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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】圧力補正付き酸素濃度分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/26 20060101AFI20240920BHJP
   F23N 5/00 20060101ALI20240920BHJP
   G01N 27/409 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
G01N27/26 371A
F23N5/00 J
G01N27/409 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518303
(86)(22)【出願日】2022-09-19
(85)【翻訳文提出日】2024-05-20
(86)【国際出願番号】 US2022043970
(87)【国際公開番号】W WO2023049069
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】17/482,973
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シュク,パベル
(72)【発明者】
【氏名】バウシュケ,ディルク・ダブリュー
(72)【発明者】
【氏名】ロバーグ,デイビッド
【テーマコード(参考)】
2G004
3K003
【Fターム(参考)】
2G004BM01
2G004BM06
3K003FA04
(57)【要約】
プロセス酸素分析装置(10)は、プロセス燃焼排気の流れの中に延在可能なプロセスプローブ(12)を含み、プロセスプローブ(12)は、酸素センサー測定セル(36)を有する。測定回路(64)は、酸素センサー測定セル(36)に結合され、酸素センサー測定セル(36)の電気的特性に基づいて、燃焼プロセスに関する酸素濃度の非補正の指示値を取得するように構成される。制御装置(60)は、測定回路(64)に動作可能に結合され、プロセス圧力の指示値を取得し、酸素濃度の非補正の指示値、及び、プロセス圧力の指示値に基づいて、補正された酸素濃度出力を選択的に提供するように構成される。工業用燃焼プロセスに結合されたプロセス酸素分析装置(10)を使用して、プロセス酸素濃度を提供する方法(200)も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセス酸素分析装置であって、
プロセス燃焼排気の流れの中に延在可能なプロセスプローブであって、酸素センサー測定セルを有する前記プロセスプローブ、
前記酸素センサー測定セルに結合され、前記酸素センサー測定セルの電気的特性に基づいて、燃焼プロセスに関する酸素濃度の非補正の指示値を取得するように構成された測定回路、及び、
前記測定回路に動作可能に結合された制御装置であって、プロセス圧力の指示値を取得し、酸素濃度の非補正の指示値、及び、前記プロセス圧力の指示値、に基づいて、補正された酸素濃度出力を選択的に提供するように構成された前記制御装置、
を含むプロセス酸素分析装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記プロセス圧力を所定の閾値と比較し、前記プロセス圧力の指示値が前記所定の閾値を超えるか否かに基づいて、前記補正された酸素濃度出力を選択的に提供するように構成される、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項3】
前記所定の閾値は、約0.5psiである、請求項2に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項4】
前記測定回路に動作可能に結合され、前記プロセス圧力を測定し、前記プロセス圧力の指示値を提供するように配置された圧力センサー、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項5】
前記圧力センサーは、前記プロセス酸素分析装置のプローブに取り付けられる、請求項4に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項6】
前記圧力センサーは、前記酸素センサー測定セルとディフューザーとの間の前記プローブの端部に取り付けられる、請求項5に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項7】
前記制御装置に結合された通信回路をさらに備え、前記通信回路は、プロセス産業標準通信プロトコルに従って通信するように構成される、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項8】
前記制御装置は、前記通信回路を使用して、遠隔装置からプロセス圧力の指示値を取得するように構成される、請求項7に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項9】
前記制御装置に動作可能に結合されたユーザーインターフェース(UI)/表示装置モジュール、をさらに含む、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項10】
前記制御装置は、前記UI/表示装置モジュールを介して、前記プロセス圧力の指示値を取得するように構成される、請求項9に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項11】
前記制御装置は、前記酸素濃度の非補正の指示値の誤差をプロセス圧力に関係付ける線形補正係数に基づいて、補正された酸素濃度出力を生成するように構成される、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項12】
前記酸素センサー測定セルは、ジルコニア酸素センサーを含む、請求項1に記載のプロセス酸素分析装置。
【請求項13】
工業用燃焼プロセスに結合されたプロセス酸素分析装置を使用してプロセス酸素濃度を提供する方法であって、
プロセス圧力の指示値を取得すること、
前記工業用燃焼プロセスに結合された測定セルを使用して、酸素濃度の非補正指示値を取得すること、及び、
前記プロセス圧力の指示値を所定の閾値と比較し、プロセス圧力が所定の閾値を超える場合には補正された酸素濃度出力を提供し、プロセス圧力が所定の閾値を超えない場合には非補正酸素濃度出力を提供すること、
を含む方法。
【請求項14】
前記プロセス圧力の指示値を取得することは、前記プロセス圧力を測定するために配置された圧力センサーの電気的特性を決定するために、前記プロセス酸素分析装置の測定回路を使用すること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記プロセス圧力の指示値を取得することは、前記プロセス酸素分析装置のプロセス通信回路を使用して、遠隔装置から前記指示値を受信すること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記プロセス圧力の指示値を取得することは、前記プロセス酸素分析装置のユーザーインターフェース(UI)/表示装置モジュールから前記指示値を受信すること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
補正された酸素濃度出力を提供することは、前記プロセス圧力の指示値に、前記酸素濃度の非補正の指示値の誤差をプロセス圧力に関係付ける既知の補正係数を乗算すること、を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記所定の閾値は、0.5psiである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記方法は、反復される、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記反復される方法は、前記酸素濃度の非補正の指示値を、前記プロセス圧力の指示値よりも頻繁に取得する、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景技術
工業プロセス産業は、主に、一つ以上の燃焼プロセスを含むエネルギー源に依存している。このような燃焼プロセスには、燃焼からエネルギーを生成し、その後、それがプロセスに使用されるための炉、又は、ボイラーの動作、が含まれる。燃焼は比較的低コストのエネルギーを提供するが、その使用は一般的に規制されており、燃焼効率を最大化することが求められている。従って、プロセス管理産業の目標の一つは、既存の炉、及び、ボイラーの燃焼効率を最大化することによって、温室効果ガスの発生を削減することである。
【0002】
燃焼プロセスの監視、最適化、及び、制御のためには、現場用、又は、プロセス内用の煙道ガス分析装置が、一般的に使用されている。一般的に、これらの分析装置は、比較的高温に加熱され、炉、又は、ボイラーの燃焼ゾーンの直上、又は、その近傍、で動作するセンサーを使用している。Rosemount, Inc.社(Emerson Automation Solutions社の事業部門)から入手可能なOxymitter、又は、Model 6888 In-situ Flue Gas Oxygen Transmitter(現場用煙道ガス酸素送信器)という商品名で販売されるような現場用煙道ガス分析装置は、多くの場合、高温に加熱されたジルコニアベースの電気化学的な酸素センサーを使用する。
【発明の概要】
【0003】
プロセス酸素分析装置は、プロセス燃焼の排気の流れの中に延在可能なプロセスプローブを含み、そのプロセスプローブは、酸素センサー測定セルを有する。測定回路は、酸素センサー測定セルに結合され、酸素センサー測定セルの電気的特性に基づいて、燃焼プロセスに関する酸素濃度の非補正の指示値を取得するように構成される。制御装置は、測定回路に動作可能に結合され、プロセス圧力の指示値を取得し、酸素濃度の非補正の指示値、及び、プロセス圧力の指示値に基づいて、補正された酸素濃度出力を選択的に提供するように構成される。工業用燃焼プロセスに結合されたプロセス酸素分析装置を使用して、プロセス酸素濃度を提供する方法も開示される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の実施形態が特に有用である現場用分析装置の概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る、プロセス分析型の酸素分析装置の概略分解図である。
図3】本発明の一実施形態に係る、プロセス分析型の酸素分析装置のブロック図である。
図4】燃焼制御を示す、ガス濃度対酸素濃度のチャートである。
図5】酸素濃度が2.0%~3.0%の範囲にある場合の、圧力の関数としての、酸素濃度の誤差の影響のグラフである。
図6】酸素濃度が8.0%~11.0%の範囲にある場合の、圧力の関数としての、酸素濃度の誤差の影響のグラフである。
図7】様々な酸素濃度に関する、圧力の関数としての、酸素濃度の誤差の影響を示すグラフである。
図8】本発明の実施形態に係る、圧力補正された酸素出力を提供する方法、の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的な実施形態の詳細な説明
ジルコニアベースの電気化学的酸素センサーは、酸素測定のための工業用途において広く使用される。そのような工業用途の大部分は、大気に排出される煙道ガスの酸素測定用である。この用途では、プロセスと周囲との差圧は、12水柱インチ(0.43psi)よりもはるかに小さい。このような環境下における現場用酸素分析装置(図1参照)は、燃焼後の煙道ガス中の酸素レベルを制御しながら、何年にもわたって機能するであろう。実際の燃焼において、最高効率と最低排出量を実現する化学量論的な点を達成することは、燃料エネルギー密度、及び、燃料/空気流量、が変動することと共に、燃料/空気の均一性が不完全であることから、非常に困難である。一般的な煙道ガスの過剰な酸素濃度は、ガスバーナーでは約2~3%、ボイラー、及び、オイルバーナーでは3~6%である。最良の動作点は、1~6%の過剰な酸素濃度の間で類似していると考えられる。この最適な動作点は、ボイラー負荷、及び、燃焼速度に依存する。関数発生器の曲線は、一般的に、燃焼速度指数、燃料、又は、蒸気流量に基づいて、理想的な酸素トリミング制御点を割り当てるために、試験データから作成される。
【0006】
図1は、現場用分析装置を使用する燃焼プロセスの概略図である。送信器10は、上記のModel 6888煙道ガス酸素送信器を含む任意の適切な分析装置とすることができる。送信器10は、煙突、又は、煙道14内に配置され、バーナー16で発生する燃焼に関連する少なくとも一つのパラメーター(酸素濃度等)を測定するプローブアセンブリ12を含む。一般的に、送信器10は、酸素送信器であるが、燃焼プロセスに関連する任意の適切なパラメーターを測定する任意の装置とすることができる。バーナー16は、空気、又は、酸素の供給源18、及び、可燃性燃料の供給源20に動作可能に結合される。供給源18、及び、20の各々は、好ましくは、燃焼プロセスを制御するために、制御された量の酸素、及び/又は、燃料をバーナー16に供給するために、ある種の弁を介して、バーナーに結合される。送信器10は、燃焼排気流中の酸素量を測定し、酸素レベルの指示値を燃焼制御装置22に提供し、この燃焼制御装置は、閉ループ燃焼制御を提供するために、バルブ24、26の一方、又は、両方、を制御する。送信器10は、煙道ガス中の酸素濃度、含有量、又は、パーセンテージを示す電気信号を提供するために、一般的に、ジルコニアセンサーを使用する酸素センサーを含む。
【0007】
現場用酸素分析装置の圧力差が水柱12インチ(0.43psi)を超えて増加すると、センサーの信号、及び、情報の正確性、及び、信頼性が低下する。基準電極上の分圧を固定(例えば、空気を使用)した場合の酸素濃度の差に対するセンサーの応答は、以下に示す周知のネルンスト方程式を使用して計算することができる:
【0008】
【数1】
【0009】
上記の式において、Cは、基準/プロセス側の温度変化、及び、酸素プローブ内の熱接合部に関連する定数であり、Rは、普遍気体定数であり、Tは、ケルビン度単位のプロセス温度であり、Fは、ファラデー定数である。
【0010】
残念なことに、多くの燃焼用途では、プロセス内の圧力変動が酸素の調節、及び、制御を損なう可能性があり、測定において有意な(例えば0.7~2.55%の間の)酸素読み取り誤差をもたらす。以下に示す実施形態によれば、測定セルに作用するプロセス圧力を測定するために、圧力センサーが測定セルに近接して配置される。このプロセス圧力の測定値は、その後、プロセス圧力に基づいて酸素センサー出力を調整、及び/又は、補正するために、制御装置、又は、他の適切な計算回路に提供される。
【0011】
図2は、本発明の実施形態に係る、現場用プロセス燃焼酸素分析装置の概略図である。
プローブアセンブリ12は、一般的に、測定セル36に隣接して配置されたディフューザー32を含むセンサーコアアセンブリを収容するように構成される。測定セル36、及び、ヒーターアセンブリ38は、ハウジング44内の電子回路基板42に含まれる電子回路に電気的に結合される。送信器10は、また、基準空気、及び、較正ガスをそれぞれ受け入れるための複数のガス注入口46、及び、48を含む。
【0012】
図2に示されるように、送信器10は、測定セル36とディフューザー32との間のチャンバ、又は、領域52に流体的に結合された圧力センサー50を含む。図2に示される実施形態において、圧力センサー50は、通常動作中にプロセス圧力を測定するように配置される。圧力センサー50は、偏向可能なダイアフラム、静電容量ベースの圧力センサー、偏向可能なダイアフラムひずみゲージ、抵抗ベースの圧力センサー、又は、任意の他の適切なタイプの圧力センサー、を含んで、任意の適切なタイプの圧力センサーとすることができる。しかしながら、圧力センサーは、煙道ガス環境で動作する比較的低い圧力、及び、比較的高い温度、に曝されるように構成されるべきである。
【0013】
上述の実施形態は、測定セルに近接した圧力センサーがプロセス圧力の指示値を提供するように、近接した酸素センサー測定セル、及び、圧力センサーを提供するが、本明細書に記載の実施形態は、プロセス圧力送信器等の外部装置からプロセス圧力測定情報を受信し、受信したプロセス圧力情報を使用して、補正された酸素センサー出力を提供することもできる。
【0014】
図3は、本発明の実施形態に係る、プロセス分析用酸素送信器10の電子回路基板42のブロック図である。図3は、電子回路基板42の追加の構成要素を示す。具体的には、電子回路基板42上の電子回路は、通信回路62、及び、測定回路64に結合された制御装置60を含む。制御装置60は、又、UI/表示装置モジュール66にも結合される。制御装置60は、一つ以上の制御機能を実行するための命令のシーケンスを実行する、任意の適切なデバイスであることもできる。一実施形態としては、制御装置60は、マイクロプロセッサである。
【0015】
通信モジュール62は、制御装置60に結合され、制御装置60は、有線プロセス産業標準通信プロトコルに従って、燃焼制御装置22(図1に示す)等の、一つ以上のプロセス装置と通信することを可能にする。このようなプロトコルの例としては、Highway Addressable Remote Transducer HART(登録商標)プロトコル、及び、FOUNDATION(登録商標)フィールドバスプロトコルが含まれる。さらに、又は、代替的に、通信モジュール62は、制御装置60がIEC62591等の無線プロセス通信プロトコルに従って通信することを可能にする無線通信モジュールであることもできる。制御装置60が別のプロセス変数送信器(すなわち、圧力送信器)を介して受信したプロセス圧力情報を使用する実施形態では、通信モジュール62は、制御装置60がプロセス圧力情報を取得できるようにするために、そのような通信を制御装置60に提供する。
【0016】
測定回路64は、一実施形態としては、それに接続されたセンサーの電気的特性を測定するように構成されたアナログ/デジタル変換器を含む。図示されるように、測定回路64は、非補正の酸素センサー信号を取得するために、酸素センサー36に結合される。さらに、測定回路64は、プロセス圧力を示す圧力センサー50の静電容量等の電気的特性を測定し、そのデジタル指示値を制御装置60に提供するために、圧力センサー50にも結合される。測定回路64は、又、必要に応じて、適切な増幅、フィルタリング、及び/又は、線形化回路、を含むことができる。
【0017】
制御装置60は、非補正の酸素センサー信号、及び、プロセス圧力を示す情報を受信し、プロセス圧力と酸素センサー信号の誤差との間の既知の関係を使用して、測定されたプロセス圧力に基づいて、非補正の酸素センサー信号を補正する。なお、プロセス圧力情報が、プロセス圧力送信器、又は、UI/表示装置モジュール66を介してプロセス圧力情報を入力するユーザーを介して、等の外部ソースから受信される実施形態では、圧力センサーを省略することができる。
【0018】
図4は、燃焼制御を示す、ガス濃度対酸素濃度のチャートである。図4は、燃焼速度指数、燃料、又は、蒸気流量に基づいて、理想的な酸素トリミング制御点を割り当てるために、試験データから一般的に展開された、関数発生器の曲線の一例である。上述したように、多くの燃焼用途では、プロセス内の圧力変動が、酸素センサー信号に望ましくない影響を与える可能性がある。
【0019】
図5は、2.0~2.7%の酸素濃度における、酸素センサーの読み取り値へのプロセス圧力の影響を示すチャートである。図示されるように、より高いレベルの酸素濃度(すなわち、2.65%)、及び、比較的高い圧力(例えば、5PSI)の場合、誤差が有意になる可能性がある。
【0020】
図6は、酸素濃度が高い(8.0%~10.75%)場合の酸素センサー分析装置の読み取り値に関する圧力の影響を示すチャートである。この例では、酸素のパーセント濃度が比較的高いため、図5に示した低濃度(例えば、約2%)の場合よりも誤差が少なくなっている。
【0021】
図7は、0~5psiの範囲の様々な圧力における、様々な酸素濃度(2%、3%、4%、及び、5%)を示すチャートである。酸素センサーの読み取り値に関するプロセス圧力の影響は、約1.38mV/psiである。圧力下で動作されるプロセスであっても、依然として正確な酸素測定が必要とされるプロセスがある程度はある。過去には、圧力不均衡の影響を打ち消すために、いくつかの圧力平衡システムが使用された。しかしながら、そのようなアプローチは、危険な場所の承認が必要であるため、敬遠された。本明細書の実施形態によれば、加圧プロセス(すなわち、0.5psiを超える)の場合、制御装置60は、図7に示される関係に従って、非補正の酸素センサー測定値に圧力補正を適用する。図7に示された圧力により引き起こされた誤差は、標準的な酸素セルを使用して実験的に得られたものである。この相関関係は、他のジルコニアベースの酸素分析装置についても同様であるが、構造の違いにより完全に一致するとは限らない。従って、所定のジルコニアをベースとする酸素センサーに関する圧力の影響を関連付けるためには、ある程度の実験が必要になる場合がある。しかしながら、一旦、そのような関係が得られれば、図7に示される線形関係(すなわち、1.38mV/psi)のような関係は、補正された酸素センサー出力を提供するために、単純に(例えば、システムの製造中に、又は、特定のセンサーをシステムで試験/較正する際に)制御装置に入力することができる。さらに、選択された閾値(すなわち、0.5psi)未満のプロセス圧力については、制御装置60は、非補正の酸素センサー信号、及び、ネルンスト方程式を使用して、非補正の出力を単純に提供することができる。従って、本明細書に記載される少なくとも一つの実施形態によれば、酸素分析装置10の制御装置60は、プロセス圧力の指示値を受信する(測定セルに近接して配置された局所的な圧力センサーを使用するか、又は、プロセス通信を使用するか、のいずれかで)ことができ、圧力ベースの補正を適用するか否かを決定するために、プロセス圧力が閾値(すなわち、0.5psi)を超えるか否かを決定することができる。上述したように、いくつかの実施形態では、プロセス圧力の測定値は、ユーザーインターフェースモジュール/表示装置66を使用して、酸素分析装置に入力することもできる。
【0022】
本明細書に記載される実施形態で使用される圧力は、連続的に更新される圧力値である可能性を有するが、そうである必要性はない。なぜならば、酸素センサーのT90応答時間は、一般的に、数秒ではなく、数分のオーダーであるためである。従って、圧力は、単に1回限りの入力であってもよく、酸素分析装置が較正されるたびに更新されるだけでよい。
【0023】
図8は、本発明の実施形態に係る、圧力補正された酸素出力を提供する方法の流れ図である。方法200は、プロセス圧力が取得されるブロック202で始まる。プロセス圧力は、参照番号204で示されるように、酸素分析装置のプローブ内に配置された圧力センサー(例えば、図2に示されるような)から取得することができる。さらに、又は、代替的に、プロセス圧力は、他のソースからも取得することができる。例えば、プロセス圧力は、プロセス通信206を使用して、遠隔地のプロセス装置から取得することができ、及び/又は、UI/表示装置モジュール66(図3に示される)等の適切なユーザーインターフェースを介して、ユーザーによって、酸素分析装置に入力されることができる。その後、ブロック210において、プロセス内、又は、プロセスに近接して配置された酸素センサーから、非補正の酸素センサー測定値が取得される。ブロック212において、ブロック202で取得されたプロセス圧力が、所定(すなわち、0.5psi)の閾値と比較され、プロセス圧力が所定の閾値以上であるか否かが判定される。そうでない場合、制御はブロック214に移行し、そこでは非補正の酸素センサー信号が単純に使用され、上述のネルンスト方程式を使用して酸素濃度出力が提供される。
【0024】
ブロック212において、プロセス圧力が所定の閾値以上であると判定された場合、制御はブロック216に移行し、そこでは非補正の酸素センサー信号に圧力ベースの補正が適用される。この補正は、非補正の酸素センサー信号に、プロセス圧力により変化する補正値を加えることができる。一例としては、補正値は、参照番号218で示されるように、プロセス圧力に線形補正値(例えば、1.38mV/psi)を乗算することによって得られる電圧値である。他の実施形態としては、参照番号220で示されるように、プロセス圧力(他の変数と同様に)と補正値との間のより複雑な関係は、カーブフィットを使用してモデル化されることができる。さらに、計算の複雑さを低減するために、そのような関係は、参照番号222で示されるように、ルックアップテーブルを使用してモデル化することもできる。補正された酸素センサー信号は、その後、ブロック214において、酸素濃度出力を提供するために、制御装置によって使用される。この方法は、参照番号224で示すように繰り返される。なお、反復は、プロセス圧力を取得するために、実質的にリアルタイムで、ブロック202に戻ることができる。しかしながら、プロセス圧力は、酸素センサー測定値ほど頻繁に更新される必要はないので、反復は、所定のサイクル数、又は、反復が更新されたプロセス圧力を取得する前の時間で、ブロック210に戻ることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】