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特表2024-535348平面アンテナのリンクの信号品質を向上させるキャリアプリディストーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】平面アンテナのリンクの信号品質を向上させるキャリアプリディストーション
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/185 20060101AFI20240920BHJP
   H01Q 3/26 20060101ALI20240920BHJP
   H01Q 13/22 20060101ALI20240920BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H04B7/185
H01Q3/26 Z
H01Q13/22
H04B1/04 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518337
(86)(22)【出願日】2022-09-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-08
(86)【国際出願番号】 US2022044424
(87)【国際公開番号】W WO2023049284
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,222
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/949,548
(32)【優先日】2022-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516247177
【氏名又は名称】カイメタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】スムート マクスウェル
【テーマコード(参考)】
5J021
5J045
5K060
5K072
【Fターム(参考)】
5J021AA06
5J021AA09
5J021AB05
5J021DB01
5J021GA01
5J021HA05
5J021HA07
5J045DA05
5K060DD05
5K060KK06
5K060LL24
5K072AA22
5K072DD01
5K072DD15
5K072GG09
(57)【要約】
アンテナへの送信にプリディストーションを実行する方法及び装置が開示される。一部の実施形態において、方法は、衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップと、タイプ及び走査角度に基づいて、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、信号にプリディストーションを加えるステップと、衛星端末の平面アンテナに信号を送信するステップとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップと、
前記タイプ及び前記走査角度に基づいて、前記平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、
前記プリディストーションを前記信号に加えるステップと、
前記信号を前記衛星端末の平面アンテナに送信するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数を推定するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数の逆数である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記プリディストーションを選択するステップが、前記平面アンテナのアパーチャサイズに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記プリディストーションは、波形、前記アンテナの温度、及びフィードバック情報からなるグループから選択される1又は2以上に基づく、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる歪みを補償する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記プリディストーションを加えるステップ及び前記信号を前記平面アンテナに送信するステップが、衛星によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
アナログビームフォーミングを実行する前記平面アンテナによって、前記衛星によって送信された信号を受信するステップを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
衛星位置及び前記衛星端末のジオロケーションに基づいて、前記走査角度を計算するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記平面アンテナによって生成されたビームの動きに応答して更新された走査角度投影に基づいて、前記プリディストーションを再計算するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
衛星であって、
衛星端末の平面アンテナに送信されるデータを受信する受信機と、
ハードウェアにて少なくとも一部実施されるプリディストーションエンジンであって、1又は2以上のプロセッサに、衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップと、前記タイプの指示及び前記走査角度に基づいて、前記平面アンテナに送信される前記データを備えた信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、前記プリディストーションを前記信号に加えるステップと、を行わせるプリディストーションエンジンと、
前記信号を前記衛星端末の平面アンテナに送信する送信機と、
を備える、衛星。
【請求項13】
前記プリディストーションエンジンは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数を推定するよう動作する、請求項12に記載の衛星。
【請求項14】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナの伝達関数に関連付けられる歪みを補償するために、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる、請求項12に記載の衛星。
【請求項15】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数の逆数である、請求項14に記載の衛星。
【請求項16】
前記プリディストーションを選択するステップは、前記平面アンテナのアパーチャサイズに基づく、請求項12に記載の衛星。
【請求項17】
前記プリディストーションを選択するステップは、波形、温度、及びフィードバック情報からなるグループから選択される1又は2以上に基づく、請求項16に記載の衛星。
【請求項18】
少なくともプロセッサ及びメモリを有するシステムによって実行されたときに、前記システムに方法を実行させる命令を格納させた非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、
前記方法が、
衛星端末の平面アンテナのタイプの指示及び走査角度を決定するステップと、
前記タイプの指示及び前記走査角度に基づいて、前記平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、
前記プリディストーションを前記信号に加えるステップと、
前記衛星端末の平面アンテナに前記信号を送信するステップと、
を含む、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項19】
前記プリディストーションは、前記走査角度での前記平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【請求項20】
前記プリディストーションを選択するステップは、前記平面アンテナのアパーチャサイズに基づく、請求項18に記載の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2021年9月22日に出願された米国仮特許出願第63/247,222号明細書、及び2022年9月21日に出願された米国非仮特許出願第17/949,548号明細書の利益を主張する非仮出願であり、これらは、全体が引用により組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、無線通信に関し、より詳細には、地上局の平面アンテナと通信するときの衛星キャリアによる送信へのプリディストーションの付加に関する。
【背景技術】
【0003】
平面アンテナは、今日では衛星通信システムに使用されることが多い。例えば、フェーズドアレイアンテナなどの平面アンテナの多数のタイプが存在し、これらは、衛星ネットワーク端末の一部であることが多い。最近では、衛星ネットワーク端末に使用される平面アンテナとしてメタサーフェスアンテナが出現してきた。メタサーフェスアンテナは、軽量、低コスト、及び平面物理プラットフォームによる誘導性指向性ビームを生成する。より具体的には、メタサーフェスアンテナは、通信に使用するために制御することのできるビームを生成するために給電波から選択的にエネルギーを結合することのできるメタマテリアルアンテナ素子を含むことができる。これらのアンテナは、安価で製造が容易なハードウェアプラットフォームからフェーズドアレイアンテナに匹敵する性能を達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第20210050671号明細書
【特許文献2】米国特許第9,887,456号明細書
【特許文献3】米国特許第9,887,455号明細書
【特許文献4】米国特許第10,892,553号明細書
【特許文献5】米国特許出願シリアル第16/750,439号明細書
【特許文献6】米国特許第11,063,661号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
アンテナへの送信においてプリディストーションを実行する方法及び装置が開示される。一部の実施形態において、本方法は、衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップ、タイプ及び走査角度に基づいて、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップ、信号にプリディストーションを付加するステップ、及び信号を衛星端末の平面アンテナに送信するステップを含む。
【0006】
記載される実施形態及びこの利点は、添付図面を参照しながら以下の説明を参照することによって最も良く理解することができる。これらの図面は、記載される実施形態の精神及び範囲から逸脱することなく、当業者によって記載の実施形態に対して行い得る形態及び詳細における何れかの変更を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】平面アンテナの一部の実施形態を示す分解図である。
【0008】
図2】本明細書に記載される1又は2以上のアンテナを含む通信システムの実施例を示す図である。
【0009】
図3】衛星通信システムの一部の実施形態を示す図である。
【0010】
図4】平面衛星アンテナのアンテナアパーチャ全てが全て同じサイズであるが、そのルック角度は全て異なる衛星通信システムの一部の他の実施形態を示す図である。
【0011】
図5A】プリディストーションを加える衛星の一部の実施形態を示すブロック図である。
【0012】
図5B】プリディストーションを加える地上局/テレポートの一部の実施形態を示すブロック図である。
【0013】
図6】プリディストーションエンジンの一部の実施形態を示す図である。
【0014】
図7A】走査角度生成器の1つの実施例を示す図である。
【0015】
図7B】ルック角度生成器の1つの実施例を示す図である。
【0016】
図8】平面アンテナへの送信信号にプリディストーションを加える処理の一部の実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の説明では、本発明の完全な解説を提供するために多数の詳細が示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細なしに実施できることは当業者には明らかであろう。他の事例では、本発明を曖昧にしないために、公知の構造及びデバイスを詳細にではなくブロック図の形式で示す。
【0018】
アンテナへの送信を制御する方法及び装置が開示される。一部の実施形態において、送信は、衛星通信システムで実行される。一部の実施形態において、衛星と地上局間の送信は、地上局のアンテナの伝達関数に関連付けられる歪みを打ち消すようにシェーピングされる。一部の実施形態において、地上局は、衛星ネットワーク端末である。一部の実施形態において、送信は、衛星と地上局の間で送信される信号にプリディストーションを加えることによってシェーピングされる。これは、衛星送信を受信するアンテナの特性を支援するために現在のところキャリアの歪みを補償しない現在の商用衛星通信とは対照的である。一部の実施形態において、プリディストーションは、衛星によって実行される。これらの技術を利用するこれらの衛星の実施例を以下に記載される。
【0019】
以下の開示は、例えば、本明細書に記載されるアンテナを含むアンテナに衛星から送信される信号にプリディストーションを加えることによって送信をシェーピングする技術の説明に従ってアンテナの実施形態の実施例を示す。
【0020】
アンテナ実施形態の実施例
本明細書に記載される技術は、多種多様な平面衛星アンテナと共に使用することができる。このような平面アンテナの実施形態を本明細書で開示する。一部の実施形態において、平面衛星アンテナは、衛星端末の一部である。平面アンテナは、アンテナアパーチャ上に1又は2以上のアンテナ素子のアレイを含む。
【0021】
一部の実施形態において、アンテナアパーチャは、例えば、以下に示すアンテナアパーチャなどのメタサーフェスアンテナアパーチャである。一部の実施形態において、アンテナ素子は、ラジオ周波数(RF)放射アンテナ素子を含む。一部の実施形態において、アンテナ素子は、アンテナ素子を同調させる同調型デバイスを含む。このような同調型デバイスの実施例は、例えば、2021年2月18日に公表された「マス転送技術によって製造されるメタサーフェスアンテナ」という名称の米国特許出願公表第20210050671号に示されるようなダイオード及びバラクターを含む。一部の他の実施形態において、アンテナ素子は、例えば、2018年2月6日に発表された「誘導性円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国特許第9,887,456号に開示されるものなどの液晶(LC)ベースのアンテナ素子、又は他のRF放射アンテナ素子を含む。例えば、限定されないが、同調型キャパシタ、同調型キャパシタンスダイ、パッケージ化ダイ、微小電気機械システム(MEMS)デバイス、又は他の同調型キャパシタンスデバイスなどの他の同調型デバイスを、本明細書に記載される実施形態におけるバリエーションとしてアンテナアパーチャ又は他の場所に配置できることを理解されたい。
【0022】
一部の実施形態において、1又は2以上のアンテナ素子のアレイを有するアンテナアパーチャは、互いに結合された複数のセグメントから構成される。一部の実施形態において、互いに結合されたときに、セグメントの組み合わせがアンテナ素子のグループを形成する(例えば、アンテナ給電波に対して同心円状のアンテナ素子の閉同心リングなど)。アンテナセグメントに関する詳しい情報に関しては、2018年2月6日に発表された「円筒状給電アンテナのアパーチャセグメンテーション」という名称の米国特許第9,887,455号を参照されたい。
【0023】
図1は、平面アンテナの一部の実施形態の分解図を示している。図1を参照すると、アンテナ100は、レドーム101、コアアンテナ102、アンテナ支持プレート103、アンテナ制御ユニット(ACU)104、電源ユニット105、端末エンクロージャプラットフォーム106、コム(通信)モジュール107、及びRFチェーン108を含む。
【0024】
レドーム101は、コアアンテナ102を包み囲むエンクロージャの上部部分である。一部の実施形態において、レドーム101は、全天候型であり、電波を通す材料から作られ、コアアンテナ102によって生成されるビームがレドーム101の外側に広がるようにできる。
【0025】
一部の実施形態において、コアアンテナ102は、RF放射アンテナ素子を有するアパーチャを含む。これらのアンテナ素子は、ラジエータ(又はスロットラジエータ)として作用する。一部の実施形態において、アンテナ素子は、散乱メタマテリアルアンテナ素子を含む。一部の実施形態において、アンテナ素子は、交互に置かれ且つコアアンテナ102のアンテナアパーチャの表面全体に分散される、受信(Rx)及び送信(Tx)双方のアイリス、又はスロットを含む。このようなRx及びTxアイリスは、2又は3以上のセットのグループにすることができ、各セットは、別々に且つ同時に制御される帯域用である。アイリスを備えたこのようなアンテナ素子の実施例は、2021年1月12日に発表された「広帯域同調型帯域幅半径ラインスロットアンテナ」という名称の米国特許第10,892,553号明細書に記載されている。
【0026】
一部の実施形態において、アンテナ素子は、アイリス(アイリス開口部)を含み、アパーチャアンテナは、同調型素子(例えば、ダイオード、バラクター、パッチなど)を介してアイリス開口部を放射する円筒状給電波からの励起を使用することによってシェーピングされるメインビームを生成するために用いられる。一部の実施形態において、アンテナ素子を励起して、所望の走査角度で水平又は垂直偏波電界を放射することができる。
【0027】
一部の実施形態において、同調型素子(例えば、ダイオード、バラクター、パッチなど)は、各アイリススロットを覆って位置付けられる。各アンテナ素子からの放射電力量は、ACU104のコントローラを使用して同調型素子に電圧を印加することによって制御される。各同調形素子へのコアアンテナ102のトレースは、同調型素子に電圧を供給するために使用される。電圧は、キャパシタンス、従って個々の素子の共振周波数を同調又は離調させ、ビームフォーミングを達成する。必要な電圧は、使用中の同調型素子に依存する。この特性を使用して、一部の実施形態において、同調型素子(例えば、ダイオード、バラクター、LCなど)は、給電波からアンテナ素子へのエネルギーの伝送のオン/オフスイッチを統合する。スイッチオンされたとき、アンテナ素子は、電気的に小さなダイポールアンテナのような電磁波を発生する。本明細書の教示は、エネルギー伝送に関してバイナリ方式で動作する単位セルを有することに制限されない点に留意されたい。例えば、バラクターが同調型素子である一部の実施形態においては、32の同調レベルが存在する。別の例として、LCが同調型素子である一部の実施形態においては、16の同調レベルが存在する。
【0028】
同調型素子とスロットの間の電圧を変調して、アンテナ素子(例えば、同調型共振器/スロット)を同調させることができる。電圧を調整することで、スロット(例えば、同調型共振器/スロット)のキャパシタンスを変化させる。従って、スロット(例えば、同調型共振器/スロット)のリアクタンスは、キャパシタンスを変えることによって変化させることができる。またスロットの共振周波数は、次式:
に従って変化し、ここでfは、スロットの共振周波数であり、L及びCは、それぞれ、スロットのインダクタンス及びキャパシタンスである。スロットの共振周波数は、アンテナ素子までの導波路を介して伝播する給電波から結合されるエネルギーに影響を与える。
【0029】
詳細には、アンテナ素子のメタマテリアルアレイによる集束ビームの生成は、当技術で周知である増加的干渉及び減殺的干渉の現象によって説明することができる。個々の電磁波は、これらの電磁波がビームを生成するために自由空間で交わったときに同相を有する場合は合算(増加的干渉)され、これらの電磁波が自由空間で交わった場合に、これらの電磁波が逆位相にある場合には、電磁波は互いに打ち消し合う(減殺的干渉)。各連続するスロットが給電波の励起点から異なる距離に位置するようにコアアンテナ102のスロットが位置付けられた場合、アンテナ素子からの散乱波は、前のスロットの散乱波とは異なる位相を有するようになる。一部の実施形態において、スロットが波長の4分の1の間隔をあけて配置される場合には、各スロットは、前のスロットから4分の1位相遅延を有して波を散乱させることになる。一部の実施形態において、どのアンテナ素子をオン又はオフにするか(すなわち、どのアンテナ素子がオンされて、どのアンテナ素子がオフされるかのパターンを変えることによって)、又は複数の同調レベルのどれが使用されるかを制御することによって、異なる増加的及び減殺的干渉のパターンを生成することができ、アンテナは、アンテナのビームの方向を変えることができる。
【0030】
一部の実施形態において、コアアンテナ102は、例えば、2018年2月6日に発表された「誘導性円筒状給電ホログラフィックアンテナからの動的偏波及び結合制御」という名称の米国特許第9,887,456号明細書、又は2021年2月18日に公表された「マス転送技術によって製造されるメタサーフェスアンテナ」という名称の米国特許出願公表第20210050671号に記載されるような入力給電を介して円筒状電波給電を提供するために使用される同軸給電部を含む。一部の実施形態において、円筒状給電部は、給電点から円筒状に外向きに広がる励起によって中心点からコアアンテナ102に給電する。換言すると、円筒状給電波は、外向きに進行する同心状給電波である。それでも、円筒状給電部の周りの円筒状給電アンテナの形状は、円形、正方形又は何らかの形状とすることができる。一部の他の実施形態において、円筒状給電アンテナアパーチャは、内向きに進行する給電波を生成する。このような場合、円形構造から生じる給電波が最も自然である。
【0031】
一部の実施形態において、コアアンテナは、複数の層を含む。これらの層は、RF放射アンテナ素子を形成する1又は2以上の基板層を含む。一部の実施形態において、これらの層はまた、インピーダンスマッチング層(例えば、広角インピーダンスマッチング(WAIM)層など)、1又は2以上のスペーサ層及び/又は誘電体層を含むことができる。このような層は、当技術で周知である。
【0032】
アンテナ支持プレート103は、コアアンテナ102に結合され、コアアンテナ102に対する支持を提供する。一部の実施形態において、アンテナ支持プレート103は、1又は2以上の導波路及び1又は2以上のアンテナ給電部を含み、1又は2以上のビームを生成するためにコアアンテナ102のアンテナ素子によって使用される1又は2以上の給電波をコアアンテナ102に供給する。
【0033】
ACU104は、アンテナ支持プレート103に結合され、アンテナ100の制御を提供する。一部の実施形態において、これらの制御は、アンテナ100の駆動電子機器及びマトリクス駆動回路がRF放射アンテナ素子のアレイ全体に散在するスイッチングアレイを制御するための制御装置を含む。一部の実施形態において、マトリクス駆動回路は、他のアンテナ素子とは別に各アンテナ素子を駆動するためにアンテナ素子の同調型素子に電圧を印加するために一意のアドレスを使用する。一部の実施形態において、ACU104の駆動電子機器は、各アンテナ素子の電圧を調整する商用テレビジョン機器で使用される商用既製LCD制御装置を含む。
【0034】
より具体的には、一部の実施形態において、ACU104は、電圧信号のアレイをアンテナ素子の同調型デバイスに供給し、変調、又は制御、パターンを生成する。制御パターンは、素子を様々な状態に同調させる。一部の実施形態において、ACU104は、制御パターンを使用して、どのアンテナ素子をオン又はオフにするか(又は同調レベルのどれを使用するか)及び動作周波数のどの位相及び振幅レベルにするかを制御する。素子は、電圧印加によって周波数動作に対して選択的に離調される。一部の実施形態において、多状態制御が使用され、この多状態制御では、様々な素子が異なるレベルにオン及びオフされ、矩形波(すなわち、正弦波グレイシェード変調パターン)ではなく、正弦波制御パターンに更に近づく。
【0035】
一部の実施形態において、ACU104はまた、制御動作の一部を実施するためにソフトウェアを実行する1又は2以上のプロセッサを包含する。ACU104は、1又は2以上のセンサ(例、GPS受信機、3軸コンパス、3軸加速度計、3軸ジャイロ、3軸磁力計など)を制御して、位置及び方位情報をプロセッサに提供することができる。位置及び方位情報は、地上局の他のシステム及び/又はアンテナシステムの一部でなくてもよい他のシステムによってプロセッサに提供することができる。
【0036】
アンテナ100はまた、コム(通信)モジュール107及びRFチェーン108を含む。コムモジュール107は、1又は2以上のモデム対応アンテナ100を含み、様々な衛星及び/又はセルラーシステムと、加えて指標(例、サービス品質(QoS)指標、例えば、信号強度、レイテンシなど)に基づいて適切なネットワークルートを選択するルータと通信する。RFチェーン108は、アナログRF信号をデジタル形式に変換する。一部の実施形態において、RFチェーン108は、増幅器、フィルタ、混合器、減衰器、及び検出器を含むことができる電子構成要素を含む。
【0037】
アンテナ100はまた、電源ユニット105を含み、アンテナ100の様々なサブシステム又は部分に電力を供給する。
【0038】
アンテナ100はまた、アンテナ100の底部にエンクロージャを形成する端末エンクロージャプラットフォーム106を含む。一部の実施形態において、端末エンクロージャプラットフォーム106は、レドーム101を含むアンテナ100の他の部分に結合される複数の部分を含み、コアアンテナ102を包み込む。
【0039】
図2は、本明細書に記載される1又は2以上のアンテナを含む通信システムの実施例を示している。図2を参照すると、車両200はアンテナ201を含む。一部の実施形態において、アンテナ201は、図1のアンテナ100を含む。
【0040】
一部の実施形態において、車両200は、例えば、限定ではないが、自動車(例、車、トラック、バスなど)、海上車両(例、ボート、舟など)、飛行機(例、旅客機、軍用機、小型飛行機など)などの幾つかの車両の何れか1つを含むことができる。アンテナ201は、車両200が、一時停止しているか、又は移動中の何れにおいても通信するために使用することができる。アンテナ201は、固定位置、同様に、例えばリモートの工事現場(採掘、石油、及びガス)及び/又はリモートの再生可能エネルギーの現場(太陽光発電、風力発電など)と通信するために使用することができる。
【0041】
一部の実施形態において、アンテナ201は、1又は2以上の通信インフラストラクチャ(例、衛星、セルラー、ネットワーク(例、インターネット)など)と通信することができる。例えば、一部の実施形態において、アンテナ201は、衛星220(例、GEO衛星)及び221(例、LEO衛星)、セルラーネットワーク230(例、LTEなど)、並びにネットワークインフラストラクチャ(例、エッジルータ、インターネットなど)と通信することができる。例えば、一部の実施形態において、アンテナ201は、衛星220(例、GEO衛星)及び衛星221(例、LEO衛星)などの様々な衛星との通信を可能にする1又は2以上の衛星モデム(例、GEOモデム、LEOモデムなど)、及びセルラーネットワーク230と通信するための1又は2以上のセルラーモデムを含む。1又は2以上の通信インフラストラクチャと通信するアンテナの別の例として、2020年1月23日に出願された「ダイバース通信ネットワークにおける通信の複数の態様」という名称の米国特許出願シリアル第16/750,439号明細書を参照されたい。
【0042】
一部の実施形態において、様々な衛星との通信を容易にするために、アンテナ201は、動的ビームステアリングを実行する。このような場合、アンテナ201は、様々な衛星との通信を容易にするために生成するビームの方向を動的に変えることができる。一部の実施形態において、アンテナ201は、アンテナ201が2又は3以上のビームを同時に生成できるようにする複数ビームビームステアリングを含み、これによってアンテナ201が1つより多い衛星と同時に通信するのを可能にする。このような機能性は、衛星間を切り替える(例えば、ハンドオーバを実行する)ときに使用されることが多い。例えば、一部の実施形態において、アンテナ201は、衛星220と通信するための第1ビームを生成して使用し、衛星221との通信を確立するために同時に第2ビームを生成する。一部の実施形態において、衛星221との通信を確立した後に、アンテナ201は、第1ビームの生成を中止して衛星220との通信を終了し、同時に第2ビームを使用して衛星221との通信に切り替える。複数ビーム通信の詳しい情報については、2021年7月13日に発表された「ビームスプリッティングハンドオフシステムアーキテクチャ」という名称の米国特許第11,063,661号明細書を参照されたい。
【0043】
一部の実施形態において、アンテナ201は、経路ダイバーシティを使用して、1つの通信経路(例、衛星、セルラーなど)によって起こっている通信セッションを別の通信経路(例、異なる衛星、異なるセルラーシステムなど)とのハンドオーバ中及びハンドオーバ後に継続できるようにする。例えば、アンテナ201が、衛星220と通信中で、ビーム方向を動的に変えることによって衛星221に切り替える場合、衛星220とのセッションは、衛星221によって起こっているセッションと組み合わされる。
従って、本明細書に記載されるアンテナは、ユビキタス通信及び複数の異なる通信接続を可能にする衛星端末の一部とすることができる。
【0044】
送信のシェーピング及びプリディストーション
衛星と衛星ネットワーク端末などの地上局との間の送信をシェーピングして、地上局のアンテナの伝達関数に関連付けられる歪みを打ち消すか又は補償する衛星通信システムの実施形態を本明細書で開示する。一部の実施形態において、これらのアンテナは、平面アンテナである。一部の実施形態において、平面アンテナは、アナログビームフォーミングを実行する。一部の実施形態において、本明細書で開示する技術は、衛星ポインティングと衛星端末の間の関係を活用して、端末の走査角度を推定し、次にこの走査角度におけるアンテナの伝達関数を推定する。推定した走査角度に基づいて、衛星は、地上局のアンテナの伝達関数に関連付けられる歪みを軽減する方法を識別する。
【0045】
一部の実施形態において、アンテナの伝達関数に関連付けられる歪みの軽減は、地上局に送信される信号にプリディストーションを実行するか又はそうでなければ加えることによって達成される。一部の実施形態において、プリディストーションは、衛星によって加えられ、この実施例を以下に記載される。一部の実施形態において、プリディストーションの付加は、衛星が地上局アンテナルック角度に衛星の輪郭を関連付けるために衛星のルック角度をシェーピングして、従ってこれをアンテナの伝達関数に関連付けられるようにする。
【0046】
プリディストーションを実行することによって、信号品質は、例えば、限定ではないが、衛星ビームホッピング、ユーザ端末又は地理的領域に従うビーム、タイトスポットビーム、及び、例えば、「ベネチアンブラインド」輪郭デザインなどのローリングビームなどの新しい衛星アーキテクチャにおける平面アンテナに関して向上される。これらのプリディストーション技術は、再生ペイロードを有しソフトウェア定義のハブインフラストラクチャを備えた衛星を含む衛星に実施することができる。更にまた、この方式でプリディストーションを加えることで、遠いアパーチャの影響を軽減し、これは、増幅器だけを線形化するために一般的にプリディストーションが加えられるのとは対照的である。
【0047】
更にまた、アナログ平面アンテナは、ビームスクイントの影響を受け、瞬時帯域幅(IBW)を低減し、従って大きなアパーチャの性能を制限する。より具体的には、一部のアンテナアパーチャがIBW制限を有する。最終的に、平面アンテナの走査角度が増加するにつれてデータキャリアのBER(ビットエラー率)が高帯域幅で上がる。これは、チャネル全体で振幅及び遅延インバランスを誘導することによってデータキャリアを歪ませるアンテナの伝達関数のせいである。本開示の実施形態に従う技術を使用することで、アンテナは、より大きなチャネル帯域幅(例、大きなキャリア、多くのサブキャリア(OFDMのような)によって予想される高スループットを提示することになる。
【0048】
図3及び4は、平面アンテナのプリディストーションのバリエーションを下に示している。加えられるプリディストーションは、アンテナに関連付けられる走査角度又はルック角度に基づくことができる。走査角度は、アンテナ座標フレームを指し、ルック角度は、一般的には、ルック角度が一定である場合にアンテナの傾きが走査角度を変える2つの間の差を有する地上のポイントのフレームを指す。一部の実施形態において、特定の走査角度情報に基づいて(例えば、アンテナフィードバックから)加えるプリディストーションを選択することで、プリディストーションがルック角度に基づいて選択される場合よりもより正確なプリディストーションの選択を結果として生じることができる。しかしながら、走査角度が利用できない場合、ルック角度に基づいて選択されるプリディストーションは、利点を提供し、特にアンテナのファミリーにサービス提供するビームに対しては単純な実施とすることができる。
【0049】
一部の実施形態において、プリディストーションは、リモートユーザ端末に向けて送信される信号に衛星で加えられる。この実施は、衛星間リンクを包含する衛星に対して融通性のある実施である。一部の実施形態において、衛星通信システムは、パラボラアンテナの使用又は内包が実現可能である場合にプラットフォーム上の平面アンテナにサービス提供することを意図された専用「モビリティ」キャリアを備えた固定スポットビームアーキテクチャを使用する。
【0050】
図3は、異なるサイズであるが同じ走査角度を有する平面アンテナのプリディストーションのバリエーションを示している。図3を参照すると、テレポート/地上局301が、衛星302を介して平面アンテナ310及び311と通信する。一部の実施形態において、アンテナ310及び311は、同じネットワークに参加しているユーザ端末である。一部の実施形態において、アンテナ310及び311は、サイズの異なるアパーチャを有する。一部の他の実施形態において、アンテナ310と311のアパーチャは同じサイズである。たった1つのテレポート、2つの平面アンテナ及び1つの衛星が図3に示されているが、通信システムは、更に多くのテレポート、平面アンテナ及び衛星を含むことができる。
【0051】
アンテナ310及び311の各々は、アンテナ伝達関数321を有する。これらのアンテナ伝達関数321に基づいて、アンテナ310及び311は、受信したスペクトラム322として示される受信スペクトラムを有する。アンテナ伝達関数321の影響により起こる受信信号における歪みを打ち消すために、衛星302は、衛星302からアンテナ310及び311に送信される信号にプリディストーションを加える。換言すると、プリディストーションは、アンテナ310及び311のアンテナ伝達関数によって引き起こされる歪みを補償する。一部の実施形態において、アンテナ310及び311に送信される信号に加えられるプリディストーションは、これらの個々のアンテナ伝達関数の逆数である。一部の実施形態において、プリディストーションは、プリディストーション曲線の形式である。プリディストーション曲線は、アンテナ伝達関数の逆数(又は近似逆数)とすることができる。非線形システムに対しては、モデルが線形化可能であるようにモデルをオーバコンストレインするか又は有効範囲を狭めることによって近似することが一般的である。一部の実施形態において、アンテナ伝達関数は、コンピュータ計算/モデル化及び/又は測定され、コンピューティング/モデリング又は測定の結果が、加えるべき所望のプリディストーションを決定するために使用される。一部の別の実施形態において、加えられるプリディストーションは、アンテナ伝達関数の正確な逆数ではない。これらの別の実施形態の一部において、加えられるプリディストーションは、コンピューテーション負荷を単純化するための(又は利用可能なイコライザタップの数によって制限されるような)低次近似、低減された更新頻度(例えば、ネットワークに又はこのビーム受信範囲に来た時に一度コンピュータ計算する、事前に決められた間隔でのみ更新する(例えば、1日につき1回、必要に応じてなど))、低減された走査角度解像度、ジオメトリック近似対測定データ、半径対称を仮定するための単純化ジオメトリ(例えば、phi/az依存を低減する)、phiにおける平均化、モビリティのための時間平均化方法、走査角度の代わりに地理的位置/ルック角度に基づく逆数、及びサービス領域における全端末に渡る平均化又はMMSEに基づく逆数の1又は2以上に基づく。
【0052】
一部の実施形態において、加えられるプリディストーションは、同じルック角度を有するとしても異なるサイズのアパーチャを有する平面パネルに対して変わる。すなわち、アンテナ310及び311のルック角度が同じである場合、これらのアンテナに送信される信号に加えられるプリディストーション320は、アンテナの異なるサイズのせいで異なるアンテナ伝達関数(アンテナ伝達関数321)に基づいて異なるものにできる。
【0053】
図3は、説明を簡単にするために振幅だけのプリディストーションを示しているが、しかしながら、一部の実施形態においては、プリディストーションが、位相又はグループ遅延にも加えられる点に留意されたい。また、図3では加えられるプリディストーションを向けるために走査角度が使用されるが、代替の実施形態では、代わりにルック角度を使用することができる。
【0054】
一部の実施形態では、衛星通信システムの構成は、同じアパーチャサイズを有するアンテナしか含まない。このようなシステムでは、アンテナのビームによってサービス提供される衛星端末間の関係が衛星に対して固定走査角度を有するので、プリディストーションを加えることはより簡単である。モビリティビームをサービス提供する変調キャリアは、この走査角度における地上アンテナの振幅及びグループ遅延特性を軽減するよう設計されたフィルタによってシェーピングされる。この構成は、多くのレガシーGEOスポットビームに対して及びポインティングが衛星に対して固定されたままのスポットビームを有するLEOに対して有効である。
【0055】
図4は、平面衛星アンテナのアンテナアパーチャの全てが同じサイズであるがこの走査角度が全て異なる衛星通信システムの一部の実施形態を示している。走査角度の全てが異なるので、これらに関連付けられるアンテナ伝達関数は異なる。従って、加えられるプリディストーションの量は、走査角度の違いのせいで変わる変化するアンテナ伝達関数によって変化する。このような場合、アンテナ全てが同じサイズの受信スペクトラムを取得できるように、これらのアンテナに送信され且つこれらのアンテナによって受信される信号の各々に加えられるプリディストーションは異なる。例えば、一部の実施形態において、ネットワークオペレータは、アンテナのファミリー全体で信号品質を最大化することに基づいてプリディストーションを加えることを選択でき、これは、上述のように低フィデリティ近似を結果として生じる可能性がある。だとしても、この広範な補償は、ブロードキャスト/マルチキャストシナリオで特に有用になる。
【0056】
図4を参照すると、テレポート/地上局401は、衛星402を介して平面アンテナ410‐412と通信する。一部の実施形態において、アンテナ410‐412は、同じネットワークにおけるユーザ端末の一部である。一部の実施形態において、アンテナ410‐412は、同じサイズであるアパーチャを有する。たった1つのテレポート、3つの平面アンテナ及び1つの衛星が図4に示されているが、通信システムは、もっと多くのテレポート、平面アンテナ及び衛星を含むことができる。
【0057】
アンテナ410‐412の各々は、アンテナ伝達関数421を有する。これらのアンテナ伝達関数421に基づいて、アンテナ410‐412は、受信スペクトラム422として示される受信スペクトラムを有する。アンテナ伝達関数421の影響のせいで起こる受信信号における歪みを打ち消すために、衛星402は、衛星402からアンテナ410‐412に送信される信号にプリディストーションを加える。換言すると、プリディストーションは、アンテナ410‐412のアンテナ伝達関数によって引き起こされる歪みを補償する。一部の実施形態において、アンテナ410‐412に送信される信号に加えられるプリディストーションは、これらの個々のアンテナ伝達関数に対するコンプリメントである。一部の実施形態において、プリディストーションは、プリディストーション曲線の形式である。プリディストーション曲線は、アンテナ伝達関数の逆数とすることができる。一部の別の実施形態において、加えられるプリディストーションは、アンテナ伝達関数の正確な逆数ではない。
【0058】
一部の実施形態において、加えられるプリディストーションは、異なるルック角度を有するがアパーチャは同じサイズである平面アンテナに対して変わる。すなわち、アンテナ410‐412のアンテナアパーチャは同じとすることができるが、これらのアンテナに送信される信号に加えられるプリディストーション420は、異なるルック角度に関連付けられる異なるアンテナ伝達関数421に基づいて異なる。
【0059】
図4は、説明を簡単にするために振幅だけのプリディストーションを示しているが、しかしながら、一部の実施形態において、プリディストーションは、位相又はグループ遅延にも加えられる点に留意されたい。また、図4では加えられるプリディストーションを向けるために走査角度が使用されるが、代替の実施形態では、代わりにルック角度を使用することができる。
【0060】
図5Aは、衛星の信号を受信している平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる歪みを補償するためにプリディストーションを加える衛星の一部の実施形態のブロック図である。図5Aを参照すると、衛星500は、1又は2以上の平面アンテナに送信することができるデータと共に信号を受信する受信機501を含む。一部の実施形態において、受信信号は、ハブ、テレポート又は他の地上局からである。ルータ502は、受信機501に結合され、衛星500の別のアンテナ505A‐505Cでの送信に信号をルーティングする。
【0061】
衛星500はまた、平面アンテナに送信される信号にプリディストーションを加えるプリディストーションエンジン503A‐503Cを含む。一部の実施形態において、プリディストーションは、平面アンテナの各々に関連付けられる様々な伝達関数を補償するために加えられる。プリディストーションを加えた後に、プリディストーションされた信号は、送信ブロック(例、送信機504A‐504C)の1つと送信ブロックに関連付けられるアンテナ(例、アンテナ505A‐505C)の1つを使用して送信される。衛星500は、複数の送信ブロックを有するので、衛星500は、複数のビームを生成することができる。衛星500は3つのプリディストーションエンジンと3つの送信機しか示していないが、衛星500は、何れの数のプリディストーションエンジン及びこれに関連付けられるアンテナを有する送信機を有することができる点に留意されたい。
【0062】
一部の実施形態において、プリディストーションは、地上局又はテレポートによって信号に加えられ、次に信号は、平面アンテナへの送信のために衛星に送られる。このような場合、プリディストーションエンジンは、地上局/テレポートの一部であり、衛星は、プリディストーションエンジンの代わりに、プリディストーションを加えないパススルーを含む。図5Bは、このような構成の実施例を示す。
【0063】
図6は、プリディストーションエンジンの一部の実施形態を示す。一部の実施形態において、図6のプリディストーションエンジンは、図5の衛星500の一部である。図6を参照すると、プリディストーションエンジン600は、平面アンテナに送信される入力信号にプリディストーションを実行する。一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、入力信号を受信して、これらの入力信号に基づいて、入力信号620に加えられるプリディストーションの量を決定し、衛星の送信機及びアンテナを介して送信するプリディストーションされた信号を出力する。一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、平面アンテナのアンテナ走査角度601、アンテナアパーチャサイズ602、及びアンテナタイプ603を受信して、これらの入力信号に基づいて、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションの量を決定する。一部の実施形態において、アンテナ走査角度601は、例えば、図7Aに関して記載したものなどの走査角度生成器によって計算することができる。一部の別の実施形態において、アンテナ走査角度601は、地上局(例、衛星端末、テレポートなど)によって提供される。一部の別の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、走査角度601の代わりにルック角度を受信して、アンテナに関連付けられるルック角度に少なくとも一部基づいて、加えるプリディストーションを決定する。
【0064】
アンテナタイプ603は、アンテナが有することができる伝達関数のタイプに影響を与える様々な技術タイプを指示する。例えば、アンテナタイプ603は、アンテナが、デジタル、アナログ又はハイブリッドビームフォーミングを実行するかどうかを指示することができる。アンテナタイプ603は、様々な給電設計、同調技術、アレイレイアウト、テーパリング、及びアンテナの様々な伝達関数に全てリードすることができる形状を指示する情報を含むことができる。一部の実施形態において、アンテナタイプ603は、メイク/モデルを指定する情報及びアンテナの何れかの適切な構成を含む。これらの特徴の全ては、アンテナの伝達関数に影響を与えることができ、プリディストーションエンジン600によって使用され、平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる歪みを補償するためにアンテナに送信される信号へのプリディストーションを決定し、次にプリディストーションを加える。アンテナサイズ602及びアンテナタイプ603は、レジストレーション又は配備中に取得することができ、この後に衛星に提供することができる。
【0065】
一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、事前に定義された歪みの量を使用して平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションの量を決定する。プリディストーションの量は、信号に加えられる曲線又は他の関数の形式とすることができる。例えば、一部の実施形態において、一連の同調型/適応型フィルタを使用して、信号にプリディストーションを加えることができる。一部の実施形態において、このようなフィルタは、メモリ(例、メモリ650、ルックアップテーブル(LUT)など)に格納された及び/又はユーザ端末からのフィードバックに基づく情報に従って更新されたタップを備えたデジタルフィルタを含む。一部の実施形態において、これらのプリディストーションの事前に定義された量は、メモリ650などのメモリに格納され、プリディストーションエンジン600がメモリ650にアクセスして、入力で指定されたタイプ、サイズ及び走査角度を有する特定のアンテナに加えられるプリディストーションの指示を取得する。すなわち、一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、例えば、アンテナタイプ603、アンテナサイズ602及びアンテナ走査角度601などの入力610を使用して、メモリ650にアクセスする。一部の実施形態において、メモリ650は、入力610に基づいて加えられるプリディストーションを探すルックアップテーブル(LUT)である。これらの入力に応答して、メモリ650は、選択されたプリディストーション611を提供する。
【0066】
選択されたプリディストーション611は、プリディストーションアプリケータ600Aに入力信号620に加えるべき歪みを指示する。これに応答して、プリディストーションアプリケータ600Aは、選択されたプリディストーション611を使用して、プリディストーションを信号620に加えて、送信のための信号630を生成する。この処理は、衛星が送信している各アンテナに対して実行できる点に留意されたい。
【0067】
一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、1又は2以上の他の入力660に基づいて加えるプリディストーションの量を決定する。一部の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、平面アンテナに送信される信号の波形に基づいて、加えるプリディストーションの量を決定する。一部の別の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、アンテナの温度に基づいて、加えるプリディストーションの量を決定する。一部の更に別の実施形態において、プリディストーションエンジン600は、受信されるフィードバックに基づいて、加えるプリディストーションの量を決定する。一部の実施形態において、フィードバックは、適切なパケットを事前に補償することができるように衛星及び/又はテレポートに返送されるオンターミナルイコライゼーションのユーザ端末からの結果を含む。この場合のプリディストーションの使用は、ユーザ端末の受信機の帯域全体のローカルイコライゼーション及び/又は差異を低減する、及び任意選択的には最小にするための労力として特徴付けることができる。一部の実施形態において、受信機の帯域全体のローカルイコライゼーション及び/又は差異は、システムが較正するために使用することのできるネットワーク(又はパケット構造に組み込まれた)に最初に入るとき、又は単純に他の技術(例、例えば、限定されないが、信号対雑音比(SNR)、エネルギーパービット対雑音パワースペクトル密度比(EsNo)、ビットエラー率(BER)、エラーベクトル振幅(EVM)などの信号品質指標におけるヒルクライミング)を使用することによって、訓練ビットシーケンスの一定のソートによっての何れかで定義される。一部の実施形態において、このようなフィードバックの提供は、パケット構造(少なくともアップリンクで)のある曲線を切り出して、情報(例、イコライザタップ設定など)を衛星に伝えることを要求できる。
【0068】
一部の実施形態において、衛星通信システムの平面アンテナを有するネットワーク端末は、衛星ビームホッピングを実行する。システムが、衛星ビームホッピング、平面アンテナ及びパラボラアンテナのような複数の端末タイプにサービス提供するキャリア、又は様々なサイズの平面パネルにサービス提供するキャリアを使用する時に付加されるものと同様に、動的スポットビームに対して衛星通信システムに付加される複雑さが増すにつれて、システムの複雑さも増す。動的スポットビームは、このビームによってサービス提供される走査範囲に渡って有効である上述のプリディストーションエンジン内のプリディストーション及びパラメータ化モデル又はルックアップテーブル(LUT)へのビームステアリング情報の動的入力を必要とする。ビームが移動するにつれて、プリディストーションエンジンは、更新された走査角度投影に基づいてプリディストーションを再計算する。様々なアンテナタイプ及びサイズを有するネットワーク端末が混合されるようになるので、ルータ(例、図5のルータ502)は、変調されたキャリアに要求されるプリディストーションモデルを同様に関連付ける。
【0069】
図7Aは、走査角度生成器の1つの実施例を示している。図7Aを参照すると、走査角度生成器700は、衛星位置701、平面アンテナのジオロケーション702、及びアンテナの方位703を受信する。入力に応答して、走査角度生成器700は、衛星と通信しようとしている平面アンテナの走査角度704を計算する。
【0070】
図7Bは、ルック角度生成器の1つの実施例を示している。図7Bを参照すると、ルック角度生成器710は、平面アンテナの衛星位置711及びジオロケーション712を受信する。入力に応答して、ルック角度生成器710は、衛星と通信しようとしている平面アンテナのルック角度714を計算する。
【0071】
図8は、平面アンテナに送信する信号にプリディストーションを加える処理の一部の実施形態の流れ図である。方法は、ハードウェア(回路、専用論理など)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用機械で実行されるような)、ファームウェア、又はこれらの組み合わせを含むことができる処理論理によって実行することができる。一部の実施形態において、処理は、衛星によって実行される。
【0072】
図8を参照すると、処理は、平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得する処理論理によって開始する(処理ブロック801)。一部の実施形態において、処理論理は、衛星の位置及び衛星端末のジオロケーションに基づいて走査角度を計算することによって走査角度を取得する。一部の別の実施形態において、処理論理は、地上局(例、テレポートなど)から走査角度を取得する。一部の代替の実施形態において、処理論理は、平面アンテナ自体から走査角度を取得する。
【0073】
アンテナタイプ及び走査角度に基づいて、処理倫理は、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択する(処理ブロック802)。一部の実施形態において、プリディストーションは、走査角度にある平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる。一部の実施形態において、プリディストーションは、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる歪みを補償することである。一部の実施形態において、プリディストーションは、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数のコンプリメントである。一部の実施形態において、プリディストーションの選択は、この平面アンテナのアパーチャサイズに基づく。一部の実施形態において、プリディストーションの選択はまた、送信される信号に使用されている波形、アンテナの温度、及び/又はフィードバック情報の1又は2以上に基づく。
【0074】
平面アンテナに送信される信号に加えられるプリディストーションを決定した後に、処理論理は、信号にプリディストーションを加え(処理ブロック803)、信号を平面アンテナに送信する(処理ブロック804)。一部の実施形態において、信号を平面アンテナに送信する場合にプリディストーションを加えることは、衛星によって実行される。他の実施形態において、プリディストーションは、地上局(例、テレポートなど)によって加えられ、プリディストーションされた信号の送信が、衛星によって実行される。
【0075】
一部の実施形態において、処理は、衛星によって送信された信号を平面アンテナで受信する処理論理を含む(処理ブロック805)。一部の実施形態において、平面アンテナは、アナログビームフォーミングを実行して信号を受信する。
【0076】
一部の実施形態において、処理は更に、平面アンテナによって生成されたビームの動きに応答して更新された走査角度投影に基づいてプリディストーションを再計算する処理論理を含む(処理ブロック806)。平面アンテナの走査角度は、平面アンテナが移動するにつれて変化する。このような移動は、平面アンテナに取り付けられた車両(又は車)、海上船舶又は他の物体の動きによるものとすることができる。
【0077】
上述のプリディストーション処理には幾つかの付加的な代替が存在する。例えば、本明細書で開示する技術は、同様に地上通信(例、mm波5G)にも実行することができる。このような場合、一部の実施形態において、プリディストーション処理は、ハンドセットで実行することができる。一部の他の実施形態において、プリディストーションは、キャリアが発生する場所(フォワード(FWD)リンクの場合はハブ/テレポート)の何れからも実施することができる。
【0078】
本明細書に記載される幾つかの例示的実施形態が存在する。
【0079】
実施例1は、衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップと、タイプ及び走査角度に基づいて、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、プリディストーションを信号に加えるステップと、衛星端末の平面アンテナに信号を送信するステップとを含む方法である。
【0080】
実施例2は、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数を推定するステップを任意選択的に含むことができる実施例1の方法である。
【0081】
実施例3は、プリディストーションが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられることを任意選択的に含むことができる、実施例1の方法である。
【0082】
実施例4は、プリディストーションが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数の逆数であることを任意選択的に含むことができる、実施例3の方法である。
【0083】
実施例5は、プリディストーションを選択するステップが、平面アンテナのアパーチャサイズに基づくことを任意選択的に含むことができる、実施例1の方法である。
【0084】
実施例6は、プリディストーションを選択するステップが、波形、アンテナの温度、及びフィードバック情報からなるグループから選択される1又は2以上に基づくことを任意選択的に含むことができる実施例5の方法である。
【0085】
実施例7は、プリディストーションが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる歪みを補償することを任意選択的に含むことができる実施例1の方法である。
【0086】
実施例8は、プリディストーションを加えるステップ及び平面アンテナに信号を送信するステップが、衛星によって実行されることを任意選択的に含むことができる実施例1の方法である。
【0087】
実施例9は、アナログビームフォーミングを実行する平面アンテナによって、衛星によって送信された信号を受信するステップを任意選択的に含むことができる実施例8の方法である。
【0088】
実施例10は、衛星位置及び衛星端末のジオロケーションに基づいて走査角度を計算するステップを任意選択的に含むことができる実施例1の方法である。
【0089】
実施例11は、平面アンテナによって生成されたビームの動きに応答して更新された走査角度投影に基づいてプリディストーションを再計算するステップを任意選択的に含むことができる実施例11の方法である。
【0090】
実施例12は、衛星端末の平面アンテナに送信されるデータを受信する受信機と、少なくとも一部ハードウェアにて実施されるプリディストーションエンジンであって、1又は2以上のプロセッサに、衛星端末の平面アンテナのタイプ及び走査角度を取得するステップと、タイプの指示及び走査角度に基づいて、平面アンテナに送信されるデータを備えた信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、プリディストーションを信号に加えるステップと、を行わせるプリディストーションエンジンと、衛星端末の平面アンテナに信号を送信する送信機と、を含む衛星である。
【0091】
実施例13は、プリディストーションエンジンが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数を推定するよう動作することを任意選択的に含むことができる実施例12の衛星である。
【0092】
実施例14は、プリディストーションが、走査角度の平面アンテナの伝達関数に関連付けられる歪みを補償するために、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられる、ことを任意選択的に含むことができる実施例12の衛星である。
【0093】
実施例15は、プリディストーションが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数の逆数であることを任意選択的に含むことができる実施例14の衛星である。
【0094】
実施例16は、プリディストーションを選択するステップが、平面アンテナのアパーチャサイズに基づくことを任意選択的に含むことができる実施例12の衛星である。
【0095】
実施例17は、プリディストーションを選択するステップが、波形、温度、及びフィードバック情報からなるグループから選択される1又は2以上に基づくことを任意選択的に含むことができる実施例16の衛星である。
【0096】
実施例18は、少なくともプロセッサ及びメモリを有するシステムによって実行されたときに、システムに方法を実行させる命令を格納している非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体であって、本方法は、衛星端末の平面アンテナのタイプの指示及び走査角度を決定するステップと、タイプの指示及び走査角度に基づいて、平面アンテナに送信される信号に加えるプリディストーションを選択するステップと、信号にプリディストーションを加えるステップと、衛星端末の平面アンテナに信号を送信するステップと、を含む。
【0097】
実施例19は、プリディストーションが、走査角度での平面アンテナのアンテナ伝達関数に関連付けられることを任意選択的に含むことができる実施例18の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体である。
【0098】
実施例20は、プリディストーションを選択するステップが、平面アンテナのアパーチャサイズに基づくことを任意選択的に含むことができる実施例18の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体である。
【0099】
本明細書に記載される方法及びタスクの全ては、コンピュータシステムによって実行し且つ完全に自動化することができる。コンピュータシステムは、場合によっては、ネットワークを通じて通信し相互運用する複数の別個のコンピュータ又はコンピューティングデバイス(例えば、物理的サーバ、ワークステーション、ストレージアレイ、クラウドコンピューティング資源など)を含み、記載した機能を実行することができる。各々のこのようなコンピューティングデバイスは、典型的には、メモリ又は他の非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体又はデバイス(例えば、固体ストレージデバイス、ディスクドライブなど)に格納されたプログラム命令又はモジュールを実行するプロセッサ(又は複数のプロセッサ)を含む。本明細書で開示する様々な機能は、このようなプログラム命令で実施することができるか、又はコンピュータシステムの特定用途向け集積回路(例えば、ASIC又はFPGA)で実施することができる。コンピュータシステムが複数のコンピューティングデバイスを含む場合、これらのデバイスは、同一場所に位置付けることができるが、必須ではない。開示する方法及びタスクの結果は、固体メモリチップ又は磁気ディスクなどの物理的ストレージデバイスを異なる状態に変換することによって持続的に格納することができる。幾つかの実施形態において、コンピュータシステムは、処理資源が複数の別個のビジネスエンティティ又は他のユーザによって共有されるクラウドベースのコンピューティングシステムとすることができる。
【0100】
実施形態に応じて、本明細書に記載される処理又はアルゴリズムの何れかの一定の動作、事象、又は機能を、異なるシーケンスで実行し、追加、統合、又は共に除外することができる(例えば、記載した動作又は事象の全てがアルゴリズムの実施に必要であることはない)。更にまた、特定の実施形態において、動作又は事象は、同時に、例えば、連続ではなく、マルチスレッド処理、割り込み処理、又は複数のプロセッサ又はプロセッサコア又は他の並行アーキテクチャによって実行することができる。
【0101】
本明細書に開示する実施形態に関して記載した様々な例証の論理的ブロック、モジュール、ルーチン、及びアルゴリズムステップは、電子ハードウェア(例えば、ASIC又はFPGAデバイス)、コンピュータハードウェアにて実行されるコンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実施することができる。更にまた、本明細書で開示する実施形態に関して記載した様々な例証の論理的ブロック及びモジュールは、プロセッサデバイス、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又は他のプログラマブル論理デバイス、離散的ゲート又はトランジスタ論理、離散的ハードウェア構成要素、又は本明細書に記載される機能を実行するよう設計されたこれらの何れかの組み合わせなどの機械によって実施又は実行することができる。プロセッサデバイスは、マイクロプロセッサとすることができるが、代替では、プロセッサデバイスは、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械、同様の組み合わせなどとすることができる。プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理するよう構成された電子回路を含むことができる。別の実施形態において、プロセッサデバイスは、コンピュータ実行可能命令を処理することなく論理動作を実行するFPGA又は他のプログラマブルデバイスを含む。プロセッサデバイスは、コンピュータデバイスの組み合わせとして、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連動した1又は2以上のマイクロプロセッサ、又は何れかの他のこのような構成として実施することもできる。本明細書ではデジタル技術に関して主に説明してきたが、プロセッサデバイスは、主としてアナログの構成要素を含むこともできる。例えば、本明細書に記載される表示される技術の一部又は全部を、アナログ回路又はアナログとデジタルを混合した回路で実施することができる。コンピューティング環境は、限定ではないが、例を挙げると、マイクロプロセッサ、メインフレームコンピュータ、デジタル信号プロセッサ、携帯式コンピューティングデバイス、デバイスコントローラ、又は機器内のコンピュータエンジンに基づくコンピュータシステムを含むコンピュータシステムの何れのタイプも含むことができる。
【0102】
本明細書で開示する実施形態に関して記載した方法、処理、ルーチン、又はアルゴリズムの要素は、ハードウェアにて直接、プロセッサデバイスによって実行されるソフトウェアモジュールで、又は両方の組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、取外し可能ディスク、CD-ROM、又は非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体の何れかの他の形態に常駐させることができる。例示的ストレージ媒体は、プロセッサデバイスが、ストレージ媒体から情報を読み取り且つストレージ媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサデバイスに結合することができる。代替では、ストレージ媒体は、プロセッサデバイスに一体化させることができる。プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ASICに常駐させることができる。ASICは、ユーザ端末に常駐させることができる。代替では、プロセッサデバイス及びストレージ媒体は、ユーザ端末の離散的な構成要素として常駐させることができる。
【0103】
とりわけ、「can(できる)」、「could(できた)」、「might(可能性があった)」、「may(可能性がある)」、「e.g.,(例えば)」などの本明細書で用いる条件的表現は、他に明示的に示されない限り、又は使用される文脈内でこれ以外に理解されない限り、一般的には、特定の実施形態が、一定の特徴、要素又はステップを含み、他の実施形態は含まないことを伝えるものとする。従って、このような条件的表現は、一般的には、特徴、要素又はステップが、1又は2以上の実施形態に多少なりとも必要である、或いは、これらの特徴、要素又はステップが、何れかの特定の実施形態に含まれるか又は何れかの特定の実施形態で実行されるべきであるかどうかを、他の入力又は指示のあり又はなしで決定する論理を必ず含むことを意味するものではない。「comprising(含む)」、「including(内包する)」、「having(有する)」などの語は、同義であり、包含的に、制約のない方式で用いられ、追加の要素、特徴、動作、作動などを除外するものではない。また、「or」という語は、例えば使用された時に、要素のリストを繋げるためであり、「or(又は)」という語は、リストにある要素の1つ、一部、又は全部を意味するような包含的な意味で(排他的な意味でなく)用いられる。
【0104】
「X、Y、又はZの少なくとも1つ」という表現などの離接的表現は、他に明示的に示されない限り、通常であれば、項目、項などが、X、Y、又はZの何れか、又はこの何れかの組み合わせ(例えば、X、Y、又はZ)とすることができることを示すために一般的に用いられる文脈で理解される。従って、このような離接的表現は、一般的には、特定の実施形態が、Xの少なくとも1つ、Yの少なくとも1つ、及びZの少なくとも1つが各々存在することを必要とすることを意図しておらず、意図すべきでない。
【0105】
上記の詳細な説明は、様々な実施形態に加えられる新しい特徴を示し、記載し、指摘しており、例証するデバイス又はアルゴリズムの形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更が、本開示の精神から逸脱することなく行い得ることは理解できる。認識できるように、一部の特徴が、他の特徴とは別に使用又は実施することができるので、本明細書に記載される特定の実施形態は、本明細書に示された特徴及び利点の全てを提供しない形態内で実施することができる。本明細書で開示される特定の実施形態の範囲は、上述の明細書によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示される。請求項の均等物の意味及び範囲内で生じる全ての変更は、これらの範囲内に包含されるものとする。
【符号の説明】
【0106】
100 アンテナ
101 レドーム
102 コアアンテナ
103 アンテナ支持プレート
104 アンテナ制御ユニット
105 電源ユニット
106 端末エンクロージャプラットフォーム
107 通信モジュール
108 RFチェーン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
【国際調査報告】