IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジボダン エス エーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】着色料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240920BHJP
   A23L 5/46 20160101ALI20240920BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20240920BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240920BHJP
   A61Q 1/00 20060101ALI20240920BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240920BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20240920BHJP
   C09B 67/00 20060101ALI20240920BHJP
   C09B 61/00 20060101ALI20240920BHJP
   C07K 14/405 20060101ALN20240920BHJP
   A61P 3/02 20060101ALN20240920BHJP
   A61P 39/06 20060101ALN20240920BHJP
   A61P 37/04 20060101ALN20240920BHJP
   A61P 29/00 20060101ALN20240920BHJP
【FI】
A61K8/49
A23L5/46
A61K31/4025
A61K47/62
A61K8/64
A61Q1/00
A61K9/48
C09B67/20 F
C09B67/00 L
C09B61/00 Z
C07K14/405
A61P3/02
A61P39/06
A61P37/04
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518986
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2022076798
(87)【国際公開番号】W WO2023052343
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】63/249,378
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21210046.5
(32)【優先日】2021-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シューケット,ラージャ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ユアンガン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C083
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB09
4B018LE01
4B018LE05
4B018MA08
4B018MC04
4B018ME13
4B018MF02
4C076AA53
4C076BB01
4C076BB31
4C076CC04
4C076CC07
4C076CC40
4C076CC41
4C076EE41
4C076FF36
4C076FF63
4C076GG05
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB21
4C083CC01
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE50
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC05
4C086GA07
4C086GA16
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA52
4C086MA63
4C086NA03
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB11
4C086ZC51
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA70
4H045CA11
4H045EA01
4H045EA15
4H045EA20
(57)【要約】
本発明は食品着色料組成物を提供し、特に本発明は、少なくとも1つのフィコビリンと少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とを含む、組成物または着色料組成物を提供する。ある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質は、複合体を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフィコビリンと、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチ度および/またはペプチドとを含む組成物であって、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドが水溶性であり、および任意に、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である、前記組成物。
【請求項2】
少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを、少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合することによって得ることができる、少なくとも1つのフィコビリンと少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとの複合体。
【請求項3】
少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドが水溶性であり、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である、請求項2に記載の複合体。
【請求項4】
組成物または複合体のpHが、2.0~5.0、好ましくは2.2~4.0、より好ましくは2.3~3.6、最も好ましくは2.4~3.3である、請求項1~3のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項5】
少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドが、植物からおよび/または動物起源からである、請求項1~4のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項6】
タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドが、以下から得られる、請求項1~5のいずれかに記載の組成物または複合体:
a)塊茎類、例えば、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
b)豆類、例えば、クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物から選択される豆;
c)ナッツ類、例えば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物から選択されるナッツ;
d)植物の種子、例えば、チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物から選択される種子;
e)穀物由来、例えば、オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物から選択される穀物、および/または
f)卵。
【請求項7】
タンパク質がジャガイモから得られ、ポリペプチドおよび/またはペプチドがリョクトウ、エンドウ豆、大豆および/または米から得られる、請求項6に記載の組成物または複合体。
【請求項8】
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~7のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項9】
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択され、および任意に、それらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、請求項1~8のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項10】
少なくとも1つのタンパク質が、アルブミン、具体的には植物アルブミン、より具体的にはジャガイモアルブミンであり、およびさらに、それらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、請求項8に記載の組成物または複合体。
【請求項11】
タンパク質が、アルブミン、具体的には植物アルブミン、より具体的にはジャガイモアルブミンであり、およびさらに、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、および/またはグルテリン(例:グルテリンA1およびB1)に由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、請求項8に記載の組成物または複合体。
【請求項12】
アルブミンがジャガイモから得られ、および任意に、リョクトウ、エンドウ豆、大豆および/または米から得られたアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、および/またはグルテリン(例:グルテリンA1およびB1)に由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、請求項11に記載の組成物または複合体。
【請求項13】
ポリペプチドおよび/またはペプチドが、分子量200~約6000ダルトン、300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有する、請求項1~12のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項14】
フィコビリンが、フィコエリスロビリン、フィコシアノビリン、フィコビオロビリン、フィコウロビリンおよびそれらの混合物から選択される、請求項1~13のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項15】
フィコシアノビリンが、Arthrospira platensis(スピルリナとも呼ばれる)、Arthrospira fusiformis、Arthrospira maxima、Galdieria daedala、Galdieria sulphuraria、Galdieria maxima、Galdieria partita、Cyanidioschyzon merolae 10D、Cyanidioschyzon merolae DBV201、Cyanidium caldarium、Cyanidium rumpens、Cyanidium daedalum、Cyanidium maximum、Cyanidium partitum、およびそれらの任意の混合物から得られるフィコシアニンである、請求項1~14のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項16】
少なくとも1つのタンパク質対少なくとも1つのポリペプチドおよび/またはペプチドの比率が、約100:1~1:100、例えば90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90である、請求項1~15のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項17】
フィコビリン対少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質の比率が、約10:90~約90:10の範囲内、または約20:80~約80:20、または約30:70~約70:30、または約40:60~約60:40、または約45:55~約55:45、約50:1~約1:50、例えば約40:1~約1:40、例えば約30:1~約1:30、例えば約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10の範囲内、例えば、1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2である、請求項1~16のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項18】
少なくとも1つのフィコビリンと、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの比率が、約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2である、請求項1~17のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項19】
フィコシアニンが、Arthrospira platensis(スピルリナとも呼ばれる)から、またはGaldieria sulphurariaから得られるフィコシアニンであり、タンパク質がジャガイモタンパク質であり、ペプチドがリョクトウから得られ、および比率が0.8:1:1である、請求項18に記載の組成物または複合体。
【請求項20】
約6未満のpH、例えば約5未満のpH、約5未満のpH、例えば約4未満のpH、例えば約3未満のpH、または例えば約2未満のpHで、安定な色を有することを特徴とする、請求項1~19のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項21】
熱安定性および/または光安定性の色を有することを特徴とする、請求項1~20のいずれかに記載の組成物または複合体。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の組成物または複合体の形成のためのプロセスであって、前述の請求項で定義された少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質、または少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質を含むタンパク質抽出物を、前述の請求項で定義された少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合するステップを含む、前記プロセス。
【請求項23】
少なくとも1つのフィコビリンを水溶液中に含む組成物と、少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質またはタンパク質抽出物との混合物を濾過して、不溶性画分を除去するステップをさらに含む、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
フィコビリンを安定化するための、以下のステップを含む、方法:
i)フィコビリンを、請求項1~23のいずれかに記載の少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドと、水溶液中で接触させること、および
ii)任意で、糖類を添加すること。
【請求項25】
ステップi)および/またはii)で得られた混合物を濾過して、不溶性画分を除去するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップi)またはii)の結果を濃縮するステップをさらに含む、請求項22~25のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法。
【請求項27】
噴霧乾燥などの乾燥するステップをさらに含む、請求項22~26のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法。
【請求項28】
フィコビリンが、フィコエリスロビリン、フィコシアノビリン、フィコビオロビリン、フィコウロビリンおよびそれらの混合物から選択される、請求項22~27のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法。
【請求項29】
フィコシアノビリンが、Arthrospira platensis(スピルリナとも呼ばれる)、Arthrospira fusiformis、Arthrospira maxima、Galdieria daedala、Galdieria sulphuraria、Galdieria maxima、Galdieria partita、Cyanidioschyzon merolae 10D、Cyanidioschyzon merolae DBV201、Cyanidium caldarium、Cyanidium rumpens、Cyanidium daedalum、Cyanidium maximum、Cyanidium partitum、およびそれらの任意の混合物から得られるフィコシアニンである、請求項28に記載のプロセスまたは方法。
【請求項30】
少なくとも1つのタンパク質対少なくとも1つのポリペプチドおよび/またはペプチドの比率が、約100:1~1:100、例えば90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90である、請求項22~29のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法。
【請求項31】
フィコビリン対少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質の比率が、約10:90~約90:10の範囲内、または約20:80~約80:20、または約30:70~約70:30、または約40:60~約60:40、または約45:55~約55:45、約50:1~約1:50、例えば約40:1~約1:40、例えば約30:1~約1:30、例えば約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10の範囲内、例えば、1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2である、請求項22~30のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法。
【請求項32】
請求項22~31のいずれか一項に記載のプロセスまたは方法を使用して得られる、安定化フィコビリン。
【請求項33】
酸性条件下で安定、熱に対して安定、および/または光に対して安定な色を有することを特徴とする、請求項32に記載の安定化フィコビリン。
【請求項34】
アルギン酸塩、カラギーナンおよびペクチン、その誘導体、またはそれらの組み合わせからなる群に由来する架橋ポリマーを使用してカプセル化された、請求項1~21のいずれかに記載の組成物もしくは複合体または請求項32もしくは33のいずれかに記載の安定化フィコビリンを含む、カプセル化組成物。
【請求項35】
請求項1~21のいずれかに記載の組成物または複合体、請求項32または33のいずれかに記載の安定化フィコビリン、または請求項34に記載のカプセル化組成物、および最適には他の顔料を含む、着色剤。
【請求項36】
請求項1~21のいずれかに記載の組成物または複合体、請求項32~33のいずれかに記載の安定化フィコビリン、請求項34に記載のカプセル化組成物、および/または請求項35に記載の着色剤を含む、食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品。
【請求項37】
5未満、例えば4未満、例えば3未満、または例えば2未満のpHを有する、請求項36に記載の食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品。
【請求項38】
2.0~5.0、好ましくは2.2~4.0、より好ましくは2.3~3.6、最も好ましくは2.4~3.3のpHを有する、請求項36に記載の食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品。
【請求項39】
熱処理を受けた、請求項36~38のいずれかに記載の食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品。
【請求項40】
請求項1~21のいずれかに記載の組成物または複合体、請求項32~33のいずれかに記載の安定化フィコビリン、請求項34に記載のカプセル化組成物、および/または請求項35に記載の着色剤を、食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品の基剤に添加することを含む、食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品の青色の保存寿命を改善する方法。
【請求項41】
請求項1~40のいずれかに定義された少なくとも1つのフィコビリン、および少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質、または少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質を含むタンパク質抽出物、および任意に、前記の成分を混合、調製および/または使用するための説明書を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は食品着色料組成物に関し、特に本発明は、少なくとも1つのフィコビリンと少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とを含む、組成物または着色料組成物を提供する。ある好ましい態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とは、複合体を形成する。
本発明はまた、食品の着色における本明細書に記載の食品着色料組成物の使用、および本明細書に記載の食品着色料組成物を含む食品にも関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
C-フィコシアニンは、天然の顔料-タンパク質複合体であり、主にspirulina platensisのバイオマスから抽出される。この天然青色顔料は鮮やかな青色を有し、染料のブリリアントブルーFCFに最も近い天然の代替品となるため、幅広い合成青色顔料に代わる魅力的な候補となっている。
フィコシアニンは、フィコビリンとも呼ばれる線状テトラピロール発色団をホストし、これらの発色団はタンパク質サブユニットに共有結合しており、青色の起源である。
フィコシアニンは、そのクリーンラベルのおかげで、菓子、アイスクリーム、デザートのトッピングおよびコーティングなどのさまざまな食料品用途に使用されている。
【0003】
しかし、スピルリナからのフィコシアニンは酸性度に対する安定性が非常に弱く、pH4未満で凝集および沈殿を引き起こすことが知られている。さらにフィコシアニンは、食品加工中の熱処理(例:低温殺菌)により変性しやすく、重大な色落ちの原因となることが知られている(変性T=47℃、(Chaiklahan et al, Process biotechnology, 2012, 47: 659-664))。
したがって、着色剤として使用されるフィコシアニンの安定性を改善するために、多くの試みがなされてきた。
【0004】
WO15090697は、フィコシアノビリンをポリフェノールで安定化し、安定化された複合体を得る方法を報告しているが、しかしこの安定化には、天然のフィコシアニンを最初に熱または酸処理下で切断し、次に発色団をポリフェノールと反応させる必要がある。
Food Hydrocolloidsにおいては、Seligら, January 2018, (74:46-52)が、そして最近ではLiら, October 2021 (119:106852)が、多糖類複合体を介した、スピルリナベースのフィコシアニンの色安定性の強化について記載した。
別のアプローチは、Food Hydrocolloids August 2020でZhangらによって報告されており、そこでは、彼らは、フィコシアニンの酸性溶液中のコロイド安定性がホエータンパク質を使用してある程度改善されたが、熱安定性は改善されなかったと記載している。
【0005】
特許文献CN111317142は、安定な機能性フィコシアニン多重エマルション、その調製方法および応用を開示している。この方法は、以下のステップを含む:(1)タンニン酸、グリセリヌム(glycerinum)、アルギン酸ナトリウムおよびフィコシアニンを混合して内水相を調製すること;(2)乳化剤または生物系界面活性剤をヒマワリ種子油に添加し、乳化して油相を得ること;(3)内水相と油相を混合し、乳化してW/Oエマルションを得、および、固化して固化W/Oエマルションを得ること、ここでW/Oエマルションまたは固化W/Oエマルションは第1相とみなされる;および(4)第1相を外水相に添加して乳化を行い、フィコシアニンW/O/W多重エマルションを得ること。この発明が開示するフィコシアニンW/O/W多重エマルションは、熱化学的安定性および光安定性が高く、酸に敏感であり、エマルション安定性が良好である。
【0006】
WO2020/239913には、錯化剤および安定剤としてのカプセル化剤を含む、安定化フィコシアニン組成物が記載されている。
これらの数多くの試行にもかかわらず、フィコシアニンの安定化は成功裏に達成されず、その安定性を改善するための効率的な解決策を特定する需要は、依然として高まっている。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本発明において、我々は、水溶性の植物ベースのタンパク質、酵母および動物タンパク質およびペプチドまたはそれらの混合物であって、水溶性および酸性条件下で可溶性であり、および任意に4.5よりも高い等電点を有することを特徴とするものを用いた、フィコシアニン安定化のための新しい代替法を導入する。この安定化により、熱および酸性に対するフィコシアニンの安定性が、酸性pHでの凝集が防止されることによって大幅に改善し、熱処理中のタンパク質立体構造が保護される。
出願人は驚くべきことに、そして予期せぬことに、フィコシアニンが、酸性条件下で可溶性であり、任意に4.5より高い等電点を有することを特徴とする、水溶性の植物ベースまたは動物のタンパク質およびペプチドと複合体形成した場合に、酸性条件および熱処理後でも安定化され、色相を失わないことを見出した。例えば、限定はされないが、フィコシアニンとジャガイモタンパク質との組み合わせは、フィコシアニンの安定性を改善する。フィコシアニンの安定性は、可溶性タンパク質(例えば、アルブミンが豊富なジャガイモタンパク質など)を、例えばリョクトウ、大豆、米および/またはエンドウ豆からの可溶性ペプチドと組み合わせると、さらに増加する。
【0008】
この改善により、飲料および菓子類中のフィコシアニンが安定化し、鮮やかで安定した青色が得られる。このブレンドを使用すると、クリーンかつ非遺伝子組み換えのラベル、優れた栄養価、最終用途でのニュートラルな味とオフノートの恩恵を受けることができる。
したがって第1の側面において、本発明は、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとを含む組成物を提供し、ここで、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、任意に4を超える等電点(IEP)を有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
【0009】
第2の側面において、本発明は、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを、少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合することによって得ることができる、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとの複合体を提供する。
本発明はさらに、第3の側面において、前述の側面のいずれかの組成物または複合体の形成のためのプロセスを提供し、このプロセスは、少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質、または少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/もしくはタンパク質を含むタンパク質抽出物を、少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合するステップを含む。
【0010】
第4の側面において、本発明はさらに、フィコビリン(フィコシアニンなど)を安定化する方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
i)フィコビリンを、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/もしくはペプチド、または少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/もしくはペプチドを含むタンパク質抽出物と、水溶液中で接触させること、
ii)任意に、糖類を添加すること。
第5の側面において、本発明はさらに、第3または第4の側面の方法を使用して得られる、安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)を提供する。
【0011】
第6の側面において、本発明はさらに、第1または第2の側面のいずれかによる組成物もしくは複合体、または第5の側面による安定化フィコビリンを含む、カプセル化組成物であって、アルギン酸塩、カラギーナンおよびペクチン、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせからなる群に由来する架橋ポリマーを使用してカプセル化された、前記カプセル化組成物を提供する。
第7の側面において、本発明は、第1または第2の側面のいずれかによる組成物もしくは複合体、第5の側面による安定化フィコビリン、または第6の側面によるカプセル化組成物、および最適には他の顔料を含む、着色剤に関する。
さらなる側面において、本発明は、側面1または2のいずれかによる組成物もしくは複合体、第5の側面による安定化フィコビリン、第6の側面によるカプセル化組成物および/または第7の側面による着色剤を含む、食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1.シュガーシロップマトリックス、pH3中での加熱に対する、フィコシアニンの安定性の評価。図1Aは試料のカラー写真、図1Bは白黒写真。試料1A:0.025%スピルリナ抽出物(25%フィコシアニンw:w)+99.97%シュガーシロップBrix(B)°60、pH3。試料1B:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%酵母タンパク質抽出物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1C:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%ホエータンパク質分離物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1D:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%ジャガイモタンパク質抽出物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1E:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%ジャガイモタンパク質抽出物+0.075%米ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1F:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%米ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1G:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%リョクトウペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1H:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%リョクトウペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1I:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%大豆ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料1j:+0.025%スピルリナ抽出物+0.15%エンドウ豆ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。試料R:基準試料(無処理)。試料T:80℃で30分間処理。
【0013】
図2図2図2A.フィコシアニン(A:対照:0.025%スピルリナフィコシアニン、B:0.025%スピルリナフィコシアニン+0.075%リョクトウペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質)の安定性、pH3シュガーシロップ中、熱処理なし(T0)および80℃で5分、10分、20分、および30分の熱処理後(60°Brix、pH3)(1)は、時間の関数として視覚的に色の損失を示す;フコシアニン分解速度をグラフに示す(図2B):三角印:対照、丸印:スピルリナ抽出物+リョクトウペプチドおよびジャガイモタンパク質。
図3図3.ホエータンパク質。A:0.1%スピルリナ抽出物+0.2%ホエータンパク質分離物。B:0.1%スピルリナ抽出物。C:0.1%スピルリナ抽出物+0.2%ジャガイモタンパク質。AT、BT、およびCT:95℃で5分間の熱処理を施した試料A、B、およびC。
【0014】
図4図4.4A:熱処理後の熱安定性およびコロイド安定性(pH3)の結果。試料のカラー写真(上)および白黒(下)写真。A:0.15%スピルリナ抽出物+0.05%ジャガイモタンパク質抽出物。B:0.15%スピルリナ抽出物+0.025%ジャガイモタンパク質抽出物+0.025%リョクトウペプチド。C:0.15%スピルリナ抽出物。(AT、BT、およびCT:熱処理後の試料A、B、C)。図4B.熱処理の13日間後の試料A、B、およびCの光安定性の変化。図4C.試料AT、BT、およびCT(熱処理された試料)を13日間光に曝露した。露光前(0日目)および露光後(13日目)の試料AT、BTおよびCTのカラー写真(上)および白黒写真(下)。
【0015】
図5図5A.試料:5A:0.2%ウシ血清アルブミン+0.025%スピルリナ抽出物、5B:0.1%ウシ血清アルブミン+0.025%スピルリナ抽出物。5C:0.05%ウシ血清アルブミン+0.025%スピルリナ抽出物。5D:0,025%スピルリナ抽出物/対照。5E:0.05%鶏卵白+0.025%スピルリナ抽出物。5F:0.1%鶏卵白+0.025%スピルリナ抽出物。5G:0.2%鶏卵白+0.025%スピルリナ抽出物。図5B:ウシ血清濃度の関数としてのフィコシアニン保持量の変化(左)および鶏卵アルブミン濃度の関数としてのフィコシアニン保持量の変化(右)、条件:60°brixのシュガーシロップ中、pH3、80℃で30分加熱。 図6.エンドウ豆から同定されたペプチド。 図7.大豆から同定されたペプチド。
【0016】
定義
本明細書で使用する場合、用語「着色料組成物」とは、異なる波長の光を吸収または散乱することによって色を付与する、任意の物質を指す。
「色」という用語は、色相、彩度(chroma)、純度、彩度(saturation)、強度、鮮やかさ、明度(value)、明度(lightness)、明暗などの色の特性および、これらの特性を記述するために使用されるカラーモデルシステムパラメータ、例えばCommission Internationale de l’Eclairage CIE 1976 CIELABの色空間のL*a*b*値などを指す。
「色相」という用語は、色に名前を与える色の特性、例えば赤、青、および茶色などを指す。
【0017】
詳細な説明
以下の本文では、本開示の多数の異なる態様について広く説明する。この説明は例示としてのみ解釈されるべきであり、すべての可能な態様を説明することは不可能ではないにしても非現実的であるため、すべての可能な態様を説明するものではない。本明細書に記載される任意の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップまたは方法論は、全体的または部分的に削除することができ、本明細書に記載される任意の他の特色、特徴、構成要素、組成物、成分、製品、ステップ、または方法論と組み合わせる、もしくは置換することができる。多くの代替態様を、現在の技術またはこの特許の出願日以降に開発された技術を使用して実施することができ、それらは依然として本特許請求の範囲内に含まれるであろう。
【0018】
本発明の好ましい特色および/または任意選択の特色をここで説明する。本発明の任意の側面は、文脈上別段の要求がない限り、本発明の任意の他の側面と組み合わせることができる。文脈上別段の要求がない限り、任意の側面の好ましいまたは任意選択の特徴のいずれも、単独で、または本発明の任意の側面と、ならびに任意の他の好ましいまたは任意選択の特色と、組み合わせることができる。
【0019】
組成物
驚くべきことに、水溶性ペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と組み合わせると、フィコビリン(フィコシアニンなど)が、酸性、熱処理および露光に対して安定であることが見出された。
したがって本発明は、少なくとも1つのフィコビリンと少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とを含む、組成物または着色料組成物を提供する。ある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とは、複合体を形成する。
【0020】
いかなる特定の理論にも束縛されるものではないが、フィコビリン(フィコシアニンなど)と可溶性タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとの間の複合体は、酸性pHでの凝集を予防することにより、熱および酸性度に対するフィコビリン(フィコシアニンなど)の安定性を改善し、熱処理中のタンパク質立体構造を保護する。したがって、本明細書に記載の着色料組成物は、光、熱および/または酸性条件に対して安定な青色等の色を提供する。
本発明は、少なくとも1つのフィコビリンと、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとを含む組成物(または「本発明の組成物」または「本発明の着色料組成物」)を提供し、ここで、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、および任意に、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
【0021】
本発明はまた、少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合することによって得ることができる、少なくとも1つのフィコビリンと、少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質とを含む複合体を提供する。
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
【0022】
フィコビリン
フィコビリンは、シアノバクテリアに見られる集光性顔料であるが、高等植物には存在しない。フィコビリンの基本構造はテトラピロール単位で構成されており、ここで4つのピロール環は開鎖を形成している。光合成生物には、フィコエリスロビリン、フィコシアノビリン、フィコビオロビリン、およびフィコウロビリンの4つの主要なフィコビリンが存在する。π電子共役の程度の違いが、独特の吸収スペクトル特性および発色団の着色の原因となる。フィコエリスロビリンは赤、フィコシアノビリンは青、フィコビオロビリンは紫、およびフィコウロビリンは黄色に見える。
したがって、本発明で使用されるフィコビリンは、フィコエリスロビリン、フィコシアノビリン、フィコビオロビリン、フィコウロビリン、およびそれらの任意の混合物から選択され得る。
【0023】
ある態様において、フィコビリンは、フィコシアニン、アロフィコシアニン、およびフィコエリトリンなどのフィコシアノビリンである。
ある態様において、本発明におけるフィコビリンは、任意で青色を有するフィコシアノビリンであってもよい。
フィコビリタンパク質は、1~2個の直鎖テトラピロール発色団が共有結合したタンパク質骨格を有する、2つのサブユニット(アルファおよびベータ)で構成されている。
ある態様において、フィコビリンはフィコシアニンである。
ある態様において、フィコシアニンは、R-フィコシアニンおよび/またはC-フィコシアニンである。
【0024】
本発明で使用されるフィコビリン(フィコシアニンなど)は、天然起源のものであっても合成起源のものであってもよい。
本発明におけるフィコシアニンは、ある種のシアノバクテリア(藍藻とも呼ばれる)などのタンパク質を含有する任意の供給源から得られたか、または得るることができる。
ある態様において、フィコシアニンは、Arthrospira platensis(スピルリナとも呼ばれる)、Arthrospira fusiformis、Arthrospira maxima、Galdieria daedala、Galdieria sulphuraria、Galdieria maxima、Galdieria partita、Cyanidioschyzon merolae 10D、Cyanidioschyzon merolae DBV201、Cyanidium caldarium、Cyanidium rumpens、Cyanidium daedalum、Cyanidium maximum、Cyanidium partitum、およびそれらの混合物から得られる。
【0025】
ある態様において、フィコシアニンは、シアノバクテリアのフィコシアニンである。
一態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)は、スピルリナ(Arthrospira platensis)由来のフィコシアニンである。
一態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)は極限環境微細藻類に由来し、例えばGaldieria sulphuraria由来のフィコシアニンまたはCyanidioschyzon merolae由来のフィコシアニンである。
【0026】
例えば、限定はされないが、UniProtのCyanidioschyzon merolaeエントリー(アルファ鎖およびベータ鎖)からのフィコシアニンは、Q85G43(https://www.uniprot.org/uniprotkb/Q85G43/entry)、Q85G42 A0A5P9RV70、A0A5P9RVI1である。
例えば、限定はされないが、UniProtのGaldieria sulphurariaエントリーからのフィコシアニンは、P00306(https://www.uniprot.org/uniprotkb/P00306/entry)、P00311である。
Cyanidioschyzon merolaeおよびGaldieria sulphurariaからのフィコシアニンの構造は類似している(例えばUniprot BLASTを使用すると、UniprotエントリーQ85G43とP00306の間には84%の類似性がある)。
一態様において、フィコビリン(水中0.1%)(スピルリナ由来フィコシアニンなど)は、L*値66.23±5%、a*値-33.1±5%、およびb*値-47.52±5%を有する。
【化1】
【0027】
フィコシアノビリンの基本構造
ある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)は、前記フィコビリン(フィコシアニンなど)を含む抽出物、または精製フィコビリン(精製フィコシアニンなど)であり得る。
精製フィコビリン(精製フィコシアニンなど)とは、本発明において、少なくとも80%w/wの純度のフィコビリン(フィコシアニンなど)、例えば少なくとも85%、例えば少なくとも90%、例えば少なくとも95%、または例えば少なくとも99%w/wなどの純度のフィコビリン(フィコシアニンなど)を意味する。
天然抽出物は前述の生物から得ることができ、例えばArthrospira platensis抽出物またはスピルリナ抽出物、Galdieria daedala抽出物、Galdieria sulphuraria抽出物、Galdieria maxima抽出物などである。
【0028】
抽出は、フィコビリン(フィコシアニンなど)のある程度の純度を可能にする当技術分野で知られている任意の方法によって行うことができる。
フィコビリン(フィコシアニンなど)は、水を溶媒として用いて抽出され得る。さまざまな緩衝系を用いて、抽出の収率を改善することができる。例えば1.5%のCaCl水溶液を使用すると、蒸留水およびリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)と比較した場合に、より高い抽出収率が得られ得る。また、リン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、蒸留水、NaCl溶液(0.15M)、およびCaCl溶液(10g/L)も使用し得る(Silveira, S.et al. 2007. Optimization of phycocyanin extraction from Spirulina platensis using factorial design. Bioresource Technology, 98(8), 1629-1634)。ある態様において、酢酸緩衝液(pH5.0)も使用し得る(Ilter, I., et al. 2018. Optimization of phycocyanin extraction from Spirulina platensis using different techniques. Journal of Food Composition and Analysis, 70, 78-88.)。
【0029】
水による抽出は、均質化、ビーズミリング、高圧均質化、マイクロ波処理、超音波処理、パルス電場および中程度の電場などのさらなる処理によって支援することができる(D-P. Jaeschke, et al. 2021. Phycocyanin from Spirulina: A review of extraction methods and stability. Journal of Food Research International, 143, 110314)。
フィコビリン抽出物(フィコシアニン抽出物など)は、少なくとも2%(w/w)、例えば少なくとも5%(w/w)、例えば少なくとも10%(w/w)、例えば少なくとも20%(w/w)、例えば少なくとも30%(w/w)、例えば40%(w/w)、または例えば少なくとも50%(w/w)のフィコシアニンを含み得る。
本発明のある態様において、組成物または複合体中に存在するフィコビリン(フィコシアニンなど)の量は、少なくとも0.5%(w/w)、例えば少なくとも0.7%(w/w)、例えば少なくとも0.9%(w/w)、例えば少なくとも1%(w/w)、例えば少なくとも1.5%(w/w)、例えば少なくとも2%(w/w)、例えば少なくとも2.5%(w/w)、または例えば少なくとも3%(w/w)である。
【0030】
本発明の好ましい態様において、本発明の組成物または複合体中に存在するフィコビリン(フィコシアニンなど)の量は、50%(w/w)未満、例えば40%未満、例えば25%未満、例えば20%(w/w)未満、例えば15%(w/w)未満、例えば13%(w/w)未満、例えば10%(w/w)未満w)、例えば9%(w/w)未満、例えば8%(w/w)未満、例えば7%(w/w)未満、例えば6%(w/w)未満、例えば5%(w/w)未満、例えば4%(w/w)未満、または例えば3%(w/w)未満である。
本発明の特定の態様において、組成物または複合体中に存在するフィコシアニンの量は、0.5~30%(w/w)、例えば0.5~20%(w/w)、例えば0.5~12%(w/w)、例えば0.5~5%(w/w)、例えば0.8~3%(w/w)、例えば1~20%(w/w)、例えば2~12%(w/w)、または例えば3~5%(w/w)である。
本発明の特定のある態様において、フィコシアニンは切断されない。
【0031】
フィコビリン安定化ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質
本発明は、タンパク質、ペプチド、ならびに、タンパク質、ペプチドおよびポリペプチドの組み合わせが、それらを安定化する少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)との安定化複合体を、どのように形成するかを示す。
理論に束縛されることを望まないが、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)を保護する複合体を形成して、フィコビリン(フィコシアニンなど)が酸性条件下、熱処理中および/または露光中に沈殿しないようにすると考えられる。
【0032】
かかる相互作用は、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、得られた組成物および複合体に、予期せぬ予測不可能な特性を与えるであろう。
ある態様において、さらに特定量の遊離アミノ酸が存在してもよい。
ある態様において、本発明による組成物または複合体のpHは、2.0~5.0、好ましくは2.2~4.0、より好ましくは2.3~3.6、最も好ましくは2.4~3.3である。
タンパク質は、1つ以上の長鎖アミノ酸残基を含む大きな生体分子および高分子である。アミノ酸残基の直鎖(定義された立体構造は不在)は、ポリペプチドと呼ばれる。タンパク質は少なくとも1つの長いポリペプチドを含有する。
【0033】
タンパク質は一般に、安定な立体構造をとる完全な生体分子を指すのに使用されるが、ペプチドおよびポリペプチドは一般に、安定した3D構造を欠くことが多い短いアミノ酸オリゴマーを指す。
ほとんどのタンパク質は、折りたたまれて独特の3D構造をとる。タンパク質が自然に折りたたまれる形状は、その天然の立体構造として知られている。
【0034】
タンパク質のさまざまな構造は以下である:
- 一次構造:アミノ酸配列。
- 二次構造:水素結合によって安定化された規則的に反復される局所構造。最も一般的な例は、α-ヘリックス、β-シート、および回転(turns)である。二次構造は局所的であるため、異なる二次構造の領域が、同じタンパク質分子内に多数存在する可能性がある。
- 三次構造:単一タンパク質分子の全体的形状;二次構造相互の空間的関係。三次構造は一般に、非局所的相互作用、最も一般的には疎水性コアの形成によって安定化されるが、塩橋、水素結合、ジスルフィド結合、さらには翻訳後修飾によっても安定化される。「三次構造」という用語は、折りたたみという用語の同義語としてよく使用される。三次構造は、タンパク質の基本的な機能を制御するものである。
- 四次構造:いくつかのタンパク質分子(ポリペプチド鎖)により形成される構造、この文脈では通常タンパク質サブユニットと呼ばれ、単一タンパク質複合体として機能する。
【0035】
ある態様において、タンパク質は、一次、二次、三次、または四次構造を有し得る。
ある態様において、タンパク質は、動物、植物、酵母および/または細菌起源からである。
ある態様において、タンパク質は完全または部分的に変性されており(すなわち、二次、三次または四次構造が部分的または完全に失われており)、それによりポリペプチドを形成する。
ある態様において、タンパク質は加水分解され、加水分解の結果、異なるサイズのペプチドおよび/またはポリペプチドが得られる。
本発明において、用語「ポリペプチド」は、定義された立体構造を持たないアミノ酸残基の直鎖として理解される。ポリペプチドは、変性および/または加水分解された1つ以上のタンパク質に由来し得る。
【0036】
本開示において、用語「ペプチド」または「オリゴペプチド」は、アミノ酸の短鎖を示すものと理解される。本発明におけるペプチドは、1つ以上のタンパク質に、例えば1つ以上のタンパク質の加水分解に、由来し得る。ある態様において、「ペプチド」または「ペプチド原料」はタンパク質加水分解物を示すものと理解され、長さが異なり得るあらゆる種類のペプチド、および加水分解により生じる一定量の遊離アミノ酸を含有し得る。タンパク質原料は、1つ以上の加水分解酵素を用いるなど、当技術分野で知られている任意の手段によって加水分解され得る。一例では、低いエキソペプチダーゼ活性を有する酵素調製物が使用されて、遊離アミノ酸の遊離を最小限に抑え、タンパク質加水分解物の味覚プロファイルを改善する。ある態様において、ペプチド原料は、約300~約10,000ダルトンの分子量を有し、別の態様において、約300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、または500~2000ダルトンなどを有する。
【0037】
ある態様において、ペプチドは40未満の残基、例えば30未満の残基を含有する。
合成起源のタンパク質、ポリペプチドおよびペプチドもまた、本発明で使用することができる。
タンパク質の加水分解は、化学的および酵素的方法によって実施し得る。タンパク質の加水分解に使用される酵素のほとんどは、動物源(パンクレアチンおよびペプシンなど)、植物源(パパイヤのパパイン、イチジクのフィシン、およびパイナップルのブロメラインなど)、および微生物源(アルカラーゼなど)からである。
【0038】
タンパク質分解酵素は最適な温度およびpHでタンパク質を加水分解し、通常は特定のペプチド切断結合を標的とし、その結果、さまざまなサイズのアミノ酸とペプチドからなる消化が行われる。動物源からの酵素は、その作用においてより広範に特異的な植物酵素と比較して、その作用部位に対しより特異的である。例えば酵素ペプシンは、フェニルアラニンまたはロイシン結合を切断する。パパインは幅広い特異性を有し、フェニルアラニン、アルギニン、およびリシンの結合を切断する。パンクレアチンは、トリプトファン、アルギニン、チロシン、ロイシン、フェニルアラニン、およびリシン結合を切断する。
タンパク質の加水分解は、酵素的に、または十分な量の酸を添加することによって、または酵素(プロテイナーゼおよびペプチダーゼ活性)と酸の組み合わせによって行うことができる。例えば、塩酸を使用する場合、加水分解混合物中の最終濃度5.5Mで使用する。他の酸は、5.5M塩酸と同様のpHが得られる量で使用することができる。
【0039】
酵素加水分解の場合、1つ以上の酵素を含有し、かつプロテイナーゼ活性とペプチダーゼ活性の両方を有する酵素または酵素調製物が、1つ以上の酵素に適した温度で使用される。適切な温度は、酵素の温度要件に従って選択される。例えば、UMAMIZYME(商標)は約40℃~約60℃の温度に耐えるが、最適温度は約55℃である。有用な酵素は、プロテアーゼ酵素調製物、例えばUMAMIZYME(商標)(Amano, Elgin, IL)である。プロテアーゼ調製物には2種類の酵素が含まれている;タンパク質を加水分解して小さなペプチドを形成するプロテイナーゼと、タンパク質およびペプチドの末端からアミノ酸を放出するペプチダーゼである。UMAMIZYME(商標)はAspergillus oryzaeに由来しており、Endo活性とExo活性が豊富である。
【0040】
使用する酵素はすべて、食品グレードのものである必要がある。必要な酵素の量または単位は、十分な活性を確保し、苦味の発生を避けるように選択される。酵素の量はタンパク質の量によって異なり、酵素:タンパク質の比率が0.5:20~3:20(エンドウ豆タンパク質20部に対して酵素0.5~3部)、例えば酵素:タンパク質が1:20である必要がある(UMAMIZYME(商標)はpH7で70U/gを有する)。
酸加水分解では、例えば、塩酸、乳酸、リン酸、およびクエン酸のうちの1つ以上を含む酸を使用することができる。加水分解は、適切な温度、例えば約50℃~約70℃で行われる。
ある好ましい態様において、酵素はペプシンである。
【0041】
別の代替法は、酸加水分解と酵素加水分解の組み合わせである。この場合、酸、酵素、pH、温度は、それらが適合するように選択する必要がある。多数のプロテイナーゼおよびペプチダーゼ酵素に関する関連データは既知であり、容易に入手可能である。
酸加水分解の可能性はあるが、酸を中和する際に少量の塩が添加されるため、不利な点がある。得られた塩強化剤は、減塩製品に依然として有用であるが、減塩の可能性はわずかに制限され得る。さらに重要なことは、汚染物質である3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)および他のモノクロロプロパノールおよびジクロロプロパノール汚染物質が生成される可能性があり、これは潜在的な健康への悪影響について議論されているため、消費者は、3-MCPDを含有するかまたは含有する可能性のある製品を、避ける傾向がある。
【0042】
ある態様において、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、発酵プロセスによって得ることができる。さまざまな細菌株を使用してタンパク質(例えば植物タンパク質)を発酵させ、タンパク質とペプチドが豊富な生成物を得ることができる。ある態様において、炭水化物分子の大部分を次に発酵中に除去して、高タンパク質および/または高ペプチド生成物が得られる。
ある態様において、発酵タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、当技術分野で周知の方法によって調製され得る。タンパク質源、例えば、塊茎(ジャガイモなど)、種子(エンドウ豆、大豆など)、豆類(リョクトウなど)、穀類(米など)等の本明細書に記載の植物タンパク質源は、一晩、例えば12時間、使用する微生物に適した温度で培養することができる。例えば、L. plantarum、L. casei、L. brevisおよびL. helveticusなどのラクトバチルス属(乳酸菌)を使用することができる。37℃はL. plantarumに適した温度である。任意の適切な培地を選択することができ、例えばMRSブロス(Difco、United States of America)である。
【0043】
微生物(ラクトバチルス属など)による発酵を、加水分解されたタンパク質を発酵ブロスとして使用し、十分な量の一晩タンパク質源(ジャガイモ、リョクトウなど)培養物を添加して、少なくともpH6以上、例えば6~7のpHで開始する。発酵は、pHが少なくともpH5.5以下に、例えばpH5.5からpH4.5に低下するまで進行させられ、これには通常約5~12時間かかる。発酵温度は、微生物に適応するように選択される。ラクトバチルス菌、特にL. plantarumにとって有用な温度範囲には、例えば、約20℃~約40℃、約30℃~約40℃、または約35℃~約40℃が含まれ、最適なのはおよそ36℃~38℃である。低温では増殖速度が低下し、高温では微生物が死滅する。
【0044】
発酵後(一旦低pHになったら)、発酵ブロスを90℃で30分間低温殺菌し、微生物および酵素を不活化する。
その後、低温殺菌発酵ブロスを濾過して大きな粒子を除去し、例えば100℃までの沸騰を含む例えば蒸発によって、濃縮することができる。
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、および/または、4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、7を超える、または例えば7.5を超えるIEPを有する。
【0045】
「水溶性」という用語は、1つ以上のタンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはそれらの混合物の少なくとも50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、または例えば99%が、水溶性であることを示すと理解され、すなわち、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、例えば少なくとも1日、少なくとも10日、少なくとも30日、少なくとも2ヶ月、または少なくとも9か月などの一定期間後に、沈殿しない。
ある態様において、異なるタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの混合物が本発明の組成物または複合体に使用される場合、前記タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの少なくとも50%が水溶性、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、または例えば少なくとも99%が水溶性である。好ましい態様において、本発明の組成物または複合体に使用されるタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの少なくとも80%が、水溶性である。
【0046】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、酸性条件下で可溶性であり、例えば、6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満のpHで可溶性である。ある態様において、異なるタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの混合物が本発明の組成物または複合体において使用される場合、前記タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの少なくとも50%は酸性条件下で可溶性であり、例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、または例えば少なくとも99%は可溶性である。
等電点(IEP)とは、あるタンパク質またはポリペプチドのゼータ電位がゼロになるpH値である。IEPはゼータサイザーを使用して測定することができ、ゼータ電位の変化をpHの関数として表示すると、IEPは、ゼータ電位のゼロ値に起因される。
【0047】
ある態様において、タンパク質は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および植物、動物または酵母起源からの任意の他の可溶性タンパク質、ならびにそれらの任意の混合物から選択される。前述したように、好ましくは、本発明の複合体の組成物中に存在するアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および植物、動物または酵母起源からの任意の他の可溶性タンパク質、ならびにそれらの混合物は、水溶性である。ある態様において、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物の少なくとも50%は水溶性であり、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物の例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、または例えば少なくとも99%は、水溶性である。好ましい態様において、本発明の組成物または複合体に使用されるアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物の少なくとも80%は、水溶性である。
【0048】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、本質的に水溶性のアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および植物、動物または酵母起源からの任意の他の可溶性タンパク質、およびそれらの混合物を含み、および任意に、それらに由来する水溶性ポリペプチドおよび/または水溶性ペプチドを含む。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、水溶性のアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物、植物、動物または酵母起源からの任意の他の可溶性タンパク質、それらの任意の混合物、およびそれらに由来する水溶性のポリペプチドおよび/またはペプチド(すなわち、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチンに由来するもの、およびそれらの混合物)を含む。
【0049】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および植物、動物または酵母起源からの任意の他のタンパク質のうちの1つ以上に由来する、水溶性ポリペプチドおよび/または水溶性ペプチドを含む。
ある態様において、タンパク質は、ホエータンパク質から得られないか、または本質的にホエータンパク質を含まない。ホエータンパク質には、β-ラクトグロブリン(略称β-LG)、α-ラクトアルブミン(α-LA)、免疫グロブリン(IG)、ウシ血清アルブミン(BSA)、ウシラクトフェリン(BLF)、およびラクトペルオキシダーゼ(LP)が含まれる。
【0050】
ある態様において、アルブミンはBSAではない。
ある態様において、ポリペプチドまたはペプチドは、ホエータンパク質から得られない。
アルブミンは、動物と植物の両方に見られる水溶性の球状タンパク質である。アルブミンタンパク質配列の例は、文献に引用されている。例えば、これに限定されないが、UniProtのジャガイモアルブミンエントリーはM0ZKG8_SOLTUおよびM0ZKI9_SOLTUである。
現在UniProtデータベースには、リョクトウアルブミンに関する2つの主要なエントリーがある;Q9FRT8は10kDaタンパク質断片を詳述するレビュー済みエントリーであり、Q43680は30kDaタンパク質を詳述する未レビューのエントリーである。また、いくつかのアルブミン様タンパク質がUniProtデータベースで報告されている:A0A1S3U7A2、A0A1S3W1Y8、A0A1S3W1L3、A0A1S3THU2、A0A1S3VX99、A0A1S3UZE0、A0A1S3VUC6、A0A1S3V3Y6、A0A1S3V3H6、A0A1S3V3D6、およびA0A1S3UZ12。
【0051】
さまざまなエンドウ豆(Pisum sativum)アルブミンがUniProtデータベースに報告されている:P62931、P62929、P62928、P62927、P62926、D4AEP7、およびP62930。
ある態様において、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、および植物、動物または酵母起源からの任意の他のタンパク質、ならびにそれらの任意の混合物は、水溶性、酸性条件下で可溶性であり、および/または4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、7、または例えば7.5を超える、IEPを有する。
本発明における「少なくとも1つのタンパク質」とは、本発明の組成物または本発明の複合体が、1種類のタンパク質のみ(例えば、アルブミンのみまたはアルブミン様タンパク質のみ)またはタンパク質の複合混合物(例えば、アルブミンおよびグルテリンなどのタンパク質の混合物)を含み得ることが理解される。
【0052】
本発明の組成物および複合体は、1つ以上のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含むことができ、したがって、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの混合物は、1つの単一種類または異なる複数種類のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含み得ることが理解される。ある態様において、ポリペプチドおよびペプチドは、同じタンパク質または異なるタンパク質に由来し得る(例えば、タンパク質はアルブミンであり、ペプチドはグロブリンおよびグルテリンに由来する)。
ある例示的態様によれば、タンパク質は、1つ以上のアルブミンであり、および任意に前記アルブミンに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドである。
【0053】
ある例示的態様によれば、タンパク質は1つ以上のアルブミンであり、および任意に、ポリペプチドおよび/またはペプチドは異なるタンパク質に由来する;例えばグロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物など。
すでに前述したように、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、天然起源または合成起源のものであり得、および植物起源または動物起源のものであり得る。
ある態様において、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、植物由来タンパク質、植物由来ポリペプチドおよび/または植物由来ペプチドである。タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、タンパク質を含有する植物の任意の部分(葉、茎、穀物、果実、塊茎など)に由来することができ、水溶性であり、任意に酸性条件下で可溶性であり、および/または4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、7、または7.5を超えるIEPを有する。
【0054】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)は、限定することなく、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなどを含む塊茎類に、およびショウガ、竹などの根茎に由来し得る。
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)は豆類に由来し得、これは限定することなく以下を含む:リョクトウ、クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、およびそれらの混合物。
【0055】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)はナッツに由来し得、これは限定することなく以下を含む:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、およびそれらの混合物。
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)は植物種子に由来し得、これは限定することなく以下を含む:チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、およびそれらの混合物。
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)は穀物に由来し得、これは限定することなく以下を含む:オートミール、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物。
【0056】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(例えばアルブミン、アルブミン由来のポリペプチドおよび/またはペプチド)は水溶性であり、酸性条件下で可溶性であり、および/または4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、7、または例えば7.5を超えるIEPを有し、以下に由来し得る:
a)塊茎類、これは限定することなく以下を含む:ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
b)豆類、これは限定することなく以下を含む:クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物;
【0057】
c)ナッツ類、これは限定することなく以下を含む:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物;
d)植物の種子から、これは限定することなく以下を含む:チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物;
e)穀物から、これは限定することなく以下を含む:オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物;
および/または
f)タンパク質が豊富な植物の任意の他の部分。
【0058】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つの植物由来タンパク質は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチンおよび/またはグリアジン(およびそれらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチド)から選択され、以下に由来するかまたは以下から取得され得る:
a)塊茎類、これは限定することなく以下を含む:ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
【0059】
b)豆類、これは限定することなく以下を含む:クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物;
c)ナッツ類、これは限定することなく以下を含む:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物;
d)植物の種子、これは限定することなく以下を含む:チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物;
e)穀物、これは限定することなく以下を含む:オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物。
【0060】
ある態様において、タンパク質は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、少なくとも90%、例えば少なくとも99%の単一種類のタンパク質(アルブミンなど)またはタンパク質の混合物(アルブミンまたはアルブミン様タンパク質および/またはグルテリンなど)を含む、天然の抽出物(例えば動物および/または植物起源のもの)である。
ある態様において、タンパク質は、前述の1つ以上の植物および/または動物源からの1つ以上のアルブミン(ジャガイモアルブミンなど)である。
本発明の組成物または複合体のある態様において、タンパク質はジャガイモから得られ、ポリペプチドおよび/またはペプチドはリョクトウ、エンドウ豆、大豆および/または米から得られる。
【0061】
本発明の組成物または複合体のある態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択される。
本発明の組成物または複合体のある態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択され、および任意に、それらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
【0062】
本発明の組成物または複合体のある態様において、少なくとも1つのタンパク質は、アルブミン、具体的には植物アルブミン、より具体的にはジャガイモアルブミンであり、さらにそれらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
本発明の組成物または複合体のある態様において、タンパク質は、アルブミン、具体的には植物アルブミン、より具体的にはジャガイモアルブミンであり、さらに、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、および/またはグルテリン(例:グルテリンA1およびB1)に由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
本発明の組成物または複合体のある態様において、アルブミンはジャガイモから得られ、および任意に、リョクトウ、エンドウ豆、大豆および/または米から得られるアルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、および/またはグルテリン(例:グルテリンA1およびB1)に由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
【0063】
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、ジャガイモアルブミンなどの少なくとも1つの動物および/または植物アルブミンを含み、および任意に、それに由来するポリペプチドおよび/またはペプチド(すなわち、アルブミンに由来するポリペプチドおよび/またはペプチド、例えばジャガイモアルブミン由来ポリペプチドおよび/またはペプチド)を含む。
本発明の組成物または複合体のある態様において、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、分子量200~約6000ダルトン、300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有する。
【0064】
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、少なくとも1つの動物および/または植物アルブミン、例えばジャガイモアルブミン、リョクトウアルブミン、エンドウ豆アルブミン、大豆アルブミン、卵アルブミンなどを含み、および任意に、分子量が300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンの、リョクトウ、エンドウ豆、大豆および/または米に由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、ジャガイモアルブミンと、分子量が500Da~3000Daの範囲であり、大部分が800~2000Daであるエンドウ豆由来のポリペプチドおよび/またはペプチドとを含む。
【0065】
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、ジャガイモアルブミンと、分子量が200Da~2000Daの範囲であり、大部分が300~1000Daである大豆由来のポリペプチドおよび/またはペプチドとを含む。
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、タンパク質が豊富なジャガイモ抽出物と、分子量が500Da~3000Daの範囲であり大部分が800~2000Daである、ポリペプチドおよび/またはペプチドが豊富なエンドウ豆の抽出物とを含む。
ある態様において、本発明の組成物または本発明の複合体は、タンパク質が豊富なジャガイモ抽出物と、分子量が200Da~2000Daの範囲であり大部分が300~1000Daである、ポリペプチドおよび/またはペプチドが豊富な大豆の抽出物とを含む。
【0066】
本発明の組成物および複合体のある態様において、少なくとも1つのタンパク質とペプチドの比率は、約100:1~1:100、例えば、90、80、70、60、50、40、30、20、10対(:)20、30、40、50、60、70、80、90、例えば90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90などである。本発明の組成物および複合体のある態様において、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの比率は、約10:1~約1:10であり、例えば、約5:1~約1:5、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2などである。
本発明の組成物および複合体の好ましい態様において、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの比率は、約100:1~1:100、例えば90、80、70、60、50、40、30、20、10対(:)20、30、40、50、60、70、80、90、例えば50:1~約1:50、例えば約40:1~約1:40、例えば約30:1~約1:30、例えば約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2などである。
【0067】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、液体または固体組成物として提供される。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、1~95%w/wのフィコビリン(フィコシアニンなど)と1~95%w/wの少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む、濃縮配合物として提供される。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、1~90%w/wのフィコビリン(フィコシアニンなど)、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90から、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1w/wまでのフィコビリン(フィコシアニンなど)を含む。
【0068】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、1~95%w/wのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95から、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1%w/wまでのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、例えば50%のフィコビリン(フィコシアニンなど)と50%のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約5~15%w/w、例えば約9%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約5%~15%w/w、例えば約10%w/wのジャガイモタンパク質、および約5%~15%w/w、例えば約10%w/wのリョクトウペプチドおよび水を含み、および任意に、リョクトウペプチドは、分子量300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有し、およびジャガイモタンパク質はアルブミンを含む。
【0069】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、最終食品に色を提供するために添加できる液体として提供される。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約20~40%w/w、例えば約33%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約20~40%w/w、例えば、約33%w/wのジャガイモタンパク質、および約20~40%w/w、例えば約33%w/wのリョクトウペプチドを含み、ついで乾燥組成物となる。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約5~15%w/w、例えば約9%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約5%~約20%w/w、例えば約13%w/wのジャガイモタンパク質、および約20%~約50%w/w、例えば約37%w/wの米ペプチドおよび水、任意に、米ペプチドは分子量300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有し、およびジャガイモタンパク質はアルブミンを含む。
【0070】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、最終食品に所望の色を提供するために添加できる液体として提供される。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約10%~20%w/w、例えば約14%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約10~約30%、例えば約20%w/wのジャガイモタンパク質、および約50%~約70%w/w、例えば約66%w/wの米ペプチドを含み、ついで乾燥組成物となり、任意に米ペプチドは分子量300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有し、およびジャガイモタンパク質はアルブミンを含む。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約5~15%w/w、例えば約9%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約5%~約20%w/w、例えば約13%w/wのジャガイモタンパク質、および約20%~約50%w/w、例えば約37%w/wの大豆ペプチドおよび水を含む。ある態様において、本発明の組成物または複合体は、最終食品に所望の色を提供するために添加できる液体として提供される。
【0071】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、約10%~20%w/w、例えば約14%w/wのフィコシアニン(スピルリナまたはガルディエリアフィコシアニンなど)、約10%~約30%、例えば約20%w/wのジャガイモタンパク質、および約50%~約70%w/w、例えば約66%w/wの大豆ペプチドを含み、ついで乾燥組成物となる。
当業者は、本発明の安定化組成物または複合体が、さらなる担体または他の賦形剤(食品として承認された担体または賦形剤など)と共に配合され得ること、およびそれらの安定化組成物または複合体が最終用途で使用されて、安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)の特徴的な色を提供し得ることを理解する。
【0072】
本発明はまた、以下を含む組成物にも関する:
i)少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアノビリンなど)、および
ii)1つ以上のペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む少なくとも1つのタンパク質抽出物、ここで少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
【0073】
本発明は、以下を含む複合体にも関する:
i)少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアノビリンなど)、および
ii)少なくとも1つのタンパク質抽出物と少なくとも1つのフィコシアノビリンを含む組成物とを水溶液中で混合することによって得ることができる、1つ以上のペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む少なくとも1つのタンパク質抽出物、ここで少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
タンパク質抽出物は、動物、植物、酵母および/または細菌起源のものであってもよい。好ましい態様において、タンパク質抽出物は、動物および/または植物起源のものである。
【0074】
「植物タンパク質抽出物」(例:「ジャガイモタンパク質抽出物」、「リョクトウタンパク質抽出物」、「米タンパク質抽出物」)とは、本発明において、植物または植物の一部(例:ジャガイモ、リョクトウ、米、エンドウ豆および任意の他の植物)から得られた、または得ることができ、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む抽出物として理解される。
ある態様において、タンパク質抽出物(例:植物および/または動物タンパク質抽出物)は、少なくとも30%w/w、40%w/w、50%w/w、60%w/w、70%w/w、80%w/w、少なくとも90%w/w、例えば少なくとも99%w/wの、ペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含む。
好ましい態様において、タンパク質抽出物(例:ジャガイモタンパク質抽出物、リョクトウタンパク質抽出物、米タンパク質抽出物、エンドウ豆タンパク質抽出物などの植物および/または動物タンパク質抽出物)は、タンパク質が豊富である。ある態様において、抽出物(例:植物および/または動物タンパク質抽出物)は、ポリペプチドおよび/またはペプチドが豊富である。
【0075】
本発明において「タンパク質が豊富」または「タンパク質に富む」とは、植物または動物タンパク質抽出物(例:ジャガイモタンパク質富化抽出物、リョクトウタンパク質富化抽出物、米タンパク質富化抽出物、エンドウ豆タンパク質富化抽出物)が、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%、例えば少なくとも99%w/wのタンパク質を含むことを意味する。ある態様において、植物または動物タンパク質富化抽出物は、水溶性および/または酸性条件下で可溶性であり、および任意に、4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、7を超える、または例えば7.5を超えるIEPを有する。
本発明において「ペプチドが豊富」または「ペプチドに富む」とは、植物または動物タンパク質抽出物(例:ジャガイモタンパク質富化抽出物、リョクトウタンパク質富化抽出物、米タンパク質富化抽出物、エンドウ豆タンパク質富化抽出物)が、少なくとも50%、例えば少なくとも60%、70%、80%、または少なくとも90%、例えば少なくとも99%の、ペプチドおよび/またはポリペプチドのタンパク質を含むことを意味する。
【0076】
ある態様において、タンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物またはペプチドに富むタンパク質抽出物)は、少なくとも50%、60%、70%、または80%、例えば少なくとも90%のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含み、これらは水溶性および/または酸性条件下で可溶性であり、および任意に、4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5または7を超える、例えば7.5を超えるIEPを有する。
ある態様において、タンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物またはペプチドに富むタンパク質抽出物)は、少なくとも50%、60%、70%、または80%、例えば少なくとも90%のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含み、これらは4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5または7を超える、例えば7.5を超えるIEPを有する。
【0077】
ある態様において、タンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物)は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%、例えば少なくとも99%の、1種類のタンパク質(例:アルブミンまたはアルブミン様タンパク質)を含む。
ある態様において、タンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物)は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%、例えば少なくとも99%の、タンパク質の混合物(例:アルブミンまたはアルブミン様タンパク質およびグルテリン)を含む。
ある態様において、タンパク質抽出物は、少なくとも30%、40%、50%、60%、70%、80%、または少なくとも90%、例えば少なくとも99%の1種類のタンパク質(例:アルブミンまたはアルブミン様タンパク質)、および任意に、それに由来するポリペプチドおよび/またはペプチド(例:アルブミン由来ペプチド)を含む。
【0078】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つのタンパク質抽出物は、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含み、これは以下に由来し得る:
a)塊茎類、これは限定することなく以下を含む:ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
b)豆類、これは限定することなく以下を含む:クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物;
【0079】
c)ナッツ類、これは限定することなく以下を含む:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物;
d)植物の種子から、これは限定することなく以下を含む:チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物;
e)穀物から、これは限定することなく以下を含む:オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物;
f)卵、乳、およびタンパク質が豊富なその他の動物源;
およびそれらの混合物。
【0080】
ある例示的態様によれば、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:植物または動物のタンパク質抽出物)は、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含み、これらは、水溶性および/または酸性条件下で可溶性であり、および任意に、4を超える、例えば4.5、5、5.5、6、6.5、または7を超える、例えば7.5を超えるIEPを有し;
および、以下に由来し得る:
a)塊茎類、これは限定することなく以下を含む:ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
【0081】
b)豆類、これは限定することなく以下を含む:クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物;
c)ナッツ類、これは限定することなく以下を含む:アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物;
d)植物の種子から、これは限定することなく以下を含む:チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物;
e)穀物から、これは限定することなく以下を含む:オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物;
f)卵、乳、およびタンパク質が豊富なその他の動物源;
およびそれらの混合物。
【0082】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物などの、植物または動物タンパク質抽出物)は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの任意の混合物から選択されるタンパク質、および任意に、それらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
【0083】
前述したように、好ましくは、アルブミン、グロブリン、グルテリン、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および植物、動物または酵母起源の任意の他のタンパク質、ならびにそれらの任意の混合物から選択される1つ以上のタンパク質は、水溶性である。ある態様において、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のタンパク質の少なくとも50%は水溶性であり、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物の例えば少なくとも60%、70%、80%、90%、または例えば少なくとも99%は水溶性である。好ましい態様において、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択される1つ以上のタンパク質の少なくとも80%は水溶性である。
【0084】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物などの、植物または動物タンパク質抽出物)は、水溶性の、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、および動物、植物または酵母起源の他の任意の可溶性タンパク質、ならびにそれらの任意の混合物のみを含む。
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:タンパク質に富むタンパク質抽出物などの、植物または動物タンパク質抽出物)は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物などの水溶性タンパク質、ならびにそれらに由来する水溶性ポリペプチドおよび/または水溶性ペプチド(すなわち、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリンおよびそれらの混合物)を含む。
【0085】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:ペプチド富化抽出物などの、植物または動物タンパク質抽出物)は、例えば、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物に由来する水溶性ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
ある態様において、ペプチドは、分子量約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有する。
【0086】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質抽出物(例:植物または動物タンパク質抽出物)は、少なくとも50%、60%、70%、80%、80%、または例えば99%のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドであって、酸性条件下で可溶性であり、例えば、pH6未満、5未満、4未満、3未満、または2未満において可溶性であるものを含む。
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、ジャガイモタンパク質抽出物(例:タンパク質に富むジャガイモ抽出物、またはペプチドに富むジャガイモ抽出物)を含み、および任意に、リョクトウタンパク質抽出物(例:タンパク質に富む、および/またはペプチドに富むリョクトウ抽出物)を含む。
【0087】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、40%w/w、50%w/w、60%w/w、70%w/w、80%w/w、少なくとも90%w/w、または例えば少なくとも99%w/wのジャガイモアルブミンを含むジャガイモ抽出物(例:タンパク質に富むジャガイモ抽出物)を含み、および任意に、少なくとも50%w/w、60%w/w、70%w/w、80%w/w、または例えば少なくとも90%w/wのポリペプチドおよび/またはペプチドを含むリョクトウ抽出物(ペプチドに富むリョクトウ抽出物)を含む。
ある態様において、天然抽出物は、少なくとも20%w/w、少なくとも30%w/w、40%w/w、50%w/w、60%w/w、70%w/w、80%w/w、少なくとも90%w/w、または例えば少なくとも99%w/wのジャガイモアルブミンを含み、および任意に、リョクトウ由来のポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
【0088】
さまざまな植物タンパク質抽出物およびその製造方法が文献に記載されている。ジャガイモタンパク質抽出物およびその抽出方法は、例えばPeksa A. et al (Food 2009. 79-87 Global science books)に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。
植物タンパク質抽出物の製造方法は、当技術分野で知られている。例えば、可溶性タンパク質、タンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを抽出する場合、水または酸性水を溶媒として使用することができる。
タンパク質が豊富な植物または植物の一部(例:ジャガイモ、リョクトウ、米、エンドウ豆など)は、抽出前に加工することができ、例えば、洗浄、乾燥、粉砕(milled)、または粉砕(grounded)などを行うことができる。
【0089】
例えば、抽出プロセスは次のステップを含み得る:
(i)タンパク質が豊富な植物または植物の一部(例:ジャガイモ、リョクトウ、米、エンドウ豆など)の、適切な溶媒(水など)による抽出;
(ii)溶媒の蒸発;および、必要に応じて
(iii)抽出物の精製(例:クロマトグラフィー、膜濾過などによる)。
ある態様において、抽出温度は約20℃~約100℃の範囲である。特定の態様において、抽出温度は約50℃~約70℃の範囲である。典型的には、抽出プロセスで使用される植物材料と溶媒混合物の比率は、グラム対ミリリットルベースで約1:1~約1:10まで、例えば約1:3~約1:8まで変化する。インキュベーション期間(すなわち、植物材料が溶媒と接触している期間)は、典型的には約2時間~約24時間である。
【0090】
機械的エネルギーを、抽出プロセス中に適用することができる。機械的エネルギーを適用すると、混合物の均質化が促進され、出発生物原料の物理的構造が変化し、抽出収量が増加する。
ある態様において、タンパク質抽出物を変性および/または加水分解(化学的、熱的または酵素的)に供して、ポリペプチドおよび/またはペプチド抽出物を得ることができる。ある態様において、タンパク質原料は、1つ以上の加水分解酵素によって加水分解され得る。一例では、低いエキソペプチダーゼ活性を有する酵素調製物を使用して、遊離アミノ酸の遊離を最小限に抑え、タンパク質加水分解物の味覚プロファイルを改善する。
処理の種類(すなわち、使用する酵素)、処理の時間および温度は、ポリペプチドおよびペプチドの長さに影響を与え得る。
【0091】
任意に、規定のインキュベーション時間後の酵素を、熱処理によって破壊することができる。さらにペプチドは、遠心分離または当技術分野で公知の他の技術により分離し、その後、例えば膜濾過または当技術分野で公知の他の適切な技術を使用して精製することができる。追加の滅菌ステップを使用することもできる。任意に、ペプチド調製物は、例えば噴霧乾燥を使用して乾燥してもよい。
動物タンパク質およびペプチド(ポリペプチドおよび/またはペプチド抽出物)は、以前に記載の方法を使用して得ることができる。
ある態様において、ペプチド富化抽出物からのペプチドは、分子量約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトンを有する。
【0092】
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、植物または動物タンパク質富化抽出物(例:アルブミンを含むジャガイモタンパク質抽出物などの、ジャガイモタンパク質抽出物)、および任意に、植物または動物ペプチド富化抽出物(例:リョクトウペプチド富化抽出物、米ペプチド富化抽出物、および/またはエンドウ豆ペプチド富化抽出物)を含む。
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、前述のようなタンパク質が豊富なジャガイモタンパク質抽出物を含み、および任意に、分子量が約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンのペプチドを含むリョクトウペプチド富化抽出物を含む。
【0093】
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、前述のようなタンパク質が豊富なジャガイモタンパク質富化抽出物を含み、および任意に、分子量が約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンのペプチドを含む米ペプチド富化抽出物を含む。
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、前述のようなタンパク質が豊富なジャガイモタンパク質富化抽出物を含み、および任意に、分子量が約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば800~2000ダルトンのペプチドを含むエンドウ豆ペプチド富化抽出物を含む。
【0094】
ある態様において、本発明の組成物および複合体は、前述のようなジャガイモタンパク質富化抽出物を含み、および任意に、分子量が300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンのペプチドを含むリョクトウペプチド富化抽出物、および、分子量が300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンのペプチドを含む米ペプチド富化抽出物を含む。
【0095】
好ましい態様において、ジャガイモタンパク質抽出物は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、および/またはプロラミンなどのタンパク質が豊富である。ある態様において、ジャガイモタンパク質抽出物は、少なくとも50%w/wのアルブミン、例えば少なくとも60%w/wのアルブミン、例えば少なくとも70%w/wのアルブミン、例えば少なくとも80%w/wのアルブミン、または例えば少なくとも90%w/wアルブミンなど、および任意に1つ以上のグロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、および/またはプロラミンを含み、および任意に、それらに由来するポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。
【0096】
好ましい態様において、リョクトウペプチド(例:ペプチドに富むリョクトウ抽出物)は、分子量が300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンであり、および任意に、1つ以上の次のタンパク質:アルブミン、グロブリンおよびグルテリン、に由来する、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。好ましい態様において、ペプチドは主に、アルブミンに由来する(例えば、ペプチドの少なくとも60%w/w、例えば70%w/w超、例えば80%w/w超、例えば90%w/w超はアルブミンペプチドである)。
【0097】
好ましい態様において、米ペプチド(例:ペプチドに富む米抽出物)は、グルテリンA1およびB1などのグルテリンからのポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。ある態様において、米ペプチドは、分子量300~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトンを有し、および任意に、アルブミン、グロブリン、およびグルテリンのタンパク質のうちの1つ以上に由来する。好ましい態様において、ペプチドは、アルブミンペプチド(例:約10%w/w~30%w/wまたは約30%w/w~70%w/w)および/またはグルテリンペプチド、例えばグルテリンA1およびB1(例:30%~約70%w/w)などである。ある態様において、ペプチドは、ペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0098】
好ましい態様において、エンドウ豆ペプチド(例:ペプチドに富むエンドウ豆抽出物)は、ビシリン、レグミンA、プロビシリン、コンビシリン、レグミンJ、および/またはアルブミン2からのポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。ある態様において、エンドウ豆ペプチドは、分子量100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば800~2000ダルトンを有する。ある態様において、ペプチドは、ペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0099】
好ましい態様において、大豆ペプチド(例:ペプチドに富む大豆抽出物)は、グリシンG1および/またはβ-コングリシシンからのポリペプチドおよび/またはペプチドを含む。ある態様において、大豆ペプチドは、分子量100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば800~2000ダルトンを有する。ある態様において、ペプチドは、ペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0100】
本発明の組成物および複合体のある態様において、タンパク質富化抽出物(例:ジャガイモタンパク質富化抽出物)とペプチド富化抽出物(例:ペプチドに富むリョクトウ抽出物)の比率は、約100:1~1:100、例えば90:10、80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、20:80、または10:90などである。本発明の組成物および複合体のある態様において、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも植物タンパク質抽出物(例:ジャガイモタンパク質抽出物、mungタンパク質抽出物、米タンパク質抽出物および/またはエンドウ豆タンパク質抽出物)の比率は、約50:1~約1:50、例えば約40:1~約1:40、例えば約30:1~約1:30、例えば約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2である。
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、25%w/wの総フィコシアニンを有する0.025%スピルリナ抽出物、少なくとも90%w/wのタンパク質を有する0.075%ジャガイモタンパク質抽出物、および少なくとも80%w/wのペプチドを有するペプチドが豊富な0.075%エンドウ豆抽出物を含み、任意にエンドウ豆ペプチドは、500Da~3000Daの範囲の分子量を有し、大部分が800~2000Daの間である。
【0101】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、25%w/wの総フィコシアニンを有する0.025%のスピルリナ抽出物、少なくとも90%w/wのタンパク質を有する0.075%のジャガイモタンパク質抽出物、および、少なくとも80%w/wのペプチドを有するペプチドが豊富な0.075%大豆抽出物を含み、任意に大豆ペプチドは、200Da~2000Daの範囲の分子量を有し、大部分は300~1000Daの間である。
ある態様、本発明の組成物または複合体において、フィコビリンはフィコシアニンであり、タンパク質はジャガイモタンパク質であり、ペプチドおよび/またはポリペプチドはリョクトウ、大豆、米および/またはエンドウ豆からであり、それらの間の比率は、約0.008:1:1~約0.8:1:1である。
【0102】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、少なくとも25%w/wのフィコシアニンを含むスピルリナ抽出物、少なくとも90%w/wのタンパク質を有するジャガイモタンパク質抽出物、および少なくとも80%w/wのペプチドを有するペプチドが豊富なエンドウ豆抽出物を含み、任意にエンドウ豆ペプチドは、500Da~3000Daの範囲の分子量を有し、大部分は800~2000Daの間であり、ここで、ジャガイモ抽出物とエンドウ豆抽出物の比率は、約10:1~約1:10、例えば約5:1~約1:5、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2であり、およびここで、フィコシアニン:タンパク質およびペプチドの比率は、約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10、例えば1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、または約1:2である。
【0103】
ある態様において、本発明の組成物または複合体は、25%w/wの総フィコシアニンを有する0.025%のスピルリナ抽出物、少なくとも90%w/wのタンパク質を有する0.075%のジャガイモタンパク質抽出物、および少なくとも80%w/wのペプチドを有するペプチドが豊富な大豆抽出物を含み、任意に大豆ペプチドは、200Da~2000Daの範囲の分子量を有し、大部分が300~1000Daの間であり、およびここで、ジャガイモ抽出物とエンドウ豆抽出物の比率は、約10:1~約1:10、例えば約5:1~約1:5、例えば1:1、1:2、1:3、3:1、2:1、0.5:1、または約0.8:2であり、およびここで、フィコシアニン:タンパク質およびペプチドの比率は、約20:1~約1:20、例えば約10:1~約1:10、例えば1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、または約1:2である。
本出願の実施例で実証されるように、フィコシアニンと可溶性ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質との組み合わせは、前記フィコシアニンの安定化をもたらす。したがってある態様において、本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、熱、酸性条件および/または露光に対して安定である。
【0104】
本発明の組成物または複合体のある態様において、前記組成物または複合体中に存在し、少なくとも1つの可溶性ペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質と複合体を形成するフィコビリン(フィコシアニンなど)は、熱、酸性条件、および/または露光に対して安定な青色を有する。
溶解されたフィコシアニン(例えば、水またはシロップなどの他の液体に溶解されたもの)は、pH5未満、例えばpH4.5未満などの酸性条件にさらされると凝集し、沈殿し、色を失うことが知られている。本発明において、用語「酸性条件に対して安定」とは、本発明の組成物または複合体中に存在する少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)の色相が変化しないか、または酸性処理前に測定された色相に対して、30%未満、例えば20%未満、例えば10%未満、または例えば5%未満の変化を有することを意味する。「酸性処理または酸性条件」とは、本出願においては、5未満のpH、例えばpH4.5未満、例えばpH4未満、例えばpH3未満、または例えばpH2未満を意味する。
【0105】
したがってある態様において、本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、約5未満のpH、例えば約4.5未満のpH、例えば約4未満のpH、例えば約3未満のpH、または例えば約pH2未満のpHで安定である。
したがって、本発明の組成物または複合体のある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)は、約6未満のpH、例えば約5未満のpH、例えば約5未満のpH、例えば約4未満のpH、例えば約3未満のpH、または例えば約2未満のpHで安定である。
好ましい態様において、本発明の組成物または複合体中に存在するフィコビリン(フィコシアニンなど)は、pH約2.0~約5.0、約3~約5、約3~約4、好ましくは約2.2~約4.0、より好ましくは約2.3~約3.6、最も好ましくは約2.4~約3.3で安定である。
【0106】
したがってある態様において、本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、pH約2.0~約5.0、約3~約5、約3~約4、好ましくは約2.2~約4.0、より好ましくは約2.3~約3.6、最も好ましくは約2.4~約3.3で安定である。
本発明において、用語「熱に対して安定」とは、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)によって提供される色相が変化しないか、または、熱処理の前に測定された色相に対して、30%未満の変化、例えば20%未満、例えば10%未満、または例えば5%未満の色相変化を有することを意味する。
【0107】
したがってある態様において、本発明の組成物または複合体、および本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、40℃を超える熱処理、例えば50℃、60℃、70℃、80℃、または例えば90℃を超える熱処理を、少なくとも30秒間、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、または例えば少なくとも5時間行った後でも、安定である。ある態様において、本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、約40℃~90℃、例えば約40℃~80℃、例えば約50℃~90℃、例えば約60℃~90℃、例えば約70℃~90℃の熱処理後に、安定である。ある態様において、熱処理は、30秒~5時間、例えば1分~1時間、例えば10分~30分の期間である。
【0108】
したがって、本発明の組成物または複合体のある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)は、40℃を超える熱処理、例えば50℃、60℃、70℃、80℃、または例えば90℃を超える熱処理を、少なくとも30秒間、少なくとも1分間、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも30分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、または例えば少なくとも5時間行った後も、安定である。
ある態様において、本発明の前記組成物または複合体によって提供される色は、露光に対して安定である。
本発明の組成物または複合体のある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)によって提供される色は、露光に対して安定である。
【0109】
本発明において、「光に対して安定」または「露光に対して安定」という用語は、少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)によって提供される色相が変化しないか、または暗所で測定した色相に対して30%未満の変化を有することを意味する。
したがって、本発明の組成物または複合体のある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)によって提供される色は、5分を超える、例えば30分を超える、例えば1時間を超える、例えば2時間、3時間、4時間、5時間、10時間、12時間、24時間、2日、10日、例えば30日を超える、または例えば60日を超える露光後も、安定である。
【0110】
したがって、本発明の組成物または複合体のある態様において、フィコビリン(フィコシアニンなど)によって提供される色は、約5分~60日、例えば約30分~30日、例えば約1時間~24時間、例えば約2日~30日、例えば約30日~60日またはそれ以上の露光後も、安定である。
一態様において、本発明の着色料組成物(食品着色料組成物など)は、液体形態である。任意に、着色料組成物はさらに水を含む。任意に、着色料組成物中の水は、約20%w/wまでの量で存在してもよい。任意に、着色料組成物中の水の量は、約3.5%、4.0%、4.5%または5.0%w/wである。少なくとも1つのフィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド(または前述のタンパク質抽出物)との複合体が形成された後、本発明の組成物または本発明の複合体は、当技術分野で知られている任意の方法によって乾燥することができる。
【0111】
したがって、一態様において、本発明の着色料組成物(食品着色料組成物など)または複合体は、粉末形態である。任意に、食品着色料組成物はさらに、担体を含む。任意に、担体は、マルトデキストリン、アラビアゴム、イヌリン、アルギン酸塩、デンプン、加工デンプン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。任意に、担体はマルトデキストリンであってもよい。任意に、担体は着色料組成物中に最大約4.0%w/wの量で存在してもよい。任意に、組成物中の担体の量は、約1.0%~約3.5%w/wである。任意に、食品組成物中の担体の量は、約1.2%、2.0%、2.1%または3.1%w/wである。本発明はまた、本発明による複合体の形成のためのプロセスに関し、これは、本明細書に定義される少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質、または本明細書に定義される少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質を含むタンパク質抽出物を、少なくとも1つのフィコビリンを含む組成物と水溶液中で混合するステップを含む。
【0112】
本発明の複合体形成のためのプロセスのある態様においては、少なくとも1つのフィコビリンを水溶液中に含む組成物を、少なくとも1つのペプチド、ポリペプチドおよび/またはタンパク質と混合した後に、濾過して不溶性画分を除去するステップをさらに含む。
本発明はまた、以下のステップを含む、フィコビリンを安定化するための方法(または本発明の方法)にも関する:
i)フィコビリンを、前に定義した少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド、または前に定義した少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを含むタンパク質抽出物と、水溶液中で接触させること、
ii)任意に、糖類を添加すること。
【0113】
ある態様において、本発明の方法はさらに、ステップi)および/またはii)で得られた混合物を濾過して、不溶性画分を除去するステップを含む。
ある態様において、本発明の方法はさらに、ステップi)またはii)の結果を濃縮するステップを含む。
ある態様において、本発明の方法はさらに、噴霧乾燥などの乾燥ステップを含む。
発明の組成物または複合体について前述した、フィコビリン、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド、またはタンパク質抽出物に関するすべての態様は、本発明の方法にもまた適用される。
【0114】
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である。
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質抽出物は、植物タンパク質抽出物および/または動物タンパク質抽出物である。
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質抽出物は、タンパク質が豊富な抽出物である。
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質抽出物は、ペプチドが豊富である。
【0115】
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、ペプチドは、分子量約100~約10,000ダルトン、例えば100~約5,000ダルトン、例えば300~2000ダルトン、例えば200~500ダルトン、例えば300~1000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、例えば500~2000ダルトン、例えば500~1000ダルトン、または例えば800~2000ダルトンを有する。
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチド、またはタンパク質抽出物は、以下から得られる:
a)塊茎類、例えば、ジャガイモ(Solanum tuberosum)、および例えばラセットポテト(粗い茶色の皮)、赤いジャガイモ、白いジャガイモ、黄色いジャガイモ(ユーコンポテトとも呼ばれる)および紫のジャガイモ等の4,000種の記載されているジャガイモ品種のいずれか、サツマイモ(Ipomoea butatas)、マニオクまたはユッカ(Manihot esculenta)、ダリア、ニンジン(Daucus carota subsp. sativus)、ダイコン、ビートルートなど;
【0116】
b)豆類、例えば、クロマメ、カネリ豆、インゲンマメ、レンズマメ、ライマメ、ピントビーンズ、大豆、ホワイトビーンズ、リョクトウ、ソラマメ、およびそれらの混合物から選択される豆;
c)ナッツ類、例えば、アーモンド、ブラジルナッツ、カシューナッツ、ピーナッツ、ペカン、ヘーゼルナッツ、松の実、クルミ、ピスタチオ、およびそれらの混合物から選択されるナッツ;
d)植物の種子から、例えば、チーア、亜麻、大麻、カボチャ、ゴマ、ヒマワリ、キヌア、ヒヨコマメ、グリーンピース、エンドウ豆、アブラナ/キャノーラおよびそれらの混合物から選択される種子;
e)穀物から、例えば、オート麦、小麦、大麦、スペルト小麦、トウモロコシ、米およびそれらの混合物から選択される穀物、および/または、
f)卵、乳、およびタンパク質が豊富な任意の他の動物源。
【0117】
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、フィコビリンは、フィコエリスロビリン、フィコシアノビリン、フィコビオロビリン、フィコウロビリン、およびそれらの混合物から選択される。
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質抽出物は、アルブミン、グロブリン(例:β-コングリシシン、グリシクニン、ビシリン、レグミンA、レグミンJ)、プロビシリン、コンビシリン、グルテリン(例:グルテリンA1およびB1)、プロラミン、レクチン、グリアジン、ツベリン、パタチン、およびそれらの混合物から選択される少なくとも1つのタンパク質、および任意に、それらに由来するペプチドおよび/またはポリペプチドを含む。
【0118】
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質抽出物は、以下から選択される少なくとも1つのアルブミン:ジャガイモアルブミン、ユッカアルブミン、ニンジンアルブミン、ダイコンアルブミン、ビートルートアルブミン、リョクトウアルブミン、クロマメアルブミン、カネリ豆アルブミン、インゲンマメアルブミン、レンズマメアルブミン、ライマメアルブミン、ピントビーンズアルブミン、大豆アルブミン、ホワイトビーンズアルブミン、トウモロコシ(Zea mais)アルブミン、アーモンドアルブミン、ブラジルナッツアルブミン、カシューナッツアルブミン、ピーナッツアルブミン、ペカンアルブミン、ヘーゼルナッツアルブミン、松の実アルブミン、クルミアルブミン、ブラジルナッツアルブミン、カシューナッツアルブミン、ピーナッツアルブミン、ペカンアルブミン、ヘーゼルナッツアルブミン、松の実アルブミン、クルミアルブミン、チーアアルブミン、亜麻アルブミン、大麻アルブミン、カボチャアルブミン、ゴマアルブミン、ヒマワリアルブミン、グリーンピースアルブミン、レンティルアルブミン、卵アルブミン、ウシアルブミン、アブラナ/キャノーラアルブミン、エンバクアルブミン、小麦アルブミン、大麦アルブミン、スペルト小麦アルブミン、トウモロコシアルブミン、米アルブミンおよびそれらの任意の混合物;および任意に、それらに由来するペプチドおよび/またはポリペプチドを含む。
【0119】
本発明のプロセスまたは方法のある態様において、タンパク質はジャガイモからの抽出物であり、および任意に、リョクトウ、エンドウ豆および/または米からのペプチド富化抽出物を含む。
別の側面において、本発明は、本発明の方法を使用して得られる安定化フィコビリン、または「本発明の安定フィコビリン」に関する。
ある態様において、安定フィコビリン(フィコシアニンなど)は、スピルリナ(Arthrospira platensis)由来のフィコシアニンである。
ある態様において、本発明の安定フィコビリン(フィコシアニンなど)は、酸性条件下で安定であり、熱に対して安定であり、光に対して安定であり、および/または露光に対して安定である。熱に対して安定、光に対して安定、および露光に対して安定という用語は、前に説明されている。
【0120】
ある態様において、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)は、最大吸収帯域が618nm±5nmの色を有する。
ある態様において、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)は、最大吸収帯域が565nm±5nmの色を有する。
ある態様において、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)は、最大吸収帯域が495nm±5nmの色を有する。
ある態様において、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)は、最大吸収帯域が550nm±5nmの色を有する。
【0121】
色の評価
本開示の着色料組成物および食品は、分光光度計を用いて分析することができ、以下にさらに詳細に説明するように、CIELAB L*a*b*値をスペクトルデータから計算することができる。L*a*b*値は、色の特性を表しかつ2つの色の違いの大きさを評価する手段を提供する。L*a*b*値はまた、色の特性を表しかつ溶液だけでなく製品の2つの色の違いの大きさを評価する手段も提供する。固体形態での着色料組成物および製品の測定は、製品の表面からの反射率測定を使用して実現される。
【0122】
例えば、L*a*b*値は、3次元デカルト座標系で定義された座標値のセットで構成される。L*は明度の座標であり、縦軸上に黒(0L*単位)から白(100L*単位)までの明度のスケールを提供する。a*とb*は、色相と彩度(chroma)の両方に関連する座標である。a*は、横軸上に緑(-a*単位)から赤(+a*単位)までのスケールを提供し、中心点(0a*単位)は中立である;b*は、最初の横軸に垂直な2番目の横軸上で、青(-b*単位)から黄(+b*単位)までのスケールを提供し、中心点(0b*単位)は中立である。3つの軸は、L*の値が50、a*とb*が両方とも0の点で交差する。
【0123】
ΔEは、CIELAB L*a*b*色空間で表される、2つの色の合計色差の大きさの尺度である。経験豊富な色彩観察者は、ΔEが約2.3以下の場合、2つの色の違いを区別できないことが報告されている。L*a*b*値としてL*1a*1b*1およびL*2a*2b*2を持つ2つの異なる色のΔEは、式1を使用して計算される:
【数1】
別の側面において、本発明は、本発明による安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明による着色料組成物、および/または本発明による複合体を含む、着色料組成物(食品着色料組成物など)に関する。
【0124】
一態様において、フィコビリン(例:スピルリナ抽出物などの、スピルリナ由来色素(colour))は、本発明の着色料組成物、複合体および着色料組成物中に、約0.5%~約25.0%w/wの範囲の量で存在する。任意に、フィコビリン含有着色剤(例:スピルリナ抽出物などのスピルリナ由来色素)は、約0.5%、1.0%、1.5%、2.0%、2.5%、3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、7.0%、7.5%、8.0%、8.5%、9.0%、9.5%、10.0%、10.5%、11.0%、11.5%、12.0%、12.5%、13.0%、13.5%、14.0%、14.5%、15.0%、15.5%、16.0%、16.5%、17.0%、17.5%、18.0%、18.5%、19.0%、19.5%、20.0%、20.5%または21.0%w/wの量で存在する。任意に、フィコビリン含有着色剤(例:スピルリナ抽出物などのスピルリナ由来色素)は、約1.5%、3.0%、10%、19.0%または20.0%w/wの量で存在する。任意に、フィコビリン含有着色剤(例:スピルリナ抽出物などのスピルリナ由来色素)は、約1.7%、2.7%、10.2%、18.7%または20.0%w/wの量で存在する。
【0125】
他の染料との混合
本発明の組成物、複合体および着色料組成物中に存在する安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)は、他の顔料と組み合わせて、広範囲の色を生成することができる。例えば、安定した青色を有する本発明の組成物を、黄色を有する顔料と混合すると、安定した緑色が得られるであろう。
したがって、本発明の組成物、複合体および着色料組成物は、さらに他の顔料を含んでもよい。
さらなる顔料の添加は、フィコビリン(フィコシアニンなど)と少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドとの間の複合体が生じる前(本発明の複合体)、または前記複合体が適所に形成された後に、実施してもよい。
したがって、ある態様において、安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)を他の顔料と混合することができる。
したがって、ある態様において、本発明の着色料組成物を他の顔料と混合することができる。
使用される顔料は、合成または天然起源のものであり得る。好ましい態様において、顔料は、着色食物または天然色素などの天然顔料である。
【0126】
顔料(pigments)
植物顔料の主なクラスは、植物に緑色を与えるクロロフィル;赤、オレンジ、または黄色のカロチノイド;pHに応じて赤、紫、青、または黒に見えるアントシアニン;および赤または黄色のベタレインである。
したがって、本発明で使用するのに適した顔料は、アントシアニン、カロチノイド、クロロフィル、ベタレイン、アントラキノン、ナフトキノンおよびアザフィロンからなる群から選択される。
本発明で使用される顔料は、合成源から得ることができ、または植物、藻類もしくは菌類などの天然源から得ることができる。有利なことに、天然源から得られる顔料は、食品のクリーンラベル要件を満たすであろう。
【0127】
アントシアニン
アントシアニンは、糖を含まないアントシアニジンの配糖体(アグリコン)である。アントシアニンの糖分子は、O-グリコシド結合を介して、アントシアニジン分子に通常存在する1つ以上のヒドロキシ基に結合している。天然に存在するアントシアニンのほとんどは、3-O-グリコシドである。
植物に存在するアントシアニジンの最も一般的な種類は、シアニジン、デルフィニジン、ペラルゴニジン、ペオニジン、ペチュニジン、およびマルビジンであり、ここでは3、5、7位および少なくとも1つの3’、4’、または5’位のヒドロキシ基が糖置換されている。本発明で使用し得る天然アントシアニンの例には、ペラルゴニジン、シアニジン、およびペオニジンベースのアントシアニンが含まれるが、これらに限定されない。
【0128】
アントシアニン構造に見られる糖分子の例には、アラビノース、ガラクトース、グルコース、ラムノース、ルチノース、サンブビオース、ソホロース、およびキシロースが挙げられる。アントシアニンは、さまざまな位置で水素、ヒドロキシル、および/またはメトキシル基で置換することができる。アントシアニンはアシル化することもでき、単糖の2、3、4、および/または6位で糖分子にエステル化された1つ以上の分子を有することができる。
多くのアントシアニンは、脂肪酸(例:酢酸、リンゴ酸、マロン酸、シュウ酸、またはコハク酸)またはフェノール酸(例:p-ヒドロキシ安息香酸、カフェイン酸、p-クマリン酸、フェルラ酸、またはシナピン酸)のいずれかでアシル化されている(通常、グルコース部分のC6-OH基において)。したがってアントシアニンは、アシル化グリコシドアントシアニンの形態であってもよい。例えば、ペラルゴニジンベースのアシル化アントシアニン、シアニジンベースのアシル化アントシアニン、およびペオニジンベースのアシル化アントシアニン、または、ペラルゴニジンベースのアシル化アントシアニン、シアニジンベースのアシル化アントシアニン、およびペオニジンベースのアシル化アントシアニンの構造類似体である。
【0129】
赤ダイコン(Raphanus sativus L.)および赤身ジャガイモ(Solanum tuberosum L.)は、FD&CのRed #40と同様の色特性を提供する。一態様において、アントシアニンは、赤ダイコン由来色素である。
赤ダイコンと赤身ジャガイモの主な顔料は、それぞれ、マロン酸とp-クマル酸および/またはフェルラ酸のいずれかでアシル化されたペラルゴニジン-3-ソホロシド-5-グルコシド、およびp-クマリン酸でアシル化されたペラルゴニジン-3-ルチノシド-5-グルコシドである(Rodriguez-Saona , L.E. et al., J. Food Sci. 1999, 64, 451-456、その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、本発明で使用されるアントシアニンは、マロン酸とp-クマリン酸および/またはフェルラ酸のいずれかでアシル化されたペラルゴニジン-3-ソホロシド-5-グルコシド、および/またはp-クマリン酸でアシル化されたペラルゴニジン-3-ルチノシド-5-グルコシドであってもよい。
一態様において、アントシアニンは、黒ニンジン由来色素である。
【0130】
最近、シナピン酸、フェルラ酸、およびクマリン酸でアシル化されたシアニジン3-キシロシル(グルコシル)ガラクトシドが、黒ニンジンの主要なアントシアニンであることが同定された(Cuevas Montilla, E., et al, J. Agric. Food Chem. 2011, 59, 3385-3390、その開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)。したがって、本発明で使用されるアントシアニンは、シナピン酸、フェルラ酸、およびクマリン酸でアシル化されたシアニジン3-キシロシル(グルコシル)ガラクトシドであってもよい。
一態様において、アントシアニンは、アブラナ科、バラ科、ナス科、ヒルガオ科、セリ科の植物またはそれらの混合物から得られたかまたは得ることができる抽出物として存在し得る。混合物という用語は、アブラナ科の植物、バラ科の植物、ナス科の植物、および/またはセリ科の植物を単一の溶媒を使用して一緒に抽出する場合、または、アブラナ科の植物、バラ科の植物、ナス科の植物、およびセリ科の植物をそれぞれ独立して抽出し、得られた抽出物を組み合わせた場合に、得られたかまたは得ることができる混合物を指す。
【0131】
アブラナ科の植物は、Raphanus sativus L.(赤ダイコン)であり得る。バラ科の植物は、Fragaria(イチゴ)であり得る。ナス科の植物は、Solanum tuberosum(赤ジャガイモ)であり得る。ヒルガオ科の植物は、Ipomoea batatas(紫イモの根)であり得る。セリ科の植物は、Daucus carota ssp. sativus var. atrorubens Alef.(黒ニンジン)であり得る。
一態様において、ベタレインは、ヒユ科の植物から得られたかまたは得ることができる抽出物として存在し得る。任意に、ヒユ科の植物は、Beta vulgaris(ビート)であり得る。
一態様において、赤ダイコンなどのアントシアニン(pH3.0中0.1%)由来色素(水中0.1%)は、L*値58.89±5%、a*値69.81±5%、およびb*値51.43±5%を有する。
一態様において、黒ニンジンなどのアントシアニン(pH3.0中0.1%)由来色素は、L*値38.24±5%、a*値62.95±5%、およびb*値25.24±5%を有する。
【0132】
ベタレイン
ベタレインは、ナデシコ目の植物に見出される赤および黄色のチロシン由来顔料のクラスであり、アントシアニン顔料に置き換わる。ベタレインには2つのカテゴリがある:
a)ベタシアニン、これは赤みがかった色から紫色に見える。植物に存在するベタシアニンの例には、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、およびネオベタニンが含まれる;および
b)ベタキサンチン、これは黄色からオレンジ色に見える。植物に含まれるベタキサンチンには、ブルガキサンチン、ミラキサンチン、ポルツラサンチン(portulaxanthin)、およびインジカキサンチンが含まれる。
したがって、本発明で使用されるベタレインは、ベタニン、イソベタニン、プロベタニン、およびネオベタニンなどのベタシアニン;および/または、ブルガキサンチン、ミラキサンチン、ポーチュラキサンチン、およびインジカキサンチンなどのベタキサンチンであり得る。
ベタレインはベタニジンアグリコンの配糖体であり、そのコア構造はベタラミン酸(すなわち、4-(2-オキソエチリデン)-1,2,3,4-テトラヒドロピリジン-2,6-ジカルボン酸)である。
【0133】
ベタニンは通常、Beta vulgaris(赤ビート、ビートルート)のジュースの抽出物から得られる。
【化2】
一態様において、ベタレインは、ビートルート由来色素である。任意に、本発明で使用されるベタレインはベタニンであってもよい。
一態様において、ベタレイン(水中0.1%)(例:ビートルート由来色素)は、L*値85.29±5%、a*値26.66±5%、およびb*値-5.76±5%を有する。
【0134】
一態様において、ベタレイン含有着色剤(例:ビートルート粉末などのビートルート由来色素)は、食品着色料組成物中に約25%~約60%w/wの範囲の量で存在する。任意に、ベタレイン含有着色剤(例:ビートルート粉末などのビートルート由来色素)は、約30%~約50%w/wの範囲の量で存在する。任意に、ベタレイン含有着色剤(例:ビートルート粉末などのビートルート由来色素)は、約30.0%、31.0%、32.0%、33.0%、34.0%、35.0%、36.0%、37.0%、38.0%、39.0%、40.0%、41.0%、42.0%、43.0%、44.0%、45.0%、46.0%、47.0%、48.0%、49.0%または50.0w/wの量で存在する。任意に、ベタレイン含有着色剤(例:ビートルート粉末などのビートルート由来色素)は、約32.5%、38.8%、42.0%または45.4%w/wの量で存在する。
【0135】
一態様において、アントシアニン含有着色剤(例;黒ニンジン濃縮物などの黒ニンジン由来色素)は、本発明の組成物、複合体および着色料組成物中に約3.0%~約8.5%w/wの範囲の量で存在する。任意に、アントシアニン含有着色剤(例;黒ニンジン濃縮物などの黒ニンジン由来色素)は、約3.0%、3.5%、4.0%、4.5%、5.0%、5.5%、6.0%、6.5%、7.0%、7.5%、8.0%または8.5%w/wの量で存在する。任意に、アントシアニン含有着色剤(例;黒ニンジン濃縮物などの黒ニンジン由来色素)は、約3.5%、4.0%、4.5%、6.0%、7.0%または8.0%w/wの量で存在する。任意に、アントシアニン含有着色剤(例;黒ニンジン濃縮物などの黒ニンジン由来色素)は、約3.3%、3.8%、4.3%、4.4%、5.7%、7.0%、7.9%または8.1%w/wの量で存在する。
【0136】
一態様において、アントシアニン含有着色剤(例:赤ダイコン粉末などの赤ダイコン由来色素)は、食品着色料組成物中に約0.1%~約1.5%w/wの範囲の量で存在する。任意に、アントシアニン含有着色剤(例:赤ダイコン粉末などの赤ダイコン由来色素)は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1.0%、1.1%、1.2%、1.3%、1.4%または1.5%w/wの量で存在する。任意に、アントシアニン含有着色剤(例:赤ダイコン粉末などの赤ダイコン由来色素)は、約0.5%、0.6%、0.9%または1.3%w/wの量で存在する。
【0137】
黄色着色剤
本発明で使用可能な黄色着色剤としては、カロチノイド、ベニバナ、黄色クチナシ、リボフラビンなどの天然着色剤、および人工着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。
カロチノイドは、植物、光合成細菌および藻類から合成される天然顔料のクラスであり、その化学構造に従って以下に分類できる:ベータカロテン:酸素を含有しない炭化水素、およびクルクミンやルテインなどのキサントフィル(酸素を含有)。
これらの顔料の着色特性は、光吸収発色団を構成する共役二重結合系によって提供される。光の吸収は、分子のより高いエネルギー励起状態をもたらす。カロチノイドの場合、発生する電子遷移はπからπ*であり、発生するのに高いエネルギーレベルは必要としない。低い必要エネルギーは、可視領域400~500nmの光に関連する。したがって、黄色、オレンジ色、赤色が観察される。
【0138】
一態様において、カロチノイドは、ニンジン(ニンジンジュースなど)などの果物および野菜、Blakeslea Triporaなどの細菌、およびDuneliella Salinaなどの微細藻類に由来することができる。
一態様において、カロチノイド含有着色剤(ニンジンジュース粉末など)は、食品着色料組成物中に約25%~約60%w/wの範囲の量で存在する。任意に、カロチノイド含有着色剤(ニンジンジュース粉末など)は、約30%~約50%w/wの範囲の量で存在する。任意に、カロチノイド含有着色剤(ニンジンジュース粉末など)は、約30.0%、31.0%、32.0%、33.0%、34.0%、35.0%、36.0%、37.0%、38.0%、39.0%、40.0%、41.0%、42.0%、43.0%、44.0%、45.0%、46.0%、47.0%、48.0%、49.0%または50.0%w/wの量で存在する。
【0139】
ある態様において、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物を、ベニバナ、ニンジンジュース、カロチノイドおよび他の黄色色素と混合して、安定な緑色を生成することができる。
本発明はまた、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物の様々な要素と、および任意に前記成分を混合、調製および/または使用する方法についての説明書を含む、キットにも関する。ある態様において、キットは、すでに混合され、すぐに使用できる要素(例えばブレンドとして)および、任意に前記成分の使用方法の説明書を含む。ある態様において、キットは、黄色または赤色などの他の色素を含む。
【0140】
カプセル化
本発明はまた、本発明による組成物もしくは複合体、または本発明による安定化フィコビリンを含むカプセル化組成物であって、アルギン酸塩、カラギーナンおよびペクチン、それらの誘導体、またはそれらの組み合わせからなる群に由来する架橋ポリマーを使用してカプセル化された、前記カプセル化組成物に関する。
本発明はまた、アルギン酸塩、カラギーナンおよびペクチン、それらの誘導体またはそれらの組み合わせからなる群に由来する架橋ポリマーの連続媒体を含む、フィコビリン(フィコシアニンなど)含有顆粒であって、本明細書に記載されるように、水溶性であり、かつ任意に4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドを追加して含む、前記フィコビリン含有顆粒に関する。
【0141】
本発明はまた、フィコビリン(フィコシアニンなど)含有顆粒を調製するための、以下を含む方法にも関する:
a)アルギン酸塩、カラギーナンおよびペクチン、それらの誘導体またはそれらの組み合わせからなる群に由来するポリマーを、水溶性であり、かつ任意に4を超えるIEPを有し、および/または酸性条件下で可溶性である少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドと、水溶液中で混合すること、
b)a)の混合物を液滴の形態で架橋剤に添加すること、
c)形成された顆粒を収集すること。
【0142】
アルギン酸塩、または比較的大量の水を結合する能力を有するポリマー、またはかかるポリマーの組み合わせを、本発明で使用することができる。アルギン酸塩は、例えば海藻および他の藻類からから得られる高分子量の炭水化物である。アルギン酸塩は、a-L-グルロン酸塩(G)とb-D-マンヌロン酸塩(M)との線状コポリマーである。アルギン酸塩鎖(alginate chain)は、様々な長さの「Gブロック」(グルロン酸残基のホモポリマー領域)、「Mブロック」(マンヌロン酸残基のホモポリマー領域)、および「MGブロック」(ランダム状に交互したMとGの配列のコポリマー領域)からなる、ブロックコポリマーと見なすことができる。アルギン酸塩は、化学組成が不均一であることに加えて、非常に広い分子量分布を有する。アルギン酸塩はポリマー群の総称である。それらの特性はブロック構造と分子量に依存する。特定の臨界分子量を超えると、アルギン酸塩の特性は主にモノマー組成とブロック構造によって支配される。一般に、グルロン酸の含有量が増加すると、非ゲル化/抗ゲル化イオン(Na+、Mg+など)およびカルシウム封鎖剤の存在下で安定性が向上した、機械的により強力なゲルが得られる。グルロン酸を多く含有するゲルは、多孔性が高く、ゲル形成時の収縮が低い。マンヌロン酸の含有量が高いと、ゲルはより柔らかく、より弾力性になる;それらはゲル形成中にさらに収縮し、同時に多孔性が減少する。
【0143】
本発明によるカプセル化には、あらゆる種類のアルギン酸塩を使用することができる。高分子量のものは一般に、以下に記載する三次エマルションプロセスにおける機械的安定性がより高いために好ましいが、それらのより高い粘度はそれほど重要ではない。以下に記載する噴霧乾燥プロセスには、より低分子量のアルギン酸塩が好ましい。アルギン酸塩は粘稠な溶液を形成し、大量の水を保持する。好ましいアルギン酸塩はアルギン酸ナトリウム(CAS 9005-38-3)であり、これは、FMC Biopolymers, Philadelphia, USA.により登録商標PROTANALとして販売されている。有用なアルギン酸塩としては、アルギン酸鉄、マグネシウム、カリウム、アンモニウム、およびアルギン酸カルシウムが挙げられる。
【0144】
本発明による顆粒の製造にはアルギン酸塩が特に望ましいが、アルギン酸塩と同様の特性を有する他の親水性ポリマーをアルギン酸塩に加えて、またはアルギン酸塩の代わりに使用することもでき、本明細書で使用する用語「アルギン酸塩」には、前記の他の親水性ポリマーも含まれる。有用な親水性ポリマーの他の例は、構造的に関連するペクチンおよびその誘導体などの多糖類である。ペクチンは、カルボン酸基がメタノールで部分的にエステル化されたポリガラクツロン酸からなるポリマーである。高い熱安定性を得るには、エステル化度の低いペクチン、特にエステル化度が5%未満のペクチンを使用することが好ましい。使用するポリマーに応じて、当技術分野で周知のように、代替または追加の架橋剤を使用することができる。
【0145】
カラギーナンもまた使用し得る。
本発明による顆粒(または粒子)は、ほぼ球形の実質的に丸いマトリックス顆粒をもたらすように調製されることが好ましく、これは、調製中の剪断力が低すぎるかまはた高すぎる場合にそれぞれ形成される傾向のある、不規則な凝集物、または細長い糸状のマトリックス粒子とは対照的である。
顆粒のサイズは、直径5~2000μm、好ましくは10~1000μm、より好ましくは20~600μmの範囲であってよい。マトリックス顆粒は実質的に水に不溶性である。本明細書に記載の本発明によるプロセスにおいて、顆粒のサイズおよびサイズ分布の範囲は、プロセスの選択およびプロセスパラメータの調整に応じて、所望の用途に従って調整することができる。
【0146】
ステップb)の前記粒子は、架橋剤の溶液に、例えば多価カチオン(例:カルシウム、ストロンチウム、バリウム、鉄、銀、アルミニウム、マンガン、銅および亜鉛のイオン、好ましくはカルシウムのイオン)に導入され、該溶液は、0.9~10%、好ましくは0.9~2%の塩化カルシウムであり得る。溶液は、水またはアルコール、好ましくはエタノール、または水とアルコールの混合物などの、適切な液体であってよい。水とアルコールの比率は用途によって異なる。より多くの水を使用すると、得られるマトリックス粒子はより安定である。アルコールを増やすと表面の油の量が減るが、粒子の内部から油が抽出される可能性もある。50:50(wt/wt)の水対アルコールの比率が、ほとんどの用途に適している。
【0147】
架橋剤(すなわち多価カチオン溶液)への曝露時間は、使用するイオン溶液、および溶液の総量と濃度によって異なる。それぞれのイオンへの曝露時間および濃度は、当業者であれば容易に決定することができる。0.9~10%塩化カルシウムを、0.7:1~4:1、好ましくは1.2:1~3:1、より好ましくは1.5:1~2.5:1の食塩水:粒子(wt/wt)で使用する場合、通常約1時間で十分である。必要なイオンの量は、架橋されるアルギン酸塩の量に依存し、当業者に知られているように調整することができる。当技術分野でよく知られているように、生理食塩水の代わりに、追加のまたは代替の架橋剤を使用してもよい。
【0148】
ステップc)から得られる架橋粒子は、乾燥ステップに供されてもよい。これは噴霧乾燥によって行うことができる。架橋された粒子を破壊しないためには、低剪断力の噴霧乾燥法が好ましい。適切な方法は、当業者には直ちに明らかとなるであろう。例えば、低剪断容積移送式ポンプを回転噴霧器ホイールと組み合わせた噴霧乾燥機を使用することができる。代替的に、多くの異なるポンプを適用することもできる。回転ホイールの代わりにスプレーノズルを使用することもできる。
カプセル化方法のさらなる例は、US2006292280A1またはUS2010003521A1に記載されている。
【0149】
使用および製品
本発明はまた、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物を含む、消耗品または食品、化粧品または医薬品またはニュートラシューティカル調製物にも関する。
一側面において、前述の本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物(食品着色料組成物)の、食品の着色における使用が提供される。本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および食品着色料組成物は、食品またはその一部の色特性を増加、増強および/または改変するのに有効な量で、食品に添加することができる。
【0150】
食品には、食品医薬品局(FDA)が定義する次の一般的な食品カテゴリが含まれる:オーブンで焼いた食品およびベーキングミックス(すべてのすぐ食べられる製品およびすぐ焼ける製品を含む)、小麦粉、給仕前に調製が必要なミックス;アルコール飲料(麦芽飲料、ワイン、蒸留酒、およびカクテルミックスを含む);ノンアルコール飲料および飲料ベース(特別なお茶またはスパイス入りのお茶、ソフトドリンク、コーヒー代替品、およびフルーツおよび野菜風味のゼラチン飲料のみを含む);朝食用シリアル(すぐ食べられるインスタントおよび通常のホットシリアルを含む);チーズ類(カードチーズおよびホエーチーズ、クリームチーズ、ナチュラルチーズ、グレーティングチーズ、プロセスチーズ、スプレッドチーズ、ディップチーズ、およびその他のチーズを含む);チューインガム(あらゆる形態を含む);コーヒーおよび紅茶(レギュラー、カフェインレス、インスタントタイプを含む);調味料およびレリッシュ(プレーンシーズニングソースとスプレッド、オリーブ、ピクルス、レリッシュを含むが、スパイスおよびハーブは除く);砂糖菓子およびフロスティング(キャンディーおよびフレーバー付きフロスティング、マシュマロ、料理用チョコレート、ならびに黒砂糖、角砂糖、メープルシュガー、粉砂糖、および粗糖を含む);乳製品類似品(非乳製品ミルク、冷凍または液体クリーマー、コーヒーホワイトナー、トッピング、およびその他の非乳製品を含む);卵製品(液卵、冷凍卵、または乾燥卵、およびそれから作られた卵料理、すなわちエッグロール、芙蓉蛋、卵サラダ、および冷凍の卵コース料理を含むが、生卵は除く);油脂類(マーガリン、サラダ用ドレッシング、バター、サラダ油、ショートニング、および食用油を含む);魚製品(魚、貝類、その他の水生動物を含有する、調理済みのメインディッシュ、サラダ、前菜、冷凍コース料理、およびスプレッドを含むが、生の魚は除く);新鮮卵(調理済み卵および、新鮮な殻付き卵のみを使用した卵料理を含む);鮮魚(生鮮および冷凍の魚、貝類、その他の水生動物のみを含む);新鮮な果物およびフルーツジュース(生の果物、柑橘類、メロン、ベリー、および自家製の「エード」およびそれから作られたパンチのみを含む);生肉(新鮮または自家冷凍の牛肉または子牛肉、豚肉、子羊肉または羊肉、および、それらから作られた、自家製の新鮮な肉を含有する料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッドのみを含む);新鮮な鳥肉(新鮮または自家冷凍の鳥肉および猟鳥、および、それらから作られた、自家製の新鮮な鳥肉を含有する料理、サラダ、前菜、またはサンドイッチスプレッドのみを含む);新鮮な野菜、トマト、およびジャガイモ(新鮮な自家製野菜のみを含む);冷凍乳製品デザートおよびミックス(アイスクリーム、アイスミルク、シャーベット、およびその他の冷凍乳製品デザートおよび特製品を含む);
【0151】
フルーツおよび氷菓(すべての冷凍フルーツおよび氷菓を含む);ゼラチン、プリン、およびフィリング(フレーバーゼラチンデザート、プリン、カスタード、パフェ、パイフィリング、およびゼラチンベースのサラダを含む);穀物製品およびパスタ類(マカロニおよび麺製品、米料理、および肉や野菜を含まない冷凍コース料理を含む);グレービーソースおよびソース(あらゆるミートソースおよびグレービーソース、およびトマト、ミルク、バター、特製ソースを含む);ハードキャンディーおよび咳止めドロップ(すべてのハードキャンディーを含む);ハーブ、種子、スパイス、調味料、ブレンド、抽出物、および香料(すべての天然および人工のスパイス、ブレンド、およびフレーバーを含む);自家製のジャムおよびゼリー(自家製のジャム、ゼリー、フルーツバター、プレザーブ、およびスイートスプレッドのみを含む);商業用のジャムおよびゼリー(商業的に加工されたジャム、ゼリー、フルーツバター、ジャム、およびスイートスプレッドのみを含む);肉製品(商業加工によって調製されたか、または商業加工肉を使用して家庭で調製された、すべての肉および肉を含有する料理、サラダ、前菜、冷凍コース肉料理、およびサンドイッチ材料を含む);乳、全乳、および脱脂乳(全乳、低脂肪乳、および脱脂乳のみを含む);乳製品(フレーバーミルクおよび乳飲料、ドライミルク、トッピング、スナックディップ、スプレッド、体重管理用乳飲料、およびその他の乳由来製品を含む);ナッツおよびナッツ製品(丸ごとまたは殻をむいた木の実、ピーナッツ、ココナッツ、およびナッツとピーナッツスプレッドを含む);植物性タンパク質製品(米国科学アカデミー/米国研究評議会の「再構成植物性タンパク質」カテゴリ、および植物性タンパク質から作られた肉、鳥肉、および魚の代替品、類似品、および増量製品を含む);鳥肉製品(商業加工されたか、または商業加工鳥肉を使用して家庭で調製された、すべての鳥肉および鳥肉を含有する料理、サラダ、前菜、冷凍鳥肉コース料理、およびサンドイッチ材料を含む);加工果物およびフルーツジュース(商業的に加工されたすべての果物、柑橘類、ベリー、および混合物を含む);サラダ、ジュースおよびジュースパンチ、濃縮物、希釈物、「エード」、およびそれらから作られた飲料代替品;加工野菜および野菜ジュース(商業的に加工されたすべての野菜、野菜料理、冷凍マルチコース野菜料理、および野菜ジュースおよびブレンドを含む);スナック食品(チップス、プレッツェル、およびその他のノベルティスナックを含む);ソフトキャンディ(キャンディーバー、チョコレート、ファッジ、ミント、その他の噛むキャンディーまたはヌガーキャンディーを含む);自家製スープ(肉、魚、鳥肉、野菜、および組み合わせの自家製スープを含む);スープおよびスープミックス(商業的に調製された肉、魚、鳥肉、野菜、および組み合わせのスープおよびスープミックスを含む);白砂糖、グラニュー糖(白グラニュー糖のみを含む);砂糖代替品(グラニュー糖、液糖、タブレット糖の代替品を含む);および甘いソース、トッピング、およびシロップ(チョコレート、ベリー、フルーツ、コーンシロップ、およびメープルの甘いソースとトッピングを含む)。
【0152】
例えば、上記の食品着色料組成物は、ブリリアントブルーFCF(人工着色料)を乳製品、菓子、飲料、ソース/グレービーソースなどの食品に使用した場合に得られる色と類似の青色を付与するために、使用することができる。
乳製品とは、ヨーグルト、カスタード、ミルクスムージー、ミルクシェイク、乳製品アイスクリームを指し得る。
菓子製品とは、甘いまたはキャンディー食品、例えばチューインガムまたはハードおよびソフト菓子製品などを指し得る。菓子製品の非限定的な例には、ケーキ、クッキー、パイ、チョコレート、チューインガム、ゼラチン、アイスクリーム、プリン、ジャム、ゼリー、グミ、ハードキャンディー、噛むキャンディー、シリアルおよび他の朝食用食品、缶詰フルーツおよびフルーツソースが含まれる。
【0153】
飲料製品とは、飲料、飲料ミックスおよび濃縮物であって、限定することなく、アルコールおよびノンアルコールのそのまま飲める飲料および乾燥粉末飲料を含むものを指し得る。飲料の非限定的な例には、炭酸飲料および非炭酸飲料、例えばソーダ、フルーツジュースまたは野菜ジュースが含まれ得る。
ソース製品は、料理に風味、水分、および/または視覚的な魅力を加えるために使用される、甘いかまたは風味の半固体組成物を指し得る。ソースの非限定的な例には、グレービーソースおよびバーベキューソースが含まれる。
肉類似製品とは、特定種類の肉の特定の美的品質(例えば食感、風味、外観)または化学的特性に類似する、ベジタリアン材料から作られた食品を指し得る。肉類似物の非限定的な例としては、ベジタブル(ベジ)バーガーが挙げられる。
【0154】
さらに別の側面において、上記の食品着色料組成物を含む食品が提供される。例えば、食品は上記のようなものであってよい。
当業者であれば、所与の食品中に存在する食品着色料組成物の最適量が、全体的な所望の色、溶解度、規制当局の承認などの要因によって決定されることを認識するであろう。当業者は、所与の製品の色の最適量を、これらの要因に基づき容易に決定することができる。
一側面において、前述の本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物(着色料組成物)の、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品の着色における使用が提供される。本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物は、製品(医薬品、ニュートラシューティカルまたは化粧品)に対して、製品またはその一部の色の特性を、増加、増強および/または改変するのに有効な量で、添加することができる。
【0155】
別の側面において、本発明は、医薬組成物、コスメシューティカル、ニュートラシューティカル、または化粧品組成物であって、本文書で定義された本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物と、および任意に、本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物を前記医薬組成物、コスメシューティカル、または化粧品組成物に配合するのに適切なビヒクルとを含む、前記医薬組成物、コスメシューティカル、ニュートラシューティカル、または化粧品組成物に関する。本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物は、前記医薬、コスメシューティカル、化粧品またはニュートラシューティカル配合物に、所望の色(安定した緑色または青色など)を提供するであろう。
本明細書で使用される「医薬組成物」は、生理学的に耐容できる組成物および分子実体に関する。好ましくは、「薬学的に許容し得る」という用語は、動物、より具体的にはヒトでの使用のために、それが州または連邦政府の規制当局によって承認されているか、または、米国薬局方もしくは他の一般に認められている薬局方に含まれていることを意味する。
【0156】
本明細書で使用する「化粧品組成物」とは、ヒトまたは動物の個人衛生に使用するため、あるいはヒトまたは動物の体の構造または機能に影響を与えることなく、自然の美しさを高めまたは体の外観を変えるために使用するのに適した、かかる効果を提供する1つ以上の製品を含む組成物を指す。所望であれば、本発明によって提供される化粧品組成物は、本発明の組成物に加えて、1つ以上の化粧品(cosmetics)または化粧品(cosmetic products)を含有することができ、すなわち、ヒトまたは動物の体の外部部分(表皮、毛髪系、爪、唇など)または歯および頬粘膜と接触させることを意図した物質または混合物を、それらを洗浄する、香りを付ける、外観を変える、保護する、良好な状態に保つ、体臭を改善するという限定的または主要な目的のために、含有することができる。化粧品として許容し得るビヒクルの実例には、INCI(化粧品成分の国際命名法)リストに含まれる製品が含まれる。本発明の組成物は、広範な製品に対し化粧用途のために添加することができ、これには、メイクアップ、皮膚、特に顔、手、および足のクレンジング、保護、処置、またはケアのためのクリーム(例えば、昼用および夜用クリーム、メイク落としクリーム、ファンデーションクリーム、および日焼け止め)、リキッドファンデーション、メイク落としローション、保護用またはスキンケア用のボディローション、日焼け止めローション、スキンケアローション、ジェル、またはフォーム、例えばクレンジング、日焼け止め、人工日焼け用ローション、入浴剤、デオドラント組成物、アフターシェーブジェルまたはローション、脱毛クリーム、および虫刺されおよび痛みに使用される組成物が含まれる。本発明の組成物は、多種多様な形態のいずれをとってもよく、例えば、ドレッシング、ローション、溶液、スプレー、クリーム、ジェル、軟膏などを含む。
【0157】
本明細書で使用される場合、「コスメシューティカル」という用語は、1つ以上のコスメシューティカル(機能性化粧品、皮膚用医薬品、または活性化粧品)を含む、身体または動物の体での使用に適した製品を指し、これはすなわち、ユーザーの皮膚、髪、および/または爪に効果を有する有効成分をより高濃度およびより効果的な濃度で含有する、化粧品と医薬品の特性を備えた局所用ハイブリッド製品であり、したがって化粧品と医薬品の中間のレベルに位置している。コスメシューティカルの例としては、エッセンシャルオイル、セラミド、酵素、ミネラル、ペプチド、ビタミンなどが挙げられる。
【0158】
本明細書で使用される「ニュートラシューティカル」という用語は、ヒトまたは動物での使用に適した製品であって、健康上の利点を提供する、または病気の予防または軽減に関連する治療作用を持つ1つ以上の天然産物を含むものを指し、これにはサプリメントが含まれ、すなわち、通常は食品中に存在する(または存在しない)濃縮天然生理活性物質の非食品マトリックス(例:カプセル、粉末など)で提供され、食品中に存在する量よりも高い用量で摂取すると、通常の食品が有し得る効果よりも大きな健康への良い効果を及ぼすものである。したがって、用語「ニュートラシューティカル」は、単離または精製された食品、さらに、通常経口で使用される剤形で、例えばカプセル、錠剤、小袋、飲用瓶などで提供される添加物またはサプリメントも含まれる;かかる製品は、生理学的利益をもたらし、または疾患、一般に慢性疾患に対する保護を提供する。必要に応じて、本発明により提供されるニュートラシューティカルは、本発明の組成物に加えて、1つ以上の栄養補助物質(疾患の予防または軽減に関連する製品または物質)、例えば、フラボノイド、オメガ3脂肪酸など、および/または1つ以上のプレバイオティクス(プロバイオティクス活性および/または増殖を刺激する、非消化性食品成分)、例えば、オリゴフルクトース、ペクチン、イヌリン、ガラクトオリゴ糖、ラクツロース、母乳オリゴ糖、食物繊維などを、含有することができる。
【0159】
ある態様において、製品(消耗品または食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品)のpHは、6未満、例えば5未満、例えば4未満、例えば3未満、または例えば2未満である。
ある態様において、製品(消耗品または食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品)は熱処理されており、および/または光に暴露されている。
ある態様において、製品(消耗品または食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品)のpHは、6未満、例えば5未満、例えば4未満、例えば3未満、または例えば2未満であり、熱処理されており、および/または光に暴露されている。
【0160】
ある態様において、製品(消耗品または食品、医薬品、コスメシューティカル、ニュートラシューティカルまたは化粧品)は熱処理されており、および/または光に暴露されている。
本発明は、本発明の安定化フィコビリン(フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物を含む、酸性食品、化粧品または医薬品またはニュートラシューティカル調製物に関する。
酸性製品(酸性食品など)のある態様において、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはそれらの混合物の量は、0.005~1wt%である。
【0161】
酸性製品(酸性食品など)のある態様において、タンパク質、ポリペプチド、ペプチドまたはそれらの混合物とフィコシアニンの重量比は、10:1~1:10の範囲である。
酸性製品(酸性食品など)のある態様において、製品(食品など)のpHは、2.0~4.6、好ましくは2.2~4.0、より好ましくは2.3~3.6、最も好ましくは2.4~3.3である。
酸性製品(酸性食品など)のある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは水溶性であり、および/または2~5のpH、例えば2~4のpH、例えば2~3のpHで可溶性である。
【0162】
ある態様において、少なくとも1つのタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドは、ジャガイモ、リョクトウ、米、大豆のタンパク質、ポリペプチドおよび/またはペプチドの1つ以上から選択される。
ある態様において、食品が液体である場合、溶媒は水および任意にエタノールからなり、または固体もしくは半固体の食品の場合は、食品マトリックスからなる。
ある態様において、溶媒または食品マトリックスの量は、60~99wt%の範囲である。
ある態様において、wt%は、液体、固体、または半固体の食料品の総重量に対する値である。
本発明の酸性食品組成物は、すぐに使用できる状態であってもよく、または摂取可能な食品を調製するために、固体、ペースト状、もしくは液体形態で調製物に添加される、食品添加物の形態であってもよい。
【0163】
食品組成物の場合、酸は好ましくは、供給物中での酸性化が認可されているリストから選択され、特に、炭酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸および乳酸、より特にクエン酸である。
本発明による食品以外の酸性組成物に関しては、それらはとりわけ医薬品、獣医学または化粧品であり得、さらに、この種の組成物において知られており使用される任意の添加剤および/または活性剤を含んでよい。
本発明による固体、液体またはペースト形態の酸性組成物には、前述の本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物(着色料組成物)を、例えば粉末形態で組み込むことができる。前記酸性組成物、特に前記酸性食品組成物は次いで、通常知られているクリーム、ゲル、フォーム、ペーストなどの任意の形態で食品組成物中にあってもよく、特に固体としては、ビスケットまたはケーキ、調理されるドライフード、希釈される粉末、組成物または「ゼリー状」固体ゼラチン、フォームなどを挙げることができる。
【0164】
本発明によれば、前記組成物は液体の酸性水性組成物であってもよく、ここで前述の本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体、および着色料組成物(着色料組成物)は溶解されている。それは、そのまま使用できる組成物の形態であってもよく、または希釈される液体濃縮物の形態であってもよく、これはその摂取のため、または固形食品に添加するため、またはその調製のためであり、例えばケーキに色を付けるために塗布される濃縮液体組成物コーティングまたは「トッピング」である。これらの濃縮組成物の中には、アルコールの有無に関わらず、シロップが挙げられる。
本発明による液体酸性組成物は、可変粘度であってもよく、任意に、粘度調整剤、ゲル化剤、およびその他の添加材、例えば構造化の当業者に知られており、食品液体の調製に関して当技術分野で慣用されている添加剤などを含んでもよい。
【0165】
本発明の特定の態様によれば、液体食品組成物は、炭酸または非炭酸の酸性飲料であってよい。特に、水、ジュース、スポーツ用飲料、運動用飲料、回復用飲料等が挙げられる。これらの飲料の組成は当業者には周知であり、特に、糖類、無機塩、食品添加物、溶解ガス等を含み得、本発明による飲料は、通常使用される染料(dye)の全部または一部が、前述のように本発明により酸性pH、熱処理および光に対して耐性を有する本発明の安定化フィコビリン(安定化フィコシアニンなど)、本発明の組成物、複合体および着色料組成物(着色料組成物)によって置き換えられた、通常の酸性飲料である。
本発明で使用される液体酸性組成物において、フィコビリン(フィコシアニンなど)の含有量は、2.5mg/L~2500mg/リットル、好ましくは25mg/L~300Mg/succicaであり得る。
【0166】
すぐに使用できる液体組成物タイプの飲料において、フィコビリン(フィコシアニンなど)の含有量は、一般に25mg/L~300mg/L、好ましくは50mg/L~100mg/Lであり得る。
シロップとしての使用のために希釈される濃縮液体組成物において、フィコビリン(フィコシアニンなど)の含有量は、一般に250mg/L~2500mg/L、好ましくは500mg/L~1000mg/Lであり得る。
固体組成物において、フィコビリン(フィコシアニンなど)の含有量は、一般に0.01mg/g~10mg/g、好ましくは0.1mg/g~5.0mg/g、最も好ましくは0.25mg/g~2.5mg/gであり得る。
本発明は、以下の非限定的な実施例によってさらに説明される。
【実施例
【0167】
材料および方法。
フィコシアニン抽出物
フィコシアニンをスピルリナ(Arthrospira platensis)から水で抽出し、抽出液を濾過、精製、および濃縮し、粉末状のフィコシアニンを、噴霧乾燥によりマルトデキストリンを担体として用いて得る。最終抽出物は、Yoshikawa and Belay (2008) J AOAC Int. May-Jun 2008;91(3):524-9に記載のように計算して、C-フィコシアニンとアロフィコシアニンを含む25%wtの総フィコシアニンを含有する。
ジャガイモタンパク質:ジャガイモタンパク質はAVEBE(オランダ)から購入した。タンパク質は、水抽出によりジャガイモから単離し、続いて精製、濃縮、および最後に乾燥した。最終抽出物のタンパク質含有量は90%w/w(乾燥重量)を超える。
【0168】
リョクトウペプチド:試料はNutraonly(中国)から購入し、タンパク質を最初に水で抽出し、次に酵素を用いて加水分解して、ペプチドを取得した。ペプチド含有量は>90%(W:W)である。
米ペプチド:試料はOrganicway(中国)から購入した。米タンパク質は最初に原料から抽出した;次にペプチドを、酵素加水分解、その後の滅菌、濾過、および濃縮、および最後に噴霧乾燥によって取得する。ペプチド含有量は>90%(乾燥重量あたり)であり、分子量は200Da~4000Daの範囲で、大部分は300~2000/1000Daである。米ペプチドはLC-MSを用いて分析した。ペプチドの起源として同定されている主なタンパク質は、グルテリンA1およびB1である。これらのペプチドはおそらくはペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0169】
エンドウ豆ペプチド:エンドウ豆ペプチドはAromiens(米国)から購入した。エンドウ豆タンパク質を最初に水で抽出し、マクロペプチドをタンパク質抽出物の酵素分解により得た後、酵素を熱処理により破壊した。ペプチドは遠心分離によって分離し、その後膜濾過を使用して精製した。滅菌後、粉末抽出物を噴霧乾燥により得た。ペプチド含有量は>80%(乾燥重量)であり、分子量は500Da~3000Daの範囲で、大部分は800~2000Daである。エンドウ豆ペプチドはLC-MSを用いて分析した。ペプチドの起源として同定されている主なタンパク質は、ビシリン、レグミンA、プロビシリン、コンビシリン、レグミンJ、およびアルブミン2である。ペプチドはおそらくはペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0170】
大豆ペプチド:大豆ペプチドはAromiens(米国)から購入した。大豆タンパク質は最初に水で抽出し、ペプチドを、タンパク質抽出物の酵素加水分解により得た。次いで、酵素を熱変性させた。ペプチドは遠心分離によって分離し、その後膜濾過を使用して精製した。濃縮後、抽出物を滅菌し、最終的に噴霧乾燥により粉末形態に製剤化した。ペプチド含有量は>80%であり、分子量は200Da~2000Daの範囲であり、大部分は300~1000Daである。大豆ペプチドはLC-MSを用いて分析した。ペプチドの起源として同定されている主なタンパク質は、グリシンG1およびβ-コングリシシン(大豆タンパク質)である。これらのペプチドはおそらくはペプシン酵素消化を用いて生成された。
【0171】
ペプチド試料の分析:
エンドウ豆ペプチドの試料調製
20mgのエンドウ豆ペプチド試料(粉末)を秤量し、100mLのACN/HO+0.1%ギ酸(70:30)で希釈した。この溶液を、LC-HRMSによる分析の前に0.2μで濾過した。
LC-MS条件
カラム:AdvanceBio Peptide Map(250×2.1mm;2.7μ)温度:50℃
流量:0.25ml/分
注入量:2μl
検出:ESI+でのフルスキャン(範囲m/z:200~3000)
dd-MS2:ESI+でのデータ依存スキャン
移動相:A:ACN、0.1%ギ酸 B:水、0.1%ギ酸
【0172】
エンドウ豆ペプチド試料をLC-MS(液体クロマトグラフィー質量分析)で分析し、BioPharma Finderソフトウェア(Thermo)で再処理して、エンドウ豆ペプチドの主配列を特定し、試料調製中に試料を加水分解するためにどの酵素が使用されたかを特定した。
トリプシン、キモトリプシン、およびペプシンはBioPharma Finderソフトウェアで調査した。いくつかの出版物によると、主要なエンドウ豆タンパク質(グロブリン、レグミン、ビシリン、およびアルブミン)の配列はUniprotからダウンロードし、BioPharma Finderにインポートした(Burger T., Zhang Y., 2019. “Recent Progress in the Utilization of Pea Protein as an Emulsifier for Food Applications”. Trends in Food Science & Technology. https://doi.org/10.1016/j.tifs.2019.02.007)。
【0173】
最良の結果は、調査した3つの酵素の中で最も特異性の低いペプシン酵素で得られた。タンパク質配列中で最も高い同定イオンの割合および、最も高いシーケンスカバレッジを見出したのは、ペプシンであった。
このエンドウ豆試料においてペプシンで同定された6つの主要なタンパク質は、ビシリン、レグミンA、プロビシリン、コンビシリン、レグミンJ、およびアルブミン2であり、これらはこの試料で検出された全イオンの22.6%を占め、シーケンスカバレッジはそれぞれ、71.9%、65.8%、82.9%、65.8%、59.4%、および81.8%であった。
この試料で同定された最も豊富なタンパク質であるビシリンについては、300個のイオンがこのタンパク質のペプチド配列として同定され、総シーケンスカバレッジは71.9%であった(図6)。
グリシニン(主要な大豆タンパク質)、グルテリンおよびプロラミン(主要な米タンパク質)のいくつかのイオンも、26.5%~67%のシーケンスカバレッジ範囲で同定されたが、存在量は非常に低かった。これらのタンパク質はおそらくエンドウ豆にも存在するが、濃度は非常に低い。
【0174】
大豆および米ペプチドの分析。
試料の調製:
75mgの大豆および米のペプチド試料(粉末)を秤量し、50mLのACN/H2O+0.1%ギ酸(70:30)で希釈した。この溶液を、LC-HRMSによる分析の前に0.2μで濾過した。
LC-MS結果(Q Exactive Orbitrap):
大豆および米のペプチド試料をLC-MSで分析し、BioPharma Finderソフトウェア(Thermo)で再処理して、ペプチドの主要配列を特定し、どの酵素が、試料調製中の試料の加水分解に使用されたかを特定した。
トリプシン、キモトリプシン、およびペプシンをBioPharma Finderソフトウェアで調査した。いくつかの出版物によると、主要な大豆タンパク質(グリシニンおよびコングリシニン)、主要な米タンパク質(グルテリンおよびプロラミン)、および主要なエンドウ豆タンパク質(グロブリン、レグミン、ビシリン、およびアルブミン)の配列がUniprotからダウンロードされ、BioPharma Finderにインポートされた(Chatterjee et al., 2018; Rani et al.,2018 and Burger et al., 2019)。
【0175】
大豆ペプチド:
最良の結果は、調査した3つの酵素の中で最も特異性の低いペプシン酵素で得られた。タンパク質配列中で最も高い同定イオンの割合および、最も高いシーケンスカバレッジを見出したのは、ペプシンであった。
この大豆試料においてペプシンで同定された5つの主要なタンパク質は、グリシニンG1、β-コングリシニンアルファサブユニット1および2、グリシニンG5、およびβ-コングリシニンベータサブユニットであり、これらはこの試料で検出された全イオンの21.4%を占め、シーケンスカバレッジはそれぞれ、73.9%、73%、85.2%、62.6%、および79.6%であった(図6)。
この試料で同定された最も豊富なタンパク質であるグリシニンG1については、285個のイオンがこのタンパク質のペプチド配列として同定され、総シーケンスカバレッジは73.9%であった(図7)。
【0176】
米ペプチド:
最良の結果は、調査した3つの酵素の中で最も特異性の低いペプシン酵素で得られた。タンパク質配列中で最も高い同定イオンの割合および、最も高いシーケンスカバレッジを見出したのはペプシンであったが、ただしこれらの回収率は、大豆試料で観察されたものよりも低かった。
この米試料においてペプシンで同定された2つの主要なタンパク質はグルテリンA1とグルテリンB1であり、これらはこの試料で検出された全イオンの3.6%と2.1%を占め、シーケンスカバレッジはそれぞれ、65.5%と65.5%である。
この試料で同定された最も豊富なタンパク質であるグルテリンA1については、200個のイオンがこのタンパク質のペプチド配列として同定され、総シーケンスカバレッジは65.5%であった。
【0177】
例1.シュガーシロップマトリックス、pH3における加熱に対するフィコシアニンの安定性の評価(製菓用途の場合):
0.025gのスピルリナブルー抽出物粉末(25%の総フィコシアニンw/w)を1mLの蒸留水に溶解した。0.150gのタンパク質、ペプチド、またはそれらの混合物(1:1W/W)を、30分間継続的に撹拌しながら、青色スピルリナ抽出溶液にゆっくりと注いだ。次いでブレンドを、99gのシュガーシロップBrix°60、pH3に導入し、20分間混合した。
シュガーシロップを、初期のL、a、bパラメータの評価のために分光光度計(コニカミノルタ)で測定し、基準として設定した。
次いで試料を、水浴を使用して80℃で30分間熱処理した。
加熱後、混合物を最初の基準に対して再度測定し、L、a、bおよびDE2000パラメータの差を評価した。
【0178】
試料1A:0.025%スピルリナ抽出物(25%フィコシアニンw:w)+99.97%シュガーシロップBrix(B)°60、pH3。
試料1B:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%酵母タンパク質抽出物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1C:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%ホエータンパク質分離物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1D:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%ジャガイモタンパク質抽出物+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1E:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%ジャガイモタンパク質抽出物+0.075%米ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1F:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%米ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1G:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%リョクトウペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1H:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%リョクトウペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
1I:0.025%スピルリナ抽出物+0.15%大豆ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1J:+0.025%スピルリナ抽出物+0.15%エンドウ豆ペプチド+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1K:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%エンドウ豆ペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1L:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%大豆ペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
試料1M:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%リョクトウタンパク質+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3。
【0179】
【表1】
【0180】
対照(1A:スピルリナ抽出物のみを含む対照)と比較して、異なるタンパク質候補を含む試料は、スピルリナを含有する試料を熱処理に暴露した場合に、より良好な色の保持を示した。具体的には、ジャガイモタンパク質とリョクトウペプチド、エンドウ豆ペプチドとジャガイモタンパク質、および大豆ペプチドとジャガイモタンパク質は、フィコシアニンの安定性を改善した。興味深いことに、これらの混合物は色安定性(1H、1K、1L、M)を大幅に改善し、これは、ジャガイモタンパク質とリョクトウペプチド、ジャガイモタンパク質とエンドウ豆ペプチド、またはジャガイモタンパク質と大豆ペプチドの間に、相乗効果があることを示唆する。
【0181】
例2:分解吸収測定の動力学
図2Aおよび2Bは、熱処理時のフィコシアニン保持の変化を示す。フィコシアニンのPC保持率はUV-Vis吸収によって測定し、熱処理後と加熱前の吸光度の比率として特定できる。結果は、ジャガイモおよびリョクトウペプチドと組み合わせた場合(試料B:0.025%スピルリナ抽出物+0.075%リョクトウペプチド+0.075%ジャガイモタンパク質+99.82%シュガーシロップB°60、pH3)に、対照試料A(保持率:0.91対0.34)(試料A:試料1A:0.025%スピルリナ抽出物(25%フィコシアニンw:w)+99.97%シュガーシロップB°60、pH3)と比較して、フィコシアニン保持率が大幅に改善されたことを示した。
【0182】
例3:ホエータンパク質単離物の沈殿
0.1gのスピルリナブルー液体抽出物(25%の総フィコシアニンw/w)を1mLの蒸留水に溶解した。0.2gのタンパク質、ペプチド、またはそれらの混合物(1:1W/W)を、30分間連続撹拌しながら青色スピルリナ抽出溶液に組み込んだ。次いでブレンドを、99gの飲料、Brix°10、pH3.5に添加し、マグネチックスターラー(300rpm)を用いて10分間混合した。
飲料組成:89.96%水+10%スクロース+0.025%ソルビン酸カリウム+0.015%安息香酸ナトリウム
最終pHを、クエン酸で3.5に固定した。
飲料を、初期L、a、bパラメータの評価のために分光光度計(コニカミノルタ)で測定し、基準として設定した。
次いで試料を、水浴を用いて95℃で5分間熱処理した。
加熱後、L、a、bおよびDE2000パラメータの差を評価するために、試料を最初の基準に対して再度測定した。
【0183】
【表2】
【0184】
結果:
【表3】
図3でわかるように、対照試料(B)と比較すると、ホエータンパク質(A)は熱処理(AT)後の沈殿を妨げなかったが、ジャガイモタンパク質(CT)は、高温での長時間の熱処理後(95℃で5分間)にも、フィコシアニンのコロイド安定性を高めた。
【0185】
例4.飲料用途におけるコロイド安定性、熱安定性、光安定性の改善
0.15gのスピルリナブルー液体抽出物(7%の総フィコシアニンw/w)を1mLの蒸留水に溶解した。0.05gのタンパク質、ペプチド、またはそれらの混合物(1:1W/W)を、30分間連続撹拌しながら青色スピルリナ抽出溶液に組み込んだ。ブレンドを、0.125フィルターを使用して最初に濾過し、次に99gの飲料、Brix°10、pH3.5に添加し、マグネチックスターラー(300rpm)を用いて10分間混合した。
飲料組成:89.96%水+10%スクロース+0.025%ソルビン酸カリウム+0.015%安息香酸ナトリウム
最終pHを、クエン酸で3.5に固定した。
【0186】
飲料を、初期L、a、bパラメータの評価のために分光光度計(コニカミノルタ)で測定し、基準として設定した。
次に試料を、水浴(AT、BT、CT)を使用して90℃で1分間、熱処理した。
加熱後、試料を初期の基準に対して再度測定し、L、a、bおよびDE2000パラメータの差を評価した。
光安定性を評価するために、試料を連続的に光に暴露した。色損失を、初期L、a、bパラメータの評価のために分光光度計(コニカミノルタ)で測定し、基準として設定した。
【0187】
試料4A:0.1%スピルリナ抽出物(7%の総フィコシアニンw/w)+0.05%ジャガイモタンパク質+99.85%飲料、B°10、pH3.5
試料4B:0.1%スピルリナ抽出物(7%の総フィコシアニンw/w)+0.025%ジャガイモタンパク質+0.025%リョクトウペプチド+99.85%飲料、B°10、pH3.5
試料4C:0.1%スピルリナ抽出物(7%の総フィコシアニンw/w)+99.90%飲料、B°10、pH3.5
試料AT、BT、CTは、試料A、B、Cに熱処理(90℃、1分間)を施したものである。
【表4】
【0188】
図4Aおよび表4は、ジャガイモタンパク質(4ATおよび4BT)、およびジャガイモタンパク質とリョクトウペプチドの混合物が、pH3.5(PCのIEPに非常に近い)でのフィコシアニンの沈降を防止する、コロイド安定性の改善を示したことを示した。90℃、pH3.5で1分間の熱処理後においても、色の保持もまた大幅に改善された。
光安定性が開始された(保存寿命):図4Bおよび4C。
【0189】
飲料AT、BT、CTの試料(加熱処理後)を分光光度計(コニカミノルタ)で測定し、初期L、a、bパラメータを評価し、露光前の基準として設定した。次に試料を光に暴露し、異なる測定を異なる時間に行った。この例からの結果(図4B)は、対照(試料4CT)と比較して、4ATおよび4BTの両方が、13日間の露光後の時間内に維持されるコロイド安定性の、有意な強化を再び示したことを示した。さらに、リョクトウペプチドおよびジャガイモタンパク質を含む試料4BTは、連続的な熱処理および露光下でも、最高の色の保持を示した(図4C、13日目を参照)。この結果は、これらの成分が、熱安定性に加えて、フィコクシアニンを光酸化から保護したことを示唆する。
【0190】
例5.アルブミン
プロトコル
アルブミンタンパク質の、高温および低pHでのフィコシアニンの安定化に対する影響を調査した。0.025%のスピルリナ抽出物(25%フィコシアニンW/W)を含有するpH3のシュガーシロップマトリックスを、例1で既に行ったように調製した。鶏卵白由来のアルブミンおよびウシ血清(BSA)由来のアルブミンを、0.05%~0.2%(W:W)の範囲の異なるレベルで添加した。混合物の618nmにおける初期吸収を測定した。次いで、試料を水浴を使用して80℃で30分間熱処理した。
加熱後、吸収を再度測定し、色の保持率を吸収比により決定した:
【数2】
【0191】
試料:
試料5A:0.025%スピルリナ抽出物+0.05%BSA+99.92%シュガーシロップB°60、pH3
試料5B:0.025%スピルリナ抽出物+0.1%BSA+99.87%シロップB°60、pH3
試料5C:0.025%スピルリナ抽出物+0.2%BSA+99.77%シロップB°60、pH3
試料5D:0.025%スピルリナ抽出物+99.97%シュガーシロップB°60、pH3
試料5E:0.025%スピルリナ抽出物+0.2%鶏卵白+99.77%シロップB°60、pH3
試料5F:0.025%スピルリナ抽出物+0.1%鶏卵白+99.87%シロップB°60、pH3
試料5G:0.025%スピルリナ抽出物+0.05%鶏卵白+99.92%シロップB°60、pH3
【0192】
結果:
【表5】
【0193】
図5Aおよび表5からわかるように、鶏卵白からのアルブミンはフィコシアニンの保持を改善した。しかし、ウシ血清アルブミンは、フィコシアニンの保持をわずかに改善するだけであった。この違いは、これらの動物源からのアルブミン構造の変化によって説明される可能性がある。
図5(A)からわかるように、鶏卵アルブミンを含有する試料は、対照試料と比較してより優れた色の保持を示した。アルブミン濃度を高めると、フィコシアニンの保持率が改善した。
【0194】
これらの結果は、アルブミンの構造がフィコシアニンの安定化に効果的に寄与している可能性があることを示唆しており、ジャガイモタンパク質とリョクトウの混合物で得られる高いフィコシアニン保持率は、グロブリン、プロラミンなどの、さらなる改善をもたらすことができる他のタンパク質およびペプチド画分の存在によって、説明することができる。
図5Bは、ウシ血清アルブミン濃度の関数におけるフィコシアニン保持率の変化(左)およびウシ血清アルブミン濃度の関数におけるフィコシアニン保持率の変化を示す。
【0195】
6.本発明の複合体(フィコビリンおよびタンパク質-ペプチド)のカプセル化
材料および方法。
使用したフィコシアニン抽出物は、Vegebrite(商標)Ultimate ex Naturex, Franceであった。これは、フィコシアニン含有量が20~25重量%のSpirulina platensisの高強度精製抽出物である。
例1に記載のジャガイモタンパク質を使用した。
リョクトウペプチドはNutraonly(ShaanXi, PRC)から入手した。ペプチド含有量は>90%(W:W)であった。
60°Bのシュガーシロップを、十分なクエン酸を40重量部の蒸留水に加えてpH3にすることにより調製した。次いで、60重量部のスクロースを加え、混合しながら70℃に加熱して溶解し、透明なシロップを得た。
【0196】
例6.1
ジャガイモタンパク質とリョクトウペプチドを含有するフィコシアニン顆粒の調製
60gのアルギン酸ナトリウムを、1900gの蒸留水に秤量し、30分間穏やかに撹拌しながら水和させた。次いで、40gのフィコシアニン抽出物、20gのジャガイモタンパク質、および20gのリョクトウペプチドをこの溶液に添加した。混合物をさらに30分間水和させた。
架橋溶液として、60gの乳酸カルシウム五水和物を2940gの蒸留水に溶解した。この溶液を、直径10cmの回転ディスクを備えた容器に入れた。
アルギン酸塩/フィコシアニン/ジャガイモタンパク質およびリョクトウペプチド分離物溶液を、ディスクの中心に注ぎ、回転ディスクの端から乳酸塩溶液中に液滴をスピンさせた。得られた顆粒を架橋溶液から、形成後5分および30分で収集し、水で洗浄し、流動床乾燥機で水分含有量が1~8wt%になるまで乾燥させた。次にそれらを凍結粉砕して、粒子サイズを100μm未満にした。
【0197】
熱安定性試験
例6A~6Fは、以下に記載のように調製した。例6Aは比較例であった。
比較例6A:0.15gのフィコシアニン抽出物粉末を1mlの蒸留水に溶解した。この溶液を99.85gの60°Bシュガーシロップに添加し、20分間混合した。
例6B:0.15gのフィコシアニン抽出粉物末を1mlの蒸留水に溶解した。0.075gのジャガイモタンパク質および0.075gのリョクトウペプチドをゆっくり加えて溶解し、30分間継続的に撹拌した。この溶液を99.70gの60°Bシュガーシロップに添加し、20分間混合した。
例6C:例2に記載のように調製した、ジャガイモタンパク質とリョクトウペプチドを含有するフィコシアニン顆粒0.25g(5分間の架橋後に収集)を、1mlの蒸留水に分散させた。分散液を30分間継続的に撹拌した。次いで、この分散液を99.75gの60°Bシュガーシロップに添加し、20分間混合した。
【0198】
例6D:例2に記載のように調製した、ジャガイモタンパク質とリョクトウペプチドを含有するフィコシアニン顆粒0.25g(30分間の架橋後に収集)を、1mlの蒸留水に分散させた。分散液を30分間継続的に撹拌した。次いで、この分散液を99.75gの60°Bシュガーシロップに添加し、20分間混合した。
CIELAB色空間パラメータL*、a*、およびb*は、分光光度計(Konica Minolta)で測定した。これらの値は基準値として機能する。次いで、試料を水浴中で80℃で30分間熱処理した。加熱後、L*、a*、およびb*を再度測定し、ΔE*ab値を計算した。ΔE*ab値は、加熱前後のCIELAB色空間における試料の色差の尺度である。ΔE*abが高くなるほど色差は大きくなり、試料を熱処理に供したときの色安定性は低くなる。結果は以下の表に報告されている。
【0199】
【表6】
【0200】
フィコシアニン抽出物のみを含有する比較例6Aと比較して、タンパク質を含有するすべての試料は、より良好な色安定性(すなわち、より低いΔE*ab値)を示した。ジャガイモタンパク質とリョクトウタンパク質の混合物を含有する試料をアルギン酸塩中でカプセル化すると(例6Cおよび6D)、熱に対する安定性が改善した。
【0201】
例7.極限環境微細藻類(Cyanidioschyzon merolae)からのフィコシアニンの安定化
この例の目的は、Galdieria SulphurariaおよびCyanidioschyzon merolaeなどの極限環境微細紅藻からのフィコシアニンに対する、研究対象のタンパク質およびペプチドの安定化効率を調査することである。
Cyanidioschyzon merolaeからの粗フィコシアニン抽出物(5%のフィコカイニン)を、飲料に使用した(同じ処方がすでに詳細に記載されている)
試料:
試料7A:0.3%Cyanidioschyzon merolae抽出物+99.7%飲料、B°10、pH3.5
試料7B:0.3%Cyanidioschyzon merolae抽出物+0.15%大豆ペプチド+99.55%飲料、B°10、pH3.5
光安定性:試料を、suntest(ATLAS)を使用して、350w/mで20時間光ストレスに供した。
熱安定性:試料を40℃で2日間保存した
【0202】
色の変化:
色抜けを分光光度計(コニカミノルタ)で測定して、初期L、a、bパラメータを評価し、基準として設定した。(dE2000、(dE00))
【表7】
結果は、大豆ペプチドを添加すると、Cyanidioschyzon merolaeフィコシアニンの熱安定性と光安定性の両方が改善することを示し、ペプチドおよびタンパク質の、極限環境微細藻類からのフィコシアニンの安定剤としての使用が拡大したことを裏付けた。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
【国際調査報告】