(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】乾燥ナノ粒子組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7088 20060101AFI20240920BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20240920BHJP
A61K 9/107 20060101ALI20240920BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20240920BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240920BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240920BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240920BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240920BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240920BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240920BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20240920BHJP
C12N 5/10 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
A61K31/7088
A61K9/00
A61K9/107
A61K9/19
A61K47/22
A61K47/44
A61K47/06
A61K47/24
A61K47/14
A61K47/02
A61K47/26
A61K31/7105
A61K48/00
A61P37/04
A61K31/711
A61K47/18
C12N15/88 Z ZNA
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518361
(86)(22)【出願日】2022-01-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 US2022013508
(87)【国際公開番号】W WO2023048758
(87)【国際公開日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522375693
【氏名又は名称】エイチディーティー バイオ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】リード, スティーブン グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】カーター, ダリック アルバート
(72)【発明者】
【氏名】カンダール, アミット プラフル
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA05
4C076AA17
4C076AA29
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4C076GG05
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4C084AA13
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4C084NA03
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4C086NA13
4C086ZB09
(57)【要約】
核酸の対象への送達における使用のための、乾燥組成物およびそのような組成物を調製するための方法が本明細書に提供される。乾燥組成物は、脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア、1つまたは複数の核酸、ならびに少なくとも1つの凍結保護物質を含み得る。これらの処置のための乾燥組成物を使用する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥組成物であって、
(a)脂質キャリアであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;
(b)1つまたは複数の核酸;ならびに
(c)少なくとも1つの凍結保護物質
を含む乾燥組成物。
【請求項2】
凍結乾燥されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
噴霧乾燥されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
摂氏約25度で熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
摂氏約45度で熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
摂氏約-20度で熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記疎水性コアが、油を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記1つまたは複数の無機ナノ粒子が、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質である、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記脂質キャリアが、必要に応じて、少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
前記疎水性界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含み;前記親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記脂質キャリアが、約0.1~約0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記1つまたは複数の核酸が、RNAである、請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
前記RNAが、自己複製性RNAである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記1つまたは複数の核酸が、前記脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、請求項1に記載の組成物。
【請求項23】
前記脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられる前記脂質キャリアの前記1つまたは複数の核酸に対するモル比が、約1:1~約150:1の範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項25】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロースである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約1%w/v~約40%w/vである、請求項1に記載の組成物。
【請求項28】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/v~約20%w/vである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/vである、請求項27に記載の組成物。
【請求項30】
好適な希釈剤中で再構成された請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項31】
前記希釈剤が、水性である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記希釈剤が、水である、請求項30に記載の医薬組成物。
【請求項33】
請求項30に記載の医薬組成物、および対象への投与のための送達システムを含むキット。
【請求項34】
請求項30に記載の医薬組成物、および必要に応じて1つまたは複数のワクチンアジュバントを含むワクチン送達システム。
【請求項35】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項36】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項37】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の請求項30に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項38】
凍結乾燥組成物を調製するための方法であって、
(a)脂質キャリアを得るステップであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;
(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;
(c)少なくとも1つの凍結保護物質を前記脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに
(d)前記製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項39】
噴霧乾燥組成物を調製するための方法であって、
(a)脂質キャリアを得るステップであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;
(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;
(c)少なくとも1つの凍結保護物質を前記脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに
(d)前記製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップ
を含む、方法。
【請求項40】
凍結乾燥組成物を再構成するための方法であって、
(a)脂質キャリアを得るステップであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;
(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;
(c)少なくとも1つの凍結保護物質を前記脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;
(d)前記製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップ;ならびに
(e)好適な希釈剤中で前記凍結乾燥組成物を再構成するステップ
を含む、方法。
【請求項41】
噴霧乾燥組成物を再構成するための方法であって、
(a)脂質キャリアを得るステップであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;
(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;
(c)少なくとも1つの凍結保護物質を前記脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;
(d)前記製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップ;ならびに
(e)好適な希釈剤中で前記噴霧乾燥組成物を再構成するステップ
を含む、方法。
【請求項42】
前記希釈剤が、水性である、請求項40および41に記載の方法。
【請求項43】
前記希釈剤が、水である、請求項40および41に記載の方法。
【請求項44】
前記凍結乾燥組成物が、熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項45】
前記凍結乾燥組成物が、摂氏約25度で熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項46】
前記凍結乾燥組成物が、摂氏約45度で熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項47】
前記凍結乾燥組成物が、摂氏約-20度で熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項48】
前記凍結乾燥組成物が、摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項49】
前記凍結乾燥組成物が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である、請求項38および40に記載の方法。
【請求項50】
前記疎水性コアが、油を含む、請求項38~41に記載の方法。
【請求項51】
前記油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記1つまたは複数の無機ナノ粒子が、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項38~41に記載の方法。
【請求項53】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項38~41に記載の方法。
【請求項54】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質である、請求項38~41に記載の方法。
【請求項55】
前記カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記脂質キャリアが、必要に応じて、1つまたは複数の界面活性剤を含む、請求項38~41に記載の方法。
【請求項57】
前記1つまたは複数の界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記疎水性界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含み;前記親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記脂質キャリアが、約0.1~約0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、請求項38~41に記載の方法。
【請求項60】
前記1つまたは複数の核酸が、RNAである、請求項38~41に記載の方法。
【請求項61】
前記RNAが、自己複製性RNAである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記1つまたは複数の核酸が、前記脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、請求項38~41に記載の方法。
【請求項63】
前記脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項38~41に記載の方法。
【請求項65】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロースである、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約1%w/v~約20%w/vである、請求項38~41に記載の方法。
【請求項67】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/v~約20%w/vである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/vである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタンエステル、カチオン性脂質、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物。
【請求項70】
前記ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノステアレートである、請求項69に記載の組成物。
【請求項71】
前記エトキシ化ソルビタンエステルが、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートである、請求項69に記載の組成物。
【請求項72】
前記カチオン性脂質が、DOTAPである、請求項69に記載の組成物。
【請求項73】
前記免疫刺激物質が、スクアレンである、請求項69に記載の組成物。
【請求項74】
前記エステルの比が、8~11の親水性-親油性バランスを生じさせる、請求項69に記載の組成物。
【請求項75】
前記エステルおよび脂質の比が、30nm~200nmの粒子径を生じさせる、請求項69に記載の組成物。
【請求項76】
前記エステルおよび脂質の比が、40nm~70nmの粒子径を生じさせる、請求項69に記載の組成物。
【請求項77】
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物。
【請求項78】
前記免疫刺激物質が、産生されるタンパク質の総量を減少させるが、ワクチンに対する免疫応答を増加させる、請求項69~77に記載の組成物。
【請求項79】
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、およびスクアレンを含み、固体粒子を含まない、請求項77に記載の組成物。
【請求項80】
前記エステルの比が、8~11の親水性-親油性バランスを生じさせる、請求項77に記載の組成物。
【請求項81】
前記粒子径が、30nm~200nmである、請求項77に記載の組成物。
【請求項82】
N:Pの比が、5~35である、請求項77に記載の組成物。
【請求項83】
前記免疫刺激物質が、産生されるタンパク質の総量を増加させるが、ワクチンに対する免疫応答を減少させる、請求項69および77に記載の組成物。
【請求項84】
前記免疫刺激物質が、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、または飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステルである、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
乾燥組成物であって、
a)脂質キャリアであって、前記脂質キャリアが、疎水性コア、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;
b)必要に応じて1つまたは複数の核酸;ならびに
c)(i)前記乾燥組成物の少なくとも約50重量%、または(ii)少なくとも約50mgの量で存在する少なくとも1つの糖
を含む乾燥組成物。
【請求項86】
凍結乾燥されている、請求項85に記載の組成物。
【請求項87】
摂氏約25度で熱的に安定である、請求項85に記載の組成物。
【請求項88】
摂氏約45度で熱的に安定である、請求項85に記載の組成物。
【請求項89】
摂氏約-20度で熱的に安定である、請求項85に記載の組成物。
【請求項90】
摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、請求項85に記載の組成物。
【請求項91】
少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である、請求項85に記載の組成物。
【請求項92】
前記疎水性コアが、油を含む、請求項85に記載の組成物。
【請求項93】
前記油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項85に記載の組成物。
【請求項95】
前記1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質を含む、請求項94に記載の組成物。
【請求項96】
前記カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLin-DMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項94に記載の組成物。
【請求項97】
前記脂質キャリアが、少なくとも1つの界面活性剤を含む、請求項85に記載の組成物。
【請求項98】
前記少なくとも1つの界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項97に記載の組成物。
【請求項99】
前記疎水性界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含み;前記親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、請求項98に記載の組成物。
【請求項100】
前記脂質キャリアが、約0.1~約0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、請求項85に記載の組成物。
【請求項101】
前記1つまたは複数の核酸が、DNAである、請求項85に記載の組成物。
【請求項102】
前記1つまたは複数の核酸が、RNAである、請求項85に記載の組成物。
【請求項103】
前記RNAが、自己複製性RNAである、請求項102に記載の組成物。
【請求項104】
前記1つまたは複数の核酸が、前記脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、請求項85に記載の組成物。
【請求項105】
前記脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、請求項104に記載の組成物。
【請求項106】
窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられる前記脂質キャリアの前記1つまたは複数の核酸に対するモル比が、約1:1~約150:1の範囲である、請求項85に記載の組成物。
【請求項107】
前記少なくとも1つの糖が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項85~106のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項108】
前記少なくとも1つの糖が、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300mg、またはそれよりも多くの量で存在する、請求項85~107のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項109】
前記少なくとも1つの糖が、50mg~250mgの量で存在する、請求項85に記載の組成物。
【請求項110】
前記少なくとも1つの糖が、少なくとも約250mgの量で存在する、請求項85に記載の組成物。
【請求項111】
前記糖が、組成物の少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95重量%、またはそれよりも多くの量で存在する、請求項85~107のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項112】
前記糖が、組成物の80~98重量%、必要に応じて94~96重量%の量で存在する、請求項85に記載の組成物。
【請求項113】
前記糖が、組成物の約95重量%の量で存在する、請求項85に記載の組成物。
【請求項114】
前記少なくとも1つの糖が、スクロースを含む、請求項85~113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項115】
前記疎水性コアが、1つまたは複数の無機ナノ粒子を含む、請求項85~113のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項116】
前記1つまたは複数の無機ナノ粒子が、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項115に記載の組成物。
【請求項117】
前記1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO
2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)
x(PO
4)
y)、リン酸カルシウム(Ca
3(PO
4)
2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、請求項115に記載の組成物。
【請求項118】
前記1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe
3O
4)、マグヘマイト(y-Fe
2O
3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe
2O
3)、またはそれらの任意の組合せを含む、請求項115に記載の組成物。
【請求項119】
最大で約200マイクログラム(μg)の量で存在する核酸;
最大で約1.5mg/mlの濃度で存在するカチオン性脂質;
最大で約0.01mg/mlの濃度で存在する酸化鉄;
最大で約1.88mg/mlの濃度で存在するスクアレン;
最大で約1.86mg/mlの濃度で存在するソルビタンモノステアレート;
最大で約1.86mg/mlの濃度で存在するポリソルベート80;
最大で約50mg/mlの濃度で存在するスクロース;および
必要に応じて最大で約2.1mg/mlの濃度で存在するクエン酸一水和物
を含む組成物。
【請求項120】
前記核酸が、RNAまたはDNAである、請求項119に記載の組成物。
【請求項121】
前記核酸が、RNAであり、最大で約50μgの量で存在する、請求項119に記載の組成物。
【請求項122】
好適な希釈剤中で再構成された請求項85~118のいずれか一項に記載の組成物および薬学的に許容される担体、または請求項119~121のいずれか一項に記載の組成物を含む医薬組成物。
【請求項123】
前記希釈剤が、水性である、請求項122に記載の医薬組成物。
【請求項124】
前記希釈剤が、水である、請求項123に記載の医薬組成物。
【請求項125】
請求項122に記載の医薬組成物、および対象への投与のための送達システムを含むキット。
【請求項126】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の請求項123に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項127】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の請求項120に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【請求項128】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の請求項122に記載の医薬組成物を前記対象に投与するステップを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年9月22日に出願された米国仮特許出願第63/247,172号、および2022年1月7日に出願された米国仮特許出願第63/297,449号に対する優先権の利益を主張し、それらのそれぞれの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体がこれにより参照により本明細書に組み込まれる、配列表を含む。2022年1月18日に作成された前記ASCIIコピーは、201953-712601_SL.txtという名称であり、3,396バイトのサイズである。
【背景技術】
【0002】
背景
ワクチンを含む各種の治療用および予防用製品が、疾患のために利用可能である。そのような製品に対する産業界における課題は、安定性である。そのような製品の多くは、安定性を維持するために、低温で維持されなければならず、高価な冷却ユニットまたは液体窒素を必要とする。そのため、治療用および予防用製品が最小限の冷却の必要性でまたは室温で安定である、溶液の製造、組成物、およびそれらの使用に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
簡潔な概要
乾燥組成物である組成物が本明細書に提供される。脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;1つまたは複数の核酸;ならびに少なくとも1つの凍結保護物質を含む、組成物が本明細書に提供される。
【0004】
好適な希釈剤中で再構成された乾燥組成物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物が本明細書にさらに提供される。
【0005】
本明細書に提供される乾燥組成物を含む医薬組成物;および対象への投与のための送達システムを含む、キットが本明細書にさらに提供される。
【0006】
医薬組成物および必要に応じて1つまたは複数のワクチンアジュバントを含む、ワクチン送達システムが本明細書にさらに提供される。
【0007】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0008】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0009】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0010】
凍結乾燥組成物を調製するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに(d)製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0011】
噴霧乾燥組成物を調製するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに(d)製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0012】
凍結乾燥組成物を再構成するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップ;ならびに(d)好適な希釈剤中で凍結乾燥組成物を再構成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0013】
噴霧乾燥組成物を再構成するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;(d)製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップ;ならびに(e)好適な希釈剤中で噴霧乾燥組成物を再構成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0014】
ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタンエステル、カチオン性脂質、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。
【0015】
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。
【0016】
(a)脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;(b)必要に応じて1つまたは複数の核酸;ならびに(c)(i)乾燥組成物の少なくとも約50重量%、または(ii)少なくとも約50mgの量で存在する少なくとも1つの糖を含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。
【0017】
好適な希釈剤中で再構成された本明細書に提供される乾燥組成物;および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物が本明細書にさらに提供される。
【0018】
本明細書に提供される医薬組成物および対象への投与のための送達システムを含む、キットが本明細書にさらに提供される。
【0019】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0020】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0021】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1A~1Cは、ナノ粒子(NP)キャリアの概略図を示す。
図1Aは、水中油型エマルジョンを示す。
図1Bは、ナノ構造脂質キャリア(NLC)を示す。
図1Cは、液状油中に無機ナノ粒子を有するナノ粒子を示す。
【0023】
【
図2】
図2は、凍結乾燥サイクル#1後の時間=0時間での示された糖組成におけるナノ構造脂質キャリア(NLC)および脂質キャリア製剤についてのケーキの外観を図示する。
【0024】
【
図3】
図3は、凍結乾燥サイクル#1後の摂氏25度および摂氏42度で24時間後の示された糖組成におけるナノ構造脂質キャリア(NLC)および脂質キャリア製剤についてのケーキの外観を図示する。
【0025】
【
図4】
図4は、凍結乾燥サイクル#1後の摂氏25度および摂氏42度で24時間での示された糖組成におけるナノ構造脂質キャリア(NLC)および脂質キャリア製剤の外観を図示する。
【0026】
【
図5A】
図5A~5Bは、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成における摂氏25度および摂氏42度で貯蔵後1日後の再構成ケーキの粒子径を図示する。
図5Aは、示された糖組成における時間=0時間での液体製剤と比べた倍数変化を示す。
図5Bは、示された糖組成におけるPDIの時間=0時間での液体製剤と比べた点変化を示す。
【0027】
【
図6】
図6A~6Bは、脂質キャリア+RNAおよびNLC+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を図示する。
図6Aは、脂質キャリア+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を示す。
図6Bは、脂質キャリア+RNAおよびNLC+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を示す。
【0028】
【
図7-1】
図7A~7Gは、脂質キャリア+repRNAおよびNLC+repRNA-SEAP製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるBHK21細胞のSEAP発現を図示する。
図7Aは、10%のトレハロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Bは、5%のマンニトールにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Cは、10%のスクロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Dは、20%のスクロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Eは、5%のグルコースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Fは、10%のマルトースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Gは、10%のスクロースにおけるNLC+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
【0029】
【
図8】
図8は、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるさまざまな時点(時間=0時間、摂氏25度で6日後および摂氏25度で1か月後)での脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観を図示する。
【0030】
【
図9】
図9は、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるさまざまな時点(時間=0時間、摂氏42度で24時間後、摂氏42度で3日後および摂氏42度で1か月後)での脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観を図示する。
【0031】
【
図10】
図10A~10Bは、凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成における貯蔵1日後の再構成ケーキの粒子径を図示する。
図10Aは、示された糖組成における再構成製剤のPDIの点変化を示す。
図10Bは、脂質キャリア+RNAの新鮮な複合体と比べた粒子径のlog
10倍数変化を示す。
【0032】
【
図11】
図11は、凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を図示する。
【0033】
【
図12】
図12は、凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成におけるBHK21細胞のSEAP発現を図示する。
【0034】
【
図13A】
図13A~13Bは、miglyol-脂質キャリア製剤が、マクロファージにおいて増強されたrepRNAタンパク質産生を誘導することを示す。
図13Aは、第1の実験におけるNano LuciferaseコードレプリコンRNAを有するさまざまな製剤の吸収スペクトルを示す。
図13Bは、第2の実験におけるNano LuciferaseコードレプリコンRNAを有するさまざまな製剤の吸収スペクトルを示す。
【0035】
【
図14A】
図14A~14Bは、miglyol製剤によるマクロファージのTNF-アルファ(α)産生の低減を示す。
図14Aは、第1の実験におけるさまざまな製剤についてのTNF-アルファの産生を示す。
図14Bは、第2の実験におけるさまざまな製剤についてのTNF-アルファの産生を示す。
【0036】
【
図15】
図15A~15Bは、miglyol製剤によるマクロファージのタンパク質産生の増強と低TNF-アルファ産生との間の相関を示す。
図15Aは、第1の実験におけるさまざまな製剤についてのsec-NanoLucとTNF-アルファとの間の相関を示す。
図15Bは、第2の実験におけるさまざまな製剤についてのsec-NanoLucとTNF-アルファとの間の相関を示す。
【0037】
【
図16-1】
図16A~16Fは、種々の反復の脂質キャリア-製剤化DNA SEAPが筋肉内注射されたBALB/cマウスにおけるSEAPレベルを図示する。
図16Aは、4日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Bは、6日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Cは、8日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Dは、4日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
図16Eは、6日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
図16Fは、8日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
【0038】
【
図17】
図17は、条件1~14についての、Y軸にZ平均測定および多分散指数(PDI)の測定値、ならびにX軸に群番号を有する棒グラフである。
【0039】
【
図18】
図18A~18Bは、条件1~14についての抗D614GのIgGレベルを示すドットチャートを示す。
図18Aは、条件1~14についての、Y軸にIgG(μg/ml)、およびX軸に群番号を有するドットチャートを示す。測定値を、抗D614G(1:40希釈)のIgG応答について、14日目に記録した。
図18Bは、条件1~14についての、Y軸にIgG(μg/ml)、およびX軸に群番号を有するドットチャートを示す。測定値を、抗D614G(1:200希釈)のIgG応答について、28日目に記録した。
【0040】
【
図19】
図19は、Y軸に抗D614G(1:200希釈)のIgG(μg/ml)測定値、およびX軸に貯蔵条件の指示を有する、28日目のドットチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
詳細な説明
ここに、さまざまな態様を、本明細書の以下でより完全に記載する。そのような態様は、しかしながら、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書に示される実施形態に限定されるとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的および完全なものであり、その範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
【0042】
増強された安全性プロファイルを有する治療的に関連する組成物の作製のための方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、組成物は、必要に応じて核酸と複合体化された、脂質ナノ粒子キャリアを含む。さらなる実施形態では、組成物は、凍結乾燥されている。
定義
【0043】
すべての定義は、本明細書で定義および使用される場合、辞書による定義、参照により組み込まれた文献における定義、および/または定義された用語の通常の意味を制御するものと理解されるべきである。
【0044】
本明細書に開示されるすべての参考文献、特許および特許出願は、それぞれが引用される主題に関して参照によって組み込まれ、一部の事例では、文献の全体を包含することがある。特許文献および非特許文献を含む本明細書に開示されるすべての参考文献は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、それらの全体が、これにより参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、明白な定義を含有する特許、特許出願、または刊行物が参照により組み込まれる場合、これらの明白な定義は、それらが見出される組み込まれた特許、特許出願、または刊行物に適用され、本出願の本文、特に、本出願の特許請求の範囲に必ずしも適用されず、その場合には、本明細書に提供される定義が優先されることを意味するものとすると理解されるべきである。
【0045】
不定冠詞の「a」および「an」は、明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、対照的に明確に指示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0046】
「および/または」という語句は、明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、そのように結合された要素、すなわち、一部の事例において結合的に存在し、他の事例において分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」を用いて列挙された複数の要素は、同じ方式で、すなわち、そのように結合された要素の「1つまたは複数」と解釈されるべきである。他の要素は、具体的に特定された要素に関連するまたは関連しないかどうかにかかわらず、「および/または」節によって具体的に特定される要素以外に、必要に応じて存在していてもよい。そのため、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンドの語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(必要に応じて、B以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(必要に応じて、A以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(必要に応じて、他の要素を含む)などを指すことができる。
【0047】
明細書および特許請求の範囲において本明細書で使用される場合、「または」は、上記で定義された「および/または」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リスト中の項目を分ける場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、必要に応じて、追加の列挙されていない項目を含むとして解釈されるべきである。「の1つのみ」もしくは「の正確に1つ」、または特許請求の範囲で使用される場合に「からなる」などの、明確に逆のことが示されている用語のみが、要素の数またはリストの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、「または」という用語は、本明細書で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「のただ1つ」、または「の正確に1つ」などの排他的な用語が先行する場合に、排他的代替(すなわち、「どちらか一方であるが、両方ではない」)を示すとして単に解釈されるものとする。「から本質的になる」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用されるその通常の意味を有するものとする。
【0048】
本開示の組成物は、開示される構成要素を含み得るか、それから本質的になり得るか、またはそれからなり得る。
【0049】
本明細書で使用される場合、「必要に応じた」または「必要に応じて」は、その後に記載される状況が生じてもよく、または生じなくてもよいことを意味し、その結果、その記載は、状況が生じる例および状況が生じない例を含む。
【0050】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、所与の値の最大で±20%の範囲を意味する。特定の値が本出願および特許請求の範囲に記載される場合、他に述べられない限り、「約」という用語は、黙示的であり、この文脈では、特定の値についての許容される誤差範囲内を意味する。
【0051】
本明細書で使用される場合、「N/Pの比(またはN:P)」という用語は、正に荷電したポリマーアミン(N=窒素)基の負に帯電した核酸ホスフェート(P)基に対する比を指す。ポリマー/核酸複合体のN/Pの特徴は、その正味の表面電荷、サイズ、および安定性などの多くの他の性質に影響を及ぼし得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「改変ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの窒素塩基(例えば、シトシン(C)、チミン(T)もしくはウラシル(U)、アデニン(A)またはグアニン(G))中のまたはその上の1つまたは複数の化学改変(例えば、置換)を含有するヌクレオチドを指す。
【0053】
値の範囲が本明細書に提供される場合、文脈が明確に他を指示しない限り、その範囲の上限および下限と、その述べられた範囲内の任意の他の述べられた値または介在する値との間のそれぞれの介在する値が、下限の単位の10分の1まで、本開示内に包含されることが理解される。述べられた範囲内の任意の具体的に除外される限定に従って、より小さい範囲に独立して含まれ得るこれらのより小さい範囲の上限および下限も、本開示内に包含される。述べられた範囲が、限定の一方または両方を含む場合、これらの含まれる限定のいずれかまたは両方を除外する範囲も本開示に含まれる。例えば、本明細書に提供される任意の濃度の範囲、パーセンテージの範囲、比の範囲、または整数の範囲は、他に指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数の値、および適切な場合、その分数(整数の10分の1および100分の1など)を含むことが理解されるべきである。また、ポリマーサブユニット、サイズまたは厚さなどの任意の物理的特色に関連する本明細書に列挙される任意の数の範囲は、他に指示されない限り、列挙された範囲内の任意の整数を含むことが理解されるべきである。
ナノ粒子キャリアシステム
【0054】
1つのナノ粒子および多数のナノ粒子を含むさまざまな組成物が本明細書に提供される。ナノ粒子はまた、本明細書においてキャリアと称されるか、またはNPと略される。本明細書に提供されるナノ粒子は、約1マイクロメートル(μm)未満の直径である、有機材料、無機材料、または無機材料および有機材料の組合せであり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、本明細書に提供される生物活性剤のための送達システムとして使用される。
【0055】
一部の実施形態では、脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;1つまたは複数の核酸;ならびに少なくとも1つの凍結保護物質を含む乾燥組成物が提供される。組成物は、当技術分野において公知の技法を使用して、噴霧乾燥または凍結乾燥することができる。組成物は、熱的に安定である。例えば、組成物は、摂氏約25度、摂氏約45度、摂氏約-20度、および摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である。組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である。
【0056】
本明細書に記載される組成物を凍結乾燥するための方法が本明細書に提供される。一部の実施形態では、昇華、または一次乾燥は、この点で行われて、未結合水が除去され;次いで、二次乾燥が行われて、結合水が昇華し、材料は、所望の残留水分レベルに低下する。この段階での水が、未結合ではなく標的に結合していることを考慮すると、典型的には、より多くのエネルギーが、このプロセスを駆動するために必要である。噴霧乾燥が使用されてもよく、これは、多くの場合に、より速いプロセスであり、単一ステップで液体製剤の乾燥粉末への変換を含む。溶液は、微細液滴に霧化され、これは、暖かいガスを使用して、大きなチャンバー中で、迅速に、間を置かずに乾燥される。次いで、得られた乾燥粒子は、サイクロンで収集され得る。追加の乾燥技法としては、例えば、噴霧凍結乾燥および超臨界流体乾燥が挙げられる。
【0057】
本開示は、RNAなどの1つまたは複数の核酸のキャリアとしての脂質キャリアの使用を提供する。特に、緩衝液中の荷電したコーティングを有する脂質マトリックス中の固体無機コアが開示される。これらのナノ粒子の使用は、多数の利点を有する:RNAは、粒子と無関係に複合体化され得、粒子は、磁気シグナルを有するように設計され得る、例えば、MRIまたは他のイメージング技法のために使用可能であり得る。RNAは、粒子によって保護され、それらは、細胞または生体に与えられた場合に、の抗原オフを含む多数の種類のタンパク質の、保護されたRNAからの発現を駆動する。
【0058】
さまざまなナノ粒子およびナノ粒子の製剤(すなわち、ナノエマルジョン)が用いられる。例示的なナノ粒子を
図1A~1Cに図示する。本明細書に提供されるナノ粒子としては、限定されるものではないが、水中油型エマルジョン、ナノ構造脂質キャリア(NLC)、カチオン性ナノエマルジョン(CNE)、小胞状リン脂質ゲル(VPG)、ポリマーナノ粒子、カチオン性脂質ナノ粒子、リポソーム、金ナノ粒子、固体脂質ナノ粒子(LNPまたはSLN)、混合相コアNLC、イオン化脂質キャリア、磁気キャリア、ポリエチレングリコール(PEG)官能化キャリア、コレステロール官能化キャリア、ポリ乳酸(PLA)官能化キャリア、およびポリ乳酸-co-グリコール酸(PLGA)官能化脂質キャリアが挙げられ得る。
【0059】
図1Aに図示される水中油型エマルジョン(縮尺通りではない)は、水または水相に分散した油滴を含有する安定な不混和流体である。
図1B(縮尺通りではない)は、固体有機脂質(例えば、トリミリスチン)および液状油(例えば、スクアレン)のブレンドを含み得るナノ構造脂質キャリア(NLC)を図示する。NLC中で、固体脂質は、液状油に分散される。ナノ液滴全体が、水性(水)相に分散される。一部の実施形態では、ナノ粒子は、
図1C(縮尺通りではない)に図示されるように、液状油に分散した固体無機ナノ粒子(例えば、酸化鉄ナノ粒子)として、無機ナノ粒子を含む。次いで、ナノ液滴全体が、水性(水)相中のコロイドとして分散される。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、水溶液に分散される。水溶液の非限定的な例としては、水(例えば、滅菌、蒸留、脱イオン化、超純粋、RNAseを含まないなど)、生理食塩水(例えば、クレブス、Ascaris、デンツ、テト食塩水)、または1%(w/v)の水中のジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。
【0060】
脂質キャリアを含むさまざまな組成物および方法が本明細書に提供される。脂質キャリアは、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである。脂質キャリアの疎水性コアは、油を含む。一部の実施形態では、油は、液相中にある。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、親水性表面を含む。一部の実施形態では、親水性表面は、カチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、親水性表面は、イオン化脂質を含む。一部の実施形態では、ナノ粒子は、膜を含む。一部の実施形態では、膜は、カチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、カチオン性脂質を含む。親水性表面への包含のための例示的なカチオン性脂質としては、限定されないが、1,2-ジオレオイルオキシ-3(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール)、ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP)、ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP)、N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]N,N,Nトリメチルアンモニウム、クロリド(DOTMA)、N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC)、1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP)、および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA)、1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシ-ドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、306Oi10、テトラキス(8-メチルノニル)3,3’,3’’,3’’’-(((メチルアザンジイル)ビス(プロパン-3,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラプロピオネート、9A1P9、デシル(2-(ジオクチルアンモニオ)エチル)ホスフェート;A2-Iso5-2DC18、エチル5,5-ジ((Z)-ヘプタデカ-8-エン-1-イル)-1-(3-(ピロリジン-1-イル)プロピル)-2,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-カルボキシレート;ALC-0315、((4-ヒドロキシブチル)アザンジイル)ビス(ヘキサン-6,1-ジイル)ビス(2-ヘキシルデカノエート);ALC-0159、2-[(ポリエチレングリコール)-2000]-N,N-ジテトラデシルアセトアミド;β-シトステロール、(3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-17-((2R,5R)-5-エチル-6-メチルヘプタン-2-イル)-10,13-ジメチル-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-オール;BAME-O16B、ビス(2-(ドデシルジスルファニル)エチル)3,3’-((3-メチル-9-オキソ-10-オキサ-13,14-ジチア-3,6-ジアザヘキサコシル)アザンジイル)ジプロピオネート;BHEM-コレステロール、2-(((((3S,8S,9S,10R,13R,14S,17R)-10,13-ジメチル-17-((R)-6-メチルヘプタン-2-イル)-2,3,4,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17-テトラデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-3-イル)オキシ)カルボニル)アミノ)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-N-メチルエタン-1-アミニウムブロミド;cKK-E12、3,6-ビス(4-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)ブチル)ピペラジン-2,5-ジオン;DC-コレステロール、3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール;DLin-MC3-DMA、(6Z,9Z,28Z,31Z)-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート;DOPE、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン;DOSPA、2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート;DSPC、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン;ePC、エチルホスファチジルコリン;FTT5、ヘキサ(オクタン-3-イル)9,9’,9’’,9’’’,9’’’’,9’’’’’-((((ベンゼン-1,3,5-トリカルボニル)イリス(アザンジイル))トリス(プロパン-3,1-ジイル))トリス(アザントリイル))ヘキサノナノエート;リピドH(SM-102)、ヘプタデカン-9-イル8-((2-ヒドロキシエチル)(6-オキソ-6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート;OF-Deg-Lin、(((3,6-ジオキソピペラジン-2,5-ジイル)ビス(ブタン-4,1-ジイル))ビス(アザントリイル))テトラキス(エタン-2,1-ジイル)(9Z,9’Z,9’’Z,9’’’Z,12Z,12’Z,12’’Z,12’’’Z)-テトラキス(オクタデカ-9,12-ジエノエート);PEG2000-DMG、(R)-2,3-ビス(ミリストイルオキシ)プロピル-1-(メトキシポリ(エチレングリコール)2000)カルバメート;TT3、またはN1,N3,N5-トリス(3-(ジドデシルアミノ)プロピル)ベンゼン-1,3,5-トリカルボキサミドが挙げられる。脂質の好適なクラスについての他の例としては、限定されるものではないが、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール(PG);および上記の脂質のいずれかのPEG化バージョンを含むPEG化脂質(例えば、DSPE-PEG)が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、DOTAPを含む。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、油を含む。一部の実施形態では、油は、液相中にある。使用され得る油の非限定的な例としては、α-トコフェロール、ココナツ油、ブドウ種子油、ラウロイルポリオキシルグリセリド、鉱物油、モノアシルグリセロール、パーム核油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、プロポリス、スクアレン、スクアラン、ソラネソール、大豆レシチン、大豆油、ヒマワリ油、トリグリセリド、またはビタミンEが挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、トリグリセリドを含む。例示的なトリグリセリドとしては、限定されるものではないが、カプリン酸トリグリセリド、カプリル酸トリグリセリド、カプリル酸およびカプリン酸トリグリセリド、トリグリセリドエステル、およびミリスチン酸トリグリセリンが挙げられる。
【0063】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、液体有機材料および固体無機材料を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、無機粒子を含む。一部の実施形態では、無機粒子は、固体無機粒子である。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、疎水性コア内の無機粒子を含む。一部の実施形態では、油は、固相中にある。一部の実施形態では、油は、ソラネソールを含む。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、金属を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、疎水性コア内の金属を含む。金属は、限定されないが、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、または金属リン酸塩であり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄(Fe3O4、Fe2O3、FeO、またはそれらの組合せ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む。無機粒子は、1つまたは複数の同じまたは異なる金属(遷移金属を含む任意の金属)から形成されてもよい。一部の実施形態では、無機粒子は、遷移金属酸化物である。一部の実施形態では、遷移金属は、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、またはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)である。一部の実施形態では、金属は、水酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムであり、ホスフェート末端脂質または界面活性剤、例えば、オレイン酸、オレイルアミン、SDS、TOPOまたはDSPAは、液状油と混合されて、疎水性コアが形成される前に、無機固体ナノ粒子をコーティングするために使用される。
【0065】
一部の実施形態では、金属は、常磁性、超常磁性、フェリ磁性または強磁性化合物を含むことができる。一部の実施形態では、金属は、超常磁性酸化鉄(Fe3O4)である。
【0066】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、カチオン性脂質、油、および無機粒子を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、DOTAP;スクアレンおよび/またはグリセリルトリミリステート-dynasan;および酸化鉄を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、界面活性剤をさらに含む。そのため、一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、カチオン性脂質、油、無機粒子、および界面活性剤を含む。
【0067】
界面活性剤は、本明細書に提供されるナノ粒子の、2つの液体間、または液体および固体構成要素間の表面張力を低下させる化合物である。界面活性剤は、疎水性、親水性、または両親媒性であり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、疎水性界面活性剤を含む。用いられ得る例示的な疎水性界面活性剤としては、限定されるものではないが、ソルビタンモノラウレート(SPAN(登録商標)20)、ソルビタンモノパルミテート(SPAN(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(SPAN(登録商標)65)、ソルビタンモノオレエート(SPAN(登録商標)80)、およびソルビタントリオレエート(SPAN(登録商標)85)が挙げられる。好適な疎水性界面活性剤は、10もしくはそれ未満、例えば、5もしくはそれ未満、1~5、または4~5の親水性-親油性バランス(HLB)値を有するものを含む。例えば、疎水性界面活性剤は、1~5、または4~5のHLB値を有するソルビタンエステルであり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、乳化剤とも呼ばれる親水性界面活性剤を含む。
【0068】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、ポリソルベートを含む。ポリソルベートは、脂肪酸でエステル化されたエトキシ化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)に由来する油性液体である。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子または脂質キャリアは、親水性界面活性剤を含む。用いられ得る例示的な親水性界面活性剤としては、限定されるものではないが、ポリソルベート、例えば、TWEEN(登録商標)、Kolliphor、Scattics、Alkest、またはCanarcel;ポリオキシエチレンソルビタンエステル(ポリソルベート);ポリソルベート80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、またはTWEEN(登録商標)80);ポリソルベート60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、またはTWEEN(登録商標)60);ポリソルベート40(ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、またはTWEEN(登録商標)40);およびポリソルベート20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、またはTWEEN(登録商標)20)が挙げられる。一実施形態では、親水性界面活性剤は、ポリソルベート80である。
【0069】
本明細書に提供されるナノ粒子は、脂質膜(例えば、DOTAPなどのカチオン性脂質)によって囲まれた疎水性コアを含む。一部の実施形態では、疎水性コアは、1つまたは複数の無機粒子;ホスフェート末端脂質;および界面活性剤を含む。
【0070】
本明細書に記載される無機固体ナノ粒子は、液状油と混合する前に、表面改変されていてもよい。例えば、無機固体ナノ粒子の表面が親水性である場合、無機固体ナノ粒子を、疎水性分子(または界面活性剤)でコーティングして、ナノエマルジョン粒子の「油」相中の液状油との無機固体ナノ粒子の混和性を促進し得る。一部の実施形態では、無機粒子は、キャッピングリガンド、ホスフェート末端脂質、および/または界面活性剤でコーティングされる。一部の実施形態では、疎水性コアは、ホスフェート末端脂質を含む。用いられ得る例示的なホスフェート末端脂質としては、限定されるものではないが、トリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)またはジステアリルホスファチジン酸(DSPA)が挙げられる。一部の実施形態では、疎水性コアは、リン末端界面活性剤、カルボキシレート末端界面活性剤、サルフェート末端界面活性剤、またはアミン末端界面活性剤である界面活性剤を含む。典型的なカルボキシレート末端界面活性剤としては、オレイン酸が挙げられる。典型的なアミン末端界面活性剤としては、オレイルアミンが挙げられる。一部の実施形態では、界面活性剤は、ジステアリルホスファチジン酸(DSPA)、オレイン酸、オレイルアミンまたはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)である。一部の実施形態では、無機固体ナノ粒子は、金属酸化物、例えば、酸化鉄であり、液状油と混合して、疎水性コアが形成される前に、界面活性剤、例えばオレイン酸、オレイルアミン、SDS、DSPA、またはTOPOを使用して、無機固体ナノ粒子がコーティングされる。
【0071】
一部の実施形態では、疎水性コアは、必要に応じてホスフェート末端脂質、リン末端界面活性剤、カルボキシレート末端界面活性剤、サルフェート末端界面活性剤、またはアミン末端界面活性剤でコーティングされた、少なくとも1つの金属水酸化物またはオキシ水酸化物粒子を含有する1つまたは複数の無機粒子;ならびに天然に存在するまたは合成のスクアレンを含有する液状油;DOTAPを含むカチオン性脂質;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含む疎水性界面活性剤;ならびにポリソルベートを含む親水性界面活性剤を含む。
【0072】
一部の実施形態では、疎水性コアは、必要に応じてTOPOでコーティングされた、水酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムナノ粒子を含有する1つまたは複数の無機ナノ粒子、ならびに天然に存在するまたは合成のスクアレンを含有する液状油;カチオン性脂質DOTAP;ソルビタンモノステアレートを含む疎水性界面活性剤;およびポリソルベート80を含む親水性界面活性剤を含む。
【0073】
一部の実施形態では、疎水性コアは、必要に応じてホスフェート末端脂質、リン末端界面活性剤、カルボキシレート末端界面活性剤、サルフェート末端界面活性剤、またはアミン末端界面活性剤でコーティングされた、少なくとも1つの金属水酸化物またはオキシ水酸化物粒子を含有する1つまたは複数の無機粒子;ならびに天然に存在するまたは合成のスクアレンを含有する液状油;DOTAPを含むカチオン性脂質;ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含む疎水性界面活性剤;ならびにポリソルベートを含む親水性界面活性剤からなる。一部の実施形態では、疎水性コアは、必要に応じてTOPOでコーティングされた、水酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムナノ粒子を含有する1つまたは複数の無機ナノ粒子、ならびに天然に存在するまたは合成のスクアレンを含有する液状油;カチオン性脂質DOTAP;ソルビタンモノステアレートを含む疎水性界面活性剤;およびポリソルベート80を含む親水性界面活性剤からなる。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.2%~約40%w/vのスクアレン、約0.001%~約10%w/vの酸化鉄ナノ粒子、約0.2%~約10%w/vのDOTAP、約0.25%~約5%w/vのソルビタンモノステアレート、および約0.5%~約10%w/vのポリソルベート80を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約2%~約6%w/vのスクアレン、約0.01%~約1%w/vの酸化鉄ナノ粒子、約0.2%~約1%w/vのDOTAP、約0.25%~約1%w/vのソルビタンモノステアレート、および約0.5%~約5%w/vのポリソルベート80を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.2%~約40%w/vのスクアレン、約0.001%~約10%w/vの水酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムナノ粒子、約0.2%~約10%w/vのDOTAP、約0.25%~約5%w/vのソルビタンモノステアレート、および約0.5%~約10%w/vのポリソルベート80を含み得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約2%~約6%w/vのスクアレン、約0.01%~約1%w/vの水酸化アルミニウムまたはオキシ水酸化アルミニウムナノ粒子、約0.2%~約1%w/vのDOTAP、約0.25%~約1%w/vのソルビタンモノステアレート、および約0.5%~約5%w/vのポリソルベート80を含み得る。
【0074】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、表1に記載される少なくとも1つのナノ粒子製剤を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、NP-1~NP-30のいずれか1つを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、NP-1~NP-31のいずれか1つを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、本明細書に提供される核酸と混合される。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、ホモジナイゼーションおよび超音波処理技法によって作製される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0075】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、ソルビタンモノステアレート(例えば、SPAN(登録商標)60)、ポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標)80)、DOTAP、スクアレンを含み、固体粒子を含まない。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、ソルビタンモノステアレート(例えば、SPAN(登録商標)60)、ポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標)80)、DOTAP、スクアレン、および酸化鉄粒子を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、免疫刺激物質を含む。一部の実施形態では、免疫刺激物質は、スクアレンである。一部の実施形態では、免疫刺激物質は、中鎖トリグリセリドである。一部の実施形態では、免疫刺激物質は、Miglyol 810またはMiglyol 812である。Miglyol 810は、飽和カプリルおよびカプリン脂肪酸とグリセロールのトリグリセリドエステルである。Miglyol 812は、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステルである。一部の実施形態では、免疫刺激物質は、産生されるタンパク質の総量を減少させ得るが、本明細書に提供される組成物に対する免疫応答を増加させ得る(例えば、ワクチンとして送達される場合)。一部の実施形態では、免疫刺激物質は、産生されるタンパク質の総量を増加させ得るが、本明細書に提供される組成物に対する免疫応答を減少させ得る。
【0076】
本明細書に提供されるナノ粒子は、さまざまな平均直径のサイズのものであり得る。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約20ナノメートル(nm)~約200nmの範囲の平均直径(z平均流体力学直径、動的光散乱によって測定される)を有する。一部の実施形態では、ナノ粒子のz平均直径は、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約60nmの範囲である。一部の実施形態では、ナノ粒子のz平均直径は、約40nm~約200nm、約40nm~約150nm、約40nm~約100nm、約40nm~約90nm、約40nm~約80nm、または約40nm~約60nmの範囲である。一実施形態では、ナノ粒子のz平均直径は、約40nm~約80nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子のz平均直径は、約40nm~約60nmである。一部の実施形態では、ナノ粒子は、最大で100nmの直径である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、50~70nmの直径である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、40~80nmの直径である。一部の実施形態では、ナノ粒子の疎水性コア内の無機粒子(例えば、酸化鉄)は、約3nm~約50nmの範囲の平均直径(数加重平均直径)であり得る。例えば、無機粒子は、約5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、または約50nmの平均直径を有し得る。
【0077】
本明細書に提供されるナノ粒子は、多分散指数(PDI)によって特徴付けられ得、これは、サイズ分布に関するそれらの品質の指標である。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子の平均多分散指数(PDI)は、約0.1~約0.5の範囲である。一部の実施形態では、ナノ粒子の平均PDIは、約0.2~約0.5、約0.1~約0.4、約0.2~約0.4、約0.2~約0.3、または約0.1~約0.3の範囲であり得る。
【0078】
一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.1:1~約20:1、約0.5:1~約12:1、約0.5:1~約9:1、約0.5:1~約5:1、約0.5:1~約3:1、または約0.5:1~約1:1の範囲の油の界面活性剤に対するモル比を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.1:1~約2:1、約0.2:1~約1.5:1、約0.3:1~約1:1、約0.5:1~約1:1、または約0.6:1~約1:1の範囲の親水性界面活性剤の脂質に対する比を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.1:1~約5:1、約0.2:1~約3:1、約0.3:1~約2:1、約0.5:1~約2:1、または約1:1~約2:1の範囲の疎水性界面活性剤の脂質に対する比を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、約0.2%~約40%w/vの液状油、約0.001%~約10%w/vの無機固体ナノ粒子、約0.2%~約10%w/vの脂質、約0.25%~約5%w/vの疎水性界面活性剤、および約0.5%~約10%w/vの親水性界面活性剤を含む。一部の実施形態では、脂質はカチオン性脂質を含み、油はスクアレンを含み、および/または疎水性界面活性剤は、ソルビタンエステルを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供されるナノ粒子は、8~11の親水性-親油性バランスを生じさせる、エステルの比を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、本明細書に提供される脂質キャリアに組み込まれるか、それと会合するか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する。一部の実施形態では、脂質キャリア-核酸複合体は、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される。
核酸
【0079】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組成物は、1つまたは複数の核酸を含む。一部の実施形態では、核酸は、DNAまたはRNAである。自然免疫応答をモジュレートするRNA、タンパク質または抗原をコードするRNA、サイレンシングRNA、マイクロRNA、tRNA、自己複製性RNAなどを含む各種のRNAは、送達のために脂質キャリアと会合し得る。本開示の具体的な態様では、RNAは、自己複製性RNAである。
【0080】
ナノ粒子および核酸を含む組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、核酸は、ナノ粒子を有する複合体中にある。一部の実施形態では、核酸は、ナノ粒子の膜を有する複合体中にある。一部の実施形態では、核酸は、ナノ粒子の親水性表面を有する複合体中にある。一部の実施形態では、核酸は、ナノ粒子内にある。一部の実施形態では、核酸は、疎水性コア内にある。
【0081】
一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸は、RNAまたはDNAポリメラーゼをコードする。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸は、RNA依存性RNAポリメラーゼをコードする。一部の実施形態では、1つまたは複数の核酸は、自己複製のためのエレメント、例えば、RNAポリメラーゼ(例えば、VEEVポリメラーゼ)をコードする。
【0082】
自己複製性ヌクレオチドは、一般に、ウイルスレプリカーゼ、ウイルスプロテアーゼ、ウイルスヘリカーゼおよび他の非構造ウイルスタンパク質からなる群から選択される少なくとも1つまたは複数の遺伝子を含有し、5’-および3’末端シス活性複製配列、ならびにがん関連タンパク質をコードする抗原配列も含む。異種配列の発現を方向付けるサブゲノムプロモーターは、自己複製性ヌクレオチド配列に含まれ得る。所望により、異種配列は、自己複製性RNA中の他のコード領域に、インフレームで融合されていてもよく、および/または配列内リボソーム進入部位(IRES)の制御下であってもよい。
【0083】
さまざまな実施形態では、自己複製性ヌクレオチド配列は、自己複製性RNA分子である。本開示の自己複製性RNA分子は、自己複製性RNA分子が、感染性ウイルス粒子の生成を誘導することができないように、設計され得る。これは、例えば、自己複製性RNA中のウイルス粒子の生成のために必要である構造タンパク質をコードする1つまたは複数のウイルス遺伝子を除くことによって達成することができる。例えば、自己複製性RNA分子がアルファウイルス、例えば、シンドビスウイルス(SIN)、セムリキ森林熱ウイルスおよびベネズエラウマ脳炎ウイルス(VEE)に基づいている場合、ウイルス構造タンパク質、例えば、カプシドおよび/またはエンベロープ糖タンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子を除くことができる。所望により、本開示の自己複製性RNA分子は、弱毒化されているもしくは病原性がある感染性ウイルス粒子の生成を誘導するように、またはその後の感染の単一ラウンドが可能であるウイルス粒子を生成するように、設計することができる。
【0084】
自己複製性RNA分子は、任意のタンパク質なしでも脊椎動物細胞に送達される場合に、それ自身からの転写によって(またはそれ自身のアンチセンスコピーから)複数の娘RNAの生成をもたらし得る。自己複製性RNAは、細胞への送達後に、直接翻訳され得、この翻訳は、次いで送達されたRNAから転写物を生成するRNA依存性RNAポリメラーゼを提供する。このようにして、送達されたRNAは、複数の娘RNAの生成をもたらす。これらの転写物は、送達されたRNAに対してアンチセンスであり、それら自身が翻訳されて、コードされるがん関連タンパク質のin situ発現を提供してもよく、または転写されて、コードされるがん関連タンパク質のin situ発現を提供するように翻訳される、送達されたRNAと同じセンスを有するさらなる転写物を提供してもよい。
【0085】
所望により、自己複製性RNAは、ヌクレオシドの糖部分(例えば、リボース、デオキシリボース、改変リボース、改変デオキシリボース、6員糖アナログ、または開環糖アナログ)中にもしくはその上に、またはホスフェートに化学改変を含有し得る。
【0086】
本開示の自己複製性RNA分子は、1つまたは複数の改変ヌクレオチドを含有し、したがって、改善された安定性を有し、in vivoでの分解およびクリアランスに対して抵抗性であり、ならびに他の利点を有し得る。任意の特定の理論に縛られることを望まないが、改変ヌクレオチドを含有する自己複製性RNA分子は、自己複製性RNAが細胞に送達される場合に、エンドソームおよび細胞質免疫受容体の刺激を回避または低減すると考えられる。これは、タンパク質の自己複製、増幅および発現が生じるのを可能にする。これはまた、改変ヌクレオチドを含有する自己複製性RNAが、自然免疫系の活性化およびその後の望ましくない結果(例えば、注射部位の炎症、注射部位の刺激、痛みなど)を低減するので、改変ヌクレオチドを含有しない自己複製性RNAと比べて安全性の懸念も低減する。自己複製の結果として生成したRNA分子は、細胞質免疫受容体によって外来核酸として認識されるとも考えられる。そのため、改変ヌクレオチドを含有する自己複製性RNA分子は、宿主細胞におけるRNAの効率的な増幅、およびがん関連タンパク質の発現、ならびにアジュバント効果を提供する。
【0087】
RNA配列は、例えば、RNAの翻訳効率および半減期を増加させるために、そのコドン使用頻度に関して改変することができる。ポリAテール(例えば、約30またはそれよりも多くのアデノシン残基のもの)は、その半減期を増加させるために、RNAの3’末端に付着されてもよい。RNAの5’末端は、m7G(5’)ppp(5’)N構造(キャップ0構造)を有する改変リボヌクレオチドまたはその誘導体でキャップされていてもよく、これは、RNA合成の間に組み込まれ得るか、RNA転写後に酵素的に操作され得る(例えば、N7-モノメチル化キャップ0構造の構築を触媒する、mRNAトリホスファターゼ、グアニリル-トランスフェラーゼおよびグアニン-7-メチルトランスフェラーゼからなるワクシニアウイルスキャッピング酵素(VCE)を使用することによって)。キャップ構造は、RNA分子に安定性および翻訳効率を提供し得る。RNA分子の5’キャップは、キャップ1構造(m7Gppp[m2’-O]N)の生成をもたらす2’-O-メチルトランスフェラーゼによってさらに改変されてもよく、これは、翻訳効率をさらに増加させ得る。キャップ1構造は、in vivo効力も増加させ得る。
【0088】
本明細書で使用される場合、「改変ヌクレオチド」は、ヌクレオシドの窒素塩基(例えば、シトシン(C)、チミン(T)もしくはウラシル(U)、アデニン(A)またはグアニン(G))中のまたはその上の1つまたは複数の化学改変(例えば、置換)を含有するヌクレオチドを指す。所望により、自己複製性RNA分子は、ヌクレオシドの糖部分(例えば、リボース、デオキシリボース、改変リボース、改変デオキシリボース、6員糖アナログ、または開環糖アナログ)中にもしくはその上に、またはホスフェートに化学改変を含有し得る。
【0089】
自己複製性RNA分子は、好ましくは、5’キャップの一部ではない少なくとも1つの改変ヌクレオチドを含有し得る(例えば、5’’キャップの一部である改変に加えて)。したがって、自己複製性RNA分子は、単一の位置に改変ヌクレオチドを含有することができ、2つもしくは複数の位置に特定の改変ヌクレオチド(例えば、シュードウリジン、N6-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、5-メチルウリジン)を含有することができ、または2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれよりも多くの改変ヌクレオチドを含有することができる(例えば、1つまたは複数の位置のそれぞれに)。好ましくは、自己複製性RNA分子は、窒素塩基上またはその中に改変を含有するが、改変糖またはリン酸部分を含有しない、改変ヌクレオチドを含む。
【0090】
一部の例では、自己複製性RNA分子中の0.001%~99%または100%のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである。例えば、自己複製性RNA分子中の0.001%~25%、0.01%~25%、0.1%~25%、または1%~25%のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである。
【0091】
他の例では、自己複製性RNA分子中の0.001%~99%または100%の特定の未改変ヌクレオチドが、改変ヌクレオチドで置き換えられる。例えば、ウリジンを含有する自己複製性RNA分子中の約1%のヌクレオチドが、例えば、ウリジンのシュードウリジンでの置き換えによって、改変され得る。他の例では、自己複製性RNA分子中の所望の量(パーセンテージ)の2、3、または4つの特定のヌクレオチド(ウリジン、シチジン、グアノシン、またはアデニンを含有するヌクレオチド)が、改変ヌクレオチドである。例えば、自己複製性RNA分子中の0.001%~25%、0.01%~25%、0.1%~25%、または1%~25%の特定のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである。他の例では、自己複製性RNA分子中の0.001%~20%、0.001%~15%、0.001%~10%、0.01%~20%、0.01%~15%、0.1%~25%、0.01%~10%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、または約5%、約10%、約15%、約20%の特定のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドである。
【0092】
自己複製性RNA分子中の100%未満のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドであることが好ましい。自己複製性RNA分子中の100%未満の特定のヌクレオチドが、改変ヌクレオチドであることも好ましい。したがって、好ましい自己複製性RNA分子は、少なくともいくつかの未改変ヌクレオチドを含む。
【0093】
改変ヌクレオシドおよびヌクレオチドに組み込まれ得、RNA分子中に存在し得る改変核酸塩基としては、m5C(5-メチルシチジン)、m5U(5-メチルウリジン)、m6A(N6-メチルアデノシン)、s2U(2-チオウリジン)、Um(2’-O-メチルウリジン)、m1A(1-メチルアデノシン);m2A(2-メチルアデノシン);Am(2-1-O-メチルアデノシン);ms2m6A(2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン);i6A(N6-イソペンテニルアデノシン);ms2i6A(2-メチルチオ-N6イソペンテニルアデノシン);io6A(N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);ms2io6A(2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン);g6A(N6-グリシニルカルバモイルアデノシン);t6A(N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);ms2t6A(2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);m6t6A(N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン);hn6A(N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);ms2hn6A(2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン);Ar(p)(2’-O-リボシルアデノシン(ホスフェート));I(イノシン);m1I(1-メチルイノシン);m’Im(1,2’-O-ジメチルイノシン);m3C(3-メチルシチジン);Cm(2T-O-メチルシチジン);s2C(2-チオシチジン);ac4C(N4-アセチルシチジン);f5C(5-フォニルシチジン);m5Cm(5,2-O-ジメチルシチジン);ac4Cm(N4アセチル2TOメチルシチジン);k2C(ライシジン);m1G(1-メチルグアノシン);m2G(N2-メチルグアノシン);m7G(7-メチルグアノシン);Gm(2’-O-メチルグアノシン);m22G(N2,N2-ジメチルグアノシン);m2Gm(N2,2’-O-ジメチルグアノシン);m22Gm(N2,N2,2’-O-トリメチルグアノシン);Gr(p)(2’-O-リボシルグアノシン(ホスフェート));yW(ウイブトシン);o2yW(ペルオキシウイブトシン);OHyW(ヒドロキシウイブトシン);OHyW*(未改変ヒドロキシウイブトシン);imG(ウイオシン);mimG(メチルグアノシン);Q(キューオシン);oQ(エポキシキューオシン);galQ(ガルタクトシル-キューオシン);manQ(マンノシル-キューオシン);preQo(7-シアノ-7-デアザグアノシン);preQi(7-アミノメチル-7-デアザグアノシン);G*(アルカエオシン);D(ジヒドロウリジン);m5Um(5,2’-O-ジメチルウリジン);s4U(4-チオウリジン);m5s2U(5-メチル-2-チオウリジン);s2Um(2-チオ-2’-O-メチルウリジン);acp3U(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン);hoSU(5-ヒドロキシウリジン);moSU(5-メトキシウリジン);cmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸);mcmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル);chm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン));mchm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチルエステル);mcm5U(5-メトキシカルボニルメチルウリジン);mcm5Um(S-メトキシカルボニルメチル-2-O-メチルウリジン);mcm5s2U(5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン);nm5s2U(5-アミノメチル-2-チオウリジン);mnm5U(5-メチルアミノメチルウリジン);mnm5s2U(5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン);mnm5se2U(5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン);ncm5U(5-カルバモイルメチルウリジン);ncm5Um(5-カルバモイルメチル-2’-O-メチルウリジン);cmnm5U(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン);cnmm5Um(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-L-Oメチルウリジン);cmnm5s2U(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン);m62A(N6,N6-ジメチルアデノシン);Tm(2’-O-メチルイノシン);m4C(N4-メチルシチジン);m4Cm(N4,2-O-ジメチルシチジン);hm5C(5-ヒドロキシメチルシチジン);m3U(3-メチルウリジン);cm5U(5-カルボキシメチルウリジン);m6Am(N6,T-O-ジメチルアデノシン);rn62Am(N6,N6,O-2-トリメチルアデノシン);m2’7G(N2,7-ジメチルグアノシン);m2’2’7G(N2,N2,7-トリメチルグアノシン);m3Um(3,2T-O-ジメチルウリジン);m5D(5-メチルジヒドロウリジン);f5Cm(5-ホルミル-2’-O-メチルシチジン);m1Gm(1,2’-O-ジメチルグアノシン);m’Am(1,2-O-ジメチルアデノシン)イリノメチルウリジン);tm5s2U(S-タウリノメチル-2-チオウリジン));imG-14(4-デメチルグアノシン);imG2(イソグアノシン);ac6A(N6-アセチルアデノシン)、ヒポキサンチン、イノシン、8-オキソ-アデニン、その7-置換誘導体、ジヒドロウラシル、シュードウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-アミノウラシル、5-(C1~C6)-アルキルウラシル、5-メチルウラシル、5-(C2~C6)-アルケニルウラシル、5-(C2~C6)-アルキニルウラシル、5-(ヒドロキシメチル)ウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-ヒドロキシシトシン、5-(C1~C6)-アルキルシトシン、5-メチルシトシン、5-(C2~C6)-アルケニルシトシン、5-(C2~C6)-アルキニルシトシン、5-クロロシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、N2-ジメチルグアニン、7-デアザグアニン、8-アザグアニン、7-デアザ-7-置換グアニン、7-デアザ-7-(C2~C6)アルキニルグアニン、7-デアザ-8-置換グアニン、8-ヒドロキシグアニン、6-チオグアニン、8-オキソグアニン、2-アミノプリン、2-アミノ-6-クロロプリン、2,4-ジアミノプリン、2,6-ジアミノプリン、8-アザプリン、置換7-デアザプリン、7-デアザ-7-置換プリン、7-デアザ-8-置換プリン、水素(脱塩基残基)、m5C、m5U、m6A、s2U、W、または2’-O-メチル-Uが挙げられる。これらの改変核酸塩基のいずれか1つまたは任意の組合せは、本開示の自己複製性RNAに含まれていてもよい。これらの改変核酸塩基の多くおよびそれらの対応するリボヌクレオシドは、商業的供給業者から入手可能である。
【0094】
一部の実施形態では、RNA分子、必要に応じて自己複製性RNA分子は、ホスホロアミデート、ホスホロチオエート、および/またはメチルホスホネート連結を含む。
【0095】
少なくとも1つの改変ヌクレオチドを含む自己複製性RNA分子は、任意の好適な方法を使用して調製することができる。改変ヌクレオチドを含有するRNA分子を生成するために、いくつかの好適な方法が、当技術分野において公知である。例えば、改変ヌクレオチドを含有する自己複製性RNA分子は、好適なDNA依存性RNAポリメラーゼ、例えば、T7ファージRNAポリメラーゼ、SP6ファージRNAポリメラーゼ、T3ファージRNAポリメラーゼなど、または改変ヌクレオチドのRNA分子への効率的な組込みを可能にするこれらのポリメラーゼの突然変異体を使用して、自己複製性RNA分子をコードするDNAを転写すること(例えば、in vitro転写)によって調製することができる。転写反応は、ヌクレオチドおよび改変ヌクレオチド、ならびに選択されたポリメラーゼの活性をサポートする他の構成要素、例えば、好適な緩衝液および好適な塩を含有する。ヌクレオチドアナログの自己複製性RNAへの組み込みは、例えば、そのようなRNA分子の安定性を変更する、RNaseに対する抵抗性を増加させる、適切な宿主細胞への導入後に複製を確立する(RNAの「感染力」)、ならびに/または自然免疫応答および適応免疫応答を誘導もしくは低減するように、操作され得る。
【0096】
自己複製性RNA分子中の1つまたは複数の改変ヌクレオチドの存在および/または量は、任意の好適な方法を使用して決定することができる。例えば、自己複製性RNAを、モノホスフェートに消化(例えば、ヌクレアーゼP1を使用する)および脱リン酸化し(例えば、CIAPなどの好適なホスファターゼを使用する)、得られたヌクレオシドを、逆相HPLC(例えば、YMC Pack ODS-AQカラム(5ミクロン、4.6×250mm)、および30%のB(0~5分)から100%のB(5~13分)および100%のB(13~40)分のグラジエント、流速(0.7ml/分)、UV検出(波長:260nm)、カラム温度(30℃)、緩衝液A(20mMの酢酸-酢酸アンモニウムpH3.5)、緩衝液B(20mMの酢酸-酢酸アンモニウムpH3.5/メタノール[90/10])を使用する溶出を使用する)によって分析することができる。
【0097】
自己複製性RNAは、送達システムと会合していてもよい。自己複製性RNAは、アジュバントありまたはなしで投与され得る。
【0098】
1つまたは複数の核酸は、脂質キャリアに組み込まれて/それと会合して/それと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成し得る。脂質キャリア-核酸複合体は、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される。
【0099】
一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、1つまたは複数の核酸を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、2つまたはそれよりも多くの核酸を含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、少なくとも1つのDNAを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、少なくとも1つのRNAを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、少なくとも1つのDNAおよび少なくとも1つのRNAを含む。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、5ng~約1mgを上回る量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、最大で約25、50、75、100、150、175ngの量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、最大で約1mgの量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、約0.05μg、0.1μg、0.2μg、0.5μg、1μg、5μg、10μg、12.5μg、15μg、25μg、40μg、50μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1mgの量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、0.05μg、0.1μg、0.2μg、0.5μg、1μg、5μg、10μg、12.5μg、15μg、25μg、40μg、50μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1mgの量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、約5μg、約10μg、約25μg、約50μg、または約100μgの量で存在する。一部の実施形態では、本明細書に提供される核酸は、最大で約5μg、約10μg、約25μg、約50μg、または100μgの量で存在する。一部の実施形態では、核酸は、少なくとも約200、250、500、750、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、または20,000ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、核酸は、最大で約7000、8000、9000、10,000、11,000、12,000、13,000、14,000、15,000、16,000、17,000、18,000、19,000、または20,000ヌクレオチド長である。一部の実施形態では、核酸は、約7500、10,000、15,000、または20,000ヌクレオチド長である。
凍結保護物質
【0100】
一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物および方法は、少なくとも1つの凍結保護物質を含む。包含のための例示的な凍結保護物質は、限定されるものではないが、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、またはグルコース、およびそれらの任意の組合せである。一部の実施形態では、包含のための追加のまたは代替の凍結保護物質は、ソルビトール、リビトール、エリスリトール(erthritol)、トレイトール、エチレングリコール、またはフルクトースである。一部の実施形態では、包含のための追加のまたは代替の凍結保護物質は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、3-O-メチル-D-グルコピラノース(3-OMG)、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2-プロパンジオール、アセトアミド、トレハロース、ホルムアミド、糖、タンパク質、および炭水化物である。一部の実施形態では、凍結保護物質は、約1%w/v~約20%w/v、好ましくは、約10%w/v~約20%w/v、より好ましくは、約10%w/vで存在する。本開示のある特定の態様では、凍結保護物質は、スクロースである。本開示の一部の態様では、凍結保護物質は、マルトースである。本開示の一部の態様では、凍結保護物質は、トレハロースである。本開示の一部の態様では、凍結保護物質は、マンニトールである。本開示の一部の態様では、凍結保護物質は、グルコースである。一部の実施形態では、凍結保護物質は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、325、350、375、400、450、500mgまたはそれよりも多くの量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、約50~約500mgの量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、約200~約300mgの量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、約250mgの量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、凍結乾燥組成物の少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95またはそれよりも多い重量パーセントの量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、凍結乾燥組成物の約95重量%の量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、凍結乾燥組成物の80~98%、85~98%、90~98%、または94~96重量%の量で存在する。一部の実施形態では、凍結保護物質は、糖である。一部の実施形態では、糖は、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、またはグルコースである。一部の実施形態では、糖は、スクロースである。一部の実施形態では、スクロースは、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、325、350、375、400、450、500mgまたはそれよりも多くの量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、約50~約500mgの量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、約200~約300mgの量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、約250mgの量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、凍結乾燥組成物の少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95またはそれよりも多い重量パーセントの量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、凍結乾燥組成物の約95重量%の量で存在する。一部の実施形態では、スクロースは、凍結乾燥組成物の80~98%、85~98%、90~98%、または94~96重量%の量で存在する。
【0101】
一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、熱的に安定である。組成物は、組成物が、熱または低温の作用に抵抗し、所与の温度で分解から核酸分子を保護する能力などのその性質を維持する場合に、熱的に安定であると考えられる。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、摂氏約25度または標準的な室温で熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、摂氏約45度で熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、摂氏約-20度で熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、少なくとも摂氏約-80度、少なくとも摂氏約-20度、少なくとも摂氏約0度、少なくとも摂氏約2度、少なくとも摂氏約4度、少なくとも摂氏約6度、少なくとも摂氏約8度、少なくとも摂氏約10度、少なくとも摂氏約20度、少なくとも摂氏約25度、少なくとも摂氏約30度、少なくとも摂氏約37度、最高で摂氏45度の温度で熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、少なくとも約5日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1か月間、最大で3か月間、熱的に安定である。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、少なくとも約4℃から最高で摂氏37度の温度で、少なくとも約5日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1か月間、最大で3か月間、貯蔵される。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物およびワクチンは、少なくとも摂氏約20度から最高で摂氏25度の温度で、少なくとも約5日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1か月間、最大で3か月間、貯蔵される。
組合せ組成物
【0102】
本明細書に記載される核酸および本明細書に記載される脂質キャリアを含む組成物が本明細書に提供される。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-1を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-2を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-3を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-4を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-5を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-6を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-7を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-8を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-9を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-10を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-11を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-12を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-13を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-14を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-15を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-16を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-17を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-18を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-18を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-19を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-20を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-21を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-22を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-23を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-24を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-25を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-26を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-27を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-28を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-28を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-29を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-30を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-31を含む。一部の実施形態では、脂質キャリアは、NP-1~NP-31のいずれかおよび凍結保護物質を含む。一部の実施形態では、凍結保護物質は、本明細書に記載される糖である。本明細書に提供される組成物は、窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられ得る。N:Pの比は、窒素を含有するナノ粒子中のカチオン性脂質の量、および負に荷電したホスフェートを含有する組成物中で使用される核酸の量によって決定される。脂質キャリアの核酸に対するモル比は、核酸の送達効率を増加させる、核酸保持ナノエマルジョン組成物が抗原に対する免疫応答を誘発する能力を増加させる、核酸保持ナノエマルジョン組成物が対象において抗原に対する抗体価の生成を誘発する能力を増加させるように選択することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供される組成物は、窒素のホスフェートに対するモル比によって特徴付けられ得る脂質キャリアの核酸に対するモル比を有し、これは、約0.01:1~約1000:1、例えば、約0.2:1~約500:1、約0.5:1~約150:1、約1:1~約150:1、約1:1~約125:1、約1:1~約100:1、約1:1~約50:1、約1:1~約50:1、約5:1~約50:1、約5:1~約25:1、または約10:1~約20:1の範囲であり得る。一部の実施形態では、窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられる脂質キャリアの核酸に対するモル比は、約1:1~約150:1、約5:1~約25:1、または約10:1~約20:1の範囲である。一部の実施形態では、ナノエマルジョン組成物のN:Pのモル比は、約15:1である。一部の実施形態では、ナノ粒子は、膜に共有結合的に付着した本明細書に提供される核酸を含む。
【0103】
本明細書に提供される組成物は、油の界面活性剤に対するモル比によって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、油の界面活性剤に対する比は、スクアレン:カチオン性脂質、疎水性界面活性剤、および親水性界面活性剤のモル比である。一部の実施形態では、油の界面活性剤に対する比は、スクアレン:DOTAP、疎水性界面活性剤、および親水性界面活性剤のモル比である。一部の実施形態では、油の界面活性剤に対する比は、スクアレン:DOTAP、ソルビタンモノステアレート、およびポリソルベート80のモル比である。一部の実施形態では、油の界面活性剤対するモル比は、約0.1:1~約20:1、約0.5:1~約12:1、約0.5:1~約9:1、約0.5:1~約5:1、約0.5:1~約3:1、または約0.5:1~約1:1の範囲である。一部の実施形態では、油の界面活性剤に対数するモル比は、少なくとも約0.1:1、少なくとも約0.2:1、少なくとも約0.3:1、少なくとも約0.4:1、少なくとも約0.5:1、少なくとも約0.6:1、少なくとも約0.7:1である。一部の実施形態では、油の界面活性剤に対するモル比は、少なくとも約0.4:1から最大で1:1である。
【0104】
本明細書に提供される組成物は、親水性界面活性剤のカチオン性脂質に対する比によって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、親水性界面活性剤のカチオン性脂質に対する比は、約0.1:1~約2:1、約0.2:1~約1.5:1、約0.3:1~約1:1、約0.5:1~約1:1、または約0.6:1~約1:1の範囲である。本明細書に提供される組成物は、疎水性界面活性剤の脂質(例えば、カチオン性脂質)に対する比によって特徴付けられ得る。一部の実施形態では、疎水性界面活性剤の脂質に対する比は、約0.1:1~約5:1、約0.2:1~約3:1、約0.3:1~約2:1、約0.5:1~約2:1、または約1:1~約2:1の範囲である。一部の実施形態では、カチオン性脂質は、DOTAPである。
【0105】
ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタンエステル、カチオン性脂質、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。ソルビタンモノステアレート(例えば、SPAN(登録商標)60)、ポリソルベート80(例えば、TWEEN(登録商標)80)、DOTAP、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。
医薬組成物
【0106】
一態様では、本開示は、脂質キャリア、および必要に応じて、本明細書に記載される核酸を含む医薬組成物を提供する。必要に応じて、医薬組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体または賦形剤」という用語は、医薬品投与に適合する、溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。
【0107】
医薬組成物は、好適な希釈剤中で再構成された乾燥組成物および薬学的に許容される担体を含む。希釈剤は、水性である。好ましい態様では、希釈剤は、水である。
【0108】
本開示は、医薬組成物および対象への投与のための送達システムを含むキットも提供する。対象は、哺乳動物であり得る。好ましい態様では、対象は、ヒトである。
【0109】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載される医薬組成物、および必要に応じて1つまたは複数のワクチンアジュバントを含む組成物を含むワクチン送達システムを提供する。
【0110】
脂質キャリアと核酸の複合体化によって、組成物は、細胞に送達され得る。細胞は、必要とする対象中のものであり得る。例えば、核酸が、タンパク質抗原であるか、タンパク質抗原をコードする場合、核酸を保持する組成物は、抗原に対する対象における免疫応答を誘発し得る。組成物は、対象において抗原に対する抗体価を誘発することによって、例えば、対象において中和抗体価を誘導することによって、貢献し得る。
【0111】
本開示は、対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法にも関する。
【0112】
一実施形態では、脂質キャリアを含有する組成物は、有効量で対象に投与された場合に、核酸が脂質キャリアなしで対象に投与された場合に誘発される免疫応答と同等またはそれよりも高い抗原に対する免疫応答を誘発することができる。
【0113】
理論によって縛られないが、ナノエマルジョン組成物中の疎水性界面活性剤は、核酸を細胞に送達するナノエマルジョン組成物の能力を増加させる、または抗原に対する対象における免疫応答を誘発する核酸を保持するナノエマルジョン組成物の能力を増加させるのに寄与し得る(核酸が、タンパク質抗原であるか、またはタンパク質抗原をコードする場合)。例えば、ナノエマルジョン組成物中の疎水性界面活性剤は、核酸を保持するナノエマルジョン組成物の能力を増加させるのに寄与し得る。
【0114】
本開示の別の態様は、対象における感染症または疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法に関する。
【0115】
上記で論じられたように、無機固体ナノ粒子は、イメージング法を介して検出可能なレポーターエレメントを含有する場合に、得られたナノエマルジョン粒子を、ナノエマルジョン粒子が身体に投与された後に、イメージングおよび追跡することができる。例えば、無機固体ナノ粒子は、磁気共鳴画像法(MRI)を介して検出可能なレポーターエレメント、例えば、常磁性、超常磁性、フェリ磁性または強磁性化合物を含有していてもよい。
【0116】
したがって、本開示の一態様は、対象における核酸送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法にも関する。
【0117】
本開示は、凍結乾燥組成物および噴霧乾燥組成物を調製および再構成するための方法も提供する。
【0118】
本開示の一部の態様では、組成物および方法は、各種の疾患および開示を処置するのに有用である。
【0119】
感染症の非限定的な例としては、ウイルスおよび非ウイルス感染症が挙げられ得る。ウイルス感染症の例としては、限定されるものではないが、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスのタイプおよびサブタイプ、黄熱病ウイルス(YFV)、ジカウイルス、西ナイルウイルス、チクングニアウイルス、デング熱、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、およびそのバリアントが挙げられる。
【0120】
疾患の例としては、黒色腫関連抗原A遺伝子、例えば、MAGE-A1、MAGE-A3、およびチロシナーゼ関連タンパク質(TYRP)遺伝子、例えば、TYRP-1に関連するがんが挙げられる。
【0121】
本開示の一部の態様では、組成物および方法は、抗原をコードする1つまたは複数の核酸を含み、抗原は、細菌感染症、細菌疾患、ウイルス感染症、ウイルス疾患、原虫感染症、原虫疾患、非伝染性疾患、1つもしくは複数のがん、または自己免疫疾患に由来する。
【0122】
一部の態様では、抗原は、ウイルスに由来する。ウイルスは、ヒトパピローマウイルス(HPV)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、インフルエンザウイルス、インフルエンザウイルスのタイプおよびサブタイプ、黄熱病ウイルス(YFV)、ジカウイルス、西ナイルウイルス、チクングニアウイルス、デング熱、呼吸器多核体ウイルス(RSV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)、およびそのバリアントからなる群から選択される。
投与および投薬量
【0123】
ある態様では、本開示の乾燥組成物は、核酸(例えば、RNA、必要に応じて自己複製性RNA)を細胞または対象、例えば、限定されるものではないが、ヒト、イヌ、ネコ、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ)、ウマなどを含む哺乳動物に送達するために使用され得る。本明細書に記載される組成物における組み込みのための総核酸の例示的な量は、約1、2、2.5、5、7.5、10、12.5、15、20、25、30、35、40、45、50マイクログラム(μg)またはそれよりも多くを含む。
【0124】
一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、投与のために単一の容器中で調製される。一部の実施形態では、本明細書に記載される製剤は、投与のために2つの容器中で調製され、ナノ粒子キャリアから製剤を分離する。
【0125】
本明細書で使用される場合、「容器(container)」としては、容器(vessel)、バイアル、アンプル、管、カップ、ボックス、ボトル、フラスコ、ジャー、ディッシュ、単一ウェルもしくは複数ウェルの器具のウェル、リザーバー、タンクなど、または本明細書に開示される組成物が、入れられ、貯蔵され、および/もしくは輸送され得、ならびに内容物を取り出すためにアクセスされ得る他のデバイスが挙げられる。そのような容器の例としては、針および注射器を使用する内容物の抜き取りに適合するゴム栓または他のシール手段を有するものを含む、ガラスおよび/もしくはプラスチックのシールされたまたは再シール可能な管およびアンプルが挙げられる。一部の実行では、容器は、RNaseを含まない。
【0126】
好ましい実施形態では、乾燥組成物は、凍結乾燥されている。一部の実施形態では、乾燥組成物は、噴霧乾燥されている。
【0127】
一部の実施形態では、凍結乾燥組成物は、本明細書に記載される方法によって再構成される。他の実施形態では、噴霧乾燥組成物は、本明細書に記載される方法によって再構成される。
【0128】
一部の実施形態では、本明細書に提供される医薬組成物は、組成物を対象に投与することを可能にする形態である。一部の実施形態では、医薬組成物は、固体、半固体、液体または気体(エアロゾル)の形態である。
【0129】
核酸を細胞または対象に送達するために、任意の好適な投与経路が用いられ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、腫瘍内、皮下、皮内、筋肉内、吸入/鼻腔内、静脈内、腹腔内、頭蓋内、もしくはくも膜下腔内経路を介した投与のためおよび/またはそれを介した投与における使用のために製剤化される。一部の実施形態では、医薬組成物は、非経口投与される。一部の実施形態では、医薬組成物は、経皮的投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、筋肉内投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、皮内投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、経皮投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、皮下投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、鼻腔内、例えば、鼻噴霧器を介して投与される。他の実施形態では、医薬組成物は、経口、例えば、ドロップを介して投与される。
【0130】
ある態様では、任意の好適な剤形が、本明細書に記載される医薬組成物の送達のために使用され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、注射可能な剤形、例えば、溶液または懸濁液で提供される。
【0131】
他の実施形態では、組成物は、吸入器を介して送達され得る剤形、例えば、溶液、懸濁液、または粉末で提供され、剤形は、計量式吸入器、ソフトミスト吸入器、ネブライザー、または乾燥粉末吸入器などの吸入器を介した送達のために製剤化される。
【0132】
他の実施形態では、組成物は、経鼻送達され得る剤形、例えば、溶液、懸濁液、または粉末で提供され、剤形は、アトマイザーもしくは鼻ポンプボトル、または経鼻投与される医薬組成物の送達のための他の好適なデバイスを介した経鼻送達のために製剤化される。
【0133】
ある態様では、薬学的に許容される担体、保存剤、および/または他の賦形剤が、本開示の組成物の送達のための本明細書に記載される剤形で使用され得る。
【0134】
本開示は、1つまたは複数の無機ナノ粒子を含有しない乾燥組成物も提供する。乾燥組成物は、ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタンエステル、カチオン性脂質、免疫刺激物質およびRNAを含む。具体的な態様では、乾燥組成物は、ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、免疫刺激物質、およびRNAを含む。
【0135】
一部の態様では、免疫刺激物質は、産生されるタンパク質の総量を減少させ得るが、ワクチンに対する免疫応答を増加させ得る。一部の態様では、免疫刺激物質は、産生されるタンパク質の総量を増加させ得るが、ワクチンに対する免疫応答を減少させ得る。一部の態様では、免疫刺激物質は、スクアレンである。一部の態様では、免疫刺激物質は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(MIGLYOL(登録商標)810)、または飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル(MIGLYOL(登録商標)812N)である。
例示的な実施形態
【0136】
(a)脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;(b)1つまたは複数の核酸;ならびに(c)少なくとも1つの凍結保護物質を含む乾燥組成物が本明細書に提供される。組成物が、凍結乾燥されている、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。組成物が、噴霧乾燥されている、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。摂氏約25度で熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書に提供される。摂氏約45度で熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書に提供される。摂氏約-20度で熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書に提供される。摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書に提供される。少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。組成物の疎水性コアが、油を含む、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質である、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、必要に応じて、少なくとも1つの界面活性剤を含む、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、および任意の組合せからなる群から選択される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。疎水性界面活性剤が、ソルビタンエステルを含む、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。ソルビタンエステルが、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択され;親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、約0.1~0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、RNAである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。RNAが、自己複製性RNAである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられる脂質キャリアの1つまたは複数の核酸に対するモル比が、約1:1~約150:1の範囲である、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロースである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約1%w/v~約20%w/vである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約1%w/v~約40%w/vである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/v~約20%w/vである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/vである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの任意の組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0137】
好適な希釈剤中で再構成された本明細書に提供される乾燥組成物;および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物が本明細書にさらに提供される。好適な希釈剤が、水性である、医薬組成物が本明細書にさらに提供される。好適な希釈剤が、水である、医薬組成物が本明細書にさらに提供される。
【0138】
本明細書に提供される医薬組成物または本明細書に提供される乾燥組成物;および対象への投与のための送達システムを含む、キットが本明細書にさらに提供される。
【0139】
本明細書に提供される医薬組成物および必要に応じて1つまたは複数のワクチンアジュバントを含む、ワクチン送達システムが本明細書にさらに提供される。
【0140】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0141】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0142】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0143】
凍結乾燥組成物を調製するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに(d)製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0144】
噴霧乾燥組成物を調製するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;ならびに(d)製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0145】
凍結乾燥組成物を再構成するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;製剤を凍結乾燥して、凍結乾燥組成物を形成するステップ;ならびに(d)好適な希釈剤中で凍結乾燥組成物を再構成するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。好適な希釈剤が、水性である、方法が本明細書にさらに提供される。好適な希釈剤が、水である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約25度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約45度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約-20度で熱的に安定である、方法が本明細書に提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの任意の組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0146】
噴霧乾燥組成物を再構成するための方法であって、(a)脂質キャリアを得るステップであって、脂質キャリアが、疎水性コア、必要に応じて1つまたは複数の無機ナノ粒子、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、ステップ;(b)1つまたは複数の核酸を前記脂質キャリアに組み込んで、脂質キャリア-核酸複合体を形成するステップ;(c)少なくとも1つの凍結保護物質を脂質キャリア-核酸複合体に添加して、製剤を形成するステップ;(d)製剤を噴霧乾燥して、噴霧乾燥組成物を形成するステップ;ならびに(e)好適な希釈剤中で噴霧乾燥組成物を再構成するステップを含む方法が本明細書にさらに提供される。希釈剤が、水性である、方法が本明細書にさらに提供される。希釈剤が、水である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約25度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約45度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約-20度で熱的に安定である、方法が本明細書に提供される。凍結乾燥組成物が、摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である、方法が本明細書にさらに提供される。疎水性コアが、油を含む、方法が本明細書にさらに提供される。油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質を含む、方法が本明細書にさらに提供される。カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、必要に応じて、1つまたは複数の界面活性剤を含む、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法が本明細書にさらに提供される。疎水性界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含み;親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、方法が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、約0.1~約0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、RNAである、方法が本明細書にさらに提供される。RNAが、自己複製性RNAである、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、方法が本明細書にさらに提供される。脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、方法が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、方法が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、スクロースである、方法が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約1%w/v~約20%w/vである、方法が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/v~約20%w/vである、方法が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの凍結保護物質が、約10%w/vである、方法が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0147】
ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシ化ソルビタンエステル、カチオン性脂質、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。ソルビタン脂肪酸エステルが、ソルビタンモノステアレートである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。エトキシ化ソルビタンエステルが、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエートである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。カチオン性脂質が、DOTAPである、乾燥組成物が本明細書に提供される。免疫刺激物質が、スクアレンである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。エステルの比が、8~11の親水性-親油性バランスを生じさせる、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。エステルおよび脂質の比が、30nm~200nmの粒子径を生じさせる、乾燥組成物が本明細書に提供される。エステルおよび脂質の比が、40nm~70nmの粒子径を生じさせる、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの任意の組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0148】
ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、免疫刺激物質、およびRNAを含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。免疫刺激物質が、産生されるタンパク質の総量を減少させるが、ワクチンに対する免疫応答を増加させる、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート、DOTAP、およびスクアレンを含み、固体粒子を含まない、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。エステルの比が、8~11の親水性-親油性バランスを生じさせる、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。粒子径が、30nm~200nmである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。N:Pの比が、5~35である、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。免疫刺激物質が、産生されるタンパク質の総量を増加させるが、ワクチンに対する免疫応答を減少させる、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。免疫刺激物質が、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、または飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステルの少なくとも1つである、乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの任意の組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0149】
(a)脂質キャリアであって、脂質キャリアが、疎水性コア、および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリア;(b)必要に応じて1つまたは複数の核酸;ならびに(c)(i)乾燥組成物の少なくとも約50重量%、または(ii)少なくとも約50mgの量で存在する少なくとも1つの糖を含む乾燥組成物が本明細書にさらに提供される。凍結乾燥されている組成物が本明細書にさらに提供される。摂氏約25度で熱的に安定である組成物が本明細書にさらに提供される。摂氏約45度で熱的に安定である組成物が本明細書にさらに提供される。摂氏約-20度で熱的に安定である組成物が本明細書にさらに提供される。摂氏約2度~摂氏約8度で熱的に安定である組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1週間、少なくとも2週間、および/または少なくとも1か月間、熱的に安定である組成物が本明細書にさらに提供される。疎水性コアが、油を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。油が、α-トコフェロール、ラウロイルポリオキシルグリセリド、モノアシルグリセロール、プロポリス、スクアレン、鉱物油、ブドウ種子油、オリーブ油、パラフィン油、ピーナッツ油、大豆油、ヒマワリ油、大豆レシチン、トリグリセリド、ビタミンE、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステル、ジヒドロイソスクアレン(DHIS)、ファルネセン、ならびにスクアランの少なくとも1つを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質、アニオン性脂質、中性脂質、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の脂質が、カチオン性脂質を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。カチオン性脂質が、1,2-ジオレオイルオキシ-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP);3β-[N-(N’,N’-ジメチルアミノエタン)-カルバモイル]コレステロール(DCコレステロール);ジメチルジオクタデシルアンモニウム(DDA);1,2-ジミリストイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DMTAP)、ジパルミトイル(C16:0)トリメチルアンモニウムプロパン(DPTAP);ジステアロイルトリメチルアンモニウムプロパン(DSTAP);N-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,Nトリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA);N,N-ジオレオイル-N,N-ジメチルアンモニウムクロリド(DODAC);1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-エチルホスホコリン(DOEPC);1,2-ジオレオイル-3-ジメチルアンモニウム-プロパン(DODAP);および1,2-ジリノレイルオキシ-3-ジメチルアミノプロパン(DLinDMA);1,1’-((2-(4-(2-((2-(ビス(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)(2-ヒドロキシドデシル)アミノ)エチル)ピペラジン-1-イル)エチル)アザンジイル)ビス(ドデカン-2-オール)(C12-200)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE);N-デシル-N,N-ジメチルデカン-1-アミニウムブロミド(DDAB);2,3-ジオレイルオキシ-N-[2-(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA);エチルホスファチジルコリン(ePC);およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、少なくとも1つの界面活性剤を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの界面活性剤が、疎水性界面活性剤、親水性界面活性剤、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、組成物が本明細書にさらに提供される。疎水性界面活性剤が、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、およびソルビタントリオレエートからなる群から選択されるソルビタンエステルを含み;親水性界面活性剤が、ポリソルベートを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリアが、約0.1~約0.4の範囲の平均多分散指数で、約40nm~約150nmの範囲のz平均流体力学直径を有する、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、DNAである、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、RNAである、組成物が本明細書にさらに提供される。RNAが、自己複製性RNAである、組成物が本明細書にさらに提供される。疎水性コアが、1つまたは複数の無機ナノ粒子を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、金属塩、金属酸化物、金属水酸化物、金属リン酸塩、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の核酸が、脂質キャリアに組み込まれるか、またはそれと複合体化して、脂質キャリア-核酸複合体を形成する、組成物が本明細書にさらに提供される。脂質キャリア-核酸複合体が、非共有結合性相互作用を介して、または可逆的な共有結合性相互作用を介して形成される、組成物が本明細書にさらに提供される。窒素のホスフェートに対する(N:P)モル比によって特徴付けられる脂質キャリアの1つまたは複数の核酸に対するモル比が、約1:1~約150:1の範囲である、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの糖が、スクロース、マルトース、トレハロース、マンニトール、グルコース、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの糖が、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300mg、またはそれよりも多くの量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの糖が、50mg~250mgの量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの糖が、少なくとも約250mgの量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。糖が、組成物の少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95重量%、またはそれよりも多くの量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。糖が、組成物の80~98%、必要に応じて94~96重量%の量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。糖が、組成物の約95重量%の量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。少なくとも1つの糖が、スクロースを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、酸化アルミニウム(Al2O3)、オキシ水酸化アルミニウム、酸化鉄、二酸化チタン、二酸化ケイ素(SiO2)、ヒドロキシリン酸アルミニウム(Al(OH)x(PO4)y)、リン酸カルシウム(Ca3(PO4)2)、カルシウムヒドロキシアパタイト(Ca10(PO4)6(OH)2)、グルコン酸鉄、または硫酸鉄を含む、組成物が本明細書にさらに提供される。1つまたは複数の無機ナノ粒子が、マグネタイト(Fe3O4)、マグヘマイト(y-Fe2O3)、ウスタイト(FeO)、もしくはヘマタイト(アルファ(α)-Fe2O3)、またはそれらの任意の組合せを含む、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0150】
最大で約200マイクログラム(μg)の量で存在する核酸;最大で約1.5mg/mlの濃度で存在するカチオン性脂質;最大で約0.01mg/mlの濃度で存在する酸化鉄;最大で約1.88mg/mlの濃度で存在するスクアレン;最大で約1.86mg/mlの濃度で存在するソルビタンモノステアレート;最大で約1.86mg/mlの濃度で存在するポリソルベート80;最大で約50mg/mlの濃度で存在するスクロース;および必要に応じて最大で約2.1mg/mlの濃度で存在するクエン酸一水和物を含む組成物が本明細書にさらに提供される。核酸が、RNAまたはDNAである、組成物が本明細書にさらに提供される。核酸が、RNAであり、最大で約50μgの量で存在する、組成物が本明細書にさらに提供される。
【0151】
本明細書に提供される医薬組成物および対象への投与のための送達システムを含む、キットが本明細書にさらに提供される。それぞれ、脂質キャリアおよび核酸を含む、2つまたはそれよりも多くの別々のユニットを含む、キットが本明細書にさらに提供される。脂質キャリアおよび核酸を含むユニットを含む、キットが本明細書にさらに提供される。乾燥組成物の水和のための試薬を含むユニットをさらに含む、キットが本明細書にさらに提供される。水和のための試薬が、水を含む、キットが本明細書にさらに提供される。
【0152】
対象における免疫応答を生じさせるための方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0153】
対象における疾患を処置または防止する方法であって、治療有効量の本明細書に提供される医薬組成物を対象に投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0154】
対象における1つまたは複数の核酸の送達をイメージングおよび/または追跡する方法であって、治療有効量の本明細書に記載される医薬組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書にさらに提供される。
【0155】
以下の実施例は、本明細書に開示される実施形態の原理およびプラクティスを当業者により明確に説明するために示され、任意の特許請求の範囲に記載の実施形態の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。他に述べられない限り、すべての部およびパーセンテージは、重量基準である。
【実施例】
【0156】
(実施例1)
一般的な生成技法および用いた材料
以下の材料を、脂質キャリアが、疎水性コア、1つまたは複数の無機ナノ粒子および1つまたは複数の脂質を含むナノエマルジョンである、脂質キャリアの製造において使用した。
【0157】
剤は、スクアレン、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)80)、DOTAPクロリド、酸化鉄ナノ粒子およびクエン酸ナトリウム二水和物を含む。一般に、5nmの数-重量平均直径を有する酸化鉄ナノ粒子に、クロロホルムを添加した。クロロホルムを、ドラフト中で蒸発させ、酸化鉄ナノ粒子の乾燥コーティングが残った。酸化鉄ナノ粒子に、SPAN(登録商標)60、スクアレン、およびDOTAPクロリドを添加して、「油」相を調製した。油相を、60℃に事前に加熱した水浴中で30分間超音波処理した。別々に、1リットルのガラスボトル中で、「水」相を、TWEEN(登録商標)80を、Milli-Q水を用いて調製されたクエン酸ナトリウム二水和物溶液に添加することによって調製した。水相を30分間撹拌して、TWEEN(登録商標)80を完全に溶解させた。TWEEN(登録商標)80の完全な溶解後、水相を、ビーカーに移し、60℃に事前に加熱した水浴中でインキュベートした。加熱した油相に、事前に加熱された水相を添加した。混合物を、乳様の外観を有する均質なコロイドが生成するまで、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して、直ぐに乳化した。コロイドを、その後、20,000psiで、LM10マイクロフルイダイザーのY型相互作用チャンバーに流体を通過させることによって、処理した。流体を、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.2の多分散指数で、59nmになるまで、通過させた。マイクロフルイダイズされた脂質キャリア試料を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)注射器フィルターで濾過した。
(実施例2)
脂質キャリア+RNA-分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)複合体の調製。
【0158】
脂質キャリア+RNA-SEAP複合体を調製し、凍結乾燥のために三反復で等分した。本明細書のどこかに記載されるFe-脂質キャリアは、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、0.2mg Fe/mlの12nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems、San Diego、CA、USA)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。脂質試料は、比較のために省いた。試料を収集し、再構成のために選択した。次いで、凍結乾燥ケーキの外観を記録した。次いで、すべての凍結乾燥ケーキを、0.7mlのmilliQ水中で再構成した。次いで、(i)粒子径、(ii)サイズ分布、(iii)RNA完全性、(iv)DOTAPおよびスクアレン含有量、ならびに(v)in vitroタンパク質発現の測定を含む、再構成された材料の物理化学的性質を測定した。結果を下記に示す。表2は、脂質キャリア+RNA-SEAP複合体の調製において使用される材料を開示する。
【表2】
【0159】
凍結乾燥のための条件を、表3~5に下記の通り示す。
【表3】
【表4】
【表5】
【0160】
希釈剤の調製:糖およびクエン酸塩を含む希釈剤を、表6に概説されるようにして調製した。それぞれの糖を、50mlのRNaseを含まないコニカル管に量りとった。約35~40mlのヌクレアーゼを含まない水を添加して、糖を溶解し、必要により、わずかに加熱し、超音波処理を使用した。0.5mlの1Mのクエン酸Na、pH=6の溶液をピペットで入れる。すべての糖が溶解し、溶液が透明になった後、コニカル管において、50mlのマークまで、ヌクレアーゼを含まない水で、Q.S.にした。希釈剤を0.22μmのSTERIFLIP(登録商標)で濾過し、無菌を維持するために、無菌でキャップをしめた。
【表6】
【0161】
プレ複合体製剤の調製:脂質キャリア「DS」は、30mgのDOTAP/mlのバルク溶液であり、Fe-脂質キャリア製剤を指し、その調製は、実施例8に記載する。
【0162】
5倍の50%のスクロース組成の脂質キャリアを希釈して、2×6mgのDOTAP/mlの脂質キャリア「DP」を作製したのを除いて、10倍の脂質キャリア「DS」(30mgのDOTAP/ml)を、それぞれの希釈剤に希釈して、3mgのDOTAP/mlの脂質キャリア「DP」を作製した。液体製剤中の標的RNA濃度は、50ng/μlであり、15のN:Pで、脂質キャリアと複合体化した。これは、バイアルあたり25μgのRNA用量をシミュレートする。表7は、プレ複合体の脂質キャリア複合体の調製を開示する。未使用の脂質キャリアを、摂氏2~8度で貯蔵した。
【表7】
【0163】
表8は、プレ複合体のナノ構造脂質キャリア(NLC)複合体の調製を開示する。NLCを対照として使用した。未使用のNLCを、新鮮な複合体対照のために、摂氏2~8度で貯蔵した。
【表8】
【0164】
RNAプレ複合体の調製を表9に開示する。RNAストックを調製した。アリコートあたり50%のスクロースのために約7.5mlまたは0.63mlに分け、摂氏-80度で貯蔵した。
【表9】
【0165】
脂質キャリア-RNA複合体の調製を表9に開示する。RNAストックを調製した。凍結乾燥(lyo)サイクルごとの複合体化ごとに、希釈されたRNAの体積は、(+5%)であり、希釈された脂質キャリアは、(+5%)であった。
【0166】
脂質キャリア+RNAまたはNLC+RNAの複合体を、1:1の体積で、上記に記載の表8および表9に列挙されたそれぞれの希釈製剤を、表10に開示されたRNAを希釈した対応する「組成物ID」と混合することによって、調製した。複合体を、凍結乾燥サイクルまたは長期貯蔵条件に付す前に、室温で30分間平衡化した。
【表10】
(実施例3)
粒子径測定。
【0167】
製剤を、使い捨てサイジングキュベットDTS0012において、900μlのmilliQ水を10μlのGLB51-F04-20-02に添加することによって、100倍希釈した。ボルテックスし、泡を、キュベットを軽くタッピングすることによって除去した。粒子径を、zetasizer ULTRAにおいて、MALDS法によって測定した。最低で5つの測定値を収集した。平均z平均直径、および平均PDIを、後方散乱(173°)測定から記録した。
(実施例4)
アガロースゲル電気エイドによるRNA完全性。
【0168】
試料を、50ng/μlの複合体を、10ng/μlのヌクレアーゼを含まない水:12μlの複合体+48μlの水で、5倍希釈することによって調製した。60μlのフェノール:クロロホルムを添加し、10~15回反転させて、RNAを抽出した。15分間遠心分離して、10μlの上清を除去し、10μlのグリオキサールロード色素と混ぜ、それに続いて、摂氏50度に30分間加熱することによって、RNAを変性させた。レーンあたり10μlをロードした。
(実施例5)
BHK21細胞のSEAP発現。
【0169】
細胞トランスフェクション:96ウェルプレートに、トランスフェクションの1日前に、1.5×105個細胞/mLで事前に播種した。トランスフェクションの日に、増殖培地を、ピペッティングによってプレートから除去した。50μLのRNA:脂質キャリア混合物および50μLのOpti-MEM(商標)(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA USA)を、BHK21(ベビーハムスター腎臓線維芽細胞)細胞に添加した。細胞を4時間インキュベートした。RNA:脂質キャリアおよびOpti-MEM(商標)培地を、ピペッティングによって除去し、DMEM増殖培地で置き換えた。細胞を終夜インキュベートした。
【0170】
上清におけるSEAP発現の評価:SEAPレポーターアッセイキット(商標)(Novus Biologicals NPB2-25285)のキットを使用して、上清におけるSEAPレベルを測定した。上清を、製造業者の推奨プロトコールに従って、未希釈で分析した。
(実施例6)
サイクル#1後の特徴付けデータ
【0171】
すべての凍結乾燥ケーキは、サイクル#1後に時間=0時間で良好な完全性を示した。5%のグルコースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの完全性は、摂氏25度で24時間後に、部分的に損なわれた。すべての他の製剤の完全性は保存された。本明細書のどこかに記載されるFe-脂質キャリアは、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、0.2mg Fe/mlの12nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。10%のスクロースにおけるNLC+RNA-SEAPおよび5%のグルコースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの製剤からのケーキは、摂氏42度で24時間後に著しく縮んだ。すべての他の製剤の完全性は保存された。
図2~4は、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成における凍結乾燥ケーキの外観を図示する。
図2は、時間=0時間での示された糖組成におけるNLCおよび脂質キャリアケーキの外観を図示する。
図3は、t=摂氏25度および摂氏42度で24時間後の示された糖組成におけるNLCおよび脂質キャリアケーキの外観を図示する。
図4は、t=摂氏25度および摂氏42度で24時間での示された糖組成におけるNLCおよび脂質キャリアケーキの外観を図示する。
【0172】
凍結乾燥サイクル#1後の摂氏25度および摂氏42度で示された糖組成における貯蔵1日後の再構成ケーキの粒子径を、
図4A~4Bにおけるようにして測定した。
図5Aは、示された糖組成における時間=0時間での液体製剤と比べた粒子径の倍数変化を示す。
図5Bは、示された糖組成におけるそれらの対応する液体製剤と比べた再構成凍結乾燥製剤のPDIの点変化を示す。平均サイズおよびサイズ分布の値を表11に示す。すべての再構成された凍結乾燥製剤は、再構成後に、脂質キャリア+RNA複合体のサイズの増加をもたらした。凍結保護物質としてスクロースを含有するすべての再構成された製剤は、摂氏25度で時間=0時間および24時間で最小限のPDI変化をもたらした。
【0173】
表11に記載される凍結乾燥(t=0)は、凍結乾燥サイクルの完了と同じ日に再構成された凍結乾燥製剤を指す。表11に記載される液体は、凍結乾燥製剤の同等の液体(非凍結乾燥)製剤を指す。
【表11】
凍結乾燥サイクル#1後のアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性:
【0174】
脂質キャリア+RNAおよびNLC+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を、
図6A~6Bに図示する。
図6Aは、脂質キャリア+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を示す。
図6Bは、脂質キャリア+RNAおよびNLC+RNA製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を示す。
【0175】
摂氏25度および摂氏42度の凍結乾燥ケーキを、再構成の前に24時間貯蔵した。再構成、および脂質キャリア+RNA-SEAPからのRNA-SEAPのフェノール:クロロホルム抽出後のすべての凍結乾燥試料は、
図6A~6Bに示されるように、ネイキッドRNA-SEAP陽性対照と関係がある規定のRNAバンドを示した。
図6Aは、摂氏42度で24時間貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAP複合体の液体製剤が、液体として貯蔵された場合に、分解の加速を示唆するRNAバンド強度の有意な減少をもたらしたが、乾燥凍結乾燥形態で貯蔵されていない場合には、分解の加速を示唆するRNAバンド強度の有意な減少をもたらさなかったことを示す。
【0176】
凍結乾燥は、摂氏42度での貯蔵で、液体脂質キャリア+RNA製剤におけるRNA完全性を保存した。
凍結乾燥サイクル#1後のBHK21細胞のSEAP発現:
【0177】
脂質キャリア+repRNAおよびNLC+repRNA-SEAP製剤について、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるBHK21細胞のSEAP発現を、
図7A~7Gに図示する。
図7Aは、10%のトレハロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Bは、5%のマンニトールにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Cは、10%のスクロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Dは、20%のスクロースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Eは、5%のグルコースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Fは、10%のマルトースにおける脂質キャリア+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
図7Gは、10%のスクロースにおけるNLC+repRNA-SEAPについての相対発光単位(RLU)を示す。
【0178】
比較のために、細胞に、示された糖組成において、新たに調製された脂質キャリア+RNA-SEAPをトランスフェクトした。追加の安定性の比較として、細胞に、摂氏25度で24時間または摂氏42度で24時間貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの液体製剤をトランスフェクトした。後者の条件は、in vitroタンパク質発現における分解されたRNAの効果を測定するための対照としての役割を果たした。
図7A~7Gは、時間=0時間または摂氏25度で24時間後の再構成されたすべての凍結乾燥製剤が、対応する新たに調製された脂質キャリア+RNA-SEAP複合体と比べて、RNA用量依存性の発現プロファイルの変化をもたらさなかったことを図示する。液体製剤において摂氏42度で24時間貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAP(
図7C)は、凍結乾燥製剤と比較して、有意に減少したSEAP発現をもたらした。10%のトレハロース(
図7A)、20%のスクロース(
図7D)および10%のマルトース(
図7F)も、摂氏42度で24時間貯蔵後に、SEAP発現によって測定されるように、RNA-SEAPの効力を保存した。最後に、摂氏42度で、5%のマンニトール(
図7B)または5%のグルコース(
図7E)を含有する凍結乾燥された脂質キャリア+RNA-SEAPは、それらの対応する新たに調製された液体製剤と比べて、SEAPの用量依存性の発現プロファイルの著しい減少をもたらした。比較のために、NLCを、10%のスクロースにおいてRNA-SEAPを用いて調製した(
図7G)。
凍結乾燥サイクル#1後の脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観:
【0179】
図8および
図9は、サイクル#1後のさまざまな時点での示された糖組成における脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観を示す。すべての凍結乾燥ケーキは、サイクル#1後に時間=0時間で良好な完全性を示した。
図8は、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるさまざまな時点(時間=0時間、摂氏25度で6日後および摂氏25度で1か月後)での脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観を図示する。
図8は、5%のグルコースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの完全性が、摂氏25度で6日後および摂氏25度で1か月後に有意に損なわれたことを示す。10%のスクロースにおけるNLC+RNA-SEAPの完全性は、摂氏25度で6日後に部分的に損なわれ、摂氏25度で1か月後に有意に損なわれた。すべての他の製剤の完全性は、摂氏25度で1か月後に保存された。
【0180】
図9は、凍結乾燥サイクル#1後の示された糖組成におけるさまざまな時点(時間=0時間、摂氏42度で24時間後、および摂氏42度で3日後、および摂氏42度で1か月後)での脂質キャリア+RNA-SEAPケーキの外観を図示する。
図8は、すべてのスクロースおよびグルコースを含有する製剤が、摂氏42度での貯蔵の24時間後、3日後、および1か月後に次第に縮んだことを示す。すべての他の製剤の完全性は、摂氏42度で1か月後に保存された。
(実施例7)
サイクル#3後の特徴付けデータ
凍結乾燥サイクル#3後の粒子径:
【0181】
凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成における摂氏25度および摂氏42度での貯蔵1日後の再構成ケーキの粒子径を、
図10A~10Bにおけるようにして測定した。
図10A~10Bは、凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成における貯蔵1日後の再構成ケーキの粒子径を図示する。
図10Aは、示された糖組成における再構成製剤のPDIの点変化を示す。
図10Bは、脂質キャリア+RNAの新鮮な複合体と比べた粒子径のlog10倍数変化を示す。
【0182】
平均サイズおよびサイズ分布の値を表12に示す。摂氏25度または摂氏42度で1か月間貯蔵されたすべての凍結乾燥製剤は、再構成後に複合体のサイズの増加をもたらした。20%のスクロースにおいて調製された脂質キャリア+RNA-SEAPは、
図10A~10Bに示されるように、摂氏5度で1か月間貯蔵された液体製剤と比べて、粒子径の最も小さい倍数変化および最低限のPDIの変化をもたらした。
【表12】
凍結乾燥サイクル#3後のアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性:
【0183】
凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成におけるアガロースゲル電気泳動によるRNA完全性を
図11に図示する。液体製剤および凍結乾燥製剤の両方を、摂氏25度および摂氏42度で1か月間貯蔵した。
図11は、バンドの光学密度(OD)%が、10%のスクロースにおける新たに調製された脂質キャリア+RNA-SEAPから抽出されたRNA-SEAPに対して正規化されたことを示す。摂氏42度で1か月間貯蔵された、液体または凍結乾燥のすべての試料は、RNA-SEAPの完全な分解を示す検出可能なRNAバンドを示さなかった。10%のスクロースにおけるNLC+RNA-SEAPおよび5%のマンニトールにおける脂質キャリア+RNA-SEAPを除いて、すべての凍結乾燥された脂質キャリア+RNA-SEAP製剤は、摂氏5度で1か月間液体形態で貯蔵された脂質キャリア+RNA-SEAPよりも、摂氏25度で1か月間、RNA-SEAPをより良好に保護した。摂氏25度で1か月間液体として貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPは、完全であった。比較において、凍結乾燥形態で摂氏25度で貯蔵された場合に、RNA-SEAPは、新鮮な複合体と比べて50%のODであり、液体形態で摂氏5度で貯蔵された場合、23%のODであった。20%のスクロースまたは10%のマルトースにおいて製剤化された脂質キャリア+RNA-SEAPは、摂氏25度で1か月貯蔵後に、RNA-SEAPを有意に保存した。
凍結乾燥サイクル#3後のBHK21細胞のSEAP発現:
【0184】
凍結乾燥サイクル#3後の示された糖組成におけるBHK21細胞のSEAP発現を
図12に図示する。平均SEAP発現レベルを、12.5ng/ウェルの単一RNAトランスフェクション用量について示した。比較のために、細胞に、
図12に示されるように、10%のスクロースにおける新たに調製された脂質キャリア+RNA-SEAPをトランスフェクトした(上側の点線)。摂氏42度で1か月間貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの液体製剤をトランスフェクトした細胞は、in vitroタンパク質発現に対する分解したRNAの効果を測定するための比較としての役割を果たした(下側の点線)。摂氏42度で1か月間貯蔵されたすべての凍結乾燥試料からの発現は、摂氏42度で1か月間液体形態で貯蔵された10%のスクロースにおける脂質キャリア+RNA-SEAPの発現レベルであったか、またはそれを下回った。摂氏25度で1か月間貯蔵された10%のスクロース、20%のスクロース、10%のトレハロースおよび10%のマルトースにおける凍結乾燥された脂質キャリア+RNA-SEAP複合体は、摂氏5度で液体形態で1か月間貯蔵された同じ組成物よりも高いSEAP発現をもたらした。
(実施例8)
マクロファージの免疫応答。
【0185】
脂質キャリアおよびrepRNAのさまざまな製剤を調製し、分析して、マクロファージにおける脂質キャリアの自然免疫応答をアッセイした。THP-1マクロファージにおけるタンパク質発現およびTNF産生の刺激を研究した。
【0186】
最初に、THP-1単球を、ホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)を使用して、マクロファージに分化させた。次いで、細胞に、Nano LuciferaseコードレプリコンRNA(配列番号2)を有するさまざまな製剤をトランスフェクトした。次いで、細胞培養培地を、NanoLucおよびTNF発現について評価した。
【0187】
このアッセイにおいて使用された、製剤、ならびに粒子径およびPDIなどのそれらの特徴を表13に記載する。repRNAコードNanoLucの濃度は、909ng/μlであり、摂氏-80度で維持した。飽和ココナツ油/パーム核油由来カプリルおよびカプリン脂肪酸と植物由来グリセロールのトリグリセリドエステルであるMIGLYOL(登録商標)812 Nを、このアッセイにおいて使用した。
【表13】
【0188】
Fe-脂質キャリア製剤(100mlスケールで調製):Fe-脂質キャリア製剤は、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、0.2mg Fe/mlの12nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。1mlのクロロホルム(Imagion Biosystems、ロット番号95-127)中の20mg Fe/mlの直径12nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子を、4:1のアセトン:クロロホルム(v/v)溶媒混合物中で磁気分離することによって、3回洗浄した。3回目の洗浄後、揮発性溶媒(アセトンおよびクロロホルム)を、ドラフト中で完全に蒸発させて、乾燥オレイン酸酸化鉄ナノ粒子のコーティングが残った。この酸化鉄コーティングに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.25の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。鉄濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0189】
高Fe-脂質キャリア製剤(100mlスケールで調製):高Fe-脂質キャリア製剤は、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、1mg Fe/mlの15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。5mlのクロロホルム(Imagion Biosystems、ロット番号95-133)中の20mg Fe/mlの直径15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子を、4:1のアセトン:クロロホルム(v/v)溶媒混合物中で磁気分離することによって、3回洗浄した。3回目の洗浄後、揮発性溶媒(アセトンおよびクロロホルム)を、ドラフト中で完全に蒸発させて、乾燥オレイン酸酸化鉄ナノ粒子のコーティングが残った。この酸化鉄コーティングに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。鉄濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0190】
Fe-脂質キャリアmiglyol製剤(100mlスケールで調製):Fe-脂質キャリアmiglyol製剤は、37.5mg/mlのMIGLYOL(登録商標)812 N(IOI Oleo GmbH、Hamburg、Germany)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、0.2mg Fe/mlの15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。1mlのクロロホルム(Imagion Biosystems、ロット番号95-127)中の20mg Fe/mlの直径15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子を、4:1のアセトン:クロロホルム(v/v)溶媒混合物中で磁気分離することによって、3回洗浄した。3回目の洗浄後、揮発性溶媒(アセトンおよびクロロホルム)を、ドラフト中で完全に蒸発させて、乾燥オレイン酸酸化鉄ナノ粒子のコーティングが残った。この酸化鉄コーティングに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。鉄濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAP濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0191】
高Fe-脂質キャリアmiglyol製剤(100mlスケールで調製):高Fe-脂質キャリアmiglyol製剤は、37.5mg/mlのMIGLYOL(登録商標)812 N(IOI Oleo GmbH)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、1mg/mlの15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウム二水和物(Fisher Chemical)を含む。5mlのクロロホルム(Imagion Biosystems、ロット番号95-127)中の20mg Fe/mlの直径15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子を、4:1のアセトン:クロロホルム(v/v)溶媒混合物中で磁気分離することによって、3回洗浄した。3回目の洗浄後、揮発性溶媒(アセトンおよびクロロホルム)を、ドラフト中で完全に蒸発させて、乾燥オレイン酸酸化鉄ナノ粒子のコーティングが残った。この酸化鉄コーティングに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。鉄濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAP濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0192】
ミョウバン-脂質キャリア製剤(100mlスケールで調製):ミョウバン-脂質キャリア製剤は、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、1mg Al/mlのTOPOコーティングAlhydrogel(登録商標)(オキシ水酸化アルミニウム)粒子(Croda)および10mMのクエン酸ナトリウムを含む。10mlのAlhydrogelを、1000rpmで20分間遠心分離することによって、メタノール中で3回洗浄した。3回目の洗浄後、Alhydrogelを10mlのメタノールに分散させ、この分散液に、1mlの250mg/mlのトリオクチルホスフィンオキシド(TOPO)を添加し、オービタルシェーカーで、摂氏37度で終夜インキュベートした。過剰のTOPOを、追加のメタノール洗浄によって除去し、次いで、11mlのメタノールに分散させた。メタノールを、ドラフト中で終夜蒸発させて、TOPO-Alhydrogelの乾燥層が残った。この乾燥TOPO-Alhydrogel層に、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。アルミニウム濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0193】
Fe-脂質キャリアソラネソール製剤(100mlスケールで調製):Fe-脂質キャリアソラネソール製剤は、37.5mg/mlのソラネソール(Cayman chemicals)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、0.2mg Fe/mlのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子(Imagion Biosystems)および10mMのクエン酸ナトリウムを含む。1mlのクロロホルム(Imagion Biosystems、ロット番号95-133)中の20mg Fe/mlの直径15nmのオレイン酸コーティング酸化鉄ナノ粒子を、4:1のアセトン:クロロホルム(v/v)溶媒混合物中で磁気分離することによって、3回洗浄した。3回目の洗浄後、揮発性溶媒(アセトンおよびクロロホルム)を、ドラフト中で完全に蒸発させて、乾燥オレイン酸酸化鉄ナノ粒子のコーティングが残った。この酸化鉄コーティングに、3.75グラムのソラネソール、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。鉄濃度を、ICP-OESによって決定した。DOTAPおよびソラネソール濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0194】
NLC製剤(100mlスケールで調製):NLC製剤は、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)、2.4mg/mlのDynasan 114(IOI Oleo GmbH)および10mMのクエン酸ナトリウムを含む。200mlのビーカーに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、0.24グラムのDynasan 114および3グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。92mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、92mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0195】
CNE製剤(100mlスケールで調製):CNE製剤は、43mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、5mg/mlのSPAN(登録商標)85(Millipore Sigma)、5mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、4mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)および10mMのクエン酸ナトリウムを含む。200mlのビーカーに、4.3グラムのスクアレン、0.5グラムのSPAN(登録商標)85、および0.4グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に2.6グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。95mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、95mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.05~0.1の多分散指数(PDI)で、100±10nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。マイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
【0196】
処置群を調製した。8つのこれらの群は、NanoLuc repRNA群であり、ウェルあたり600ng用量を、Fe-脂質キャリア、高Fe-脂質キャリア、Fe-脂質キャリアmiglyol、高Fe-脂質キャリアmiglyol、ミョウバン-脂質キャリア、Fe-脂質キャリアソラネソール(SLN)、NLC、およびCNE製剤を使用して調製した。未処置群は、NanoLucを有していなかった。
【0197】
さまざまな製剤を、NanoLuc repRNAを2.2mLのRNAseを含まない水に8ng/μLに希釈することによって調製した。脂質キャリア製剤およびRNAマスターミックスを、250μLのそれぞれの希釈された製剤と250μLの希釈されたRNAを添加することによって複合体化し、上下にピペッティングすることによって混合した。
【0198】
細胞トランスフェクションを、24ウェルプレートにおいて、ウェルあたり7×105個のTHP-1sを播種することによって行った。ウェルあたり80μMのPMAを添加し、摂氏37度でインキュベートした。翌日、トランスフェクションの1時間前に、PMA含有培地を除去し、cRPMIで置き換えた。次いで、試料を、Opti-MEM(商標)に連続希釈して、0.45ng/μLで開始する10点の1.5倍の希釈系列を作製した。次いで、培養培地を、ピペッティングによってプレートから除去した。450μLのOpti-MEM(商標)および150μLの複合体化製剤を、二反復で、プレートに添加した。空のウェルには、450μLのOpti-MEM(商標)のみを入れた。4時間後、試料を、ピペッティングによってプレートから除去し、500μLの増殖培地で置き換えた。次いで、プレートを、摂氏37度で終夜インキュベートした。増殖培地を翌日回収し、摂氏-80度で貯蔵した。下流のアッセイを実施した。
【0199】
ルシフェラーゼアッセイを、最初にNano-Gloルシフェラーゼアッセイ試薬を緩衝液に1:50で希釈することによって行った。25μLの上清を除去し、96ウェルプレートにおいて、25μLのNano-Glo試薬と混合した。これを、室温で3分間インキュベートした。発光を読み取った。
【0200】
R&D Systems製のヒトTNF-アルファ DuoSet ELISAを使用して、製造業者のプロトコールに従って、ELISAアッセイを行って、培地におけるTNF-アルファタンパク質レベルを評価した。96ウェルマイクロプレートを、抗TNF捕捉抗体でコーティングした。プレートをブロッキングし、次いで、培地試料を、希釈なしで直接添加した。ビオチン化検出抗体SA-HRPおよび基質の添加後、吸光度を、SPECTRAMAX(登録商標)i3(Molecular Devices、LLC、San Jose CA、USA)プレートリーダーにおいて、450nmで読み取った。
【0201】
この実施例におけるすべての研究は、二反復で行った。二反復からの結果を、それぞれ、第1の実験および第2の実験として表す。
【0202】
アッセイは、脂質キャリアおよびMiglyolから構成される液体製剤が、
図13Aにおける第1のアッセイおよび
図13Bにおける第2のアッセイに示されるように、レプリコンからのより高いタンパク質産生を誘導したことを実証する。TNF-アルファ分泌によって測定されるように、自然免疫応答の低減が検出され、
図14Aにおける第1のアッセイおよび
図14Bにおける第2のアッセイに示した。
【0203】
タンパク質産生の増強と低TNF-アルファ刺激との間の相関が、
図15Aにおける第1のアッセイおよび
図15Bにおける第2のアッセイに示されるように、Miglyol脂質キャリア製剤で観察された。ソラネソールは、
図15Aにおける第1のアッセイおよび
図15Bにおける第2のアッセイに示されるように、わずかに低いタンパク質産生を誘導したが、潜在的に高いTNF産生を誘導した。
【0204】
図16A~16Fは、種々の反復の脂質キャリア-製剤化DNA SEAPが筋肉内注射されたBALB/cマウスにおけるSEAPレベルを図示する。
図16Aは、4日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Bは、6日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Cは、8日目の相対発光単位(RLU)を示す。
図16Dは、4日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
図16Eは、6日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
図16Fは、8日目の相対発光単位(RLU)のコピーである。
【0205】
図17は、Y軸にZ平均測定および多分散指数(PDI)の測定値、ならびに条件1~14についてX軸に群番号を有する棒グラフである。
【0206】
図18A~18Bは、Y軸にIgG(μg/ml)、条件1~14についてX軸に群番号を有するドットチャートであり、記録は、それぞれ、14日目の抗D614G(1:40希釈)および28日目の抗D614G(1:200希釈)での測定について示す。
【0207】
図19は、Y軸に抗D614G(1:200希釈)のIgG(μg/ml)測定値、およびX軸に貯蔵条件の指示を有する、28日目のドットチャートを示す。
【0208】
製剤間の他の主な相違は観察されなかった。これは、脂質キャリアおよびmiglyolから構成される製剤(Fe-脂質キャリアmiglyol)が、限定されるものではないが、抗ウイルス療法およびがん療法などの治療的適用における見込みがある製剤であることを示唆する。そのような治療的適用では、限定されるものではないが、治療用タンパク質または抗体のin vivo産生などの高いタンパク質産生および低い免疫刺激が望ましい。
(実施例9)
マウスにおけるDNA(SEAP)生物活性。
【0209】
この実施例は、BALB/cマウスにおける脂質キャリアおよびDNA(SEAP)の生物活性に対する注射された用量の影響を研究する。動態、持続期間および大きさを研究した。材料:摂氏-20度のSEAPをコードするDNA(供給業者:Aldevron;カタログ番号:gWiz-SEAP、ロット番号:38611)、5mg/mL、摂氏-80度のSEAPをコードするrepRNA(配列番号1)、2217μg/mL、および摂氏4度の脂質キャリア製剤(30mg DOTAP/ml)をこの実施例で使用した。C57BL/6マウスに、表14にリストされる処置群で、記載の通り接種し、その後、SEAPレベルを血清中で測定した。
【表14】
【0210】
7つの異なる製剤を調製し、7つの処置群(群1~7)にわたって筋肉内投与した。DNA-SEAPまたはRNA-SEAPを、表15に示される体積セットに従って希釈して、群1~7のための製剤を調製した。
【表15】
【0211】
脂質キャリアと複合体化する前の希釈されたDNAまたはRNAの濃度は、以下の通りであった(NanoDrop specによって測定):群1、4および5は約820μg/mlのDNAを含有し;群2および3は約480μg/mlのDNAを含有し;群6および7は約43μg/mlのRNAを含有した。群1~6についての製剤を、下記の表16に示されるように、100mMのクエン酸塩で希釈した。
【表16】
【0212】
上記の製剤を、250μlの希釈された脂質キャリアを250μlの希釈されたDNAまたはRNAに添加することによって複合体化した。得られた複合体化製剤を、氷上で少なくとも30分間インキュベートした。表17は、このアッセイのためのスケジュールを示す。
【表17】
【0213】
マウスを定期的な間隔で採血し、血清を直ぐに調製し、SEAP活性のための分析まで、摂氏-80度で貯蔵した。
【0214】
血清におけるSEAPレベルを評価するために、すべての血清試料を同じ時に解凍し、SEAP検出を実施した。
図16A~16Fは、種々の反復の脂質キャリア-製剤化DNA SEAPが筋肉内注射されたBALB/cマウスにおけるSEAPレベルを図示する。マウスを定期的な間隔で採血し、血清を調製し、SEAPアッセイによる分析まで貯蔵した。データは、平均およびSEで示す(群あたりn=5)。
【0215】
図16A~16Fから分かるように、脂質キャリア製剤は、特に注射後6日目後に、DNA単独の送達よりも標的タンパク質産生を支援する。加えて、この実施例は、miglyolの包含が、miglyolを欠く脂質キャリア製剤よりもRNAレプリコンからのタンパク質産生を増強することを示す。
(実施例10)
無機コアなしの脂質キャリアの製剤。
【0216】
無機コアなしの脂質キャリアの製剤を100mlスケールで調製した。無機コアなしの脂質キャリアは、37.5mg/mlのスクアレン(SEPPIC)、37mg/mlのSPAN(登録商標)60(Millipore Sigma)、37mg/mlのTWEEN(登録商標)80(Fisher Chemical)、30mg/mlのDOTAPクロリド(LIPOID)および10mMのクエン酸ナトリウムを含む。200mlのビーカーに、3.75グラムのスクアレン、3.7グラムのSPAN(登録商標)60、および3.0グラムのDOTAPを添加して、油相を生成した。油相を、摂氏65度の水浴中で45分間超音波処理した。別々に、水相を、ヌクレアーゼを含まない水中で調製された500mlの10mMのクエン酸ナトリウム緩衝液に19.5グラムのTWEEN(登録商標)80を溶解することによって調製した。96mlの水相を、別々のガラスボトルに移し、摂氏65度に30分間加熱した。油相を、温かい油相を温かい水相に添加することによって、96mlの水相と混合した。混合物を、VWR 200ホモジナイザー(VWR International)を使用して乳化し、得られた粗エマルジョンを、動的光散乱(Malvern Zetasizer Nano S)によって測定されるz平均流体力学直径が、0.1~0.3の多分散指数(PDI)で、40~80nmに達するまで、30,000psiで、F12Y 75μmのダイヤモンド相互作用チャンバーおよび補助的なH30Z-200μmのセラミック相互作用チャンバーを備えたM110Pマイクロフルイダイザー(Microfluidics)を通過させることによって処理した。無機コアなし製剤のマイクロフルイダイズされた製剤を、最後に、200nmの細孔サイズのポリエーテルスルホン(PES)フィルターで濾過し、摂氏2~8度で貯蔵した。DOTAPおよびスクアレン濃度を、RP-HPLCによって測定した。
(実施例11)
追加のナノ粒子製剤
【0217】
追加のナノ粒子製剤を、以下の表(表18および表19)に従って生成する。
【表18】
【表19】
(実施例16)
マウスにおける凍結乾燥COVIDワクチンの評価
【0218】
以下を行って、SARS-CoV-2スパイク抗原配列をコードするレプリコンRNAを有する凍結乾燥NP-1の活性、再構成されたワクチンの物理化学的性質、効力、および免疫原性をアッセイした。簡潔には、表20における材料を使用した。
【表20】
【0219】
製剤複合体の調製。脂質ナノ粒子/RNA複合体の組成物を、下記の表21に示されるように、このアッセイにおいて調製した。NP-1またはNP-7およびrepRNAを、15のNのPに対する比で複合体化し、それぞれ、50mg/mlまたは100mg/ml(「2×」材料)の最終repRNA濃度、および10%または20%w/vのスクロース含有量を得るために複合体化した。10%のスクロースを有する複合体化材料(50mg/mlのrepRNA)は、5mMのクエン酸ナトリウムを含有したが、20%のスクロースを有する複合体化材料(100mg/mlのrepRNA)は、10mMのクエン酸塩を含有した。複合体を、2mlの無菌の脱パイロジェン化した焼成バイアルに充填した。10%のスクロースを有する複合体をバイアルあたり0.7mlで、20%のスクロースを有する複合体をバイアルあたり0.35mlで充填した。次いで、バイアルを凍結乾燥し貯蔵したか、または液体形態のままで貯蔵した。貯蔵温度は、摂氏25度または摂氏42度で1週間であった。組成物ごとの凍結乾燥バイアルおよび液体バイアルの量を表21に要約する。
【表21】
【0220】
凍結乾燥サイクル。SP VirTis Advantage Proトレイおよび不活性ガスで満たされたバッチ凍結乾燥機およびストッパー能力を使用した。凍結乾燥サイクルの概要を下記の表22に示す。サイクルの終了後、バイアルを48torrの窒素で充填し、栓をした後、室内圧力に平衡化した。
【表22】
【0221】
条件群。このアッセイで分析された14群の概要を下記の表23に提供する。群1および4は、貯蔵の欄に示されるように、ワクチン調製のための標準的なプロトコールとの比較のための陽性対照としての役割を果たすように、新たに調製した。
【表23】
【0222】
免疫原性アッセイ。抗スパイクIgG応答の誘導を、6~8週齢の雌C57Bl/6マウスにおいて評価した。5頭のマウスの群のサイズを使用した。スケジュールを表24に示す。
【表24】
【0223】
摂氏25度または摂氏42度の安定性チャンバーにおける1週間の貯蔵後。凍結乾燥ナノ粒子/RNA複合体を、0.7mlの無菌milliQ水で再構成し、粒子が肉眼で見えなくなるまで穏やかに回転させた。複合体の粒子径(z平均)およびサイズ分布(PDI)を測定し、
図17に要約し、群の指定を表25に示した。新たに調製されたNP-1/WT-S複合体(群1)の粒子径およびPDIは、それぞれ、76.8nmおよび0.223であった。再構成後、凍結乾燥試料(群7~14)は、平均で45%(+/-11%)成長した。群1と比べたz平均の変化%の概要を表25に含めた。
【表25】
【0224】
フェノール-クロロホルム抽出repRNAのアガロースゲル電気泳動。10%のスクロースまたは20%のスクロースにおけるNP-1/repRNAおよびNP-7+repRNAの液体製剤を、NP-1/repRNAおよびNP-7+repRNAで1週間貯蔵し、それぞれ、repRNA産物の部分的または完全な分解をもたらした(データは示さない)。10%のスクロースまたは20%のスクロースにおけるNP-1/repRNAおよびNP-7+repRNAの凍結乾燥は、NP-1/repRNAおよびNP-7+repRNAで1週間の貯蔵後にrepRNA完全性を保存した(データは示さない)。
【0225】
効力アッセイ。摂氏25度で1週間貯蔵された10%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/WT-Sは、トランスフェクトBHK細胞において、スパイクタンパク質の用量依存性の発現を生じた。発現プロファイルは、新たに複合体化されたNP-1/WT-Sと類似していた。10%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/WT-Sの摂氏42度での1週間の貯蔵は、in vitroタンパク質発現を有意に低減した。摂氏25度または摂氏42度で1週間貯蔵された10%のスクロースにおける液体NP-1/WT-Sは、BHK細胞においてスパイクタンパク質を産生しなかった(データは示さない)。
【0226】
ELISAによる抗D614GスパイクIgG応答。血清抗D614GスパイクIgGレベルを、それぞれ、
図18Aおよび18Bで下記に示す、プライム後14日目および28日目に評価した。マウス血清を、1:40(14日目)または1:200(28日目)希釈で、抗D614GスパイクELISAにおいてアッセイした。血清IgGレベル(μg/ml)を、既知濃度のマウスIgG標準によって作製された4PL標準曲線から内挿した。
【0227】
プライム後28日目の抗D614G IgG応答。摂氏25度で1週間後、10%のスクロースにおける液体NP-1/WT-Sは、新たに調製されたNP-1/WT-S陽性対照と比較して、抗スパイクIgGの統計学的に有意な低減をもたらした。摂氏25度で1週間貯蔵された10%のスクロースにおける新たに調製されたNP-1/WT-Sおよび凍結乾燥NP-1/WT-Sの間の平均IgGレベルに有意差はなかった。
【0228】
摂氏42度で1週間後、10%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/WT-Sは、100%の抗体陽転を誘導したが、平均IgGレベルは、新たに調製されたNP-1/WT-Sと比較して、有意に低減された。新たに調製されたNP-1/WT-S陽性対照に対して比較する通常の一元配置分散分析によって決定されたp値を含む、免疫化後28日目からの平均+/-標準偏差IgG濃度データの要約を表26に示した。P<0.05は、考慮される統計学的有意差である。
【表26】
【0229】
新鮮な製剤対凍結乾燥製剤の比較。プライム後28日目の血清における抗D614GスパイクIgG濃度を
図19に示す。平均IgG値間の統計学的な差を、ダネットの多重比較検定を伴う通常の一元配置分散分析によって決定した。すべての群を、10%のスクロースにおける新たに調製されたNP-1/RNAと比較した。有意差は、摂氏25度で7日間貯蔵された10%のスクロースにおける新たに調製されたNP-1/RNAおよび凍結乾燥NP-1/RNAの間で示されなかった。摂氏42度で、10%または20%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/RNAは、新たに調製されたNP-1/RNAと比較して、有意に低い抗スパイクIgGを誘導した。摂氏25度または42度で貯蔵された20%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/RNAは、新たに調製されたNP-1/WT-Sよりも有意に低いIgGを誘導した。摂氏25度で貯蔵された10%または20%のスクロースにおける凍結乾燥NP-1/Delta-Sは、新たに調製されたNP-1/WT-Sと類似の平均IgG(統計学的に有意ではない)を誘導した。
【0230】
特許文献および非特許文献を含む本明細書に開示されるすべての参考文献は、それぞれが個々に組み込まれたかのように、それらの全体が、これにより参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される専門用語が、単に具体的な実施形態を記載する目的のものであり、限定することを意図するものではないことが理解されるべきである。本明細書で具体的に定義されない限り、本明細書で使用される専門用語が、関連する技術分野において公知のその従来の意味を与えるべきであることがさらに理解されるべきである。
【化1】
【配列表】
【国際調査報告】