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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】弾性不織布
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/007 20120101AFI20240920BHJP
   D04H 3/147 20120101ALI20240920BHJP
   D04H 5/02 20120101ALI20240920BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20240920BHJP
   B32B 37/20 20060101ALI20240920BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
D04H3/007
D04H3/147
D04H5/02
B32B5/26
B32B37/20
A61F13/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024517580
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2022079723
(87)【国際公開番号】W WO2023083600
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】EP21207486
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516034957
【氏名又は名称】ファイバーテクス・パーソナル・ケア・アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン モーテン ライズ
【テーマコード(参考)】
3B200
4F100
4L047
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BB03
3B200CA02
3B200CA11
3B200DA21
4F100AK03A
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK07D
4F100AK64B
4F100AK64D
4F100AL03B
4F100AL03C
4F100AL05B
4F100AL05D
4F100AL09A
4F100BA03
4F100BA04
4F100BA10B
4F100BA10C
4F100DG15A
4F100DG15B
4F100DG15C
4F100HB00B
4F100JK07A
4F100JK08A
4F100JK08C
4L047AA14
4L047AA27
4L047AB03
4L047BA01
4L047BA08
4L047BB01
4L047BB02
4L047CA01
4L047CC04
4L047EA05
4L047EA10
(57)【要約】
本発明は、機械方向に大きく弾性的に伸縮する能力を有しながら機械横断方向には低い伸張性を示す不織布シートに関する。本発明は、そのようなシートの製造方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートを製造する方法において、
少なくとも2層の不織布シートを含む弾性伸縮性の不織布シートを準備する工程であって、1つの層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含む弾性伸縮性の不織布であり、1つの層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を含む伸縮性の化粧層である、工程と、
少なくとも機械横断方向について前記弾性伸縮性の不織布よりも小さい破断伸度を有する低伸張不織布シートを準備する工程と、
前記弾性伸縮性の不織布シート及び前記低伸張不織布シートを、前記シート同士が予め決められたパターンでメルトボンドにより結合される結合ステーションに同時給送する工程であって、前記弾性伸縮性の不織布シートは機械方向の予備張力下で前記結合ステーションに給送されることから機械方向に予備伸張された状態である一方、前記低伸張不織布シートは前記結合ステーションに予備張力無し、又は、前記弾性伸縮性の不織布シートにおける機械方向の前記予備伸張よりも小さい機械方向の予備伸張を生じさせる予備張力下で前記結合ステーションに給送される工程と、を備える方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける機械方向の予備伸張の程度は、元の寸法に対して、40-160%、好ましくは60-140%、より好ましくは80-120%伸張される程度である、方法。
【請求項3】
請求項1又は2の方法において、
前記結合ステーションに同時給送される前記弾性伸縮性の不織布シート及び前記低伸張不織布シートは、好ましくはメルトボンドポイントのパターンにより、予備結合されている、方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの方法において、
前記低伸張不織布シートはスパンボンドシートであり、好ましくは非捲縮単成分繊維からなる、方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記二成分繊維の成分は、全てポリプロピレンである、方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つの方法において、
前記捲縮多成分繊維の成分の1つは、プロピレン-α-オレフィンコポリマー材料(co-PP)、好ましくはポリ(プロピレン-エチレン)コポリマーであり、
前記捲縮多成分繊維の少なくとも1つの他の成分は、ポリプロピレンホモポリマー(PP)である、方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの方法において、
前記弾性伸縮性の層の前記弾性繊維は、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE-o)、好ましくはプロピレン-α-オレフィンコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィンエラストマーを含む、方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つの方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートは、前記弾性層のいずれかの面に少なくとも1つの化粧層を備える、方法。
【請求項9】
請求項1~7のいずれか1つの方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける前記弾性層は、前記低伸張不織布シートに向かい合う側が露出しており、前記結合ステーションにて前記シート同士が結合された後には、前記低伸張不織布シートに直に隣接して位置している、方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つの方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける前記予備伸張は、ニップロールを用いてその並進スピードを調整することによって調整される、方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つの方法において、
前記結合ステーションは、表面にエンボス突起を有する少なくとも1つのカレンダーロールを備え、当該カレンダーロールは加熱されるか又は超音波振動される、方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つの方法において、
前記結合ステーションは、相互作用する一対のロールを備え、それらの表面は噛み合う横断方向のリブ及びグルーブを備え、且つ、前記ロールの少なくとも一方における前記リブの頂部及び/又は前記グルーブに沿ってエンボス突起が配置されている、方法。
【請求項13】
機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートにおいて、
少なくとも3層の不織布材料を備え、
第1の層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含み、
第2の層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を含み、
前記シートの各層は、結合点のパターンによってメルトボンドされ、且つ、
第3の層は、結合点間において収縮されると共に、プリーツのあるパターン、及び/又は、機械方向に繰り返す他の構造の変化を示す、複層不織布シート。
【請求項14】
請求項13の複層不織布シートにおいて、
前記複層不織布シートの機械方向の破断伸度は、WSP 110.4に従う測定において100%、好ましくは150%よりも大きく、且つ/又は、
前記複層不織布シートの機械横断方向についての破断伸度は、WSP 110.4に従う測定において100%未満であり、且つ/又は、
前記複層不織布シートの機械方向の破断伸度は、同様にWSP 110.4に従う測定において機械横断方向の破断伸度よりも大きくても良い、複層不織布シート。
【請求項15】
衛生製品の製造、好ましくはオムツパンツの製造における請求項13又は14の複層不織布シートの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械方向に大きく弾性的に伸縮する能力を有しながら機械横断方向には低い伸張性を示す不織布シートに関する。本発明は、そのようなシートの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
不織布シートは、赤ちゃん用オムツ及び成人用失禁対策製品を作製する材料として、衛生産業において大規模に用いられている。多くの場合、例えばオープン型オムツの後耳部又はオムツパンツのウエストベルト部を作るためには、弾性伸縮性の材料が必要であり、標準的な不織布シートはこの要求を満たさない。
【0003】
不織布に基づいて弾性伸縮性の材料を準備するための伝統的な方法は、一般に、ライクラ糸のような弾性伸縮性の素材を元に不織布にプリーツを設けることを含む。より現代的な手法が目指しているのは、固有の特性として弾性的に伸張する能力を有する不織布シートを準備するために、熱可塑性エラストマー材料からなる繊維を含む弾性伸縮性の不織布シートを、伸縮性だが弾性ではない化粧層と組み合わせることである。WO2020/187540 A1又はEP3715517 A1にて開示される不織布シートが例として挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
成人用又は赤ちゃん用のオムツパンツの典型的な製造方法では、オムツの周方向が通常は使用する不織布シートの機械方向(MD、machine direction)であり、オムツの上下方向が通常は使用する不織布シートの機械横断方向(CD、cross-machine direction)である。このような場合、材料は、機械方向に大幅な弾性的伸張性を示すことによりオムツパンツが周方向に弾性的に伸張してサイズが良く合うことを可能とする一方、機械横断方向には低い伸張性を示すことによりオムツを引き上げるときに過度の伸びないことが有利である。この要求は、現在では幾つかのオムツ材料及び応用において工業的標準であるスパンボンド不織布シートにおいて、平均的繊維方向が機械方向であり、それによって通常、伸張性は機械方向の方が機械横断方向よりも低くなるという事実と相容れない。
【0005】
そのため、衛生産業において、固有の特性として機械方向に大きく伸張することができる一方、機械横断方向には伸びにくい不織布シートが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような状況において、本発明は、機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートの製造方法に関する。当該方法は、少なくとも2層の不織布材料を含む弾性伸縮性の不織布シートを準備する工程であって、この際1つの層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含む弾性伸縮性の不織布であり、1つの層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を含む伸縮性の化粧層である工程と、少なくとも機械横断方向について弾性伸縮性の不織布シートよりも小さい破断伸度(an elongation at break)を有する低伸張不織布シートを準備する工程と、弾性伸縮性の不織布シート及び低伸張不織布シートを、シート同士が予め決められたパターンでメルトボンドにより結合される結合ステーションに同時給送する工程であって、弾性伸縮性の不織布シートは機械方向の予備張力下で結合ステーションに給送されて機械方向に予備伸張された状態となる一方、低CD伸張不織布シートは結合ステーションに予備張力無し、又は、弾性伸縮性の不織布シートの機械方向の予備伸張よりも小さい機械方向の予備伸張を生じさせる予備張力下で結合ステーションに給送される工程と、を備える。
【0007】
弾性伸縮性の不織布シートにおける機械方向の予備伸張の程度は、元の寸法に対して、40-160%、好ましくは60-140%、より好ましくは80-120%、伸張される程度であってもよい。
【0008】
好ましくは、絶対力の観点で且つ結果としての予備伸張に関係無く、低伸張不織布シートにおける機械方向の予備張力は、あるとしても、弾性伸縮性の不織布シートの機械方向の予備張力よりも小さい。結合ステーションに同時給送される複数のシートにおける予備張力及び予備伸張の程度は、絶対的にも相対的にも、以下で論じる変種を含むシートの種類及び結合ステーションの種類に依存する。しかし、いずれの場合も、発明の方法によると、結果としての複層シートにおける収縮、弾性伸縮性の不織布シートに起因するこの収縮によって、結合点間における低伸張不織布シートの収縮が生じる構成となる。結果として、プリーツを有するパターン及び他の反復的な構造変化が生じ、これは、少なくとも以前の収縮程度までの機械方向における対抗されない伸張を許容する蓄積ができる理由となる。他方で、機械横断方向についてそのような蓄積は無いので、得られた複層シートは機械方向に大幅に弾性伸縮性である一方、機械横断方向については低い伸張性を示す。
【0009】
ここで使用される、弾性伸縮性の不織布シートと同時給送される不織布シートの特徴を述べる「低伸張」の語は、特定の絶対的な伸張の数値を特定する意味ではない。一般に、この不織布シートの弾性及び破断伸度は、機械方向について、また好ましくは機械横断方向についても、弾性伸縮性の不織布シートに比べて低いことが好ましい。絶対的な数値で言えば、給送されたこのシート単独における破断伸度は、WSP 110.4に従って測定したとき、機械方向及び機械横断方向の両方について、150%未満、好ましくは100%未満であってもよい。機械方向における引張強度は15 N/50mm、好ましくは20 N/50mmを超え、機械横断方向における引張強度は5 N/50mm、好ましくは10 N/50mm を超える。
【0010】
望ましい実施形態では、弾性伸縮性の不織布シート及び低伸張不織布シートは、異なる予備伸張下において、好ましくはメルトボンドポイントのパターンにより予備結合された状態で結合ステーションに同時給送される。
【0011】
好ましくは、低伸張不織布シートはスパンボンドシートであるか、少なくともスパンボンドシートの層を含む。より好ましくは、低伸張不織布シートは、非捲縮単成分繊維からなるスパンボンドシートである。それらの繊維を構成する好ましい材料はポリプロピレンであるが、ポリ(プロピレン-エチレン)コポリマーのようなポリプロピレンコポリマー(co-PP)、又は、ポリエチレン(PE)を用いて実施することもできる。
【0012】
弾性伸縮性の不織布シートにおける伸縮性の化粧層の捲縮多成分繊維は、あらゆる非対称断面分布を有する二成分繊維であってもよい。好ましくは並列(side-by-side)繊維であるが、偏心芯鞘又は他の既知の構成であっても良い。
【0013】
1つの実施形態では、二成分繊維の成分は共にポリプロピレンであって、ポリプロピレンは互いに、得られる繊維が捲縮するように特性が異なっている。ポリプロピレン-ポリプロピレンの構成である捲縮二成分繊維を含む化粧層は、例えば、EP 3715517 A1のシートに用いられている。
【0014】
他の実施形態では、捲縮多成分繊維の成分の少なくとも1つは、ポリプロピレン-α-オレフィンコポリマー材料(co-PP)である。これは、特に機械方向(MD)について、全体的なシートの弾性増加に繋がる可能性が見出されている。プロピレンと共にコポリマーを構成するα-オレフィンは、エチレンが好ましい。言い換えると、コポリマーは、ポリ(プロピレン-エチレン)コポリマーであることが好ましい。コポリマーは、ランダムコポリマーであることが同様に好ましい。捲縮多成分繊維の成分の他の1つは、ポリプロピレンホモポリマー(PP)であることが好ましい。このような多成分繊維の成分であるco-PP又はhomo-PPは、追加のポリマー、又は、スリップ剤、繊維材料、絵具若しくは顔料のような他の添加剤とブレンドされいても良いが、対応する組成物の50%よりも多く、好ましくは75%よりも多く、更に好ましくは90%よりも多くを占めるべきである。
【0015】
捲縮二成分繊維において、1つの成分の他の成分に対する比は、20/80と80/20との間が好ましく、30/70と70/30との間がより好ましく、40/60と60/40との間が更に好ましい。
【0016】
弾性伸縮性の不織布シートの弾性伸縮性の層における弾性繊維は、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE-o)、好ましくはプロピレン-α-オレフィンコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィンエラストマーを含んでも良い。本発明の場面で用いるのに相応しいTPE-o材料は、EP 2342075 A1に開示されている。これに代えるか、又は、追加して、つまり混合物として、他の熱可塑性エラストマー材料、特に、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はスチレンブロックコポリマー(TPE-s)等を用いても良い。1つの実施形態では、20重量%まで、好ましくは10重量%までの熱可塑性オレフィン、例えばホモポリプロピレンが、熱可塑性エラストマーに並んで熱可塑性エラストマー材料に含まれていても良い。1つの実施形態では、二成分弾性繊維は、2つの異なる熱可塑性エラストマーからなり、並列又は芯鞘の構成を有するのであっても良い。
【0017】
1つの実施形態では、弾性伸縮性の不織布シートは、弾性層のいずれかの面に少なくとも1つの化粧層を備え、それにより合わせて少なくとも3層となっている。この構成は、固有の特性として粘着性であって露出すると製造工程において扱いにくい傾向のある弾性層を両面にて覆うために有用であり得る。第1の化粧層に対し、上記のように追加の化粧層を設けてもよい。弾性層の異なる面における化粧層は同じでも良いが、異なっていても良い。例えば、不織布化粧層の一方はスパンボンド不織布であり、他方の不織布化粧層は異なるスパンボンド不織布又はメルトブローン不織布である。
【0018】
他の実施形態では、弾性伸縮性の不織布シートの弾性層は、低伸張不織布シートに向かい合う側が露出しており、結合ステーションにてシート同士が接合された後には低伸張不織布シートに直に隣接して位置している。これには、全体の層の数が少ないという利点がある。
【0019】
上記に定義した層は、弾性であり、それぞれ定義したように単成分又は二成分の繊維を他の繊維に加えて含んでいても良いが、好ましくは定義した繊維からなる。
【0020】
弾性伸縮性の不織布シートの予備伸張は、例えば、結合ステーションの手前に配置されたニップロール、及び、場合によっては結合ステーションに続いて配置されたニップロールによって調整されても良い。ニップロールにより、シートの並進スピードを調整できる。
【0021】
結合ステーションは、少なくとも、表面にエンボス突起を備えるカレンダーロールを供える。実施形態では超音波結合が利用され、この場合エンボス突起に超音波が導入される。他の実施形態では熱結合が用いられ、この場合エンボス突起が加熱される。実施形態において、少なくとも一方がカレンダーロールであって互いに逆に回転する2つのロール間の隙間に、シートが給送される。
【0022】
結合ステーションの特定の実施形態は、相互作用する一対のロールを備え、それらの表面は横断方向の噛み合うリブとグルーブを備え、且つ、ロールの少なくとも一方におけるリブの頂部及び/又はグルーブに沿ってエンボス突起が配置されている。噛み合うリブ及びグルーブは、複数層における機械方向の予備伸張に更に局所的な影響を及ぼす。この状態でシートを互いに結合させることで、上に述べてきた予備張力の違いに関する効果が高まる。
【0023】
初めに説明した背景に対し、本発明は更に、機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートに関する。これは、少なくとも3層の不織布材料を備え、第1の層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含み、第2の層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を備え、シートの各層は結合点のパターンによってメルトボンドされ、且つ、第3の層は、結合点間において収縮されると共に、プリーツのあるパターン、及び/又は、機械方向に繰り返す構造の変化を示す。
【0024】
本発明の方法により、布を得ることができる。各層の望ましい態様は、上記した発明の方法の説明から取ることができる。
【0025】
好ましくは、WSP 110.4に従う測定において、複層シートの機械方向の破断伸度は100%、好ましくは150%よりも大きく、WSP 110.4に従う測定において、複層不織布シートの機械横断方向についての破断伸度は100%未満であることが好ましい。
【0026】
1つの実施形態では、WSP 110.4に従う測定において、複層不織布シートの機械方向の破断伸度は、機械横断方向の破断伸度よりも大きくても良い。
【0027】
複層シートの機械横断方向の引張強度は、WSP 110.4に従う測定において、10 N/50 mmを超えることが好ましく、15 N/50 mmを超えることがより好ましい。第3の層のCD(破断時)引張強度は、大部分が第3の層の引張強度によって定まり、第3の層自体を考えると、第1の層又は第2の層と比較して高い機械横断方向の引張強度を有することが好ましい。
【0028】
第2の層、及び、より一般に布(複層シートにおける弾性伸縮性の不織布シート中)におけるそれぞれの捲縮繊維により形成された化粧層の坪量は、5-40 g/m2の間、好ましくは8-30 g/m2の間、より好ましくは10-25 g/m2の間、更に好ましくは15-20 g/m2の間であっても良い。
【0029】
1つを超える捲縮繊維により形成された化粧層が布に存在する場合、それらは同じ坪量であっても良いし、一方が他方よりも小さい坪量であっても良い。異なる坪量の実施形態が好ましく、この理由は、3層の弾性伸縮性の不織布シートにおける化粧層は、伸縮性のシートが低伸張不織布シートに積層される前には、粘着性の弾性層を保護する機能のみを有するからである。
【0030】
第1の(弾性)層の坪量は、好ましくは10-150 g/m2の間、好ましくは20-120 g/m2の間、より好ましくは25から100 g/m2の間であっても良い。
【0031】
第3の(低伸張不織布)層の坪量は、好ましくは5-50 g/m2の間、好ましくは8-30 g/m2の間、より好ましくは10から25 g/m2の間であっても良い。
【0032】
本発明の不織布シートは、特に、衛生用品の製造に適している。例えば、不織布シートは、当該シートを弾性ウエスト材料として用いるオムツパンツの製造に用いることができる。この産業のこの使用分野において現在行われている典型的な製造工程では、MDに弾性的に伸びる材料が必要とされている。
【0033】
本発明の更なる詳細と利点については、以下に説明する図面及び例から明らかになるであろう。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】パンツ型オムツの製造において不織布シートが通常どのように使われるかを示す製造レイアウトである。
図2】不織布ベルト材料の機械方向及び機械横断方向を示したパンツ型オムツである。
図3】本発明の第1の例の方法を実施するための機械の配置である。
図4】同時給送された積層体を追加で予備伸張し且つ同時に結合させる活性化ユニットの模式図である。
図5図4に模式的に示されたロールのリブの頂部ラインを示す写真である。
図6】動作中の図4の活性化ユニットの模式図である。
図7】本発明の第2の例の方法を実施するための機械の配置である。
図8】機械方向の予備張力が印加されたときの3層の弾性伸縮性の不織布シートにおける構造の変化を示す図である。
図9】3層の弾性伸縮性の不織布シートに基づく多層不織布の実施形態を示す図である。
図10】2層の弾性伸縮性の不織布シートに基づく多層不織布の実施形態を示す図である。
図11】第1の例における積層材料について記録された機械方向の張力(ストレス-ストレイン)ダイアグラムにおけるヒステリシス曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1及び図2は、パンツ型オムツの製造では、機械方向に弾性特性を有し且つ機械横断方向には比較的小さい伸びを有するシートを有することが好ましい理由を示す。
【0036】
具体的に、図1は、パンツ型オムツの工業的製造において、不織布シートが通常どのように用いられるのかを示す製造レイアウトである。材料に由来するオムツのオムツベルトは、機械方向に配置されていることが視認できる。
【0037】
パンツ型オムツは、身に着けていて快適であるためにベルト部分が伸縮性を有するべきであり、同時に、容易に装着できるために上下方向には寸法が安定しているべきである。従って、その要求に最適化される不織布は、機械方向に良好な弾性特性を備える一方、機械横断方向の弾性及び伸張は比較的小さく、機械横断方向の伸張は、オムツを正しい位置に置くために引き上げる際に必要な力に耐えるように、十分に低いことが求められる。
【0038】
不織布ベルト材料の機械横断方向及び機械方向が対応するパンツ型オムツを、図2に示している。
【0039】
図3は、第1の例における本発明の方法を実施するための例示的機械配置を示し、ここでは弾性伸縮性の不織布シートが標準的スパンボンド不織布シート(低伸張不織布シートとしてもの)に積層され、積層工程は粘着剤又は接着剤を加えることなく行われる。
【0040】
工程中、弾性伸縮性の不織布シート10は、ステーション910において工程に向けて巻きを解かれる。そのスピードは一対のニップロール920により制御される。標準的(低伸張)スパンボンド不織布シート20は、ステーション930において巻きを解かれ、結合ステーション940における活性化及び結合工程に同時給送される。結合ステーション940については以下に図4図6においてより詳しく説明する。ステーション940を離れると、材料は緩和され、ステーション960において、いわゆるバナナ又は分離ロールを通って処理され、ウェブ経路を制御して皺が無いようにされる。この後、ステーション970において、得られた複層シート30は完成積層体ロールに巻き取られる。
【0041】
図4図6は、図3の例で用いられる結合ステーション940の一実施形態を示し、同時給送されたシートについて、追加の予備伸張と同時に結合を行う活性化ユニットとして構成されている。ユニットは、2つの逆回転活性化ロール51、52を備え、これらは同時給送されたシートを機械方向に追加で伸張し、且つ、伸張した状態で結合するように構成されている。
【0042】
図4は、ロール軸に垂直な径方向面に沿う拡大断面である。この図から明らかなように、ロール51及び52の両方は作用面に一定間隔でリブ53を備えており、それらの間にグルーブ54が形成されている。本実施形態のリブ53は機械横断方向を向いており、ロール51及び52の表面に軸方向に延伸している。
【0043】
リブ53の幅“a”、噛み合いの深さ“b”及び隣り合うリブ53間の距離“c”によって、活性化の際の機械方向の予備伸張の程度が制御される。
【0044】
ロール51及び52両方のリブ53における頂部ラインに、エンボス突起59の列が設けられ、これにより同時給送されたシートを伸張されたまた結合させる。言い換えると、同時給送されたシートを追加で延長活性化しながら同時に結合させる。
【0045】
図5は、図4に模式的に示した活性化ロール51、52におけるリブ53の頂部ラインの写真を示す。リブ53は、エンボス突起59を頂部ラインに備えている。
【0046】
図6は、図4に示したユニットの動作状態を示す。図6における左から右に、同時給送される複数のシート(図においては1つのシートとして示されている)が活性化及び結合の組み合わせ工程に入る。シートが2つのロール51、52のニップに入るにつれて、噛み合いリブ53により活性化プロセスが開始される。リブ53のグルーブ54に対する噛み合わせが進むことにより、局所的な伸張が次第に増加する。これはリブ53及びグルーブ54が完全に噛み合う中心位置まで進む。
【0047】
2つのロール51、52の中心位置における最大噛み合い点にて、1つのロール(ここではロール51)のリブ53上のエンボス突起59は、対向するロール(ここではロール52)における対向するグルーブ54の底に接触し、リブ53の頂部ライン、つまり、同時給送されたシートの縞形状の高密度領域Aに沿って結合点の列を形成する。
【0048】
材料がステーション940を出るにつれて、弾性伸縮性の不織布シートにおける弾性層の弾性繊維は収縮し、材料の伸びが元に戻る。標準的(低伸張)スパンボンド不織布シート20における、弾性伸縮性の不織布シート10に結合点で結合されない部分は、この緩和工程において、シート内に拘束される繊維によりプリーツや皺を生じるか又は圧縮され、ステーション940において予備伸張されたのと同程度に機械配置に再び伸びる能力を維持しながら、機械横断方向には元のままの低伸張性を維持している。
【0049】
再び図3の説明に戻ると、ステーション930において、弾性伸縮性の不織布シート10が結合ステーション940に入る前のスピードは、ステーション940における活性化ロールのスピードによりも低い程度に、且つ、これにより結合ステーション940に入る前の標準的(低伸張)不織布シート20のスピードであってステーション940におけるロールのスピードと同等のスピードよりも低い程度に、制御及び調整される。弾性伸縮性の不織布シート10をより低いスピードで走行させることで、ステーション940に予備伸張された状態で入り、ステーション940におけるロールの配置によって、更に伸張され且つ活性化されて、200%まで又それ以上の伸度となる。
【0050】
ステーション940における活性化ロールは、弾性伸縮性の不織布シート10と標準的(低伸張)不織布シート20との間に結合を形成するために適した温度まで加熱される。典型的な温度範囲は50℃から145℃であり、好ましくは60℃から70℃である。ロールの底と頂部との温度は互いに異なっていても良い。
【0051】
図7は、第2の例における本発明の方法を実施するための機械配置である。この配置は、図3に非常に似ているが、ステーション950の構成のみ異なっており、表面にエンボスピンを備える1つだけのエンボスロール951と、その上に小さな距離を開けて配置された、超音波溶接ツール、より具体的にはソノトロード952を備える。同時給送されたシートは、ロール951上に、好ましくは僅かに曲がって導かれ、ロール951上に載ってロール951とソノトロード952との隙間を通過する。
【0052】
超音波溶接は原理としてはよく知られている。シートの熱可塑性繊維はソノトロード952が発生させる機械的振動によって活性化され、溶解と、ロール951の表面における結合ピンに従う予め決められたパターンによる結合に至る。結合ピンはエネルギーを集中させるので正確に溶接点を定める。
【0053】
図7の機械配置は、図3の機械配置に比べると、予備伸張は幾分控えめである。
【0054】
いずかの例で上記したステーション940及び950におけるニップ圧力は、5-100 N/mmであっても良く、エンボス突起は結合領域の8-20%を占めても良い。エンボス突起は、0.2 mm2から2 mm2の面積を有することができ、四角形、円形、楕円形又は他の形状を有していて良い。
【0055】
図8は、3層の弾性伸縮性の不織布シート10に機械方向の予備張力を加えた際の構造の変化を説明する図である。シートは、弾性層12を挟んで両側に2つの化粧層11及び13を備える。化粧層11及び13は、それぞれ捲縮繊維により形成されたスパンボンド布とすることができ、これにより非捲縮繊維により形成された標準的なスパンボンド不織布シートに比べて柔軟でより伸縮性となる。弾性層12は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなる弾性繊維により作られたスパンボンド不織布である。
【0056】
図8の一番上の図は、伸張されない状態のシート10を示す。仮に長さ方向の力Fが加えられたとすると(図8の中央の図)、これは例えば図7の機械配置における結合ステーション950に布を給送するスピードを遅くすることで行えるが、布は機械方向の伸張される(図8の下の図)。力が掛からなくなれば、布は、弾性層12の作用により、自動的に元の長さに戻る(図8の一番上の図)。
【0057】
仮に、図8の一番下の図の伸張された状態において、追加の層が標準的(低伸張)不織布層20の形でシート10に接合され、且つ、仮に、組み合わせられた複層シート30が緩和されて元に戻れるようになると、シート10に戻る層は結合点間で機械方向に収縮される。これによりプリーツを有するパターン及び他の反復的な構造変化が生じ、少なくとも収縮前の程度まで、機械方向の対抗されない多少の伸張を許容する蓄積が説明される。他方で、機械横断方向についてはそのような蓄積は無いので、シート10に戻る層は元々の(低い)伸張性のままである。
【0058】
図9及び図10は、最終的な緩和状体にある複層シート30を示すものであり、図9は2つの化粧層11及び13と弾性層12とを含む3層の弾性伸縮性の不織布シート20に基づく複層不織布シート30の実施形態を示し、且つ、図10は、1つだけの化粧層11を含み、弾性層12が標準的(低伸張)層10に直接隣り合う2層の弾性伸縮性の不織布シートに基づく複層不織布シート30を示す。
【0059】
(例1)
以下の例は、図3に模式的に示した装置における本発明に従った4層布の製造を説明する。
【0060】
3層の弾性伸縮性の不織布シート10であって、図8に模式的に示され、スパンボンド弾性層11が捲縮二成分繊維からなる2つのスパンボンド化粧層12及び13に挟まれたものが、活性化及び結合の組み合わせユニット940に対して非捲縮単成分繊維からなる標準的低伸張スパンボンド布20と同時給送される。
【0061】
給送の間に、弾性伸縮性の不織布シート10は、元の長さの100%予備伸張される。これは、ユニット940におけるローラーのニップに入るスピードは22 m/min である一方で、当該ローラーは44 m/minで動作することによる。標準的低伸張スパンボンド布20は、44 m/minで給送される。ユニット940における噛み合いの深さ“b”は5 mmである(5 mmのリブの全体の高さであり、これにより頂部線の結合点が他の方のローラー表面と噛み合う)。
【0062】
シート10の設定を次の表1に示す。
【0063】
【表1】
511Aポリマーは、狭い分子量分布(Mw/Mnが3.8)、25 g/10 minのMFR及び161℃のTmを有するSabic社のポリプロピレンホモポリマーである。
【0064】
QR674Kポリマーは、40 g/10minのMER、広い分子量分布(Mw/Mnが8.5)及び150℃のTmを有するSabic社のエチレン-プロピレンランダムコポリマーである。また、このポリマーは、透明化剤(clarifier)及びスリップエー剤を含んでいる。
【0065】
弾性層は、単一の商業的に入手可能なTPE-o材料であるExxonMobil社のVistamaxx(登録商標) 7050FL からなり、これはエチレン含量13 w%で且つメルトフローレート45 g/10minのプロピレン系熱可塑性エラストマーコポリマーである。
【0066】
シート10の結合パターンは、平方センチメートル毎に24の結合箇所を有する結合面積12%のオープンドット結合パターンである。
【0067】
下記の表2に、測定された当該シート10の特性を示す。
【0068】
【表2】
* WSP120.6により測定
** WSP100.4により測定
シート20は商業的に入手可能な標準的スパンボンド不織布材料であり、単成分PP繊維からなる。商品名はA10150KWであり、Fibertex Personal Care A/Sによる。技術データは下の表3に要約する通りである。
【0069】
【表3】
* WSP120.6により測定
** WSP100.4により測定
シート10及びシート20を積層した後に得られるCD破断強度及び伸度は、シート20単独のそれぞれの数値に比べて小さく(強度)又は高く(伸度)なることはあり得ない。しかし、このような機械横断方向についての(求めていた)限定は、MD伸度及び弾性に関して積層体が好ましく機能することに何ら障害とはならない。これは実験的にも確認されている。具体的に、得られたシート30についての測定データは、以下の表4に要約されている。
【0070】
【表4】
* WSP120.6により測定
** WSP100.4により測定
図11は、積層材料であるシート30について測定された機械方向の引っ張り(応力-ひずみ)線図におけるヒステリシス曲線を示し、ASTM D5459の標準測定法に従うものである。この曲線から、機械方向の弾性挙動における2つのパラメータを確認できる。
【0071】
第1のパラメータは永久変形であり、ASTM D5459の試験手順に定められた伸張を行った後に元の長さに戻れなくなった弾性材料の長さの増加として定義され、元の長さの%として表される。永久変形の%が小さいほど、弾性材料の弾性特性が優れている。
【0072】
第2のパラメータは、ASTM D5459試験による第2サイクルのヒステリシスプロットの応力-ひずみ曲線における増加時と減少時との間の面積であり、これは当該曲線間の面積(A)の、最初の増加時曲線の下側部分の面積(A+B)に対する相対的大きさによって表され、%[A/(A+B)×100]と表記される。加重の増加時と減少時とでプロットが一致しない場合、これが実世界の材料で通常観察される通りであるが、いくらかのエネルギーが失われたことを意味する。前記%が小さいほど、材料の弾性特性が優れている。
【0073】
試験した材料については、図11に示すヒステリシスから、第1サイクル後の永久変形は5 %未満と測定され、且つ、第2サイクルの増加時及び減少時の曲線間の面積は26.7 %と測定された。これらは非常に優れた値である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートを製造する方法において、
少なくとも2層の不織布シートを含む弾性伸縮性の不織布シートを準備する工程であって、1つの層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含む弾性伸縮性の不織布であり、1つの層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を含む伸縮性の化粧層である、工程と、
少なくとも機械横断方向について前記弾性伸縮性の不織布よりも小さい破断伸度を有する低伸張不織布シートを準備する工程と、
前記弾性伸縮性の不織布シート及び前記低伸張不織布シートを、前記シート同士が予め決められたパターンでメルトボンドにより結合される結合ステーションに同時給送する工程であって、前記弾性伸縮性の不織布シートは機械方向の予備張力下で前記結合ステーションに給送されることから機械方向に予備伸張された状態である一方、前記低伸張不織布シートは前記結合ステーションに予備張力無し、又は、前記弾性伸縮性の不織布シートにおける機械方向の前記予備伸張よりも小さい機械方向の予備伸張を生じさせる予備張力下で前記結合ステーションに給送される工程と、を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける機械方向の予備伸張の程度は、元の寸法に対して、40-160%、好ましくは60-140%、より好ましくは80-120%伸張される程度である、方法。
【請求項3】
請求項の方法において、
前記結合ステーションに同時給送される前記弾性伸縮性の不織布シート及び前記低伸張不織布シートは、好ましくはメルトボンドポイントのパターンにより、予備結合されている、方法。
【請求項4】
請求項に記載の方法において、
前記低伸張不織布シートはスパンボンドシートであり、好ましくは非捲縮単成分繊維からなる、方法。
【請求項5】
請求項に記載の方法において、
前記二成分繊維の成分は、全てポリプロピレンである、方法。
【請求項6】
請求項に記載の方法において、
前記捲縮多成分繊維の成分の1つは、プロピレン-α-オレフィンコポリマー材料(co-PP)、好ましくはポリ(プロピレン-エチレン)コポリマーであり、
前記捲縮多成分繊維の少なくとも1つの他の成分は、ポリプロピレンホモポリマー(PP)である、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、
前記弾性伸縮性の層の前記弾性繊維は、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー(TPE-o)、好ましくはプロピレン-α-オレフィンコポリマーを含む熱可塑性ポリオレフィンエラストマーを含む、方法。
【請求項8】
請求項に記載の方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートは、前記弾性層のいずれかの面に少なくとも1つの化粧層を備える、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける前記弾性層は、前記低伸張不織布シートに向かい合う側が露出しており、前記結合ステーションにて前記シート同士が結合された後には、前記低伸張不織布シートに直に隣接して位置している、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法において、
前記弾性伸縮性の不織布シートにおける前記予備伸張は、ニップロールを用いてその並進スピードを調整することによって調整される、方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法において、
前記結合ステーションは、表面にエンボス突起を有する少なくとも1つのカレンダーロールを備え、当該カレンダーロールは加熱されるか又は超音波振動される、方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法において、
前記結合ステーションは、相互作用する一対のロールを備え、それらの表面は噛み合う横断方向のリブ及びグルーブを備え、且つ、前記ロールの少なくとも一方における前記リブの頂部及び/又は前記グルーブに沿ってエンボス突起が配置されている、方法。
【請求項13】
機械方向に弾性伸縮性の複層不織布シートにおいて、
少なくとも3層の不織布材料を備え、
第1の層は、熱可塑性エラストマーポリマー材料からなるスパンボンド弾性繊維を含み、
第2の層は、スパンボンド捲縮多成分繊維を含み、
前記シートの各層は、結合点のパターンによってメルトボンドされ、且つ、
第3の層は、結合点間において収縮されると共に、プリーツのあるパターン、及び/又は、機械方向に繰り返す他の構造の変化を示す、複層不織布シート。
【請求項14】
請求項13に記載の複層不織布シートにおいて、
前記複層不織布シートの機械方向の破断伸度は、WSP 110.4に従う測定において100%、好ましくは150%よりも大きく、且つ/又は、
前記複層不織布シートの機械横断方向についての破断伸度は、WSP 110.4に従う測定において100%未満であり、且つ/又は、
前記複層不織布シートの機械方向の破断伸度は、同様にWSP 110.4に従う測定において機械横断方向の破断伸度よりも大きくても良い、複層不織布シート。
【請求項15】
衛生製品の製造、好ましくはオムツパンツの製造における請求項13又は14に記載の複層不織布シートの使用。
【国際調査報告】