(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】光学フィルム積層体及びそれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240920BHJP
【FI】
G02B5/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519085
(86)(22)【出願日】2022-09-15
(85)【翻訳文提出日】2024-03-27
(86)【国際出願番号】 KR2022013764
(87)【国際公開番号】W WO2023054941
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】10-2021-0129387
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】コン,ジ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ドン・ドゥク
(72)【発明者】
【氏名】キム,スン・ヒ
(72)【発明者】
【氏名】イム,ギョ・サン
【テーマコード(参考)】
2H149
【Fターム(参考)】
2H149AA02
2H149AA18
2H149AB11
2H149BA02
2H149DA04
2H149DA05
2H149EA02
2H149EA05
2H149EA22
2H149FA03W
2H149FA05Z
2H149FD47
(57)【要約】
光学フィルム積層体は、位相差層と、位相差層上に積層された偏光層と、位相差層と偏光層との間、または位相差層の下に配置されたバリア層とを含む。バリア層により、偏光層から移動するヨウ素を遮断することにより、画像表示装置に含まれた金属部材の腐食を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位相差層と、
前記位相差層上に積層された偏光層と、
前記位相差層と前記偏光層との間、または前記位相差層の下に配置されたバリア層とを含む、光学フィルム積層体。
【請求項2】
前記位相差層は、半波長位相差層を含む第1位相差層と、四分の一波長位相差層を含む第2位相差層とを含む、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項3】
前記偏光層と前記第1位相差層との間に形成された第1粘接着層と、前記第1位相差層と前記第2位相差層との間に形成された第2粘接着層とをさらに含む、請求項2に記載の光学フィルム積層体。
【請求項4】
前記バリア層は、前記第2粘接着層と前記第2位相差層との間に配置される、請求項3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項5】
前記バリア層は、前記偏光層と前記第1粘接着層との間に配置される、請求項3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項6】
前記バリア層は、前記第1粘接着層と前記第1位相差層との間に配置される、請求項3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項7】
前記バリア層は、前記第1位相差層と前記第2粘接着層との間に配置される、請求項3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項8】
前記第2位相差層の底面上に形成された第3粘接着層をさらに含む、請求項3に記載の光学フィルム積層体。
【請求項9】
前記バリア層は、前記第3粘接着層と前記第2位相差層との間に配置される、請求項8に記載の光学フィルム積層体。
【請求項10】
85℃及び相対湿度85%の条件で250時間放置した後、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)により測定した前記第3粘接着層中のヨウ素の量は3.5×10
-4counts以下である、請求項8に記載の光学フィルム積層体。
【請求項11】
85℃及び相対湿度85%の条件で250時間放置した後、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)により測定した前記第3粘接着層中のヨウ素の量は2.4×10
-4counts以下である、請求項8に記載の光学フィルム積層体。
【請求項12】
前記バリア層の厚さは1~7μmである、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項13】
前記バリア層は、脂環式(cyclo aliphatic)アクリル樹脂を含む、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項14】
前記偏光層は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(PVA)偏光子を含み、前記バリア層はヨウ素移動遮断層として提供される、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項15】
表示パネルと、
前記表示パネル上に積層された請求項1に記載の光学フィルム積層体とを含む、画像表示装置。
【請求項16】
前記表示パネルと前記光学フィルム積層体との間に配置されたタッチセンサ層をさらに含む、請求項15に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム積層体及びそれを含む画像表示装置に関する。より詳細には、偏光層を含む光学フィルム積層体及びそれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ装置などの画像表示装置には、位相差フィルム、偏光フィルム、輝度向上フィルムのような光学フィルムを挿入することができる。例えば、光学フィルムは、染色および延伸処理されたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子を含むことができる。
【0003】
前記光学フィルムは、画像表示装置に含まれるタッチパネル上に積層され得る。この場合、前記偏光子に含まれた成分、粘接着層などに含まれた成分が下方に拡散してタッチパネル内に浸透することがある。これにより、タッチパネル内に含まれる配線、電極などの金属層が腐食することがある。
【0004】
また、最近では、フレキシブル特性を有する薄型ディスプレイが開発されたことにより、光学フィルムもまた、向上したフレキシブルまたはフォルダブル特性を有するように形成する必要がある。したがって、薄型構造を有するとともに、向上した化学的・機械的安定性を有する光学フィルムを画像表示装置に採用する必要がある。
【0005】
例えば、韓国公開特許第10-2014-0135739号では、偏光子および位相差板を含む光学フィルムを開示しているが、前述したタッチセンサ電極の腐食防止については考慮していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一つの課題は、向上した化学的・機械的信頼性を有する光学フィルム積層体を提供することである。
【0007】
本発明の一つの課題は、向上した化学的・機械的信頼性を有する光学フィルム積層体を含む画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1.位相差層と、前記位相差層上に積層された偏光層と、前記位相差層と前記偏光層との間、または前記位相差層の下に配置されたバリア層とを含む、光学フィルム積層体。
【0009】
2.前記項目1において、前記位相差層は、半波長位相差層を含む第1位相差層と、四分の一波長位相差層を含む第2位相差層とを含む、光学フィルム積層体。
【0010】
3.前記項目2において、前記偏光層と前記第1位相差層との間に形成された第1粘接着層と、前記第1位相差層と前記第2位相差層との間に形成された第2粘接着層とをさらに含む、光学フィルム積層体。
【0011】
4.前記項目3において、前記バリア層は、前記第2粘接着層と前記第2位相差層との間に配置される、光学フィルム積層体。
【0012】
5.前記項目3において、前記バリア層は、前記偏光層と前記第1粘接着層との間に配置される、光学フィルム積層体。
【0013】
6.前記項目3において、前記バリア層は、前記第1粘接着層と前記第1位相差層との間に配置される、光学フィルム積層体。
【0014】
7.前記項目3において、前記バリア層は、前記第1位相差層と前記第2粘接着層との間に配置される、光学フィルム積層体。
【0015】
8.前記項目3において、前記第2位相差層の底面上に形成された第3粘接着層をさらに含む、光学フィルム積層体。
【0016】
9.前記項目8において、前記バリア層は、前記第3粘接着層と前記第2位相差層との間に配置される、光学フィルム積層体。
【0017】
10.前記項目8において、85℃及び相対湿度85%の条件で250時間放置した後、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)により測定した前記第3粘接着層中のヨウ素の量は3.5×10-4counts以下である、光学フィルム積層体。
【0018】
11.前記項目8において、85℃及び相対湿度85%の条件で250時間放置した後、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)により測定した前記第3粘接着層中のヨウ素の量は、2.4×10-4counts以下である、光学フィルム積層体。
【0019】
12.前記項目1において、前記バリア層の厚さは1~7μmである、光学フィルム積層体。
【0020】
13.前記項目1において、前記バリア層は、脂環式(cyclo aliphatic)アクリル樹脂を含む、光学フィルム積層体。
【0021】
14.前記項目1において、前記偏光層は、ヨウ素で染色されたポリビニルアルコール(PVA)偏光子を含み、前記バリア層は、ヨウ素移動遮断層として提供される、光学フィルム積層体。
【0022】
15.表示パネルと、前記表示パネル上に積層された前述の実施形態の光学フィルム積層体とを含む、画像表示装置。
【0023】
16.前記項目15において、前記表示パネルと前記光学フィルム積層体との間に配置されたタッチセンサ層をさらに含む、画像表示装置。
【発明の効果】
【0024】
本発明の実施形態による光学フィルムは、偏光子および位相差層を含み、バリア層をさらに含むことができる。前記バリア層は、偏光子と位相差層との間、または互いに異なる位相差層の間に配置することができる。これにより、偏光子に含まれたヨウ素の下部への移動及び浸透を遮断し、光学フィルムの下に配置される金属性部材の腐食を防止することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記バリア層は、粘接着層の下に配置され、粘接着層に含まれた水分などによりヨウ素の移動加速を効果的に遮断し、粘接着成分および水分が下部に移動することを防止することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記バリア層は、脂環式(メタ)アクリレート系紫外線硬化型ポリマーを含むことができる。これにより、熱工程によってヨウ素の移動が促進されることを防止し、ヨウ素および水分との親和性をさらに抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、いくつかの例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は、いくつかの例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
【
図4】
図4は、いくつかの例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
【
図5】
図5は、いくつかの例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
【
図6】
図6は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態によれば、偏光層、位相差層およびバリア層を含み、向上した光学的・化学的信頼性を有する光学フィルムが提供される。本発明の実施形態によれば、前記光学フィルムを含む画像表示装置が提供される。
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0030】
図1は、例示的な実施形態による光学フィルムを示す概略断面図である。
【0031】
図1を参照すると、光学フィルム100は偏光層110と位相差層140とを含むことができる。位相差層140と偏光層110とは、第1粘接着層50を介して互いに接合することができる。
【0032】
例示的な実施形態によれば、偏光層110は偏光子を含むことができる。いくつかの実施形態では、偏光層110は、延伸性フィルムに二色性染料が吸着および配向された延伸型偏光子を含むことができる。
【0033】
偏光層110は、二色性染料により染色可能な樹脂を含むことができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などを含むことができる。
【0034】
好ましくは、面内偏光度の均一性および二色性物質親和性などの観点から、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
【0035】
例えば、偏光層110は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化して得られたポリビニルアルコール系樹脂を含むことができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂は、酢酸ビニルの単独重合体、または酢酸ビニルとそれと共重合可能な単量体との共重合体を含むことができる。酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体、オレフィン系単量体、ビニルエーテル系単量体、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などが挙げられる。
【0036】
偏光層110は、変性ポリビニルアルコール系樹脂、例えば、アルデヒド系化合物の添加により変性されたポリビニルホルマルやポリビニルアセタールなどを含んでもよい。
【0037】
一実施形態では、前記偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに対して膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、乾燥などの工程を行うことによって得ることができる。
【0038】
前記の膨潤、染色、架橋、延伸、水洗などの工程は、恒温水槽内にポリビニルアルコール系樹脂が含まれたフィルムを浸漬した状態で行うことができる。
【0039】
前記染色工程では、二色性物質としてヨウ素を使用することができ、染色補助剤としてヨウ化物を使用することができる。ヨウ化物は、例えば、ウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズ、ヨウ化チタンなどを含むことができる。
【0040】
例示的な実施形態によれば、位相差層140は、第1位相差層120と第2位相差層130とを含むことができる。
【0041】
第1位相差層120は、半波長(λ/2)位相差層を含むことができる。例えば、λ/2位相差層は、特定の波長(例えば、550nm)における面内レターデーション(Re(λ))が約λ/2を満たす光学異方性層を指すことができる。
【0042】
第1位相差層120は、ディスコティック(discotic)液晶化合物の硬化物を含むことができる。非限定的な例として、ディスコティック液晶化合物は、日本特開2007-108732号公報または日本特開2010-244038号公報に記載の物質を含むことができる。
【0043】
第2位相差層130は、四分の一波長(λ/4)位相差層を含むことができる。例えば、λ/4位相差層は、特定の波長(例えば、550nm)における面内レターデーション(Re(λ))が約λ/4を満たす光学異方性層を指すことができる。
【0044】
例えば、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)は115nm~155nm、好ましくは120nm~145nmであってもよい。前記範囲では、λ/2位相差層である第1位相差層120と組み合わせたときに、反射光の光漏れを効果的に抑制することができる。
【0045】
一実施形態では、第2位相差層130はネマチック液晶化合物の硬化物を含むことができる。非限定的な例として、ネマチック液晶化合物は、日本特表平11-513019号公報または日本特開2007-279688号公報に開示された物質を含むことができる。
【0046】
偏光層110と位相差層140とは、第1粘接着層50を介して接合することができる。例えば、第1位相差層120の上面と偏光層110の底面との間に第1粘接着層50を配置することができる。
【0047】
第1粘接着層50は、感圧性粘着剤(Pressure sensitive Adhesive、PSA)、光学透明粘着剤(Optically Clear Adhesive、OCA)、紫外線硬化型グルー(UV-Glue)などの粘着剤を用いて形成することができる。
【0048】
一実施形態では、前記粘着剤は、アクリル系共重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から得るか、またはウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートエステル単量体および光開始剤を含む粘着剤組成物から得ることができる。
【0049】
一実施形態では、前記粘着剤は光硬化可能なエポキシ樹脂を含むこともできる。
【0050】
第1位相差層120と第2位相差層130とは、第2粘接着層60を介して互いに接合することができる。第2粘接着層60は、第1粘接着層50と実質的に同一または相当の物質を含むことができる。
【0051】
例示的な実施形態によれば、光学フィルム積層体100は、バリア層160をさらに含むことができる。バリア層160は偏光層110の下に配置することにより、偏光層110に含まれた二色性染料が下部側(例えば、ディスプレイパネルまたはタッチパネル側)に広がることを遮断することができる。これにより、バリア層160はヨウ素移動防止層として提供することができる。
【0052】
したがって、ヨウ素系物質の下部への拡散によってタッチパネルに含まれた電極・配線、ディスプレイパネルに含まれた電極・配線が腐食することを防止することができる。
【0053】
バリア層160は、水分吸収層、水分遮断層として提供することもできる。また、粘接着層50,60に含まれた有機成分が下部側に拡散・伝播することを防止することができる。
【0054】
バリア層160は、紫外線硬化型単量体から形成された高分子物質を含むことができる。これにより、バリア層160の形成時の熱硬化によるヨウ素系物質の拡散および水分の伝播を抑制することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、バリア層160は脂環式(cyclo aliphatic)アクリル系樹脂を含むことができる。例えば、バリア層160は、脂環式(メタ)アクリレート系単量体から形成されたアクリル系樹脂を含むことができる。
【0056】
バリア層160は脂環式高分子構造を含むことにより、疎水性が増加し、バリア層160内の炭素含有量が増加し、前記ヨウ素系物質および水分の遮断特性をより向上させることができる。
【0057】
例えば、バリア層160は、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート系単量体から形成された高分子物質を含むことができる。
【0058】
図1に示すように、バリア層160は、第2粘接着層160と第2位相差層130との間に配置することができる。これにより、偏光層110から移動するヨウ素系物質を遮断するとともに、粘接着層50,60によって加速された染料物質、水分、有機物質の移動を効果的に遮断することができる。
【0059】
光学フィルム積層体100は、下部保護フィルム170および上部保護フィルム180をさらに含むことができる。
【0060】
下部保護フィルム170は離型層として提供することができる。下部保護フィルム170は、第3粘接着層70を介して第2位相差層130と接合することができる。
【0061】
例えば、下部保護フィルム170を除去した後、第3粘接着層70を用いて、光学フィルム積層体100をタッチパネルまたはディスプレイパネル上に積層することができる。
【0062】
上部保護フィルム180は、偏光板の保護フィルムとして提供することができる。例えば、上部保護フィルム180-偏光子-下部保護フィルムを含む偏光板から偏光板の前記下部保護フィルムを除去し、偏光子を、第1粘接着層50を用いて第1位相差層120 の上面に結合することができる。
【0063】
下部保護フィルム170および上部保護フィルム180は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラル系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂;ウレタン系樹脂;シリコン系樹脂などを含むことができる。
【0064】
例えば、偏光層110の偏光特性および耐久性を維持するために、上部保護フィルム180はセルロース系フィルムを含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、上部保護フィルム180は複層構造を有することができる。例えば、上部保護フィルム180は、ウィンドウフィルムまたはハードコートフィルムをさらに含むことができる。例えば、光学フィルム積層体100は、ディスプレイのウィンドウ一体型フィルムとして提供することができる。
【0066】
前述のように、バリア層160を光学フィルム積層体100内に挿入してヨウ素の移動を抑制し、光学フィルム積層体100の下部に配置される金属部材または電極部材の変性・腐食を防止することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、85℃及び相対湿度85%の条件で250時間放置した後、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)によって測定した光学フィルム積層体100の第3粘接着層70中のヨウ素の量は3.5×10-4counts以下であってもよい。好ましくは、第3粘接着層70中のヨウ素の量は、2.4×10-4counts以下であってもよい。より好ましくは、2.0×10-4counts以下であってもよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、バリア層160の厚さは1~7μmであってもよく、好ましくは2~6μm、より好ましくは、3μm以上および5μm未満であってもよい。
【0069】
前記範囲内では、バリア層160によるヨウ素遮断効果を実質的に実現することができる。例えば、バリア層160の厚さが増加しすぎても、ヨウ素の下部への移動がむしろ増加することがある。
【0070】
薄型化および偏光層/位相差層の光学特性を維持する観点から、バリア層160は、粘接着層50,60,70のそれぞれの厚さよりも小さくてもよい。
【0071】
図2~
図5は、いくつかの例示的な実施形態による光学フィルム積層体を示す概略断面図である。
図1と実質的に同一または相当の構成及び材質については、詳細な説明を省略する。
【0072】
図2を参照すると、バリア層160は、偏光層110と第1粘接着層50との間に配置することができる。これにより、偏光層110から発生するヨウ素の移動を直接遮断することができる。
【0073】
図3を参照すると、バリア層160は、第1粘接着層50と第1位相差層120との間に配置することができる。これにより、第1粘接着層50によって加速移動するヨウ素の移動を遮断することができる。
【0074】
図4を参照すると、バリア層160は、第1位相差層120と第2粘接着層60との間に配置することもできる。
【0075】
図5を参照すると、バリア層160は、第2位相差層130と第3粘接着層70との間に配置することもできる。この場合、タッチセンサに隣接する位置でヨウ素成分の伝播を遮断することができる。
【0076】
図6は、例示的な実施形態による画像表示装置を示す概略断面図である。
【0077】
図6を参照すると、画像表示装置は、表示パネル200と、表示パネル200上に積層された光学フィルム積層体100とを含むことができる。
【0078】
表示パネル200は、パネル基板205上に配置された画素電極210、画素定義膜220、表示層230、対向電極240、及びエンキャプセレーション層250を含むことができる。
【0079】
パネル基板205上には、薄膜トランジスタ(TFT)を含む画素回路が形成され、前記画素回路を覆う絶縁膜を形成することができる。画素電極210は、前記絶縁膜上において、例えばTFTのドレイン電極と電気的に接続することができる。
【0080】
画素定義膜220は、前記絶縁膜上に形成され、画素電極210を露出させて画素領域を定義することができる。画素電極210上には表示層230が形成され、表示層230は、例えば液晶層または有機発光層を含むことができる。
【0081】
画素定義膜220および表示層230上には、対向電極240を配置することができる。対向電極240は、例えば、画像表示装置の共通電極またはカソードとして提供することができる。対向電極240上に、表示パネル200を保護するためのエンキャプセレーション層250を積層することができる。
【0082】
いくつかの実施形態では、表示パネル200上にタッチセンサ層260を積層することができる。例えば、第4粘接着層80を介して、タッチセンサ層260を表示パネル200のエンキャプセレーション層250上に貼り付けることができる。
【0083】
例示的な実施形態によれば、タッチセンサ層260上に、前述の例示的な実施形態による光学フィルム積層体100を積層することができる。
【0084】
例えば、光学フィルム積層体100の下部保護フィルム170を除去し、第3粘接着層70を介して、光学フィルム積層体100をタッチセンサ層260上に貼り付けることができる。
【0085】
タッチセンサ層260は、センシング電極と、前記センシング電極と接続されたトレースとを含むことができる。前述のように、光学フィルム積層体100に含まれたバリア層160により、画像表示装置の上部から拡散・浸透するヨウ素成分、有機成分、水分などを遮断し、前記センシング電極及びトレースの腐食を防止することができる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0087】
実施例1
上部及び下部にPET保護フィルムが貼り付けられた厚さ8μmのPVA偏光子(Kuraray社製)を含む偏光板を準備し、半波長位相差層および四分の一波長位相差層(それぞれ厚さ2μm、富士フィルム社製)が、第2粘接着層として2μmのUV-Glue粘接着層を用いて貼り付けられた位相差層積層体を準備した。四分の一波長位相差層の上面上にバリア層を形成した後、第2粘接着層を用いてバリア層と半波長位相差層とを接合した(
図1のバリア層の位置を参照)。
【0088】
バリア層は、26.5重量部のcycloaliphatic acrylate(Miwon Specialty Chemical、Mirmer M262)、70重量部のプロピレングリコールモノエーテル、3重量部の1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、0.5重量部のシリコン系添加剤(BYK社、BYK-307)を混合して調製したバリア組成物を四分の一波長板の上にコーティングした後、UV硬化して形成した(厚さ:3.5μm)。
【0089】
その後、偏光板から下部保護フィルムを除去し、偏光子と半波長位相差層をPSA系の第1粘接着層(厚さ:5μm)を介して接合した。
【0090】
四分の一波長位相差層の底面側に、PSA系の第3粘接着層(厚さ:15μm)を用いて、PET材質の下部保護フィルム(厚さ:38μm)を形成した。
【0091】
実施例2
バリア層を偏光子と第1粘接着層との間に形成(
図2参照)した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0092】
実施例3
バリア層を第1粘接着層と半波長位相差層との間に形成(
図3参照)した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0093】
実施例4
バリア層を半波長位相差層と第2粘接着層との間に形成(
図4参照)した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0094】
実施例5
バリア層を四分の一波長位相差層と第3粘接着層との間に形成(
図5参照)した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0095】
実施例6
バリア層の厚さを2μmに変更した以外は、実施例5と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0096】
実施例7
バリア層の厚さを5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0097】
実施例8
バリア層の厚さを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0098】
実施例9
バリア層の厚さを6.5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0099】
比較例
バリア層を省略した以外は実施例1と同様にして光学フィルム積層体を製造した。
【0100】
実験例
(1)信頼性の評価
実施例および比較例の光学フィルム積層体から下部保護フィルムを除去し、第3粘接着層を介して500μmアルミニウムが蒸着されたPETフィルムに貼り付け、0.5Tガラス基板の間にサンドイッチして評価サンプルを作製した。
【0101】
その後、前記評価サンプルを85℃、相対湿度85%のオーブン(ESPEC社、型番:PU-2KT)に250時間放置した後、アルミニウム薄膜の腐食有無を観察した(○:腐食なし、△:局所的な腐食が観察、X:腐食が観察)
【0102】
(2)ヨウ素移動量の評価
実施例および比較例の光学フィルム積層体を0.5Tガラス基板の間にサンドイッチして評価サンプルを作製した。
【0103】
前記評価サンプルを85℃、相対湿度85%のオーブン(ESPEC社、型番:PU-2KT)に250時間放置した後、第3粘接着層に含まれたヨウ素の含有量をTOF-SIMS分析により測定した。
【0104】
測定条件は以下の通りである。
i)装置名:TOF.SIMS 5(Munster、Germany)
ii)Bi3+ Gun/30keV、0.6pA/Raster Size 100μm×100μm
【0105】
具体的には、TOF-SIMS分析により検出される全てのイオンに相当するピークの合計強度で各ピークを正規化した後、ヨウ素イオンのピーク強度を確認した。
【0106】
評価の結果を下記表1に示す。
【0107】
【0108】
表1を参照すると、バリア層の挿入によりヨウ素の移動量が顕著に減少し、実施例1の位置にバリア層を含むことによってヨウ素の遮断が効果的に実現された。
【0109】
実施例6~9を参照すると、適切な厚さの範囲(例えば、3μm以上及び5μm未満)のバリア層においてヨウ素の遮断効果が顕著に増加した。
【国際調査報告】