(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】EGFRvIIIを標的とした化合物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/30 20060101AFI20240920BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20240920BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20240920BHJP
A61K 51/10 20060101ALI20240920BHJP
A61K 33/24 20190101ALI20240920BHJP
A61K 33/244 20190101ALI20240920BHJP
A61K 33/245 20190101ALI20240920BHJP
A61K 33/241 20190101ALI20240920BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240920BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240920BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240920BHJP
A61K 31/4188 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C12N15/13
A61K47/68
A61K51/10 100
A61K33/24
A61K33/244
A61K33/245
A61K33/241
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61P35/00
A61P25/00
A61K31/4188
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519318
(86)(22)【出願日】2022-09-29
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 CA2022051447
(87)【国際公開番号】W WO2023050008
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CA2021/051360
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CA
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500276482
【氏名又は名称】ナショナル リサーチ カウンシル オブ カナダ
(71)【出願人】
【識別番号】519210572
【氏名又は名称】フュージョン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Fusion Pharmaceuticals Inc.
【住所又は居所原語表記】270 Longwood Road South Hamilton,Ontario L8P 0A6,Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グリンシュタイン, ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】メトカーフ, ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】ダッフィー, イアン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ターンブル, ウィリアム レスリー
(72)【発明者】
【氏名】マーシル, アンヌ
(72)【発明者】
【氏名】ハラミジョ, マリア
(72)【発明者】
【氏名】スレア, トライアン
(72)【発明者】
【氏名】モレノ, マリア
(72)【発明者】
【氏名】ウー, ツンルー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA12
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA26
4C085BB11
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085EE01
4C086AA01
4C086CB05
4C086HA03
4C086HA05
4C086HA06
4C086HA07
4C086HA09
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086NA05
4C086NA13
4C086ZA01
4C086ZB26
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA71
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
(57)【要約】
キレート部分またはその金属錯体とリンカーとEGFRvIII標的化部分とを含む、化合物、例えばラジオイムノコンジュゲート。そのような化合物の医薬組成物、およびそのような化合物または医薬組成物を使用する状態、例えばがんのための処置方法。本開示は、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)を標的とする化合物、その医薬組成物、およびそのような医薬組成物を使用してがんを処置または予防する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を含む化合物またはその薬学的に許容される塩:
A-L
1-(L
2)
n-B
式I
(式中、
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、
Bは、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)またはその断片に結合することができる標的化部分であり、前記EGFRvIIIまたはその断片は、配列番号119のアミノ酸残基1~76からなるペプチドを含み;
L
1は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
L
2は、各々独立して、式IIの構造:
-X
1-L
3-Z
1-
式II
を有し、この式中、
X
1は、-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-
*、-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-
*、-OC(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)O-
*、-NR
1C(O)NR
1-、-CH
2-Ph-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-Ph-CH
2-
*、-CH
2-Ph-NH-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-NH-Ph-CH
2-
*、-O-、またはNR
1-であり、「
*」は、L
3への結合点を示し、R
1は、水素、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
L
3は、必要に応じて置換されているC
1~C
50アルキルまたは必要に応じて置換されているC
1~C
50ヘテロアルキルであり;
Z
1は、-CH
2-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR
2C(O)-#、-C(O)NR
2-#、または-NR
2-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R
2は、水素、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである)。
【請求項2】
前記キレート部分が、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2’’-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H
4オクタパ(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H
2デドパ(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H
6ホスパ(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、八配位HOPO(八配位ヒドロキシピリジノン)、およびポルフィリンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
【化16】
(式中、Y
1は、-CH
2OCH
2(L
2)
n-B、C=O(L
2)
n-B、またはC=S(L
2)
n-Bであり、Y
2は、-CH
2CO
2Hである;または
式中、Y
1は、Hであり、Y
2は、L
1-(L
2)
n-Bである)
により表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
L
1が、
【化17】
(式中、R
Lは、水素または-CO
2Hである)
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記金属錯体が、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、ランタニドおよびアクチニドからなる群から選択される金属を含むか;または
前記金属錯体が、
43Sc、
44Sc、
47Sc、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
82Rb、
86Y、
87Y、
89Zr、
90Y、
97Ru、
99Tc、
99mTc、
105Rh、
109Pd、
111In、
117mSn、
133La、
134Ce、
149Pm、
149Tb、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
198Au、
199Au、
201Tl、
203Pb、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
227Th、および
229Thからなる群から選択される放射性核種を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Y
1が、Hである、請求項3から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
X
1が、-C(O)NR
1-
*または-NR
1C(O)-
*であり、「
*」が、L
3への結合点を示し、R
1が、Hである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Z
1が、-CH
2-である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
nが、1であり、L
3が、(CH
2CH
2O)
2~20を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
nが、1であり、L
3が、(CH
2CH
2O)
m(CH
2)
wであり、mおよびwは、各々独立して、0~10の間(両端を含めて)の整数であり、mおよびwの少なくとも一方は、0でない、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
A-L-が、以下の構造のいずれか1つまたはその金属錯体:
【化18】
【化19】
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
ラジオイムノコンジュゲートが、以下の構造またはその金属錯体:
【化20】
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Aが、キレート部分の金属錯体であり、前記金属錯体が、放射性核種を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記放射性核種が、
68Ga、
111In、
177Lu、または
225Acである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記放射性核種が、
225Acである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)およびテルビウム-149(
149Tb)またはその子孫核種からなる群から選択されるアルファ放射体である、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
前記アルファ放射体が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記標的化部分が、抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号8のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号9のCDRL2配列と、配列番号10のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号13のCDRH1配列と、配列番号14のCDRH2配列と、配列番号15のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
b.配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号24で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号25で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
c.配列番号28で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号30で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号35で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
d.配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
e.配列番号48で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号49で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号53で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号54で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
f.配列番号58で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号59で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号60で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号63で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号64で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号65で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
g.配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号69で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号70で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;または
h.配列番号73で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号74で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号75で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号115で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号115と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
c.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号7と実質的に同一の、配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号12と実質的に同一の、配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号17と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号22と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
c.配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号27と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号32で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号32と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
d.配列番号37で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号37と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号42と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
e.配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号47と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号52と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
f.配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号57と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
g.配列番号67で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号67と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列、配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸または配列番号102で示されるもしくは配列番号102と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
h.配列番号72で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号72と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列または配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸を含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号108で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号108と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号107と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖;または
b.配列番号110で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号110と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号109で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号109と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域を含む、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
b.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
c.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
d.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
e.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
f.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
g.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
h.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
i.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
b.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
b.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
c.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
d.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
e.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
f.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
g.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
h.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;または
i.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域
を含む、請求項23、24または25に記載の化合物。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、多重特異性抗体、またはその抗原結合断片である、請求項18から26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
前記抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である、請求項18から27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG1定常領域を含む、請求項1から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG2定常領域を含む、請求項1から21、23から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4定常領域を含む、請求項1から22、および24から28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4(S228P)定常領域を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項33】
前記抗原結合断片が、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)
2を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
以下の構造:
【化21】
(式中、
【化22】
は、EGFRvIIIまたはその断片に結合することができる抗体またはその抗原結合断片である)
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合断片が、A-L-にリシン残基の側鎖アミノ基を介して連結されている、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項37】
がんの放射線処置計画および/または放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項38】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法。
【請求項39】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の第1の線量を放射線処置計画に有効な量で投与するステップ、続いて、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の後続の線量を治療有効量で投与するステップを含む、方法。
【請求項40】
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、同じである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、異なる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、多形性神経膠芽種または癌である、請求項37から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
抗増殖剤、放射線増感剤、免疫調節性剤を投与するステップをさらに含む、請求項37から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を外部照射放射線の非存在または存在下で抗増殖剤と組み合わせて投与するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記抗増殖剤が、テモゾロミド(TMZ)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、複数回線量で投与される、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、単回線量で投与される、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2021年9月29日に出願された国際特許出願番号PCT/CA2021/051360の優先権を主張するものであり、前記国際特許出願の全内容は、あらゆる目的でこれにより参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本明細書は、配列表(「FPI_027_Sequence_Listing.xml」という名の.xmlファイルとして2022年9月29日に電子的に提出された)を参照する。2022年9月26日に作成されたこの.xmlファイルは、サイズ263キロバイトである。この配列表の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
背景
上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)は、多形性神経膠芽種(GBM)の25~64%において増幅され、高度に発現され、存在する。EGFRvIII mRNAおよびタンパク質発現は、乳癌のサブセットではもちろん頭頸部扁平上皮癌(HNSCC)でも複数の補足的技術を使用して検出されている。上皮、間葉およびニューロン起源の組織に発現され、正常な細胞過程、例えば、増殖、分化および発生において主要な役割を果たす、野生型(wt)上皮成長因子受容体(EGFR)とは異なり、EGFRvIIIは、正常な組織には発現されない。
【0004】
EGFRvIIIバリアントは、細胞外ドメインの267のアミノ酸残基をコードする配列が除去される結果となるEGFR遺伝子の第2~7番エクソンのインフレーム欠失によって生じる。新たに形成されるスプライスジャンクションは、グリシン残基をコードし、このグリシン残基は、野生型ヒトEGFRにはそれに対応するものがなく、したがって、ネオエピトープを形成する。さらに、非常に多くの研究によって正常な組織にはEGFRvIIIがないことが示されている。それ故、EGFRvIIIは、新たな腫瘍特異的細胞表面エピトープを含有し、それらを抗体標的療法に活用できると考えられる。しかし、EGFRvIIIネオエピトープは、ヒト配列の残部と比較してあまり免疫原性でなく、これまでに生成された抗体の多くは、EGFRvIIIを特異的に認識することが示されていない。
【0005】
現在知られているEGFRvIII抗体としては、抗体13.1.2およびABT-806が挙げられる。ABT-806は、前臨床モデルにおいて腫瘍EGFRに優先的に結合することが示されているが、ヒトの皮膚に存在するwt EGFRへのこの抗体の結合は、ABT-806が一部の患者において呈する皮膚毒性の主な原因となることが示されている。EGFR発現細胞において非存在であるかまたは入手できないEGFRvIIIのエピトープを特異的に標的とする抗体またはその抗原結合断片は、がん患者の処置に有益であろう。
【0006】
それ故、EGFRvIIIを標的とすることができる改善された治療薬(例えば、がん治療薬)が、依然として必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本開示は、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)を標的とする化合物、その医薬組成物、およびそのような医薬組成物を使用してがんを処置または予防する方法に関する。ある特定の実施形態では、提供される化合物は、治療有効性を依然として維持しつつ、一部の現在知られている放射線治療薬と比較して排泄率の増加を(例えば、哺乳動物に投与した後に)呈する。一部の実施形態では、より速い排泄は、化合物が対象に留まる時間を制限することによってオフターゲット毒性を制限することができる。それ故、一部の実施形態では、提供される化合物は、オフターゲット毒性の低下を呈する。
【0008】
一態様では、以下の構造を含む化合物またはその薬学的に許容される塩:
A-L1-(L2)n-B
式I
(式中、
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、
Bは、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)またはその断片に結合することができる標的化部分であり、このEGFRvIIIまたはその断片は、配列番号119のアミノ酸残基1~76からなるペプチドを含み;
L1は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
L2は、各々独立して、式IIの構造:
-X1-L3-Z1-
式II
を有し、この式中、
X1は、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-*、-OC(O)NR1-*、-NR1C(O)O-*、-NR1C(O)NR1-、-CH2-Ph-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-Ph-CH2-*、-CH2-Ph-NH-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-NH-Ph-CH2-*、-O-、またはNR1-であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
L3は、必要に応じて置換されているC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキルであり;
Z1は、-CH2-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR2C(O)-#、-C(O)NR2-#、または-NR2-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R2は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである)
が、提供される。
【0009】
ある特定の実施形態では、式I中の可変要素Aは、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2’’-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H4オクタパ(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H2デドパ(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6ホスパ(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、八配位HOPO(八配位ヒドロキシピリジノン)、およびポルフィリンからなる群から選択されるキレート部分である。
【0010】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、
【化1】
(式中、Y
1は、-CH
2OCH
2(L
2)
n-B、C=O(L
2)
n-B、またはC=S(L
2)
n-Bであり、Y
2は、-CH
2CO
2Hである;または
式中、Y
1は、Hであり、Y
2は、L
1-(L
2)
n-Bである)
により表される。ある特定の実施形態では、Y
1は、Hである。
【0011】
一部の実施形態では、L
1は、
【化2】
であり、R
Lは、水素または-CO
2Hである。
【0012】
ある特定の実施形態では、X1は、-C(O)NR1-*または-NR1C(O)-*であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、Hである。
【0013】
ある特定の実施形態では、Z1は、-CH2-である。
【0014】
一部の実施形態では、L3は、(CH2CH2O)2~20を含む。一部の実施形態では、L3は、(CH2CH2O)m(CH2)wであり、mおよびwは、各々独立して、0~10の間(両端を含めて)の整数であり、mおよびwの少なくとも一方は、0でない。
【0015】
一部の実施形態では、金属錯体は、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、ランタニドおよびアクチニドからなる群から選択される金属を含む。一部の実施形態では、金属錯体は、43Sc、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、89Zr、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、117mSn、133La、134Ce、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thからなる群から選択される放射性核種を含む。
【0016】
一部の実施形態では、可変要素Aは、キレート部分の金属錯体である。一部のそのような実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)およびテルビウム-149(149Tb)またはその子孫核種(progeny)からなる群から選択されるアルファ放射体である。一部の実施形態では、放射性核種は、68Ga、111In、177Lu、または225Acである。一部の実施形態では、放射性核種は、225Acまたはその子孫核種である。
【0017】
一部の実施形態では、式I中のA-L-は、以下の構造の1つ、またはその金属錯体を含む:
【化3】
【化4】
【0018】
一部の実施形態では、化合物またはその薬学的に許容される塩は、以下の構造、またはその金属錯体を含む:
【化5】
【0019】
一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0020】
一部の実施形態では、EGFRvIIIまたはその断片に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号8のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号9のCDRL2配列と、配列番号10のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号13のCDRH1配列と、配列番号14のCDRH2配列と、配列番号15のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
b.配列番号18のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号19のCDRL2配列と、配列番号20のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号23のCDRH1配列と、配列番号24のCDRH2配列と、配列番号25のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
c.配列番号28のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号29のCDRL2配列と、配列番号30のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号33のCDRH1配列と、配列番号34のCDRH2配列と、配列番号35のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
d.配列番号38のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39のCDRL2配列と、配列番号40のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43のCDRH1配列と、配列番号44のCDRH2配列と、配列番号45のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
e.配列番号48のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号49のCDRL2配列と、配列番号50のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号53のCDRH1配列と、配列番号54のCDRH2配列と、配列番号55のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
f.配列番号58のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号59のCDRL2配列と、配列番号60のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号63のCDRH1配列と、配列番号64のCDRH2配列と、配列番号65のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
g.配列番号68のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号69のCDRL2配列と、配列番号70のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78のCDRH1配列と、配列番号79のCDRH2配列と、配列番号80のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;または
h.配列番号73のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号74のCDRL2配列と、配列番号75のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78のCDRH1配列と、配列番号79のCDRH2配列と、配列番号80のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
を含む。
【0021】
一部の実施形態では、EGFRvIIIまたはその断片に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号115で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号115と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
c.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
を含む。
【0022】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号7と実質的に同一の、配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号12と実質的に同一の、配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号17と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号22と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
c.配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号27と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号32で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号32と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
d.配列番号37で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号37と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号42と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
e.配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号47と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号52と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
f.配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号57と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
g.配列番号67で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号67と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列、配列番号92で示されるアミノ酸配列、もしくは配列番号92と実質的に同一のアミノ酸配列、または配列番号102で示されるアミノ酸配列、もしくは配列番号102と実質的に同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
h.配列番号72で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号72と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列または配列番号92で示されるアミノ酸配列、もしくは配列番号92と実質的に同一のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
を含む。
【0023】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
b.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
c.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
d.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
e.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
f.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
g.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
h.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
i.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
を含む。
【0024】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
b.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む。
【0025】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
b.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
c.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
d.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
e.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
f.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
g.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
h.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;または
i.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
を含む。
【0026】
一部の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、または多重特異性抗体である。一部の実施形態では、抗体は、ヒト化モノクローナル抗体である。
【0027】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒトIgG1定常領域を含む。
【0028】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒトIgG2定常領域を含む。
【0029】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒトIgG4定常領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号178で示されるアミノ酸配列を有するヒトカッパ軽鎖定常領域を含むヒトIgG4(S228P)定常領域、および配列番号179で示されるアミノ酸配列を有するヒトIgG4(S228P)重鎖定常領域を含む。
【0030】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、
a.配列番号108で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号108と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号107と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖;または
b.配列番号110で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号110と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号109で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号109と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖
を含む。
【0031】
一部の実施形態では、抗原結合断片は、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)2を含む。
【0032】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域を含む。
【0033】
一部の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化6】
(式中、
【化7】
は、EGFRvIIIまたはその断片に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片である)を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、A-L-にリシン残基の側鎖アミノ基を介して連結されている。
【0034】
別の態様では、本発明は、上記の化合物の1つと、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物にも関する。
【0035】
がんの放射線処置計画および/または放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、上で示された化合物の1つまたはそれを含む医薬組成物を投与するステップを含む方法は、さらに本発明の範囲内である。
【0036】
EGFRvIIIを発現することを含むがんを処置する方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に本明細書で提供される化合物または医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法も、本発明の範囲内である。
【0037】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に、上で提供された化合物または医薬組成物の第1の線量を放射線処置計画に有効な量で投与するステップ、続いて、上で提供された化合物または医薬組成物の後続の線量を治療有効量で投与するステップを含む、方法が、本発明にさらに含まれる。
【0038】
一部の実施形態では、第1の線量で投与される化合物または組成物、および後続の線量で投与される化合物または組成物は、同じである。
【0039】
一部の実施形態では、第1の線量で投与される化合物または組成物、および後続の線量で投与される化合物または組成物は、異なる。
【0040】
一部の実施形態では、EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんは、多形性神経膠芽種または癌である。
【0041】
一部の実施形態では、処置の方法は、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に、抗増殖剤、放射線増感剤、免疫調節剤または免疫調節性剤を投与するステップをさらに含む。
【0042】
一部の実施形態では、処置の方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を外部照射放射線の非存在または存在下で抗増殖剤と組み合わせて投与するステップを含む。ある特定の実施形態では、抗増殖剤は、テモゾロミド(TMZ)である。
【0043】
一部の実施形態では、処置の方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物の治療有効量を複数回線量で投与するステップ(例えば、4サイクルにわたっての毎週1回の投与、または2サイクルにわたっての2週間毎に1回の投与)を含む。
【0044】
一部の実施形態では、処置の方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物の治療有効量を単回線量で投与するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】
図1Aは、キレートとリンカーと架橋基とを含む二官能性キレートの一般構造を描示する概略図である。
【0046】
図1Bは、キレートとリンカーと標的化部分とを含む二官能性コンジュゲートの一般構造を描示する概略図である。
【0047】
図1Cおよび
図1Dは、本明細書で開示される2つの例示的なEGFRvIIIラジオイムノコンジュゲートである、[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIおよび[
225Ac]-DOTA-抗EGFRvIIIの構造を描示する概略図である。
【0048】
【
図2】
図2は、二官能性キレートである4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成を描示する概略図である。化合物Bの合成は、実施例2で説明される。
【0049】
【
図3】
図3は、二官能性キレートである4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成を描示する概略図である。化合物Cの合成は、実施例3で説明される。
【0050】
【
図4】
図4は、[
177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートの合成のためのコンジュゲーションおよび放射標識を描示する概略図である。実施例4を参照されたい。
【0051】
【
図5】
図5Aおよび5Bは、U87-EGFRvIII細胞に結合する[
177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわち、コンジュゲートAおよびBそれぞれについての、結合曲線である。TBは、全結合を表し、SBは、特異的結合を表し、NSBは、非特異的結合を表す。実施例6を参照されたい。
【0052】
【
図6】
図6Aおよび6Bは、U87-EGFRvIII細胞におけるコンジュゲートAおよびBの内部移行の結果を示す。実施例7を参照されたい。
【0053】
【
図7】
図7A~7Cは、U87-EGFRvIII細胞におけるコンジュゲートAおよびBの残留化の結果を示す。実施例7を参照されたい。
【0054】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、皮下U87-EGFRvIIIモデルにおける生体内分布研究であって、それぞれ、コンジュゲートAおよびBを注射した生体内分布研究の結果を表すプロットを示す。組織のグラム当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/g)が、x軸にプロットされており、4、24、96および168時間の時点での血液、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、腫瘍、尿および尾について示されている。実施例8を参照されたい。
【0055】
【
図9】
図9は、U87-EGFRvIII-GFP-Luc同所性モデルにおける生体内分布研究であって、コンジュゲートAおよびBを注射した生体内分布研究の結果を表すプロットを示す。組織のグラム当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/g)が、x軸にプロットされており、96時間の時点での血液、腫瘍、正常脳、脾臓、肝臓、腎臓および尾について示されている。実施例9を参照されたい。
【0056】
【
図10】
図10A~10Dは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIII(
図10Aおよび10B)または[
111In]-化合物C-IgG4コンジュゲート(
図10Cおよび10D)を注射した、同所性G39-GFP-Lucモデルにおける生体内分布研究の結果を表す、単一光子放射型コンピューター断層撮影/コンピューター断層撮影(SPECT/CT)画像(
図10Aおよび10C)およびプロット(
図10Bおよび10D)を示す。
図10Bおよび10Dに示されているプロットでは、組織の立方センチメートル当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/cc)が、y軸にプロットされており、96時間の時点での腫瘍、正常脳、膀胱、腎臓、肝臓、脾臓、心臓、肺、GI、および骨について示されている。実施例10を参照されたい。
【0057】
【
図11】
図11A~11Dは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIII(
図11Aおよび11B)または[
111In]-化合物C-IgG4コンジュゲート(
図11Cおよび11D)を注射した、同所性G06-GFP-Lucモデルにおける生体内分布研究の結果を表す、単一光子放射型コンピューター断層撮影/コンピューター断層撮影(SPECT/CT)画像(
図11Aおよび11C)およびプロット(
図11Bおよび11D)を示す。
図11Bおよび11Dに示されているプロットでは、組織の立方センチメートル当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/cc)が、y軸にプロットされており、96時間の時点での腫瘍、正常脳、膀胱、腎臓、肝臓、脾臓、心臓、肺、GI、および骨について示されている。実施例10を参照されたい。
【0058】
【
図12】
図12A~12Cは、U87-EGFRvIII-GFP-Luc同所性モデルにおけるin vivo有効性研究であって、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを100nCiおよび200nCiの単一線量で注射したin vivo有効性研究の結果を示す。
図12Aは、生体発光(処置後のある特定の時点に測定された腫瘍の存在を示す)を示すプロットであり;
図12Bは、生存曲線を示し;
図12Cは、各処置群における生存期間中央値および生存利益を描示する表である。実施例11を参照されたい。
【0059】
【
図13】
図13Aおよび13Bは、同所性G06-GFP-Lucモデルにおけるin vivo有効性研究であって、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを100nCiおよび200nCiの単一線量で注射したin vivo有効性研究の結果を示す。
図13Aは、生存曲線を示し、
図13Bは、各処置群における生存期間中央値および生存利益を描示する表である。実施例11を参照されたい。
【0060】
【
図14-1】
図14Aおよび14Bは、同所性G39-GFP-Lucモデルにおけるin vivo有効性研究であって、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを100、200もしくは400nCiの単一線量、または次のように分割して400nCiの総累積放射化学線量で注射したin vivo有効性研究の結果を示す:4週間にわたって毎週1回投与される100nCi(100nCi×4)もしくは2週間毎に投与される2回の200nCi(200nCi×2)。
図14Aは、生存曲線を示し、
図14Bは、各処置群における生存期間中央値および生存利益を描示する表である。実施例12を参照されたい。
【0061】
【
図15-1】
図15Aおよび15Bは、同所性G06-GFP-Lucモデルにおけるin vivo有効性研究であって、標準治療(テモゾロミドと組み合わせた外部照射放射線)と組み合わせて[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを200nCiで注射したin vivo有効性研究の結果を示す。
図15Aは、生存曲線を示し、
図15Bは、各処置群における生存期間中央値および生存利益を描示する表である。実施例13を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
ラジオイムノコンジュゲートは、ある病状において上方調節されるタンパク質または受容体を標的として放射性ペイロードを送達して目的の細胞を損傷および死滅させる(放射免疫療法)ために設計される。そのようなペイロードを送達するプロセスは、放射性崩壊によってアルファ、ベータもしくはガンマ粒子またはオージェ電子を生じさせ、これに起因して、DNAへの直接効果(例えば、一本鎖もしくは二本鎖DNA切断)または間接的効果、例えば、バイスタンダーもしくはクロスファイヤー効果が生じ得る。
【0063】
ラジオイムノコンジュゲートは、ヒトEGFRvIIIに特異的に結合することができる標的化部分(例えば、生物学的標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片))、放射性同位体、およびこれら2つを連結させる分子を、典型的に含有する。コンジュゲートは、二官能性キレートが、標的化分子(例えば、生物学的標的化分子)に、標的親和性を維持しつつ構造の変更が最小限であるように付加されたとき、形成される。放射標識されると、最終ラジオイムノコンジュゲートが形成される。
【0064】
二官能性キレートは、構造的には、キレート、リンカー、および架橋基を含有する(
図1A)。新しい二官能性キレートを開発するとき、大部分の取り組みは、分子のキレート部分に重点を置く。二官能性キレートのいくつかの例が、標的となる部分にコンジュゲートされた様々な環式および非環式構造に関して記載されている。[Bioconjugate Chem.2000, 11, 510-519;Bioconjugate Chem.2012, 23,1029-1039;Mol Imaging Biol.2011, 13, 215-221、Bioconjugate Chem.2002, 13, 110-115]。
【0065】
安全かつ有効なラジオイムノコンジュゲートの開発の肝要な因子の1つは、正常な組織のオフターゲット毒性を最小限に抑えつつ有効性を最大にすることである。この陳述は、新薬の開発の中核となる考え方の1つであるが、放射免疫療法への応用は、新たな課題を提示する。ラジオイムノコンジュゲートは、治療有効性を有するために、必要に応じて治療用抗体に対して受容体を遮断する必要も、必要に応じて抗体薬物コンジュゲート(「ADC」)により細胞傷害性ペイロードを細胞内に放出する必要もない。しかし、毒性粒子の放射は、一次(放射性)崩壊の結果として起こる事象であり、投与後に体内のどこかでランダムに起こり得る。放射が起こると、放射範囲内の周囲の細胞への損傷が起こり、それによってオフターゲット毒性の可能性が生じる。それ故、正常な組織へのこれらの放射の曝露を制限することが、新たな治療用ラジオイムノコンジュゲートの開発の鍵である。
【0066】
オフターゲット曝露を低減させるための1つの可能性のある方法は、放射活性をより有効に身体から(例えば、体内の正常な組織から)除去することである。1つのメカニズムは、生物学的標的化剤のクリアランス率を上昇させることである。このアプローチは、生物学的標的化剤について十分に記載されていない、生物学的標的化剤の半減期を短縮するための方法を同定することを必要とする可能性がある。メカニズムがどうであれ、薬物クリアランスを増加させることは、身体からの薬物のより急速な除去が作用部位における有効濃度を低下させることとなり、その結果として、より高い総線量を必要とすることとなり、正常な組織への総放射性線量を低減させる所望の結果を達成しないことになることから、薬力学/有効性にマイナスの影響を与えることにもなる。
【0067】
他の取り組みは、放射性部分を含有する分子部分の代謝を加速させることに重点を置いていた。この目的に向けて、いくつかの取り組みが、「切断可能なリンカー」と呼ばれているものを使用して生物学的標的化剤からの放射活性の切断率を上昇させるためになされてきた。しかし、切断可能なリンカーは、ラジオイムノコンジュゲートに関する場合、別の意味で用いられている。Cornelissenらは、二官能性キレートが還元システインを介して生物学的標的化剤に結合するものとして切断可能なリンカーを記載しているが、その一方で、他者は、放出するためにラジオイムノコンジュゲートと切断剤/酵素の同時投与を必要とする酵素切断可能な系の使用を記載している[Mol Cancer Ther. 2013, 12(11), 2472-2482;Methods Mol Biol. 2009,539, 191-211;Bioconjug Chem. 2003, 14(5), 927-33]。これらの方法は、システイン結合について言えば生物学的標的化部分の性質を変化させるか、または提供した引用の場合では2つの薬剤の投与を必要とするので創薬の観点(酵素切断可能な系)から実際的でないかの、どちらかである。
【0068】
本開示は、数ある中でも特に、治療有効性を維持しつつ異化および/または代謝後に身体からより有効に排除される化合物、例えば、ラジオイムノコンジュゲートを提供する。開示されるイムノコンジュゲートは、一部の実施形態では、公知の二官能性キレートと比較して、無傷分子の薬物動態を維持しつつ全身の放射活性の低減を、例えば、異化/代謝産物の排泄の程度を増加させることにより、達成することができる。一部の実施形態では、放射活性のこの低減は、他のin vitroおよびin vivo特性、例えば、結合特異性(in vitro結合)、細胞保持、およびin vivoでの腫瘍への取込みに影響を与えない、異化/代謝副産物のクリアランスの結果として生じる。したがって、一部の実施形態では、提供される化合物は、オンターゲット活性を維持しつつ人体における放射活性の低減を達成する。
定義
【0069】
本明細書で使用される場合、標的化部分に「結合する」または標的化部分の「結合」という用語は、例えば本明細書に記載の、標的分子との、例えば、ヒトEGFRvIII、および/またはEGFRvIIIの変異バリアントとの、少なくとも一時的な相互作用または会合を意味する。
【0070】
用語「二官能性キレート」は、本明細書で使用される場合、キレートとリンカーと架橋基とを含む化合物を指す。例えば、
図1Aを参照されたい。「架橋基」は、共有結合によって、2つまたはそれより多くの分子を連結させることができる、例えば、二官能性キレートと標的化部分を連結させることができる、反応性基である。
【0071】
用語「二官能性コンジュゲート」は、本明細書で使用される場合、キレートまたはその金属錯体と、リンカーと、標的化部分、例えば、抗体またはその抗原結合断片とを含む、化合物を指す。例えば、
図1Bを参照されたい。
【0072】
用語「がん」は、本明細書で使用される場合、悪性新生物細胞の増殖により引き起こされる任意のがん、例えば、腫瘍、新生物、癌、肉腫、白血病およびリンパ腫を指す。一部の実施形態では、本開示のがんは、多形性神経膠芽種および癌などの、しかしこれらに限定されない、EGFRvIIIを発現する細胞(例えば、腫瘍細胞)を含む。
【0073】
用語「キレート」は、本明細書で使用される場合、中央の金属(central metal)または放射性金属原子に2カ所またはそれより多くの箇所で結合することができる有機化合物またはその部分を指す。
【0074】
用語「コンジュゲート」は、本明細書で使用される場合、キレート基またはその金属錯体、リンカー基を含有する分子であって、必要に応じて、標的化部分、例えば、抗体またはその抗原結合断片を含有する分子を指す。
【0075】
本明細書で使用される場合、特に断りのない限り、抗体またはその断片(例えば、IgG1、IgG2もしくはIgG4定常領域)に関して使用されるときの句「定常領域」は、野生型定常領域とバリアント(例えば、野生型定常領域についての参照配列と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%のアミノ酸配列同一性を有する定常領域)の両方を包含するように意図されている。
【0076】
本明細書で使用される場合、用語「化合物」は、描示される構造の全ての立体異性体、幾何異性体および互変異性体を含むように意図されている。
【0077】
本明細書に列挙または記載される化合物は、非対称であり得る(例えば、1つまたは複数の立体中心を有する)。エナンチオマーおよびジアステレオマーなどの、全ての立体異性体が、別段の指示がない限り、意図されている。非対称に置換された炭素原子を含有する本開示で論じられる化合物は、光学活性形態またはラセミ形態で単離され得る。光学活性出発材料から光学活性形態を調製するやり方に関する方法は、ラセミ混合物の分割によるまたは立体選択的合成によるなど、当技術分野において公知である。
【0078】
本明細書で使用される場合、「検出剤」は、抗原を含有する細胞の位置を同定することにより疾患を診断するのに有用である分子または原子を指す。ポリペプチドを検出剤で標識する様々な方法が当技術分野において公知である。検出剤の例としては、放射性同位体および放射性核種、色素(例えば、ビオチン-ストレプトアビジン複合体を有するもの)、造影剤、発光剤(例えば、フルオレセインイソチオシアネートまたはFITC、ローダミン、ランタニドリン光体、シアニン、および近IR色素)、ならびに磁性剤、例えば、ガドリニウムキレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「放射性核種」は、放射性崩壊を受けることができる原子(例えば、3H、14C、15N、18F、35S、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、75Br、76Br、77Br、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、229Th、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、117mSn、201Tl)を指す。放射性核種(radioactive nuclide)、放射性同位体、または放射性同位元素(radioactive isotope)という用語も、放射性核種(radionuclide)を記載するために使用され得る。放射性核種は、本明細書で説明されるように、検出剤として使用され得る。一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ-放射性の放射性核種であり得る。
【0080】
薬剤(例えば、上述のコンジュゲートのいずれか)の「有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果、をもたらすのに十分なその量であり、したがって、「有効量」は、それが利用される状況に依存する。例えば、治療への応用の場合、「有効量」は、障害およびその合併症の症状を治癒させるのにもしくは少なくとも部分的に抑止するのに十分な量、ならびに/または疾患もしくは医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するのに十分な量であり得る。例えば、がんの処置の場合、疾患または状態の任意の症状を減少、予防、遅延、抑制または抑止する薬剤または化合物は、治療上有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患または状態を治癒させる必要はなく、例えば、疾患もしくは状態の開始を遅延させる、妨げるもしくは予防するような、疾患もしくは状態の症状を回復させるような、または疾患もしくは状態の期間を変化させるような、疾患または状態の処置を提供し得る。例えば、疾患または状態の重症度が低下することになり得、および/または回復が個体において加速される。有効量は、単回線量または複数回(例えば、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5もしくは少なくとも6)線量を投与することにより、施行され得る。
【0081】
用語「イムノコンジュゲート」は、本明細書で使用される場合、標的化部分、例えば、抗体(もしくはその抗原結合断片)、ナノボディ、アフィボディ、またはフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列を含む、コンジュゲートを指す。一部の実施形態では、イムノコンジュゲートは、標的部分当たり平均で少なくとも0.10のコンジュゲート(例えば、標的部分当たり平均で少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7または8のコンジュゲート)を含む。
【0082】
用語「ラジオコンジュゲート」は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載の放射性同位体または放射性核種のいずれか、を含む任意のコンジュゲートを指す。
【0083】
用語「ラジオイムノコンジュゲート」は、本明細書で使用される場合、放射性同位体または放射性核種、例えば本明細書に記載の放射性同位体または放射性核種のいずれか、を含む任意のイムノコンジュゲートを指す。本開示で提供されるラジオイムノコンジュゲートは、典型的には、放射性同位体または放射性核種から形成される金属錯体を含む二官能性コンジュゲートを指す。
【0084】
用語「放射免疫療法」は、本明細書で使用される場合、ラジオイムノコンジュゲートを使用して治療効果を生じさせる方法を指す。一部の実施形態では、放射免疫療法は、それを必要とする対象へのラジオイムノコンジュゲートの投与を含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与が、対象において治療効果を生じさせる。一部の実施形態では、放射免疫療法は、細胞へのラジオイムノコンジュゲートの投与を含み得、ラジオイムノコンジュゲートの投与が、細胞を死滅させる。放射免疫療法が、細胞を選択的に死滅させることを含む場合、一部の実施形態では、細胞は、がんを有する対象におけるがん細胞である。
【0085】
用語「医薬組成物」は、本明細書で使用される場合、薬学的に許容される賦形剤と用いて製剤化された本明細書に記載のラジオイムノコンジュゲートを含有する組成物を表す。一部の実施形態では、医薬組成物は、哺乳動物における疾患の処置のための治療レジメンの一部として政府規制当局の承認を得て製造または販売される。医薬組成物は、例えば、経口投与用に単位剤形(例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、ジェルキャップ剤、もしくはシロップ剤)で;局所的投与用に(例えば、クリーム剤、ゲル剤、ローション剤、もしくは軟膏剤として);静脈内投与用に(例えば、粒状塞栓物質のない滅菌液剤として、および静脈内使用に好適な溶媒系で);または本明細書に記載の任意の他の調合で、製剤化され得る。
【0086】
「薬学的に許容される賦形剤」は、本明細書で使用される場合、本明細書に記載の化合物以外の任意の成分(例えば、活性化合物を懸濁させることまたは溶解することができるビヒクル)であって、患者において非毒性かつ非炎症性である特性を有する成分を指す。賦形剤はとしては、例えば、付着防止剤、抗酸化剤、結合剤、コーティング剤、圧縮助剤、崩壊剤、色素(顔料)、皮膚軟化薬、乳化剤、フィラー(希釈剤)、成膜剤またはコーティング剤、香味剤、芳香剤、流動促進剤(流動増進剤)、滑沢剤、保存剤、印刷インク、放射線防護剤、吸着剤、懸濁化剤または分散剤、甘味料、または水和水を挙げることができる。例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸、ヒスチジン、リン酸緩衝液、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム(二塩基性)、ステアリン酸カルシウム、クロスカルメロース、架橋ポリビニルピロリドン、クエン酸、クロスポビドン、システイン、エチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、マルチトール、マンニトール、メチオニン、メチルセルロース、メチルパラベン、微結晶性セルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポビドン、アルファ化デンプン、プロピルパラベン、パルミチン酸レチニル、セラック、二酸化ケイ素、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ソルビトール、デンプン(トウモロコシ)、ステアリン酸、ステアリン酸、スクロース、タルク、二酸化チタン、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンC、およびキシリトールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
用語「薬学的に許容される塩」は、本明細書で使用される場合、正当な医学的判断の範囲内で、ヒトおよび動物の組織と接触する使用に、過度の毒性も刺激作用もアレルギー反応も伴うことなく、好適である、ここに記載される化合物の塩を表す。薬学的に許容される塩は、当技術分野において周知である。例えば、薬学的に許容される塩は、Berge et al., J. Pharmaceutical Sciences 66:1-19, 1977に、およびPharmaceuticalSalts: Properties, Selection, and Use, (Eds. P.H. Stahl and C.G. Wermuth),Wiley-VCH, 2008に、記載されている。塩は、本明細書に記載される化合物の最終的な単離および精製中にin situで、または別途、遊離塩基基を好適な有機酸と反応させることにより、調製することができる。
【0088】
本発明の化合物は、イオン化可能な基を有することができ、したがって、薬学的に許容される塩として調製することができる。これらの塩は、無機もしくは有機酸が関与する酸付加塩であり得、または塩は、本発明の化合物の酸性形態について言えば、無機もしくは有機塩基から調製され得る。多くの場合、化合物は、薬学的に許容される酸または塩基の付加生成物として調製される薬学的に許容される塩として、調製または使用される。好適な薬学的に許容される酸および塩基、例えば、酸付加塩を形成するための塩酸、硫酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸または酒石酸、および塩基性塩を形成するための水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、カフェイン、様々なアミンは、当技術分野において周知である。適切な塩を調製するための方法は、当技術分野において十分に確立されている。
【0089】
代表的な酸付加塩としては、数ある中でも特に、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプトン酸塩、ヘキサン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩が挙げられる。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウム、ならびにこれらに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよびエチルアミンを含む、非毒性アンモニウム、第四級アンモニウムおよびアミンカチオンが挙げられる。
【0090】
用語「ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、ペプチド結合により互いに結合された少なくとも2個のアミノ酸の鎖を指す。一部の実施形態では、ポリペプチドは、各々が少なくとも1つのペプチド結合によって他のものに結合されている少なくとも3~5個のアミノ酸を含み得る。ポリペプチドが、それでもなおポリペプチド鎖に組み込むことができる1個または複数の「非天然」アミノ酸または他の実体を含み得ることは、当業者には理解される。一部の実施形態では、ポリペプチドは、グリコシル化されていることがあり、例えば、ポリペプチドは、1つまたは複数の共有結合で連結された糖部分を含有することがある。一部の実施形態では、単一の「ポリペプチド」(例えば、抗体ポリペプチド)は、2つまたはそれよりも多くの個別のポリペプチド鎖を含むことがあり、これらのポリペプチド鎖は、一部の場合には、例えば1つまたは複数のジスルフィド結合または他の手段により、互いに連結されていることがある。
【0091】
「対象」とは、ヒトまたは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)を意味する。
【0092】
「実質的同一性」または「実質的に同一」とは、参照配列とそれぞれ同じポリペプチド配列を有するポリペプチド配列を意味するか、または2つの配列が最適にアラインされたときに参照配列内の対応する位置においてそれぞれ同じであるアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有するポリペプチド配列を意味する。例えば、参照配列と「実質的に同一」であるアミノ酸配列は、参照アミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有する。ポリペプチドについて、比較配列の長さは、一般に、連続する少なくとも5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、50、75、90、100、150、200、250、300または350アミノ酸(例えば、完全長配列)である。配列同一性は、デフォルト設定で配列解析ソフトウェア(例えば、Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、WI 53705のSequence Analysis Software Package)を使用して測定することができる。このようなソフトウェアは、様々な置換、欠失および他の改変に相同度を割り当てることによって類似の配列を照合することができる。
【0093】
本明細書で使用される場合、当技術分野において十分に理解されているように、状態を「処置すること」または状態(例えば、本明細書に記載の状態、例えばがん)の「処置」は、有益なまたは所望の結果、例えば臨床結果、を得るためのアプローチである。有益なまたは所望の結果としては、検出可能であるか検出不能であるかを問わず、1つまたは複数の症状または状態の緩和または回復;疾患、障害または状態の程度の縮小;疾患、障害または状態の安定した(すなわち、悪化しないこと)状態;疾患、障害または状態の拡大の防止;疾患、障害または状態の進行の遅延または緩徐化;疾患、障害または状態の回復または軽減;および寛解(部分的なものであるか完全なものであるかを問わず)を挙げることができるが、これらに限定されない。疾患、障害または状態を「軽減させること」は、疾患、障害または状態の程度および/または望ましくない臨床症状発現を和らげること、および/または進行の時間経過を処置の非存在下での程度または時間経過と比較して緩徐化または延長することを意味する。
【0094】
本明細書で使用される場合、用語「約」または「おおよそ」は、定量値に関して使用されるとき、別段の具体的な記述がない限り、列挙されている定量値自体を含む。本明細書で使用される場合、用語「約」または「おおよそ」は、そうでないと示されているまたは文脈から推測される場合を除き、列挙されている定量値から±10%の変動を指す。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「標的化部分」は、所与の標的に結合することができる、任意の分子または、分子の任意の部分を指す。用語「EGFRvIII標的化部分」は、EGFRvIII分子、例えばヒトEGFRvIII、に結合することができる標的化部分を指す。
【0096】
本明細書で使用される場合、別段の定めがない限り、「EGFR」は、ヒトEGFRを指す。ヒトEGFRは、UniProt P00533により定義される完全長タンパク質、またはその断片もしくはバリアントを意味する。EGFRは、上皮成長因子受容体、ErbB-1、およびHER1としても公知である。一部の特定の実施形態では、非ヒト種のEGFR、例えば、マウスEGFRが、使用される。用語「wt EGFR」、「WT EGFR」、「EGFR WT」、および「EGFR wt」は、同義で使用され、野生型EGFRを指す。
【0097】
本明細書で使用される場合、「EGFRvIII」または「vIII」は、コード配列の第2~7番エクソンのインフレーム欠失の結果として生ずるEGFRバリアント、またはその断片を指す。EGFRvIIIは、上皮成長因子受容体バリアントIII、de2-7EGFR、およびΔEGFRとしても公知である。
【0098】
本明細書で使用される場合、用語「断片」は、EGFRvIII断片を指すために使用されるとき、N末端および/もしくはC末端切断型EGFRvIII、またはEGFRvIIIのタンパク質ドメインを指す。特に断りのない限り、本明細書に記載の実施形態に従って使用されるEGFRvIIIの断片は、本開示に記載のEGFRvIII標的化部分により認識および/または結合される完全長EGFRvIIIの能力を保持する。説明的な例として、断片は、EGFRvIIIの細胞外ドメイン、例えば、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~18(配列番号125)、またはEGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)であり得る。
【0099】
本開示を説明する文脈における(特に、特許請求の範囲の文脈における)用語「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」および類似の指示対象の使用は、本明細書中で別段の指示がない限り、または文脈上明らかな矛盾がある場合を除き、単数形と複数形の両方に及ぶと解釈されたい。
【0100】
具体的に述べられているまたは文脈から明らかである場合を除き、本明細書で使用される場合、用語「または」は、包含的であると解され、「または」と「および」の両方に及ぶ。
【0101】
用語「および/または」は、本明細書で使用される場合、他のものを伴うまたは伴わない明記されている特徴または構成要素の各々についての具体的な開示と解釈されたい。
【0102】
用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含有する(containing)」は、特に断りのない限り、非限定的用語(すなわち、「含む(including)がこれ(ら)に限定されない」を意味する)と解釈されたい。用語「からなる」は、限定的と解釈されたい。
【0103】
本明細書で使用される場合、EGFRvIIIまたはEGFRなどのタンパク質に関して、用語「ネイティブ」は、タンパク質の天然の立体構造を指し、正しく折り畳まれているおよび/または機能的であるタンパク質を含む。
【0104】
本明細書で使用される場合、EGFRvIIIまたはEGFRなどのタンパク質に関して、用語「変性した」は、その天然の立体構造を喪失した、例えば、三次および二次構造の喪失を伴い得る、タンパク質を指す。
【0105】
本明細書で使用される場合、表現「EGFRvIII断片を含むかまたはそれからなるペプチド」は、ペプチドがEGFRvIII断片以外の部分を含み得ること、またはそれがEGFRvIII断片からなることを意味する。
【0106】
本明細書で使用される場合、標的化部分(例えば、抗体または抗原結合ドメイン)が「アミノ酸残基を含むエピトープに結合する」は、前記アミノ酸残基がエピトープのどちらかの部分であること、またはそれが標的化部分の結合に必要であることを意味する。
【0107】
本明細書で使用される場合、標的化部分(例えば、抗体または抗原結合ドメイン)に関して使用されるとき、ペプチドまたはタンパク質「に結合することができない」という用語は、標的化部分(例えば、抗体または抗原結合断片)が、a)組換え発現もしくは細胞に発現されたときのペプチドもしくはタンパク質に有意に結合しないこと、b)ペプチドもしくはタンパク質に検出可能な親和性で結合しないこと、c)陰性対照分子と同様の結合特性を有すること、d)ペプチドもしくはタンパク質に特異的に結合しないこと、またはe)当分野において公知のフローサイトメトリー実験により判定して0%~15%の間の値で結合することを意味する。
【0108】
本明細書で使用される場合、用語「自己の」は、同じ個体に由来する物質を指す。
【0109】
本明細書で使用される場合、用語「抗原結合ドメイン」は、抗原への特異的結合を可能にする、抗体のまたは抗原結合断片のドメインを指す。
【0110】
本明細書で使用される場合、用語「抗体」は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、単一ドメイン抗体(例えば、VHH、VH、VL、ナノボディ、または任意のラクダ科動物もしくはラマ単一ドメイン抗体)、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)などを包含する。用語「抗体」は、自然界に存在するもの(例えば、ヒトIgGなど)に類似した形式を有する分子を包含する。当技術分野において「免疫グロブリン」(Ig)とも呼ばれる用語「抗体」は、本明細書で使用される場合、対の重鎖および軽鎖ポリペプチド鎖から構築されたタンパク質を指し、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMをはじめとする様々なIgアイソタイプが存在する。抗体が正しく折り畳まれているとき、各々の鎖は折り重なって、より多くの線状ポリペプチド配列によって連結された多数の別個の球状ドメインになっている。例えば、免疫グロブリン軽鎖は、折り重なって、可変(VL)および定常(CL)ドメインとなり、その一方で、重鎖は、折り重なって、可変(VH)および3つの定常(CH1、CH2、CH3)ドメインとなる。重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメイン(VHとVL)の相互作用は、抗原結合領域(Fv)の形成につながる。各ドメインは、当業者によく知られている十分に確立された構造を有する。
【0111】
典型的には、抗体は、2つの軽鎖と2つの重鎖の対合から構成される。IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMをはじめとする異なる抗体アイソタイプが存在する。ヒトIgGは、4つの別個の亜群、すなわち、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4にさらに分けられる。治療用抗体は、一般に、IgG1またはIgG2またはIgG4として開発される。
【0112】
例示的な実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、ヒトIgG1定常領域またはその断片を含み得る。別の例示的な実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、ヒトIgG2定常領域またはその断片を含み得る。別の例示的な実施形態では、本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、ヒトIgG4定常領域またはその断片(fragment or thereof)を含み得る。他の抗体サブタイプの定常領域も企図される。
【0113】
ヒト抗体IgGアイソタイプの軽鎖および重鎖各々は、相補性決定領域(CDR)という名の3つの超可変領域を有する可変領域を含む。軽鎖CDRは、本明細書ではCDRL1またはL1、CDRL2またはL2、およびCDRL3またはL3として同定される。重鎖CDRは、本明細書ではCDRH1またはH1、CDRH2またはH2、およびCDRH3またはH3として同定される。相補性決定領域は、、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4という順序でフレームワーク領域(FR)に挟まれている。軽鎖および重鎖可変領域は、標的抗原への結合に関与し、したがって、抗体間で有意な配列多様性を示し得る。定常領域は、あまり配列多様性を示さず、重要な生化学的事象を惹起するための多数の天然タンパク質への結合に関与する。抗体の可変領域は、分子の抗原結合決定基を含有し、ひいては抗体のその標的抗原に対する特異性を決定する。配列可変性の大部分はCDRに存在し、これらのCDRが組み合わさって抗原結合部位を形成し、抗原決定基の結合および認識に寄与する。フレームワーク領域は、最適な抗原結合のためのCDRの三次元での適正な位置決めおよびアラインメントに関与し得る。抗体のその抗原に対する特異性および親和性は、超可変領域の構造によってはもちろん、それらのサイズ、形状、およびそれらが抗原に提示する表面の化学構造によっても左右される。超可変性領域の同定のための様々なスキームが存在し、2つの最も一般的なスキームは、KabatのスキームとChothiaおよびLeskのスキームである。Kabat et al (1991)は、VHおよびVLドメインの抗原結合領域における配列可変性に基づいて「相補性決定領域」(CDR)を定義する。Chothiaand Lesk (1987)は、VHおよびVLドメイン内の構造ループ領域の位置に基づいて「超可変ループ」(HまたはL)を定義する。これらの個々のスキームは、隣接またはオーバーラップしているCDRおよび超可変ループ領域を定義し、抗体技術分野における当業者は、多くの場合、用語「CDR」および「超可変ループ」を同義で用いており、これらの用語は、本明細書ではそのように使用され得る。CDR/ループは、Kabat定義とChothia定義を組み合わせることにより描出されるCDRH1ループを除いて、本明細書ではKabatスキームに従って同定される。
【0114】
組換えDNA技術によって、本開示により包含される様々な抗体形式、例えば、一本鎖抗体(単一ドメイン)、ダイアボディ、ミニボディ、ナノボディなどの設計が、今では可能である。
【0115】
「抗原結合断片」は、本明細書で言及される場合、当技術分野において公知の任意の好適な抗原結合断片を含み得る。抗原結合断片は、天然に存在する断片であることがあり、または天然に存在する抗体の操作によりもしくは組換え法を使用することにより得られることがある。例えば、抗体断片としては、Fv、一本鎖Fv(scFv;ペプチドリンカーで接続されているVLとVHからなる分子)、Fab、F(ab’)2、単一ドメイン抗体(sdAb;単一のVLまたはVHで構成されている断片)、およびこれらのいずれかについての多価提示を挙げることができるが、それらに限定されない。抗体断片、例えば、説明したばかりのものは、断片の異なる部分を連結させるために、リンカー配列、ジスルフィド結合、または他のタイプの共有結合を必要とし得、当業者は、異なるタイプの断片ならびに様々なアプローチおよびそれらの構築のための様々なアプローチの要件を熟知している。
【0116】
本開示のその抗原結合断片は、抗原への特異的結合を付与するアミノ酸残基を含む抗原結合部位(例えば、1つまたは複数のCDR)を有する分子を包含する。
【0117】
したがって、抗原結合断片の開示の例示的な実施形態には、これらに限定されないが、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片である、Fab断片;(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋により連結されている2つのFab断片を含む二価断片である、F(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなる、dAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、例えば、VH CDR3が含まれる。
【0118】
抗原結合断片の具体的な実施形態としては、例えば、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)2を挙げることができる。
【0119】
用語「ヒト化抗体」は、完全ヒト化抗体(すなわち、フレームワークが100%ヒト化されている)および部分的ヒト化抗体(例えば、少なくとも1つの可変領域は、ヒト抗体からの1個または複数のアミノ酸を含有するが、他のアミノ酸は、非ヒト親抗体のアミノ酸である)を包含する。典型的には、「ヒト化抗体」は、非ヒト親抗体(例えば、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類など)のCDR、および天然ヒト抗体のものまたはヒト抗体コンセンサスのものと同一であるフレームワークを含有する。そのような事例では、それらの「ヒト化抗体」は、完全にヒト化されていることで特徴付けられる。「ヒト化抗体」は、ヒト抗体またはヒト抗体コンセンサスのものに対応するものがない1つまたは複数のアミノ酸置換も含有し得る。そのような置換としては、例えば、抗体の特徴(例えば、親和性、特異性など)を保存し得る復帰変異(例えば、非ヒトアミノ酸の再導入)が挙げられる。そのような置換は、通常、フレームワーク領域に存在する。「ヒト化抗体」は、典型的にヒト抗体のものである定常領域(Fc)も通常は含む。典型的には、「ヒト化抗体」の定常領域は、ヒト抗体のものと同一である。ヒト化抗体は、CDRグラフティングによって得ることができる(Tsurushita et al, 2005;Jones et al, 1986;Tempest et al, 1991;Riechmannet al, 1988;Queen et al, 1989)。そのような抗体は、完全にヒト化されていると見なされる。
【0120】
用語「キメラ抗体」は、親抗体のものとは別個の起源からの定常領域を有する抗体を指す。用語「キメラ抗体」は、ヒト定常領域を有する抗体を包含する。典型的には、「キメラ抗体」は、マウス抗体が起源である可変領域でおよびヒト定常領域で構成されている。
【0121】
用語「ハイブリッド抗体」は、ある特定のタイプの抗体(例えば、ヒト化されたもの)からのその重鎖または軽鎖可変領域(その重鎖または軽鎖)の一方を含むが重鎖または軽鎖可変領域(重鎖または軽鎖)の他方が別のタイプ(例えば、マウス、キメラ)からのものである、抗体を指す。
【0122】
本開示の抗体および/または抗原結合断片は、例えば、マウス、ラットもしくは任意の他の哺乳動物が起源であることがあり、または他の供給源が起源である、例えば組換えDNA技術によるものである、ことがある。本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、合成抗体、天然に存在しない抗体、非ヒト哺乳動物の免疫後に得られた抗体などを含み得る。
【0123】
本開示の抗体またはその抗原結合断片は、単離および/または実質的に精製されていることがある。
化合物、例えば、ラジオイムノコンジュゲート
【0124】
一態様では、本開示は、以下の構造を含む化合物、例えば、ラジオイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩:
A-L1-(L2)n-B
式I
(式中、
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、
Bは、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)に結合することができる標的化部分であり、このEGFRvIIIは、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)からなるペプチドを含み;
L1は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
L2は、各々独立して、式IIの構造:
-X1-L3-Z1-
式II
を有し、この式中、
X1は、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-*、-OC(O)NR1-*、-NR1C(O)O-*、-NR1C(O)NR1-*、-CH2-Ph-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-Ph-CH2-*、-CH2-Ph-NH-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-NH-Ph-CH2-*、-O-*、またはNR1-*であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されているアリールもしくはヘテロアリールであり;
L3は、必要に応じて置換されているC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキルであり;
Z1は、-CH2-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR2C(O)-#、-C(O)NR2-#、または-NR2-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R2は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである)
を提供する。
【0125】
アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはヘテロアリールの典型的な置換基としては、ハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、OH、CN、ニトロ、アミノ、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C3~8シクロアルキル、C1~6ヘテロアルキル、C1~6ヘテロシクロアルキル、ハロアルキル(例えば、CF3)、アルコキシ(例えば、OCH3)、アルキルアミノ(例えば、NH2CH3)、スルホニル、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
一部の実施形態では、化合物は、下に示される構造を有するかまたは含む:
【化8】
(式中、Bは、EGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)である)。
【0127】
一部の実施形態では、A-L-は、以下の構造の1つ、またはその金属錯体を含む:
【化9】
【化10】
【0128】
一部の実施形態では、本明細書中でさらに説明されるように、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、キレート部分またはその金属錯体を含み、この金属錯体は、放射性核種を含み得る。一部のそのような化合物では、キレート部分のEGFRvIII標的化部分に対する平均比または比の中央値は、8もしくはそれ未満、7もしくはそれ未満、6もしくはそれ未満、5もしくはそれ未満、4もしくはそれ未満、3もしくはそれ未満、2もしくはそれ未満、または約1である。一部の化合物では、キレート部分のEGFRvIII標的化部分に対する平均比または比の中央値は、約1である。
【0129】
一部の実施形態では、ラジオイムノコンジュゲートが哺乳動物に投与された後、腸管経路、腎臓経路、または両方で排泄される放射線の(投与される放射線の総量に対する)比率は、参照ラジオイムノコンジュゲートが投与された比較できる哺乳動物により排泄される放射線の比率より高い。「参照イムノコンジュゲート」とは、本明細書に記載のラジオイムノコンジュゲートと、少なくとも(1)異なるリンカーを有する点、(2)異なるサイズの標的化部分を有する点、および/または(3)標的化部分を欠いている点で異なる、公知のラジオイムノコンジュゲートを意味する。一部の実施形態では、参照ラジオイムノコンジュゲートは、[90Y]-イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(90Y))および[111In]-イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン(111In))からなる群から選択される。
【0130】
一部の実施形態では、所与の経路または経路のセット)により排泄される放射線の比率は、参照ラジオイムノコンジュゲートが投与された比較できる哺乳動物により同じ経路(複数可)で排泄される放射線の比率より、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%高い。一部の実施形態では、排泄される放射線の比率は、参照ラジオイムノコンジュゲートが投与された比較できる哺乳動物により排泄される放射線の比率より少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍高い。排泄の程度は、当技術分野において公知の方法により、例えば、尿および/もしくは糞便中の放射活性を測定することにより、ならびに/またはある期間にわたって全身の放射活性を測定することにより、測定することができる。例えば、国際特許公開WO2018/024869も参照されたい。
【0131】
一部の実施形態では、排泄の程度は、投与後少なくとももしくは約12時間、投与後少なくとももしくは約24時間、投与後少なくとももしくは約2日間、投与後少なくとももしくは約3日、投与後少なくとももしくは約4日、投与後少なくとももしくは約5日、投与後少なくとももしくは約6日、または投与後少なくとももしくは約7日の時点で、測定される。
【0132】
一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)が哺乳動物に投与された後、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、参照化合物(例えば、参照コンジュゲート、例えば、参照イムノコンジュゲート、例えば参照ラジオイムノコンジュゲート)と比較してオフターゲット結合効果(例えば、毒性)の減少を呈する。一部の実施形態では、このオフターゲット結合効果の減少は、本明細書に記載のより高い排泄率も呈する化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)の特徴である。
標的化部分
【0133】
標的化部分は、所与の標的、例えばEGFRvIII、に結合することができる(例えば、特異的に結合することができる、に特異的に結合する、など)、任意の分子または分子の任意の部分を含む。一部の実施形態では、標的化部分は、タンパク質またはポリペプチドを含む。一部の実施形態では、標的化部分は、抗体またはその抗原結合断片、ナノボディ、アフィボディ、およびフィブロネクチンIII型ドメインからのコンセンサス配列(例えば、センチリンまたはアドネクチン)からなる群から選択される。一部の実施形態では、部分は、標的化部分と治療用部分の両方であり、すなわち、部分は、所与の標的に結合することができ、さらに治療利益を付与する。一部の実施形態では、標的化部分は、小分子を含む。
【0134】
一部の実施形態では、標的化部分は、少なくとも50kDa、少なくとも75kDa、少なくとも100kDa、少なくとも125kDa、少なくとも150kDa、少なくとも175kDa、少なくとも200kDa、少なくとも225kDa、少なくとも250kDa、少なくとも275kDa、または少なくとも300kDaの分子量を有する。
【0135】
典型的には、標的化部分は、EGFRvIIIまたはその断片に結合することができる。一部の実施形態では、標的化部分は、ヒトEGFRvIIIまたはその断片に結合することができる。
【0136】
一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIに特異的に結合することができる(例えば、EGFRvIIIに結合することができるが、それに比べてwt EGFRへの結合をほとんどまたは全く示さない)。
【0137】
一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIの細胞外領域、例えば、EGFRvIIIのドメインIII(L2)、EGFRvIIIのドメインIV(CRII)、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~18(配列番号125)、またはEGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)に、結合することができる。
【0138】
一部の実施形態では、標的化部分は、野生型EGFRに検出可能な親和性で結合しない。「検出可能な親和性」とは、KD、EC50またはIC50値により報告される、標的化部分とその標的との結合能力が、最大でも約105Mまたはそれ未満であることを、一般に意味する。105Mより高い、KD、EC50またはIC50値により報告される結合親和性は、一般に、ELISAおよびフローサイトメトリーなどの一般的な方法によってもはや測定できず、それ故、あまり重要でない。
【0139】
一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIを阻害する。「阻害する」とは、標的化部分が、EGFRvIII(例えば、ヒトEGFRvIII)の1つまたは複数の機能を少なくとも部分的に阻害することを意味する。一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIの下流のシグナル伝達を損なわせる、例えば、EGFRvIII陽性腫瘍細胞の成長抑制をもたらす。一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIへのリガンド結合、および/またはEGFRvIIIの受容体二量体化を遮断する。
【0140】
一般に、本開示の標的化部分は、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができることがある。一部の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~18(配列番号125)に結合することができる。一部の他の実施形態では、標的化部分は、EGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)に結合することができる。
【0141】
本開示により包含されるEGFRvIII標的化部分の実施形態は、例えば、
- EGFRvIIIのアミノ酸残基1~18(配列番号125)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができるEGFRvIII標的化部分;
- EGFRvIIIのアミノ酸残基3~18(配列番号129)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができるEGFRvIII標的化部分;
- EGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができるEGFRvIII標的化部分;または
- EGFRvIIIのアミノ酸残基19~37(配列番号142)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができるEGFRvIII標的化部分;
を含む。
【0142】
本開示により包含される一部の特定のEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、結合にEGFRvIIIIのアミノ酸残基1~2の存在を必要としないものを含む。EGFRvIIIのアミノ酸残基19~76(配列番号138)、アミノ酸残基19~62(配列番号139)、アミノ酸残基19~49(配列番号140)、アミノ酸残基19~45(配列番号141)、アミノ酸残基28~45(配列番号143)、アミノ酸残基28~37(配列番号144)、アミノ酸残基19~37(配列番号142)、アミノ酸残基3~45(配列番号127)、アミノ酸残基3~49(配列番号126)、アミノ酸残基3~37(配列番号128)、アミノ酸残基6~49(配列番号130)、アミノ酸残基6~45(配列番号131)、アミノ酸残基6~37(配列番号132)、アミノ酸残基10~49(配列番号133)、アミノ酸残基10~45(配列番号134)、アミノ酸残基10~37(配列番号135)、アミノ酸残基15~49(配列番号136)、アミノ酸残基15~45(配列番号137)、またはアミノ酸残基15~37(配列番号6)のうちの1つまたは複数のEGFRvIII断片に結合することができるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)が、特に企図される。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるおよび/または本開示に従って使用されるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)、例えば、F260-5G6(本明細書では5G6とも呼ばれる)、F263-1A8(本明細書では1A8とも呼ばれる)、F263-4B3(本明細書では4B3とも呼ばれる)、F263-4E11(本明細書では4E11とも呼ばれる)、F263-5D8(本明細書では5D8とも呼ばれる)およびF265-9C9(本明細書では9C9とも呼ばれる)抗体は、EGFRvIIIのアミノ酸残基3~37(配列番号128)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができる。
【0144】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、EGFRvIIIのアミノ酸残基1~33(配列番号124)からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合することができる。
【0145】
一部の実施形態では、本発明の(of the present)EGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、EGFRvIII(配列番号5)に特異的に結合し、ならびに
a.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)からなる断片;
b.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)からなる断片;
c.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~62(配列番号120)からなる断片;
d.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~49(配列番号121)からなる断片;
e.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~45(配列番号122)からなる断片;
f.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~37(配列番号123)からなる断片;
g.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~49(配列番号126)からなる断片;
h.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~45(配列番号127)からなる断片;
i.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~37(配列番号128)からなる断片;
j.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~49(配列番号130)からなる断片;
k.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~45(配列番号131)からなる断片;
l.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~37(配列番号132)からなる断片;
m.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~49(配列番号133)からなる断片;
n.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~45(配列番号134)からなる断片;
o.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~37(配列番号135)からなる断片;
p.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~49(配列番号136)からなる断片;
q.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~45(配列番号137)からなる断片;
r.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~76(配列番号138)からなる断片;
s.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~62(配列番号139)からなる断片;
t.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~49(配列番号140)からなる断片;
u.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~45(配列番号141)からなる断片;
v.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~37(配列番号142)からなる断片;および
w.これらの上記断片の任意の組合せ
からなる群から選択されるEGFRvIII断片に結合することができ、この場合のEGFRvIII標的化部分は、配列番号149で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができない。
【0146】
一部の実施形態では、本開示の標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号148、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号162、配列番号164、配列番号165、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。
【0147】
一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号160で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。
【0148】
一部の実施形態では、EGFRvIII(配列番号5)に特異的に結合し、ならびに
a.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)からなる断片;
b.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)からなる断片;
c.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~49(配列番号121)からなる断片;
d.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~37(配列番号123)からなる断片;
e.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~37(配列番号128)からなる断片;
f.これらの上記断片の任意の組合せ
からなる群から選択されるEGFRvIII断片に結合することができる、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)であって、配列番号149で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる(comprising ofconsisting of)ペプチドに結合することができない標的化部分が、本明細書で提供される。
【0149】
一部の実施形態では、本開示の標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号145、配列番号146、配列番号147、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号158、配列番号160、配列番号161、配列番号162、配列番号164、配列番号165、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号154で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号159で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。
【0150】
一部の他の実施形態では、提供される標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、EGFRvIII(配列番号5)に特異的に結合し、ならびに
a.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~37(配列番号6)からなる断片;
b.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~76(配列番号119)からなる断片;
c.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~62(配列番号120)からなる断片;
d.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~49(配列番号121)からなる断片;
e.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~45(配列番号122)からなる断片;
f.EGFRvIIIのアミノ酸残基1~37(配列番号123)からなる断片;
g.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~49(配列番号126)からなる断片;
h.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~45(配列番号127)からなる断片;
i.EGFRvIIIのアミノ酸残基3~37(配列番号128)からなる断片;
j.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~49(配列番号130)からなる断片;
k.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~45(配列番号131)からなる断片;
l.EGFRvIIIのアミノ酸残基6~37(配列番号132)からなる断片;m.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~49(配列番号133)からなる断片;
n.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~45(配列番号134)からなる断片;
o.EGFRvIIIのアミノ酸残基10~37(配列番号135)からなる断片;
p.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~49(配列番号136)からなる断片;
q.EGFRvIIIのアミノ酸残基15~45(配列番号137)からなる断片;および
r.これらの上記断片の任意の組合せ
からなる群から選択されるEGFRvIII断片に結合することができる。
【0151】
一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、
a.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~49(配列番号140)からなる断片;
b.EGFRvIIIのアミノ酸残基19~37(配列番号142)からなる断片;
c.EGFRvIIIのアミノ酸残基28~45(配列番号143)からなる断片;
d.EGFRvIIIのアミノ酸残基28~37(配列番号144)からなる断片;
またはこれらの上記断片の任意の組合せ
に結合することができる。
【0152】
一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号145、配列番号147、配列番号148、配列番号150、配列番号151、配列番号152、配列番号153、配列番号155、配列番号156、配列番号157、配列番号165、およびこれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。一部の実施形態では、標的化部分(例えば、抗体またはその抗原結合断片)は、配列番号149で示されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができることがある。
【0153】
前記ペプチドにおけるアミノ酸残基Cys20を含むかまたは伴うエピトープに結合することができるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)も、提供される。これらは、例えば、EGFRvIIIにおよび/または配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合するが、アミノ酸配列SCVRAAGADSYEMEEDGVRKCKK(配列番号149)を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができない、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片を含む。そのような抗体またはその抗原結合断片は、例えば、4B3、5D8、および4E11抗体を包含する。
【0154】
前記ペプチドにおけるアミノ酸残基Cys35を含むかまたは伴うエピトープに結合することができるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)も、本開示に特に包含される。これらは、例えば、EGFRvIIIにおよび/または配列番号6で示されるアミノ酸配列からなるEGFRvIII断片を含むペプチドに結合するが、アミノ酸配列SCVRACGADSYEMEEDGVRKAKK(配列番号163)を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができない、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片を含む。そのような抗体またはその抗原結合断片は、例えば、4B3、5D8、9C9および4E11抗体を包含する。
【0155】
前記ペプチドにおけるアミノ酸残基Cys20およびCys35を含むかまたは伴うペプチド中のエピトープに結合することができるEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)が、本開示にさらに包含される。これらは、例えば、EGFRvIIIにおよび/または配列番号6で示されるEGFRvIII断片を含むかもしくはそれからなるペプチドに結合するが、SCVRAAGADSYEMEEDGVRKCKK(配列番号149)またはSCVRACGADSYEMEEDGVRKAKK(配列番号163)から選択されるアミノ酸配列を含むかまたはそれからなるペプチドに結合することができない、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片を含む。そのような抗体またはその抗原結合断片は、例えば、4B3、5D8、および4E11抗体を包含する。
【0156】
一部の実施形態では、アミノ酸残基Cys20および/またはCys35に加えて、本開示のEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)が結合する、またはその結合に関与する、エピトープは、アミノ酸残基Glu26、Asp30、Gly31、および/またはArg33をさらに含み得る。一部の実施形態では、エピトープは、Asp23および/またはVal32をさらに含み得る。
【0157】
例えば、一部の実施形態では、本開示のEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、
- Cys20、Glu26、Asp30、Gly31、Arg33、およびCys35;または
- Cys20、Asp23、Glu26、Asp30、Gly31、Val32、Arg33、およびCys35
を含むかまたは伴うエピトープに結合する。
【0158】
一部の実施形態では、アミノ酸残基Cys20および/またはCys35に加えて、EGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)が結合する、またはその結合に関与する、エピトープは、Arg18および/またはGly21をさらに含み得る。一部の実施形態では、エピトープは、Glu26および/またはGly31をさらに含み得る。
【0159】
例えば、一部の実施形態では、本開示のEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、
- Arg18、Cys20、Gly21およびCys35;または
- Arg18、Cys20、Gly21、Glu26、Gly31およびCys35
を含むかまたは伴うエピトープに結合する。
【0160】
一部の他の実施形態では、本開示のEGFRvIII標的化部分(例えば、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片)は、
- Cys16、Glu26、Gly31、Val32、Arg33、Lys34、Cys35およびLys36;または
- Cys16、Cys20、Glu26、Asp30、Gly31、Val32、Arg33、Lys34、Cys35およびLys36
を含むかまたは伴うエピトープに結合する。
抗体および抗原結合断片
【0161】
抗体は、ジスルフィド結合により互いに連結されている、2つの同一の軽鎖ポリペプチド鎖および2つの同一の重鎖ポリペプチド鎖を典型的に含む。各鎖のアミノ末端に位置する第1のドメインは、アミノ酸配列が可変的であり、したがって各々の個々の抗体の抗体結合特異性をもたらす。これらは、可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)領域として公知である。各鎖の他のドメインは、アミノ酸配列が比較的不変であり、定常重鎖(CH)および定常軽鎖(CL)領域として公知である。軽鎖は、典型的に、1つの可変領域(VL)および1つの定常領域(CL)を含む。IgG重鎖は、可変領域(VH)、第1の定常領域(CH1)、ヒンジ領域、第2の定常領域(CH2)、および第3の定常領域(CH3)を含む。IgEおよびIgM抗体では、重鎖は、追加の定常領域(CH4)を含む。
【0162】
本開示での使用に好適な抗体としては、例えば、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、ラクダ科動物抗体、キメラ抗体、一本鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、および抗イディオタイプ(抗Id)抗体、ならびに前述のもののいずれかについての抗原結合断片を挙げることができる。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、ヒト化されている。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、キメラである。抗体は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスのものであり得る。
【0163】
抗体の「抗原結合断片」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を指す。抗体の「抗原結合断片」という用語の中に包含される結合断片の例としては、Fab断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、scFv断片、dAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546)、および単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。一部の実施形態では、「抗原結合断片」は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。これらの抗体断片を当業者に公知の従来の技術を使用して得ることができ、断片を、有用性について、無傷抗体である場合と同様にスクリーニングすることができる。
【0164】
本明細書に記載の抗体または抗原結合断片は、抗体の合成のための当技術分野において公知の任意の方法により産生することができる(例えば、Harlow et al., Antibodies: A Laboratory Manual, (Cold Spring HarborLaboratory Press, 2nd ed. 1988);Brinkman et al., 1995, J. Immunol. Methods182:41-50;WO92/22324;WO98/46645を参照されたい)。キメラ抗体は、例えば、Morrison, 1985, Science229:1202に記載されている方法を使用して産生することができ、ヒト化抗体は、例えば、米国特許第6,180,370号に記載されている方法によって産生することができる。
【0165】
本明細書に記載のさらなる抗体は、例えば、Segal et al., J.Immunol. Methods 248:1-6 (2001);およびTutt et al., J. Immunol. 147: 60 (1991)に記載されているような、二重特異性抗体および多価抗体、または本明細書に記載の分子のいずれかである。
【0166】
「アビマー」は、例えば、in vitroエクソンシャフリングおよびファージディスプレイを使用して操作された、多量体結合タンパク質またはペプチドに関する。複数の結合ドメインが連結されており、したがって、単一エピトープ免疫グロブリンドメインと比較して大きい親和性および特異性をもたらす。
【0167】
「ナノボディ」は、単一単量体可変抗体ドメインからなる抗体断片である。ナノボディは、単一ドメイン抗体とも呼ばれ得る。抗体と同様に、ナノボディは、特定の抗原に選択的に結合することができる。ナノボディは、重鎖可変ドメインであることがあり、または軽鎖ドメインであることがある。ナノボディは、天然に存在することがあり、または生物学的操作の産物であることがある。ナノボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)により生物学的に操作され得る。「アフィボディ」は、特定の抗原に結合するように操作されたポリペプチドまたはタンパク質である。それ故、アフィボディは、抗体のある特定の機能を模倣すると考えられ得る。
【0168】
アフィボディは、ブドウ球菌プロテインAの免疫グロブリン結合領域内のBドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、Fab領域に対してより低い親和性を有するBドメインである、Zドメインの操作されたバリアントであり得る。アフィボディは、部位特異的変異誘発または変異原性スクリーニング(例えば、ファージディスプレイ、酵母ディスプレイ、細菌ディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ)により生物学的に操作され得る。
【0169】
様々な異なるタンパク質(例えば、インスリン、フィブリノゲン、トランスフェリン、腫瘍壊死因子-α、IL-8、gp120、CD28、ヒト血清アルブミン、IgA、IgE、IgM、HER2およびEGFR)への特異的結合を示すアフィボディ分子が生成されており、これらは、μM~pM範囲の親和性(Kd)を実証する。「ダイアボディ」は、二価または二重特異性であり得る、2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、Hudson et al., (2003)を参照されたい。一本鎖抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部分または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部分を含む、抗体断片である。抗体断片は、本明細書に記載の組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生はもちろん無傷抗体のタンパク質分解消化も含むがこれらに限定されない、様々な技術により作製され得る。
【0170】
ある特定の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、多重特異性、例えば、二重特異性である。多重特異性抗体(またはその抗原結合断片)は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体(またはその抗原結合断片)を含む。
【0171】
EGFRvIIIに特異的に結合する抗体または抗原結合断片は、その全体が参照により組み込まれるWO2020191485A1に記載されているEGFRvIII抗体 その抗原結合断片であり得る。
【0172】
一部の実施形態では、
4E11抗体のCDRL1(配列番号38)、CDRL2(配列番号39)、CDRL3(配列番号40)、CDRH1(配列番号43)、CDRH2(配列番号44)およびCDRH3(配列番号45)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
5G6抗体のCDRL1(配列番号8)、CDRL2(配列番号9)、CDRL3(配列番号10)、CDRH1(配列番号13)、CDRH2(配列番号14)およびCDRH3(配列番号15)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
1A8抗体のCDRL1(配列番号18)、CDRL2(配列番号19)、CDRL3(配列番号20)、CDRH1(配列番号23)、CDRH2(配列番号24)およびCDRH3(配列番号25)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
4B3抗体のCDRL1(配列番号28)、CDRL2(配列番号29)、CDRL3(配列番号30)、CDRH1(配列番号33)、CDRH2(配列番号34)およびCDRH3(配列番号35)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
5D8抗体のCDRL1(配列番号48)、CDRL2(配列番号49)、CDRL3(配列番号50)、CDRH1(配列番号53)、CDRH2(配列番号54)およびCDRH3(配列番号55)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
9C9抗体のCDRL1(配列番号58)、CDRL2(配列番号59)、CDRL3(配列番号60)、CDRH1(配列番号63)、CDRH2(配列番号64)およびCDRH3(配列番号65)を含む、抗体またはその抗原結合断片;
F266-11B1(本明細書では11B1と呼ばれる)、F266-11C8(本明細書では11C8と呼ばれる)、F266-11H5(本明細書では11H5と呼ばれる)および/またはF266-11H3(本明細書では11H3と呼ばれる)抗体の、CDRL1(配列番号68または73)、CDRL2(配列番号69または74)、CDRL3(配列番号70または75)、CDRH1(配列番号78)、CDRH2(配列番号79)およびCDRH3(配列番号80)を含む、抗体またはその抗原結合断片
からなる群から選択される、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片が、本明細書で提供される。
【0173】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、4E11抗体のCDRを含む。
【0174】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、5G6抗体のCDRを含む。
【0175】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、1A8抗体のCDRを含む。
【0176】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、4B3抗体のCDRを含む。
【0177】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、5D8抗体のCDRを含む。
【0178】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、9C9抗体のCDRを含む。
【0179】
一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、11B1または11C8抗体のCDRを含む。
【0180】
一部の実施形態では、本開示は、
CDRL1(配列番号8)、CDRL2(配列番号9)、CDRL3(配列番号10)、CDRH1(配列番号13)、CDRH2(配列番号14)およびCDRH3(配列番号15)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号18)、CDRL2(配列番号19)、CDRL3(配列番号20)、CDRH1(配列番号23)、CDRH2(配列番号24)およびCDRH3(配列番号25)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号28)、CDRL2(配列番号29)、CDRL3(配列番号30)、CDRH1(配列番号33)、CDRH2(配列番号34)およびCDRH3(配列番号35)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号38)、CDRL2(配列番号39)、CDRL3(配列番号40)、CDRH1(配列番号43)、CDRH2(配列番号44)およびCDRH3(配列番号45)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号48)、CDRL2(配列番号49)、CDRL3(配列番号50)、CDRH1(配列番号53)、CDRH2(配列番号54)およびCDRH3(配列番号55)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号58)、CDRL2(配列番号59)、CDRL3(配列番号60)、CDRH1(配列番号63)、CDRH2(配列番号64)およびCDRH3(配列番号65)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
CDRL1(配列番号68)、CDRL2(配列番号69)、CDRL3(配列番号70)、CDRH1(配列番号78)、CDRH2(配列番号79)およびCDRH3(配列番号80)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;および
CDRL1(配列番号73)、CDRL2(配列番号74)、CDRL3(配列番号75)、CDRH1(配列番号78)、CDRH2(配列番号79)およびCDRH3(配列番号80)からなるCDR配列を含む、抗体またはその抗原結合断片;
からなる群から選択される、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0181】
一部の実施形態では、本開示は、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、例えば、
配列番号8で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号9で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号10で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号13で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号14で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号15で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号24で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号25で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号28で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号30で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号35で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号48で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号49で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号53で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号54で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号58で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号59で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号60で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号63で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号64で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号65で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号69で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号70で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;または
配列番号73で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号74で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号75で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含み得る軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含み得る重鎖可変領域;
を含み得る、抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0182】
一部の実施形態では、本開示は、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、例えば、
配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および/または配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号115で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号115と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および/または配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;または
配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および/または配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
を含み得る、抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0183】
ある特定の実施形態では、配列番号115または配列番号118で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または実質的に同一の、軽鎖を有する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号115または配列番号118のものとそれぞれ同一のCDRを有し得る。
【0184】
ある特定の実施形態では、配列番号62または配列番号116で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または実質的に同一の、重鎖を有する抗体またはその抗原結合断片は、配列番号62または配列番号116のものとそれぞれ同一のCDRを有し得る。
【0185】
一部の実施形態では、本開示は、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、
配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号7と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号12と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号17と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号22と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号27と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号32で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号32と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号37で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号37と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号42と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号47と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号52と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号57と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;
配列番号67で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号67と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号77と実質的に同一の、または配列番号92で示されるアミノ酸と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、配列番号92と実質的に同一の、または配列番号102で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号102と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;または
配列番号72で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号72と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号77と実質的に同一の、または配列番号92で示されるアミノ酸と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域
を含み得る、抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0186】
様々な実施形態では、所与の抗体のものと少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、軽鎖、重鎖可変領域または重鎖は、その抗体と同一であるCDRを有し得る。一部の実施形態では、本開示で提供される抗体および抗原結合断片のVLおよびVH配列は、本明細書で提供されるVLおよびVH配列と実質的に同一の配列を含むことがあり、または少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%の配列同一性を有する配列を含むことがあり、配列のバリエーションは、好ましくは、提供されるVLおよびVH配列のCDRの外側にある。
【0187】
さらなる実施形態では、本開示は、EGFRvIIIに特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片であって、
配列番号108で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号108と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号107と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖;または
配列番号110で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号110と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖、および配列番号109で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%もしくは少なくとも99%同一の、または配列番号109と実質的に同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖
を含み得る、抗体またはその抗原結合断片を提供する。
【0188】
一部の実施形態では、本開示は、
配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3、配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2、および配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3;
配列番号37で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも92%同一の、少なくとも94%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも92%同一の、少なくとも94%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖可変領域;または
配列番号108で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも92%同一の、少なくとも94%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または同一の、アミノ酸配列を含み得る軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と、少なくとも80%同一の、少なくとも85%同一の、少なくとも90%同一の、少なくとも92%同一の、少なくとも94%同一の、少なくとも95%同一の、少なくとも96%同一の、少なくとも97%同一の、少なくとも98%同一の、少なくとも99%同一の、または同一の、アミノ酸配列を含み得る重鎖
を含み得る、抗EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片をさらに提供する。
【0189】
本開示によれば、上で示された抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38、39、40、43、44および45で示されるものと同一の、または実質的に同一の、CDRを有し得る。
【0190】
一部の実施形態では、本開示は、シグナル配列MVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号113)をN末端に含む軽鎖配列と、シグナル配列MDWTWRILFLVAAATGTHA(配列番号114)をN末端に含む重鎖配列とを含む、EGFRvIII抗体またはその抗原結合断片も提供する。ある特定の実施形態では、配列番号180、181および182で示される軽鎖配列の各々は、シグナル配列MVLQTQVFISLLLWISGAYG(配列番号113)をN末端に含む。ある特定の実施形態では、配列番号183、184および185で示される重鎖配列の各々は、シグナル配列MDWTWRILFLVAAATGTHA(配列番号114)をN末端に含む。
【0191】
本開示によれば、抗体またはその抗原結合断片は、例えば、100nM未満のEGFRvIIIへの親和性、例えば、50nMもしくはそれ未満、20nMもしくはそれ未満、10nMもしくはそれ未満、または5nMもしくはそれ未満のEGFRvIIIへの親和性を有し得る。
【0192】
本開示の例示的な実施形態は、ヒトIgG定常領域を含み得る抗体またはその抗原結合断片を含む。本開示の抗体または抗原結合断片は、例えば、これらに限定されるものではないが、ヒトIgG1定常領域もしくはヒトIgG2定常領域もしくはヒトIgG4定常領域、またはその変異バリアントを含み得る。
【0193】
例示的な実施形態では、本明細書で開示される抗原結合剤は、ヒト化フレームワーク領域を含み得る。
【0194】
本開示によれば、抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、または多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)であり得る。
【0195】
本開示の二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、第1のヒトEGFRvIIIエピトープに特異的に結合する第1の標的化部分と、第2の(オーバーラップしていない)ヒトEGFRvIIIエピトープに特異的に結合する第2の標的化部分とを含み得るもの(例えば、バイパラトピック抗体)を含む。
【0196】
本開示の二重特異性抗体またはその抗原結合断片のさらなる実施形態は、第1のヒトEGFRvIIIエピトープに特異的に結合する第1の標的化部分と、別の抗原に特異的に結合する第2の標的化部分とを含み得るものを含む。
【0197】
本開示の二重特異性抗体またはその抗原結合断片は、ヒトEGFRvIIIに特異的に結合する第1の標的化部分と、CD3に特異的に結合する第2の標的化部分とを含むものなどの、二重特異性免疫細胞エンゲージャーを含む。
【0198】
本開示によれば、EGFRvIII抗体の抗原結合断片は、例えば、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)2を含み得る。
ポリペプチド
【0199】
ポリペプチドは、例えば、様々な血液作用剤(hematologic agent)(例えば、エリスロポエチン、血液凝固因子などを含む)、インターフェロン、コロニー刺激因子、抗体、酵素、およびホルモンのいずれかを含む。特定のポリペプチドの実体は、本開示を限定するように意図されておらず、目的のいずれのポリペプチドも本方法におけるポリペプチドであり得る。
【0200】
本明細書に記載の参照ポリペプチドは、目的の標的に結合することができる(例えば、抗原、例えばEGFRvIII、に結合することができる)標的結合ドメインを含み得る。例えば、抗体などのポリペプチドは、膜貫通ポリペプチド(例えば、受容体)またはリガンド(例えば、成長因子)に結合することができる。
改変ポリペプチド
【0201】
本開示の組成物および方法での使用に好適なポリペプチドは、改変アミノ酸配列を有し得る。改変ポリペプチドは、対応する参照ポリペプチドと実質的に同一であり得る(例えば、改変ポリペプチドのアミノ酸配列は、参照ポリペプチドのアミノ酸配列に対して少なくとも50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し得る)。ある特定の実施形態では、改変は、所望の生物活性(例えば、EGFRvIIIへの結合)を有意に破壊しない。改変は、元のポリペプチドの生物活性を低下させる(例えば、少なくとも5%、10%、20%、25%、35%、50%、60%、70%、75%、80%、90%、もしくは95%低下させる)ことがあり、影響を与えないことがあり、または増加させる(例えば、少なくとも5%、10%、25%、50%、100%、200%、500%、もしくは1000%増加させる)ことがある。改変ポリペプチドは、ポリペプチドの特徴、例えば、in vivo安定性、バイオアベイラビリティ、毒性、免疫学的活性、免疫学的同一性、およびコンジュゲーション特性を有し得るかまたは最適化し得る。
【0202】
改変は、翻訳後プロセシングなどの自然過程によるもの、または当技術分野において公知の化学的改変技術によるものを含む。改変は、ポリペプチド骨格、アミノ酸側鎖、およびアミノまたはカルボキシ末端を含む、ポリペプチド内のどこでも行われ得る。同じタイプの改変が、所与のポリペプチドにおけるいくつかの部位に同じまたは様々な度合いで存在することがあり、ポリペプチドは、1つより多くのタイプの改変を含有することがある。ポリペプチドは、ユビキチン化の結果として分岐していることがあり、それらは、分岐しているまたはしていない、環状のものであることがある。環状のポリペプチド、分岐しているポリペプチド、および分岐している環状のポリペプチドは、翻訳後の自然過程の結果として生じることがあり、または合成により作製されることがある。他の改変としては、ペグ化、アセチル化、アシル化、アセトアミドメチル(acetomidomethyl)(Acm)基の付加、ADP-リボシル化、アルキル化、アミド化、ビオチン化、カルバモイル化、カルボキシエチル化、エステル化、フラビンへの共有結合、ヘム部分への共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、薬物の共有結合、マーカー(例えば、蛍光性または放射性)の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、シスチンの形成、ピログルタメートの形成、ホルミル化、ガンマ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質分解プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、アミノ酸のタンパク質への転移RNA媒介付加、例えば、アルギニル化およびユビキチン化が挙げられる。
【0203】
改変ポリペプチドは、ポリペプチド配列における保存的または非保存的(例えば、Dアミノ酸、デスアミノ酸)どちらかのアミノ酸挿入、欠失または置換も含み得る(例えば、このような変化は、ポリペプチドの生物活性を実質的に変更しない)。特に、本明細書におけるポリペプチドのアミノまたはカルボキシ末端への1つまたは複数のシステイン残基の付加は、これらのポリペプチドの、例えばジスルフィド結合による、コンジュゲーションを容易にし得る。例えば、単一のシステイン残基をアミノ末端にまたは単一のシステイン残基をカルボキシ末端に含むように、ポリペプチドを改変することができる。アミノ酸置換は、保存的であることがあり(すなわち、ある残基が、同じ一般的なタイプまたは群の別のものに置き換えられる)、または非保存的であることがある(すなわち、ある残基が、別のタイプのアミノ酸に置き換えられる)。加えて、天然に存在するアミノ酸で、天然に存在しないアミノ酸を置換することができる(すなわち、天然に存在しない保存的アミノ酸置換、または天然に存在しない非保存的アミノ酸置換)。
【0204】
合成により作製されたポリペプチドは、DNAに天然にコードされていないアミノ酸(例えば、天然に存在しないまたは非天然アミノ酸)の置換を含み得る。天然に存在しないアミノ酸の例としては、Dアミノ酸、N保護アミノ酸、システインの硫黄原子に結合されたアセチルアミノメチル基を有するアミノ酸、ペグ化アミノ酸、式NH2(CH2)nCOOH(式中、nは、2~6である)のオメガアミノ酸、中性非極性アミノ酸、例えば、サルコシン、t-ブチルアラニン、t-ブチルグリシン、N-メチルイソロイシン、およびノルロイシンが挙げられる。フェニルグリシンは、Trp、TyrまたはPheの代わりに用いることができ;シトルリンおよびメチオニンスルホキシドは、中性非極性であり、システイン酸は、酸性であり、オルニチンは、塩基性である。プロリンは、ヒドロキシプロリンで置換され得、立体構造付与特性を保持し得る。
【0205】
アナログは、置換変異誘発により生成され得、元のポリペプチドの生物活性を保持し得る。「保存的置換」として同定される置換の例が表1に示される。そのような置換が望ましくない変化をもたらす場合には、表1に「例示的な置換」と称される、またはアミノ酸クラスに関して本明細書でさらに説明されるような、他のタイプの置換が、導入され、生成物が、スクリーニングされる。
表1. アミノ酸置換
【表1】
【0206】
機能または免疫学的同一性の実質的な改変は、(a)例えばシートもしくはらせん形立体構造のような、置換エリアにおけるポリペプチド骨格の構造の維持、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性の維持、および/または(c)側鎖の嵩の維持に対するそれらの効果が有意に異なる置換を選択することにより、果たされる。
キレート部分またはその金属錯体
キレート部分
【0207】
好適なキレート部分の例としては、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2’’-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H4オクタパ(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H2デドパ(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H6ホスパ(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、八配位HOPO(八配位ヒドロキシピリジノン)、またはポルフィリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
好ましくは、キレート部分は、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、およびHP-DO3A(10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸)から選択される。
【0209】
一部の実施形態では、キレート部分は、DOTAである。
【0210】
一部の実施形態では、化合物は、キレート部分の金属錯体を含む。例えば、キレート基を、金属、例えば、マンガン、鉄、ならびにガドリニウムおよび同位体(例えば、一般に、60~10,000keVのエネルギー範囲の同位体)、例えば、本明細書で論じられる放射性同位体および放射性核種のいずれか、との金属キレート組合せで使用することができる。
【0211】
一部の実施形態では、キレート部分は、検出剤として有用であり、したがって、そのような検出可能なキレート部分を含む化合物を診断または治療剤として使用することができる。
【0212】
一部の実施形態では、式Iの可変要素Aは、1つまたは複数のヘテロアリール基(例えば、6員窒素含有ヘテロアリール)を含む大環状キレート部分である。そのような大環状キレート部分の例としては、
【化11】
【化12】
が挙げられるが、これらに限定されない。
放射性同位体および放射性核種
【0213】
一部の実施形態では、金属錯体は、放射性核種を含む。好適な放射性同位体および放射性核種の例としては、3H、14C、15N、18F、35S、43Sc、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、66Ga、67Ga、67Cu、68Ga、75Br、76Br、77Br、82Rb、89Zr、86Y、87Y、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、123I、124I、125I、131I、133La、134Ce、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、117mSn、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thが挙げられるが、これらに限定されない。
【0214】
一部の実施形態では、金属錯体は、43Sc、44Sc、47Sc、55Co、60Cu、61Cu、62Cu、64Cu、67Cu、66Ga、67Ga、68Ga、82Rb、86Y、87Y、89Zr、90Y、97Ru、99Tc、99mTc、105Rh、109Pd、111In、117mSn、133La、134Ce、149Pm、149Tb、153Sm、166Ho、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、201Tl、203Pb、211At、212Pb、212Bi、213Bi、223Ra、225Ac、227Th、および229Thから選択される放射性核種を含む。ある特定の実施形態では、金属錯体は、68Ga、89Zr、90Y、111In、177Lu、および225Acから選択される放射性核種を含む。ある特定の実施形態では、金属錯体は、177Luまたは225Acである放射性核種を含む。
【0215】
一部の実施形態では、放射性核種は、アルファ放射体、例えば、アスタチン-211(211At)、ビスマス-212(212Bi)、ビスマス-213(213Bi)、アクチニウム-225(225Ac)、ラジウム-223(223Ra)、鉛-212(212Pb)、トリウム-227(227Th)もしくはテルビウム-149(149Tb)またはその子孫核種である。一部の実施形態では、アルファ放射体は、アクチニウム-225(225Ac)またはその子孫核種である。
リンカー
【0216】
本発明の化合物は、一般に、下の式Iの構造:
A-L1-(L2)n-B
式I
を含み、式中の可変要素の各々は、上の概要セクションにおいて定義されている。
【0217】
式Iの化合物の各々は、-L1-(L2)n-のようなリンカー部分を含み、
式中、
L1は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
各L2は、独立して、構造:
-X1-L3-Z1-
式II
を有し、この式中、
X1は、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-*、-OC(O)NR1-*、-NR1C(O)O-*、-NR1C(O)NR1-*、-CH2-Ph-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-Ph-CH2-*、-CH2-Ph-NH-C(S)NR1-*、-NR1C(S)-NH-Ph-CH2-*、-O-*、または-NR1-*であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、または必要に応じて置換されているアリールもしくはヘテロアリールであり;
L3は、必要に応じて置換されているC1~C50アルキルまたは必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキル(例えば、(CH2CH2O)2~20)であり;
Z1は、-CH2-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR2C(O)-#、-C(O)NR2-#、または-NR2-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R2は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである。
【0218】
一部の実施形態では、L
1は、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキルまたは必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキルである。ある特定の実施形態では、L
1は、置換C
1~C
6アルキルまたは置換C
1~C
6ヘテロアルキルであり、置換基は、ヘテロアリール基(例えば、6員窒素含有ヘテロアリール)を含む。一部の実施形態では、L
1は、C
1~C
6アルキルである。例えば、L
1は、-CH
2CH
2-である。一部の実施形態では、L
1は、結合である。一部の実施形態では、L
1は、
【化13】
(式中、R
Lは、水素または-CO
2Hである)である。
【0219】
一部の実施形態では、X1は、-C(O)NR1-*、-NR1C(O)-*、または-NR1-であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、水素、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである。一部の実施形態では、X1は、-C(O)NR1-*であり、「*」は、L3への結合点を示し、R1は、水素である。
【0220】
一部の実施形態では、L3は、必要に応じて置換されているC1~C50アルキル(例えば、C3~C30アルキル、C3~C25アルキル、C3~C20アルキル、C3~C15アルキル、C3~C10アルキル、C5~C30アルキル、C5~C25アルキル、C5~C20アルキル、C5~C15アルキル、およびC5~C10アルキル)または必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキル(例えば、C3~C30ヘテロアルキル、C3~C25ヘテロアルキル、C3~C20ヘテロアルキル、C3~C15ヘテロアルキル、C3~C10ヘテロアルキル、C5~C30ヘテロアルキル、C5~C25ヘテロアルキル、C5~C20ヘテロアルキル、C5~C15ヘテロアルキル、およびC5~C10ヘテロアルキル)である。例示的なC1~C50ヘテロアルキルは、C5~C30ポリエチレングリコール(例えば、C5~C25ポリエチレングリコール、C5~C20ポリエチレングリコール、C5~C15ポリエチレングリコール)である。ある特定の実施形態では、L3は、C5~C25ポリエチレングリコール、C5~C20ポリエチレングリコール、またはC5~C15ポリエチレングリコールである。
【0221】
一部の実施形態では、L3は、必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキル(例えば、C1~C40ヘテロアルキル、C1~C30ヘテロアルキル、C1~C20ヘテロアルキル、C2~C18ヘテロアルキル、C3~C16ヘテロアルキル、C4~C14ヘテロアルキル、C5~C12ヘテロアルキル、C6~C10ヘテロアルキル、C8~C10ヘテロアルキル、C4ヘテロアルキル、C6ヘテロアルキル、C8ヘテロアルキル、C10ヘテロアルキル、C12ヘテロアルキル、C16ヘテロアルキル、C20ヘテロアルキル、またはC24ヘテロアルキル)である。
【0222】
一部の実施形態では、L3は、1~20のオキシエチレン(-O-CH2-CH2-)単位を含むポリエチレングリコール(PEG)部分、例えば、2つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG2)、3つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG3)、4つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG4)、5つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG5)、6つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG6)、7つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG7)、8つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG8)、9つのオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG9)、10のオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG10)、12のオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG12)、14のオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG14)、16のオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG16)、または18のオキシエチレン単位を含むポリエチレングリコール(PEG18)を含む、必要に応じて置換されているC1~C50ヘテロアルキルである。
【0223】
ある特定の実施形態では、L
3は、1~20のオキシエチレン(-O-CH
2-CH
2-)単位を含むポリエチレングリコール(PEG)部分またはその部分を含む、必要に応じて置換されているC
1~50ヘテロアルキルである。例えば、L
3は、下に示されるようなPEG3を含む:
【化14】
【0224】
一部の実施形態では、L3は、(CH2CH2O)m(CH2)wであり、mおよびwは、各々独立して、0~10の間(両端を含めて)の整数であり、mおよびwの少なくとも一方は、0でない。
【0225】
一部の実施形態では、L3は、置換C1~C50アルキルまたは置換C1~C50ヘテロアルキルであり、置換基は、ヘテロアリール基(例えば、6員窒素含有ヘテロアリール)を含む。
【0226】
一部の実施形態では、Z1は、CH2、C=O、またはNR1であり、R1は、H、必要に応じて置換されているC1~C6アルキル、必要に応じて置換されているC1~C6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである。
【0227】
ある特定の実施形態では、A-L
1-(L
2)
n-Bは、以下の構造により表され得る:
【化15】
【0228】
(式中、Y1は、-CH2OCH2(L2)n-B、C=O(L2)n-B、またはC=S(L2)n-Bであり、Y2は、-CH2CO2Hであるか;またはY1は、Hであり、Y2は、L1-(L2)n-Bである)。
架橋基
【0229】
一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、キレートとリンカーと架橋基とを含む二官能性キレートを使用して合成される。化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)が形成されてしまえば、架橋基は、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)に非存在であってもよい。
【0230】
一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、標的化部分の代わりにまたはそれに加えて架橋基を含む(例えば、一部の実施形態では、式I中のBは、架橋基を含む)。
【0231】
架橋基は、共有結合により2つまたはそれより多くの分子を連結させることができる反応性基である。架橋基を使用して、リンカーおよびキレート部分を治療用または標的化部分に結合させることができる。架橋基を使用して、リンカーおよびキレート部分をin vivoで標的に結合させることもできる。一部の実施形態では、架橋基は、アミノ反応性、メチオニン反応性もしくはチオール反応性架橋基であり、またはソルターゼ認識配列を含む。一部の実施形態では、アミノ反応性またはチオール反応性架橋基は、活性化エステル、例えば、ヒドロキシスクシンイミドエステル、2,3,5,6-テトラフルオロフェノールエステル、4-ニトロフェノールエステルもしくはイミデート、無水物、チオール、ジスルフィド、マレイミド、アジド、アルキン、歪みアルキン、歪みアルケン、ハロゲン、スルホネート、ハロアセチル、アミン、ヒドラジド、ジアジリン、ホスフィン、テトラジン、イソチオシアネート、またはオキサジリジンを含む。一部の実施形態では、ソルターゼ認識配列は、末端グリシン-グリシン-グリシン(GGG)および/またはLPTXGアミノ酸配列(Xは、任意のアミノ酸である)を構成し得る。架橋基の使用が、本明細書で開示される特定の構築物に限定されず、むしろ他の公知の架橋基を含み得ることは、当業者には理解される。
医薬組成物
【0232】
一態様では、本開示は、本明細書で開示される化合物を含む医薬組成物を提供する。そのような医薬組成物を様々な薬物送達系における使用のために製剤化することができる。1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤または担体も、適切な製剤化のために医薬組成物に含めることができる。本開示での使用に適合する好適な製剤化の非限定的な例としては、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company,Philadelphia, PA, 17th ed., 1985に記載されているものが挙げられる。薬物送達のための方法の簡潔な総説については、例えば、Langer(Science. 249:1527-1533, 1990)を参照されたい。
【0233】
医薬組成物を、本明細書で論じられる様々な投与経路のいずれかのために製剤化することができ(例えば、本明細書における「投与および投与量」サブセクションを参照されたい)、デポ注射または侵食性の移植片もしくは構成成分などによる徐放性投与が企図される。したがって、本開示は、許容される担体、好ましくは、水性担体、例えば、数ある中でも特に、水、緩衝水、食塩水、またはPBSに溶解または懸濁された、本明細書で開示される薬剤(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、生理条件に近づけるための薬学的に許容される補助物質、例えば、数ある中でも特に、pH調整剤および緩衝剤、張度調整剤、湿潤剤、または界面活性物質を含有する。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口送達用に製剤化され、錠剤またはカプセル剤などの単位剤形の製剤化のために結合剤またはフィラーなどの不活性成分を必要に応じて含有し得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、局所投与用に製剤化され、クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤または点眼剤の製剤化のために溶媒または乳化剤などの不活性成分を必要に応じて含有し得る。
【0234】
一部の実施形態では、提供される医薬組成物は、従来の滅菌技術により滅菌される、例えば、滅菌濾過され得る。得られた水性液剤を使用のためにそのまま包装してもよく、または凍結乾燥させてもよい。凍結乾燥調製物は、例えば、投与の前に滅菌水性担体と合わせることができる。調製物のpHは、典型的には、3~11の間、より好ましくは、5~9の間または6~8の間、最も好ましくは、6~7の間、例えば、6~6.5である。固体形態で得られた組成物を、例えば、各々が固定量の上述の薬剤(単数または複数)を含有する複数の単回投与単位に、例えば、錠剤またはカプセル剤の密封パッケージに、包装することができる。固体形態の医薬組成物を、柔軟な数量について容器に、例えば、外用に適用可能なクリーム剤または軟膏剤用に設計された圧縮可能なチューブに、包装することもできる。
処置方法
【0235】
一態様では、本開示は、それを必要とする対象に本明細書で開示される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)を投与するステップを含む、処置方法を提供する。
対象
【0236】
一部の開示される方法では、治療(例えば、治療剤を含む)が対象に投与される。一部の実施形態では、対象は、哺乳動物、例えば、ヒトである。
【0237】
一部の実施形態では、対象は、がんを有するか、またはがんを発症するリスクがある。例えば、対象は、がんと診断されたことがあり得る。例えば、がんは、原発性がんまたは転移がんであり得る。対象は、リンパ節病変があるまたはない、および転移があるまたはない、がんの任意のステージ、例えば、ステージI、ステージII、ステージIIIまたはステージIVを有し得る。提供される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)および組成物は、がんのさらなる成長を予防することもしくは低減させることができ、および/またはがんを別様に回復させる(例えば、転移を予防するまたは低減させる)ことができる。一部の実施形態では、対象は、がんを有するのではなく、例えば、1つまたは複数のリスク因子、例えば、環境曝露、1つまたは複数の遺伝的変異またはバリアントの存在、家族歴などの存在のため、がんを発症するリスクがあると判定されたことがある。一部の実施形態では、対象は、がんと診断されたことがない。
【0238】
一部の実施形態では、がんは、EGFRvIIIを発現する細胞を含む任意のがんである。ある特定の実施形態では、がんは、多形性神経膠芽種または癌である。
投与および投与量
【0239】
本明細書で開示される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)およびその医薬組成物は、全身および局所投与経路を含む、様々な投与経路のいずれかにより投与され得る。
【0240】
全身投与経路は、非経口経路および経腸経路を含む。一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)またはその医薬組成物は、非経口経路により投与され、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、頭蓋内または皮内投与される。一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)またはその医薬組成物は、静脈内投与される。一部の実施形態では、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)またはその医薬組成物は、経腸投与経路により投与され、例えば、経消化管または経口投与される。
【0241】
局所投与経路は、腫瘍周囲注射および腫瘍内注射を含むが、これらに限定されない。
【0242】
医薬組成物は、放射線処置計画、診断的および/または治療的処置のために投与され得る。放射線処置計画または診断を目的として投与されるとき、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、診断有効線量、および/または治療有効線量を決定するために有効な量で、対象に投与され得る。治療への応用の場合、医薬組成物は、状態(例えば、がん)に既に罹患している対象(例えば、ヒト)に、障害およびその合併症の症状を治癒させるのにまたは少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で投与され得る。この目的を果たすのに適切な量は、疾患または医学的状態に関連する少なくとも1つの症状を実質的に改善するのに十分な化合物の量である、「治療有効量」として定義される。例えば、がんの処置の場合、疾患または状態の任意の症状を減少、予防、遅延、抑制または抑止する薬剤または化合物は、治療上有効であろう。薬剤または化合物の治療有効量は、疾患または状態を治癒させる必要はなく、例えば、疾患もしくは状態の開始を遅延させる、妨げるもしくは予防するような、疾患もしくは状態の症状を回復させるような、または疾患もしくは状態の期間を変化させるような、疾患または状態の処置を提供し得る。例えば、疾患または状態の重症度が低下することになり得、および/または回復が個体において加速される。一部の実施形態では、対象に、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)または組成物の第1の線量が放射線処置計画に有効な量で投与され、次いで、化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)または組成物の第2の線量または線量のセットが治療有効量で投与される。
【0243】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防するために、方法は、それを必要とする対象(例えば、ヒト)に、上で提供された化合物または組成物の第1の線量を放射線処置計画に有効な量で投与するステップ、続いて、上で提供された化合物または組成物の後続の線量を治療有効量で投与するステップを、典型的に含む。
【0244】
一部の実施形態では、第1の線量で投与される化合物または組成物、および第2の線量で投与される化合物または組成物は、同じである。
【0245】
一部の実施形態では、第1の線量で投与される化合物または組成物、および第2の線量で投与される化合物または組成物は、異なる。
【0246】
治療有効量は、疾患または状態の重症度、および対象の他の特徴(例えば、体重)に依存し得る。対象(例えば、哺乳動物、例えばヒト)への開示される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)および組成物の治療有効量は、当業者によって個体差(例えば、対象の年齢、体重および状態の差)を考慮して決定され得る。
【0247】
一部の実施形態では、開示される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)は、がん細胞を標的とする能力の増強を呈する。一部の実施形態では、開示される化合物(例えば、ラジオイムノコンジュゲート)の有効量は、コンジュゲートされていないおよび/または放射標識されていない標的化部分についての治療効果のための等価線量未満である(例えば、等価線量の約90%、75%、50%、40%、30%、20%、15%、12%、10%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、もしくは0.1%未満であるかまたは前記%に等しい)。
【0248】
有効量を含む本明細書で開示される化合物または医薬組成物の単回または複数回投与は、処置する医師により選択される線量レベルおよびパターンで実行され得る。線量および投与スケジュールは、臨床医により一般に実施される方法または本明細書に記載される方法に従って処置の過程全体を通してモニターされ得る、対象の疾患または状態の重症度に基づいて、決定および調整され得る。
他の薬剤
一部の実施形態では、開示される方法は、抗増殖剤、放射線増感剤、または免疫調節剤もしくは免疫調節性剤を投与するステップをさらに含む。
本明細書において同義で使用される、「抗増殖性の」または「抗増殖剤」とは、表2に収載される抗増殖剤を含む任意の抗がん剤を意味し、これらのいずれかを、本明細書に記載のラジオイムノコンジュゲートと組み合わせて使用して状態または障害を処置することができる。本開示の方法において使用される例示的な抗増殖剤は、テモゾロミド(TMZ)であり、これを、外部照射放射線の存在または非存在下で、上で示されたラジオイムノコンジュゲートと組み合わせて投与することができる。抗増殖剤は、有機白金誘導体、ナフトキノンおよびベンゾキノン誘導体、クリソファン酸およびそのアントラキノン(anthroquinone)誘導体も含む。
本明細書において同義で使用される、「免疫調節剤」または「免疫調節性剤」は、表2に収載されるものを含む任意の免疫調節物質を意味し、これらのいずれかをラジオイムノコンジュゲートと組み合わせて使用することができる。
本明細書で使用される場合、「放射線増感剤」は、放射線治療へのがん細胞の感度を増加させる任意の薬剤を含む。放射線増感剤としては、5-フルオロウラシル、白金アナログ(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、ゲムシタビン、EGFRアンタゴニスト(例えば、セツキシマブ、ゲフィチニブ)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、COX-2阻害剤、bFGFアンタゴニスト、およびVEGFアンタゴニストが挙げられるが、これらに限定されない。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【0249】
以下の具体的な例は、単に説明に役立つものと解釈すべきであり、いかなる点においても決して本開示の残部を制限するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0250】
(実施例1)
一般的な材料および方法
ルテチウム-177は、ITM Medical Isotopesから0.05N塩酸溶液中の三塩化ルテチウムとして入手することができ、インジウム-111は、0.05N塩酸溶液中の三塩化インジウムとしてBWXTから入手することができ、アクチニウム-225は、オークリッジ国立研究所(Oak Ridge National Laboratories)から三硝酸アクチニウム-225として入手することができる。
【0251】
分析用HPLC-MSは、Waters Acquity Binary Solvent Managerと、Waters Acquity Sample Manager(10℃に冷却した試料)と、Water Acquity Column Manager(カラム温度30℃)と、Waters Acquity Photodiode Array Detector(254nmおよび214nmでモニターする)と、エレクトロスプレーイオン化を用いるWaters Acquity TQDと、Waters Acquity BEH C18、2.1×50(1.7μm)カラムとで構成されている、Waters Acquity HPLC-MSシステムを使用して行うことができる。分取HPLCは、Waters 1525 Binary HPLCポンプと、Waters 2489 UV/Visible Detector(254nmおよび214nmでモニターする)と、Waters XBridge Prep phenylまたはC18 19×100mm(5μm)カラムとで構成されている、Waters HPLCシステムを使用して行うことができる。
【0252】
HPLC溶離方法1:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=0.3mL/分;最初=90%A、3~3.5分=0%A、4分=90%A、5分=90%A。
【0253】
HPLC溶離方法2:Waters XBridge Prep Phenyl 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=80%A、13分=0%A。
【0254】
HPLC溶離方法3:Waters Acquity BEH C18 2.1×50mm(1.7μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=0.3mL/分;最初=90%A、8分=0%A、10分=0%A、11分=90%A、12分=90%A。
【0255】
HPLC溶離方法4:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=80%A、3分=80%A、13分=20%A、18分=0%A。
【0256】
HPLC溶離方法5:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=90%A、3分=90%A、13分=0%A、20分=0%A。
【0257】
HPLC溶離方法6:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=75%A、13分=0%A、15分=0%A。
【0258】
HPLC溶離方法7:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=80%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0259】
HPLC溶離方法8:Waters XBridge Prep C18 OBD 19×100mm(5μm)カラム;移動相A:H2O(0.1% v/v TFA);移動相B:アセトニトリル(0.1% v/v TFA);流速=10mL/分;最初=90%A、12分=0%A、15分=0%A。
【0260】
分析用サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、Waters 1525 Binary HPLCポンプと、Waters 2489 UV/Visible Detector(280nmでモニターする)と、Bioscan Flow Count放射線検出器(FC-3300)と、TOSOH TSKgel G3000SWxl、7.8×300mmカラムとで構成されている、Watersシステムを使用して行うことができる。アイソクラティックSEC法は、0.1Mリン酸塩、0.6M NaCl、0.025%アジ化ナトリウム、pH=7の移動相で、例えばmL/分の、流速を有し得る。
【0261】
MALDI-MS(陽イオン)は、MALDI Bruker Ultraflextreme Spectrometerを使用して行うことができる。
【0262】
ラジオ薄層クロマトグラフィー(ラジオTLC)は、Bioscan AR-2000 Imaging Scannerで行うことができ、クエン酸緩衝液(0.1M、pH5.5)を使用してiTLC-SGガラスマイクロファイバークロマトグラフィーペーパー(Agilent Technologies、SGI0001)プレートを用いて実行することができる。
【0263】
ある特定のEGFRvIIIモノクローナル抗体の生成および評価については、WO2020191485A1(これは、その全体が参照により組み込まれる)を参照することができる。
(実施例2)
4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)の合成
【0264】
二官能性キレートである4-{[11-オキソ-11-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)ウンデシル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物B)は、
図2で提供するスキームに従って合成することができる。ACN(2.0mL)中の5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA-(tBu)
4、50mg、0.07mmol)の溶液に、DSC(50mg、0.21mmol)、続いてピリジン(0.20mL、2.48mmol)を添加する。反応物を室温で1時間撹拌する。反応混合物に、室温で、11-アミノウンデカン酸(70mg、0.36mmol)、続いてPBS溶液(1.0mL)を添加する。反応物を72時間、室温で撹拌する。反応混合物をシリンジフィルターで濾過し、方法6を使用するPrep-HPLCにより直接精製して中間体2-Aを得る。
【0265】
ACN(1.0mL)中の中間体2-A(40mg、0.03mmol)、TFP(90mg、0.54mmol)およびEDC(40mg、0.27mmol)の溶液に、室温で、ピリジン(0.05mL、50mg、0.62mmol)を添加する。溶液を室温で24時間撹拌する。反応物を、方法7を使用するPrep-HPLCにより直接精製して、Biotage V10 Rapid Evaporatorを使用する濃縮後に蝋として中間体2-Bを得る。
【0266】
中間体2-BをDCM/TFA(1.0mL/2.0mL)に溶解し、室温で24時間、撹拌させておく。反応物を空気流により濃縮し、方法8を使用するPrep-HPLCにより直接精製して、濃縮後に透明な蝋として化合物Bを得る。アリコートをHPLC-MS溶離方法3により分析する。
【0267】
1H NMR(600 MHz, DMSO-d6) δ 7.99 - 7.88 (m, 1H), 7.82 (t, J = 5.5 Hz, 1H),3.78 (広幅s, 4H), 3.43 (広幅s, 12H), 3.08 (広幅s, 4H), 3.00 (m, 3H), 2.93 (広幅s, 3H),2.77 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.30 (広幅s, 2H), 1.88 (広幅s, 2H), 1.66 (p, J = 7.3 Hz,2H), 1.36 (m, 4H), 1.32 - 1.20 (m, 9H).
(実施例3)
4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)の合成
【0268】
二官能性キレートである4-{[2-(2-{2-[3-オキソ-3-(2,3,5,6-テトラフルオロフェノキシ)プロポキシ]エトキシ}エトキシ)エチル]カルバモイル}-2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]ブタン酸(化合物C)を、
図3で提供するスキームに従って合成する。
【0269】
ACN(8.0mL)中の5-(tert-ブトキシ)-5-オキソ-4-(4,7,10-トリス(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)ペンタン酸(DOTA-GA(tBu)4、100mg、0.143mmol)の溶液に、DSC(73mg、0.285mmol)およびピリジン(0.80mL、9.89mmol)を添加する。反応混合物を90分間、周囲温度で撹拌する。この溶液を100mL丸底フラスコ内のアミノ-PEG3-酸の半溶液(1.2mLのDMF中の63mg、0.285mmol)に添加する。周囲温度で4時間後、空気流下での濃縮乾固により反応物を完成させる。粗製材料をHPLC溶離方法2(6mLの20%ACN/H2Oに粗製物を溶解して)により精製する。生成物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮し、次いでACN(3×2mL)と共蒸発させる。
【0270】
中間体1-A(82mg、60μmol)が入っているバイアルに、ACN(2mL)、NEt3(50μL、360μmol、6当量)、HBTU(23mg、60μmol、1当量)およびTFP溶液(250μLのACNに溶解した50mg、300μmol、5当量)を添加する。得られた透明溶液を周囲温度で3時間撹拌する。空気流下で溶液を濃縮乾固させることにより反応物を完成させ、次いで、ACN/H2O(1:1、合計3mL)で希釈し、溶離方法4を使用する分取HPLCを用いて精製する。生成物を含有する画分をプールし、真空下で濃縮し、次いでACN(3×2mL)と共蒸発させる。中間体1-Bを透明な残留物として得る。
【0271】
中間体1-B(67mg、64μmol)が入っているバイアルに、DCM(2mL)およびTFA(2mL)を添加する。得られた溶液を周囲温度で16時間撹拌する。追加のTFA(2mL)を添加し、反応物を周囲温度で6時間撹拌する。反応物を空気流下で濃縮乾固させ、最後に粗製生成物をACN/H2O(1mLの10%ACN/H2O)に溶解する。次いで、粗製反応溶液を、溶離方法5を使用する分取HPLCにより精製する。生成物を含有する画分をプールし、凍結させ、凍結乾燥させる。化合物Cを白色固体として得る。アリコートをHPLC-MS溶離方法3により分析する。
【0272】
1H NMR(DMSO-d6, 600 MHz) δ 7.97-7.91 (m, 2H), 3.77 (t, 2H, J = 6.0 Hz),3.58-3.55 (m, 2H), 3.53-3.48 (m, 8H), 3.44-3.38 (m, 10H), 3.23-3.08 (m, 11H),3.02 (t, 2H, J = 6.0 Hz), 2.93 (広幅s, 4H), 2.30 (広幅s, 2H), 1.87 (広幅s, 2H).
(実施例4)
[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲート(コンジュゲートAおよびコンジュゲートB)の合成ためのコンジュゲーションおよび放射標識
【0273】
117Lu放射標識化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートを次のように調製することができる:化合物C(1.4μmol)を塩酸溶液(0.001M)に溶解する。化合物C溶液のアリコート(19μL、90nmol)を、炭酸緩衝液(pH9.5)中の抗EGFRvIII抗体(1.8nmol)を含有する溶液に添加する。周囲温度で1時間後、得られたイムノコンジュゲートをSephadex G-50樹脂充填カラムによって精製する。イムノコンジュゲート化合物C-抗EGFRvIIIを酢酸緩衝液(pH6.5)によってカラムから溶出させる。溶出物の実体を、例えば、MALDI-TOFにより確認することができ、この場合、3~4である典型的なキレートの抗体に対する比(CAR)が得られる。
【0274】
177Lu(1.6mCi、3.9μL)を化合物C-抗EGFRvIIIの溶液(酢酸緩衝液(pH6.5)中の150μg)に添加する。周囲温度で40分後、粗製生成物である[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIを、酢酸緩衝液で溶出するSephadex G-50樹脂充填カラムによって精製する。
【0275】
2つの[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわち、コンジュゲートAおよびBを、2つの抗EGFRvIII抗体を使用して調製した。より具体的には、コンジュゲートAは、配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域と配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域とを含むEGFRvIII抗体hH2-hL3を使用して調製し、コンジュゲートBは、配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域と配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域とを含むEGFRvIII抗体hH3-hL1を使用して調製した。化学的純度>99%、放射化学的純度>99%、および7~10mCi/mgの間の比活性を有する、コンジュゲートAおよびBを、調製した。
(実施例5)
[111In]-および[225Ac]-ラジオイムノコンジュゲートの放射性合成
ラジオイムノコンジュゲート[111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの放射性合成
【0276】
1.5mLエッペンドルフ管に、化合物C-抗EGFRvIIIイムノコンジュゲートのSABST溶液(0.0492mLの3.05mg/mL、すなわち、0.150mg;上の実施例4で説明したものに類似したプロトコールに従ってEGFRvIII抗体hH3-hL1から調製した)と、2.0mg/mLの溶液を作製するための追加のSABSTと、[111In]Cl3(2.0mCi)の0.05±0.01M HCl溶液とを充填した。37℃で60分後、反応混合物のラジオTLC分析(iTLC-SGプレート、移動相として0.02Mクエン酸緩衝液中の5%メタノール)は、97%の放射化学変換(RCC)を示した。精製は、Sephadex G50樹脂(SABSTで水和した)を充填した1mLカラムを使用して実行した。生成物画分を、SABSTを使用して溶出させ、合わせた。L-アスコルビン酸ナトリウムおよびジエチレントリアミン五酢酸カルシウム三ナトリウム塩水和物(DTPA)のSABST溶液を添加して、10mMアスコルベートおよび1mM DTPAの最終製剤を得た。合成終了(EOS)時のラジオTLCおよびSEC-HPLCによる得られた製剤の分析は、[111In]-化合物C-抗EGFRvIII(364μL、0.299mg/mL、8.9mCi/mgの比活性、99%放射化学純度、および>95%化学純度)の形成を示した。
ラジオイムノコンジュゲート[111In]-化合物C-IgG4の放射性合成
【0277】
1.5mLエッペンドルフ管に、化合物C-IgG4イムノコンジュゲートのSABST溶液(0.0318mLの4.72mg/mL、すなわち、0.150mg;上の実施例4で説明したものに類似したプロトコールに従ってアイソタイプIgG4抗体S228P(Bio X Cellから購入したもの、カタログ番号BE0349-5MG-R)から調製した)と、2.0mg/mLの溶液を作製するための追加のSABSTと、[111In]Cl3(2.25mCi)の0.05±0.01M HCl溶液とを充填した。室温で60分後、反応混合物のラジオTLC分析(iTLC-SGプレート、移動相として0.02Mクエン酸緩衝液中の5%メタノール)は、99%の放射化学変換(RCC)を示した。精製は、Sephadex G50樹脂(SABSTで水和した)を充填した1mLカラムを使用して実行した。生成物画分を、SABSTを使用して溶出させ、合わせた。L-アスコルビン酸ナトリウムおよびジエチレントリアミン五酢酸カルシウム三ナトリウム塩水和物(DTPA)のSABST溶液を添加して、10mMアスコルベートおよび1mM DTPAの最終製剤を得た。合成終了(EOS)時のラジオTLCおよびSEC-HPLCによる得られた製剤の分析は、[111In]-化合物C-IgG4(364μL、0.362mg/mL、9.3mCi/mgの比活性、99%放射化学純度、および>95%化学純度)の形成を示した。
ラジオイムノコンジュゲート[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの放射性合成
【0278】
1.5mLエッペンドルフ管に、化合物C-抗EGFRvIIIイムノコンジュゲートのSABST溶液(0.0656mLの3.05mg/mL、すなわち、0.200mg;上の実施例4におけるプロトコールに従って抗EGFRvIII抗体hH3-hL1から調製した)と、2.0mg/mLの溶液を作製するための追加のSABSTと、[225Ac]Cl3(10.9μCi)の0.001M HCl溶液とを充填した。37℃で2時間後、反応混合物のラジオTLC分析(iTLC-SGプレート、移動相として0.02Mクエン酸緩衝液中の5%メタノール)は、99%の放射化学変換(RCC)を示した(翌日、プレートをラジオTLCスキャナーでスキャンした)。精製は、Sephadex G50樹脂(SABSTで水和した)を充填した1mLカラムを使用して実行した。生成物画分を、SABSTを使用して溶出させ、合わせた。L-アスコルビン酸ナトリウムおよびジエチレントリアミン五酢酸カルシウム三ナトリウム塩水和物(DTPA)のSABST溶液を添加して、10mMアスコルベートおよび1mM DTPAの最終製剤を得た。合成終了(EOS)時のラジオTLCおよびSEC-HPLCによる得られた製剤の分析は、[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII(461μL、0.406mg/mL、0.0454mCi/mgの比活性、99%放射化学純度、および>95%化学純度)の形成を示した。
ラジオイムノコンジュゲート[225Ac]-化合物C-IgG4の放射性合成
【0279】
1.5mLエッペンドルフ管に、IgG4イムノコンジュゲートのSABST溶液(0.0847mLの4.72mg/mL、すなわち、0.400mg;上の実施例4で説明したものに類似したプロトコールに従ってアイソタイプIgG4抗体S228Pから調製した)と、2.0mg/mLの溶液を作製するための追加のSABSTと、[225Ac]Cl3(21.1μCi)の0.001M HCl溶液とを充填した。37℃で2時間後、反応混合物のラジオTLC分析(iTLC-SGプレート、移動相として0.02Mクエン酸緩衝液中の5%メタノール)は、68%の放射化学変換(RCC)を示した(翌日、プレートをラジオTLCスキャナーでスキャンした)。精製は、Sephadex G50樹脂(SABSTで水和した)を充填した1mLカラムを使用して実行した。生成物画分を、SABSTを使用して溶出させ、合わせた。L-アスコルビン酸ナトリウムおよびジエチレントリアミン五酢酸カルシウム三ナトリウム塩水和物(DTPA)のSABST溶液を添加して、10mMアスコルベートおよび1mM DTPAの最終製剤を得た。合成終了(EOS)時のラジオTLCおよびSEC-HPLCによる得られた製剤の分析は、[225Ac]-化合物C-IgG4(463μL、0.773mg/mL、0.0427mCi/mgの比活性、99%放射化学純度、および95%化学純度)の形成を示した。
(実施例6)
[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートのin vitro結合
【0280】
EGFRvIIIを過剰発現するU87-EGFRvIII神経膠芽腫細胞系(カナダ国立研究機構(National Research Council of Canada)から入手した)と[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわちコンジュゲートAおよびB、の受容体結合親和性を評価するための研究を行った。
【0281】
この研究で使用した材料を下の表3に要約する。
表3. 材料
【表3-1】
【表3-2】
緩衝液:
1.細胞溶解物緩衝液を、1%Triton(登録商標) X-100を含有するPBSを使用して調製した。
2.細胞結合緩衝液を、0.5%BSAを含有するPBSを使用して調製した。
【0282】
この研究は、下記の手順に従った:
1.細胞調製:
a.付着細胞を収集する:トリプシン/EDTAを使用してT225フラスコから十分なU87-EGFRvIII細胞を回収し、50ml培養管に移す。再懸濁細胞の50μl試料をエッペンドルフ微小管に分注し、50μlのトリパンブルーで希釈する。血球計数器(10μl)チャンバーを満たし、存在する細胞の数を計数する。
i.計数エリアの4象限における細胞を計数する。
ii.細胞/mLを算出する:計数値/4象限×希釈倍率×104=細胞/mL。
b.細胞を培地に再懸濁させて3×105細胞/mlの最終濃度にする。
c.3×105細胞/1mLのU87-EGFRvIIIを24ウェルプレートの指定ウェルに蒔き、穏やかにタッピングして細胞を均等に分布させる(合計6つのプレートを用意した-4つのU87-EGFRvIII、2つのブランク)
d.プレートを一晩、37℃および5%CO2でインキュベートする。
2.結合アッセイ:
遮断剤を次のように調製した:4μMの濃度の場合、4500μl;ブロッカーの最終濃度2μM。
コンジュゲートAについて
○ストック=7.58mg/mL
○mg/ml=52.64μM、342μlを添加する
○結合緩衝液:4158μl
コンジュゲートBについて
○ストック=6.7mg/mL
○mg/ml=46.53μM、387μlを添加する
○結合緩衝液:4113μl
a.2つのプレートから培地を除去する
b.プレートを1mLのPBSで1回、洗浄する
c.200μlの結合緩衝液をTBウェルおよびブランクウェルに添加する
d.200μlの遮断剤をNSBウェルに添加し、1時間、氷上でインキュベートする
ホット物品調製:
i.結合緩衝液を使用してストック溶液(0.390mg/ml=2.71μM)から4000μlの160nMコンジュゲートA(管1)を調製する
○コンジュゲートA:236.2μl
○結合緩衝液:3763.8μl
○管1の2×希釈(合計8つの希釈物)
ii.結合緩衝液を使用してストック溶液(0.341mg/ml=2.37μM)から4000μlの160nMコンジュゲートB(管1)を調製する
○コンジュゲートB:270μl
○結合緩衝液:3730μl
○管1の2×希釈(合計8つの希釈物)
e.200μlの様々な濃度のコンジュゲートAまたはコンジュゲートB(合計8濃度)をTB、NSBおよびブランクウェルに添加する
f.2時間、氷上でインキュベートする
g.160、80、40および20nM濃度の標準物質を調製する-200μLのストック溶液(二連で、管1、2、3、4)を別のガンマ計数管に添加する
h.プレートをタッピングしてプレートから細胞を外し、プレートの各ウェル内の細胞を再懸濁させる
i.結合溶液および細胞を各ウェルから1.5mL管に移す
j.1mLの冷PBSでプレートを洗浄し、管に移す
k.最大速度で15秒間、回転させる
l.溶液を吸引し、1mLの冷1×PBSを管に添加する
m.合計(2回の)PBS洗浄のために洗浄を繰り返す
n.遠心分離し、吸引する
o.細胞を300μlの1%Triton(登録商標) X-100で溶解する。管を30秒間、室温で、穏やかに揺動しながらインキュベートする
p.250μlの溶解細胞を指定のガンマ計数管に移す
q.線量キャリブレーターで標準物質を計数する
r.ガンマカウンターで試料および標準物質を計数する
s.残りの溶解物(25μL)を使用してタンパク質濃度を決定する(BCAアッセイ)
t.GraphPad Prismソフトウェアを使用してKdを算出する。1部位結合モデルで非線形曲線フィッティングを使用して直接結合曲線を分析する。
【0283】
in vitro結合研究からの結果を
図5Aおよび5Bに示す。2つのEGFRvIIIラジオイムノコンジュゲート、すなわち、コンジュゲートAおよびBは、それぞれ、6.78nMおよび2.75nMの高い結合親和性を呈することが、観察された。
(実施例7)
[
177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートの内部移行評価
【0284】
下記のプロトコールに従って、EGFRvIIIを過剰発現するU87-EGFRvIII神経膠芽腫細胞系(カナダ国立研究機構から入手した)を用いて[177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわちコンジュゲートAおよびB、の内部移行を評価するための研究を行った。
【0285】
この研究の主目的は、1)細胞表面および細胞内の放射標識被験物品、すなわちEGFRvIIIラジオイムノコンジュゲート、の量を定量的に測定すること;および2)培地中で回収される、細胞内に保持される、または再循環されて細胞表面に戻る、内部移行被験物品の量を決定することである。
【0286】
この研究で使用した材料を下の表4に要約する。
表4. 材料
【表4-1】
【表4-2】
緩衝液:
3.弱酸洗浄緩衝液(pH4.6)を、150mM NaCl、1mM CaCl
2、および20mM NaAcを用いて調製した。
4.酸洗浄緩衝液(pH2.5)を、500mM NaClおよび200mM NaAcを用いて調製した。
5.細胞溶解物緩衝液Triton(登録商標)を、1.0%Triton(登録商標) X-100を用いて調製した。
【0287】
この研究は、下記の手順に従った:
1.細胞調製:
a.アッセイ開始の16~24時間前に、U87-EGFRvIII細胞を収集する:T75に細胞からの培地を除去し、PBSで洗浄し、細胞を1mLの成長培地に、懸濁液を上下にピペッティングすることによって、再懸濁させる。血球計数器(10μL)チャンバーを満たし、存在する細胞の数を計数する。
b.細胞を培地に再懸濁させて3×105細胞/mlの最終濃度にする。
c.3×105細胞を24ウェルプレートの指定ウェルに蒔き、穏やかにタッピングして細胞を均等に分布させる。
d.1mL DMEM培地/ウェルを充填した3つのブランク(細胞なし)ウェルのプレートを作成する。
e.一晩、37℃および5%CO2でインキュベートする。
各抗体についてのプレート0時間、2時間、24時間(6プレート):
2.被験物品および標準物質の調製:
a.FBS不含の培地(DMEM)を使用してストック溶液から15mLの10nM(約2×Kd)放射標識被験物品を調製する:
コンジュゲートAストック=0.421mg/ml=2.8μM
15000uL×10nM=2.8μM(×μL)
53.6μLのコンジュゲートAストック抗体を15mL DMEM(FBS不含)へ
コンジュゲートBストック=0.448mg/ml=2.99μM
15000uL×10nM=2.99μM(×μL)
50.2μLのコンジュゲートBストック抗体を15mL DMEM(FBS不含)へ
b.管ごとに各々800μLの3つの標準物質アリコートを調製する(および翌日に線量キャリブレーターで読み取る)。
3.手順:
a.プレートから培地を除去する。
b.血清飢餓:FBS不含の1mLの新鮮培地を各ウェルに1時間、37℃で添加する。
c.プレートを1mLのPBS(滅菌したもの)で1回、洗浄する。
d.500μLの被験物品を全てのウェルに投入する。添加前15分未満に培地で被験物品を調製する。
e.プレートを2時間、37℃でインキュベートする。
f.インキュベーション後、直ちにインキュベーターからプレートを除去し、氷上に置く。
g.プレートを次のように処理する:
1)プレート2時間および24時間:
○事前にラベルを貼ったガンマ計数管(非結合)に培地を移す
○細胞を冷PBS(1mL)で1回洗浄し、非結合の管に添加する
○弱酸洗浄緩衝液(pH=4.6)(500μL)を全てのウェルに添加する
○15秒、4℃でインキュベートし、溶液を事前にラベルを貼ったガンマ計数管(膜結合)に取り出す
○1mLの加温培地を全てのウェルに添加し、プレートを37℃で、5%CO2で、指定時間(2時間および24時間)、インキュベートする
2)プレート0時間:
○事前にラベルを貼ったガンマ計数管(非結合)に培地を移す
○プレートを1mlの冷PBSで1回洗浄し、非結合の管に添加する
○500μLの強酸洗浄緩衝液(pH=2.5)をウェルに添加する
○5秒、氷上でインキュベートする
○酸洗浄緩衝液を事前にラベルを貼ったガンマ計数管(膜結合)に回収する
○細胞を300μLの1%Triton(登録商標) X-100緩衝液で30秒間、室温で、穏やかに振盪しながら溶解する
○250μLの溶解物を指定のガンマ計数管(内部移行)に移す
○翌日、ガンマカウンターを用いて試料および標準物質を計数する
h.インキュベーション後
1)プレート2時間および24時間:
○様々な時点でプレートを氷上に置くことによりインキュベーションを停止させる
○事前にラベルを貼ったガンマ計数管(排出)に培地を移す
○プレートを1mlの冷PBSで1回洗浄し、排出管に添加する
○500μLの強酸洗浄緩衝液(pH=2.5)をウェルに添加する
○5秒、氷上でインキュベートする
○酸洗浄緩衝液を事前にラベルを貼ったガンマ計数管(再循環)に回収する
○細胞を300μLの1%Triton(登録商標) X-100で30秒間、室温で、穏やかに振盪しながら溶解する
○250μLの溶解細胞を指定のガンマ計数管(保持)に移す
○翌日、ガンマカウンターを用いて試料および標準物質を計数する
4.分析
a.非結合、膜結合、内部移行、排出、再循環または保持被験物品のパーセンテージを状況に応じて算出する。
i.総活性算出:
・遊離(非結合;F)パーセント=CPM(非結合)/CPM(非結合+膜結合+内部移行)
・細胞会合パーセント=100-遊離パーセント
・内部移行パーセント=CPM(内部移行)/CPM(非結合+膜結合+内部移行)
ii.細胞会合活性の算出:
0時間プレート(t=0)について
・膜結合のパーセント=CPM(膜結合)/CPM(膜結合+内部移行)
・内部移行パーセント=CPM(内部移行)/CPM(膜結合+内部移行)
2、24時間プレートについて
・膜結合のパーセント(t=0における)=CPM(膜結合)/CPM(膜結合+排出+再循環+保持)
・内部移行パーセント(t=0における)=CPM(排出+再循環+保持)/CPM(膜結合+排出+再循環+保持)
iii.内部移行活性算出(t=2時間または24時間):
・排出パーセント=CPM(排出)/CPM(排出+再循環+保持)
・再循環パーセント=CPM(再循環)/CPM(排出+再循環+保持)
・保持パーセント=CPM(保持)/CPM(排出+再循環+保持)
b.標準物質を使用して、CPM(内部移行)およびCPM(保持)を体積(300/250)について調整する必要があり、24時間計数値を崩壊について調整する必要がある。
c.GraphPad Prism(登録商標)ソフトウェアを使用して、細胞に会合して内部移行した被験物品(ii;t=0)および保持被験物品(iii;t=2および24時間)パーセンテージをインキュベーション時間に対してプロットする。
【0288】
内部移行研究からの結果を
図6A~6Bおよび7A~7Cに示す。
図6Aおよび6Bに示されているように、コンジュゲートAおよびBの両方は、24時間の時点で約70%が膜に結合しており、約30%が内部移行しており、2つのコンジュゲートに有意差は無かった。
【0289】
図7A~7Cに示されているように、コンジュゲートAおよびBの両方は、同様の動態を示した。コンジュゲートAと比較して、コンジュゲートBのほうがわずかに高度な排出を有した(24時間の時点で42%対26%)。保持%は、24時間の時点でコンジュゲートA(66%)と比較してコンジュゲートB(51%)におけるほうがわずかに低くかった。これは、コンジュゲートBによるより高度な排出に起因すると考えられ得る。
(実施例8)
皮下U87-EGFRvIIIモデルにおける[
177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートのin vivo生体内分布
【0290】
U87-EGFRvIII細胞系異種移植マウスモデルを使用して、[177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIコンジュゲートのin vivo生体内分布を評価した。2つの[177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわち、コンジュゲートAおよびBを、化合物Cの純粋なRエナンチオマー(実施例4を参照されたい)、抗EGFRvIII抗体4E11の2つのヒト化バリアント、およびルテチウム-177を使用して合成した。
【0291】
担腫瘍動物の群に[177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIコンジュゲートを静脈内注射した。線量は、2μg(0.1mg/kg)の抗体で約9.6~9.8マイクロキューリー(μCi)/μgの活性を含有した。動物を注射後4時間、24時間、96時間および168時間の時点で安楽死させて、血液、心臓、腸、腎臓、肝臓、肺、脾臓、腫瘍、尿および尾における放射活性のレベルを決定した(1時点当たりn=3)。
【0292】
結果を組織のグラム当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/g)として表した。それらを、
図8Aおよび8Bに(それぞれ、コンジュゲートAおよびコンジュゲートBについて)描示する。両方のコンジュゲートは、168時間にわたっての血液からの放射活性のクリアランス、正常組織における[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIの低度の取込み、および腫瘍における[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIの高度な取込みを示した。優れた腫瘍への取込みが96時間の時点で両方のコンジュゲートについて実証された。例えば、コンジュゲートAおよびBは、皮下U87-EGFRvIIIモデルにおいて投与後96時間の時点で、それぞれ、約88.6±9.5%ID/gおよび約85.5±9.9%ID/gで、卓越した腫瘍への取込みを示した。
(実施例9)
U87-EGFRvIII-GFP-Luc同所性モデルにおける[
177Lu]-化合物C-抗EGFRvIIIコンジュゲートのin vivo生体内分布
【0293】
U87-EGFRvIII-GFP-Luc同所性モデルを使用して、放射標識抗EGFRvIIIコンジュゲート、すなわちコンジュゲートAおよびB、のin vivo生体内分布を評価した。
【0294】
担腫瘍動物の群に[177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIを静脈内注射した。線量は、2μg(0.1mg/kg)の抗体で約9.6~9.8マイクロキューリー(μCi)/μgの活性を含有した。動物を注射後96時間の時点で安楽死させて、血液、腫瘍、正常脳、脾臓、肝臓、腎臓および尾における放射活性のレベルを決定した(コンジュゲートAについて1時点当たりn=10、およびコンジュゲートBについて1時点当たりn=10)。
【0295】
結果を組織のグラム当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/g)として表した。それらを、
図9に描示する。両方のコンジュゲートは、96時間の時点で、[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIの良好な血液への取込み、正常組織における[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIの低度の取込み、および脳腫瘍における[
177Lu]-DOTA-抗EGFRvIIIの高度な取込みを示した。例えば、コンジュゲートAおよびBは、U87-EGFRvIII-GFP-Luc同所性モデルにおいて投与後96時間の時点で、それぞれ、約52.4±2.9%ID/gおよび約49.1±2.6%ID/gで、卓越した脳腫瘍への取込みを示した。高度な脳腫瘍への取込みは、良好な血液脳関門(BBB)浸透度を示し、漏出性の脈管構造に起因する可能性がある。
(実施例10)
同所性患者由来異種移植片(PDX)モデルにおける[
111In]-化合物C-抗EGFRvIIIおよび[
111In]-化合物C-IgG4のin vivo生体内分布
【0296】
[111In]-化合物C-抗EGFRvIII(上の実施例5を参照されたい)の標的特異性および腫瘍への取込みを、様々な程度の血液脳関門(BBB)透過性を有する同所性多形性神経膠芽種(GBM)PDXモデルを使用するイメージング生体内分布研究において、調査した。全てのGBM腫瘍は、疾患の特徴としてある程度のBBB透過性を有するが、これは、腫瘍間で、および同じ腫瘍内でも、相当異なり得る。抗体の大きいサイズ(約150kDa)は、抗体による無傷のBBBの横断の妨げになり、放射標識抗EGFRvIIIイムノコンジュゲートの静脈内投与は、GBM腫瘍への送達をBBB透過性に依存し得る。[111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの静脈内投与後の腫瘍への取込みの程度を特徴付けるために、イメージング生体内分布研究を、BBBが比較的無傷であるGBM PDXモデル(G06-GFP-Luc)およびBBBが完全に破壊された別のモデル(G39-GFP-Luc)において行った。加えて、標的特異性を検証するために、標的化されていない[111In]-化合物C-IgG4(上の実施例5を参照されたい)の生体内分布も比較のために評価した。
【0297】
同所性GBM PDX腫瘍を、7~8週齢雌Balb/c胸腺欠損ヌードマウスにおいて、3μLのPBS中の3×105個のG06-GFP-Lucまたは2.5×105個のG39-GFP-Luc細胞の頭蓋内注射により樹立した。細胞を、ブレグマから1mm後方、矢状縫合の1.5mm右側の右大脳半球に、2.5mmの深さで注射した。生体発光3D断層撮影(BLT)を頭蓋内注射の13日後に行って、腫瘍の存在を確認し、腫瘍体積を決定した。PBS中の150mg/kgのD-ルシフェリンをイメージングの15分前にマウスに腹腔内注射した。マウスをイソフルランで麻酔し、イメージング用ベッドに載せた。VECTor6CT SPECT/PET/CT/OIイメージングシステムの光イメージング(OI)モジュールを使用して画像を獲得し、MiLabs BLT Recon 1.0ソフトウェアを使用して再構築した。腫瘍体積を、Imalyticsソフトウェアおよび関心領域(ROI)解析を使用して定量した。マウスを、各群が腫瘍体積の比較的等しい分布を有するように、腫瘍体積に基づいてトリアージ方式で群に分類した。
【0298】
20mMクエン酸ナトリウムpH5.5、0.82%NaCl、0.01%Tween(登録商標) 80中で製剤化した100μCiの放射活性を含有する0.2mLの[111In]-化合物C-抗EGFRvIIIまたは[111In]-化合物C-IgG4(10.8~11.8μgの抗体)を、担腫瘍マウスに、外側尾静脈経由で静脈内注射した(マウスn=4/化合物)。BLTおよびSPECT/CTイメージングを、注射の96時間後に、VECTor6CT SPECT/PET/CT/OIイメージングシステムを使用して行って、組織生体内分布を決定した。MiLabs BLT Recon 1.0ソフトウェアを使用して画像を再構築し、PMODソフトウェアを使用して腫瘍/正常組織への取込みを決定した。取込みは、組織の立方センチメートル当たりの注射線量のパーセンテージ(%ID/cc)として算出した。
【0299】
BBBが破壊されたG39-GFP-Luc PDXモデルでは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIII生体内分布データは、96時間の時点で50.2±13.6%ID/ccという高度な腫瘍への取込みを実証した。それに対して、非標的化[
111In]-化合物C-IgG4は、96時間の時点で17.4±1.2%ID/ccの腫瘍への取込みを有した。これは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの腫瘍への取込みの大部分が標的特異的であることを確証する。重要なこととして、正常脳は、非常に低度の取込み(1.6~2.1%ID/cc)を示した。これは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの腫瘍への特異的取込みの証拠をさらに提供する(
図10Bおよび11D)。血液プールの大部分に相当する、肝臓および心臓などの高灌流臓器を除いて、評価した全ての他の正常な臓器は、取込み≦10%ID/ccを有した。
【0300】
BBBが比較的無傷であるG06-GFP-Luc PDXモデルでは、[
111In]-化合物C-抗EGFRvIII生体内分布データは、96時間の時点で10.4±1.6%ID/ccの腫瘍への取込みを実証したが、非標的化[
111In]-化合物C-IgG4は、96時間の時点で9.4±1.7%ID/ccの腫瘍への取込みを有した(
図11Bおよび11D)。これらの結果は、このモデルにおいて抗体が無傷のBBBを横断することができないことと一致している。血液プールの大部分に相当する、肝臓および心臓などの高灌流臓器を除いて、正常な組織への取込みは、腫瘍のもの(<10%ID/cc)と同様であった。
【0301】
イメージング生体内分布研究の結果は、[111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの取込みが高度に腫瘍特異的であり、正常組織におけるオフターゲット取込みが最小限であることを確証する。それは、取込みが無傷のBBBによって制限されるが、BBBが高度に破壊された腫瘍では[111In]-化合物C-抗EGFRvIIIの高度な腫瘍への取込みを静脈内投与によって達成することができることを、さらに実証した。
(実施例11)
同所性神経膠芽腫マウスモデルにおける[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの単一線量放射線治療の有効性
【0302】
[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII(上の実施例5を参照されたい)の単一線量放射線治療の有効性を、細胞系U87-EGFRvIII-GFP-Lucを用いて生成した同所性多形性神経膠芽種(GBM)モデル、または患者由来異種移植片(PDX)モデル、G06-GFP-Lucを使用して決定した。GBM細胞系とPDX細胞の両方に、in vivoおよびex vivoイメージングを目的として、緑色蛍光タンパク質(GFP)およびルシフェラーゼ(Luc)を発現するレンチウイルス粒子で形質導入した。GBM脳腫瘍を、7~8週齢雌Balb/c胸腺欠損ヌードマウスにおいて、3μLのPBS中の2×104個のU87-EGFRvIII-GFP-Luc細胞または3×105個のG06-GFP-Lucの頭蓋内注射により樹立した。細胞を、ブレグマから1mm後方、矢状縫合の1.5mm右側の右大脳半球に、2.5mmの深さで注射した。生体発光イメージング(BLI)を頭蓋内注射の8~10日後に行って、腫瘍の存在を確認し、腫瘍負荷を定量した。PBS中の150mg/kgのD-ルシフェリンをイメージングの15分前にマウスに腹腔内注射した。腫瘍の周囲の描画された関心領域(ROI)におけるBLIシグナルを定量し、エリア平均シグナル(area averaged signal)として表した。エリア平均シグナルは、腫瘍負荷の測定値に相当するものであり、マウスを、平均BLI腫瘍シグナルが群にわたって等しくなるように、トリアージ方式で群に分類した。
【0303】
頭蓋内注射の10~13日後、および腫瘍をイメージングにより検証した後、治療を開始した。20mMクエン酸ナトリウムpH5.5、0.82%NaCl、0.01%Tween(登録商標) 80中で製剤化した0.2mLの[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを、または対照マウスにはビヒクル単独を、外側尾静脈経由で担腫瘍マウスに静脈内(IV)注射した(n=5/群)。アクチニウム-225放射標識被験物品は、100~200nCiの活性(最大4μgの抗体タンパク質/線量)を含有した。マウスを、1週間に3回、体重測定し、脳腫瘍発達の兆候、例えば、前かがみの姿勢、嗜眠、発作、運動障害、麻痺、または拡大頭蓋について、毎日モニターした。U87-EGFRvIII-GFP-Luc細胞系モデルについては、BLIを使用して腫瘍負荷、および治療への応答を、経時的にモニターした。マウスを、1週間に1回、上で説明したようにイメージングし、BLIシグナルを、処置前のエリア平均腫瘍シグナルからの変化倍数としてプロットして治療応答を決定した。人道的エンドポイント(>20%体重減少、BC2)に達した場合、または脳腫瘍の兆候が発生した(上で説明したとおり)場合、動物を安楽死させた。全生存期間をカプラン-マイヤー生存曲線にプロットした。ログランク(マンテル-コックス)検定を使用して、群間の生存率を統計的に比較し、p値を決定した。モデル間の処置応答の解釈を容易にするために、所与の処置の生存利益を、処置を受けたマウスのビヒクル対照に対する生存期間中央値の比を決定することにより算出した。
【0304】
U87-EGFRvIII-GFP-Luc細胞系モデルにおける[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの放射線治療研究は、100nCiと200nCiの両方の線量で有意な治療有効性を実証した。BLI分析は、腫瘍成長がビヒクル対照群と比較して有意に抑制されることを明示した(
図12A)。200nCi線量群では、腫瘍は28日目までにほぼ完全な腫瘍抑制を示した。処置に応答しての腫瘍成長の抑制は、有意な生存利益をもらした。ビヒクル対照の生存期間中央値は、100nCi群での43日および200nCi群での55日に対して17日であった。これは、それぞれ、2.5および3.2の生存利益ということになる。生存率のこれらの差は、統計的に有意であった(p<0.05、マンテル-コックス検定)(
図12B;
図12C)。同様に、G06-GFP-Luc PDXモデルは、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIでの処置に応答して有意な生存利益を示した。ビヒクル対照群の生存期間中央値は26日であったが、100nCiおよび200nCi線量群は、それぞれ、39日および80日の生存期間中央値を有した。ビヒクル対照と比較して、200nCi線量群は、3.1という有意な生存利益を示したが、100nCi群は、1.5というより控えめな生存利益を示した(
図13Aおよび13B)。まとめると、これらの結果は、単一線量[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIが、複数の同所性GBM異種移植片モデルにおいて、線量依存的に腫瘍成長を有意に緩徐化し、生存期間を延長することを実証する。
(実施例12)
同所性神経膠芽腫マウスモデルにおける[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの分割複数回投与放射線治療の有効性
【0305】
[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの放射線治療の有効性を、同所性GBM患者由来異種移植片(PDX)モデルを使用して調べた。[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIまたは[225Ac]-化合物C-IgG4(上の実施例5を参照されたい)の複数の分割線量を単一線量投与と比較して、治療有効性を最大にするために最適な投与レジメンを決定した。投与スケジュールを除いては、研究を、単一線量放射線治療有効性研究について上で説明したように実行した。
【0306】
同所性G39-GFP-Luc腫瘍を担持するマウスに、[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを、100、200もしくは400nCiの単一線量、または次のように分割して400nCiの総累積放射化学線量で投与した:4週間にわたって毎週1回投与される100nCi(100nCi×4)もしくは2週間毎に投与される2回の200nCi(200nCi×2)。各線量は、8.6μgの抗体タンパク質を含有した。対照群に、200nCiもしくは400nCiどちらかの放射活性を含有する[225Ac]-化合物C-IgG4(9.4μg抗体タンパク質/線量)の単一線量またはビヒクル単独を投与した(マウスn=5/群)。
【0307】
生存分析は、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIでの処置に応答して生存期間の線量依存的増加を示した。400nCiの[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII単一線量群または分割線量群の生存利益は、400nCi単一線量、分割200nCi×2、および分割100nCi×4線量群についての、それぞれ3.1、3.2および3.1の生存利益比と同等であった。これらの結果は、有効性が投与スケジュールに関係なく総放射活性線量に関連していることを、さらに実証する。加えて、400nCiの単一線量[
225Ac]-化合物C-IgG4の生存利益は、有意に低かった(1.9)。これは、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの治療有効性の少なくとも一部が標的媒介性であることを確証する(
図14Aおよび14B)。
(実施例13)
標準治療との組合せでの[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの治療有効性
【0308】
GBM患者のための標準治療(SoC)は、最大の外科的切除、続いての、化学療法薬テモゾロミド(TMZ)との組合せでの外部照射放射線療法(EBRT)である。単剤と比較して、組み合わせたSocと[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの治療有効性を、同所性G06-GFP-Luc GBM PDXモデルを使用して試験した。上で説明したように、腫瘍を生着させ、BLTイメージングにより検証した。担腫瘍マウスを、ビヒクル単独、200nCi線量[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII、またはTMZ(25mg/kgを毎日、5日間、強制経口投与によって投与した)との組合せでの200nCi線量[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの、単一静脈内線量(0.2mL)で処置した。2つの追加の処置群(SoC単独、および組合せ群)には、1日1回、連続5日間、2GyのEBRTを、25mg/kgのテモゾロミド(毎日、5日間、EBRTの1時間前に強制経口投与によって投与した)と組み合わせて施した。次いで、組合せ群には、EBRT/TMZ処置の完了から6日後に200nCi[225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIの単一線量を施した(マウスn=5/群)。
【0309】
生存分析は、SoC単独(2Gy×5のEBRT+25mg/kgのTMZ)、200nCiの[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII、およびTMZとの組合せでの200nCiの[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIが全て、ビヒクル対照と比較して生存期間を有意に延長し、全てについておおよそ2の生存利益があることを実証した。しかし、SoC(2Gy×5のEBRT+25mg/kgのTMZ)に続いて200nCi[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIを用いる組み合わせた処置は、SoC単独、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII、またはTMZとの組合せでの[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIII(おおよそ2の生存利益)と比較して、生存期間の有意な延長(3.6の生存利益)をもたらした(
図15Aおよび15B)。これらの結果は、[
225Ac]-化合物C-抗EGFRvIIIとSoCの組み合わせた処置が、GBMについての従来のSoC単独処置と比較して有意な生存利益をもたらし得ることを示唆している。
他の実施形態
【0310】
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、さらなる改変が可能であること、ならびに本願が、一般に本発明の原理に従う本発明の任意の変形形態、使用または適応であって、本開示からの、本発明が属する技術分野内で公知のまたは通例の慣行の範囲内に入るようなおよび本明細書中で前に示した本質的特徴に当てはまり得るような、逸脱を含む、任意の変形形態、使用または適応に及ぶように、意図されていることは、理解される。
表5. アミノ酸配列。
一部の配列において、CDRは、下線が引かれており、太字で示されている
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【表5-10】
【表5-11】
【表5-12】
【表5-13】
【表5-14】
【表5-15】
【表5-16】
【配列表】
【誤訳訂正書】
【提出日】2024-08-08
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの構造を含む化合物またはその薬学的に許容される塩:
A-L
1-(L
2)
n-B
式I
(式中、
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、
Bは、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)またはその断片に結合することができる標的化部分であり、前記EGFRvIIIまたはその断片は、配列番号119のアミノ酸残基1~76からなるペプチドを含み;
L
1は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
L
2は、各々独立して、式IIの構造:
-X
1-L
3-Z
1-
式II
を有し、この式中、
X
1は、-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-
*、-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-
*、-OC(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)O-
*、-NR
1C(O)NR
1-、-CH
2-Ph-C(O)NR
1-
*、-NR
1C(O)-Ph-CH
2-
*、-CH
2-Ph-NH-C(S)NR
1-
*、-NR
1C(S)-NH-Ph-CH
2-
*、-O-、またはNR
1-であり、「
*」は、L
3への結合点を示し、R
1は、水素、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
L
3は、必要に応じて置換されているC
1~C
50アルキルまたは必要に応じて置換されているC
1~C
50ヘテロアルキルであり;
Z
1は、-CH
2-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR
2C(O)-#、-C(O)NR
2-#、または-NR
2-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R
2は、水素、必要に応じて置換されているC
1~C
6アルキル、必要に応じて置換されているC
1~C
6ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである)。
【請求項2】
前記キレート部分が、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2’’-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H
4オクタパ(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H
2デドパ(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H
6ホスパ(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、八配位HOPO(八配位ヒドロキシピリジノン)、およびポルフィリンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
【化16】
(式中、Y
1は、-CH
2OCH
2(L
2)
n-B、C=O(L
2)
n-B、またはC=S(L
2)
n-Bであり、Y
2は、-CH
2CO
2Hである;または
式中、Y
1は、Hであり、Y
2は、L
1-(L
2)
n-Bである)
により表される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
L
1が、
【化17】
(式中、R
Lは、水素または-CO
2Hである)
である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
前記金属錯体が、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、ランタニドおよびアクチニドからなる群から選択される金属を含むか;または
前記金属錯体が、
43Sc、
44Sc、
47Sc、
55Co、
60Cu、
61Cu、
62Cu、
64Cu、
67Cu、
66Ga、
67Ga、
68Ga、
82Rb、
86Y、
87Y、
89Zr、
90Y、
97Ru、
99Tc、
99mTc、
105Rh、
109Pd、
111In、
117mSn、
133La、
134Ce、
149Pm、
149Tb、
153Sm、
166Ho、
177Lu、
186Re、
188Re、
198Au、
199Au、
201Tl、
203Pb、
211At、
212Pb、
212Bi、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
227Th、および
229Thからなる群から選択される放射性核種を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Y
1が、Hである、請求項3から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
X
1が、-C(O)NR
1-
*または-NR
1C(O)-
*であり、「
*」が、L
3への結合点を示し、R
1が、Hである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Z
1が、-CH
2-である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
nが、1であり、L
3が、(CH
2CH
2O)
2~20を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
nが、1であり、L
3が、(CH
2CH
2O)
m(CH
2)
wであり、mおよびwは、各々独立して、0~10の間(両端を含めて)の整数であり、mおよびwの少なくとも一方は、0でない、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
A-L-が、以下の構造のいずれか1つまたはその金属錯体:
【化18】
【化19】
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
ラジオイムノコンジュゲートが、以下の構造またはその金属錯体:
【化20】
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Aが、キレート部分の金属錯体であり、前記金属錯体が、放射性核種を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記放射性核種が、
68Ga、
111In、
177Lu、または
225Acである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
前記放射性核種が、
225Acである、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211At)、ビスマス-212(
212Bi)、ビスマス-213(
213Bi)、アクチニウム-225(
225Ac)、ラジウム-223(
223Ra)、鉛-212(
212Pb)、トリウム-227(
227Th)およびテルビウム-149(
149Tb)またはその子孫核種からなる群から選択されるアルファ放射体である、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
前記アルファ放射体が、
225Acまたはその子孫核種である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
前記標的化部分が、抗体またはその抗原結合断片を含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号8のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号9のCDRL2配列と、配列番号10のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号13のCDRH1配列と、配列番号14のCDRH2配列と、配列番号15のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
b.配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号24で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号25で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
c.配列番号28で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号30で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号35で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
d.配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
e.配列番号48で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号49で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号53で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号54で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
f.配列番号58で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号59で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号60で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号63で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号64で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号65で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
g.配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号69で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号70で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;または
h.配列番号73で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号74で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号75で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号115で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号115と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
c.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号7と実質的に同一の、配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号12と実質的に同一の、配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号17と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号22と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
c.配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号27と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号32で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号32と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
d.配列番号37で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号37と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号42と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
e.配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号47と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号52と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
f.配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号57と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
g.配列番号67で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号67と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列、配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸または配列番号102で示されるもしくは配列番号102と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
h.配列番号72で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号72と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列または配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸を含む重鎖可変領域
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号108で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号108と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号107と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖;または
b.配列番号110で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号110と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号109で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号109と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖
を含む、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域を含む、請求項19に記載の化合物。
【請求項24】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
b.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
c.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
d.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
e.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
f.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
g.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
h.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
i.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
b.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
b.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
c.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
d.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
e.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
f.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
g.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
h.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;または
i.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域
を含む、請求項23、24または25に記載の化合物。
【請求項27】
前記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、多重特異性抗体、またはその抗原結合断片である、請求項18から26のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項28】
前記抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である、請求項18から27のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG1定常領域を含む、請求項1から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG2定常領域を含む、請求項1から21、23から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4定常領域を含む、請求項1から22、および24から28のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項32】
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4(S228P)定常領域を含む、請求項26に記載の化合物。
【請求項33】
前記抗原結合断片が、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)
2を含む、請求項1から32のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項34】
以下の構造:
【化21】
(式中、
【化22】
は、EGFRvIIIまたはその断片に結合することができる抗体またはその抗原結合断片である)
を含む、請求項1に記載の化合物。
【請求項35】
前記抗体またはその抗原結合断片が、A-L-にリシン残基の側鎖アミノ基を介して連結されている、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項37】
がんの放射線処置計画および/または放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項38】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法。
【請求項39】
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の第1の線量を放射線処置計画に有効な量で投与するステップ、続いて、請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の後続の線量を治療有効量で投与するステップを含む、方法。
【請求項40】
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、同じである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、異なる、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記がんが、多形性神経膠芽種または癌である、請求項37から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
抗増殖剤、放射線増感剤、免疫調節性剤を投与するステップをさらに含む、請求項37から42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物を外部照射放射線の非存在または存在下で抗増殖剤と組み合わせて投与するステップを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記抗増殖剤が、テモゾロミド(TMZ)である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、複数回線量で投与される、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
請求項1から35のいずれか一項に記載の化合物または請求項36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、単回線量で投与される、請求項38から45のいずれか一項に記載の方法。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0033
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0033】
一部の実施形態では、化合物は、以下の構造:
【化6】
(式中、
【化7】
は、EGFRvIIIまたはその断片に特異的に結合する、抗体またはその抗原結合断片である)を含む。一部の実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、A-L-にリシン残基の側鎖アミノ基を介して連結されている。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】0044
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【0044】
一部の実施形態では、処置の方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物の治療有効量を単回線量で投与するステップを含む。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの構造を含む化合物またはその薬学的に許容される塩:
A-L
1
-(L
2
)
n
-B
式I
(式中、
Aは、キレート部分またはその金属錯体であり、
Bは、上皮成長因子受容体バリアントIII(EGFRvIII)またはその断片に結合することができる標的化部分であり、前記EGFRvIIIまたはその断片は、配列番号119のアミノ酸残基1~76からなるペプチドを含み;
L
1
は、結合、C=O、C=S、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
アルキル、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
nは、1~5の間(両端を含めて)の整数であり;
L
2
は、各々独立して、式IIの構造:
-X
1
-L
3
-Z
1
-
式II
を有し、この式中、
X
1
は、-C(O)NR
1
-
*
、-NR
1
C(O)-
*
、-C(S)NR
1
-
*
、-NR
1
C(S)-
*
、-OC(O)NR
1
-
*
、-NR
1
C(O)O-
*
、-NR
1
C(O)NR
1
-、-CH
2
-Ph-C(O)NR
1
-
*
、-NR
1
C(O)-Ph-CH
2
-
*
、-CH
2
-Ph-NH-C(S)NR
1
-
*
、-NR
1
C(S)-NH-Ph-CH
2
-
*
、-O-、またはNR
1
-であり、「
*
」は、L
3
への結合点を示し、R
1
は、水素、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
アルキル、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールであり;
L
3
は、必要に応じて置換されているC
1
~C
50
アルキルまたは必要に応じて置換されているC
1
~C
50
ヘテロアルキルであり;
Z
1
は、-CH
2
-#、-C(O)-#、-C(S)-#、-OC(O)-#、-C(O)O-#、-NR
2
C(O)-#、-C(O)NR
2
-#、または-NR
2
-#であり、「#」は、Bへの結合点を示し、R
2
は、水素、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
アルキル、必要に応じて置換されているC
1
~C
6
ヘテロアルキル、必要に応じて置換されているアリール、または必要に応じて置換されているヘテロアリールである)。
(項目2)
前記キレート部分が、DOTA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、DOTMA(1R,4R,7R,10R)-α,α’,α’’,α’’’-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸、DOTAM(1,4,7,10-テトラキス(カルバモイルメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン)、DOTPA(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラプロピオン酸)、DO3AM-酢酸(2-(4,7,10-トリス(2-アミノ-2-オキソエチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル)酢酸)、DOTA-GA無水物(2,2’,2’’-(10-(2,6-ジオキソテトラヒドロ-2H-ピラン-3-イル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-トリイル)三酢酸、DOTP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラ(メチレンホスホン酸))、DOTMP(1,4,6,10-テトラアザシクロデカン-1,4,7,10-テトラメチレンホスホン酸、DOTA-4AMP(1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-テトラキス(アセトアミド-メチレンホスホン酸)、CB-TE2A(1,4,8,11-テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカン-4,11-二酢酸)、NOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸)、NOTP(1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-トリ(メチレンホスホン酸)、TETPA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-テトラプロピオン酸)、TETA(1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸)、HEHA(1,4,7,10,13,16-ヘキサアザシクロヘキサデカン-1,4,7,10,13,16-六酢酸)、PEPA(1,4,7,10,13-ペンタアザシクロペンタデカン-N,N’,N’’,N’’’,N’’’’-五酢酸)、H
4
オクタパ(N,N’-ビス(6-カルボキシ-2-ピリジルメチル)-エチレンジアミン-N,N’-二酢酸)、H
2
デドパ(1,2-[[6-(カルボキシ)-ピリジン-2-イル]-メチルアミノ]エタン)、H
6
ホスパ(N,N’-(メチレンホスホネート)-N,N’-[6-(メトキシカルボニル)ピリジン-2-イル]-メチル-1,2-ジアミノエタン)、TTHA(トリエチレンテトラミン-N,N,N’,N’’,N’’’,N’’’-六酢酸)、DO2P(テトラアザシクロドデカンジメタンホスホン酸)、HP-DO3A(ヒドロキシプロピルテトラアザシクロドデカン三酢酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、デフェロキサミン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DTPA-BMA(ジエチレントリアミン五酢酸-ビスメチルアミド)、八配位HOPO(八配位ヒドロキシピリジノン)、およびポルフィリンからなる群から選択される、項目1に記載の化合物。
(項目3)
【化16】
(式中、Y
1
は、-CH
2
OCH
2
(L
2
)
n
-B、C=O(L
2
)
n
-B、またはC=S(L
2
)
n
-Bであり、Y
2
は、-CH
2
CO
2
Hである;または
式中、Y
1
は、Hであり、Y
2
は、L
1
-(L
2
)
n
-Bである)
により表される、項目2に記載の化合物。
(項目4)
L
1
が、
【化17】
(式中、R
L
は、水素または-CO
2
Hである)
である、項目1から3のいずれか一項に記載の化合物。
(項目5)
前記金属錯体が、Bi、Pb、Y、Mn、Cr、Fe、Co、Zn、Ni、Tc、In、Ga、Cu、Re、ランタニドおよびアクチニドからなる群から選択される金属を含むか;または
前記金属錯体が、
43
Sc、
44
Sc、
47
Sc、
55
Co、
60
Cu、
61
Cu、
62
Cu、
64
Cu、
67
Cu、
66
Ga、
67
Ga、
68
Ga、
82
Rb、
86
Y、
87
Y、
89
Zr、
90
Y、
97
Ru、
99
Tc、
99m
Tc、
105
Rh、
109
Pd、
111
In、
117m
Sn、
133
La、
134
Ce、
149
Pm、
149
Tb、
153
Sm、
166
Ho、
177
Lu、
186
Re、
188
Re、
198
Au、
199
Au、
201
Tl、
203
Pb、
211
At、
212
Pb、
212
Bi、
213
Bi、
223
Ra、
225
Ac、
227
Th、および
229
Thからなる群から選択される放射性核種を含む、
項目1から4のいずれか一項に記載の化合物。
(項目6)
Y
1
が、Hである、項目3から5のいずれか一項に記載の化合物。
(項目7)
X
1
が、-C(O)NR
1
-
*
または-NR
1
C(O)-
*
であり、「
*
」が、L
3
への結合点を示し、R
1
が、Hである、項目1から6のいずれか一項に記載の化合物。
(項目8)
Z
1
が、-CH
2
-である、項目1から7のいずれか一項に記載の化合物。
(項目9)
nが、1であり、L
3
が、(CH
2
CH
2
O)
2~20
を含む、項目1から8のいずれか一項に記載の化合物。
(項目10)
nが、1であり、L
3
が、(CH
2
CH
2
O)
m
(CH
2
)
w
であり、mおよびwは、各々独立して、0~10の間(両端を含めて)の整数であり、mおよびwの少なくとも一方は、0でない、項目1から8のいずれか一項に記載の化合物。
(項目11)
A-L-が、以下の構造のいずれか1つまたはその金属錯体:
【化18】
【化19】
を含む、項目1に記載の化合物。
(項目12)
ラジオイムノコンジュゲートが、以下の構造またはその金属錯体:
【化20】
を含む、項目1に記載の化合物。
(項目13)
Aが、キレート部分の金属錯体であり、前記金属錯体が、放射性核種を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の化合物。
(項目14)
前記放射性核種が、
68
Ga、
111
In、
177
Lu、または
225
Acである、項目13に記載の化合物。
(項目15)
前記放射性核種が、
225
Acである、項目13に記載の化合物。
(項目16)
前記放射性核種が、アスタチン-211(
211
At)、ビスマス-212(
212
Bi)、ビスマス-213(
213
Bi)、アクチニウム-225(
225
Ac)、ラジウム-223(
223
Ra)、鉛-212(
212
Pb)、トリウム-227(
227
Th)およびテルビウム-149(
149
Tb)またはその子孫核種からなる群から選択されるアルファ放射体である、項目13に記載の化合物。
(項目17)
前記アルファ放射体が、
225
Acまたはその子孫核種である、項目16に記載の化合物。
(項目18)
前記標的化部分が、抗体またはその抗原結合断片を含む、項目1から17のいずれか一項に記載の化合物。
(項目19)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号8のアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号9のCDRL2配列と、配列番号10のCDRL3配列とを含む軽鎖可変領域、および配列番号13のCDRH1配列と、配列番号14のCDRH2配列と、配列番号15のCDRH3配列とを含む重鎖可変領域;
b.配列番号18で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号19で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号20で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号23で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号24で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号25で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
c.配列番号28で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号29で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号30で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号33で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号34で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号35で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
d.配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
e.配列番号48で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号49で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号50で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号53で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号54で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号55で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
f.配列番号58で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号59で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号60で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号63で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号64で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号65で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;
g.配列番号68で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号69で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号70で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域;または
h.配列番号73で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号74で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号75で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号78で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号79で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号80で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域
を含む、項目18に記載の化合物。
(項目20)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号115で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号115と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号116で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号116と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
c.配列番号118で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号118と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域
を含む、項目18に記載の化合物。
(項目21)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号7と実質的に同一の、配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号12で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号12と実質的に同一の、配列を含む重鎖可変領域;
b.配列番号17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号17と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号22で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号22と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
c.配列番号27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号27と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号32で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号32と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
d.配列番号37で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号37と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号42と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
e.配列番号47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号47と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号52と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
f.配列番号57で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号57と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号62で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号62と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;
g.配列番号67で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号67と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列、配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸または配列番号102で示されるもしくは配列番号102と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖可変領域;または
h.配列番号72で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号72と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号77で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号77と実質的に同一の、アミノ酸配列または配列番号92で示されるもしくは配列番号92と実質的に同一の、アミノ酸を含む重鎖可変領域
を含む、項目18に記載の化合物。
(項目22)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号108で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号108と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号107で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号107と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖;または
b.配列番号110で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号110と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号109で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一の、もしくは配列番号109と実質的に同一の、アミノ酸配列を含む重鎖
を含む、項目18に記載の化合物。
(項目23)
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38で示されるアミノ酸配列を有するCDRL1と、配列番号39で示されるアミノ酸配列を有するCDRL2と、配列番号40で示されるアミノ酸配列を有するCDRL3とを含む軽鎖可変領域、および配列番号43で示されるアミノ酸配列を有するCDRH1と、配列番号44で示されるアミノ酸配列を有するCDRH2と、配列番号45で示されるアミノ酸配列を有するCDRH3とを含む重鎖可変領域を含む、項目19に記載の化合物。
(項目24)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
b.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
c.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号175で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
d.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
e.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
f.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
g.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;
h.配列番号173で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
i.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、項目23に記載の化合物。
(項目25)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号174で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号176で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域;または
b.配列番号172で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、および配列番号177で示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域
を含む、項目24に記載の化合物。
(項目26)
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
b.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
c.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号183で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
d.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
e.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
f.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号184で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
g.配列番号180で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;
h.配列番号181で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域;または
i.配列番号182で示されるアミノ酸配列を有する軽鎖領域、および配列番号185で示されるアミノ酸配列を有する重鎖領域
を含む、項目23、24または25に記載の化合物。
(項目27)
前記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、ヒト抗体、一本鎖抗体、多重特異性抗体、またはその抗原結合断片である、項目18から26のいずれか一項に記載の化合物。
(項目28)
前記抗体が、ヒト化モノクローナル抗体である、項目18から27のいずれか一項に記載の化合物。
(項目29)
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG1定常領域を含む、項目1から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
(項目30)
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG2定常領域を含む、項目1から21、23から25、27および28のいずれか一項に記載の化合物。
(項目31)
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4定常領域を含む、項目1から22、および24から28のいずれか一項に記載の化合物。
(項目32)
前記抗体またはその抗原結合断片が、ヒトIgG4(S228P)定常領域を含む、項目26に記載の化合物。
(項目33)
前記抗原結合断片が、scFv、Fab、Fab’または(Fab’)
2
を含む、項目1から32のいずれか一項に記載の化合物。
(項目34)
以下の構造:
【化21】
(式中、
【化22】
は、EGFRvIIIまたはその断片に結合することができる抗体またはその抗原結合断片である)
を含む、項目1に記載の化合物。
(項目35)
前記抗体またはその抗原結合断片が、A-L-にリシン残基の側鎖アミノ基を介して連結されている、項目34に記載の化合物。
(項目36)
項目1から35のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む、医薬組成物。
(項目37)
がんの放射線処置計画および/または放射線処置の方法であって、それを必要とする対象に、項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
(項目38)
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物を治療有効量で投与するステップを含む方法。
(項目39)
EGFRvIIIを発現する細胞を含むがんを処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に、項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物の第1の線量を放射線処置計画に有効な量で投与するステップ、続いて、項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物の後続の線量を治療有効量で投与するステップを含む、方法。
(項目40)
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、同じである、項目39に記載の方法。
(項目41)
前記第1の線量で投与される前記化合物または医薬組成物、および後続の線量で投与される前記化合物または医薬組成物が、異なる、項目39に記載の方法。
(項目42)
前記がんが、多形性神経膠芽種または癌である、項目37から41のいずれか一項に記載の方法。
(項目43)
抗増殖剤、放射線増感剤、免疫調節性剤を投与するステップをさらに含む、項目37から42のいずれか一項に記載の方法。
(項目44)
項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物を外部照射放射線の非存在または存在下で抗増殖剤と組み合わせて投与するステップを含む、項目43に記載の方法。
(項目45)
前記抗増殖剤が、テモゾロミド(TMZ)である、項目44に記載の方法。
(項目46)
項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、複数回線量で投与される、項目38から45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
項目1から35のいずれか一項に記載の化合物または項目36に記載の医薬組成物の前記治療有効量が、単回線量で投与される、項目38から45のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】