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特表2024-535398迅速挿入型中心静脈カテーテル用のカプラ及びそのアセンブリ
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  • 特表-迅速挿入型中心静脈カテーテル用のカプラ及びそのアセンブリ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】迅速挿入型中心静脈カテーテル用のカプラ及びそのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
A61M25/06 556
A61M25/06 500
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518733
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022044918
(87)【国際公開番号】W WO2023049519
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/249,009
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/271,043
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/318,945
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511300891
【氏名又は名称】バード・アクセス・システムズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107249
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 恭久
(72)【発明者】
【氏名】ベヒシュタイン、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ハウエル、グレード エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ブランチャード、ダニエル ビー.
(72)【発明者】
【氏名】リンデクゲル、エリック ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ソーンリー、カイル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】マリー、クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】フナムラ、ジョシュア
(72)【発明者】
【氏名】ビビアーノ、カーター
(72)【発明者】
【氏名】ウエスト、シャロン
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA04
4C267AA15
4C267AA17
4C267AA24
4C267AA28
4C267BB04
4C267BB08
4C267BB09
4C267BB31
4C267CC08
4C267CC19
4C267HH08
(57)【要約】
本明細書に開示されるのは、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)用のカプラ及びそのアセンブリである。例えば、カプラアセンブリは、一緒に連結されたイントロデューサニードルとカプラとを含むことができる。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと該ニードルシャフトを覆うシースとの両方を覆うニードルハブを含むことができる。ニードルシャフトは、遠位側のニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むことができる。シースは、シースの近位部分のシース開口部の下のニードルスロットを除いて、ニードルスロットを封止することができる。ニードルハブは、ニードルハブクリップを含むことができる。カプラは、カプラハウジングと、該カプラハウジングに接続された延長アームとを含むことができる。ニードルハブクリップは、カプラアセンブリの少なくとも展開準備完了状態においてカプラハウジング上にクリップ留めされ得る。延長アームは、アクセスガイドワイヤの近位端をそこに取り付けるように構成され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)挿入アセンブリであって、
RICCと、
イントロデューサニードルであって、
ニードルシャフトであって、該ニードルシャフトの近位部分から遠位側のニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むニードルシャフトと、
ニードルシャフトを覆うシースであって、該シースの近位部分のシース開口部の下を除いて、ニードルスロットを封止するシースと、
前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆うニードルハブと
を含むイントロデューサニードルと、
アクセスガイドワイヤであって、
近位端を含む近位部分と、
前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、前記イントロデューサニードル内で前記ニードル先端部のすぐ近位に配置された遠位端を含む遠位部分と
を含むアクセスガイドワイヤと、
前記RICC、前記イントロデューサニードル及び前記アクセスガイドワイヤを一緒に連結するカプラであって、
カプラハウジングであって、前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定するための固定手段が、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定する、カプラハウジングと、
前記カプラハウジングに接続された延長アームであって、前記延長アームに前記アクセスガイドワイヤの前記近位端が取り付けられ、前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される、延長アームと
を含むカプラと
を備えるRICC挿入アセンブリ。
【請求項2】
前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定するための前記固定手段は、ニードルハブクリップであり、前記ニードルハブクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記カプラハウジング上にクリップ留めされる、請求項1に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項3】
前記ニードルハブクリップは、前記ニードルハブと一体である、請求項2に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項4】
前記ニードルハブクリップは、単一のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する支点から前記ニードルハブ上を遠位方向に延び、前記クリップアームは、該クリップアームが前記カプラハウジング上にクリップ留めされた場合に前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合し、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれたときに前記凹部から係合解除されるように構成された、前記クリップアームの遠位部分から延びる突起を含む、請求項2又は3に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項5】
前記ニードルハブクリップは、一対のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する対応する一対の支点から前記ニードルハブの両側面を越えて遠位方向に延び、前記一対のクリップアームの各クリップアームは、該クリップアームの遠位部分から延びる突起を含み、該突起は、前記ニードルハブを前記カプラハウジング上にクリップ留めすべく、前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合するように構成されるとともに、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれたときに前記カプラハウジングの対応する側面にある前記凹部から係合解除されるように構成される、請求項2又は3に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項6】
前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記延長アームと反対側の面に長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含み、前記カプラハウジングスロットは、前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットと同じ方向に開口し、前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサニードルを前記ニードルハブによって前記カプラから引き抜いている間、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成されている、請求項2乃至5のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項7】
前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングスロットを含む前記カプラハウジングの前記面に親指用凹部を含み、前記親指用凹部は、少なくとも前記イントロデューサニードルによる経皮的穿刺の間、又は前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜きの間、前記アクセスガイドワイヤを定位置に保持するように、前記アクセスガイドワイヤを親指で押し込むために構成される、請求項6に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項8】
前記カプラハウジングスロットは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分が前記RICC挿入アセンブリの状態のうちの少なくとも前記展開準備完了状態において前記親指用凹部内に延びるように、前記親指用凹部内に部分的に延びる、請求項7に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項9】
前記親指用凹部の表面はテクスチャ加工されている、請求項7又は8に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項10】
前記カプラハウジングは、前記親指用凹部の反対側の前記カプラハウジングの面に指用凹部を含み、前記指用凹部は、少なくとも前記イントロデューサニードルによる経皮的穿刺又は前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜きの間、前記アクセスガイドワイヤを前記親指用凹部内に親指で押し込みながら、指で前記RICC挿入アセンブリを支えるように構成されている、請求項7乃至9のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項11】
前記延長アームは、前記カプラハウジングと一体である、請求項2乃至10のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項12】
前記延長アームは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCのルアーコネクタ上にクリップ留めされた延長アームクリップで終端し、前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分は、前記ルアーコネクタから、前記延長アームクリップの中心を通って、前記アクセスガイドワイヤの前記近位端が取り付けられる前記延長アームのガイドワイヤ取付点まで延びる、請求項2乃至11のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項13】
前記延長アームクリップは、前記延長アームクリップが前記RICCの前記ルアーコネクタ上にクリップ留めされるときに前記ルアーコネクタの近位端が挿入されるソケットを含む、請求項12に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項14】
前記延長アームは、前記延長アームクリップと、前記延長アームを前記カプラハウジングの残りの部分に接続する前記延長アームの接続部分との間の前記延長アームの両側面を通る延長アーム開口部を含み、前記延長アーム開口部は、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームの前記ガイドワイヤ取付点に取り付けられていることを確認するために前記アクセスガイドワイヤを可視化する窓を提供するように構成される、請求項12又は13に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項15】
前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブの遠位部分が、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態で前記ニードルハブレセプタクルの中に挿入される、請求項2乃至14のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項16】
前記カプラは、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含み、前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記シース開口部を通って延びる前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分との周囲を封止することにより、前記イントロデューサニードルを介して漏れの無い吸引を可能とする、請求項2乃至15のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項17】
前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下の前記ニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含み、前記ブレードは、前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜き中に前記ニードルシャフトから前記シースを切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含み、切り離しによって、前記アクセスガイドワイヤは前記ニードルスロットによって前記ニードルシャフトから出ることが可能となる、請求項16に記載のRICC挿入アセンブリ。
【請求項18】
請求項2乃至17のいずれか一項に記載のRICC挿入アセンブリは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記イントロデューサニードルに流体接続されたシリンジを更に含む、RICC挿入アセンブリ。
【請求項19】
迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC)挿入アセンブリ用のカプラアセンブリであって、
イントロデューサニードルであって、
ニードルシャフトであって、該ニードルシャフトの近位部分から遠位側のニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むニードルシャフトと、
ニードルシャフトを覆うシースであって、該シースの近位部分のシース開口部の下を除いて、ニードルスロットを封止するシースと、
前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆うとともに、ニードルハブクリップを含むニードルハブと
を含むイントロデューサニードルと、
前記イントロデューサニードルに互いに連結されたカプラであって、
前記ニードルハブクリップが、前記カプラアセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態においてクリップ留めされるカプラハウジングと、
前記カプラハウジングに接続された延長アームであって、アクセスガイドワイヤの近位端を前記カプラハウジングに取り付けるように構成された延長アームと
を含むカプラと
を備えるカプラアセンブリ。
【請求項20】
前記ニードルハブクリップは、一対のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する対応する一対の支点から前記ニードルハブの両側面を越えて遠位方向に延び、前記一対のクリップアームの各々は、該クリップアームの遠位部分から延びる突起を含み、前記突起は、前記ニードルハブを前記カプラハウジング上にクリップ留めすべく、前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合し、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれたときに前記凹部から係合解除するように構成される、請求項19に記載のカプラアセンブリ。
【請求項21】
前記カプラハウジングは、前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットと同じ方向に開口するとともに、前記延長アームと反対側の前記カプラアセンブリの面に長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含み、前記カプラハウジングスロットは、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングスロットの中に配置される場合、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成される、請求項19又は20に記載のカプラアセンブリ。
【請求項22】
前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングスロットを含む前記カプラハウジングの前記面に親指用凹部を含み、前記カプラハウジングスロットは、前記親指用凹部内に部分的に延び、前記親指用凹部は、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジング内に配置された場合に、前記アクセスガイドワイヤを定位置に保持するために、親指で前記アクセスガイドワイヤを押し込むように構成されている、請求項21に記載のカプラアセンブリ。
【請求項23】
前記カプラハウジングは、前記親指用凹部と反対側の前記カプラハウジングの面に指用凹部を含み、前記指用凹部は、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジング内に配置された場合に、親指で前記アクセスガイドワイヤを前記親指用凹部内に押し込みながら、前記カプラアセンブリを指で支えるように構成されている、請求項22に記載のカプラアセンブリ。
【請求項24】
前記延長アームは、延長アームクリップで終端し、前記延長アームクリップは、該延長アームクリップをルアーコネクタ上にクリップ留めすべく、RICCのルアーコネクタの近位端が挿入されるソケットとして構成される、請求項19乃至23のいずれか一項に記載のカプラアセンブリ。
【請求項25】
前記延長アームは、前記延長アームクリップと、前記延長アームを前記カプラハウジングの残りの部分に接続する前記延長アームの接続部分との間の前記延長アームの両側面を通る延長アーム開口部を含み、前記延長アーム開口部は、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームのガイドワイヤ取付点に取り付けられるべきときに、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームのガイドワイヤ取付点に取り付けられていることを確認するために、前記アクセスガイドワイヤが視覚化される窓を提供するように構成される、請求項24に記載のカプラアセンブリ。
【請求項26】
前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブの遠位部分が、前記カプラアセンブリの少なくとも展開準備完了状態で前記ニードルハブレセプタクルの中に挿入される、請求項19乃至25のいずれか一項に記載のカプラアセンブリ。
【請求項27】
前記カプラは、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含み、前記アクセスガイドワイヤがシース開口部を通って延びる場合、前記バルブモジュールは、前記シースの近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの周囲を封止することによって、前記イントロデューサニードルを介した漏れのない吸引が可能となる、請求項19乃至26のいずれか一項に記載のカプラアセンブリ。
【請求項28】
前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下の前記ニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含み、前記ブレードは、前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜き中に前記ニードルシャフトから前記シースを切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む、請求項27に記載のカプラアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
中心静脈カテーテル(CVC:Central venous catheter)は一般にセルジンガー法によって患者の体内へと導入され、患者の脈管構造内で前進させられる。セルジンガー法では、多くのステップと医療機器(例えば、針、外科用メス、ガイドワイヤ、イントロデューサシース、ディレータ、CVC等)が利用される。セルジンガー法は有効ではあるものの、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法を実施中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0002】
本願では、上記に対処する迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly insertable central catheter)用のカプラ及びそのアセンブリが開示される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、いくつかの実施形態では、RICCと、イントロデューサニードルと、アクセスガイドワイヤと、RICC及びイントロデューサニードル並びにアクセスガイドワイヤを一緒に連結するカプラとを含む、RICC挿入アセンブリが開示される。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと、該ニードルシャフトを覆うシースと、前記ニードルシャフト及び前記シースの両方を覆うニードルハブとを含む。前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含む。前記シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆う。前記ニードルハブは、前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆う。前記アクセスガイドワイヤは、近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。前記アクセスガイドワイヤの遠位端は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態において、前記イントロデューサニードル内でニードル先端部のすぐ近位に配置される。前記カプラは、カプラハウジングと、該カプラハウジングに接続された延長アームとを含む。前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定するための固定手段は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において、前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定する。加えて、前記アクセスガイドワイヤの前記近位端は、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で前記延長アームに取り付けられる。前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び前記遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される。
【0004】
いくつかの実施形態では、前記ニードルハブを前記カプラハウジングに固定するための固定手段は、ニードルハブクリップである。前記ニードルハブクリップは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記カプラハウジング上にクリップ留めされる。
【0005】
いくつかの実施形態では、前記ニードルハブクリップは、前記ニードルハブと一体である。
いくつかの実施形態では、前記ニードルハブクリップは、単一のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する支点から前記ニードルハブを越えて遠位方向に延びる。前記クリップアームは、該クリップアームが前記カプラハウジング上にクリップ留めされた場合に前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合するように構成された、前記クリップアームの遠位部分から延びる突起を含む。また、前記突起は、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれた場合に前記カプラハウジングの対応する前記面にある前記凹部から外れるように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、前記ニードルハブクリップは、一対のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する対応する一対の支点から前記ニードルハブの両側面を越えて遠位方向に延びる。前記一対のクリップアームの各々は、前記ニードルハブを前記カプラハウジング上にクリップ留めすべく、前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合するように構成された、前記クリップアームの遠位部分から延びる突起を含む。また、前記突起は、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれた場合に前記カプラハウジングの対応する前記面にある前記凹部から外れるように構成される。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記延長アームと反対側の面に長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含む。前記カプラハウジングスロットは、前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットと同じ方向に開口する。前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサニードルを前記ニードルハブによって前記カプラから引き抜いている間、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成されている。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングスロットを含む前記カプラハウジングの前記面に親指用凹部を含む。前記親指用凹部は、少なくとも前記イントロデューサニードルによる経皮的穿刺の間、又は前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜きの間、前記アクセスガイドワイヤを定位置に保持するように、前記アクセスガイドワイヤを親指で押し込むために構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングスロットは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分が前記RICC挿入アセンブリの状態のうちの少なくとも前記展開準備完了状態において前記親指用凹部内に延びるように、前記親指用凹部内に部分的に延びる。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記親指用凹部の表面はテクスチャ加工されている。
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおいて前記親指用凹部の反対側の面に指用凹部を含む。前記指用凹部は、少なくとも前記イントロデューサニードルによる経皮的穿刺又は前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜きの間、前記アクセスガイドワイヤを前記親指用凹部内に親指で押し込みながら、指で前記RICC挿入アセンブリを支えるように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記延長アームは、前記カプラハウジングと一体である。
いくつかの実施形態では、前記延長アームは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記RICCのルアーコネクタ上にクリップ留めされた延長アームクリップで終端する。前記アクセスガイドワイヤの前記近位部分は、前記ルアーコネクタから、前記延長アームクリップの中心を通って、前記アクセスガイドワイヤの前記近位端が取り付けられる前記延長アームのガイドワイヤ取付点まで延びる。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記延長アームクリップは、前記延長アームクリップが前記RICCの前記ルアーコネクタ上にクリップ留めされるときに前記ルアーコネクタの近位端が挿入されるソケットを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、前記延長アームは、前記延長アームクリップと、前記延長アームを前記カプラハウジングの残りの部分に接続する前記延長アームの接続部分との間の前記延長アームの両側面を通る延長アーム開口部を含む。前記延長アーム開口部は、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームの前記ガイドワイヤ取付点に取り付けられていることを確認するために前記アクセスガイドワイヤを可視化する窓を提供するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブの遠位部分が、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態で前記ニードルハブレセプタクルの中に挿入される。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含む。前記バルブモジュールは、前記シースの前記近位部分と、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記シース開口部を通って延びる前記アクセスガイドワイヤの前記遠位部分との周囲を封止することにより、前記イントロデューサニードルを介した漏れの無い吸引が可能となる。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下のニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含む。前記ブレードは、前記ニードルハブによる前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜き中に前記ニードルシャフトから前記シースを切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含み、切り離しによって、前記アクセスガイドワイヤは前記ニードルスロットによって前記ニードルシャフトから出ることが可能となる。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記RICC挿入アセンブリは、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記イントロデューサニードルに流体接続されたシリンジを更に含む。
【0018】
また、本明細書に開示されるのは、いくつかの実施形態では一緒に連絡されるイントロデューサニードル及びカプラを含む、RICC挿入アセンブリ用のカプラアセンブリである。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと、該ニードルシャフトを覆うシースと、前記ニードルシャフト及び前記シースの両方を覆うニードルハブとを含む。前記ニードルシャフトは、該ニードルシャフトの近位部分から遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含む。前記シースは、該シースの近位部分のシース開口部の下の前記ニードルスロットを除いて、前記ニードルスロットを封止する前記ニードルシャフトを覆う。前記ニードルハブは、前記ニードルシャフトの近位部分及び前記シースの近位部分を覆う。前記ニードルハブは、ニードルハブクリップを含む。前記カプラは、カプラハウジングと、該カプラハウジングに接続された延長アームとを含む。前記ニードルハブクリップは、前記カプラアセンブリの少なくとも前記展開準備完了状態において前記カプラハウジング上にクリップ留めされる。前記延長アームは、前記アクセスガイドワイヤの近位端を前記延長アームに取り付けるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記ニードルハブクリップは、一対のレバー付きクリップアームを含み、前記クリップアームは、該クリップアームを前記ニードルハブの残りの部分に接続する対応する一対の支点から前記ニードルハブの両側面を越えて遠位方向に延びる。前記一対のクリップアームの各々は、前記ニードルハブを前記カプラハウジング上にクリップ留めすべく、前記カプラハウジングの対応する面にある凹部と係合するように構成された、前記クリップアームの遠位部分から延びる突起を含む。また、前記突起は、前記クリップアームの近位部分が前記ニードルハブの中心線に向かって押し込まれた場合に前記カプラハウジングの対応する前記面にある前記凹部から外れるように構成される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記延長アームと反対側の面に長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含む。前記カプラハウジングスロットは、前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットと同じ方向に開口する。前記カプラハウジングスロットは、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングスロットに配置された場合に、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることができるように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングスロットを含む前記カプラハウジングの前記面に親指用凹部を含み、前記カプラハウジングスロットは、前記親指用凹部内に部分的に延びている、前記親指用凹部は、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジング内に配置された場合に、前記アクセスガイドワイヤを定位置に保持するために、親指で前記アクセスガイドワイヤを押し込むように構成されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおいて前記親指用凹部の反対側の面に指用凹部を含む。前記指用凹部は、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジング内に配置された場合に、親指で前記アクセスガイドワイヤを前記親指用凹部内に押し込みながら、前記カプラアセンブリを指で支えるように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記延長アームは、延長アームクリップをルアーコネクタ上にクリップ留めすべく、RICCのルアーコネクタの近位端が挿入されるソケットとして構成された延長アームクリップで終端する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記延長アームは、前記延長アームクリップと、前記延長アームを前記カプラハウジングの残りの部分に接続する前記延長アームの接続部分との間の前記延長アームの両側面を通る延長アーム開口部を含む。前記延長アーム開口部は、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームのガイドワイヤ取付点に取り付けられるべきときに、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームのガイドワイヤ取付点に取り付けられていることを確認するために、前記アクセスガイドワイヤが視覚化される窓を提供するように構成される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、該カプラハウジングの近位部分にニードルハブレセプタクルを含み、前記ニードルハブの遠位部分が、前記カプラの少なくとも展開準備完了状態で前記ニードルハブレセプタクルの中に挿入される。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記カプラは、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールをさらに含む。前記バルブモジュールは、前記アクセスガイドワイヤがシース開口部を通って延びる場合、前記シースの近位部分及び前記アクセスガイドワイヤの周囲を封止することによって、前記イントロデューサニードルを介した漏れのない吸引が可能となる。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記バルブモジュールは、前記シース開口部の遠位端の下のニードルスロット内に配置された一体型のブレードを含む。前記ブレードは、前記イントロデューサニードルが前記ニードルハブによって前記カプラから引き抜かれる間、前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む。
【0028】
また、RICCを患者の血管管腔内に挿入するための方法も本明細書に開示されている。本方法は、いくつかの実施形態では、RICC挿入アセンブリ取得ステップと、穿刺経路確立ステップと、アクセスガイドワイヤ前進ステップと、クリップを開くステップと、イントロデューサニードル引き抜きステップと、RICC前進ステップとを含む。前記RICC挿入アセンブリ取得ステップは、RICC挿入アセンブリを取得することを含む。前記RICC挿入アセンブリは、カプラによって互いに連結された、前記RICCと、ニードルシャフトを覆うシースを含むイントロデューサニードルと、アクセスガイドワイヤとを含む。前記アクセスガイドワイヤの近位端は、前記カプラの延長アームに連結される。前記アクセスガイドワイヤの遠位端は、前記カプラのバルブモジュールを経由して前記イントロデューサニードル内に配置される。前記アクセスガイドワイヤの前記近位端及び前記遠位端は、前記アクセスガイドワイヤにループを形成し、前記RICC挿入アセンブリの少なくとも展開準備完了状態で前記RICCが前記ループの上方に配置される。前記穿刺経路確立ステップは、前記イントロデューサニードルを用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。前記アクセスガイドワイヤ前進ステップは、前記アクセスガイドワイヤの前記遠位端を、前記ニードルシャフト内で該ニードルシャフトのニードル先端部のすぐ近位のその初期位置から血管内腔内へ前進させることを含む。前記クリップを開くステップは、一対のレバー付きクリップアームを前記イントロデューサニードルのニードルハブの中心線に向かって押し込むことを含む。前記一対のクリップアームを前記ニードルハブに向かって押し込むことにより、前記一対のクリップアームの各クリップアームが、該クリップアームが遠位方向に延びる前記カプラのカプラハウジングから係合解除される。前記イントロデューサニードル引き抜きステップは、前記アクセスガイドワイヤを血管内腔内の定位置に残したままで、前記イントロデューサニードルを前記カプラから引き抜くことを含む。前記イントロデューサニードルは、該ニードルシャフトの近位部分からニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含む。前記ニードルスロットは、前記カプラからの前記イントロデューサニードルの引き抜きとともに、前記アクセスガイドワイヤがそこから出ることを可能にする。前記RICC前進ステップは、前記RICCを血管内腔へ挿入するために、前記RICCのカテーテルチューブを前記アクセスガイドワイヤ上で前進させることを含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、本方法は、血液吸引ステップを更に含む。血液吸引ステップは、前記穿刺経路が前記血管内腔内に延びていることを確認するために、前記ニードルハブに連結されたシリンジを用いて血液を吸引することを含む。前記シースは、前記ニードルシャフトを覆い、前記シリンジで血液を吸引するために ニードルスロットを封止する。前記血液吸引ステップは、前記イントロデューサニードル引き抜きステップの前に行われる。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記イントロデューサニードルを引き抜くステップは、前記カプラハウジングのバルブモジュール室内に配置されたバルブモジュールの一体型ブレードを用いて、前記ニードルシャフトから前記シースを同時に切り離すステップを含む。前記シースを前記ニードルシャフトから切り離すことは、前記アクセスガイドワイヤが前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットを経由して、前記ニードルシャフトから逃げることを可能にする。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記カプラハウジングは、前記カプラハウジングにおける前記延長アームと反対側の面に長手方向に延びるカプラハウジングスロットを含む。前記カプラハウジングスロットは、前記ニードルシャフトの前記ニードルスロットと同じ方向に開口する。前記カプラハウジングスロットは、前記イントロデューサニードル針引き出しステップの間、前記アクセスガイドワイヤが前記カプラハウジングから出ることを可能にする。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記方法は、アクセスガイドワイヤ固定ステップを更に含む。前記アクセスガイドワイヤを固定するステップは、前記カプラハウジングスロットを含む前記カプラハウジングの前記面にある親指用凹部内に前記アクセスガイドワイヤを親指で押し込むことを含む。前記アクセスガイドワイヤを前記親指凹部内に押し込むことにより、前記アクセスガイドワイヤは、前記穿刺経路確立ステップ又は前記イントロデューサニードル引抜きステップの間、定位置に保持される。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記方法は、アクセスガイドワイヤ可視化ステップを更に含む。前記アクセスガイドワイヤ可視化ステップは、前記延長アーム開口部内の前記アクセスガイドワイヤを可視化することを含む。前記延長アーム開口部は、前記延長アームの近位端と、前記延長アームを前記カプラハウジングの残りの部分に接続する前記延長アームの接続部分との間で、前記延長アームの両側面を通る。前記アクセスガイドワイヤの可視化は、前記アクセスガイドワイヤが前記延長アームの前記ガイドワイヤ取付点に取り付けられていることを確認するためのものである。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記方法は、RICC分離ステップをさらに含む。前記RICC分離ステップは、前記RICC前進ステップ中に前記延長アームの延長アームクリップから前記RICCのルアーコネクタを取り外すことによって、前記RICC前進ステップの残りの間、前記カプラから前記RICCを分離することを含む。前記カプラ又は該カプラの前記延長アームは、前記アクセスガイドワイヤ用のハンドルとなる。
【0035】
本明細書で提供される概念のこのよう特徴および他の特徴は、そのような概念の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面および以下の説明を考慮して、当業者にとってより明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリを示す側面図。
図2】いくつかの実施形態によるカプラアセンブリを示す側面図。
図3】いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリを示す平面図。
図4】いくつかの実施形態によるカプラアセンブリを示す底面図。
図5】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルがカプラから引き抜かれているカプラアセンブリを示す側面図。
図6】いくつかの実施形態によるカプラアセンブリを示す長手方向断面図。
図7】いくつかの実施形態によるカプラアセンブリのカプラを示す長手方向断面図。
図8】いくつかの実施形態による、カプラアセンブリのイントロデューサニードルを示す長手方向断面図。
図9】いくつかの実施形態によるイントロデューサニードルを示す側面図。
図10】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルを示す平面図。
図11】いくつかの実施形態による、イントロデューサニードルにおけるようなニードルシャフトを覆うシースを示す平面図。
図12】いくつかの実施形態による、シースを示す平面図。
図13】いくつかの実施形態による、ニードルシャフトを示す平面図。
図14】いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリのRICCを示す図。
図15】いくつかの実施形態による、RICCのカテーテルチューブの遠位部分の詳細図。
図16】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分を示す横断面図。
図17】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分を示す別の横断面図。
図18】いくつかの実施形態による、カテーテルチューブの遠位部分を示す長手方向断面図。
【発明を実施するための形態】
【0037】
いくつかの特定の実施形態がより詳細に開示される前に、本明細書に開示される特定の実施形態は、本明細書に提供される概念の範囲を限定しないことを理解されたい。本明細書に開示される特定の実施形態は、特定の実施形態から容易に分離でき、任意選択で、本明細書に開示される他の多数の実施形態のいずれかの特徴と組み合わせるか、または置換することができる特徴を有することができることも理解されたい。
【0038】
本明細書で使用される用語に関して、用語は、いくつかの特定の実施形態を説明するためのものであり、用語は、本明細書で提供される概念の範囲を限定しないことも理解されたい。序数(例えば、第1、第2、第3など)は、一般に、複数の特徴または複数の工程のグループ内の異なる特徴またはステップを区別または識別するために使用され、連続的な限定または数値限定を提供するものではない。例えば、「第1」、「第2」、および「第3」の特徴またはステップは、必ずしもその順序で現れる必要はなく、そのような特徴またはステップを含む特定の実施形態は、必ずしも3つの特徴またはステップに限定される必要はない。加えて、前述の特徴またはステップのいずれかは、特に指定されない限り、1つまたは複数の特徴もしくはステップをさらに含むことができる。「左」、「右」、「上」、「下」、「前」、「後」、などのラベルは、便宜上使用されており、例えば、特定の固定位置、向き、又は方向を意味するものではない。代わりに、そのような表記は、例えば、相対的な位置、向き、又は方向を反映するために使用される。単数形の「一」、「1つ」、および「前記」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数形の参照も含む。
【0039】
「近位」に関しては、例えば、カテーテルの「近位部分」または「近位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「近位長さ(proximal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「近位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、臨床医の近くにあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの近位端を含むことができるが、カテーテルの近位部分、近位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの近位部分、近位端部分、または近位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0040】
「遠位」に関しては、例えば、カテーテルの「遠位部分」または「遠位端部分」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くにあるか、または患者内にあることを意図したカテーテルの部分を含む。同様に、例えば、カテーテルの「遠位長さ(distal length)」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあることを意図したカテーテルの長さを含む。例えば、ニードルの「遠位端」は、カテーテルが患者に使用される場合、患者の近くまたは患者内にあるように意図されたカテーテルの端部を含む。カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含むことができるが、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの遠位端を含む必要はない。すなわち、文脈から示唆される場合を除き、カテーテルの遠位部分、遠位端部分、または遠位長さは、カテーテルの末端部分または末端長さではない。
【0041】
他に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての科学技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。
セルジンガー法に関して上述したように、多くのステップには時間がかかり、多数の医療機器を扱うことは煩雑であり、これらは何れも患者に外傷を負わせる可能性がある。それに加えて、セルジンガー法を実施中に交換が必要な医療機器が多いことから、接触による汚染の可能性が比較的高い。そのため、CVCのようなカテーテルを患者の体内へと導入し、カテーテルをその脈管構造内で前進させることに関わるステップと医療機器の数を減らす必要がある。
【0042】
本明細書に開示されるのは、迅速挿入型中心静脈カテーテル(RICC:rapidly insertable central catheter)用のカプラ及びそのアセンブリである。例えば、カプラアセンブリは、一緒に連結されたイントロデューサニードルとカプラとを含むことができる。イントロデューサニードルは、ニードルシャフトと該ニードルシャフトを覆うシースとの両方を覆うニードルハブを含むことができる。ニードルシャフトは、遠位ニードル先端部まで長手方向に延びるニードルスロットを含むことができる。シースは、シースの近位部分のシース開口部の下のニードルスロットを除いて、ニードルスロットを封止することができる。ニードルハブは、ニードルハブクリップを含むことができる。カプラは、カプラハウジングと、該カプラハウジングに接続された延長アームとを含むことができる。ニードルハブクリップは、カプラアセンブリの少なくとも展開準備完了状態においてカプラハウジング上にクリップ留めされ得る。延長アームは、アクセスガイドワイヤの近位端をそこに取り付けるように構成され得る。
【0043】
前述の特徴並びにRICC用のカプラ及びそのアセンブリの他の特徴は、RICC挿入アセンブリの文脈において上述の特定の実施形態をより詳細に説明する添付の図面及び以下の説明を考慮すれば、当業者にはより明らかになるであろう。特に、RICC挿入アセンブリのRICCは、本明細書で提供されるRICC挿入アセンブリのようなカテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得るカテーテルの1つのタイプにすぎない。実際、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC:peripherally inserted central catheters)、透析カテーテルなどもまた、カテーテル挿入アセンブリに組み込まれ得る。
【0044】
RICC挿入アセンブリ
図1は、いくつかの実施形態によるRICC挿入アセンブリ100を示す。
示されるように、RICC挿入アセンブリ100は、RICC102と、イントロデューサニードル104と、アクセスガイドワイヤ106と、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてRICC102、イントロデューサニードル104、及びアクセスガイドワイヤ106を互いに連結するカプラ108とを含む。特に、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、カプラ108の延長アーム178に取り付けられ、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、以下に説明するように、イントロデューサニードル104のニードル管腔156内に配置される。これにより、アクセスガイドワイヤ106にループが形成される。RICC102は、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態でループの上方に配置され、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0045】
RICC挿入アセンブリ100は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、イントロデューサニードル104に流体接続されたシリンジ110を更に含むことができる。以下に説明するように、シース144は、ニードルシャフト142のニードルスロット150を封止する。特に、シース144は、バルブモジュール176の外側でニードルスロット150を封止する。次に、バルブモジュール176は、次に、ニードルスロット150に対して開くシース144のシース開口部160を覆って封止する。バルブモジュール176はまた、アクセスガイドワイヤ106の周囲を封止する。このような封止により、シリンジ110が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することが可能になる。
【0046】
最後に、少なくともRICC102、イントロデューサニードル104、アクセスガイドワイヤ106、カプラ108、およびシリンジ110から選択されるRICC挿入アセンブリ100の任意の構成要素、または上記構成要素から選択される構成要素の任意の部分は、その上またはその中に抗菌剤を含むことができる。一例では、RICC102のカテーテルチューブ112は、カテーテルチューブ112の反管腔側表面、カテーテルチューブ112の管腔側表面、または両表面上に抗菌コーティングを含むことができる。別の例では、カテーテルチューブ112の押し出し成型前の材料は、押し出し成型されたときに抗菌剤がカテーテルチューブ112に組み込まれるように、材料の中に混合された抗菌剤を含むことができ、抗菌剤は、カテーテルチューブ112の反管腔側表面及びカテーテルチューブ112の管腔側表面の両方を微生物汚染から保護する。
【0047】
図14は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100のRICC102を示す。
示されるように、RICC102は、カテーテルチューブ112と、カテーテルハブ114と、1つ以上の延長レッグ116と、1つ以上の延長レッグコネクタ118とを含む。
【0048】
図15図18は、いくつかの実施形態による、RICC102のカテーテルチューブ1112の様々な図を示す。
カテーテルチューブ112は、カテーテルチューブ112の遠位部分の第1のセクション120と、第1のセクション120の近位のカテーテルチューブ112の遠位部分の第2のセクション122と、カテーテルチューブ112の第1のセクション120と第2のセクション122との間のテーパ状接合部124とを含む。
【0049】
カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、接合部124の遠位にある第1のセクション120の遠位部分の外径から第1のセクション120の遠位端の外径まで、比較的短いテーパを有するカテーテル先端部126を含む。カテーテル先端部126のテーパは、イントロデューサニードル104で確立された穿刺経路の周囲にある組織を、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の遠位部分の外径まで、即時に拡張するように構成されている。図18に最もよく示されるように、カテーテルチューブ112の第1のセクション120はまた、接合部124の遠位部分の穴内に配置され、かつ、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってその穴に固定的に連結された近位部分を含む。
【0050】
カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第2のセクション122の遠位端から第2のセクション122の近位端まで、その長さにわたって一定の外径を含む。カテーテルチューブ112の第2のセクション122の一定の直径は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120及び接合部124による任意の拡張後の、穿刺経路及び標的血管系内への円滑な挿入のために構成されている。カテーテルチューブ112の第2のセクション122の遠位端は、接合部124の平坦面近位端と同一平面上にあり、溶剤結合、接着剤結合、又は熱溶接などによってその近位端に固定的に連結された平坦面を有する。
【0051】
接合部124は、接合部124の近位端から接合部124の遠位端まで、その長さにわたってテーパを含む。接合部124のテーパは、穿刺経路の周囲にある組織を、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の近位部分における外径からカテーテルチューブ112の第2のセクション122の外径まで、即時に拡張するように構成されている。接合部124の反管腔側表面は、カテーテルチューブ112が穿刺経路に挿入されるときに皮膚に引っ掛かる縁部を生じることなく、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の反管腔側表面からカテーテルチューブ112の第2のセクション122の反管腔側表面へ滑らかに移行する。縁部が最小限ないし無視できる程度であることに加えて、縁部は、カテーテルチューブ112を形成するポリマー材料のうちの溶媒相互拡散ポリマー材料を含むことができ、これにより、カテーテルチューブ112の第1のセクション120から接合部124への移行、及び接合部124からカテーテルチューブ112の第2のセクション122への移行が滑らかになる。特に、接合部124は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さにほぼ相当する長さ、又はカテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さと第2のセクション122の露出部分の長さとの間の長さを有する。このように、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の露出部分の長さは、接合部124の長さよりも短く、最大で接合部124の長さにほぼ相当する。
【0052】
カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリマー材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、又はポリウレタン)から形成される。カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第1のデュロメータ硬さよりも小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、別のポリウレタン、又はシリコーン)から形成される。例えば、カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、第1のデュロメータ硬さを有する第1のポリウレタンから形成することができ、カテーテルチューブ112の第2のセクション122は、第1のデュロメータ硬さよりも小さい第2のデュロメータ硬さを有する第2の異なるポリウレタン(例えば、同じ又は異なるジイソシアネート若しくはトリイソシアネートが、異なるジオール又はトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、同じ又は異なるジオール若しくはトリオールと反応したもの、異なるジイソシアネート又はトリイソシアネートが、異なる条件下で又は異なる添加剤を用いて、同じジオール又はトリオールと反応したものなど)から形成され得る。実際、ポリウレタンは、室温では相対的に剛性であり得るが、生体内では体温でより可撓性になり得、これにより血管壁への刺激並びに静脈炎が低減されるという点で、カテーテルチューブ112に好都合である。また、ポリウレタンは、いくつかの他のポリマーよりも血栓形成性が低くなり得るという点でも好都合である。接合部124は、第1のデュロメータ硬さよりも小さく、かつ第2のデュロメータ硬さに比べて、大きいか、ほぼ等しいか、又は小さい第3のデュロメータ硬さを有する第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料(例えば、更に別のポリウレタン)から形成される。
【0053】
第1のポリマー材料の第1のデュロメータ硬さ、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬さ、及び第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬さは、異なるスケールによるもの(例えば、タイプA又はタイプD)であってもよいことを理解されたい。この理解により、第2のポリマー材料の第2のデュロメータ硬さ又は第3のポリマー材料の第3のデュロメータ硬さは、第2のデュロメータ硬さ又は第3のデュロメータ硬さが第1のデュロメータよりも小さい場合に、絶対値的には、第1のポリマー材料の第1のデュロメータよりも小さくない可能性がある。実際に、第2のポリマー材料又は第3のポリマー材料の硬度は、やはり第1のポリマー材料の硬度よりも低い場合がある。それぞれ0~100の範囲である異なるスケールが、同様の硬度を有する材料の群における別々の材料を特徴付けるように設計されているためである。
【0054】
上述したカテーテルチューブ112の第1のセクション120、カテーテルチューブ112の第2のセクション122、及びカテーテルチューブ112の第1のセクション120と第2のセクション122との間の接合部124によれば、カテーテルチューブ112は、イントロデューサニードル104で確立された穿刺経路内に挿入されたときに、カテーテルチューブ112の座屈を防止するのに十分なカラム強度を有する。また、カテーテルチューブ112のカラム強度は、別個の拡張器を用いて穿刺経路周囲の組織又は血管系のいかなる血管も予め拡張することなく、患者の血管系を通してカテーテルチューブ112を前進させるときに、カテーテルチューブ112の座屈を防止するのにも十分である。
【0055】
カテーテルチューブ112は、カテーテルチューブ112を通って延びる1つ以上のカテーテルチューブ管腔を含む。しかしながら、通常、多管腔RICC(例えば、二管腔RICC、三管腔RICC、四管腔RICC、五管腔RICC、六管腔RICCなど)において、カテーテルチューブ112の近位端からカテーテルチューブ112の遠位端まで延びるカテーテルチューブ管腔は1つだけである。(図13図16を参照)。実際、カテーテルチューブ112の第1のセクション120は、図15及び図18に示されるように、通常、そこを通る単一の管腔を含む。
【0056】
カテーテルハブ114は、カテーテルチューブ112の近位部分に連結される。カテーテルハブ114は、1つ以上のカテーテルチューブ管腔に数が対応する1つ以上のカテーテルハブ管腔を含む。1つ以上のカテーテルハブ管腔は、カテーテルハブ114の近位端からカテーテルハブ114の遠位端までカテーテルハブ114の全体を通って延びる。
【0057】
1つ以上の延長レッグ116の各延長レッグが、その遠位部分によってカテーテルハブ114に連結される。1つ以上の延長レッグ116はそれぞれ、1つ以上の延長レッグ管腔を含み、ひいては、この延長レッグ管腔の数は、1つ以上のカテーテルハブ管腔の数に対応する。1つ以上の延長レッグ管腔の各延長レッグ管腔は、延長レッグの近位端から延長レッグの遠位端まで延長レッグ全体を通って延びる。
【0058】
1つ以上の延長レッグコネクタ118の各延長レッグコネクタは、1つ以上の延長レッグ116のうちの1つの延長レッグの近位部分上にある。例えば、1つ以上の延長レッグコネクタ118の各延長レッグコネクタは、1つ以上の延長レッグ116のうちの1つの延長レッグの近位部分上のルアーコネクタであり得る。そのような延長レッグコネクタを通して、対応する延長レッグ及びその延長レッグ管腔は、別の医療デバイス及びその管腔に接続されることができる。しかしながら、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態では、少なくとも1つの延長レッグコネクタ(例えば、RICC102の一次管腔128の一部を含む延長レッグコネクタ)が、カプラ108の延長アーム178の延長アームクリップ194に接続されて、アクセスガイドワイヤ106及びその上のRICC102にループを形成する。
【0059】
示されるように、RICC102は、3つの管腔のセットを含む三管腔RICCである。しかしながら、RICC102は、上述の3つの管腔のセットに限定されない。3つの管腔のセットは、3つのカテーテルチューブ管腔、3つのカテーテルハブ管腔、及び3つの延長レッグ管腔の流体接続された部分から形成される、一次管腔128、二次管腔130、及び三次管腔132を含む。一次管腔128は、カテーテルチューブ112の第1のセクション120の遠位端に一次管腔開口134を有し、一次管腔開口134は、カテーテルチューブ112の遠位端及びRICC102の遠位端に対応する。二次管腔130は、カテーテルチューブ112の遠位部分の一面に二次管腔開口136を有する。三次管腔132は、二次管腔開口136の近位のカテーテルチューブ112の遠位部分の一面に三次管腔開口138を有する。
【0060】
図2図6は、いくつかの実施形態による、カプラアセンブリ140の様々な図を示す。
図示のように、カプラアセンブリ140は、RICC挿入アセンブリ100のサブアセンブリである。実際に、カプラアセンブリ140は、一緒に連結されたイントロデューサニードル104およびカプラ108を含む。
【0061】
図8図13は、いくつかの実施形態による、イントロデューサニードル104又はその部品の様々な図を示す。図2図6は、いくつかの実施形態による、カプラアセンブリ140の部分として、イントロデューサニードル104を示す。
【0062】
示されるように、イントロデューサニードル104は、ニードルシャフト142と、ニードルシャフト142を覆うシース144と、ニードルシャフト142の近位部分とシース144の近位部分の両方を覆うニードルハブ146とを含む。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、ニードルシャフト142及びシース144は、ニードルハブ146から、バルブモジュール176を通って、カプラハウジング174の遠位端から外へ延びる。
【0063】
ニードルシャフト142は、ニードルシャフト142の遠位部分のニードル先端部148と、ニードル先端部148までニードルシャフト142の近位部分から長手方向に延びるニードルスロット150とを含む。
【0064】
ニードル先端部148は、先端部ベベルと、該先端部ベベルの近位にある一次ベベルとを有するベベル152を含む。図示されていないが、先端部ベベルの先端部ベベル角度は、ベベル152がニードル先端部148にわたって滑らかな移行を提供するように、一次ベベルの一次ベベル角度よりも大きい。したがって、そのようなニードル先端部は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って、皮膚の領域から患者の血管内腔内までの穿刺経路を確立するように構成されている。
【0065】
ニードルスロット150は、ニードルシャフト142の近位部分からニードル先端部148まで延び、それによってニードルシャフト142を通るニードル管腔とは対照的に、ニードルシャフト142の長さの大部分に沿ってニードルチャネル154を形成する。ニードルスロット150は、アクセスガイドワイヤ106の外径に従って寸法決めされた幅を有し、これにより、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップが実行されるときに、アクセスガイドワイヤ106が、ニードルシャフト142の近位部分からニードル先端部148まで通過することが可能になる。
【0066】
ニードルシャフト142は、ニードルスロット150を含むが、イントロデューサニードル104は、ニードル管腔156を含むことを理解されたい。しかしながら、ニードル管腔156は、ニードルシャフト142とニードルシャフト142を覆うシース144との組み合わせでもたらされる。実際、ニードルシャフト142を覆うシース144は、ニードルスロット150を封止して、イントロデューサニードル104のニードル管腔156を形成し、シリンジ110が後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0067】
シース144は、シース144の遠位部分のシース先端部158と、シース144の近位部分の面にシース開口部160とを含む。
シース先端部158は、シース144の遠位部分の外径からシース144の遠位端の外径までの比較的短いテーパを含み、その後者は、ニードルシャフト142の遠位部分の外径に相当する。テーパは、ニードル先端部148の一次ベベルの一次ベベル角度よりも小さいテーパ角度を有し、ひいては、このテーパ角度は、ニードル先端部148の先端部ベベルの先端部ベベル角度よりも小さい。このようなテーパを有するシース先端部158は、後述する方法の穿刺経路確立ステップのために、ニードル先端部148からシース144の本体への滑らかな移行を提供するように構成されている。
【0068】
シース開口部160は、ニードルシャフト142のニードルスロット150に対して開いており、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部160を通って、ニードルチャネル154または形成されたニードル管腔156に入ることを可能にする。従って、シース開口部160は、ニードルスロット150の幅にほぼ相当する幅を有し、ひいては、ニードルスロットは、アクセスガイドワイヤ106の直径に従って寸法決めされる。また、シース開口部160は、アクセスガイドワイヤ106がシース開口部160を通過してニードルスロット150又はそこに形成されたニードル管腔156に入るのに十分な長さを有し、またシース開口部160の遠位端の下にバルブモジュール176のブレード192を収容する。特に、ニードルシャフト142を覆うシース144は、シース開口部160の下を除いて、ニードルスロット150を封止する。しかしながら、バルブモジュール176は、その中のニードルシャフト142及びシース144の近位部分を封止することによって、シース開口部160によって露出されるニードルスロット150を覆って封止し、それにより、シリンジ110が、後述する方法の血液吸引ステップに従って血液を吸引することを可能にする。
【0069】
シース144又はそのシース本体は、後述する方法の穿刺経路確立ステップに従って、患者の皮膚の領域から血管内腔へのイントロデューサニードル104の滑らかで一貫した挿入を容易にするように構成されたポリマー材料から形成される。加えて、ポリマー材料は、後述する方法の血液吸引ステップが行われるときに、ニードルシャフト142のニードルスロット150内へのシース144の圧潰に抗するのに十分なシース144の厚さにおける機械的特性を有し、特にまた後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップに従ってニードルシャフト142からシース144を切り離すことも容易にする。そのようなポリマー材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリテトラフルオロエチレンを含むことができるが、これらに限定されない。
【0070】
ニードルハブ146は、ニードルハブクリップ162と、ニードルハブ146の近位部分にあるニードルハブコネクタ164とを含む。しかしながら、ニードルハブ146をカプラハウジング174に固定するための他の固定手段が可能であることを理解されたい。例えば、ニードルハブ146及びカプラハウジング174を通る1つ以上の取り外し可能なピン、ニードルハブ146及びカプラハウジング174の周囲の1つ以上の取り外し可能なバンド、1つ以上のボタン、1つ以上のレバーアーム、係止ねじ山、スピンカラー、又はニードルハブ146に係合するニードルハウジングクリップが、ニードルハブ146をカプラハウジング174に固定するための固定手段として使用可能である。
【0071】
ニードルハブクリップ162は、ニードルハブ146を越えて遠位方向に延びる少なくとも単一のレバー付きクリップアーム166を含む。例えば、ニードルハブクリップ162は、図3図4、および図10に示されるように、ニードルハブ146の両側面にわたって遠位に延びる一対のそのようなクリップアーム166を含むことができる。ニードルハブクリップ162がニードルハブ146と共に成型される場合のように、ニードルハブ146と一体化される場合、単一のクリップアーム166は、クリップアーム166をニードルハブ146の残りの部分に接続する支点168からニードルハブ146を越えて遠位方向に延びる。同様に、一対のクリップアーム166は、一対のクリップアーム166がニードルハブ146と共に成型される場合、クリップアーム166をニードルハブ146の残りの部分に接続する対応する一対の支点168からニードルハブ146の両側面にわたって遠位方向に延びる。あるいは、前述のクリップアーム166の各クリップアーム166は、ニードルハブ146の残りの部分とは別個に成型され、クリップアーム166とニードルハブ146との間に張力を付与されたばねを有する軸などに取り付けられてもよいことを理解されたい。上述したクリップアーム166の各クリップアーム166は、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態などにおいて、ニードルハブ146をカプラハウジング174上にクリップ留めすべく、カプラハウジング174の対応する面にある凹部169と係合するように構成された、クリップアーム166の遠位部分から延びる突起170を含む。(ニードルハブクリップ162が、RICC挿入アセンブリ100またはそのカプラアセンブリ140の展開準備完了状態においてカプラハウジング174上にクリップ留めされる、図1を参照されたい。)また、突起170は、クリップアーム166の近位部分がニードルハブ146の中心線に向かって押し込まれた場合にカプラハウジング174の対応する面にある凹部169から外れるように構成される。
【0072】
ニードルハブコネクタ164は、ニードルハブ穴171と、該ニードルハブ穴171の周囲の任意選択のニードルハブフランジ172とを含む。
ニードルハブコネクタ164のニードルハブ穴171は、イントロデューサニードル104をシリンジ110に流体接続するために、シリンジ110のシリンジ先端部(図示しない)をその中に受け入れるように構成されている。(流体接続されたイントロデューサニードル104およびシリンジ110については、図1を参照されたい。)実際、ニードルハブ穴171は、その中にシリンジ先端部を受け入れるように構成されたルアーテーパ(例えば、6%テーパ)を有することができ、シリンジ先端部は、ルアーテーパを用いて相補的に構成され得る。
【0073】
存在する場合、ニードルハブ穴171の周囲のニードルハブフランジ172は、シリンジ110のシリンジ先端部の周囲のねじ山付きカラーの雌ねじと螺合するように構成されている。シリンジ110のねじ山付きカラーは任意選択であるが、ニードルハブフランジ172は、有利には、両方が存在する場合、ねじ山付きカラーの雌ねじとのいわゆるルアーロック式接続を提供する。これにより、イントロデューサニードル104とシリンジ110との不用意な分離に対する安全性が、別様のルアースリップ型の接続による安全性よりも高くなる。
【0074】
図6は、いくつかの実施形態によるカプラ108の長手方向断面を示す。図2乃至図6は、いくつかの実施形態による、カプラアセンブリ140の部分としてのカプラ108を示す。
【0075】
図示されるように、カプラ108は、カプラハウジング174と、カプラハウジング174内に配置されたバルブモジュール176と、カプラハウジング174に接続された旋回アーム178とを含む。
【0076】
カプラハウジング174は、RICC挿入アセンブリ100を用いて、左利きによる静脈穿刺には左手で、若しくは右利きによる静脈穿刺には右手で、アンダーハンド(例えば、ゆりかご状)で快適に保持できるように構成された弾丸形本体を形成するように、一緒に連結された(例えば、圧縮ピン又は加熱したピンで一緒に連結されるか、ねじ又はボルトで固定されるか、若しくは締結されるか、超音波溶接又ホットプレート溶接で一緒に溶接された)2つの成形片を含む。2つの成形片の各片の内側は、2つの成形片が図示されるように互いに連結されるとき、バルブモジュールコンパートメント180及びニードルハブレセプタクル182を形成するくぼみを含む。(カプラハウジング174の遠位部分のバルブモジュール室180に配置されたバルブモジュール176を含む図6及び図7を参照されたい。また、図6は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態にあるように、カプラハウジング174の近位部分のニードルハブレセプタクル182に挿入又は配置されたイントロデューサニードル104のニードルハブ146の遠位部分を含む。)また、2つの成形片の各片の外側は、RICC挿入アセンブリ100又はそのカプラアセンブリ140を少なくとも支えるように構成された親指用凹部184及び指用凹部186などの凹部を含むことができる。また、カプラハウジング174は、親指用凹部184内に部分的に延びるカプラハウジングスロット188を含むことができる。
【0077】
カプラハウジングスロット188から説明すると、カプラハウジングスロット188は、該カプラハウジングスロット188に接続された延長アーム178を含まない2つの成形片のうちの1つの成形片に形成される。したがって、カプラハウジングスロット188は、延長アーム178の反対側のカプラハウジング174の面など、延長アーム178を含まないカプラハウジング174の面にある。カプラハウジングスロット188は、ニードルシャフト142のニードルスロット150と同じ方向に開口しているため、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング174から出ることを可能にするように、カプラハウジングスロット188が構成される。
【0078】
上記に関わらず、カプラハウジングスロット188は、例えば上述した図3に示された位置とは別の位置に配置され得ることを理解されたい。例えば、カプラハウジングスロット188は、図3に示されてかつ上述したものとは反対に又は直交して代替的に配置されてもよい。
【0079】
親指用凹部184に注目すると、親指用凹部184は、カプラハウジングスロット188を含むカプラハウジング174の面にある。実際、カプラハウジングスロット188は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分がRICC挿入アセンブリ100の状態のうちの少なくとも展開準備完了状態において親指用凹部184内に延びるように、親指用凹部184内に部分的に延びる。親指用凹部184は、少なくともイントロデューサニードル104による経皮的穿刺の間、またはニードルハブ146によるカプラ108からのイントロデューサニードル104の引き抜きの間、アクセスガイドワイヤ106を定位置に保持するように、アクセスガイドワイヤ106を親指で親指用凹部184内に押し込むために構成される。有利には、親指用凹部184の表面は、例えば、図3に示されるようなリッジ、バンプ、または逆に、ディンプルを用いてテクスチャ加工可能であり、テクスチャ加工された表面は、漂遊流体がアクセスガイドワイヤ106を定位置に保持することを困難にし得る環境においてさえ、アクセスガイドワイヤ106を定位置に保持することを促進する。
【0080】
指用凹部186に関して、指用凹部186は、親指用凹部184の反対側のカプラハウジング174の面にある。指用凹部186は、少なくともイントロデューサニードル104による経皮的穿刺またはニードルハブ146によるカプラ108からのイントロデューサニードル104の引き抜きの間、親指用凹部184内に親指を置きながら、又はアクセスガイドワイヤ106を親指用凹部184内に親指で押し込みながら、指でRICC挿入アセンブリ100又はカプラアセンブリ140を載置するように構成されている。図示されていないが、指用凹部186の表面は、例えば、リッジ、バンプ、またはディンプルを用いてテクスチャ加工可能であり、テクスチャ加工された表面は、浮遊流体がそのような載置を困難にし得る環境においてさえ、RICC挿入アセンブリ100またはそのカプラアセンブリ140を載置することを容易にすることができる。
【0081】
上記に関わらず、親指用凹部184及びカプラハウジングスロット186は、代替的に、例えば上述した図2に示した位置とは別の位置に配置され得ることを理解されたい。例えば、親指用凹部184及び指用凹部186は、代替的に、図2に示され、上述されたものに対して直交して配置可能であり、それによって、親指用凹部184及び指用凹部186がカプラハウジング174の側面の間にどのように配置されるかに応じて、RICC挿入アセンブリ100又はそのカプラアセンブリ140に利き手を提供する。特に、RICC挿入アセンブリ100又はそのカプラアセンブリ140の利き手は、臨床医がそのようなRICC挿入アセンブリ又はカプラアセンブリを保持するためにどのように選択するかにさらに依存する。一例では、左利きの臨床医は、RICC挿入アセンブリ100を手の下に保持しながら、カプラハウジング174の左側に親指用凹部184を有し、カプラハウジング174の右側に指用凹部186を有する、左利きの静脈穿刺に適したRICC挿入アセンブリ100を気付き得る。しかしながら、右利きの臨床医は、RICC挿入アセンブリ100を片手で保持しながら、前述のRICC挿入アセンブリ100が右利きの静脈穿刺に好適であることを気付き得る。別の例では、右利きの臨床医は、RICC挿入アセンブリ100を手の下に保持しながら、カプラハウジング174の右側に親指用凹部184を有し、カプラハウジング174の左側に指用凹部186を有する、右利きの静脈穿刺に適したRICC挿入アセンブリ100を気付き得る。しかしながら、左利きの臨床医は、RICC挿入アセンブリ100を片手で保持しながら、前述のRICC挿入アセンブリ100が左利きの静脈穿刺に好適であることを気付き得る。
【0082】
ニードルハブレセプタクル182を参照すると、ニードルハブレセプタクル182は、その中にイントロデューサニードル104のニードルハブ146を保持するように構成されている。実際に、ニードルハブレセプタクル182は、RICC挿入アセンブリ100又はカプラアセンブリ140の少なくとも展開準備完了状態において、その中に挿入されたニードルハブ146を含む。特に、ニードルハブクリップ162は、ニードルハブレセプタクル182内にニードルハブ146をロックするように構成される。また、ニードルハブ162は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいて、カプラ108からイントロデューサニードル104を引き抜くために、例えば一対のクリップアーム166がニードルハブ146に向かって押し込まれたときに、ニードルハブ146をロック解除するように構成されている。
【0083】
最後に、バルブモジュールコンパートメント180は、その中にバルブモジュール176を保持するように構成されている。(ここでも、カプラハウジング174の遠位部分のバルブモジュール室180内に配置されたバルブモジュール176を含む図6および図7を参照されたい。)特に、バルブモジュールコンパートメント180は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、バルブモジュール176がアクセスガイドワイヤ106を逃がすために分離することを可能にするのに十分な空間を有して更に構成されている。
【0084】
バルブモジュール176は、アクセスガイドワイヤ導管190と、一体化されたブレード192とを含む。
アクセスガイドワイヤ導管190は、アクセスガイドワイヤ106を、カプラハウジング174のカプラハウジングスロット188から、シース144のシース開口部160と、ニードルシャフト142のニードルチャネル154またはイントロデューサニードル104のニードル管腔156との両方に導くように構成されている。実際に、アクセスガイドワイヤ導管190は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、その中に配置されたアクセスガイドワイヤ106を含む。特に、バルブモジュール176は、シース144の近位部分と、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態においてシース開口部160を通って延びるアクセスガイドワイヤ106の遠位部分との周囲を封止することにより、後述する方法の血液吸引ステップに従って、イントロデューサニードル104を介した漏れの無い吸引が可能となる。
【0085】
ブレード192は、ブレード192がシース144のシース開口部160の遠位端の下のニードルスロット150内に配置されるように、バルブモジュール176内の取付点からニードルシャフト142のニードルスロット150内に延びる。ブレード192は、後述する方法のイントロデューサニードル引き抜きステップにおいて、イントロデューサニードル104がニードルハブ146によってカプラ108から近位方向に引き抜かれるときに、シース144をニードルシャフト142から切り離すように構成された遠位向きのブレード縁部を含む。シース144をニードルシャフト142から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106が、ニードルスロット150を経由してニードルシャフト142と、カプラハウジング174のカプラハウジングスロット188を経由してカプラ108との両方から出ることが可能になる。
【0086】
延長アーム178は、延長アームクリップ194と、延長アーム開口部196(延長アーム窓としても知られる)と、ガイドワイヤ取付点198とを含む。延長アーム178は、RICC102のルアーコネクタ上にクリップ留めするように構成された延長アームクリップ194で終端する。実際に、図1に示すように、延長アームクリップ194は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、RICC102のルアーコネクタ上にクリップ留めされる。特に、延長アームクリップ194は、該延長アームクリップ194の2つ以上のクリップアームによって形成されたソケットを含み、延長アームクリップ194がルアーコネクタ上にクリップ留めされるときに、RICC102のルアーコネクタの近位端がそのソケットに挿入される。延長アーム開口部196は、延長アームクリップ194と、延長アーム178をカプラハウジング174の残りの部分に接続する延長アーム178の接続部分との間の延長アーム178の両側面を通る。延長アーム開口部196は、アクセスガイドワイヤ106が、例えば、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態にあるべきときに、延長アーム178のガイドワイヤ取付点198に取り付けられていることを確認するために、アクセスガイドワイヤ106を視覚化する窓を提供するように構成される。ガイドワイヤ取付点198は、延長アーム開口部196の遠位の貫通孔と延長アーム開口部196との間の結合点とすることができ、この結合点にアクセスガイドワイヤ106を結合するか、又は接着剤で接着することができる。あるいは、ガイドワイヤ取付点198は、前述の貫通孔であってもよい。そのような実施形態では、アクセスガイドワイヤ106は、その近位端に、アクセスガイドワイヤ106が遠位方向に貫通孔を通過するのを阻止するように構成された止め具(たとえば、ハブ、ボール、結節など)を含むことができる。さらに代替的に、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、延長アーム開口部196の遠位の延長アーム178内に、例えばガイドワイヤ取付点198までオーバーモールドされる。
【0087】
延長アーム178は、カプラハウジングスロット188を含まないカプラハウジング174の2つの成形片のうちの1つの片に、一体化されるように成型され得る。あるいは、延長アーム178は、別個に成型され、カプラハウジングスロット188を含まないカプラハウジング174の成形片に接続される。いずれにしても、延長アーム178は、カプラハウジングスロット188の反対側のカプラハウジング174の面など、カプラハウジングスロット188を含まないカプラハウジング174の面に固定して、好ましくは動かないように接続される。延長アーム178がカプラハウジングスロット188の反対側のカプラハウジング174の側部の一部であることを考慮すると、RICC挿入アセンブリ100またはそのカプラアセンブリ140は、有利には、直ちに認識可能な向きを有する。
【0088】
図1は、いくつかの実施形態による、RICC挿入アセンブリ100の部分としてアクセスガイドワイヤ106を示す。
アクセスガイドワイヤ106は、近位端を含む近位部分と、遠位端を含む遠位部分とを含む。RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態では、アクセスガイドワイヤ106の近位端は、延長アーム178、特に延長アーム178のガイドワイヤ取付点198に取り付けられる。実際に、アクセスガイドワイヤ106の近位部分は、延長アーム178のガイドワイヤ取付点198から、延長アームクリップ194の中心を通ってルアーコネクタ内へ、RICC102の一次管腔128に沿って延びる。アクセスガイドワイヤ106の遠位部分はまた、RICC102の一次管腔128に沿って延びるが、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分は更に、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態において、RICC102の遠位端から出て、アクセスガイドワイヤチャネル188を経由してバルブモジュール176内に入り、シース144のシース開口部160及びニードルシャフト142のニードルスロット150の両方を通ってニードルシャフト142内に入り、ニードルシャフト142のニードルチャネル154又はイントロデューサニードル104のニードル管腔156に沿って延びる。図1に示唆されるように、アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、イントロデューサニードル104のニードル管腔156内でニードル先端部148のすぐ近位に配置される。また、アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、アクセスガイドワイヤ106にループを形成し、そのループ上にRICC102が配置され、それによって、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0089】
アクセスガイドワイヤ106は、アクセスガイドワイヤ106の遠位部分にガイドワイヤ先端部200を含むことができ、これは、血管の後壁を穿刺することを防止するように構成された「J」字形を採用する。そのようなガイドワイヤ先端部は、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において真っ直ぐな状態をとり、RICC挿入アセンブリ100の展開状態においてガイドワイヤ先端部200がニードル先端部148を越えて前進させられる(例えば、血管内腔内に前進させられる)ときに湾曲状態をとる。
【0090】
アクセスガイドワイヤ106は、裸線部分と、裸線部分の近位にある巻線部分とを更に含むことができる。図示されていないが、裸線部分は、存在する場合、バルブモジュール176がアクセスガイドワイヤ106の裸線部分の周囲に流体密封封止を形成するように、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態において、バルブモジュール176のアクセスガイドワイヤ導管190を通って遠位方向に延びる。特に、前述の裸線部分は、代わりに、アクセスガイドワイヤ106の平坦巻き又は接地巻き部分であってもよく、平坦巻き部分は、円形ワイヤの代わりにテープの巻線を含み、接地巻き部分は、巻線を平坦にするように接地された円形ワイヤの巻線を含む。
【0091】
方法
方法は、RICC102を患者の血管管腔に挿入するための方法を含む。このような方法は、挿入アセンブリ取得ステップ、穿刺経路確立ステップ、血液吸引ステップ、アクセスガイドワイヤ前進ステップ、クリップを開くステップ、アクセスガイドワイヤ固定ステップ、アクセスガイドワイヤ可視化ステップ、イントロデューサニードル引き抜きステップ、RICC前進ステップ、RICC分離ステップ、アクセスガイドワイヤ引き抜きステップ、操縦ガイドワイヤ前進ステップ、別のRICC前進ステップ、及び操縦ガイドワイヤ引き抜きステップから選択される1つ以上のステップを含む。
【0092】
挿入アセンブリ取得ステップは、RICC挿入アセンブリ100を取得することを含む。上述したように、RICC挿入アセンブリ100は、カプラ108によって互いに連結された、RICC102と、ニードルシャフト142を覆うシース144を含むイントロデューサニードル104と、アクセスガイドワイヤ106とを含む。アクセスガイドワイヤ106の近位端は、カプラ108の拡張アーム178に連結される。アクセスガイドワイヤ106の遠位端は、カプラ108のバルブモジュール176を経由してイントロデューサニードル104内に配置される。アクセスガイドワイヤ106の近位端及び遠位端は、アクセスガイドワイヤ106にループを形成し、RICC挿入アセンブリ100の少なくとも展開準備完了状態でRICC102がループの上方に配置される。RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態でループの上方に配置されたRICC102は、RICC挿入アセンブリ100を比較的コンパクトな形態に保つ。
【0093】
穿刺経路確立ステップは、イントロデューサ104を用いて皮膚の領域から血管内腔への穿刺経路を確立することを含む。穿刺経路確立ステップはまた、穿刺経路を確立にする間に、血液逆流を確実にすることを含むことができる。穿刺経路を確立する間に血液逆流を確実にすることは、特にニードルハブ146が透明かつ無色である場合に、イントロデューサニードル104のニードルハブ146、イントロデューサニードル104に流体接続されたシリンジ110のシリンジ先端部、シリンジ110のバレル、又はそれらの組み合わせ内に血液が逆流することを確実にすることを含む。穿刺経路を確立すると、血液が少なくともイントロデューサニードル104のニードルハブ146内に逆流するように、穿刺経路を確立する間に、シリンジ110を用いてわずかな真空を引き込むことができる。前述に従って血液が逆流することを確実にすることにより、穿刺経路が血管内腔内に延びていることが確認される。
【0094】
血液吸引ステップは、特にイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてカプラ108からイントロデューサニードル104を引き抜く前に、穿刺経路が血管内腔内に延びていることを確認するために、ニードルハブ146に連結されたシリンジ110を用いて血液を吸引することを含む。また、ニードルシャフト142を覆うシース144は、ニードルシャフト142のニードルスロット150を封止する。特に、シース144は、バルブモジュール176の外側でニードルスロット150を封止する。次に、バルブモジュール176は、シース144のシース開口部160を覆って封止し、シース開口部160は、アクセスガイドワイヤ106が、RICC挿入アセンブリ100の展開準備完了状態においてニードルスロット150を経由してニードルシャフト142内へ通過することを可能にする。また、バルブモジュール176は、アクセスガイドワイヤ106の周囲を封止する。このような封止により、シリンジ110が、血液吸引ステップにおける血液を吸引することを可能とする。
【0095】
アクセスガイドワイヤ前進ステップは、アクセスガイドワイヤ106の遠位端を、ニードルシャフト142内でニードルシャフト142のニードル先端部148のすぐ近位のその初期位置から血管内腔内へ前進させることにより、RICC前進ステップにおいてRICC102用の血管内腔アクセスを固定することを含む。
【0096】
クリップを開くステップは、例えば、一対のクリップアーム166をイントロデューサニードル104のニードルハブ146の中心線に向かって押し込むことを含む。一対のクリップアーム166をニードルハブ146に向かって押し込むことにより、一対のクリップアーム166の各クリップアーム166は、カプラ108のカプラハウジング174から係合解除された後、イントロデューサニードル引き抜きステップを実行するために、カプラの上に延びる。
【0097】
アクセスガイドワイヤ固定ステップは、カプラハウジングスロット188を含むカプラハウジング174の面にある親指用凹部184内にアクセスガイドワイヤ106を親指で押し込むことを含む。アクセスガイドワイヤ106を親指凹部184内に押し込むことにより、アクセスガイドワイヤ106は、穿刺経路確立ステップ又はイントロデューサニードル引抜きステップの間、定位置に保持される。
【0098】
アクセスガイドワイヤ可視化ステップは、延長アーム開口部196内のアクセスガイドワイヤ106を可視化することを含む。上述したように、延長アーム開口部196は、延長アーム178の近位端と、延長アーム178をカプラハウジング174の残りの部分に接続する延長アーム178の接続部分との間で、延長アーム178の両側面を通る。アクセスガイドワイヤ106の可視化は、アクセスガイドワイヤ106が延長アーム178のガイドワイヤ取付点198に取り付けられていることを確認するためのものである。
【0099】
イントロデューサニードル引き抜きステップは、アクセスガイドワイヤ106を血管内腔内の定位置に残したままで、ニードルハブ146によってイントロデューサニードル104をカプラ108から引き抜くことを含む。イントロデューサニードル引き抜きステップは、イントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、カプラハウジング174のバルブモジュール室180内に配置されたバルブモジュール176のブレード192を用いて、ニードルシャフト142からシース144を同時に切り離すことを含む。シース144をニードルシャフト142から切り離すことにより、アクセスガイドワイヤ106がニードルスロット150を経由してニードルシャフト142から出ることが可能になる。また、イントロデューサニードル104は、ニードルシャフト142の近位部分からニードル先端部148まで延びるニードルスロット150を含み、それにより、アクセスガイドワイヤ106が、ニードルシャフト142からシース144を切り離すことによってイントロデューサニードル104から出ることを可能にする。特に、ニードルシャフト142及びシース144の周囲のバルブモジュール176は、イントロデューサニードル104がイントロデューサニードル引き抜きステップにおいてカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がバルブモジュール176からさらに脱出することを可能にするように分離する。加えて、カプラハウジング174は、延長アーム178と反対側のカプラハウジング174の面にカプラハウジングスロット188を含み、カプラハウジングスロット188は、ニードルシャフト142のニードルスロット150と同一方向に開口する。カプラハウジングスロット188は、イントロデューサニードル引き抜きステップにおいてイントロデューサニードル104がカプラ108から引き抜かれるときに、アクセスガイドワイヤ106がカプラハウジング174からさらに出ることを可能にするように構成される。
【0100】
RICC前進ステップは、RICC102のカテーテルチューブ112をアクセスガイドワイヤ106上で血管内腔内へ前進させることによって、RICC102を血管内腔へ挿入することを含む。
【0101】
RICC分離ステップは、RICC前進ステップ中に延長アーム178の延長アームクリップ194からRICC102のルアーコネクタを取り外すことによって、RICC前進ステップの残りの間、カプラ108からRICC102を分離することを含む。特に、カプラ108又は該カプラ108の延長アーム178は、アクセスガイドワイヤ106用のハンドルとなる。
【0102】
アクセスガイドワイヤ引き抜きステップは、カテーテルチューブ112を血管内腔内に残したままで、アクセスガイドワイヤ106を引き抜くことを含む。
操縦ガイドワイヤ前進ステップは、RICC102の一次管腔128を経由して血管内腔内へ、さらには患者のSVCの心臓の下部1/3まで操縦ガイドワイヤを前進させることを含む。
【0103】
他のRICC前進ステップは、カテーテルチューブ112の遠位部分を、操縦ガイドワイヤ上で患者の心臓のSVCの下部1/3まで血管内腔内に更に前進させることを含む。
操縦ガイドワイヤ引き抜きステップは、SVCの下部1/3にカテーテルチューブ112を残したままで、操縦ガイドワイヤを引き抜くことを含む。
【0104】
いくつかの特定の実施形態が本明細書で開示されており、それら特定の実施形態が、ある程度詳細に開示されているが、それら特定の実施形態が、本明細書で提供される概念の範囲を限定することは意図されていない。更なる適合又は修正が、当業者には明らかとなる可能性があり、より広範な態様においては、これらの適合又は修正も同様に包含される。したがって、本明細書で提供される概念の範囲から逸脱することなく、本明細書で開示される特定の実施形態からの展開を実施することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【国際調査報告】