(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】レーザ・超音波の同期補助切削システム
(51)【国際特許分類】
B23B 1/00 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B23B1/00 B
B23B1/00 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518694
(86)(22)【出願日】2021-12-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2021139673
(87)【国際公開番号】W WO2023097804
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111460177.6
(32)【優先日】2021-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513324321
【氏名又は名称】大連理工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】康 仁科
(72)【発明者】
【氏名】鮑 岩
(72)【発明者】
【氏名】董 志剛
(72)【発明者】
【氏名】殷 森
(72)【発明者】
【氏名】潘 延安
【テーマコード(参考)】
3C045
【Fターム(参考)】
3C045AA03
3C045AA05
(57)【要約】
本発明は、超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システム、導光ダイヤモンド工具からなるレーザ・超音波同期補助切削システムを提供する。トランスデューサは超音波の縦振動を出力し、異形ホーンはトランスデューサから出力される縦振動を縦・たわみ複合振動に変換し、工具に超音波楕円振動軌道をなし、断続的な切削を実現し、レーザヘッドはレーザ発生器を通じてレーザビームを集束し、導光ポットに開設された溝を介して導光ダイヤモンド工具の後端面に入射し、屈折後に導光ダイヤモンド工具のすくい面から射出し、ワーク材料の切除される前の切削領域に集光し、ワック材料を軟化する。本発明は超音波楕円振動切削技術とレーザ補助切削技術を複合し、複合補助切削に両者の優位性を十分に発揮させ、超音波楕円振動切削の加工効率が低く、レーザ補助切削の熱応力が加工面にマイクロクラックを生じやすいなどの問題を効果的に解決する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システム、導光ダイヤモンド工具及びシールドケースからなり、
前記超音波楕円振動切削システムは、導光ポットと、超音波楕円振動切削入力機構と、超音波楕円振動切削出力機構と、工具高さ調整機構とを備え、
前記導光ダイヤモンド工具が前記導光ポットに取り付けられ、前記導光ポットが前記超音波楕円振動切削出力機構の出力端に設けられ、前記超音波楕円振動切削入力機構が超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記超音波楕円振動切削出力機構が、導光ダイヤモンド工具を動かして超音波楕円振動切削を完了させ、前記工具高さ調整機構が前記超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記工具高さ調整機構が切削加工における導光ダイヤモンド工具のツール・セッティング操作を実現し、
前記レーザ補助切削システムは、レーザ入力機構と、前記レーザ入力機構に接続され、レーザビームを出力するレーザ出力機構と、前記レーザ出力機構に接続され、前記レーザビームが作動状態で前記導光ポットを貫通し導光ダイヤモンド工具に入射するようにレーザビームの出力位置を調整するレーザ校正機構とを備え、
前記シールドケースは超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システムの外部に嵌着され、該シールドケースにはレーザビームと超音波楕円振動切削出力機構が移動する穴が設けられる、ことを特徴とするレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項2】
前記超音波楕円振動切削入力機構は超音波電源を備え、前記超音波楕円振動切削出力機構はトランスデューサと、異形ホーンとを備え、前記超音波電源は超音波信号用ケーブルを介して前記トランスデューサに接続され、前記トランスデューサの出力端は前記異形ホーンの入力端に接続され、前記異形ホーンの出力端は前記導光ポットに接続され、前記導光ダイヤモンド工具は導光ポットの前部に半田付けされ、異形ホーンから出力される2位相の一定の位相差を有する超音波振動は刃先で合成され、楕円振動軌道をなす、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項3】
前記超音波電源はトランスデューサを励起するデジタル式単一チャンネル超音波電源であり、ファジーPIDアルゴリズムを用いて超音波楕円振動切削システムの共振周波数の自動追跡機能を実現し、振動切削システムの超音波振動の安定的な出力を保証する、ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項4】
前記トランスデューサはサンドイッチ型圧電トランスデューサであり、4枚の型番PZT-4の円環形の圧電セラミックシート及び4枚の銅製の電極シートからなり、圧電セラミックの高作業効率のd33作業モードを利用し、超音波電源の励起により、超音波縦振動を出力する、ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項5】
前記異形ホーンは、トランスデューサにより出力される縦振動を増幅、分解、変換する非対称構造を備え、一部の縦振動を非対称構造の中心に沿うたわみ振動に変換し、他の一部の縦振動を引き続き前方に伝達し、2位相の超音波振動は予め設定された位相差を有し、差別化の非対称構造の位置及び/又は差別化の幾何学的寸法である異なる構造を有する異形ホーンを選択することにより、縦振動からたわみ振動への変換割合の調整を実現する、ことを特徴とする請求項2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項6】
異形ホーンはフランジを介して工具高さ調整機構に拘束され、工具高さ調整機構は工具高さ粗調整つまみと工具高さ微調整つまみとを備え、前記工具高さ調整機構はダイヤモンド工具のY方向の変位微調整を実現でき、前記微調整の調整精度は0.1マイクロメートルである、ことを特徴とする請求項2又は4に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項7】
前記レーザ入力機構は、レーザ発生器を備え、前記レーザ出力機構は、レーザヘッドとレーザパワーキャリブレータとを備え、前記レーザ発生器から射出されたレーザがフレキシブル光ファイバを介して前記レーザヘッドに伝送され、前記レーザパワーキャリブレータが3方向変位微調整機構を備える、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項8】
前記レーザヘッドの出力端には、スポット径を50~150μmに集束するフォーカスレンズが設けられ、前記レーザ発生器は、異なる加工材料及び要求に適応するように、射出されたレーザビームのパワーを調整する、ことを特徴とする請求項7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項9】
前記レーザヘッドは固定ジョーを介して3方向変位微調整機構に接続され、前記固定ジョーの末端が3方向変位微調整機構に取り付けられ、前記固定ジョーの先端が前記レーザヘッドの外壁に係着されている、ことを特徴とする請求項7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【請求項10】
レーザパワーキャリブレータは、工具から射出されたレーザビームのパワー及びエネルギー密度を校正する、ことを特徴とする請求項7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精密特殊加工技術分野に関し、特に3次元超音波楕円振動切削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精密超精密切削加工技術の急速な発展に伴い、特に精密切削方法と特殊加工技術の結合により、加工し難しい加工材料の超精密加工に技術上の革新を与えている。
【0003】
レーザ補助切削技術は、切削前の切削領域の温度がワーク材料の最適な軟化温度に達するように、高エネルギーレーザビームを工具の前方向のワーク材料に集中させることであり、ワーク材料の塑性変形を実現しやすくなり、切削力、切削比エネルギー、表面粗さ及び工具摩耗を減少させ、加工品質及び加工効率を向上させる。その加工機構は高温でのワーク材料の強度及び硬度の低下だけでなく、部分的で瞬時の高温によるワーク材料の内部における塑性変形領域応力場の変化及び高温でのワーク材料とレーザ又は媒体との複雑な物理化学反応により、ワーク材料の切削性能が変化することである。しかし、レーザ補助切削による熱応力により、ワークの加工面にマイクロクラックが発生しやすく、加工品質に影響を与える。
【0004】
超音波楕円振動切削技術は、工具に2次元超音波振動を印加し、楕円振動軌道をなす切削方式であり、通常の切削及び1次元超音波振動切削に比べると、その切削過程は「摩擦力の反転」、「角度変更の切削」及びより徹底的な「工具・ワークの分離」などの特徴を有し、それで工具の寿命が有効に延長され、切削された表面の光沢度と切削安定性が向上され、バリと再生びびり振動が抑制される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、超音波楕円振動切削及びレーザ補助切削の2種類の特殊加工技術の優位性を十分に発揮するために、超音波楕円振動切削とレーザ補助切削を結合することで工具摩耗を減少させ、加工品質を向上させるレーザ・超音波同期補助切削システムを提案する。本発明は従来の分割型の超音波・レーザ複合補助切削システム(超音波振動切削システムとレーザ補助切削システムを別体配置)と比較し、超音波楕円振動切削システムとレーザ補助切削システムを高度に集積設計し、高エネルギーレーザビームがダイヤモンド工具を通じて刃先点から射出し、正確にコア切削領域に集中することで、相対位置が安定で信頼性があり、かつ複合補助切削システムの構造がコンパクトであり、集積化の程度が高く、体積が小さく、安全性が高く、切削加工における光・音エネルギーの個別の正確な入力制御を実現でき、より強い適応性を持ち、超音波・レーザ複合補助切削技術の優位性を十分に発揮でき、工事応用の見通しがよい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、超音波楕円振動切削及びレーザ補助切削の優位性を十分に発揮するために、強い適応性を持つレーザ・超音波同期補助切削システムを提供する。本発明に係る技術手段は、以下の通りである。
【0007】
本発明の一態様であるレーザ超音波同期補助切削システムは、超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システム、導光ダイヤモンド工具及びシールドケースからなるレーザ超音波同期補助切削システムであって、前記超音波楕円振動切削システムは、導光ポットと、超音波楕円振動切削入力機構と、超音波楕円振動切削出力機構と、工具高さ調整機構とを備え、前記導光ダイヤモンド工具が前記導光ポットに取り付けられ、前記導光ポットが前記超音波楕円振動切削出力機構の出力端に設けられ、前記超音波楕円振動切削入力機構が超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記超音波楕円振動切削出力機構が、導光ダイヤモンド工具を動かして超音波楕円振動切削を完了させ、前記工具高さ調整機構が前記超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記工具高さ調整機構が切削加工における導光ダイヤモンド工具のツール・セッティング操作を実現し、前記レーザ補助切削システムは、レーザ入力機構と、前記レーザ入力機構に接続され、レーザビームを出力するレーザ出力機構と、前記レーザ出力機構に接続され、前記レーザビームが作動状態で前記導光ポットを貫通し導光ダイヤモンド工具に入射するようにレーザビームの出力位置を調整するレーザ校正機構とを備え、前記シールドケースは超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システムの外部に嵌着され、該シールドケースにはレーザビームと超音波楕円振動切削出力機構が移動する穴が設けられている。
【0008】
さらに、前記超音波楕円振動切削入力機構は超音波電源を備え、前記超音波楕円振動切削出力機構はトランスデューサと、異形ホーンとを備え、前記超音波電源は超音波信号用ケーブルを介して前記トランスデューサに接続され、前記トランスデューサの出力端は前記異形ホーンの入力端に接続され、前記異形ホーンの出力端は前記導光ポットに接続され、前記導光ダイヤモンド工具は導光ポットの前部に半田付けされ、異形ホーンから出力される2位相の一定の位相差を有する超音波振動は刃先で合成され、楕円振動軌道をなす。
【0009】
さらに、前記超音波電源はトランスデューサを励起するデジタル式単一チャンネル超音波電源であり、ファジーPIDアルゴリズムを用いて超音波楕円振動切削システムの共振周波数の自動追跡機能を実現し、振動切削システムの超音波振動の安定的な出力を保証する。
【0010】
さらに、前記トランスデューサはサンドイッチ型圧電トランスデューサであり、4枚の型番PZT-4の円環形の圧電セラミックシート及び4枚の銅製の電極シートからなり、圧電セラミックの高作業効率のd33作業モードを利用し、超音波電源の励起により、超音波縦振動を出力する。
【0011】
さらに、前記異形ホーンは、トランスデューサにより出力される縦振動を増幅、分解、変換する非対称構造を備え、一部の縦振動を非対称構造の中心に沿うたわみ振動に変換し、他の一部の縦振動を引き続き前方に伝達し、2位相の超音波振動は予め設定された位相差を有し、差別化の非対称構造の位置及び/又は差別化の幾何学的寸法である異なる構造を有する異形ホーンを選択することにより、縦振動からたわみ振動への変換割合の調整を実現する。
【0012】
さらに、異形ホーンはフランジを介して工具高さ調整機構に拘束され、工具高さ調整機構は工具高さ粗調整つまみと工具高さ微調整つまみとを備え、前記工具高さ調整機構はダイヤモンド工具のY方向の変位微調整を実現でき、前記微調整の調整精度は0.1マイクロメートルである。
【0013】
さらに、前記レーザ入力機構は、レーザ発生器を備え、前記レーザ出力機構は、レーザヘッドとレーザパワーキャリブレータとを備え、前記レーザ発生器から射出されたレーザ光がフレキシブル光ファイバを介して前記レーザヘッドに伝送され、前記レーザパワーキャリブレータが3方向変位微調整機構を備える。
【0014】
さらに、前記レーザヘッドの出力端には、スポット径を50~150μmに集束するフォーカスレンズが設けられ、前記レーザ発生器は、異なる加工材料及び要求に適応するように、射出されたレーザビームのパワーを調整する。
【0015】
さらに、前記レーザヘッドは固定ジョーを介して3方向変位微調整機構に接続され、前記固定ジョーの末端が3方向変位微調整機構に取り付けられ、前記固定ジョーの先端が前記レーザヘッドの外壁に係着されている。
【0016】
さらに、レーザパワーキャリブレータは、工具から射出されたレーザビームのパワー及びエネルギー密度を校正する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下のような利点を有する。
【0018】
この複合補助切削システムは超音波楕円振動切削技術とレーザ補助切削技術を結合し、2種類の切削技術の優位性を十分に発揮する。超音波楕円振動切削の加工効率が低く、レーザ補助切削の熱応力が加工面にマイクロクラックを発生させやすいなどの問題を効果的に解決でき、工具の摩耗をさらに減少させ、ワークの加工品質を高めることができる。複合補助切削の加工過程では、超音波楕円振動切削とレーザ補助切削は同時に行われ、高エネルギーレーザビームはダイヤモンド工具を通じて刃先点から射出して軟化材料を加熱し、材料が除去されるまでの短時間でその一部を高い温度に加熱し、材料の降伏応力と硬度を低下させ、切削変形を脆性から塑性又は準塑性に移行させる。超音波楕円振動は切削を断続過程に移行させ、工具の前後の刃面とワークとの摩擦接触時間を減少させ、工具の摩耗を効果的に低減させ、しかも切削分離時、レーザ光が加工された面を照射して、加工された面をレーザ光により加熱し焼戻しし、材料を元の構造に回復させ、準表面の損傷を減少させ、加工面の品質を向上させる。
【0019】
分割型超音波・レーザ複合切削システムに比べて、本発明は超音波楕円振動切削システムとレーザ補助切削システムを高度に集積設計し、レーザビームのワーク材料における集中位置と切削領域の相対位置が安定し、かつ複合補助切削システムの構造がコンパクトであり、工学上の応用の将来性が良い。
【0020】
また、超音波振動の振幅は超音波電源により調整することができ、超音波楕円振動軌道はホーンの構造の最適化により制御することができ、レーザビームのパワー及びスポットの大きさもレーザ発生器により連続的に調整することができ、超音波・レーザ複合補助切削のプロセスの最適化に基礎を提供し、複合補助切削システムにもより強い適応性を持たせる。
【0021】
上記の理由に基づいて本発明は精密特殊加工技術分野で広く普及することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施例又は先行技術における技術案をより明確に説明するために、以下に、実施例又は先行技術の記載に使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の記載における図面は本発明のいくつかの実施例であり、当業者にとっては、創造的労働を行わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができることはいうまでもない。
【0023】
【
図1】本発明の実施例に係る本体の外部の概略構成図である。
【
図2】本発明の実施例に係るケースの内部の概略構成図である。
【
図3】本発明の実施例に係る超音波楕円振動切削出力機構の概略構成図である。
【
図4】本発明の実施例における導光ポットの概略構成図であり、(a)は導光ダイヤモンド工具を取り付ける場合の概略構成図であり、(b)導光ダイヤモンド工具を取り外す場合の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る実施例の目的、技術手段及び利点をより明確にするために、以下に本発明の実施例の図面に参照しながら、本発明の実施例の技術手段を明確で完全に説明する。明らかに、説明された実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的労働を行わず取得した他の実施例は、全て本発明が保護する範囲に含まれるものとする。
【0025】
本発明の実施例はレーザ・超音波同期補助切削システムを開示し、超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システム、導光ダイヤモンド工具及びシールドケースからなり、前記超音波楕円振動切削システムは導光ポットと、超音波楕円振動切削入力機構と、超音波楕円振動切削出力機構と、工具高さ調整機構とを備え、前記導光ダイヤモンド工具は前記導光ポットに取り付けられ、前記導光ポットが前記超音波楕円振動切削出力機構の出力端に設けられ、前記超音波楕円振動切削入力機構が超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記超音波楕円振動切削出力機構が導光ダイヤモンド工具を動かして超音波楕円振動切削を完了させ、前記工具高さ調整機構が前記超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記工具高さ調整機構が切削加工における導光ダイヤモンド工具のツール・セッティング操作を実現し、前記レーザ補助切削システムは、レーザ入力機構と、前記レーザ入力機構に接続され、レーザビームを出力するレーザ出力機構と、前記レーザ出力機構に接続され、前記レーザビームが作動状態で前記導光ポットを貫通し導光ダイヤモンド工具に入射するようにレーザビームの出力位置を調整するレーザ校正機構とを備え、前記シールドケースは超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システムの外部に嵌着され、該シールドケースにはレーザビームと超音波楕円振動切削出力機構が移動する穴が設けられている。
【0026】
具体的には、
図1に示すように、本発明に係るレーザ・超音波同期補助切削システムは、超音波楕円振動切削システムと、レーザ補助切削システムと、導光ダイヤモンド工具6と、シールドケース5とを備える。ここで、1はレーザ発生器、2は超音波電源、3はフレキシブル光ファイバ、4は超音波信号用ケーブルである。
【0027】
超音波楕円振動切削システムは、超音波電源2と、トランスデューサと、異形ホーン9と、導光ポット8と、フランジベース11と、工具高さ調整機構12とを備える。
【0028】
図2に示すように、異形ホーン9におけるフランジ10は高強度ボルトによりフランジベース11に拘束され、フランジベース11は工具高さ調整機構12に溶接され、工具高さ調整機構12は工具高さ粗調整つまみ13と工具高さ微調整つまみ14により導光ダイヤモンド工具6のY方向の変位微調整を実現することができ、調整精度が0.1マイクロメートルであり、切削加工における正確なツール・セッチングを実現することができ、切削加工の精度が向上される。
【0029】
図1及び
図2に示すように、レーザ補助切削システムは、レーザ発生器1と、レーザヘッド20と、レーザパワーキャリブレータ7と、3方向変位微調整機構18とを備える。
【0030】
図1及び
図2に示すように、レーザ発生器1から射出されたレーザ光は、フレキシブル光ファイバ3を介してレーザヘッド20に伝送され、レーザヘッド20の先端に取り付けられるフォーカスレンズ21を介してスポット径が50~150μmに集束され、レーザスポットのエネルギー密度が大幅に向上され、レーザ発生器1は、異なる加工材料と要求に適応するように、射出されたレーザビームのパワーを調整することができる。
【0031】
図1及び
図2に示すように、レーザヘッド20は固定ジョー19を介して3方向変位微調整機構18に接続され、3方向変位微調整機構18はレーザヘッド20から出力された高エネルギーレーザビームを、導光ポット8に開設される溝27を介して導光ダイヤモンド工具6の後端面に入射し、導光ダイヤモンド工具6のすくい面及び逃げ面の幾何学的特徴を設計・最適化することにより、導光ダイヤモンド工具6からのレーザビームの屈折方向及び角度を調整することができ、そのレーザビームを屈折させてから導光ダイヤモンド工具6のすくい面から射出させ、ワーク材料の切除される前の切削領域に集光して軟化させる。レーザパワーキャリブレータ7は、工具から射出されたレーザビームのパワー及びエネルギー密度を校正することができる。
【0032】
図3に示すように、トランスデューサは円環形圧電セラミックシート23A、23B、23C及び23Dと、銅電極シート24A、24B、24C及び24Dと、リアカバープレート25と、予圧ボルト26とを備え、円環形圧電セラミックシート23A、23B、23C及び23Dはいずれも型番PZT-4の圧電セラミックを利用し、圧電セラミックの高使用効率のd33動作モードを利用している。
【0033】
図3に示すように、超音波楕円振動切削システムは、組み立てる前に、導光ダイヤモンド工具6、導光ポット8、異形ホーン9、導光ポット上蓋21、円環形圧電セラミックシート23A、23B、23C及び23D、銅電極シート24A、24B、24C及び24D、リアカバープレート25、予圧ボルト26などは何れも無水エタノールを用いて洗浄し、送風乾燥箱を用いて乾燥する必要がある。予圧ボルト26とリアカバープレート25、円環形圧電セラミックシート23A、23B、23C及び23D、銅電極シート24A、24B、24C及び24Dとの接触部分は絶縁テープで巻き付ける必要があり、リアカバープレート25と円環形圧電セラミックシート23A、23B、23C及び23D、銅電極シート24A、24B、24C及び24Dとの接触面の間にエポキシ樹脂ペーストを塗布する必要がある。
【0034】
図3に示すように、トランスデューサにおいては、
図3に示すように、リアカバープレート25、円環形圧電セラミックシート23A、銅電極シート24A、円環形圧電セラミックシート23B、銅電極シート24B、円環形圧電セラミックシート23C、銅電極シート24C、円環形圧電セラミックシート23D、銅電極シート24D及びリアカバープレート25を予圧ボルト26により軸方向に順次締結し、本実施例において、120Nの予圧力を加えて保温エージング処理を行う。
【0035】
図3に示すように、異形ホーン9はトランスデューサにより出力される縦振動を増幅、分解、変換する非対称構造を備え、一部の縦振動を非対称構造の中心に沿うたわみ振動に変換し、他の一部の縦振動は引き続き前方に伝達し、2位相の超音波振動は一定の位相差を有する。
【0036】
図3及び
図4に示すように、導光ポット8は異形ホーン9の出力端に締付ボルトにより取り付けられ、導光ダイヤモンド工具6は導光ポット8の前部に半田付けされ、2位相の一定の位相差を有する超音波振動は刃先で合成され、楕円振動軌道をなす。
【0037】
図3に示すように、異形ホーン9における非対称構造の位置及び幾何学的寸法の計算及び最適化により、縦振動からたわみ振動への変換割合の調整、さらに合成された楕円振動の軌道の調整を実現することができる。
【0038】
図4に示すように、導光ポット上蓋22は、導光ダイヤモンド工具6の後部に入射するレーザビームの経路が安定するように、締付ボルトにより導光ポット8の上部に取り付けられている。
【0039】
本発明に係るレーザ・超音波同期補助切削システムは超音波楕円振動切削技術とレーザ補助切削技術の優位性を兼備し、超音波楕円振動切削システム及びレーザ補助切削システムを高度に集積し、複合補助切削システムに2種類の切削技術の優位性を兼備させ、しかも全体構造がコンパクトであり、一体化の程度が高く、工事応用の実現に有利である。レーザ・超音波同期補助切削システムから出力される2位相の超音波振動の振幅及びレーザビームパワーは調整可能であり、複合補助切削のプロセスの最適化に基礎を提供している。
【0040】
最後に以下のことを説明すべきである。以上の各実施例は本発明の技術的手段を説明するためのものにすぎなく、それを限定するものではない。上述した各実施例を参照しながら本発明を詳細に説明したが、上述した各実施例に記載の技術手段を修正するか、又はその技術的特徴の一部又は全部に同等な取り替えを実施することも可能であり、それらの修正や取り替えによって、対応する技術手段の本質が本発明の各実施例の技術的手段の範囲から逸脱しないことは当業者に理解されよう。
【0041】
(付記)
(付記1)
超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システム、導光ダイヤモンド工具及びシールドケースからなり、
前記超音波楕円振動切削システムは、導光ポットと、超音波楕円振動切削入力機構と、超音波楕円振動切削出力機構と、工具高さ調整機構とを備え、
前記導光ダイヤモンド工具が前記導光ポットに取り付けられ、前記導光ポットが前記超音波楕円振動切削出力機構の出力端に設けられ、前記超音波楕円振動切削入力機構が超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記超音波楕円振動切削出力機構が、導光ダイヤモンド工具を動かして超音波楕円振動切削を完了させ、前記工具高さ調整機構が前記超音波楕円振動切削出力機構に接続され、前記工具高さ調整機構が切削加工における導光ダイヤモンド工具のツール・セッティング操作を実現し、
前記レーザ補助切削システムは、レーザ入力機構と、前記レーザ入力機構に接続され、レーザビームを出力するレーザ出力機構と、前記レーザ出力機構に接続され、前記レーザビームが作動状態で前記導光ポットを貫通し導光ダイヤモンド工具に入射するようにレーザビームの出力位置を調整するレーザ校正機構とを備え、
前記シールドケースは超音波楕円振動切削システム、レーザ補助切削システムの外部に嵌着され、該シールドケースにはレーザビームと超音波楕円振動切削出力機構が移動する穴が設けられる、ことを特徴とするレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0042】
(付記2)
前記超音波楕円振動切削入力機構は超音波電源を備え、前記超音波楕円振動切削出力機構はトランスデューサと、異形ホーンとを備え、前記超音波電源は超音波信号用ケーブルを介して前記トランスデューサに接続され、前記トランスデューサの出力端は前記異形ホーンの入力端に接続され、前記異形ホーンの出力端は前記導光ポットに接続され、前記導光ダイヤモンド工具は導光ポットの前部に半田付けされ、異形ホーンから出力される2位相の一定の位相差を有する超音波振動は刃先で合成され、楕円振動軌道をなす、ことを特徴とする付記1に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0043】
(付記3)
前記超音波電源はトランスデューサを励起するデジタル式単一チャンネル超音波電源であり、ファジーPIDアルゴリズムを用いて超音波楕円振動切削システムの共振周波数の自動追跡機能を実現し、振動切削システムの超音波振動の安定的な出力を保証する、ことを特徴とする付記2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0044】
(付記4)
前記トランスデューサはサンドイッチ型圧電トランスデューサであり、4枚の型番PZT-4の円環形の圧電セラミックシート及び4枚の銅製の電極シートからなり、圧電セラミックの高作業効率のd33作業モードを利用し、超音波電源の励起により、超音波縦振動を出力する、ことを特徴とする付記2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0045】
(付記5)
前記異形ホーンは、トランスデューサにより出力される縦振動を増幅、分解、変換する非対称構造を備え、一部の縦振動を非対称構造の中心に沿うたわみ振動に変換し、他の一部の縦振動を引き続き前方に伝達し、2位相の超音波振動は予め設定された位相差を有し、差別化の非対称構造の位置及び/又は差別化の幾何学的寸法である異なる構造を有する異形ホーンを選択することにより、縦振動からたわみ振動への変換割合の調整を実現する、ことを特徴とする付記2に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0046】
(付記6)
異形ホーンはフランジを介して工具高さ調整機構に拘束され、工具高さ調整機構は工具高さ粗調整つまみと工具高さ微調整つまみとを備え、前記工具高さ調整機構はダイヤモンド工具のY方向の変位微調整を実現でき、前記微調整の調整精度は0.1マイクロメートルである、ことを特徴とする付記2又は4に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0047】
(付記7)
前記レーザ入力機構は、レーザ発生器を備え、前記レーザ出力機構は、レーザヘッドとレーザパワーキャリブレータとを備え、前記レーザ発生器から射出されたレーザがフレキシブル光ファイバを介して前記レーザヘッドに伝送され、前記レーザパワーキャリブレータが3方向変位微調整機構を備える、ことを特徴とする付記1に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0048】
(付記8)
前記レーザヘッドの出力端には、スポット径を50~150μmに集束するフォーカスレンズが設けられ、前記レーザ発生器は、異なる加工材料及び要求に適応するように、射出されたレーザビームのパワーを調整する、ことを特徴とする付記7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0049】
(付記9)
前記レーザヘッドは固定ジョーを介して3方向変位微調整機構に接続され、前記固定ジョーの末端が3方向変位微調整機構に取り付けられ、前記固定ジョーの先端が前記レーザヘッドの外壁に係着されている、ことを特徴とする付記7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【0050】
(付記10)
レーザパワーキャリブレータは、工具から射出されたレーザビームのパワー及びエネルギー密度を校正する、ことを特徴とする付記7に記載のレーザ・超音波同期補助切削システム。
【符号の説明】
【0051】
1 レーザ発生器
2 超音波電源
3 フレキシブル光ファイバ
4 超音波信号用ケーブル
5 シールドケース
6 導光ダイヤモンド工具
7 レーザパワーキャリブレータ
8 導光ポット
9 異形ホーン
10 フランジ
11 フランジベース
12 工具高さ調整機構
13 工具高さ粗調整つまみ
14 工具高さ微調整つまみ
15 X方向変位微調整つまみ
16 Y方向変位微調整つまみ
17 Z方向変位微調整つまみ
18 3方向変位微調整機構
19 固定ジョー
20 レーザヘッド
21 フォーカスレンズ
22 導光ポット上蓋
23A、23B、23C、23D 円環形圧電セラミックシート
24A、24B、24C、24D 銅電極シート
25 リアカバープレート
26 予圧ボルト
27 溝。
【国際調査報告】