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特表2024-535377フッ素置換シクロブテン化合物、並びにそれを含む組成物、方法、及び使用
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  • 特表-フッ素置換シクロブテン化合物、並びにそれを含む組成物、方法、及び使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】フッ素置換シクロブテン化合物、並びにそれを含む組成物、方法、及び使用
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20240920BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C09K5/04 E ZAB
F25B1/00 396Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518534
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-01
(86)【国際出願番号】 US2022044904
(87)【国際公開番号】W WO2023049513
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,990
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ジャイ、イーアン
(72)【発明者】
【氏名】ハルス、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】シン、ラジブ ラトナ
(72)【発明者】
【氏名】ナレワジェク、デイビッド
(57)【要約】
熱及び/又はエネルギーを、物品、デバイス、若しくは流体に、及び/又は物品、デバイス、若しくは流体から、伝達するための熱伝達組成物であって、熱伝達組成物が、式(I)又は式(II)又は式(III)による化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱及び/又はエネルギーを、物品、デバイス、若しくは流体に、及び/又は物品、デバイス、若しくは流体から、伝達するための熱伝達組成物であって、前記熱伝達流体が、式I又は式II又は式IIIによる化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり:
【化1】

式中、各R及び各R’が、独立して、H、F、Cl、R1、及びOR1から選択され、各R1が、独立して:非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルカン;あるいは非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルケン;あるいはBzであり、Bzが非置換ベンゼン環であり、ただし、分子がシクロブテン環中の炭素に結合した少なくとも3つのF置換基を有する、熱伝達組成物。
【請求項2】
前記化合物が、式Iによる化合物を含むが、ただし、R’がClでない、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
前記組成物が、R’がClである式Iによる任意の化合物を本質的に含まない、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項4】
約25℃~約150℃の沸点を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝達組成物。
【請求項5】
約8未満の誘電率を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱伝達組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物に熱を吸収させること、及び/又は前記組成物から熱を除去することによって熱を伝達する方法。
【請求項7】
1-クロロ-3,3,4,4-テトラフルオロ-2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)シクロブタ-1-エンであって、以下の構造:
【化2】

を有する化合物。
【請求項8】
((ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ジベンゼンであって、以下の構造:
【化3】

を有する化合物。
【請求項9】
3,3,4,4-ペンタフルオロ-1,2-ビス((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)シクロブタ-1-エンであって、以下の構造:
【化4】

を有する化合物。
【請求項10】
2,3,3-トリフルオロ-1,4-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタ-1-エンであって、以下の構造:
【化5】

を有する化合物。
【請求項11】
トランス-1,3,4-トリフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタ-1-エンであって、以下の構造:
【化6】

を有する化合物。
【請求項12】
シス-1,3,4-トリフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタ-1-エンであって、以下の構造:
【化7】

を有する化合物。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の化合物を含む、熱伝達組成物。
【請求項14】
請求項1~5及び13のいずれか一項に記載の組成物と熱伝達接触している冷却された電子構成要素。
【請求項15】
請求項1~5及び13のいずれか一項に記載の組成物を含む蒸気圧縮熱伝達システム。
【請求項16】
請求項1~5及び13のいずれか一項に記載の組成物を含む空調システム。
【請求項17】
請求項1~7及び15のいずれか一項に記載の組成物を含むバッテリ及び/又はバッテリ冷却システム。
【請求項18】
車両内に配置され、車両のための原動力を提供する、請求項17に記載のバッテリ及び/又はバッテリ冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、その各々が参照により本明細書に組み込まれる、2021年9月27日に出願された米国仮出願第63/248,990号、及び2021年9月27日に出願された米国仮出願第63/248,994号に関し、それらの優先権の利益を主張するものである。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、新規なフッ素置換シクロブテン化合物を含むフッ素置換シクロブテン化合物、それを含有する組成物、並びに熱伝達用途におけるそのような化合物及び組成物の方法及び使用に関し、それは、電子機器の製造における温度制御;動作している電子デバイス及び電力システムの熱管理、並びに航空電子機器及び軍事用冷却を含む。
【背景技術】
【0003】
特定のハロゲン置換シクロブテン化合物が存在することが知られている。例えば、米国特許第5233105号は、ヘキサクロロブタジエンの触媒反応における反応生成物として1,2-ジクロロ-3,3,4,4-テトラフルオロシクロブタ-1-エンが形成されることを開示したが、この化合物の用途は開示されていない。米国特許第5041304号は、1,2-ジクロロテトラフルオロシクロブテン及びヘキサフルオロシクロブテンを含み得る処理ガスで撥水性を付与するためのシート、繊維などの処理方法を開示している。米国特許第7179413号は、1H,2H-ペルフルオロシクロブテンを含み得る共紡糸剤を使用するフラッシュ紡糸から合成繊維ポリマーを形成するためのプロセスを開示している。
【0004】
出願人らは、多くの重要な用途で使用するための新しい化合物及び組成物の開発には多くの困難な問題が関連することを理解するようになった。例えば、携帯型で手持ち式の電子デバイスでは、機能性を追加しながら小型化するという要望が、動作中にデバイスの熱出力密度を増加させ、それにより、バッテリを含むそのようなデバイスの冷却をより困難にする。一般の法則として、デスクトップコンピュータ、データセンター、通信センター内などでの計算能力の増加は、そのようなデバイスが動作しているときの熱出力の増加をもたらし、再び、そのような電子デバイスの熱管理をますます重要にし、ますます難しくし、要求を厳しくする。熱管理の課題の他の例は、特に車、トラック、オートバイなどが挙げられる電気自動車の使用の増加の結果として生じる。電子自動車では、熱管理機能は、比較的狭い温度範囲内にあるように、かつ信頼の高い、効率的、及び安全である方法で、バッテリを冷却及び/又は加熱する重大性を含む、いくつかの理由で特に重要並びに困難であり、より広い範囲及びより高速な充電を備えたバッテリ式車両の需要が高まるにつれて、効果的な熱バッテリ管理を提供するための課題はより大きくなっている。
【0005】
バッテリ、特に電気自動車に電力を提供するバッテリの効率及び有効性は、それらが動作する動作温度の関数である。したがって、熱管理システムは、運転中及び/又は充電中にバッテリから熱を単に除去する以上のことができなければならず、熱管理システムは、可能な限り低コストであり、可能な限り軽量である装置を使用して、比較的狭い温度範囲で冷却を達成しなければならない。これにより、物理的特性と性能特性との達成し難い組み合わせを有する、そのようなシステムの熱伝達流体の必要性が生じる。更に、いくつかの重要な用途では、熱管理システムは、特に車両が寒い天候で始動されるときに、バッテリに熱を加えることができなければならず、これは、熱性能の観点だけでなく、環境、安全性(可燃性及び毒性)、誘電特性などを含む無数の他の観点からも、そのようなシステムにおいて効果的な化合物及び/又は組成物を発見し、かつ開発/入手することを更に難しくする。
【0006】
誘電率の重要性の特定の例として、電子自動車のバッテリの熱管理のための1つの頻繁に使用されるシステムは、熱管理に使用される流体にバッテリを浸漬することを伴う。そのようなシステムは、そのようなシステム内で使用される流体が、バッテリ又はデバイスが動作中である間、バッテリ又は他の電子デバイス若しくは構成要素との密接な接触に電子的に適合していなければならないという更なる制約を加える。一般に、これは、流体が不燃性でなければならないことだけでなく、流体が、バッテリ又は他の電子構成要素と接触している一方で構成要素が動作していて、動作中に比較的高い温度が存在する間、低導電性及び高レベルの安定性も有しなければならないことも意味する。出願人らは、任意のそのような流体の漏れが、動作している電子構成要素との接触をもたらし得るため、動作している電子デバイス及びバッテリの間接冷却においても、そのような特性が望ましいことを理解するようになった。
【0007】
過フッ素化化合物は、これまで、これらの要求の厳しい用途の多くにおいて頻繁に使用されてきた。例えば、浸漬冷却などのバッテリ冷却のために一般的に使用されてきた熱管理流体は、水/グリコールの組み合わせであるが、クロロフルオロカーボン、フルオロ炭化水素、クロロ炭化水素、及びハイドロフルオロエーテルを含む、他のクラスの材料が使用可能として言及されている。例えば、米国特許出願公開第2018/0191038号を参照されたい。
【0008】
気相はんだ付けは、熱伝達流体を利用するプロセスの別の例である。この用途では、高温が使用され、したがって、熱伝達流体は高温曝露(例えば、250℃まで)に適していなければならない。現在、ペルフルオロポリエーテル(PFPE)が、この用途において熱伝達流体として一般に使用されている。多くのPFPEは、これらの高温に対して適切な熱安定性を有するが、それらは、極端に長い大気寿命を有する環境残留性であり、それにより、高い地球温暖化係数(global warming potential、GWP)を生み出す。
【0009】
したがって、出願人らは、環境的に受容可能(低GWP及び低ODP)、不燃性であり、低毒性又は無毒性を有し、優れた絶縁特性を有し、とりわけ、好ましくは低コスト、高信頼性、及び軽量である装置を使用して、比較的狭い温度範囲での電子構成要素の動作における比較的高温及び/又は用途を含む、有効冷却及び/又は熱を提供する熱特性を有する熱伝達流体を使用する熱管理方法及びシステムの必要性を理解するようになった。したがって、例えば、出願人らは、比較的低い沸点(例えば、50℃未満)を有する流体は、そのような流体の使用が、多くのバッテリ及び/又は電子冷却用途のための冷却装置のコスト及び/又は重量を増加させる傾向があり、また、以下に説明するように、信頼性も低下させ得るので、多くの用途において望ましくないことを見出した。
【0010】
ランキンサイクルは、発電のために一般的に使用される標準的な熱力学サイクルである。ランキンサイクルシステムの必須要素は、1)高圧で液体を蒸気に変えるためのボイラーと、2)蒸気を膨張させて機械エネルギーを導出するためのタービン、3)タービンからの低圧排出蒸気を低圧液体に変えるための復水器、及び4)凝縮液を高圧でボイラーに戻すためのポンプ。
【0011】
ランキンサイクルでの使用のための、HFC-245faなど、様々な作動流体が提案されている。しかしながら、環境的に受容可能であり、優れた熱力学特性を有し、例えば、少なくとも約200℃、例えば、約200℃~約400℃など、広範囲の熱源温度にわたって効率的に動作し得る作動流体を提供することが業界で望まれている。
【0012】
環境的に受容可能であり、優れた熱力学特性を有し、不燃性である熱伝達流体(例えば、冷媒)を提供することも、業界で望まれている。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、熱及び/又はエネルギーを、物品、デバイス、若しくは流体に、及び/又は物品、デバイス、若しくは流体から、伝達するための熱伝達組成物を含み、熱伝達流体は、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。この用語が本明細書で使用される場合、グループA化合物は、式I又は式II又は式IIIによる化合物であり:
【0014】
【化1】

式中、各R及び各R’は、独立して、H、F、Cl、R1、及びOR1から選択され、各R1は、独立して、非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルカン;あるいは非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルケン;あるいはBzであり、Bzは非置換ベンゼン環であり、ただし、分子はシクロブテン環中の炭素に結合した少なくとも3つのF置換基を有する。シス及びトランス立体異性体が存在する場合、いずれか又は両方の異性体を本出願において使用することができる。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物1と称される場合がある。
【0015】
便宜上、略語「HTC」は、本明細書において「熱伝達組成物」を指すために使用されることがあり、以下に具体的に示されない限り、又は文脈上他の意味に解すべき場合を除き、HTCという用語は、熱及び/又はエネルギーを、物品、デバイス、若しくは流体に、及び/又は物品、デバイス、若しくは流体から、伝達するための熱伝達流体を意味する。
【0016】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落によるHTCは、本明細書では、組成物2と称される場合がある。
【0017】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物3Aと称される場合がある。
【0018】
本明細書で使用される場合、「絶縁耐力」という用語は、電極間の間隔が2.54mmであり、上昇率が500V/秒であったという変更を加えて、ASTM D87-13、手順Aに従って測定されるkV単位の絶縁破壊電圧を指す。
【0019】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点及び約5未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物3Bと称される場合がある。
【0020】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点及び約2.5未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物3Cと称される場合がある。
【0021】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、約150未満の地球温暖化係数(GWP)、及び約2.5未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物3Dと称される場合がある。
【0022】
本発明は、約25℃~約75℃の沸点、約150未満の地球温暖化係数(GWP)、及び約2.5未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物3Eと称される場合がある。
【0023】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約30の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Aと称される場合がある。
【0024】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Bと称される場合がある。
【0025】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、少なくとも約30の絶縁耐力、及び少なくとも約0.055W/m-Kの熱伝導率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Cと称される場合がある。
【0026】
本明細書で使用される場合、「熱伝導率」という用語は、ASTM D7896-19に従って測定されるkV単位の絶縁破壊電圧を指す。
【0027】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、少なくとも約40の絶縁耐力、及び少なくとも約0.065W/m-Kの熱伝導率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Dと称される場合がある。
【0028】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、約150未満の地球温暖化係数(GWP)、少なくとも約40の絶縁耐力、及び少なくとも約0.065W/m-Kの熱伝導率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Eと称される場合がある。
【0029】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、約75未満の地球温暖化係数(GWP)、少なくとも約40の絶縁耐力、及び少なくとも約0.065W/m-Kの熱伝導率を有し、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物4Fと称される場合がある。
【0030】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物1~4のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法1と称される場合がある。
【0031】
本明細書で使用される場合、先行する段落における「化合物1~4のうちのいずれか」への言及などの、番号によって定義される組成物、方法などの群への言及は、特に、接尾辞を有する全ての番号の組成物を含む、全てのそのような番号付けされた組成物を含む。例えば、「組成物1~4のいずれか」への言及は、組成物1、組成物2、組成物3A、組成物3B、組成物3C、組成物3D、組成物3E、組成物4A、組成物4B、組成物4C、組成物4D、組成物4E及び組成物4Fの各々を含む。
【0032】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物1~4のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落によるシステム及び/又はデバイスは、本明細書では、システム1と称される場合がある。
【0033】
本発明は、1つ以上のグループA1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA1化合物は、以下の表A1に定義される化合物1~化合物18の中から選択される化合物である。
【0034】
【表1-1】
【0035】
【表1-2】

図示された構造は、図示された化合物の全ての立体異性体を意図しており、化合物名は便宜的に提供されており、矛盾がある場合には、図示された構造が支配する。
**-本発明は、以下に詳細に記載されるように、CAS番号を有さない新規化合物を含む。
【0036】
便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物5Aと称される場合がある。
【0037】
本発明はまた、1つ以上のグループA2化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA2化合物は、上記の表A1に定義される化合物2及び化合物4~18の中から選択される化合物である。出願人らは、化合物1が試験され、長期(28日)毒性曝露に失敗し、化合物3が試験され、短期(4時間)毒性曝露に失敗したので、このグループの化合物が、低毒性が非常に望ましい用途に特に好ましいことを見出した。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物5Bと称される場合がある。
【0038】
本発明はまた、1つ以上のグループA化合物を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、化合物1及び化合物3を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物5Cと称される場合がある。
【0039】
本発明はまた、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物5Dと称される場合がある。
【0040】
本発明はまた、1つ以上のグループA化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物5Eと称される場合がある。本発明は、約25℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物6と称される場合がある。
【0041】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物7と称される場合がある。
【0042】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物8と称される場合がある。
【0043】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物5~8のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法2と称される場合がある。
【0044】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物5~8のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム2と称される場合がある。
【0045】
本発明は、1つ以上のグループA2化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA2化合物は、化合物1、化合物3、化合物7、化合物10、化合物12及び化合物14から選択される化合物である。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物9と称される場合がある。
【0046】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点を有し、1つ以上のグループA2化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物10と称される場合がある。
【0047】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA2化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物11と称される場合がある。
【0048】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA2化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物12と称される場合がある。
【0049】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物9~12のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法3と称される場合がある。
【0050】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物9~12のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム3と称される場合がある。
【0051】
本発明は、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA3化合物は、式Iによる化合物であり:
【0052】
【化2】

各R’は独立して、H、Cl、及びFから選択され、
各Rは独立して、H、及びFから選択され、
ただし、分子は少なくとも3つのF置換基を有する。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物13Aと称される場合がある。
【0053】
本発明はまた、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。出願人らは、ClであるR’を有さないグループA3化合物が、低毒性が非常に望ましい用途に特に好ましいと考える。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物13Bと称される場合がある。
【0054】
本発明はまた、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA3化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物13Cと称される場合がある。
【0055】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物14Aと称される場合がある。
【0056】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物14Bと称される場合がある。
【0057】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA3化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物14Cと称されることがある。本発明は、約50℃~約100℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物15Aと称される場合がある。
【0058】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物15Bと称される場合がある。
【0059】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA3化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物15Cと称される場合がある。
【0060】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物16Aと称される場合がある。
【0061】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる組成物を含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物16Bと称される場合がある。
【0062】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA3化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる組成物を含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA3化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物16Cと称される場合がある。
【0063】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物13~16のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法4と称される場合がある。
【0064】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物13~16のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム4と称される場合がある。
【0065】
本発明は、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA4化合物は、式IAによる化合物であり:
【0066】
【化3】

式中、各R’は独立して、F、Cl、OCH、OCH(CF)及びOCH(CFから選択される。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物17Aと称される場合がある。
【0067】
本発明は、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる組成物を含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物17Bと称される場合がある。
【0068】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物18Aと称される場合がある。
【0069】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物18Bと称される場合がある。
【0070】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA4化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物18Cと称される場合がある。
【0071】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物19Aと称される場合がある。
【0072】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物19Bと称される場合がある。
【0073】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA4化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物19Cと称される場合がある。
【0074】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物20Aと称される場合がある。
【0075】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、R’はClではない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物20Bと称される場合がある。
【0076】
本発明は、約50℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA4化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含むが、ただし、組成物は、R’がClである任意のグループA4化合物を本質的に含まない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物20Cと称される場合がある。
【0077】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物17~20のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法5と称される場合がある。
【0078】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物17~20のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム5と称される場合がある。
【0079】
本発明は、1つ以上のグループA5化合物を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA5化合物は、式IAによる化合物であり:
【0080】
【化4】

式中、各R’は独立して、F、Cl、OCH、OCH(CF)、OCH(CF及びOBzから選択され、ただし、一方のR’がF又はClである場合、他方のR’はFでもClでもない。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物21と称される場合がある。
【0081】
本発明は、約100℃~約200℃の沸点を有し、1つ以上のグループA5化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物22と称される場合がある。
【0082】
本発明は、約100℃~約200℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA5化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物23と称される場合がある。
【0083】
本発明は、約100℃~約200℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA5化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物24と称される場合がある。
【0084】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物21~24のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法6と称される場合がある。
【0085】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物21~24のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム6と称される場合がある。
【0086】
本発明は、1つ以上のグループA6化合物を含む、本質的にそれからなる、又はそれからなるHTCを含む。この用語が本明細書で使用される場合、グループA6化合物は、式IAによる化合物であり:
【0087】
【化5】

式中、各R’は独立して、Cl、OCH、OCH(CF)及びOCH((CF))から選択され、ただし、1つ以下のR’がClである。
【0088】
便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物25と称される場合がある。
【0089】
本発明は、約115℃~約150℃の沸点を有し、1つ以上のグループA6化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物26と称される場合がある。
【0090】
本発明は、約115℃~約150℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループA6化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物27と称される場合がある。
【0091】
本発明は、約115℃~約150℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループA6化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物28と称される場合がある。
【0092】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物24~28のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法7と称される場合がある。
【0093】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物24~28のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム7と称される場合がある。
【0094】
本発明は、式Iによる新規化合物を含み:
【0095】
【化6】

式中、各R’は独立して、F、CF、OCH(CF及びOBzから選択され、Bzは、非置換ベンゼンであり、
各Rは独立して、H、F及びCFから選択されるが、
ただし、(i)1つ以下のRは、Hであってもよく;(2)各R’は、一方のR’がFである場合を除いて同一であり;(3)一方のR’がFである場合、他方のR’はCFであり;(4)R’は、1つのR’がFである場合にのみCFであってもよく;(5)Rは、R’がCFである場合にのみCFであってもよい。便宜上、本段落による化合物は、本明細書では、化合物グループBと称される場合がある。
【0096】
本発明は、以下の表B1に示される化合物から選択される新規化合物を含み
【0097】
【表2】

化合物名は便宜上提供されており、不一致の場合には、図示された構造が支配する。
便宜上、本段落による化合物は、本明細書では、化合物グループB1と称される場合がある。
【0098】
本発明は、1つ以上のグループB化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落によるHTCは、本明細書では、組成物29と称される場合がある。
【0099】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点を有し、1つ以上のグループB化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落によるHTCは、本明細書では、組成物30と称される場合がある。
【0100】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループB化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物31と称される場合がある。
【0101】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループB化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物32と称される場合がある。
【0102】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物29~32のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法8と称される場合がある。
【0103】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物29~32のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム8と称される場合がある。
【0104】
本発明は、1つ以上のグループB1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落によるHTCは、本明細書では、組成物33と称される場合がある。
【0105】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点を有し、1つ以上のグループB1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落によるHTCは、本明細書では、組成物34と称される場合がある。
【0106】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点及び約8未満の誘電率を有し、1つ以上のグループB1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物35と称される場合がある。
【0107】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点、及び少なくとも約40の絶縁耐力を有し、1つ以上のグループB1化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるHTCを含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物36と称される場合がある。
【0108】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)熱及び/又はエネルギーを、組成物33~36のうちのいずれかによる任意の組成物から伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法9と称される場合がある。
【0109】
本発明は、そのシステム若しくはデバイス内で、及び/又はそのシステム若しくはデバイスに、及び/又はそのシステム若しくはデバイスから熱を伝達するための熱伝達流体を含むシステム及びデバイスを含み、上記システム及び/又はデバイスが、組成物33~36のうちのいずれかによる組成物を熱伝達流体として含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、システム9と称される場合がある。
【0110】
本発明は、(a)グループA、A1~A6、B及びB1の化合物のいずれか1つ以上並びに;(ii)1つ以上の共熱伝達成分を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる熱伝達組成物を含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物37と称される場合がある。
【0111】
本発明は、(a)グループA、A1~A6、B及びB1の化合物のいずれか1つ以上;並びに(b)1つ以上の共熱伝達成分;並びに(c)安定剤及び/又は潤滑剤を含むか、本質的にそれらからなるか、又はそれらからなる熱伝達組成物を含む。便宜上、本段落による組成物は、本明細書では、組成物38と称される場合がある。
【0112】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるための方法であって、
(a)物品、デバイス、若しくは流体を、熱及び/又はエネルギーのソースと熱伝達接触させて提供することと;
(b)ソースからの熱及び/又はエネルギーを、組成物1-38の各々を含む本発明のTMCに伝達することと、を含む。便宜上、本段落による方法は、本明細書では、熱伝達方法10と称される場合がある。
【0113】
本発明は、物品、デバイス、若しくは流体から熱及び/若しくはエネルギーを除去するか、又は物品、デバイス、若しくは流体に熱及び/若しくはエネルギーを加えるためのデバイス及びシステムを含み、熱及び/又はエネルギーと熱的に接触しているTMCを含有する少なくとも1つのベッセル、容器及び/又は導管を含み、TMCは、組成物1-38の各々を含む本発明のTMCである。便宜上、本段落によるデバイス及びシステムは、本明細書では、便宜上システム10と称される場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】本発明の熱管理システムの概略図である。
図2A】本発明による、第1の例示的な浸漬冷却システムの概略図である。
図2B】本発明による、第2の例示的な浸漬冷却システムの概略図である。
図3】本発明の一実施形態による、バッテリ熱管理システムの概略図である。
図4】本発明の一実施形態による、バッテリ熱管理システムを示す写真である。
図5】例示的な有機ランキンサイクルの回路図である。
図6】例示的なヒートポンプの回路図である。
図7】例示的な二次ループシステムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0115】
定義
本明細書で使用される場合、以下の用語は、特に具体的に示されない限り、以下に示される意味を有する。
【0116】
用語熱伝達組成物及び関連語の形態は、1つの流体、物品、又はデバイスから別の場所に、熱又はエネルギーを伝達するために使用される流体(液体又は気体)の形態の組成物を意味し、したがって、例えば、ランキンサイクルのための冷媒、温度制御流体、及び作動流体を含む。
【0117】
熱伝達組成物がデバイス又は物品を特定の温度範囲内に保つための熱管理において(例えば、電子冷却において)使用されるとき、本明細書では、熱管理流体と称される場合がある。
【0118】
熱伝達システム(例えば、蒸気圧縮熱伝達システム)において熱を伝達する目的で(例えば、潤滑又は安定化を提供することとは対照的に)熱伝達組成物中に存在する成分、その成分、又は成分の組み合わせは、本明細書では、冷媒と称される場合がある。
【0119】
デバイスとは、加熱、冷却又は所定の温度に維持される物品、物体又は用具を意味する。
【0120】
動作している電子デバイス及び関連語の形態は、電気エネルギー及び/又は電子信号を受信及び/又は伝送及び/又は生成することによって、その意図される機能を実行する過程にあるデバイス、又はデバイスの構成要素を意味する。したがって、本明細書で使用される場合、用語「動作している電子デバイス」は、例えば、電気エネルギーのソースを別の構成要素に提供する過程にあるバッテリ、及び充電又は再充電されているバッテリを含む。
【0121】
熱接触及びその関連する形態は、表面との直接接触、及び表面と流体との間の熱の流れを促進する別の物体又は流体を通した間接接触を含む。
【0122】
地球温暖化係数(「GWP」)は、様々な気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。これは、ある気体の1トンの放出が、二酸化炭素の1トンの放出に対して相対的に、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。
【0123】
LC50は、化合物の急性毒性の尺度である。化合物の急性吸入毒性は、OECD Guideline for Testing of Chemicals No.403「Acute Inhalation Toxicity」(2009),Method B.2.(Inhalation)of Commission Regulation(EC)No.440/2008.に記載の試験方法を用いて評価することができる。
【0124】
引火点は、ASTM D3828に従って決定される、点火源を除去した後に液体の蒸気が燃焼し続ける最低温度を指す。
【0125】
熱管理組成物又は流体の文脈における不燃性は、不燃性であると判定される化合物又は組成物を意味する。熱管理組成物又は流体の引火点は、ASTM D3828に従って決定される、点火源が除去された後に組成物の蒸気が燃焼し続ける最低温度を指す。100°F(37.8℃)未満の引火点を有さない熱管理組成物又は流体は、NFPA 30:引火性及び可燃性液体コードに従って「不燃性」として分類され、液体に対して、100°F(37.8℃)未満の引火点を有さない流体は、NFPA 30:引火性及び可燃性液体コードに従って「不燃性」として分類される。
【0126】
冷媒組成物の文脈において、不燃性かつ低毒性又は無毒性である化合物又は組成物は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによる、及びASHRAE Standard 34-2016の付属文書B1に記載された「A1」として分類される。
【0127】
無毒性又は低毒性は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsによる、及びASHRAE Standard 34-2016の付属文書B1に記載されたクラス「A」として分類される流体を意味する。
【0128】
能力は、冷却システムにおいて冷媒によって提供される、BTU/時単位の冷却の量である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピ(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷蔵システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量をポンプ圧送する圧縮機のある程度の能力を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0129】
「成績係数」(以下「COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて、冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷蔵工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有効な冷蔵又は冷却能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量をポンプ圧送する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の動作条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷却サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapters,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0130】
「熱効率」は、熱源からのエネルギーを仕事に、いかに効率的に変換することができるかの尺度である。この特性は、蒸気圧縮システムの効率を測定するためにCOPが使用されるように、一般に、有機ランキンサイクルシステムの性能を特徴付けるために使用される。特定の運転条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段が、標準的な冷蔵サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、Engineering and Chemical Thermodynamics,Milo D.Koretsky.Wiley 2004,page 138を参照されたい)。
【0131】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の参照を含む。本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、概して、内容がうでない旨を明確に指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で使用される。
【0132】
本明細書で使用される場合、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.8、4、及び5を含む)。
【0133】
特に示されない限り、本明細書及び実施形態で使用される量又は成分、特性の測定値などを表現する全ての数は、全ての場合において用語「約」によって修飾されるものと理解されるべきである。したがって、別段示されない限り、前述の明細書及び添付の実施形態の一覧に記述された数値的パラメータは、本開示の教示を利用して当業者が得ようとする所望の特性に依存して変化し得る。少なくとも、そして特許請求される実施形態の範囲に均等論の適用を限定しようとしているのではなく、各数値パラメータは、少なくとも、報告される有効数字に照らして、通常の切り上げ技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0134】
化合物
上記に示したように、本発明は式Iの新規化合物を含み:
【0135】
【化7】

式中、各R’は独立して、F、CF、OCH、OCH(CF及びOBzから選択され、ただし、各R’は、一方のR’がFである場合を除いて同一であり、他方のR’はFではなく、
式中、Bzは非置換ベンゼンであり、
式中、各Rは独立して、H、F及びCFから選択されるが、
ただし、分子は、シクロブテン環上に少なくとも3つのF置換基を有する。本発明による化合物は、具体的には実施例に開示されているものを含め、本明細書に含まれる教示に基づいて当業者によって形成され得る。
【0136】
本発明による1つの新規化合物は:
【0137】
【化8】

である。
【0138】
本発明による別の新規化合物は:
【0139】
【化9】

である。
【0140】
本発明による別の新規化合物は:
【0141】
【化10】

である。
【0142】
本発明による別の新規化合物は:
【0143】
【化11】

である。
【0144】
本発明の新規化合物は、以下の特性の1つ以上、好ましくは物理的特性の少なくとも2つを有する:
【0145】
【表3】
【0146】
本発明の以下の化合物は、以下の特性を有する:
【0147】
【表4-1】
【0148】
【表4-2】
【0149】
更に、本発明の化合物は、蒸気圧縮冷凍システムで使用される潤滑剤を含む潤滑剤との良好な混和性を有する。例えば、化合物1及び3は、以下の表に示すように、最大約66.7重量%の濃度で鉱油と完全に混和性を有する。
【0150】
【表5】
【0151】
熱伝達組成物
本発明は、組成物1~38の各々を含む、本発明の熱伝達組成物の様々な方法、プロセス、及び使用を提供し、それは、1つの場所から別の場所へ(又は1つの物体若しくは物品から、別の物体若しくは物品へ)熱を伝達するために使用され得る流体である(すなわち、液体及び/又は気体)。例えば、熱伝達組成物は、デバイスの温度を規定の上限温度を下回って及び/又は規定の下限温度を超えて保つために使用され得る。別の例では、熱伝達組成物は、産業プロセス又は他のプロセスからの廃熱の捕捉、及び電気エネルギー又は機械エネルギーへの変換におけるような、エネルギー変換に使用することができる。
【0152】
本発明の熱伝達流体は、組成物1~4の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0153】
本発明の熱伝達流体は、組成物5~8の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA1化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA1化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0154】
本発明の熱伝達流体は、組成物9~12の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA2化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA2化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0155】
本発明の熱伝達流体は、組成物13~16の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA3化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA3化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0156】
本発明の熱伝達流体は、組成物17~20の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA4化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA4化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0157】
本発明の熱伝達流体は、組成物21~24の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA5化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA5化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0158】
本発明の熱伝達流体は、組成物25~28の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループA6化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループA6化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0159】
本発明の熱伝達流体は、組成物29~32の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループB化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループB化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0160】
本発明の熱伝達流体は、組成物33~36の各々を含む本発明の熱伝達組成物を含み、グループB1化合物は、非熱伝達成分を除いて、組成物中に少なくとも約50重量%、又は少なくとも約70重量%、又は少なくとも約90重量%、又は少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在するか、あるいは熱伝達流体は、グループB1化合物から本質的になるか、又はそれからなり得る。
【0161】
本発明の熱伝達流体は、組成物37及び38中の各組成物を含む本発明の熱伝達組成物を含み、本発明の化合物(a)は、それぞれ組成物37A及び37Bに従って定義される通りであり、共熱伝達成分(b)は、組成物中に存在し、組成物中の熱伝達成分の総重量に基づいて以下の表に示される量で、組成物37A及び37Bに従って定義される通りである:
【0162】
【表6】
【0163】
本明細書における組成物37又は組成物38へのいかなる言及も、文脈上他に明確に指示されない限り、上の表の接尾辞A~J及び以下の接尾辞K~Tのように、接尾辞文字を有する数字によって本明細書において言及される組成物の各々を意味し、含むと理解される。
【0164】
本発明は、約25℃~約200℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37K及び組成物38Kと称される。
【0165】
本発明は、約25℃~約150℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37L及び組成物38Mと称される。
【0166】
本発明は、約50℃~約100℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37N及び組成物38Nと称される。
【0167】
本発明は、約100℃~約150℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37O及び組成物38Oと称される。
【0168】
本発明は、約115℃~約150℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37P及び組成物38Pと称される。
【0169】
本発明は、約100℃~約200℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37Q及び組成物38Qと称される。
【0170】
本発明は、約150℃~約200℃の沸点を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37R及び組成物38Rと称される。
【0171】
本発明は、約8未満の誘電率を有する組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37S及び組成物38Sと称される。
【0172】
本発明は、40を超える絶縁耐力を有する、組成物37及び組成物38を各々含むHTCを含む。本段落による組成物は、便宜上、それぞれ組成物37T及び組成物38Tと称される。
【0173】
本発明は、組成物37及び組成物38の定義内の本明細書の各組成物による熱伝達組成物を含み、共熱伝達組成物が、HFE-7000、HFE-7200、HFE-7100、HFE-7300、HFE-7500、HFE-7600、トランス-1,2-ジクロロエチレン、n-ペンタン、シクロペンタン、エタノール、ペルフルオロ(2-メチル-3-ペンタノン)(Novec 1230)、シス-HFO-1336mzz、トランス-HFO-1336mzz、HF-1234yf、HFO-1234ze(E)、HFO-1233zd(E)、HFO-1233zd(Z)、及びこれらのうちの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0174】
組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達組成物(したがって、熱管理流体、作動流体又は冷媒も含む)は、約1000以下、又は約700以下、又は約500以下、又は約300以下、又は約150以下のGWPを含む低いGWPを有する。
【0175】
好ましくは、組成物38の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、潤滑剤を含む。潤滑剤は、冷媒を使用して冷媒圧縮機を潤滑する。潤滑剤は、熱伝達組成物の約5重量%~約30重量%の量で、熱伝達組成物中に存在し得る。ポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、PAG油、ポリビニルエーテル(PVE)、及びポリ(α-オレフィン)(PAO)、並びにこれらの組み合わせなどの潤滑剤が、本発明の熱伝達組成物中に使用され得る。
【0176】
好ましい潤滑剤としては、POE及びPVE、より好ましくはPOEが挙げられる。当然ながら、異なる種類の潤滑剤の異なる混合物が使用されてもよい。例えば、冷媒が移動式空調用途で使用される場合、潤滑剤は、PAGであり得る。
【0177】
したがって、熱伝達組成物は、本発明の冷媒と、POE、PAG、又はPVEから選択される潤滑剤と、を含む。
【0178】
本発明の熱伝達組成物は、上記のように、実質的に熱伝達流体及び潤滑剤からなり得るか、又は熱伝達流体及び潤滑剤からなり得る。
【0179】
市販の鉱油としては、WitcoのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalのZerol 300(登録商標)、WitcoのSunisco 3GS、及びCalumetのCalumet R015が挙げられる。市販のアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。市販のエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。
【0180】
熱伝達組成物は、潤滑剤の相溶性及び/又は溶解性を促進する目的で、相溶化剤を含み得る。好適な相溶化剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン、及び/又はヘキサンが挙げられ得る。存在する場合、相溶化剤は、好ましくは、熱伝達組成物の約0.5重量%~約5重量%の量で存在する。また、その開示が参照により組み込まれる米国特許第6,516,837号に開示されるように、油溶性を促進するために、界面活性剤と、可溶化剤との組み合わせが本発明の組成物に添加されてもよい。
【0181】
使用、方法、システム、及びデバイス
本発明は、本明細書に記載される、熱を伝達するための方法を含み、上記及び以下に具体的に記載される方法を含んだ。
【0182】
本発明はまた、本明細書に記載される、熱を伝達するためのデバイス及びシステムを含み、上記及び以下に具体的に記載されるデバイス及びシステムを含んだ。
【0183】
本発明の組成物1~38の各々を含む熱伝達流体、熱管理流体、冷媒、作動流体、及び熱伝達組成物は、以下に記載されるように、加熱及び/又は冷却に使用するために提供される。
【0184】
したがって、本発明は、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体、熱管理流体、冷媒、作動流体、又は熱伝達組成物を使用して流体又は物体を加熱又は冷却する方法を記載する。
【0185】
熱管理方法、デバイス、システム、及び使用
電子機器のほとんどあらゆる現代の用途で、熱の放散は、重要な考慮事項である。例えば、携帯型で手持ち式のデバイスでは、機能性を追加しながら小型化したいという要望が、熱出力密度を増加させ、デバイス内の電子機器を冷却する課題を増大させる。デスクトップコンピュータ、データセンター、及び電気通信センター内で計算能力が増大するにつれて、熱出力も増加する。プラグイン電気自動車又はハイブリッド自動車、風力タービン、列車エンジン、発電機、及び様々な産業プロセスにおけるトラクションインバータなどのパワー電子デバイスは、より高い電流及び熱流速で動作するトランジスタを使用する。
【0186】
上述したように、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体が電子デバイスにおける冷却及び/若しくは加熱の方法又はデバイス又はシステムで使用されるとき、熱伝達流体は、本明細書では、熱管理流体と称される場合がある。したがって、熱管理流体は、本出願で考察される熱伝達流体に対応する。
【0187】
ここで、熱伝達方法1を含む本発明の熱管理方法の好適な実施形態が、図1に関連して以下に記載され、図1では、動作している電子デバイスは、10として概略的に示されており、デバイス10内に流入する及び/又はデバイス10から流出する電気エネルギー及び/又は信号20のソースを有し、電気エネルギー及び/又は信号20に基づくその動作の結果として熱を発生させる。本発明の熱管理流体は、流出する矢印30によって表される熱を熱管理流体が除去するように、動作しているデバイス10と熱接触して提供される。熱は、本発明の液状熱管理流体に加えられる顕熱(すなわち、液体の温度を上昇させる)によって、又は熱管理液内で相変化(すなわち、液体を気化する)を引き起こすことによって、若しくはこれらの組み合わせによって、動作している電子デバイスから除去される。好適な実施形態では、方法は、本発明の熱伝達流体30を通る、デバイス10からの熱の流れが、動作している電気デバイスを好適な動作温度範囲に、又は好適な動作温度範囲内に維持するように、デバイス10への、組成物1~38を各々含む本発明の熱伝達流体の供給を提供する。好適な実施形態では、電気デバイスの好適な動作温度範囲は、約70℃~約150℃、更により好ましくは、約70℃~約120℃であり、本発明の熱伝達流体エネルギーを通る、デバイス10からの熱30の流れが、動作している電気デバイスをそのような好適な温度範囲に、又はそのような好適な範囲内に維持する。好ましくは、デバイスから熱を吸収した本発明の熱伝達流体30は、熱伝達流体30の温度を下回る温度にある、40として概略的に表されるヒートシンクと熱接触し、それにより、デバイス10によって生成された熱をヒートシンク40に伝達する。このようにして、本発明の熱減損した熱伝達流体50は、冷却のサイクルを繰り返すために、電子デバイス10に戻され得る。
【0188】
本発明の方法の好適な実施形態では、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達組成物を通して熱を除去する工程は、電子デバイスの動作によって発生した熱を使用して、本発明の熱伝達組成物を蒸発させることを含み、その熱を熱伝達組成物からヒートシンクに伝達する工程は、熱をヒートシンクに放出することによって、熱伝達流体を凝縮させることを含む。そのような方法では、上記蒸発工程中、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体の温度は、好ましくは50℃超、又は好ましくは約55℃超、又は好ましくは約55℃~約85℃、又は好ましくは約65℃~約75℃の範囲である。出願人らは、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体が、そのような方法において優れた性能を提供すると同時に、以下の図2Aに関連して記載される特定の実施形態に関連して更に説明されるように、比較的低コストで軽量かつ信頼性の高い装置を使用して、必要な冷却を提供することを可能にすることを見出した。
【0189】
本発明の方法の更に好適な実施形態では、本発明の熱伝達組成物を介して熱を除去する工程は、電子デバイスの動作によって生成された熱を使用して、組成物1~38の各々を含む本発明の液体熱伝達組成物に顕熱を加えることと(例えば、最高約70℃以下まで液体の温度をほぼ大気圧で上昇させる、すなわち、流体は高圧容器又はベッセル内にある必要はない)、その熱を熱伝達組成物からヒートシンクに伝達し、それにより、ヒートシンクに熱を放出することによって液体温度を低下させる工程と、を含む。冷却された液体は、次に、電気デバイスとの熱接触に戻されて、サイクルがやり直される。好適な実施形態では、ヒートシンクに熱を伝達するために使用される熱伝達液の温度は、約40℃超、又は好ましくは約55℃超、又は好ましくは約45℃~約70℃、又は好ましくは約45℃~約65℃の範囲内であり、好ましくは、ほぼ大気圧である圧力においてである。出願人らは、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達液が、そのような方法において優れた性能を提供すると同時に、以下の図2Bに関連して記載される特定の実施形態に関連して更に説明されるように、比較的低コストで軽量かつ信頼性の高い装置を使用して、必要な冷却を提供することを可能にすることを見出した。
【0190】
当業者であれば、本発明は、上述のように、顕熱伝達及び相変化熱伝達の両方を使用するシステム及び方法を含むことが理解されるであろう。
【0191】
ここで、本発明による特定の方法が、図2A及び図2Bに関連して説明され、図では、電子デバイス10が、適切な容器12、好ましくは密封容器に収容され、組成物1~38の各々を含む本発明の液状熱伝達組成物11A(グレーの陰影で概略的に示される)と直接接触しており、好ましくは完全に浸漬される。動作している電子デバイス10は、容器12に流入及び/又は容器12から流出し、かつデバイス10に流入及び/又はデバイス10から流出する電気エネルギー及び/又は信号20のソースを有し、電気エネルギー及び/又は信号20に基づいた動作の結果として熱を生成する。当業者であれば理解されるように、流体は、上述した他の特性の全てを提供しなければならないだけでなく、動作している電子デバイス、すなわち、電流/信号の流れを伴う電子デバイスと密接に接触している間、そうすることができなければならないので、そのような用途において効果的に機能し得る熱伝達流体を発見することが、重要な課題である。そのような用途で使用するためにその他の点では有望であり得る多くの流体は、電子デバイスの動作によって生じる条件に曝されるとデバイスをショートさせ、劣化させるか、又は動作している電子デバイスと接触すると動作に有害な何らかの他の特性を有しているかのいずれかであろうため、使用に適さないであろうことが理解されるであろう。
【0192】
対照的に、本発明の方法は、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体を、デバイス10が動作しているときにデバイス10と直接熱的及び物理的に接触した状態で提供することによって、優れた結果をもたらす。この動作の熱は、(a)流体の液相を気化させて、蒸気11Bを形成させること、又は(b)液状熱管理流体11Aの温度を上昇させること、又は(c)(a)と(b)との組み合わせ、によって、組成物1~38の各々を含む熱管理流体11Aに安全かつ効果的に伝達される。
【0193】
本発明の相変化熱伝達システムの場合には、本明細書では、図2Aを参照する。そのような動作では、熱は、液体が気化し、蒸気が容器12内の組成物1~38の各々を含む残りの熱管理液を通って上昇するにつれて、デバイス10から運び去られる。次いで、熱管理流体蒸気11Bが、吸収した熱を、閉じたヒートシンク40A及び/又は外部ヒートシンク40Bであり得るヒートシンク40に放出する。容器12の内部にあるヒートシンクの一例が、熱管理流体蒸気の凝縮温度を下回る温度の、水などの循環液を有する凝縮器コイル30A及び30Bである。容器12の外部にあるヒートシンクの一例が、容器12(この場合、好ましくは、冷却フィンなどを含む)の上を比較的冷たい周囲空気を通過させることであり、これは、容器の内面上で、熱伝達蒸気11Bを凝縮させる働きをするであろう。この凝縮の結果、液状熱管理流体は、デバイス10が動作中に浸漬されたままである液状流体11Aのプールに戻される。
【0194】
本発明の顕熱伝達システムの場合には、本明細書では、図2Bを参照する。そのような動作では、組成物1~38の各々を含む液体11Aの温度が、熱管理流体11Aに浸漬され、好ましくは、実質的に完全に浸漬されたデバイスによって生成される熱を受け入れる際に、液体の温度が上昇するにつれて、熱が、デバイスから運び去られる。次いで、より高温の熱管理流体液11Aが、吸収した熱を、閉じたヒートシンク40A及び/又は外部ヒートシンク40Bであり得るヒートシンク40に放出する。容器12の内部にあるヒートシンクの一例が、加熱された液体の温度を下回る温度の、水などの循環液を有する冷却コイル30A及び30Bである。容器12の外部にあるヒートシンクの一例が、加熱された液体11Aを、導管45を通じて容器から除去することであり、導管45は、比較的冷たい周囲空気又は冷媒によって提供され得るなどの冷たい流体と熱接触され、これが、液体の温度を下げるように機能する。次いで、冷却された液体が、導管46を介して戻される。
【0195】
任意選択的に、しかし好ましくは、電気自動車で使用されるバッテリの熱管理を伴う特定の実施形態では、熱管理システムは、例えば、同様に熱管理流体中に浸漬される電気加熱要素60など、組成物1~38の各々を含む熱管理流体を加熱することができる加熱要素を含む。当業者には理解されるように、電気自動車内のバッテリ(図2A及び図2Bの動作している電子デバイス10に対応する)は、冬月に多くの地理的位置で屋外に駐車されている間に比較的低温に到達し得、そのような低温条件は、バッテリ動作に望ましくないことがよくある。したがって、本発明の熱管理システムは、バッテリ温度が所定のレベルを下回ると加熱素子をオンにするセンサ及び制御モジュール(図示せず)を含み得る。そのような場合、ヒータ60が作動され、熱管理液11Aが加熱され、それにより、最小温度に達するまで、この熱を電子デバイス10に伝達するであろう。その後、動作中、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体が、上記のように冷却機能を果たすであろう。
【0196】
本発明の目的のために、組成物1~38の各々を含む熱管理流体は、発熱構成要素と直接接触され得るか、又は発熱構成要素と間接的に接触され得る。
【0197】
熱管理流体が発熱構成要素と間接的に接触する場合、組成物1~38の各々を含む熱管理流体は、少なくとも2つの熱交換器を含み得る、電子デバイス内の閉じたシステム内で使用され得る。熱管理流体が、発熱構成要素を冷却するために使用される場合、通常、構成要素の少なくとも一部と接触している熱交換器を通じて、熱が、構成要素から熱管理流体へ伝達され得るか、又は熱管理流体と熱接触している熱交換器に熱を伝導することができる循環空気に、熱が伝達され得る。
【0198】
本発明の特に好適な特徴では、組成物1~38の各々を含む熱管理流体は、発熱構成要素と直接接触している。特に、発熱構成要素は、熱管理流体中に完全に又は部分的に浸漬される。好ましくは、発熱構成要素は、熱管理流体中に完全に浸漬される。熱管理流体は、次いで、温められた流体として、又は蒸気として熱交換器に循環され得、熱交換器は、流体又は蒸気から熱を取り込み、その熱を外部環境に伝達する。この熱伝達の後、冷却された熱管理流体(冷却又は凝縮された)は、発熱構成要素を冷却するために、システム内に戻されて再循環される。
【0199】
熱管理流体が単相液体である場合、熱管理流体は、発熱構成要素によって加熱されたときに液状のままであろう。したがって、熱管理流体は、発熱構成要素と接触され得、発熱構成要素からの熱の除去、及びより高温の熱管理流体の産出もたらす。次いで、熱管理流体が、ラジエータ又は別の冷却システムなどの二次冷却ループに移送される。そのようなシステムの一例が図2に示されており、図では、熱管理流体は、いくつかのセルを収容するバッテリパックエンクロージャに入り、バッテリパックから熱を奪ってエンクロージャから出る。
【0200】
組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体が2相で存在するとき、発熱構成要素は、熱管理流体と熱接触し、熱を熱管理流体に伝達し、熱管理流体の沸騰をもたらす。次いで、熱管理流体が、凝縮される。そのようなシステムの一例が、発熱構成要素が熱管理流体中に浸漬され、外部冷却回路が、沸騰している流体を液体状態に凝縮させる場合である。
【0201】
熱管理流体の導電率及び/又は絶縁耐力は、流体が、電子デバイスの電子構成要素と直接接触する場合(直接浸漬冷却など)、又は熱管理流体が、冷却ループから漏出するか、若しくはメンテナンス中にこぼれて、電気回路と接触する場合に、重要となる。したがって、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体は、好ましくは電気絶縁性熱管理流体である。
【0202】
組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体は、例えば、ポンプなどの機械装置を使用することによって、受動的又は能動的にデバイス内で再循環され得る。本発明の好適な特徴では、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体は、デバイス内で受動的に再循環される。
【0203】
受動的な再循環システムは、典型的には熱管理流体が気化するまで、熱を発熱構成要素から熱管理流体に伝達することによって機能し、加熱された蒸気が、熱交換面に進み、熱を熱交換器表面に伝達し、凝縮して液体に戻る。熱交換面は、例えば、図2に関連して上述したように、別個の熱交換ユニットの一部であってもよく、及び/又は容器と一体であってもよいことが理解されるであろう。次いで、凝縮された液体が、好ましくは、重力及び/又はウィッキング構造によって完全に受動的に、発熱構成要素と接触している熱管理流体内に戻る。したがって、本発明の好適な特徴では、発熱構成要素から組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体に熱を伝達する工程は、熱管理流体を気化させる。
【0204】
受動的な再循環システムの例としては、ヒートパイプ又は熱サイフォンが挙げられる。このようなシステムは、重力を用いて、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体を受動的に再循環させる。そのようなシステムでは、熱管理流体は、発熱構成要素によって加熱されて、より密度が低く、より浮力が高い加熱された熱管理流体になる。この熱管理流体は、熱管理流体が冷えて凝縮するタンクなどの貯蔵容器に移動する。冷却された熱管理流体は、次に、熱源に戻る。
【0205】
電子デバイスは、発熱構成要素を含む。発熱構成要素は、その動作の一部として熱を生成する電子素子を含む任意の構成要素であり得る。本発明の目的のために、発熱構成要素は、これらに限定されないが、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用されるウェハ、電力制御用半導体、配電用スイッチギヤ、電源トランス、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化若しくは非パッケージ化半導体デバイス、半導体集積回路、燃料電池、レーザー(従来の又はレーザーダイオード)、発光ダイオード(LED)、及び、例えば、高電力用途、例えばハイブリッド車又は電気自動車などで使用される電気化学セルなど、半導体集積回路(IC)、電気化学セル、パワートランジスタ、抵抗器、及びエレクトロルミネセンス素子を含む。
【0206】
本発明の目的のために、電子デバイスは、これらに限定されないが、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、サーバ、携帯電話、タブレット、デジタル家庭電化製品(例えば、テレビ、メディアプレーヤ、ゲームコンソールなど)、パーソナルデジタルアシスタント、データセンター、据置並びに車載の両方のバッテリ、ハイブリッド車若しくは電気自動車、風力タービン、列車エンジン、又は発電機を含む。好ましくは、電子デバイスは、ハイブリッド車又は電気自動車である。
【0207】
本発明は更に、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体を備える電子デバイスに関する。本発明の目的のために、熱管理流体は、電子デバイスを冷却及び/又は加熱するために提供される。
【0208】
本発明は更に、発熱構成要素と、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体と、を備える電子デバイスに関する。本発明の目的のために、電子デバイスは、熱交換器を更に含み得、特に、熱交換器は、発熱構成要素の少なくとも一部と接触している。
【0209】
本発明は更に、発熱構成要素と、熱交換器と、ポンプと、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体と、を備える電子デバイスに関する。
【0210】
本発明の目的のために、発熱構成要素は、マイクロプロセッサ、半導体デバイスを製造するために使用されるウェハ、電力制御用半導体、配電用スイッチギヤ、電源トランス、回路基板、マルチチップモジュール、パッケージ化若しくは非パッケージ化半導体デバイス、半導体集積回路、燃料電池、レーザー(従来の又はレーザーダイオード)、発光ダイオード(LED)、及び、例えば、高電力用途、例えばハイブリッド車又は電気自動車などで使用される電気化学セルなど、半導体集積回路(IC)、電気化学セル、パワートランジスタ、抵抗器、及びエレクトロルミネセンス素子から選択され得る。
【0211】
本発明の目的のために、電子デバイスは、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、サーバ、携帯電話、タブレット、デジタル家庭電化製品(例えば、テレビ、メディアプレーヤ、ゲームコンソールなど)、パーソナルデジタルアシスタント、データセンター、ハイブリッド車若しくは電気自動車、据置並びに車載の両方のバッテリ、風力タービン、列車エンジン、又は発電機から選択され得、好ましくは、電子デバイスは、ハイブリッド車又は電気自動車である。
【0212】
本発明は更に、電子デバイスを冷却するための、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体の使用に関する。本発明の目的のために、電子デバイスは、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、サーバ、携帯電話、タブレット、デジタル家庭電化製品(例えば、テレビ、メディアプレーヤ、ゲームコンソールなど)、パーソナルデジタルアシスタント、データセンター、ハイブリッド車若しくは電気自動車、据置並びに車載の両方のバッテリ、風力タービン、列車エンジン、又は発電機から選択され得、好ましくは、電子デバイスは、ハイブリッド車又は電気自動車である。
【0213】
冷媒及び熱伝達組成物の使用
本発明はまた、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を備える熱伝達システムを提供する。本明細書に記載の熱伝達システムは、流体連通している蒸発器と、凝縮器と、圧縮機と、を有する蒸気圧縮システムであり得ることが理解されるであろう。
【0214】
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、二次流体として使用され得る。
【0215】
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、様々な異なる熱伝達用途で使用され得ることが理解されるであろう。
【0216】
有機ランキンサイクル
上述したように、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体が有機ランキンサイクルで使用されるとき、それは作動流体と称される。したがって、作動流体は、本出願で考察される熱伝達流体に対応する。熱伝達流体の全ての好適な特徴は、本明細書に記載の作動流体に当てはまる。
【0217】
ランキンサイクルシステムは、熱エネルギーを軸動力の形態の機械的エネルギーに変換するための単純かつ信頼性の高い手段であることが知られている。工業環境では、特に工業環境が既に現場で作業中又は保管中の大量の可燃物を有する場合に、トルエン及びペンタンなどの可燃性作動流体を使用することが可能であり得る。しかしながら、人口の多い地域又は建物付近での発電などの、可燃性かつ/又は有毒な作動流体の使用に関連するリスクが許容されない場合、作動流体として不燃性かつ/若しくは非毒性冷媒を使用する必要があるか、又は少なくとも非常に望ましい。また、GWPの観点から業界内にはこれらの材料を環境的に許容可能なものにする動きもある。
【0218】
本発明による有機ランキンサイクルにおいて廃熱を回収するためのプロセスは、好ましくは、組成物1~38の各々を含む本発明の液相作動流体を、ボイラーを通してポンプ圧送することを伴い、ここで、プロセス流などの外部(廃)熱源は、作動流体を加熱し、それを蒸発させて飽和蒸気又は過熱蒸気にする。この蒸気が、タービンを通って膨張し、廃熱エネルギーが、機械エネルギーに変換される。続いて、気相作動流体を液体に凝縮し、熱抽出サイクルを繰り返すためにボイラーにポンプ圧送し戻す。
【0219】
図4を参照すると、例示的な有機ランキンサイクルシステム70では、組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体は、蒸発器71と凝縮器75との間で循環され、ポンプ72及び膨張デバイス74がそれらの間に機能的に配設される。例示の実施形態では、流体の外部流れは、外部の温かい導管76を介して蒸発器71に向けられる。外部の温かい導管76は、工業プロセス(例えば、発電)、煙道ガス、排ガス、地熱源などからの廃熱源などの温かい熱源から流体を運び得る。
【0220】
蒸発器71は、好ましくは、熱交換器として構成されており、熱交換器は、例えば、温かい導管76からの流体及び作動流体導管77Bからの流体をそれぞれ運ぶ一連の熱的に接続されているが流体的に隔離されたチューブを含み得る。したがって、蒸発器71は、外部の温かい導管76から到着する温かい流体から、膨張デバイス74から作動流体導管77Bを介して到着する相対的により冷たい(例えば、「低温」)作動流体への熱Qinの伝達を促進する。
【0221】
したがって、組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体は、熱Qinの吸収によって温められて蒸発器71から出て、次いで作動流体導管78Aを通ってポンプ72に移動する。ポンプ72は、作動流体を加圧し、それにより、外部エネルギー入力(例えば、電気)を通じて流体を更に温める。結果得られた「高温」流体は、導管78Bを介し、任意選択で、以下に説明されるように再生器73を介して、凝縮器75の入力に移動する。
【0222】
凝縮器75は、蒸発器71と同様の熱交換器として構成されており、例えば、冷たい導管79からの流体及び作動流体導管78Bからの流体をそれぞれ運ぶ一連の熱的に接続されているが流体的に隔離されたチューブを含み得る。凝縮器75は、ポンプ72から作動流体導管78Bを介して到着する、組成物1~38の各々を含む相対的により温かい(例えば、「高温」)作動流体に、外部の冷たい導管79から到着する冷たい流体への熱Qoutの伝達を促進する。
【0223】
凝縮器75から出て、次いで熱Qoutの損失によって冷却された、組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体は、次いで、作動流体導管77Aを通って膨張デバイス74へ移動する。膨張デバイス74は、作動流体が膨張して、それによって流体を更に冷却することを可能にする。この段階で、組成物1~38の各々を含む本発明の流体は、例えばタービンを駆動することによって仕事を行うことができる。結果得られた「低温」流体は、導管77Bを介し、任意選択で、以下に説明されるように再生器73を介して、蒸発器71の入力に移動し、サイクルが、新たに始まる。
【0224】
したがって、作動流体導管77A、77B、78A、及び78Bは、閉ループを画定し、その結果、それらの中に収容された作動流体は、無期限に、又は経路のメンテナンスが必要になるまで、再利用され得る。
【0225】
例示の実施形態では、再生器73は、蒸発器71と、凝縮器75との間に機能的に配設され得る。再生器73は、ポンプ72から放出された、組成物1~38の各々を含む本発明の「高温」作動流体と、膨張デバイス74から流れ出た「低温」作動流体とが、高温作動流体からの熱の堆積と、低温作動流体へのその熱の放出との間のタイムラグを潜在的に伴って、多少の熱を交換することを可能にする。いくつかの用途では、これにより、ランキンサイクルシステム70の全体的な熱効率が高められ得る。
【0226】
したがって、本発明は、組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体を備える有機ランキンサイクルに関する。
【0227】
本発明は更に、有機ランキンサイクルでの組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体の使用に関する。
【0228】
本発明はまた、ランキンサイクルで熱エネルギーを機械エネルギーに変換するためのプロセスを提供し、この方法は、i)組成物1~38の各々を含む本発明の作動流体を熱源で気化させ、結果得られた蒸気を膨張させる工程と、次いで、ii)作動流体をヒートシンクで冷却して蒸気を凝縮させる工程と、を含み、作動流体は、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物である。
【0229】
機械仕事は、発電機などの電気デバイスに送信されて電力を生成することができる。
【0230】
熱源は、例えば、産業廃熱、太陽エネルギー、地熱温水、低圧蒸気、燃料電池を利用する分散型発電設備、原動機、又は内燃機関から選択される熱エネルギー源によって提供され得る。低圧蒸気は、好ましくは、低圧の地熱蒸気であるか、又は化石燃料を動力源とする発電プラントによって提供される。
【0231】
熱源は、好ましくは、産業廃熱、又は内燃機関から選択される熱エネルギー源によって提供される。
【0232】
熱源温度は、例えば、約90℃~800℃超など、広範に変化し得、特定の燃焼ガス及びいくつかの燃料電池については、地理、時節など、無数の要因に依存し得ることが理解されるであろう。
【0233】
例えば、プラスチック製造プラントからの、及び/又は化学プラント若しくは他の工業プラント、石油精製所、及び関連する語形からの廃水若しくは低圧蒸気、並びに地熱源などのソースに基づくシステムは、約175℃以下、又は約100℃以下、及び場合によっては、約90℃程度に低い、又は更には約80℃程度に低いソース温度を有し得る。微粒子及び/又は腐食種を除去するための後続の処理が低温をもたらす燃焼プロセスからの、又は任意の熱源からの排ガスなどのガス状熱源は、200℃以下、約175℃以下、約130℃以下、約120℃以下、約100℃以下、約100℃以下、及び場合によっては、約90℃程度に低い、又は更には約80℃程度に低いソース温度も有し得る。
【0234】
しかしながら、いくつかの用途では、熱源は、少なくとも約200℃、例えば、約200℃~約400℃の温度を有することが好ましい。
【0235】
代替的な好適な実施形態では、熱源は、400~800℃、より好ましくは、400~600℃の温度を有する。
【0236】
ヒートポンプ
上述したように、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体がヒートポンプで使用されるとき、それは冷媒と称される。したがって、冷媒は、本出願が考察される熱伝達流体に対応する。記載の熱伝達流体の全ての好適な特徴は、本明細書に記載の冷媒に当てはまる。
【0237】
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、高温ヒートポンプシステムで使用され得る。
【0238】
図5を参照すると、1つの例示的なヒートポンプシステムでは、ロータリ、ピストン、スクリュー、又はスクロール圧縮機などの圧縮機80が、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒を圧縮し、冷媒は、凝縮器82に運ばれて第1の位置に熱Qoutを放出し、その後、冷媒を膨張デバイス84を通過させて冷媒圧力を低下させ、続いて、冷媒を蒸発器86を通過させて、第2の位置から熱Qinを吸収する。続いて、冷媒が、圧縮のために、圧縮機80に戻される。
【0239】
本発明は、高温ヒートポンプを使用して流体又は物体を加熱する方法を提供し、上記方法が、(a)物体の流体の周辺で、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒組成物を凝縮させるか、又は加熱される工程と、(b)上記冷媒を蒸発させる工程と、を含む。
【0240】
高温ヒートポンプの例としては、ヒートポンプ式タンブル乾燥機又は工業用ヒートポンプが挙げられる。ヒートポンプは、サクションライン/液体ライン熱交換器(SL-LL HX)を備え得ることが理解されるであろう。「高温ヒートポンプ」は、少なくとも約80℃、好ましくは、少なくとも約90℃、好ましくは、少なくとも約100℃、より好ましくは、少なくとも約110℃の温度を生成することができるヒートポンプを意味する。
【0241】
二次ループシステム
上述したように、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体が二次ループシステムで使用されるとき、それは冷媒と称される。
【0242】
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒は、二次ループシステム内の二次冷媒流体として使用され得る。
【0243】
二次ループシステムは、一次冷媒を使用し、その蒸気が二次ループの流体を冷却する一次蒸気圧縮システムループを含む。次いで、組成物1~38の各々を含む二次流体が、用途のために必要な冷却を提供する。そのようなループ内の流体は、冷却された空間付近でヒトに潜在的に曝されるため、二次冷媒流体は、好ましくは、不燃性であり、かつ低毒性を有しなければならない。すなわち、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物は、二次ループシステムで「二次冷媒流体」として使用され得る。
【0244】
図6を参照すると、1つの例示的な二次ループシステムは、一次ループ90及び二次ループ92を含む。一次ループ90では、ロータリ、ピストン、スクリュー、又はスクロール圧縮機などの圧縮機94が、一次冷媒を圧縮し、一次冷媒は、凝縮器96に運ばれて、第1の位置に熱Qoutを放出し、続いて一次冷媒を、膨張デバイス98を通過させて、冷媒圧力を低下させ、続いて一次冷媒を、冷媒/二次流体熱交換器100を通過させて、組成物1~38の各々を含む二次流体と熱Qinを交換し、二次流体は、ポンプ102を介して、二次ループ92を通って二次ループ熱交換器104へポンプ圧送され、例えば、更なる位置に冷却を提供することに対して、熱Qin-sを吸収する。
【0245】
一次ループ(ループの蒸気圧縮サイクル、外部/屋外部分)で使用される一次流体は、以下に限定されないが、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、プロパン、R455A、R32、R466A、R44B、R290、R717、R452B、R448A、及びR449Aから選択され得、好ましくは、HFO-1234ze(E)、HFO-1234yf、又はプロパンである。
【0246】
二次ループシステムは、冷却又は空調用途で使用されてもよく、つまり、二次ループシステムは、二次ループ冷却システム又は二次ループ空調システムであってもよい。
【0247】
組成物1~38の各々を含む本発明の二次冷媒を含む二次ループ冷却システムを含むことができる冷却システムの例としては、
● 低温冷却システム、
● 中温冷却システム、
● 商用冷蔵庫、
● 商用冷凍庫、
● 産業用冷凍庫、
● 産業用冷蔵庫、及び
● 冷却器が挙げられる。
【0248】
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒を利用する二次ループ空調システムを含むことができる空調システムの例としては、移動式空調システム又は据置空調システムが挙げられる。自動車、トラック、及びバスなどの路上走行車の空調、並びにボート、及び列車の空調を含む移動式空調システム。例えば、車両がバッテリ又は電源を含む場合。
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒を利用する二次ループ空調システムを含むことができる据置空調システムの例としては、
冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
住宅用ヒートポンプ、
住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
産業用空調システム、
パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム、
商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、が挙げられる。
【0249】
本発明による特に好適な熱伝達システムは、蒸気圧縮システム(一次ループ)と、二次ループ空調システムと、を備える自動車用空調システムであり、一次ループは、冷媒としてHFO-1234yfを含み、第2のループは、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒又は熱伝達組成物を含む。特に、二次ループは、バッテリなど、自動車エンジン内の構成要素を冷却するために使用され得る。
【0250】
二次ループ空調又は冷却システムは、サクションライン/液体ライン熱交換器(SL-LL HX)を備え得ることが理解されるであろう。
【0251】
方法
組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒を利用する二次ループ空調システムを含むことができる本発明の熱伝達流体又は熱伝達組成物は、既存の流体の代替品として使用することができる。
【0252】
本発明は、熱伝達システム内の既存の熱伝達流体を置き換える方法を含み、この方法が、(a)システムから既存の熱伝達流体の少なくとも一部分を除去する工程と、続いて(b)本発明の熱伝達流体を上記システム内に導入する工程と、を含む。工程(a)は、工程(b)の前に、既存の熱伝達流体の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、又は少なくとも約99.5重量%、又は実質的に全てをシステムから除去することを含み得る。
【0253】
この方法は、工程(a)を実施した後、及び工程(b)を実施する前に、上記システムを溶媒でフラッシングする工程を、任意選択で含み得る。
【0254】
本発明の目的のために、組成物1~38の各々を含む本発明の熱伝達流体は、電子デバイス内の、有機ランキンサイクル内の、高温ヒートポンプ内の、又は二次ループ内の既存の流体を置き換えるために使用され得る。
【0255】
例えば、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体は、HFC-4310mee、HFE-7100、及びHFE-7200などの既存の流体の代替品として使用され得る。あるいは、組成物1-38の各々を含む熱管理流体は、水及びグリコールを置き換えるために使用され得る。代替品は、既存のシステム内、又は既存の流体で機能するように設計された新しいシステム内にあってもよい。あるいは、組成物1-38の各々を含む熱管理流体は、既存の冷媒が以前に使用された用途で使用され得る。例えば、組成物1-38の各々を含む本発明の冷媒は、HFC-245fa、HFC-134a、HFC-404A、及びHFC-410Aなどの既存の冷媒の代替として使用され得る。組成物1-38の各々を含むこの冷媒は、既存の冷媒が以前に使用された用途で使用され得る。代替的に、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒は、既存のシステムにおいて既存の冷媒を改良するために使用することができる。代替的に、組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒は、既存の冷媒と共に機能するように設計される新しいシステムで使用することができる。
【0256】
本発明は、熱伝達システム内の既存の冷媒を置き換える方法を提供し、この方法は、(a)システムから既存の冷媒の少なくとも一部分を除去する工程と、続いて(b)組成物1~38の各々を含む本発明の冷媒をシステム内に導入する工程と、を含む。既存の冷媒は、例えば、HFC-245fa、HFC-134a、HFC-404A、及びHFC-410Aから選択され得る。
【0257】
工程(a)は、工程(b)の前に、既存の冷媒の少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約99重量%、又は少なくとも約99.5重量%をシステムから除去することを含み得る。
【0258】
この方法は、工程(a)を実施した後、及び工程(b)を実施する前に、上記システムを溶媒でフラッシングする工程を、任意選択で含み得る。
【実施例
【0259】
実施例1-有機ランキンサイクル
本実施例は、組成物1~38の各々を含む本発明の組成物が、有機ランキンサイクルにおける様々な作動流体の推定熱効率の比較に基づいて、有機ランキンサイクルにおける作動流体として有用であることを示す。本実施例では、ORCシステムは、凝縮器、ポンプ、ボイラー、及びタービンを含むと仮定され、以下の表1に示すように、以下の定性的結果が生じるであろう。
【0260】
【表7】
【0261】
実施例2-熱交換器におけるNovec 7200と比較した組成物1~38
電気自動車のバッテリは、充電及び放電時の動作中に熱を発生する。車両用バッテリの典型的な設計は、3つのタイプ、すなわち、円筒形セル、パウチセル、及びプリズムセルの間で異なる。3つのタイプは全て、それらの形状に起因する熱伝達に関して、異なる考慮事項を有する。プリズムセル及びパウチセルは、真っ直ぐな外面のために、冷却板と共に使用されることが多い。円筒形セルは、セルの外殻と熱接触する冷却リボンを使用する。セルの充電及び放電中の多大な発熱は、性能を低下させ、バッテリ寿命を低減させる可能性のある温度の上昇につながり得る。
【0262】
バッテリ冷却板セットアップを使用して、バッテリに能動的冷却を提供し、熱を除去する(例えば、電気自動車のバッテリから熱を除去する)ことができる。本実施例では、組成物1~38の各々、並びに3M Novec 7200を含む本発明の流体の性能を、単相熱伝達において冷却を提供するそれらの能力について分析する。
【0263】
対流性熱伝達は、直接接触によって、すなわち、バッテリエンクロージャを通ってポンプ圧送され得る流体中にバッテリが浸漬されるときか、又は間接的に、すなわち、対流性熱伝達と、伝導性熱伝達との組み合わせを伴う冷却板を使用することによってのいずれかで生じ得ることが理解されるであろう。
【0264】
本実施例は、0.55インチの内径を有する円形チューブを使用して、10246 BTU/h(3kW)の冷却負荷を提供した。チューブの長さは、2.9PSI(20kPa)の推定圧力損失を伴う30ft(9.14m)であった。流体温度は、7.2C(45F)であった。内部熱伝達係数を乱流について決定する。冷却負荷を除去するために必要な質量流量を、両方の流体について決定した。比較の結果が、以下の表に示されている。発生した熱を除去するのに必要な質量流量は、3M Novec 7200の場合とほぼ同じか、又はそれ未満であり、有用な出力(すなわち、熱伝達係数)は、3M Novec 7200とほぼ同じか,又はそれより高いことが結果から分かる。
【0265】
【表8】
【0266】
実施例3-二次ACシステム
推定成績係数(COP)によって決定された二次ループ空調システムの効率が、R1234ze(E)、R1234yf、及びプロパンを主冷媒オプションとし、組成物1~38の各々を二次冷媒として使用した場合について、評価される。このシステムは、蒸気圧縮一次ループと、内部熱交換器によって熱的に接続されたポンプ式二相二次ループとで構成される。この内部熱交換器は、一次ループに対しては蒸発器として、及び二次ループに対しては凝縮器として作用する。表2に定義される、各単位動作の指定条件での一次冷媒及び二次冷媒の熱力学特性を使用して、COPが、空調システムにおけるR410Aの性能に対して評価される。
【0267】
【表9】

用語:T=温度、□=効率、□=差、SC=過冷却、SH=過熱、IHX=中間熱交換器、Sat=飽和
【0268】
【表10】
【0269】
表3は、異なる一次冷媒を有し、かつ組成物1~38の各々を二次冷媒として使用する二次ACシステムの熱力学的性能を示し、二次ACシステムの能力は、全ての場合においてR410Aシステムに適合されている。
【0270】
実施例4-組成物1~38を用いた高温ヒートポンプ用途
高温ヒートポンプは、廃熱を利用して、高いヒートシンク温度を提供することができる。本発明の組成物1~38は、広い範囲の凝縮温度にわたってR245faとほぼ等しいか又はそれよりも優良な効率を各々提供する。
【0271】
○ 動作条件:
● 90℃、100℃、及び110℃の間で変化した凝縮温度
● 過冷却:10℃
● 蒸発温度:25℃
● 蒸発器過熱:15℃
● 等エントロピ効率:65%
【0272】
【表11】
【0273】
実施例5-二次ループ中温冷却システムの熱力学的性能
推定成績係数(COP)によって決定された二次ループ中温冷蔵システムの効率が、R1234ze(E)、R1234yf、及びプロパンを主冷媒オプションとし、組成物1~38の各々を二次冷媒として使用した場合について、評価された。このシステムは、蒸気圧縮一次ループと、内部熱交換器によって熱的に接続されたポンプ式二相二次ループとで構成される。この内部熱交換器は、一次ループについては蒸発器として、及び二次ループについては凝縮器として作用する。空調システムにおけるR134a、並びに組成物1~38の各々が、R134aの効率にほぼ匹敵するか、又はそれより優良である性能に対して、COPを評価した。
【0274】
実施例6-組成物1~38を使用する顕熱浸漬冷却用途
電気自動車のバッテリは、充電及び放電時の動作中に熱を発生する。車両用バッテリの典型的な設計は、3つのタイプ、すなわち、円筒形セル、パウチセル、及びプリズムセルの間で異なる。3つのタイプは全て、それらの形状に起因する熱伝達に関して、異なる考慮事項を有する。セルの充電及び放電中の多大な発熱は、性能を低下させ、バッテリ寿命を低減させる可能性のある温度の上昇につながり得る。
【0275】
本発明の組成物1~38は、低い誘電率、高い絶縁耐力を有し、不燃性流体であり、組成物1~38の各々に浸漬されたバッテリセルの直接冷却を可能にする。
【0276】
本実施例は、18650タイプの1792個の円筒形バッテリセルからなるバッテリモジュールを考察する。ある場合には、バッテリモジュールは、バッテリセルと接触しているフラットチューブ熱交換器内の水/グリコールの50/50混合物によって冷却される。他の場合には、セルは、組成物1~38の各々中に浸漬される、すなわち、流体と直接接触する。バッテリモジュールの廃熱は8750Wで、セルの総数にわたって均一に分布する。仮定及び動作条件が、表5に列挙されている。
【0277】
【表12】
【0278】
【表13】
【0279】
実施例10-データセンター内に組成物1~38を使用する二相浸漬冷却用途
データセンターの冷却の一例が、図7を参照しながら、提供される。一般に200で示されるデータセンターは、電子機器ラック210のうちの1つ以上に収容されている複数の電子サブシステム220を含む。電子サブシステム220のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数、好ましくは全て、垂直に延在する液体-空気熱交換器243と、液体-空気熱交換器243を横切って冷却空気流244を方向付けるための供給及び戻りダクト241、242と、を(一実施形態では)含む冷却ステーション240に関連付けられている。冷却サブシステム219は、複数の電子サブシステム220のうちの少なくとも1つ、好ましくは複数、好ましくは全てに関連付けられている。好適な実施形態では、図7に示されるように、サブシステム220の全てが、冷却ステーション240及び冷却サブシステム219と関連付けられる。各冷却サブシステム219は、(本実施形態では)複数の電子構成要素223を備えるそれぞれの電子サブシステム220を囲むハウジング221(好ましくは低圧ハウジングである)を備える。電子構成要素は、データセンターの一部として動作しており、データセンター内でそれらの機能を実行する結果として熱を発生させる。構成要素は、一例として、プリント回路基板、マイクロプロセッサモジュール、及びメモリデバイスを含む。各電子サブシステムは、動作しているとき、組成物1~38の各々を含む本発明の熱管理流体224内に浸漬されている発熱構成要素を有する。流体224は、典型的な動作中に沸騰し、本発明による誘電蒸気225を生成する。例示的な実施形態では、電子サブシステム220は、電子サブシステム220を斜めに収容するために、電子機器ラック210内に上向きに傾斜した支持レール222を提供することによって、角度付けされている。例示された電子サブシステムの角度付けは、冷却サブシステム219と、関連付けられたローカル冷却ステーション240の液体-空気熱交換器243との間の蒸気225の浮力駆動循環を促進する。しかしながら、本発明及び本実施例による優れた結果は、そのような角度付けが使用されないと、同じようにうまく達成されない。複数の冷却剤ループ226は、液冷式電子サブシステム及び液体-空気熱交換器243のそれぞれの部分と流体接触及び熱接触して連結されている。具体的には、複数のチューブ部分300が、液体-空気熱交換器243を貫通し、液体-空気熱交換器243は、この実施例では、複数の空冷フィン310を含む。蒸気225は、ハウジング221から液体-空気熱交換器243の対応するチューブ部分300へ浮力駆動され、そこで蒸気が凝縮し、次いで、関連付けられた液冷式電子機器サブシステムに液体として戻される。冷却空気流244は、データセンター200の複数のローカル冷却ステーション240の供給ダクト241と平行に提供され、加熱された気流が、戻りダクト242を介して排気される。本発明の流体ではないが、本明細書に記載の装置が、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2013/0019614号に開示されている。
【0280】
上述のシステムは、組成物1~38の各々を含む本発明からなる熱管理流体と、凝縮器のためのヒートシンクとしての周囲空気と、を用いて動作され、このシステムは、システムが、動作しているデータセンター内でその機能を実行している間、電子構成要素を最も所望の動作温度範囲に効果的に、効率的に、安全に、かつ高信頼性で維持するように動作する。
【0281】
実施例11-1-クロロ-2,3,3-テトラフルオロシクロブタ-1-エン(化合物1)の調製
メカニカルスターラー、ビグリューカラム、及び添加漏斗を備えた1リットルの三口フラスコに、74gの亜鉛粉末、220mLの1,4-ジオキサン、及び0.5gのZnClを入れた。混合物を95℃に加熱し、212.7gの1,1,2-トリクロロ-2,3,3-トリフルオロシクロブタンを撹拌しながら滴下漏斗を介して滴下した。ビグリューカラムを介して生成物を留去し、次いで充填カラムを通して再蒸留して、121.4gの99%1-クロロ-2,3,3-テトラフルオロシクロブタ-1-エン(化合物1)を収率85.4%で得た。
【0282】
実施例12-1,3,4-トリフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタ-1-エン(化合物8)の調製
100gのKOH粉末、100gのCaO粉末、1.2gのt-ブチルカテコール、1.2gのジフェニルアミン、及び2.5gのアリコート336を充填した、機械式撹拌機、ビグリューカラム、及び添加漏斗を備えた1Lの三口フラスコの内容物を、撹拌しながら90~100℃に加熱した。次に、110gの1,2,3,4-テトラフルオロ-1,2-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタンを滴下漏斗を介して滴下し、以下の反応が起こった:
【0283】
【化12】
【0284】
反応生成物を連続的に蒸留し、0.2gのt-ブチルカテコールを含有するドライアイストラップ中に回収する。合計9リットルの透明な液体を100℃で3時間後に回収する。GC分析を行い、1,3,4-トリフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)シクロブタ-1-エン(それぞれ化合物8A及び8B)の65%のシス及びトランス混合物、35%の出発物質を他の副生成物と共に示す。
【0285】
実施例13-1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2-((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)シクロブタ-1-エン(化合物14)及び1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1,2-ビス((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)シクロブタ-1-エン(化合物15)の調製
85%水酸化カリウム(35g、85%純度に基づいて0.53モル)の溶液を200gの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパノール中で調製し、600mLのステンレス鋼オートクレーブに充填し、次いでこれを密封し、ドライアイスで冷却し、排気した。81.6gのペルフルオロシクロブテン(0.5mol)をオートクレーブに真空移送した。室温に温めた後、オートクレーブを60℃にゆっくり加熱し、一晩撹拌した。30psigの圧力が発生し、次いで急速に低下した。18時間後、オートクレーブをフード内で開け、内容物を分液漏斗中の水1000mL中に注ぎ、下方の有機層を分離し、乾燥し、蒸留した。蒸留後、回収された生成物は、20gの出発物質;45%の収率で75.6gの1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-2-((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)シクロブタ-1-エン(化合物14)(約81~82℃の測定沸点);及び48%の収率で110.8gの99.4%純度の3,3,4,4-ペンタフルオロ-1,2-ビス((1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン-2-イル)オキシ)シクロブタ-1-エン(化合物15)(約26~127℃の測定沸点)であった。形成された各生成物の構造をGCMS及びNMR分析によって確認した。
【0286】
実施例14-ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1-イル)オキシ)ベンゼン(化合物16)の調製
85%水酸化カリウム(65g、85%純度に基づいて1.0モル)の溶液を200mLのフェノール中で調製し、600mLのステンレス鋼オートクレーブに充填し、次いでこれを密封し、冷却し、排気した。162gのパーフルオロシクロブテン(1.0mol)をオートクレーブに真空移送し、加温後、オートクレーブを室温で一晩撹拌した。30psigの圧力が発生し、次いで急速に低下した。18時間後、オートクレーブをフード内で開け、内容物を分離漏斗に注ぎ、250mLの水で2回洗浄した。下方の有機層を分離し、乾燥し、蒸留する。38~40℃/0.5torrで沸騰する((ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1-イル)オキシ)ベンゼン(化合物16)200gが得られる。回収した生成物の構造をGCMS及びNMR分析によって調べ、化合物16であることを確認する。
【0287】
実施例15-(ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ジベンゼン(化合物17)の調製
85%水酸化カリウム(120g、85%純度に基づいて1.82モル)の溶液を300mLのフェノール中で調製し、600mLのステンレス鋼オートクレーブに充填し、次いでこれを密封し、冷却し、排気した。147gのペルフルオロシクロブテン(0.91mol)をオートクレーブに真空移送し、室温で一晩撹拌した後、オートクレーブを開け、反応混合物を1リットルの冷水に入れてクエンチした。有機層を分離し、水相を二塩化メチレンで2回(2×200mL)抽出した。合わせた有機物を飽和塩化ナトリウムで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、蒸留して、242gの((ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ジベンゼン(化合物17)を収率86%で得、これは0.5torrで68~70℃の沸点を有していた。
【0288】
実施例16-1-クロロ-3,3,4,4-テトラフルオロ-2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)シクロブタ-1-エン(化合物18)の調製
100gの2,2,2-トリフルオロエタノール中の101.0g(0.51モル)の1,2-ジクロロテトラフルオロシクロブテンの溶液を、200gの2,2,2-トリフルオロエタノール中の37.0g(0.56モル)のカリウムヒドロキシド(85%)の溶液で室温で滴下処理した。溶液を24時間撹拌した後、混合物を脱イオン水1000mL中でクエンチし、得られた有機層を乾燥させ、蒸留して、1-クロロ-3,3,4,4-テトラフルオロ-2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)シクロブタ-1-エン(化合物18)58.2gを得た。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱及び/又はエネルギーを、物品、デバイス、若しくは流体に、及び/又は物品、デバイス、若しくは若しくは流体から、伝達するための熱伝達組成物であって、前記熱伝達流体が、式I又は式II又は式IIIによる化合物を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり:
【化1】

式中、各R及び各R’が、独立して、H、F、Cl、R1、及びOR1から選択され、各R1が、独立して:非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルカン;あるいは非置換であるか、又はF及び/若しくはClで置換されているC1~C3アルケン;あるいはBzであり、Bzが非置換ベンゼン環であり、ただし、分子がシクロブテン環中の炭素に結合した少なくとも3つのF置換基を有し、前記化合物が式Iによる化合物を含むが、ただし、R’がClでなく、前記組成物が約25℃~約150℃の沸点を有し、約8未満の誘電率を有する、熱伝達組成物。
【請求項2】
((ペルフルオロシクロブタ-1-エン-1,2-ジイル)ビス(オキシ))ジベンゼンであって、以下の構造:
【化3】

を有する化合物。
【請求項3】
請求項1に記載の組成物と熱伝達接触しているか又は請求項2に記載の化合物と接触している冷却された電子構成要素。
【国際調査報告】