IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特表2024-535417車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両
<>
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図1
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図2
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図3
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図4
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図5
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図6
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図7
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図8
  • 特表-車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車両の室内を換気するためのエアベント、及び車両
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/34 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
B60H1/34 611
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518962
(86)(22)【出願日】2023-05-23
(85)【翻訳文提出日】2024-03-26
(86)【国際出願番号】 EP2023063840
(87)【国際公開番号】W WO2024002591
(87)【国際公開日】2024-01-04
(31)【優先権主張番号】102022002328.8
(32)【優先日】2022-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598051819
【氏名又は名称】メルセデス・ベンツ グループ アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Mercedes-Benz Group AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 120,70372 Stuttgart,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100101856
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 日出夫
(72)【発明者】
【氏名】メンゼル,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】プロハー,ベアンド
(72)【発明者】
【氏名】ケートマン,ダニエル
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA05
3L211BA51
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】特に有利な調整性を特に有利な手段で実現できるエアベント、及び少なくとも1つのそのようなエアベントを備えた車両を提供する。
【解決手段】本発明は、車両の室内(12)を換気するためのエアベント(10)であって、室内(12)を換気するために、空気が通って流れ得るハウジング(14)と、ハウジング(14)内に配置され、空気が周囲を流れ得る流れ体(20)と、流れ体(20)の上流に配置され、ハウジング(14)及び流れ体(20)に対して可動なガイドフラップ(24)とを備え、ガイドフラップによってエアベント(10)から空気が流出する流出方向(26)を調整可能である、エアベントに関し、流れ体(20)がハウジング(14)に対して並進移動可能であり、それによってハウジング(14)内に配置され空気が通って流れ得るエアベント(10)の流路断面(Q)を調整可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内(12)を換気するためのエアベント(10)であって、前記室内(12)を換気するために、空気が通って流れ得るハウジング(14)と、前記ハウジング(14)内に配置され、前記空気が周囲を流れ得る流れ体(20)と、前記流れ体(20)の上流に配置され、前記ハウジング(14)及び前記流れ体(20)に対して可動なガイドフラップ(24)とを備え、前記ガイドフラップによって、前記エアベント(10)から空気が流出する流出方向(26)を調整可能である、エアベントにおいて、
前記ハウジング(14)内に配置され、空気が通って流れ得る前記エアベント(10)の流路断面(Q)を調整可能とするために、前記流れ体(20)が前記ハウジング(14)に対して並進移動可能である
ことを特徴とする、エアベント。
【請求項2】
前記室内(12)を換気するために、少なくとも前記ガイドフラップ(24)の上流で、空気が流れ方向(34)に前記ハウジング(14)を通って流れ得る
ことを特徴とする、請求項1に記載のエアベント(10)。
【請求項3】
前記流路断面(Q)を調整可能とするために、前記流れ体(20)は、前記ハウジング(14)に対して前記流れ方向(34)に沿って前後に並進移動可能である
ことを特徴とする、請求項2に記載のエアベント(10)。
【請求項4】
前記流れ体(20)は、前記流れ方向(34)に沿って延びる少なくとも主要な長さにわたって、外周側が回転対称に形成されている
ことを特徴とする、請求項2又は請求項3記載のエアベント(10)。
【請求項5】
前記流出方向(26)を調整するために、前記ガイドフラップ(24)は、前記ハウジング(14)及び前記流れ体(20)に対して、前記流れ方向(34)に対して垂直に延びる旋回軸(S)を中心に旋回可能である
ことを特徴とする、請求項2~請求項4のいずれか一項記載のエアベント(10)。
【請求項6】
前記流出方向(26)を調整するために、前記ガイドフラップ(24)は、前記ハウジング(14)の少なくとも1つのハウジング部(48)及び前記流れ体(20)に対して、前記流れ方向(34)と一致する回転軸(D)を中心に回転可能である
ことを特徴とする、請求項2~請求項5のいずれか一項記載のエアベント(10)。
【請求項7】
前記ハウジング(14)は、第1のハウジング部(48)としての前記少なくとも1つのハウジング部(48)と、前記ガイドフラップ(24)に結合された第2のハウジング部(50)とを有し、
前記第2のハウジング部は、前記ガイドフラップ(24)とともに、前記第1のハウジング部(48)及び前記流れ体(20)に対して、前記回転軸(D)を中心に回転可能である
ことを特徴とする、請求項6記載のエアベント(10)。
【請求項8】
前記流れ体(20)と前記ガイドフラップ(24)との両方を正確に1つのアクチュエータで動かし得るように、前記流れ体(20)と前記ガイドフラップ(24)とを互いに結合する結合装置(52)が設けられている
ことを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか一項記載のエアベント(10)。
【請求項9】
前記ハウジング(14)は、少なくとも長手方向領域において内周側が回転対称に形成され、
前記流れ体(20)は、前記長手方向領域に配置されている
ことを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか一項記載のエアベント(10)。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項記載の少なくとも1つのエアベント(10)を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の車両、特に自動車、特に乗用車の室内を換気するためのエアベントに関する。本発明は、少なくとも1つのそのようなエアベントを備えた、好ましくは自動車、特に乗用車として設計された車両にも関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1から、吐出流を生成することによって車両内部を換気するための吐出装置が記載されている。吐出装置は、空気入口開口と、空気入口開口の反対側に位置する空気出口開口との間で軸方向に延びる出口部分を形成する内表面を含むハウジングを有する。内表面は、ハウジング軸を中心として円周対称に形成され、空気出口開口を形成する出口部分の軸方向円周部分と端部分とを有する。
【0003】
下記特許文献2には、円筒の外套面に相当する部分を有するハウジングを備え、この部分が空気入口開口及び空気出口開口を含むエアベントが開示されている。下記特許文献3から、自動車のためのパーソナル通気装置が知られている。更に、下記特許文献4には、車両の客室内に吐出方向に沿って空気流を吐出するための空気吐出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2015 017 009 A1号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第3 530 506 A1号公報
【特許文献3】独国特許出願公開第10 2019 119 732 A1号公報
【特許文献4】独国特許出願公開第10 2019 131 554 A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特に有利な調整性を特に有利な手段で実現できるエアベント、及び少なくとも1つのそのようなエアベントを備えた車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の特徴を有するエアベント、及び請求項10の特徴を有する車両によって解決される。本発明の好適な発展形態を含む有利な実施形態は他の請求項に記載されている。
【0007】
本発明の第1の態様は、キャビン又は乗員室とも呼ばれる車両の室内を換気するためのエアベントに関する。これは、好ましくは自動車、特に乗用車として設計された車両が、完全に製造された状態で、好ましくは室内に配置されたエアベントを有することを意味する。特に、室内は、例えばモノコックボディ(selbsttragende Karosserie)として設計された車両の構造によって形成されている。室内の換気とは、室内に空気が供給され、したがって上記空気が室内に導入されることと理解されるべきである。このために、空気がエアベントを通って流れることができる。エアベントは、アウタハウジングとも呼ばれるハウジングを有し、室内を換気するために、上記空気がハウジングを通って流れることができる。これは、エアベントの作動中、空気がエアベントを通って流れ、エアベントによって室内に空気が導入され、それによって室内が換気されることを意味する。これは、特に、エアベント若しくはハウジングを通って流れ、エアベント若しくはハウジングから流出する空気が室内に流入することを意味する。このために、エアベントは、例えば出口開口を有し、ハウジング、したがってエアベントを通って流れる空気がこの出口開口を通って流れることができ、その際、出口開口を通って流れ、それによってエアベント、特にハウジングから流出する空気が室内に流入する。特に、出口開口はハウジングの開口であり、それにより例えば出口開口は、ハウジングによって、特に直接画定されている。特に、出口開口は、その周方向に沿って全周にわたって、特に直接画定されている。その場合、特に、ハウジングが、特に室内に向かって出口開口で終わることが考えられる。
【0008】
エアベントは、ハウジング内に配置された、例えばハウジングとは別個に形成された、内部体とも呼ばれる流れ体(Stroemungskoerper)を有する。ハウジングを通って流れる空気は、流れ体の周囲、特に外周側を流れることができる。これは、流れ体が、ハウジングを通って流れる空気が、特に直接周囲を流れ得る外周側の外套面を有することを意味する。例えば、流れ体の外周側の外套面は、ハウジングの内周側の外套面と対向しており、例えば、ハウジング、したがってエアベントの空気通路がハウジングの内周側の外套面によって特に直接画定され、上記室内に供給される空気が空気通路、したがってハウジングを通って流れることができる。
【0009】
更に、エアベントは、流れ体の上流に配置され、かつハウジング及び流れ体に対して可動な、調整フラップ又はフラップとも呼ばれるガイドフラップを有する。ガイドフラップを用いて、特にハウジングに対して、好ましくは流れ体に対してガイドフラップが移動することにより、空気がエアベントから流出する、特に同時に室内に流入する流出方向が調整可能、すなわち変化可能又は変更可能であり得る。ガイドフラップが流れ体の上流に配置されるという特徴は、ハウジング、特に空気通路を通って流れる空気が、ハウジング、特に空気通路を通って室内に、特に出口開口に向かう途中で、最初にガイドフラップに流れ、かつその周囲を流れ、その後で流れ体の周囲を流れることを意味する。空気がハウジングを通って室内に向かう途中でガイドフラップに流れ、かつその周囲を流れることによって、例えば、空気をガイドフラップによって向きを変える、転じる、又は偏向することができ、それによって流出方向を調整することができる。
【0010】
エアベントの上記出口開口は、例えば、出口平面とも呼ばれる第1の平面上に延在する。例えば、ハウジングは入口開口を有し、この入口開口を介して空気をハウジング、特に空気通路内に導入することができる。例えば、入口開口は、入口平面とも呼ばれる第2の平面上に延在する。その場合、第1の平面と第2の平面は、互いに離間して互いに平行に延びることが考えられる。
【0011】
次に、エアベントの特に有利な調整性を特に有利な、特に低重量及び低コストな手段で実現できるようにするために、本発明によれば、流れ体がハウジングに対して、好ましくはガイドフラップに対しても並進移動可能であり、それによって、ハウジング内に配置され、空気が通って流れ得るエアベントの流路断面を調整可能、すなわち変化可能又は変更可能であることが企図される。特に、上記流路断面は、空気がエアベントを通る途中で通って流れ得るエアベントの最も狭い流路断面である。ハウジングに対して、好ましくはガイドフラップに対しても流れ体を並進移動させることにより、この流路断面が調整され得るという特徴は、ハウジングに対して、好ましくはガイドフラップに対しても流れ体を並進移動させることによって、流路断面を選択的に拡大又は縮小できることと理解されるべきである。流路断面を調整することによって、例えば室内に供給される空気の量を必要に応じて調整することができる。更に、例えば流路断面を調整することによって、空気のいわゆる射程距離(Wurfweite)又は投入距離(Einwurfweite)を調整することができる。射程距離若しくは投入距離は、エアベントを通って流れる空気が、特にエアベントから、若しくは出口開口から室内に流れ込む区間距離と理解されるべきである。したがって、本発明によれば、流路断面、したがって室内に供給される空気の量、及び/又は流れ体を介して室内に供給される空気の射程距離を調整することが可能であるため、例えば、特にエアベントを閉じるための追加の調節フラップ又は閉鎖フラップを省略することができ、それによりエアベントの部品点数、したがって重量及びコストを特に低く抑えることができる。したがって、エアベント、したがって例えば室内に供給される空気の量及び/又は室内に供給される空気の射程距離を省スペース的に、かつ低コストで調整することができる。流れ体がハウジングに対して並進移動可能であることによって、例えばエアベントの、特にその機能の視覚的に特に有利な演出を、特に例えば、室内の方を向いた流れ体の端面が、特に出口開口を介して、特に室内にいる乗員により視覚的に知覚可能であることによって実現することができる。
【0012】
例えば、ハウジングに対して流れ体を並進移動させることによって、流路断面の少なくとも2つの互いに異なる値を設定することができる。値のうちの第1の値は、例えば、ゼロ又はゼロより大きく、例えば、値のうちの第2の値は第1の値より大きい。第2の値を設定することによって、例えば流路断面の第1の値の設定より多い量の空気が室内に流入し、及び/又は射程距離がより長くなる。例えば、第1の値を設定することにより、例えば、特に、第1の値がゼロである場合に流路断面を流体的に遮断することができ、それによって、エアベントを通って空気が流れることができず、したがって、エアベントを通って室内へ空気が流入すること、又は上記空気の流れが回避される。特に、エアベントは、流路断面を調整することによって流れ速度を調整、すなわち変更することができ、例えば、空気は、上記流れ速度でエアベントから流出し、室内に流入し、特に出口開口を通って流れることができる。特に、これによって射程距離を調整、すなわち変更することができる。
【0013】
本発明の一実施形態では、室内を換気するために、空気は、少なくともガイドフラップの上流で特定の流れ方向にハウジングを通って流れることができる。これは、ハウジング、特に空気通路、したがってエアベントを通って流れ、室内に供給される空気が、少なくともガイドフラップの上流で上記流れ方向を有することを意味する。この前述の流れ方向は、第1の流れ方向とも呼ばれる。例えば、空気は、ガイドフラップによって向きが変えられ、転じられ、又は偏向され、それによって例えば、出口方向とも呼ばれる流出方向が調整されるため、空気は、ガイドフラップの下流で、第1の流れ方向とは異なる、特に第1の流れ方向に対して斜め又は垂直に延びる第2の流れ方向を有すると考えられ、それにより例えば空気は、ガイドフラップの下流では、第2の流れ方向にハウジング、特に空気通路を通って流れる。その場合、特に、第1の流れ方向が出口平面に対して垂直に延び、例えば入口平面に対しても垂直に延びることが考えられる。特に、第1の流れ方向は、ハウジングの、したがってエアベント全体の軸方向と一致する。出口開口及び/又は入口開口は、円形であり、したがって、例えばハウジングの、したがってエアベント全体の軸方向に中心点が位置する円の形状を有することが考えられる。特に、第1の流れ方向は直線であり、したがって第1の流れ方向は、例えば上述の中心点が位置する直線に沿って延びる。以下において、流れ方向という場合、これは特に明記しない限り、第1の流れ方向と理解されるべきである。
【0014】
その場合、流路断面を、特に必要に応じて、かつ特に低コストな手段で調整、すなわち変更できるようにするために、本発明の別の実施形態では、流れ体が流れ方向に沿って、したがって好ましくはハウジング及びエアベント全体の軸方向に、ハウジングに対して、好ましくはガイドフラップに対しても前後に並進移動可能であり、それによって、流路断面を調整可能、すなわち変更可能である。
【0015】
別の実施形態は、流れ体が、流れ体の少なくとも主要な長さにわたって、したがって流れ方向に沿って、したがってエアベントの軸方向に延びる長さの少なくとも半分以上にわたって外周側が回転対称に形成されていることを特徴とする。これは、特に、流れ体の前述の外周側の外套面が、流れ方向に沿って延びる流れ体の少なくとも主要な長さにわたって回転対称に形成されていると理解されるべきである。これによって、特に流動の点で有利な手段で空気を室内に供給することができる。
【0016】
エアベントの特に有利な調整性を実現できるようにするために、本発明の別の実施形態では、ガイドフラップが、流れ方向に対して垂直に延びる旋回軸を中心にハウジングに対して、及び流れ体に対して旋回可能であり、それによって流出方向が調整されることが企図されている。旋回軸が流れ方向に対して垂直に延びるという特徴は、流れ方向が流れ平面に対して垂直に延び、流れ平面が例えば出口平面に対して平行に延びるか、又は出口平面と一致すると理解されるべきである。旋回軸は、旋回軸平面に対して垂直に延び、流れ平面と旋回軸平面は互いに垂直に延びる。
【0017】
別の実施形態は、ガイドフラップが、流れ方向、したがってハウジング及びエアベント全体の軸方向と一致する回転軸を中心に、ハウジングの少なくとも1つのハウジング部に対して、及び流れ体に対して回転可能であり、それによって流出方向が調整されることを特徴とする。それによって、エアベントの、若しくは流出方向の特に広範な調整性を特に低コストな手段で提供することができる。
【0018】
ガイドフラップを特に必要に応じて、かつ簡単に回転軸を中心に回転させる、したがって流出方向を必要に応じて調整できるようにするために、本発明の別の実施形態では、ハウジングが、ガイドフラップと結合された第1のハウジング部としての少なくとも1つのハウジング部を有することが企図されている。更に、ハウジングは、例えば第1のハウジング部の上流又は下流に配置される第2のハウジング部を有する。第1のハウジング部、及び第1のハウジング部とともにガイドフラップは、第2のハウジング部に対して、及び流れ体に対して回転軸を中心に回転可能である。特に、例えば、第1のハウジング部は、調節リング又はアウタリングとも呼ばれるリングとして形成され、このリングを介して、特に第2のハウジング部に対して行われるリングの回転によってガイドフラップを必要に応じて、かつ有利に、回転軸を中心に回転させることができる。
【0019】
エアベントの特に広範な調整性を特に低コストな手段で実現するために、別の実施形態では、流れ体とガイドフラップの両方を特に電気的に動作可能な正確に1つのアクチュエータで動かし得るように、流れ体とガイドフラップを互いに結合する結合装置が設けられている。特に、アクチュエータは、エアベントの一部であってもよい。結合装置を介して、アクチュエータは、例えば、流れ体とガイドフラップの両方を作動させることができ、それによって、例えば、流れ体をハウジングに対して並進的に変位させ、ガイドフラップをハウジングに対して動かす、特に旋回させる、及び/又は回転させることができる。これによって、エアベントの特に低コストの構造を保証することができる。
【0020】
更には、ハウジングは、少なくともハウジングの長手方向領域において内周側が回転対称に形成され、流れ体が長手方向領域に配置されている場合に特に有利であることがわかった。これによって、室内への空気の特に流動の点で有利な供給を提供することができる。
【0021】
ハウジングに対して流れ体を並進移動させることによって、流路断面を、例えば次のように調整することができる。流れ体は、例えば、ハウジングに対して、少なくとも2つの互いに異なる位置間で並進移動可能、したがって変位可能である。流れ体の第1の位置では、例えば、流路断面の第1の値が設定され、第2の位置では、例えば、流路断面の第2の値が設定される。例えば、第1の位置では、流れ体の少なくとも第1の壁領域が第2の位置よりもハウジングの第2の壁領域に近いところに配置され、それにより、例えば、第1の位置では、流路断面若しくは流路断面の値が第2の位置よりも小さくなる。特に、第1の位置では、第1の壁領域が、第2の壁領域に、特に直接当接し、それによって、例えば第1の位置では流路断面がゼロに設定され、したがって閉じられることが考えられる。更に、少なくとも第2の位置では、壁領域が流路断面を直接画定することが考えられる。例えば、第2の壁領域が流れ方向に先細になることが考えられ、例えば、特に、第1の壁領域も流れ方向に先細になる。それによって、流路断面を特に有利に調整することができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による少なくとも1つのエアベントを有する、好ましくは自動車、特に乗用車として設計された車両に関する。本発明の第1の様態の利点及び有利な構成は、本発明の第2の様態の利点及び有利な構成と見なすことができ、またそれとは逆に、本発明の第2の様態の利点及び有利な構成は、本発明の第1の様態の利点及び有利な構成と見なすことができる。
【0023】
本発明の別の利点は、ガイドフラップが流れ体の上流に配置されていることによって、ガイドフラップが室内にいる乗員の目に見えない、すなわち視覚的に知覚できないということである。したがって、空気偏向とも呼ばれる流出開口の調整は、室内にいる人に見えることなく、実際の部品、厳密には、流れ体の上流に配置されたガイドフラップが行うことができ、ガイドフラップは、室内にいる人がエアベントを、そしてその際、特に流れ体を見る視線方向に対して流れ体の背後に配置され、したがって人には見えない。更に、本発明は、少なくとも1つ又は複数の追加機能を流れ体に特に有利に組み込むことを可能にする。例えば、流れ体に照明が組み込まれていてもよい。これは、例えば、少なくとも1つの光源が、特に流れ体に、特に流れ体内に配置され、この光源は、特に電気エネルギーを利用して光を提供することができ、光は、例えば、特に出口開口を介して室内に入射可能であり、したがって、例えば室内にいる人によって、その目で視覚的に知覚可能である。代替的又は追加的に、流れ体に香り付け(芳香剤)を組み込むことができる。したがって、流れ体は、例えば、香料源から提供される香料が通って流れ得る少なくとも1つ又は複数の流出開口を有する。流れ体の周囲を流れ、エアベントを通って流れる空気は、例えば、流出開口を通って流れる香料を一緒に運び、特に出口開口を介して室内に送り、それによって室内の特に有利な香り付け(空気清浄)を実現することができる。
【0024】
本発明のその他の利点、構成要件、及び具体的事項は、好ましい実施形態についての以下の説明から、並びに図面を参照して、明らかとなる。上記の説明において挙げた特徴及び特徴の組み合わせ、並びに以下の各図に関する説明において挙げられる特徴及び特徴の組み合わせ、並びに/又は各図においてのみ示される特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ提示した組み合わせにおいてのみ使用されるのではなく、本発明の範囲から逸脱することなく他の組み合わせで使用することもできるし、単独で使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】車両の室内を換気するためのエアベントの模式的な縦断面図である。
図2】エアベントの模式的な正面図である。
図3】エアベントの別の模式的な断面図である。
図4】エアベントの別の模式的な断面図である。
図5】エアベントの一部の模式的な上面斜視図である。
図6】エアベントの一部の模式的な縦断面斜視図である。
図7】エアベントの一部の別の模式的な縦断面斜視図である。
図8】エアベントの一部の模式的な断面斜視図である。
図9】エアベントの一部の別の模式的な断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
各図において、同一の要素又は機能が同一の要素には同じ参照符号を付している。
【0027】
図1は、好ましくは自動車、特に乗用車として設計された車両に完全に製造された状態で備えられ、当該車両のキャビン又は乗員室とも呼ばれる室内12を換気するためのエアベント10を模式的な縦断面図で示す。エアベント10は、空気ノズル又は換気ノズルとも称されるが、必ずしも本来の技術的意味でのノズルとして形成されている必要はない。エアベント10は、室内12を換気するために室内空気とも呼ばれる空気が通って流れるハウジング14を有する。これは、エアベント10の作動中に、上記空気がハウジング14、したがってエアベント10を通って流れ、その際、特にエアベント10、したがってハウジング14から流出し、その際、室内12に、特に同時に流入することを意味する。これによって、空気が室内12に供給され、したがって室内12に導入され、それによって室内12が換気される。
【0028】
ハウジング14は、空気が通って流れ得る空気通路16を有し、空気通路は、例えば、ハウジング14の内周側の外套面18によって、特に直接画定されている。エアベント10は、ハウジング14内に配置され、空気が特に直接周囲を流れ得る流れ体20を有する。特に、流れ体20は外周側の外套面22を有し、外周側の外套面22は、例えば、特にハウジング14の、したがってエアベント10全体の半径方向で内周側の外套面18に面する。上記作動中、例えば、空気は空気通路16、したがってハウジング14を通って流れ、外周側の外套面22、したがって特に直接、流れ体20の周囲を流れる。流れ体20は内部体とも呼ばれる。
【0029】
エアベント10は、ハウジング14内に配置されたガイドフラップ24も有し、これは流れ体20の上流に配置されている。好ましくは、ハウジング14、ガイドフラップ24、及び流れ体20は別々に形成されたコンポーネントであり、これらを、例えば少なくとも間接的に互いに結合することができる。特に作動中、空気通路16、したがってハウジング14を通って流れる空気は、フラップ又は調整フラップとも呼ばれるガイドフラップ24に特に直接流れ、それによって、例えばガイドフラップ24は、空気通路16を通って流れる空気の向きを変える、逸らせる、又は偏向する。したがって、ガイドフラップ24を用いて、ハウジング14に対して、及び流れ体20に対してガイドフラップ24が動くことにより、空気通路16を通って流れる空気を必要に応じて向きを変える、又は逸らせることができ、それによって、空気が空気通路10から流出し、室内12に流入する流出方向を調整、すなわち変更することができる。図1によれば、特にガイドフラップ24によって調整された流出方向が、図1に矢印26によって示されている。エアベント10が、仮想出口平面30上に延在する出口開口28を有することが認識できる。出口開口28は、その周方向に沿って全周にわたって、かつ直接ハウジング14によって画定され、つまり出口開口28はハウジング14の開口である。空気通路16は、出口開口28を介して室内12に通じ、作動中に空気が空気通路16及び出口開口28を通って流れ、出口開口28を介して、特に流出方向に沿って、又は矢印26で示される流出方向に沿って室内12に流入する。
【0030】
図に示される実施形態では、ハウジング14、したがってエアベント10は入口開口74も有し、この入口開口74を介して、空気を特に第1の流れ方向に、又は第1の流れ方向に沿って空気通路及びハウジング14に導入可能である。例えば、入口開口74は、好ましくは出口平面30と平行に延びて出口平面30から離間した入口平面76上に延在する。
【0031】
次に特に有利な手段で、エアベント10の特に有利な調整性を実現できるようにするために、流れ体20がハウジング14に対して、好ましくはガイドフラップ24に対しても並進移動可能であり、そのことが図1に両矢印32で示されている。これは、特に両矢印32によって示される直線に沿って、したがって直線に延びる移動方向に沿って、流れ体20をハウジング14に対して、好ましくはガイドフラップ24に対しても並進的に前後に移動させることができることを意味し、それによって、空気通路16を通って流れる空気が通って流れることができ、かつハウジング14内に配置されたエアベント10の流路断面Qを調整、すなわち変化又は変更することができる。
【0032】
図1において、空気通路16、したがってハウジング14を通って流れる空気が、少なくともガイドフラップ24の上流で、空気通路16、したがってハウジング14を通って流れる第1の流れ方向が矢印34で示される。空気通路16を通って流れる空気は、ガイドフラップ24に、特に直接流れ、及びガイドフラップ24の周囲を流れ、ガイドフラップ24により特に第1の流れ方向から逸らせる、向きを変える、転じる、又は偏向することができるため、ガイドフラップ24の下流において空気通路16、したがってハウジング14を第1の流れ方向とは異なり、例えば第1の流れ方向に対して斜め又は垂直に延びる第2の流れ方向に流れる。図1において、第2の流れ方向が例示的に矢印36で示されている。ガイドフラップ24はハウジング14に対して可動であるため、例えば第2の流れ方向を調整する、したがって変化させることができる。ガイドフラップ24をハウジング14に対して、例えば、第2の流れ方向が第1の流れ方向に相当する、したがって第1の流れ方向と一致するか、又は第1の流れ方向と平行に延びるガイド位置に動かすことが考えられる。流れ体20が矢印34で示される第1の流れ方向に沿ってハウジング14に対して並進的に前後に移動可能であり、それによって流路断面Qが調整可能であることが両矢印32及び矢印34から認識できる。したがって、例えば、両矢印32で示される直線の移動方向は、矢印34で示される直線の第1の流れ方向と一致する。図に示される実施形態では、移動方向及び第1の流れ方向は、ハウジング14、したがってエアベント10の軸方向に延びる。換言すれば、第1の流れ方向及び移動方向は、エアベント10若しくはハウジング14の軸方向と一致する。ハウジング14の軸方向、したがってエアベント10の軸方向は、全体として出口平面30に対して垂直に延びる。例えば、図2から認識できるように、出口開口28は円形であり、その中心Mが軸方向にあり、したがって軸方向と一致する直線上にある円の形状で形成されている。その場合、特に、移動方向(両矢印32)及び第1の流れ方向(矢印34)も、上記直線上にある。
【0033】
図2から認識できるように、例えば、室内12にいる人は、その目で流れ体20を、したがって流れ体20の正面側の端面38を、特に出口開口28を通して見ること、したがって視覚的に知覚することができる。流れ体20がハウジング14に対して並進移動可能であることによって、流れ体20の並進運動、したがって流路断面Qの調整の特に有利な演出を実現することができる。
【0034】
流れ体20が、少なくともその主要な、かつ第1流れ方向に沿って延び、したがってエアベント10の軸方向に延びる長さにわたって外周側が回転対称に形成されていることが、図1から特に良好に認識できる。特に、外周側の外套面22は、流れ体20の少なくとも主要な、したがってエアベント10の軸方向に延びる長さの半分以上にわたって外周側で回転対称に形成されている。
【0035】
図3及び図4から認識できるように、ガイドフラップ24は流れ方向に対して垂直、したがってエアベント10の軸方向に対して垂直に延びる、したがって、特にエアベント10の半径方向に延びる旋回軸を中心にハウジング14に対して、そして流れ体20に対しても旋回可能であり、それによって流出方向が調整される。例えば、ハウジング14内にベース要素40が配置されている。その場合、特に、流れ体20が、特に移動方向に沿ってベース要素40に対して特に並進移動可能、したがって変位可能であり、それによって流路断面Qが調整されることが考えられる。ベース要素40は、ここでは突起部又はピンとして形成された支持領域42を有し、支持領域42はここでは外周側が円筒形に形成されている。支持領域42上には支持スリーブ44が変位可能に配置され、したがって支持スリーブ44は、支持領域42に沿って、特に移動方向に沿ってハウジング14に対して変位可能である。レバー46は、スライドスリーブとも呼ばれる支持スリーブ44とヒンジ式に結合され、かつガイドフラップ24とヒンジ式に結合されている。レバー46がガイドフラップ24とヒンジ式に結合されている接続点は、旋回軸から離間させてある。特に、ガイドフラップ24は、ハウジング14に対して上記旋回軸を中心に旋回可能にハウジング14に支持されている、若しくはハウジング14と結合されている。次に、支持スリーブ44が支持領域42に対して、かつハウジング14に対して、特に移動方向に沿って変位されると、レバー46が支持スリーブ44及びガイドフラップ24の両方とヒンジ式に結合されていることにより、ガイドフラップ24は、ハウジング14に対して旋回軸を中心に旋回される。図3は、ガイドフラップ24の第1の旋回位置を示し、図4は、ガイドフラップ24の第2の旋回位置を示し、ガイドフラップ24は、支持スリーブ44の変位によって、ハウジング14に対して異なった旋回位置に旋回可能であり、したがって可動である。
【0036】
更に、ガイドフラップ24は、第1の流れ方向と、したがってエアベント10の軸方向と一致する回転軸Dを中心に、ハウジング14の少なくとも1つのハウジング部48に対して、そして更に流れ体20に対して、そして例えばベース要素40に対しても回転可能であり、それによって流出方向が調整、したがって変更される。その場合、ハウジング14は、第1のハウジング部としてのハウジング部48を有する。したがって、ハウジング部48は、ハウジング14の第1のハウジング部であり、第1のハウジング部とも呼ばれる。ハウジング14は、ここではリングとして形成され、アウタリングとも呼ばれる第2のハウジング部50を有する。ハウジング部50は、ガイドフラップ24と結合され、それによって、ガイドフラップ24とともに第1のハウジング部48に対して、及び流れ体20に対して回転軸Dを中心に回転可能であり、それによって流出方向が調整される。特に、ガイドフラップ24は、ハウジング部50に対して上記旋回軸を中心に旋回可能にハウジング部50と結合され、それにより例えば旋回軸が、ハウジング部50とともにハウジング部48に対して回転軸Dを中心に一緒に回転する。したがって、ハウジング部48に対して回転軸Dを中心に少なくとも2つの互いに異なる回転位置にガイドフラップ24を回転させることができ、それによって流出方向を必要に応じて変更することができる。
【0037】
図5から、エアベント10が、運動機構(Kinematik)とも呼ばれる結合装置52を有することが認識でき、この結合装置によって、以下に詳細に説明するように、流れ体20とガイドフラップ24は、正確に1つの、特にエアベント10の電気的に動作可能なアクチュエータによって、流れ体20とガイドフラップ24の両方をハウジング14に対して相対的に動かすことができるように互いに結合されている。図6と併せて見ると、結合装置52が第1の結合要素54を有し、第1の結合要素54は、ここでは第1のディスク、特に第1の回転ディスクとして形成されていることが認識できる。第1の回転ディスクは、ハウジング14に対して第1の結合要素回転軸を中心に回転可能である。更に、第1の結合要素54をハウジング14に対して第1の結合要素回転軸を中心に回転させた場合に、これによって流れ体20が移動方向に沿ってハウジング14に対して変位されるように、第1の結合要素54は流れ体20とヒンジ式に結合されている。したがって、例えば、第1の結合要素54を第1の結合要素回転軸を中心に第1の回転方向に回転させると、例えば、流れ体20はハウジング14に対して第1の方向に変位し、したがって、並進移動される。例えば、第1の結合要素54を、第1の結合要素回転軸を中心にハウジング14に対して第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転させると、これによって、例えば、流れ体20がハウジング14に対して第1の方向とは反対の第2の方向に変位される。例えば、これらの方向は移動方向と一致する。例えば、流路断面Qは、流れ体20が第1の方向に移動されることによって拡大され、一方で、流れ体20が第2の方向に変位されることによって減少する。
【0038】
結合装置52は更に、ここでは第2の回転ディスクとして形成されている第2の結合要素56を含む。結合要素56は、ハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転可能であり、例えば、結合要素回転軸は互いに離間し、かつ互いに平行に延びるか、又は互いに傾いて延びる。
【0039】
図5から、第2の結合要素56が、第1のガイド機構領域60及び第2のガイド機構領域62を含むガイド機構58を有しており、ガイド機構領域60及び62は互いに接続されているか、若しくは1つになる(ineinander uebergehen)ことが認識できる。ガイド機構58には、特に、移動方向に沿ってハウジング14に対して変位することができるスライダ64が係合している。スライダ64が(まだ)第1のガイド機構領域60に係合している間に、結合要素58をハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転させると、特に、例えば第1のガイド機構領域60が、中心が第2の結合要素回転軸上にある半径を有するか、又はそのような円上にあるか、又はその上に延びることによって、例えば、ハウジング14に対するスライダ64の変位が起こらない。しかしながら、スライダ64が第2のガイド機構領域62に入り、それにより例えば第2の結合要素56を、スライダ64が第2のガイド機構領域62に係合している間にハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転させると、第2のガイド機構領域62によってスライダ64が、ハウジング14に対して特に移動方向に沿って変位される。このために、例えば、スライダ64、若しくはガイド機構58に係合するスライダ64の部分領域は、第2の結合要素56の、第2のガイド機構領域62を画定する壁領域沿いに摺動し、それにより第2の結合要素56がハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転することによって、スライダ64が特に、ハウジング14に対して特定の移動方向に変位される。
【0040】
図6及び図7から、スライダ64が支持スリーブ44に接続され、それにより支持スリーブ44がスライダ64とともに、特にハウジング14に対して移動方向に沿って変位できることが認識できる。したがって、スライダ64を特にハウジング14に対して移動方向に沿って変位させると、これによって、支持スリーブ44がスライダ64と一緒に変位され、それにより支持スリーブ44が支持領域42に沿って変位される。これによって、ガイドフラップ24がハウジング14に対して旋回される。例えば、図2に示されるガイドフラップ24の第2の旋回位置から、スライダ64、及びスライダとともに支持スリーブ44を上記第1の方向にハウジング14に対して変位させると、これによって、例えばガイドフラップ24がハウジング14に対して第2の旋回位置から図3に示される第1の旋回位置へ旋回される。例えば、スライダ64及び当該スライダ64とともに支持スリーブ44を、図3に示されるガイドフラップ24の第1の旋回位置から、ハウジング14に対して第2の方向に変位させると、これによって、ガイドフラップ24は、ハウジング14に対して図3に示される第1の旋回位置から図4に示される第2の旋回位置へ旋回される。
【0041】
結合要素54及び56は、特にトルク伝達式で互いに結合され、それにより結合要素54をハウジング14に対して結合要素回転軸を中心に回転させることによって、第2の結合要素56がハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転できるか、若しくは回転される。このために、結合要素54及び56は、外歯として形成され互いに噛み合う、したがって互いに係合する歯66及び68を有する。前述の、特に電気的に動作可能なアクチュエータは、例えば結合要素54に結合されているか、又は結合可能であり、したがってアクチュエータによって第1の結合要素54を駆動可能であり、それによって第1の結合要素54をハウジング14に対して第1の結合要素回転軸周りに回転可能である。アクチュエータによって、結合要素54をハウジング14に対して第1の結合要素回転軸を中心に回転させると、結合要素54と結合要素56の上述の結合により、結合要素56が結合要素54によって駆動され、それによってハウジング14に対して第2の結合要素回転軸を中心に回転される。スライダ64がガイド機構領域60及び62に関してガイド機構領域60にのみ係合する限り、結合要素54及び56が回転する間、ガイドフラップ24の旋回は起こらない。したがって、例えばアクチュエータによって、スライダ64がガイド機構領域60、62に関してガイド機構領域60にのみ係合するように、結合要素54と、したがって結合要素56が特に同時に回転するように結合要素54が駆動されると、通常、2つの結合要素54、56が同時に回転し、結合要素54を回転させることによって、流れ体20がハウジング14に対して変位されるが、その際、ガイドフラップ24の旋回は起こらない。したがって、例えば、最初は第1の位置にある流れ体20を第2の方向に、かつそれによって第2の位置へ変位させ、したがって流路断面Qを第1の値から第1の値より大きい第2値に設定することが可能である一方で、ハウジング14に対するガイドフラップ24の移動は起こらない。流れ体20の第2の位置から結合要素54、56を更に回転させて、スライダ64がガイド機構領域60からガイド機構領域62に入り、このガイド機構領域62に沿って移動されると、これによって、特に、ハウジング14に対する流れ体20の移動が起きない間、ガイドフラップ24がハウジング14に対して旋回される。したがって例えば、スライダ64がガイド機構領域60及び62に関してガイド機構領域62にのみ係合する間に、結合要素54及び56をハウジング14に対して回転させると、ハウジング14に対する流れ体20の移動が起こらない間、アクチュエータによってガイドフラップ24をハウジング14に対して上述の旋回軸を中心に旋回させることができる。特に、それぞれの歯66、68は、それぞれの結合要素回転軸の周りに延びるそれぞれの結合要素54、56の全周にではなく、それぞれの結合要素54、56の周りに部分的にのみ延在することが認識できる。
【0042】
ハウジング14に対してガイドフラップ24を旋回させることができる上述の旋回軸は、図7から認識でき、そこではSで示されている。
【0043】
図8及び図9から、ハウジング部50が、例えばハウジング部50の軸方向の端面上に、特にリングギアの歯のように形成される外歯として形成された歯70を有することが認識できる。ハウジング14に対して歯車回転軸を中心に回転可能である歯車72も設けられている。歯車72は、特にピニオンのように、歯70に対応する歯車歯を有し、これは対応する歯70と係合する。歯車回転軸は、回転軸Dに対して垂直(直交)に延びる。その場合、歯車72がハウジング14に対して歯車回転軸を中心に回転すると、歯車72のこの回転が歯車歯と歯70とを介して、ハウジング部48に対する回転軸Dを中心としたハウジング部50の回転に変換される。例えば、前述のアクチュエータに加えて設けられた、例えば電気的に動作可能な第2のアクチュエータが設けられる。第2のアクチュエータによって歯車72を駆動することができ、それによってハウジング14に対して歯車回転軸を中心に回転させることができ、それによってハウジング部50が歯車72によって駆動され、回転軸Dがハウジング部48に対して回転する。これによって、ガイドフラップ24がハウジング部48に対して回転軸Dを中心に回転する。したがって、ガイドフラップ24がハウジング14に対して旋回軸Sを中心に旋回することなく、ハウジング部50、及びこのハウジング部とともにガイドフラップ24をハウジング部48に対して回転軸Dを中心に回転させることができ、その逆も同様である。それにより、回転軸Dを中心に行われるガイドフラップ24の回転と、旋回軸Sを中心に行われるガイドフラップ24の旋回とを特に完全に、互いに独立して行うことができる。それによって、流出方向を、特に必要に応じて調整することができる。ガイドフラップ24とハウジング部50の結合は、図9から特に良好に認識できる。旋回軸Sも認識できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内(12)を換気するためのエアベント(10)であって、前記室内(12)を換気するために、空気が通って流れ得るハウジング(14)と、前記ハウジング(14)内に配置され、前記空気が周囲を流れ得る流れ体(20)と、前記流れ体(20)の上流に配置され、前記ハウジング(14)及び前記流れ体(20)に対して可動のガイドフラップ(24)とを備え、前記ガイドフラップによって、前記エアベント(10)から空気が流出する流出方向(26)を調整可能であり、前記ハウジング(14)内に配置され、空気が通って流れ得る前記エアベント(10)の流路断面(Q)を調整可能とするために、前記流れ体(20)が前記ハウジング(14)に対して並進移動可能であり、前記室内(12)を換気するために、少なくとも前記ガイドフラップ(24)の上流で、空気が流れ方向(34)に前記ハウジング(14)を通って流れることができ、前記流路断面(Q)を調整可能とするために、前記流れ体(20)が前記流れ方向(34)に沿って前記ハウジング(14)に対して前後に並進移動可能であり、前記流れ体(20)が、前記流れ方向(34)に沿って延びる少なくとも主要な長さにわたって外周側が回転対称に形成され、前記流出方向(26)を調整するために、前記ガイドフラップ(24)が、前記ハウジング(14)及び前記流れ体(20)に対して、前記流れ方向(34)に対して垂直に延びる旋回軸(S)を中心に旋回可能である、エアベントにおいて、
前記流出方向(26)を調整するために、前記ガイドフラップ(24)が、前記ハウジング(14)の少なくとも1つのハウジング部(48)及び前記流れ体(20)に対して、前記流れ方向(34)と一致する回転軸(D)を中心に回転可能であり、
前記ハウジング(14)は、第1のハウジング部(48)としての前記少なくとも1つのハウジング部(48)と、前記ガイドフラップ(24)に結合された第2のハウジング部(50)とを有し、
前記第2のハウジング部は、前記ガイドフラップ(24)とともに、前記第1のハウジング部(48)及び前記流れ体(20)に対して、前記回転軸(D)を中心に回転可能である
ことを特徴とする、エアベント。
【請求項2】
前記流れ体(20)と前記ガイドフラップ(24)との両方を正確に1つのアクチュエータで動かし得るように、前記流れ体(20)と前記ガイドフラップ(24)とを互いに結合する結合装置(52)が設けられている
ことを特徴とする、請求項1記載のエアベント(10)。
【請求項3】
前記ハウジング(14)は、少なくとも長手方向領域において内周側が回転対称に形成され、
前記流れ体(20)は、前記長手方向領域に配置されている
ことを特徴とする、請求項1記載のエアベント(10)。
【請求項4】
請求項1~請求項のいずれか一項記載の少なくとも1つのエアベント(10)を備える車両。
【国際調査報告】