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特表2024-535343GABAAγ1 PAMとしてのピリドジアゼピン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】GABAAγ1 PAMとしてのピリドジアゼピン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/14 20060101AFI20240920BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/18 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/22 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/20 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20240920BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C07D471/14 CSP
A61P25/00
A61P25/28
A61P21/00
A61P25/18
A61P25/14
A61P25/22
A61P25/16
A61P25/24
A61P25/20
A61P1/14
A61P15/00
A61P25/08
A61P29/00
A61K31/551
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518302
(86)(22)【出願日】2022-09-23
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022076467
(87)【国際公開番号】W WO2023046877
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】21198735.9
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】チェチェーレ,ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】ガレイ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】ゴッビ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヘルナンデス,マリア-クレメンシア
(72)【発明者】
【氏名】コブレット,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】オリバーレス・モラレス,アンドレス・ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ランツ-シュミット,ヴァレリー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB12
4C086CB13
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA10
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA22
4C086MA23
4C086MA31
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA05
4C086ZA06
4C086ZA08
4C086ZA12
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA18
4C086ZA21
4C086ZA22
4C086ZA66
4C086ZA81
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)(式中、可変部分は本明細書に記載されるとおりである)
を有する新規複素環式化合物およびその薬学的に許容され得る塩を提供する。本化合物を含む医薬組成物、化合物を製造する方法および本化合物を医薬として使用する方法、特に急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するために化合物を使用する方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
【化2】

が、
【化3】

から選択され、
が、水素、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化4】

から選択され、R1aが水素であるか、または
およびR1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C~C10-シクロアルキルを形成し、
1bが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C~C-アルキルおよびC~C-アルコキシから選択され、
1cが、水素、ヒドロキシおよびオキソから選択され、
が、C~C-アルキルであり、
が、クロロまたはブロモであり、
が、ハロゲン、C~C-アルキル、ハロ-C~C-アルキル、およびC~C10-シクロアルキルから選択され、
が、ハロゲンであり、
Lが、共有結合、カルボニル、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-CHNHC(O)-から選択され、
Aが、3~14員ヘテロシクロアルキルおよびC~C10-シクロアルキルから選択される)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化5】

から選択され、R1aが水素であるか、または
およびR1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C~C10-シクロアルキルを形成し、
1b、R1c、AおよびLが、請求項1に定義されるとおりである、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項3】
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化6】

から選択され、
1bが、C~C-アルキルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、3~14員複素環である、
請求項2に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
が、2-ヒドロキシエチル-NH-C(O)-、2-ヒドロキシプロピル-NH-C(O)-、メチル、および基
【化7】

から選択され、
1bが、メチルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、アゼチジニルである、
請求項3に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
がメチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
がクロロである、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
がハロアルキルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
がCFである、請求項7に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
がフルオロである、請求項1~8のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化8】

から選択され、
1bが、C~C-アルキルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
が、C~C-アルキルであり、
が、クロロであり、
が、ハロ-C~C-アルキルであり、
が、ハロゲンであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、3~14員複素環である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
が、メチル、2-ヒドロキシエチル-NH-C(O)-、2-ヒドロキシプロピル-NH-C(O)-、および基
【化9】

から選択され、
1bが、メチルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
が、メチルであり、
が、クロロであり、
が、CFであり、
が、フルオロであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、アゼチジニルである、
請求項10に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
前記式(I)の化合物が、
(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-12-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,12-トリメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
アゼチジン-1-イル-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン、
N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]オキセタン-3-カルボキサミド、
1-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ピロリジン-2-オン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(10S)-6-クロロ-8-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,4,9,12-テトラアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(1-ヒドロキシシクロプロピル)メチル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-cis-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、および
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-trans-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
前記式(I)の化合物が、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、および
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
から選択される、請求項12に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
治療活性物質として使用するための、請求項1~13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物。
【請求項16】
対象における急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための方法であって、有効量の、請求項1~13のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または請求項15に記載の医薬組成物を、前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法における、請求項1~13のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または請求項15に記載の医薬組成物の使用。
【請求項18】
請求項16に記載の方法における使用のための、請求項1~13のいずれかに記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害の処置または予防のための医薬を製造するための、請求項1~13のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用。
【請求項20】
前記急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害が、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性の認知機能の低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御・素行症群(disruptive, impulse-control and conduct disorder)、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動・心理症状(BPS)、多発梗塞性認知症、アジテーション、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ、慢性アパシー、アンヘドニア、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかんおよび疼痛から選択される、請求項16に記載の方法、請求項17および19に記載の使用、ならびに請求項18に記載の使用のための化合物、その薬学的に許容され得る塩または医薬組成物。
【請求項21】
本明細書中上記されるとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、哺乳動物における治療または予防に有用な有機化合物、特にGABAAγ1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)としての活性を示し、したがってGABAAγ1受容体関連疾患または状態の処置または予防に有用な新規ピリドジアゼピン誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
主要な抑制性神経伝達物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の受容体は、主に2つのクラス、(1)リガンド結合型イオンチャネルスーパーファミリーのメンバーであるGABA受容体と、(2)Gタンパク質結合型受容体ファミリーのメンバーであるGABA受容体とに分かれている。膜結合型ヘテロペンタメリックタンパク質ポリマーであるGABA受容体複合体は、主にα、β、γのサブユニットから構成されている。GABA受容体は、リガンド結合した塩化物チャネルであり、ヒトの脳における抑制性神経伝達の主要なメディエータである。
【0003】
GABA受容体のサブユニットをコードする遺伝子は19個あり、最も一般的な化学量論では、2個のα、2個のβ、および1個のγサブユニットがペンタマーとして集合している。GABAサブユニットの組み合わせは、機能的、回路的、行動的特異性をもたらす。γ1サブユニットを含むGABA受容体(GABAγ1)は、辺縁系において豊富に発現していること、ならびに独特な生理学的および薬理学的特性のため、特に注目されている。GABAγ1サブユニット含有受容体は、あまり豊富ではないが(脳におけるGABA受容体の全発現の約5~10%)、γ2サブユニット含有受容体は、扁桃体延長部(分界条の中心核、内側核、および床核)、外側中隔、視床下部および淡蒼球/黒質などの重要な脳領域における濃縮された脳mRNAおよびタンパク質分布を示す。これらの構造は、動機付けされた社会的および情動的行動を調節する皮質下辺縁回路の相互接続されたコアを形成する。異常な状態または疾患状態では、この回路の過剰動員は、摂食および社会的相互作用を阻害しながら、不安、覚醒、攻撃、恐怖および防御を促進する。
【0004】
社会的および感情的に関連する刺激を処理するための重要な領域である辺縁皮質領域(扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている)における活動亢進は、様々な精神障害、神経障害、神経発達障害、神経変性障害、気分障害、動機付け障害および代謝障害の共通の特徴である。そのような疾患状態では、γ1サブユニット含有GABA受容体の特徴的な解剖学的分布を考えると、GABAγ1ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)は、対症剤または疾患修飾剤として有効な処置であり得る。
【0005】
複数の証拠から、脳内の主要な抑制性神経伝達物質であるGABA作動性シグナル伝達系の機能不全から生じる興奮性/抑制性(E/I)神経伝達の不均衡が、様々なCNS障害の病因の中核にあることが示唆されている。CNSにおけるGABAγ1サブユニット含有受容体の分布および機能を考慮すると、それらは重要な脳回路内の阻害レベルを回復させるための非常に魅力的な標的であり、その結果、これらの条件におけるE/Iバランスを回復させるための非常に魅力的な標的である。
【0006】
本発明の文脈において特に興味深いCNS障害は、中核症状および関連する併存症、例えば不安および過敏症、社会不安障害(社会恐怖症)および全般性不安障害を含む自閉症スペクトラム障害(ASD)である。ASDは、2つのコアドメインにおける障害、社会的交流およびコミュニケーションにおける障害、ならびに反復的または制限された行動、興味、または活動の存在を特徴とする複雑で不均一な神経発達障害である(American Psychiatric Association 2013)。
【0007】
社会的欠損の中核症状およびASDの制限された/反復的な行動について承認された薬理学的処置は存在しないが、ASDの情動的および生理学的な併存症の大部分については不十分な治療選択肢しか利用できない。結果として、この障害は依然として満たされていない医学的必要性の高い領域である。現在承認されているASDの関連症状に対する処置は、ASD症状に伴う過敏性の処置に適応のある抗精神病薬(リスペリドン、アリピプラゾール)に限られている。新たなエビデンスは、脳内の主要な抑制性神経伝達物質であるGABA作動系がASDの病態生理に重要な役割を果たしていることを示唆している。
【0008】
陽電子放射断層撮影法(PET)と磁気共鳴分光法(MRS)を用いた遺伝学的研究と画像学的研究の両方とも、ASDにおけるGABA作動性シグナル伝達の変化を示唆している。GABAγ1、GABRG1をコードする遺伝子は、α2、α4およびβ1GABA受容体サブユニットをコードする遺伝子のクラスター内の染色体4(マウスの染色体5)に位置する。GABRG1を破壊する染色体4p12の逆位を含む稀なCNVが自閉症の兄弟姉妹(Horikeら、2006)において、また同様に、ADHDの1つの症例のGABRG1喪失において認められている。4p12遺伝子クラスターにおける突然変異は、不安、物質乱用および摂食障害のリスク増加に関連しており、GABRG1/4p12と情動機能障害との間の関連性を提供する。MRS研究では、ASDにおけるGABAレベルの変化が見出され、特に最近の研究では、ASDを患う子供におけるGABAの減少や体性感覚機能の変化が示されている。これらの観察と一致して、ASDおよびTS患者の死後組織から抑制性介在ニューロンの数の減少が見出された。さらに、低下したGABA合成酵素であるグルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)65および67が自閉症患者の頭頂皮質および小脳皮質において見出された。ヒトにおける強力な証拠は、GABAγ1サブユニット含有扁桃体延長部/視床下部領域と協調した機能的ネットワークを形成することが知られている辺縁皮質領域のASDにおける特異的機能不全を指摘している。これらの領域である皮質/外側扁桃体、島、PFC、および帯状は、社会的および感情的に関連する刺激を処理するための鍵であると認識されている。行動転帰を調整するこれらの領域との特定のパートナーシップを形成する皮質下核は、空間分解能の限界のために研究が困難であることが多いが、多くの証拠は、ASDにおけるこれらの皮質から皮質下への接続の過剰動員を指摘している。さらに、近年の高分解能研究により、拡張した扁桃体活動/機能的結合と情動状態との間に明確な関連性がもたらされている。新皮質と比較して実質的な分子および細胞の多様性を示すそのような非常に特異的な辺縁皮質下領域を標的とすることは、全体的な脳状態の広範な調節を回避しながら、ASDの影響を受ける社会的感情回路の安全かつ特異的な治療的調節のための正確なエントリポイントを作り出す。非選択的BZDによるGABA受容体活性の増強は、ASDのマウスモデルにおいて行動障害を改善することが示されてきたが、GABAα1γ2サブタイプを媒介とした鎮静により、治療効果の限界は非常に狭いことが観察された。これらの知見は、GABAγ1受容体を介したGABA作動性伝達のリバランスが、非選択的ベンゾジアゼピン系薬剤の副作用なしにASDの症状を改善するという考えを支持している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の化合物は、所与の濃度(例えば、EC20)のガンマアミノ酪酸(GABA)でGABA作動性電流(塩化物の流入)を増加させることによってγ1含有GABA受容体の機能を選択的に増強する選択的GABAγ1受容体ポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)である。本発明の化合物は、γ2含有サブタイプ(例えば、α1γ2、α2γ2、α3γ2およびα5γ2)と比較して、γ1含有サブタイプ(α5γ1、α2γ1、α1γ1)に対して高いPAM有効性および結合選択性を有する。したがって、本発明の化合物は、γ2含有GABAサブタイプに対して選択的であり、γ1含有サブタイプに対して低い親和性を有するアルプラゾラム、トリアゾラム、エスタゾラム、ミダゾラムなどの古典的なベンゾジアゼピン薬物から強く区別される。γ1サブタイプの脳分布に適合して、選択的GABAγ1PAMは、非選択的GABAモジュレーター(例えば、ベンゾジアゼピン)の副作用なしに、重要な脳領域(例えば、扁桃体延長部:分界条の中心核、内側核および床核、外側中隔、視床下部および淡蒼球/黒質)においてGABA作動性シグナル伝達を回復させる。
【0010】
上記を考慮すると、本明細書に記載の選択的GABAγ1PAMおよびそれらの薬学的に許容され得る塩およびエステルは、単独でまたは他の薬物と組み合わせて、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性の認知機能の低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御・素行症群(disruptive, impulse-control and conduct disorder)、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動・心理症状(BPS)、多発梗塞性認知症、アジテーション、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ、慢性アパシー、アンヘドニア、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかんおよび疼痛を含む急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害の処置または予防のための疾患修飾剤または対症剤として有用である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の概要
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化1】

(式中、可変部分は、本明細書に定義されるとおりである)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0012】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、本明細書に記載のスキーム1~11のいずれか1つに記載の方法である方法を提供する。
【0013】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って製造される場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物を提供する。
【0014】
さらなる態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0015】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、治療不活性担体とを含む、医薬組成物を提供する。
【0016】
さらなる態様では、本発明は、対象の急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための方法における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の詳細な説明
定義
本発明の特定の態様、実施形態または実施例に関連して記載される特徴、整数、特色、化合物、化学的部分または基は、それらと両立しない場合を除き、本明細書に記載の任意の他の態様、実施形態または実施例に適用可能であると理解されるべきである。本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の全て、および/またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の全ては、そのような特徴および/または工程の少なくとも一部が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。本発明は、前述のいずれの実施形態の詳細にも限定されない。本発明は、本明細書(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面を含む)に開示された特徴の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せ、またはそのように開示された任意の方法もしくはプロセスの工程の任意の新規なものもしくは任意の新規な組合せに及ぶ。
【0018】
「アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子、例えば、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子の、一価または多価の、例えば、一価または二価の、直鎖または分岐の飽和炭化水素基(「C~C-アルキル」)を指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1~3個の炭素原子、例えば、1、2または3個の炭素原子を含む。アルキルのいくつかの非限定的な例としては、メチル、エチル、プロピル、2-プロピル(イソプロピル)、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、および2,2-ジメチルプロピルが挙げられる。アルキルの特に好ましいが非限定的な例としては、メチルおよびエチルが挙げられる。
【0019】
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して親分子部分に結合した、上で定義されたアルキル基を指す。別途指定のない限り、アルコキシ基は、1~6個の炭素原子を含む(「C~C-アルコキシ」)。いくつかの好ましい実施形態では、アルコキシ基は、1~4個の炭素原子を含む。さらに他の実施形態では、アルコキシ基は、1~3個の炭素原子を含む。アルコキシ基のいくつかの非限定的な例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。アルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、メトキシである。
【0020】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)、ブロモ(Br)、またはヨード(I)を指す。好ましくは、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ(F)、クロロ(Cl)またはブロモ(Br)を指す。「ハロゲン」または「ハロ」の特に好ましいが非限定的な例は、フルオロ(F)およびクロロ(Cl)である。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、3~10個の環炭素原子の、飽和または部分不飽和の、単環式または二環式の炭化水素基を指す(「C~C10シクロアルキル」)。いくつかの好ましい実施形態では、シクロアルキル基は、3~8個の環炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。「二環式シクロアルキル」とは、共通した2個の炭素原子を有する2つの飽和炭素環からなるシクロアルキル部分、すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、または1個もしくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかであり、スピロ環部分、すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されているシクロアルキル部分を指す。好ましくは、シクロアルキル基は、3~6個の環炭素原子、例えば、3、4、5または6個の炭素原子の飽和単環式炭化水素基である。シクロアルキルのいくつかの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびスピロ[2.3]ヘキサン-5-イルが挙げられる。シクロアルキルのいくつかの好ましいが非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチルおよびシクロペンテニルが挙げられる。
【0022】
「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロアルキル」という用語は、3~14個の環原子、好ましくは3~10個の環原子、より好ましくは3~8個の環原子の飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式、好ましくは単環式環系を指し、前記環原子の1、2、または3個はN、OおよびSから選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素である。好ましくは、当該環原子の1~2個はNおよびOから選択され、残りの環原子は炭素である。「二環式ヘテロシクリル」とは、共通した2個の環原子を有する2つの環からなる複素環式部分、すなわち、2つの環を分離する架橋が、単結合であるか、または1個もしくは2個の環原子の鎖であるかのいずれかであり、スピロ環部分、すなわち、2つの環が1個の共通の環原子を介して結合されている複素環部分を指す。ヘテロシクリル基のいくつかの非限定的な例としては、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、オキセタン-3-イル、オキセタン-2-イル、ピペリジル、ピペラジニル、ピロリジニル、2-オキソピロリジン-1-イル、2-オキソピロリジン-3-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、5-オキソピロリジン-3-イル、2-オキソ-1-ピペリジル、2-オキソ-3-ピペリジル、2-オキソ-4-ピペリジル、6-オキソ-2-ピペリジル、6-オキソ-3-ピペリジル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、モルホリノ(例えば、モルホリン-2-イル、またはモルホリン-3-イル)、チオモルホリノ、ピロリジニル(例えば、ピロリジン-3-イル)、3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-6-イル、2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2-イル、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、2,6-ジアザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、および2,3,3a,4,6,6a-ヘキサヒドロ-1H-ピロロ[3,4-c]ピロール-5-イルが挙げられる。ヘテロシクリルのいくつかの好ましいが非限定的な例は、アゼチジニル、オキセタニル、ピロリジニルおよびチオモルホリノである。
【0023】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0024】
「オキソ」という用語は、二重結合(=O)を介して親部分に結合している酸素原子を指す。
【0025】
「カルボニル」という用語は、C=O基を表す。
【0026】
「ハロアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ハロゲン原子、好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ハロアルキル」とは、アルキル基の1、2または3個の水素原子が、ハロゲン原子、最も好ましくはフルオロによって置き換えられている、アルキル基を指す。ハロアルキルの非限定的な例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、2-フルオロエチルおよび2,2-ジフルオロエチルである。ハロアルコキシの特に好ましいが非限定的な例は、トリフルオロメチルである。
【0027】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキル基の少なくとも1個の水素原子が、ヒドロキシ基によって置き換えられている、アルキル基を指す。好ましくは、「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の1、2または3個の水素原子、最も好ましくは1個の水素原子が、ヒドロキシ基によって置き換えられている、アルキル基を指す。ヒドロキシアルキルの好ましいが非限定的な例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル(例えば2-ヒドロキシエチル)、ヒドロキシプロピル(例えば、2-ヒドロキシプロピル)、および3-ヒドロキシ-3-メチル-ブチルである。
【0028】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的にまたは別様に望ましくないものではない、遊離塩基または遊離酸の生物学的有効性および特性を保持する塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、およびギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸と共に形成される。さらに、これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することにより調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などが挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基に由来する塩としては、第一級、第二級、および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が挙げられるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特定の薬学的に許容され得る塩は、塩酸塩、フマル酸塩、ギ酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導された)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導された)およびトリフルオロ酢酸塩である。
【0029】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含むことができ、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体またはジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在することができる。
【0030】
Cahn-Ingold-Prelog則により、不斉炭素原子は、「R」または「S」配置のものであり得る。
【0031】
「処置」という用語は、本明細書で使用される場合、以下を含む:(1)症状、障害または状況を抑制すること(例えば、維持処置の場合、その少なくとも1つの臨床的症状または無症状の疾患の発症またはその再発の停止、低減または遅延させること);および/または(2)状況を緩和すること(すなわち、症状、障害もしくは状況、またはその臨床的症状もしくは無症状のうちの少なくとも1つの退行を引き起こすこと)。処置される患者に対する利益は、統計的に有意であるか、または少なくとも患者もしくは医師にとって認識可能であるかのいずれかである。しかしながら、疾患を処置するために患者に医薬が投与される場合、転帰は必ずしも有効な処置でなくともよいことが理解されるであろう。
【0032】
「予防(prophylaxis)」または「予防(prevention)」という用語は、本明細書で使用される場合、対象において、特に、状態、障害もしくは状況に罹患しているかまたは罹患しやすいが、その状態、障害もしくは状況の臨床的症状または無症状をまだ経験していないかまたは示していないヒトにおいて発症する状態、障害または状況の臨床的症状の出現を防止または遅延させることを含む。
【0033】
「対象」という用語には、本明細書で使用される場合、ヒトおよび非ヒトの両方が含まれ、ヒト、非ヒト霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ウシ、ウマ、およびブタが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましい実施形態では、「哺乳動物」という用語は、ヒトを指す。
【0034】
略語のuMは、マイクロモルを意味し、記号μMと同等である。
【0035】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLと同等である。
【0036】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号μgと同等である。
【0037】
本発明の化合物
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化2】

(式中、
【化3】

が、
【化4】

から選択され、
が、水素、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化5】

から選択され、R1aが水素であるか、または
およびR1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C~C10-シクロアルキルを形成し、
1bが、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、オキソ、C~C-アルキルおよびC~C-アルコキシから選択され、
1cが、水素、ヒドロキシおよびオキソから選択され、
が、C~C-アルキルであり、
が、クロロまたはブロモであり、
が、ハロゲン、C~C-アルキル、ハロ-C~C-アルキル、およびC~C10-シクロアルキルから選択され、
が、ハロゲンであり、
Lが、共有結合、カルボニル、-C(O)NH-、-NHC(O)-、-CHNHC(O)-から選択され、
Aが、3~14員ヘテロシクロアルキルおよびC~C10-シクロアルキルから選択される)
の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0038】
好ましい実施形態では、本発明は、
【化6】

が、
【化7】

から選択される、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0039】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
【化8】

が、
【化9】

である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0040】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
【化10】

が、
【化11】

である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0041】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
【化12】

が、
【化13】

である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0042】
一実施形態では、本発明は、
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化14】

から選択され、R1aが水素であるか、または
およびR1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C~C10-シクロアルキルを形成し、
1b、R1c、AおよびLが、本明細書に定義されるとおりである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0043】
一実施形態では、本発明は、
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化15】

から選択され、R1aが水素であり、
1b、R1c、AおよびLが、請求項1に定義されるとおりである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0044】
一実施形態では、本発明は、
およびR1aが、それらが結合している炭素原子と一緒になって、C~C10-シクロアルキルを形成し、
1b、R1c、AおよびLが、請求項1に定義されるとおりである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0045】
好ましい実施形態では、本発明は、
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化16】

から選択され、
1bが、C~C-アルキルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、3~14員複素環である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0046】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
が、2-ヒドロキシエチル-NH-C(O)-、2-ヒドロキシプロピル-NH-C(O)-、メチル、および基
【化17】

から選択され、
1bが、メチルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、アゼチジニルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0047】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがヒドロキシ-C-C-アルキル-NH-C(O)-である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0048】
好ましい実施形態では、本発明は、Rが2-ヒドロキシ-NH-C(O)-である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0049】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがメチルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0050】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがクロロである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0051】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがハロアルキルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0052】
特に好ましい実施形態では、本発明は、RがCFである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0053】
一実施形態では、本発明は、Rがハロゲンである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0054】
一実施形態では、本発明は、Rがフルオロまたはクロロである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0055】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがフルオロである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0056】
好ましい実施形態では、本発明は、Rがクロロである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0057】
好ましい実施形態では、本発明は、
が、C~C-アルキル、ヒドロキシ-C~C-アルキル-NH-C(O)-および基
【化18】

から選択され、
1bが、C~C-アルキルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
が、C~C-アルキルであり、
が、クロロであり、
が、ハロ-C~C-アルキルであり、
が、ハロゲンであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、3~14員複素環である、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0058】
特に好ましい実施形態では、本発明は、
が、メチル、2-ヒドロキシエチル-NH-C(O)-、2-ヒドロキシプロピル-NH-C(O)-、および基
【化19】

から選択され、
1bが、メチルであり、
1cが、ヒドロキシであり、
が、メチルであり、
が、クロロであり、
が、CFであり、
が、フルオロであり、
Lが、カルボニルであり、
Aが、アゼチジニルである、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0059】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、
(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-12-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,12-トリメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
アゼチジン-1-イル-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン、
N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]オキセタン-3-カルボキサミド、
1-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ピロリジン-2-オン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(10S)-6-クロロ-8-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,4,9,12-テトラアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(1-ヒドロキシシクロプロピル)メチル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-cis-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、および
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-trans-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
から選択される。
【0060】
好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン、
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノン、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド、および
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
から選択される。
【0061】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミドである。
【0062】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミドである。
【0063】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエンである。
【0064】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノンである。
【0065】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミドである。
【0066】
特に好ましい実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、当該式(I)の化合物は、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミドである。
【0067】
一実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩、特に塩酸塩、フマル酸塩、乳酸塩(特にL-(+)-乳酸から誘導される)、酒石酸塩(特にL-(+)-酒石酸から誘導される)およびトリフルオロ酢酸塩から選択される薬学的に許容され得る塩を提供する。よりさらに具体的な実施形態では、本発明は、本明細書に記載の式(I)に係る化合物を提供する(すなわち、それぞれ「遊離塩基」または「遊離酸」として)。
【0068】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、異なる原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられる1個または複数の原子をその中に有することにより同位体標識される。このような同位体標識された(すなわち、放射性標識された)式(I)の化合物は、本開示の範囲内であると考えられる。式(I)の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、およびヨウ素の同位体、それぞれ、例えばH、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、36Cl、123I、および125Iが挙げられるが、これらに限定されない。特定の同位体標識された式(I)の化合物、例えば、放射性同位体を組み込んでいるものは、薬物および/または基質の組織分布研究に有用である。放射性同位体トリチウム、すなわち、Hおよび炭素-14、すなわち、14Cは、それらの組込みの容易さおよび即時検出手段を考慮すると、この目的に対して特に有用である。例えば、式(I)の化合物は、所与の同位体の1、2、5、10、25、50、75、90、95、または99パーセントで濃縮することができる。
【0069】
より重い同位体、例えば重水素、すなわちHなどによる置換を行うと代謝安定性がより高くなり、例えば、in vivo半減期が長くなるかまたは必要な投与量が少なくなることにより、特定の治療的利点が得られ得る。
【0070】
11C、18F、15Oおよび13Nなどの陽電子放出同位体での置換は、基質の受容体占有を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用であり得る。同位体標識された式(I)の化合物は、一般的に、当業者に公知の従来の技法により、または前に用いられた同位体標識されていない試薬の代わりに適切な同位体標識された試薬を使用して、以下に記述される実施例に記載されるものに類似する方法により調製され得る。
【0071】
製造方法
本明細書に記載の式(I)の化合物を製造するための方法もまた、本発明の目的である。
【0072】
本発明の式(I)のA化合物の調製は、逐次的または収束的な合成経路で実施してもよい。本発明の化合物の合成を、以下のスキームに示す。得られた生成物の反応および精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。以下の方法の説明で使用される置換基および指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に、および特許請求の範囲の中で示される意義を有する。より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。また、記載された反応に影響を及ぼす文献に記載の反応条件については、例えば、以下を参照されたい:Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第3版、Richard C.Larock.John Wiley&Sons、ニューヨーク、NY.2018)。溶媒の有無にかかわらず、反応は容易に行うことがでる。用いた溶媒の性質に関しては、それが反応または関与する試薬に悪影響を及ぼさず、試薬を少なくともある程度溶解することができる限り、特に制限されない。記載された反応は広範囲の温度にわたって起こる可能性があり、正確な反応温度は本発明にとって重要ではない。-78℃から還流温度の間の温度範囲において記載の反応を実行することが好都合である。反応に要する時間もまた、多くの要因、特に反応温度および試薬の性質に依存して、大きく変動し得る。しかし、記載の中間体および化合物を得るには、通常、0.5時間~数日間で十分である。反応順序はスキームに示されるものに限定されないが、出発物質とそれらそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序は自由に変更し得る。出発物質は、市販されているか、または以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献もしくは実施例に記載されている方法、または当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0073】
本発明の式(I)のA化合物の調製は、逐次的または収束的な合成経路で実施してもよい。本発明の合成を以下の一般的なスキームに示す。得られた生成物の反応および精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。以下の方法の説明で使用される置換基および指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に示される意義を有する。
【0074】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、または類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。反応順序はスキーム1~11に示されるものに限定されないが、出発物質とそれらそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序は自由に変更し得る。出発物質は、市販されているか、または以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献もしくは実施例に記載されている方法、または当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0075】
本発明の式(Ia)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、スキーム1に記載の方法によって製造することができる。
【化20】

スキーム1:上記および特許請求の範囲に記載の化合物(Ia)の合成。
【0076】
スキーム1によれば、式(Ia)の化合物は、式(II)のラクタムから出発して1つまたは2つの工程で調製することができる。Lawessonの試薬またはPを使用したチオ化反応の後、ラクタム(II)は対応するチオラクタム(III)に変換される。Pellizzari型プロセスを介したヒドラジドとのそれらの反応により、一般式(I)の1,2,4-トリアゾールが得られる。あるいは、化合物(Ia)は、テトラヒドロフラン中の塩基(NaH)の存在下で、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィン酸クロリド(BOP-Cl)を使用したラクタム(II)とヒドラジドの反応によって直接入手することができる。
【化21】

スキーム2:RがMeまたはc-Prであるピリド-ジアゼピン(Ia)の合成。
【0077】
スキーム2によれば、Rがメチルまたはシクロプロピルであるピリド-ジアゼピン(Ia)は、1,4-ジオキサンまたはトルエン中の無機塩基(例えば、KCOまたはKPO)を使用して、高温で2-クロロピリジン(IV)とトリメチルボロキシンまたはシクロプロピルボロン酸などのホウ素試薬との間のパラジウム触媒鈴木-宮浦クロスカップリング反応によって得ることができる。
【0078】
式(Ib)のトリアゾールは、スキーム3に記載の方法に従って調製することができる。
【化22】

スキーム3:上記および特許請求の範囲に記載の、RがMeである式(Ib)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0079】
スキーム3によれば、チオラクタム(III)から出発して、メタノール中のアンモニアで処理してアミジン(V)を形成することによって、1,2,4-トリアゾール(Ib)を調製することができる。トリエチルまたはオルト酢酸トリメチルとの連続反応、メタノール中のアンモニアでの処理、および水およびメタノール中の次亜塩素酸ナトリウムとの反応による最終閉環に続いて、最終誘導体(Ib)を得た。
【0080】
本発明のさらなる実施形態では、Rがアミドである式(Ib)の化合物は、スキーム4に記載の方法に従って調製することができる。
【化23】

スキーム4:上記および特許請求の範囲に記載の、Rがアミドである式(Ib)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0081】
O-(ジフェニルホスフィニル)ヒドロキシルアミンを使用したラクタム(II)の求電子的アミノ化により、式(VI)の中間体が得られる。イミダートとの熱環化縮合反応により、1,2,4-トリアゾール(VII)が得られる。式(Ib)の最終誘導体は、塩基性条件下(例えば、NaOHまたはLiBr、EtN)でのエチルエステル(VII)のカルボン酸(VIII)への鹸化、それに続くアミンHNR(例えば、HATU、DIPEAまたはPyBOP、DIPEA)との標準アミドカップリング、またはエタノール中でのエステル(VII)とアミンHNRとの直接反応のいずれかによって得ることができる。
【0082】
がリバースアミドである式(Ib)の化合物は、スキーム5に記載の方法に従って調製することができる。
【化24】

スキーム5:上記および特許請求の範囲に記載の、Rがリバースアミドである式(Ib)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0083】
スキーム5によれば、カルボン酸(VIII)を塩基(例えば、EtN)の存在下でジフェニルホスホリルアジドと共に加熱すると、N保護化保護トリアゾール(IX)にクルチウス転位によってアクセスすることができる。N-Boc保護基の除去は、鉱酸(例えば、HCl)または有機酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を用いて達成して式(X)のアミンを得ることができ、これをカルボン酸RCOH(例えば、ピリジン中のPOCl)とカップリングさせて最終誘導体(Ib)を得ることができる。
【0084】
さらに、スキーム6によれば、4-クロロブタンアミド(XI)を塩基(例えば、EtN)の存在下で環化して、式(Ib)の5員ラクタムを形成することができる。
【化25】

スキーム6:式(Ib)のδ-ラクタムの合成。
【0085】
本発明のさらなる実施形態では、式(Ic)のイミダゾールは、スキーム7に記載の方法に従って調製することができる。
【化26】

スキーム7:上記および特許請求の範囲に記載の、式(Ic)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0086】
スキーム7によれば、チオラクタム(III)を一般式HOCHCH(NH)Rのアミノアルコールと反応させて置換アミジン(XII)を形成することができる。最終化合物(Ic)は、アルコール(XII)の対応するアルデヒドへのデス・マーチン酸化とそれに続く熱環化による2段階合成で得られる。
【化27】

スキーム8:上記および特許請求の範囲に記載の、式(Ic)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0087】
スキーム8によれば、2-アミノシクロペンタノールの場合、アルコール(XII)をTEMPOおよびフェニル-λ3-ヨードジイルジアセテート(BAIB)で酸化し、続いてPOClおよびピリジンで環化してイミダゾール(Ic)を得ることができる。
【0088】
あるいは、一般式(Ic)のイミダゾールは、スキーム9に詳述されているエステル中間体(XV)を介して調製することができる。
【化28】

スキーム9:上記および特許請求の範囲に記載の、Rがアミドである式(Ic)のピリド-ジアゼピンの合成。
【0089】
スキーム9によれば、ラクタム(II)を、塩基(例えば、NaH)の存在下で[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]オキシベンゼンとの反応によって活性化して、一般式(XIV)のジフェニルホスホナートを形成することができ、これをアミノアルコールHOCHCH(NH)Rと反応させて、アミジン(XV)を形成することができる。その後のデス・マーチンペルヨージナンによる酸化とそれに続く熱環化により、エチルエステル(XVI)が得られる。最後に、カルボン酸(XVII)への鹸化は、塩基(例えば、EtN)の存在下で飽和臭化リチウム水溶液を用いて行うことができ、HATU、DIPEAとのアミドカップリングにより、式(Ic)の所望のイミダゾールが得られる。
【0090】
ラクタム(II)の合成をスキーム10で強調する。
【化29】

スキーム10:ラクタム(II)の合成。
【0091】
市販の5,6-ジクロロピリジン-3-アミンは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)の存在下で二炭酸ジ-tert-ブチルで処理し、続いてジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸で処理してtert-ブチルN-(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)カルバマートを得ることによって、tert-ブチルオキシカルボニルなどの適切な保護基で保護することができる。n-BuLiとtert-ブチルN-(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)カルバマートとの間の低温でのメタル化反応、その後のアルデヒド(XVIII)への1,2-付加による位置選択的な有機リチウム形成により、式(XIX)の第二級アルコールが得られる。その後の二酸化マンガンを使用したケトン(XX)への酸化、続いて有機酸(例えば、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸)を使用した脱保護反応により、式(XXI)のアミノピリジンが得られた。アミド(XXIII)は、ピリジン中の塩化ホスホリル(POCl)に曝露してN-Boc保護L-アミノ酸とカップリングさせることによって得ることができる。N-Boc保護基の除去は、鉱酸(例えばHCl)または有機酸(例えばトリフルオロ酢酸)を用いて実施して、式(XXIII)のアミンを得ることができる。酸性媒体(例えば、トルエン中のシリカまたはエタノール中の酢酸)および熱(80~110℃)によって最終的な分子内縮合反応を促進することにより、式(II)の所望のラクタム構成要素が得られる。
【0092】
あるいは、式(XXII)の化合物は、スキーム11に記載の方法に従って調製することができる。
【化30】

スキーム11:RがCFである化合物(XXII)の代替合成。
【0093】
スキーム11によれば、市販のピリジン(XXIV)は、パラジウム触媒(例えば、Pd(dba))、適切な配位子(例えばキサントホス)、および炭酸セシウムなどの塩基を使用して、式(XXV)の一級アミドとのBuchwald-Hartwigアミノ化反応を経ることができる。アミド(XXVI)を低温で脱プロトン化して(-78℃のテトラヒドロフラン中のn-BuLi)、市販のアルデヒド(XVIII)と1,2-カルボニル付加反応を受けて式(XXVII)のアルコールを得ることができる。対応するケトン(XXII)への最終酸化は、TEMPOおよび次亜塩素酸ナトリウムを使用して達成することができる。
【0094】
特に、スキーム1~11に記載のプロセスでは、採用される具体的な反応条件に応じて、キラル中心でのラセミ化が様々な程度(20~100%)で起こる。結果として、単一エナンチオマー(エナンチオマー過剰率(ee)が97%を超える)を得るためには、式(I)の最終誘導体のキラル精製(例えば、HPLCまたはSFCによって)が必要である。
【0095】
一態様では、本発明は、本明細書に記載の式(I)の化合物を製造する方法であって、上記スキーム1~11のいずれか1つに記載の方法である、方法を提供する。
【0096】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って製造された場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0097】
本発明の化合物の使用
背景のセクションにおいて説明され、実験のセクションにおいて例示されるように、式(I)の化合物およびそれらの薬学的に許容され得る塩は、GABAA γ1受容体に関連する疾患または合併症の処置または予防に有用な貴重な薬理学的特性を有する。
【0098】
一態様では、本発明は、治療活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0099】
さらなる態様では、本発明は、対象における急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための方法であって、有効量の本明細書に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
【0100】
さらなる態様では、本発明は、対象の急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための方法における、本明細書に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または本明細書に記載の医薬組成物の使用を提供する。
【0101】
さらなる態様では、本発明は、対象の急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための方法における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物もしくはその薬学的に許容され得る塩、または本明細書に記載の医薬組成物を提供する。
【0102】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害の予防または処置のための医薬を製造するための、本明細書に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0103】
一実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、加齢性の認知機能の低下、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脆弱X障害、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知症状、遅発性ジスキネジア、不安、社会不安障害(社会恐怖症)、パニック障害、広場恐怖症、全般性不安障害、秩序破壊的・衝動制御・素行症群(disruptive, impulse-control and conduct disorder)、トゥレット症候群(TS)、強迫性障害(OCD)、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、睡眠障害、パーキンソン病(PD)、ハンチントン舞踏病、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、認知症、神経変性状態における行動・心理症状(BPS)、多発梗塞性認知症、アジテーション、精神病、物質誘発性精神病性障害、攻撃性、摂食障害、うつ、慢性アパシー、アンヘドニア、慢性疲労、季節性情動障害、産後うつ、眠気、性機能障害、双極性障害、てんかんおよび疼痛から選択される。
【0104】
一実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、アルツハイマー病、軽度認知障害(MCI)、加齢性の認知機能の低下、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知症状、双極性障害、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、レット症候群、プラダー・ウィリー症候群、てんかん、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、および脆弱X障害から選択される。
【0105】
好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、アンジェルマン症候群、アルツハイマー病、統合失調症に関連する陰性症状および/または認知症状および心的外傷後ストレス障害(PTSD)から選択される。
【0106】
好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)、レット症候群、アンジェルマン症候群、心的外傷後ストレス障害および脆弱X障害から選択される。
【0107】
好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)およびアンジェルマン症候群から選択される。
【0108】
特に好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0109】
さらに特に好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、アンジェルマン症候群である。
【0110】
さらに特に好ましい実施形態では、当該急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害は、不安および過敏症、社会不安障害(社会恐怖症)および全般性不安障害などの中核症状および関連する併存症を標的とする自閉症スペクトラム障害(ASD)である。
【0111】
医薬組成物および投与
一態様では、本発明は、本明細書で定義される式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩と、1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。例示的な医薬組成物は、以下の実施例セクションに記載されている。
【0112】
さらなる態様では、本発明は、急性神経障害、慢性神経障害および/または認知障害を処置または予防するための、上に定義される式(I)の化合物またはそれらの薬学的に許容され得る塩と、1つまたは複数の薬学的に許容され得る賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
【0113】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬として使用することができる。医薬製剤は、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル剤および軟質ゼラチンカプセル剤、液剤、乳剤または懸濁液の形態)、経鼻(例えば、点鼻スプレー剤の形態)、または直腸(例えば、坐剤の形態)などで、体内に投与することができる。しかし、投与はまた、非経口的に、例えば筋肉内または静脈内に(例えば注射液または輸液の形態で)実施することができる。
【0114】
式(I)の化合物およびその薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、および硬質ゼラチンカプセル剤の製造のために、薬学的に不活性な無機または有機賦形剤で処理することができる。ラクトース、コーンスターチまたはその誘導体、タルク、ステアリン酸またはその塩などを、例えば、錠剤、糖衣錠および硬質ゼラチンカプセル剤のための賦形剤として使用することができる。
【0115】
軟質ゼラチンカプセル剤に適切した賦形剤は、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物および液体ポリオールなどである。
【0116】
溶液およびシロップの製造に適した賦形剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコースなどである。
【0117】
注射液のための適切な賦形剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0118】
坐剤のための適切な賦形剤は、例として、天然または硬化油、ワックス、脂肪、半固体または液体ポリオールなどである。
【0119】
さらに、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、増粘物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味料、着色剤、香味料、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、または抗酸化剤を含有することができる。それらはまた、さらに他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0120】
投与量は広い範囲で変化することができ、当然、各特定の場合における個々の要件に適合され得る。一般に、経口投与の場合、約0.1mg~20mg/kg体重、好ましくは約0.5mg~4mg/kg体重(例えば、約300mg/人)の一人当たりの投与量を、好ましくは1~3の個々の投与量に分けて、例えば同じ量で構成し得るのが適切であろう。しかしながら、示されている場合には、本明細書で与えられる上限を超えることができることは明らかである。
【実施例
【0121】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより十分に理解される。しかしながら、特許請求の範囲は、本実施例の範囲に限定されるものと解釈されるべきではない。
【0122】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、本明細書に記載の方法によって、または当業者に公知の方法、例えばキラルクロマトグラフィー(例えば、キラルSFC)もしくは結晶化などによって、分離することができる。
【0123】
特に記載のない場合、全ての反応例および中間体は、アルゴン雰囲気下で調製した。
【0124】
実施例1
(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化31】
【0125】
a)tert-ブチルN-tert-ブトキシカルボニル-N-(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)カルバマート
窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン(100mL)中の5,6-ジクロロピリジン-3-アミン(10g、61.3mmol)の混合物に、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.97g、5.36mL、30.7mmol)、ジ-tert-ブチルジカルボナート(33.5g、35.6mL、153mmol)および4-ジメチルアミノピリジン(750mg、0.848ml、6.13mmol)を添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した。メチルtert-ブチルエーテル(100mL)を添加し、有機層を炭酸ナトリウム水溶液(1.0m、100mL)、水(150mL)およびブライン(50mL)で洗浄した。水層をメチルtert-ブチルエーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(23.9g、99%)が淡褐色固体として得られた。MS:363.2([{35Cl,35Cl}M+H]),365.2([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0126】
b)tert-ブチルN-(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)カルバマート
ジクロロメタン(226mL)中のtert-ブチルN-tert-ブトキシカルボニル-N-(5,6-ジクロロ-3-ピリジル)カルバマート(23.93g、65.9mmol)の予め冷却した溶液(0℃)にトリフルオロ酢酸(12g、8.12ml、105mmol)をゆっくり添加した。反応混合物を窒素下にて0℃で30分間撹拌し、室温まで一晩加温した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム(1.0m、150mL)でクエンチし、15分間撹拌した。有機層を炭酸水素ナトリウム(1.0m、200mL)で洗浄した。水層をジクロロメタン(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~40%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(10.5g、59%)が淡黄色固体として得られた。MS:207.0([{35Cl,35Cl}M-C-CO+H]),209.1([{35Cl,37Cl}M-C-CO+H]),ESI pos.
【0127】
c)tert-ブチルN-[5,6-ジクロロ-4-[(2,6-ジフルオロフェニル)-ヒドロキシメチル]-3-ピリジル]カルバマート
無水テトラヒドロフラン(108mL)中のtert-ブチル(5,6-ジクロロピリジン-3-イル)カルバマート(10.47g、39.8mmol)の溶液を窒素下で-70℃に冷却した。n-BuLi(ヘキサン中2.5m、35ml、87.5mmol)を滴下し、混合物を-70℃で30分間撹拌した。2,6-ジフルオロベンズアルデヒド(6.79g、5.15ml、47.8mmol)を添加し、混合物を-70℃で1時間撹拌した。反応混合物を-20℃まで加温した後、飽和塩化アンモニウム水溶液(250mL)の添加によってクエンチした。混合物を0℃で15分間撹拌し、次いで、さらに飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)を添加した。混合物をメチルtert-ブチルエーテルで2回抽出し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~40%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(9.21g、40%)が黄色固体として得られた。MS:405.2([{35Cl,35Cl}M+H]),407.2([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0128】
d)tert-ブチルN-[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]カルバマート
窒素下、ジクロロメタン(500mL)中のtert-ブチル(5,6-ジクロロ-4-((2,6-ジフルオロフェニル)(ヒドロキシ)メチル)ピリジン-3-イル)カルバマート(9.21g、22.7mmol)の溶液に二酸化マンガン(22g、227mmol)を添加した。反応混合物を50℃で3時間撹拌し、ジカライトでフィルタにかけ、ジクロロメタンで洗浄し、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~40%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(9.06g、65%)が淡黄色固体として得られた。MS:347.0([{35Cl,35Cl}M-C-CO+H]),ESI pos.
【0129】
e)(5-アミノ-2,3-ジクロロ-4-ピリジル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
窒素下、ジクロロメタン(50mL)中のtert-ブチルN-[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]カルバマート(9.06g、22.5mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(25.6g、17.3mL、225mmol)を添加した。反応混合物を25℃で3時間撹拌し、次いで、0℃に冷却し(氷浴)、炭酸ナトリウム水溶液(1.0m)の添加によってゆっくりクエンチした。有機層を炭酸ナトリウム水溶液(1.0m)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(4.83g、55%)が黄色固体として得られた。MS:303.1([{35Cl,35Cl}M+H]),305.1([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0130】
f)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマート
ピリジン(43.9g、44.9ml、556mmol)中の(5-アミノ-2,3-ジクロロ-4-ピリジル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン(49g、14.8mmol)の溶液を0℃に冷却し、続いてBoc-Ala-OH(4.76g、25.2mmol)およびオキシ塩化リン(3.41g、2.07mL、22.2mmol)を添加した。反応混合物を0℃で4時間撹拌した後、炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0m、100mL)の添加によってクエンチした。得られた混合物をメチルtert-ブチルエーテル(2×100mL)で抽出し、有機層を水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~20%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(4.59g、55%)が灰白色泡として得られた。MS:472.4([{35Cl,35Cl}M-H]),474.4([{35Cl,37Cl}M-H]),ESI neg.
【0131】
g)(2S)-2-アミノ-N-[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]プロパンアミド
tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマート(4.51g、9.51mmol)および塩酸(1,4-ジオキサン中4.0m、45mL、180mmol)の混合物を室温で2時間撹拌した。0℃に冷却した後、メチルtert-ブチルエーテル(50mL)を添加し、混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0m、250mL)の添加によって塩基性化した。水層をメチルtert-ブチルエーテル(2×50mL)で抽出し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(3.15g、73%)が淡褐色油として得られた。MS:374.1([{35Cl,35Cl}M+H]),376.1([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0132】
h)(3S)-6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン
トルエン(100mL)中の(2S)-2-アミノ-N-[5,6-ジクロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-3-ピリジル]プロパンアミド(3.31g、8.85mmol)の混合物に、シリカゲル(40~63μm、15g、8.85mmol)を添加した。反応混合物を100℃で6時間撹拌し、次いで、室温に冷却し、酢酸エチルで希釈した。混合物をフィルタにかけ、シリカゲルを酢酸エチル(300mL)で洗浄した。溶液を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~50%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(2.36g、75%)が黄色固体として得られた。MS:356.1([{35Cl,35Cl}M+H]),358.1([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0133】
i)(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
テトラヒドロフラン(764mL)中の(3S)-6,7-ジクロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン(1.91g、5.36mmol)の溶液に、0℃でアセチルヒドラジド(795mg、10.7mmol)、ビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(2.73g、10.7mmol)および水素化ナトリウム(60%、429mg、10.7mmol)を添加した。融解氷浴中で18時間撹拌した後、混合物を60℃で3時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物をメチルtert-ブチルエーテル(50mL)で希釈し、次いで、クエン酸水溶液(5重量%、15mL)で処理した。15分後、混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液(1.0m、50mL)の添加によって塩基性化した。水層をメチルtert-ブチルエーテル(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50~100%酢酸エチル)によって精製すると、ラセミ混合物(1.49g、70%)が得られた。約130mgのこの混合物を分取HPLC(Reprosil Chiral NR、0.1%酢酸アンモニウム水溶液/ヘプタンを含むエタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(78mg、60%)が灰白色泡として得られた。MS:394.2([{35Cl,35Cl}M+H]),396.2([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0134】
実施例2
(7S)-11-クロロ-12-シクロプロピル-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化32】
【0135】
トルエン(1mL)中の(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン(93.8mg、0.238mmol)の溶液に、シクロプロピルボロン酸(22.5mg、0.262mmol)およびリン酸カリウム(202mg、79μL、0.952mmol)を添加した。バイアルを排気し、アルゴンを3回充填した。トリシクロヘキシルホスフィン(6.67mg、24μmol)および酢酸パラジウム(II)(2.67mg、12μmol)を添加した後、バイアルに蓋をし、アルゴンを充填した。反応混合物を80℃で18時間撹拌した。反応物を室温に冷却した後、セライトパッドでフィルタにかけた。フィルタケーキを酢酸エチルですすぎ、濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~100%酢酸エチル)、続いて分取HPLC(Reprosil Chiral NR、0.1%酢酸アンモニウム水溶液/ヘプタンを含むエタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(17.5mg、18%)が無色油として得られた。MS:400.1([{35Cl}M+H]),402.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0136】
実施例3
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7,12-トリメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化33】
【0137】
1,4-ジオキサン(1mL)中の(7S)-11,12-ジクロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン(107mg、0.272mmol)の溶液に、炭酸カリウム(56.4mg、0.408mmol)を添加した。バイアルを排気し、アルゴンを3回充填した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(15.7mg、13.6μmol)およびトリメチルボロキシン(37.6mg、41.9μL、0.299mmol)を添加した後、バイアルを排気し、アルゴンを充填した。反応混合物を80℃で18時間撹拌した。反応物を室温に冷却した後、セライトパッドでフィルタにかけた。フィルタケーキを酢酸エチルですすぎ、濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中50~100%酢酸エチル、次いで酢酸エチル中0~10%メタノール)、続いて分取HPLC(Reprosil Chiral NR、0.1%酢酸アンモニウム水溶液/ヘプタンを含むエタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(54.6mg、67%)が灰白色泡として得られた。MS:374.2([{35Cl}M+H]),376.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0138】
実施例4
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化34】
【0139】
a)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマート
1,4-ジオキサン(74.9mL)中の3,5-ジクロロ-2-(トリフルオロメチル)ピリジン(5g、23.1mmol)の溶液に、炭酸セシウム(9.05g、27.8mmol)およびtert-ブチルN-[(2S)-1-アミノ-1-オキソプロパン-2-イル]カルバマート(5.23g、27.8mmol)を添加した。アルゴンを混合物に激しく吹き込んだ。キサントホス(1.34g、2.31mmol)およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(1.06g、1.16mmol)を添加し、反応混合物を100℃で17時間撹拌した。反応混合物をジクロロメタンおよび水で希釈した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~55%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(6.34g、73%)が白色固体として得られた。MS:368.0([{35Cl}M+H]),370.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0140】
b)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-[(2,6-ジフルオロフェニル)-ヒドロキシ-メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマート
実施例1cの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマートを標題化合物(8.78g、100%)に変換すると、橙色固体として得られた。MS:510.2([{35Cl}M+H]),512.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0141】
c)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマート
ジクロロメタン(102mL)および水(102mL)中のtert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-[(2,6-ジフルオロフェニル)-ヒドロキシ-メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマート(8.76g、15.3mmol)の溶液に、0℃で臭化カリウム(2.73g、22.9mmol)、炭酸水素ナトリウム(514mg、6.12mmol)およびTEMPO(239mg、1.53mmol)を添加した。最後に、次亜塩素酸ナトリウム水溶液(10~15重量%、16ml、26mmol)を滴下し、反応混合物を0℃で2時間撹拌した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(4.99g、63%)が白色固体として得られた。MS m/e:508.1([{35Cl}M+H]),510.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0142】
d)(2S)-2-アミノ-N-[5-クロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]プロパンアミド
実施例1gの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマートを標題化合物(3.36g、100%)に変換すると、褐色油として得られた。MS:406.0([{35Cl}M-H]),408.1([{37Cl}M-H]),ESI neg.
【0143】
e)(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン
実施例1hの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[5-クロロ-4-(2,6-ジフルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]プロパンアミドを標題化合物(2.84g、87%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:390.0([{35Cl}M+H]),392.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0144】
f)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
実施例1hの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オンをエナンチオピュアな(-)-標題化合物(118mg、49%)に変換すると、淡黄色固体として得られた。MS:428.2([{35Cl}M+H]),430.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0145】
実施例5
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化35】
【0146】
a)(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
トルエン(10mL)および1,4-ジオキサン(10mL)中の(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン(598mg、1.53mmol)の混合物に、Lawessonの試薬(372mg、0.920mmol)を添加した。黄色懸濁液を90℃で29時間撹拌した。さらなる量のLawessonの試薬(372mg、0.920mmol)を添加した後、混合物を68時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却した後、20gのシリカゲルでフィルタにかけた。フィルタケーキをトルエン(2×20mL)および酢酸エチル(3×20mL)ですすいだ。濾液を真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~25%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(416mg、65%)が黄色固体として得られた。MS:404.2([{35Cl}M-H]),406.1([{37Cl}M-H]),ESI neg.
【0147】
b)(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-アミン
テトラヒドロフラン(1.84mL)およびメタノール(0.707mL)中の(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン(124mg、0.306mmol)の溶液に、メタノール中のアンモニア(7.0m、3.27ml、22.9mmol)を添加した。反応混合物を50℃で15時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、さらに精製することなくそのまま次の工程に使用した。MS:387.1([{35Cl}M-H]),389.0([{37Cl}M-H]),ESI neg.
【0148】
c)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-アミン(154mg、0.396mmol)およびトリエチルオルトアセタート(352mg、0.398mL、2.06mmol)の混合物を150℃で10分間撹拌した。反応混合物を高真空で濃縮すると褐色油が得られた。残渣をメタノール(1mL)に溶解し、次いで、メタノール中のアンモニア(7.0m、57μL、0.396mmol)を添加し、反応物を25分間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣をメタノール(1mL)に溶解した。次亜塩素酸ナトリウム溶液(448mg、0.372mL、0.904mmol)を滴下し、反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、水で希釈し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~30%酢酸エチル)、続いてSFC(Chiralcel OD-H、5%イソプロパノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(8mg、6%)が淡黄色固体として得られた。MS m/e:426.1([{35Cl}M+H]),428.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0149】
実施例6
アゼチジン-1-イル-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]メタノン
【化36】
【0150】
a)(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(20.5ml)中の(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン(800mg、2.05mmol)の溶液に、(アミノオキシ)ジフェニルホスフィンオキシド(586mg、2.46mmol)および炭酸セシウム(1.0g、3.08mmol)を添加した。懸濁液を0℃で2時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(25mL)および水(25mL)で希釈した。水相を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中0~35%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(445mg、54%)が黄色固体として得られた。MS:405.0([{35Cl}M+H]),407.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0151】
b)エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラート
トルエン(2mL)中の(3S)-1-アミノ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン(386mg、0.954mmol)の溶液に、トルエン(3.2mL)中の2-エトキシ-2-イミノ酢酸エチル(415mg、2.86mmol)の溶液を添加した。反応混合物を80℃で2時間、次いで、120℃で2時間撹拌した。この時点で、p-TsOH一水和物(181mg、0.954mmol)を添加し、反応混合物を120℃で23時間撹拌した。トルエン(0.8mL)中のさらなる量の2-エトキシ-2-イミノ酢酸エチル(138mg、0.954mmol)を添加した後、反応物を4時間撹拌した。最後に、トルエン(0.5mL)中のさらなる量のp-TsOH一水和物(181mg、0.954mmol)および2-エトキシ-2-イミノ酢酸エチル(138.44mg、0.954mmol)を添加し、反応物を120℃で一晩撹拌した。酢酸エチル(20mL)および飽和水性NaHCO(20mL、水で1:1希釈)を添加した。水相を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機相をブライン(3×40mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣(706mg、褐色油)を分取HPLC(Gemini NX、0.1%ギ酸含有水/アセトニトリル)によって精製すると、標題化合物(149mg、32%)が淡褐色泡として得られた。MS:486.2([{35Cl}M+H]),488.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0152】
c)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸
メタノール(0.5mL)中のエチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラート(35mg、0.072mmol)の溶液に、水酸化ナトリウム(11.5mg、0.288mmol)を添加した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いで、塩酸水溶液(1.0m、2mL)で酸性化した。水層をジクロロメタン(3×5mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(28mg、83%)が黄色固体として得られた。化合物をさらに精製することなく次の工程でそのまま使用した。MS:458.1([{35Cl}M+H]),460.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0153】
d)アゼチジン-1-イル-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]メタノン
N,N-ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(28mg、0.061mmol)の溶液に、アゼチジン塩酸塩(17.17mg、0.184mmol)、HATU(27.91mg、0.073mmol)およびDIPEA(39.53mg、53.27uL、0.306mmol)を添加した。反応混合物を40℃で16時間、次いで、70℃で4時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(5mL)で希釈し、水(2×5mL)で洗浄した。水相を酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、ヘプタン中40~100%酢酸エチル)、続いてSFC(Chiralcel OD-H、20%メタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(3mg、3%)が白色固体として得られた。MS:497.2([{35Cl}M+H]),499.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0154】
実施例7
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-フルオロアゼチジン-1-イル)メタノン
【化37】
【0155】
エタノール(5mL)中の3-フルオロアゼチジン塩酸塩(230mg、2.06mmol)および炭酸ナトリウム(218mg、2.06mmol)の混合物を15℃で10分間撹拌した。次いで、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラート(200mg、0.41mmol)を添加した。反応混合物を50℃で12時間撹拌した後、室温に冷却した。反応混合物を水(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Waters Xbridge、0.05%アンモニア含有水/アセトニトリル)、続いてSFC(Daicel Chiralpak AS、0.1%アンモニア水を含有するメタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(55mg、17%)が白色固体として得られた。MS:515.1([{35Cl}M+H]),517.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0156】
実施例8
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシアゼチジン-1-イル)メタノン
【化38】
【0157】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに3-ヒドロキシアゼチジン塩酸塩を使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(24mg、2%)に変換した。MS:513.0([{35Cl}M+H]),515.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0158】
実施例9
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-メトキシアゼチジン-1-イル)メタノン
【化39】
【0159】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに3-メトキシアゼチジン塩酸塩を使用し、炭酸ナトリウムの代わりにトリメチルアミンを使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(25mg、6%)に変換した。MS:527.0([{35Cl}M+H]),529.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0160】
実施例10
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(3-ヒドロキシ-3-メチル-アゼチジン-1-イル)メタノン
【化40】
【0161】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに3-メチルアゼチジン-3-オール塩酸塩を使用し、炭酸ナトリウムの代わりにトリメチルアミンを使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(54mg、16%)に変換した。MS:527.2([{35Cl}M+H]),529.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0162】
実施例11
[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]-(1,1-ジオキソ-1,4-チアジナン-4-イル)メタノン
【化41】
【0163】
N,N-ジメチルホルムアミド(2.0mL)中の(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(110mg、0.290mmol)の混合物に、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP、150mg、0.290mmol)、チオモルホリン1,1-ジオキシド塩酸塩(124mg、0.720mmol)およびDIPEA(0.25mL、1.44mmol)を添加した。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで、分取HPLC(Waters Xbridge、10mM炭酸水素アンモニウム含有水/アセトニトリル)、続いてSFC(Daicel Chiralpak AS、0.1%アンモニア水を含有するメタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(19.0mg、13%)が灰白色固体として得られた。MS:575.1([{35Cl}M+H]),577.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0164】
実施例12
N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]オキセタン-3-カルボキサミド
【化42】
【0165】
a)tert-ブチルN-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]カルバマート
1,4-ジオキサン(10mL)中の(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸(950mg、2.08mmol)およびトリエチルアミン(630mg、6.23mmol)の混合物に、ジフェニルホスホリルアジド(1.14g、4.15mmol)をゆっくり添加した。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、50℃でさらに2時間撹拌した。混合物を室温に冷却した後、tert-ブタノール(10mL)を添加した。反応混合物を100℃で16時間撹拌した後、水(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチルに懸濁し、沈殿をフィルタにかけた。濾液をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中20~60%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(370mg、34%)が淡褐色固体として得られた。MS:473.1([{35Cl}M-C+H]),ESI pos.
【0166】
b)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-アミン
ジクロロメタン(5mL)中のtert-ブチルN-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]カルバマート(370mg、0.70mmol)の混合物に、トリフルオロ酢酸(2mL)をゆっくり添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(pHが8を超えるまで)を添加した。混合物をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(298mg、99%)が淡褐色固体として得られ、これをさらに精製することなく次の工程にそのまま使用した。MS:429.0([{35Cl}M+H]),ESI pos.
【0167】
c)N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]オキセタン-3-カルボキサミド
ピリジン(2mL)中の(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-アミン(150.0mg、0.350mmol)およびオキセタン-3-カルボン酸(53.6mg、0.520mmol)の混合物に、塩化ホスホリル(0.05mL、0.520mmol)を0℃で添加した。混合物を0℃で1時間撹拌し、次いで、氷水(10mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×10mL)およびブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Waters Xbridge、10mM炭酸水素アンモニウム含有水/アセトニトリル)、続いて分取HPLC(Phenomenex Gemini-NX C18、0.05%アンモニア含有水/アセトニトリル)および最後にSFC(Daicel Chiralcel OJ-H、25%イソプロパノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(2.0mg、1%)が白色固体として得られた。MS:513.1([{35Cl}M+H]),515.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0168】
実施例13
1-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ピロリジン-2-オン
【化43】
【0169】
a)4-クロロ-N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ブタンアミド
アセトニトリル(10mL)中の(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-アミン(130mg、0.30mmol)およびピリジン(757mg、5.36mmol)の溶液に、4-クロロブチリルクロリド(812mg、10.2mmol)を-20℃でゆっくり添加した。混合物を-20℃で18時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(10mL)で希釈し、水(3×5mL)、ブライン(5mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(200mg、粗生成物)が褐色油として得られ、これをさらに精製することなく次の工程にそのまま使用した。MS:533.3([{35Cl,35Cl}M+H]),ESI pos.
【0170】
b)1-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ピロリジン-2-オン
N,N-ジメチルホルムアミド(3mL)中の4-クロロ-N-[(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-イル]ブタンアミド(200mg、0.38mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.26mL、1.88mmol)を添加した。反応混合物を100℃で3時間攪拌し、次いで、水(10mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取TLC(石油エーテル/酢酸エチル0:1)、続いて分取HPLC(Waters Xbridge、10mM炭酸水素アンモニウム含有水/アセトニトリル)、次いで、SFC(REGIS(s,s)WHELK-O1、40%イソプロパノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(8.0mg、4%)が白色固体として得られた。MS:497.1([{35Cl}M+H]),499.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0171】
実施例14
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化44】
【0172】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに(2S)-1-アミノプロパン-2-オールを使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(13.0mg、8%)に変換した。MS:515.1([{35Cl}M+H]),517.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0173】
実施例15
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化45】
【0174】
a)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸
テトラヒドロフラン(2.5mL)中のエチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラート(450mg、0.93mmol)の溶液に、トリエチルアミン(2.5mL、17.9mmol)およびゆっくりと飽和臭化リチウム水溶液(2.5mL)を添加した。反応混合物を15℃で2時間撹拌し、次いで、塩酸水溶液(1.0m、10mL)で酸性化した。水層を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮すると、標題化合物(400mg、94%)が黄色固体として得られた。化合物をさらに精製することなく次の工程でそのまま使用した。MS:458.0([{35Cl}M+H]),460.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0175】
b)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
実施例6dの実験と同様に、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸を、アゼチジン塩酸塩の代わりに2-アミノエタノールを使用して、灰白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(111mg、23%)に変換した。MS:501.1([{35Cl}M+H]),503.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0176】
実施例16
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化46】
【0177】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに(2R)-1-アミノプロパン-2-オールを使用して、灰白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(16mg、15%)に変換した。MS:515.4([{35Cl}M+H]),517.4([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0178】
実施例17
(7S)-11-クロロ-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化47】
【0179】
a)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-[(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-ヒドロキシ-メチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマート
実施例1cの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマートを標題化合物(2.2g、38%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:510.2([{35Cl,35Cl}M+H]),512.2([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0180】
b)tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマート
実施例1dの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-[(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-ヒドロキシメチル]-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソ-エチル]カルバマートを標題化合物(1.7g、85%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:524.0([{35Cl,35Cl}M+H]),526.0([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0181】
c)(2S)-2-アミノ-N-[5-クロロ-4-(2-クロロ-6-フルオロ-ベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]プロパンアミド
実施例1gの実験と同様に、tert-ブチルN-[(1S)-2-[[5-クロロ-4-(2-クロロ-6-フルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]アミノ]-1-メチル-2-オキソエチル]カルバマートを標題化合物(1.3g、95%)に変換すると、黄色油として得られた。MS:423.9([{35Cl,35Cl}M+H]),425.9([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0182】
d)(3S)-6-クロロ-5-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン
実施例1hの実験と同様に、(2S)-2-アミノ-N-[5-クロロ-4-(2-クロロ-6-フルオロベンゾイル)-6-(トリフルオロメチル)-3-ピリジル]プロパンアミドを標題化合物(420mg、34%)に変換すると、黄色油として得られた。MS:405.9([{35Cl,35Cl}M+H]),407.9([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0183】
e)(3S)-6-クロロ-5-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン
実施例5aの実験と同様に、(3S)-6-クロロ-5-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オンを標題化合物(110mg、56%)に変換すると、黄色泡として得られた。MS:421.9([{35Cl,35Cl}M+H]),423.9([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0184】
f)(7S)-11-クロロ-9-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,4,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
1-ブタノール(0.5mL)中の(3S)-6-クロロ-5-(2-クロロ-6-フルオロ-フェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン(100mg、0.24mmol)の混合物にアセトヒドラジド(35.1mg、0.47mmol)を添加した。反応混合物を120℃で16時間撹拌した後、室温に冷却し、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Waters Xbridge、0.05%アンモニア含有水/アセトニトリル)、続いてSFC(Daicel Chiralcel OD、0.1%アンモニア水を含有するメタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(9.0mg、9%)が淡黄色固体として得られた。MS:444.1([{35Cl,35Cl}M+H]),446.1([{35Cl,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0185】
実施例18
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
【化48】
【0186】
a)2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オール
エタノール(7.2mL)および水(3.6mL)中の炭酸ナトリウム(180mg、1.7mmol)の混合物に、(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン(300mg、0.740mmol)および2-アミノプロパン-1-オール(111mg、1.48mmol)を添加した。反応混合物を80℃で12時間撹拌し、次いで、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(C18、0.1%ギ酸含有水/アセトニトリル)によって精製すると、標題化合物(130mg、39%)が黄色固体として得られた。MS:447.0([{35Cl}M+H]),449.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0187】
b)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-4,7-ジメチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン
ジクロロメタン(6mL)中の2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]プロパン-1-オール(110mg、0.250mmol)および炭酸水素ナトリウム(83mg、0.98mmol)の混合物にデス・マーチンペルヨージナン(157mg、0.370mmol)を添加した。反応混合物を室温で1時間撹拌し、次いで、水(10mL)に注ぎ、ジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Waters Xbridge、10mM炭酸水素アンモニウム含有水/アセトニトリル)、続いてSFC(Phenomenex-Cellulose-2、イソプロパノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(1.1mg、1%)が白色固体として得られた。MS:427.1([{35Cl}M+H]),429.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0188】
実施例19
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化49】
【0189】
a)[(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イル]ジフェニルホスファート
テトラヒドロフラン(5mL)中の(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-オン(500mg、1.3mmol)の混合物に、水素化ナトリウム(103mg、2.6mmol)を0℃で少しずつ添加した。混合物を15分間撹拌し、次いで、[クロロ(フェノキシ)ホスホリル]オキシベンゼン(517mg、2mmol)を0℃でゆっくり添加した。反応混合物を0℃でさらに1時間撹拌し、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(2×30mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル3:1)によって精製すると、標題化合物(300mg、22%)を黄色固体として得られた。MS:621.9([{35Cl}M+H]),623.9([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0190】
b)エチル2-[[(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イル]アミノ]-3-ヒドロキシプロパノアート
テトラヒドロフラン(5mL)中のエチル2-アミノ-3-ヒドロキシ-プロパノアート塩酸塩(409mg、2.4mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.34mL、2.4mmol)を添加した。混合物を15℃で20分間撹拌し、次いで、[(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イル]ジフェニルホスファート(500mg、0.8mmol)を-20℃で添加した。反応混合物を15℃まで加温し、16時間撹拌した。混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(50mL)にゆっくり注ぎ、水(50mL)で希釈した。混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取TLC(シリカ、ジクロロメタン/メタノール20:1)によって精製すると、標題化合物(300mg、65%)が黄色固体として得られた。MS:505.0([{35Cl}M+H]),507.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0191】
c)エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラート
実施例18bの実験と同様に、エチル2-[[(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-3H-ピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イル]アミノ]-3-ヒドロキシプロパノアートを標題化合物(100mg、33%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:485.0([{35Cl}M+H]),487.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0192】
d)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸
実施例15aの実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを標題化合物(70mg、68%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:457.0([{35Cl}M+H]),459.0([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0193】
e)(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシエチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
実施例6dの実験と同様に、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,5,8,13-テトラアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸を、アゼチジン塩酸塩の代わりに2-アミノエタノールを使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(1.0mg、2%)に変換した。MS:500.1([{35Cl}M+H]),502.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0194】
実施例20
(10S)-6-クロロ-8-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,4,9,12-テトラアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン
【化50】
【0195】
a)2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノール
tert-ブタノール(5mL)中の炭酸ナトリウム(240.3mg、2.27mmol)の混合物に、(3S)-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-チオン(400mg、0.990mmol)、続いて2-アミノシクロペンタノール(199mg、1.97mmol)を添加した。反応混合物を100℃で12時間攪拌し、次いで、水(20mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル中40~60%酢酸エチル)によって精製すると、標題化合物(450mg、97%)が黄色泡として得られた。MS:473.1([{35Cl}M+H]),475.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0196】
b)2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノン
ジクロロメタン(6mL)中の2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノール(300.0mg、0.630mmol)の混合物に、フェニル-λ3-ヨードジイルジアセタート(BAIB、817mg、2.54mmol)および(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシダニル(TEMPO、198mg、1.27mmol)を添加した。反応混合物を30℃で4時間撹拌し、次いで、水に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を真空中で濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(C18、ギ酸含有水/アセトニトリル)によって精製すると、標題化合物(140mg、0.30mmol、47%)が黄色ゴムとして得られた。MS:471.1([{35Cl}M+H]),473.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0197】
c)(10S)-6-クロロ-8-(2,6-ジフルオロフェニル)-10-メチル-5-(トリフルオロメチル)-1,4,9,12-テトラアザテトラシクロ[9.6.0.02,7.013,17]ヘプタデカ-2(7),3,5,8,11,13(17)-ヘキサエン
ピリジン(2mL)中の2-[(E/Z)-[6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-3-メチル-7-(トリフルオロメチル)-1,3-ジヒドロピリド[3,4-e][1,4]ジアゼピン-2-イリデン]アミノ]シクロペンタノン(140mg、0.30mmol)の混合物にPOCl(228mg、1.49mmol)を添加した。反応混合物を25℃で1時間撹拌し、次いで、氷水(10mL)に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を分取HPLC(Waters Xbridge、アンモニア含有水/アセトニトリル)、続いてSFC(REGIS(S,S)WHELK-O1、メタノール)によって精製すると、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(16mg、9%)が白色固体として得られた。MS:453.1([{35Cl}M+H]),455.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0198】
実施例21
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化51】
【0199】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに1-アミノ-2-メチル-プロパン-2-オールを使用して、白色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(118mg、36%)に変換した。MS:529.2([{35Cl}M+H]),531.2([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0200】
実施例22
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-[(1-ヒドロキシシクロプロピル)メチル]-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化52】
【0201】
実施例7の実験と同様に、エチル(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキシラートを、3-フルオロアゼチジン塩酸塩の代わりに1-(アミノメチル)シクロプロパノールを使用して、黄色固体としてエナンチオピュアな(-)-標題化合物(86mg、27%)に変換した。MS:527.1([{35Cl}M+H]),529.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0202】
実施例23
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-cis-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化53】
【0203】
実施例6dの実験と同様に、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸を、アゼチジン塩酸塩の代わりにcis-3-アミノシクロブタノール塩酸塩を使用して、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(7.1mg、6%)に変換すると、黄色固体として得られた。MS:527.1([{35Cl}M+H]),529.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0204】
実施例24
(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-N-trans-(3-ヒドロキシシクロブチル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタアザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボキサミド
【化54】
【0205】
実施例6dの実験と同様に、(7S)-11-クロロ-9-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-12-(トリフルオロメチル)-2,3,5,8,13-ペンタザトリシクロ[8.4.0.02,6]テトラデカ-1(10),3,5,8,11,13-ヘキサエン-4-カルボン酸を、アゼチジン塩酸塩の代わりにtrans-3-アミノシクロブタノール塩酸塩を使用して、エナンチオピュアな(-)-標題化合物(27mg、11%)に変換すると、灰白色固体として得られた。MS:527.1([{35Cl}M+H]),529.1([{37Cl}M+H]),ESI pos.
【0206】
アッセイ手順
γ1含有GABAサブタイプのための膜調製および結合アッセイ
GABAγ1サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞(ThermoFisher R79007)からの膜への[H]RO7239181(67.3Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。α2サブユニット含有受容体のより良好なタンパク質発現のために、ヒトGABAα2サブユニットの28アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ala28)をヒトGABAα5サブユニットの31アミノ酸長シグナルペプチド(Met1~Ser31)で置換した。
【0207】
異なるGABA受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から回収したペレットを、マンニトール緩衝液pH7.2~7.4(0.29Mマンニトール、10mMトリエチルアミン、10mM酢酸、1mM EDTA+プロテアーゼ阻害剤(20 tablets Complete、Roche Diagnostics、カタログ番号05056489001、1リットルあたり))に再懸濁し、2回洗浄し、次いで、同じ緩衝液に1:10~1:15の希釈で再懸濁した。Parr容器#4637中、435psiで15分間懸濁液を撹拌することによって細胞破壊を行い、次いで懸濁液を1000×gで15分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ロータJS-4.2)。上清(S1)を2LのSchottフラスコに移し、ペレット(P1)をマンニトール緩衝液で175mLまで再懸濁した。再懸濁したペレットを250mLのCorning遠心ビーカーに移し、1500×gで10分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-HC;ロータJS-4.2)。次いで、上清(S1)を2LのSchottフラスコに移し、ペレットを廃棄した。上清(S1)を500mLのBeckmanポリプロピレン遠心ビーカー内、15,000×gで4℃で30分間遠心分離した(Beckman Avanti J-20XP;ロータJLA-10.500)。ペレット(P2)をマンニトール緩衝液1:1に再懸濁し、-80℃で凍結した。上清(S2)を100mLのBeckmanポリプロピレン遠心管中、48000×gで50分間、4℃で遠心分離した(Beckman Avanti J-20XP;ロータJA-18)。上清(S3)を廃棄し、ペレット(P3)を1:1マンニトール緩衝液で再懸濁した。P2およびP3タンパク質濃度を、標準としてウシ血清アルブミンを用いるBIORAD Standardアッセイ法を用いて決定し、NANO-Drop1000で測定した。膜懸濁液をアリコート(500μL/チューブ)にし、必要になるまで-80℃で保存した。
【0208】
膜ホモジネートを再懸濁し、pH7.4の10mMリン酸カリウム、100mM KCl結合緩衝液中でポリトロン化し(Polytron PT1200E Kinematica AG)、以前の実験で決定した最終アッセイ濃度にした。
【0209】
放射性リガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1.5nM(α5β2γ1)または20~30nM(α1β2γ1、α2β2γ1)の濃度の[H]RO7239181、および[0.3~10000]×10-9Mの範囲の試験化合物を含有する200μLの体積(96ウェルプレート)で行った。非特異的結合は、10×10-6(α5β2γ1)および30×10-6M RO7239181によって定義され、典型的には全結合の5%未満(α5β2γ1)および20%未満(α1β2γ1、α2β2γ1)を表した。アッセイを4℃で1時間平衡までインキュベートし、次いで、膜を、Filtermate 196ハーベスタ(Packard BioScience)を用いてユニフィルタ(0.3%ポリエチレンイミン中で20~50分間プレインキュベーションしたGF/Cフィルタが結合した96ウェル白色マイクロプレート)上でフィルタにかけ、10mM冷リン酸カリウムpH7.4、100mM KCl結合緩衝液で4回洗浄した。無水化後、液体シンチレーション計数により、フィルタに保持された放射能を検出した。K値は、Excel-Fit(Microsoft)を用いて計算し、2回の測定の平均値である。
【0210】
添付の実施例の化合物を上記アッセイで試験し、好ましい化合物は、100nM以下のGABAγ1サブユニット含有受容体(例えば、α5β2γ1、α2β2γ1、α1β2γ1)からの[H]RO7239181の置換に対するK値を有することが見出された。50未満のKi(nM)を有する化合物が最も好ましい。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を表1に示す。
【0211】
H]RO7239181、6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オンの調製
【化55】
【0212】
a)5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン
無水酢酸(1250mL)中の2-アミノ-6-クロロ安息香酸(250g、1.46mol)の溶液を140℃で2時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮した。得られた粗残渣を酢酸エチル(1000mL)に懸濁し、30分間撹拌し、フィルタにかけ、真空中で乾燥させると、標題化合物(238g、84%)が灰色固体として得られた。H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ:7.80(app t,J=8.0Hz,1H),7.62(d,J=8.0Hz,1H),7.49(d,J=7.6Hz,1H),2.36(s,3H).
【0213】
b)N-[3-クロロ-2-(2,6-ジフルオロベンソイル)フェニル]アセトアミド
テトラヒドロフラン(1000mL)中の5-クロロ-2-メチル-3,1-ベンゾオキサジン-4-オン(100g、511.2mmol)および2-ブロモ-1,3-ジフルオロベンゼン(118.4g、613.5mmol)の溶液に、窒素下-70℃でi-PrMgCl・LiCl(1.3m、500mL、650mmol)を滴下した。混合物を1時間以内に室温まで温め、飽和塩化アンモニウム水溶液(1500mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×1500mL)で抽出した。有機相をブライン(2000mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣を酢酸エチル(150mL)に懸濁した。得られた懸濁液を室温で20分間撹拌し、フィルタにかけ、真空中で乾燥させると、標題化合物(113g、71%)が灰白色固体として得られた。H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ:9.85(s,1H),7.65-7.45(m,1H),7.40(t,J=7.2Hz,1H),7.38-7.34(m,2H),7.16(t,J=8.8Hz,2H),1.85(s,3H).
【0214】
c)(2-アミノ-6-クロロフェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
エタノール(250mL)中のN-[3-クロロ-2-(2,6-ジフルオロベンゾイル)フェニル]アセトアミド(113g、364.9mmol)の溶液に、塩酸水溶液(12m、200mL)を添加した。反応混合物を100℃で1時間撹拌し、次いで、酢酸エチル(1100mL)で希釈した。有機相を水(1100mL)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(1100mL)およびブライン(1100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空中で濃縮した。石油エーテル(120mL)を粗生成物に添加し、懸濁液を室温で20分間撹拌した。固体をフィルタにかけ、乾燥させると、標題化合物(88g、90%)が黄色固体として得られた。H NMR(DMSO-d6,400MHz):δ:7.62-7.56(m,1H),7.21-7.15(m,3H),6.83(d,J=7.6Hz,1H),6.74(s,2H),6.58(d,J=7.6Hz,1H).
【0215】
d)(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロフェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン
ジクロロメタン(225mL)およびN,N-ジメチルホルムアミド(225mL)中の(2-アミノ-6-クロロフェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン(88.0g、328.8mmol)の溶液に、1-ブロモピロリジン-2,5-ジオン(64.4g、362mmol)を0℃で添加した。反応混合物を30℃で1時間撹拌した。混合物をジクロロメタン(600mL)で希釈し、水(500mL)およびブライン(4×500mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、真空中で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル、1:0~2:1)によって精製した。固体を石油エーテル(200mL)に懸濁し、室温で20分間撹拌した。懸濁液をフィルタにかけ、固体を真空中で乾燥させると、標題化合物物(96.0g、84%)が黄色固体として得られた。MS:345.9([{79Br,35Cl}M+H]),347.8([{81Br,35Cl or 79Br,37Cl}M+H]),ESI pos.
【0216】
e)7-ブロモ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
ピリジン(625mL)中の(6-アミノ-3-ブロモ-2-クロロフェニル)-(2,6-ジフルオロフェニル)メタノン(25.0g、72.1mmol)の溶液に2-アミノ酢酸エチル塩酸塩(70.5g、505mmol)を添加した。反応混合物を135℃で36時間撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮してピリジンを除去した。残渣を酢酸エチル(2000mL)で希釈し、HCl水溶液(1.0m、3×1500mL)、水(2000mL)およびブライン(2×1000mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、フィルタにかけ、真空中で濃縮した。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、石油エーテル/酢酸エチル10:1から2:1)によって精製すると、標題化合物(10.1g、12%)が灰白色固体として得られた。MS:385.0([{79Br,35Cl}M+H]),ESI pos.
【0217】
f)6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
マイクロ波管に、7-ブロモ-6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(450mg、1.17mmol)、トリメチルボロキシン(205mg、228μL、1.63mmol)、炭酸カリウム(242mg、1.75mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(67.4mg、58.4μmol)を装入した。脱気した1,4-ジオキサン(8.1mL)およびHO(2.7mL)を添加し、次いで、バイアルに蓋をした。懸濁液をマイクロ波中130℃で30分間反応させて完全に変換した。混合物を蒸発させ、飽和NaHCO(20mL)で処理し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、フィルタにかけ、溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカ、40g、ヘプタン10%~40%~70%中のCHCl/EtOAc)によって精製すると、標題化合物(344mg、92%)が淡黄色固体として得られた。MS(ESI):321.1([M+H]).
【0218】
g)6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1-(トリトリチオメチル)-3H-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン
THF(200μL)中の[H]メチルノシラート(1.85GBq、50mCi、0.61μmol)の溶液に、THF(200μL)に溶解したN-デスメチル前駆物質6-クロロ-5-(2,6-ジフルオロフェニル)-7-メチル-1,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジアゼピン-2-オン(0.43mg、1.34μmol)および10当量のナトリウムtertブチラート(THF中0.5m、13.4μmol)を添加した。室温で4時間撹拌した後、反応混合物をHOで処理し、蒸発させ、粗生成物をHPLC(X-Terra Prep RP-18、10×150mm、MeCN/HO(5%のMeCNを含有)40:60、4mL/分、230nm)によって精製した。固相抽出(Sep-Pak Plus C18)によって純粋なトリチウム標識化合物を単離し、エタノール溶液としてカートリッジから溶出し、質量分析(MS)によって決定して、99%超の放射化学的純度および2.49TBq/mmol(67.3Ci/mmol)の比放射能で1.6GBq(43.2mCi)の標的化合物が得られた。標識化合物の同一性は、HPLC(非標識参照標準を同時注入することによって)およびMSによって確認した。
MS:m/z=335[M(H)+H](16%),337[M(H)+H](0%),339[M()+H](16%),341[M()+H](68%).
【0219】
γ2含有GABAサブタイプのための膜調製および結合アッセイ
GABAγ2サブユニット含有受容体における化合物の親和性を、組成α1β3γ2のヒト(一過性トランスフェクト)受容体を発現するHEK293F細胞への[H]フルマゼニル(81.1Ci/mmol;Roche)結合についての競合によって測定した。
【0220】
異なるGABAγ2受容体サブタイプを発現するHEK293F細胞から回収したペレットをマンニトール緩衝液pH7.2~7.4に再懸濁し、GABAγ1サブユニット含有受容体を発現する細胞について上記のように処理した。
【0221】
放射性リガンド結合アッセイを、100μLの細胞膜、1nMの濃度の[H]フルマゼニルおよび[0.1・10-3-10]×10-6Mの範囲の試験化合物を含有する200μLの体積(96ウェルプレート)で行った。非特異的結合は10-5Mジアゼパムによって定義され、典型的には全結合の5%未満であった。アッセイは、4℃で1時間平衡までインキュベートし、Packardハーベスタを使用してフィルタにかけ、氷冷洗浄緩衝液(50mMトリス、pH7.5)で洗浄することにより、GF/Cユニフィルタ(Packard)上に回収した。無水化後、液体シンチレーション計数により、フィルタに保持された放射能を検出した。K値は、Excel-Fit(Microsoft)を用いて計算し、2回の測定の平均値である。
【0222】
添付の実施例の化合物を上記アッセイで試験し、好ましい化合物は、100nM以上のヒトGABA受容体のα1β3γ2サブタイプからの[H]フルマゼニルの置換について大きなK値を有することが見出された。300超のKα1β3γ2(nM)を有する化合物が最も好ましい。好ましい実施形態では、本発明の化合物は、γ2サブユニット含有GABA受容体と比較して、γ1サブユニット含有GABA受容体に選択的に結合する。特に、本発明の化合物は、10倍を超える「Kα1β3γ2(nM)/Kα2β2γ1(nM)」として定義されるγ2/γ1選択比、または1を超える「Log[Kα1β3γ2(nM)/Kα2β2γ1(nM)]」として定義されるLogSelを有する。ヒト(h)受容体を発現するHEK293細胞に対する結合親和性を測定する上記のアッセイによって得られた代表的な試験結果を以下の表1に示す。
【表1】

【0223】
GABA受容体の機能的発現:
ツメガエル卵母細胞の調製
成熟段階V~VIのアフリカツメガエル卵母細胞を、GABA受容体サブユニットをコードするクローン化されたmRNAの発現に使用した。RNAマイクロインジェクションの準備ができた卵母細胞をドイツ、カストロップ・ラウクセルのEcocyteから購入し、実験まで改変バース培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO 2.4、HEPES 10、MgSO 0.82、CaNO 0.33、CaCl 0.33、pH=7.5)に20℃で保存した。
【0224】
ツメガエル卵母細胞のマイクロインジェクション
卵母細胞を、Roboinject自動装置(MultiChannelSystems、ロイトリンゲン、ドイツ)を使用するマイクロインジェクションのために96ウェルプレートに播種した。所望のGABA受容体サブタイプのサブユニットのRNA転写物を含有する約50nLの水溶液を各卵母細胞に注射した。RNA濃度は20~200pg/μL/サブユニットの間の範囲であり、パイロット実験で調整して、GABA受容体ベンゾジアゼピン(BZD)結合部位における参照ベンゾジアゼピンポジティブアロステリックモジュレーター(PAM)であるフルニトラゼパム、トリアゾラムおよびミダゾラムの適切なサイズおよび最大効果のGABA応答を得た。卵母細胞を実験まで改変バース培地(mMでの組成:NaCl 88、KCl 1、NaHCO 4、HEPES 10、MgSO 0.82、CaNO 0.33、CaCl 0.33、pH=7.5)で20℃に保った。
【0225】
電気生理学
mRNAのマイクロインジェクション後3~5日目に、Roboocyte機器(MultiChannelSystems、ロイトリンゲン、ドイツ)を使用して電気生理学的実験を行った。実験の間、卵母細胞を(mM単位で)NaCl 90、KCl 1、HEPES 5、MgCl 1、CaCl 1(pH7.4)を含む溶液で常に灌流した。卵母細胞を、KCl 1M+酢酸カリウム1.5Mを含む溶液で満たし、-80mVに電圧固定した2つのガラス微小電極(抵抗:0.5~0.8MΩ)によって突き刺した。記録は、Roboocyte二電極電圧クランプシステム(Multichannelsystem)を使用して室温で行った。1.5分GABAの最初の平衡化期間の後、最大電流応答(EC20)の約20%を喚起する濃度で1.5分間添加した。2.5分の別の休止間隔の後、GABAを再び添加し、同様の振幅および形状の応答を誘発させた。この2回目のGABA適用の開始の0.5分後、GABAが依然として存在している間に、そのKα2β2γ1の約30倍に相当する濃度の試験化合物を添加した。GABA適用中およびその直前および直後に、10Hzのデジタル化速度で電流トレースを記録した。
【0226】
各化合物および濃度を少なくとも3つの卵母細胞で試験した。異なる化合物濃度に対して異なる卵母細胞を使用した。参照PAM、フルニトラゼパム、トリアゾラムおよびミダゾラムは、α2β2γ1GABA受容体サブタイプ発現卵母細胞におけるGABA誘導電流をおよそ60%増強した。
【0227】
データ分析
分析のために、第1および第2のGABA応答のデジタル化された電流トレースを重ね合わせ、必要に応じて、等しく最大振幅に再スケーリングした。試験化合物適用の時間間隔中の2つの応答間の比率をポイントごとに計算した。得られた「比率トレース」の極値を、「GABA EC20の調節%」(100*(増加倍数-1))として表される化合物の有効性(「増加倍数」)として採用した。
【0228】
結果を表2に示す。
【表2】

【0229】
参照化合物
以下に列挙するベンゾジアゼピン参照化合物(代表的な市販のベンゾジアゼピン)および参照チエノジアゼピンを、GABA受容体α1β2γ1およびα2β2γ1サブタイプならびにGABA受容体α1β3γ2サブタイプに対するそれらの親和性について試験した。結果を表3に示す。
【化56】

【表3】

【0230】
RE-Aは、Drug Design and Discovery(1993)、10(1)、45-55(1,3-ジヒドロ-5-フェニル-2H-ピリド[3,4-e]-1,4-ジアゼピン-2-オンの合成および抗痙攣活性)に開示されている。
【0231】
本発明の化合物を含む医薬組成物の調製
式(I)の化合物を含む錠剤を以下のように製造する。
【表4】

【0232】
製造手順
1.成分1、2、3および4を混合し、精製水で造粒する。
2.顆粒を50℃で乾燥させる.
3.顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4.成分5を添加し、3分間混合し、適切なプレス機で圧縮する。
【0233】
式(I)の化合物を含むカプセルを以下のように製造する。
【表5】

【0234】
製造手順
1.成分1、2および3を適切なミキサーで30分間混合する。
2.成分4および5を添加し、3分間混合する。
3.適切なカプセルに充填する。
【0235】
式Iの化合物、ラクトースおよびコーンスターチを最初にミキサーで混合し、次に粉砕機で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを添加しておおよそ混合する。混合物を、機械によって適切なカプセル、例えば硬質ゼラチンカプセルに充填する。
【0236】
式(I)の化合物を含む注射液を以下のように製造する。
【表6】
【国際調査報告】