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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】アンモニア燃料エンジンの燃焼制御
(51)【国際特許分類】
   F02D 45/00 20060101AFI20240920BHJP
   F02D 43/00 20060101ALI20240920BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240920BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 19/02 20060101ALI20240920BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
F02D45/00 368S
F02D45/00 362
F02D43/00 301J
F02D43/00 301D
F01N3/08 A
F01N3/20 R
F02D19/02 E
F02D19/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518930
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022077079
(87)【国際公開番号】W WO2023049925
(87)【国際公開日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】63/248,877
(32)【優先日】2021-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/935,495
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503400008
【氏名又は名称】ウッドワード,インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Woodward,Inc.
【住所又は居所原語表記】1081 Woodward Way,Fort Collins,Colorado 80524 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【復代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キエラ,ドメニコ
(72)【発明者】
【氏名】ハンプソン,グレゴリー ジェームズ
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
3G091AA10
3G091AA11
3G091AA21
3G091AA23
3G091AA29
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091AB16
3G091BA14
3G091CA17
3G091CB03
3G091DC01
3G091EA09
3G091EA12
3G091FB10
3G091HA09
3G091HA10
3G091HA12
3G091HA15
3G091HA16
3G092AA05
3G092AA09
3G092AA15
3G092AA17
3G092AA18
3G092AB03
3G092AB19
3G092BA06
3G092BA08
3G092BB06
3G092DB03
3G092DC08
3G092DE04S
3G092EC01
3G092FA15
3G092FA22
3G092HA15Z
3G092HB02X
3G092HC01Z
3G092HE01Z
3G092HE03Z
3G384AA16
3G384BA18
3G384BA33
3G384BA34
3G384DA04
3G384DA14
3G384EA01
3G384EB07
3G384FA16Z
3G384FA29Z
3G384FA34Z
3G384FA39Z
3G384FA56Z
3G384FA58Z
(57)【要約】
本明細書の主題は、とりわけ、内燃機関に関連して実行される方法で具体化でき、その方法は、容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号を受信するステップであって、第1の範囲は圧縮フェーズの一部に対応し、受け取った圧力は第1の圧力である、ステップと、受信した圧力信号に基づいて圧縮フェーズの間に本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給するステップと、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の運転を制御するための装置であって、前記内燃機関は、燃焼室に密封された本体を備え、前記本体は、圧縮フェーズにおいてガス又はガス/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために上死点位置に移動可能であり、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張することによって、前記点位置から移動可能であり、前記本体の各位置は、前記燃焼室の容積を画定し、
前記燃焼室の前記容積に対応する前記本体の位置を感知するように構成された位置センサからの入力、及び燃焼室圧力センサからの入力を受信するプロセッサを備え、前記プロセッサが、
前記容積が第1の範囲にある間に、前記燃焼室圧力センサから圧力信号を受信し、前記第1の範囲は前記圧縮フェーズの一部に対応し、前記受信した圧力は第1の圧力であり、
前記受信した圧力信号に基づいて、前記圧縮フェーズの間に、前記本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給するように構成された第1の信号を供給し、
前記受信した圧力信号に基づいて、前記圧縮フェーズの間に、前記本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給するように構成された第2の信号を供給する、ように構成された、
内燃機関の作動を制御するための装置。
【請求項2】
前記第1の信号は、圧縮時に自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようにさらに構成された、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2の信号は、前記燃焼室で燃焼を開始するようにさらに構成された、
請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の信号は、CA50又はCA10の少なくとも1つを制御するようにさらに構成された、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の信号は、ディーゼル燃料、アンモニア燃料及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御するようにさらに構成された、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記比率は約1である、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記比率は約1.2未満である、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取り、アンモニアに基づいてNOxを触媒するようにさらに構成された排気後処理システムをさらに備える、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
燃焼室に密封された本体を備える内燃機関に関連して実行される方法であって、前記本体は、圧縮フェーズでガス又はガス/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために点位置に移動可能であり、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張させることによって、前記点位置から移動可能であり、前記本体の各位置は、前記燃焼室の容積を画定し、
前記容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号を受信するステップであって、前記第1の範囲は、圧縮フェーズの一部に対応し、前記受信した圧力は第1の圧力である、ステップと、
前記受信した圧力信号に基づいて、前記圧縮フェーズの間に前記本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給するステップと、
前記受信した圧力信号に基づいて、前記圧縮フェーズの間に前記本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給するステップと、を備える、
方法。
【請求項10】
前記燃料の第1のパルスは、自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようにさらに構成された、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記燃料の第2のパルスに基づいて、前記燃焼室で燃焼を開始するステップをさらに備える、
請求項9又は請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記燃料の第1のパルス又は前記燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、CA50又はCA10の少なくとも一方を制御するステップをさらに備える、
請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記燃料の第1のパルス又は前記燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、ディーゼル燃料、アンモニア燃料及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御するステップをさらに備える、
請求項9乃至請求項12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記比率は約1である、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記比率は約1.2未満である、
請求項14に記載の方法。
【請求項16】
排気後処理システムによって、排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取るステップと、
前記排気後処理システムによって、遊離アンモニアに基づいてNOxを触媒するステップと、をさらに備える、
請求項9乃至請求項15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記燃料の第1のパルス又は前記燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、前記排気ガスに存在する前記遊離アンモニアの量を制御するステップをさらに備える、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年9月27日に出願された米国特許出願63/248,877号及び2022年9月26日に出願された米国特許出願17/935,495号に基づく優先権を主張し、当該米国特許出願の全ての記載内容を援用する。
【0002】
本明細書は、デュアル燃料エンジンの燃焼制御及び排出ガス制御に関する。
【背景技術】
【0003】
ディーゼルエンジンやディーゼル-アンモニアのデュアル燃料エンジンを含む内燃機関は、空気と燃料の混合気を点火して、1つ以上のエンジンシリンダ内で燃焼を生じさせる。典型的な内燃機関システムは、燃料と空気をエンジンの燃焼室(例えばシリンダ)に噴射し、スパークプラグなどの点火装置、圧縮着火用のディーゼル燃料のパイロット量を用いて、又は容積自動着火を介して、燃料と空気の混合気に点火する。消費者及び規制上の要求に応えて、通常の内燃機関は、燃料の燃焼を抑えるためにリーン燃焼、高度燃焼又は低温燃焼を使用するなど、より燃費効率の良い運転モードに向けて燃焼の限界に挑んでいる。しかし、ディーゼル-アンモニア燃焼は、排気汚染物質として亜酸化窒素の生成と過剰なアンモニア燃料の排出(すなわち、アンモニアスリップ)を引き起こす。
【発明の概要】
【0004】
一般に、本明細書では、デュアル燃料エンジンの燃焼及び排出ガス制御のためのシステム及び方法について説明する。
【0005】
第1の例では、内燃機関の運転を制御するための装置であって、この内燃機関は燃焼室に密封された本体を備え、本体は、圧縮フェーズで気体又は気体/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために上死点位置に移動可能で、膨張フェーズで膨張する燃焼ガスによって上死点位置から移動可能である。本体の各位置は燃焼室の容積を画定し、その装置は、燃焼室の容積に対応する本体の位置を感知するように構成された位置センサからの入力、及び燃焼室圧力センサからの入力を受信するプロセッサを備え、そのプロセッサは、容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号を受信するように構成され、第1の範囲は、圧縮フェーズの一部に対応し、受信した圧力は第1の圧力であり、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給するように構成された第1の信号を供給し、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給するように構成された第2の信号を供給する。
【0006】
第1の例に係る第2の例では、第1の信号は、圧縮時に自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようにさらに構成される。
【0007】
第1又は第2の例に係る第3の例では、第2の信号は、燃焼室で燃焼を開始するようにさらに構成される。
【0008】
第1乃至第3の例のいずれかに係る第4の例では、第2の信号は、CA50又はCA10の少なくとも一方を制御するようにさらに構成される。
【0009】
第1乃至第4の例のいずれかに係る第5の例では、第2の信号は、ディーゼル燃料、アンモニア燃料及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御するようにさらに構成される。
【0010】
第5の例に係る第6の例では、比率は約1である。
【0011】
第6の例に係る第7の例では、比率は約1.2未満である。
【0012】
第1乃至第7の例のいずれかに係る第8の例では、その装置は、排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取り、アンモニアに基づいてNOxを触媒するように構成された排気後処理システムをさらに備える。
【0013】
第9の例では、燃焼室に密封された本体を備える内燃機関に関連して実行される方法であって、本体は、圧縮フェーズで気体又は気体/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために点位置に移動可能であり、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張させることによって、点位置から移動可能であり、本体の各位置は燃焼室の容積を画定し、その方法は、容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号を受信し、第1の範囲は、圧縮フェーズの一部に対応し、受信した圧力は第1の圧力であり、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給し、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給する。
【0014】
第9の例に係る第10の例では、燃料の第1のパルスは、自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようにさらに構成される。
【0015】
第9又は第10の例に係る第11の例では、その方法は、燃料の第2のパルスに基づいて燃焼室で燃焼を開始するステップをさらに備える。
【0016】
第9乃至第11の例のいずれかに係る第12の例では、その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、CA50又はCA10の少なくとも一方を制御することをさらに備える。
【0017】
第9乃至第12の例のいずれかに係る第13の例では、その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、ディーゼル燃料、アンモニア燃料、及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御することをさらに備える。
【0018】
第13の例に係る第14の例では、その比率は約1である。
【0019】
第14の例に係る第15の例では、その比率は約1.2未満である。
【0020】
第9乃至第15の例のいずれかに係る第16の例では、その方法は、排気後処理システムによって、排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取るステップと、排気後処理システムによって、遊離アンモニアに基づいてNOxを触媒するステップとをさらに備える。
【0021】
第16の例に係る第17の例では、その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、排気ガスに存在する遊離アンモニアの量を制御するステップをさらに備える。
【0022】
一実施形態の例では、内燃機関の運転を制御するための装置であって、この内燃機関は燃焼室で密封された本体を有し、その本体は、圧縮フェーズで気体又は気体/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために上死点位置に移動可能であり、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張させることによって、上死点位置から移動可能であり、本体の各位置は、燃焼室の容積を画定し、燃焼室の容積に対応する本体の位置を感知するように構成された位置センサからの入力、及び燃焼室圧力センサからの入力を受信するプロセッサを備え、そのプロセッサは、容積が第1の範囲にある間に、燃焼室圧力センサから圧力信号を受信するように構成され、第1の範囲は圧縮フェーズの一部に対応し、受信した圧力は第1の圧力であり、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給するように構成された第1の信号を供給し、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給するように構成された第2の信号を供給する。
【0023】
さまざまな実施形態は、以下の特徴のいくつかを含むか、すべてを含むか、又はまったく含まないことがある。第1の信号は、自動着火(auto-ignition)に近い空気/燃料混合気を準備するように構成できる。第2の信号は、燃焼室で燃焼を開始するようにさらに構成できる。第2の信号は、CA50又はCA10の少なくとも一方を制御するように構成できる。第2の信号は、ディーゼル燃料、アンモニア燃料及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御するように構成できる。比率は約1、1.2を超える場合がある。その装置は、排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取り、アンモニアに基づいてNOxを触媒するように構成された排気後処理システムを含むことができる。
【0024】
一実施の例では、燃焼室に密封された本体を備える内燃機関に関連して実行される方法であって、本体は、圧縮フェーズで気体又は気体/液体混合気の少なくとも一方を圧縮するために点位置に移動可能であり、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張させることによって、点位置から移動可能である。本体の各位置は燃焼室の容積を画定し、その方法は、容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号を受信し、第1の範囲は圧縮フェーズの一部に対応し、受信した圧力は第1の圧力であり、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第1の位置で燃料の第1のパルスを供給し、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズの間に本体の第2の位置で燃料の第2のパルスを供給する。
【0025】
様々な実施は、以下の特徴のいくつかを含むか、すべてを含むか、又はまったく含まないことがある。燃料の第1のパルスは、自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようにさらに構成できる。その方法は、燃料の第2のパルスに基づいて、燃焼室で燃焼を開始するステップを含むことができる。その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、CA50を制御するステップを含むことができる。その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、膨張フェーズで、ディーゼル燃料、アンモニア燃料、及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御するステップを含むことができる。比率は約1であってもよい。比率は1.0から約1.2の間であってもよい。その方法は、排気後処理システムによって、排気ガスに存在する遊離アンモニアを受け取り、排気後処理システムによって、遊離アンモニアに基づいてNOxを触媒するステップを含むことができる。その方法は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、排気ガスに存在する遊離アンモニアの量を制御するステップを含むことができる。
【0026】
ここで説明するシステムと技術は、以下の利点の1つ以上を提供することがある。第1に、システムは、再生可能な燃料源としてのアンモニアの使いやすさを改善することができる(例えば、燃やすのが難しい燃料であるNHの燃焼改善よって、(アンモニアの使いやすさを)改善することができる。NHはそれ自体が炭素を含まないため、GHG削減の利点がある)。第2に、システムは、(例えば、NHスリップを使用してSCRのNOxを削減することによって)燃料の燃焼から生じる排出ガスを改善できる。第3に、システムは、高品位の尿素(例:ディーゼル排気液又は「DEF」)及び排気ガス後処理システムで使用する関連の供給システムの必要性を削減又は排除できる。
【0027】
1つ以上の実施の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載される。他の特徴及び利点は、説明及び図面、及び特許の請求範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】内燃機関システムの一例を示した概略図である。
【0029】
図2】エンジン制御システムを含む内燃機関のシリンダの概略断面図である。
【0030】
図3】内燃機関の他のシリンダの断面図である。
【0031】
図4】シリンダストロークの一例を示したチャートである。
図5】シリンダストロークの一例を示したチャートである。
【0032】
図6】エンジン制御システムの一例を示した概略図である。
【0033】
図7】ガス混合器の一例を示した概略半断面図である。
【0034】
図8】アンモニアのシリンダ内燃焼から生じるガス濃度の一例を示したチャートである。
【0035】
図9】ディーゼル後処理システムの一例を示した概略断面図である。
【0036】
図10】排気ガス生成物の一例を示したチャートである。
【0037】
図11】内燃機関システムを制御するためのプロセスの一例を示したフロー図である。
【0038】
図12】一般的なコンピュータシステムの一例を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
内燃機関用の低炭素燃料及びゼロ炭素燃料が求められている。エンジン開発の技術的な目標は、高効率及び高出力密度を達成しつつ、それをほぼゼロエミッションで達成することである。
【0040】
このような目的を達成するための燃料として、水素が主要な候補と考えられている。水素は、点火エネルギーが低く、AFR(空燃比)が広く、また、燃焼速度が速いという優れた燃焼燃料である。ただし、純粋な水素(H)は作るにはエネルギー的に高価であり、その自然状態は標準状態で気体である。したがって、輸送用として使用するには、水素は高圧(例えば、10,000psi)又は液化(例えば、-250℃より低い温度)され、(漏れ、爆発性などにより)安全に取り扱うのが困難である。
【0041】
純粋なHの代替案は、窒素分子を追加してアンモニア(NH)を作ることである。アンモニアは、わずか約15psiゲージ圧で液体として保存できるため、Hに対してより高いエネルギー密度を有する。アンモニアは燃料として使用できるが、水素とほぼ反対の特性がある。アンモニアは着火しにくく、燃焼が遅く、低温で燃焼し、ほとんどの場合何らかの燃焼促進が必要である。アンモニアの実用的な燃料導入方法は、液体アンモニアを適切な冷却水循環式の熱交換器で気化させ、蒸気としてポート噴射するものである。これはポート燃料噴射(PFI)としても知られ、これにより、空気及びアンモニアの予混合気が生成される。高圧のダイレクトインジェクタを使用して、又は、デュアル燃料の場合は高圧のデュアル燃料(HPDF)インジェクタを使用して、アンモニアをシリンダに直接噴射することも可能である。
【0042】
アンモニアの着火性を向上させるために、ディーゼル燃料を燃焼開始及び燃焼速度の向上のために使用することが可能である。ディーゼルでのアンモニア燃焼は、NOに加えて、亜酸化物(NOx)と未燃焼のアンモニア(NH)という規制基準がある2つの排出ガスを生成する可能性があり、触媒の作用が不十分な場合に生成される可能性がある。NOxは、高温ディーゼル駆動型拡散炎及び大気(例えば、79%N、21%O)中の利用可能な窒素から生じる可能性がある。未燃のアンモニアは、天然ガス燃料のデュアル燃料エンジンにおいてメタンスリップ(直接燃焼短絡、ピストン/シリンダ壁の隙間領域クエンチ、バルクフレームクエンチなど)を引き起こすことがわかっているプロセスと同様のプロセスから生じ、アンモニアスリップとも呼ばれる。本明細書で説明されているシステム及び方法は、NOx排出及びアンモニアスリップ(NH)の両方が制御的に削減又は排除されるように、デュアル燃料用途におけるアンモニアの燃焼を制御する。本明細書ではディーゼルのデュアル燃料用途に関して説明するが、アンモニアを燃焼する他のデュアル燃料用途にも同様のコンセプトを適用できる。
【0043】
図1は、エンジンシステム100の一例を示している。エンジンシステム100は、(例えば、直接噴射による)ディーゼル燃料及び(例えば、ポート噴射又は直接噴射による)アンモニア燃料と組み合わされ、酸素源(例えば、空気)に流体的に結合された吸気マニホールド104を含む。エンジンシステム100は、4ストローク(吸気、圧縮、燃焼、排気など)エンジンとして構成される。エンジンシステム100は、4つのシリンダを備えたシリンダバンク102aと、4つのシリンダを備えたシリンダバンク102bと、を含む。図示された実施態様は、4つのシリンダの2つのバンクを有する8気筒エンジンを含むが、エンジンシステム100は、適切な数のシリンダを有する適切な数のバンクを有することができる。また、図示された実施形態は、ピストンエンジンとして描かれ説明されているが、本開示の態様は、ロータリーエンジンなどの他のタイプの内燃機関にも適用できる。
【0044】
特定の実施態様では、スロットル112は、吸気マニホールド104の上流にある吸気プレナム(plenum、空間)103に位置決めされ、例えば排気ガス再循環(EGR)の制御のために吸気マニホールド104の圧力を調節する。
【0045】
排気マニホールド106aは、シリンダバンク102aの燃焼室から燃焼生成物(排気)を受け取るように構成される。つまり、排気マニホールド106aは、シリンダバンク102aの燃焼室の出口に流体的に結合される。EGR流路108a又は導管は、排気マニホールド106aと、アンモニアガス燃料を吸気マニホールド104に供給(例えば、アンモニアガス燃料のポート噴射)するように構成されたアンモニアガスインジェクタ114とを流体的に結合する。いくつかの実施では、アンモニアガスインジェクタ114は、アンモニアガス燃料を燃焼室に直接供給するように構成された直噴システムとして構成できる。図示された実施態様では、EGRスロットルバルブ126aは、排気マニホールド106aとアンモニアガスインジェクタ114との間のガス流路108a内に設置され、EGRの流れを調節するために使用される。特定の実施態様では、排気ガス冷却器110aは、排気マニホールド106aとアンモニアガスインジェクタ114との間のEGR流路108aに位置決めされる。排気ガス冷却器110aは、アンモニアガスインジェクタ114に入る前の排気ガスの温度を下げるために作動可能である。排気ガス冷却器110aは、空気-空気交換器又は空気-水交換器などの熱交換器である。いくつかの実施では、EGRの流れは、アンモニアガスインジェクタ114の上流、アンモニアガスインジェクタ114の下流、あるいはアンモニアガスインジェクタ114の位置で吸気マニホールド104に再循環され得る。
【0046】
排気マニホールド106bは、シリンダバンク102bの燃焼室から燃焼生成物(排気)を受け取るように構成される。つまり、排気マニホールド106bは、シリンダバンク102bの燃焼室の出口に流体的に結合される。EGR流路108b又は導管は、排気マニホールド106bと吸気マニホールド104とを流体的に結合する。図示された実施態様では、EGRスロットルバルブ126bは、排気マニホールド106bとアンモニアガスインジェクタ114との間のEGR流路108b内に配置され、EGRの流れを調節するために使用される。EGRスロットルバルブ126bは、EGRスロットルバルブ126bを通るEGR流路108bの断面積を調整することによって、EGRの流れを調節する。
【0047】
排気ガス冷却器110bは、排気マニホールド106bとアンモニアガスインジェクタ114との間のEGR流路108bに位置決めされる。排気ガス冷却器110bは、アンモニアガスインジェクタ114に入る前の排気ガスの温度を下げるために作動可能である。排気ガス冷却器110bは、空気-空気交換器又は空気-水交換器などの熱交換器である。
【0048】
いくつかの実施では、エンジンシステム100は、スロットル112の上流にコンプレッサ118を含む。スロットルのないディーゼルエンジンなどのコンプレッサ118はあるがスロットルのないエンジンでは、スロットル112は必要がなく、アンモニアガスインジェクタ114はコンプレッサ118の下流にあってもよい。コンプレッサ118は、エンジンの運転中に吸気プレナム103内の空気内の圧力を上げるための遠心コンプレッサ、容積式コンプレッサ、又は別のタイプのコンプレッサを含むことができる。
【0049】
図示された実施例では、コンプレッサ118はターボチャージャーの一部である。つまり、タービン122は、排気マニホールド106a及び106bの下流に位置し、排気ガスがタービン122を通って膨張する際に回転する。タービン122は、例えばシャフトを介してコンプレッサ118に結合され、コンプレッサ118に回転を与える。図示された例は、吸気マニホールドの圧力を上げるためのターボチャージャーを描いて説明しているが、例えば電気又はエンジン駆動式のコンプレッサ(例えばスーパーチャージャー)など、他の圧縮方法を使用することもできる。
【0050】
エンジンシステム100は、圧縮空気がアンモニアガスインジェクタ114及び吸気マニホールド104に入る前に、吸気プレナム103の圧縮空気を冷却するように構成されたインタークーラー120を含む。インタークーラーは、吸気マニホールド104の前に、圧縮空気の温度を下げるために作動することができる。インタークーラーは、空気-空気交換器又は空気-水交換器などの熱交換器である。
【0051】
燃料供給装置130は、エンジンシステム100(例えば、シリンダブロック102a及び102bのシリンダ)で燃焼用の燃料を提供するように構成される。図示された例では、燃料供給装置130は、アンモニアガスインジェクタ114への燃料としてアンモニアガスを供給するように構成される。このような構成の例については、図2の説明でより詳しく説明する。いくつかの実施では、燃料供給装置130は、吸気プレナム103(例えば、スロットル112の上流)に燃料を供給するように構成することができる。いくつかの実施では、燃料供給装置130は、アンモニアガスインジェクタ114から下流に(例えば、吸気マニホールド104に、直接噴射を介してシリンダ内に)燃料を供給するように構成することができる。
【0052】
いくつかの実施では、燃料供給装置130は高圧燃料サプライになることがある。例えば、燃料供給装置は、加圧されたガス状のアンモニア、水素、メタン又はその他の適切な可燃性ガスを供給するように構成できる。別の例では、燃料供給装置は、液化されたアンモニア、水素、メタン又は液化された形態で保存及び/又は供給できるその他の適切な可燃性ガスを供給するように構成できる。
【0053】
排気後処理システム150(例えば、触媒コンバータ)は、排気マニホールド106a及び106bに結合され、排気管160を出る規制排出物の量を減らすように構成される。排気後処理システムの一例は、図9の説明でさらに説明する。
【0054】
リーン混合気(Lean fuel-air mixtures)は、現在の内燃機関の多くで規制排出ガスを削減するために使用されており、排出ガス規制の最近の削減により、NOxの制限が1、1/2、1/4、及び1/8 TA Luft(ここで、1TA Luftは、1.0gm/kw-hrのNOx排出量である)の下限まで押し進められている。燃料の品質や大気の状態が変化するにつれて、エンジンコントローラは、適切な空気/燃料比(AFRは必要以上にリッチである)を維持するのが困難になることがある。さらに、燃料インジェクタは摩耗しやすく、最終的には動作性能にばらつきが生じる。
【0055】
現在、シリンダ圧力を介した燃焼監視は、研究開発環境のほぼすべてのエンジンにおいて、エンジン燃焼戦略及びその制御を開発するために使用されている。ただし、生産エンジンのシリンダ圧力ベースの監視システムは、現在の生産ECUで一般的に利用可能なプロセッサが低速であるため、未発達で能力が不足している。それらは高価で信頼性が低いため、かけるコストに対して利益が正当化される可能性がある、最も出力密度が高い用途及び最も効率の高い用途のみに適用可能性が制限される。新しい能力のECUの出現及び圧力センサの信頼性の向上により、圧力センシングの普及が間近であることが予想される。ただし、ECUの能力とセンサの信頼性が目標を達成しても、「効率的で有意義なアルゴリズム」は必要なままである。本開示では、そのような効率的で有意義なアルゴリズムの一例として、NOx及びNHの排気エミッションを制御し、最終的には削減又はなくすために燃料供給及び燃焼を制御する機能を示している。本明細書に記載されているいくつかの例示的な方法は、各燃焼イベント中にシリンダ圧力をサンプリングし、それに応じて正確にタイミングを合わせたある燃料パルスを供給することによって、燃焼を制御することができる。この実施形態の中で、検出情報は直ちにECUに転送され、是正措置が講じられる。
【0056】
本明細書に記載されているコンセプトのいくつかは、エンジンコントロールユニット(ECU)によって処理されるシリンダ内の圧力測定値を用いてエンジンを制御することを含む。本明細書に開示されているコンセプトは、高出力のプロセッサを必要とせずに、特定の例では、点火タイミング及び燃料供給を決定し制御するためのECUとは別に存在する、圧力信号を熱放出由来のパラメータといった燃焼メトリクスへと処理するための別の高出力ECUを必要とせずに、燃焼及び/又は排出ガスを制御する能力を提供できる。シリンダ内の圧力測定値を用いると、場合によっては、エンジン制御のために複数の他のセンサを使用する必要性をなくすことができる。例えば、マスエアフローセンサ、NOx(窒素の酸化物)センサ、ノックセンサ、又は排気温度センサをなくすることができる。さらに、特定の例では、本明細書のコンセプトは、燃料品質のばらつき(例えば、エネルギー含有量(MBTU/m3)のばらつき)に、より良く適応させることができ得る。
【0057】
ECUは、特定の例では、0.25°のクランク分解能で高速シリンダ圧力データを処理する機能を有し、シリンダ圧力を監視するための包括的な一連の診断を作り出すことができるとともに、燃焼診断のフィルタリング及び平均化をリアルタイムで、つまりエンジン運転と同時に、エンジンを制御するための制御ループで使用するために十分な電流で行うことができる内蔵(embedded、組み込み)プロセッサを有する。場合によっては、処理と制御は各シリンダの単一のサイクル内で行われる。場合によっては、ECUは、各シリンダの総処理時間が約2.5ミリ秒で、最大20のシリンダをリアルタイムで処理できる。ECUによって計算されたリアルタイム燃焼メトリクスは、クランク角又は時間におけるピーク圧(Ploc)及び最大圧(Pmax)の位置、特定の固定クランク角又は1つ以上のシリンダ内の容積における圧力等を含む。
【0058】
従来の内蔵圧力監視システムは、最新の4気筒レシプロ式ディーゼルエンジンの閉ループ制御において、従来の天然ガス-ディーゼルのデュアル燃料モードと、研究室環境での反応制御圧縮着火(又はRCCI)、ガス-ディーゼルモードの両方とで見つけることができる。ただし、これらのコンセプトは一般的ではなく、より少ないシリンダ数のエンジンやより多いシリンダ数のエンジン、異なる燃料タイプのエンジン、及びレシプロ式でないエンジンなどの他のエンジン構成には十分に当てはまるものではない。本明細書に開示されているコンセプトは、研究室環境を超えて、内蔵ECUで実用化される。
【0059】
本明細書のコンセプトによると、エンジンのシリンダ圧力とエンジンのシャフト位置とを(例えば、クランク角センサ及び/又は別の方法で)監視し、等しい燃焼室容積を表す点火イベント前後の位置(例えば、上死点の前後と同じシリンダの位置)でのシリンダ内の圧力を平滑化し平均化し、平均化された前後の圧力差を、負の燃焼品質を示す測定された特定の容積から所定の閾値と比較することによって、シリンダ毎に、及びエンジンサイクルベース毎に燃焼を制御できる。場合によっては、圧縮及び/又は燃焼行程(stroke、ストローク)で測定されるシリンダ圧力を、ECUによって、その後(例えば、次のサイクル)の圧縮及び/又は燃焼行程における燃料タイミング及び燃料供給量を変更するために使用できる。
【0060】
いくつかの実施では、感知された圧力は、不十分な燃焼イベントを特定するためのアルゴリズムで使用する前に、ベクター中央平均平滑化(vector central average smoothing)を用いて処理される。本明細書の実施形態によれば、アルゴリズムは、同じシリンダ容積(P-V線図を参照)における圧縮行程圧力に対する排気行程圧力を比較すると、通常、必ずしもそうではないが、等容積状態は、(例えば、圧縮行程のTDC前90°と比較した排気行程のTDC後90°における平滑化された圧力、及び/又は別の方法で)TDCに対するエンジンクランク角の等しい絶対値として特徴付けることができる。
【0061】
本明細書の実施形態によれば、膨張行程と圧縮行程の間の圧力差の計算は、各燃焼イベントが「良好」であるか「不良」であるかを判断するために使用されるアルゴリズムに入力される。
【0062】
本明細書の実施形態のいくつかの態様は、各シリンダのシリンダ圧力の連続的な監視を用いた方法を含む。その方法は、燃焼行程の圧力を、同じエンジンのクランク角での圧縮行程の圧力と比較する。本明細書の実施形態の態様は、比較のために1~5のキークランク角を選択する方法を含む。場合によっては、キークランク角は予め設定され、場合によっては、キークランク角は運転中に変化する。本明細書の実施形態の態様は、圧力トレースに及ぼすノイズの影響を減らすために、圧力信号の適切な平滑化及び平均化を用いること含む。本明細書の実施形態の態様は、ECUによって不十分な燃焼イベントが検出されると、エンジンを保護し、エンジン着火の排気爆発を避けるために、燃料及び着火燃焼を遮断できるメインECU又はメインエンジン制御アルゴリズムが利用できるアラーム状態信号をトリガすることを含む。
【0063】
場合によっては、本明細書のコンセプトは、熱放出(heat release)のような新しい機能に基づいた主要な方法として、シリンダ圧力監視を用いたIMEP及び燃焼重心(CA50)を特定するデュアル燃料ディーゼル-アンモニアガスエンジンを含むが、一方で、ピーク圧力の大きさ及び位置といった、より従来型の圧力のみによる方法で監視及び制御もでき、点火及び燃料供給を調整してシリンダのバランスをとりながら、ピーク圧力をエンジンの設計限界以下に安全に保つ。そのようなシリンダ内の圧力測定及び燃焼メトリクス計算システムの1つは、米国出願第15/099,486の「可変解像度サンプリングウィンドウを備えた燃焼圧力フィードバックベースのエンジン制御」で開示されている。燃焼開始位置(SOC又はCA10)、燃焼中心(CA50)、圧力上昇率(RPR)及びエンジン限界値以下のPmax維持等の燃焼パラメータは、エンジンコントローラに提供され、その後制御することができる。
【0064】
従来のECUシステムでは、場合によっては、メモリやプロセッサの制限により、圧力トレースの分析がエンジン制御戦略に直接連携するようにカスタマイズされた情報に限定され得、燃焼メトリクスを特定するためのプロセッサは、エンジンコントロールユニットの残余として同じ装置に組み込まれる。メモリ又はプロセッサが制限された実施では、従来のECUシステムは、燃焼メトリクスのごく一部を選択し、1種類の事前に設計されたエンジン制御目標にのみ役立つサロゲート分析を使用するが、一般的ではない。
【0065】
本ECUシステムのいくつかの例では、そのシステムは、高速シリンダ圧力データを有意義な低速データに変換し、少ないエンジンサイクル数内、単一のサイクル内であっても、エンジンの運転状態(十分な燃焼か又は不十分な燃焼か等)をユーザに通知し、ECUへ安定した信頼性の高いスマートセンサ入力を提供して、以下に示す利点を実現する。場合によっては、ECUシステムに供給される圧力データは、適切なアクチュエータの変更を介してエンジン保護をも可能にし、過圧(Pmax)保護、圧力上昇率(RPR)保護、及びノック検出を提供する。場合によっては、ECUシステムは、燃焼品質メトリクスを計算して、上記のアクチュエータの変更(例えば、点火タイミング、シリンダ内噴射及びポート噴射のタイミングと時間、AFR制御、スロットル位置)を特定する。
【0066】
いくつかの例では、メインコントローラと直接的に、又はコントローラエリアネットワーク(CAN)リンクを介して、大幅な時間遅れなく通信するシステムが、内蔵コントローラに組み込まれている。あるいは、場合によっては、上記の燃焼品質検出方法の1つ以上が、適切な計算能力が利用可能であると仮定して、ECUのメインプロセッサで直接実行され得る。
【0067】
場合によっては、エンジン制御装置がアンモニアエンジンのノックマージンを改善し、アンモニア-ディーゼルデュアル燃料用途において、アンモニア対ディーゼル燃料の最大置換率を改善し、予混合圧縮着火(HCCI)、反応度制御圧縮着火(RCCI)、及び予混合充填圧縮着火(PCCI)など、低温燃焼(LTC)戦略の燃焼位相(combustion phasing)を正確に制御できるように構成され、全てのエンジン保護制限内で等しい排出量又はエンジンの信頼性で効率を改善する。
【0068】
最初に図2を参照すると、本システムの一例としてのエンジンシステム200が示されている。いくつかの実施では、エンジンシステム200は、図1のエンジンシステム100の一例とすることができる。エンジンシステム200は、エンジンコントロールユニット202、空気/燃料モジュール204、点火モジュール206、及びエンジン(ここではレシプロエンジンとして示される)201を含む。図2は、例えば、内燃機関200を示す。この開示の目的のために、エンジンシステム200は、気体燃料式レシプロピストンエンジンとして説明される。特定の例では、エンジンはアンモニア燃料で作動する。エンジンは、燃料のタイプ(気体(例えば、アンモニア、天然ガス、水素)、液体(例えば、ガソリン、ディーゼル燃料及び/又はその他のもの)、同相又は混合相のマルチ燃料及び/又は別の構成)、及びエンジンの物理的構成(例えば、レシプロ、ワンケルロータリー及び/又はその他の構成)の両方において、他のいかなるタイプの燃焼エンジンであってもよい。エンジンコントロールユニット202、空気/燃料モジュール204及び点火モジュール206は別々に示されるが、モジュール202、204、206は、単一のモジュールに結合する、あるいは他の入力と出力を有するエンジンコントローラの一部とすることができる。
【0069】
レシプロエンジン201は、エンジンシリンダ208、ピストン210、吸気バルブ212及び排気バルブ214を含む。エンジン201は、1つ以上のシリンダ208(図2には1つのみ示す)を含むエンジンブロックを含む。エンジン200は、シリンダ208、ピストン210及びヘッド230によって形成された燃焼室260を含む。点火装置220は、ヘッド230内に位置決めされており、点火装置220が可燃混合気にアクセスできるようにする。一般に、用語「点火装置」は、プレチャンバ内の直接燃料噴射装置及び/又はスパークプラグあるいはその他の点火装置を指すことができる。スパークプラグの場合、スパークプラグ220のスパークギャップ222が燃焼室260内に位置決めされている。圧縮点火、レーザー点火器、熱面点火器、及び/又はその他の種類の点火器など、他の種類の点火器を使用できる。各シリンダ208内のピストン210は、圧縮フェーズで気体又は気体/液体混合気としての可燃混合気の充填物を圧縮するために、上死点(TDC)位置と下死点(BDC)位置との間を移動し、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張させることによって、上死点位置から移動可能である。エンジン200は、各シリンダ208内のピストン208がTDC位置とBDC位置との間を移動し、クランクシャフト240を回転させるように、各ピストン210を連結するクランクシャフト240を含む。TDC位置は、燃焼室260が最小容積となるピストン210の位置(つまり、ピストン210がスパークプラグ220及び燃焼室260の上部に最も接近する位置)であり、また、BDC位置は、燃焼室260が最大容積となるピストン210の位置(つまり、ピストン210が点火装置220及び燃焼室260の上部から最も遠くに離れる位置)である。
【0070】
シリンダヘッド230は、吸気通路231及び排気通路232を画定する。吸気通路231は、空気又は空気と燃料の混合気を、吸気マニホールド216から燃焼室260へ導く。排気通路232は、排気ガスを、燃焼室260から排気マニホールド218へ導く。吸気マニホールド216は、吸気通路231及び吸気バルブ212を介してシリンダ208と連通している。排気マニホールド218は、排気バルブ214及び排気通路232を介してシリンダ208からの排気ガスを受け取る。吸気バルブ212及び排気バルブ214は、各シリンダのバルブ駆動アセンブリを介して制御される。これは、電子的、機械的、油圧又は空気圧で制御されるか、又はカムシャフトを介して制御される(不図示)。
【0071】
各シリンダ208内のTDC位置とBDC位置との間のピストン210の移動は、吸気行程、圧縮行程、燃焼又は出力行程、及び排気行程を画定する。吸気行程は、吸気バルブ212が開いた状態で点火装置220からピストン210が離れる動きであり、吸気通路231を介して燃料/空気混合気が燃焼室260の中に引き込まれる。圧縮行程は、空気/燃料混合気が燃焼室260に入った状態でピストン210が点火装置220に向かう動きであり、吸気バルブ212と排気バルブ214の両方が閉じられているため、ピストン210の移動を可能にして燃焼室260の燃料/空気混合気を圧縮する。燃焼又は出力行程は、燃焼可能な空気/燃料混合気が点火される燃焼行程後に発生する、ピストン210が点火装置220から離れる動きである。点火された燃料/空気混合気は燃焼し、燃焼室260の圧力を急速に上げ、点火装置220から離れる方向へのピストン210の移動に膨張力を加える。排気行程は、燃焼行程後にピストン210が点火装置220に向かう動きであり、排気バルブ214を開き、ピストン210が排気通路218を介して排気マニホールド218に燃焼ガスを排出できるようにする。
【0072】
エンジン200は、アンモニア燃料を吸気マニホールド216へ導く、又は直接燃焼室260に導くために、燃料噴射装置、ガス混合器、又はその他の燃料供給装置などの燃料供給装置224を含む。場合によっては、エンジンシステム200は、ピストン/シリンダがない別のタイプの内燃機関201、例えば、ワンケルエンジン(つまり、燃焼室内にロータがあるエンジン)を含むことができる。
【0073】
エンジンの運転中、つまり燃焼室260の燃焼イベント中、空気/燃料モジュール204は、燃焼室260に入る前に吸気マニホールドに入ってくる空気の流れにアンモニア燃料を供給する。点火モジュール206は、燃焼室260内へのディーゼル燃料の噴射のタイミングを調整することによって、燃焼室260内の空気/燃料の点火を制御、これにより、ピストン210の各連続した圧縮行程と燃焼行程との間の一連の点火イベント中に、燃焼室260内の燃料/空気混合気の燃焼を開始する。各点火イベント中に、点火モジュール206は点火タイミングを制御し、点火装置220に電力を供給する。空気/燃料モジュール204は、燃料噴射装置224を制御し、スロットルバルブ226を制御して、エンジンシリンダ208に目標比率で空気と燃料を供給することができる。空気/燃料モジュール204は、エンジン制御モジュール202からフィードバックを受け取り、空気/燃料比を調整する。点火モジュール206は、電源(例えば、オルタネータ、バッテリ)からの電流の流れを制御することによって点火装置220を制御する。ECU202は、以下に開示する本システムの態様に加えて、エンジンの速度と負荷に基づいて点火モジュール206の動作を調整する。
【0074】
場合によっては、ECU202は、ECU202のプロセッサによって実行される統合ソフトウェアアルゴリズムとして、点火モジュール206及び燃料/空気モジュール204を含み、それにより、エンジン全体に配置され得る1つ以上のセンサ(不図示)から受信した入力に応じて、単一のハードウェアモジュールとしてエンジンを運転する。場合によっては、ECU202は、燃料/空気モジュール204及び点火モジュール206の説明された動作に対応する個別のソフトウェアアルゴリズムを含む。場合によっては、ECU202は、燃料/空気モジュール204及び点火モジュール206の説明された機能の実現又は制御を支援する個々のハードウェアモジュールを含む。例えば、ECU202の点火モジュール206は、点火装置220への電流供給を調節するためのASICを含むことができる。エンジン200の動作パラメータを監視するための複数のセンサシステムが存在し、これには例えば、クランクシャフトセンサ、エンジン速度センサ、エンジン負荷センサ、吸気マニホールド圧力センサ、シリンダ内圧センサなどが含まれる。一般に、これらのセンサは、エンジンの動作パラメータに応じて信号を生成する。例えば、クランクシャフトセンサ271は、クランクシャフト240の角度位置を示す信号を読み取り、生成する。例示的な実施では、高速圧力センサ272がエンジン200の運転中のシリンダ圧力を測定する。センサ271、272は、センシングを容易にするためにECU202に直接接続されてもよいし、場合によっては、1つ以上のセンサから高速データを取得し、ECU202に低速データ出力を提供するように構成されたリアルタイム燃焼診断及び制御(RT-CDC))ユニットと統合されてもよい。場合によっては、本明細書に記載されている点火制御は、ECU202及び点火モジュール206の動作を提供するスタンドアロン点火制御システムである。センサは、ECU202又はRT-CDCなどの制御モジュールの1つに統合され得る。他のセンサも可能であり、本明細書に記載されているシステムは、上記のエンジンの運転パラメータのセンシングを容易にするために、複数のセンサを含むことがある。
【0075】
図3は、内燃機関301のシリンダ308の拡大断面図である。いくつかの実施では、エンジン301は、図2に例示したエンジン201の修正であり得る。
【0076】
エンジン301は、エンジンシリンダ308、ピストン310、吸気バルブ312及び排気バルブ314を含む。エンジン301は、1つ以上のシリンダ308(図3には1つのみ示す)を含むエンジンブロックを含む。エンジン301は、シリンダ302、ピストン310及びヘッド330によって形成された燃焼室360を含む。
【0077】
ポート燃料インジェクタ(不図示)は、シリンダ308から上流の吸気プレナム313にアンモニアガス燃料を供給する。ダイレクト燃料インジェクタ320は、ヘッド330内に位置決めされ燃焼用のディーゼル燃料を供給する。いくつかの実施では、ポート噴射の代わりに直接噴射を用いる場合などには、ダイレクト燃料インジェクタ320に、アンモニア燃料のダイレクトインジェクタを含むこともできる。各シリンダ308内のピストン310は、上死点(TDC)位置と下死点(BDC)位置との間を移動する。ピストン308は、各シリンダ308内のTDC位置とBDC位置との間を移動し、クランクシャフトを回転させる。TDC位置は、燃焼室360が最小容積となるピストン310の位置(つまり、ピストン310がダイレクト燃料インジェクタ320及び燃焼室360の上部に最も接近する位置)であり、また、BDC位置は、燃焼室360が最大容積となるピストン310の位置(つまり、ピストン310がスパークプラグ320及び燃焼室360の上部から最も遠くに離れる位置)である。
【0078】
ピストン310は面390を有する。所定の形状を持つピストンボウル392は、ピストン310に画定され、面390で開口している。ショルダー394は、ピストン面390とピストンボウル392の境界で画定されている。隙間(crevice、クレビス)396は、ピストン310とシリンダ308との間で画定されている。
【0079】
ダイレクト燃料インジェクタ320は、燃料(例えば、ディーゼル)の円錐ジェット380を燃焼室360中にスプレーするように構成されている。ダイレクト燃料インジェクタ320は、円錐ジェット380が約50°から約70°の角度382で分散するように構成されている。これは、一般に120°から140°の分散角を持つ従来のスプレーパターンとは異なる。いくつかの実施では、ダイレクト燃料インジェクタ320は、ディーゼル燃料を燃焼室360の中にスプレーするように構成された1つ以上のノズル(例えば、4~8個の個別のノズル)を含むことができる。いくつかの実施では、円錐ジェット380の一部をスプレーするように構成された複数のノズルのそれぞれを使用し、複数のインジェクタノズルによって円錐ジェット380が供給されることがある。
【0080】
円錐ジェット380は、圧縮行程中にピストンが所定の位置にあるとき、燃料をショルダー394に向けて導くように構成されている。いくつかの実施では、ショルダー394への燃料の衝突は、ディーゼル粒子の分布を改善する可能性がある。例えば、隙間領域のディーゼル粒子は、隙間領域でアンモニアを燃焼させるのに役立ち、(例えば、隙間領域の気化したディーゼル液滴から生じるディーゼル蒸気から始まる燃焼開始によって)アンモニアスリップを減らすことができる。別の例では、ピストンボウル392のディーゼル粒子は、例えば、反応性の低いアンモニアと空気の混合気に高い反応性ディーゼル蒸気を添加することにより、燃焼速度を改善するのに役立つ。別の例では、噴射時間及び角度382を、得られる空気/燃料混合気をTDC位置で混合自動着火条件に近づけるように構成することができる。別の例では、自動着火は噴射時間によって制御できる。早期の噴射は、ディーゼル液滴を蒸発させてアンモニアと混合することができ、遅い噴射は、より層状のラムダ(lambda)を提供することができる。圧縮中、ディーゼル液滴が蒸発し、その蒸気は空気と混合して、空気-燃料混合気のスペクトル(例えば、ラムダ分布)を提供し、そこでは着火する可能性が最も高いゾーンは、理論混合比に近く(例えば、ラムダ1.0)、リッチすぎる、又はリーンすぎる他の領域に囲まれている。早期の噴射が用いられる場合、大半は十分に混合され、したがってリーンに向かうが、より遅い噴射は、十分に混合されない(例えば、層状の)ゾーンがより多くなり、自動着火が起こる可能性が高くなる。別の例では、点火及び角度382は、エンジン301が高圧縮比かつ高効率で実行できるように構成できる。
【0081】
図4は、シリンダストロークの一例としてのチャート400を示す。チャート400は、アンモニア燃料及びディーゼル燃料の直接噴射を用いるように構成されたエンジンのクランク角に対する燃焼室圧力の一例を表すライン410を示す。いくつかの実施では、チャート400は、図1のエンジンシステム100の一例、図2のエンジンシステム200の一例、又は図3のエンジン301の一例におけるシリンダ圧力の一例を表すことができる。
【0082】
上死点(TDC)の前の約-360°のクランク角で、排気バルブの閉塞(EVC)420が発生し、吸気行程422が開始する。空気がシリンダに引き込まれると、圧力410は低いままである。約-320°のクランク角で、アンモニア噴射424が始まる。下死点(BDC)426は-180°で発生し、吸気行程422が終了し、圧縮行程440が開始される。吸気バルブの閉塞(IVC)もBDC近くで発生し、圧縮室を実質的に密封する。
【0083】
圧縮行程440が始まると、圧力410はゆっくりと上昇し始める。所定のクランク角(例えば、図示された例では約-70°)では、ディーゼル燃料の第1のパルス442が燃焼室に噴射され、自動着火に近い空気/燃料混合気が準備される。いくつかの実施では、第1のパルス442のタイミング及び/又は配置は、(例えば、シリンダ内の高速圧力センサ272で測定される)圧力410、測定された空気圧/密度、測定空気温度、燃料パラメータ、あるいはこれらの組み合わせ、及び/又は燃焼に影響を与える可能性のあるその他の適切な変数又はパラメータなどの変数入力に基づくことができる。実施によっては、所定のクランク角は、エンジン負荷、エンジン速度、又はこれらの組み合わせ、及び他の適切な動作条件など、エンジンの動作パラメータに基づくことができる。
【0084】
圧縮行程440が継続するにつれて、圧力410は上昇し続ける。所定のクランク角(例えば、図示された例では約-8°、及び/又はエンジンの負荷及び/又は速度の関数になる可能性がある)では、ディーゼル燃料の第2のパルス444が燃焼室に噴射され、燃焼を開始し、CA50(例えば、燃焼の50%が発生した時点のクランク角)、CA10(例えば、燃焼の開始時点)、及び/又は燃焼サイクルのNH/NOx比率を制御する。いくつかの実施では、第2のパルス444のタイミング及び/又は配置は、(例えば、例示的な高速圧力センサ272で測定される)圧力410、測定された空気圧/密度、測定空気温度、燃料パラメータ、及びこれらの組み合わせ、及び/又は燃焼に影響を与える可能性のあるその他の適切な変数又はパラメータなどの変数入力に基づくことができる。実施によっては、(例えば、CA10又はCA50のいずれかによって特徴づけられる)燃焼位相の変更は、エンジンから出るNH/NOx比率を変更する可能性がある。いくつかの実施では、そのような機能を、触媒から出るNOx又はNHを監視し、それに応じて目標比率を達成するため、燃焼位相を調整するフィードバックメカニズムを用いて実装することができる。
【0085】
圧縮行程440は、TDC450(例えば、0°)で終了する。実施によっては、選択的触媒還元(SCR)を用いてNHを還元することができるため、NH/NOxの比率は1をわずかに上回る(例えば、>1(プラス又はマイナス約0.3)、約1~約1.2)よう維持できる。
【0086】
実施によっては、所定のクランク角は、エンジン負荷、エンジン速度、又はこれらの組み合わせ、及び他の適切な動作条件など、エンジンの動作パラメータに基づくことができる。実施によっては、燃焼サイクルで使用及び識別されたクランク角、燃料供給設定及びシリンダ圧力を処理して、後続(例えば、次の)燃焼サイクルで用いられるクランク角及び燃料供給設定を変更できる。
【0087】
図5は、シリンダストロークの一例のチャート500を示す。チャート500は、アンモニアガス燃料のポート噴射を用いるように構成されたエンジンのクランク角に対する燃焼室圧力の一例を表すライン510を示す。いくつかの実施では、チャート500は、図1のエンジンシステム100の一例、図2のエンジンシステム200の一例、又は図3のエンジン301の一例のシリンダ圧力の例を表すことができる。
【0088】
TDC前の約-360°のクランク角で、排気バルブの閉塞(EVC)520が発生し、吸気行程522が開始する。空気がシリンダに引き込まれると、圧力510は低いままである。約-320°のクランク角で、アンモニア噴射524が始まる。BDC526は-180°で発生し、吸気行程522を終了し、圧縮行程540を開始する。IVCはBDC付近でも発生し、圧縮室を実質的に密封する。
【0089】
圧縮行程540が始まると、圧力510はゆっくりと上昇し始める。所定のクランク角(例えば、図示された例では約-70°)では、ディーゼル燃料の第1のパルス542が燃焼室に噴射され、自動着火に近い空気/燃料混合気が準備される。いくつかの実施では、第1のパルス542のタイミング及び/又は配置は、(例えば、高速圧力センサ272で測定される圧力510)、測定された空気圧/密度、測定空気温度、燃料パラメータ、及びこれらの組み合わせ、及び/又は燃焼に影響を与える可能性のあるその他の適切な変数又はパラメータなどの変数入力に基づくことができる。実施によっては、所定のクランク角は、エンジン負荷、エンジン速度、又はこれらの組み合わせ、及び他の適切な運転条件などのエンジンの動作パラメータに基づくことができる。
【0090】
圧縮行程540が継続するにつれて、圧力510は上昇し続ける。所定のクランク角(例えば、図示された例では約-8°、及び/又はエンジンの負荷及び/又は速度の関数になる可能性がある)では、ディーゼル燃料の第2のパルス544が燃焼室に噴射されて燃焼を開始し、CA50及び燃焼サイクルのNH/NOx比を制御する。いくつかの実施では、第2のパルス544のタイミング及び/又は配置は、(例えば、高速圧力センサ272で測定される)圧力510、測定された空気圧/密度、測定空気温度、燃料パラメータ、及びこれらの組み合わせ、及び/又は燃焼に影響を与える可能性のあるその他の適切な変数又はパラメータなどの可変入力に基づくことができる。
【0091】
圧縮行程540は、TDC550(例えば0°)で終了する。実施によっては、選択的触媒還元(SCR)を用いてNHを還元することができるため、NH/NOxの比率は1をわずかに上回る(例えば、>1、約1~約1.2)よう維持できる。
【0092】
実施によっては、所定のクランク角は、エンジン負荷、エンジン速度、又はこれらの組み合わせ、及び他の適切な動作条件などのエンジンの動作パラメータに基づくことができる。実施によっては、クランク角、燃料供給設定、及び燃焼サイクルで使用及び識別されるシリンダ圧力を処理して、後続の(例えば、次の)燃焼サイクルで用いられるクランク角及び燃料供給設定を変更できる。
【0093】
図6は、エンジン制御システム600の一例の概略図である。いくつかの実施では、エンジン制御システム600は、図2のエンジン制御システム202の一例の全部又は一部であってもよい。図6は、エンジン601を制御するように構成されたエンジン制御システム600内のECU602を示す。上記のように、高速圧力データ672はそれぞれが燃焼室に直接アクセスできるように取り付けられた圧力センサ672によって生成される。圧力信号673は、例えば、0.25°の解像度又はエンジン601のサイクルあたり2880サンプルなど、高いクランク同期レートでキャプチャされる。いくつかの実施では、この合成クランク角信号は、低解像度のクランク位置信号から生成できる。例えば、ディスク上の歯のエッジの通過を感知することによってクランク角信号615を生成する典型的なクランク角エンコーダ671では、ディスクはクランクとともに回転するように取り付けられ、クランク位置の解像度は歯数に基づく。典型的な60-2歯ホイールの解像度は6°である。ただし、場合によっては、エッジ間の空間のクランク角を特定するために補間(interpolation)を用いることができる。このように、エッジ間の間隔は、以前に観察された歯の周期を、所望の角度サンプリング解像度を達成するために必要なエッジの数で除したものを使用できる。平均エンジン速度が一定であっても見られるクランク歯間のわずかな変動を考慮し、エンコーダシステムを各エッジで再同期させることができる。
【0094】
場合によっては、結果として得られる高解像度の圧力信号673を、ECU602の燃焼分析ルーチンによって使用し、シリンダ毎、サイクル毎のベースで燃焼分析619、例えば、IMEP、Pmax、CA50、NOx排出ガス、NH排出量、及び燃焼品質(例えば、良好な燃焼、不良な燃焼、失火)を生成することができる。メトリクス619は、その後、エンジン制御アクチュエータ設定619を調整することにより、ECU102によって主要な燃焼性能特性を調整するためのフィードバック信号として使用される。例示的な実施形態では、クランク角信号615を用いて、各燃焼イベント中に、TDC前とTDC後のクランク角(例えば、2つの等しい主燃焼室容積)で圧力信号673を分析して、2つの圧力信号の差と、サンプリングされたクランク角又はクランク角の範囲に関連するしきい値との比較に基づいて、エンジン601の主燃焼室での燃焼イベントが不良な燃焼又は失火を示すかどうかを判断する。
【0095】
従来の(非LTC)デュアル燃料運転では、燃焼位相は、効率、排出物、及びノックマージンにとって重要な要素である。燃焼位相の良好な制御は、最大ガス置換速度を大幅に改善できる。エンジン内のすべての変数(例えば、マニホールド絶対温度(MAT)、マニホールド絶対圧力(MAP)及び噴射レール圧力)が緊密な許容範囲に維持できるわけではないため、燃焼位相を制御する典型的なオープンループ方法は、一部のフィードバックメカニズムによって大幅に強化できる。
【0096】
反応度制御圧縮着火(RCCI)は、NOx生成を劇的に削減し、同時にリーン混合気の急速燃焼を実現して効率を改善するための多くのLTC戦略の1つである。RCCIでは、異なる反応性の2つの燃料が燃焼室に早期に導入され、燃焼開始の位相と燃焼速度が調整される。ガス-ディーゼルRCCIでは、天然ガスが吸気ポートに噴射され、ディーゼル燃料が燃焼室に直接噴射される。ディーゼルコモンレールを使用すると、噴射システムの限界までさまざまな時間及び量でディーゼル燃料を噴射することが可能である。通常、ディーゼル燃料は通常のディーゼル燃料又はガス-ディーゼル燃料のデュアル燃料よりもはるかに早く、吸気バルブの閉鎖(IVC)直後から上死点前(BTDC、ここでTDCはピストンがシリンダ内で最も上の位置にあるクランク位置)70°まで噴射される。さらに、「ゲイン」スイッチの符号は、RCCIでは、ディーゼル燃料のタイミングが早いと燃焼位相が遅くなり、ディーゼル燃料のタイミングが早いと燃焼位相が早くなるディーゼル及びデュアル燃料燃焼とは逆になる。
【0097】
図7は、ガス混合器700の一例を示した概略半断面図である。いくつかの実施では、ガス混合器700は、図1のアンモニアガスインジェクタ114の一例であってもよい。ガス混合器700は、空気流路705を有する混合室704を画定するガスハウジング702を含む。混合室704は、空気流路705が収縮する円錐収束部分708aと、空気流路705がアウトレット(outlet、出口)710へと拡張する円錐発散部分708bとを有する収束-発散ノズル706として構成されている。実施によっては、アウトレット710は、図1の吸気マニホールド104の一例などの吸気マニホールドに流体的に結合できる。
【0098】
ガス混合器700は、収束-発散ノズル706への空気インレット(inlet、入口)712を含む。実施によっては、空気インレット712は、図1の吸気プレナム103の一例などの吸気プレナムに流体的に結合できる。円錐収束部分708aは、流入する空気流用のエアノズルを画定する。一般に、空気は、空気流路705に沿って、収束-発散ノズル706の上流の空気インレット712を通って流れ、円錐収束部分708aに収束し、円錐発散部分708bで拡張し、アウトレット710を通って出る。円錐収束部分708aは、収束端に向かって流れの方向に収束する。つまり、円錐収束部分708aの下流端(アウトレット)は、上流端(空気インレット712)よりも小さな断面領域(例えば、より小さな流れ領域)を有する。円錐発散部分708bは、アウトレット710の近位の発散端に向かって流れの方向に発散する。つまり、円錐発散部分708bの下流端(アウトレット710)は、上流端よりも大きな断面領域(例えば、より小さい流れ領域)を有する。
【0099】
円錐収束部分708aが狭くなることにより、空気流が空気流路705に沿って通過するときに、その流速を増加させる。円錐発散部分708bでは、空気流路705に沿って流路の断面積が増加する。断面積の増加により、流速が遅くなり、流体の流れの圧力が上昇する。特定の例では、断面積の増加は、ガス混合器700全体にわたる圧力降下がゼロか、ほんのわずかか、さもなければ小さくなるように、ガス混合器700内の圧力を上昇させるような大きさにすることができる。いくつかの実施では、収束-発散ノズル706は、インレット712、アウトレット710、又はその両方に、ねじ山又は別の形態の着脱可能な取り付け具(例えば、フランジの周りにクランプされたホース)を含むことができ、この収束-発散ノズル706は、エンジンシステム100の吸気の残りの部分に取り付け、流体的に結合する。同様に、いくつかの実施では、円錐収束部分708a及び円錐発散部分708bは、複数のエンジン用途に適合するようにシステムを容易に変更可能にするために、互いに及び/又は異なる形状及び構成のガスノズル730とモジュール式に交換可能とすることができる。
【0100】
ガス混合器700は、ガスノズル720とガスインレット722を含む。ガスインレット722は、二次ガス(EGRガスなど)の流れを受け取り、ガスノズル720を介して二次ガス流路726を画定するように構成されている。ガスノズル720は、空気流路705に平行且つ中央に位置決めされ、収束-発散ノズル706の、発散部分708bから上流にある、収束部分708a内の空気流路705に(例えば、二次ガス流路726に沿って流れる)二次ガスを供給するように構成されている。ガスノズルは、空気流路705に沿った空気の流れに相補的な(例えば、協調的で(cooperative)、実質的に平行な)、二次ガスの流れを画定するように構成されている。
【0101】
いくつかの実施では、ガスノズル706は、異なる形状のガスノズル706とモジュール式に交換可能であり、システムを容易に変更して複数のエンジン用途に適合させることができる。例えば、ガスノズル706には、ガスハウジング702の残りの部分に、ねじ山又は別の形態の着脱可能な取り付け具を備えることができる。図示された例は、円錐収束部分708a、円錐発散部分708b、及びガスノズル706が同じ中心軸で整列していることを示すが、いくつかの実施では、これらの要素は整列していない又は平行でないことがある。例えば、スペースの制約により、ガス混合器700が円錐収束部分708aと円錐発散部分708bの軸の間に角度を有する必要がある場合がある。いくつかの実施では、図7に示すように、実質的に直線状の流路を有するのではなく、流路は湾曲していてもよい。
【0102】
ガス混合器は、図1の例示的な燃料供給装置130のような燃料供給装置から燃料(例えば、アンモニア)を受け取るように構成された燃料インレット730を含む。燃料インレット730は、燃料インレットチューブ732a及び732bの集合に流体的に結合されている。燃料インレットチューブ732a及び732bは、収束ノズルの上流の第2の流路の中に燃料を供給する燃料ノズルとして構成され、二次ガス流路726に燃料を供給する。燃料インレットチューブ732aは、第2の流路に平行に位置決めされ、中央に配置されている。燃料インレットチューブは、ガスノズル720の上流の二次ガス流路726に燃料を供給するように構成されている。燃料インレットチューブ732bは、ガスノズル720の内周部付近に位置決めされており、ガスノズル720の出口に近い二次ガス流路726に燃料を供給するように構成されている。燃料インレットチューブ732a及び732bは、二次ガス流路726に沿った二次ガスの流れに相補的な(例えば、協調的な、実質的に平行な)燃料の流れを画定するように構成されている。いくつかの実施では、燃料は高圧で受け取ることができる(例えば、4~12barの液化天然ガス)。燃料が燃料インレットチューブ732a、732bを出ると、燃料の流れは二次ガスの流れを促進する。
【0103】
実施によっては、燃料インレット730は、気体燃料の供給源に結合された気体燃料インレットであってよい。ただし、燃料インレット730によって供給される燃料は、天然ガス、ガソリン又はディーゼルなどの可燃性流体を含む。燃料インレット730は、単一の管として示されているが、例えば、混合器の流れ領域と交差する通り抜けとして、流れ領域の周囲に沿った燃料供給穴として、又は別の方法で構成できる。図示された例は、発散部分708bの上流に燃料を噴射するように構成される燃料インレットチューブ732a、732bを示すが、空気インレット712又は二次ガスインレット722の上流に燃料供給ポートを用いて燃料を添加することもできる。このようなポートは、気体燃料供給ポートを含むことができる。場合によっては、燃料は、燃料-ガスジェットポンプが生成されるように、燃料インレットチューブ732a、732bの出口で、音速流を含むまでの速度で、高速で供給することができ、燃料は、ノズル720に流入してノズル720を通る二次ガスの流れ726に追加の推進力を提供することができる。このような例では、より高い圧力は、燃料-空気混合気をさらに強化できる音速ジェットを生成できる。実施によっては、これにより燃料圧力レギュレータの必要性が減る可能性がある。さらに、燃料ジェットがジュール・トムソン効果により冷える場合、この冷却効果は空気/燃料の流れを冷却し、したがって吸気冷却(例えば、インタークーラー120)の大きさ及び/又は必要性を減らすことができる。
【0104】
実施によっては、燃料インレット730は高圧燃料インレットであってよい。例えば、空気流を加速するのを助けるために、高圧気体燃料(例えば、10から500barのガス圧のNH、H、又はメタノール又はその他の低炭素燃料)を燃料インレットチューブ762a、762bを通して供給できる。別の実施例では、液化気体燃料(例えば、NH、液化天然ガス、H)を液体条件下で加熱し、次いで燃料インレットチューブ762a、762bを通して供給することができ、液化気体燃料は、空気又はEGRの流れに噴射され、非常に高速の(例えば、音速の)ジェットを形成するように「フラッシング(flashed)」され得るので、熱付加は、ポンピング効果を増加させる。
【0105】
実施によっては、ガス混合器700を代替構成で使用できる。例えば、EGRは通常、ディーゼルエンジン用途では使用されない。しかし、アンモニアなどの他のガスは、ガスインレット722で二次ガスとして供給され、燃料インレットチューブ732a、732bを流れるディーゼル燃料と組み合わされて、空気の摂取を促進し得る。特定の例では、アンモニアを50barで提供し、ガス混合器700で混合して理論混合気(例えば、15%のアンモニアと85%の空気)を作ることができる。
【0106】
ガス混合器700はまた、2つのガスインレットを備えたチェックバルブ(check valve、逆止弁)760を含む。チェックバルブ760は、ガスインレット762aとガスインレット762bを含む。ガスインレット762aは、例示的なEGR流路108aのような第1のソースから二次ガス(例えば、EGR)を受け取るように構成されている。ガスインレット762bは、例示的なEGR流路108bのような異なる第2のソースから二次ガス(例えば、EGR)を受け取るように構成されている。いくつかの実施では、ガスインレット762a、762bは、チェックバルブ760を取り付け、エンジンシステム100のEGRシステムの残りの部分に流体的に結合することを可能にするために、ガスインレット762a、762b、ガスインレット722、又はこれらのいずれかに、ねじ山又は別の形態の着脱可能な取り付け具(例えば、フランジの周りにクランプされたホース)を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施では、ガス混合器760は、二次ガス(例えば、EGR)がガスインレット762aとガスインレット762bとを交互に流れるパルスとして流れるように構成されたエンジンシステムに流体的に結合できる。例えば、ガスインレット762aは第1のシリンダと流体的に連通し、ガスインレット762bは異なる第2のシリンダとの流体的に連通し、第1のシリンダは排出するように構成され、第2のシリンダは排出しないように構成され、あるいはこの逆も同様である。
【0108】
チェックバルブ760はまた、バルブ764を含む。バルブ764は、ガスインレット762a及び762bの一方を通るガス流が、流れるガスインレットに対してバルブ本体を押し開き、他方を遮断するピボットバルブが、ガスインレット762aからガスインレット762bへの逆流を防止し、且つガスインレット762bからガスインレット762aへの逆流を防止する、フラッパーバルブとして構成されている。バルブ764は図示された例のフラッパーバルブであるが、チェックバルブのような他の形式の逆流防止バルブを使用することもできる。
【0109】
ガスノズル720は、高速ガス経路を提供するように構成される。第2のガス流路726は、(例えば、排気マニホールド106a、106bからの)高速を維持するために空力的に効率的である。これにより、二次ガス流の完全な全圧(full total pressure)が可能になる(例えば、静的圧力+速度による動的圧力)。燃料インレットチューブ732a、732bを通る燃料流は、二次ガス流路726に沿った二次ガス流に追加の推進力を加える。二次ガス(例えば、EGR)と燃料が一緒になって、結合された一次ジェットになり、空気流路705に沿って流れる空気の吸引を生じさせる。これは、二次(例えば、EGR)ガス流を誘導するために、空気と燃料が一次流れとして結合された従来のジェットポンプの逆である。図示された例の利点は、二次ガス流路726に沿った二次ガスのパルス運動が、空気インレット712からの空気の取り込みを加速することである。図1の例示的な圧縮機122によるような空気流もまたそれ自身の高速で圧送される実施では、空気の流れも、ガス経路によって見られるように吸引圧力の相補的な低下を提供することができ、両方の流れが他方の流れを促すのを助けることができる。
【0110】
実施によっては、ガス混合器700はエンジンの性能を向上させることができる。例えば、燃料流と二次ガス流を使用して空気の流れを加速、圧送又はその他の方法で促進することにより、同じ量の空気を移動するためにタービン122から必要とされるコンプレッサの仕事量を少なくすることができる。タービン122が必要とする仕事量を減らすことにより、排気マニホールド106a、106b内の背圧の量を減らすことができ、排気行程中にピストンが行うポンピングの仕事による動力損失を低減することができる。ガス混合器700は、最大約30%の高レベルのEGRの使用を可能にする。ガス混合器700を使用すると、理論混合比のEGRエンジンの効率をリーンエンジンに近づけることができる一方、TWCを使用することが可能になり、その結果、ゼロエミッションに近くなる。
【0111】
使用中、ガスノズル720と円錐収束部分708aは、ガス混合器700内の空気流路705に沿って速度を増加させ、空気圧を減少させる。空気は、ガスノズル720を出る二次ガスの噴出流の圧力低下に応答して(例えば、その圧力低下に起因して)、空気インレット712を通ってガス混合器700へと空気流路705に沿って引き込まれる。二次ガスは、二次ガス流路726に沿って(例えば、排気マニホールド106a及び106bから)最終的に円錐収束部分708aの下流のポイントに導かれる。空気流、二次ガス流及び燃料流が混合され、燃焼混合気が形成される。燃焼混合気の圧力は増加し、燃焼混合気の速度は円錐発散部分708bで減少する。
【0112】
図8は、アンモニアのシリンダ内燃焼から生じるガス濃度の一例のチャート800を示す。実施によっては、チャート800は、図1の例示的なエンジンシステム100による燃焼から生じるガス濃度のチャートとすることができる。
【0113】
チャート800は、エンジンのクランク角と比較した重量によるガス濃度を示す。図示されたガス濃度は、ライン810で表されるNH(アンモニア)、ライン820で表される一酸化窒素(NO)、及びライン830で表される二酸化窒素(NO)を含む。チャート800が示すように、アンモニアが燃料として使用される場合、NHレベルは高い燃焼前レベル(例えば、0.001kg)から始まり、NO及びNOレベルはゼロに近い。燃焼開始時、図示された例では-8°TDC付近で、矢印850で表すように、NHのレベルは酸素と燃焼するにつれて低下し始め、その結果、燃焼副生成物であるNOのレベルが同時に上昇する。
【0114】
燃焼が継続すると、利用可能な酸素が枯渇し、燃焼速度が遅くなり、シリンダ内のNHとNOの量の変化速度も遅くなり、最終的にはNOが0.0003kg、NHが0.0008kg程度に安定する。これらのガスは、結果として得られる濃度で、最終的に排気ガスとして排気行程中にシリンダから放出される。排気ガス中の残りのNHは、一般に「アンモニアスリップ」と呼ばれる。NOとNHは両方とも一般に汚染物質と見なされており、多くの管轄区域では、排気管(tailpipe、テールパイプ)排出ガスとして許容されるガスの量を制限する規制がある。
【0115】
図9は、ディーゼル後処理システム900の一例を示す概略断面図である。いくつかの実施では、排気後処理システム900は、図1の排気後処理システム150の一例であってよい。いくつかの実施では、排気後処理システム900は触媒コンバータシステムとすることができる。
【0116】
図示された排気後処理システム900は、エンジンからの排気901(例えば、排気行程のエンジンシリンダから排出されたガス)を受け取り、排気管排出ガス902として出る前に、様々な汚染物質ガスの量を減らすように構成されている。エンジンからの排気901は、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、NOx、粒子状物質(PM)、二酸化炭素(CO)、水(HO)、珪藻窒素(N)などのガスを含む。排気後処理システム900の動作の目的は、排気管排出ガス902として出る前に、CO、HO、及びN以外のすべてを実質的に除去することである。
【0117】
排気後処理システム900は、いくつかの処理セクションを含む。ディーゼル酸化触媒(DOC)フィルタ910が提供され、CO、HC、及びPM排出ガスを削減する。例えば:
2CO+O→2CO
[HC]+O→CO+H
2NO+O→NO
【0118】
PMを収集し、収集されたPMの燃焼中のCO排出を抑制するために、キャタライズドスートフィルタ(CSF)920が提供される。SCF920からの炭素PMのクリーニング(例:ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の再生)は、能動的に及び/又は受動的に実行できる。例えば:
(能動的)C+O→CO
(受動的)C+2NO→CO+2NO
【0119】
選択的触媒還元(SCR)フィルタ930は、還元剤(例えば、アンモニア)と触媒を使用して、NOxを窒素、水及び少量のCOに変換する化学反応を引き起こす。例えば:
4NH+4NO+O→4N+6H
4NH+2NO+2NO→4N+6H
8NH+6NO→7N+12H
【0120】
アンモニアスリップ触媒(ASC)フィルタ940が、残留アンモニア(例えば、アンモニアスリップ)を変換し、窒素と水に変換するために提供される。例えば:
[NH]→N+H
NOx+NH→N+H
【0121】
通常の(例えば、デュアル燃料でない)ディーゼル用途では、SCRフィルタ930で使用される還元剤は、一般的にディーゼル排気流(DEF)として知られている高品位の尿素であり、SCRフィルタ930に供給する必要がある。DEFは、高温の排気ガスにより加熱されると気化し、アンモニアと二酸化炭素に分解する。アンモニアは、NO及びNOレベルを低減するための還元剤として機能する。ただし、過剰なアンモニア(例えば、アンモニアスリップ)も一般的に汚染ガスとして規制されている。DEFによって提供される過剰なアンモニアは、その後ASCフィルタ940によって還元される。例えば:
4NH+3O→2N+6H
【0122】
ディーゼル後処理システム900の図示された例で注目に値するのは、位置950において尿素(例えば、DEF)混合器が省略されていることである。SCRフィルタ930に必要なアンモニアはエンジンからの排気901から取得できるため、ディーゼル後処理システム900は尿素混合器950なしで構成されている。図1のエンジンシステム100の一例のようなデュアル燃料のアンモニア-ディーゼルエンジンでは、燃料としてのアンモニアを使用すると、図8の説明で前述したように、アンモニアスリップが排気ガスに本質的に残ることがある。このような固有のアンモニアスリップは、SCRフィルタ930に必要な還元剤の一部又は全部として使用でき、ディーゼル後処理システム900におけるDEF及び/又は尿素混合器の必要性を削減又は排除することができる。SCRフィルタ930による処理後に残存する過剰なアンモニアは、ASCフィルタ940によって低減される。ASCフィルタは、NOx反応で使用した後に残るNHを削減又は排除するために含まれ、適切にサイズに設定される。
【0123】
さらに、燃焼は、所定の量のアンモニアスリップを生成して、SCRがNOxレベルを(例えば、政府の規制によって確立されたとおりの)ターゲット量以下に削減するために(例えば、図2に例示したECU202及び/又は空気/燃料モジュール204により)制御できる。例えば、場合によっては、エンジンからの排気901のアンモニアスリップの量は、SCRフィルタ930の完全な働きには不十分な場合がある。これにより、NO及びNOの過剰な排出ガスが生じる可能性がある。そのような場合、アンモニアとディーゼルの混合及び燃焼は、SCRフィルタ930での使用に十分な量のアンモニアを提供するために必要な場合、アンモニアスリップの量を増やすために意図的に制御できる。言い換えれば、アンモニア燃料は触媒プロセスの還元剤として使用することもでき、ディーゼル後処理システム900のDEF及び/又は尿素混合器の必要性を減少又は排除することもできる。SCRフィルタ930による処理後に残っている過剰なアンモニアは、ASCフィルタ940によって減少する。ASCフィルタは、NOx反応で使用した後に残っているNHを削減又は排除するために含まれ、適切にサイズを設定され得る。
【0124】
図10は、空気中の燃料燃焼によるNOx(例えば、図2のエンジン201の一例からの図9の例示的なエンジンからの排気901の一例のNOx)形成の一例を示すチャート1000である。燃焼によるNOx生成は、ラムダ(例えば、過剰な空気比)と温度の両方の関数である。NOx濃度は1010の線で表され、温度は1020の線で表される。
【0125】
少なくとも2つの方法でNOxレベルを直接制御することが可能である。例えば、ラムダは、燃焼プロセスに提供される空気-燃料比(AFR)を制御することによって制御できる。別の例では、燃焼位相を制御することができる(例えば、より進めるとNOxが多くなり、より遅くするとNOxが少なくなる)。
【0126】
図示された例では、混合気がリッチであるとき(例えば、ラムダ<約1.0)に最小のNOx生成1010が発生する領域1050があることがわかる。第2の領域1060では、最大のNOx生成1010は、約1.25のラムダ又はラムダの近くにあり、温度1020が高く、リーンAFR混合気による過剰な酸素がある。第3の領域1070では、過剰な空気の効果により、過剰なO効果よりも速く温度の効果が低下し、約1.25以上のラムダからのNOx生成が指数関数的に減少し、ラムダが約1.75より大きい領域では、リーン燃焼によりNOx生成1010を理論混合比以下に減少させる。
【0127】
実施によっては、燃焼位相を制御するために制御戦略を実施できる。例えば、エンジンシステム100の例は、NOx生成を調整するために、シリンダ内の圧力センシング、リアルタイム燃焼、診断制御(アクティブ燃焼制御など)、及び空燃比制御を使用できる。実施例によっては、NH対NOx比を排気後処理システムの高効率範囲(例えば、ラムダは約1.0から約1.2)で維持するように制御戦略を構成できる。
【0128】
いくつかの実施では、NOxセンサ及びNHセンサは、エンジン排気後処理システムの有効性を管理するようにシリンダ内のNOx生成を調整するための閉ループ制御戦略におけるコントローラフィードバックとして、エンジン排気後処理システム900(例えば、エンジン排気後処理システム900)の入口及び/又は出口で使用することができる。例えば、ECU202及び/又は空気/燃料モジュール204は、エンジン排気後処理システム900の効率及び有効性を測定するために、エンジン排気後処理システム900からセンサフィードバックを受信し、NOx生成量(例えば、約90%以上)及び/又はNHの消費量(例えば、ASCフィルタ940の要件を低減する)を低減するようにエンジン運転を調整するように構成できる。実施によっては、戦略は、SCRフィルタ930とASCフィルタ940との組み合わせによって、尿素ドーザ(urea doser)を使用せずに(例えば、DEFシステムシステムなしに)両方とも削減されるように、約1.0から約1.2の間のNH対NOx比を生成するようにシリンダ内燃焼を制御するように構成できる。
【0129】
図11は、内燃機関システムを制御するためのプロセス1100の例のフロー図である。プロセス1110は、燃焼室で密封された本体を有する内燃機関に関連して実行され、本体は、圧縮フェーズでガスを圧縮するための点(center)位置に移動し、膨張フェーズで燃焼ガスを膨張することによって点位置から移動可能である。本体の各位置は燃焼室の容積を画定する。実施によっては、プロセス1100の例は、図1のエンジンシステム100の一例及び/又は図2のエンジンシステム200の一例の前部又は一部によって実行できる。
【0130】
1110では、容積が第1の範囲にある間に燃焼室圧力センサから圧力信号が受信され、第1の範囲は圧縮フェーズの一部に対応し、受信された圧力は第1の圧力である。例えば、ECU202の一例は、クランク角及び/又はピストン位置の第1の範囲の間、高速圧力センサ272の一例からシリンダ内の圧力フィードバック信号を受信できる。
【0131】
1120では、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズ中の本体の第1の位置で、燃料の第1のパルスが供給される。例えば、空気/燃料モジュール204及び/又は点火モジュール206は、高速圧力センサ272からの圧力フィードバックに基づいて、エンジンシリンダ208に燃料の第1のパルスを供給できる。実施によっては、前の燃焼サイクル中に圧力信号を受信でき、その後の(例えば次の)燃焼サイクル中に第1のパルスを構成するために使用できる。実施によっては、圧力信号を同じ燃焼サイクル内で受信して使用できる。実施によっては、燃料の第1のパルスは、燃焼室内の自動着火に近い空気/燃料混合気を準備するようさらに構成できる。例えば、燃料の第1のパルスは、圧縮行程中に自動着火を引き起こすのに燃料の量がほとんど不十分であるように構成できる。実施によっては、第1のパルスは、図4及び図5の442及び/又は542の点の例で供給できる。
【0132】
1130では、受信した圧力信号に基づいて、圧縮フェーズ中の本体の第2の位置で、燃料の第2のパルスが供給される。例えば、空気/燃料モジュール204及び/又は点火モジュール206は、高速圧力センサ272からの圧力フィードバックに基づいて、エンジンシリンダ208に燃料の第2のパルスを供給できる。実施によっては、前の燃焼サイクル中に圧力信号を受信でき、その後の(例えば次の)燃焼サイクル中に第2のパルスを構成するために使用できる。実施によっては、圧力信号を同じ燃焼サイクル内で受信して使用できる。実施によっては、このプロセスは、圧力センシングと(例えば、容積に変換される)クランク角位置で前のサイクルを監視し、「燃焼開始」(例えば、CA10又は10%MFB又は燃焼の10%)や燃焼の中心(例えば、CA50、50%MFB(燃焼の質量割合))など、主要な燃焼指標を探すことによって動作することができる。前のサイクルから、このサイクルを、これらのパラメータを目標値に制御するように調整できる。目標値は、良好な燃焼位相、安全な運転、及び/又はNH対NOxの比率によって設定できる。
【0133】
RCCI法(例えば、高度低温燃焼法-反応度制御圧縮着火法としても知られている)のいくつかの実施は、以下を使用できる:(a)空気と一次燃料(例えば、NH)の供給、(b)吸気バルブの閉塞後、あるレベルまでの圧縮、(c)(例えば、温度が低すぎてディーゼル燃料に着火させることができない場合に)二次燃料(例えば、ディーゼル燃料)をサイクルの早い段階で直接噴射、(d)さらなる圧縮が起こり、ディーゼル燃料液滴が分散し、気化し、一次燃料と混合される、(e)さらなる圧縮により、理論混合比の範囲(例えば、ラムダが約1.0)近くに混合されているディーゼル蒸気の自動着火温度に到達、(f)容積自動着火が起こり、容積的に混合気を点火する。熱放出は、(例えば、従来の炎の前面ではなく)自動着火の前触れの波を介して広がる。実施によっては、自動着火イベントを支援又は固定するために、二次燃料の第2の噴射を用いて容積着火をトリガできる(例えば、「着火補助HCCI/RCCI」)。
【0134】
実施によっては、プロセス1100は、燃料の第2のパルスに基づいて、燃焼室で燃焼を開始することをも含むことができる。例えば、燃料の第2のパルスは、追加の燃料の量が圧縮行程中に自動着火をトリガするように構成することができる。実施によっては、第2のパルスを、図4及び図5に例示した444及び/又は544の点で供給できる。
【0135】
実施によっては、プロセス1100は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方を用いて、CA50を制御することをも含むことができる。例えば、ECU202は、ピストンが所定の位置に達するか、クランクが所定のクランク角に達するまでに燃料の50%を燃焼させることができるタイミング及び量で燃料を供給するように構成できる。
【0136】
実施によっては、プロセス1100は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方を用いて、膨張フェーズで、ディーゼル燃料、アンモニア燃料、及び空気の燃焼から生じるNH/NOxの比率を制御することを含むことができる。例えば、図4図5図8及び図10に示すように、複数の燃料パルスのタイミングと量は、エンジンからの排気ガスに残るNOxとNHの量を制御するために選択することができる。実施によっては、NH/NOxの比率が1より大きくなるように選択できる。実施によっては、NH/NOxの比率が約1.2より小さくなるように選択できる。
【0137】
実施によっては、プロセス1100は、排気後処理システムによって、排気ガス中に存在する遊離アンモニアを受け取ること、及び排気後処理システムによって、遊離アンモニアに基づいてNOxを触媒する(catalyze、触媒作用を及ぼす)こと(例えば、これは現在のSCR(選択的触媒反応)システムでは一般的である)を含むことができる。例えば、エンジンシステム100の一例は、排気管160を出る前に排気ガスを処理するための排気後処理システム150を含むことができる。別の例では、図9の排気後処理システム900の一例を使用して、排気ガスがエンジンからの排気901から排気管902までを通過する際に、触媒処理することができる。
【0138】
実施によっては、プロセス1100は、燃料の第1のパルス又は燃料の第2のパルスの少なくとも一方に基づいて、排気ガス中に存在する遊離アンモニアの量を制御することを含むことができる。特に、燃焼の中心(CA50)を進んだ位相に調整することで、NOxを増加させ、NHスリップを減らし、これによりNH/NOx比を減らす、あるいは、CA50設定点を遅らせてNH対NOx比を増加させる。例えば、ECU202の一例は、空気/ディーゼル燃料比、空気/アンモニア燃料比、ディーゼル燃料/アンモニア比、第1のパルス燃料量、第2のパルス燃料量、第1のパルス燃料のタイミング、及び/又は第2のパルス燃料のタイミングの1つ以上を制御して、燃焼終了時に所定の量のアンモニアスリップを引き起こすことができる。次に、アンモニアスリップの遊離アンモニアは、NOx排出ガスを削減するためにSCRフィルタ930の一例によって使用することができ、ASCフィルタ940は、触媒反応後に残った遊離アンモニアの量を減らすために使用することができる。
【0139】
図12は、一般的なコンピュータシステム1200の一例の概略図である。システム1200は、一実施によると、図11の方法1100の一例に関連して説明されている動作に使用できる。例えば、システム1200は、ECU202、空気/燃料モジュール204、点火モジュール206、RT-CDC611、又はECU602のいずれか又はすべてに含まれる可能性がある。
【0140】
システム1200は、プロセッサ1210、メモリ1220、記憶装置1230、及び入力/出力装置1240を含む。これらの構成要素1210、1220、1230及び1240のそれぞれは、システムバス1250を使用して相互接続されている。プロセッサ1210は、システム1200内で実行するための手順を処理できる。一実施では、プロセッサ1210はシングルスレッドプロセッサである。別の実施では、プロセッサ1210はマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ1210は、メモリ1220又は記憶装置1230に保存されている手順を処理して、入力/出力装置1240にユーザインターフェイスのグラフィカル情報を表示できる。
【0141】
メモリ1220は、システム1200内に情報を保存する。一実施では、メモリ1220はコンピュータ読取可能な媒体である。一実施では、メモリ1220は揮発性メモリユニットである。別の実施では、メモリ1220は不揮発性メモリユニットである。
【0142】
記憶装置1230は、システム1200に大量のストレージを提供できる。一実施では、記憶装置1230はコンピュータ読取可能な媒体である。さまざまに異なる実施では、記憶装置1230は、フロッピー(登録商標)ディスクデバイス、ハードディスクデバイス、光ディスクデバイス、又はテープデバイスであってよい。
【0143】
入力/出力装置1240は、システム1200の入力/出力操作を提供する。一実施では、入力/出力装置1240は、キーボード及び/又はポインティングデバイスを含む。別の実施では、入力/出力装置1240は、グラフィカルユーザインターフェイスを表示するためのディスプレイユニットを含む。
【0144】
説明した特徴は、デジタル電子回路、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの組み合わせに実装できる。本装置は、プログラマブルプロセッサによる実行のために、情報キャリア、例えば機械読取可能記憶装置に明白に具体化されたコンピュータプログラム製品に実装することができ、方法のステップは、入力データに対して動作し、出力を生成することによって、説明した実装の機能を実行する命令のプログラムを実行するプログラマブルプロセッサによって実行することができる。説明した特徴は、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受信し、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置にデータ及び命令を送信するように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能な1つ以上のコンピュータプログラムにおいて有利に実装することができる。コンピュータプログラムは、特定のアクティビティを実行したり、特定の結果をもたらしたりするために、コンピュータで直接的又は間接的に使用できる一連の命令である。コンピュータプログラムは、コンパイル言語やインタープリタ言語を含む、あらゆる形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロン-プログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、あるいはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど、あらゆる形式で配備することができる。
【0145】
命令プログラムの実行に適したプロセッサは、例として、一般的及び特別な目的の両方のマイクロプロセッサ、唯一のプロセッサ又はあらゆる種類のコンピュータの複数のプロセッサの1つを含む。一般に、プロセッサは、読取専用メモリ又はランダムアクセスメモリ又はその両方から命令とデータを受け取る。コンピュータの重要な要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令とデータを保存するための1つ以上のメモリである。一般に、コンピュータは、データファイルを保存するための1つ以上の大容量記憶装置を含むか、又はその装置と動作的に結合して通信する。そのようなデバイスは、内部ハードディスク及び着脱可能なディスク、光磁気ディスク、及び光ディスクなどの磁気ディスクを含む。コンピュータプログラムの命令及びデータを明白に具体化するのに適した記憶装置は、以下のあらゆる形式の不揮発性メモリ:EPROM、EEPROM、フラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイスの一例、内部ハードディスクや着脱可能なディスク、光磁気ディスクなどの磁気ディスク、及びCD-ROM及びDVD-ROMディスク、を例として含む。プロセッサとメモリは、ASIC(アプリケーション固有の統合回路)によって補完又は組み込まれ得る。
【0146】
ユーザとのインタラクションを提供するために、その特徴を、ユーザに情報を表示するためのCRT(カソードレイチューブ)やLCD(液晶ディスプレイ)モニターなどのディスプレイデバイス、及びキーボードと、ユーザがコンピュータに入力を提供できるマウスやトラックボールなどのポインティングデバイスを有するコンピュータに実装できる。
【0147】
この特徴は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含むコンピュータシステムに、又は、アプリケーションサーバやインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含むコンピュータシステムに、又は、グラフィカルユーザインターフェイスやインターネットブラウザ、あるいはそれらの任意の組み合わせを備えたクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステムに実装できる。システムのコンポーネントは、通信ネットワークなどのデジタルデータ通信のあらゆる形式又は媒体によって接続できる。通信ネットワークの一例は、例えば、LAN、WAN、及びインターネットを形成するコンピュータとネットワークを含む。
【0148】
コンピュータシステムは、クライアントとサーバを含むことができる。クライアントとサーバは一般に互いにリモートであり、通常、説明されたものなどのネットワークを介してインタラクトする。クライアントとサーバとの関係は、それぞれのコンピュータで実行され、互いにクライアントサーバの関係を持つコンピュータプログラムによって生じる。
【0149】
上記でいくつかの実施について詳しく説明しているが、他の変更が可能である。例えば、図に描かれているロジックフローは、望ましい結果を達成するために示されている特定の順序又は連続的な順序を必要としない。さらに、記載されたフローから他のステップが提供されるか、ステップが削除される場合があり、記載されたシステムに他のコンポーネントが追加又は削除される場合がある。したがって、他の実施は、次の特許請求の範囲内にある。
図1
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【国際調査報告】