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特表2024-535358電気ジッパーコンタクトを使用したフレキシブル磁気共鳴(MR)コイルアレイ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】電気ジッパーコンタクトを使用したフレキシブル磁気共鳴(MR)コイルアレイ
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61B5/055 355
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518394
(86)(22)【出願日】2022-08-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022073932
(87)【国際公開番号】W WO2023046419
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/247,822
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】リュースラ クリストフ ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】リップス オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルニッケル ペーター
(72)【発明者】
【氏名】マズルケウィッツ ピーター シーザー
(72)【発明者】
【氏名】ファインデクリー クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ ヨーゼフ
(72)【発明者】
【氏名】シュメール インゴ
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AB07
4C096AB42
4C096AD10
4C096CC06
4C096CC12
4C096CC17
(57)【要約】
磁気共鳴(MR)コイル構築システムは、電気絶縁シート26に配置された導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分22を含むMRコイルシート20を備える。MRコイルシートは、MRコイルシートを接続してMRコイルアレイ44を構築するように構成された接続機構34、48を持つ縁部を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁シートに配置された導電磁気共鳴(MR)コイル素子又はMRコイル素子部分を含むMRコイルシートを備え、
前記MRコイルシートが、前記MRコイルシートを接続してMRコイルアレイを構築する接続機構を持つ縁部を備える、
MRコイル構築システム。
【請求項2】
前記接続機構が、前記MRコイルシートを接続するジッパーを画定するように相互係止することによって前記MRコイルシートを接続する務歯を備える、請求項1に記載のMRコイル構築システム。
【請求項3】
前記務歯が、非導電務歯及び導電務歯を含み、前記MRコイルシートが、前記導電務歯によって互いにガルバニック接続される導電MRコイル素子部分を含む、請求項2に記載のMRコイル構築システム。
【請求項4】
前記非導電務歯が、プラスチック製であり、前記導電務歯が、金メッキ銅合金製である、請求項2に記載のMRコイル構築システム。
【請求項5】
前記接続機構が、歯なしジッパーを画定するように相互係止することによって前記MRコイルシートを接続する連続縁部コネクタを備える、請求項1に記載のMRコイル構築システム。
【請求項6】
前記電気絶縁シートが、プラスチックジャケットに収容された軽量発泡体を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のMRコイル構築システム。
【請求項7】
患者の患者特性を測定する1つ又は複数のセンサと、
測定された前記患者特性に基づいて前記MRコイルアレイの推奨される構成を出力するようにプログラムされた少なくとも1つの電子プロセッサと
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のMRコイル構築システム。
【請求項8】
前記1つ又は複数のセンサが、MRイメージングデバイスのボア内への患者移送中に患者の画像を取得するカメラを備え、
前記少なくとも1つの電子プロセッサが、前記患者の前記MRコイルアレイの前記推奨される構成を推定するようにプログラムされる、請求項7に記載のMRコイル構築システム。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のMRコイルアレイ構築システムを使用して構築された、MRコイルアレイ。
【請求項10】
前記接続機構が、前記MRコイルアレイの横断方向において相互に平行に延在している、請求項9に記載のMRコイルアレイ。
【請求項11】
前記接続機構が、前記MRコイルアレイの表面全体にわたって分散された接続機構のアレイを形成する、請求項9又は10に記載のMRコイルアレイ。
【請求項12】
少なくとも前記導電MRコイル素子部分を含む第1の部分と、
少なくとも前置増幅器を含む第2の部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分とを接続し、前記前置増幅器を前記導電MRコイル素子部分に電気接続するジッパーと
を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のMRコイルアレイ。
【請求項13】
磁気共鳴(MR)コイルシートであって、各MRコイルシートが、務歯を含む少なくとも1つの縁部を備えた電気絶縁シートに配置された少なくとも1つの導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分を含む、MRコイルシートと、
前記MRコイルシートを互いに固定して前記MRコイルアレイを形成する1つ又は複数のジッパーであって、各ジッパーが、前記MRコイルアレイの異なるMRコイルシートの隣接する縁部の相互係止された務歯によって形成されている、1つ又は複数のジッパーと
を備える、MRコイルアレイ。
【請求項14】
前記MRコイルシートの前記務歯が、
電気絶縁務歯と、
導電務歯とを含み、
前記MRコイルアレイが、2つのMRコイルシートのMRコイル素子部分によって形成された少なくとも1つのジッパーで接続されたMRコイル素子を含み、前記2つのMRコイルシートが、前記2つのMRコイルシートを互いに固定する前記ジッパーの相互係止された導電務歯によって前記MRコイルアレイにおいてガルバニック接続されている、請求項13に記載のMRコイルアレイ。
【請求項15】
前記MRコイルシートの前記務歯が、
光学的に不活性の務歯と、
光カプラ務歯とを含み、
前記MRコイルアレイが、前記MRコイルアレイの少なくとも1つのジッパーの相互係止された光カプラ務歯によって形成された光カプリングを含む少なくとも1つの光ファイバ接続部を備える、請求項13又は14に記載のMRコイルアレイ。
【請求項16】
務歯が任意の他のMRコイルシートの務歯と相互係止されていない前記MRコイルアレイの周縁部において、MRコイルシートの縁部を含むコイル縁部アタッチメントをさらに備える、請求項13から15のいずれか一項に記載のMRコイルアレイ。
【請求項17】
前記MRコイルアレイの各々の2つのジッパーが、相互に垂直であるか又は相互に平行であるかのいずれかである、請求項13から16のいずれか一項に記載のMRコイルアレイ。
【請求項18】
前記MRコイルシートが、前記導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分と電気接続された前置増幅器をさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載のMRコイルアレイ。
【請求項19】
磁気共鳴(MR)コイルアレイを構築する方法であって、前記方法が、
縁部コネクタを使用して、導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分を含むMRコイルシートを互いに接続して前記MRコイルアレイを構築するステップを有する、方法。
【請求項20】
前記方法が、
医用イメージングデバイスのボア内へ移送されている患者の画像を取得するステップと、
取得された前記画像から前記患者の1つ又は複数の特徴を決定するステップと、
MRコイルシートのグリッドを含む前記MRコイルアレイの構成の提案される構成を出力するステップとをさらに有し、
前記MRコイルアレイが、前記提案される構成に従って組み立てられる、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 以下は、一般に、磁気共鳴(MR)イメージング技術、MRコイルアレイ技術、MRコイルアレイアセンブリ技術、MRコイル構成技術、及び関連技術に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 複数のコイル素子から成るMRコイルアレイは、並列イメージングデータ取得、並びにその結果としてより高速のデータ取得及び/又はより高い画像解像度及び/又はより高いSNR(信号対雑音比)を実現することができるため、ますます一般的となっている。複数のコイル素子を備えたMR受信コイルアレイは、例えば、1つのコイル素子につき1つのチャネルなど、並列で取得するために多くのチャネルを採用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] しかし、様々なサイズ、胴回り、又は他の身体固有の考慮事項を持つ患者のために好適に使用される「全サイズ共通」のコイルアレイを開発することは困難である。そのため、MRイメージングの試験所は、通常、様々なサイズ及び体型の患者の特定の解剖学的構造のためのMRコイルアレイのセット(例えば、胴部コイルアレイ)のストックを必要とする。これには、コストがかかる。また、イメージング技術者が、特定の患者にあまり適合しないコイルアレイを選択した場合、これにより、取得したMR画像の画質が劣化する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0004] 以下では、いくつかの改良点について開示する。
【0005】
[0005] 本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、MRコイル構築システムは、電気絶縁シートに配置された導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分を含むMRコイルシートを備える。MRコイルシートは、MRコイルシートを接続してMRコイルアレイを構築するように構成された接続機構を持つ縁部を備える。
【0006】
[0006] 本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、MRコイルアレイは、MRコイルシートを備え、各MRコイルシートは、務歯を含む少なくとも1つの縁部を備えた電気絶縁シートに配置された少なくとも1つの導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分を備える。1つ又は複数のジッパーは、MRコイルシートを互いに固定してMRコイルアレイを形成し、各ジッパーは、MRコイルアレイの異なるMRコイルシートの隣接する縁部の相互係止された務歯によって形成されている。
【0007】
[0007] 本明細書で開示されるいくつかの実施形態では、MRコイルアレイを構築する方法は、縁部コネクタを使用して、導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分を備えたMRコイルシートを互いに接続してMRコイルアレイを構築するステップを有する。
【0008】
[0008] 1つの利点は、高度に構成可能なMRコイルアレイを提供できることにある。
【0009】
[0009] 別の利点は、患者に近い場所に金属導体ループを置くことで、信号対雑音比(SNR)を向上可能なMRコイルアレイを提供できることにある。
【0010】
[0010] 別の利点は、隣接するシートにおけるコイル素子間の幾何学的に固定された空間関係を実現するジッパーセンブリを備えたMRコイルアレイにある。
【0011】
[0011] 別の利点は、構成されたMRコイルアレイを作り上げているコイルシート間の視覚的に認識可能な正極接続を実現するジッパーアセンブリを備えたMRコイルアレイを提供できることにある。
【0012】
[0012] 別の利点は、コイルアレイからコイルシートのジッパーを部分的に開くことによってMRコイルアレイの離調が可能となることにある。
【0013】
[0013] 所与の実施形態は、当業者であれば、本開示を読んで理解すれば明らかになるように、前述の利点のうちのいずれも提供しないか、そのうちの1つ、2つ、それ以上、若しくはすべてを提供し、且つ/又は他の利点を提供する。
【0014】
[0014] 本発明は、様々なコンポーネント及びコンポーネントの配置構成、並びに様々なステップ及びステップの配置構成の形態を取る。図面は、好ましい実施形態を例示することのみを目的としており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】[0015] 本開示による、MRコイルアレイを備えた磁気共鳴(MR)イメージングデバイスを示す図である。
図2】[0016] MR信号をMRコイルアレイから転送するための光ファイバを採用する実施形態による、MRコイルアレイのコンポーネントを示す図である。
図3】[0017] 図1のコイルアレイの構築方法を示す図である。
図4】[0018] 図1のMRコイルアレイの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0019] 以下では、ジッパー付き縁部を備えたフレキシブルなコイルシートが選択的に接続されて所望のサイズのコイルアレイを形成可能である、フレキシブルなコイル構成体について開示する。隣接するコイルシートにおけるコイル素子間でガルバニック電気接続を行うために、いくつかの例では、ジッパーは、ほとんどが非導電歯で構成されているが、ガルバニック接続を行うための数個の導電歯を含む。他の例では、隣接するコイル素子間で電気接続を行うために、特定の臨床用途で追加の接続リンクケーブルが必要とされる。コイルシートは、プラスチックジャケットに収容された軽量発泡体で作製されることが企図され、この発泡体は、例えば、内部に金メッキ銅コイル素子がある凹部を備える。ジッパーの非導電歯は、硬質プラスチックとすることができるが、導電歯は、非磁性材料であることが必要であり、ここでは金メッキ銅合金であることが企図されている。また、高周波(RF)の品質の観点から、コイルシートに組み込まれているRFチャネルのための前置増幅器を備えることが好ましいが、用途によっては、より低画質でも許容可能となり得る。
【0017】
[0020] いくつかの変形実施形態では、ジッパーは、ジッパーが気密シールを作り出すことが望ましい用途で使用するタイプ(例えば、冷凍食品を保存するためのフリーザバッグ)の歯なし連続ジッパーを含んでもよいし、ジッパーが、スナップなどの別のエッジトゥエッジのファスナー構成体によって置き換えられてもよい。
【0018】
[0021] RFチャネルの数が十分にある場合、(例えば)より大きな胴回りの患者に適応させるために1つ又は複数のコイルシートを追加することで、より多くのコイル素子を追加することができる。一方、RFチャネルの数が限定されている場合、コイルによって使用されるRFチャネルの数を増加させることなくより大きな胴回りに適応させるために、より大きなコイル素子を備えたより大きなコイルシートを使用することができる。別の変形例として、特定の患者/プロシージャの組合せで使用するためのコイルシートの選定は、コイル素子の密度に基づいて行われる。例えば、身体の右側でより高解像度のイメージングを行うことが望ましい場合、組み立てられたコイルアレイの左側ではなく右側でより高密度のコイル素子を備えたコイルシートが使用される。
【0019】
[0022] いくつかの例では、ジッパーは、横断方向に沿って延びる相互に平行なジッパーを含み得る。これにより、1次元のみのサイズ調整が可能となる。ただし、ジッパーは、ジッパーの2次元アレイを含むことができる(これは、場合により、一方向のみがいくつかの導電歯を備える)。
【0020】
[0023] 結果として得られるMRコイルアレイは、有線であっても無線であってもよい。一実施形態では、コイルは、組み立てられた(すなわち、「互いにジッパーで接続された」)コイルアレイの最も外側のコイルシートのジッパー縁部を介して基部に取り付けられる。基部ではなく、接続用ジッパーを患者ベッドに組み込むようにしてもよい。これらのジッパーによる端子接続は、ガルバニックであり得るが、オンコイルシートのRF処理が、光信号への変換を含む場合、ジッパーによる端子接続は、光カプラの形態であり得る。別の例では、(例えば、ジッパーを介して)接続されたコイルは、患者の上に配置された局所コイル(例えば、患者の胸部上の前方コイル)であり、局所コイルは、(機械式のプラグではなく)ジッパーを介して患者テーブルに組み込まれたインターフェースに接続され得る。無線MRコイルアレイの場合、コイルシート(又はそのいくつかのサブセット)は、好適には、MR信号をコイルアレイから転送するための無線(radio)又は赤外線送信機又はトランシーバを含む。この場合、コイルアレイは、基部等に取り付ける必要はない(例えば、コイルアレイは、有線信号接続なしで患者の上に載置され得る)。さらに、センサ(例えば、心拍数、温度)をコイルシートに組み込むことが企図され、これが行われた場合、導電務歯は、これらのセンサのためのガルバニック電気接続を行うことができる。互いにジッパーで接続されたコイルシートを採用した、開示される構成可能なMRコイルアレイは、主にMR受信コイルアレイを対象としているが、これはまた、MR送信コイルアレイ又はMRトランシーバコイルアレイを構築するために使用されてもよい。この場合、基部又は他の電気接続部は、好適には、MRイメージングシーケンスの送信段階でRF電力をMRコイルアレイに送出するためのRF電力入力接続部を含む。
【0021】
[0024] 本明細書で開示される設計には、大きな利点があり、最も特筆すべきは、組み立てられたコイルの高度な構成可能性である。また、本設計は、患者に近い場所に金属導体ループを置くことで、信号対雑音比(SNR)を向上させることができる。ジッパーを使用して、コイルシートを接続してMRコイルアレイを形成することにより、隣接するシートのコイル素子間において幾何学的に固定された空間関係が実現され、イメージング技術者は、コイルシート間の正極接続を視覚的に検証することができる。さらなる利点は、例えば、コイルアレイの一部のジッパーを開くことで特定のコイルを分離することによってコイルアレイの離調が可能となることである(ただし、これは例えば、ダイオードを分離することによって電子的に行うこともできる)。相互に干渉するコイル素子は、検査前のRF試験の際に特定することができる。
【0022】
[0025] さらなる態様では、MRイメージング技術者が、MRコイルアレイを形成するためのコイルシートを選択する際に自動又は半自動支援を提供することが企図される。一部のMRIスキャナは、3次元(3D)カメラを備えているため、患者は、患者移送中に3Dカメラで撮影され得る。その画像データ、並びに利用可能なRFチャネルの数及び意図されるイメージングプロシージャなどの他の重要情報に基づいて、人工知能(AI)プログラムが、その患者のためのコイルシートの最適な構成を推定することができ、この構成をイメージング技術者に示す。一実施形態では、コイルシート及びそれらのジッパーによる接続部を含む提案される構成されたMRコイルアレイのグラフィカルレンダリングを表示することが企図され、これは、多くの可能な構成がある2Dジッパーの実施形態で特に有用である。平行なジッパーのみの胴部又は腹部用コイルに対してより好適となる可能性がある、より単純な実装形態では、胴部及び/又は腹部の測定値が、3D画像の代わりにAIプログラムのための入力としての役割を果たし得る。
【0023】
[0026] 図1を参照すると、例示的な磁気共鳴(MR)イメージングデバイス10は、磁気共鳴(MR)イメージングスキャナを備え、これは、例示的な例では、図1に示していない各種コンポーネントを含むハウジング又はガントリ12を備え、これらのコンポーネントとしては、非限定の例示的な例として、静(B)磁場を発生させる超電導又は常電導磁石、B磁場に磁場勾配を重畳させるための磁場勾配コイル、RFパルスを印加して、MRボア14又は他のMR検査領域に配置されたイメージング対象者に磁気共鳴を励起し、且つ/又はそれを空間的に符号化するための全身高周波(RF)コイル等が挙げられる。ロボット式患者用カウチ16又は他の対象者支持体は、医療患者、医療スクリーニングを受ける対象者、又は他のイメージング対象者を、イメージングのためにMRボア14内へ移送することを可能にする。さらに説明されるように、MRイメージングは、MRコイルアレイ44を採用する。
【0024】
[0027] 引き続き、図1を参照すると、例示的なMRコイルアレイ44は、縁部が互いにジッパーで接続された4つのコイルシート20で作り上げられる。各MRコイルシート20は、MRコイルアレイ44の一部分を形成する。4つのMRコイルシート20で作製されたMRコイルアレイ44を図1に示しているが、任意の好適な数のMRコイルシートをジッパー付き縁部によって同様に組み合わせて、選定された数のコイル素子22を備えた構成可能なMRコイルアレイを形成してもよい。図1の下側部分は、例示的な4つのコイルシート20で作り上げられたMRコイルアレイ44の平面図を示している。各MRコイルシート20は、MR信号を受信するように調整された、1つ又は複数のコイル素子及び/又はコイル素子の部分22(そのうちの21個が図1に示されている)を備えており、(塗り潰されたボックスとして図示された)電子モジュール24は、コイル素子22によって受信されたMR信号を受信及び前置増幅し、任意選択でそれに対してさらなる処理(例えば、デジタル化)を行うように動作可能に接続されている。図1は、MRコイルアレイ44が、3×5のアレイ状に15個のコイル素子22を備えていることを示しているが、この配置構成は、例示的な例に過ぎず、様々な配置構成で15個よりも多い又は少ないコイル素子が使用されてもよいことを諒解されたい。例えば、いくつかのさらなる非限定の例示的な例として、無線MRコイルは、4つ以上のコイル素子の1次元の配置構成(すなわち、線形アレイ)を含んでもよいし、規則的なN×Mのアレイ(無線MRコイル20の例示的なケースでは、N=3及びM=5であるため、N・M=15となる)状に配設されたN・M個のコイル素子の2次元の配置構成を含んでもよいし、規則的なN×Mのアレイ状に配設されていないコイル素子の2次元の配置構成を含んでもよい。
【0025】
[0028] 各コイルシート20は、独自の絶縁シート26を含み、これらの絶縁シート26は、コイルシートが互いにジッパーで接続されると、MRコイルアレイ44に対する構造的支持を形成する。いくつかの例では、電気絶縁シート26は、プラスチックジャケットに収容された軽量発泡体を含む。本明細書で開示されるように、効率的で構成可能な通信接続性を持つMRコイルアレイ44は、多種多様の好適な物理的レイアウト又は配置構成を持つものとして解釈され得ることを理解されたい。一般的に、MRコイルアレイ44は、選定したタイプのイメージングのための任意の好適な形態を持つものとして構築され得る。例えば、例示的なMRコイルは、シートの形状を持ち、例えば、脊椎、胴部等のイメージングを実行するように配設するために、対象者用カウチ16の上に配置されたパレット(図示せず)の上、中、又は下に配置される。代替として、無線MRコイルは、頭部を取り囲む(すなわち、頭部用コイル)、四肢を周回する(四肢用コイル)等を行うように、成形され得る。
【0026】
[0029] 図1はまた、MRコイルシート20の縁部が、他のMRコイルシート20の対応する接続機構34と接続するように構成された接続機構を備えていることを示す。1つの例示の実施形態では、接続機構34は、歯なしジッパーを画定するように相互係止することによって、MRコイルシート20を接続するように構成された連続縁部コネクタを備える。
【0027】
[0030] 図1に示す例では、接続機構34は、MRコイルシート20を互いに接続してMRコイルアレイ44を形成するジッパーを画定するように相互係止することによってMRコイルシート20を接続するように構成された務歯を備える。務歯は、(図1では、塗り潰しのない務歯として図示される)非導電、すなわち、電気絶縁務歯と、(図1では、塗り潰された務歯として図示される)導電務歯38とを含む。1つの例示の実施形態では、非導電務歯36は、プラスチック製であり、導電務歯38は、金メッキ銅合金製である。
【0028】
[0031] ジッパー34は、複数のコイルシート20(そのうちの4つが図1に示される)を接続するために使用される。コイルシート20は、接続されると、MRコイルアレイ44を形成する。別の言い方をすれば、コイルシート20は、MRコイル構築システムを備える。いくつかの例では、接続機構34は、MRコイルアレイ44の横断方向において相互に平行に延在している。他の例では、接続機構34は、MRコイルアレイ44の表面全体にわたって分散された接続機構のアレイを形成する(すなわち、2つのジッパー34は、相互に垂直であるか又は相互に平行であるかのいずれかである)。他の例では、MRコイルアレイ44が形成されると、アレイのコイルシート20は、務歯36、38が任意の他のMRコイルシートの務歯と相互係止されていないMRコイルアレイの周縁部において、MRコイルシートの縁部を含むコイル縁部アタッチメント48を備えるジッパー34を含むことができ、これにより、アレイ44を異なるコイルアレイ(図示せず)と接続することが可能となる。MRコイルシート20は、導電務歯38によって互いにガルバニック接続されるように構成された導電MRコイル素子部分を備える。これにより、コイルアレイ44は、一部のコイル素子が、ジッパー34を跨いで延在する重複するコイル素子を含むことが可能となる。
【0029】
[0032] 図2を参照すると、いくつかの実施形態では、電子モジュール24は、受信したMR信号を光信号に変換する電気光学トランスデューサ28(例えば、LED(図示せず))を含む。例えば、コイル素子22からのMR信号は、電子モジュール24において受信され、電子モジュール24は、MR信号を前置増幅する前置増幅器PRE、前置増幅されたMR信号をデジタル化するアナログデジタル変換器ADC、デジタル化されたMR信号を光パルスに変換するLEDなどの光学トランスデューサTDを含む。別の例では、電子モジュール24は、好適なデジタル接続部(例えば、LVDS、FDP 3リンク等)又は好適なアナログ接続部を含み得る。電子モジュール24は、光パルスを搬送する光ファイバ31に接続される。この場合、光ファイバ31は、別のコイルシートにおける第2の光ファイバ32と接続するためのものである。そのため、接続用ジッパーは、光カプリング30を含み、これは、MRコイルアレイ44のジッパー34の光学的に不活性の務歯36が点在する相互係止された光カプラ務歯38’、39’によって形成された光カプリングを含み得る(図2の差込み図A参照)。図2に示すように、光ファイバ31は、光信号を発信する役割を果たす発信側光ファイバ31に接続された第1の務歯38’と、光ファイバ32に接続され、務歯38’によって発信された光信号を受信する異なるコイルシートの第2の務歯39’とによってジッパー34を介して光ファイバ32に接続する。務歯38’、39’は、ジッピングプロセスによって互いに押圧されて、物理的隣接性を実現し、務歯38’から務歯39’への光の転送を容易にする。
【0030】
[0033] 図1を再び参照すると、特定の患者の特定のコイルアレイ構成を自動的に推奨するやり方を提供することが企図されている。そのため、患者の患者特性を測定するように構成された1つ又は複数のセンサが設けられている。1つの例示の実施形態では、センサは、MRイメージングデバイス12のボア14内への患者移送中に患者の画像を取得するように構成されたカメラ46(例えば、3次元(3D)カメラ)を備える。
【0031】
[0034] 別の例では、センサは、ジッパー34が正しく使用されているかどうかを判定するために、ジッパー34に隣接するようにコイルアレイ44に配置された1つ又は複数のセンサ47を含み得る。いくつかの例では、各ジッパー34は、対応するセンサ47を含み得る(ただし、図1では1つのセンサ47のみが示されている)。ジッパー34は、務歯36、38(又は務歯38’、39’)が、互いにすべて係合されるように、完全に(すなわち、最初から最後まで)閉じられている必要がある。ジッパー34が完全に閉じられていない場合、センサ47は、コイルアレイ44を組み立てている医療従事者へのフィードバック信号(すなわち、光信号、音響信号等)を生成することができる。また、センサ47は、ジッパー34がイメージング検査中に勝手に開いてしまった場合(例えば、コイルアレイ44が上に置かれた患者の身体の動き、コイルアレイが対象者用カウチ16と患者及び/又はガントリ12との間に挟まれること等によって開いた場合)にフィードバック信号を生成することができる。
【0032】
[0035] 図1はまた、タブレット、ラップトップコンピュータ、ワークステーションコンピュータ、又はより一般的に、コンピュータを含む、電子処理デバイス48を示す。電子処理デバイス48は、電子プロセッサ50(例えば、マイクロプロセッサ)、少なくとも1つのユーザ入力デバイス52(例えば、マウス、キーボード、トラックボール、タッチスクリーン等)、及び少なくとも1つの表示デバイス54(例えば、LCDディスプレイ、プラズマディスプレイ、陰極線管ディスプレイ等)などの典型的なコンポーネントを備える。電子プロセッサ50は、1つ又は複数の非一時的記憶媒体56に動作可能に接続される。非一時的記憶媒体56は、例えば、非限定の例示的な例として、磁気ディスク、RAID、若しくは他の磁気記憶媒体、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、電子的消去可能読み取り専用メモリ(EEROM)、若しくは他の電子メモリ、光ディスク若しくは他の光ストレージ、又はそれらの様々の組合せ等のうちの1つ又は複数を含み、例えば、ネットワークストレージ、電子処理デバイス48の内部ハードドライブ、又はそれらの様々な組合せ等であってもよい。本明細書における1つ又は複数の非一時的媒体56への何らかの言及は、同じか又は異なるタイプの単一の媒体又は複数の媒体を包含するものとして広く解釈されるべきであることを理解されたい。同様に、電子プロセッサ50は、単一の電子プロセッサとして、又は2つ以上の電子プロセッサとして具現化される。非一時的記憶媒体56は、少なくとも1つの電子プロセッサ50によって実行可能な命令を記憶する。命令は、稼働デバイスの表示デバイス54に表示するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)58を生成する命令を含む。また、電子プロセッサ50は、(例えば、カメラ46によって測定された)測定された患者特性に基づいて、患者のためのMRコイルアレイ44の推奨される構成を推定することによって、MRコイルアレイ40の推奨される構成を出力するように構成された人工知能(AI)コンポーネント60を採用する。
【0033】
[0036] 図3を参照すると、MRコイルアレイ44の構築の例示的な動作が、フローチャートとして図示されている。動作102では、カメラ46は、MRイメージングデバイス12のボア14内へ移送されている患者の3D画像を取得するように構成される。電子処理デバイス48によって実行される動作104では、電子プロセッサ50は、患者の3D画像を処理し、3D画像に対して実行された画像処理によって1つ又は複数の患者特徴(例えば、身長、体重、胴回り等)を決定するように構成される。電子処理デバイス48によって実行される動作106では、決定された特徴が、AIコンポーネント60に入力され、AIコンポーネントは、決定された特徴に基づいて提案されるMRコイルアレイの構成を出力する。この構成は、MRコイルシート20のグリッドを含む。提案されるMRコイルアレイの構成は、表示デバイス54のGUI58に表示することができる。
【0034】
[0037] 手動動作108(すなわち、電子処理デバイス48によって実行されない)では、導電MRコイル素子又はMRコイル素子部分22を備えるMRコイルシート20は、AIコンポーネント60によって出力され、表示デバイス54に表示された構成に従って、縁部接続機構48を使用して接続されてMRコイルアレイ44を構築する。縁部接続機構48は、非導電務歯36及び導電務歯38を備える。MRコイルシート20は、導電務歯によって互いにガルバニック接続されるように構成された導電MRコイル素子部分を備える。
【0035】
[0038] 別のより手動の実施形態では、動作102が省略され、動作104は、巻尺を使用した胴部及び/又はウエスト周囲の手動測定など患者特徴の手動取得を含み、動作106は、動作104で取得された測定値に基づいて推奨されるコイルアレイ構成を決定する。ここで、動作106は、例えば、胴部及び/又はウエスト測定値のタイプされた入力を受信した後、電子処理デバイス48によって実行されてもよいし、様々なウエスト及び/又は胴部測定値に対して推奨されるコイルアレイ構成をリスト化した印刷された表を使用して手動で行われてもよい。
【0036】
[0039] 典型的なコイル素子は、第1及び第2の部分を備える。第1の部分は、前置増幅器や離調電子機器などの電子機器を含む。この第1の部分は、ケーブル(例えば、光、ガルバニック、又はその両方)を介してMRシステムに接続されてもよいし、接続が無線で行われてもよい。このコイル部分は、スタンドアロンであり、コイル素子の第2の部分に接続される。コイル素子の第2の部分は、高周波(RF)コイル素子のみを含む。コイルの第2の部分は、故障した場合に廃棄又は交換可能となり得る。第2の部分は、比較的安価であり、特定回数の使用後に点検又は交換が必要となる。第1の部分は、はるかに高価であり、様々なコイル部分に接続することができる。第1の部分は、シッパーを介して接続された回路を介して第2の部分を識別することができる。
【0037】
[0040] ここで図4を参照すると、コイルアレイ44の別の例が示されている。図4に示すように、コイルアレイ44は、コイル素子部分22と、電子モジュール24と、コイルアレイ44の第1の部分62に配置された電子モジュールに接続された複数の発信側光ファイバ31とを備える。コイルアレイ64の第2の部分64は、(複数の発信側光ファイバ31と通信する)複数の前置増幅器PREと、アナログデジタル変換器ADCと、アナルグデジタル変換器ADCに接続された単一の光ファイバ32とを備える。ジッパー34(図2を参照して説明したものなど)は、第1の部分62と第2の部分64とを接続して、第1の部分と第2の部分との間に光カプリングを形成する。
【0038】
[0041] 本開示は、好ましい実施形態を参照して説明した。他の者は、前述の詳細な説明を読んで理解することで、修正及び変更を思い付くであろう。例示的な実施形態は、添付の特許請求項及びそれに相当するものの範囲内であれば、あらゆるそのような修正及び変更を含むものとして解釈されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】