(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、プレポリマー、及びその製造方法、並びに、ポリウレアエラストマー組成物、ポリウレアエラストマー及びその使用
(51)【国際特許分類】
C07F 9/09 20060101AFI20240920BHJP
C08G 18/10 20060101ALI20240920BHJP
C08G 18/46 20060101ALI20240920BHJP
C08G 18/50 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C07F9/09 K
C08G18/10
C08G18/46 084
C08G18/50 021
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519301
(86)(22)【出願日】2022-09-26
(85)【翻訳文提出日】2024-03-28
(86)【国際出願番号】 CN2022121217
(87)【国際公開番号】W WO2023051435
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202111151784.4
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111151790.X
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111154238.6
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】522396333
【氏名又は名称】中石化安全工程研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】楊珂
(72)【発明者】
【氏名】程慶利
(72)【発明者】
【氏名】王全国
(72)【発明者】
【氏名】董邯海
(72)【発明者】
【氏名】甄永乾
(72)【発明者】
【氏名】周日峰
(72)【発明者】
【氏名】于安峰
(72)【発明者】
【氏名】党文義
(72)【発明者】
【氏名】楊哲
【テーマコード(参考)】
4H050
4J034
【Fターム(参考)】
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB46
4H050AB84
4H050AC10
4H050BC10
4J034BA03
4J034BA07
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4J034DA01
4J034DA03
4J034DB04
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4J034DC43
4J034DD05
4J034DD07
4J034DD08
4J034DD09
4J034DF01
4J034DF02
4J034DF34
4J034DF35
4J034DG03
4J034DG04
4J034DG06
4J034DP02
4J034DP19
4J034HA01
4J034HA02
4J034HA07
4J034HB03
4J034HC03
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034JA42
4J034QA01
4J034QA05
4J034QB15
4J034QB19
4J034QC03
4J034QC08
4J034RA05
4J034RA10
4J034RA12
(57)【要約】
本発明は、化学材料の技術分野に関し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、プレポリマー及びその製造方法、並びにポリウレアエラストマー組成物、ポリウレアエラストマー及び使用を開示する。前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの構造単位は、ハロゲン化フェニルホスフェート基構造と1つ又は複数の連結基を含有し、ハロゲン化フェニルホスフェート基は式(1)で示される構造を有し、連結基は式(2)で示される構造を有する。
【化1】
(nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択される1種又は複数種であり、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造単位がハロゲン化フェニルホスフェート基構造と1つ又は複数の連結基を含有し、
前記ハロゲン化フェニルホスフェート基は式(1)で示される構造を有し、
前記連結基は式(2)で示される構造を有する、ことを特徴とするハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール。
【化1】
(ここで、nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択される1種又は複数種であり、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【請求項2】
前記連結基は式(3)で示される構造を有する、請求項1に記載のポリオール。
-O-R
3-O-C(O)-R
2-C(O)-O-R
3-O- 式(3)
(ここで、R
2は、炭素-炭素二重結合を含有する炭素数2~6のアルキレン、好ましくは
【化2】
であり、又は、R
2は
【化3】
であり、
ここで、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9は、同一であるか又は異なり、それぞれH、C
1~C
3アルキル及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではなく、
ここで、R
3は、置換又は無置換のC
1~C
4直鎖又は分岐状アルキレンから選択され、
好ましくは、式(3)で示される連結基は、式(4)又は式(5)で示される構造から選択される1種又は複数種であり、
【化4】
ここで、X及びX’は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり原子、かつ同時にHではなく、
好ましくは、X及びX’は、それぞれ臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素原子である。)
【請求項3】
式(6)及び式(7)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む、請求項1又は2に記載のポリオール。
【化5】
【請求項4】
式(8)-(12)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む、請求項3に記載のポリオール。
【化6】
【請求項5】
数平均分子量が1000~50000、水酸基価が2.5~115mg KOH/gである、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリオール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールによる構造単位を含有する、ことを特徴とするプレポリマー。
【請求項7】
数平均分子量が1500~50000であり、
及び/又は、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオール及びイソシアネートとを予備重合することにより得られ、好ましくは、NCOの含有量が10~20重量%であり、
好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が5~20重量%である、請求項6に記載のプレポリマー。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオールとを接触させて脱水反応させ、中間生成物を得るステップ(D-1)と、
前記中間生成物とイソシアネートとを接触させて予備重合し、プレポリマーを得るステップ(D-2)と、を含む、ことを特徴とするプレポリマーの製造方法。
【請求項9】
前記脱水反応の条件は、温度60~120℃、時間0.5~1.5hを含み、
及び/又は、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3hを含み、
好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
成分Aと成分Bを含有するハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物であって、
前記成分Aは、請求項6又は7に記載のプレポリマーであり、前記成分Bは、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する、ことを特徴とするハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物。
【請求項11】
イソシアネート指数で、前記成分Aと前記成分Bとの比が(1~1.2):1である、請求項10に記載のポリウレアエラストマー組成物。
【請求項12】
前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの含有量が18~80重量%であり、前記オルガノシランの含有量が0.2~2重量%であり、前記鎖延長剤の含有量が20~35重量%である、請求項10又は11に記載のポリウレアエラストマー組成物。
【請求項13】
酸素指数が23%以上、引張強度が18MPa以上、破断伸びが200%以上である、ことを特徴とするポリウレアエラストマー。
【請求項14】
前記ポリウレアエラストマーの製造方法は、
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、ポリエーテルポリオール、任意の希釈剤、及びイソシアネートを接触させて予備重合し、成分Aを得るステップ(1)と、
前記成分Aと、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する前記成分Bとをイソシアネート指数(1~1.2):1で接触させて重合反応させるステップ(2)と、を含む、請求項13に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項15】
前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、前記希釈剤の使用量が0~15重量%であり、
好ましくは、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの使用量が18~80重量%であり、前記オルガノシランの使用量が0.2~2重量%であり、前記鎖延長剤の使用量が20~35重量%である、請求項14に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項16】
前記成分A中のNCOの含有量が10~20重量%であり、
好ましくは、前記成分Aの数平均分子量が1500~50000である、請求項14又は15に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項17】
ステップ(1)において、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3hを含み、
ステップ(2)において、前記重合反応の条件は、温度60~75℃、好ましくは二成分スプレーガンによるスプレーにより前記接触を実施することを含む、請求項14に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項18】
建物防水、構造補強又は減衰・制振の分野における請求項13~17のいずれか1項に記載のポリウレアエラストマーの使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2021年09月29日に提出された、中国特許出願202111151784.4、202111151790.X及び202111154238.6の利益を主張しており、当該出願の内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
[技術分野]
本発明は、化学材料の技術分野に関し、具体的には、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、プレポリマー及びその製造方法、並びに、ポリウレアエラストマー組成物、ポリウレアエラストマー及び使用に関する。
【0003】
[背景技術]
ポリウレアエラストマー(略してPUA)は、イソシアネート末端プレポリマー(成分A)とアミノ化合物成分(成分R)の反応によって生成されるポリマーである。PUAは、強度や弾性に優れ、耐水性、耐薬品性、耐老化性にも優れており、航空宇宙、軍事製品、石油化学などの分野で広く使用されている。しかし、PUAは、一般に酸素指数(LOI)が16~18%の可燃性有機高分子材料であり、裸火にさらされると非常に燃えやすいため、PUA材料の難燃特性は、その発展を制限する重要な要素となっている。
【0004】
近年、科学研究者らはPUAの難燃性変性について多くの研究を行っており、一般に、従来の難燃性変性は、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機難燃剤を大量に添加することによって、PUA材料の難燃特性を向上させるために使用されるが、この無機難燃剤の添加量は多く、PUA材料中での分散性が悪く、材料の力学性能が大幅に低下する。ペンタブロモジフェニルエーテル、リン酸トリフェニル、ポリリン酸アンモニウムなどの従来の有機難燃剤は、PUA材料中での分散性は良好であるが、漏洩しやすく、失われやすいため、材料の難燃性が低下し、環境を汚染する。
【0005】
CN104130685Aは、反応性ノンハロゲン難燃性スプレーポリウレアエラストマー塗料及びその製造方法を開示しており、この塗料では、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジエチル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、及びジメチル-N,N-ビス(2ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェートなどの工業製品のリン酸ポリオールが使用される。このような従来のリン酸系難燃剤は、使用量が大きく、その出願では、優れた難燃効果を発揮するには、使用量が40%である。
【0006】
CN111499834Aは、難燃性ポリウレア防爆保護材料及びその製造方法を開示しており、複合難燃剤として、添加型有機リン酸エステル系難燃剤及び反応性ノンハロゲンリン含有ポリオールの混合物が使用されており、添加型有機リン酸エステル系難燃剤は、メチルリン酸ジメチル、エチルリン酸ジエチル、プロピルリン酸ジメチル、リン酸トリエチル、無水フタル酸エステル及びリン酸トリス(ブトキシエチル)のうちの1種又は2種であり、前記反応性ノンハロゲンリン含有ポリオールは、トリス(ジプロピレングリコール)ホスファイト、ジエチル-N,N-ビス(2ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェート、及びジメチル-N,N-ビス(2ヒドロキシエチル)アミノメチルホスフェートのうちの1種又は2種であり、この複合難燃剤は、使用量が大きく、難燃効果は理想的ではない。
【0007】
CN106117501Aは、難燃性ポリウレアポリオール及びその製造方法を開示しており、イソシアネート、ヒドラジン水和物、及びポリエーテルポリオールを使用してポリウレア型ポリオールを合成しており、火から離れるときは良好な自己消火特性を持っているが、ポリウレア材料への応用に関するデータはない。
【0008】
CN111218199Aは、固有難燃構造を有するスプレーポリウレア防水・防食材料及びその製造方法を開示しており、複合難燃剤中の無水フタル酸ポリエステルポリオール、ナノSiO2及びカップリング剤の質量百分率がそれぞれ50~70%、20~40%及び1~3%であり、より良好な難燃効果を達成することができるが、それらの使用量は大きい。
【0009】
CN111171687Aは、難燃性ポリウレア塗料及びその製造方法を開示しており、使用される難燃剤は、セレン含有トリアジン系高分子難燃剤化合物であり、難燃等級はV-0等級に達する可能性があるが、その材料の力学性能に関する研究は少ない。
【0010】
したがって、より高い力学性能とより優れた難燃性を備えた難燃性ポリウレア材料の研究開発は、高い研究及び応用価値を持っている。
【0011】
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
本発明の目的は、従来技術に存在する、ポリウレア材料の難燃性が悪いという欠陥を解決し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、プレポリマー及びその製造方法、並びに、ポリウレアエラストマー組成物、ポリウレアエラストマー及びその使用を提供することであり、このポリウレアエラストマーは、力学性能が高く、難燃性に優れ、良好な総合的特性を有する。
【0012】
[課題を解決するための手段]
上記の目的を達成させるために、本発明の第1態様は、
構造単位がハロゲン化フェニルホスフェート基構造と1つ又は複数の連結基を含有し、
前記ハロゲン化フェニルホスフェート基は式(1)で示される構造を有し、
前記連結基は式(2)で示される構造を有する、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを提供する。
【化1】
(ここで、nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択される1種又は複数種であり、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【0013】
本発明の第2態様は、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールによる構造単位を含有するプレポリマーを提供する。
【0014】
本発明の第3態様は、
前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオールとを接触させて脱水反応させ、中間生成物を得るステップ(D-1)と、
前記中間生成物とイソシアネートとを接触させて予備重合し、プレポリマーを得るステップ(D-2)と、を含む、プレポリマーの製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第4態様は、成分Aと成分Bを含有するハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物であって、前記成分Aは、前記プレポリマーであり、前記成分Bは、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有するハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物を提供する。
【0016】
本発明の第5態様は、酸素指数が23%以上、引張強度が18MPa以上、破断伸びが200%以上である、ポリウレアエラストマーを提供する。
【0017】
本発明の第6態様は、建物防水、構造補強又は減衰・制振分野の分野における前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの使用を提供する。
【0018】
[発明の効果]
上記の技術案によれば、本発明で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは、分子鎖構造中にハロゲン化ポリリン酸エステル系ポリオール難燃構造が含有されており、力学性能及び難燃性が高く、引張強度が18MPa以上であり、破断伸びが200%以上であり、追加の難燃剤を追加する必要がなく、酸素指数が23%以上である。
【0019】
[図面の簡単な説明]
[
図1]実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの赤外スペクトルである。
[
図2]実施例1、実施例2、及び実施例3のそれぞれで製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールのGPCスペクトルである。
[
図3]実施例1、実施例2、及び実施例3のそれぞれで製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルである。
[
図4]実施例3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーのデジタル写真図である。
[
図5]実施例1~3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの引張性能曲線の模式図である。
[
図6]本発明の実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーと比較例1で製造されたポリウレアエラストマーとの燃焼の比較の模式図である。
【0020】
[発明を実施するための形態]
本明細書で開示される範囲の端点及び任意の値は、正確な範囲又は値に限定されず、これらの範囲又は値に近い値を含むと理解されるべきである。数値範囲の場合、各範囲の端点値の間、各範囲の端点値と個々のポイント値の間、及び個々のポイント値の間は、互いに組み合わされて1つ又は複数の新しい数値範囲を得ることができ、これらの数値範囲は、本明細書で具体的に開示されるものとみなされるべきである。
【0021】
本発明の第1態様は、構造単位がハロゲン化フェニルホスフェート基構造と1つ又は複数の連結基を含有し、
前記ハロゲン化フェニルホスフェート基は式(1)で示される構造を有し、
前記連結基は式(2)で示される構造を有する、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを提供する。
【化2】
(ここで、nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択され、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【0022】
本発明によれば、前記連結基は、式(3)で示される構造を有する。
-O-R
3-O-C(O)-R
2-C(O)-O-R
3-O- 式(3)
(ここで、R
2は、炭素-炭素二重結合を含有する炭素数2~6のアルキレン、好ましくは
【化3】
であり、又は、R
2は、
【化4】
であり、
ここで、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9は、同一であるか又は異なり、それぞれH、C
1~C
3アルキル及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではなく、
ここで、R
3は、置換又は無置換のC
1~C
4直鎖又は分岐状アルキレンから選択される。)
【0023】
本発明によれば、好ましくは、式(3)で示される連結基は、式(4)又は式(5)で示される構造から選択される1種又は複数種であり、
【化5】
ここで、X及びX’は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり原子、かつ同時にHではない。)
【0024】
本発明によれば、好ましくは、X及びX’は、それぞれ臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素原子である。
【0025】
なお、本発明では、m=1の場合は特殊な場合であり、重合条件下ではオリゴマーが得られる。
【0026】
本発明によれば、好ましくは、前記アルキレンは、C1~C7直鎖又は分岐状アルキレンであり、より好ましくは、前記アルキレンは、C1~C6直鎖又は分岐状アルキレンである。
【0027】
本発明によれば、より好ましくは、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、式(6)及び式(7)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む。
【化6】
(ここで、X及びX’は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり原子、かつ同時にHではない。)
【0028】
本発明によれば、好ましくは、X及びX’は、それぞれ臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素原子である。
【0029】
本発明によれば、よりさらに好ましくは、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、式(8)~(12)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む。
【化7】
【0030】
本発明によれば、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールでは、数平均分子量は1000~50000、好ましくは1000~48000であり、水酸基価は、2.5~115mg KOH/g、好ましくは2.8~112mg KOH/gである。
【0031】
本発明では、本発明による好ましい特定実施形態では、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造方法は、
オクタン酸第一スズC
16H
30O
4Sn及びジクロロエタンC
2H
4Cl
2の存在下、オキシ塩化リンPOCl
3と式(13)で示されるハロゲン化フェノールとを接触させて第1反応を行い、式(14)で示される中間生成物のフェニルリン酸を得るステップ(1-1)と、
前記フェニルリン酸を含有するジクロロエタンC
2H
4Cl
2溶液を、式(15)で示されるジオール、ジクロロエタン及びトリエチルアミンC
6H
4Nを含有する混合溶液に滴下して第2反応を行い、その後、洗浄、乾燥及び濾過の処理を行い、式(16)で示されるハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを得るステップ(1-2)と、を含む。
【化8】
(ここで、Rは、
【化9】
で示される構造のうちの1種又は複数種である。
ここで、nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択され、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【0032】
本発明によれば、前記連結基は、前記式(3)で示される構造の記載と一致するので、ここでは詳しく説明しない。
【0033】
本発明によるより好ましい特定実施形態では、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造方法は、
オキシ塩化リン、ジクロロエタン、オクタン酸第一スズ及びハロゲン化フェノールを接触させて第1反応を行い、中間生成物のフェニルリン酸を得るステップ(1-1)と、
前記フェニルリン酸を含有するジクロロエタン溶液を、ジオール、ジクロロエタン及びトリエチルアミンを含有する混合溶液に滴下して第2反応を行い、その後、洗浄、乾燥及び濾過の処理を行い、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを得るステップ(1-2)と、を含む。
【化10】
【0034】
本発明では、オクタン酸第一スズは触媒であり、オキシ塩化リン及びハロゲン化フェノールは反応物であり、ジクロロエタンは溶媒であり、オキシ塩化リン及びハロゲン化フェノールは第1反応を行い、中間生成物のフェニルリン酸を生成する。フェニルリン酸及びジオールは第2反応を行い、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール(ポリリン酸エステル)を生成する。
【0035】
本発明によれば、前記ハロゲン化フェノールは、p-ブロモフェノール、ジブロモフェノール、トリブロモフェノール、テトラブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、トリクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、トリフルオロフェノール、及びトリヨードフェノールから選択される1種又は複数種であり、好ましくは、前記ハロゲン化フェノールは、p-ブロモフェノール、トリブロモフェノール及びペンタブロモフェノールから選択される1種又は複数種である。
【0036】
本発明によれば、前記ジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、エチレングリコールマレエートポリオール、エチレンテレフタレートポリオール、エチレングリコールジクロロマレエートポリオール、及びエチレンテトラクロロテレフタレートポリオールから選択される1種又は複数種であり、好ましくは、前記ジオールは、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、エチレングリコールマレエートポリオール、エチレンテレフタレートポリオール、エチレングリコールジクロロマレエートポリオール、及びエチレンテトラクロロテレフタレートポリオールから選択される1種又は複数種である。
【0037】
本発明によれば、前記オキシ塩化リン、前記ハロゲン化フェノール、前記ジオール、及び前記トリエチルアミンの使用量のモル比は、1:(0.8~1.0):(2.0~2.2):(0.8~1.2)である。
【0038】
本発明によれば、ハロゲン化フェノールの使用量を基準にして、前記オクタン酸第一スズの使用量は0.1~0.5重量%である。
【0039】
本発明によれば、ステップ(1-1)では、ジクロロエタンの使用量は、特に限定されず、本発明では、反応物のオキシ塩化リン及びハロゲン化フェノールを溶解できればよい。ステップ(1-2)では、前記中間生成物を含有するジクロロエタン溶液中のジクロロエタンの使用量は、特に限定されず、本発明では、前記中間生成物を溶解できればよい。ステップ(1-2)では、ジオール、ジクロロエタン及びトリエチルアミンを含有する混合溶液中のジクロロエタンの使用量は、特に限定されず、本発明では、好ましくは、ジクロロエタンとジオールとの使用量の体積比は1:(1~2)であればよい。
【0040】
本発明によれば、トリエチルアミンは、pH調整剤であり、中性に維持すればよい。
【0041】
本発明によれば、ステップ(1-2)では、前記滴下の条件は、1~2滴/秒を含み、本発明では、滴下を強調するのは、反応放熱をよりよく制御するためである。
【0042】
本発明によれば、ステップ(1)では、前記第1反応の条件は、温度0~20℃、時間1~24h、好ましくは、温度0~20℃、時間2~8hを含む。
【0043】
本発明によれば、ステップ(2)では、前記第2反応の条件は、温度0~20℃、時間1~24h、好ましくは、温度0~20℃、時間2~16hを含む。
【0044】
本発明によるより好ましい特定実施形態では、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造方法は、
オキシ塩化リン、ジクロロエタン及びオクタン酸第一スズを反応釜に加えて、0~20℃、窒素の条件下で、ハロゲン化フェノールを1~2滴/秒滴下し、2~8h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物を得るステップ(1-1)と、
ジオール、ジクロロエタン及びトリエチルアミンを反応釜に加えて、0~20℃、窒素の条件下で、中間生成物のジクロロエタン溶液を1~2滴/秒滴下し、滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを得るステップ(1-2)と、を含む。
【0045】
本発明の第2態様は、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールによる構造単位を含有するプレポリマーを提供する。
【0046】
本発明によれば、前記プレポリマーの数平均分子量は1500~50000である。
【0047】
本発明によれば、前記プレポリマーは、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオール及びイソシアネートとを予備重合することにより得られ、好ましくは、前記プレポリマー中のNCOの含有量が10~20重量%、好ましくは13~20重量%である。
【0048】
本発明によれば、好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が5~20重量%であり、好ましくは、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が25~65重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が25~55重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が5~20重量%であり、より好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が30~60重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が25~30重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が10~20重量%である。
【0049】
本発明の第3態様は、
前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオールとを接触させて脱水反応させ、中間生成物を得るステップ(D-1)と、
前記中間生成物とイソシアネートとを接触させて予備重合し、プレポリマーを得るステップ(D-2)と、を含む、プレポリマーの製造方法を提供する。
【0050】
本発明者らは、ハロゲン含有官能基変性ポリリン酸エステルを用いて、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを製造することによって、このポリリン酸エステルポリオールが、リン酸エステルによる脱水難燃効果に加えて、ハロゲンによる難燃性を有する一方、好ましくは、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールセグメントのヒドロキシがイソシアネートとの予備重合活性を保持し、そのため、このようなハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオール及びイソシアネートとを予備重合することによって、製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは、力学性能を良好に保ちながら、難燃性能を向上させることができることを見出した。
【0051】
本発明によれば、前記脱水反応の条件は、温度60~120℃、時間0.5~1.5hを含む。好ましくは、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール及びポリエーテルポリオールを予め脱水処理し、60~120℃の真空条件下で0.5~1.5h脱水し、その後、40~60℃に降温し、後でイソシアネートと脱泡反応するのに供する。
【0052】
本発明によれば、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3h、好ましくは、温度60~80℃、時間1~2hを含む。
【0053】
本発明によれば、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、好ましくは、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が25~65重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が25~55重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、より好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が30~60重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が25~30重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が10~20重量%である。
【0054】
本発明の第4態様は、成分Aと成分Bを含有し、前記成分Aは前記プレポリマーであり、前記成分Bは、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物を提供する。
【0055】
本発明によれば、イソシアネート指数で、前記成分Aと前記成分Bとの比は、(1~1.2):1、好ましくは(1~1.05):1である。
【0056】
なお、本発明によれば、「イソシアネート指数」とは、イソシアン酸塩とアミノとのモル比である。
【0057】
本発明によれば、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは、イソシアネートによる式(17)で示されるイソシアネート構造単位と、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールによるハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール構造単位と、を含み、
【化11】
(ここで、R
10は、芳香族又は脂肪族イソシアネート残基である。)
【0058】
本発明によれば、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が5~20重量%であり、好ましくは、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が25~65重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が25~55重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、より好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が30~60重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が25~30重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が10~20重量%である。
【0059】
本発明によれば、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの含有量が18~80重量%であり、前記オルガノシランの含有量が0.2~2重量%であり、前記鎖延長剤の含有量が20~35重量%であり、好ましくは、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの含有量が24~65重量%であり、前記オルガノシランの含有量が0.2~1重量%であり、前記鎖延長剤の含有量が20~30重量%である。
【0060】
本発明によれば、前記イソシアネートは、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、液化型ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジメチレンジイソシアネート、及び4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートから選択される1種又は複数種である。
【0061】
本発明によれば、前記ポリエーテルポリオールは、ポリテトラヒドロフランジオール、ポリオキシプロピレンエーテルポリオール、ポリオキシエチレンポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、脂肪酸トリグリセリド、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートジオール、及び1,4-ブタンジオールから選択される1種又は複数種である。
【0062】
本発明によれば、前記アミノ末端ポリエーテルは、アミノ末端ポリエーテルT5000、T3000、T403、D4000、D2000、D400、及びD230から選択される1種又は複数種である。
【0063】
本発明によれば、前記鎖延長剤は、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、N,N-ジアルキルメチルジアミン、N,N-ジアルキルフェニレンジアミン、及びイソホロンジアミンから選択される1種又は複数種である。
【0064】
本発明によれば、前記オルガノシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、及び3-メルカプトプロピルトリエトキシシランから選択される1種又は複数種であり、好ましくは、前記オルガノシランは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシランから選択される1種又は複数種である。本発明では、前記オルガノシランを用いることによって、材料の界面濡れ性を向上させる作用がある。また、成分Aの製造中にオルガノシランを添加するのではなく、成分Bにオルガノシランを添加するのは、材料と基材との界面性能を改善するためである。
【0065】
本発明の第5態様は、酸素指数が23%以上、引張強度が18MPa以上、破断伸びが200%以上、好ましくは、酸素指数が23~28%、引張強度が18~30MPa、破断伸びが280~400%である、ポリウレアエラストマーを提供する。
【0066】
本発明によれば、
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、ポリエーテルポリオール、任意の希釈剤、及びイソシアネートを接触させて予備重合し、成分Aを得るステップ(1)と、
前記成分Aと、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する前記成分Bとをイソシアネート指数(1~1.2):1で接触させて重合反応を行うステップ(2)と、を含む、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造方法をさらに提供する。
【0067】
本発明によれば、好ましくは、前記成分Aは、希釈剤をさらに含み、前記成分Aの全重量を基準にして、前記希釈剤の使用量が0~15重量%であり、好ましくは2~12重量%である。
【0068】
本発明によれば、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、前記希釈剤の使用量が0~15重量%であり、好ましくは、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が25~65重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が25~55重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、前記希釈剤の使用量が2~12重量%であり、より好ましくは、前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が30~60重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が25~30重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が10~20重量%であり、前記希釈剤の使用量が2~12重量%である。本発明では、各成分の使用量を前述範囲内に限定することには、材料が力学性能及び難燃性を両方に維持する利点がある。
【0069】
本発明によれば、前記成分Aは、プレポリマーであり、本発明では、前記成分Aは、数平均分子量が1500~50000であり、前記成分A中のNCOの含有量が10~20重量%、好ましくは12~20重量%である。
【0070】
本発明によれば、前記希釈剤は、トルエンジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルエステル、プロピレンカーボネート、炭酸エチル、フタル酸ジブチル、2-クロロエチルエステル、及びアセトンから選択される1種又は複数種である。
【0071】
本発明によれば、前記成分Bは、フィラー及び助剤をさらに含む。
【0072】
本発明によれば、前記フィラーは、ベントナイト、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、シリカ、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンファイバー、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及びセルロースから選択される1種又は複数種であり、好ましくは、前記フィラーは、モンモリロナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、水酸化アルミニウム、及び水酸化マグネシウムから選択される1種又は複数種である。
【0073】
本発明によれば、前記助剤は、着色剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤、希釈剤、及び分散剤から選択される1種又は複数種であり、前記着色剤は、新諾安社製の白色糊及び/又は新諾安社製の黒色糊であり、前記紫外線吸収剤は、紫外線防止剤HMであり、前記レベリング剤はBYKレベリング剤であり、前記消泡剤は、BYK消泡剤であり、前記分散剤はBYK分散剤であり、前記希釈剤はプロピレンカーボネートである。
【0074】
本発明によれば、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの使用量が18~80重量%であり、前記鎖延長剤の使用量が20~35重量%であり、前記オルガノシランの使用量が0.2~2重量%であり、好ましくは、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの使用量が24~65重量%であり、前記鎖延長剤の使用量が20~30重量%であり、前記オルガノシランの使用量が0.2~1重量%である。
【0075】
本発明によれば、前記成分Bの全重量を基準にして、前記フィラーの使用量が1~30重量%であり、前記助剤の使用量が5~15重量%であり、好ましくは、前記成分Bの全重量を基準にして、前記フィラーの使用量が5~30重量%であり、前記助剤の使用量が5~15重量%である。
【0076】
本発明では、各成分の使用量を前述の範囲内に限定するのには、製造されたポリウレア材料は力学性能、難燃性により優れるという利点がある。
【0077】
本発明によれば、イソシアネート指数で、前記成分Aと前記成分Bとの比は、(1~1.2):1、好ましくは(1~1.05):1である。
【0078】
本発明によれば、イソシアネート、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、ポリエーテルポリオール、任意の希釈剤、アミノ末端ポリエーテル、鎖延長剤、オルガノシランは前記と一致するので、ここでは詳しく説明しない。
【0079】
本発明によれば、ステップ(1)では、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3h、好ましくは、温度60~80℃、時間1~2hを含む。
【0080】
本発明によれば、好ましくは、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール及びポリエーテルポリオールを予め脱水処理し、60~120℃の真空条件下で0.5~1.5h脱水する。本発明では、脱泡反応完了後、降温処理を行い、好ましくは、40~60℃に降温し、後のイソシアネートとの脱泡反応に供する。
【0081】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(2)では、前記接触の条件は、撹拌速度1000~2000rpm、温度25~60℃、時間30~120min、好ましくは、撹拌速度1000~1500rpm、温度30~60℃、時間60~80minを含む。
【0082】
本発明によれば、好ましくは、ステップ(2)では、前記重合反応の条件は、温度60~75℃、すなわち、混合しながら重合反応を行うことを含むが、好ましくは、温度65~70℃である。本発明では、二成分スプレーガンを用いてスプレーし、アミノ末端ポリエーテルが成分Aと成分Bとの混合硬化反応に関与し、二液型接着剤のように成分A及び成分Bを混合した後に硬化させる。
【0083】
本発明による好ましい特定実施形態では、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造方法は以下を含む。
(1)成分Aの製造
ポリエーテル(エステル)ポリオール及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、60~120℃の真空条件下で0.5~1.5h脱水し、その後、40~60℃に降温し、前記イソシアネートを対応する割合で反応釜に加えて、60~80℃に昇温し、1~2h保温して反応させ、脱泡後、降温し、NCO%含有量が12~20%の成分Aを得る。前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が30~60重量%であり、前記ポリエーテル(エステル)ポリオールの使用量が25~30重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が10~20重量%である。
(2)成分Bの製造
原料として、アミノ末端ポリエーテル24~65質量%、鎖延長剤20~30質量%、フィラー5~30質量%、オルガノシラン0.2~1質量%及び他の助剤5~15質量%を反応釜に投入し、30~60℃に昇温し、窒素の条件下で、60~80min撹拌し、成分Bを得る。
(3)ポリウレア材料の製造
イソシアネート指数が1~1.05となるように前記成分A及び成分Bをスプレーし、ポリウレア材料を得る。
【0084】
本発明の第6態様は、建物防水、構造補強又は減衰・制振の分野における前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの使用を提供する。
【0085】
本発明によれば、前記建物防水は、建物屋上防水塗料、貯水池防水塗料を含む。
【0086】
本発明によれば、前記構造補強は、建物補修塗料、壁補強塗料を含む。
【0087】
本発明によれば、前記減衰・制振は、制振塗料、吸音塗料を含む。
【0088】
以下、実施例によって本発明について詳細に説明する。
【0089】
以下、実施例及び比較例では、
(1)性能テスト
数平均分子量テスト:常温GPCテストには、Waters社製のGPC-2414型ゲル浸透クロマトグラフを用いて測定し、テスト温度を30℃、テトラヒドロフランを移動相溶媒、液体流動速度を1.0ml/minとし、ポリスチレン標準サンプルを用いて分子量を校正する;
水酸基価テスト:標準的な無水フタル酸-ピリジン還流法による測定。
(2)原料由来
ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、トルエンジイソシアネート原料は、万華化学公司製の商品名MDI-50、TDI-80の市販品である。
アミノ末端ポリエーテル原料は、ハンツマン社製の商品名D2000、T5000、D400の市販品である。
ポリオキシプロピレンエーテルポリオール、ポリテトラヒドロフランジオール、ポリカプロラクトンジオール、ハロゲン化フェノール、オクタン酸第一スズ、小分子ジオール、オキシ塩化リン、シラン原料は、マクリーン化学試薬会社製の市販品である。
以下の実施例及び比較例では、特に断らない限り、%は重量%を表す。
実施例1
【0090】
本実施例では、本発明の方法により製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーについて説明する。
(1)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造
1)オキシ塩化リン0.1mol、ジクロロエタン60ml、及びオクタン酸第一スズ0.1gを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、ペンタブロモフェノール0.1molのジクロロエタン溶液40mlを1~2滴/秒滴下し、4h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物P1を得た。
2)エチレングリコールマレエートポリオール0.22mol、ジクロロエタン100ml、及びトリエチルアミン0.1molを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、P1のジクロロエタン溶液50mlを1~2滴/秒滴下した。
3)滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1を得た。
図3は、実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルである。
図3から明らかに、結果として得られたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1の赤外スペクトルは
図3に示される。
図3から分かるように、実施例1のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、リン酸エステルの赤外線吸収ピーク(1257cm
-1)、二重結合の赤外線吸収ピーク(1726cm
-1)、及びベンゼン環の吸収ピーク(1624cm
-1)を有する。
結果として得られたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1のGPCスペクトルは
図2に示される。
図2から分かるように、実施例1のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、すべて単峰性分布を持つ高分子量重合体であり、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1は、数平均分子量が3000、水酸基価が36mg KOH/gである。赤外スペクトル、及び原料と反応条件から、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1は以下の構造式を有することが判明した。
【化12】
(2)成分Aの製造
ポリテトラヒドロフランジオール及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、100℃の条件で1h脱水し、60℃の条件下で、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートを加えて、80℃で1.5h反応させ、均一に撹拌した後降温し、炭酸エチルを加えて、プレポリマーA1を取得して、NCO%が13%の成分Aとした。
結果として得られたプレポリマーA1の構造単位は以下の通りである。
【化13】
前記プレポリマーA1の数平均分子量は4500である。
成分A:ポリテトラヒドロフランジオール(PTMG-1000)36重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1 20重量%、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート42重量%、炭酸エチル2重量%。
(3)成分Bの製造
アミノ末端ポリエーテルD2000、ジエチルトルエンジアミン、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン、シリカ、及び水酸化アルミニウムを反応釜に加えて、窒素の条件で40℃に昇温し、80min撹拌したものを、成分Bとして取り出した。
成分B:アミノ末端ポリエーテル(D2000)55重量%、ジエチルトルエンジアミン30重量%、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン0.2重量%、水酸化アルミニウム8重量%、シリカ1.8重量%、他の助剤5重量%(具体的には、新諾安社製の色糊 1重量%、紫外線吸収剤HM 2重量%、BYK消泡剤 2重量%)。
(4)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造
二液式高圧スプレーガンを用いて、イソシアネート指数が1.1となるように、温度70℃の条件下で、成分A及び成分Bをポリテトラフルオロエチレン板の表面に厚さ2mmでスプレーして高速硬化させて成形し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS1を得た。
実施例2
【0091】
本実施例では、本発明の方法により製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーについて説明する。
(1)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造
1)オキシ塩化リン0.1mol、ジクロロエタン60ml、及びオクタン酸第一スズ0.1gを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、p-クロロフェノール0.1molのジクロロエタン溶液40mlを1~2滴/秒滴下し、4h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物P2を得た。
2)エチレンテトラクロロテレフタレート0.25mol、ジクロロエタン100ml、及びトリエチルアミン0.1molを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、P2のジクロロエタン溶液50mlを1~2滴/秒滴下した。
3)滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2を得た。
図3は、実施例2で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルである。
図3から分かるように、実施例2のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、リン酸エステルの赤外線吸収ピーク(1250cm
-1)及びベンゼン環の吸収ピーク(1630cm
-1)を有する。
結果として得られたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2のGPCスペクトルは
図2に示される。
図2から分かるように、実施例2のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、単峰性分布を持つ高分子量重合体であり、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2は、数平均分子量48000、水酸基価2.8mg KOH/gである。赤外スペクトル、及び原料と反応条件から、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2は以下の構造式を有することが判明した。
【化14】
(2)成分Aの製造
ポリオキシプロピレンエーテルポリオール及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、100℃の条件で1h脱水し、40℃の条件下で、トルエンジイソシアネートを加えて、70℃で2h反応させ、均一に撹拌した後降温し、フタル酸ジブチルを加えて、プレポリマーA2を得て、NCO%が13%の成分Aとした。
結果として得られたプレポリマーA2の構造単位は以下の通りである。
【化15】
前記プレポリマーA2の数平均分子量は50000である。
成分A:ポリオキシプロピレンエーテルポリオール(8200)54重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2 16重量%、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート20重量%、フタル酸ジブチル10重量%。
(3)成分Bの製造:アミノ末端ポリエーテル、イソホロンジアミン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、水酸化マグネシウム、モンモリロナイト、カーボンナノチューブ、及び他の助剤を反応釜に加えて、窒素の条件で30℃に昇温し、60min撹拌したものを、成分Bとして取り出した。
成分Bの処方:アミノ末端ポリエーテル(D400)31重量%、アミノ末端ポリエーテル(T403)30重量%、イソホロンジアミン20重量%、メルカプトプロピルトリメトキシシラン1重量%、水酸化マグネシウム10重量%、モンモリロナイト2.5重量%、カーボンナノチューブ0.5重量%、他の助剤5重量%(具体的には、新諾安社製の色糊 1重量%、紫外線吸収剤HM 2重量%、BYK消泡剤2重量%)。
(4)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造
二液式高圧スプレーガンを用いて、イソシアネート指数が1.0となるように、温度75℃の条件で、成分A及び成分Bをポリテトラフルオロエチレン板の表面に厚さ2mmでスプレーして高速硬化させて成形し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS2を得た。
実施例3
【0092】
本実施例では、本発明の方法により製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーについて説明する。
(1)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造
1)オキシ塩化リン0.1mol、ジクロロエタン60ml、及びオクタン酸第一スズ0.1gを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、p-フルオロフェノール0.1molのジクロロエタン溶液40mlを1~2滴/秒滴下し、4h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物P3を得た。
2)エチレングリコールジクロロマレエート0.28mol、ジクロロエタン100ml、及びトリエチルアミン0.1molを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、P3のジクロロエタン溶液50mlを1~2滴/秒滴下した。
3)滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO3を得た。
また、
図3は、実施例3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルである。
図3から分かるように、実施例3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルにおいて、実施例3のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、リン酸エステルの赤外線吸収ピーク(1254cm
-1)、二重結合の赤外線吸収ピーク(1726cm
-1)、及びベンゼン環の吸収ピーク(1631cm
-1)を有する。
結果として得られたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO3のGPCスペクトルは
図2に示される。
図2から分かるように、実施例3のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールは、単峰性分布を持つ高分子量重合体であり、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO3は、数平均分子量1000、水酸基価111mg KOH/gである。赤外スペクトル、及び原料と反応条件から、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO3は以下の構造式を有することが判明した。
【化16】
図4は、実施例3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーのデジタル写真図である。この生成物のハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは塗料であり、テストを容易にするために、平板にスプレーして、シートにした。
図4から分かるように、実施例3のハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは、光滑で平坦なシート状の材料である。
(2)成分Aの製造
ポリオキシプロピレンエーテルポリオール、及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、100℃の条件で1h脱水し、40℃の条件下で、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートを加え、60℃で2h反応させ、均一に撹拌した後降温し、プレポリマーA3を得て、NCO%が20%の成分Aとした。
結果として得られたプレポリマーA3の構造単位は以下の通りである。
【化17】
前記プレポリマーA3の数平均分子量は1800である。
成分A:ポリカプロラクトンジオール(D560)10重量%、ポリエチレングリコール(1000)15重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール10重量%、イソホロンジイソシアネート55重量%。
(3)成分Bの製造
アミノ末端ポリエーテル、ジメチルチオトルエンジアミン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、及び他の助剤を反応釜に加えて、窒素の条件で60℃に昇温し、30min撹拌したものを、成分Bとして取り出した。
成分B:アミノ末端ポリエーテル(D2000)20重量%、アミノ末端ポリエーテル(T5000)14重量%、ジメチルチオトルエンジアミン20重量%、3-アミノプロピルトリメトキシシラン1重量%、水酸化マグネシウム10重量%、水酸化アルミニウム20重量%、他の助剤15重量%(具体的には、新諾安社製の色糊 1重量%、紫外線吸収剤HM 2重量%、BYK消泡剤2重量%、希釈剤プロピレンカーボネート10%)。
(4)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造
二液式高圧スプレーガンを用いて、イソシアネート指数が1.2となるように、温度60℃の条件下で、成分A及び成分Bをポリテトラフルオロエチレン板の表面に厚さ2mmでスプレーして高速硬化させて成形し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS3を得た。
実施例4
【0093】
本実施例では、本発明の方法により製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーについて説明する。
(1)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造
1)オキシ塩化リン0.1mol、ジクロロエタン60ml、及びオクタン酸第一スズ0.1gを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、2,4,6-トリブロモフェノール0.1molのジクロロメタン溶液40mlを1~2滴/秒滴下し、4h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物P5を得た。
2)エチレングリコールマレエートポリオール0.22mol、ジクロロエタン100ml、及びトリエチルアミン0.1molを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、P5のジクロロエタン溶液50mlを1~2滴/秒滴下した。
3)滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO4を得た。
その結果、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO4は、数平均分子量2000、水酸基価55mgKOH/gである。赤外スペクトル、及び原料と反応条件から、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO4は以下の構造式を有することが判明した。
【化18】
(2)成分Aの製造
ポリオキシプロピレンエーテルポリオール、及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、100℃の条件で1.0h脱水し、60℃の条件下で、トルエンジイソシアネートを加えて、90℃で1.0h反応させて、均一に撹拌した後降温し、プレポリマーA4を得て、NCO%が18%の成分Aとした。
また、得られたプレポリマーA4の構造単位は以下の通りである。
【化19】
前記プレポリマーA4の数平均分子量は3000である。
成分A:ポリオキシプロピレンエーテルポリオール(1000)28重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール10重量%、キシリレンイソシアネート62重量%。
(3)成分Bの製造
アミノ末端ポリエーテル、ジエチルトルエンジアミン、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン、モンモリロナイト、炭酸カルシウム、ガラス繊維、水酸化アルミニウム、及び他の助剤を反応釜に加えて、窒素の条件で60℃に昇温し、60min撹拌したものを、成分Bとして取り出した。
成分Bの処方:アミノ末端ポリエーテル(D2000)40重量%、アミノ末端ポリエーテル(T5000)9重量%、ジエチルトルエンジアミン25重量%、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン1重量%、モンモリロナイト2重量%、炭酸カルシウム2重量%、ガラス繊維1重量%、水酸化アルミニウム10重量%、他の助剤10重量%(具体的には、新諾安社製の色糊 1重量%、紫外線吸収剤HM 2重量%、BYK消泡剤2重量%、希釈剤プロピレンカーボネート5重量%)。
(4)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造
二液式高圧スプレーガンを用いて、イソシアネート指数が1.1となるように、温度65℃の条件下で、成分A及び成分Bをポリテトラフルオロエチレン板の表面に厚さ2mmでスプレーして高速硬化させて成形し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS4を得た。
実施例5
【0094】
本実施例では、本発明の方法により製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーについて説明する。
(1)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの製造
1)オキシ塩化リン0.1mol、ジクロロエタン60ml、及びオクタン酸第一スズ0.1gを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、3,5-ジブロモフェノール0.1molのジクロロエタン溶液40mlを1~2滴/秒滴下し、4h反応させた後、反応溶媒を吸引乾燥し、中間生成物P4を得た。
2)エチレングリコールマレエート0.25mol、ジクロロエタン100ml、及びトリエチルアミン0.1molを三つ口フラスコに加えて、0℃、窒素の条件下で、P4のジクロロエタン溶液50mlを1~2滴/秒滴下した。
3)滴下完了後、昇温して8h還流し、2mol/Lの希塩酸溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液を加えて中性まで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し溶媒を吸引濾過し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO5を得た。
その結果、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO5は、数平均分子量1000、水酸基価112mgKOH/gである。赤外スペクトル、及び原料と反応条件から、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO5は以下の構造式を有することが判明した。
【化20】
(2)成分Aの製造
ヒドロキシ末端ポリブタジエン及びハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールを反応釜に加えて、100℃の条件で1h脱水し、40℃の条件下で、トルエンジイソシアネートを加えて、80℃で2h反応させ、均一に撹拌した後降温し、プレポリマーA5を得て、NCO%が10%の成分Aとした。
また、得られたプレポリマーA5の構造単位は以下の通りである。
【化21】
前記プレポリマーA5の数平均分子量は1600である。
成分A:ヒドロキシ末端ポリブタジエン(2000)67重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール5重量%、トルエンジイソシアネート28重量%。
(3)成分Bの製造
アミノ末端ポリエーテル、N,N-ジアルキルフェニレンジアミン、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、水酸化アルミニウム、及び他の助剤を反応釜に加えて、窒素の条件で60℃に昇温し、60min撹拌したものを、成分Bとして取り出した。
成分B:アミノ末端ポリエーテル(D2000)40重量%、アミノ末端ポリエーテル(T3000)9重量%、N,N-ジアルキルフェニレンジアミン25重量%、3-(メタクリロイルオキシ)プロピルトリメトキシシラン1重量%、カーボンナノチューブ2重量%、カーボンファイバー3重量%、水酸化アルミニウム15重量%、他の助剤5重量%(具体的には、新諾安社製の色糊1 重量%、紫外線吸収剤HM 2重量%、BYK消泡剤2重量%)。
(4)ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの製造
二液式高圧スプレーガンを用いて、イソシアネート指数が1.1となるように、温度65℃の条件下で、成分A及び成分Bをポリテトラフルオロエチレン板の表面に厚さ2mmでスプレーして高速硬化させて成形し、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS5を得た。
実施例6
【0095】
以下のこと以外、実施例1と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
ステップ(2)である成分Aの製造には、各成分の使用量は、以下の通りである。
ポリテトラヒドロフランジオール(PTMG-1000)6重量%、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1 50重量%、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート22重量%、炭酸エチル20重量%。
その結果、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS6が得られた。
実施例7
【0096】
以下のこと以外、実施例1と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
ステップ(3)の成分Bの製造には、
原料として、アミノ末端ポリエーテル(D2000)5重量%、ジエチルトルエンジアミン80重量%、3-(2,3-グリシドキシ)プロピルトリメトキシシラン0.2%、水酸化アルミニウム8重量%、シリカ1.8重量%、他の助剤5重量%を反応釜に投入した。
その結果、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS7が得られた。
比較例1
【0097】
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO1を加えなかった以外、実施例1と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS1が得られた。
比較例2
【0098】
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO2を加えなかった以外、実施例2と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS2が得られた。
比較例3
【0099】
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO3を加えなかった以外、実施例3と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS3が得られた。
比較例4
【0100】
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO4を加えなかった以外、実施例4と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS4が得られた。
比較例5
【0101】
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールPO5を加えなかった以外、実施例5と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS5が得られた。
比較例6
【0102】
成分Aの製造には「ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール」を難燃添加剤として「リン酸トリス(クロロイソプロピル)」に変更した以外、実施例1と同様な方法によってポリウレアエラストマーを製造した。
その結果、ポリウレアエラストマーDS6が得られた。
テスト例
【0103】
引張特性(引張強度及び破断伸び)テスト:GB/T528-2009;
酸素指数テスト:GB/T2406-2009;
析出物含有量テスト:テストサンプルをエタノール溶液に入れて、48h加熱して還流し、サンプルを取り出してベークし、サンプルの質量の変化を測定した。
上記の方法によって、実施例1~7及び比較例1~6で製造されたポリウレアエラストマーの特性をテストした。その結果を表1に示す。
【0104】
【0105】
表1の結果から分かるように、本発明の製造方法により実施例1~5で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーは、良好な力学性能を有する上に、酸素指数が高い。
【0106】
また、
図5は、実施例1~3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの引張性能曲線の模式図である。
図5から分かるように、実施例1~3の材料の引張強度は、すべて25MPa以上である。
【0107】
図6は、本発明の実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーと比較例1で製造されたポリウレアエラストマーとの燃焼比較の模式図である。
図6から分かるように、本発明の実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーS1は、燃焼せず、難燃性を持ち、一方、比較例1で製造されたポリウレアエラストマーDS1は、燃焼しており、難燃性を持たないことを示した。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の技術構想の範囲内では、本発明の技術案について、各技術的特徴を他の適切な方法で組み合わせることを含め、複数の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形及び組み合わせは同様に本発明の開示された内容と見なすべきであり、いずれも本発明の保護範囲に属する。
[符号の説明]
【0109】
1-実施例1、2-実施例2、3-実施例3
S1-本発明の実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー
DS1-本発明の比較例1で製造されたポリウレアエラストマー
【図面の簡単な説明】
【0110】
【
図1】実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの赤外スペクトルである。
【
図2】実施例1、実施例2、及び実施例3のそれぞれで製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールのGPCスペクトルである。
【
図3】実施例1、実施例2、及び実施例3のそれぞれで製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの赤外スペクトルである。
【
図4】実施例3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーのデジタル写真図である。
【
図5】実施例1~3で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーの引張性能曲線の模式図である。
【
図6】本発明の実施例1で製造されたハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマーと比較例1で製造されたポリウレアエラストマーとの燃焼の比較の模式図である。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造単位がハロゲン化フェニルホスフェート基構造と1つ又は複数の連結基を含有し、前記ハロゲン化フェニルホスフェート基は式(1)で示される構造を有し、
前記連結基は式(2)で示される構造を有する、ことを特徴とするハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール。
【化1】
(ここで、nは1~10であり、R
1は、置換又は無置換のベンゼン環、-C(O)-R
2-C(O)-、置換又は無置換のアルケニレンのうちの1種又は複数種であり、R
2は、置換又は無置換のC
1~C
9直鎖又は分岐状アルキレン、置換又は無置換のベンゼン環、置換又は無置換のアルケニレンから選択される1種又は複数種であり、X
1、X
2、X
3、X
4及びX
5は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではない。)
【請求項2】
前記連結基は式(3)で示される構造を有する、請求項1に記載のポリオール。
-O-R
3-O-C(O)-R
2-C(O)-O-R
3-O- 式(3)
(ここで、R
2は、炭素-炭素二重結合を含有する炭素数2~6のアルキレン、好ましくは
【化2】
であり、又は、R
2は
【化3】
であり、
ここで、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8及びR
9は、同一であるか又は異なり、それぞれH、C
1~C
3アルキル及び/又はハロゲンであり、かつ同時にHではなく、
ここで、R
3は、置換又は無置換のC
1~C
4直鎖又は分岐状アルキレンから選択され、好ましくは、式(3)で示される連結基は、式(4)又は式(5)で示される構造から選択される1種又は複数種であり、
【化4】
ここで、X及びX’は、同一であるか又は異なり、それぞれH及び/又はハロゲンであり原子、かつ同時にHではなく、
好ましくは、X及びX’は、それぞれ臭素、塩素、ヨウ素、又はフッ素原子である。)
【請求項3】
式(6)及び式(7)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む、請求項
1に記載のポリオール。
【化5】
【請求項4】
式(8)-(12)で示される構造単位のうちの1種又は複数種を含む、請求項3に記載のポリオール。
【化6】
【請求項5】
数平均分子量が1000~50000、水酸基価が2.5~115mg KOH/gである、請求項
1に記載のポリオール。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールによる構造単位を含有する、ことを特徴とするプレポリマー。
【請求項7】
数平均分子量が1500~50000であり、
及び/又は、ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオール及びイソシアネートとを予備重合することにより得られ、好ましくは、NCOの含有量が10~20重量%であり、
好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの含有量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの含有量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの含有量が5~20重量%である、請求項6に記載のプレポリマー。
【請求項8】
請求項1~5のいずれか1項に記載のハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールとポリエーテルポリオールとを接触させて脱水反応させ、中間生成物を得るステップ(D-1)と、
前記中間生成物とイソシアネートとを接触させて予備重合し、プレポリマーを得るステップ(D-2)と、を含む、ことを特徴とするプレポリマーの製造方法。
【請求項9】
前記脱水反応の条件は、温度60~120℃、時間0.5~1.5hを含み、
及び/又は、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3hを含み、
好ましくは、前記プレポリマーの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
成分Aと成分Bを含有するハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物であって、
前記成分Aは、請求項
6に記載のプレポリマーであり、前記成分Bは、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する、ことを特徴とするハロゲン化ポリリン酸エステルポリウレアエラストマー組成物。
【請求項11】
イソシアネート指数で、前記成分Aと前記成分Bとの比が(1~1.2):1である、請求項10に記載のポリウレアエラストマー組成物。
【請求項12】
前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの含有量が18~80重量%であり、前記オルガノシランの含有量が0.2~2重量%であり、前記鎖延長剤の含有量が20~35重量%である、請求項1
0に記載のポリウレアエラストマー組成物。
【請求項13】
酸素指数が23%以上、引張強度が18MPa以上、破断伸びが200%以上である、ことを特徴とするポリウレアエラストマー。
【請求項14】
前記ポリウレアエラストマーの製造方法は、
ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオール、ポリエーテルポリオール、任意の希釈剤、及びイソシアネートを接触させて予備重合し、成分Aを得るステップ(1)と、
前記成分Aと、アミノ末端ポリエーテル、オルガノシラン、及び鎖延長剤を含有する前記成分Bとをイソシアネート指数(1~1.2):1で接触させて重合反応させるステップ(2)と、を含む、請求項13に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項15】
前記成分Aの全重量を基準にして、前記イソシアネートの使用量が20~70重量%であり、前記ポリエーテルポリオールの使用量が20~70重量%であり、前記ハロゲン化ポリリン酸エステルポリオールの使用量が5~20重量%であり、前記希釈剤の使用量が0~15重量%であり、
好ましくは、前記成分Bの全重量を基準にして、前記アミノ末端ポリエーテルの使用量が18~80重量%であり、前記オルガノシランの使用量が0.2~2重量%であり、前記鎖延長剤の使用量が20~35重量%である、請求項14に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項16】
前記成分A中のNCOの含有量が10~20重量%であり、
好ましくは、前記成分Aの数平均分子量が1500~50000である、請求項1
4に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項17】
ステップ(1)において、前記予備重合の条件は、温度40~90℃、時間1~3hを含み、
ステップ(2)において、前記重合反応の条件は、温度60~75℃、好ましくは二成分スプレーガンによるスプレーにより前記接触を実施することを含む、請求項14に記載のポリウレアエラストマー。
【請求項18】
建物防水、構造補強又は減衰・制振の分野における請求項13~17のいずれか1項に記載のポリウレアエラストマーの使用。
【国際調査報告】