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  • 特表-負極及びそれを含む二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】負極及びそれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/131 20100101AFI20240920BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240920BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20240920BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
H01M4/131
H01M4/62 Z
H01M4/587
H01M4/38 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518718
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 KR2022015661
(87)【国際公開番号】W WO2023063799
(87)【国際公開日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0137834
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】チャン-ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ガ-ヒョン・イム
(72)【発明者】
【氏名】イル-ジェ・ムン
(72)【発明者】
【氏名】サン-ウク・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨン-ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン-ミョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ-ヨン・キム
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA15
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CB03
5H050CB08
5H050CB11
5H050DA10
5H050EA10
5H050EA24
5H050HA01
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA19
(57)【要約】
本発明は、負極及びそれを含む二次電池に関し、電池内部の抵抗を増加させて外部短絡に対する安全性を向上させることができる。
本発明の一様態による電極は、
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する複数の負極活物質層と、を備え、
前記複数の負極活物質層は、
リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、
前記リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む一つまたは二つ以上の第2負極活物質層を備え、
前記第1負極活物質層のロード量が0.2mAh/cm以下であり、
前記第1負極活物質層は、前記集電体と面接触して位置するか、または前記二つ以上の第2負極活物質層の間に位置することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する複数の負極活物質層と、を備え、
前記複数の負極活物質層は、
リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、
前記リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む一つまたは二つ以上の第2負極活物質層とを備え、
前記第1負極活物質層のロード量が0.2mAh/cm以下であり、
前記第1負極活物質層は、前記集電体と面接触して位置するか、または前記二つ以上の第2負極活物質層の間に位置することを特徴とする、負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質層のロード量が0.01mAh/cm~0.1mAh/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質層の厚さが前記負極活物質層の全厚に対し、0.5%~4.6%であることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブの含量が、第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~3重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはこれらのうち二つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、
前記単層カーボンナノチューブの平均直径が0.5nm~15nmである単層カーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項5に記載の負極。
【請求項7】
前記単層カーボンナノチューブの含量が、前記第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~0.1重量部であることを特徴とする、請求項6に記載の負極。
【請求項8】
前記一つまたは二つ以上の第2負極活物質層が、各々独立的に黒鉛及びシリコン系化合物のうち一種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を含み、
前記負極が、請求項1から8のいずれか一項に記載の負極であることを特徴とする、二次電池。
【請求項10】
前記二次電池がリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項9に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負極及びそれを含む二次電池に関する。
本出願は、2021年10月15日出願の韓国特許出願第10-2021-0137834号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれ、エネルギー源としての二次電池の需要が急増しつつあり、それにつれ、多様な要求に応え得る二次電池に対して研究が行われている。その中でも、充放電が可能な二次電池の開発と高いエネルギー密度を有するリチウム二次電池は、関心の焦点となっており、近年は二次電池の開発において安全性の確保に大きく注目している。
【0003】
リチウム二次電池は、電極集電体上に各々活物質が塗布されている電極である正極と負極、及び正極と負極の間に多孔性の分離膜が介在された電極組立体にリチウム塩を含む電解質が含浸されている構造となっている。
【0004】
このようなリチウム二次電池は、一回目の充電によって正極活物質から出たリチウムイオンが負極活物質内に挿入され、放電時に脱離しながら両電極を往復する。このような過程によってエネルギーを伝達することで充放電を可能にする。負極活物質は、リチウム二次電池の基本的な性能特性に影響を与え、導電材は、負極活物質の電気伝導度の向上に影響を与えるため、二次電池の基本的な性能を向上させるための負極活物質の素材に関する研究が進んでいる。
【0005】
一方、リチウム二次電池は、短絡、許容された電流及び電圧を超過した過充電状態、高温への露出、落下などによる衝撃のような電池の異常作動状態によって、電池の爆発、発火が起こり得る。そのため、現在生産中のリチウム二次電池においては、安全性を向上させるための試みが活発化している。但し、現在としては、正極と負極の短絡を防止するために、分離膜に関する研究が活性化しつつあり、安全性を向上させるための負極活物質の素材に関する研究が依然として必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を解決するために創案されたものであり、安全性が向上した負極及びそれを含む二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
その他の本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に記載される手段及びその組合せによって実現され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、下記の電極、それを含む二次電池及びその製造方法によって上記の課題を解決できることを見出した。
【0009】
第1具現例は、
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する複数の負極活物質層と、を備え、
前記複数の負極活物質層は、
リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、
前記リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む一つまたは二つ以上の第2負極活物質層を備え、
前記第1負極活物質層のロード量が0.2mAh/cm以下であり、
前記第1負極活物質層は、前記集電体と面接触して位置するか、または前記二つ以上の第2負極活物質層の間に位置することを特徴とする負極に関する。
【0010】
第2具現例は、第1具現例において、
前記第1負極活物質層のロード量が0.01mAh/cm~0.1mAh/cmであることを特徴とする負極に関する。
【0011】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記第1負極活物質層の厚さが前記負極活物質層の全厚に対し、0.5%~4.6%であることを特徴とする負極に関する。
【0012】
第4具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記カーボンナノチューブの含量が、第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~3重量部であることを特徴とする負極に関する。
【0013】
第5具現例は、第1具現例から第4具現例のいずれか一具現例において、
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはこれらのうち二つ以上を含むことを特徴とする負極に関する。
【0014】
第6具現例は、第1具現例から第5具現例のいずれか一具現例において、
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、
前記単層カーボンナノチューブの平均直径が0.5nm~15nmである単層カーボンナノチューブであることを特徴とする負極に関する。
【0015】
第7具現例は、第6具現例において、
前記単層カーボンナノチューブの含量が、前記第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~0.1重量部であることを特徴とする負極に関する。
【0016】
第8具現例は、第1具現例から第7具現例のいずれか一具現例において、
前記一つまたは二つ以上の第2負極活物質層は、各々独立的に黒鉛及びシリコン系化合物のうち一種以上を含むことを特徴とする負極に関する。
【0017】
第9具現例は、
正極、負極及び前記正極と負極との間に介在された分離膜を含み、
前記負極が、第1具現例から第8具現例のいずれか一具現例に記載の負極であることを特徴とする二次電池に関する。
【0018】
第10具現例は、第9具現例において、
前記二次電池がリチウム二次電池であることを特徴とする二次電池に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明による負極は、電池内部の抵抗を増加させることで外部短絡に対する安全性を向上できる。具体的には、本発明による負極は、放電時、電気伝導度の減少によって電池内部の抵抗が増加し、これによって外部短絡直後に発生する電流量が減少する。したがって、二次電池の発熱量を減少させることで、外部短絡に対する安全性を向上させることができる。
【0020】
本発明の一具現例によれば、負極活物質層に活物質としてリチウムチタンオキシド及び導電材としてカーボンナノチューブを含むことで、極少量の活物質でも十分な伝導性が付与可能な一つの層を形成することができる。特に、リチウムチタンオキシドは、正常作動状態では電池の性能に関与しないが、完全充電状態で短絡が発生する場合、リチウムチタンオキシドを含む負極活物質層ではLiイオンの脱離現象が起こるようになり、電気伝導度が急減する。これによって、負極内の抵抗が増加することで外部短絡電流が減少するようになり、安全性を確保することができる。
【0021】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割を果たすため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。なお、本明細書に添付の図面における要素の形状、大きさ、縮尺または比率などは、より明確な説明を強調するために誇張され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態による負極を含む二次電池の完全充電状態及び外部短絡直後の断面を概略的に図式化して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0024】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」、「備える」とするとき、これは特に明記しない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0025】
本明細書の全体にかけて使用される用語、「約」は、言及された意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値またはその数値に近接した意味として使用され、本願の理解を助けるために正確なまたは絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に用いることを防止するために使用される。
【0026】
本明細書の全体において、「A及び/またはB」の記載は、「AまたはB、もしくはこれら全部」を意味する。
【0027】
本発明の一面によれば、本発明の負極は、
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する複数の負極活物質層と、を備え、
前記複数の負極活物質層は、
リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、
前記リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む一つまたは二つ以上の第2負極活物質層を備え、
前記第1負極活物質層のロード量が0.2mAh/cm以下であり、
前記第1負極活物質層は、前記集電体と面接触して位置するか、または前記二つ以上の第2負極活物質層の間に位置することを特徴とする。
【0028】
図1には、本発明の一実施様態による負極を含む二次電池が模式的に示されている。図1は、完全充電状態と短絡初期の二次電池の構造を示す。
【0029】
具体的には、図1は、負極集電体1の上に、第1負極活物質層2、第2負極活物質層3、分離膜4、正極活物質層5及び正極集電体6が順に積層されており、前記第1負極活物質層には、リチウムチタンオキシド(LTO)2aが含まれている。
【0030】
前記リチウムチタンオキシドは、正常作動状態では電池の性能に関与しないが、完全充電状態で短絡が発生する場合、リチウムイオンの脱離現象が起こる。
【0031】
例えば、完全充電状態では、リチウムチタンオキシド2aは、Li7/3Ti5/3の形態で存在し、短絡初期には、リチウムイオンの脱離現象によってLi4/3Ti5/3の形態で存在し得る。
【0032】
リチウムイオンの脱離によって、リチウムチタンオキシドを含む負極活物質層では電気伝導度が急減し、負極内の抵抗の増加によって外部短絡電流が減少するようになり、安全性を確保することができる。
【0033】
本発明の一実施様態において、前記集電体は、電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などが使用され得る。前記集電体の厚さは特に制限されないが、通常適用される3μm~500μmの厚さを有し得る。
【0034】
また、前記集電体少なくとも一面に位置する負極活物質層は、単層構造ではなく、複数の層からなる多層構造を有する。
【0035】
本発明の複数の負極活物質層は、少なくとも、リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、前記リチウムチタンオキシドLTO以外の負極活物質を含む第2負極活物質層と、を含む。
【0036】
前記第1負極活物質層は単層であってもよく、前記第2負極活物質層は、単層または複数の層からなる多層であり得る。
【0037】
本発明の一実施様態において、前記第1負極活物質層は、集電体と面接触して位置し得る。この場合、集電体/第1負極活物質層A/第2負極活物質層Bの積層構造を有し得る。
【0038】
または、前記第1負極活物質層は、複数の層からなる第2負極活物質層の間に位置し得る。この場合、集電体/第2負極活物質層B-1/第1負極活物質層A/第2負極活物質層B-2の積層構造を有し得る。
【0039】
本発明の第1負極活物質層及び第2負極活物質層が前記のような積層構造を有することで、集電体から外部へ抜け出る電流に対する絶縁層として作用でき、特に、外部短絡に対する安全性を向上させることができる。
【0040】
本発明の一実施様態において、前記第1負極活物質層のロード量は、0.2mAh/cm以下である。具体的には、前記第1負極活物質層のロード量は、0.2mAh/cm以下、または0.1mAh/cm以下であり、0.01mAh/cm以上または0.05mAh/cm以上であり得る。例えば、前記第1負極活物質層のロード量は、0.01mAh/cm~0.2mAh/cmまたは0.01mAh/cm~0.1mAh/cmの範囲であり得る。
【0041】
通常、負極活物質としてリチウムチタンオキシドを含む場合、負極活物質として通常使用される炭素系物質及び/またはシリコンに比べて駆動電圧が高いため、不可逆的に充電されてセル容量減少の原因になり得る。しかし、前記第1負極活物質層のロード量が前述した範囲を満たす場合、セル容量及び負極電極の基本的な性能は維持しながら、外部短絡が発生してリチウムイオンが急激に抜け出る場合のみに絶縁層として作動することで、電気伝導度を減少させ、安全性を向上させることができる。
【0042】
例えば、本発明の負極活物質層が、前記範囲のロード量を有する第1負極活物質層を含む場合、第1負極活物質層の厚さは、本発明の負極活物質層の全厚に対して4.6%以下、または0.5%~4.6%、または2.4%~4.6%であり得る。
【0043】
本発明の一実施様態において、前記第1負極活物質層は、リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブを含む。具体的には、前記第1負極活物質層は、負極活物質としてリチウムチタンオキシドを含み、導電材としてカーボンナノチューブを含む。リチウムチタンオキシドは、通常使用される負極活物質である炭素系物質に比べて電気伝導性が低いという短所があるが、所定の導電材と共に使用することで、前記第1負極活物質層における電気伝導性を炭素系物質水準に向上させることができるだけでなく、外部短絡が発生する場合、電気伝導度の低い第1負極活物質層が絶縁層として作動して安全性が強化されるので、外部短絡に対する安全性が向上される。
【0044】
例えば、本発明においては、前記第1負極活物質層において、負極活物質としてリチウムチタンオキシド以外の他の物質は含まなくてもよく、導電材としてカーボンナノチューブ以外の他の物質を含まなくてもよい。
【0045】
本発明において、リチウムチタンオキシドLTOは、具体的には、下記化学式1で表され得る。
[化学式1]
LiTi …(1)
前記化学式1において、0.5≦a≦3、1≦b≦2.5である。
具体的な例として、Li0.8Ti2.2、Li2.67Ti1.33、LiTi、Li1.33Ti1.67、Li1.14Ti1.71、LiTi12、LiTi12などであり得るが、これらに限定されることではない。
【0046】
前記リチウムチタンオキシドは、一次粒子の形態であってもよく、複数の前記一次粒子が凝集した二次粒子の形態であってもよい。前記リチウムチタンオキシドの平均粒径D50は、約0.1μm~3μmであり得る。前記平均粒径D50は、粒径による粒子個数累積分布の50%地点における粒径を意味し得る。前記平均粒径は、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定し得る。具体的には、測定対象の粉末を分散媒中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザービームを通過するときに粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。
【0047】
本発明の具体的な実施様態によれば、前記カーボンナノチューブの含量が第1負極活物質層100重量部に対して0.005重量部~3重量部、または0.005重量部~1重量部、または0.005重量部~0.05重量部、または0.01重量部~0.05重量部であり得る。前記カーボンナノチューブの含量が前記範囲を満たす場合、第1負極活物質層内に電気的ネットワークを充分に構築可能であるという点で有利である。
【0048】
具体的には、前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブまたはこれらのうち二つ以上を含み得る。
【0049】
例えば、前記カーボンナノチューブは、負極活物質層内で円滑な分散のために、分散剤及び/または分散媒を含む分散液の形態で先に分散されて負極活物質層内に含まれ得る。分散液の形態で先に分散されて使用される場合、均一な伝導性を付与することができ、本発明においてカーボンナノチューブは極少量で含まれるため、定量投入が容易である。前記分散剤及び/または分散媒としては、カーボンナノチューブを分散させることが可能なものであれば、その種類は特に限定されない。例えば、前記分散剤としては、水素化ニトリルブタジエンゴム(H-NBR)、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはカルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられ、前記分散媒としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)または水などであり得る。
【0050】
前記単層カーボンナノチューブとは、6個の炭素原子が結合してなる六角形が互いに連結されて一つの管状をなすカーボンナノチューブにおいて層(wall、グラファイト面)の数が一つであることを指す。このような単層カーボンナノチューブは、一次元構造に起因するすぐれた電気的特性を示し、六角形のハニカム形態の分子の非対称(chirality)構造と直径に応じて多様な電気的な特性を示し、多層カーボンナノチューブは、前述した層の数が複数個であるカーボンナノチューブを指す。
【0051】
前記単層カーボンナノチューブの平均直径は、0.5nm~15nmであり得る。本発明の一具現例によれば、前記単層カーボンナノチューブの平均直径は1nm~10nm、または1nm~5nm、または1nm~2nmであり得る。前記単層カーボンナノチューブの平均直径がこのような範囲を満たす場合、単層カーボンナノチューブを極少量で含めても負極の電気伝導性を維持することができる。前記単層カーボンナノチューブのBET比表面積は、500m/g~1,500m/g、または900m/g~1,200m/gであり得る。前記範囲を満たす場合、望ましい固形分を有する導電材の分散液を導出することができる。前記BET比表面積は、窒素吸着BET法によって測定され得る。前記単層カーボンナノチューブの縦横比は50~20,000であってもよく、または前記単層カーボンナノチューブの長さは5μm~100μm、または5μm~50μmであり得る。前記縦横比または長さがこのような範囲を満たす場合、比表面積が高い水準であることから、負極内で単層カーボンナノチューブがリチウムチタンオキシドに強い引力で吸着されることが可能である。前記縦横比は、前記単層カーボンナノチューブパウダーをSEMによって観察し、縦横比の大きい単層カーボンナノチューブ15個と縦横比の小さい単層カーボンナノチューブ15個の縦横比の平均を求めて確認し得る。
【0052】
前記単層カーボンナノチューブは、多層カーボンナノチューブや二層カーボンナノチューブと比較して、縦横比が大きいため長さが長く、体積が大きいため少量のみを使用しても電気的ネットワークが構築可能であるという面で有利である。
【0053】
本発明の具体的な実施様態によれば、本願の第1負極活物質層が含むカーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、前記単層カーボンナノチューブの含量が前記第1負極活物質層100重量部に対して0.005重量部~3重量部、または0.005重量部~1重量部、0.005重量部~0.05重量部、または0.01重量部~0.03重量部であり得る。前記単層カーボンナノチューブの含量がこのような範囲を満たす場合、非常に少ない量で負極活物質層内に電気的ネットワークを充分に構築することが可能であるため、エネルギー密度を保存する面で有利である。
【0054】
なお、本発明の具体的な実施様態によれば、本願の第1負極活物質層が含むカーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、前記多層カーボンナノチューブの平均直径は10nm~100nmであり得る。また、多層カーボンナノチューブは比表面積が小さいため、同じ電極層をカバーするために単層カーボンナノチューブよりも多量で含まれ得る。
【0055】
本発明の一具現例において、前記第2負極活物質層は、リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む。
【0056】
前記第2負極活物質層に含まれる負極活物質は、リチウムチタンオキシドを除いて、通常使用される負極活物質であれば、全て適用可能である。例えば、炭素系活物質、ケイ素系活物質などが挙げられ、具体的には、人造黒鉛、天然黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン、黒鉛化炭素繊維、黒鉛化メソカーボンマイクロビーズ、石炭系コークス、樹脂焼成体、炭素繊維、熱分解炭素、Si、SiOx(0<x≦2)で表されるケイ素酸化物、リチウム金属、またはこれらのうち二つ以上を含み得るが、これらに制限されない。
【0057】
前記人造黒鉛は、通常、コールタール、コールタールピッチ(coal-tar pitch)及び石油系重質油などの原料を2,500℃以上に炭化させて製造され、このような黒鉛化後に、粉砕及び二次粒子形成のような粒度調整を経て負極活物質として使用される。人造黒鉛の場合、結晶が粒子中にランダムで分布しており、天然黒鉛に比べて球形度が低く、多少尖っている形状を有する。前記人造黒鉛は、商業的に広く使用されているメソフェーズカーボンマイクロビーズ(mesophase carbon microbeads;MCMB)、メソフェーズピッチ系炭素繊維(mesophase pitch-based carbon fiber;MPCF)、ブロック形態に黒鉛化された人造黒鉛、粉体形態に黒鉛化された人造黒鉛などがあり、人造黒鉛の球形度は0.91以下、または0.6~0.91、または0.7~0.9であり得る。また、前記人造黒鉛は、5μm~30μm、または10μm~25μmの粒径を有し得る。
【0058】
前記天然黒鉛は通常、加工される前には板状の凝集体となっており、板状の粒子は、電極の製造のための活物質として使用されるために粒子粉砕及び再造粒過程などの後処理加工によって滑らかな表面を有する球状に製造される。天然黒鉛は、球形度が0.91超過かつ0.97以下、または0.93~0.97、または0.94~0.96であり得る。前記天然黒鉛は、5μm~30μm、または10μm~25μmの粒径を有し得る。
【0059】
前記活物質層は二種以上の活物質を含んでもよく、この場合、活物質層の集電体付近で表面方向へ相異なる材料の活物質が分布し得る。または、同種材料の活物質であってもその平均粒径や形態が相異なる二種以上の活物質が含まれ得る。勿論、前記活物質層には、材料の種類が相異なり、かつその形態や平均粒径も相異なる二種以上の活物質が含まれることも可能である。
【0060】
また、本発明の第2負極活物質層は導電材を含み得る。前記導電材としては、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンナノチューブ;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フルオロカーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性材料などが使用され得る。
【0061】
一方、本発明の一具現例において、負極活物質層及び第2負極活物質層は、所定の負極活物質、導電材及びバインダー高分子を含み得る。
【0062】
前記バインダー高分子は、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF-co-HEP)、ポリビニリデンフルオライド(polyvinylidenefluoride)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、ポリメチルメタクリレート(polymethylmethacrylate)、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリル酸、スチレンブチレンゴム(SBR)、フッ素ゴム、多様な共重合体などの多様な種類のバインダー高分子が使用され得る。また、前記バインダー高分子の一部は、活物質層用スラリーの粘度を増加させて、活物質及び導電材の分散特性を改善する増粘剤の役割を果たし得る。
【0063】
本発明による二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び負極の間に介在された分離膜と、を含み、前記負極が前述した本発明の一実施様態による負極である。
【0064】
本発明において、前記二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池またはリチウムイオンポリマー二次電池などを含むリチウム二次電池であり得る。
【0065】
本発明の具体的な具現例によれば、前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の少なくとも一面に位置する活物質層と、を備え得る。
【0066】
前記正極集電体は、通常約3μm~500μmの厚さに作製し得る。このような正極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどを使用し得る。正極集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めてもよく、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態が可能である。
【0067】
また、本発明の活物質層には、活物質、導電材及びバインダー高分子が含まれ得る。前記活物質は正極活物質であって、リチウム含有酸化物であってもよく、リチウム含有遷移金属酸化物が望ましく使用され得る。例えば、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3,0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiFePO(0.5<x<1.3)、LixCoO(0.5<x<1.3)、LiNiO(0.5<x<1.3)、Li(0.5<x<1.3)、LiMn(0.5<x<1.3)、LiNi1-yCo(0.5<x<1.3、0<y<1)、LiCo1-yMn(0.5<x<1.3、0≦y<1)、LiNi1-yMn(0.5<x<1.3、O≦y<1)、Li(NiCoMn)O(0.5<x<1.3、0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2-zNi(0.5<x<1.3、0<z<2)、LiMn2-zCo(0.5<x<1.3、0<z<2)及びLiCoPO(0.5<x<1.3)からなる群より選択されるいずれか一つまたはこれらのうち二種以上の混合物であり得る。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物は、アルミニウム(Al)などの金属や金属酸化物でコーティングされ得る。また、前記リチウム含有遷移金属酸化物の他に、硫化物(sulfide)、セレン化物(selenide)及びハロゲン化物(halide)なども使用可能である。
【0068】
前記導電材は、通常、正極活物質を含んだ混合物の全体重量を基準にして1重量%~50重量%で添加される。このような導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば、特に制限されない。例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0069】
また、前記バインダー高分子は、活物質と導電材などの結合と集電体に対する結合を助ける成分であって、通常、正極活物質を含むスラリーの全重量を基準にして0.5重量%~50重量%添加される。このようなバインダーの例としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース(CMC)、でん粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンプロピレンジエンテルポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブチレンゴム、フッ素ゴム、多様な共重合体などが挙げられる。
【0070】
本発明の電極と共に適用される分離膜としては特に制限されない。前記分離膜としては、正極と負極との間に介在されて正極と負極を分離し、高いイオン透過度と機械的強度を有する絶縁性の薄膜が使用される。二次電池において分離膜として通常使用されるものであれば、制限なく使用可能である。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子から製造した多孔性高分子フィルムまたはこれらの二層以上の積層構造体が使用され得る。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなった不織布が使用され得る。
【0071】
また、耐熱性または機械的強度を確保するために、無機物粒子、バインダー高分子、または無機物粒子とバインダー高分子の混合物がコーティングされた分離膜を使用してもよく、選択的には、単層または多層構造として使用され得る。あわせて、電解質としてポリマーなどの固体電解質が使用される場合には、固体電解質が分離膜を兼ねることも可能である。
【0072】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。但し、本発明による実施例は多くの他の形態に変形されることができ、本発明の範囲が後述する実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0073】
実施例
下記の方法によって各実施例及び比較例を製造した。
【0074】
実施例1:負極及びリチウム二次電池の製造
<負極の製造>
バインダー高分子(ポリビニリデンフルオライド、PVdF)及び分散剤(ポリビニルピロリドン、PVP)1.545重量部、導電材として平均直径1nmの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)0.01重量部及び負極活物質としてリチウムチタンオキシド(LiTi12、平均粒径0.9μm)98.445重量部を、分散媒であるN-メチルピロリドンに分散させて均一な第1負極活物質スラリーを得た。
【0075】
前記第1負極活物質スラリーを厚さ15μmの銅集電体に塗布した後、120℃で24時間真空乾燥してロード量が0.1mAh/cmになるように第1負極活物質層を形成した。
【0076】
続いて、バインダー高分子としてSBR2.5重量部及びCMC1.2重量部を溶媒として蒸溜水に分散させた後、導電材としてカーボンブラック(Super C65)0.5重量部及び負極活物質としてフレークタイプの人造黒鉛(最長の長さ9μm、平均縦横比1:3.5)95.8重量部を添加して均一な第2負極活物質スラリーを得た。前記第2負極活物質スラリーをロード量が3.6mAh/cmになるように前記第1負極活物質層の上にコーティングした。この際、前記第1負極活物質層に存在する負極活物質と第2負極活物質層に存在する負極活物質の重量比が5:95になるように調節した。
【0077】
前記第1負極活物質層の厚さは5.3μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、前記第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約4.5%であった。
【0078】
<正極の製造>
正極活物質としてLi(Ni0.6Mn0.2Co0.2)O(NCM-622)、導電材としてカーボンブラック(carbon black)及びバインダー高分子としてポリビニリデンフルオライド(PVdF)を96:2:2の重量比で溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)に添加し、正極活物質スラリーを準備した。前記スラリーを厚さ15μmのアルミニウム集電体の一面にコーティングし、前記負極と同じ条件で乾燥及び圧延を行って正極を製造した。この際、正極活物質層の乾燥重量を基準にしてロード量は18.6mg/cmであった。
【0079】
<リチウム二次電池の製造>
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)を3:7(体積)の組成で混合した有機溶媒に、LiPFを1.0Mの濃度になるように溶解し、ビニレンカーボネート(VC)0.5wt%の添加剤を溶解して電解液を製造した。
【0080】
前記で製造された負極と正極との間に多孔性ポリプロピレンセパレータを介在した後、前記電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。
【0081】
実施例2
負極の積層構造のみを異にして、前記実施例1と同様の方法で負極及びリチウム二次電池を製造した。
【0082】
実施例2の負極は、[集電体/第2負極活物質層a/第1負極活物質層/第2負極活物質層b]の積層構造を有し、前記第2負極活物質層は1.8mAh/cm、前記第1負極活物質層は0.1mAh/cmのロード量になるように各活物質スラリーを塗布及び乾燥した。前記第1負極活物質層の厚さは5.3μm、前記第2負極活物質層a及びbの厚さは各々56μmであり、この際、第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約4.5%であった。
【0083】
実施例3
第1負極活物質層において、平均直径1nmの単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を0.02重量部、リチウムチタンオキシドを98.435重量部含むことを除いては、実施例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。
【0084】
この際、前記第1負極活物質層のロード量は0.1mAh/cmであり、前記第1負極活物質層の厚さは5.4μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、この際、第1負極活物質層の厚さは負極活物質層の全厚に対して約4.6%であった。
【0085】
実施例4
第1負極活物質層において、導電材として平均直径が2nmである単層カーボンナノチューブ(SWCNT)を0.02重量部、リチウムチタンオキシドを98.435重量部含み、前記第1負極活物質層のロード量が0.05mAh/cmであることを除いては、実施例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。
【0086】
この際、前記第1負極活物質層の厚さは2.7μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、この際、第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約2.4%であった。
【0087】
比較例1
バインダーとしてSBR2.5重量部及びCMC1.2重量部を溶媒として蒸溜水に分散させた後、導電材としてカーボンブラック(Super C65)0.5重量部及び負極活物質としてフレークタイプの人造黒鉛(最長の長さ9μm、平均縦横比1:3.5)95.8重量部を添加し、負極活物質スラリーを得た。前記負極活物質スラリーを、厚さが15μmである銅集電体に塗布した後、120℃で24時間真空乾燥してロード量が3.6mAh/cmになるように負極を形成した。この際、負極活物質層の厚さは112μmであった。
前記負極を使用したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0088】
比較例2
負極活物質として人造黒鉛のみを使用した比較例1と異なり、人造黒鉛とリチウムチタンオキシド(LiTi12、平均粒径0.9μm)を95:5の重量比で含み、前記負極活物質層のロード量が3.7mAh/cmになるように負極を形成したことを除いては、前記比較例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。この際、負極活物質層の厚さは117μmであった。
【0089】
比較例3
第1負極活物質層のロード量が0.7mAh/cmであることを除いては、実施例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。この際、前記第1負極活物質層の厚さは37.1μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約25%であった。
【0090】
比較例4
第1負極活物質層のロード量が0.3mAh/cmであることを除いては、実施例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。この際、前記第1負極活物質層の厚さは15.9μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約12%であった。
【0091】
比較例5
第1負極活物質層のロード量が0.008mAh/cmであることを除いては、実施例1と同様の方法で負極及び二次電池を製造した。この際、前記第1負極活物質層の厚さは0.4μm、前記第2負極活物質層の厚さは112μmであり、第1負極活物質層の厚さは、負極活物質層の全厚に対して約0.4%であった。
【0092】
評価結果
モノセルの容量
前記実施例及び比較例で製造された負極、正極及び多孔性ポリプロピレンセパレータを組み立てた後、電解液を注入してモノセルを製造した。24時間の含浸(wetting)後、0.1C電流でSOC30%まで充電して活性化させた後、CC/CVモード0.33C、4.2V、0.05Cカットオフ充電、CCモード0.33C、3.0Vカットオフ放電を3サイクル行って3回目の放電容量を測定した。測定された結果は、下記の表1及び表2に示した。
【0093】
外部短絡ピーク電流(A)
オシロスコープ(Wavesuffer 3024、Teledyne Lecroy社)、電流プローブ(CP150、Teledyne Lecroy社)装備を用いて、完全充電状態で前記実施例及び比較例の二次電池を各々外部短絡させた直後、0.4msec単位で外部短絡のピーク電流(A)を測定した。測定された結果は、下記の表1及び表2に示した。
【0094】
外部短絡ピーク電流(C-rate)
前記測定されたモノセルの容量(Capacity)及び外部短絡ピーク電流(A)の値を用いて、下記の式1のように外部短絡ピーク電流(C-rate)を計算した。計算された結果は、下記表1及び表2に示した。
[式1]
1/[C-rate]=Hour=モノセルの容量(capacity)/外部短絡ピーク電流(A)
【0095】
【表1】
【0096】
【表2】
【0097】
表1及び表2から分かるように、実施例1~4と比較例1~5を比較すると、実施例1~4は、セルの容量を確保すると共に低い外部短絡ピーク電流を示すことから、外部短絡に対する安全性が向上したことを確認することができる。
【0098】
比較例1、2及び5は、セルの容量面では有利であり得るが、高い外部短絡ピーク電流(A)及び外部短絡ピーク電流(C-rate)が現われることを確認することができ、比較例3及び4の場合、実施例1に比べてリチウムチタンオキシド及びカーボンナノチューブを含む第1負極活物質層のロード量が大きいことから、外部短絡に対する安全性を具現するとしてもセルの容量面で不利であることが分かる。
【符号の説明】
【0099】
1 負極集電体
2 第1負極活物質層
2a リチウムチタンオキシド
3 第2負極活物質層
4 分離膜
5 正極活物質層
6 正極集電体
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-03-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
前記集電体の少なくとも一面に位置する複数の負極活物質層と、を備え、
前記複数の負極活物質層は、
リチウムチタンオキシド(LTO)及びカーボンナノチューブ(CNT)を含む第1負極活物質層と、
前記リチウムチタンオキシド(LTO)以外の負極活物質を含む一つまたは二つ以上の第2負極活物質層とを備え、
前記第1負極活物質層のロード量が0.01mAh/cm 0.2mAh/cm あり、
前記第1負極活物質層は、前記集電体と面接触して位置するか、または前記二つ以上の第2負極活物質層の間に位置することを特徴とする、負極。
【請求項2】
前記第1負極活物質層のロード量が0.01mAh/cm~0.1mAh/cmであることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記第1負極活物質層の厚さが前記負極活物質層の全厚に対し、0.5%~4.6%であることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブの含量が、第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~3重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項5】
前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、またはこれらのうち二つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項6】
前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであり、
前記単層カーボンナノチューブの平均直径が0.5nm~15nmである単層カーボンナノチューブであることを特徴とする、請求項5に記載の負極。
【請求項7】
前記単層カーボンナノチューブの含量が、前記第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~0.1重量部であることを特徴とする、請求項6に記載の負極。
【請求項8】
前記一つまたは二つ以上の第2負極活物質層が、各々独立的に黒鉛及びシリコン系化合物のうち一種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項9】
正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在された分離膜を含み、
前記負極が、請求項1から8のいずれか一項に記載の負極であることを特徴とする、二次電池。
【請求項10】
前記二次電池がリチウム二次電池であることを特徴とする、請求項9に記載の二次電池。
【請求項11】
前記カーボンナノチューブの含量が、第1負極活物質層100重量部に対し、0.005重量部~0.05重量部であることを特徴とする、請求項1に記載の負極。
【請求項12】
前記第1負極活物質層において、負極活物質としてリチウムチタンオキシド以外の他の物質は含まず、導電材としてカーボンナノチューブ以外の他の物質を含まない、請求項1に記載の負極。
【国際調査報告】