(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】手術用ロボットシステムの手術用器具の1つまたは複数の作動テンドンによって作動する関節式エンドエフェクタを制御する方法、及び関連する手術用ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20240920BHJP
A61B 34/37 20160101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B34/30
A61B34/37
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518414
(86)(22)【出願日】2022-09-21
(85)【翻訳文提出日】2024-05-21
(86)【国際出願番号】 IB2022058920
(87)【国際公開番号】W WO2023047300
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】102021000024434
(32)【優先日】2021-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518132307
【氏名又は名称】メディカル・マイクロインストゥルメンツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDICAL MICROINSTRUMENTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】タンツィーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】バゲリ ガヴィフェクル,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ディ グアルド,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】プリスコ,ジュゼッペ マリア
(72)【発明者】
【氏名】シミ,マッシミリアーノ
【テーマコード(参考)】
4C130
【Fターム(参考)】
4C130AA04
4C130AA18
4C130AA24
4C130AB02
4C130AD08
4C130AD12
(57)【要約】
手術用ロボットシステムの手術用器具20の1つ以上の作動テンドンによって作動される関節式エンドエフェクタ40を制御するための方法が記載される。方法は、好適には、手術用器具の動作段階中に実行可能である。方法は、関節式エンドエフェクタ40と、関節式エンドエフェクタ40を作動させるように構成される少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36とを備える手術用器具20に適用される。方法は、前記手術用器具20に加え、制御手段9と、それぞれの前記少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36に動作可能に接続可能な少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16とを備えて、制御手段9によって制御される動作をそれぞれの作動テンドンに付与し、1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の少なくとも1つの動きと関節式エンドエフェクタ40のそれぞれの少なくとも1つの動きとの間の一義的な相関関係を決定する手術用ロボットシステムに適用される。方法は、最初に、手術用器具の前述の動作ステップ中に、前述の1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16のうちの少なくとも1つによって及ぼされる力Fmを検出するステップを含む。方法は、その後、検出された力Fmに基づいて、所定の数学的モデルによって、作動テンドンの弾性伸長に起因する、1つ以上の作動テンドン31、32、33、34、35、36のうちの少なくとも1つの長さ変化を推定するステップと、次いで、推定された長さ変化を、1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の位置制御のために使用するステップとを含む。そのような位置制御は、関節式エンドエフェクタ40が到達する位置と関節式エンドエフェクタ40の所望の公称位置との間の前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺するように、前記少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36の推定された長さ変化を考慮して、前述の少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に動きを付与することを含む。前述の方法によって制御されるようになっており及び/又は前述の方法を実行するように構成される手術用ロボットシステムが更に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用ロボットシステムの手術用器具(20)の1つ以上の作動テンドンによって作動される関節式エンドエフェクタ(40)を制御するための、前記手術用器具の動作段階中に実行可能な方法において、
前記手術用器具(20)は、関節式エンドエフェクタ(40)と、前記関節式エンドエフェクタ(40)を作動させるように構成される少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)とを備え、
前記手術用ロボットシステムは、前記手術用器具(20)に加え、制御手段(9)と、前記制御手段(9)によって制御される動作を前記それぞれの作動テンドンに与えるように前記少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のそれぞれに動作可能に接続可能な少なくとも1つの電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)とを備えて、前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)のうちの少なくとも1つの動きと前記関節式エンドエフェクタ(40)のそれぞれの少なくとも1つの動きとの間の一義的な相関関係を決定し、
前記方法は、
-前記動作段階中に、前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)のうちの少なくとも1つによって及ぼされる力(Fm)を検出するステップと、
-前記検出された力(Fm)に基づいて、所定の数学的モデルによって、前記作動テンドンの弾性伸長に起因する、前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のうちの少なくとも1つの長さ変化を推定するステップと、
-前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)の位置制御のために前記推定された長さ変化を使用するステップと、
を含み、前記位置制御は、
-前記関節式エンドエフェクタ(40)が到達する位置と前記関節式エンドエフェクタ(40)の所望の公称位置との間の前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺するように、前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のうちの前記少なくとも1つの前記推定された長さ変化を考慮して、前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)のうちの前記少なくとも1つに動きを付与するステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記ロボットシステムがマスタ-スレーブシステムであり、前記手術用器具は、制御モードに従って、前記ロボットシステムのマスタデバイスによって制御されるスレーブデバイスであり、
前記方法は、外力が存在しない場合に、前記マスタデバイスによって命令される姿勢と前記スレーブデバイスの前記関節式エンドエフェクタ(40)が到達する姿勢との間の誤差を有限時間で最小化できるようにし、
及び/又は、付与する前記ステップは、ユーザによって実行される前記命令動作を考慮に入れる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記手術用器具(20)が複数の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)を備え、前記手術用ロボットシステムがそれぞれの複数の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)を備え、
力を検出する前記ステップは、複数の又は全ての前記電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に対して実行され、
推定する前記ステップは、複数の又は全ての前記作動テンドン(31,32,33,34,35,36)に関連して実行され、
付与する前記ステップは、複数又は全ての前記電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に対して実行される、
請求項1又は2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
-前記ロボットシステムの状態に関連する情報を検証するステップと、
-前記ロボットシステムの状態に関連する1つ以上の条件に基づいて、前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップを実行するか否かを前記制御手段(9)によって決定するステップと、
-前記1つ以上の条件が満たされる場合にのみ、付与する前記ステップを実行するステップと、
を更に含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記マスタデバイスは、前記顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスであり、
遠隔操作中に、前記手術用器具が把持状態にあるとき、電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップは、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するべく、把持自由度の作動のためにそれぞれの少なくとも1つの作動テンドンに接続される前記電動アクチュエータのうちの少なくとも1つに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップは、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、把持閉鎖自由度のそれぞれの2つの拮抗作動テンドンに接続される2つの電動アクチュエータに関して、又は把持閉鎖自由度及び把持開放自由度の拮抗作動テンドンの対の4つの作動テンドンに接続される4つの電動アクチュエータに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップは、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、全ての前記電動アクチュエータに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記マスタデバイスは、前記顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスであり、
遠隔操作の終わりに、前記手術用器具が把持状態にあるとともに、前記把持状態が維持されるようになっているときに、電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップは、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、それぞれの作動テンドンに接続される全ての前記電動アクチュエータに関して抑制される、
請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記遠隔操作が非把持状態で終了されるとき、新たな遠隔操作に再び入る前に、前記1つ以上の作動テンドンのそれぞれにおける前記推定された長さ変化が以前の遠隔操作中にリセットされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のそれぞれは、前記関節式エンドエフェクタ(40)の前記1つ以上の自由度(P、Y、G)のうちのそれぞれの自由度を作動させるために、前記手術用ロボットシステムのそれぞれの電動アクチュエータと前記関節式エンドエフェクタ(40)との両方に対して動作可能に接続される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のうちの少なくとも1つが前記関節式エンドエフェクタ(40)の回転自由度を作動させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)によって及ぼされる力を検出する前記ステップは、前記それぞれの電動アクチュエータに動作可能に接続されるそれぞれの力センサ又はトルクセンサによって実行される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
力(Fm)を検出する前記ステップは、検出周波数(Fr)により、連続的に実行され、前記1つ以上の電動アクチュエータの前記位置制御は、位置制御周波数(Fcp)により、連続的に実行され、
前記検出周波数(Fr)及び前記位置制御周波数(Fcp)は、エンドユーザがリアルタイムで知覚することができない動態で、ユーザが知覚することができない動態で、リアルタイムに前記弾性伸長の補償を確保するように設定される、
請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記検出周波数(Fr)及び位置制御周波数(Fcp)は、一致するとともに、100Hzから1000Hzの間の間隔に含まれ、
したがって、前記補償方法は、同じ周期で検出された力(Fm)に基づいて、1から10msの間の間隔に含まれる各周期Tで実行される、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
推定する前記ステップは、作動テンドンの長さ変化を、前記作動テンドンで検出された力の弾性率(Fm)と有効弾性定数値(K)との間の比として推定するステップを含み、前記有効弾性定数値(K)は、システム応答安定性を確保するように実験的に決定される又は計算される又は予め確立される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
位置制御のために前記推定された長さ変化を使用する前記ステップと、前記それぞれの電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップとが、以下の式に基づいて実行され、
前記式は、各電動アクチュエータに関して固有であり、したがって各電動アクチュエータに対する特定の制御を決定するようになっており、
ここで、uは前記電動アクチュエータによって制御される位置であり、Kelは前記作動テンドンの弾性定数であり、Ωは乗算パラメータである、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記乗算パラメータΩが1より大きく、それにより、前記計算に使用される前記有効弾性定数値K=ΩKelが前記テンドン弾性定数値よりも前記乗算パラメータΩに等しい係数だけ大きく、したがって、前記有効テンドン弾性定数値(K)は、過大評価され、そのため、同じ作動テンドンの弾性定数(Kel)よりも大きい、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記乗算パラメータが0.7から1.5の間である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記有効弾性定数値K、したがって前記乗算パラメータΩも、前記ロボットシステムの状態、及び/又は前記マスタデバイス及び/又は前記スレーブデバイスの空間条件、及び/又は前記遠隔操作耐久時間に応じて、可変的に決定される、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記補償方法は、40N未満の検出力値の存在下で実行される、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記手術用器具(20)は、それぞれの少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)に動作可能に接続されるとともにそれぞれの電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に動作可能に接続可能な少なくとも1つの伝達要素(21,22,23,24,25,26)を更に備える、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記ステップは、前記各作動テンドンの前記推定された長さ変化と前記作動テンドンの前記弾性率及び剛性との両方に基づいて前記伝達要素の動きが前記それぞれの作動テンドンの伸長又は弛緩に起因する補償を含むように、前記電動アクチュエータのそれぞれの動きを制御するステップを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記制御手段によって前記電動アクチュエータに付与される動きが記憶された基準位置に対して参照される仮想ゼロ点を関連付ける基準運動学的ゼロ条件が前記ロボットシステムにおいて規定され、
前記伝達要素のそれぞれに動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記ステップは、実行された補償を考慮に入れる、補正された運動学的ゼロを計算するステップを含む、
請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
各伝達要素に動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記ステップは、二重フィードバック動作ループによって前記伝達要素に力を加えるステップを含み、弾性補償補正が、運動学的機構に起因する前記電動アクチュエータの変位と平行に挿入される、請求項21から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記電動アクチュエータがステッパ電動アクチュエータであり、前記位置制御は、作業時間ユニットとして知られている速度制御によって実行され、前記速度制御が前記位置制御を決定する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記速度制御及び位置制御がフィードバック動作制御ループによって実行され、ゲインパラメータ(Kp)が、最大収束時間よりも低い時定数で前記補償の収束を確保するように寸法付けられる、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記最大収束時間は、1秒未満であり、好ましくは、100msから200msの間の間隔に含まれる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記速度制御が運動学的構成要素と動的補償構成要素とを含み、
前記動的補償構成要素は、前記検出された力(Fm)を入力として受け、請求項16に記載の式に従って、前記作動テンドンの弾性に起因して失われる推定変位を計算するとともに、安定性要件に適合する動態を有するように調整される比例コントローラによって、前記速度運動学的構成要素に加えられる速度補償寄与を生成し、
前記運動学的及び動的速度寄与の和は、制御されるべき前記電動アクチュエータへの入力として供給され、
前記運動学的構成要素及び前記動的構成要素の前記コントローラは、好ましくは並列である、
請求項24又は25に記載の方法。
【請求項29】
前記位置制御及び/又は速度制御は、前記マスタ又はスレーブデバイスの位置、及び/又は前記ロボットシステムの経年劣化又は状態などの条件に応じて、共通の有効弾性定数値に基づいて、例えば拮抗テンドンの各対に対して関節制御を実行することによって、複数の電動アクチュエータに対して共通の態様で実行される、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記位置制御及び/又は速度制御は、前記検出された力(Fm)が最大動作力値(Fmax)よりも低い場合にのみ実行され、前記方法は、前記電動アクチュエータのうちの1つのみが前記最大動作力(Fmax)よりも大きい力を検出する場合にも抑制される、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
異なる姿勢に関連する異なる摩擦を考慮に入れるために、前記関節式エンドエフェクタ(40)の姿勢に応じて制御されて変化可能な態様で伸長補償パラメータが決定される、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記作動テンドンは、好ましくは絡み合ったポリマー繊維によって形成されるポリマーテンドンである、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
-関節式エンドエフェクタ(40)と、前記関節式エンドエフェクタ(40)を作動させるように構成される少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)とを備える手術用器具(20)と、
-制御手段(9)と、
-1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)の少なくとも1つの動きと前記関節式エンドエフェクタ(40)のそれぞれの少なくとも1つの動きとの間の一義的な相関関係を決定するように、前記制御手段(9)によって制御される動作を前記それぞれの前記少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)に付与するべくそれぞれの前記少なくとも1つの作動テンドンに動作可能に接続可能な少なくとも1つの電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)と、
-前記手術用器具の動作段階中に、前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)のうちの少なくとも1つによって及ぼされる力(Fm)を検出するように構成される力検出手段と、
を備え、
前記制御手段(9)は、以下の動作を実行するように、すなわち、
-前記検出された力(Fm)に基づいて、所定の数学的モデルによって、前記作動テンドンの弾性伸長に起因する、前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のうちの少なくとも1つの長さ変化を推定し、
-前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)の位置制御のために前記推定された長さ変化を使用する、
ように構成され、前記位置制御は、前記関節式エンドエフェクタ(40)が到達する位置と前記関節式エンドエフェクタ(40)の所望の公称位置との間の前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺するように、前記1つ以上の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)のうちの前記少なくとも1つの前記推定された長さ変化を考慮して、前記1つ以上の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)のうちの前記少なくとも1つに動きを付与することを含む、
手術用ロボットシステム。
【請求項34】
前記ロボットシステムがマスタ-スレーブシステムであり、前記手術用器具は、制御モードに従って、前記ロボットシステムのマスタデバイスによって制御されるスレーブデバイスであり、
前記ロボットシステムは、外力が存在しない場合に、前記マスタデバイスによって命令される姿勢と前記スレーブデバイスの前記関節式エンドエフェクタ(40)が到達する姿勢との間の誤差を有限時間で最小化できるようにするべく構成され、
及び/又は、前記1つ以上の電動アクチュエータに動きを付与する前記動作は、ユーザによって実行される前記命令動作を考慮に入れる、
請求項33に記載のロボットシステム。
【請求項35】
前記手術用器具(20)が複数の作動テンドン(31,32,33,34,35,36)を備え、前記手術用ロボットシステムがそれぞれの複数の電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)を備え、
力を検出する前記動作は、複数の又は全ての前記電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に対して実行され、
推定する前記動作は、複数の又は全ての前記作動テンドン(31,32,33,34,35,36)に関連して実行され、
付与する前記動作は、複数又は全ての前記電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に対して実行される、
請求項33又は34のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項36】
前記制御手段(9)は、
-前記ロボットシステムの状態に関連する情報を検証し、
-前記ロボットシステムの状態に関連する1つ以上の条件に基づいて、前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップを実行するか否かを決定し、
-前記1つ以上の条件が満たされる場合にのみ、付与する前記動作を実行する、
ように更に構成される、請求項33から35のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項37】
前記マスタデバイスは、前記顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスであり、
遠隔操作中に、前記手術用器具が把持状態にあるとき、電動アクチュエータに動きを付与する前記動作は、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するべく、把持自由度の作動のためにそれぞれの少なくとも1つの作動テンドンに接続される前記電動アクチュエータのうちの少なくとも1つに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される、
請求項36に記載のロボットシステム。
【請求項38】
前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与する前記動作は、把持閉鎖自由度の作動に関連するそれぞれの2つの拮抗テンドンに接続される2つの電動アクチュエータ、又は前記把持閉鎖自由度及び把持開放自由度の作動に関連する拮抗テンドンの対の4つの作動テンドンに接続された4つの電動アクチュエータに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少され、
又は、弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与する前記動作は、全ての電動アクチュエータに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される、
請求項37に記載のロボットシステム。
【請求項39】
前記マスタデバイスは、前記顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスであり、
遠隔操作の終わりに、前記手術用器具が把持状態にあるとともに、前記把持状態が維持されるようになっているときに、電動アクチュエータに動きを付与する前記動作は、前記弾性伸長によってもたらされる前記誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、それぞれの作動テンドンに接続される全ての前記電動アクチュエータに関して抑制される、
請求項36に記載のロボットシステム。
【請求項40】
前記電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)によって及ぼされる力の検出手段は、前記それぞれの電動アクチュエータに動作可能に接続されるそれぞれの力センサ又はトルクセンサを備える、請求項33から39のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項41】
力(Fm)を検出する前記動作は、検出周波数(Fr)により、連続的に実行され、前記1つ以上の電動アクチュエータの前記位置制御は、位置制御周波数(Fcp)により、連続的に実行され、
前記検出周波数(Fr)及び前記位置制御周波数(Fcp)は、エンドユーザがリアルタイムで知覚することができない動態で、ユーザが知覚することができない動態で、リアルタイムに前記弾性伸長の補償を確保するように設定される、
請求項33から40のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項42】
前記検出周波数(Fr)及び位置制御周波数(Fcp)は、一致するとともに、100Hzから1000Hzの間の間隔に含まれ、したがって、前記補償方法は、同じ周期で検出された力(Fm)に基づいて、1から10msの間の間隔に含まれる各周期Tで実行される、請求項41に記載のロボットシステム。
【請求項43】
推定する前記動作は、作動テンドンの長さ変化を、前記作動テンドンで検出された力の弾性率(Fm)と有効弾性定数値(K)との間の比として推定することを含み、前記有効弾性定数値(K)は、システム応答安定性を確保するように実験的に決定される又は計算される又は予め確立される、請求項33から42のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項44】
前記推定された長さ変化を位置制御のために使用する前記ステップと、前記それぞれの電動アクチュエータに動きを付与する前記ステップとが、以下の式に基づいて実行され、
前記式は、各電動アクチュエータに固有であり、したがって各電動アクチュエータに関する特定の制御を決定するようになっており、
ここで、uは前記電動アクチュエータによって制御される位置であり、Kelは前記作動テンドンの弾性定数であり、Ωは乗算パラメータであり、
及び/又は、前記乗算パラメータΩが1よりも大きく、それにより、前記計算に使用される有効弾性定数値K=ΩKelは、前記乗算パラメータΩに等しい係数だけテンドン弾性定数値よりも大きく、したがって、前記有効テンドン弾性定数値(K)は、同じ作動テンドンの弾性定数(Kel)よりも過大評価され、したがって、それよりも大きく、
及び/又は、前記乗算パラメータが0.7から1.5の間であり、
及び/又は、前記有効弾性定数値K、したがって乗算パラメータΩも、前記ロボットシステムの状態、及び/又は前記マスタデバイス及び/又は前記スレーブデバイスの空間条件、及び/又は遠隔操作耐久時間に応じて、可変的に決定される、
請求項43に記載のロボットシステム。
【請求項45】
前記手術用器具(20)は、それぞれの少なくとも1つの作動テンドン(31,32,33,34,35,36)に動作可能に接続されるとともにそれぞれの電動アクチュエータ(11,12,13,14,15,16)に動作可能に接続可能な少なくとも1つの伝達要素(21,22,23,24,25,26)を更に備え、
動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記動作は、各作動テンドンの前記推定された長さ変化と前記作動テンドンの弾性率及び剛性との両方に基づいて、前記伝達要素の動きが前記それぞれの作動テンドンの伸長又は弛緩に起因する補償を含むように、各電動アクチュエータの動きを制御することを含む、
請求項33から44のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項46】
前記制御手段によって前記電動アクチュエータに付与される動きが記憶された基準位置に対して参照される仮想ゼロ点を関連付ける基準運動学的ゼロ条件が規定され、
前記伝達要素のそれぞれに動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記動作は、実行された補償を考慮に入れる、補正された運動学的ゼロを計算することを含む、
請求項45に記載のロボットシステム。
【請求項47】
各伝達要素に動きを付与する及び/又は力を及ぼす前記動作は、二重フィードバック動作ループによって前記伝達要素に力を加えることを含み、弾性補償補正が、運動学的機構に起因する前記電動アクチュエータの変位と平行に挿入される、請求項45又は46のいずれかに記載のロボットシステム。
【請求項48】
前記電動アクチュエータがステッパ電動アクチュエータであり、前記位置制御は、作業時間ユニットとして知られている速度制御によって実行され、前記速度制御は、前記位置制御を決定し、
前記速度制御及び位置制御は、最大収束時間よりも低い時定数で前記補償の収束を確保するように寸法付けられるゲインパラメータ(Kp)を用いて、フィードバック動作制御ループによって実行される、
請求項33から47のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項49】
前記速度制御が運動学的構成要素と動的補償構成要素とを含み、
前記動的補償構成要素は、前記検出された力(Fm)を入力として受け、請求項16に記載の式に従って、前記作動テンドンの弾性に起因して失われる推定変位を計算するとともに、安定性要件に適合する動態を有するように調整される比例コントローラによって、前記速度運動学的構成要素に加えられる速度補償寄与を生成し、
前記運動学的及び動的速度寄与の和は、制御されるべき前記電動アクチュエータへの入力として供給され、
前記運動学的構成要素及び前記動的構成要素の前記コントローラは、好ましくは並列である、
請求項47又は48に記載のロボットシステム。
【請求項50】
前記位置制御及び/又は速度制御は、前記検出された力(Fm)が最大動作力値(Fmax)よりも低い場合にのみ実行され、前記補償は、前記電動アクチュエータのうちの1つのみが前記最大動作力(Fmax)よりも大きい力を検出する場合にも抑制される、請求項33から49のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【請求項51】
請求項1から32のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、請求項33から50のいずれか一項に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手術用ロボットシステムの手術用器具の1つまたは複数の作動テンドンによって作動する関節式エンドエフェクタを制御する方法、及び関連する手術用ロボットシステムに関する。
【0002】
特に、本発明は、命令された位置に対する関節の位置誤差の補償を行う制御方法に関する。
【0003】
したがって、本明細書は、より一般的には、遠隔操作手術のためのロボットシステムの動作制御の技術分野に関する。
【背景技術】
【0004】
医療及び/又は手術用の既知のロボットシステムは、一般に、縫合、吻合、切開などの外科的又は顕微鏡手術的処置を行うか、又は画像又は診断情報を取得するかにかかわらず、患者の解剖学的構造と相互作用するようになっている少なくとも1つの関節式末端(又は「関節式エンドエフェクタ」又は「エンドエフェクタ」を備える。
【0005】
関節式エンドエフェクタは、一般に、牽引作用を関節式エンドエフェクタに伝達する作動ケーブル(テンドン)によって作動される。
【0006】
医療及び/又は手術用のロボットシステムは、例えばマスタが外科医による手持ち式である場合、マスタ-スレーブ制御アーキテクチャに従って動作することができ、又は例えば一連のプログラムされた動作を実行することによって自律モードで動作することができる。
【0007】
関節式エンドエフェクタがロボットハンドの指骨の関節などの擬人化関節を備える擬人化ロボットシステムも知られており、擬人化関節は、作動テンドンに加えられる牽引作用によって実現される。
【0008】
ロボットシステムモータを関節式エンドエフェクタの上流側に配置することができ、作動テンドンがモータ及び関節式エンドエフェクタの両方に動作可能に接続される。関節式エンドエフェクタの姿勢は、作動テンドンによって伝達されるロボットシステムのモータの動作によって決定される。
【0009】
複数の自由度の移動のための作動テンドンの数は変化し得るが、一般に、2つの拮抗テンドンが同じ自由度の関節式エンドエフェクタに接続されて、その関節式エンドエフェクタを両方向に移動させる。
【0010】
したがって、モータの動作と関節式エンドエフェクタによって想定される姿勢との間の対応関係を確保できる解決策を提供する必要性が強く感じられる。
【0011】
実際に、テンドンは、動作状態にあるときに相互に摺接することができ、また、テンドンは、巻き上がることができ、すなわち互いに絡み合うことができ、或いは関節式エンドエフェクタの壁上、又は剛性もしくは可撓性もしくは関節式の位置決めシャフトの壁上を摺動することができる。これらの状態は、モータの動作の関節式エンドエフェクタへの伝達の精度に影響を及ぼし、その結果、モータの動作と関節式エンドエフェクタの姿勢との間の不一致をもたらし得る。
【0012】
言い換えれば、作動テンドンの機械的挙動に起因してモータによって与えられる動作が歪むことで、予想される姿勢が達成されない場合がある。
【0013】
更に、小型の関節式エンドエフェクタの場合、作動テンドンのサイズは、モータの動作を関節式エンドエフェクタに伝達するために決定的になる。実際、スケールが減少するにつれて、正確な量で回復可能なテンドンの長手方向の変形がますます大きくなる。
【0014】
関節式エンドエフェクタの小型化を容易にするために、例えば同じ出願人を代表して国際公開第2017-064303号及び米国特許出願公開第2021-0106393号明細書によって示されるように、ポリマー作動テンドンを用いることが可能である。
【0015】
そのようなタイプの作動テンドンは、テンドン摩擦及び直径を低減できるようにし、非常に小さい接続半径を移動させることを可能にする。
【0016】
更に、小型の関節式エンドエフェクタは、一般に、シャフトの遠位端のみでの関節式エンドエフェクタデバイスに沿うテンドン伸長の程度に対して比較的長い伸長にわたって作動テンドンを強制的に伸長させる位置決めシャフトの遠位端に配置される。そのような細長いテンドンを設けることにより、動作状態にあるとき、長手方向におけるテンドンの変形可能性の発生が増加する。
【0017】
例えば、ウインチ変速機システムにおいて、テンドンは、回転スプールに巻き付き、そのような巻き付け中に互いに交差する、すなわち絡み合い、それにより、局所的に摩擦が増加し、潜在的にモータの動作の引き裂き伝達が引き起こされる。
【0018】
同様に、テンドンが絡み合っている場合、すなわち、医療器具及び/又は手術用器具のシャフトの延在部の内側でテンドンが絡み合わされている場合、変速機に影響を及ぼす摩擦の増加が局所的に発生する。
【0019】
換言すれば、上記の場合、異なるテンドン間又は同じテンドンのセクション間の摺動摩擦現象に起因して、モータの動作と関節式エンドエフェクタの動きとの間に不一致がある。
【0020】
モータの動作と関節式エンドエフェクタの動きとの間に不一致を生じさせ得る別の状況は、個々の作動テンドンの固有の弾性から生じる可能性があり、そのような弾性のテンドンは、応力を受けたときに長くなり、それぞれのモータによって与えられる動作の一部を吸収し、その動作を関節式エンドエフェクタに効果的に伝達しない可能性がある。一般に、変形の弾性回復は、摂動が停止するときに急速に起こり、特定の場合には、モータによって与えられる動作が停止するときにテンドンがその弾性変形を直ちに回復することができる。
【0021】
しかしながら、これらの動態は、関節式エンドエフェクタに望ましくない動きを伝達する可能性がある。例えば、モータが動作を停止するときに関節手首の回転関節が作動され得る。
【0022】
小型の関節式エンドエフェクタは、医療外科分野において、並びに擬人化ロボットの分野において、並びにマイクロエレクトロニクス、マイクロメカニックス、精密機械、時計製造、宝飾品及び衣装宝飾品において、より一般的には自動化において望ましい。
【0023】
特に医療外科分野において、関節式エンドエフェクタは、システムの無菌構成要素であり、動作条件下では無菌領域内で動作し、また、ロボットシステムが関節式エンドエフェクタ自体によって想定される姿勢をリアルタイムで検出できるようにするために関節式エンドエフェクタにアクティブセンサシステムを装備することが不可能又は望ましくないことが多い。
【0024】
同時に、この分野では、関節式エンドエフェクタの極端な小型化への推進が強く感じられ、安全性と同時に使いやすさを確保するために、関節式エンドエフェクタの位置及び関節式エンドエフェクタによって果たされる動作に対するスマート制御が必要である。
【0025】
マスタ-スレーブ制御アーキテクチャに従って遠隔操作されるロボットシステムの場合、モータの動作は、マスタ制御デバイス上でユーザにより与えられる動作に基づいて制御される。マスタ制御デバイスは、ジョイスティック、すなわち、マスタ操作コンソールから片持ち式に突出する機械的アタッチメントの形態を成すことができ、関節式エンドエフェクタのセンサシステムによって検出される情報に依存する触覚フィードバックをユーザに戻す電動力フィードバックシステムを備えることができる。
【0026】
マスタ制御デバイスが「非接地」である、すなわち、触覚フィードバックシステムを含まないことが可能な地面に拘束されない遠隔操作ロボットシステムも知られている。
【0027】
したがって、関節式エンドエフェクタ自体にセンサシステムを含めることを回避して、ロボットシステムのモータによって与えられる動作と関節式エンドエフェクタによって果たされる動作との間の対応関係を確保するための解決策を考え出す必要性は、様々な分野で非常に感じられる。
【0028】
同時に、関節式エンドエフェクタ自体の制御を低下させることなく、ロボットシステムの関節式エンドエフェクタを小型化する必要がある。
【発明の概要】
【0029】
本発明の目的は、背景技術を参照して前述した欠点を少なくとも部分的に克服することを可能にする、手術用ロボットシステムの手術用器具の作動テンドンによって作動される関節式エンドエフェクタを制御するための方法を提供し、考慮される技術分野において特に感じられる前述の必要性に応答することである。そのような目的は、請求項1に記載の方法によって達成される。
【0030】
そのような方法の更なる実施形態は、請求項2~32に規定される。
【0031】
更に、本発明の目的は、前述の制御方法によって制御されるようになっており、及び/又は前述の方法を実行するように構成された手術用ロボットシステムを提供することである。そのような目的は、請求項33に記載のシステムによって達成される。
【0032】
そのようなシステムの更なる実施形態が請求項34~51によって規定される。
【0033】
前述の方法は、前述の技術的課題に対する解決策を提供する。
【0034】
実際に、提案された解決策により、小型の関節式エンドエフェクタを作動させることを目的としたロボットマニピュレータのモータの位置制御方法をもたらすために、作動テンドンの動作条件において挙動モデルを使用することが可能である。
【0035】
モータ位置制御は、少なくとも前記作動テンドンを備える伝達ユニットにモータによって付与された力に関して検出された情報に基づくフィードバック動作制御ループである。
【0036】
付与された力に関する情報は、伝達ユニットとの界面においてモータに配置されたロードセルによって検出することができる。例えば、伝達ユニットは、モータとの界面を成す剛性要素、例えばピストンと、関節式エンドエフェクタに接続されて剛性要素に強固に接続可能であるとともに例えばピストンに接着される作動テンドンとを備える。これにより、モータと作動テンドンに強固に接続可能な伝達ユニットの剛性要素との間の界面で検出される力は、作動テンドンに加えられる牽引力に実質的に等しい。モータと作動テンドンとの間の接続が強固でない場合、方法は、モータとテンドンとの間の接続の降伏を考慮することができる。
【0037】
付与された力に関する情報は、作動テンドンの弾性伸長のリアルタイム推定のために使用される。例えば、作動テンドンの弾性伸長は、検出されるように、モータによって伝達ユニットに付与される力に比例することができる。
【0038】
提案された解決策により、関節式エンドエフェクタにセンサを追加することを回避して、制御方法に有用な情報を検出するためのセンサを可能な限り「上流側で」保持しつつ、モータの動作と関節式エンドエフェクタによって想定される姿勢との間の対応関係を確保することが可能である。例えば、医療外科分野では、これにより、センサを滅菌分野から遠ざけることが可能になる。
【0039】
遠隔操作マスタ-スレーブロボットシステムが提供される場合、提案された解決策は、マスタデバイスの動作とスレーブデバイスの関節式エンドエフェクタによって想定される姿勢との間の対応関係を確保するのに役立ち、マスタ-スレーブ追跡遅延を最小にする。
【0040】
提案された解決策により、モータの動作と関節式エンドエフェクタによって想定される姿勢との間の前記不一致の弾性構成要素を補償することが可能である。
【0041】
提案された解決策により、モータによって付与された力に基づいて、長く、薄く、高い弾性変形を受ける作動テンドンを正確かつ制御された態様で使用することが可能である。
【0042】
提案された解決策により、検出されたように、伝達ユニットに付与される力に基づいて伝達ユニットによって実行される伝達動作のモデルによって、関節式エンドエフェクタの現在の姿勢を正確に推定することが可能である。
【0043】
本発明に係る方法は、特に適合されているが、必ずしもマスタ-スレーブ型ではなく、手術用のロボットシステムを制御することを一意的に意図するものではない。
【0044】
本発明に係る方法は、必ずしも作動テンドンによって作動されるロボット指骨を備えない擬人化ロボットシステムを制御するようになっている。
【0045】
本発明に係る方法の更なる特徴及び利点は、添付図面に関連して、非限定的な指示として与えられる、好ましい例示的な実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】一実施形態に係る遠隔手術用ロボットシステムを不等角投影図で示す。
【
図2】
図1の遠隔手術用ロボットシステムの一部を不等角投影図で示す。
【
図3】一実施形態に係るロボットマニピュレータの遠位部を不等角投影図で示す。
【
図4】テンドンが破線で概略的に示されている、一実施形態に係る手術用器具を不等角投影図で示す。
【
図5】可能な動作モードに係る、手術用器具の関節式エンドエフェクタの自由度の作動を概略的に示す。
【
図6】本発明に係る制御方法の一実施形態の動作態様を示す。
【
図7-1】本発明に係る制御方法の一実施形態の動作態様を示す。
【
図7-2】本発明に係る制御方法の一実施形態の動作態様を示す。
【
図7-3】本発明に係る制御方法の一実施形態の動作態様を示す。
【
図8】可能な動作モードに係る、調整方法のステップを示すフロー図である。
【
図9】一実施形態に係る、手術用器具の電動アクチュエータ、伝達要素、及びテンドンを概略的に示す。
【
図10】可能な動作モードに係る、手術用器具の自由度の作動を示す、手術用器具の一部及びロボットマニピュレータの一部の概略断面図である。
【
図11】一実施形態に係る、手術用器具の関節式エンドエフェクタを示す、明確にするための部分断面不等角投影図である。
【
図12-1】本発明の一実施形態に係る制御/補償方法の時間領域におけるブロック図を示す。
【
図12-2】本発明の一実施形態に係る制御/補償方法の、Z変換領域における2つの異なる条件でのブロック図を示す。
【
図12-3】本発明の一実施形態に係る制御/補償方法の、Z変換領域における2つの異なる条件でのブロック図を示す。
【
図13】様々な可能な動作モードに係る、本発明に係る制御/補償方法の実行が適用又は抑制され得る手術用器具の幾つかの動作条件及び/又は状態を示す。
【
図14】様々な可能な動作モードに係る、本発明に係る制御/補償方法の実行が適用又は抑制され得る手術用器具の幾つかの動作条件及び/又は状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1~
図14を参照すると、手術用ロボットシステムの手術用器具20の1つ以上の作動テンドンによって作動される関節式エンドエフェクタ40を制御する方法が記載されている。
【0048】
関節式エンドエフェクタは、以下「多関節エンドデバイス」又は「エンドエフェクタ」(一般的に使用される英語の用語)とも呼ばれる。
【0049】
方法は、好適には、手術用器具の動作段階中に実行可能である。
【0050】
方法は、関節式エンドエフェクタ40と、関節式エンドエフェクタ40を作動させるように構成される少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36とを備える手術用器具20に適用される。
【0051】
方法は、前記手術用器具20に加え、制御手段9と、それぞれの前記少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36に動作可能に接続可能な少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16とを備えて、制御手段9によって制御される動作をそれぞれの作動テンドンに付与し、1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の少なくとも1つの動きと関節式エンドエフェクタ40のそれぞれの少なくとも1つの動きとの間の一義的な相関関係を決定する手術用ロボットシステムに適用される。
【0052】
方法は、最初に、手術用器具の前述の動作段階中に、前述の1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16のうちの少なくとも1つによって及ぼされる力Fmを検出するステップを含む。
【0053】
方法は、その後、検出された力Fmに基づいて、所定の数学的モデルによって、作動テンドンの弾性伸長に起因する、1つ以上の作動テンドン31、32、33、34、35、36のうちの少なくとも1つの長さ変化を推定するステップと、次いで、推定された長さ変化を、1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の位置制御のために使用するステップとを含む。
【0054】
そのような位置制御は、関節式エンドエフェクタ40が到達する位置と関節式エンドエフェクタ40の所望の公称位置との間の前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺するように、前記少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36の推定された長さ変化を考慮して、前述の少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に動きを付与することを含む。
【0055】
そのような所望の公称位置は、例えば、弾性伸長がない場合に得られる位置であり得る。
【0056】
弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺する前述の技術的効果は、そのような誤差の「補償」及び/又はそのような誤差の「最小化」を含むか又はそれに対応することができることに留意すべきである。
【0057】
ロボットシステムがマスタ-スレーブシステムであり、手術用器具が、制御モードに従って、ロボットシステムのマスタデバイスによって命令されるスレーブデバイスである実施形態によれば、方法は、マスタデバイスによって命令される姿勢とスレーブデバイスの関節式エンドエフェクタ40によって到達される姿勢との間の所定の運動学的一致を達成することを可能にする(すなわち、外力がない場合、これにより、マスタデバイスによって命令された姿勢とスレーブデバイスの関節式エンドエフェクタ40が到達する姿勢との間の誤差を有限時間で最小化することが可能になる)。
【0058】
ロボットシステムがマスタ-スレーブシステムであり、手術用器具が、制御モードに従って、ロボットシステムのマスタデバイスによって制御されるスレーブデバイスである方法の一実施形態によれば、付与するステップは、ユーザによって実行される命令動作を考慮に入れる。
【0059】
代替の実施形態によれば、本方法は、マスタデバイスなしの、又はマスタデバイスが一時的又は永続的に非アクティブ化された自律型ロボットシステムに適用される。
【0060】
一実装オプションによれば、本方法は拘束されないマスタデバイス(すなわち、「飛行中」又は「根拠のない」)に適用される。
【0061】
一実施オプションによれば、本方法は、力フィードバックシステムなしでマスタデバイスに適用され、それによってユーザはマスタデバイスから情報を受信しない。
【0062】
手術用器具20が複数の作動テンドン31、32、33、34、35、36を備え、手術用ロボットシステムがそれぞれの複数の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16を備える方法の一実施形態によれば、力を検出する前述のステップは、複数の又は全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に対して実行され、推定する前述のステップは、複数又は全ての作動テンドン31、32、33、34、35、36を参照して実行され、前記付与するステップは、複数又は全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に対して実行される。
【0063】
一実施形態によれば、本方法は、ロボットシステムの状態に関する情報を検証するステップと、次いで、制御手段9によって、ロボットシステムの状態に関連する1つ以上の条件に基づいて、弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与する前述のステップを実行するか否かを決定するステップと、前記1つ以上の条件が満たされた場合にのみ、付与ステップを実行するステップとを更に含む。
【0064】
一実施形態によれば、本方法は、顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスを有するロボットシステムに適用される。
【0065】
そのような実施形態の一実装オプションでは、遠隔操作中に、手術用器具が把持状態にあるとき、弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために電動アクチュエータに動きを与える前述のステップは、把持自由度のそれぞれの少なくとも1つの作動テンドンに接続された電動アクチュエータの少なくとも1つに対して抑制されることが提供される。
【0066】
そのような実施形態の別の実装オプションでは、遠隔操作中に、手術用器具が把持状態にあるとき、電動アクチュエータに動きを与える前述のステップは、把持自由度のそれぞれの少なくとも1つの作動テンドンに接続された電動アクチュエータの少なくとも1つに対して、0から1の間のスケーリング係数に従って減少されることが提供される。
【0067】
そのような実施形態の別の実施オプションでは、電動アクチュエータに動きを付与する前述のステップは、把持閉鎖自由度のそれぞれの2つの拮抗作動テンドンに接続された2つの電動アクチュエータ、又は把持閉鎖自由度及び把持開放自由度の拮抗作動テンドンの対の4つの作動テンドンに接続された4つの電動アクチュエータに関して抑制されることが提供される。
【0068】
そのような実施形態の別の実施オプションでは、電動アクチュエータに動きを付与する前述のステップは、0から1の間のスケーリング係数に従って、把持閉鎖自由度のそれぞれの2つの拮抗作動テンドンに接続された2つの電動アクチュエータ、又は把持閉鎖自由度及び把持開放自由度の拮抗作動テンドンの対の4つの作動テンドンに接続された4つの電動アクチュエータに対して減少することが提供される。
【0069】
そのような実施形態の別の実装オプションでは、電動アクチュエータに動きを付与する前述のステップは、全ての電動アクチュエータに関して抑制されることが提供される。
【0070】
そのような実施形態の別の実装オプションでは、電動アクチュエータに動きを付与する前述のステップは、全ての電動アクチュエータに関して、0から1の間のスケーリング係数に従って減少されることが提供される。
【0071】
一実装オプションによれば、本方法は、遠隔操作がアクティブであり、操作者が、エンドエフェクタの対応する移動において伝達されるマスタ移動の間隔内でかつ把持力ではない間隔で、顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連するマスタデバイスの自由度を移動させる(特定の閾値よりも大きい閉鎖角度)動作段階(ここでは、
図13に示される、「圧迫しない」として規定される)で実行される。
【0072】
対照的に、補償方法は、遠隔操作がアクティブであり、操作者が、「フリーズ」ステップに入ったときと同じレベルに補償値を維持しながら、マスタを把持閾値を超えたままにする(特定の閾値よりも小さい閉鎖角度-
図13に示される「圧迫」状態を伴う)段階(ここでは「フリーズ」として規定される)で抑制される。
【0073】
マスタデバイスが、顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスである実施形態によれば、遠隔操作の終了時に、手術用器具が把持状態にあり、把持状態(ここでは「圧迫を保持する」として規定される状態)を維持することが所望される場合、電動アクチュエータに移動を付与する前述のステップは、それぞれの作動テンドンに接続された全ての電動アクチュエータに関して抑制されることが提供される。
【0074】
一実施形態によれば、本方法は、非把持状態で遠隔操作を終了するときに、新しい遠隔操作に再び入る前に、以前の遠隔操作中の1つ以上の作動テンドンのそれぞれの推定された長さ変化が除去されることを提供する。
【0075】
一実装オプションによれば、そのような状態では、弾性補償動作が除去され、それによって手術用器具を既知の初期ゼロ位置に戻す。
【0076】
一実施形態によれば、前述の1つ以上の作動テンドン31、32、33、34、35、36のそれぞれは、ロボット手術用システムのそれぞれの電動アクチュエータと前述の関節式エンドエフェクタ40の両方に動作可能に接続され、関節式エンドエフェクタ40の1つ以上の自由度(P、Y、G)のうちのそれぞれの自由度を作動させる。
【0077】
一実装オプションによれば、関節式エンドエフェクタ40の自由度は、ピッチ自由度、及び/又はヨー自由度、及び/又はグリップ自由度を含む。
【0078】
一実装オプションによれば、前記1つ以上の作動テンドン31,32,33,34,35,36の少なくとも一方は、関節式エンドエフェクタ40の回転自由度を作動させる。
【0079】
一実施形態によれば、電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16によって及ぼされる力を検出する前述のステップは、それぞれの電動アクチュエータに動作可能に接続されたそれぞれの力センサ又はトルクセンサによって実行される。
【0080】
一実装オプションによれば、そのようなセンサは、それぞれのモータ(例えば、無菌側では、)の接触界面に配置された力センサである。
【0081】
一実装オプションによれば、そのようなセンサはトルクセンサである。
【0082】
一実施形態によれば、力Fmを検出するステップは、検出周波数Frで連続的に実行され、1つ以上の電動アクチュエータの前述の位置制御は、位置制御周波数Fcpで連続的に実行される。
【0083】
前述の検出周波数Fr及び位置制御周波数Fcpは、遠隔操作の作動時間に対して実質的にリアルタイムで、すなわち、ユーザが知覚することができない動態でリアルタイムに弾性伸長の補償を確保するように設定される。
【0084】
一実装オプションによれば、前述の検出周波数Fr及び位置制御周波数Fcpは一致し、100Hzから1000Hzの間の間隔に含まれる。
【0085】
したがって、そのような場合、補償方法は、同じ周期で検出された力Fmに基づいて、1から10msの間の間隔に含まれる各周期Tで実行される。
【0086】
一実施形態によれば、推定するステップは、作動テンドンで検出された力の弾性率Fmと、システム応答安定性を確保するように実験的に決定され得る、又は計算され得る、又は予め決定され得る有効弾性定数値Kとの比として、作動テンドンの長さ変化を推定することを含む。
【0087】
一実施形態によれば、推定された長さ変化を位置制御に使用するステップと、それぞれの電動アクチュエータに動きを与えるステップとは、以下の式に基づいて実行される。
このような式は、各電動アクチュエータに固有であり、したがって、各電動アクチュエータの特定の制御を決定する。
【0088】
上記の式において、uは電動アクチュエータに命令される位置であり、Kelは作動テンドンの弾性定数(以下、このような弾性定数は、実験的に決定される場合、K_expとも示される)であり、Ωは乗算パラメータである。
【0089】
実装オプションによれば、乗算パラメータΩは1より大きいので、計算に使用される有効弾性定数値K=ΩKelは、前述の乗算パラメータΩに等しい係数だけテンドン弾性定数値よりも大きく、したがって、有効テンドン弾性定数値Kが、同じ作動テンドンの弾性定数Kelよりも過大評価され、したがってより大きくなることが確保される。
【0090】
前述の実施形態では、重要な態様は、実験的に特定された弾性定数(Kel、又はK_exp)と、「有効弾性定数値K」としても規定される、モデル内で使用される弾性定数Kとの間の比に関する。
【0091】
特に、そのような実施形態では、上記のように、アルゴリズムの収束の必要性のために、アルゴリズムで使用される値Kは実験的に決定された値k_expより大きくなければならない。
【0092】
前述のパラメータΩは、100%~150%、好ましくは+10%~+50%の間隔に含まれるKとK_expとの間の比を規定する。
【0093】
一実装オプションによれば、そのような乗算パラメータは0.7から1.5の間である。
【0094】
前述の実施形態の実装オプションによれば、前述の有効弾性定数値K、したがって乗算パラメータΩも、ロボットシステムの状態、及び/又はマスタデバイス及び/又はスレーブデバイスの空間条件、及び/又は遠隔操作耐久時間に応じて、可変的に決定される。
【0095】
言い換えれば、Kは、遠隔操作耐久時間に応じて、又はそれが位置する(マスタ又はスレーブ)作業スペースのポイントに応じて変化し得る、又は、システムの一致性と安定性との間の妥協点を変更する。Kの値は、遠隔操作中に再推定することができ、例えば、力の急激な増加が大きい場合、Kの値は、安定性の必要に応じて変更/調整することができる。
【0096】
Kの値は、実際のテンドンの弾性剛性値に関係なく経験的に調整することができる。例えば、Kの値は、テンドン-器具システムの分散(例えば、テンドンの伸長における局所的な摺動摩擦に起因して)を考慮するために実験的に選択することができ、したがって、Kの値は、単独で考慮した場合にテンドンの実際の弾性定数に必ずしも関連しない。
【0097】
一実装オプションによれば、Kの値は、単独で考慮される場合、テンドン弾性定数値の過小評価である。
【0098】
一実装オプションによれば、Kの値は、システム安定性を実験的に確保するために任意の方法で実験的に選択される。
【0099】
一実施形態によれば、補償方法は、40N未満の検出力値の存在下で実行される。
【0100】
連続的に検出された力間隔Fmに関連する幾つかの可能な実施態様によれば、アルゴリズムはスペクトル全体に対して機能することができることに留意すべきである。方法が顕微鏡手術用のロボットシステムに適用される実装オプションでは、それはこのような状況で存在する低い力、すなわち40N未満、例えば10N程度の力の存在下で実行される。
【0101】
そのような実装オプションの利点は、動作中の補償を確実にすることである。
【0102】
一実施形態によれば、本方法は、それぞれの少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36に動作可能に接続された少なくとも1つの伝達要素21、22、23、24、25、26を更に備え、それぞれの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に動作可能に接続可能な手術用器具20に適用される。
【0103】
したがって、そのような場合、手術用器具は、それぞれが作動テンドン及びピストンを備える複数の「送信ユニット」を備え、好ましくはテンドンがピストンに固定され、それぞれの電動アクチュエータは、伝達ユニットのピストンに変位を与えることによって作用する。
【0104】
一実装オプションによれば、手術用器具は、6つの伝達ユニット、すなわち6つのテンドン、6つの電動アクチュエータ、及び6つのピストンを備える。
【0105】
実装オプションによれば、各送信ユニット(すなわち、各モータ-ピストン-テンドン連鎖)は個別に管理される。
【0106】
別の実施オプションによれば、拮抗伝達ユニット(したがって、拮抗テンドン)は対で管理される。
【0107】
一実装オプションによれば、動きを付与し、及び/又は力を及ぼすステップは、各作動テンドンの推定された長さ変化と、前記作動テンドンの弾性率及び剛性の両方に基づいて、伝達要素の動きが、それぞれの作動テンドンの伸長又は弛緩による補償を含むように、各電動アクチュエータの動きを制御することを含む。
【0108】
実装オプションによれば、制御手段によって電動アクチュエータに与えられる動きが記憶された基準位置に対して参照される仮想ゼロ点を関連付けることによって、ロボットシステムにおいて基準運動学的ゼロ状態が規定される。そのような場合、前記伝達要素のそれぞれに動きを付与し、及び/又は力を及ぼすステップは、実行される補償を考慮に入れた補正運動学的ゼロを計算することを含む。
【0109】
一実装オプションによれば、各伝達要素に動きを付与し、及び/又は力を及ぼすステップは、二重フィードバック動作ループによって伝達要素に力を及ぼすステップを含み、弾性補償補正が、運動学的機構による電動アクチュエータの変位と平行に挿入される。
【0110】
一実施形態によれば、電動アクチュエータがステッパモータアクチュエータである場合、位置制御は速度制御を介して実行され、速度制御は作業時間ユニットとして知られており、位置制御を決定する。
【0111】
そのような実施形態の実装オプションでは、速度及び位置制御は、フィードバック動作制御ループによって実行され、ゲインパラメータ(Kp)は、最大収束時間よりも低い時定数で補償の収束を確保するように寸法付けられる。
【0112】
一実施例によれば、そのような最大収束時間は1秒未満であり、好ましくは100ms~200msの間隔に含まれる。
【0113】
一実装オプションによれば、速度制御は、運動学的構成要素及び動的構成要素を備える。
【0114】
動的補償構成要素は、検出された力Fmを入力として受け取り、前述の式に従って、作動テンドンの弾性によって失われる推定変位を計算し、安定性要件に適合する動態を有するように調整された比例コントローラによって、前記速度運動学的構成要素に加えられる速度補償寄与を生成する。
【0115】
前述の運動学的及び動的速度寄与の和は、制御される電動アクチュエータへの入力として提供される。
【0116】
運動学的構成要素及び動的構成要素のコントローラは、好ましくは並列である。
【0117】
一実施形態によれば、位置及び/又は速度制御は、マスタ又はスレーブデバイスの位置、及び/又はロボットシステムの経年劣化又は状態などの条件に応じて、共通の有効弾性定数値に基づいて、例えば拮抗テンドンの各対に対して関節制御を実行することによって、複数の電動アクチュエータに対して共通の態様で実行される。
【0118】
一実施形態によれば、位置及び/又は速度制御は、検出された力Fmが最大動作力値Fmaxよりも低い場合にのみ実行され、本方法の実行は、電動アクチュエータのうちの1つのみがそのような最大動作力Fmaxよりも大きい力を検出するときには抑制される。
【0119】
実際に、そのような場合、安全限界に使用可能な最大の力は、アルゴリズムが発散するのを防ぐために、すなわち収束を確保するために必要とされる。
【0120】
上記で説明したように、代替的に、コントローラは、多くのテンドンに作用し、制御システム全体の状態を考慮に入れることができる。
【0121】
一実施形態では、アルゴリズムは、モータのうちの1つのみが特定の閾値を上回るときに停止される。
【0122】
一実施形態によれば、伸長補償パラメータは、異なる姿勢に関連する異なる摩擦を考慮に入れるために、関節式エンドエフェクタ40の姿勢に応じて制御され可変的に決定される。
【0123】
例えば、エンドエフェクタリンク上のテンドンの巻き角は、例えばヨー自由度のストロークエンド付近の場合、一方のテンドンと他方の拮抗テンドンとの間で異なることができる。そのような実施形態では、各テンドンは、接触経路を画定するリンクの凸湾曲面上を摺動し、ある時間における全リンク(固定されているリンクを除く)の凸曲面上のテンドンの全接触経路の和が、巻回角を規定する。
【0124】
したがって、対の2つの拮抗テンドン間のリンクテンドン摩擦力は常に同じであるとは限らず、手首の姿勢に基づいて変化する。アルゴリズムは、手首の姿勢を認識し、したがって、一方のテンドンの弾性を他方とは異なって補償する。
【0125】
この実施形態では、アルゴリズムは、手首(エンドエフェクタ)の既知の又は計算された運動学的位置に基づいて、可変値Kの決定及び/又は補償の抑制もしくは動作及び/又は補償方法の使用を別のテンドンではなく1つのテンドンに関連付けることができる。
【0126】
実装オプションでは、実験データが記憶され、及び/又は各テンドン上の予想される力が、摺動摩擦による手首の姿勢に応じて数学的にコンピュータモデル化される。
【0127】
物体がぶつかったり動いたりした場合(エンドエフェクタに作用する外力の増加を引き起こす)、ペアの少なくとも1つのテンドンに関連する検出された力は、自由度をアクティブにすることなく増加する。そのような場合、実施例によれば、方法は、Kを変更し、及び/又は補償の動作を抑制し、及び/又は別のテンドンではなく1つのテンドンで補償方法を使用することができる。
【0128】
より一般的には、一実施例では、電動アクチュエータ上のセンサによって読み取られる力の増加が手首の動きによるものか外力によるものかが決定され、それに応じて補償が適合される。
【0129】
一実施形態によれば、本方法は、好ましくは絡み合ったポリマー繊維から形成されたポリマー作動テンドンに適用される。
【0130】
一実施形態によれば、ロボットシステムは、顕微鏡遠隔手術用のロボットシステムであり、手術用器具は顕微鏡手術用器具である。
【0131】
再び
図1~
図14を参照すると、方法の幾つかの特定の実施形態を参照して、非限定的な例として、更なる詳細が以下に提供される。
【0132】
まず、遠隔操作中、ユーザは、マスタデバイスの変位を電動アクチュエータ(例えば、モータボックス内に収容された6つのリニア電動アクチュエータ)の変位と関連付ける運動学的関係によって器具を制御することができることに留意すべきである。
【0133】
器具の制御可能性はまた、前述の電動アクチュエータと器具自体のバックエンドに存在する対応するピストンとの間の機械的結合によって確保される。
【0134】
したがって、このような結合の正しい成功を確保する、器具「係合」と呼ばれる手順が予測される。係合手順は、器具自体の各制御動作に必要な条件である。
【0135】
この実施形態では、モータボックス内に存在するリニアアクチュエータは、テンドンシステムからなる適切な伝達システムを介して、手術用器具の手首(すなわち、エンドエフェクタ、又は多関節エンドデバイス)内に存在する3つの自由度(前述の「ヨー」、「ピッチ」及び「グリップ」)を制御することができる。
【0136】
特に、顕微鏡手術用器具の制御可能な部分は、共有自由度(Pitch)及び各先端に固有の自由度(ヨー)を有する2つのチップからなる。したがって、この表現では、自由度グリップは、顕微鏡手術用器具の2つのチップの命令されたヨー値の間の差として規定することができる。
【0137】
そのような機構では、器具ピストンと手首との間の結合は、前述の自由度のそれぞれについて2つの拮抗テンドン、すなわち、「ピッチ」自由度の制御のための2つの拮抗テンドン(2つのチップによって共有される)、及び2つのチップのそれぞれの「ヨー」自由度の制御のための2つの拮抗テンドンによって実行される。
【0138】
おおよそ、器具の6つのピストンを器具のチップに結合する運動学的法則は、非伸縮性テンドンを介して顕微鏡手術用器具の2つのチップに接続されたモータボックスのピストンを考慮する。前述の説明で既に観察されたように、器具の堅牢で効率的な制御に必要なモデル精度は、テンドンが応力を受けるたびに可逆的及び不可逆的な変形を受けることを考慮する必要がある。
【0139】
特に、ここで使用される作動モデルは、器具ピストンが、モータの変位を相対ピストンの変位に直接変換する専用の機械的結合を介して6つのモータによって作動されることを提供する。器具のわずかな内部摩擦のために、モータの変位は、相対ピストンに力を加えることになる。この命令は、関連するテンドンの周期的な伸長に変換される。
【0140】
動きの動的成分及び外力の存在を無視しながら、静的平衡におけるシステムの唯一の解析から、器具の自由度を制御するようになっている制御システムは、一緒に追加された以下の成分を考慮に入れなければならないことは明らかである。
-手首が所望の構成に到達できるようにするようなピストンの変位;
-ケーブルの伸長を補償するようになっている前記ピストンの変位の存在。
【0141】
この実施形態では、例として、マスタデバイスとスレーブデバイスとの間の運動学的一致を確保し、内部及び外部の安定状態を考慮しながら前記テンドンの弾性伸長を補償するという目的を有するアルゴリズムが説明される。
【0142】
これに関連して、プラスチック構成要素は無視できるか、又はいずれの場合にも制御システムの他の適切に設計された構成要素によって補償されると仮定される。
【0143】
このアルゴリズムは、アクチュエータによって加えられる力の可観測性と、開ループと、フックの法則に従って計算された弾性損失のリアルタイム補償とに基づいている。一実装オプションによれば、アルゴリズムはロボット遠隔操作段階中に動作する。
【0144】
前の段落で行った仮定によれば、モータ-ピストン-テンドン系のそれぞれは、分離された系と考えることができ、
図7-3(
図7ter)の後に示すようにグラフィックモデル化することができる。第1の近似として、チップへの外力又は拮抗テンドンによって引き起こされる外力は考慮されない。
【0145】
特に、モータは、問題のモデルよりもはるかに速い動態で適切に寸法決め及び制御され、その結果、モータの動態は、位置の純粋な変位でモデル化することができる。これに関連して、モータの制御された変位uは、ピストンに加えられる力Fpに対応する。移動中にモータが受ける反力Fm=-Fpは、モータとピストンとの間の接触面に配置された適切な力センサによって取得される。モータピストンカップリングは常に確保されているものとする。
【0146】
したがって、ピストンは、牽引時に作用して顕微鏡手術用器具のチップに動きを伝達するテンドンに力Fpを伝達し、力Fp(器具のチップと一体の非ゼロ半径の回転関節の外面に作用する)は、最終的な回転関節に存在する摩擦力をまとめたトルクMaによって釣り合っている。
【0147】
図5を参照すると、ボールベアリング(図では円として示されている)によってもたらされる摩擦はFpに関して無視できるので、ベアリング間のケーブルセクション内の力は、手首に向かうケーブルセクションの力と同一であると考えることができる。
【0148】
ケーブル端部(リストピッチ関節とエンドノードとの間に備えられるは、一般に、ケーブルの全長よりも2桁小さいため、そのような端部の延長は無視できる。したがって、ケーブル全体に沿ったテンドン弾性定数Kel及び一定力Fmを考慮することができ、伸びは|Fm|/Kelとして計算される。
r=u-|Fm|/Kel(1)
ここで、Kelは、テンドン弾性定数であり、この場合はKel=EAL(ここで、E=ヤング率、A=ケーブル断面、L=ケーブル長)として計算され、rは実際のチップの動きである。
【0149】
一実施形態では、Kelは、ポリマーテンドンが特定の作動方法のためのサイクルを受けるにもかかわらず一定であると考えることができ、したがって、変数Kelによって支配される。これは、やはり特定のタイプの作動について、各自由度が2つの拮抗テンドンによって制御されるという事実に起因し、ここで、押圧モータに関連するテンドンのみが所望の方向の実際の変位に寄与する一方で、拮抗筋は、動きとは反対の力成分を回避するために無視できる力で配置されると述べることができる。したがって、値Kelを、問題のポリマー繊維のヒステリシスサイクル特性の立ち上がり前面を反映する一定の値に近似することが可能である。
【0150】
|Fm|は、ピストンによって加えられ、適切な力センサによって測定される力の弾性率であり、uは、モータによって制御される位置であり、rは、比y=r/Rからのチップyの角回転に関連する非ゼロ関節の外面上の点の変位であり、Rは、回転関節の半径である。
【0151】
式(1)から開始して、以下を得る。
y=(u-|Fm|/Kel)/R (2)
【0152】
これに関連して、制御アルゴリズムの目的は、以下のような適切な制御位置uをモータに提供することである。
1.所望の位置xと最終位置rとの間の誤差を最小にし、更に、最終位置rの漸近安定性、並びに有限時間でのその到達可能性を確保することが必要である。
2.任意に長い時間間隔で、例えば外力の存在又は静止摩擦の広がりに起因して、所望の標的位置変化でエンドエフェクタの動きがない境界線の場合に、システムの内部安定性(有限のu及びFm)を確保する。
【0153】
一般性を失うことなく、アクチュエータは離散速度制御によって制御されると仮定する。アクチュエータの制御動態は、問題のシステムの動態よりもはるかに高速であると考えることができ、したがって、任意の瞬間t(アルゴリズムの離散実行時間の倍数)において、位置uは、その瞬間までにモータに送られる速度vの時間積分に等しいと考えることができる。
【0154】
図12-1(
図12)では、Delta_r≠0(システムが動いている)の場合の制御アルゴリズムが示されている。同様に、Delta_r=0の場合、物理システムブロックに存在する方程式は、タイプFm=Kel uである。
【0155】
したがって、Z変換の空間内で離散的にモデル化された提案されたアルゴリズムは、Delta_r≠0の場合には
図12-2(
図12bis)に示されるように見え、Delta_r=0の場合には
図12-3(
図12ter)に示されるように見える。
【0156】
本明細書に記載の実施形態では、アルゴリズムは、エンドエフェクタが静止している又は動いているという知識を前提とせず、以下に示すステップに従って進むことに留意すべきである。したがって、
図12-1、
図12-2(
図12bis)及び
図12-3(
図12ter)は、単にZ変換の空間に記載された例示的なモデリングとして理解されなければならない。
【0157】
この実施形態では、提案されたアルゴリズムは、モータ-ピストン-伝達テンドン系のそれぞれで互いに独立して実行されるように意図されている。
【0158】
したがって、アルゴリズムは以下のステップからなる。
【0159】
A)例えば、モータとピストンとの間の接触面に配置されたロードセルによって、モータによってピストンに及ぼされる力弾性率|Fm|をリアルタイムで取得する。
【0160】
B)テンドンが受ける伸びは弾性タイプのみであると仮定すると、それはΔ_stretch=(|Fm|)/Kとして計算され、テンドン弾性定数Kは以前に実験的に推定されている(好ましい形態では、K=φk_expであり、ここで、0.7>Ω>1.5であり、したがって、実験的に得られた弾性定数の過小評価又は過大評価を伴う)。
【0161】
C)得られたΔ_stretch値は、各制御サイクルにおいて、テンドン延長を補償するように命令された運動学的軌道に追加されるフィードフォワードにおける速度Vstr(z)成分を返す比例コントローラの基準として使用される。適切に較正された比例コントローラが、このようにモデル化されたシステムの安定性を得るのに十分な条件であることを実証することができる。
【0162】
最後に、この実施形態では、アルゴリズムのアクティブ化及び非アクティブ化の管理は、以下の段落で説明されるステートマシンに基づいている。
【0163】
以下のパラメータが関与する。
【0164】
K-推定テンドン弾性定数(上記では「有効弾性定数値」とも規定される)
提案されたモデルによれば、制御変数u(z)が制限されることを確保するために、値は実際のもの(実験的に得られた)k_expよりもはるかに大きいので、弾性定数は重要なパラメータである。
【0165】
特に、トルクMeが、力Fm(例えば強い静止摩擦の存在もしくは拮抗テンドンの能動的存在、又はエンドエフェクタに作用する外力によるエンドエフェクタの動きがないこと)によって生じるトルクを補償するか、又は超える場合を考える。この状態では、力Fmはケーブルの伸びに依存し、したがって、
Fm=-K u
ここで、K=Ωk_expである。したがって、センサによって測定される力はFm=Ωk_exp uであり、ここでΩ>1であり、そこからモータへの命令u=Fm/(Ωk_exp)である。
【0166】
図12-3(
図12ter)に示すモデルによれば、制御変数u(z)は、入力xkine(z)の関数として表すことができる。コントローラ、作動及び物理システムによって形成されるシステムのZ変換の空間における伝達関数は、以下の通りである。
において単一の極を有する
【0167】
離散システム解析研究によれば、そのような基準関数は、その極が単位円内に完全に含まれる場合、すなわち、以下の関係が有効である場合に安定である。
K_p>0の場合、K>k_expの値について考慮される。Kが増加すると、システムの安定性マージンも増加する。実数k_expよりも大きいKを有することの物理的意味は、物理システム内に存在する伸びよりも小さい伸びを補償することと等価である。
【0168】
差分K-k_expによってもたらされる誤差の評価は、Delta_r≠0の場合に誤差の傾向を分析することによって実行することができる(
図12-2(
図12bis)を考慮)。
e=r-u
【0169】
これに関連して、誤差を表現することが可能である。
位置Xkine(z)及び力Fm(z)のMISOシステム関数として:
この場合
すなわち、
【0170】
F
m(z)の離散的な変形の場合、誤差の程度は、最終値定理を使用して評価することができ、すなわち、
これは、K=k_expに対してのみ完全な誤差補償が得られることを示している。このシナリオでは、提案されたアルゴリズムによれば、Kの選択は、補償されたテンドン伸長の量とアルゴリズム自体のロバスト性との間の妥協に依存する。
【0171】
したがって、そのようなパラメータの微調整は、使用されるモデルに対する実際の物理的システムの変化、並びに顕微鏡手術用器具のチップの動きに対抗する関連力の発生によって与えられる経験的考察に依存する。
【0172】
システムの動態は、第1の近似として、一次のシステムの動態を反映すること、すなわち、制御パラメータの適切な選択は、所望の目標における位置の単調な収束を確保することに留意すべきである。
【0173】
最後に、制御されるシステムの性質のために、アルゴリズムが事前に収束する最終力Fmを知ることは不可能であることに留意すべきである。したがって、そのような値Fmは、加えられる軌道の動力学、物理的プラスチック弾性伸長特徴、システムの外的外乱、及びシステム内部の摩擦に基づく力の値に収束する。
【0174】
これに代えて又は加えて、前述したように、定数Kは、実際のテンドン弾性定数の値にかかわらず経験的に選択することができる。したがって、乗算パラメータΩの値は、1未満、例えば0.7と1との間とすることができる。一実施形態では、乗算パラメータΩの値は、区間0.7-1.5に属する。
【0175】
K_p:アルゴリズム収束速度。
前の段落の式を参照すると、静摩擦を超える場合、伝達関数SYS2(z)は位置1-K_pに存在する単極を有することが明らかである。これに関連して、
0<K_p<2とすることで、制御システムが安定する。
【0176】
収束速度はK_p→1増加する。しかしながら、収束速度が増加するにつれて、システムの位相余裕は減少する。
【0177】
静摩擦を超えない場合、伝達関数SYS1(z)は、位置に存在する単一の極を有する。
【0178】
これに関連して、K_p→1の場合、動態は比(k_exp)/Kによって支配される(Kの値の増加は、アルゴリズム自体の精度を犠牲にして得られるより高い収束速度に対応する)。K_pが小さい場合、アルゴリズムの動態は主にK_pによって支配される。
【0179】
したがって、前の段落で行った考察から、アルゴリズムの性質を考えると、所与の力が有限時間で収束される場合、弾性伸長の100%を補償することは不可能であることは明らかである。ゲインK_pの選択及び推定値Kの精度は、安定性基準と、マスタ-スレーブ遠隔操作の時間的有用性要件を反映する収束時間の確保との両方を満たす。
【0180】
過度に遅いアルゴリズムは、操作者によって与えられる命令に対する顕微鏡手術用器具の応答の直感性を損なうことになる。制御可能なパラメータv(z)及びu(z)(瞬間アクチュエータ速度及び位置)は、考慮される作動システムの物理的な振幅及び帯域幅の制約を受けることに留意すべきである。同様に、変数F_m(時間tにおいてアクチュエータによって提供される力)の可観測性は、選択された測定器の物理的制限を受ける。最後に、力F_mの大きさは、純粋な位置に基づいて命令される第1の近似として、作動システムの動力学に影響を与えないように十分に小さくなければならない。これに関連して、パラメータK及びK_pの選択はまた、上記の制約を考慮に入れなければならない。
【0181】
モデル化されていない動力学を有するアルゴリズムのロバスト性を高めるために、アルゴリズムが動作することができる変数F_maxの間隔を規定するパラメータMax Forceももたらされる。
【0182】
このような非モデル化動態は、以下のファミリーに分類される。
-器具の変速機全体に沿ったテンドン摩擦であって、終点で完全には適用されないテンドン摩擦;
-器具のチップに加えられるトルクの結果としてのテンドンに対する直接力の印加;
-フックの法則に適合しないテンドンの可逆的及び不可逆的な伸長。
このような成分の影響は、開ループに追加の補償構成要素をもたらしてこれまでと同様に、制御システム全体の安定性を研究することによって緩和することができる。
【0183】
可能な構成設定が例として与えられる。そのような設定は、前の段落で報告されたパラメータに依存することに加えて、顕微鏡手術用器具のタイプ/クラスに一意に関連付けられる。このような設定の特定は、前の段落で述べた基準を考慮して実験的に行われる。
Kp=0.02
K=25N/mm
最大力=14N
【0184】
アルゴリズム起動管理
問題の器具の特徴の1つは、手術用縫合糸を把持することができる能力である。把持概念は、顕微鏡手術用器具に属する2つのチップの同時閉鎖によって達成される。
【0185】
これに関連して、把持力は、器具のグリップの自由度を制御することによって生成され、これは、器具自体の動態によって到達できない目的に向けた顕微鏡手術システムの2つのチップのそれぞれのヨーの自由度の鏡面制御にすぎない(チップ自体の相互貫通、したがって運動学的拘束の破壊を必要とするため)。したがって、システムは、2つのテンドンの機械的インピーダンスを使用して把持力を制御変数u(z)の関数として決定する開ループ力制御として挙動する。
【0186】
これに関連して、ケーブルの伸びを補償する必要性は意味を失う。そのような伸びは、エンドエフェクタに存在する力の原因となるからである。
【0187】
上記の考察によれば、アルゴリズムが嫌悪的に把持の品質を妨げないことを確保することが重要である。この目的のために、アルゴリズムを使用することができる器具の操作性のステップを以下で分析する。
【0188】
器具の操作性のステップ(又は状態)は、以下のように要約することができる。
【0189】
保持:器具が係合されている状態、又はモータボックス内に存在する作動システムと器具内に収容されたピストンとの間に運動学的連続性がある状態。そのような状態では、ユーザは器具を直接制御することができない。モータは、ピストンに力F_0を加えて維持する。したがって、エンドエフェクタの運動学的位置は、チップに作用する外力を犠牲にして維持される。
【0190】
操作:操作者が特殊なマスタデバイスを使用してスレーブデバイスを直接制御できる状態、すなわち、操作者が顕微鏡手術用器具のチップを自由に動かすことができる状態。特に、
図13に示すように、ユーザは、マスタデバイスの開口部を前記「圧迫動作」領域の把持間隔内に持ってくることによって把持力を調整する能力を有する。そのような「圧迫動作」状態は、
-圧迫しない動作:遠隔操作がアクティブであり、操作者がマスタデバイスを把持閾値より上に維持する;
-圧迫動作:遠隔操作はアクティブであり、操作者はマスタデバイスを把持閾値内に維持する;
と呼ばれる2つのサブ状態に分割することができる。
【0191】
弾性補償アルゴリズムは、「圧迫しない動作」と呼ばれる状態でアクティブである。「圧迫動作」状態では、アルゴリズムによってもたらされるフィードフォワード成分はフリーズされる、すなわち、「圧迫なし操作」ステップに戻るまでアルゴリズムによって提供される位置オフセットを変更することは不可能である。
【0192】
対応するチップに関与する2つの特定のモータが器具の内側に向かって閉じる実施形態では、オフセットの固定が必要である。これは、前述したように、アルゴリズムが任意の力の値に収束し、したがって把持に必要な力に到達するのを妨げるからである。
【0193】
スレーブデバイスの直接制御を中断したい操作者の直接命令により「動作」状態を終了することができる。「動作」状態を放棄することは、「保持」状態への遷移、「解放」状態(「圧迫しない動作」サブ状態の場合)又は「フリーズ」状態(「圧搾による操作」サブ状態の場合)を通過することを意味する。
【0194】
解放:非圧迫動作から保持への移行途中状態。この状態では、モータの運動学的位置成分は、代わりに各モータから弾性補償成分を除去することによって保存され、その結果、繰り返し可能な動的条件で遠隔操作を再開することができる。
【0195】
フリーズ:圧迫動作から保持への移行途中の状態。この状態では、モータは、次の保持ステップ中に把持力を維持するように現在の位置でフリーズされる。別の実施オプションでは、フリーズステップは、把持に運動学的に関与するテンドンに対する純粋に強制的な制御への移行を含む。
【0196】
図14は、前述の状態及びある状態から別の状態への移行を示す図を示す。
【0197】
このような図から分かるように、弾性補償アルゴリズムは、遠隔操作ステップ(動作)中にのみアクティブである。ユーザが「圧迫しない動作」範囲内のマスタを使用して器具を制御するとき、アルゴリズムは各モータでアクティブであり、一方、ユーザが「圧迫動作」範囲内のマスタを使用して遠隔操作している場合、チップの閉鎖に寄与する2つのモータの弾性補償の位置寄与は、状態に入るとフリーズされ、アルゴリズムはそれらのモータで非アクティブ化される。「圧迫しない動作」への次の入力で、アルゴリズムは全てのモータで再起動される。
【0198】
本発明に係る手術用ロボットシステムについて、再び
図1~
図14を参照して以下に説明する。
【0199】
そのような手術用ロボットシステムは、手術用器具20と、制御手段9と、少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16と、力検出手段とを備える。
【0200】
手術用器具20は、関節式エンドエフェクタ40と、関節式エンドエフェクタ40を作動させるように構成された少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36とを備える。
【0201】
少なくとも1つの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16は、それぞれの前述の少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36に動作可能に接続可能であり、制御手段9によって制御される動作をそれぞれの作動テンドンに与えて、1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の少なくとも1つの動きと関節式エンドエフェクタ40のそれぞれの少なくとも1つの動きとの間の一義的な相関関係を決定する。
【0202】
力検出手段は、手術用器具の操作ステップ中に、前述の1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16のうちの少なくとも1つによって加えられる力Fmを検出するように構成される。
【0203】
制御手段9は、以下の動作を実行するように、すなわち、
-検出された力Fmに基づいて、所定の数学的モデルによって、作動テンドンの弾性伸長に起因する、前述の1つ以上の作動テンドン31、32、33、34、35、36のうちの少なくとも1つの長さ変化を推定し、
-1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16の位置制御のために推定された長さ変化を使用する、
ように構成され、
前記位置制御は、前述の1つ以上の作動テンドン31、32、33、34、35、36のうちの少なくとも1つの推定された長さ変化を考慮に入れて、前述の1つ以上の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16のうちの前記少なくとも1つに動きを付与して、関節式エンドエフェクタ40が到達する位置と関節式エンドエフェクタ40の所望の公称位置との間の前記弾性伸長によってもたらされる誤差を低減又は相殺することを含む。
【0204】
一実施形態によれば、ロボットシステムは、手術用器具がロボットシステムのマスタデバイスによって制御モードに従って制御されるスレーブデバイスであるマスタ-スレーブシステムである。ロボットシステムは、外力がない場合に、マスタデバイスによって命令された姿勢とスレーブデバイスの関節式エンドエフェクタ40が到達する姿勢との間の誤差を有限時間で最小にすることを可能にするように構成される。
【0205】
ロボットシステムの一実施形態によれば、手術用器具20は、複数の作動テンドン31、32、33、34、35、36を備え、手術用ロボットシステムは、それぞれの複数の電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16を備える。
【0206】
この実施形態の実装オプションによれば、力を検出する前述の動作は、複数又は全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に対して実行され、推定する前述の動作は、複数又は全ての作動テンドン31、32、33、34、35、36を参照して実行され、付与する前述の動作は、複数又は全ての電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に対して実行される。
【0207】
ロボットシステムの一実施形態によれば、制御手段9は、ロボットシステムの状態に関する情報を検証し、前記ロボットシステムの状態に関連する1つ以上の条件に基づいて、弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために、電動アクチュエータに動きを付与するステップを実行するか否かを決定し、前述の1つ以上の条件が満たされる場合にのみ前述の付与動作を実行するように更に構成される。
【0208】
一実装オプションによれば、マスタデバイスは、顕微鏡手術用スレーブ器具の閉鎖及び/又は把持に関連する自由度に従って、操作者により移動されて操作者により操作されるようになっている手持ち式の拘束されないマスタデバイスである。
【0209】
そのような場合、遠隔操作中に、手術用器具が把持状態にあるとき、弾性伸長によってもたらされる誤差を低減及び/又は相殺及び/又は補償するために電動アクチュエータに動きを付与する前述の動作は、把持自由度の作動のためにそれぞれの少なくとも1つの作動テンドンに接続された電動アクチュエータの少なくとも1つに対して、0から1の間のスケーリング係数に従って抑制又は減少される。
【0210】
システムの一実施形態によれば、電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16によって及ぼされる力の前記検出手段は、それぞれの電動アクチュエータに動作可能に接続されたそれぞれの力センサ又はトルクセンサを備える。
【0211】
一実施形態によれば、ロボットシステムは、力Fmを検出する動作が検出周波数Frで連続的に実行され、1つ以上の電動アクチュエータの前述の位置制御が位置制御周波数Fcpで連続的に実行されるように構成される。
【0212】
前述の検出周波数Fr及び前述の位置制御周波数Fcpは、エンドユーザがリアルタイムで知覚することができない動態で、ユーザが知覚することができない動態で、リアルタイムに弾性伸長の補償を確保するように設定される。
【0213】
一実装オプションによれば、前述の検出周波数Fr及び位置制御周波数Fcpは、一致し、100Hzから1000Hzの間の間隔に含まれ、したがって、補償方法は、同じ周期で検出された力Fmに基づいて、1から10msの間の間隔に含まれる各周期Tで実行される。
【0214】
一実施形態によれば、推定動作は、作動テンドン上で検出された力の弾性率Fmと、実験的に決定された、又はシステム応答安定性を確保するように計算もしくは予め決定された有効弾性定数値Kとの比として、作動テンドンの長さ変化を推定することを含む。
【0215】
上記の計算に採用される式及びパラメータに関する更なる例示的な詳細は、本発明に係る方法の説明において既に示されている。
【0216】
ロボットシステムの一実施形態によれば、前述の手術用器具20は、それぞれの少なくとも1つの作動テンドン31、32、33、34、35、36に動作可能に接続され、それぞれの電動アクチュエータ11、12、13、14、15、16に動作可能に接続可能な少なくとも1つの伝達要素21、22、23、24、25、26を更に備える。
【0217】
そのような場合、動きを付与し、及び/又は力を及ぼす動作は、伝達要素の動きが、各作動テンドンの推定された長さ変化並びに作動テンドンの弾性率及び剛性の両方に基づいて、各作動テンドンの伸長又は弛緩による補償を含むように、各電動アクチュエータの動きを制御することを含む。
【0218】
一実装オプションによれば、制御手段によって電動アクチュエータに付与される動きが記憶された基準位置に対して参照される仮想ゼロ点を関連付ける基準運動学的ゼロ条件がロボットシステムに関して規定される。そのような場合、各伝達要素に動きを付与する及び/又は力を及ぼす動作は、実行される補償を考慮に入れた補正運動学的ゼロを計算することを含む。
【0219】
一実装オプションによれば、各伝達要素に動きを付与し、及び/又は力を及ぼす動作は、二重フィードバック動作ループによって伝達要素に力を加えることを含み、弾性補償補正が、運動学的機構に起因する電動アクチュエータの変位と平行に挿入される。
【0220】
ロボットシステムの一実施形態によれば、電動アクチュエータは、ステッパ電動アクチュエータであり、位置制御は、既知の作業時間ユニットが位置制御を決定する速度制御によって実行される。特に、速度及び位置制御は、最大収束時間よりも低い時定数で補償の収束を確保するように寸法付けられたゲインパラメータKpを用いて、フィードバック動作制御ループによって実行される。
【0221】
一実装オプションによれば、速度制御は、運動学的構成要素及び動的構成要素を備える。
【0222】
動的補償構成要素は、検出された力Fmを入力として受け取り、請求項16に報告された式に従って、作動テンドンの弾性に起因して失われた推定変位を計算し、安定性要件に適合する動態を有するように調整された比例コントローラによって、前記速度運動学的構成要素に加えられる速度補償寄与を生成する。
【0223】
運動学的及び動的速度寄与の和は、制御される電動アクチュエータへの入力として供給される。運動学的構成要素及び動的構成要素のコントローラは、好ましくは並列である。
【0224】
一実施形態によれば、位置及び/又は速度制御は、検出された力Fmが最大動作力値Fmaxよりも低い場合にのみ実行され、電動アクチュエータのうちの1つのみが前記最大動作力Fmaxよりも大きい力を検出した場合にも補償が抑制される。
【0225】
様々な可能な実施形態によれば、ロボットシステムは、方法の前述の実施形態のいずれか1つによる方法を(特に、ロボットシステムの制御手段の制御下で)実行するように構成される。
【0226】
図から分かるように、先に示した本発明の目的は、前述した方法及びシステムによって、詳細に前述した特徴によって、かつ前節「発明の概要」で広く説明したように、完全に達成される。
【0227】
当業者は、前述の方法及びシステムの実施形態に変更及び適合を行うことができ、又は添付の特許請求の範囲の保護の範囲から逸脱することなく、条件付きの必要性を満たすために機能的に等価な要素を他の要素と置き換えることができる。可能な実施形態に属するとして説明された特徴のそれぞれは、説明された他の実施形態に関係なく達成することができる。
【符号の説明】
【0228】
1 遠隔手術用ロボットシステム
2 ロボットシステムのスレーブアセンブリ
3 マスタコンソール
9 コントローラ
10 ロボットシステムマニピュレータ
11,12,13,14,15,16 電動マニピュレータアクチュエータ、又はモータ
17,18 力センサ、又はロードセル
19 滅菌バリア
20 手術用器具
21,22,23,24,25,26 手術用器具伝達要素
27 シャフト
28 ポケット
29 手術用器具バックエンド、又は手術用器具伝達インタフェース部
31,32,33,34,35,36 テンドン
40 手術用器具のエンドデバイス、又は関節式チップ又はエンドエフェクタ
41,42,43,44 関節式エンドエフェクタのリンク
x-x 直線方向
r-r 中心線
P、Y、G ヒンジ式チップ、ピッチ、ヨー、グリップのそれぞれの自由度
k_exp 実験的に得られた弾性定数
K アルゴリズムによって使用される弾性定数
Ω Kとk_expの比パラメータ
Fm 検出力
u 電動アクチュエータのモータの制御された動き
【国際調査報告】