラット端子と、前記フラットリボン及び前記フラット端子に接続されるオス端ハウジングとを含み、前記メス端接続機構は、嵌合端子と、前記嵌合端子に接続されるメス端ハウジングとを含み、前記オス端接続機構及び前記メス端接続機構は、前記フラット端子及び前記嵌合端子により電気的に接続され、前記オス端ハウジングが前記メス端ハウジングに接続されて、前記接続機構が形成される、ことを特徴とする接続機構。
【請求項2】
前記フラットリボンの横断面の縦横比は、1:1~120:1である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項3】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記オス端ハウジングは、少なくとも一部の前記フラットリボン及び前記フラット端子の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項4】
前記フラットリボンは、フラットコアと、外部絶縁層とを含み、前記外部絶縁層は、一部が剥ぎ取られて前記フラットコアを露出させ、前記外部絶縁層の端部は、前記オス端ハウジング内にあるか、又は前記オス端ハウジングに当接される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項5】
前記フラットリボンは、硬さが8HV~105HVであるフラットコアを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項6】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、2本の前記フラットコアの間の垂直距離は、27cm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項7】
2本の前記フラットコアの間の垂直距離は、7cm以下である、ことを特徴とする請求項6に記載の接続機構。
【請求項8】
前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、2本の前記フラットコアの積層方向に沿う重畳度は、40%~100%である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項9】
前記フラットリボンは、先端が前記フラット端子に接続されるフラットコアを含み、前記オス端ハウジングは、少なくとも前記フラット端子の一部を被覆する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項10】
前記フラットリボンは、前記フラット端子と一体構造になるフラットコアを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項11】
前記フラット端子の少なくとも一部が前記オス端ハウジングから突出される、又は、
前記オス端ハウジングに収容キャビティを有し、前記フラット端子の少なくとも一部が前記収容キャビティの底面から突出されるが、前記オス端ハウジングを越えない、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項12】
前記フラットリボンは、フラットコアを含み、前記フラットコアと前記フラット端子との間に、角度が0°~180°である折り曲げ部を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項13】
前記フラット端子の少なくとも一部に、導電腐食防止層が設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項14】
前記導電腐食防止層の厚さは、0.3μm~3000μmである、ことを特徴とする請求項13に記載の接続機構。
【請求項15】
前記導電腐食防止層の厚さは、2.5μm~1000μmである、ことを特徴とする請求項14に記載の接続機構。
【請求項16】
前記フラット端子の端部に、面取りが設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項17】
前記オス端接続機構は、少なくとも一部が前記オス端ハウジング内に一体に射出されるインターロックコネクタを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項18】
前記嵌合端子は、固定部と、ケーブルクランプ部とを含み、前記メス端接続機構は、ケーブルをさらに含み、前記固定部は、前記ケーブルの先端の導電部分に電気的に接続され、前記ケーブルクランプ部は、前記フラット端子に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項19】
前記ケーブルクランプ部に、材質が記憶合金であるクリップがスリーブされる、ことを特徴とする請求項18に記載の接続機構。
【請求項20】
前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、前記クリップの温度が当該変態温度より低い状態では、前記クリップは拡張状態にあり、前記クリップの温度が当該変態温度より高い状態では、前記クリップはクランプ状態にある、ことを特徴とする請求項19に記載の接続機構。
【請求項21】
前記ケーブルクランプ部に、側壁と、前記側壁に固定される弾性ユニットとを含むクリップがスリーブされ、前記弾性ユニットは、前記ケーブルクランプ部の外側に接触して接続される、ことを特徴とする請求項18に記載の接続機構。
【請求項22】
前記弾性ユニットが前記ケーブルクランプ部に印加する力の範囲は、3N~200Nである、ことを特徴とする請求項21に記載の接続機構。
【請求項23】
前記弾性ユニットは、弾性ゴム、バネ又はメタルドームである、ことを特徴とする請求項21に記載の接続機構。
【請求項24】
前記嵌合端子のケーブルクランプ部は、複数層のシート状端子が積み重ねられて形成されたものであり、前記シート状端子に、前記フラットリボンとマッチングして嵌合接続する凹溝が形成される、ことを特徴とする請求項18に記載の接続機構。
【請求項25】
隣接する2つの前記シート状端子の間の隙間は、0.2mmより小さい、ことを特徴とする請求項24に記載の接続機構。
【請求項26】
前記シート状端子の少なくとも一部の材質は、記憶合金である、ことを特徴とする請求項24に記載の接続機構。
【請求項27】
前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、前記シート状端子の温度が当該変態温度より低い状態では、複数の前記凹溝は拡張状態にあり、前記シート状端子の温度が当該変態温度より高い状態では、複数の前記凹溝はクランプ状態にある、ことを特徴とする請求項26に記載の接続機構。
【請求項28】
前記メス端ハウジングは、少なくとも一部の前記嵌合端子の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項29】
前記メス端接続機構は、前記嵌合端子に電気的に接続されるケーブルをさらに含み、前記嵌合端子及び少なくとも一部の前記ケーブルは、前記メス端ハウジング内に設けられ、前記嵌合端子の少なくとも一部は、前記メス端ハウジング外に露出される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項30】
前記ケーブルクランプ部の少なくとも一部は、前記メス端ハウジングの外壁から突出される、又は、
前記メス端ハウジングに開口ボスが設けられ、前記ケーブルクランプ部の少なくとも一部が、前記開口ボス内に設けられる、ことを特徴とする請求項18に記載の接続機構。
【請求項31】
前記メス端接続機構は、前記インターロックコネクタに電気的に接続されて回路を形成する高圧インターロック構造を有する、ことを特徴とする請求項17に記載の接続機構。
【請求項32】
前記メス端接続機構及び/又は前記オス端接続機構は、シール構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項33】
前記シール構造は、前記メス端ハウジング及び/又は前記オス端ハウジングに二次射出成形されたものである、ことを特徴とする請求項32に記載の接続機構。
【請求項34】
前記メス端接続機構及び/又は前記オス端接続機構は、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項35】
前記温度測定構造は、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子の温度を測定するように、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子に貼合される、ことを特徴とする請求項34に記載の接続機構。
【請求項36】
前記オス端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造は、前記フラットリボンの温度を測定するように、前記フラットリボンの間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項37】
前記オス端接続機構と前記メス端接続機構は、粘着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、プラグイン接続、係止接続、結束接続、ネジ接続、リベット接続及び溶接接続のうちの1種又は複数種の方式で接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項38】
前記嵌合端子は、ケーブルクランプ部を含み、前記フラット端子は、前記ケーブルクランプ部に嵌合されて電気的に接続され、前記フラット端子と前記ケーブルクランプ部との間のプラグイン力は、3N~150Nである、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項39】
前記フラット端子と前記ケーブルクランプ部との間のプラグイン力は、10N~130Nである、ことを特徴とする請求項38に記載の接続機構。
【請求項40】
前記フラット端子と前記嵌合端子との間の接触抵抗は、9mΩより小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項41】
前記フラット端子と前記嵌合端子との間の接触抵抗は、1mΩより小さい、ことを特徴とする請求項40に記載の接続機構。
【請求項42】
前記オス端接続機構と前記メス端接続機構との間の挿抜回数は、9回以上である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項43】
前記オス端接続機構の重量は、305g以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項44】
前記オス端接続機構の挿抜方向に沿う高さは、108mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の接続機構。
【請求項45】
請求項1から44のいずれか1項に記載の接続機構を含む、ことを特徴とする電気エネルギー伝送装置。
【請求項46】
請求項1から44のいずれか1項に記載の接続機構を含む、ことを特徴とする自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年10月01日に提出され、出願番号が202111167062.8であり、発明の名称が「接続機構、電気エネルギー伝送装置及び自動車」である中国特許出願の優先権を主張し、当該特許出願の全ての内容は、全てここに組み込まれる。本願は、2021年10月01日に提出され、出願番号が202122400673.4であり、考案の名称が「接続機構、電気エネルギー伝送装置及び自動車」である中国実用新案出願の優先権をさらに主張し、当該実用新案出願の全ての内容は、全てここに組み込まれる。
【0002】
本発明は、充電技術分野に関し、特に接続機構、電気エネルギー伝送装置及び自動車に関する。
【背景技術】
【0003】
新エネルギー自動車の新エネルギー電池は、充電システムを用いてエネルギーが補充される。充電システムにおいて、充電ドックの他に、電池システムに接続される高圧接続機構があり、充電ハーネスは、電気自動車の高圧システムにおける最も重要なユニットであり、伝統的な充電ハーネスは、充電ケーブルとして銅線を採用し、銅線の末端がプラグイン端子に接続されて、電池システムに電気的に接続される。現在の高圧接続機構は、いずれも組立構造のコネクタであり、複雑な構造、組立の難しさ、高いコネクタコストなどの問題があり、また、ケーブル及び端子の銅材の使用量が多く、接続加工が比較的複雑であり、高圧接続機構のコストが高止まりしている原因でもある。
【0004】
高圧充電ハーネスに大電流が流れる時、他の部品に電磁干渉を発生させ、このような電磁干渉を回避するために、高圧充電ハーネスの外側に遮蔽層を増加する必要があり、このような高圧充電ハーネスに対する遮蔽は、そのコスト及び重量を著しく増加させる。
【0005】
また、一般的に、充電システムは、いずれも充電ドックに温度測定構造を取り付け、接続機構には設けられていないが、導通電流は同一であり、接続機構の温度が上昇した場合、同様に、充電ハーネス及び電池システムの安全を保護するように、監視及び充電作業の適時停止を行う必要がある。
【0006】
電気自動車の市場拡大に伴い、充電システムは、構造が簡単で、コストのメリットがある接続機構及び電気エネルギー伝送装置を至急に必要とする。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、フラットリボンが積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、高圧充電ハーネスの遮蔽層構造の解消を達成し、コスト削減、軽量化の目的を達成できる接続機構を提供することである。
【0008】
本発明の上記目的は、以下の技術案によって実現される。
【0009】
本発明は、オス端接続機構とメス端接続機構とを含む接続機構であって、前記オス端接続機構は、フラットリボンと、フラット端子と、前記フラットリボン及び前記フラット端子に接続されるオス端ハウジングとを含み、前記メス端接続機構は、嵌合端子と、前記嵌合端子に接続されるメス端ハウジングとを含み、前記オス端接続機構及び前記メス端接続機構は、前記フラット端子及び前記嵌合端子により電気的に接続され、前記オス端ハウジングと前記メス端ハウジングが接続されて、前記接続機構が形成される接続機構を提供する。
【0010】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンの横断面の縦横比は、1:1~120:1である。
【0011】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記オス端ハウジングは、少なくとも一部の前記フラットリボン及び前記フラット端子の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される。
【0012】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、フラットコアと、外部絶縁層とを含み、前記外部絶縁層は、一部が剥ぎ取られて前記フラットコアを露出させ、前記外部絶縁層の端部は、前記オス端ハウジング内にあるか、又は前記オス端ハウジングに当接される。
【0013】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、硬さが8HV~105HVであるフラットコアを含む。
【0014】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、2本の前記フラットコアの間の垂直距離は、27cm以下である。
【0015】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、2本の前記フラットコアの間の垂直距離は、7cm以下である。
【0016】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記フラットリボンは、上下に積み重ねられ、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、2本の前記フラットコアの積層方向に沿う重畳度は、40%~100%である。
【0017】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、先端が前記フラット端子に接続されるフラットコアを含み、前記オス端ハウジングは、少なくとも一部の前記フラット端子を被覆する。
【0018】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、前記フラット端子と一体構造になるフラットコアを含む。
【0019】
好ましい実施形態において、前記フラット端子の少なくとも一部が前記オス端ハウジングから突出されるか、又は前記オス端ハウジングに収容キャビティを有し、前記フラット端子の少なくとも一部が前記収容キャビティの底面から突出されるが、前記オス端ハウジングを越えない。
【0020】
好ましい実施形態において、前記フラットリボンは、フラットコアを含み、前記フラットコアと前記フラット端子との間に、角度が0°~180°である折り曲げ部を含む。
【0021】
好ましい実施形態において、前記フラット端子の少なくとも一部に、導電腐食防止層が設けられる。
【0022】
好ましい実施形態において、前記導電腐食防止層の厚さは、0.3μm~3000μmである。
【0023】
好ましい実施形態において、前記導電腐食防止層の厚さは、2.5μm~1000μmである。
【0024】
好ましい実施形態において、前記フラット端子の端部に、面取りが設けられる。
【0025】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構は、少なくとも一部が前記オス端ハウジング内に一体に射出されるインターロックコネクタを含む。
【0026】
好ましい実施形態において、前記嵌合端子は、固定部と、ケーブルクランプ部とを含み、前記メス端接続機構は、ケーブルをさらに含み、前記固定部は、前記ケーブルの先端の導電部分に電気的に接続され、前記ケーブルクランプ部は、前記フラット端子に電気的に接続される。
【0027】
好ましい実施形態において、前記ケーブルクランプ部に、材質が記憶合金であるクリップがスリーブされる。
【0028】
好ましい実施形態において、前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、前記クリップの温度が当該変態温度より低い状態では、前記クリップは拡張状態にあり、前記クリップの温度が当該変態温度より高い状態では、前記クリップはクランプ状態にある。
【0029】
好ましい実施形態において、前記ケーブルクランプ部に、側壁と、前記側壁に固定される弾性ユニットとを含むクリップがスリーブされ、前記弾性ユニットは、前記ケーブルクランプ部の外側に接触して接続される。
【0030】
好ましい実施形態において、前記弾性ユニットが前記ケーブルクランプ部に印加する力の範囲は、3N~200Nである。
【0031】
好ましい実施形態において、前記弾性ユニットは、弾性ゴム、バネ又はメタルドームである。
【0032】
好ましい実施形態において、前記嵌合端子のケーブルクランプ部は、複数層のシート状端子が積み重ねられて形成されたものであり、前記シート状端子に、前記フラットリボンとマッチングして嵌合接続するための凹溝が形成される。
【0033】
好ましい実施形態において、隣接する2つの前記シート状端子の間の隙間は、0.2mmより小さい。
【0034】
好ましい実施形態において、前記シート状端子の少なくとも一部の材質は、記憶合金である。
【0035】
好ましい実施形態において、前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、前記シート状端子の温度が当該変態温度より低い状態では、複数の前記凹溝は拡張状態にあり、前記シート状端子の温度が当該変態温度より高い状態では、複数の前記凹溝はクランプ状態にある。
【0036】
好ましい実施形態において、前記メス端ハウジングは、少なくとも一部の前記嵌合端子の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される。
【0037】
好ましい実施形態において、前記メス端接続機構は、前記嵌合端子に電気的に接続されるケーブルをさらに含み、前記嵌合端子及び少なくとも一部の前記ケーブルは、前記メス端ハウジング内に設けられ、前記嵌合端子の少なくとも一部は、前記メス端ハウジング外に露出される。
【0038】
好ましい実施形態において、前記ケーブルクランプ部の少なくとも一部は、前記メス端ハウジングの外壁から突出されるか、又は前記メス端ハウジングに開口ボスが設けられ、前記ケーブルクランプ部の少なくとも一部が、前記開口ボス内に設けられる。
【0039】
好ましい実施形態において、前記メス端接続機構は、前記インターロックコネクタに電気的に接続されて回路を形成する高圧インターロック構造を有する。
【0040】
好ましい実施形態において、前記メス端接続機構及び/又は前記オス端接続機構は、シール構造を有する。
【0041】
好ましい実施形態において、前記シール構造は、前記メス端ハウジング及び/又は前記オス端ハウジングに二次射出成形されたものである。
【0042】
好ましい実施形態において、前記メス端接続機構及び/又は前記オス端接続機構は、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。
【0043】
好ましい実施形態において、前記温度測定構造は、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子の温度を測定するように、前記嵌合端子及び/又は前記フラットリボン及び/又は前記フラット端子に貼合される。
【0044】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、前記フラットリボンは、少なくとも2本であり、前記温度測定構造は、前記フラットリボンの温度を測定するように、前記フラットリボンの間に位置する。
【0045】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構と前記メス端接続機構は、粘着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、プラグイン接続、係止接続、結束接続、ネジ接続、リベット接続及び溶接接続のうちの1種又は複数種の方式で接続される。
【0046】
好ましい実施形態において、前記嵌合端子は、ケーブルクランプ部を含み、前記フラット端子は、前記ケーブルクランプ部に嵌合されて電気的に接続され、前記フラット端子と前記ケーブルクランプ部との間のプラグイン力は、3N~150Nである。
【0047】
好ましい実施形態において、前記フラット端子と前記ケーブルクランプ部との間のプラグイン力は、10N~130Nである。
【0048】
好ましい実施形態において、前記フラット端子と前記嵌合端子との間の接触抵抗は、9mΩより小さい。
【0049】
好ましい実施形態において、前記フラット端子と前記嵌合端子との間の接触抵抗は、1mΩより小さい。
【0050】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構と前記メス端接続機構との間の挿抜回数は、9回以上である。
【0051】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構の重量は、305g以下である。
【0052】
好ましい実施形態において、前記オス端接続機構の挿抜方向に沿う高さは、108mm以下である。
【0053】
好ましい実施形態において、上記のいずれか一項に記載の接続機構を含む電気エネルギー伝送装置。
【0054】
上記のいずれか一項に記載の接続機構を含む自動車。
【0055】
本発明の特徴及び利点は以下の通りである。
【0056】
1、本発明の接続機構は、射出成形されたオス端ハウジングが設けられることにより、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボンの中に直接に射出して絶縁でき、フラットリボンの取り付けを減少でき、且つ組み立ての問題を考慮する必要がなしで、フラットリボンの先端を需要に応じて様々な形状に成形することができ、加工工程を節減し、加工コストを低減させる。
【0057】
2、本発明の接続機構は、フラットリボンが積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、高圧充電ハーネスの遮蔽層構造の解消を達成し、コスト削減、軽量化の需要を達成できる。
【0058】
3、フラット端子と嵌合端子との接続において、導電腐食防止層は、フラットリボンのフラット端子と嵌合端子との間に電気化学反応が発生することを減少させ、フラットリボンが銅端子を介してこそ、他の端子又は電気装置に接続できるという技術的問題を解決することができる。
【0059】
4、嵌合端子は、複数のシート状端子が積層されて分布され、シート状端子は、変形しやすく、フラットリボンのフラット端子にプラグインでき、フラットリボンのフラット端子とシート状端子の帯状凹溝とが互いに接触して電気的接続が実現されることにより、嵌合端子とフラットリボンとの接続の安定性を確保することができる。
【0060】
5、フラットリボンのフラットコアとフラット端子とが一体構造になって、嵌合端子に直接に接続されることにより、フラットリボンに銅端子を接続することを必要とするというコストが高く、効率が低い問題を解決し、安全で迅速な挿抜を実現可能である。
【0061】
6、嵌合端子は、記憶機能を有し、変態温度以下である場合、嵌合端子の帯状凹溝は、通常拡張状態であり、この時、フラットリボンのフラット端子は、無挿入力で突き合わされることができ、作業者による電気機器の簡単な嵌合を容易にする。作業中に嵌合端子に電流を導通させ、抵抗の作用により嵌合端子の温度が徐々に上昇し、温度が変態温度以上に上昇すると、嵌合端子の帯状凹溝は、径方向に収縮され、温度の上昇により嵌合端子の帯状凹溝とフラットリボンのフラット端子との接触面積及び接触力を増加させ、接触の信頼性を向上させ、挿入力の要求が省かれるため、作業がより簡単になり、作業効率が高まる。
【0062】
7、インサート式高圧インターロック構造は、従来の組付け式の高圧インターロックの代わりに、一体射出で接続機構に固定され、組み立てる必要がなく、コストを低減させ、高圧インターロック効果を完全に満たす。
【0063】
8、接続機構のシール構造は、これ以上独立したシールリングを取り付けることではなく、伝統的なシールリングの代わりに、二次射出シール構造を採用することにより、接続機構に直接に成形でき、射出の結合性がより良く、コストを低減させる。
【0064】
9、温度測定機構を採用することにより、接続機構内部の端子の温度を独立して監視し、他の位置の温度センサの破損に起因して接続機構の温度を監視できなくなることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明における技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の記述に必要な図面を簡単に紹介し、明らかなように、以下の記述における図面は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者にとっては、創造的な労働をせずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
【
図1】本発明における接続機構の構造模式図である。
【
図2】本発明におけるオス端接続機構の構造模式図である。
【
図3】本発明におけるフラットコアの構造模式図である。
【
図4】本発明におけるメス端接続機構の構造模式図である。
【
図5】本発明における嵌合端子の構造模式図である。
【
図6】本発明におけるフラットコアと嵌合端子とのプラグイン構造の模式図である。
【
図7】本発明におけるインターロックコネクタの構造模式図である。
【
図8】本発明における高圧インターロック構造の模式図である。
【
図9】本発明におけるフラットコアの磁界の構造模式図である。
【
図10】本発明におけるフラットコアの垂直距離の構造模式図である。
【
図11】本発明におけるフラットコアの構造模式図である。
【
図12】本発明におけるクリップの構造模式図である。
【
図13】本発明の
図1における接続機構の構造A方向の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
以下、本発明の実施例における図面を参照しながら、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に記述し、記述される実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全部の実施例ではないことが明らかである。本発明における実施例に基づき、当業者が創造的な労働をせずに取得した他の全ての実施例は、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0067】
図1~
図4に示すように、接続機構は、オス端接続機構10及びメス端接続機構20を含み、オス端接続機構10は、フラットリボン11と、フラット端子113と、フラットリボン11及びフラット端子113に接続されるオス端ハウジング12とを含み、メス端接続機構20は、嵌合端子23と、嵌合端子23に接続されるメス端ハウジング22とを含み、オス端接続機構10及びメス端接続機構20は、フラット端子113及び嵌合端子23により電気的に接続され、オス端ハウジング12がメス端ハウジング22に接続されて、接続機構が形成される。
【0068】
フラットリボンが積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボンに通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、高圧充電ハーネスの遮蔽層構造の解消を達成し、コスト削減、軽量化の需要を達成できる。
【0069】
さらに、フラットリボン11は、放熱、組み立てのいずれにも大きなメリットがあり、フラットリボン11の導電部分のアスペクト比が大きく、つまり、大きい平面が外部環境に接触するため、効果的な放熱を行うことができ、電流によるケーブルの温度上昇を迅速に低減し、ケーブルの使用寿命を延ばすことができる。また、ケーブルの組み立ての際に、取付環境の高さが十分でない場合、フラットリボン11を用いて、ケーブルの敷設高さを低減させ、取付環境に効果的に密着して組み立てて、取付空間の需要を低減させ、空間利用率を向上させることができる。
【0070】
いくつかの実施例において、フラットリボン11、フラット端子113及び嵌合端子23の材質は、ニッケル、カドミウム、ジルコニウム、クロム、コバルト、マンガン、アルミニウム、錫、チタニウム、亜鉛、銅、銀、金、リン、テルル、ベリリウム及び鉛のうちの1種又は複数種を含有する金属導電材料であり、これらの材料は、性質が安定であり、且つ導電性が良く、好ましい材料は、銅又は銅合金又はアルミニウム又はアルミニウム合金を含有する材料である。
【0071】
いくつかの実施例において、フラットリボン11の材質は、アルミニウム、リン、錫、銅、鉄、マンガン、クロム、チタニウム及びリチウムのうちの1種又は複数種を含有するものであり、ここで、フラットリボン11の材質がアルミニウム又はアルミニウム合金を含有することは、最近の省エネルギー、コストダウンの主な手段の1つである。電気的接続分野では、いずれも銅導線を用いて電流を伝導し、銅は、導電率が高く、延性が良い。しかし、銅の価格が日増しに上昇することに伴い、銅材を導線として使用する材料コストがもっともっと高くなっている。そのため、人々は、コストを低減させるように金属銅の代替品を探し始めた。地殻における金属アルミニウムの含有量は約7.73%であり、精錬技術が最適化された後、価格が相対的に低く、且つ銅に対してアルミニウムの重量が軽く、導電率が銅の次ぎに大きく、電気的接続分野において、アルミニウムは一部の銅を代替可能である。したがって、自動車の電気的接続分野において、アルミニウムで銅を代替することが発展動向である。
【0072】
一実施形態において、フラットリボン11の横断面積の縦横比は、1:1~120:1である。
【0073】
フラットリボン11の温度上昇及び引張強度に対するフラットリボン11の横断面の縦横比の影響を検証するために、発明者は、同じ断面積の規格、異なる縦横比のフラットリボン11のサンプルを選択し、フラットリボン11の温度上昇及び引張強度をテストし、テスト結果を表1に示す。
【0074】
フラットリボン11の温度上昇のテスト方法:当該フラットリボン11に同じ電流を導通させ、密閉された環境で、通電前及び温度が安定した後のフラットリボン11の同じ位置の温度を検出し、差を減算して絶対値を取る。本実施例において、温度上昇が50Kより大きいものを不合格と見なす。
【0075】
フラットリボン11の引張強度のテスト方法:万能引張り試験機を用いて、フラットリボン11のサンプルの両端を万能引張り試験機の引張治具にそれぞれ固定し、50mm/minの速度で引っ張り、最終的に破断する時の引張力値を記録し、本実施例において、1600Nより大きい引張力値が合格値である。
【0076】
表1:フラットリボン11の温度上昇及び引張強度に対するフラットリボン11の横断面の縦横比の影響
【表1】
上記表1から分かるように、フラットリボン11の横断面の縦横比が1:1より小さい場合、フラットリボン11の温度上昇が50Kより大きいものが不合格であり、フラットリボン11の横断面の縦横比が1:1以上である場合、フラットリボン11の温度上昇が50Kより小さいものが合格であり、且つ状態がますますよくなり、フラットリボン11の横断面の縦横比が大きいほど、フラットリボン11の放熱面積も大きくなり、同様の温度上昇の場合、放熱が良いフラットリボン11ほど、温度上昇値が低くなるからである。フラットリボン11の横断面の縦横比が120:1より大きい場合、フラットリボン11が薄すぎるため、フラットリボン11が引張力を受けた場合、薄すぎるフラットリボン11は、大きな引張力に耐えられずに破断され、この時、フラットリボン11の引張強度は合格値の要求を満たさない。したがって、発明者は、フラットリボン11の横断面の縦横比を1:1~120:1と設定した。
【0077】
一実施形態において、
図2に示すように、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、フラットリボン11は、上下に積み重ねられ、オス端ハウジング12は、少なくとも一部のフラットリボン11及びフラット端子113の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される。
【0078】
一般的な導電回路は、いずれも2本の回路によって構成され、例えば、直流充電ドックには、直流正極充電ケーブルと直流負極充電ケーブルがあり、交流充電ドックにも、交流ライブ線充電ケーブルと交流ニュートラル線充電ケーブルがある。フラットリボン11が上下に積み重ねられることにより、組立空間を効果的に利用でき、且つ電磁干渉を相殺させる作用がある。2本のフラットリボン11が上下に積み重ねられた後、射出金型により、オス端ハウジング12の素材をフラットリボン11の間及び外周に射出して、オス端ハウジング12を形成する。
【0079】
いくつかの実施例において、連通する必要のある回路が多い場合、フラットリボン11は、3本、4本又は複数本であってもよく、異なる回路を接続させる。
【0080】
本実施例における接続機構に、射出成形されたオス端ハウジング12を設けることにより、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボン11の中に直接に射出して絶縁でき、フラットリボン11の取り付けを減少でき、且つ組み立ての問題を考慮する必要がなしで、フラットリボン11の先端を需要に応じて様々な形状に成形することができ、加工工程を節減し、加工コストを低減させる。
【0081】
さらに、フラットリボン11は、放熱、組み立てのいずれにも大きなメリットがあり、フラットリボン11の導電部分のアスペクト比が大きく、つまり、大きい平面が外部環境に接触するため、効果的な放熱を行うことができ、電流によるケーブルの温度上昇を迅速に低減し、ケーブルの使用寿命を延ばすことができる。また、ケーブルの組み立ての際に、取付環境の高さが十分でない場合、フラットリボン11を用いて、ケーブルの敷設高さを低減させ、取付環境に効果的に密着して組み立てて、取付空間の需要を低減させ、空間利用率を向上させることができる。
【0082】
一実施形態において、フラットリボン11は、フラットコア111と外部絶縁層112とを含み、外部絶縁層112の一部が剥ぎ取られてフラットコア111を露出させ、外部絶縁層112の端部がオス端ハウジング12内にあるか、又はオス端ハウジング12に当接される。
【0083】
フラットコア111は、フラットリボン11の導電部分であり、外部絶縁層112は、フラットリボン11の絶縁部分であり、オス端ハウジング12を射出する前に、フラットリボン11の外部絶縁層112の一部を剥ぎ取り、内部のフラットコア111を露出させてから、オス端ハウジング12の一体射出成形を行うことを必要とする。
【0084】
好ましくは、フラットリボン11は、硬度が8HV~105HVであるフラットコア111を含む。
【0085】
フラット端子113がフラットコア111から剥がれる力及びフラットコア111がXY方向で折り曲げられるトルクに対するフラットコア111の硬度の影響を検証するために、発明者は、同じ寸法規格のものを選択し、異なる硬度のフラットコア111のサンプルを用いて、フラット端子113がフラットコア111から剥がれる力及びフラットコア111が折り曲げられるトルクをテストし、テスト結果を表2に示す。
【0086】
フラット端子113が剥がれる力のテスト方法:万能引張り試験機を用いて、フラット端子113とフラットコア111を万能引張り試験機の引張治具にそれぞれ垂直に固定し、50mm/minの速度で引っ張り、最終的にフラット端子113がフラットコア111から剥がれる時の引張力値を記録し、本実施例において、900Nより大きい引張力値が合格値である。フラットコア111が折り曲げられる時のトルクのテスト方法:トルクテスト機を用いて、フラットコア111を同じ半径、同じ速度で90°折り曲げる時、折り曲げ中のフラットコア111の変形のトルク値をテストし、本実施例において、30N・mより小さいトルク値が合格値である。
【0087】
表2:フラット端子113が剥がれる力及びフラットコア111が折り曲げられる時のトルクに対するフラットコア111の硬さの影響
【表2】
上記表2から分かるように、フラットコア111の硬度が8HVより小さい場合、フラット端子113がフラットコア111から剥がれる時の引張力値は、合格値より小さく、この時、フラットコア111に接続されたフラット端子113は、外力の作用でフラットコア111から剥がれやすいことにより、フラットコア111を回路導通させることができず、且つ、フラットコア111の機能喪失を引き起こすことにより、電気エネルギー伝送の目的を達成できず、深刻な場合に短絡を引き起こして燃焼事故につながる。フラットコア111の硬度が105HVより大きい場合、フラットコア111自体の硬度が高いため、フラットコア111を折り曲げる必要がある場合、フラットコア111を変形させるように、より大きなトルクを必要とし、この時、トルク値が合格値の要求を満たさない。したがって、発明者は、フラットコア111の硬さを8HV~105HVと設定した。
【0088】
表2のデータから分かるように、フラットコア111の硬度が10HV~55HVである場合、フラット端子113がフラットコア111から剥がれる時の引張力値及びフラットコア111がXY方向で折り曲げられるトルク値は、いずれも良好な範囲にあるため、発明者は、フラットコア111の硬度を10HV~55HVとすることが好ましい。
【0089】
さらに、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、フラットリボン11は、上下に積み重ねられ、フラットリボン11は、フラットコア111を含み、2本のフラットコア111の間の垂直距離は、27cm以下である。
【0090】
さらに、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、フラットリボン11は、フラットコア111を含み、2本のフラットコア111の間の垂直距離は、7cm以下である。
【0091】
図9に示すように、フラットリボン11は、通電時に誘導磁界を発生し、当該誘導磁界は、外部に対して電磁干渉を発生させ、従来技術における通常の解決手段は、フラットリボン11の外部に電磁遮蔽層を設けることである。遮蔽構造を解消し、コストを低減させ、重量を軽減させるために、本発明は、以下の設計を採用し、前記車両用電気エネルギー伝送システムは、積層して設けられた2つのフラットリボン11を含む。
【0092】
2つのフラットリボン11が上下に積層して配置される場合、発生される磁界は
図9~
図11に示すとおりである。フラットコア111が扁平構造であり、その磁界が最も強い箇所は、その面積が最も大きな部位にあるため、フラットコア111に対する積層配置によって2本のフラットコア111の磁界を相殺させる(2つのフラットコア111において、電流の大きさが同じで電流方向Aが反対であるため、誘導磁界は、強度が同じで方向が反対である)ことで、フラットコア111の通電時の他の電気部品に対する電磁干渉を除去することができる。
【0093】
好ましくは、前記2つのフラットリボン11の幅方向は、互いに平行になる。前記フラットリボン11は、互いに鏡像である。前記2つのフラットコア111間の距離は、Hである。前記2つのフラットリボン11の積層方向は、
図10における上下方向である。
【0094】
前記2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳度が100%である場合、磁界相殺に対する前記フラットコア111間の距離Hの影響を表3に示し、30%より大きい磁界相殺の百分率が合格値である。
【0095】
表3:2つのフラットリボン11の積層重畳度が100%である場合の磁界相殺に対するフラットコア111間の距離Hの影響
【表3】
ここで、前記重畳度とは、1つのフラットリボン11の面積における前記2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳面積の占める百分率を意味するものである。
【0096】
表3から分かるように、前記2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳度が100%である時、前記2つのフラットコア111の距離Hが27cm以下である場合、磁界相殺の百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、好ましくは、前記2つのフラットコア111間の垂直距離が7cm以下である場合、磁界を効果的に相殺させることができ、且つ効果が顕著であるため、さらに、2つのフラットコア111間の距離Hを7cm以下とする。
【0097】
本実施例の接続機構は、フラットリボン11が積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボン11に通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、接続構造の遮蔽装置の解消を達成し、コスト削減、軽量化の需要を達成できる。
【0098】
一実施形態において、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、フラットリボン11は、上下に積み重ねられ、フラットリボン11は、フラットコア111を含み、2本のフラットコア111の積層方向に沿う重畳度は、40%~100%である。
【0099】
フラットリボン11が上下に積層して配置される場合、フラットリボン11が扁平構造であり、その磁界が最も強い箇所は、その面積が最も大きな部位にあるため、フラットリボン11に対する積層配置によって正、負極フラットコア111の磁界を相殺させることで、フラットリボン11の通電時の他の電気部品に対する電磁干渉を除去することができる。
【0100】
フラットリボン11間の距離及びフラットリボン11の積層重畳度は、磁界の相殺の度合いに大きな影響を与え、本発明は、2つのフラットリボン11に対する積層設計、並びに2つのフラットリボンの積層距離及び重畳度に対する制御によって、フラットリボン11の磁界を効果的に相殺させる。
【0101】
2つのフラットリボン11のフラットコア111間の距離が7cmである場合、磁界相殺に対する前記2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳度の影響を表4に示し、30%より大きい磁界相殺の百分率が合格値である。
【0102】
表4:2つのフラットコア111の距離が7cmである場合の磁界相殺に対するフラットリボン11の積層重畳面積の影響
【表4】
表4から分かるように、2つのフラットコア111間の距離が7cmである場合、前記フラットリボン11の積層方向に沿う重畳度は、40%~100%であり、磁界相殺の百分率が合格であり、電磁干渉防止に一定の効果があり、2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳度が90%以上である場合、効果が顕著であり、2つのフラットリボン11の積層方向に沿う重畳度が100%である場合、効果が最適である。
【0103】
一実施形態において、
図2~
図3に示すように、フラットリボン11は、先端がフラット端子113に接続されるフラットコア111を含み、オス端ハウジング12は、少なくともフラット端子113の一部を被覆する。フラットリボン11は、外絶縁層112が剥ぎ取られてフラットコア111を露出させ、且つ嵌合端子23に電気的に接続される部位がフラット端子113であり、フラット端子113を設けることにより、嵌合端子23に効果的に嵌合接続されて、接続機構の効果的な電気的接続を実現することができる。
【0104】
図6に示すように、フラット端子113を嵌合端子23に効果的に嵌合接続させる可能にするために、フラットリボン11とオス端ハウジング12との一体成形中に、フラット端子113をオス端ハウジング12の外部に露出させて設けて、オス端ハウジング12の被覆に起因してフラット端子113と嵌合端子23とがプラグイン接続できなくなってしまうことを防止する必要がある。
【0105】
好ましくは、前記フラットコア111の先端が前記フラット端子113に接続される方式は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係着、スプライシング及び圧着のうちの1種又は複数種である。
【0106】
抵抗溶接方式とは、強い電流を利用して電極とワークとの間の接触点を通過させ、接触抵抗により熱を発生させて溶接を実現する方法であり、フラットコア111の先端と前記フラット端子113の導電部分は、抵抗溶接で溶接する。
【0107】
摩擦溶接方式とは、熱源としてワークの接触面の摩擦による熱を利用して、圧力の作用でワークを塑性変形させて溶接する方法であり、フラットコア111の先端と前記フラット端子113の導電部分は、摩擦溶接で溶接する。
【0108】
超音波溶接方式は、高周波振動波を利用して2つの溶接される物体表面に伝達させ、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成するものであり、フラットコア111の先端と前記フラット端子113の導電部分は、超音波で溶接する。
【0109】
アーク溶接方式とは、アークを熱源とし、空気放電の物理的現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギー及び機械的エネルギーに変換することにより、金属の接続目的を達成するものであり、主な方法として、溶接棒アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールド溶接などがある。
【0110】
レーザ溶接方式は、熱源として高エネルギー密度のレーザビームを利用する高効率で精密な溶接方法である。
【0111】
電子ビーム溶接方式とは、加速及び集束された電子ビームで真空又は非真空中に置かれた溶接面に照射し、被溶接ワークを溶解させて溶接を実現するものである。
【0112】
圧力溶接方式は、溶接材に圧力を印加し、スプライシング面を密接に接触させて一定の塑性変形を発生させて溶接を完了する方法である。
【0113】
拡散溶接方式とは、高温でワークを加圧するが、視覚的変形や相対移動が生じない固相溶接方法である。
【0114】
磁気誘導溶接方式は、2つの被溶接ワークが強いパルス磁界の作用で瞬間的な高速衝突が発生され、材料表層が高い圧力波の作用で、2つの材料の原子を原子間距離内で出会わせることにより、界面に安定した冶金結合を形成するものである。
【0115】
螺着方式とは、ネジ接続であり、ネジ材(又は被接続材のネジ部分)で被接続材を一体に繋がる取り外し可能な接続である。常用のネジ接続材には、ボルト、スタッド、ビス及び締めビスなどがあり、多くは標準規格品である。
【0116】
係着方式とは、接続端又は接続面に対応する係止爪又は係止溝をそれぞれ設け、係止溝と係止爪によって組み立てて接続させるものである。係着方式の利点は、接続が迅速で、取り外し可能であることである。
【0117】
スプライシング方式とは、接続端又は接続面に、それぞれ対応する凹溝及び突起を設け、凹溝及び突起によって互いにジョッグル又はスプライシングして組み立てることで、これらを接続させるものである。スプライシング方式の利点は、接続が安定で、取り外し可能であることである。
【0118】
圧着方式の圧着は、接続端と接続面とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にスタンピングする生産プロセスである。圧着の利点は、量産性に優れ、自動圧着機を採用することで、安定した品質の製品を迅速で大量に製造できる。
【0119】
上記接続方式により、実際の使用環境に応じて、フラットコア111の先端と前記フラット端子113の導電部分の実際の使用状態で、適当な接続方式又は接続方式の組み合わせを選択して、効果的な電気的接続を実現できる。
【0120】
いくつかの実施形態において、フラットリボン11は、フラット端子113と一体構造になるフラットコア111を含む。フラットコア111とフラット端子113は、同一の材料で製造されたものであってもよく、フラット端子113の使用を節減し、材料コストを低減させ、加工工数を節減することができ、且つ組み立ての問題を考慮する必要がなしで、フラットコア111の先端を需要に応じて様々な形状に成形することができる。
【0121】
さらに、フラット端子113の少なくとも一部がオス端ハウジング12から突出されるか、又はオス端ハウジング12に収容キャビティを有し、フラット端子113の少なくとも一部が前記収容キャビティの底面から突出されるが、前記オス端ハウジング12を越えない。フラット端子113は、オス端ハウジング12の外部に突設され、メス端ハウジング22における嵌合端子23に直接に嵌合接続されてもよく、オス端ハウジング12の収容キャビティの内部に設けられ、メス端ハウジング22における嵌合端子23が収容キャビティの奥へ挿入され、フラット端子113に嵌合接続されてもよい。
【0122】
フラット端子113と嵌合端子23との接続により、フラットリボン11のフラット端子113自体が端子の機能を実現し、嵌合端子23に直接に接続されることにより、フラットリボン11に銅端子を接続することを必要とするというコストが高く、効率が低い問題を解決し、安全で迅速な挿抜を実現可能である。
【0123】
一実施形態において、
図3に示すように、フラットリボン11は、フラットコア111を含み、フラットコア111とフラット端子113との間に、角度が0°~180°である折り曲げ部1131を含む。折り曲げ部1131は、異なる折り曲げ角度に設けられ、異なる形状で、異なる嵌合端子23の方向の接続機構を適用可能であり、取付環境の需要及び接続機構の構造の簡略化、接続空間の低減の需要に応じて、設計者は、異なる角度の嵌合端子23に接続するように、異なる角度の折り曲げ部1131を設定することにより、接続機構の両側のケーブルの走行方向を変更でき、また、フラットリボン11の本体とフラット端子113は、折り曲げ部1131を介して接続され、折り曲げ部1131によってフラットリボン11の延伸方向を調整し、フラットリボン11の取付環境への適合を容易にする。
【0124】
本実施例において、フラットリボン11の利点は、曲げ成形を容易にすることにもあり、即ち、フラットリボン11は、曲げられた後に形状を維持でき、このようにすると、車体の板金に合わせて配置することができ、空間を節減するとともに、固定も容易にする可能であるように、異なる位置で需要に応じて折り曲げ成形を行うことができる。
【0125】
一実施形態において、フラット端子113の少なくとも一部に、導電腐食防止層が設けられる。フラット端子113と嵌合端子23の材質が一致しない場合、両者の間の導電は、ポテンシャルの電位差により電気化学腐食を発生させ、フラット端子113及び嵌合端子23の使用寿命を低減させてしまい、このような電気化学的腐食を低減させるために、フラット端子113に導電腐食防止層を設けてもよく、導電腐食防止の材質は、ポテンシャルの電位がフラット端子113と嵌合端子23との材質のポテンシャルの電位の間にある金属材料を使用することにより、フラット端子113と嵌合端子23を遮断し、電気化学腐食を緩和させ、フラット端子113及び嵌合端子23の使用寿命を延ばすことができる。
【0126】
フラット端子113と嵌合端子23との接続において、導電腐食防止層は、フラットリボン11のフラット端子113と嵌合端子23との間に電気化学反応が発生することを減少させ、フラットリボン11が他の材質の端子を介してこそ、他の端子又は電気装置に接続できるという技術的問題を解決することができる。
【0127】
さらに、導電腐食防止層は、電気めっき、無電解めっき、マグネトロンスパッタリング、真空めっき、圧力溶接、拡散溶接、摩擦溶接、抵抗溶接方式、超音波溶接又はレーザ溶接方式のうちの1種又は複数種によって前記フラット端子113の少なくとも一部の表面に付着される。
【0128】
電気めっき方法は、電解原理を利用してある金属表面に他の金属又は合金を薄くめっきするプロセスである。
【0129】
無電解めっき方法は、金属の触媒作用で、制御可能な酸化還元反応によって金属を生成させる沈積プロセスである。
【0130】
マグネトロンスパッタリング方法は、磁界と電界の相互作用を利用して、電子をターゲット表面の近傍で螺旋状に走行させることにより、電子がアルゴンガスに衝突されてイオンを生成させる確率を増大させるものである。生成されたイオンは、電界の作用でターゲット面に衝突されてターゲットからスパッタリングされる。
【0131】
真空めっき方法は、真空条件で、蒸留又はスパッタリングなどの方式によって成形物の表面に各種の金属及び非金属薄膜を沈積するものである。
【0132】
圧力溶接は、溶接材に圧力を印加し、スプライシング面を密接に接触させて一定の塑性変形を発生させて溶接を完了する方法である。
【0133】
摩擦溶接方式とは、熱源としてワークの接触面の摩擦による熱を利用して、圧力の作用でワークを塑性変形させて溶接する方法である。
【0134】
抵抗溶接方式とは、強い電流を利用して電極とワークとの間の接触点を通過させ、接触抵抗で熱を発生させて溶接を実現する方法である。
【0135】
超音波溶接方式は、高周波振動波を利用して2つの溶接される物体表面に伝達させ、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成するものである。
【0136】
レーザ溶接方式は、熱源として高エネルギー密度のレーザビームを利用する高効率で精密な溶接方法である。
【0137】
拡散溶接方式とは、高温でワークを加圧するが、視覚的変形や相対移動が生じない固相溶接方法である。以上の複数種の方式又はこれらの組み合わせを採用することにより、導電腐食防止層をフラット端子113の表面に安定的に設けることができる。
【0138】
一実施形態において、導電腐食防止層の厚さは、0.3μm~3000μmである。
【0139】
一実施形態において、導電腐食防止層の厚さは、2.5μm~1000μmである。
【0140】
電圧降下に対する異なる導電腐食防止層の厚さの影響をテストするために、発明者は、同じ材質及び構造のパッチング部を用いて、フラット端子113に異なる厚さの導電腐食防止層をそれぞれ設け、その後、フラット端子113が嵌合端子23にプラグインされた後の電圧降下をテストする。結果を表5に示す。
【0141】
本実施例において、フラット端子113が嵌合端子23にプラグインされた後の電圧降下が4mVより大きいものが不合格である。
【0142】
表5:電圧降下(mV)に対する異なる導電腐食防止層の厚さの影響
【表5】
以上のデータから分かるように、導電腐食防止層の厚さが3000μmより大きく0.3μmより小さい場合、フラット端子113と嵌合端子23とのプラグイン構造の電圧降下は、4mVより大きく、要求値を満たさないため、発明者は、導電腐食防止層の厚さを0.3μm~3000μmに選択した。ここで、導電腐食防止層の厚さが2.5μm~1000μmの範囲内にある場合、フラット端子113と嵌合端子23とのプラグイン構造の電圧降下は、最適値であるため、発明者は、導電腐食防止層の厚さを2.5μm~1000μmに選択することが好ましい。
【0143】
一実施形態において、導電腐食防止層の材質は、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫、チタニウム、クロム、金、銀、亜鉛、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、黒鉛銀、グラフェン銀、硬質銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を含有するものである。
【0144】
好ましくは、導電腐食防止層の材質は、フラット端子113にオーバーラップされる電池電極の材質と同じである。このような構想は、フラット端子113の表面強度の強化及びフラット端子113と異種金属との重ね接続による腐食の回避を実現できる。
【0145】
以下、同様にフラットリボン11を例として、フラット端子113に導電腐食防止層を設け、フラット端子113の性能に対する異なる導電腐食防止材質の影響を検証するために、発明者は、同じ規格、材質のものを使用し、異なる導電腐食防止材質のフラット端子113を用いて一連の耐食性時間テストを行い、実験結果を表6に示す。
【0146】
表6における耐食性時間テストは、フラット端子113のサンプルを塩水噴霧試験箱内に入れ、フラット端子113の各位置に塩水を噴霧し、20時間ごとに取り出し洗浄して表面腐食状況を観察することが1サイクルであり、フラット端子113のサンプルの表面腐食面積が総面積の10%より大きくなる時、テストを中止し、その時のサイクル数を記録した。本実施例において、サイクル数が80回未満であるものを不合格と見なす。
【0147】
表6:フラット端子113のサンプルの耐食性に対する異なる導電腐食防止層の材質の影響
【表6】
表6から分かるように、導電腐食防止層の材質が、常用する金属錫、ニッケル、亜鉛を含有する場合、実験の結果は、選択された他の金属に劣り、他の金属を選択した実験結果は、標準値を超えるものが多く、性能が安定している。したがって、発明者は、導電腐食防止層の材質が、ニッケル、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、錫チタニウム、クロム、金、銀、亜鉛錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、黒鉛銀、グラフェン銀、硬質銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を含有する(又はである)ものを選択した。より好ましい形態として、導電腐食防止層の材質が、カドミウム、マンガン、ジルコニウム、コバルト、チタニウム、クロム、金、銀、錫鉛合金、銀アンチモン合金、パラジウム、パラジウムニッケル合金、黒鉛銀、グラフェン銀、硬質銀及び銀金ジルコニウム合金のうちの1種又は複数種を含有する(又はである)ものを選択することである。
【0148】
一実施形態において、フラット端子113の端部に、面取りが設けられている。フラットリボン11の加工及び取り付けのいずれにおいて、嵌合端子23を取り付ける時に組立誤差があり、この時、フラット端子113と嵌合端子23との組立に、同様に大きな組立誤差があり、フラット端子113の嵌合端子23への正確な嵌合接続を容易にする可能であるように、フラット端子113の端部に面取りを設ける必要があり、嵌合端子23に挿入される時に、ガイドの役割を果たす。
【0149】
一実施形態において、
図7及び
図13に示すように、オス端接続機構10は、少なくとも一部がオス端ハウジング12内に一体に射出されるインターロックコネクタ14を含む。高圧インターロックは、低圧信号を用いて高圧回路の完全性を監視する安全設計方法であり、具体的な高圧インターロックの実現形式は、異なる項目に対して異なる設計があり、高圧インターロックは、高圧回路の意図しない遮断を監視し、急に動力が失われる場合の自動車への損害を回避するものである。
図13に示すように、本実施例における高圧インターロックは、一端が、2本の嵌合ピンを備え、且つ2本の嵌合ピンが電気的に接続される1つのU型又はV型の低圧回路であるインターロックコネクタ14であり、取り付ける必要がなく、一体射出の方式により、オス端ハウジング12に直接に成形され、メス端接続機構20における高圧インターロック構造24とマッチングして接続されて、低圧監視回路を構成することができ、本実施例における接続機構が意図せずに遮断される場合、インターロックコネクタ14と高圧インターロック構造24も同時に切断され、低圧監視回路が中央制御システムに警報を送信することにより、自動車が急に動力が失われることによって損害を受けないように制御する。
【0150】
一実施形態において、
図5に示すように、嵌合端子23は、固定部231とケーブルクランプ部232とを含み、メス端接続機構20は、ケーブル21をさらに含み、固定部231は、ケーブル21の先端の導電部分に電気的に接続され、ケーブルクランプ部232は、フラット端子113に電気的に接続される。嵌合端子23のケーブルクランプ部232とフラット端子113とが嵌合接続されて電気的接続が実現され、フラットリボン11とケーブル21とを回路導通させることができる。
【0151】
さらに、固定部231とケーブル21の先端の導電部分は、抵抗溶接、摩擦溶接、超音波溶接、アーク溶接、レーザ溶接、電子ビーム溶接、圧力拡散溶接、磁気誘導溶接、螺着、係着、スプライシング及び圧着のうちの1種又は複数種の方式で接続される。
【0152】
抵抗溶接方式とは、強い電流を利用して電極とワークとの間の接触点を通過させ、接触抵抗で熱を発生させて溶接を実現する方法であり、固定部231とケーブル21の導電部分は、抵抗溶接で溶接する。
【0153】
摩擦溶接方式とは、熱源としてワークの接触面の摩擦による熱を利用して、圧力の作用でワークを塑性変形させて溶接する方法であり、固定部231とケーブル21の導電部分は、摩擦溶接で溶接する。
【0154】
超音波溶接方式は、高周波振動波を利用して2つの溶接する物体表面に伝達させ、加圧する場合、2つの物体表面を互いに摩擦させて分子層間の融着を形成するものであり、固定部231とケーブル21の導電部分は、超音波で溶接する。
【0155】
アーク溶接方式とは、アークを熱源とし、空気放電の物理的現象を利用して、電気エネルギーを溶接に必要な熱エネルギー及び機械的エネルギーに変換することにより、金属の接続目的を達成するものであり、主な方法として、溶接棒アーク溶接、サブマージアーク溶接、ガスシールド溶接などがある。
【0156】
レーザ溶接方式は、熱源として高エネルギー密度のレーザビームを利用する高効率で精密な溶接方法である。
【0157】
電子ビーム溶接方式とは、加速及び集束された電子ビームで真空又は非真空中に置かれた溶接面に照射し、被溶接ワークを溶解させて溶接を実現するものである。
【0158】
圧力溶接方式は、溶接材に圧力を印加し、スプライシング面を密接に接触させて一定の塑性変形を発生させて溶接を完了する方法である。
【0159】
拡散溶接方式とは、高温でワークを加圧するが、視覚的変形や相対移動が生じない固相溶接方法である。
【0160】
磁気誘導溶接方式は、2つの被溶接ワークが強いパルス磁界の作用で瞬間的な高速衝突が発生され、材料表層が高い圧力波の作用で、2つの材料の原子を原子間距離内で出会わせることにより、界面に安定した冶金結合を形成するものである。固相冷間溶接の一種であり、類似又は非類似の特性である固定部231とケーブル21の導電部分とを溶接できる。
【0161】
螺着方式とは、ネジ接続であり、ネジ材(又は被接続材のネジ部分)で被接続材を一体に繋がる取り外し可能な接続である。常用するネジ接続材には、ボルト、スタッド、ビス及び締めビスなどがあり、多くは標準規格品である。
【0162】
係着方式とは、接続端又は接続面に、それぞれ対応する係止爪又は係止溝を設け、係止溝と係止爪によって組み立てて接続させるものである。係着方式の利点は、接続が迅速で、取り外し可能であることである。
【0163】
スプライシング方式とは、接続端又は接続面に対応する凹溝及び突起をそれぞれ設け、凹溝及び突起によって互いにジョッグル又はスプライシングして組み立てて接続させるものである。スプライシング方式の利点は、接続が安定で、取り外し可能であることである。
【0164】
圧着方式の圧着は、接続端と接続面とを組み立てた後、圧着機を用いて両者を一体にスタンピングする生産プロセスである。圧着の利点は、量産性に優れ、自動圧着機を採用することで、安定した品質の製品を迅速で大量に製造できる。
【0165】
上記接続方式により、実際の使用環境に応じて、固定部231とケーブル21の導電部分の実際の使用状態で、適当な接続方式又は接続方式の組み合わせを選択して、効果的な電気的接続を実現できる。
【0166】
いくつかの実施例において、前記ケーブルクランプ部232にクリップ30がスリーブされ、
図12に示すように、前記クリップ30の材質は、記憶合金である。クリップ30は、ケーブルクランプ部232をクランプすることができ、記憶合金は、記憶力を有する知的金属であり、そのミクロ構造は、相対的に安定した2つの状態を有し、高温では、このような合金は、任意の所望の形状に変化可能であり、低い温度では、合金は引っ張られることができるが、それを再加熱すると、その元の形状を記憶して元に戻り、記憶合金は、その変態温度以上及び変態温度以下での結晶構造が異なるが、温度が変態温度の上下で変化する場合、記憶合金は、収縮又は膨張されて、その形態を変化させる。いくつかの実施例において、記憶合金はニッケルチタニウム合金である。
【0167】
さらに、前記記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、前記クリップ30の温度が当該変態温度より低い状態では、前記クリップ30は拡張状態にあり、前記クリップ30の温度が当該変態温度より高い状態では、前記クリップ30はクランプ状態にある。
【0168】
一般的に、変態温度が40℃~70℃の間に選択されることは、変態温度が40℃より低いと、導通電流がない場合、ケーブルクランプ部232及びクリップ30の環境温度も40℃に近接し、この時、クリップ30はクランプ状態にあり、ケーブルクランプ部232の隙間は小さくなり、フラット端子113がケーブルクランプ部232に挿入されることができず、フラット端子113とケーブルクランプ部232とのプラグイン構造がプラグインできなくなり、作動できなくなるからである。
【0169】
いくつかの実施例において、前記ケーブルクランプ部232にクリップ30がスリーブされ、前記クリップ30は、側壁31と、前記側壁31に固定される弾性ユニット32とを含み、前記弾性ユニット32は、前記ケーブルクランプ部232の外側に接触して接続される。
【0170】
クリップ30は、側壁に設けられた弾性ユニット32によってケーブルクランプ部232に圧力を印加することで、ケーブルクランプ部232の帯状凹溝がフラットリボン11のフラット端子113をさらにクランプすることができるようにし、ケーブルクランプ部232とフラット端子113との接触面積を確保し、接触抵抗を減少させ、導電性能を向上させる。
【0171】
クリップ30の設置は、ケーブルクランプ部232とフラット端子113との密接な接続を確保できる。
【0172】
さらに、前記弾性ユニット32が前記ケーブルクランプ部232に印加する力の範囲は、3N~200Nである。
【0173】
偏心が大きいフラット端子113のプラグイン後の接触抵抗及び挿抜状況に対する弾性ユニット32のケーブルクランプ部232への印加圧力の影響を検証するために、発明者は、同じ寸法規格のフラットコア111とケーブルクランプ部232を選択し、異なる弾性ユニット32がケーブルクランプ部232に圧力を印加するようにした後、同じ偏心度のフラット端子113を選択してケーブルクランプ部232と嵌合し、嵌合後の端子間の接触抵抗、及び複数回の挿抜実験におけるフラット端子113の挿入に成功した割合をそれぞれテストし、テスト結果を表7に示す。
【0174】
接触抵抗のテスト方法:微細抵抗測定器を使用し、微細抵抗測定器の測定端の一端をフラット端子113に置き、他端をケーブルクランプ部232に置き、測定毎に置かれる位置が同じであり、その後、微細抵抗測定器における接触抵抗の読み取り値を読み取る。本実施例において、1mΩより大きい接触抵抗が不合格である。
【0175】
嵌合成功率のテスト方法:各種類の弾性ユニット32がケーブルクランプ部232に印加した圧力値で、いずれも100個の同じ偏心度のフラット端子113と嵌合し、一度に挿入に成功した数を記録し、全体の数に比例して100%を乗算する。本実施例において、95%未満である嵌合成功率が不合格である。
【0176】
表7:接触抵抗及び嵌合成功率に対する異なる圧力の影響
【表7】
表7から分かるように、弾性ユニット32がケーブルクランプ部232に印加する圧力が3Nより小さい場合、嵌合成功率は合格であるが、嵌合端子23とケーブルクランプ部232との間の接触抵抗は1mΩより大きく、接触抵抗が大きすぎ、弾性ユニット32がケーブルクランプ部232に印加する圧力が200Nより大きい場合、嵌合成功率は95%より小さく、応用需要を達成できないため、発明者は、弾性ユニット32がケーブルクランプ部232に印加する圧力を3N~200Nに設定した。
【0177】
さらに、弾性ユニット32は、弾性ゴム、バネ又はメタルドームである。弾性ユニット32は、弾性ゴムであってもよく、弾性ゴムが圧縮される弾性力で、ケーブルクランプ部232に印加する圧力を確保し、弾性ユニット32は、圧縮バネであってもよく、圧縮バネが圧縮される弾性力で、ケーブルクランプ部232に印加する圧力を確保し、弾性ユニット32は、メタルドームであってもよく、メタルドームは、クリップ30と一体成形され、一端が固定され、他端が自由端であるシングルエンド型ドームの形態であってもよく、両端が固定され、中間に突起するダブルエンド型ドームの形態であってもよく、メタルドーム自体の弾性力で、ケーブルクランプ部232に印加する圧力を確保する。
【0178】
一実施形態において、嵌合端子23のケーブルクランプ部232は、複数層のシート状端子234が積み重ねられて形成されたものであり、シート状端子234に凹溝が形成され、フラットリボン11とマッチングして嵌合接続する。フラット端子113は、凹溝にプラグインされてケーブルクランプ部232に電気的に接続され、凹溝によってフラットリボン11のフラット端子113をクランプし、フラットリボン11と嵌合端子23とを固定し、両者の間に大きな接触面積があるようにし、電気的接続の信頼性を確保することができる。凹溝の幅又はシート状端子234の数を調整することにより、クランプ力の大きさを制御し、フラット端子113との適合を容易にし、様々な嵌合要求を満たす。
【0179】
図5に示すように、嵌合端子23は、複数のシート状端子234が積層されて分布され、シート状端子234は、変形しやすく、フラットリボン11のフラット端子113にプラグインでき、フラットリボン11のフラット端子113とシート状端子234の凹溝とが互いに接触して電気的接続が実現されることにより、嵌合端子23とフラットリボン11との接続の安定性を確保することができる。
【0180】
具体的に、ケーブルクランプ部232は、複数層のシート状端子234が積み重ねられて形成されたものであり、シート状端子234に、フラットリボン11のフラット端子113にプラグインされて電気的接続が実現される凹溝が形成される。
【0181】
いくつかの実施形態において、隣接する2つのシート状端子234の間の隙間は、0.2mmより小さい。2つのシート状端子234の間に隙間を設ける1つの目的は、シート状端子234の間に空気を流通させることにより、フラット端子113と嵌合端子23との間の温度上昇を低減させ、フラット端子113の導電腐食防止層を保護し、フラット端子113の使用寿命を延ばし、フラット端子113と嵌合端子23との間のプラグイン力を確保できるようにすることである。隙間が0.2mmより大きい場合、その放熱機能を増加させるどころか、同じ接触面積の嵌合端子23がより大きい幅を占め、使用空間を無駄にする。
【0182】
いくつかの実施形態において、シート状端子234の少なくとも一部の材質は、記憶合金である。前述したように、記憶合金は、記憶力を有する知的金属であり、そのミクロ構造は、相対的に安定した2つの状態を有し、高温では、このような合金は、任意の所望の形状に変化可能であり、低い温度では、合金は引っ張られることができるが、それを再加熱すると、その元の形状を記憶して元に戻り、記憶合金は、その変態温度以上及び変態温度以下での結晶構造が異なるが、温度が変態温度の上下で変化する場合、記憶合金は収縮又は膨張されて、その形態を変化させる。いくつかの実施例において、記憶合金はニッケルチタニウム合金である。
【0183】
さらに、記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の範囲内に設定されたものであり、シート状端子234の温度が当該変態温度より低い状態では、複数の凹溝は拡張状態にあり、シート状端子234の温度が当該変態温度より高い状態では、複数の凹溝はクランプ状態にある。
【0184】
一般的に、変態温度が40℃~70℃の範囲内に選択されて設定されることは、変態温度が40℃より低いと、導通電流がない場合、嵌合端子23の環境温度も40℃に近接し、この時、複数のシート状端子234はクランプ状態にあり、嵌合端子23の凹溝は小さくなり、フラット端子113が嵌合端子23に挿入できず、フラット端子113と嵌合端子23とのプラグイン構造がプラグインできなくなり、作動できなくなるからである。
【0185】
室温で、フラット端子113が嵌合端子23に嵌合された後に導電し始め、嵌合の当初で、複数のシート状端子234が拡張状態にあるため、フラット端子113と嵌合端子23との接触面積が小さく、電流が大きくなり、プラグインされた後のシート状端子234が温度上昇し始め、変態温度が70℃より高いと、嵌合端子23が温度上昇する時間が長くなり、フラット端子113と嵌合端子23とのプラグイン構造が長期間大電流状態にあり、電気的劣化を引き起こしやすく、深刻な場合、フラット端子113と嵌合端子23とのプラグイン構造が過負荷で破損し、不要な損失を引き起こす。
【0186】
したがって、一般的に、記憶合金の変態温度は、40℃~70℃の間に設定される。
【0187】
嵌合端子23は、記憶機能を有し、変態温度以下である場合、嵌合端子23の凹溝は、通常拡張状態であり、この時、フラットリボン11のフラット端子113は、無挿入力で突き合わされることができ、作業者による電気機器の簡単な嵌合を容易にする。作業中に嵌合端子23に電流を導通させ、抵抗の作用により嵌合端子23の温度が徐々に上昇し、温度が変態温度以上に上昇すると、嵌合端子23の凹溝は、径方向に収縮され、温度の上昇により嵌合端子23の凹溝とフラットリボン11のフラット端子113との接触面積及び接触力を増加させ、接触の信頼性を向上させ、挿入力の要求が省かれるため、作業がより簡単になり、作業効率が高まる。
【0188】
一実施形態において、メス端ハウジング22は、少なくとも一部の嵌合端子23の外周に一体に射出成形されて、絶縁構造が形成される。本実施例における接続機構に、射出成形されたメス端ハウジング22を設けることにより、加工が簡単で、コストが低く、嵌合端子23の外部に直接に射出して絶縁できる。
【0189】
一実施形態において、メス端接続機構20は、嵌合端子23に電気的に接続されるケーブル21をさらに含み、嵌合端子23及び少なくとも一部のケーブル21は、前記メス端ハウジング22内に設けられ、嵌合端子23の少なくとも一部は、前記メス端ハウジング22外に露出される。嵌合端子23に接続されるケーブル21、及び嵌合端子23とフラット端子113との電気的接続によって、フラットリボン11とケーブル21とを電気的に接続させ、回路の導通を実現し、電流を導通させる作用を達成できる。
【0190】
一実施形態において、ケーブルクランプ部232の少なくとも一部は、メス端ハウジング22の外壁から突出されるか、又はメス端ハウジング22に開口ボスが設けられ、ケーブルクランプ部232の少なくとも一部が、開口ボス内に設けられている。上記実施形態において、フラット端子113は、オス端ハウジング12に突設され、開口ボス内に設けられるケーブルクランプ部232に嵌合接続可能である。或いは、オス端ハウジング12は、凹溝を有し、フラット端子113は、前記凹溝の底面から突出されるが、前記オス端ハウジング12を越えず、メス端ハウジング22の外壁から突出されるケーブルクランプ部232に嵌合接続可能である。
【0191】
一実施形態において、
図8に示すように、メス端接続機構20は、インターロックコネクタ14に電気的に接続されて回路を形成する高圧インターロック構造24を有する。高圧インターロックは、低圧信号を用いて高圧回路の完全性を監視する安全設計方法であり、高圧インターロックは、高圧回路の意図しない遮断を監視し、急に動力が失われる場合いの自動車への損害を回避するものである。本実施例における高圧インターロックは、
図13に示すように、一端が、2本の嵌合ピンを備え、且つ2本の嵌合ピンが電気的に接続される1つのU型又はV型の低圧回路であるインターロックコネクタ14であり、他端が、メス端接続機構20内に設けられ、低圧回路を接続する2つのプラグイン端子であり、高圧インターロック構造24のプラグイン端子がインターロックコネクタ14の嵌合ピンとマッチングして接続されて、低圧監視回路を構成し、本実施例における接続機構が意図せずに遮断されると、インターロックコネクタ14と高圧インターロック構造24も同時に切断され、低圧監視回路が中央制御システムに警報を送信することにより、自動車が急に動力が失われることによって損害を受けないように制御する。
【0192】
インサート式高圧インターロック構造24は、従来の組付け式の高圧インターロックの代わりに、一体射出でコネクタ内に固定され、組み立てる必要がなく、コストを低減させ、高圧インターロック効果を完全に満たす。
【0193】
一実施形態において、メス端接続機構20及び/又はオス端接続機構10は、シール構造40を有する。シール構造40は、フラット端子113、嵌合端子23、一部のフラットリボン11及びケーブル21を接続機構内にシールして、外部の埃及び水による内部の導電機構への損傷及び腐食を防止し、接続機構の使用寿命を大幅に延ばすことができる。
【0194】
さらに、シール構造40は、メス端ハウジング22及び/又はオス端ハウジング12に二次射出成形されたものである。接続機構のシール構造40は、これ以上独立したシールリングを取り付けることではなく、伝統的なシールリングの代わりに、二次射出シール構造40を採用することにより、接続機構に直接に成形でき、射出の結合性がより良く、コストを低減させる。
【0195】
さらに、シール構造40の材質は、ゴム、軟質ゴム又はシリカゲルである。これらのいくつかの材料を選択することにより、射出機を用いて材料を加温溶融し、対応する金型に射出して成形でき、加工が簡単で、接合が強固であり、シール構造40の使用寿命を大幅に延ばすことができ、また、これらのいくつかの材料は、良好な弾性を有し、接続機構の組み立ての際に押圧変形されて、ギャップに充填され、良好なシール性能を実現でき、且つ耐水耐油性材料であって、シール構造40が長い使用寿命及び安全なシール性能を有することを確保できる。
【0196】
さらに、シール構造40とオス端接続機構10及び/又はメス端接続機構20との最大隙間は、520nmより小さい。
【0197】
シールレベルに対する各シール構造40と隣接するデバイスとの隙間の大きさの影響を検証するために、発明者は、ドライエア法でシール装置をテストし、真空引き又は空気加圧によって、被検サンプルの内外圧力が異なるように制御し、漏れが存在すると、内外圧力の差が縮まる。空気圧力の変化を検出することで、シール性を検出できる。検出媒体は、ドライエアであり、無害無毒であり、被検品を破壊しないとともに、検出環境が清潔である。オス端接続機構に設けられるシール構造40を検出することを例として、発明者は、オス端接続機構10とメス端接続機構20とが接続された後の他の接続箇所を完全に密閉し、シールの度合が異なるシール構造40を選択し、シール構造40におけるドライエアの一部を抽出し、シール構造40内の気圧を外部気圧よりも低くし、シール構造40内部の気圧を持続的に検出し、気圧上昇の場合が不合格であることを発見し、テスト結果を表8に示す。
【0198】
表8:気圧変化に対するシール構造40とオス端接続機構10及び/又はメス端接続機構20との最大隙間の影響
【表8】
表8から分かるように、シール構造40とオス端接続機構10及び/又はメス端接続機構20との最大隙間が520nmを超える場合、気圧が変化し、ガスがシール構造40に入り込んだことを意味し、テストが不合格である。したがって、発明者は、520nm以上であるシール構造40とオス端接続機構10及び/又はメス端接続機構20との最大隙間を選択した。
【0199】
一実施形態において、メス端接続機構20及び/又はオス端接続機構10は、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113の温度を測定するための少なくとも1つの温度測定構造を有する。温度測定構造は、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11と一定の距離を有し、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11の放熱は、温度測定構造に伝達され、温度測定機構によって嵌合端子23及び/又はフラットリボン11の温度を測定するか、又は温度測定構造に伝導素子が含まれ、伝導素子が嵌合端子23及び/又はフラットリボン11に貼り付けられ、伝導素子により伝達された温度によって、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11の温度を測定してもよい。そして、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11に流れる電流を調節することで、メス端接続機構20又はオス端接続機構10の温度を調整するように、制御システムに伝達する。
【0200】
さらに、温度測定構造は、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113の温度を測定するように、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113に貼合される。温度測定構造は、温度センサであり、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113に直接に貼り付けられ、嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113の実際温度を直接に取得でき、算出により嵌合端子23及び/又はフラットリボン11及び/又はフラット端子113の実際温度を取得する必要がなく、構造が簡単で、温度の測定がより正確である。
【0201】
一実施形態において、オス端接続機構10は、少なくとも1つの温度測定構造を有し、フラットリボン11は、少なくとも2本であり、温度測定構造は、フラットリボン11の温度を測定するように、フラットリボン11の間に位置する。温度測定構造がフラットリボン11の間に配置されることにより、複数本のフラットリボン11から伝導された熱を同時に取得でき、複数本のフラットリボン11の発熱量を均一にすることができ、温度測定構造の数を節減するだけでなく、複数本のフラットリボン11の最高温度を直接に取得でき、フラットリボン11の温度制御に対して良好な役割を果たすことができる。
【0202】
温度測定構造は、温度センサであってもよく、温度センサは、NTC温度センサ又はPTC温度センサであってもよく、オス端接続機構10又はメス端接続機構20の温度を適時正確にモニタリングする。
【0203】
温度センサは、NTC温度センサ又はPTC温度センサである。この2種類の温度センサを採用するメリットは、体積が小さく、他の温度計では測定できないギャップを測定でき、使用に便利で、抵抗値は0.1~100kΩの間で任意に選択でき、複雑な形状に加工しやすく、大量生産することができ、安定性がよく、過負荷能力が高く、変換継手のような小型で安定した性能が要求される製品に適用される。
【0204】
温度測定機構を採用することにより、接続機構内部の端子の温度を独立して監視し、他の位置の温度センサの破損に起因して接続機構の温度を監視できなくなることを回避することができる。
【0205】
さらに、オス端接続機構10とメス端接続機構20は、粘着接続、磁気吸引接続、バヨネット接続、プラグイン接続、係止接続、結束接続、ネジ接続、リベット接続及び溶接接続のうちの1種又は複数種の方式で接続される。
【0206】
第1の実行可能な技術案において、接着構造を採用してもよく、例えば、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面に粘着層がそれぞれ設けられ、両者は接着の方式により固定接続される。
【0207】
第2の実行可能な技術案において、磁気吸引構造を採用してもよく、例えば、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面に同様に磁気吸引材が設けられ、接続により、接続が便利で迅速である。
【0208】
第3の実行可能な技術案において、プラグイン構造を採用してもよく、オス端接続機構10のハウジングにプラグが設けられ、メス端接続機構20のハウジングの表面にスロットが設けられ、プラグがスロットに挿入された後に固定接続されることにより、オス端接続機構10とメス端接続機構20とを固定接続させ、オス端接続機構10とメス端接続機構20との接続を実現する。
【0209】
第4の実行可能な技術案において、係着構造を採用してもよく、例えば、オス端接続機構10のオス端遮蔽ケースにスナップが設けられ、メス端接続機構20のメス端端に係止溝が設けられ、スナップと係止溝が組み立てられた後に固定接続されることにより、オス端接続機構10とメス端接続機構20とを固定接続させる。
【0210】
第5の実行可能な技術案において、ボルト接続構造を採用してもよく、ボルト接続構造は、ボルトとナットを含み、ボルトがオス端接続機構10の被スプライシング表面に固定され、ナットがメス端接続機構20の被スプライシング表面に設けられて回転可能であり、ボルトとナットが互いに螺着されて締め付けられた後、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面が固定接続される。ボルト接続構造は、最小でM3であるボルトとナットを採用し、ボルト接続構造の締め付け時のトルクは、最小で0.2N・mである。
【0211】
第6の実行可能な技術案において、加締め構造を採用してもよく、加締め構造は、リベットと固定孔とを含み、固定孔は、オス端接続機構10及びメス端接続機構20との被スプライシング表面に設けられ、リベットは、固定孔を貫通し、リベットが貫通した一端を変形させ、固定孔を引き締めさせることにより、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面を固定接続させる。
【0212】
第7の実行可能な技術案において、溶接構造を採用してもよく、例えば、溶接材をオス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面に設け、溶接機を用いて溶接材を溶解して接続させることにより、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面を固定接続させる。溶接機は、ホットメルト溶接機と超音波溶接機とを含む。
【0213】
第8の実行可能な技術案において、結束構造を採用してもよく、結束構造は、結束材を含み、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の表面に凹溝が設けられ、結束材を用いて凹溝の位置でオス端接続機構10及びメス端接続機構20の被スプライシング表面を結束することにより、オス端接続機構10及びメス端接続機構20のスプライシング表面を固定接続させる。結束材は、結束バンド、フェルール、フックロック等を含む。
【0214】
第9の実行可能な技術案において、係止構造を採用してもよく、係止構造は、係止具を含み、係止具は、オス端接続機構10及びメス端接続機構20における被スプライシング表面に隣接する表面に設けられるか、又は被スプライシング表面に設けられ、オス端接続機構10及びメス端接続機構20のスプライシング表面は、係止具によって固定接続される。
【0215】
一実施形態において、前記嵌合端子23は、ケーブルクランプ部232を含み、前記フラット端子113と前記ケーブルクランプ部232とが嵌合されて電気的に接続され、前記フラット端子113と前記ケーブルクランプ部232との間のプラグイン力が3N~150Nである。
【0216】
フラットリボン11と嵌合端子23との接触抵抗及び嵌合状況に対するフラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力の影響を検証するために、発明者は、同じ形状、寸法のフラットリボン11及び嵌合端子23を選択し、フラットリボン11と嵌合端子23との間のプラグイン力を異なるプラグイン力に設計して、フラットリボン11と嵌合端子23との間の接触抵抗及び複数回の嵌合後の状況を観測した。
【0217】
接触抵抗の検出方式は、微細抵抗測定器を用いて、フラット端子113とケーブルクランプ部232との接触位置で抵抗の測定を行い、微細抵抗測定器における数値を、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間の接触抵抗として読み取ることであり、本実施例において、50μΩより小さい接触抵抗が理想値である。
【0218】
フラット端子113とケーブルクランプ部232との嵌合状況のテスト方式は、フラット端子113とケーブルクランプ部232とを50回嵌合し、挿抜後の落下回数と挿抜不可回数を観察し、挿抜後の落下回数は3回未満が要求され、挿抜不可回数は5回未満が要求される。
【0219】
表9、接触抵抗及び嵌合状況に対する異なるフラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力の影響
【表9】
上記表9から分かるように、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力が3Nより小さい場合、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間の結合力が小さすぎるため、両者の間の接触抵抗が理想値より高くなるとともに、挿抜後の落下回数も3回以上を超え、不合格状態である。フラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力が150Nより大きい場合、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間の挿抜不可回数が5回以上より大きくなり、これも不合格状態であるため、発明者は、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力を3N~150Nの間に設定した。
【0220】
上記表9から分かるように、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力が10N~130Nの間にある場合、挿抜後の落下も挿抜不可の場合もなく、接触抵抗値も理想値の範囲内にあるため、発明者は、フラット端子113とケーブルクランプ部232との間のプラグイン力を10N~135Nの間に設定することが好ましい。
【0221】
一実施形態において、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗は、9mΩより小さい。好ましくは、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗は、1mΩより小さい。一般的に、フラット端子113と嵌合端子23との間に大電流を導通させる必要があり、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗が9mΩより大きくなると、接触位置で大きな温度上昇が発生し、且つ時間の経過に伴って、温度がますます高くなり、フラット端子113と嵌合端子23との間の温度が高すぎて、導電腐食防止層とフラット端子113との間、及び嵌合端子23と端子めっき層との間に、異なる材質により、熱膨張率が異なり、引き起こす機械的変形が同期せず、導電腐食防止層とフラット端子113との間、及び嵌合端子23と端子めっき層との間に内部応力が発生し、深刻な場合に、導電腐食防止層及び端子めっき層の脱落を引き起こし、保護の作用を実現できない。一方、フラット端子113と嵌合端子23との間の高すぎる温度は、フラットリボン11の絶縁層、及び嵌合端子23に接続された導線の絶縁層に伝導する可能性があり、対応する絶縁層が溶解されてしまい、絶縁保護の役割を果たすことができず、深刻な場合、線路短絡による接続構造の破損、ひいては燃焼などの安全事故を引き起こす。したがって、発明者は、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定した。
【0222】
接続機構の温度上昇及び導電率に対するフラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗の影響を検証するために、発明者は、同じフラットリボン11、異なる接触抵抗の嵌合端子23を選択し、嵌合構造の導電率及び温度上昇に対するテストを行う。
【0223】
導電率テストは、フラット端子113と嵌合端子23とを嵌合した後、当該嵌合構造に通電し、その後、対応する嵌合箇所の導電率を検出することであり、本実施例において、99%より大きい導電率が理想値である。
【0224】
温度上昇テストは、当該プラグイン構造に同じ電流を流し、密閉された環境で通電前及び温度が安定した後のフラット端子113及び嵌合端子23の同じ位置の温度を検出し、差を減算して絶対値を取ることである。本実施例において、50Kより大きい温度上昇を不合格と見なす。
【0225】
表10:導電率及び温度上昇に対する異なるフラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗の影響
【表10】
上記表10から分かるように、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗が9mΩより大きい場合、プラグイン構造の温度上昇が50Kを超えるとともに、プラグイン構造の導電率も99%より小さく、基準要件を満たさない。したがって、発明者は、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗を9mΩ未満に設定した。同時に、発明者は、接触抵抗が1mΩより小さくなる場合、温度上昇幅がさらに顕著に低下するとともに、導電率も高いことを発見したため、本発明では、フラット端子113と嵌合端子23との間の接触抵抗が1mΩより小さいことが好ましい。
【0226】
一実施形態において、オス端接続機構10とメス端接続機構20との間の挿抜回数は、9回以上であり、接続機構と電気装置との組み立ての際に、オス端接続機構10とメス端接続機構20とを組み立てる必要があるが、後続にメンテナンス、アセンブリの取り外しがある場合、いずれもオス端接続機構10とメス端接続機構20とを分離してから挿抜する必要がある可能性があるため、オス端接続機構10とメス端接続機構20との間の挿抜回数は9回未満にしてはいけなく、9回未満であると、ある一回の取り外し、メンテナンス中に、オス端接続機構10又はメス端接続機構20が破損される可能性があり、電流を通電する役割を果たすことができず、このようになると、ハーネスを含む接続機構全体を全部交換する必要があり、メンテナンス時間がかかるだけでなく、メンテナンスコストも増加するため、オス端接続機構10及びメス端接続機構20の材料の選択からも、オス端接続機構10とメス端接続機構20との間の挿抜機構、ロック機構、シール機構の設計からも、いずれも少なくとも9回の取り外し組付けを行う必要があり、このようにすれば、接続機構の使用要求を満たすことができる。
【0227】
一実施形態において、オス端接続機構10の重量は、305g以下である。
図1に示すように、オス端コネクタは、接続機構の上方に位置し、且つメス端接続機構20にプラグイン固定され、オス端接続機構10の重量が大きすぎる場合、メス端接続機構20が受ける重力も大きく、電気装置が振動する場合、接続機構全体が振動に追従し、慣性の原因により、オス端接続機構10が大きな振動を受け、異音が発生し、電気装置の使用中に異音の発生は許容されない。
【0228】
接続機構の異音の発生に対するオス端接続機構10の重量の影響を検証するために、発明者は、同じメス端接続機構20及び異なる重量のオス端接続機構10のサンプルを用いて、組み立てた後に振動試験台に取り付け、振動テストを行い、振動テスト中にオス端接続機構10に異音の発生があるか否かを観察し、テスト結果を表11に示す。
【0229】
表11:接続機構の異音の発生に対するオス端接続機構10の重量の影響
【表11】
表11から分かるように、オス端接続機構10の重量が305gより大きくなった後、振動テスト中に、オス端接続機構10に異音が発生し、テストは不合格である。したがって、発明者は、オス端接続機構10の重量を305g以下に選択した。
【0230】
一実施形態において、オス端接続機構10の挿抜方向に沿う高さは、108mm以下である。オス端接続機構10とメス端接続機構20とを組み立てた後、電気装置に取り付ける必要があるが、一般的に、電気装置の予備空間はいずれも小さく、オス端接続機構10が高い場合、電気装置に取付できない一方、原材料も無駄にするため、オス端接続機構10は設計時に一定の高さより低い必要がある。
【0231】
接続機構の取り付け状況に対するオス端接続機構10の挿抜方向に沿う高さの影響を検証するために、発明者は、同じメス端接続機構20及び挿抜方向に沿う高さが異なるオス端接続機構10のサンプルを用いて、組み立てた後に電気装置に取り付け、取り付け中にオス端接続機構10が電気装置の他の部品に干渉するか否かを観察し、テスト結果を表12に示す。
【0232】
表12:接続機構の取付状況に対するオス端接続機構10の挿抜方向に沿う高さの影響
【表12】
表12から分かるように、オス端接続機構10の挿抜方向に沿う高さが108mmより大きくなった後、電気装置の指定された位置に取付できず、テストは不合格である。オス端接続機構10の挿抜方向に沿う高さは、108mm以下である。
【0233】
本発明は、上記接続機構を含む電気エネルギー伝送装置をさらに提供する。
【0234】
本発明は、上記接続機構と電気エネルギー伝送装置とを含む自動車をさらに提供する。
【0235】
本発明の接続機構は、射出成形されたオス端ハウジング12が設けられることにより、加工が簡単で、コストが低く、フラットリボン11の中に直接に射出して絶縁でき、フラットリボン11の取り付けを減少でき、且つ組み立ての問題を考慮する必要がなしで、フラットリボン11の先端を需要に応じて様々な形状に成形することができ、加工工程を節減し、加工コストを低減させる。
【0236】
本発明の接続機構は、フラットリボン11が積層して設けられ、適切な間隔が設けられることにより、フラットリボン11に通電した後の他の部品に対する電磁干渉を効果的に低減させることで、高圧充電ハーネスの遮蔽層構造の解消を達成し、コスト削減、軽量化の需要を達成できる。
【0237】
フラットリボン11は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する材質の材料を採用してもよく、重量がより軽く、価格もより低く、自動車の省エネ、排出削減及びコスト低減の要求をよく満たすことができる。
【0238】
フラットリボン11は、フラット端子113を独立して製造する必要がなく、フラットコア111の先端を折り曲げて面取り成形するだけで、フラット端子113として使用でき、フラット端子113の加工コストを節減し、フラットコア111とフラット端子113との接続も減少させ、フラットリボン11の電圧降下を低減し、接続機構の機械的性能及び電気的性能を向上させる。
【0239】
フラット端子113と嵌合端子23との接続において、導電腐食防止層は、フラットリボン11のフラット端子113と嵌合端子23との間に電気化学反応が発生することを減少させ、フラットリボン11が銅端子を介してこそ、他の端子又は電気装置に接続できるという技術的問題を解決することができる。
【0240】
嵌合端子23は、複数のシート状端子234が積層されて分布され、シート状端子234は、変形しやすく、フラットリボン11のフラット端子113にプラグインでき、フラットリボン11のフラット端子113とシート状端子234の帯状凹溝とが互いに接触して電気的接続が実現されることにより、嵌合端子23とフラットリボン11との接続の安定性を確保することができる。
【0241】
フラット端子113と嵌合端子23との接続によって、フラットリボン11のフラット端子113自体が端子の機能を実現し、嵌合端子23に直接に接続されることにより、フラットリボン11に銅端子を接続することを必要とするというコストが高く、効率が低い問題を解決し、安全で迅速な挿抜を実現可能である。
【0242】
嵌合端子23は、記憶機能を有し、変態温度以下である場合、嵌合端子23の帯状凹溝は、通常拡張状態であり、この時、フラットリボン11のフラット端子113は、無挿入力で突き合わされることができ、作業者による電気機器の簡単な嵌合を容易にする。作業中に嵌合端子23に電流を導通させ、抵抗の作用により嵌合端子23の温度が徐々に上昇し、温度が変態温度以上に上昇すると、嵌合端子23の帯状凹溝は、径方向に収縮され、温度の上昇により嵌合端子23の帯状凹溝とフラットリボンのフラット端子113との接触面積及び接触力を増加させ、接触の信頼性を向上させ、挿入力の要求が省かれるため、作業がより簡単になり、作業効率が高まる。
【0243】
インサート式高圧インターロック構造24は、従来の組付け式の高圧インターロックの代わりに、一体射出で接続機構に固定され、組み立てる必要がなく、コストを低減させ、高圧インターロック効果を完全に満たす。
【0244】
接続機構のシール構造は、これ以上独立したシールリングを取り付けることではなく、伝統的なシールリングの代わりに、二次射出シール構造を採用することにより、接続機構に直接に成形でき、射出の結合性がより良く、コストを低減させる。
【0245】
温度測定機構を採用することにより、接続機構内部の端子の温度を独立して監視し、他の位置の温度センサの破損に起因して接続機構の温度を監視できなくなることを回避することができる。
【0246】
以上は、本発明のいくつかの実施例に過ぎず、当業者は、出願書類に開示された内容に基づいて、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、本発明の実施例に対して様々な変更又は変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0247】
10 オス端接続機構
11 フラットリボン
111 フラットコア
112 外部絶縁層
113 フラット端子
1131 折り曲げ部
12 オス端ハウジング
14 インターロックコネクタ
20 メス端接続機構
21 ケーブル
22 メス端ハウジング
23 嵌合端子
231 固定部
232 ケーブルクランプ部
234 シート状端子
24 高圧インターロック構造
30 クリップ
31 側壁
32 弾性ユニット
40 シール構造
【国際調査報告】