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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】吸引破砕術用尿管鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/22 20060101AFI20240920BHJP
   A61B 17/94 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
A61B17/22 510
A61B17/94
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518614
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2022117841
(87)【国際公開番号】W WO2023045770
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】202111096813.1
(32)【優先日】2021-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524111167
【氏名又は名称】寧波新躍医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】NINGBO XINWELL MEDICAL TECHNOLOGY CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】524111178
【氏名又は名称】寧波大学附属第一医院
【氏名又は名称原語表記】THE FIRST AFFILIATED HOSPITAL OF NINGBO UNIVERSITY
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】程躍
(72)【発明者】
【氏名】単剣
(72)【発明者】
【氏名】陳卿業
(72)【発明者】
【氏名】呉海良
(72)【発明者】
【氏名】方立
(72)【発明者】
【氏名】黄俊俊
(72)【発明者】
【氏名】謝国海
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160EE15
4C160MM53
4C160NN30
(57)【要約】
吸引破砕術用尿管鏡の(100)は、尿管鏡本体(10)と、尿管鏡本体(10)に操作可能に設けられる操作部(20)と、結石破砕機構(30)とを含む。尿管鏡本体(10)は、管構造本体(11)と、管構造本体内(11)で前端部(110)から後端部(120)まで延びる吸引通路(13)とを含み、吸引通路(13)は前端部(110)に位置する吸引口(131)を有する。結石破砕機構(30)は管構造本体(11)内に移動可能に設けられて第1状態と第2状態との間で切り替え可能であり、第1状態にある場合に結石破砕機構(30)の破砕ヘッド(32)が吸引口(131)から張り出して結石を破砕し、第2状態にある場合に結石破砕機構(30)の破砕ヘッド(32)が吸引口(131)に引っ込んで吸引口(131)を塞いだ砕石を破砕する。吸引破砕術用尿管鏡(100)は吸引破砕により、破砕された結石によって吸引口が塞がることを回避する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部及び後端部を有する尿管鏡本体と、前記尿管鏡本体の後端部に操作可能に連結される操作部と、結石破砕機構と、を含み、
前記尿管鏡本体は、管構造本体と、前記管構造本体内で前記後端部から前記前端部まで延びており、前記前端部に位置する少なくとも1つの注入口を有する少なくとも1つの注入通路と、前記管構造本体内で前記前端部から前記後端部まで延びており、前記前端部に位置する吸引口を有する吸引通路と、を含み、
前記結石破砕機構は、前記管構造本体内に移動可能に設けられて第1状態と第2状態との間で切り替え可能であり、第1状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口から張り出して結石を破砕し、第2状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口に引っ込んで、前記吸引口を塞いだ砕石を破砕することを特徴とする、吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項2】
前記尿管鏡本体は、前記吸引通路に連通する結石破砕通路をさらに含み、前記結石破砕機構は、前記結石破砕通路に伸縮可能に設けられ、前記結石破砕機構が第1状態にある場合、前記破砕ヘッドは、前記結石破砕通路を介して前記吸引通路に入り込んで前記吸引口から張り出す、請求項1に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項3】
前記結石破砕通路は、本体部と、前記本体部と前記吸引通路との間に延在する連通部と、を含み、前記連通部は、前記吸引通路と前記本体部とを連通する、請求項2に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項4】
前記連通部の中心軸線と前記吸引通路の中心軸線との間の夾角の範囲は、0°~45°である、請求項3に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項5】
前記管構造本体は、前端面と外周面とを有し、前記吸引口は、前記前端面に形成され、前記管構造本体の前端面は、前記外周面の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びる、請求項3に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項6】
前記結石破砕機構が第2状態にある場合、前記結石破砕機構の前記破砕ヘッドは、前記吸引口の中部領域に位置する、請求項4に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項7】
前記結石破砕機構が第2状態にある場合、前記破砕ヘッドの先端は、前記前端面と面一である、請求項6に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項8】
前記結石破砕通路は、前記吸引通路の側方に位置する、請求項2~7のいずれか一項に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項9】
前記結石破砕通路は、前記吸引通路と前記尿管鏡本体の後端部との間に延びており、前記結石破砕通路は、前記吸引通路と前記結石破砕通路とを連通する連通口を有する、請求項2に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項10】
前記操作部は、前記注入通路に連通する第1操作端と、前記吸引通路に連通する第2操作端と、前記結石破砕通路に連通する第3操作端とを含む、請求項2に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項11】
前記注入通路の注入口は、第1向きを有し、流体が前記注入通路に沿って前記注入口から前記第1向きの指す第1方向で腎盂内に注入されることを許容し、前記吸引通路の吸引口は、前記第1向きと所定の角度をなす第2向きを有し、該流体が前記腎盂内で転向された後に前記第2向きの指す第2方向で前記吸引口から前記吸引通路に吸入されて流体循環を形成することを許容する、請求項1に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【請求項12】
前記管構造本体は、前端面と、前記前端面に形成される外周面とを有し、前記注入口は、前記管構造本体の前記外周面に形成され、前記吸引口は、前記管構造本体の前記前端面に形成される、請求項1に記載の吸引破砕術用尿管鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療機器の分野に関し、特に、吸引破砕術用尿管鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、尿管鏡は、泌尿器系結石疾患の治療に広く用いられている。具体的には、尿管鏡は、尿道口から尿管又は腎臓内に入り込むことができ、医療従事者は、尿管鏡を用いて画像取得装置、照明装置などの装置と組み合わせて腎臓内の状況を観察し、目標位置の結石を破砕することができる。
【0003】
実際の使用中に、尿管鏡により結石を破砕する過程において、結石のサイズが大きい場合、従来の尿管鏡は、結石を等価直径が2mm程度の砕石まで破砕した後に粉末化することが難しく、また、有効な排出機構により砕石を患者の体外に排出することが難しい。したがって、従来の尿管鏡により結石を破砕した後、60%~90%の砕石が腎臓内に残り、体外にタイムリーに自然に排出することは困難であるため、砕石の排出率が低い。残りの砕石は、尿管にストーンストリートを形成して尿管を塞ぐ可能性があり、結石再発率が高い要因の1つである。
【0004】
この問題を解決するために、砕石を排出可能な尿管鏡の設計案が提案されている。該設計案において、尿管鏡に砕石排出機構が設けられて、砕石を体外にタイムリーに排出する。しかしながら、実際の使用中に、砕石が尿管鏡の排出機構内で詰まりやすく、患者の体外に排出されにくい。
【0005】
このため、砕石排出中の詰まりを回避する新たな結石排出手段が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の1つの目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、前記吸引破砕術用尿管鏡は、「吸引破砕」により、吸引口が破砕された結石によって塞がることを回避することができる。
【0007】
本願の別の目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、前記吸引破砕術用尿管鏡の結石破砕機構は、腎臓内に形成された結石を破砕するだけでなく、砕石を排出するための吸引通路の吸引口に位置する砕石を破砕することができ、これにより、前記吸引口が破砕された結石によって塞がることを回避することができる。
【0008】
本願の別の目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、前記吸引破砕術用尿管鏡は、破砕された結石を迅速に排出して、結石の排出効率を向上させることができる。
【0009】
本願のさらに別の目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、破砕された結石が前記吸引口に吸引されると、前記吸引口に位置する結石破砕機構は、破砕された結石を正確に破砕することができる。
【0010】
本願のさらに別の目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、破砕された結石が前記吸引口に詰まると、破砕された結石の位置が安定し、前記吸引口に位置する結石破砕機構は、砕石をより破砕しやすい。
【0011】
本願のさらに別の目的は、吸引破砕術用尿管鏡を提供することであり、注入通路の注入口と吸引通路の吸引口を合理的に配置することにより、前記吸引口と前記注入口の設計の柔軟性を向上させ、前記吸引口と前記注入口のサイズをいずれも大きくすることができ、このように、砕石をより容易に通過させて、砕石が前記吸引破砕術用尿管鏡を塞ぐことを防止する。
【0012】
本願の他の利点及び特徴は、以下の説明から明らかになり、特許請求の範囲において特別に示される手段及び組み合わせによって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記少なくとも1つの目的を実現するために、本願の一態様によれば、本願は、
前端部及び後端部を有する尿管鏡本体と、前記尿管鏡本体の後端部に操作可能に連結される操作部と、結石破砕機構と、を含み、
前記尿管鏡本体は、管構造本体と、前記管構造本体内で前記後端部から前記前端部まで延びており、前記前端部に位置する少なくとも1つの注入口を有する少なくとも1つの注入通路と、前記管構造本体内で前記前端部から前記後端部まで延びており、前記前端部に位置する吸引口を有する吸引通路と、を含み、
前記結石破砕機構は、前記管構造本体内に移動可能に設けられて第1状態と第2状態との間で切り替え可能であり、第1状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口から張り出して結石を破砕し、第2状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口に引っ込んで、前記吸引口を塞いだ砕石を破砕する、吸引破砕術用尿管鏡を提供する。
【0014】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記尿管鏡本体は、前記吸引通路に連通する結石破砕通路をさらに含み、前記結石破砕機構は、前記結石破砕通路に伸縮可能に設けられ、前記結石破砕機構が第1状態にある場合、前記破砕ヘッドは、前記結石破砕通路を介して前記吸引通路に入り込んで前記吸引口から張り出す。
【0015】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記結石破砕通路は、本体部と、前記本体部と前記吸引通路との間に延在する連通部と、を含み、前記連通部は、前記吸引通路と前記本体部とを連通する。
【0016】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記連通部の中心軸線と前記吸引通路の中心軸線との間の夾角は、0°~45°である。
【0017】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記管構造本体は、前端面と外周面とを有し、前記吸引口は、前記前端面に形成され、前記管構造本体の前端面は、前記外周面の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びる。
【0018】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記結石破砕機構が第2状態にある場合、前記結石破砕機構の前記破砕ヘッドは、前記吸引口の中部領域に位置する。
【0019】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記結石破砕機構が第2状態にある場合、前記結石破砕機構の前記破砕ヘッドの先端は、前記前端面と面一である。
【0020】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記結石破砕通路は、前記吸引通路の側方に位置する。
【0021】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記結石破砕通路は、前記吸引通路と前記尿管鏡本体の後端部との間に延びており、前記結石破砕通路は、前記吸引通路に連通する連通口を有する。
【0022】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記操作部は、前記注入通路に連通する第1操作端と、前記吸引通路に連通する第2操作端と、前記結石破砕通路に連通する第3操作端とを含む。
【0023】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記注入通路の注入口は、第1向きを有し、流体が前記注入通路に沿って前記注入口から前記第1向きの指す第1方向で腎盂内に注入されることを許容し、前記吸引通路の吸引口は、前記第1向きと所定の角度をなす第2向きを有し、該流体が前記腎盂内で転向された後に前記第2向きの指す第2方向で前記吸引口から前記吸引通路に吸入されて流体循環を形成することを許容する。
【0024】
本願に係る吸引破砕術用尿管鏡において、前記管構造本体は、前端面と、前記前端面に形成される外周面とを有し、前記注入口は、前記管構造本体の前記外周面に形成され、前記吸引口は、前記管構造本体の前記前端面に形成される。
【0025】
本願のさらに他の目的及び利点は、後述する説明及び図面に対する理解から明らかになるであろう。
【0026】
本願のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な説明、図面及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面を参照しながら、本願の実施例をより詳細に説明することによって、本願の上記及び他の目的、特徴及び利点はより明らかになるであろう。図面は、本願の実施例のさらなる理解を提供するためのものであり、本明細書の一部を構成し、本願の実施例とともに本願を解釈するためのものであり、本願を限定するものではない。図面において、同じ参照符号は、通常、同じ部品又はステップを示す。
【0028】
図1】従来の尿管鏡の作動概略図である。
図2】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡を示す概略図である。
図3】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡を示す別の概略図である。
図4】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す概略図である。
図5A】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分概略図(その1)である。
図5B】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分概略図(その2)である。
図5C】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分概略図(その3)である。
図5D】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分概略図(その4)である。
図6A】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分断面図である。
図6B】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分斜視図である。
図7A】本願の実施例の一変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分断面図である。
図7B】本願の実施例の一変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分斜視図である。
図8A】本願の実施例の別の変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分断面図である。
図8B】本願の実施例の別の変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分斜視図である。
図9A】本願の実施例のさらに別の変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分断面図である。
図9B】本願の実施例のさらに別の変形例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示す部分斜視図である。
図10】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の尿管鏡本体を示すさらに別の部分断面図である。
図11A】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の作動過程を示す概略図(その1)である。
図11B】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の作動過程を示す概略図(その2)である。
図11C】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の作動過程を示す概略図(その3)である。
図11D】本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡の作動過程を示す概略図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照しながら、本願に係る例示的な実施例を詳細に説明する。明らかに、説明された実施例は、本願の一部の実施例に過ぎず、本願の全ての実施例ではなく、本願は、ここで説明された例示的な実施例に限定されない。
【0030】
出願の概要
前述したように、尿管鏡により結石を破砕する過程において、結石のサイズが大きい場合、従来の尿管鏡は、結石を等価直径が2mm程度の砕石まで破砕した後に粉末化することが難しく、また、有効な排出機構により砕石を患者の体外に排出することが難しい。残りの砕石は、結石再発率が高い要因の1つである。
【0031】
該設計案において、尿管鏡に砕石排出機構が設けられて、砕石を体外にタイムリーに排出する。しかしながら、実際の使用中に、砕石が尿管鏡の排出機構内で詰まりやすく、患者の体外に排出されにくい。
【0032】
具体的には、破砕された結石を排出するために、いくつかの尿管鏡は、負圧吸引の原理により、破砕された結石を排出通路に吸引し、排出通路を介して体外に排出する。図1に示すように、尿管鏡により腎盂内の結石を除去することを例として、まず、結石を破砕するための光ファイバは、尿管鏡の先端から張り出してレーザーを出射することができ、レーザーは、強い衝撃力を発生させることができる。次に、レーザーが結石に作用し、結石が腎盂内に嵌め込んでいるため、結石が衝撃力を受けた後に腎臓で受け止められ、後に移動することが困難であり、そのためレーザーのエネルギーの大部分を受け、さらに破砕される。しかしながら、破砕されたばかりの結石が移動可能な状態にあり、破砕された結石(つまり、砕石)にレーザーが作用した場合、破砕された結石は、固定されていないため、衝撃力を受けて弾かれて、さらに破砕されにくくなる。そして、砕石が排出通路の入口に吸引され、サイズの大きい砕石が排出通路の入口に吸引される場合や、大量の砕石が同時に排出通路の入口に押し流される場合、前記排出通路の入口が塞がったため、破砕された結石が排出されにくくなる。
【0033】
本願の発明者らは、砕石吸引と砕石破砕との協働により、砕石を排出する吸引通路の吸引口が破砕された結石によって塞がることを回避する「吸引破砕」という結石排出手段を提案する。具体的には、前記吸引通路内の負圧作用により、破砕された結石を前記吸引口に吸引しつつ、前記吸引口に位置する結石破砕機構により、破砕された結石をさらに破砕する。
【0034】
これに基づいて、本願は、吸引破砕術用尿管鏡を提供する。この吸引破砕術用尿管鏡は、前端部及び後端部を有する尿管鏡本体と、前記尿管鏡本体の後端部に操作可能に連結される操作部と、結石破砕機構と、を含み、前記管鏡本体は、管構造本体と、前記管構造本体内で前記後端部から前記前端部まで延びており、前記前端部に位置する少なくとも1つの注入口を有する少なくとも1つの注入通路と、前記管構造本体内で前記前端部から前記後端部まで延びており、前記前端部に位置する吸引口を有する吸引通路と、を含み、前記結石破砕機構は、前記管構造本体内に移動可能に設けられて第1状態と第2状態との間で切り替え可能であり、第1状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口から張り出して結石を破砕し、第2状態にある場合、前記結石破砕機構の破砕ヘッドが前記吸引口に引っ込んで前記吸引口を塞いだ砕石を破砕する。
【0035】
例示的な尿管鏡
図2図11Dを参照して、本願の実施例に係る吸引破砕術用尿管鏡100を説明する。説明の便宜上、前記吸引破砕術用尿管鏡100が腎盂p内の結石cの治療に適用される場合を例として、前記吸引破砕術用尿管鏡100を説明する。
【0036】
前記吸引破砕術用尿管鏡100は、腎臓の状況を検査し、腎盂p内の結石cを破砕し、破砕された結石(即ち、砕石)をガイドして排出するために用いられる。本願の実施例において、前記吸引破砕術用尿管鏡100は、前端部110及び後端部120を有する尿管鏡本体10と、前記尿管鏡本体10の前記後端部120に操作可能に連結される操作部20と、結石を破砕する結石破砕機構30とを含む。
【0037】
実際の使用中に、前記尿管鏡本体10は、前記吸引破砕術用尿管鏡100の挿入部として尿道から尿管又は腎臓内に入り込むことができ、腎臓及び腎臓内に位置する結石の画像を撮影するために、前記尿管鏡本体10には、画像取得装置300及び光源400が設けられてもよい。好ましくは、前記尿管鏡本体10は滑らかな外面を有するか、又は前記尿管鏡本体10の外面が患者の体内に入った後に滑らかになり、これにより、前記尿管鏡本体10は、腎臓内にスムーズに入ることができる。図2に示すように、前記操作部20は、前記吸引破砕術用尿管鏡100と外部機器とを接続するブリッジとして、画像出力装置500(例えば、前記画像取得装置300と通信可能に接続されるコンピュータ)と通信可能に接続されて腎臓の画像を取得し、さらに、使用者が腎盂p内の結石cの状況を観察しやすくなる。そして、操作可能部材(例えば、前記結石破砕機構30、ガイド機構600、注液装置700、及び吸引装置800)は、前記操作部20を介して他の機能的操作を行うことができる。例えば、前記操作部20を介して前記尿管鏡本体10に入り込んだホルミウムレーザーにより腎盂p内の結石cを破砕し、さらに例えば、前記操作部20を介して前記尿管鏡本体10に連通する吸引装置800により腎臓内の砕石を吸引する。
【0038】
具体的には、図4に示すように、前記尿管鏡本体10は、管構造本体11と、少なくとも1つの注入通路12と、吸引通路13とを含む。前記少なくとも1つの注入通路12は、前記管構造本体11内で前記後端部120から前記前端部110まで延び、前記吸引通路13は、前記管構造本体11内で前記前端部110から前記後端部120まで延びる。また、好ましくは、前記注入通路12により流体を腎臓内にガイドして砕石を押し流すと同時に、砕石を巻き込んだ流体を前記吸引通路13に吸引し、かつ砕石の押し流しと砕石の吸引との間の干渉を回避できるように、前記注入通路12と前記吸引通路13とは、互いに独立している。
【0039】
前記少なくとも1つの注入通路12は、前記前端部110に位置する少なくとも1つの注入口121と、前記少なくとも1つの注入口121に連通する少なくとも1つの第1操作口122とを有し、流体は、前記注入口121から腎臓に到達して腎臓内の砕石を押し流すことができる。前記吸引通路13は、前記前端部110に位置する吸引口131と、前記吸引口131に連通する第2操作口132とを有し、破砕された結石は、前記吸引口131に吸引されて前記吸引口131から前記吸引通路13に入り、前記吸引通路13を介して排出される。
【0040】
それに応じて、前記操作部20は、操作本体21と、前記操作本体21に設けられて前記注入通路12に連通する第1操作端22と、前記操作本体21に設けられて前記吸引通路13に連通する第2操作端23とを含む。前記操作部20は、前記第1操作口122に連通する前記第1操作端22を介して前記注入通路12に連通し、前記第2操作口132に連通する前記第2操作端23を介して前記吸引通路13に連通する。前記第1操作端22は、注液装置700に接続され、前記注液装置700が前記注入通路12を介して流体を腎盂p内に注入して砕石を押し流すことを許容し、前記第2操作端23は、吸引装置800(例えば、エアポンプ)に接続され、前記吸引装置800が前記吸引通路13を介して前記吸引通路13付近の流体及び砕石を吸引することを許容する。前記吸引通路13内の負圧を制御するために、本願の1つの具体的な実施形態において、前記操作部20は、図3及び図4に示すように、前記吸引通路13内の気圧を調整するように構成される負圧調節器27をさらに含む。
【0041】
前記第1操作端22と前記第2操作端23の作用は、本願に限定されないことを理解されたい。前記第1操作端22及び前記第2操作端23は、他の機器が他の機能的操作を行うことを許容するように構成される。例えば、前記第1操作端22は、ガイド機構600が前記注入通路12を通過することを許容し、前記尿管鏡本体10を目標位置にガイドするように構成される。前記操作部20は、他の機器が他の機能的操作を行うことを許容する他の操作端を含んでもよいことを理解されたい。
【0042】
特に、本願の実施例において、前記吸引通路13は、砕石が吸引口131に吸引されることを許容するだけでなく、結石破砕機構30の破砕ヘッド32が吸引口131から張り出したり吸引口131に引っ込んだりして、吸引口131を塞いだ砕石を破砕することを許容する。具体的には、前記結石破砕機構30は、結石破砕本体31と、前記結石破砕本体31に形成される破砕ヘッド32とを含み、前記結石破砕機構30は、前記管構造本体11内に移動可能に設けられて第1状態と第2状態との間で切り替え可能である。前記結石破砕機構30が第1状態にある場合、前記結石破砕機構30の破砕ヘッド32は、前記吸引口131から張り出して砕石を破砕し、前記結石破砕機構30が第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の破砕ヘッド32は、前記吸引口131に引っ込んで前記吸引口131を塞いだ砕石を破砕する。つまり、前記結石破砕機構30は、腎盂p内に形成される結石cを破砕するだけでなく、破砕された、結石排出通路を塞いだ砕石をさらに破砕することができる。
【0043】
なお、前記結石破砕機構30が第1状態にある場合、前記結石破砕機構30は、前記吸引口131から張り出し、破砕された後の結石は、前記吸引口131に対向し、前記吸引口131に吸引されやすく、結石の排出効率を向上させることができる。
【0044】
実際の使用中に、いくつかの破砕された結石は、サイズが大きいため、前記吸引口131に到達する場合、前記吸引口131を塞ぎ、排出されにくく、他の砕石の排出を妨害し、結石の排出効率に影響を与えるため、さらに破砕される必要がある。しかしながら、破砕されたばかりの結石は、移動可能な状態にあり、結石破砕機構30により移動可能な砕石を破砕する場合、移動可能な砕石の位置が絶えず変化するため、結石破砕機構30に狙われにくくなる一方、前述のとおり、破砕された結石は、固定されていないため、衝撃力を受けて弾かれて排出されにくくなる。
【0045】
本願の実施例において、砕石吸引と砕石破砕とは互いに協働して、砕石に対する正確な破砕を実現し、結石の排出効率を向上させることができる。具体的には、破砕された結石は、前記吸引口131に吸引され、前記結石破砕機構30は、第2状態に切り替えられ、即ち、前記吸引口131に引っ込み、さらに、同様に前記吸引口131に位置する砕石を正確に破砕し、破砕された結石は、前記吸引口131を介して前記吸引通路13に入り、さらに体外に排出される。また、前記吸引口131を塞いだ砕石は、前記吸引口131に詰まるため、位置が安定する。前記結石破砕機構30が前記砕石を破砕する過程において、砕石が前記吸引通路13の内周壁に受け止められ、前記結石破砕機構30による衝撃力が砕石に作用する場合、砕石は、前記結石破砕機構30によるエネルギーの大部分を受けるため、より破砕されやすく、このように、破砕された結石は、迅速に排出され、結石の排出効率を向上させることができる。
【0046】
多くの砕石が前記吸引口131に同時に吸引されると、前記吸引口131も塞がり、前記結石破砕機構30は、同様に第2状態に切り替えられ、少なくとも一部の砕石を破砕したり、多くの砕石を押し流したりして、前記吸引口131を開放状態に維持し、これにより、砕石が前記吸引口131を迅速に通過して前記吸引通路13に入り、さらに体外に排出され、結石の排出効率を向上させる。
【0047】
なお、前記結石破砕機構30のタイプは、本願に限定されず、前記結石破砕機構30は、ホルミウムレーザー又は結石cを破砕できる他のタイプの工具であってもよい。前記ホルミウムレーザーは、レーザーを出射することができ、ホルミウムレーザーによるエネルギーは、結石cと前記ホルミウムレーザーとの間の水に微小な空泡を生じさせ、エネルギーを結石cに伝達して結石cを破砕することができる。前記ホルミウムレーザーが結石cを破砕する過程において、水は、大量のエネルギーを吸収するため、ホルミウムレーザーによる結石cの周囲の組織への損傷を低減することができる。
【0048】
さらに、前記尿管鏡本体10は、前記吸引通路13に連通する結石破砕通路14をさらに含み、前記結石破砕機構30は、前記結石破砕通路14に伸縮可能に設けられ、前記結石破砕機構30が第1状態にある場合、前記破砕ヘッド32は、前記吸引口131から張り出すように、前記結石破砕通路14を通過して前記吸引通路13まで延び、つまり、前記結石破砕機構30の破砕ヘッド32は、前記結石破砕通路14に沿って前記吸引通路13に入り込み、前記吸引口131から張り出すことができる。
【0049】
本願の実施例において、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13と前記尿管鏡本体10の前記後端部120との間に延びており、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13に連通する連通口141と、前記連通口141に連通して前記後端部120に位置する第3操作口142とを有する。
【0050】
それに応じて、前記操作部20は、前記結石破砕通路14に連通する第3操作端24をさらに含み、前記操作部20は、前記第3操作口142に連通する前記第3操作端24を介して前記結石破砕通路14に連通する。前記第3操作端24は、前記結石破砕機構30が通過してそれに連通する前記第3操作口142から前記結石破砕通路14及び前記結石破砕通路14に連通する吸引通路13に入り込むことを許容する。つまり、前記結石破砕機構30は、前記操作部20の前記第3操作端24を介して前記第3操作口142から前記結石破砕通路14及び前記結石破砕通路14に連通する吸引通路13に入り込み、さらに腎臓内に入って結石cを破砕することができる。
【0051】
本願の実施例において、前記結石破砕通路14は、本体部143と、前記本体部143と前記吸引通路13との間に延びる連通部144とを含み、前記連通部144は、前記吸引通路13に連通する前記連通口141を有し、前記連通口141を介して前記吸引通路13に連通し、かつ、前記連通部144は、前記本体部143から所定の方向に沿って斜め上向きに前記吸引通路13まで延びる。本願の一具体例において、前記所定の延び方向と前記吸引通路13の中心軸線との間の夾角は、0°~45°である。それに応じて、前記連通部144の中心軸線と前記吸引通路13の中心軸線との間の夾角は、0°~45°であり、前記結石破砕機構30の破砕ヘッド23は、前記連通部144に沿って前記吸引通路13の中心軸線に対して45°傾斜する方向に前記吸引口131に入り込む。前記連通部144が急になるほど、その中心軸線と前記吸引通路13の中心軸線とが重なり状態に近くなり、前記結石破砕機構30が速やかに前記吸引通路13を通過して前記吸引口131から張り出すことを理解されたい。前記連通部144と前記吸引通路13の中心軸線との間の夾角は、他の角度、例えば、30°、60°であってもよいが、本願に限定されない。
【0052】
さらに、該具体例において、前記結石破砕機構30が第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の前記破砕ヘッド32は、前記吸引口131の中部領域に位置する。具体的には、前記結石破砕機構30が第1状態から前記第2状態に切り替えられる過程において、前記結石破砕機構30は、前記連通部144に沿って前記所定方向の逆方向に引っ込むことができ、前記結石破砕機構30が前記吸引口131に引っ込む場合、前記結石破砕機構30の前記破砕ヘッド32は、前記吸引口131の中部領域に位置する。
【0053】
なお、前記吸引口131を塞いだ砕石が前記吸引通路13の内周壁に受け止められる部位は不定であるため、前記吸引口131の前記中部領域の周囲に形成される周縁領域で砕石を破砕する場合、砕石が依然として前記吸引口131に詰まる可能性があり、結石の破砕効率が低い。例えば、砕石は、第1部位及び第2部位が、それぞれ、第1周縁領域を形成する内周壁及び第2周縁領域を形成する内周壁に受け止められて前記吸引口131に詰まる場合、前記結石破砕機構30が前記第1周縁領域で砕石の第1部位を破砕するか、又は前記第2周縁領域で砕石の第2部位を破砕するとき、第1部位又は第2部位の破砕に伴って、砕石は、前記吸引口131から離脱して前記吸引通路13に入る可能性がある。しかしながら、前記結石破砕機構30が砕石の前記吸引口131から浮いた部位を破砕する場合、砕石の第1部位又は第2部位が依然として内周壁に受け止められ、前記吸引口131に詰まる可能性がある。結石破砕機構30が前記吸引口131の中部領域で砕石を破砕する場合、前記吸引口131の中部領域に対応する砕石の中央部が破砕され、砕石が前記吸引口131から離脱する。したがって、好ましくは、前記結石破砕機構30が第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の前記破砕ヘッド32は、前記吸引口131の中部領域に位置する。なお、前記結石破砕機構30が第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の前記破砕ヘッド32は、前記吸引口131の他の位置に位置してもよいが、本願に限定されない。
【0054】
該具体例において、前記管構造本体11は、前端面1101と、前記前端面1101の外周側に形成される外周面1102とを有し、前記管構造本体11の前記前端面1101は、前記外周面1102の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びる。例えば、図5Aに示すように、前記管構造本体11の前記前端面1101は、前記外周面1102によって決められる下側から前記下側に対向する上側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びる。
【0055】
具体的には、前記前端面1101は、前記外周面1102の第1側と第2側との間に形成される凸斜面、凹斜面、波型斜面、及び他のタイプの斜面として設計されてもよいが、本願に限定されない。本願の一具体例において、前記前端面1101は、前記外周面1102の第1側と第2側との間の中央が凹んだ波型斜面に形成されるように設計される。
【0056】
他の実施形態において、前記管構造本体11の前記前端面1101は、前記管構造本体11の前記前端面1101が前記外周面1102の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って面一に延びるように設計されてもよいが(即ち、前記前端面1101の前記吸引通路13に近接する第1側の一端は、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向において、吸引通路13に近接する第2側の一端と面一である)、本願に限定されないことを理解されたい。
【0057】
さらに、前記吸引口131は、前記前端面1101に形成されるとともに、前記吸引口131は、前記吸引通路13の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びており、前記外周面1102の第1側が前記吸引通路13の第1側に対応し、前記外周面1102の第2側が前記吸引通路13の第2側に対応する。それに応じて、前記吸引口131の形状は、略楕円である。前記結石破砕機構30が第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の前記破砕ヘッド32の先端は、前記吸引口131の外縁によって形成される面と面一である。前記吸引口131の外縁とは、前記吸引通路13の内周壁の内周縁である。それに応じて、前記吸引口131が前記前端面1101に形成される場合、前記破砕ヘッド32の先端は、前記前端面1101と面一である。
【0058】
なお、前記前端面1101が前記外周面1102の第1側から第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びるように設計される場合、前記吸引口131に大きな分布空間を提供することができ、それに応じて、前記吸引口131のサイズが大きくなり、多くの砕石が前記吸引通路13を通過することを許容し、前記吸引口131が砕石によって塞がることを回避し、結石の排出効率を向上させることができる。
【0059】
本願の実施例において、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13の側方に形成され、例えば、図6A及び図6Bに示すように、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13の第1側に形成されてもよく、図7A及び図7Bに示すように、前記吸引通路13の前記第1側に対向する第2側に形成されてもよく、図8A及び図8Bに示すように、前記吸引通路13の第1側と第2側との間の第3側に形成されてもよく、図9A及び図9Bに示すように、前記吸引通路13の前記第3側に対向する第4側に形成されてもよい。
【0060】
前記前端面1101及び前記吸引口131は、以下のように設計される。前記前端面1101が前記外周面1102の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びており、前記吸引口131が前記吸引通路13の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びる場合、前記吸引口131全体の形状は、略楕円であり、前記吸引口131は、長軸L1及び短軸L2を有し、前記吸引口131は、前記長軸L1上に位置する第1端点11011及び第2端点11012と、前記短軸L2上に位置する第3端点11013及び第4端点11014とを有する。前記第1端点11011と、前記第2端点11012とは対向し、前記前端面1101の前記第1端点11011は、前記第2端点11012よりも後方に位置し、即ち、前記第1端点11011は、前記第2端点11012の後方に位置する。前記第3端点11013と前記第4端点11014とは対向し、いずれも前記第1端点11011と前記第2端点11012との間に位置する。
【0061】
前記第1側は、前記第1端点11011に近接する側を指し、前記第2側は、前記第2端点11012に近接する側を指し、前記第3側は、前記第3端点11013に近接する側を指し、前記第4側は、前記第4端点11014に近接する側を指す。前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13の他の側、例えば、前記第1側と前記第3側との間の第5の側に形成されてもよいが、本願に限定されないことを理解されたい。
【0062】
なお、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13の側方に形成され、前記結石破砕機構30は、前記結石破砕通路14内に伸縮可能に設けられ、前記結石破砕機構30が前記第1状態又は第2状態にある場合、前記結石破砕機構30の、前記破砕ヘッド32を含む前部のみが前記吸引通路13内に位置し、前記結石破砕機構30の後部が前記結石破砕通路14内に位置し、前記吸引通路13内の空間を占有せず、このように、前記結石破砕機構30が前記吸引通路13における砕石の通過に影響を与えることを回避することができる。
【0063】
本願の実施例の変形実施形態において、前記結石破砕通路14は、前記吸引通路13内、又は前記管構造本体11の他の通路内に形成されてもよいが、本願に限定されない。
【0064】
本願の実施例において、前記注入通路12、前記吸引通路13及び前記結石破砕通路14の形成方式は、本願に限定されない。前記注入通路12、前記吸引通路13及び前記結石破砕通路14は、前記管構造本体11自体が有する複数の孔によって形成されてもよく、複数の中空管体が互いに組み合わせて形成されてもよいが、本願に限定されない。
【0065】
実際の使用中に、前記尿管鏡本体10が腎臓に入り込んだ後、前記結石破砕機構30(例えば、ホルミウムレーザー)は、前記尿管鏡本体10を通過して腎臓内に到達して結石cを破砕することができる。前記ホルミウムレーザーが結石cを破砕する過程において、前記注入通路12は、流体をその前記注入口121から吐出して砕石を押し流し、かつ砕石を巻き込んで流すようにガイドすることができる。前記吸引通路13内の気圧が負圧状態にあるため、流体が砕石を巻き込んで前記吸引口131に近接する位置に流れる場合、流体と砕石は、前記吸引通路13に吸引され、流体は、砕石を押し流す過程において、吸引通路13内の吸引力によって干渉されるおそれがある。
【0066】
特に、本願のいくつかの具体例では、前記注入口121と前記吸引口131との相対的な位置関係を調整し、流体の流れ方向を制御することにより、流体の受ける吸引干渉を低減し、さらに結石の排出効率を向上させる。図10に示すように、前記注入通路12の注入口121は、第1向きを有し、流体が前記注入通路12に沿って前記注入口121から前記第1向きの指す第1方向で前記腎盂p内に注入されることを許容し、前記吸引通路13の吸引口131は、前記第1向きと所定の角度をなす第2向きを有し、該流体が前記腎盂p内で転向された後に前記第2向きの指す第2方向で前記吸引口131から前記吸引通路13に吸入されて流体循環を形成することを許容する。
【0067】
前記第2向きが前記第1向きと異なり、かつ前記第1方向が前記第1向きと同じであり、前記第2方向が前記第2向きと逆になり、これにより、前記第1方向と前記第2方向との間の夾角は、0°又は180°ではなく、即ち、前記第1方向と前記第2方向とは、同方向ではなく、互いに逆方向でもない。このように、前記注入口121から前記第1方向に沿って吐出される流体が転向した後に前記第1方向と角度をなす第2方向に沿って還流し、渦流式の流体循環を形成し、これにより、流体が前記注入口121から前記第1方向に沿って吐出された後に前記第1方向の逆方向に沿って前記注入口121と同じ向きを有する吸引口131に直接還流することを回避し、さらに前記吸引通路13内の負圧による前記流体に対する干渉を低減することができる。
【0068】
なお、本願の他の具体例において、前記第1向きと前記第2向きとは、同じであってもよく、前記第1方向と前記第2方向とは、同方向であってもよいし、互いに逆方向となってもよいが、本願に限定されない。
【0069】
本願の実施例において、前記第1方向と前記第2方向との間の夾角は、90°以上で、180°未満である。一具体例において、前記第2方向は、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に平行又は限りなく接近し、前記第1方向と前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向又は径方向との間の夾角は、0°より大きく、90°以下であり、それに応じて、前記第1方向と前記第2方向との夾角は、90°以上で、180°未満である。別の一具体例において、前記第1方向は、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に平行又は限りなく接近し、前記第2方向と前記軸方向との間の夾角は、0°より大きく、90°以下であり、それに応じて、前記第1方向と前記第2方向との夾角は、90°以上で、180°未満である。
【0070】
本願の1つの具体的な実施形態において、前記注入口121の中心軸線と前記吸引口131の中心軸線との間の夾角は、0°より大きく、90°以下であり、これにより、前記第1方向と前記第2方向とが所定の夾角をなす。
【0071】
本願の実施例において、前記注入口121と前記吸引口131とは、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向において面一でなく、このように、前記注入口121と前記吸引口131との間の距離、及び流体の流れ経路を延長することができ、前記吸引通路13内の負圧による流体に対する吸引干渉を低減するだけでなく、流体が流れる領域の範囲がより広いため、流体の流れ経路における砕石をより多く巻き込むことができ、結石の排出効率を向上させることができる。
【0072】
ここでは、前記注入口121と前記吸引口131とが、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向において面一でないとは、前記注入口121と前記吸引口131とが軸方向において段差があり、前記注入口121と前記吸引口131とが、それぞれ、前記尿管鏡本体10の最も前方に位置する前端点との距離が異なることをいう。一具体例において、前記注入口121と前記尿管鏡本体10の前端点との間の距離は、前記吸引口131と前記尿管鏡本体10の前端点との間の距離よりも大きく、つまり、前記吸引口131は、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向において前記注入口121の前方に位置し、前記吸引口131は、前記注入口121よりも前記尿管鏡本体10の前端点に接近する。別の具体例において、前記注入口121と前記尿管鏡本体10の前端点との間の距離は、前記吸引口131と前記尿管鏡本体10の前端点との間の距離よりも小さく、つまり、前記注入口121は、前記吸引口131の前方に位置し、前記注入口121は、前記吸引口131よりも前記尿管鏡本体10の前端点に接近する。
【0073】
本願の実施例の変形実施形態において、前記注入口121と前記吸引口131とは、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向において面一であってもよいが、本願に限定されない。
【0074】
本願の実施例において、前記注入口121と前記吸引口131は、互いに隔離される2つの開口である。本願のいくつかの実施例において、前記注入口121と前記吸引口131は、それぞれ、2つの異なる面に位置する。
【0075】
図5A図5Dに示すように、本願の一具体例において、前記注入口121は、前記管構造本体11の前記外周面1102に形成され、前記吸引口131は、前記管構造本体11の前記前端面1101に形成される。このように、前記注入口121が側向きに開放され、前記吸引口131が前向きに開放され、流体は、前記管構造本体11の外周面1102に形成される前記注入口121から前記第1方向で前記腎盂p内に注入され、かつ転向された後、前記外周面1102を迂回して前記第2方向で前記吸引口131から前記吸引通路13に吸入されて、渦流式の流体循環を形成し、流体の受ける吸引干渉を低減することができる。
【0076】
特に、該具体例において、前記管構造本体11の外周面1102に形成される前記注入口121は、主に前記管構造本体11の軸方向のサイズを占め、前記管構造本体11の前端面1101に形成される前記吸引口131は、主に前記管構造本体11の径方向のサイズを占める。このように、前記管構造本体11の径方向のサイズが限られている条件下で、前記注入口121と前記吸引口131とが前記管構造本体11の径方向に占める空間の割合を調整する必要がなく、前記吸引口131と前記注入口121のサイズがいずれも大きくなり、前記吸引口131と前記注入口121の形状、数量の設計の柔軟性も向上する。前記注入口121及び前記吸引口131を合理的に配置することにより、前記吸引通路13の吸引口131のサイズで流体及び砕石をスムーズに通過させることを保証するとともに、前記注入通路12の注入口121の注液量を保証することができる。
【0077】
前記注入口121の注液量が大きい場合、一方では、前記注入口121から吐出される流体の到達距離が長くなり、砕石に対する衝撃力が大きくなり、受ける吸引干渉が弱くなり、結石の排出効率が向上する。他方では、前記尿管鏡は、低い注入圧で大きな注液量を実現することができ、腎臓内の圧力上昇のリスクを低減する。
【0078】
なお、前述したように、本願のいくつかの実施例において、前記管構造本体11の前記前端面1101は、前記外周面1102の第1側から前記第1側に対向する第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びるように設計される。なお、前記前端面1101が前記外周面1102の第1側から第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って斜め前向きに延びるように設計される場合、前記前端面1101が前記吸引通路13の第1側から第2側に向かって、前記尿管鏡本体10によって決められる軸方向に沿って面一に延びるように設計される場合に比べて、流体が迂回する経路が長くなり、受けた吸引干渉が弱くなるだけでなく、流体が流れる領域の範囲がより広いため、流体の流れ経路における砕石をより多く巻き込むことができ、結石の排出効率を向上させる。
【0079】
なお、好ましくは、流量バランスを実現するために、前記注入通路12の直径サイズは、前記吸引通路13の直径サイズと等しいか、又はそれより若干大きい。ここでは、前記注入通路12の直径サイズが前記吸引通路13の直径サイズと等しいか、又はそれより若干大きいとは、全ての前記注入通路12の等価直径の和が全ての前記吸引通路13の等価直径の和と等しいか、又はそれより若干大きいことを意味する。
【0080】
本願の1つの具体的な実施形態において、前記吸引口131の数は、1であり、前記注入口121の数は、2である。それに応じて、前記少なくとも1つの注入通路12は、第1注入通路と、第2注入通路とを含み、前記第1注入通路は、前記前端部110に位置する第1注入口を有し、前記第2注入通路は、前記前端部110に位置する第2注入口を有する。好ましくは、前記第1注入口と前記第2注入口とは、対向して設けられる。
【0081】
該実施形態において、前記第1注入通路の第1内径と前記第2注入通路の第2内径の平均値は、前記吸引通路13の直径の2分の1以上であり、前記注入口121のサイズは、前記第1注入通路のサイズに合わせ、前記吸引口131のサイズは、前記吸引通路13のサイズに合わせる。ここでは、前記第1注入通路と前記第2注入通路の平均直径とは、前記第1注入通路の等価直径と前記第2注入通路の等価直径の平均値である。前記吸引通路13の直径とは、前記吸引通路13の等価直径である。より具体的には、前記管構造本体11の外径は、4.3ミリメートルであり、前記吸引通路13の直径は、2.2ミリメートルであり、前記第1注入通路又は前記第2注入通路の等価直径は、1.2ミリメートル以上である。
【0082】
本願の別の具体的な実施形態において、前記注入通路12は、前記吸引通路13の周りを周回して形成され、即ち、前記注入通路12は、前記吸引通路13の周りを周回して形成される環状通路であり、或いは、前記注入通路12の横断面は、環状であり、前記注入通路12は、前記前端部110に形成される2つの注入口121を有する。該具体的な実施形態において、前記管構造本体11の外径は、4.3ミリメートルであり、前記吸引通路13の直径は、2.2ミリメートルであり、前記第1注入通路又は前記第2注入通路の等価直径は、1.2ミリメートル以上である。
【0083】
前記吸引口131及び前記注入口121のサイズ、形状及び数は、本願に限定されず、実際の使用状況に応じて前記吸引口131及び前記注入口121のサイズ、形状及び数を調整して、制御可能で規則的な流体循環を実現することができることを理解されたい。
【0084】
なお、前記吸引口131及び前記注入口121の位置は、本願に限定されず、他の具体例において、前記吸引口131及び前記注入口121は、他の位置に設けられてもよい。本願の別の具体例において、前記吸引口131及び前記注入口121は、それぞれ前記外周面1102及び前記前端面に設けられる。
【0085】
本願のさらに別の具体例において、前記吸引口131及び前記注入口121は、いずれも前記管構造本体11の前記前端面1101に設けられる。具体的には、該具体例において、前記少なくとも1つの注入通路12は、第1注入通路と第2注入通路とを含み、前記第1注入通路は、前記前端部110に位置する第1注入口を有し、前記第2注入通路は、前記前端部110に位置する第2注入口を有し、前記第1注入口と前記第2注入口とは、それぞれ前記吸引口131の両側に位置する。
【0086】
本願の実施例において、前記吸引破砕術用尿管鏡100は、腎臓及び腎臓内に位置する結石の画像を撮影するために、前記尿管鏡本体10に取り付けられる画像取得装置300及び光源400をさらに含む。前記画像取得装置300と光源400の位置は、本願に限定されず、好ましくは、前記吸引通路13の前記吸引口131は、前記画像取得装置300の可視領域内に位置して、前記吸引口131付近の状況を取得して、使用者が砕石の排出状況を観察しやすくなる。前記光源400は、画像取得装置300に十分な光量を提供するために、画像取得装置300に近接する位置に設けられてもよい。
【0087】
それに応じて、前記操作部20は、前記画像取得装置300と通信可能に接続される第4操作端25をさらに含む。そして、前記画像出力装置500(例えば、前記画像取得装置300と通信可能に接続されるコンピュータ)は、前記操作部20を介して前記画像取得装置300と通信可能に接続されて腎臓の画像を取得して、使用者が前記腎盂p内の結石cの状況を観察しやすくなる。
【0088】
なお、異なる目標位置に到達するように前記尿管鏡本体10が湾曲できることを保証するとともに、前記尿管鏡本体10の剛性を保証するために、前記尿管鏡本体10は、前記前端部110に隣接する可撓部1010と、前記可撓部1010に結合される剛性部1020とを含む。前記剛性部1020は、前記可撓部1010から後方に延びてもよく、或いは、前記剛性部1020は、前記可撓部1010の少なくとも一部を被覆することで、前記尿管鏡本体10の局所的な剛性を保証する。
【0089】
それに応じて、前記操作部20は、前記可撓部1010に操作可能に接続される第5操作端26と、前記第5操作端26に取り付けられる操作機構28とをさらに含み、前記操作機構28は、前記第5操作端26を介して前記可撓部1010に操作可能に接続されて、前記可撓部1010の湾曲度を制御し、これにより、前記尿管鏡本体10は、異なる目標位置に到達することができ、かつ、その可撓部1010の湾曲度が実際の状況に応じて調整することができる。一具体例において、前記操作機構28は、前記可撓部1010に接続される制御線281と、前記制御線281に接続される調節器282とを含み、前記調節器282は、前記可撓部1010が湾曲するように、前記制御線281を駆動して前記可撓部1010を牽引するように構成される。前記操作機構28の構造及び前記可撓部1010の湾曲を制御する方式は、本願に限定されず、即ち、前記操作機構28は、他の構造に設計され、他の方式で前記可撓部1010の湾曲を制御してもよい。
【0090】
一具体例において、前記尿管鏡本体10の前記前端部110の少なくとも一部は、前記可撓部1010であり、前記注入通路12と前記吸引通路13を湾曲可能にし、前記吸引口131と前記注入口121が目標位置の結石cへ向けることができる。前記可撓部1010は、能動湾曲部分1011と受動湾曲部分1012とを含み、前記能動湾曲部分1011は、前記操作部20の操作によって湾曲可能であり、かつ湾曲状態を維持し、前記受動湾曲部分1012は、前記能動湾曲部分1011の湾曲に伴って湾曲する。
【0091】
本願は、結石破砕機構を張り出させて結石を破砕するステップS110と、砕石を吸引口にガイドして吸引口に位置する砕石を挟むステップS120と、前記結石破砕機構を前記吸引口に引っ込め、前記吸引口を塞いだ砕石を破砕して、前記吸引通路を介して砕石を体外に排出するステップS130と、を含む、吸引破砕術用尿管鏡の使用方法をさらに提供する。
【0092】
以下、前記吸引破砕術用尿管鏡100が腎盂p内の結石cの除去に適用されることを例として、前記吸引破砕術用尿管鏡100の動作過程を説明する。
【0093】
ステップS110では、結石破砕機構30を張り出させて結石を破砕する。結石破砕機構30により結石を破砕する前に、準備作業を行う必要がある。具体的には、まず、尿管鏡本体10を初期所定位置まで挿入する。具体的には、前記尿管鏡本体10は、患者の尿管に沿って腎臓に入り、初期所定位置に到達することができる。この過程において、前記尿管鏡本体10に設けられる画像取得装置300、及び前記画像取得装置300と通信可能に接続される画像出力装置500によって、前記尿管鏡本体10が通過した経路上の環境の画像を取得して表示するとともに、ガイド機構600と協働して、前記吸引破砕術用尿管鏡100を初期所定位置にガイドすることができる。具体的には、前記ガイド機構600は、前記操作部20を介して前記注入通路12に入り込み、前記尿管鏡本体10を前記初期所定位置にガイドし、前記尿管鏡本体10が前記初期所定位置に到達した後、前記ガイド機構600を取り出すことができる。
【0094】
尿管鏡本体10の挿入前又は挿入後に、結石破砕機構30を腎臓の前記初期所定位置に配置してもよい。具体的には、前記結石破砕機構30は、前記光ファイバ通路14に設けられ、前記吸引口131から張り出すか又は引っ込む。
【0095】
次に、前記操作部20の前記操作機構28により前記可撓部1010を制御して湾曲させることにより、前記吸引口131と前記注入口121は腎盂p内の目標位置の結石cに向けることができる。
【0096】
前記操作部20の前記操作機構28により前記可撓部1010を制御して湾曲させる過程において、目標位置に基づいて前記可撓部1010を制御して所望の湾曲度で湾曲させることができる。前記吸引破砕術用尿管鏡100が上部腎盂に位置する結石cを破砕する場合、前記可撓部1010を制御して第1湾曲度で湾曲させ、前記吸引破砕術用尿管鏡100が中部腎盂に位置する結石cを破砕する場合、前記可撓部1010を制御して第2湾曲度で湾曲させ、前記吸引破砕術用尿管鏡100が下部腎盂に位置する結石cを破砕する場合、前記可撓部1010を制御して第3湾曲度で湾曲させ、前記第3湾曲度は、前記第2湾曲度及び前記第1湾曲度よりも大きい。
【0097】
図11Aに示すように、前記結石破砕機構30により結石cを破砕する過程において、前記結石破砕機構30を前記吸引口131の前方に張り出させて、前記目標位置の結石cを破砕することができ、前記結石破砕機構30は、前記ホルミウムレーザーであってもよい。
【0098】
図11Bに示すように、ステップS120では、砕石を吸引口131にガイドし、吸引口131に位置する砕石を挟む。具体的には、前記結石破砕機構30により結石cを破砕する過程において、又は、前記結石破砕機構30により結石cを破砕した後に、流体を前記吸引破砕術用尿管鏡100の注入口121から目標位置に吐出して砕石を押し流すことができる。具体的には、前記操作部20に接続される前記注液装置700を介して前記注入通路12に流体を注入し、前記流体を目標位置に注入して砕石を押し流すことができる。
【0099】
砕石を押し流す過程において、負圧吸引により流体と砕石を吸引することができ、砕石を巻き込んだ流体は、負圧吸引、腎盂pによる逆流などによって転向され、第2方向で前記循環排出可能な吸引破砕術用尿管鏡100の吸引口131に還流する。つまり、砕石を押し流す過程において、該流体をガイドして第2方向で前記吸引破砕術用尿管鏡100の吸引口131に還流させ、前記第1方向と前記第2方向との間に所定の夾角をなす。具体的には、前記操作部20に接続される前記吸引装置800により砕石及び流体を吸引し、前記吸引通路13を介して前記流体及び砕石を排出して、腎臓内の圧力を維持することができる。砕石を前記吸引破砕術用尿管鏡100の吸引通路13の吸引口131に吸引する過程において、前記吸引通路13内の気圧を調整することにより、前記流体及び砕石に対する吸引力を調整することができる。
【0100】
本願の実施例において、前記注入口121の向きは、第1向きであり、前記吸引口131の向きは、第2向きであり、流体は、前記注入通路12に沿って前記注入口121から前記第1向きの指す第1方向で腎盂p内に注入され、かつ転向された後、前記第2向きの指す第2方向で前記吸引口131から前記吸引破砕術用尿管鏡100の前記吸引通路13に吸入されて、流体循環を形成する。
【0101】
砕石を前記吸引口131にガイドする過程において、いくつかのサイズの大きい砕石が前記吸引口131に挟まれるため、前記吸引口131が塞がる。それに応じて、前記結石破砕機構30は、砕石を破砕するか又は砕石を押し流すことができる。
【0102】
それに応じて、ステップS130では、前記結石破砕機構30を前記吸引口131に引っ込め、前記吸引口131における砕石を破砕することにより、前記吸引通路13を介して砕石を体外に排出する。具体的には、図11C及び図11Dに示すように、破砕された結石が流体により前記吸引口131に押し流される又は吸引されて前記吸引口131に挟まれる場合、前記結石破砕機構30を前記吸引口131に引っ込め、前記吸引口131における砕石を破砕することにより、砕石を破砕し、ひいては粉末化し、さらに前記吸引口131から前記吸引通路13にスムーズに進入させることができる。
【0103】
なお、砕石が前記吸引口131に詰まるか又は挟まれるため、砕石の位置が安定し、前記結石破砕機構30は、吸引口131における砕石を正確に破砕することができる。そして、前記結石破砕機構30が前記砕石を破砕する過程において、砕石が前記吸引通路13の内周壁に受け止められ、前記結石破砕機構30による衝撃力が砕石に作用する場合、砕石は、前記結石破砕機構30によるエネルギーの大部分を受けるため、より破砕されやすい。
【0104】
前記結石破砕機構30が前記吸引口131に引っ込んだ後、前記吸引口131に詰まった結石を押し流すこともでき、前記吸引口131を通過できる砕石を先に前記吸引口131から前記吸引通路13に進入させ、このように、破砕された結石を迅速に排出し、結石の排出効率を向上させることができる。このように、結石破砕機構30は、遠くに位置する結石cを破砕するだけでなく、前記吸引口131付近の砕石を破砕し、ひいては粉末化することができ、前記吸引通路13の吸引口131が砕石によって塞がることを防止する。
【0105】
なお、前記結石破砕機構30により結石cを破砕する過程において、前記尿管鏡本体10を回転させて、前記結石破砕機構30が結石cを多方位で破砕することができ、前記注入口121から吐出される流体が砕石を全面的に押し流すことができる。
【0106】
以上、本願の実施例に係る前記吸引破砕術用尿管鏡100及び尿管鏡を利用して結石を除去する方法を説明した。ここで、前記吸引破砕術用尿管鏡100は、「吸引破砕」という結石排出手段によって、破砕された結石による詰まりを回避し、結石の排出効率を向上させる。
【0107】
当業者であれば理解できるように、上記説明及び図面に示された本発明の実施例は単なる例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明の目的は、完全かつ効果的に実現される。本発明の機能及び構造原理は、実施例に示され説明され、前記原理から逸脱することなく、本発明の実施形態に対して任意の変形又は修正をすることができる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
【国際調査報告】