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  • 特表-粘性流のリーク検知 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】粘性流のリーク検知
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/34 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G01M3/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518613
(86)(22)【出願日】2022-09-12
(85)【翻訳文提出日】2024-05-22
(86)【国際出願番号】 EP2022075305
(87)【国際公開番号】W WO2023057173
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】102021125707.7
(32)【優先日】2021-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500469855
【氏名又は名称】インフィコン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Inficon GmbH
【住所又は居所原語表記】Bonner Strasse 498, D-50968 Koeln, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(74)【代理人】
【識別番号】100225026
【弁理士】
【氏名又は名称】古後 亜紀
(74)【代理人】
【識別番号】100230248
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 圭二
(72)【発明者】
【氏名】ヴェツィヒ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ブラクトホイザー・イェシカ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイス・セバスチャン
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA01
2G067BB03
2G067DD02
(57)【要約】
【課題】ガスを高速かつ一様に移動させることで被検ガス検出を迅速かつ高い再現性で行うことが可能な、より高い費用対効果の真空リーク検知システムおよびより高い費用対効果の真空リーク検知方法を提供する。
【解決手段】真空リーク検知の装置は、真空ポンプ18と、被検体を収めるように構成されて真空ポンプ18により排気されることが可能な被検室12と、真空ポンプ18により被検室12から排気されたガスを検出するガス検出器16と、を備える。被検室12は複数の真空接続部26を有しており、被検室12を排気するための真空ポンプ18が、複数の真空接続部26に対して設けられている。真空接続部26に接続された共有のポンプ空間28が、流れの方向に沿って真空接続部26と真空ポンプ18との間に設けられており、かつ、真空ポンプ18により排気されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リーク検知の装置であって、
真空ポンプ(18)と、
被検体を収容するように構成されており、前記真空ポンプ(18)により排気されるように構成された被検室(12)と、
前記真空ポンプ(18)により前記被検室(12)から排気されたガスを検出するガス検出器(16)と、
を備え、前記被検室(12)に、該被検室(12)を排気する複数の真空接続部(26)が設けられており、該真空接続部が前記真空ポンプ(18)に接続されている、装置において、
前記真空接続部(26)に接続された共有のポンプ空間(28)が、流れの方向に沿って前記真空接続部(26)と前記真空ポンプ(18)との間に設けられており、該ポンプ空間が前記真空ポンプ(18)により排気されることを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記真空接続部(26)が、前記ポンプ空間(28)に開口していることを特徴とする、装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置において、前記ポンプ空間(28)が、前記被検室(12)の壁部、底部(24)または蓋部(22)に形成されていることを特徴とする、装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置において、前記複数の真空接続部(26)が、それぞれ別々の真空ラインで前記ポンプ空間(28)に接続されており、これら真空ラインの長さが略同じであることを特徴とする、装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の装置において、前記ポンプ空間(28)が、共有のポンプライン(14)を介して前記真空ポンプ(18)に接続されていることを特徴とする、装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の装置において、前記真空接続部(26)が、孔として形成されており、かつ、前記被検室(12)のうち、該被検室の空間を画成する少なくとも1つのハウジング壁(20)にわたって分布していることを特徴とする、装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の装置において、前記真空接続部(26)が、前記被検室(12)の少なくとも1つの壁部および/または蓋部(22)および/または底部(24)にわたってグリッド状に分布していることを特徴とする、装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の装置において、前記真空接続部(26)が、一様に分布して配置されていることを特徴とする、装置。
【請求項9】
真空リーク検知装置を用いた真空リーク検知の方法であって、
前記真空リーク検知装置が、真空ポンプ(18)、ガス検出器(16)および被検室(12)を具備し、
前記真空ポンプ(18)が、前記被検室(12)を排気するものであり、
前記ガス検出器(16)が、前記真空ポンプ(18)により前記被検室(12)から排気されたガス中の被検ガスを検出するものであり、
前記被検室(12)が、共有のポンプ空間(28)に接続された複数の真空接続部(26)を有し、
前記ポンプ空間(28)が、流れの方向に沿って前記被検室(12)と前記真空ポンプ(18)との間に形成されており、当該方法は、
前記被検室(12)内に被検体を配置する過程と、
前記被検室(12)から前記ポンプ空間(28)内へと及ぶガス圧力勾配が、前記被検室(12)内で該被検室(12)を横断するどのガス圧力勾配よりも大きくなるように、前記ポンプ空間(28)および前記被検室(12)を排気する過程と、
を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、前記被検室(12)から排気されるガスの流量は、前記被検室(12)内よりも、前記ポンプ空間(28)内のほうが高くなることを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項9または10に記載の方法において、真空リーク検知時の前記被検室(12)内の別々の2箇所のガス圧力の差が、無視可能なほど小さく、好ましくは1%未満であることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載の方法において、前記真空ポンプ(18)の入口で且つ/或いは前記ポンプ空間(28)内で生じる真空圧が、72mbar未満、好ましくは36mbar未満、極めて好ましくは18mbar未満であることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項9から12のいずれか一項に記載の方法において、前記被検室(12)内で生じる真空圧が、前記ポンプ空間(28)内で生じる真空圧よりも高く、かつ、特には80mbar未満、好ましくは40mbar未満、極めて好ましくは20mbar未満であることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検ガスを含んだ被検体のリーク検知の方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検室内に被検体を配置し、真空ポンプで被検室空間を排気することにより、被検ガスを含ませた食品包装体、熱交換器などの中空体のような被検体について、その密閉性を検査することが知られている。被検室内において被検体外部の領域の圧力が被検体内部の圧力よりも低くなると、被検体にリークがあればそこから被検ガスが漏出し、これが真空ポンプによって排気される。真空ポンプで排気されたガス流は、被検ガスを検出するガス検出器による分析を受ける。
【0003】
古典的なヘリウムリーク検知では、被検体にヘリウムが充填され、該被検体が大気圧または大気圧よりも高圧に設定される。典型的には、まずフォアポンプ(Vorpumpe)で被検室を予備排気しておき、リーク測定時にターボ分子ポンプで該被検室を数ミリバール以下の圧力まで排気する。被検体のリークから被検ガスが漏出していると、被検室外に排気されたガスのうち、被検ガスの濃度が、検出器で検出される。この被検ガス濃度または被検ガス分圧が、被検体のリーク量の尺度となる。被検室内の作動圧が1mbar未満にもなると、ガスの拡散速度は十分に高速化しており、被検体を漏出した被検ガスは、大きな遅延も伴わずにガス検出器のセンサ系統に達することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガスを高速かつ一様に移動させることで被検ガスの検出を迅速かつ高い再現性で行うことが可能な、より高い費用対効果の真空リーク検知システムおよびより高い費用対効果の真空リーク検知方法を提供するという目的に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、複数の真空接続部が設けられた被検室が真空ポンプに接続されており、排気されたガス流中の被検ガスが、ガス検出器によって検出される。本件における真空接続部とは、前記被検室の内部から、前記真空接続部に接続された対象空間内へとガスが流通することが可能な、前記被検室の壁部および/または底部および/または蓋部における開口部のことであると理解されたい。
【0006】
少なくとも前記複数の真空接続部、好ましくは全ての真空接続部が、共有のポンプ空間と接続されてこのポンプ空間に開口している。該ポンプ空間は、ポンプラインを介して前記真空ポンプに接続されている。前記ガス検出器は、前記ポンプラインに接続されたものとされ得る。前記真空接続部は、前記被検室のうち、該被検室の空間を境界決めする少なくとも1つの壁部および/または底部および/または蓋部に形成されており、かつ、最大限均等に分布している。前記真空接続部は、運転時、前記被検室が前記真空ポンプで排気された際に前記ポンプ空間内に形成される真空圧が前記被検室内に形成される真空圧よりも低くなるように設計されている。排気されるガスの流速は、前記被検室内よりも、前記共有のポンプ空間のほうが高くなる。つまり、前記被検室に収められた被検体から該被検体のリークを通って漏出する被検ガスは、前記被検室内での移動速度のほうが、該被検室から任意の前記真空接続部を通り抜けた後の移動速度よりも低速になる。被検ガスが前記被検室から真空接続部を通り抜けると、トレーサガスが加速し、速度を増して前記検出器に供給される。前記真空接続部は複数あるので、前記被検体のリークとこれに最も近い真空接続部との間の距離は、真空接続部が一つしかない従来のものよりも短くなる。つまり、被検ガスが前記被検室から真空接続部を通り抜けるまでに前記被検室内で移動しなければならない距離が短くなる。このため、リークから前記ガス検出器までの被検ガスの移動時間も短縮する。
【0007】
さらに、漏洩ガスがリークから前記検出器に達する際の時間が、前記被検室内での被検体のリークの位置に左右され難くなる。つまり、室内での被検体自体の位置にも左右され難くなる。被検体にリークが存在した場合に検査系統によって任意の時点で計測される信号強度が、被検室内での該被検体の位置に左右され難くなる。
【0008】
従来の古典的な真空リーク検知の方法とは異なり、本発明に係る真空リーク検知の方法は、高真空ポンプやターボ分子真空ポンプを必要とせず、代わりにダイアフラムポンプ、スクロールポンプ、回転ベーンポンプなどの、技術的により簡素な、それほど高価でもない真空ポンプで運用させることが可能である。結果として、本発明に係る真空リーク検知は技術的にシンプルかつ費用対効果がより高いものとなる。
【0009】
前記真空接続部は、前記被検室内の空間を画定する少なくとも1つの壁部および/または底部および/または蓋部にわたって均等に、例えば一様に分布して配置されたものであり得る。好ましくは、複数の壁部および/または前記底部および/または前記蓋部のそれぞれに、複数の真空接続部が設けられている。前記真空接続部同士は、例えば、グリッドのパターンで配置され得る。前記被検室の空間は、少なくとも1つの被検室壁部および/または被検室底部および/または被検室蓋部内の、例えば前記ポンプ空間を形成する二重底、二重壁等によって形成されたものであってもよい。
【0010】
前記複数の真空接続部は、略同じ長さのラインで前記ポンプ空間に接続されたものであり得る。略同じ長さとは、真空ライン同士の長さの差が任意の真空ラインの全長の10%未満であることを意味する。
【0011】
本発明によれば、技術的に比較的簡素で比較的安価な真空排気系統により、排気されるガスを高速かつ均一に移動させて真空リーク検知を迅速に行うことが可能となる。これは、前記真空接続部に接続された前記ポンプ空間により、前記被検室内の任意の箇所の圧力と該ポンプ空間内の任意の箇所の圧力との差を、前記被検室内の別々の2箇所の圧力の差よりも大きくすることによって実現される。つまり、前記被検室内の任意の箇所から前記ポンプ空間(Pumpvolumen)内の任意の箇所までの距離にわたるガス圧力勾配が、前記被検室内の任意の箇所間の圧力勾配よりも大きくなり、好ましくは有意に大きくなる。
【0012】
本発明では、前記被検室内での圧力分布が最大限一様となり、つまり、前記被検室内における前記被検体外部の領域での別々の箇所同士の圧力の差が1%以下になる一方で、前記ポンプ空間内の任意の箇所のガス圧力は前記被検室内の任意の箇所の圧力よりも有意に低くなる。好ましくは、前記ポンプ空間内の任意の箇所の圧力は、前記被検室内の任意の箇所の圧力よりも10%以上低い。前記被検室内の圧力は好ましくは80mbar未満、より好ましくは40mbar未満、極めて好ましくは20mbar未満であるのに対し、前記ポンプ空間内の圧力は好ましくは72mbar未満、より好ましくは36mbar未満、極めて好ましくは18mbar未満である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施形態の概略図である。
図2】第2の実施形態の概略図である。
図3】第3の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
各実施形態において、被検室12は、ポンプライン14を介して真空ポンプ18に接続されている。ポンプライン14には、ガス検出器16が接続されている。真空ポンプ18は、ダイアフラムポンプ、スクロールポンプまたは回転ベーンポンプであり得る。典型的に、前記被検室は、蓋部22、底部24および複数の壁部20で形成されている。図1及び図2には開状態の被検室12がそれぞれ描かれているが、図示の各矢印の方向に蓋部22を気密に閉じられるようにもなっている。
【0016】
図1及び図2に示す各実施形態の蓋部22には、複数の真空接続部26が設けられている。グリッド型に配置された真空接続部26が、蓋部22の内側全体にわたって一様に分布している。真空接続部26は孔として形成されており、図中では点として描かれている。図1及び図2では、真空接続部26同士が共有のポンプ空間28に開口している。ポンプ空間28は、蓋部22内の空洞部として形成されており、かつ、ポンプライン14を介して真空ポンプ18に接続されている。
【0017】
図3に示す実施形態は、被検室の蓋部22と底部24の両方、さらには、全ての壁部20に複数の真空接続部26がそれぞれ設けられているという点で、図1及び図2に示す各実施形態と異なる。ここでも、真空接続部26は点として簡略的に描かれている。真空接続部26はそれぞれ別々の真空ライン30でポンプ空間28に接続されており、該ポンプ空間がポンプライン14に開口している。最も単純な場合において、ポンプ空間28はポンプライン14の一部であり得る。
【0018】
図示しない被検体が被検室12内に配置されて被検室12が閉じられた後、真空ポンプ18により、被検室12内の圧力が80mbar未満、好ましくは40mbar未満、極めて好ましくは20mbar未満に低下させられる。前記被検室内の圧力は、好ましくは72mbar未満、より好ましくは36mbar未満、極めて好ましくは18mbar未満とされる。
【0019】
前記被検体にリークがあると、該被検体内部からそのリークを通って被検ガスが被検室12に漏出し、これが少なくとも1つの真空接続部26を通ってポンプ空間28に吸引される。真空接続部26は複数あるので、最も近い真空接続部26から被検ガスがポンプ空間28に達するまでに該被検ガスが前記被検室内で移動しなければならない距離が比較的短くなる。本発明では真空接続部26が複数あるので、被検室内の任意の箇所から最も近い真空接続部26までの相対距離が、真空接続部が一つしかない従来の原理に比べて短くなる。これにより、漏洩ガスが漏出してから検出器に達するまでの経過時間についての、被検室内でのリークの場所の違いによるズレが、真空接続部が一つしかない場合よりも小さくなる。つまり、被検室内でのリークの随時の場所の違いによるこのような時間差が、真空接続部が一つしかない場合よりも小さくなる。
【0020】
被検ガスが真空接続部26を流れ抜けると、ポンプ空間28内は圧力や気体濃度が低くなっているため、被検ガスが加速する。排気されるガスの拡散速度や流量は、被検室12内よりもポンプ空間28内やポンプライン14内のほうが大きくなる。
【0021】
被検室12内の任意の別々の箇所間の経路に沿って運転時に形成されるガス圧力勾配は、被検室12内の任意の箇所からポンプ空間28内の任意の箇所までの経路に沿って形成されるガス圧力勾配よりも小さくなる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】