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特表2024-535375組織のテクスチャを解析するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】組織のテクスチャを解析するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20240920BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B6/00 550Z
G06T7/00 612
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518521
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022077236
(87)【国際公開番号】W WO2023052571
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2021/076863
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524109429
【氏名又は名称】メディマップス グループ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】オンス,ディディエ
(72)【発明者】
【氏名】ミシュレ,フランク
(72)【発明者】
【氏名】ボージェ,リオネル
(72)【発明者】
【氏名】ギャティノー,ギヨーム
【テーマコード(参考)】
4C093
5L096
【Fターム(参考)】
4C093AA01
4C093AA22
4C093FF18
4C093FF21
4C093FF22
4C093FF28
4C093FH09
5L096AA06
5L096BA06
5L096BA13
5L096DA02
5L096FA59
5L096FA69
5L096HA09
(57)【要約】
【課題】組織のテクスチャを解析するための方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒトまたは動物の組織のテクスチャをデジタル化された画像(X線ベースの画像システムによって得られる)から解析するための方法に関する。この方法は、組織のテクスチャ(典型的にはデジタル化された画像のグレーレベル)に実験的バリオグラムを適用することにより、画像の少なくとも1つのテクスチャスコアBを計算するステップを含む。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線ベースの画像システムによって得られるデジタル化された画像から、ヒトまたは動物の組織のテクスチャを解析する方法であって、
組織のテクスチャに実験的バリオグラムを適用することにより、少なくとも1つの画像のテクスチャスコアBを技術的手段によって計算するステップと、
-前記画像に写っている患者に関する少なくとも1つの患者因子、及び/または
-前記画像の取得に関する少なくとも1つの技術的因子
を考慮に入れる、ロバスト性改善ステップを技術的手段によって前記テクスチャスコアBに適用するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも1つの患者因子が、
-軟部組織、及び/または組織の厚さ、及び/またはその分布、及び/またはその組成の影響、及び/または間接的な代用物、及び/または
-患者の体重及び/またはボディマスインデックス(BMI)、及び/または
-患者の身長、
の少なくとも1つを含む患者の形態の影響、及び/または
患者の少なくとも1つの病状または状態の影響、及び/または
画像取得時の患者の位置決めの影響、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1つの技術的因子が、
-画像取得のための欠陥のある可能性のある検出器及びセンサ、及び/または
-画像取得のためのスキャンモード及び設定の影響、及び/または
-画像取得に使用される撮像装置の技術的特性、
-画像取得のための撮像システム間の変動の影響、及び/または
-画像の信号対雑音比(SNR)、及び/または
-画像の解像度
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
組織が骨組織であり、テクスチャスコアBが骨テクスチャスコアBである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
デジタル化された二次元画像が、海綿骨構造を有する領域で選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記技術的手段によって実装されるステップであって、
各画素Pi=(xi,yi)∈Sがそのグレーレベル値h(P)を有するように、画像の最適化された画素サンプリングSを決定するステップ;
画素サンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、与えられた関心領域(ROI)に応じて、所定の方向Iのセットを選択するステップ;
各画素について、これらの方向Iに沿って距離r∈[1,R]だけこの画素から移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するステップであって、実験的バリオグラムは、所定の各方向について、または所定のすべての方向について同時に計算されるステップ;
各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、対数-対数スケールで、
-初期勾配a、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e、
のパラメータの少なくとも1つを評価するステップ;
-各画素について得られたパラメータを各画素のテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-サンプリングSについて得られたパラメータをサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-各画素について得られたパラメータをサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、
ステップであって、さらに、少なくとも1つの患者因子及び/または少なくとも1つの技術的因子に関するロバスト性改善ステップを、
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBの決定または計算の前または間に、スコアBを計算または決定するために使用される、好ましくは
-R、a、b、c、d、及び/またはeのうちの少なくとも1つのパラメータ、及び/または
-テクスチャスコアBを計算するための、a、b、c、d、及び/またはeの間の各重みを与えるために使用される少なくとも1つのパラメータ(α、β、γ、δ、ε)
の少なくとも1つのパラメータを決定及び/または補正することによって、
及び/または
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBを補正することによって、
テクスチャスコアBに適用するステップを含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
所定の方向Iのセットが、
-ヒトまたは動物の組織が骨である場合、骨の骨格部位、及び/または
-関心領域(ROI)、及び/または
-画像の解像度、及び/または
-画像の信号対雑音比
に依存する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
N個の方向ベクトルのセット
【数1】
ここで、θ∈[-π,π]、∀k∈1,…,N
を決定することによって、所定の方向Iのセットを選択するステップが行われる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
距離rだけ移動するステップが、各画素Pi=(xi,yi)∈S及び各方向
【数2】
について、
【数3】
に沿って画素単位で距離r∈[1,R](ここで、
【数4】
は、そのような画素のグレー値である)
だけ移動することによって行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
実験的バリオグラムが、すべての所定の方向について同時に計算され、距離rの関数としてのグレーレベルの実験的バリオグラムを計算するステップが、複数の画素ペアにわたってhの二乗差を平均することによって、下記式:
【数5】
でそれぞれの距離rにおいて、VPi(r)が、すべての画素P∈Sについて計算することで行われる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
実験的バリオグラムが、各所定の方向について計算され、
h(O)は移動前の初期の所定の画素のグレーレベルであり、
h(r)は初期の所定の画素から所定の方向の1つに沿って距離rだけ移動した後の所定の新しい画素のグレーレベルであり、
実験的バリオグラムは、以下の式
(r)=[h(r)-h(O)](ただし、i∈I)
で計算される、請求項6から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各パラメータa、b、c、d、及び/またはeが、考慮された実験的バリオグラムの最小二乗回帰モデルとして評価される、請求項6から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
パラメータが、臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を用いてテクスチャスコアBに組み合わされる、請求項6から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも1つを対数-対数スケールで評価することを含む、請求項6から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、
-初期勾配a、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも2つを対数-対数スケールで評価することを含む、請求項6から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、初期勾配aと、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも1つとを対数-対数スケールで評価することを含む、請求項6から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
テクスチャスコアBが無次元である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
X線ベースの画像システムによって得られるデジタル化された画像から、ヒトまたは動物の組織のテクスチャを解析する装置であって、
組織のテクスチャに実験的バリオグラムを適用することにより、画像の少なくとも1つのテクスチャスコアBを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段と、
-画像に写された患者に関する少なくとも1つの患者因子、及び/または
-画像の取得に関連する少なくとも1つの技術的因子
を考慮に入れる、ロバスト性改善ステップをテクスチャスコアBに適用するように構成及び/またはプログラムされた手段と、
を備える、装置。
【請求項19】
少なくとも1つの患者因子が、
-軟部組織、及び/または組織の厚さ、及び/またはその分布、及び/またはその組成の影響、及び/または間接的な代用物、及び/または
-患者の体重及び/またはボディマスインデックス(BMI)、及び/または
-患者の身長、
の少なくとも1つを含む患者の形態の影響、及び/または
患者の病状または状態の少なくとも1つの影響、及び/または
画像取得時の患者の位置決めの影響
を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの技術的因子が、
-画像取得のための欠陥のある可能性のある検出器及びセンサ、及び/または
-画像取得のためのスキャンモード及び設定の影響、及び/または
-画像取得に使用される撮像装置の技術的特性、
-画像取得のための撮像システム間の変動の影響、及び/または
-画像の信号対雑音比(SNR)、及び/または
-画像の解像度
を含む、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
ヒトの組織が骨組織であり、テクスチャスコアBが骨テクスチャスコアBである、請求項18から20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
デジタル化された二次元画像が海綿骨構造を画像化する画像である、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
-各画素Pi=(xi,yi)∈Sがグレーレベル値h(P)を有する画像の最適化された画素サンプリングSを決定するように構成及び/またはプログラムされた手段;
-画素サンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、与えられた関心領域(ROI)に応じて、所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされた手段;
-各画素について、これらの方向Iに沿って距離r∈[1,R]だけこの画素から移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされ、所定の各方向について、または所定のすべての方向について同時に実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段;
-各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、
-初期勾配a、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも1つを対数-対数スケールで評価するように構成及び/またはプログラムされた手段;
-各画素について得られたパラメータを各画素のテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-サンプリングSについて得られたパラメータをサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-各画素について得られたパラメータをサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、
に構成及び/またはプログラムされた手段、
を備え、
さらに、
-R、a、b、c、d、eのうちの少なくとも1つのパラメータ、及び/または
-テクスチャスコアBを計算するためのa、b、c、d、及び/またはeの間の各重みを与えるために使用される少なくとも1つのパラメータ(α、β、γ、δ、ε)
の少なくとも1つのパラメータを決定及び/または補正することによって、
及び/または
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBを補正することによって、
少なくとも1つの患者因子及び/または少なくとも1つの技術的因子に関するロバスト性改善ステップを、テクスチャスコアBに適用するように構成及び/またはプログラムされた手段を備える、請求項18から22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
所定の方向Iのセットが、
-ヒトまたは動物の組織が骨である場合、骨の骨格部位、及び/または
-関心領域(ROI)、及び/または
-画像の解像度、及び/または
-画像の信号対雑音比
に依存する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされた手段が、
N個の方向ベクトルのセット
【数6】
ここで、θ∈[-π,π]、∀k∈1,…,N
を決定することによって所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされている、請求項23または24に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段が、各画素Pi=(xi,yi)∈S及び各方向
【数7】
について、
【数8】
に沿って画素単位で距離r∈[1,R]だけ移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされ、
【数9】
が、そのような画素のグレー値である、
請求項25に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段が、すべての所定の方向について同時に実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされており、
少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段が、
距離rだけ離れた複数の画素のペアにわたってhの二乗差を平均することによって、以下の式:
【数10】
(VP(r)は、すべての画素Pi∈Sについて計算される)
でグレーレベルhの関数としてバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされている、請求項25または26に記載の装置。
【請求項28】
少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段が、各所定の方向について実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされており、
h(O)は移動前の初期の所定の画素のグレーレベルであり、
h(r)は初期の所定の画素から所定の方向の1つに沿って距離rだけ移動した後の所定の新しい画素のグレーレベルであり、
少なくとも1つの実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、下記式
(r)=[h(r)-h(O)](ただし、i∈I)
で実験的バリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされている、
請求項23から26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段が、考慮された実験的バリオグラムの最小二乗回帰モデルとして各パラメータa、b、c、d、及び/またはeを評価するように構成及び/またはプログラムされている、請求項23から28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
パラメータを組み合わせるように構成及び/またはプログラムされた手段が、臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を用いてパラメータをテクスチャスコアBに組み合わせるように構成及び/またはプログラムされている、請求項23から29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段が、各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも1つを対数-対数スケールで評価するように構成及び/またはプログラムされている、請求項23から30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段が、各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、
-初期勾配a、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
のパラメータの少なくとも2つを対数-対数スケールで評価するように構成及び/またはプログラムされている、請求項23から31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段が、各画素の各実験的バリオグラムについて、及び/または各画素の実験的バリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的実験的バリオグラムについて、初期勾配aと、
-実験的バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-実験的バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-実験的バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-実験的バリオグラム曲線下の面積e
の少なくとも1つとを、対数-対数スケールで評価するように構成及び/またはプログラムされている、請求項23から32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
テクスチャスコアBが無次元である、請求項18から33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
コンピュータで実行されると、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法のステップを実行する命令を含む、コンピュータプログラム。
【請求項36】
コンピュータによって実行されると、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するようにコンピュータに指示する命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトまたは動物の組織のテクスチャをデジタル化した画像から解析するための方法及び装置に関する。
本発明はまた、骨の健康、医療用X線に基づく画像処理、原発性及び続発性骨粗鬆症、並びに脆弱性骨折に関連するが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
1990年代初頭に、世界保健機関(WHO)は、骨粗鬆症を、低骨量(量の減少)及び骨組織の微細構造の悪化(質の低下)を特徴とし、その結果、骨の脆弱性及び骨折の感受性が増大する全身性骨格疾患として概念的に定義した(Consensus development conference: diagnosis, prophylaxis, and treatment of osteoporosis. Am J Med 94, 646-650 (1993))。さらに、2000年代初頭に、国立衛生研究所(NIH)は、骨粗鬆症を、骨強度が低下し、骨折のリスクが高くなる骨格疾患として定義した(Osteoporosis prevention, diagnosis, and therapy. Jama. 2001;285(6):785-95.)。本質的に、骨粗鬆症では、骨強度の低下により、脆弱性骨折という外傷性の転帰をもたらす。
【0003】
骨強度は、2つの主要な特徴、すなわち骨量(骨密度)と骨質を反映している。骨密度は、単位面積または単位体積あたりのミネラル量として表され、個人の最大骨量と骨喪失量によって決定される。骨質は、骨の構造、代謝回転、損傷の蓄積(例えば、微小骨折)、及び石灰化を指す。骨の構造は、様々な異なる実体に使用される総称であり、さらに洗練することができる。巨視的レベルでは、骨の構造は骨のマクロ構造として知られ、骨の全体的な形状及び幾何学的形態、並びに海綿骨(trabecular boneとも呼ばれる)と皮質骨への分化を記述する。マクロ構造を記述する最も典型的なパラメータは、皮質骨の厚さ、慣性モーメント、及びその他の幾何学的測定値である。
【0004】
微視的レベル、すなわち通常、取得した画像の空間分解能が100μmより良好である場合、骨の構造は骨の微細構造(bone microarchitectureとも呼ばれる)として知られ、骨梁の厚さ及び間隔、骨梁数、骨梁の連結性、並びに構造モデル指数(SMI)などのネットワーク構造を包括的に記述するパラメータの組み合わせによって記述することができる(Macro-and Microimaging of Bone Architecture, Klaus Engelke, Sven Prevrhal, Harry K.Genant, in Principles of Bone Biology (Third Edition) Volume II, 2008, Pages 1905-1942. Editors: John Bilezikian Lawrence Raisz T. John Martin -Publisher: Academic Press. Published Date: 29th September 2008)。
【0005】
骨粗鬆症は、その病因に基づいて、原発性または続発性に分類される。原発性または加齢に伴う骨粗鬆症は、最も一般的なタイプである(Mirza F, Canalis E. Management of endocrine disease: Secondary osteoporosis: pathophysiology and management. European journal of endocrinology. 2015;173(3): R131-51)。生理学的には、最大骨量は通常、女性と男性の両方で30歳までに達する。その後、女性は男性よりも急速に骨量が減少し、この骨量減少はエストロゲン欠乏により閉経後に顕著となる。そのため、このタイプの骨粗鬆症は女性に多くみられ、閉経後骨粗鬆症とも呼ばれる。その主な原因は、加齢に伴う性ホルモンの欠乏である。
【0006】
続発性骨粗鬆症は、基礎疾患(遺伝性:嚢胞性線維症、内分泌:糖尿病、性腺機能低下症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能亢進症、クッシング病、自己免疫:関節リウマチなど)、生活習慣(喫煙、アルコール乱用、座りがちな生活)、及び/または薬物使用(糖質コルチコイド、性腺機能低下誘発薬など)が過剰な骨量減少を引き起こす場合に発生する。このタイプの骨粗鬆症は、主に若年成人及び骨粗鬆症の男性の大多数にみられる。閉経後女性の約3分の1、閉経前女性及び男性の約2分の1に続発性骨粗鬆症がみられる。
【0007】
いずれにせよ、骨粗鬆症の特徴は、脆弱性骨折である。脆弱性骨折は、通常、骨折をもたらさない機械的力に応答して、立位からの転倒により発生する骨折と定義される(Cummings SR, Melton LJ. Epidemiology and outcomes of osteoporotic fractures. Lancet (London, England). 2002;359(9319):1761-7. Warriner AH, Patkar NM, Yun H, Delzell E. Minor, major, low-trauma, and high-trauma fractures: what are the subsequent fracture risks and how do they vary? Current osteoporosis reports. 2011;9(3):122-8.)。大腿骨近位部(股関節)、脊椎、上腕骨、及び前腕は、脆弱性骨折が発生する最も一般的な骨格部位であり、主要な骨粗鬆症性骨折と呼ばれる。50歳以降、女性の2人に1人、男性の4人に1人が、残りの人生で主要な骨粗鬆症性骨折を経験すると推定されている(Kanis JA, Johnell O, Oden A, Sembo I, Redlund-Johnell I, Dawson A, et al. Long-term risk of osteoporotic fracture in Malmoe. Osteoporosis international: a journal established as result of cooperation between the European Foundation for Osteoporosis and the National Osteoporosis Foundation of the USA. 2000;11(8):669-74.)。45歳以上の女性では、骨粗鬆症は、糖尿病、心筋梗塞、及び乳癌を含む多くの他の疾患よりも入院日数が多い。さらに、先行する骨折は、その後の骨折のリスクを86%増加させる。骨折は、高い罹患率及び死亡率と関連しており、高齢者の障害、自立の喪失、及び早期死亡の前兆となることが多い(Binkley N, Blank RD, Leslie WD, Lewiecki EM, Eisman JA, Bilezikian JP. Osteoporosis in Crisis: It’s Time to Focus on Fracture. Journal of bone and mineral research: the official journal of the American Society for Bone and Mineral Research. 2017;32(7):1391-4.)。
【0008】
骨折リスクが特定されると、ある「階層的」レベルで予防措置がとられる。一般的な生活習慣のアドバイス、健康的なライフスタイルに加えて適切なカルシウム及び/またはビタミンDサプリメントの摂取、及び/または薬物療法である。作用機序に基づいて、骨粗鬆症の薬物療法には2つのタイプがある。骨吸収を抑制する抗吸収薬(ビスホスホネート、エストロゲンアゴニスト/アンタゴニスト、エストロゲン、カルシトニン、デノスマブなど)と、骨形成を刺激する骨形成促進薬(テリパラチドなど)である。最近では、骨形成作用のあるロモソズマブが承認されている(Tu KN, Lie JD, Wan CKV, Cameron M, Austel AG, Nguyen JK, et al. Osteoporosis: A Review of Treatment Options. P & T: a peer-reviewed journal for formulary management. 2018;43(2):92-104.)。
【0009】
明らかに、骨折-この非常に外傷性の経験-とその管理は、人口の高齢化及び平均寿命の延長により増強される大きな社会的、経済的、及び健康上の負担となる。これは公衆衛生上の大きな課題であり、特別な研究の焦点を必要とする。自立は人口の健康な高齢化を定義する主要な要因の1つであるため、骨折を予防することによって自立の喪失を防ぐことは非常に重要である。骨粗鬆症の全体的な管理及び予防には、骨強度、骨の回復力、及び骨折リスクの正確な臨床評価(直接的または間接的)が必要である。
【0010】
臨床の場では、二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)で測定される骨密度(BMD)は、確立された脆弱性骨折がない場合の骨粗鬆症診断のゴールドスタンダードとなっている。BMDは骨強度及び骨折リスクの主要な決定因子の1つであるが、骨折を発症する個人と発症しない個人との間のBMD値には、かなりの重複(最大40%)が存在する。本質的に、投影骨密度(DXAによるBMD)のみに基づいて骨粗鬆症を定義することは限界に達していると考えられている。実際、この疾患の多因子性により、骨粗鬆症の現在の定義は、臨床リスク因子(CRF)及びBMDに基づく複合リスクモデルへと進化することが奨励されている(例えば、FRAX(登録商標)。BMDの評価に際してCRFを考慮することで、特異度を犠牲にすることなく、スクリーニングの感度が向上する。しかしながら、DXAの現在の使用における制限の一部はCRFの併用により対処されているが、骨微細構造に関する情報は部分的にしか考慮されていない。したがって、微細構造に関する追加情報は、真に骨折リスクの増加した人とそうでない人との間に存在する有意な重複を減らすのに役立つはずである。しかし、理想的には、そのような情報は臨床の場で利用可能であり、臨床ワークフローを大幅に妨げることなく、患者に電離放射線を追加することなく利用可能であるべきである。
【0011】
EP1576526は、骨の二次元画像から骨の機械的強度を決定するための方法を記載している。この方法は、BMDに依存せず、またはBMDにのみ依存しない。この方法により、αと呼ばれるパラメータ(Trabecular Bone Score(TBS)としても知られる)を測定することができる。
【0012】
本発明の目的は、BMDに依存せず、またはBMDにのみ依存せず、以下のような骨を解析するための方法または装置を提供することである。
【0013】
- 骨折を識別または予測する能力を改善すること、及び/または
- 測定の再現性を向上させること、及び/または
- 骨の微細構造とのより良い相関を有すること、及び/または
- 患者の生理学的特性、例えば骨を取り巻く軟部組織の容積及び/または性質の影響を受けにくいこと、及び/または
- 画像取得の技術的パラメータの選択の影響を受けにくいこと。
【発明の概要】
【0014】
本発明の一側面は、デジタル化された画像(好ましくはX線ベースの画像システムによって得られる)から、ヒトまたは動物の組織のテクスチャを解析するための(好ましくはコンピュータで実装される)方法またはプロセスに関する。この方法は、組織のテクスチャ、典型的にはデジタル化された画像のグレーレベルに実験的バリオグラムを適用することにより、画像の少なくとも1つのテクスチャスコアBを計算するステップを含む。
【0015】
本発明による方法またはプロセスは、テクスチャスコアBに、
-画像上の患者に関連する少なくとも1つの患者因子、及び/または
-画像の取得に関連する少なくとも1つの技術的因子
を考慮に入れるロバスト性改善ステップを適用するステップを含むことができる。
【0016】
少なくとも1つの患者因子は、以下を含むことができる。
【0017】
-少なくとも以下のうちの1つを含む患者の形態の影響:
-軟部組織、及び/または組織の厚さ、及び/またはその分布、及び/またはその組成の影響、及び/または間接的な代用物、及び/または
-患者の体重及び/またはボディマスインデックス(BMI)、及び/または
-患者の身長、及び/または
-患者の少なくとも1つの病状または状態の影響、及び/または
-画像取得時の患者の位置決めの影響。
【0018】
少なくとも1つの技術的因子は、以下を含むことができる。
【0019】
-画像取得のための欠陥のある可能性のある検出器及びセンサ、及び/または
-画像取得のためのスキャンモード及び設定の影響、及び/または
-画像取得に使用される撮像装置の技術的特性、
-画像取得のための撮像システム間の変動の影響、及び/または
-画像の信号対雑音比(SNR)、及び/または
-画像の解像度。
【0020】
組織はヒトの組織であってもよい。
【0021】
組織は骨組織であってもよく(好ましくはヒトの組織)、テクスチャスコアBは好ましくは骨テクスチャスコアBである。より好ましくない変形形態では、組織は軟部組織である。
【0022】
デジタル化された二次元画像は、海綿骨構造を有する領域で選択されてもよい。
【0023】
本発明による方法またはプロセスは、以下を含むことができる。
【0024】
-各画素Pi=(xi,yi)∈Sがそのグレーレベル値h(P)を有するように、画像の最適化された画素サンプリングSを決定する。
【0025】
-画素サンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、与えられた関心領域(ROI)に応じて、所定の方向Iのセットを選択する。変形例では、所定の方向のセットは、ROIに応じて選択されるのではなく、デフォルトの所定の方向Iのセットである。
【0026】
-各画素について、これらの方向Iに沿って距離r∈[1,R]だけこの画素から移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つのバリオグラムを計算する。バリオグラムは、所定の各方向について、または所定のすべての方向について同時に計算される。
【0027】
-各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価する。
【0028】
-初期勾配a、
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラムの曲線が準線形な進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0029】
-以下を組み合わせる。
【0030】
-各画素について得られた評価されたパラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)を各画素のテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-サンプリングSについて得られた評価されたパラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-各画素について得られた評価されたパラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる。
【0031】
この組み合わせのステップは、さらに、少なくとも1つの患者因子及び/または少なくとも1つの技術的因子に関連するロバスト性改善ステップを、好ましくは以下のようにテクスチャスコアBに適用することを含む:
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBの決定または計算の前または間に、スコアBを計算または決定するために使用される少なくとも1つのパラメータを決定及び/または補正する。好ましくは、
-R、a、b、c、d、及び/またはeのうちの少なくとも1つのパラメータ、
及び/または
-テクスチャスコアBを計算するためにa、b、c、d、及び/またはeの間の各重みを与えるために使用される少なくとも1つのパラメータ(α、β、γ、δ、ε);
及び/または
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBを補正する。
【0032】
V個の所定の方向Iのセットは、以下に依存することができる:
-骨の骨格部位。ヒトまたは動物の組織が骨である場合、及び/または
-関心領域(ROI);及び/または
-画像の解像度、及び/または
-画像の信号対雑音比。
【0033】
所定の方向Iのセットを選択するステップは、N個の方向ベクトルのセット
【数1】
ここで、θ∈[-π,π]、∀k∈1,…,N
を決定することによって行われてもよい。
【0034】
距離rだけ移動するステップは、各画素Pi=(xi, yi)∈S及び各方向
【数2】
について、
【数3】
に沿って距離r∈[1,R](画素単位)だけ移動することによって行われる。
【数4】
は、そのような画素のグレー値である。
【0035】
バリオグラムは、すべての所定の方向について同時に計算されてもよい。距離rhの関数としてのグレーレベルのバリオグラムVを計算するステップは、距離rだけ離れた複数の画素のペアにわたってhの二乗差を平均することによって、好ましくは以下の式で行われる。
【数5】
ここで、VP(r)は、すべての画素P∈Sについて計算される。
【0036】
バリオグラムは、各所定の方向について計算されてもよい。h(O)は移動前の初期の所定の画素のグレーレベルであり、h(r)は初期の所定の画素から所定の方向の1つに沿って距離rだけ移動した後の所定の新しい画素のグレーレベルである。バリオグラムは、好ましくは以下の式で計算される。
(r)=[h(r)-h(O)] (ただし、i∈I)
【0037】
各評価されたパラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)は、考慮されたバリオグラムの最小二乗回帰モデルとして評価されてもよい。
【0038】
評価されたパラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)は、臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を用いてテクスチャスコアBに組み合わされてもよい。
【0039】
本発明による方法またはプロセスは、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、以下のパラメータの少なくとも1つを対数-対数スケールで評価することを含むことができる。
【0040】
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0041】
本発明による方法またはプロセスは、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、以下のパラメータの少なくとも2つを対数-対数スケールで評価することを含むことができる。
【0042】
-初期勾配a、
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0043】
本発明による方法またはプロセスは、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、初期勾配aおよび、以下のパラメータの少なくとも2つを対数-対数スケールで評価することを含むことができる。
【0044】
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
テクスチャスコアBは、好ましくは無次元である。
【0045】
本発明の別の態様は、コンピュータによって実行されると、本発明によるプロセスまたは方法のステップを実行する命令を含むコンピュータプログラムに関する。
【0046】
本発明の他の態様は、プログラムがコンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明によるプロセスまたは方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0047】
本発明の別の態様は、コンピュータによって実行されると、コンピュータに本発明によるプロセスまたは方法のステップを実行させる命令を含むコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【0048】
本発明の別の側面は、デジタル化された画像(好ましくはX線ベースの画像システムによって得られる)から、ヒトまたは動物の組織のテクスチャを解析する装置に関する。この装置は、組織のテクスチャ(典型的にはデジタル化された画像のグレーレベル)に実験的バリオグラムを適用することにより、画像の少なくとも1つのテクスチャスコアBを計算するように構成され、及び/またはプログラムされた手段を含む。
【0049】
本発明の装置は、さらに、テクスチャスコアBに、
-画像上の患者に関連する少なくとも1つの患者因子、及び/または
-画像の取得に関連する少なくとも1つの技術的因子
を考慮に入れる、ロバスト性改善ステップを適用するように構成された及び/またはプログラムされた手段を備えることができる。
【0050】
少なくとも1つの患者因子は、以下を含むことができる。
-以下のうちの少なくとも1つを含む患者の形態の影響:
-軟部組織、及び/または組織の厚さ、及び/または、患者におけるその分布、及び/またはその組成の影響、及び/または間接的な代用物、及び/または
-患者の体重及び/またはボディマス指数(BMI)、及び/または
-患者の身長、及び/または
-患者の少なくとも1つの病状または状態の影響、及び/または
-画像取得時の患者の位置決めの影響。
【0051】
少なくとも1つの技術的因子は、以下を含むことができる。
-画像取得のための欠陥のある可能性のある検出器及びセンサ、及び/または
-画像取得のためのスキャンモード及び設定の影響、及び/または
-画像取得に使用される撮像装置の技術的特性
-画像取得のための撮像システム間の変動の影響、及び/または
-画像の信号対雑音比(SNR)、及び/または
-画像の解像度。
【0052】
組織はヒトの組織であってもよい。
組織は骨組織であってもよく(好ましくはヒトの組織)、テクスチャスコアBは好ましくは骨テクスチャスコアBである。より好ましくない変形形態では、組織は軟部組織である。
デジタル化された二次元画像は、海綿骨構造を画像化する画像であってもよい。
【0053】
本発明の装置は、以下を備えることができる:
-各画素Pi=(xi,yi)∈Sがそのグレーレベル値h(P)を有するように、画像の最適化された画素サンプリングSを決定するように構成及び/またはプログラムされた手段、
-画素サンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、与えられた関心領域(ROI)に応じて、所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされた手段;この手段はオプションである。なぜなら、変形形態では、所定の方向のセットは、ROIに応じて選択されるのではなく、デフォルトの所定の方向Iのセットだからである。
-各画素について、これらの方向Iに沿って距離r∈[1,R]だけこの画素から移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされ、所定の各方向について、または所定のすべての方向について同時にバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段、
-各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、バリオグラムからパラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段。好ましくは、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価するように構成及び/またはプログラムされている。
【0054】
-初期勾配a、
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e、
【0055】
-以下を組み合わせるように構成及び/またはプログラムされた手段。
-各画素について得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)を各画素のテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-サンプリングSについて得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-各画素について得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSのテクスチャスコアBに組み合わせる
【0056】
本発明の装置は、さらに、少なくとも1つの患者因子及び/または少なくとも1つの技術的因子に関連するロバスト性改善ステップを、好ましくは以下のようにテクスチャスコアBに適用するように構成及び/またはプログラムされた手段を備えることができる。
【0057】
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBの決定または計算の前または間に、スコアBを計算または決定するために使用される少なくとも1つのパラメータを決定及び/または補正することによって、好ましくは、
-R、a、b、c、d、及び/またはeのうちの少なくとも1つのパラメータ、及び/または
-テクスチャスコアBを計算するためにa、b、c、d、及び/またはeの間の各重みを与えるために使用される少なくとも1つのパラメータ(α、β、γ、δ、ε)
及び/または
-患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBを補正することによって。
【0058】
所定の方向Iのセットは、以下に依存することができる。
-骨の骨格部位。ヒトまたは動物の組織が骨である場合、及び/または
-関心領域(ROI)、及び/または
-画像の解像度、及び/または
-画像の信号対雑音比。
【0059】
所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされた手段は、
-N個の方向ベクトルのセット
【数6】
ここで、θ∈[-π,π]、∀k∈1,…,N
を決定することによって所定の方向Iのセットを選択するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
【0060】
少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、各画素Pi=(xi,yi)∈Sおよび各方向
【数7】
について、
【数8】
に沿って距離r∈[1,R](画素単位)だけ移動することにより、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
【数9】
は、そのような画素のグレー値である。
【0061】
少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、すべての所定の方向について同時にバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、好ましくは、距離rだけ離れた複数の画素のペアにわたってhの二乗差を平均することによって、好ましくは以下の式でグレーレベルhの関数としてバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされている。
【数10】
ここで、VP(r)は、すべての画素Pi∈Sについて計算される。
【0062】
少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、各所定の方向についてバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。h(O)は移動前の初期の所定の画素のグレーレベルであり、h(r)は初期の所定の画素から所定の方向の1つに沿って距離rだけ移動した後の所定の新しい画素のグレーレベルである。少なくとも1つのバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされた手段は、好ましくは以下の式でバリオグラムを計算するように構成及び/またはプログラムされている。
(r)=[h(r)-h(O)] (ただし、i∈I)
【0063】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段は、考慮されたバリオグラムの最小二乗回帰モデルとして各パラメータ(好ましくはa、b、c、d、及び/またはe)を評価するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
【0064】
パラメータを組み合わせるように構成及び/またはプログラムされた手段は、臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を用いて評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をテクスチャスコアBに組み合わせるように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
【0065】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0066】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも2つを評価するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
-初期勾配a、
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0067】
パラメータを評価するように構成及び/またはプログラムされた手段は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、初期勾配a及び対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価するように構成及び/またはプログラムされていてもよい。
-バリオグラムの漸近値を表すシルb、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd、及び
-バリオグラム曲線下の面積e。
【0068】
テクスチャスコアBは、好ましくは無次元である。
本発明の他の利点及び特徴は、限定的ではない実施形態の詳細な説明及び添付の図面を検討することにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0069】
図1】DXA脊椎スキャンから再構成された画像を示す。
図2】本発明の方法の実施形態であり、最良の実現モードにおける測定領域に対応するサンプリング領域を示す。
図3】本発明の変形例における測定領域に対応する骨部位のサブサンプリング領域を示す。
図4】本発明の方法の実施形態における方向Iのセットの決定を伴うDXA脊椎スキャンから再構成された画像を示す。
図5】本発明の方法の実施形態における計算範囲Rが20mmでのバリオグラムV及びその最小二乗回帰曲線の例を示す。
図6】本発明の方法の実施形態における対数-対数スケールでの曲線V(図5に対応)を示す。
図7】本発明の方法の実施形態における対数-対数スケールでの曲線Vを、パラメータa、b、c、d、及びeと共に示す。
図8】骨強度及び骨テクスチャの構成及び/または相関を示す。
図9】本発明の方法の実施形態における年齢、民族、性別の対照曲線を示す。
図10】骨折リスクに対応する骨の健康カテゴリ(1から9)を得るために、本発明の方法の実施形態において、骨テクスチャスコアBと骨密度ステータスまたはBMDとを組み合わせた表である。
図11】本発明の方法の実施形態において、テクスチャスコアBによって調整された骨折リスク評価ツール(FRAX(登録商標))を示す。
図12A】本発明の方法の実施形態のステップa)からe)を表すブロック図である。
図12B】本発明の方法の実施形態のステップf)からi)を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0070】
以下、これらの実施形態は、限定的なものではなく、後述する特徴の選択のみを含む本発明の変形形態も、その選択が技術的利点をもたらすのに十分である、または本発明を先行技術と区別するのに十分である場合、本発明の範囲に含まれる。この選択には、少なくとも1つの特徴、好ましくは構造的詳細のない機能的特徴、または構造的詳細の一部のみが含まれる場合、その部分が技術的利点をもたらすのに十分である、または本発明を先行技術と区別するのに十分である。
【0071】
この明細書では、以下の定義を使用する(図8参照)。
【0072】
骨強度:骨構造が破壊する前に耐えることができる最終的な応力として定義され、応力-ひずみ曲線の最大応力である。骨強度の決定因子は多数あり、例えば、ミネラル密度、微細構造及びマクロ構造、幾何学的形態などの解剖学的特性が含まれる。骨量と骨質を含む。
【0073】
骨量すなわち骨密度:骨中の石灰化組織の総量に相当する。単位体積または単位面積あたりのグラム数で評価される骨密度により評価される。骨密度は、DXA骨密度測定装置、定量的コンピュータ断層撮影(QCT)、末梢定量的コンピュータ断層撮影(pQCT)または高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)スキャナ、または専用の超音波装置により評価することができる。
【0074】
骨質:骨の全体的な質的状態に相当する。NIHの定義によれば、骨代謝回転、骨の石灰化、骨損傷の蓄積、及び骨の構造または骨の構造から構成される。「骨の構造」は、マクロ構造と微細構造に分けられる。
【0075】
マクロ構造: 主に骨の全体的な幾何学的形態、その形状及び分布に相当する。また、皮質骨と海綿骨(骨梁骨とも呼ばれる)への分化を含む。
【0076】
微細構造: 骨梁骨の内部構造に相当し、骨梁の厚さと間隔、骨梁数、骨梁の連結性、及び構造モデル指数(SMI)などのネットワーク構造を包括的に記述するパラメータの組み合わせによって記述することができる。
【0077】
骨の石灰化: コラーゲンと水酸アパタイト結晶の有機マトリックスの量と固有の質に相当する。
【0078】
骨代謝回転: 骨代謝回転には、骨吸収と骨形成のプロセスが含まれる。骨代謝回転は、生化学的マーカー(血液及び/または尿)の測定と生検サンプルの分析(例えば、骨形態計測による)により間接的に評価することができる。
【0079】
骨損傷の蓄積: 骨に蓄積される損傷の徐々な集積に相当する。
【0080】
骨のテクスチャ: 骨の統計的特性であり、骨のマクロ構造及び微細構造に関連付けることができる。
【0081】
骨回復力指数: 骨密度値または骨密度Tスコアとテクスチャスコアの組み合わせに基づく骨折に対する抵抗力の指数。
【0082】
骨折リスク: 骨の連続性の破綻を伴う状況及び医学的状態に関連する。骨強度及び骨回復力に関連する。
【0083】
ここで、図1~12を参照しながら、本発明による方法の実施形態を実装する本発明による装置の実施形態について説明する。
【0084】
特許文献(CA2549281A1、EP1576526B1、FR_2848694、US_7609867)に記載された先行技術の方法に基づいて、二次元の医療用X線画像の解析が、骨質の一部の側面、例えば、骨のマクロ構造及び微細構造に関連する骨テクスチャスコアBを決定するように、本発明に従って強化されている。
【0085】
本発明の実施形態における骨テクスチャスコアBは、骨密度とは無関係に、男性及び女性の両方について、骨粗鬆症性骨折を予測することができる。
【0086】
この発明の実施形態における骨テクスチャスコアBは、年齢及び性別を一致させた対照と、患者の脆弱性骨折リスク(第3分位数に基づく骨微細構造の異なる状態に関する位置:高い骨テクスチャスコアBは正常な微細構造及び脆弱性骨折リスクの低下と適合し、低い骨テクスチャスコアBは微細構造の劣化及び脆弱性骨折リスクの上昇と適合する)に関して解釈される。
【0087】
この発明の方法の実施形態は、デジタル化された画像(好ましくはX線ベースの画像システムによって得られる)から、ヒトまたは動物の組織のテクスチャを解析するための方法であり、組織のテクスチャ(典型的にはデジタル化された画像のグレーレベル)に実験的バリオグラムを適用することにより、画像の少なくとも1つのテクスチャスコアBを計算するステップを含む。以下のステップi)で説明するように、この発明の方法の実施形態は、好ましくは、テクスチャスコアBに(好ましくはテクスチャスコアBの計算に)、以下を考慮に入れるロバスト性改善ステップを適用する。
【0088】
-画像上の患者に関連する少なくとも1つの患者因子、及び/または
-画像の取得に関連する少なくとも1つの技術的因子。
【0089】
「バリオグラム」(理論的または実験的またはr経験的であることを明示しない場合)とは、本明細書では、「実験的バリオグラム」(当業者によって「経験的バリオグラム」とも呼ばれる)を意味する。
【0090】
統計学において、理論的バリオグラムは、空間的ランダム場または確率過程の空間的依存性の程度を表す関数である。
【0091】
理論的バリオグラムは、(空間内、画像内などの)2点間の距離だけ離れた2点の値の平均二乗差として定義することができる。
【0092】
理論的バリオグラムは、同等に、2つの位置における場の値の差の分散として定義することができる。
【0093】
実験的バリオグラムは、データからの理論的バリオグラムの推定量である。実験的バリオグラムは、サンプル情報がすべての位置で利用可能ではない測定データに使用される。例えば、X線装置のセンサによって取得された放射線画像の画素の強度の変動であり、各画素Pi=(xi,yi)∈Sがそのグレーレベル値h(P)を有する。
【0094】
バリオグラムの概念は、当業者には明らかである。例えば、https://fr.wikipedia.org/wiki/Variogramme及びhttps://en.wikipedia.org/wiki/Variogramを参照されたい。
【0095】
また、以下の文献を参照されたい。
【0096】
-Matheron, Georges (1963). “Principles of geostatistics”. Economic Geology. 58 (8): 1246-1266. doi:10.2113/gsecongeo.58.8.1246. ISSN 1554-0774.
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-Nguyen, H.; Osterman, G.; Wunch, D.; O’Dell, C.; Mandrake, L.; Wennberg, P.; Fisher, B.; Castano, R. (2014). “A method for colocating satellite XCO2 data to ground-based data and its application to ACOS-GOSAT and TCCON”. Atmospheric Measurement Techniques. 7 (8): 2631-2644. Bibcode:2014AMT.....7.2631N. doi:10.5194/amt-7-2631-2014. ISSN 1867-8548.
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-Isobel Clark, 1979, Practical Geostatistics, Applied Science Publishers.
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-Journel, A. G. and Huijbregts, Ch. J., 1978 Mining Geostatistics, Academic Press.
テクスチャスコアBは無次元である。
【0097】
本発明の方法の実施形態を詳細に説明する。
【0098】
本発明の方法の実施形態は、デジタル化された画像を取得するステップを含む。この画像は、好ましくはX線ベースの画像システムによって得られる。
【0099】
取得された二次元画像の一例を図1に示す。図1は、DXA脊椎スキャンから再構成された画像を示している。
【0100】
このデジタル化された画像は、二次元画像または投影された三次元画像であってもよい。
【0101】
X線画像モダリティ(デジタルX線、投影コンピュータ断層撮影(CT)、投影QCT、DXA、従来のX線画像などに限定されない)から、利用可能な画像は必ずしもテクスチャ解析に適しているわけではない。本方法への入力画像の内容を改善するために、可能な限り未処理のデータを使用して画像を再構成する。この未処理のデータには、例えば、生の検出器データ、スキャンパラメータ、及び解析データが含まれる。
【0102】
二次元X線ベースの画像は、計算の入力として使用される。この画像は、画像システムから取得したデータから再構成される。このデータには、センサデータ、スキャンパラメータ、スキャン解析データが含まれるが、これらに限定されない。
【0103】
ヒトの組織は骨組織であるが、好ましくは骨組織であり、テクスチャスコアBは好ましくは骨テクスチャスコアBである(この実施形態の変形例では、組織は動物の組織であってもよく、及び/または組織は軟部組織であってもよい)。
【0104】
この実施例では、デジタル化された二次元画像は、海綿骨構造を有する領域で選択される。
【0105】
このような再構成画像上で、計算処理ステップは、図12に示すステップa)~i)及びj)である。
【0106】
a) 画像の最適化された画素サンプリングSを決定する。各画素Pi=(xi,yi)∈Sは、そのグレーレベル値h(P)を有する(または定義される)。
【0107】
図2に示すように、再構成された入力画像から、バリオグラムVを評価する位置を選択するために画素サンプリングSが決定される(ステップd)で)。
図2では、サンプリングSは1で示され、2で示される線の間に囲まれている。
【0108】
これらの位置は、所与の臨床状況及び解剖学的部位において、最終的な骨テクスチャスコアBが適切かつ効率的になるように最適化される。最も基本的な意味では、サンプリング領域は、画像内に骨が存在する領域に対応する。
【0109】
骨部位に応じて、性能を向上させるために、この画像内に骨が存在する領域のサブサンプル3(図3参照)を使用してもよい。
【0110】
b) 画素サンプリングSの少なくとも1つの関心領域(ROI)について、好ましくは複数のROIについて、
-与えられた関心領域(ROI)に依存する計算距離Rを決定する。範囲Rは、骨格部位及び画像解像度に応じて決定される。DXAシステムでは、値Rは1cm~2cmの間である。
-与えられた関心領域(ROI)に依存する所定の方向Iのセットを選択する。所定の方向Iのセットを選択するこのステップは、N個の方向単位ベクトル
【数11】
(Nは正の整数)のセットを決定することによって行われる。ここで、
θ∈[-π,π]、∀k∈1,…,Nであり、θは、考慮される画素の周りで、ベクトル
【数12】
を担持する角度である。
典型的には、N>2である。
【0111】
Nの最大値は、ROIの考慮される画像化された骨の骨構造の複雑さ及びその画像解像度に依存する。典型的には、脊椎または腰椎などの複雑でない骨構造を有する骨については、N<9であるが、大腿骨近位部などの複雑な構造については、Nが大幅に増加する場合がある。
【0112】
例えば、N=3、4、6、または8である。
【0113】
N個の方向ベクトルは、好ましくは、考慮される画素の周りの角度2π/Nで均一に分布している。
【0114】
所定の方向Iのセット
【数13】
は、以下に依存する。
【0115】
-画像上の骨の骨格部位及び/またはROI。ヒトまたは動物の組織が骨である場合、及び/または
-考慮される関心領域(ROI)、及び/または
-画像の解像度、及び/または
-画像の信号対雑音比。
【0116】
方向Iのセットのこの決定は、
-骨折を識別または予測する能力を改善し、及び/または
-測定の再現性(または精度)をより良好にすることを可能にし、及び/または
-骨の微細構造とのより良い相関をもたらすことを可能にする。
【0117】
したがって、後のステップd)でバリオグラムVPiを計算するために、値h(P)を有する画素は、特定の方向の線に沿って位置する画素と比較される。
【0118】
これらの方向は、テクスチャ測定値を最適化するために、骨の種類(すなわち、骨格部位)及びこの骨で測定のために選択された関心領域の両方に依存する。
【0119】
実際、選択された方向は、骨の形態、特に海綿骨の骨梁の方向に関連している。例えば、脊椎では、骨梁の好ましい方向は垂直方向であるため、選択された方向は、図4に4つの矢印で示されているように、垂直方向及び水平方向[-π/2, 0, π/2, π](骨梁の方向に平行及び垂直)となる。
【0120】
c) 各画素Pi=(xi,yi)∈S及び各方向
【数14】
について、
【数15】
に沿って距離r∈[1,R](画素単位)だけ移動する。
【数16】
は、そのような画素のグレー値を表す。
【0121】
d)各画素について、サンプリングSのグレーレベルの少なくとも1つのバリオグラムを、これらの方向Iに沿った距離rの関数として計算する。
すなわち、この画素から少なくとも距離r∈[1,R]だけ移動することによる;前述のように、距離rだけ移動することは、各画素P=(x,y)∈S及び各方向
【数17】
について、
【数18】
に沿って距離r∈[1,R](画素単位)だけ移動することによって行われ、
【数19】
は、そのような画素のグレー値である。
【0122】
バリオグラムは、
-所定の各方向について1つずつ(すなわち、Sの各画素について、Iの各方向について1つのバリオグラム)計算される。各所定の方向についてバリオグラムが計算される場合、h(O)は移動前の初期の所定の画素のグレーレベルであり、h(r)は初期の所定の画素から所定の方向の1つに沿って距離rだけ移動した後の所定の新しい画素のグレーレベルである。バリオグラムは、以下の式で計算される。
(r)=[h(r)-h(O)] (ただし、i∈I)
または、
-所定のすべての方向について同時に(すなわち、Sの各画素について1つのバリオグラム)計算される。すべての所定の方向についてバリオグラムが同時に計算される場合、グレーレベルhの関数としてバリオグラムVを計算するステップは、距離rだけ離れた複数の画素のペアにわたってhの二乗差を平均することによって行われ、好ましくは以下の式で行われる。
【数20】
ここで、VPi(r)は、すべての画素Pi∈Sについて計算される。1つの画素についてのバリオグラムV(r)の例及びその最小二乗回帰曲線を図5に示す。
【0123】
Piの式は、値R∈[1,R]の所定の範囲について、各Pi∈Sに適用される。rのこの特定の値の範囲は、バリオグラムVPiの全パラメータを評価するためにVPi:r/→VPi(r)が収束することを可能にするように選択される。
【0124】
範囲Rは、骨格部位及び画像解像度に応じて決定される。DXAシステムでは、値Rは1cm~2cmの間である。
【0125】
計算範囲Rは、バリオグラムモデルの範囲パラメータcと混同されてはならない。
【0126】
e) すべての画素Pi∈SについてVPi(r)を計算し、対数-対数スケールで関連する曲線をトレースまたは計算または決定する。1つの画素についての対数-対数スケールでのバリオグラムV(r)の例を図6に示す。
【0127】
バリオグラム曲線VPiの対数-対数スケールでの表現は、各軸に沿った値が単位を持たなくなることを意味する。
【0128】
f) VPi表現の最小二乗回帰モデルとして完全モデルVを評価する。
【0129】
g) 初期勾配a、シルb、レンジc、ナゲットd、及び/または曲線下面積eを含むが、これらに限定されないこのモデルのパラメータを評価する。
【0130】
各画素の各バリオグラムVPiについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムVについて、対数-対数スケールで以下のパラメータの少なくとも1つを評価する。
【0131】
-バリオグラムの初期勾配a(図7の4で示される)、
-バリオグラムの漸近値を表すシルb(図7の5で示される)、
-バリオグラム曲線が準線形の進行から漸近的な挙動に遷移する距離を表すレンジc(図7の6で示される)、
-バリオグラムの初期値を表すナゲットd(図7の7で示される)、及び
-バリオグラム曲線下の面積e(図7の8で示される)。
【0132】
PiまたはVの対数-対数プロットでは、数学モデルを適合させる。このモデルのこれらのパラメータ(すなわち、係数)a、b、c、d、eは、骨テクスチャスコアBを作成するために組み合わされる。
【0133】
パラメータa、b、c、d、及び/またはeは、考慮されたバリオグラムの最小二乗回帰モデルから評価される。
【0134】
画像の内容に応じて、モデルの選択された係数は変化してもよい。なぜなら、それらは明確に定義されていない可能性があるからである(例えば、バリオグラム曲線が漸近線に収束しない可能性があり、したがって「レンジ」が定義されない可能性がある)。
【0135】
好ましくは、本方法は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、シルb、レンジc、ナゲットd、面積eのパラメータの少なくとも1つを対数-対数スケールで評価することを含む。
【0136】
好ましくは、本方法は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、勾配a、シルb、レンジc、ナゲットd、面積eのパラメータの少なくとも2つを対数-対数スケールで評価することを含む。
【0137】
好ましくは、本方法は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、初期勾配aと、シルb、レンジc、ナゲットdおよび面積eの少なくとも1つとを、対数-対数スケールで評価することを含む。
【0138】
好ましくは、本方法は、各画素の各バリオグラムについて、及び/または各画素のバリオグラムを組み合わせたサンプリングSの大域的バリオグラムについて、勾配a、シルb、レンジc、ナゲットd、面積eのすべてを、対数-対数スケールで評価することを含む。
【0139】
h) パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)を骨テクスチャスコアB(無次元)に組み合わせる。例えば、臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を使用する。
【0140】
例えば、本方法は、以下を組み合わせるステップを含むことができる。
【0141】
-各画素について得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)を各画素のテクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-サンプリングSについて得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSの大域的テクスチャスコアBに組み合わせる、及び/または
-各画素について得られた評価パラメータ(好ましくはa、b、c、d及び/またはe)をサンプリングSの大域的テクスチャスコアBに組み合わせる。
【0142】
少なくとも2つのパラメータa、b、c、d、eは、好ましくは臨床状況に応じて、線形または非線形の方程式を用いてテクスチャスコアBに組み合わされる。実際、バリオグラムモデルのパラメータは、組み合わせ方程式を用いて骨テクスチャパラメータBに組み合わされる。例として、このような組み合わせ方程式は、所与の臨床状況及び解剖学的部位について、複数の線形モデルを含むがこれに限定されない。このような場合のシナリオでは、Bは以下のように定義される。
B=αa+βb+γc+δd+εe
ここで、係数α,β,γ,δ,εは、それぞれ勾配、シル、ナゲット、及び曲線下の面積に関連付けられる。これらの係数は、事前の臨床性能最適化段階で慎重に定義される。
【0143】
これらの係数は、典型的には、異なる実験的分析から得られる。
【0144】
最良の係数の選択は、例えば、大規模な臨床研究及び画像の組み合わせから、さらにグリッドサーチ最適化段階を経て得られる。
【0145】
より一般的には、α,β,γ,δ,εは、以下を含む異なる方法で得ることができる。
【0146】
-実験的測定に基づく補正アバカス、及び/または
-理論に基づく補正の数学的モデル及び/またはシミュレーション、及び/または
-機械学習または人工知能(AI)アルゴリズム、及び/または
-大規模な臨床研究及び画像の組み合わせから得られる最良の係数の選択。さらに、臨床性能の結果を伴うグリッドサーチ最適化段階から得られる、及び/または
-上記の方法の組み合わせ。
【0147】
少なくとも2つのパラメータのこの組み合わせは、骨折を識別または予測する能力を改善する。
【0148】
i) 少なくとも1つの患者因子及び/または少なくとも1つの技術的因子に関連するロバスト性改善ステップを、好ましくは患者因子及び技術的因子の両方に関連するロバスト性改善ステップを、テクスチャスコアBに適用する。
【0149】
ロバスト性ステップは、以下のように実装されてもよい。
【0150】
-前のステップh)の前または間に(患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBの決定または計算の前または間に、スコアBを計算または決定するために使用される少なくとも1つのパラメータを決定及び/または補正することによって。好ましくは、患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアBの決定または計算の前または間に、R、a、b、c、d、及び/またはeを決定及び/または補正することによって)、及び/または
-前のステップh)の後に(患者因子及び/または技術的因子の関数として、スコアB(少なくともパラメータR、α,β,γ,δ,ε、a、b、c、d、及び/またはeから得られる)を補正することによって)。
【0151】
ロバスト性ステップは、以下を含む異なる方法で実装されてもよい(R、α,β,γ,δ,ε、a、b、c、d、e、及び/またはBを決定及び/または補正することによって)。
【0152】
-患者因子及び/または技術的因子並びにそれらのバリオグラム及び/またはテクスチャスコアBに対する観察された影響を考慮に入れた実験的測定に基づく補正アバカス、及び/または
-患者因子及び/または技術的因子並びにそれらのバリオグラム及び/またはテクスチャスコアBに対する予測された影響を考慮に入れた理論に基づく補正の数学的モデル及び/またはシミュレーション、及び/または
-患者因子及び/または技術的因子がバリオグラム及び/またはテクスチャスコアBに与える影響を最小限に抑えることを学習する機械学習または人工知能(AI)アルゴリズム、及び/または
-大規模な臨床研究及び画像の組み合わせから得られる最良の係数の選択。さらに、患者因子及び/または技術的因子がバリオグラム及び/またはテクスチャスコアBに与える影響が最小限に抑えられるまでの臨床性能の結果を伴うグリッドサーチ最適化段階から得られる、及び/または
-上記の方法の組み合わせ。
【0153】
例えば、Rは、X線取得画像の画像解像度の関数として決定及び/または補正される。
【0154】
少なくとも1つの患者因子は、以下を含む。
【0155】
-少なくとも以下のうちの1つを含む患者の形態の影響。
【0156】
-軟部組織、及び/または組織の厚さ、及び/またはその分布、及び/またはその組成の影響、及び/または間接的な代用物、及び/または
-患者の体重及び/またはボディマスインデックス(BMI)及び/またはウエスト周囲長、及び/または
-患者の身長、及び/または
-患者の少なくとも1つの病状または状態(関節症、腹水、大動脈石灰化、ガスなど)の影響、及び/または
-画像取得時の患者の位置決めの影響。
【0157】
少なくとも1つの技術的因子は、以下を含む。
【0158】
-画像取得のための欠陥のある可能性のある検出器及びセンサ、及び/または
-画像取得のためのスキャンモード及び設定の影響、及び/または
-画像取得に使用される撮像装置の技術的特性
-画像取得のための撮像システム間の変動の影響、及び/または
-画像の信号対雑音比(SNR)、及び/または
-画像の解像度。
【0159】
ロバスト性改善ステップにより、以下が可能になる。
【0160】
-患者の生理学的特性、例えば骨を取り巻く軟部組織の体積及び/または性質の影響を受けにくくなる、及び/または
-画像取得の技術的パラメータの選択の影響を受けにくくなる。
【0161】
典型的には、
-係数αは、
-再現性に影響を与える。
-骨折予測を最適化する。
【0162】
-係数βは、
-(骨)組織の全体的な石灰化の寄与に影響を与える。
【0163】
-係数γは、
-(骨)組織の全体的な幾何学的特性の寄与に影響を与える。
【0164】
-係数δは、
-画像の信号対雑音比に関連する。
【0165】
-係数εは、
-再現性に影響を与える。
【0166】
j) 最後に、方法の終了時に、骨テクスチャスコアBは、年齢(図9)、民族、及び性別を一致させた対照と比較することによって解釈される。
【0167】
患者の脆弱性骨折リスクプロファイルは、単独で、またはFRAX(図11)などの確率モデルに組み込まれて評価される。または、所与の臨床状況における脊椎及び股関節の両方の最小BMD Tスコア(図10)と組み合わされて評価される。あるいは、骨回復力指数を定義するためのBMD Tスコア及びTBSカテゴリの組み合わせとして評価される。
【0168】
図9の場合、以下のパラメータが使用または決定された。
【0169】
-骨画像は図1に対応する。
【0170】
-バリオグラムは図7に対応する。
【0171】
-計算されたa=0.73
-計算されたb=1.35
-計算されたc=2.0
-計算されたd=0.08
-計算されたe=1.30
【0172】
B=αa+βb+γc+δd+εe=1.1
ここで、
α=1.6
β=0.08
γ=0.12
δ=-0.97
ε= -0.26
【0173】
考慮された技術的因子または患者因子:
-年齢 = 73歳
-体重 = 65 kg
-身長 = 1.66 m
-BMI = 23.59
-組織の厚さ = 19 cm
α、β、γ、δ、εは、テクスチャスコアBを計算または決定するためにa、b、c、d、及び/またはeの間の各重みを与えるために使用されるパラメータである。
【0174】
本発明の方法の実施形態は、さらに、以下を表示する(画面上に)ステップを含む。
【0175】
-画像上で決定されたサンプリングS、及び/または
-画像上で選択された方向I、及び/または
-計算されたバリオグラム、及び/または
-評価されたパラメータa、b、c、d及び/またはe、及び/または
-計算されたテクスチャスコアB、及び/または
-ロバスト性改善ステップで考慮された患者因子及び/または技術的因子。
【0176】
典型的には、前述した本発明の方法の少なくとも1つのステップ、より正確には前述した本発明の方法の各ステップは、純粋に抽象的または純粋に知的に実行されるのではなく、技術的手段の使用を伴う。
【0177】
典型的には、前述した本発明の方法のステップa)からj)の各々は、技術的手段、好ましくは少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または計算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)及び/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)及び/またはソフトウェア手段によって実装される。
【0178】
以下の表1及び表2は、それぞれ一変量検定及びロジスティック回帰モデルの計量結果の例であり、距離Rの最適化を最も良好に得ることができる。
【0179】
一変量 -骨折群の識別
【表1】
【0180】
表1:最適化のための一変量検定
【0181】
技術的因子の最適化(ロジスティックモデル):低画像解像度の高Rによる補償の例
【表2】
【0182】
表2:最良の有意性を得るためのロジスティックモデルの計量検定の例
【0183】
患者因子の最適化:軟部組織の例:
ロジスティック回帰:INC_FX~B(INC_FX:偶発的な骨折)
【表3】
【0184】
表3:生データと補正データのロジスティック回帰結果の要約
【0185】
表3:所与のコホートにおいて、ロジスティックモデルにより、生のテクスチャスコアB測定値と患者因子補正テクスチャスコアB測定値との比較が可能である。
【0186】
このようなモデルでは、生データと補正データのいずれかのスコア測定値を所与として、新規骨折、すなわちINC_FXを予測することを目的とする。
【0187】
-生データBの0.12に対する、患者因子が補正されたB(p値=0.02)の検定統計量の有意性
-偶発的な骨折のオッズ(Bの増加あたり)の増加(35%から58%)を示すオッズ比
【0188】
表1:計算距離:同一コホートにおいて、
1) 症例対照群 -骨折群vs対照群:
a. 距離が2pxから10pxに増加すると、症例vs対照のStudentの検定による一変量解析のためのp値が増加することを示す。
【0189】
表2:計算距離:同一コホートにおいて、
1) 症例対照群#2 -新規骨折群vs対照群、ロジスティックモデル、新規骨折~B(距離)
a. 距離が2から10に増加すると、p値が増加することを示す。
b. 距離が2から10に増加すると、Bの増加あたりの新規骨折のオッズの改善が示される。
【0190】
本発明の装置は、前述したすべてのステップ(特に、それぞれ計算、決定、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用を行うステップ)を実装するように構成及び/またはプログラムされた技術的手段(特に、それぞれ計算、決定、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用を行うように構成及び/またはプログラムされた手段)を備える。
【0191】
典型的には、前述した本発明の装置の少なくとも1つの手段、好ましくは本発明の装置の各手段(特に、計算、決定、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用を行うように構成及び/またはプログラムされた手段)は、技術的手段である。
【0192】
典型的には、前述したステップa)からj)を実装する本発明の装置の各手段(特に、計算、決定、選択、計算、評価、組み合わせ、改善ステップの適用を行うように構成及び/またはプログラムされた手段)は、少なくとも1つのコンピュータ、1つの中央処理装置または計算装置、1つのアナログ電子回路(好ましくは専用)、1つのデジタル電子回路(好ましくは専用)及び/または1つのマイクロプロセッサ(好ましくは専用)及び/またはソフトウェア手段を備える。
【0193】
本発明の装置は、以下を備える:
【0194】
-デジタル化された画像を取得するステップを実装するための手段。
デジタル化された画像を取得するための手段は、典型的には以下を備える:
-従来のX線画像システム、または
-デジタルX線画像システム、または
-二重エネルギーX線吸収測定法(DXA)画像システム、または
-投影コンピュータ断層撮影(CT)画像システム、または
-定量的コンピュータ断層撮影(QCT)画像システム、または
-投影定量的コンピュータ断層撮影画像システム、または
-末梢定量的コンピュータ断層撮影(pQCT)画像システム、または
-高分解能末梢定量的コンピュータ断層撮影(HR-pQCT)画像システム、及び
【0195】
-前述したすべてのステップa)からj)を実装するための手段。これらの手段は、典型的には単一のコンピュータにまとめられている。
【0196】
-画面(画像上で決定されたサンプリングS、及び/または選択された方向I、及び/または計算されたバリオグラム、及び/または評価されたパラメータa、b、c、d及び/またはe、及び/または計算されたテクスチャスコアB、及び/またはロバスト性改善ステップで考慮された患者因子及び/または技術的因子を表示するように構成されている)。
【0197】
もちろん、本発明の異なる特徴、形態、変形形態、及び実施形態は、それらが互いに両立しない、または相互に排他的でない限り、様々な組み合わせで互いに組み合わせることができる。
【0198】
発明の概要及び図面の詳細な説明並びに実施形態では、「方法」という言葉が使用されているが、これは同等の方法で「プロセス」という言葉に置き換えることができる。
【0199】
もちろん、本発明は、ここで説明した例に限定されるものではなく、これらの例に対して多数の修正を加えることができ、その範囲は特許請求の範囲の範囲内である限り、本発明の範囲を超えるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
【国際調査報告】