(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】コークス製造及び排煙処理のシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C10J 3/00 20060101AFI20240920BHJP
B01D 53/62 20060101ALI20240920BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20240920BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C10J3/00 Z
B01D53/62 100
B01D53/62 ZAB
B01D53/46
B01D53/81
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518778
(86)(22)【出願日】2022-11-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 CN2022131331
(87)【国際公開番号】W WO2023098450
(87)【国際公開日】2023-06-08
(31)【優先権主張番号】202111435864.2
(32)【優先日】2021-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524113116
【氏名又は名称】華泰永創(北京)科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100147599
【氏名又は名称】丹羽 匡孝
(74)【代理人】
【識別番号】100098589
【氏名又は名称】西山 善章
(72)【発明者】
【氏名】徐列
(72)【発明者】
【氏名】張立新
(72)【発明者】
【氏名】康健
(72)【発明者】
【氏名】薛改鳳
【テーマコード(参考)】
4D002
【Fターム(参考)】
4D002AA02
4D002AA09
4D002AC03
4D002BA04
4D002BA20
4D002EA02
4D002EA07
4D002FA01
4D002FA10
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4D002HA08
(57)【要約】
本発明の実施例は、コークス製造及び排煙処理のシステム及び方法を提供する。当該システムは、コークス製造装置と、酸素供給手段と、給気手段と、流量調整手段と、ガス活性化手段と、ガス処理手段とを含む。本発明の実施例において、流量調整手段は、ガスの流量を調整することによって、助燃ガス中の酸素の濃度が空気中の酸素の濃度よりも大きくなるように助燃ガス中の酸素の濃度を調整するため、酸素富化燃焼を実現でき、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができ、燃焼後の排気ガス中の二酸化炭素が富化され、二酸化炭素の捕捉と利用に有利である。コークス炉排煙中の二酸化炭素と水蒸気は、ガス活性化手段及びガス処理手段による処理によって合成ガスが得られる。合成ガスは化学原料として使用できるため、二酸化炭素の排出を減らすし、廃棄物を資源に変え、炭素排出削減及びグリーン生産を実現できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1給気ダクトと第2給気ダクトとを含む給気ダクトと、排気ダクトとを備えるコークス製造装置と、
前記第1給気ダクトに接続される酸素供給手段と、
前記第2給気ダクトに接続される給気手段と、
前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトとに設けられる流量調整手段と、
前記排気ダクトと酸素供給手段とに接続されるガス活性化手段と、
第1回収ダクトを介して前記ガス活性化手段に接続されるガス処理手段と、を含み、
前記酸素供給手段は、純酸素を供給するように構成され、前記給気手段は、空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素を供給するように構成され、
前記流量調整手段は、前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトを通過するガスの流量を調整するように構成され、
前記コークス製造装置は、純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスを用いてコークス製造を行うように構成され、
前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と、純酸素と、水蒸気とを混合して反応ガス源とし、前記反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、前記ガス処理手段は、混合ガスを分離して合成ガスを得るように構成され、前記混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む、
ことを特徴とするコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項2】
前記コークス製造及び排煙処理のシステムは、前記コークス製造装置に設けられる予熱手段をさらに含み、前記予熱手段は、前記助燃ガスを予熱するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項3】
前記ガス処理手段は、さらに、混合ガスを分離して二酸化炭素と排気ガスとをそれぞれ得るように構成され、前記ガス処理手段は、第2回収ダクトを介して前記ガス活性化手段に接続され、前記第2回収ダクトは、前記排気ガスを前記ガス活性化手段に導入するためのものであり、前記ガス処理手段は、第3回収ダクトを介して前記給気手段に接続され、前記第3回収ダクトは、前記二酸化炭素を前記給気手段に導入するためのものである、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項4】
前記コークス製造及び排煙処理のシステムは、前記ガス活性化手段に接続される水蒸気供給手段をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項5】
前記コークス製造及び排煙処理のシステムは、ガス検出素子と、温度検出素子と、流量調整弁と、中央制御システムとを含む排煙調温調質手段をさらに含み、前記排気ダクト、前記酸素供給手段とガス活性化手段との間、前記水蒸気供給手段とガス活性化手段との間にそれぞれ流量調整弁が設けられ、前記ガス活性化手段は、コークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源を得るための予混合室を含み、前記ガス検出素子と前記温度検出素子は前記予混合室に設けられ、前記ガス検出素子は前記反応ガス源中の二酸化炭素及び水蒸気の濃度を検出するためのものであり、前記温度検出素子は前記予混合室における前記反応ガス源の温度を検出するためのものであり、前記中央制御システムは、前記ガス検出素子によって検出された二酸化炭素及び水蒸気の濃度と前記温度検出素子によって検出された温度とに基づいて3つの流量調整弁を制御して、排気ダクトを通過するコークス炉排煙の流量と、酸素供給手段とガス活性化手段との間を通過する純酸素の流量と、水蒸気供給手段とガス活性化手段との間を通過する水蒸気の流量とをそれぞれ調整するように構成される、
ことを特徴とする請求項4に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム
【請求項6】
前記コークス製造及び排煙処理のシステムは、前記ガス活性化手段と前記ガス処理手段との間に設けられる廃熱回収装置をさらに含み、前記廃熱回収装置は、前記混合ガスの熱量を回収するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項7】
前記廃熱回収装置は、廃熱ボイラーを含み、前記コークス製造装置は、熱回収コークス炉である、
ことを特徴とする請求項6に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項8】
前記流量調整手段は、前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトとのそれぞれに設けられる2つの流量調整弁を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項9】
前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、前記反応ガス源と炭化材料とのガス化反応により、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む混合ガスを得るように構成され、
または、前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と、純酸素と、水蒸気とを混合して反応ガス源とし、前記反応ガス源と炭化材料とのガス化反応及び活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、前記混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のコークス製造及び排煙処理のシステム。
【請求項10】
請求項1-9のいずれか1項に記載のコークス製造及び排煙処理のシステムを使用して実施されるコークス製造及び排煙処理の方法であって、
第1給気ダクトと第2給気ダクトを通過するガスの流量を調整することと、
酸素供給手段から供給された純酸素及び給気手段から供給された空気、または前記純酸素及び二酸化炭素、または前記純酸素、空気及び二酸化炭素をコークス製造装置に導入することと、
純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスの補助作用により、コークス製造装置にコークス製造を行わせることと、
水蒸気を供給し、水蒸気を、コークス製造装置から排出されたコークス炉排煙及び酸素供給手段から供給された純酸素とともにガス活性化手段に導入し、ガス活性化手段で混合して反応ガス源を得ることと、
ガス活性化手段で反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得ることと、
ガス処理手段で混合ガスを分離させて合成ガスを得ることと、
を含む、
ことを特徴とするコークス製造及び排煙処理の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年11月30日に中国特許局に提出された、出願番号が202111435864.2であり、発明名称が「コークス製造及び排煙処理のシステム及び方法」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その内容の全ては、援用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、コークス製造と排気処理の技術の分野に関し、特にコークス製造及び排煙処理のシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連するコークス製造技術は、化学製品の回収(chemical product recovery)と非化学製品の回収(non-chemical product recovery)という2種類の産業技術に分けられている。ケミカル回収のコークス製造では、外部から空気と石炭ガスとを供給する必要があり、主製品であるコークスと化学副産物を生成し、燃焼による高温の排煙が炉内で熱交換した後に排出され、環境中に排出された排気ガスは、CO2、SO2、NOX及び煤塵などの環境によくないガスを含む。ケミカルフリー回収のコークス製造では、廃ガスを生成し、燃焼を助けるように外部から空気を供給するだけで済み、主製品がコークスであり、廃熱が電気エネルギーに変換され、廃ガスと助燃ガスの燃焼による高温の排煙が廃熱回収システムを通って排出される。主な問題は、主製品の構造が単一すぎること、コークス製造業からの排気ガスの排出の問題が依然として存在すること、及びコークス製造のグリーン化を実現していないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、関連するコークス製造技術においては、コークス製造のグリーン化を実現していない問題がある。従って、コークス製造プロセスにおけるグリーン生産の問題を解決するために、排気ガスの排出を削減できるコークス製造及び排煙処理のシステムを開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施例は、排気ガスの排出を削減できるコークス製造及び排煙処理のシステム及び方法を提供することを目的とする。具体的な技術案は、以下の通りである。
【0006】
本発明の第1態様にかかる実施例は、コークス製造及び排煙処理のシステムを提供する。当該コークス製造及び排煙処理のシステムは、
第1給気ダクトと第2給気ダクトとを含む給気ダクトと、排気ダクトとを備えるコークス製造装置と、
前記第1給気ダクトに接続される酸素供給手段と、
前記第2給気ダクトに接続される給気手段と、
前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトとに設けられる流量調整手段と、
前記排気ダクトと酸素供給手段とに接続されるガス活性化手段と、
第1回収ダクトを介して前記ガス活性化手段に接続されるガス処理手段と、を含み、
前記酸素供給手段は、純酸素を供給するように構成され、前記給気手段は、空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素を供給するように構成され、
前記流量調整手段は、前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトを通過するガスの流量を調整するように構成され、
前記コークス製造装置は、純酸素及び空気、または純酸素および二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスを用いてコークス製造を行うように構成され、
前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して得られた反応ガス源とし、前記反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、前記混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含み、
前記ガス処理手段は、混合ガスを分離して合成ガスを得るように構成される、
コークス製造及び排煙処理のシステムである。
【0007】
本発明の実施例にかかるコークス製造及び排煙処理のシステムによれば、酸素供給手段から供給される純酸素は、第1給気ダクトを通ってコークス製造装置に入り、給気手段から供給される空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素は、第2給気ダクトを通ってコークス製造装置に入り、流量調整手段は、第1給気ダクトと第2給気ダクトを通過するガスの流量を調整でき、コークス製造装置は、純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスを用いてコークス製造を行う。コークス製造装置で発生したコークス炉排煙は、排気ダクトを通ってガス活性化手段に入り、酸素供給手段から供給される純酸素はガス活性化手段に入り、ガス活性化手段は、コークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、前記反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得ており、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。混合ガスは、第1回収ダクトを通ってガス処理手段に入り、ガス分離を行って合成ガスを得る。本発明の実施例において、流量調整手段は、ガスの流量を調整することによって、助燃ガス中の酸素の濃度が空気中の酸素の濃度よりも大きくなるように助燃ガス中の酸素の濃度を調整するため、酸素富化燃焼を実現でき、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができ、燃焼後の排気ガス中の二酸化炭素が富化され、二酸化炭素の捕捉と利用に有利である。コークス炉排煙中の二酸化炭素と水蒸気は、ガス活性化手段及びガス処理手段による処理によって合成ガスが得られる。合成ガスは化学原料として利用できるため、二酸化炭素の排出を減らすし、廃棄物を資源に変え、炭素排出削減及びグリーン生産を実現できる。
【0008】
また、本発明の実施例にかかるコークス製造及び排煙処理のシステムは、以下のような追加の技術的特徴を備えてよい。
【0009】
本発明のいくつかの実施例において、前記システムは、前記コークス製造装置に設けられる予熱手段をさらに含み、前記予熱手段は前記助燃ガスを予熱するように構成される。
【0010】
本発明のいくつかの実施例において、前記ガス処理手段は、さらに、混合ガスを分離して二酸化炭素と排気ガスとをそれぞれ得るように構成され、前記ガス処理手段は第2回収ダクトを介して前記ガス活性化手段に接続され、前記第2回収ダクトは前記排気ガスを前記ガス活性化手段に導入するためのものであり、前記ガス処理手段は第3回収ダクトを介して前記給気手段に接続され、前記第3回収ダクトは前記二酸化炭素を前記給気手段に導入するためのものである。
【0011】
本発明のいくつかの実施例において、前記システムは、前記ガス活性化手段に接続される水蒸気供給手段をさらに含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施例において、前記システムは、ガス検出素子と、温度検出素子と、流量調整弁と、中央制御システムとを含む排煙調温調質手段をさらに含み、前記排気ダクト、前記酸素供給手段とガス活性化手段との間、前記水蒸気供給手段とガス活性化手段との間にそれぞれ流量調整弁が設けられ、前記ガス活性化手段はコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源を得るための予混合室を含み、前記ガス検出素子と前記温度検出素子は前記予混合室に設けられ、前記ガス検出素子は前記反応ガス源中の二酸化炭素及び水蒸気の濃度を検出するためのものであり、前記温度検出素子は前記予混合室における前記反応ガス源の温度を検出するためのものであり、前記中央制御システムは、前記ガス検出素子によって検出された二酸化炭素及び水蒸気の濃度と前記温度検出素子によって検出された温度とに基づいて3つの流量調整弁を制御して、排気ダクトを通過するコークス炉排煙の流量と、酸素供給手段とガス活性化手段との間を通過する純酸素の流量と、水蒸気供給手段とガス活性化手段との間を通過する水蒸気の流量とをそれぞれ調整するように構成される。
【0013】
本発明のいくつかの実施例において、前記システムは、前記ガス活性化手段と前記ガス処理手段との間に設けられる廃熱回収装置をさらに含み、前記廃熱回収装置は前記混合ガスの熱量を回収するように構成される。
【0014】
本発明のいくつかの実施例において、前記廃熱回収装置は廃熱ボイラーを含み、前記コークス製造装置は熱回収コークス炉である。
【0015】
本発明のいくつかの実施例において、前記流量調整手段は前記第1給気ダクトと前記第2給気ダクトとのそれぞれに設けられる2つの流量調整弁を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施例において、前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料とのガス化反応により、混合ガスを得るように構成され、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。または、前記ガス活性化手段は、前記排気ダクトから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料とのガス化反応及び活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。
【0017】
本発明の第2態様にかかる実施例は、上記した第1態様の実施例におけるコークス製造及び排煙処理のシステムを使用して実施されるコークス製造及び排煙処理の方法を提供する。
【0018】
コークス製造及び排煙処理の方法は、
第1給気ダクトと第2給気ダクトを通過するガスの流量を調整することと、
酸素供給手段から供給された純酸素及び給気手段から供給された空気、または前記純酸素及び二酸化炭素、または前記純酸素、空気及び二酸化炭素をコークス製造装置に導入することと、
純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスの補助作用により、コークス製造装置にコークス製造を行わせることと、
水蒸気を供給し、水蒸気を、コークス製造装置から排出されたコークス炉排煙及び酸素供給手段から供給された純酸素とともにガス活性化手段に導入し、ガス活性化手段で混合して反応ガス源を得ることと、
ガス活性化手段で反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得ることと、
ガス処理手段で混合ガスを分離して合成ガスを得ることと、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の実施例や従来技術の技術案をより明らかに説明するために、以下、実施例や従来技術に用いられる図面を簡単に説明する。以下に説明される図面は、本発明のいくつかの実施例によるものに過ぎず、当業者にとって、創造的な労働をしない場合、これらの図面に基づいて他の実施例を得ることもできることは明らかである。
【0020】
【
図1】
図1は本発明の実施例に係るコークス製造及び排煙処理のシステムのフローチャートである。
【0021】
【
図2】
図2は本発明の実施例に係る他のコークス製造及び排煙処理のシステムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例における図面を参照して、本発明の実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。勿論、説明される実施例は、単に本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明における実施例によれば、当業者が本発明に基づいて得られる他のすべての実施例は、何れも本発明の保護範囲に属する。
【0023】
図1に示すように、本願の第1態様は、コークス製造及び排煙処理のシステムを提供する。該コークス製造及び排煙処理のシステムは、第1給気ダクトa1と第2給気ダクトa2とを含む給気ダクトa及び排気ダクトbを有するコークス製造装置1と、第1給気ダクトa1に接続される酸素供給手段2と、第2給気ダクトa2に接続される給気手段3と、第1給気ダクトa1及び第2給気ダクトa2に設けられる流量調整手段4と、排気ダクトb及び酸素供給手段2に接続されるガス活性化手段5と、第1回収ダクトc1を介してガス活性化手段5に接続されるガス処理手段6と、を含む。
【0024】
酸素供給手段2は、純酸素を供給するように構成される。給気手段3は、空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素を供給するように構成される。流量調整手段4は、第1給気ダクトa1及び第2給気ダクトa2を通過するガスの流量を調整するように構成される。コークス製造装置1は、純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスを用いてコークス製造を行うように構成される。ガス活性化手段5は、排気ダクトbから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。ガス処理手段6は、混合ガスを分離して合成ガスを得るように構成される。
【0025】
本発明の実施例にかかるコークス製造及び排煙処理のシステムによれば、酸素供給手段2から供給される純酸素は、第1給気ダクトa1を通ってコークス製造装置1に入り、給気手段3から供給される空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素は、第2給気ダクトa2を通ってコークス製造装置1に入る。流量調整手段4は、第1給気ダクトa1及び第2給気ダクトa2を通過するガスの流量を調整できる。コークス製造装置1は、純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスを用いてコークス製造を行う。コークス製造装置1で発生したコークス炉排煙は、排気ダクトbを通ってガス活性化手段5に入り、酸素供給手段2から供給される純酸素はガス活性化手段5に入り、ガス活性化手段は、コークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得ており、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。混合ガスは、第1回収ダクトc1を通ってガス処理手段6に入り、ガス分離を行った後に合成ガスを得る。本発明の実施例において、流量調整手段4は、ガスの流量を調整することで、助燃ガス中の酸素濃度が空気中の酸素濃度よりも大きくなるように助燃ガス中の酸素濃度を調整するため、酸素富化燃焼を実現し、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができ、燃焼後の排気ガス中の二酸化炭素が富化され、二酸化炭素の捕捉と利用に有利である。コークス炉排煙中の二酸化炭素と水蒸気は、ガス活性化手段5による処理により、活性炭と混合ガスが得られ、ガス処理手段6によりガス分離を行った後に、合成ガスが得られる。活性炭は、吸着作用を有するので、有害ガスを吸着することができるが、合成ガスは化学原料として使用することができる。そのため、二酸化炭素の排出を減らすし、廃棄物を資源に変え、炭素排出削減及びグリーン生産を実現できる。
【0026】
なお、合成ガスは一酸化炭素と水素ガスとを含み、これらのガスは化学品製造用の原料ガスとして使用できる。生成された一酸化炭素及び水素ガスは、鉄鋼、冶金産業の還元剤として使用でき、通常は還元ガスと呼ばれ、ガス分離により単独で水素ガスを得て、クリーンエネルギーとすることもできる。
【0027】
また、コークス炉排煙中の二酸化炭素、水蒸気は、ガス活性化手段で活性炭との活性化反応により活性炭を生成することができるため、本発明の実施例に係るコークス製造及び排煙処理のシステムは、コークスを製造することができるし、コークス製造時に、還元ガスや活性炭などの多種類の生成物を生成することでき、製品の種類が豊富である。なお、本発明の実施例において、活性炭は、炭素質残留物とも呼ばれる。本発明のいくつかの実施例において、流量調整手段4は、第1給気ダクトa1及び第2給気ダクトa2を通過するガスの流量を調整することで、酸素の体積比を21%よりも大きくし、即ち助燃ガス中の酸素濃度を空気中の酸素濃度よりも大きくするように、助燃ガス中の酸素の濃度を調整するため、酸素富化燃焼を実現でき、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができると同時に、燃焼後の排気ガス中の二酸化炭素が富化され、二酸化炭素の捕捉と利用に有利である。
【0028】
本発明のいくつかの実施例において、酸素供給手段2から提供される純酸素は、工場から直接的に取得することができるが、酸素供給手段2は、酸素発生装置を含んでもよく、純酸素は、酸素発生装置によって製造される。
【0029】
本発明のいくつかの実施例において、給気手段3は、空気、または二酸化炭素、または空気及び二酸化炭素を供給するためのものである。つまり、助燃ガスは、純酸素及び空気から構成されてもよく、純酸素及び二酸化炭素から構成されてもよく、純酸素、空気及び二酸化炭素から構成されてもよく、流量調整手段によって調整された後、助燃ガス中の酸素濃度が空気中の酸素濃度よりも大きければ、酸素富化燃焼を実現でき、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができる。
【0030】
本発明のいくつかの実施例において、給気手段3は、水蒸気を供給するために用いられてもよい。さらに、給気手段3は、空気及び水蒸気、または二酸化炭素及び水蒸気、または空気、二酸化炭素及び水蒸気を供給してもよい。これにより、助燃ガスは、純酸素、空気、二酸化炭素及び水蒸気から構成されてもよい。
【0031】
本発明のいくつかの実施例において、ガス活性化手段5に必要な炭化材料は、外部から購入してもよい。なお、本発明の実施例において、炭化材料は、炭素含有物とも呼ばれ、炭素含有物は、バイオマス炭と、半成コークス(semi-coke)と、石炭等を含んでよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施例において、システムは、炭化材料製造システム(図示せず)も含み、炭化材料製造システムはガス活性化手段5に接続される。炭化材料製造システムは炭化材料を製造するように構成される。炭化材料製造システムは、石炭原料を処理した後に炭化することで炭化材料が得られる。
【0033】
本発明のいくつかの実施例において、ガス処理手段6は、例えば脱硫装置と圧力変動吸着分離装置とを含む浄化・排煙分離装置であってよい。混合ガスは、脱硫装置を通って脱硫を行った後、圧力変動吸着分離装置に入り、ガス分離を行って合成ガス(一酸化炭素と水素ガスとを含む)が得られる。
【0034】
本発明のいくつかの実施例において、
図2に示すように、システムは、コークス製造装置1内に設けられる予熱手段7をさらに含み、予熱手段7は、助燃ガスを予熱するように構成される。コークス製造装置1で発生したコークス炉排煙は、先ず予熱手段7を通って、予熱手段7における助燃ガスが予熱され、その後、コークス炉排煙は排気ダクトbに入る。助燃ガスを予熱手段7によって予熱した後に、コークス製造装置1に導入してコークス製造を行うことで、コークス製造の熱消費量を効果的に減らし、コークス製造サイクルを短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0035】
本発明のいくつかの実施例において、予熱手段7は、コークス製造装置1の外部に設けられてよい。
【0036】
本発明のいくつかの実施例において、
図2に示すように、ガス処理手段6は、さらに、混合ガスを分離して二酸化炭素と排気ガスとをそれぞれ得るように構成され、ガス処理手段6は、第2回収ダクトc2によってガス活性化手段5に接続され、第2回収ダクトc2は排気ガスをガス活性化手段5に導入するためのものである。ガス処理手段6は、第3回収ダクトc3によって給気手段3に接続され、第3回収ダクトc3は二酸化炭素を給気手段3に導入するためのものである。ここで、排気ガスは、主にSO2、NOXなどを含み、混合ガスにおいて排気ガスはごく一部にすぎない。
【0037】
ガス処理手段6によって分離された二酸化炭素は、第3回収ダクトc3を通って給気手段3に入る。このようにして、給気手段3によって回収された二酸化炭素及び酸素供給手段2によって供給される純酸素から構成された助燃ガスを用いてコークス製造を行うことができる。二酸化炭素は循環ガスであり、合成ガスの生成に使用できるし、コークス製造のために回収することもできる。これにより、二酸化炭素の排出問題を根本から解決することができ、システム全体において二酸化炭素の排出がなくなり、まさに「カーボンニュートラル」を実現し、資源を最大限に活用することを達成し、コークス製造のグリーン化を実現する。また、コークス製造装置1に入る助燃ガス中の二酸化炭素の量を調整することによって、コークス製造時の燃焼温度及び火炎温度を制御することができ、コークス製造時間や加熱均一性などの重要な製造パラメータを調整することができる。これにより、コークス製造の効率を向上させ、コークス製造プロセスを最適化することができる。
【0038】
なお、本発明の実施例において、給気手段3における二酸化炭素は、回収された二酸化炭素を主とするが、他の二酸化炭素ガス源によって補充してもよい。
【0039】
ガス処理手段6によって分離された排気ガスは、第2回収ダクトc2を通ってガス活性化手段5に入る。これにより、排気ガスが大気中に排出されることを避けることできるため、大気汚染を防止することができる。ガス活性化手段5に導入された排気ガスは、主に窒素ガスや水蒸気などである。窒素ガスは不活性ガスであるため、ガス活性化手段5における炭化材料及び他のガスと反応することはなく、ガス活性化手段5の正常な動作に影響を与えることはない。これにより、本発明の実施例に係るコークス製造及び排煙処理のシステムは、コークス製造時に発生した二酸化炭素と排気ガスを循環利用することができ、コークス製造後に排気ガスの排出がなく、製造環境が良好である。
【0040】
本発明のいくつかの実施例において、
図2に示すように、システムは、水蒸気供給手段8をさらに含み、水蒸気供給手段8はガス活性化手段5に接続され、水蒸気供給手段8から供給される水蒸気は、反応ガス源の温度と反応ガス源中の水の濃度とを調整するために用いられる。
【0041】
本発明のいくつかの実施例において、
図2に示すように、システムは、排煙調温調質手段9をさらに含み、排煙調温調質手段9は、ガス検出素子と、温度検出素子と、流量調整弁と、中央制御システムとを含む。排気ダクトb、酸素供給手段2とガス活性化手段5との間、水蒸気供給手段8とガス活性化手段5との間に、それぞれ流量調整弁が設けられる。ガス活性化手段5は予混合室を含み、予混合室は、コークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源を得るためのものであり、ガス検出素子と温度検出素子は予混合室内に設けられ、ガス検出素子は反応ガス源中の二酸化炭素及び水蒸気の濃度を検出するためのものであり、温度検出素子は予混合室における反応ガス源の温度を検出するためのものである。中央制御システムは、ガス検出素子によって検出された二酸化炭素及び水蒸気の濃度と温度検出素子によって検出された温度とに基づいて3つの流量調整弁を制御して、排気ダクトbを通過するコークス炉排煙の流量と、酸素供給手段2とガス活性化手段5との間を通過する純酸素の流量と、水蒸気供給手段8とガス活性化手段5との間を通過する水蒸気の流量とをそれぞれ調整するように構成される。なお、温度検出素子は温度センサーであってよく、ガス検出素子はガスセンサーであってよく、例えば、二酸化炭素の濃度を検出する場合、半導体式ガスセンサーを使用してよく、水蒸気の濃度を検出する場合、熱伝導式ガスセンサーを使用してよい。
【0042】
水蒸気の流量を調整することで、反応ガス源中の水蒸気の濃度を調整することができる。反応ガス源中の水の濃度を調整して、反応ガス源中の炭素/水素比を調整することで、反応生成物の生産量を調整する。例えば、導入される水蒸気が多ければ、それに対応して、反応ガス源中の水素が多くなり、反応生成物中の水素ガスの生成量が多くなる。
【0043】
本発明のいくつかの実施例において、例えば石炭、木炭などのような補充炭材料をガス活性化手段5に添加することにより、補充炭材料と、ガス活性化手段5における活性化過程で発生した石炭ガスとを燃焼させて、二酸化炭素を得て、さらに反応ガス源中の二酸化炭素の濃度を調整する。反応ガス源中の二酸化炭素の濃度を調整して、反応ガス源中の炭素/水素比を調整することで、反応生成物の生産量を調整する。例えば、添加される補充炭材料が多ければ、それに対応して反応ガス源中の炭素元素が多くなり、反応生成物中の一酸化炭素の生産量が多くなる。
【0044】
本発明のいくつかの実施例において、コークス炉排煙、純酸素、水蒸気及び炭化材料の量を制御することによって、反応生成物の組成及び生産量を調整する。例えば、炭化材料が過剰であると、活性化反応によって活性炭と、一酸化炭素及び水素ガスを含む合成ガスとが得られるが、炭の量が少ないと、ガス活性化手段5でガス化反応のみを行い、一酸化炭素及び水素ガスを含む合成ガスを生成する。これにより、コークス炉排煙、純酸素、水蒸気及び炭化材料の量を調整することによって、製造のニーズを満たすように反応生成物の組成及び生産量を調整することができる。
【0045】
本発明のいくつかの実施例において、
図2に示すように、システムは、ガス活性化手段5とガス処理手段6との間に設けられる廃熱回収装置10をさらに含む。廃熱回収装置10は、混合ガスの熱量を回収するように構成される。熱量が回収された後、低温の混合ガスはガス処理手段6に入って、ガス分離を行う。
【0046】
廃熱回収装置10は廃熱を回収して、蒸気が得られる。得られた蒸気は、蒸気タービン発電機を駆動して発電することに用いられる。
【0047】
本発明のいくつかの実施例において、廃熱回収装置10はダクトによって水蒸気供給手段8に接続されてよい。これにより、廃熱回収装置10で廃熱を回収して得られた蒸気は、ダクトによって水蒸気供給手段8に導入されることができる。
【0048】
本発明のいくつかの実施例において、廃熱回収装置10は廃熱ボイラーを含み、コークス製造装置1は熱回収コークス炉である。コークス製造装置1は、好ましく熱交換式縦型熱回収コークス炉であるが、横型熱回収コークス炉であってもよい。
【0049】
熱回収コークス炉は、炉頂部、炭化室、燃焼室、熱交換室、予熱手段、煙道などの主要構造からなる。原料炭は、炭化室で燃焼、伝熱、加熱乾留されて、コークスになるとともに、高温の廃ガスが生成される。高温の廃ガスと助燃ガスは燃焼室で燃焼して高温のコークス炉排煙を生成し、高温のコークス炉排煙は、予熱手段によって熱交換を行った後、煙道によって排出される。
【0050】
なお、熱回収コークス炉における予熱手段は、助燃ガスを予熱することができる。第1給気ダクトa1及び第2給気ダクトa2からのガスが熱回収コークス炉に入って混合して助燃ガスが得られた後、予熱手段で予熱されて、予熱された助燃ガスを用いてコークス製造を行うことにより、コークス製造の熱消費量を効果的に減らし、コークス製造サイクルを短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施例において、流量調整手段4は、第1給気ダクトa1と第2給気ダクトa2とのそれぞれに設けられる2つの流量調整弁を含む。2つの流量調整弁の開度によって第1給気ダクトa1と第2給気ダクトa2を通過するガスの流量を制御することで、助燃ガス中の酸素の濃度を制御することができる。
【0052】
流量調整手段4は、ガス検出監視素子と中央制御システムとをさらに含んでよい。ガス検出素子及び流量調整弁は、それぞれ信号ケーブル及び制御ケーブルを介して中央制御システムに接続され、ガス検出素子は、コークス製造装置1における助燃ガス中の酸素の濃度を検出するためのものであり、中央制御システムは、濃度データに基づいて流量調整弁の開度を調整することで、助燃ガス中の酸素の含有量を制御する。
【0053】
本発明のいくつかの実施例において、ガス活性化手段5は、排気ダクトbから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料とのガス化反応により、混合ガスを得るように構成され、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。または、ガス活性化手段5は、排気ダクトbから排出されたコークス炉排煙と純酸素と水蒸気とを混合して反応ガス源とし、当該反応ガス源と炭化材料とのガス化反応及び活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得るように構成され、当該混合ガスは、合成ガスと排気ガスと二酸化炭素とを含む。
【0054】
本発明の実施例において、コークス炉排煙、純酸素、水蒸気及び炭化材料の量を制御することによって、ガス活性化手段5内でガス化反応と活性化反応の両方を行い、または、ガス活性化手段5内で活性化反応を行うことなく、ガス化反応のみを行うことができる。具体的に、炭化材料が過剰であると、ガス活性化手段5でガス化反応と活性化反応の両方を行って、合成ガスを含む混合ガスと活性炭とが得られ、当該合成ガスは一酸化炭素と水素ガスとを含む。一方、炭の量が少ないと、ガス活性化手段5でガス化反応のみを行って、合成ガスを含む混合ガスが得られ、当該合成ガスは一酸化炭素と水素ガスとを含む。これにより、製造のニーズを満たすように、ガス活性化手段5の反応生成物の組成及び生産量を調整することができる。なお、ガス活性化手段5でガス化反応を行うため、ガス活性化手段5はガス化手段とも呼ばれる。
【0055】
本発明の第2態様にかかる実施例は、上記した第1態様の実施例におけるコークス製造及び排煙処理のシステムを使用して実施するコークス製造及び排煙処理の方法を提供する。
【0056】
コークス製造及び排煙処理の方法は、
第1給気ダクトa1と第2給気ダクトa2を通過するガスの流量を調整することと、
酸素供給手段2から供給された純酸素及び給気手段3から供給された空気、または前記純酸素及び二酸化炭素、または前記純酸素、空気及び二酸化炭素をコークス製造装置1に導入することと、
純酸素及び空気、または純酸素及び二酸化炭素、または純酸素、空気及び二酸化炭素を混合して得られた助燃ガスの補助作用により、コークス製造装置1にコークス製造を行わせることと、
水蒸気を供給し、水蒸気を、コークス製造装置1から排出されたコークス炉排煙及び酸素供給手段2から供給された純酸素とともにガス活性化手段5に導入し、ガス活性化手段5で混合して反応ガス源を得ることと、
ガス活性化手段5で反応ガス源と炭化材料との活性化反応により、混合ガスと活性炭とを得ることと、
ガス処理手段6で混合ガスを分離させて合成ガスを得ることと、を含む。
【0057】
本発明の実施例において、流量調整手段4は、ガスの流量を調整することによって、助燃ガス中の酸素の濃度が空気中の酸素の濃度よりも大きくなるように助燃ガス中の酸素の濃度を調整することで、酸素富化燃焼を実現でき、コークス炉排煙中の窒素酸化物の生成を減らすことができ、燃焼後の排気ガス中の二酸化炭素が富化され、二酸化炭素の捕捉と利用に有利である。コークス炉排煙中の二酸化炭素と水蒸気は、ガス活性化手段5による処理によって、活性炭と混合ガスが得られ、ガス処理手段6によりガス分離を行った後に、合成ガスが得られる。活性炭は吸着作用を有するので、有害ガスを吸着することができ、合成ガスは化学原料として使用できるため、二酸化炭素の排出を減らすし、廃棄物を資源に変え、炭素排出削減及びグリーン生産を実現できる。なお、本明細書では、「第1」や「第2」等のような関係用語は1つのエンティティ又は操作を他のエンティティ又は操作と区別するためのものに過ぎず、必ずしもこれらのエンティティ又は操作間にこのような実際の関係又は順序があることをリクエスト又は示唆しない。また、用語「含む」、「備える」又はほかの変形は非排他的包含をカバーすることで、一連の要素を含むプロセス、方法、物品又は装置はこれらの要素を含むだけでなく、明確に列挙していないほかの要素をさらに含み、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置固有の要素をさらに含む。特に限定しない限り、「1つの…を含む」という文により限定される要素は、前記要素を含むプロセス、方法、物品又は装置がほかの同一の要素をさらに含むことを排除するものではない。
【0058】
本発明における各実施例は、相互に関連するように記載されており、各実施例における同一または類似な部分を相互に参照すればよく、各実施例における重要な説明は、他の実施例との相違点である。
【0059】
以上、本願の好適な実施例を説明したが、本願の保護範囲を限定するものではない。本願の精神及び原則の範囲内で行われる任意の変更、同等置換、改良等は何れも本願の保護範囲に含まれる。
【国際調査報告】