(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】ペデスタル軸受及びペデスタル軸受を備えた製造プラント
(51)【国際特許分類】
B22D 11/128 20060101AFI20240920BHJP
F16C 37/00 20060101ALI20240920BHJP
F16C 25/08 20060101ALI20240920BHJP
F16C 19/38 20060101ALI20240920BHJP
F16C 33/58 20060101ALI20240920BHJP
F16C 33/76 20060101ALI20240920BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20240920BHJP
【FI】
B22D11/128 340J
F16C37/00 B
F16C25/08
F16C19/38
F16C33/58
F16C33/76 Z
F16J15/06 H
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024519410
(86)(22)【出願日】2022-09-14
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 EP2022075534
(87)【国際公開番号】W WO2023052129
(87)【国際公開日】2023-04-06
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515153152
【氏名又は名称】プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】グレゴール・ディルンベルガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲラルト・ホーヘンビッヒラー
(72)【発明者】
【氏名】フランツ・ヴィマー
(72)【発明者】
【氏名】マーヴィン・ツェムニ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・ペップル
【テーマコード(参考)】
3J012
3J040
3J117
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3J012AB11
3J012BB03
3J012EB01
3J040AA17
3J040BA04
3J040HA30
3J117EA02
3J117GA02
3J117GA03
3J216AA01
3J216AA14
3J216AB25
3J216BA30
3J216CA01
3J216CA04
3J216CB01
3J216CC70
3J701AA15
3J701AA25
3J701AA43
3J701AA54
3J701AA62
3J701BA54
3J701BA56
3J701BA69
3J701FA60
3J701GA35
3J701GA36
3J701XB03
3J701XB24
(57)【要約】
本発明は熱間圧延材料(15)を製造するプラントにおいて、低速走行体を支持するペデスタル軸受(125)と、軸受(125)を備えた製造プラント(10)に関し、軸受(125)は、受容部(175)を備えたハウジング(145)と、冷却ダクト(325)を備えた冷却ダクト系(261)と、外輪(280)を備えた、受容部(175)内に配置された軸受(230)を有し、受容部(175)は軸(130)を取り囲む第1の内周面(170)を有し、ハウジング(145)は第1の接触面(146)を有し、ハウジング(145)は外輪(280)からの支持力(F)を面(146)に伝達し、ダクト(325)は軸(130)の周りに延在し、軸受(230)及び/又はハウジング(145)を冷却するためにダクト(325)に供給可能な冷却剤(410)を案内し、受容部(175)の面(170)はダクト(325)を径方向外側に区切り、外輪(280)はダクト(325)を径方向内側に区切る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延材料(15)を製造するための製造プラント(10)、特に連続鋳造プラントにおいて、低速走行体を支持するための、
-軸受受容部(175)を備えたペデスタル軸受ハウジング(145)と、
-少なくとも1つの冷却ダクト(325)を備えた冷却ダクト系(261)と、
-転がり軸受外輪(280)を備えた、前記軸受受容部(175)内に配置された転がり軸受(230)と、を有するペデスタル軸受(125)であって、
-前記軸受受容部(175)は、回転軸(130)を取り囲む第1の内周面(170)を有し、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)は、第1の接触面(146)を有し、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)は、前記転がり軸受外輪(280)からの支持力(F)を前記第1の接触面(146)に伝達するように構成されており、
-前記冷却ダクト(325)は、前記回転軸(130)の周りに周方向に延在し、前記転がり軸受(230)及び/又は前記ペデスタル軸受ハウジング(145)を冷却するために前記冷却ダクト(325)に供給可能な冷却剤(410)を案内するように構成されているペデスタル軸受(125)において、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)の前記軸受受容部(175)の第1の内周面(170)は、前記冷却ダクト(325)を径方向外側に区切っており、前記転がり軸受外輪(280)は、前記冷却ダクト(325)を径方向内側に区切っていることを特徴とするペデスタル軸受(125)。
【請求項2】
-前記転がり軸受外輪(280)が、第2の外周面(320)に、少なくとも部分的に延在し、周方向において溝形に形成された溝形ダクト(350)を有し、
-前記溝形ダクト(350)は、径方向外側に向かって開くように構成されており、径方向内側に向かって前記冷却ダクト(325)を区切っている、請求項1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項3】
-ペデスタル軸受ハウジング(145)が、第1の内周面(170)に、少なくとも部分的に溝形に形成され、周方向において延在する溝形ダクト(350)を有し、
-前記溝形ダクト(350)は、径方向内側に向かって開くように構成されており、径方向外側に向かって前記冷却ダクト(325)を区切っている、請求項1又は2に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項4】
-前記溝形ダクト(350)が、転がり軸受外輪(280)の第1の端面(415)と、前記転がり軸受外輪(280)の軸方向において反対側に配置された第2の端面(420)との間で、少なくとも部分的に蛇行形状又は環状に形成されている、請求項2又は3に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項5】
-前記溝形ダクト(350)が、第1の溝形ダクト部分(355)と、前記第1の溝形ダクト部分(355)に流体的に接続された第2の溝形ダクト部分(360)とを有し、
-前記第1の溝形ダクト部分(355)は、回転軸(130)の周りに周方向に延在しており、
-前記第2の溝形ダクト部分(360)は、前記回転軸(130)の周りで、前記第1の溝形ダクト部分(355)に対して軸方向においてオフセットして周方向に延在しており、
-転がり軸受外輪(280)は、前記第1の溝形ダクト部分(355)と前記第2の溝形ダクト部分(360)との間で軸方向においてウェブ(370)を有し、
-前記ウェブ(370)は、軸受受容部(175)の第1の内周面(170)に当接している、請求項2から4のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項6】
-前記溝形ダクト(350)が第3の溝形ダクト部分(365)を有し、
-第1の溝形ダクト部分(355)は周方向において第2の溝形ダクト部分(360)に対して平行に延在しており、
-前記第3の溝形ダクト部分(365)は、前記第1の溝形ダクト部分(355)の周方向端部と前記第2の溝形ダクト部分(360)とを接続している、請求項5に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項7】
-転がり軸受外輪(280)の第2の外周面(320)が、冷却領域(335)と支持領域(330)とに分割されており、
-冷却ダクト(325)は、前記冷却領域(335)に配置されており、
-前記冷却ダクト(325)は、回転軸(130)の周りの所定の第1の角度セグメント(α)にわたって、前記第2の外周面(320)に延在しており、
-周方向において、前記冷却ダクト(325)には前記支持領域(330)が隣接しており、
-前記支持領域(330)は、主に所定の第2の角度セグメント(β)にわたって延在しており、
-前記第2の外周面(320)は、前記支持領域(330)において略部分円筒状に形成されており、
-好ましくは第1の内周面(170)と前記第2の外周面(320)とは、前記支持領域(330)において略全面で当接しており、
-支持力(F)は、専ら前記支持領域(330)を通じてペデスタル軸受ハウジング(145)に伝達可能であり、
-前記支持力(F)は、回転軸(130)から前記支持領域(330)に向けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項8】
-第1の角度セグメント(α)が、回転軸(130)の周りに少なくとも140°から330°までの角度、好ましくは少なくとも180°から300°までの角度を含んでいる、請求項7に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項9】
-転がり軸受外輪(280)及び/又はペデスタル軸受ハウジング(145)が一体的に、均一な材料で構成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項10】
-転がり軸受外輪(280)が、中間リング(305)と軸受リング(310)とを有し、
-前記中間リング(305)は、回転軸(130)の周りに中空円筒状に形成されており、径方向内側に第5の内周面(315)を有し、径方向外側に第2の外周面(320)を有し、
-前記軸受リング(310)は、前記中間リング(305)に対して径方向内側に配置され、径方向外側において前記軸受リング(310)の前記第5の内周面(315)で当接している、請求項2から9のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項11】
-中間リング(305)が、第2の外周面(320)から第5の内周面(315)の方向に径方向に延在する溝形ダクト(350)を有する、請求項10に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項12】
-少なくとも1つの第5のシール要素(255)と、第2の外周面(320)又は第1の内周面(170)に配置された第1のシール溝(340)とを有し、
-前記第1のシール溝(340)は、回転軸(130)の周りに一周するよう形成されており、
-前記第1のシール溝(340)内には、少なくとも部分的に前記第5のシール要素(255)が配置されており、
-前記第5のシール要素(255)は、冷却ダクト(325)を流体密にシールする、請求項1から11のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項13】
-第1のシール溝(340)及び溝形ダクト(350)が、第1の内周面(170)又は第2の外周面(320)に形成される、請求項12に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項14】
-冷却ダクト系(261)が、ペデスタル軸受ハウジング(145)内に配置された供給ダクト(380)と、前記ペデスタル軸受ハウジング(145)内に配置された戻りダクト(385)とを有し、
-前記供給ダクト(380)と前記戻りダクト(385)とは、それぞれ、互いにオフセットして冷却ダクト(325)内に開口しており、
-冷却剤(410)は、前記供給ダクト(380)を用いて前記冷却ダクト(325)内に供給可能であり、
-前記冷却剤(410)は、前記戻りダクト(385)を用いて前記冷却ダクト(325)から排出可能である、請求項1から13のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項15】
高温の熱間圧延材料(15)、特に熱間鋳造スラブストランド(85)の製造及び/又は搬送を行うための製造プラント(10)、特に連続鋳造プラントであって、
-請求項1から14のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)と、前記熱間圧延材料(15)を案内、支持及び/又は成形するための周面に配置された転動面(121)を備えたローラ(120)とを有し、
-転がり軸受(230)は、前記ローラ(120)を回転軸(130)の周りに回転可能に支持している製造プラント(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1に記載のストランドを製造するための製造プラント、特に連続鋳造プラントにおいて、低速走行体、特にローラを支持するためのペデスタル軸受、及び請求項15に記載の製造プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1からは、分割されていないペデスタル軸受ハウジングを有する一体型ペデスタル軸受が知られている。ペデスタル軸受ハウジングは、軸受受容部と、冷却剤用の冷却ダクト系とを有する。ペデスタル軸受は、ペデスタル軸受ハウジング内に配置された転がり軸受を有する。転がり軸受は、転がり軸受外輪を有し、転がり軸受外輪は、ペデスタル軸受ハウジングの一体的な構成要素である。冷却ダクト系は冷却ダクトを有し、冷却ダクトはペデスタル軸受ハウジングの外側に案内され、外側に向かってカバーで覆われている。
【0003】
特許文献2からは、ガイドローラ装置が知られている。ガイドローラ装置は、互いに離間して配置された複数のペデスタル軸受を有する。
【0004】
特許文献3、特許文献4及び特許文献5からは、様々な連続鋳造ローラセットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】オーストリア国特許出願公開第521218号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第20140022171号公報
【特許文献3】中国特許出願公開第107511466号明細書
【特許文献4】中国特許出願公開第110000354号明細書
【特許文献5】国際公開第2011/117383号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、改良されたペデスタル軸受、特に改良された冷却ペデスタル軸受、及びこのようなペデスタル軸受を備えた改良された製造プラントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本課題は、請求項1に記載のペデスタル軸受及び請求項15に記載の製造プラントによって解決される。有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0008】
ストランド又は熱間圧延材料を製造するための製造プラント、特に連続鋳造プラント又は鋳造‐圧延複合プラントにおいて、低速走行体を支持するための改良されたペデスタル軸受は、ペデスタル軸受が、軸受受容部を備えたペデスタル軸受ハウジングと、少なくとも1つの冷却ダクトを備えた冷却ダクト系と、転がり軸受外輪を備えた、軸受受容部内に配置された転がり軸受とを有することによって得られると認識されている。軸受受容部は、回転軸を取り囲む第1の内周面を有し、ペデスタル軸受ハウジングは、第1の接触面を有し、ペデスタル軸受ハウジングは、転がり軸受外輪からの支持力を第1の接触面に伝達するように構成されている。ペデスタル軸受ハウジングの軸受受容部の第1の内周面は、冷却ダクトを径方向外側に区切っている。さらに、転がり軸受外輪は、冷却ダクトを径方向内側に区切っており、冷却ダクトは、回転軸の周りに周方向に延在し、転がり軸受及び/又はペデスタル軸受ハウジングを冷却するために冷却ダクトに供給可能な冷却剤を案内するように構成されている。
【0009】
当該態様は、ペデスタル軸受が特に単純に構成されているという利点を有する。さらに、冷却ダクトは、転がり軸受外輪に特に近接して配置されており、これによって、転がり軸受の潤滑剤が特に良好に冷却される。これによって、熱間圧延材料、特にスラブストランドを製造するための製造プラントにおいてペデスタル軸受を使用する際の、転がり軸受の潤滑剤の過熱を回避することができる。特に、この際、臨界温度を超える潤滑剤の過熱、ひいては潤滑剤の熱分解が回避される。
【0010】
転がり軸受外輪は、ペデスタル軸受ハウジングに回転不能に連結され得る。転がり軸受外輪がペデスタル軸受ハウジングに対して、例えば30°までの小さな角度範囲で回転可能であることも可能である。特に、転がり軸受外輪とペデスタル軸受との間の接続は、転がり軸受外輪がペデスタル軸受の動作時間にわたって共に動くことができるように選択され得る。
【0011】
さらなる実施形態では、転がり軸受外輪は、第2の外周面に、少なくとも部分的に溝形に形成され、周方向に延在する溝形ダクトを有する。溝形ダクトは、径方向外側に向かって開くように構成されており、径方向内側に向かって冷却ダクトを区切っている。当該態様は、フライス加工プロセスを用いて特に容易に、溝形ダクトを転がり軸受外輪に導入できるという利点を有する。
【0012】
さらなる実施形態では、ペデスタル軸受ハウジングは、第1の内周面に、少なくとも部分的に溝形に形成され、周方向に延在する溝形ダクトを有する。溝形ダクトは径方向内側に向かって開くように構成されており、径方向外側に向かって冷却ダクトを区切っている。当該態様は、溝形ダクトが、例えばペデスタル軸受ハウジングの鋳造の際に共に形成され得るという利点を有する。代替的に、フライス加工を用いて、溝形ダクトを第1の内周面にコスト効率よく導入することも可能である。
【0013】
溝形ダクトが、転がり軸受外輪の第1の端面と、転がり軸受外輪の軸方向において反対側に配置された第2の端面との間で、少なくとも部分的に蛇行形状又は環状に形成されている場合、特に有利である。これによって、転がり軸受外輪からの特に良好な熱吸収が冷却剤を通じて行われ得るので、転がり軸受の特に良好な冷却が確実になる。
【0014】
さらなる実施形態では、溝形ダクトは、第1の溝形ダクト部分と、第1の溝形ダクト部分に流体的に接続された第2の溝形ダクト部分とを有する。第1の溝形ダクト部分は、回転軸の周りに周方向に延在している。第2の溝形ダクト部分は、回転軸の周りで、第1の溝形ダクト部分に対して軸方向においてオフセットして周方向に延在している。転がり軸受外輪は、第1の溝形ダクト部分と第2の溝形ダクト部分との間で軸方向においてウェブを有する。当該ウェブは、軸受受容部の第1の内周面に当接している。当該態様は、転がり軸受外輪が軸受受容部内で特に良好に支持されるという利点を有する。
【0015】
さらなる実施形態では、溝形ダクトは第3の溝形ダクト部分を有し、第1の溝形ダクト部分は周方向において第2溝形ダクト部分と平行に延在している。第3の溝形ダクト部分は、第1の溝形ダクト部分の周方向端部と第2の溝形ダクト部分とを接続している。当該態様は、転がり軸受外輪が、2つの溝形ダクト部分内に案内される冷却剤によって、大きな軸方向幅にわたって特に良好に冷却されるという利点を有する。
【0016】
さらなる実施形態では、冷却ダクトは、回転軸の周りの所定の第1の角度セグメントにわたって延在している。周方向において、冷却ダクトには支持領域が隣接している。支持領域は、所定の第2の角度セグメントにわたって延在しており、第2の角度セグメントは第1の角度セグメントよりも小さい。支持領域は、ペデスタル軸受ハウジング上の転がり軸受からの支持力を支持するように構成されている。好ましくは、第1の内周面と第2の外周面とは、支持領域において概ね全面で当接している。これによって、支持領域において支持力が高い場合でも低い表面圧力が得られるので、例えば転がり軸受外輪又はペデスタル軸受ハウジングの材料の(局所的な)流動などの望ましくない変形を確実に回避することができる。有利なことに、支持力は、主に支持領域を介してペデスタル軸受ハウジングに伝達可能であり、支持力は、動作時間の大部分(動作時間の90%以上)の間、回転軸から支持領域に向けられている。当該態様は、支持力が主に支持領域を介して支持され、冷却ダクトが通る残りの領域を介しては支持されず、これによって、例えばウェブの損傷が回避されるという利点を有する。
【0017】
さらなる実施形態では、第1の角度セグメントは、回転軸の周りに少なくとも140°から330°までの角度、特に少なくとも180°から300°までの角度を含む。これによって、転がり軸受の確実な冷却が保証される。
【0018】
転がり軸受外輪が一体的に、均一な材料で形成されている場合、特に有利である。これによって、転がり軸受は特にコスト効率よく製造可能であり、ペデスタル軸受を組み立てるための組み立てステップ数が特に少なくなる。
【0019】
さらなる実施形態では、転がり軸受外輪は、中間リングと軸受リングとを有し、中間リングは、回転軸の周りに中空円筒状に形成されており、径方向内側に第5の内周面を有し、径方向外側に第2の外周面を有する。軸受リングは、中間リングに対して径方向内側に配置され、径方向外側において軸受リングの第5の内周面で当接している。転がり軸受外輪を2つの部品から構成することは、中間リングが、例えば鍛鋼から旋削工程の範囲内で、特に容易かつコスト効率よく製造可能であり、複雑な表面加工、特に中間リング上の表面の硬化が不要になるという利点を有する。
【0020】
さらなる実施形態では、中間リングは、第2の外周面から第5の内周面の方向に径方向に延在する溝形ダクトを有する。当該態様は、溝形ダクトを、例えば硬化された軸受リングに導入することが不要になるという利点を有する。
【0021】
さらなる実施形態では、ペデスタル軸受は、第5のシール要素と、第2の外周面に配置された第1のシール溝とを有し、第1のシール溝は、回転軸の周りに一周して、第2の外周面に形成されている。第1のシール溝内には、少なくとも部分的に第5のシール要素が配置されている。第5のシール要素は、第1の内周面及び第1のシール溝に当接し、冷却ダクトを流体密に密封する。これによって、例えばオイルベース又はグリースベースの潤滑剤が、例えば水ベースの冷却剤と混合することが防止される。これによって、確実な潤滑が保証され、転がり軸受の腐食が防止される。
【0022】
さらなる実施形態では、第1のシール溝及び溝形ダクトは、第1の内周面又は第2の外周面に形成される。これによって、第1のシール溝及び溝形ダクトが1台の機械で、短時間で連続して、又は同時に製造することができるので、加工の負担が少なくなる。
【0023】
さらなる実施形態では、冷却ダクト系は、ペデスタル軸受ハウジング内に配置された供給ダクトと、ペデスタル軸受ハウジング内に配置された戻りダクトとを有し、供給ダクトと戻りダクトとは、それぞれ、互いにオフセットして冷却ダクト内に開口しており、冷却剤は、供給ダクトを用いて冷却ダクト内に供給可能であり、冷却剤は、戻りダクトを用いて冷却ダクトから排出可能である。これによって、冷却剤回路への容易な接続が可能になる。
【0024】
特に鋳造‐圧延複合プラントである製造プラントは、高温の熱間圧延材料、特に熱間鋳造スラブストランドの製造及び/又は搬送を行うように構成されている。製造プラントは、ペデスタル軸受と、熱間圧延材料を案内、支持及び/又は成形するための周面に配置された転動面を備えたローラとを有する。転がり軸受は、ローラを回転軸の周りに回転可能に支持する。当該態様は、転がり軸受近傍での冷却によって転がり軸受の過熱が防止され、特に、ローラが熱間圧延材料を低速で搬送できるという利点を有する。
【0025】
以下、図を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】熱間圧延材料を製造するための製造プラントの概略図である。
【
図2】
図1に示した製造プラントのセクションAの概略図である。
【
図3】
図2に示した製造プラントのストランドガイドのセクションの概略的な斜視図である。
【
図4】
図3に示した視線方向Bにおける製造プラントのペデスタル軸受の側面図である。
【
図5】
図4に示した断面C‐Dに沿った、
図4に示した製造プラントのペデスタル軸受の断面図である。
【
図6】
図3及び
図4に示したペデスタル軸受の中間リングの斜視図である。
【
図9】
図7に示した断面E‐Fに沿った、
図7に示した中間リングの断面図である。
【
図10】ペデスタル軸受のペデスタル軸受ハウジングの斜視図である。
【
図11】
図10に示した断面G‐Gに沿った、
図10に示したペデスタル軸受ハウジングの断面図である。
【
図12a】
図10に示した断面G‐Gに沿った、部分的に組み立てられた状態のペデスタル軸受の断面図である。
【
図13a】第2の実施形態に係るペデスタル軸受の転がり軸受の斜視図である。
【
図13b】
図13aに示した転がり軸受の異なる方向からの側面図である。
【
図13c】
図13aに示した転がり軸受の異なる方向からの側面図である。
【
図15】
図4に示した断面C‐Dに沿った、第3の実施形態に係るペデスタル軸受の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、熱間圧延材料15を製造するための製造プラント10を概略的に示している。
【0028】
製造プラント10は、例えば鋳造‐圧延複合プラントとして構成されている。製造プラント10は、例えば連続鋳造機20と、予備圧延トレイン25と、第1~第3の分離装置30、35、40と、中間加熱器45と、好ましくはスケール除去機50と、仕上げ圧延トレイン55と、冷却区間60と、巻取機65と、ストランドガイド90とを有する。
【0029】
連続鋳造機20は、例えばアーク連続鋳造機として構成されている。連続鋳造機20は、取鍋70と、分配器71と、鋳型75とを有する。製造プラント10の運転中、取鍋70を用いて分配器71に金属溶融物80が充填される。金属溶融物80は、例えば転炉を用いて、リンツ‐ドナヴィッツプロセスにおいて製造され得る。金属溶融物80は、例えば鋼を有し得る。連続鋳造機20において、金属溶融物80は、部分的に凝固したスラブストランド85、特に薄型スラブストランドを形成するように鋳造される。部分的に凝固したスラブストランド85は、鋳型75から引き出され、ストランドガイド90によって円弧状に水平面に誘導され、支持され、凝固する。スラブストランド85は、搬送方向において、鋳型75から離れるように搬送される。
【0030】
この際、連続鋳造機20がスラブストランド85をエンドレスストランドで鋳造する場合、特に有利である。スラブストランド85の搬送方向において、連続鋳造機20の下流には、予備圧延トレイン25が配置されている。本実施形態において、予備圧延トレイン25は、連続鋳造機20に直接続いている。予備圧延トレイン25は、1つ又は複数の予備圧延スタンドを用いて、スラブストランド85を予備圧延ストリップ95に圧延することができる。
【0031】
第1及び第2の分離装置30、35は、予備圧延ストリップ95の搬送方向に関して、予備圧延トレイン25の下流に配置されている。予備圧延ストリップ95をスケール除去機50と予備圧延トレイン25との間で搬送するために、例えば、ストランドガイド90のローラテーブル100が、予備圧延トレイン25とスケール除去機50との間に配置されていてもよい。予備圧延ストリップ95は、ローラテーブル100を用いて、第1及び第2の分離装置30、35を通ってスケール除去機50に案内される。中間加熱器45において、予備圧延ストリップ95は、予備圧延ストリップがスケール除去機50を通るように案内される前に、例えば850℃から1050℃の間の温度に加熱される。スケール除去機50において、予備圧延ストリップ95は、スケールが除去され、次に、仕上圧延トレイン55に供給される。仕上げ圧延トレイン55において、予備圧延ストリップ95は、例えば25mmから65mmの仕上げ圧延ストリップ105に仕上げ圧延される。仕上げ圧延ストリップ105は、0.8mm~20mmの材料厚さを有し得る。仕上げ圧延ストリップ105は、仕上げ圧延トレイン55から冷却トレイン60に送られ、冷却トレイン60内でストランドガイド90を通じて、450℃以下の温度まで冷却される。第3の分離装置40を通過した後、仕上げ圧延ストリップ105は、巻取機65を用いて、コイル110に巻き取られる。コイル110が完全に巻かれると、第3の分離装置40が仕上げ圧延ストリップ105を分離する。
【0032】
製造プラント10を連続鋳造プラントに縮小してもよく、連続鋳造プラントは、連続鋳造機を用いて、液状の金属溶融物80から熱間圧延材料15としてスラブストランドを製造する。
【0033】
図2は、
図1に示した製造プラント10のセクションAの概略図である。
【0034】
ストランドガイド90は、スラブストランド85の搬送方向に関して互いにオフセットして並んで配置された1つ又は複数の駆動スタンド115を有する。駆動スタンド115それぞれは、少なくとも1つのローラ120とペデスタル軸受125とを有し、ペデスタル軸受125は、それぞれ配設されたローラ120を回転軸130の周りで回転可能に支持する。好ましくは、駆動スタンド115は、互いに対向して配置された2つのローラ120から成る一対のローラを有し、ローラはそれぞれ、配設されたペデスタル軸受125、特に回転軸130に沿って軸方向において互いにオフセットして配置された複数のペデスタル軸受125の配置によって、回転軸130の周りで回転可能に支持されている。
【0035】
ローラ120とペデスタル軸受125との両方が、スラブストランド85のストランドガイド90内で高い熱負荷を受け、スラブストランド85はストランドガイド90内で部分的にのみ凝固している。スラブストランド85は、ストランドガイド90内で約900℃から約1200℃の温度を有し、その熱によってローラ120と、さらにペデスタル軸受125とを強く加熱する。さらに、ローラ120の回転速度は低いので、ローラ120は接触によって高い熱負荷を受ける。この際、ローラ120の回転速度は、毎分0.2~5回転である。
【0036】
図3は、ストランドガイド90のセクションを示す概略的な斜視図である。
【0037】
本実施形態では、ローラ120は、回転軸130に関して軸方向において互いにオフセットして配置された複数のペデスタル軸受125上に配置されている。ローラ120は、周面に転動面121を有する。ペデスタル軸受125それぞれは、ローラ120によって貫通され、スラブストランド85を案内し、方向を変更し、及び/又は断面を縮小することから生じる少なくとも1つの支持力Fを、転動面121を用いて、駆動スタンド115のセグメントフレーム135上のペデスタル軸受125を介して支持する。セグメントフレーム135は、例えば、支持力Fがペデスタル軸受125の固定面140に対して概ね垂直に配置されるように配置されている。この際、固定面140は、ペデスタル軸受125のスラブストランド85に背向する面に配置されている。
【0038】
図4は、ペデスタル軸受125の、
図3に示した視線方向Bにおける側面図である。
【0039】
ペデスタル軸受125は、例えばペデスタル軸受ハウジング145と、第1のハウジングカバー150とを有する。ペデスタル軸受ハウジング145は、固定面140を形成する第1の接触面146を有する。ペデスタル軸受ハウジング145は、第1の接触面146上でセグメントフレーム135の第2の接触面147に当接することが可能であり、好ましくは、例えばネジ接続によって固定されていてよい。第1の接触面146及び/又は第2の接触面147は、平坦に形成されていてよく、回転軸130に対して平行に延在し得る。
【0040】
端面において、第1のハウジングカバー150は、好ましくは、ペデスタル軸受ハウジング145に可逆的に取り外し可能に固定されている。ペデスタル軸受ハウジング145は、例えば鋼ブロックから鋳造又はガス切断によって製造され得る。特に、ペデスタル軸受ハウジング145は、一体的に、均一な材料で形成されていてよい。
【0041】
図5は、
図4に示した断面C‐Dに沿った、
図4に示した製造プラント10のペデスタル軸受125の断面図である。
【0042】
ペデスタル軸受ハウジング145は、軸受部分160とカバー部分165とを有し、カバー部分165は、回転軸130に関して第1の軸方向A1において軸受部分160に隣接している。この際、カバー部分165は、軸方向において、軸受部分160の、第1のハウジングカバー150に背向する側に配置されている。
【0043】
軸受部分160は、軸受受容部175を有する。軸受受容部175は第1の内周面170を有し、第1の内周面170は、径方向外側に向かって軸受受容部175を区切っている。第1の内周面170は、回転軸130の周りを一周するように形成されている。軸受受容部175は、径方向において、例えば回転軸130の周りに円筒状に形成されている。本実施形態では、周方向において、第1の内周面170は、第1の内周面170の総面積の略80%、好ましくは少なくとも80%が周方向において途切れることがないように形成されている。軸受受容部175は、例えば旋削加工又はフライス加工を用いてペデスタル軸受ハウジング145に形成され得る。
【0044】
カバー部分165は、軸方向において軸受部分160から離れるように延在している。さらに、カバー部分165は径方向において内側に向かって傾斜している。カバー部分165は、好ましくは段差を有するように形成されており、第1の軸方向A1において、肩部185の第1の肩面180で軸受受容部175を区切っている。第1の肩面180は、好ましくは回転軸130に対して垂直な回転平面内に延在する。
【0045】
カバー部分165内では、第2の内周面190に、第1のシール受容部195と、第1の軸方向A1において、第1のシール受容部195に対して軸方向にオフセットして配置された第2のシール受容部200とが設けられている。軸方向において、第1のシール受容部195は、軸受受容部175と第2のシール受容部200との間に配置されている。
【0046】
第1のハウジングカバー150は、対称面205に関して、カバー部分165と概ね鏡面対称に形成されており、対称面205は、回転軸130に対して垂直に方向付けられており、軸受受容部175の最大延長部分の略中央の位置に形成されている。カバー部分165は、第3のシール受容部210と、第3の内周面216に設けられた第4のシール受容部215とを有する。第4のシール受容部215は、軸方向において、第3のシール受容部210に関して、第1の軸方向A1とは反対方向に延びる第2の軸方向A2において軸受受容部175から離れる側に配置されている。
【0047】
第1のハウジングカバー150は、軸方向において軸受部分160上のカバー部分165と対向するように、ペデスタル軸受ハウジング145に可逆的に取り外し可能に固定され、軸受受容部175の第1の内周面170を越えて径方向内側に突出している。第1のハウジングカバー150は、軸受部分160と対向する軸方向側の端面に段差を有するように形成されており、第2の肩面220、及び好ましくは第3の肩面225を有している。第2の肩面220は、径方向において第1のハウジングカバー150の第1の外周面229に隣接する。第2の肩面220及び第3の肩面225は、軸受受容部175に対向する第1のハウジングカバー150の端面に配置される。第2の肩面220は、第3の肩面225から凹むように配置されているので、第1の肩面180と第2の肩面220との間の軸方向距離は、第1の肩面180と第3の肩面225との間の軸方向距離よりも大きい。第3の肩面225は、径方向内側で第2の肩面220に隣接している。第2の肩面220及び第3の肩面225は、軸方向A2において軸受受容部175を区切っている。
【0048】
ペデスタル軸受125はさらに、転がり軸受230、好ましくは第1~第6のシール要素235、240、245、250、255、260及び冷却ダクト系261を有する。さらに、ペデスタル軸受は、固定手段265及び/又は潤滑ダクト系266を有し得る。第1及び第3のシール要素235、245は、例えばシャフトシールリングとして構成されている。第2、第4~第6のシール要素240、250、255、260は、例えば円形又は長方形の横断面を有するシールリングとして構成されている。第1のシール要素235は、例えば第1のシール受容部195に配置され、第2のシール要素240は、カバー部分165の第2のシール受容部200に配置されている。これによって、軸受受容部175は、第1の軸方向A1において複数回密封され、腐食性媒体、特にスラブストランド85を冷却するための冷却水の浸入から保護されている。
【0049】
第3のシール要素245は第3のシール受容部210に配置され、第4のシール要素250は第4のシール受容部215に配置されているので、軸受受容部175は、第2の軸方向A2においても、腐食性媒体、例えばスラブストランド85を冷却するための冷却水の浸入から保護されている。
【0050】
転がり軸受230は、転がり軸受内輪270と、少なくとも1つの転動体290を備えた転動体アセンブリ275と、転がり軸受外輪280とを有する。転がり軸受内輪270は、第4の内周面285で、ローラ120の軸受部分286に当接している。第4の内周面285を介して、支持力Fは、ローラ120の軸受部分286から転がり軸受内輪270に伝達される。
【0051】
転がり軸受内輪270は、転動体アセンブリ275に対して径方向内側に配置されている。転動体アセンブリ275は、例えば樽形、円錐形又は球形に形成された複数の転動体290を有し得る。転がり軸受外輪280は、転動体アセンブリ275に対して径方向外側に配置されている。転がり軸受外輪280は、径方向内側に第1の軌道面295を有する。転がり軸受内輪270は、半径方向外側に第2の軌道面300を有し、第1の軌道面295と第2の軌道面300との間には、転動体アセンブリ275が配置されている。転動体290は、第1及び第2の軌道面295、300上を転動する。支持力Fは、転がり軸受内輪270から転動体アセンブリ275を介して転がり軸受外輪280に伝達される。
【0052】
本実施形態では、転がり軸受外輪280は、例えば2つの部品から構成されている。この際、転がり軸受外輪280は、中間リング305と軸受リング310とを有し、軸受リング310は、第1の軌道面295を有し、中間リング305に対して径方向内側に配置されている。中間リング305は、軸受リング310を取り囲み、径方向外側で軸受リング310に当接している。特に、中間リング305は、軸受リング310上に収縮させることができる。中間リング305は、例えば、鍛鋼からなることができる。
【0053】
転がり軸受230は、第1の端面415と、第1の端面415と軸方向において向かい合って配置された第2の端面420とを有する。第1の端面415は、第1の肩面180と当接している。第2の端面420は、例えば中間リング305及び軸受リング310の上方で段差を有するように形成されている。この際、中間リング305の第2の端面420は第2の肩面220と当接し、軸受リング310の第2の端面420は第3の肩面225と当接する。これによって、転がり軸受外輪280は、軸方向A1、A2の両方において軸方向に固定される。
【0054】
軸方向において、軸受リング310は、例えば中間リング305よりも短いので、
図5に示したように、例えば中間リング305は、第1のハウジングカバー150に対向する第2の端面420の側で軸受リング310を越えて突出するが、これに対して、中間リング305と軸受リング310とは、カバー部分165に対向する第1の端面415で、同一平面上に配置されている。
【0055】
潤滑ダクト系266は、潤滑剤の供給のための少なくとも1つの潤滑剤供給ダクト425を有し得る。潤滑剤供給ダクト425は、軸受リング310の径方向外側に、少なくとも部分的に周方向に延在する溝状に形成されていてよい。径方向外側では、潤滑剤供給ダクト425は中間リング305によって閉じられている。さらに、潤滑ダクト系266は、周方向において互いにオフセットして配置され、径方向に延在する少なくとも1つの、好ましくは複数の潤滑剤通過ダクト430を有し得る。潤滑剤通過ダクト430は、径方向内側で、転動体アセンブリ275が配置された第1の軌道面295と第2の軌道面300との間の径方向隙間に開口している。潤滑ダクト系266は、図示されていない潤滑剤供給装置に流体的に接続されている。潤滑ダクト系266を用いて、例えばオイルベース又はグリースベースの潤滑剤が、転動体アセンブリ275の潤滑のために、外部から転動体アセンブリ275に供給される。
【0056】
固定手段265が、例えば管状に形成されており、内側に潤滑剤供給ダクト445を囲んでいる場合、特に有利である。潤滑剤供給ダクト445は、潤滑ダクト系266の内側、特に潤滑剤供給ダクト425に開口している。潤滑剤は、潤滑剤供給ダクト445を通じて、外部から容易に供給され得る。さらに、シール手段406によって、冷却剤の潤滑剤との混合及びその逆も防止される。
【0057】
【0058】
中間リング305の第5の内周面315は、概ね途切れることなく形成され、回転軸130の周りに円筒状に延在している。転がり軸受外輪280(
図6では中間リング305で例示)の第2の外周面320は、冷却領域335と支持領域330とに分割されている。支持力Fは、第2の外周面320を介して、軸受受容部175の第1の内周面170に伝達される。
【0059】
冷却ダクト系261は、冷却領域335に配置された冷却ダクト325を有する。冷却領域335において、第2の外周面320には、冷却ダクト系261の冷却ダクト325を形成するための溝形ダクト350が配置されている。溝形ダクト350は、第1のシール溝340と第2のシール溝345との間で軸方向において離間して配置されている。第1のシール溝340及び第2のシール溝345は、回転軸130の周りに一周するように、第2の外周面320上に形成されている。例えば、第1のシール溝340は、中間リング305の第1の端面415に向かって開くように形成されているが、これに対して、第2のシール溝345は、中間リング305の第1の端面415とは反対側に配置されている第2の端面420とは離間して配置される。
【0060】
図7は、
図6に示した中間リング305の側面図である。
【0061】
溝形ダクト350は径方向外側に向かって開いている。中間リング305は、好ましくは、溝形ダクト350が第5の内周面315まで突出せず、中間リング305の材料によって、溝形ダクト350が回転軸130に向かって径方向内側で閉じられるように構成されている。
【0062】
溝形ダクト350は、少なくとも1つの第1の溝形ダクト部分355、第2の溝形ダクト部分360、及び少なくとも1つの第3の溝形ダクト部分365を有する。さらに、溝形ダクト350は、
図7では視認できない第4の溝形ダクト部分366を有し得る。第1の溝形ダクト部分355と第2の溝形ダクト部分360とは、軸方向において互いに離間して配置されており、ウェブ370が、第1の溝形ダクト部分355と第2の溝形ダクト部分360との間で径方向外側に向かって延在している。ウェブ370は、例えば、第1の溝形ダクト部分355及び/又は第2の溝形ダクト部分360と略同じ軸方向幅を有する。
【0063】
図8は、
図6及び
図7に示す中間リング305の展開図の一部を示している。
【0064】
第1の溝形ダクト部分355と第2の溝形ダクト部分360とは、第3の溝形ダクト部分365を介して第1の端部領域で互いに接続されている。この際、第3の溝形ダクト部分365は、円弧状に形成されており、ウェブ370を周方向において区切っている。
【0065】
第1の溝ダクト部分355と第2の溝ダクト部分360とは、周方向において第1の端部領域とは反対側に位置する第2の端部領域において、第4の溝形ダクト部分366を介して互いに接続されている。第4の溝形ダクト部分366は、好ましくは円弧状に形成されており、第3の溝形ダクト部分365とは反対側で、ウェブ370を周方向において区切っている。これによって、溝形ダクト350は、展開図において平押しリングの形状を有する。代替的に、例えば溝形ダクト350は、第1のシール溝340と第2のシール溝345との間で蛇行するように案内されていてもよい。
【0066】
図9は、
図7に示した中間リング305の、
図7に示した断面E‐Fに沿った断面図である。
【0067】
溝形ダクト350、ひいては冷却領域335は、回転軸130に関して第1の角度セグメントαにわたって延在している。支持領域330は、回転軸130に関して第2の角度セグメントβにわたって延在しており、回転軸130の周りに部分円筒状に延在するように構成されている。好ましくは、第2の外周面320の支持領域330において、ノッチ又は溝による中断が不要になる。第1の角度セグメントαは、少なくとも180°、好ましくは230°から300°までの角度を含む。第2の角度セグメントβは、第1の角度セグメントαを360°になるように補足し、冷却領域335の周方向におけるそれぞれの端部に隣接する。
【0068】
図10は、ペデスタル軸受ハウジング145の斜視図である。
【0069】
軸受受容部175の固定面140に対向する側において、ペデスタル軸受ハウジング145は、回転軸130に向かって径方向に延在する第1の貫通開口部375を有し、第1の貫通開口部375は、軸受受容部175の第1の内周面170に開口する。第1の貫通開口部375は、例えば、軸受受容部175の軸方向における最大延長部分に対して軸方向の略中央の位置に配置されていてよい。
【0070】
図11は、
図10に示した断面G‐Gに沿った、
図10に示したペデスタル軸受ハウジング145の断面図である。
【0071】
ペデスタル軸受ハウジング145において、固定面140に対向する側には、それぞれ例えば冷却ダクト系261の供給ダクト380及び戻りダクト385が配置されており、供給ダクト380及び戻りダクト385は、周方向において互いに離間して配置されている。周方向において、第1の貫通開口部375は、供給ダクト380と戻りダクト385との間に配置されていてよい。供給ダクト380は、製造プラント10の冷却系の冷却液供給路に、戻りダクト385は冷却液戻り路に流体的に接続されていてよい。
【0072】
供給ダクト380は、径方向外側に向かって延在している。供給ダクト380及び戻りダクト385は、例えばペデスタル軸受ハウジング145内で傾斜して配置されており、軸方向において、供給ダクト380及び戻りダクト385は、例えば異なる軸方向A1、A2で互いから離れるように延在している。したがって、供給ダクト380は、第1のハウジングカバー150の方向において第2の軸方向A2に延在し、戻りダクト385は、例えばカバー部分165の方向において第1の軸方向に延在する。
【0073】
第1の内周面170において、供給ダクト380は、例えば第1の開口領域390に開口し、戻りダクト385は第2の開口領域395に開口する。第1及び第2の開口領域390、395はそれぞれ、開口領域390、395に開口する供給ダクト380又は戻りダクト385よりも軸方向及び径方向において幅広に形成されている。
【0074】
図12aは、
図10に示した断面G‐Gに沿った、部分的に組み立てられた状態のペデスタル軸受125の断面図である。
図12bは、
図12aに示したペデスタル軸受125の斜視図である。
【0075】
図12a、12bでは、中間リング305がペデスタル軸受ハウジング145に挿入されている。中間リング305は、ペデスタル軸受ハウジング145に対して所定の位置合わせを有する。この際、例えば支持領域330は、周方向において固定面140に対向する側に位置決めされている。特にこの際、支持領域330が、第1の開口領域390と第2の開口領域395との間で周方向に略完全に延在していると有利である。支持力Fによって中間リング305に加えられる荷重に応じて、ペデスタル軸受ハウジング145に対する中間リング305の別の所定の位置合わせもあり得る。この際、好ましくは、支持領域330は、支持力Fの方向と重なり、回転軸130と交差する直線386が支持領域330を通過するように、周方向に配置される。好ましくは、支持領域330は、直線386の両側、好ましくは中央に配置される。直線386は、固定領域140に対して垂直に、又は傾斜して、好ましくは80°~110°の角度で位置決めされていてよい。この際、基本的に、支持力Fが、支持領域330を介して軸受受容部175の第1の内周面170に伝達されると有利である。
【0076】
例えば第2の貫通開口部400は、中間リング305、例えば支持領域330又はウェブ370に配置されていてよく、当該貫通開口部は、中間リング305を完全に貫通して延在している。この際、第1の貫通開口部375と第2の貫通開口部400とは、互いに位置合わせされている。
図12aでは、例えば第2の貫通開口部400は、周方向において支持領域330の最大延長部分の中央の位置に、したがって溝形ダクト350の各端部間に配置されている。
【0077】
第1及び第2の貫通開口部375、400を位置合わせして配置することによって、第1の開口領域390は、第3の溝形ダクト部分365と径方向外側で重なるように配置され、第2の開口領域395は、周方向において反対側で、第4の溝形ダクト部分366と径方向で重なるように配置される。
【0078】
固定手段265は細長く、例えば円筒状に形成されている。ペデスタル軸受ハウジング145が組み立てられた状態(
図5参照)において、第1及び第2の貫通開口部375、400の間には、固定手段265が配置される。一方では、固定手段265は、ペデスタル軸受ハウジング145に対する中間リング305の所定の位置合わせを決定し、他方では、固定手段265は、中間リング305をペデスタル軸受ハウジング145に回転不能に接続する。固定手段265は、例えば第1及び第2の貫通開口部400、405内に、材料接続的及び/又は形状接続的及び/又は力接続的に固定されていてよい。例えば、固定手段265を周方向に囲む接着剤層406を設けることができる。この際、接着剤層406はさらに、シール手段407を形成する。接着剤層406は、固定手段265上の冷却ダクト系261に対する固定手段265の密封性が保証されるという利点を有する。
【0079】
中間リング305が取り付けられた状態において、冷却ダクト325は、軸受受容部175の第1の内周面170によって、径方向外側に区切られる。冷却ダクト325は、第1のシール溝340に配置された第5のシール要素255と、第5のシール要素255に軸方向で反対側の、第2のシール溝345に配置された第6のシール要素260とによって密封されている(
図5参照)。第5のシール要素340と第6のシール要素345とは、それぞれ中間リング305と内周面170とに当接し、密封している。
【0080】
軌道面295、300上での転動体290の良好な転動と、転動体アセンブリ275の低摩耗とを確実にするために、少なくとも2つの軌道面295、300の領域に、オイルベース又はグリースベースの潤滑剤が配置されていてもよい。第1から第4のシール要素235、240、245、250を用いた両側の密封によって、潤滑剤のスラブストランド85を冷却するための冷却水との混合が防止される。
【0081】
転がり軸受230を冷却するために、冷却剤410、例えば冷却水が供給ダクト380を通して供給される。冷却剤410は冷却系によって供給される。冷却剤410は、供給ダクト380に流入し、供給ダクト380を通って第1の開口領域390まで流れる。冷却剤410は、第1の開口領域390から第3の溝形ダクト部分365に流入する。この際、第3の溝形ダクト部分365は、分配器として機能し、供給された冷却剤410を第1の溝形ダクト部分360及び第2の溝形ダクト部分365に分配する。冷却剤410は、周方向において第1及び第2の溝形ダクト部分355、360に沿って、第1及び第2の溝形ダクト部分355、360の周方向における他方の端部に到達するまで流れる。第4の溝形ダクト部分366は、例えば合流点として機能し、冷却剤410の2つの流れを合流させる。冷却剤410は、第4の溝形ダクト部分366から第2の開口領域395に流入し、第2の開口領域395から冷却剤410は戻りダクト385を通じて、ペデスタル軸受125から冷却系の戻り流に排出される。冷却剤410は、ペデスタル軸受125の熱を吸収し、ペデスタル軸受125を冷却する。この際特に、転がり軸受230は、径方向内側に位置する冷却ダクト325によって十分に冷却され、過熱から保護される。
【0082】
第1及び第2のシール溝340、345内の第5及び第6のシール要素255、260による冷却ダクト325の密封は、冷却剤410が軸受受容部175から転動体アセンブリ275の方向に流出することを防止し、冷却剤410の潤滑剤との混合を防止する。これによって、一方では転がり軸受230の確実な冷却が保証され、他方では転がり軸受230、特に転動体アセンブリ275の腐食又は潤滑の喪失が防止される。これによって、ペデスタル軸受125がローラ120を支持するために使用される高温の周囲温度においても、転がり軸受230の長寿命が保証される。特に、さらなる冷却剤410を用いた良好な冷却によって、潤滑剤の変性が防止される。このようにして、支持力Fの支持は、ペデスタル軸受125の周囲温度が5℃~600℃であり、ローラ120の回転速度が毎分0.5回転~毎分10回転の低速であっても保証される。
【0083】
支持力Fに対する支持領域330の所定の位置合わせによって、ローラ120から転がり軸受230を介した、特に中間リング305を介した、ペデスタル軸受ハウジング145の第1の内周側面170への支持力Fの確実な支持が保証される。支持領域330への冷却ダクト325の配置が不要になることによって、支持領域330の第2の外周面320及び支持領域330に隣接する第1の内周面170での表面圧力を低く保つことができる。これによって、支持力Fによるウェブ370の機械的な過負荷が防止される。支持力Fは、ペデスタル軸受ハウジング145から直接、第1のハウジングカバー150を迂回して第1の接触面146に伝達され、第1の接触面146を介してセグメントフレーム135上の第2の接触面147に支持される。
【0084】
さらに、中間リング305を例えば旋削加工品として製造し、溝形ダクト350を第2の外周面320にフライス加工で形成することができるので、中間リング305を特に容易かつコスト効率よく製造することが可能である。中間リング305は、軸受リング310と組み合わせて、転がり軸受外輪280を容易に構成することができる。これによって、少なくとも第1の軌道面295で硬化している軸受リング310の複雑な加工を省略することができる。
【0085】
さらに、転がり軸受230の組み立てと、ペデスタル軸受ハウジング145に対する転がり軸受230の所定の位置合わせとは、特に容易である。
【0086】
図13aは、第2の実施形態に係るペデスタル軸受125の転がり軸受230の斜視図である。
図13b及び
図13cはそれぞれ、
図13aに示す転がり軸受230を異なる方向から見た側面図である。
【0087】
見やすくするために、ペデスタル軸受ハウジング145は、
図13a~
図13cには示されていない。
【0088】
ペデスタル軸受125は、第1の実施形態に係る
図1~
図12に示したペデスタル軸受125と基本的に同一である。以下では専ら、第2の実施形態に係る
図13a~
図13cに示したペデスタル軸受125と、第1の実施形態に係る
図1~
図12に示したペデスタル軸受125との相違点について説明する。
図13a~
図13cに示した転がり軸受230は、一体的に、均一な材料で形成された転がり軸受外輪280を有する。この際、軸受リング310と中間リング305とは結合して形成されている。
【0089】
【0090】
軸受リング310及び中間リング305を一体的に均一な材料で形成することによって、転がり軸受外輪280は径方向において特に薄肉に形成されているので、ペデスタル軸受125を径方向において特にコンパクトに形成することができる。さらに、薄肉に形成することによって、冷却ダクト325が転動体アセンブリ275の特に近くに案内され、したがって潤滑剤の近くに案内される。これによって、潤滑剤及び転動体アセンブリ275が両方、冷却剤410を用いて特に良好に冷却され得る。
【0091】
図15は、
図4に示した断面C‐Dに沿った、第3の実施形態に係るペデスタル軸受125の断面図である。
【0092】
ペデスタル軸受125は、
図1~
図12に示した第1の実施形態に係るペデスタル軸受125と基本的に同一に構成されている。以下では専ら、
図15に示した第3の実施形態に係るペデスタル軸受125と、
図1~
図12に示した第1の実施形態に係るペデスタル軸受125との相違点について説明する。
図15では、見やすくするために、ローラ120及び第1のハウジングカバー150は図示していない。
【0093】
図1~
図12に示した第1の実施形態とは異なり、第2の端面420は、
図1~
図12に示した段差を有する構成ではなく、概ね平坦に形成されており、これによって、軸受リング310及び中間リング305は、第2の端面420と同一平面になっている。
【0094】
図15に示した実施形態では、中間リング305は環状に形成されており、第2の外周面320は概ね途切れることなく形成されている。
図15に示した実施形態では、溝形ダクト350は、軸受部分160におけるペデスタル軸受ハウジング145の第1の内周面170に配置されている。これとは異なり、溝形ダクト350は、ペデスタル軸受ハウジング145の径方向内側に向かって開いている。この際、冷却ダクト325は、本実施形態では概ね円筒状に形成された転がり軸受外輪280の第2の外周面320によって、径方向内側で区切られる。
【0095】
溝形ダクト350は、例えば、ペデスタル軸受ハウジング145にフライス加工で形成され得る。溝形ダクト350の配置は、転がり軸受230を軸受受容部175に取り付ける際に、周方向に自由に方向付けて取り付けることが可能であるという利点を有する。これによって、ペデスタル軸受125の組み立てが容易になる。
【0096】
図15の実施形態では、転がり軸受外輪280は、
図5に示したように、中間リング305と軸受リング310とによって、2つの部品から構成されている。自明のことながら、転がり軸受外輪280は、一体的に、均一な材料から形成することもできる。
【0097】
さらに、
図1~
図12に示した実施形態とは異なり、第1のシール溝340及び第2のシール溝345は、軸受部分160に配置されている。シール溝340、345は、転がり軸受230に向かって径方向内側に開口している。これによって、第5及び第6のシール要素255、260は、一方では各シール溝340、345に当接しているが、中間リング305の第2の外周面320にも当接している。
【0098】
同様に、
図15に示したように、溝形ダクト350は、主に軸受受容部175の固定面140に背向する側に案内されており、中間リング305は、略全面で支持領域330において、第2の外周面320及び軸受受容部175の第1の内周面170に当接し、これによって、支持力Fが特に良好に支持され、転がり軸受230からペデスタル軸受ハウジング145を介して固定面140に伝達される。固定面140では、支持力Fはセグメントフレーム135に支持される。
【0099】
図15に示した溝形ダクト350を有するペデスタル軸受ハウジング145は、
図6~
図14に示した転がり軸受230と組み合わせられ得ることが指摘される。この場合、転がり軸受230の第2の外周面230と軸受受容部175の第1の内周面170との両方に配置されたそれぞれの溝形ダクト350の位置合わせ及び構成は相補的であり、これによって、2つの溝形ダクト350が冷却ダクト325を形成している。本実施形態では、冷却ダクト325を密封するために、
図6~
図14に示したように、転がり軸受230にシール溝340、345を配置するか、又は、
図15に示したように、ペデスタル軸受ハウジング145にシール溝340、345を配置することが可能である。
【0100】
溝形ダクト350が転がり軸受230とペデスタル軸受ハウジング145との両方に配置されている場合、冷却ダクト325は特に大きな断面積を有するので、転がり軸受230、特に転がり軸受230の潤滑剤の特に良好な冷却が保証される。さらに、径方向の構造は特に細く、かつコンパクトである。
【0101】
図3~
図12とは異なり、例えば固定手段265は、ペデスタル軸受ハウジング145にねじ込まれる。例えば、シール手段407は、固定手段265を取り囲むシールリングのアセンブリから構成され得る。シーリングリングは、例えばOリングとして構成され得る。この際、シールリングはそれぞれ、ペデスタル軸受ハウジング145内と、転がり軸受外輪280内との、各貫通開口部375、400における、第3及び第4のシール溝435、440に配置される。
【0102】
さらに、
図5~
図15に示した実施形態の代わりに、カバー部分165を別個の第2のハウジングカバーとして形成してもよく、第2のハウジングカバーは、第1のハウジングカバー150とは軸方向で反対側において、第1のハウジングカバー150と同様に、ペデスタル軸受ハウジング145、特に軸受部分160に、例えばネジ接続によって、可逆的に取り外し可能に固定されている。
【0103】
図1~
図15に示したペデスタル軸受125の態様は、わずかな製造ステップで特に容易に製造可能であり、特に連続鋳造機20及び/又は予備圧延トレイン25及び/又は中間加熱器45及び/又はスケール除去機50及び/又は仕上げ圧延トレイン55及び/又はローラテーブル100において、高い熱負荷の下でも高い動作安定性を提供する。
【符号の説明】
【0104】
10 製造プラント
15 熱間圧延材料
20 連続鋳造機
25 予備圧延トレイン
30 第1の分離装置
35 第2の分離装置
40 第3の分離装置
45 中間加熱器
50 スケール除去機
55 仕上げ圧延トレイン
60 冷却区間
65 巻取機
70 取鍋
71 分配器
75 鋳型
80 金属溶融物
85 スラブストランド
90 ストランドガイド
95 予備圧延ストリップ
100 ローラテーブル
105 仕上げ圧延ストリップ
110 コイル
115 駆動スタンド
120 ローラ
121 転動面
125 ペデスタル軸受
130 回転軸
135 セグメントフレーム
140 固定面
145 ペデスタル軸受ハウジング
146 第1の接触面
147 第2の接触面
150 第1のハウジングカバー
160 軸受部分
165 カバー部分
170 第1の内周面
175 軸受受容部
180 第1の肩面
185 肩
190 第2の内周面
195 第1のシール受容部
200 第2のシール受容部
205 対称面
210 第3のシール受容部
215 第4のシール受容部
216 第3の内周面
220 第2の肩面
225 第3の肩面
229 第1の外周面
230 転がり軸受
235 第1のシール要素
240 第2のシール要素
245 第3のシール要素
250 第4のシール要素
255 第5のシール要素
260 第6のシール要素
261 冷却ダクト系
265 固定手段
266 潤滑ダクト系
270 転がり軸受内輪
275 転動体アセンブリ
280 転がり軸受外輪
285 第4の内周面
286 軸受部分
290 転動体
295 第1の軌道面
300 第2の軌道面
305 中間リング
310 軸受リング
315 第5の内周面
320 第2の外周面
325 冷却ダクト
330 支持領域
335 冷却領域
340 第1のシール溝
345 第2のシール溝
350 溝形ダクト
355 第1の溝形ダクト部分
360 第2の溝形ダクト部分
365 第3の溝形ダクト部分
366 第4の溝形ダクト部分
370 ウェブ
375 第1の通過開口部
380 供給ダクト
385 戻りダクト
390 第1の開口領域
395 第2の開口領域
400 第2の通過開口部
405 ネジ
406 接着層
407 シール手段
410 冷却剤
415 第1の端面
420 第2の端面
425 潤滑剤供給ダクト
430 潤滑剤通過ダクト
435 第3のシール溝
440 第4のシール溝
α 第1の角度セグメント
β 第2の角度セグメント
A1 第1の軸方向
A2 第2の軸方向
F 支持力
【手続補正書】
【提出日】2024-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱間圧延材料(15)を製造するための製造プラント(10
)において、低速走行体を支持するための、
-軸受受容部(175)を備えたペデスタル軸受ハウジング(145)と、
-少なくとも1つの冷却ダクト(325)を備えた冷却ダクト系(261)と、
-転がり軸受外輪(280)を備えた、前記軸受受容部(175)内に配置された転がり軸受(230)と、を有するペデスタル軸受(125)であって、
-前記軸受受容部(175)は、回転軸(130)を取り囲む第1の内周面(170)を有し、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)は、第1の接触面(146)を有し、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)は、前記転がり軸受外輪(280)からの支持力(F)を前記第1の接触面(146)に伝達するように構成されており、
-前記冷却ダクト(325)は、前記回転軸(130)の周りに周方向に延在し、前記転がり軸受(230)及び/又は前記ペデスタル軸受ハウジング(145)を冷却するために前記冷却ダクト(325)に供給可能な冷却剤(410)を案内するように構成されているペデスタル軸受(125)において、
-前記ペデスタル軸受ハウジング(145)の前記軸受受容部(175)の第1の内周面(170)は、前記冷却ダクト(325)を径方向外側に区切っており、前記転がり軸受外輪(280)は、前記冷却ダクト(325)を径方向内側に区切っていることを特徴とするペデスタル軸受(125)。
【請求項2】
-前記製造プラント(10)は連続鋳造プラントである、請求項1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項3】
-前記転がり軸受外輪(280)が、第2の外周面(320)に、少なくとも部分的に延在し、周方向において溝形に形成された溝形ダクト(350)を有し、
-前記溝形ダクト(350)は、径方向外側に向かって開くように構成されており、径方向内側に向かって前記冷却ダクト(325)を区切っている、請求項1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項4】
-ペデスタル軸受ハウジング(145)が、第1の内周面(170)に、少なくとも部分的に溝形に形成され、周方向において延在する溝形ダクト(350)を有し、
-前記溝形ダクト(350)は、径方向内側に向かって開くように構成されており、径方向外側に向かって前記冷却ダクト(325)を区切っている、請求項
1から3のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項5】
-前記溝形ダクト(350)が、転がり軸受外輪(280)の第1の端面(415)と、前記転がり軸受外輪(280)の軸方向において反対側に配置された第2の端面(420)との間で、少なくとも部分的に蛇行形状又は環状に形成されている、請求項
3に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項6】
-前記溝形ダクト(350)が、第1の溝形ダクト部分(355)と、前記第1の溝形ダクト部分(355)に流体的に接続された第2の溝形ダクト部分(360)とを有し、
-前記第1の溝形ダクト部分(355)は、回転軸(130)の周りに周方向に延在しており、
-前記第2の溝形ダクト部分(360)は、前記回転軸(130)の周りで、前記第1の溝形ダクト部分(355)に対して軸方向においてオフセットして周方向に延在しており、
-転がり軸受外輪(280)は、前記第1の溝形ダクト部分(355)と前記第2の溝形ダクト部分(360)との間で軸方向においてウェブ(370)を有し、
-前記ウェブ(370)は、軸受受容部(175)の第1の内周面(170)に当接している、請求項
3に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項7】
-前記溝形ダクト(350)が第3の溝形ダクト部分(365)を有し、
-第1の溝形ダクト部分(355)は周方向において第2の溝形ダクト部分(360)に対して平行に延在しており、
-前記第3の溝形ダクト部分(365)は、前記第1の溝形ダクト部分(355)の周方向端部と前記第2の溝形ダクト部分(360)とを接続している、請求項
6に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項8】
-転がり軸受外輪(280)の第2の外周面(320)が、冷却領域(335)と支持領域(330)とに分割されており、
-冷却ダクト(325)は、前記冷却領域(335)に配置されており、
-前記冷却ダクト(325)は、回転軸(130)の周りの所定の第1の角度セグメント(α)にわたって、前記第2の外周面(320)に延在しており、
-周方向において、前記冷却ダクト(325)には前記支持領域(330)が隣接しており、
-前記支持領域(330)は
、所定の第2の角度セグメント(β)にわたって延在しており、
-前記第2の外周面(320)は、前記支持領域(330)において略部分円筒状に形成されており
、
-支持力(F)は、専ら前記支持領域(330)を通じてペデスタル軸受ハウジング(145)に伝達可能であり、
-前記支持力(F)は、回転軸(130)から前記支持領域(330)に向けられている、請求項
1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項9】
-前記第1の内周面(170)と前記第2の外周面(320)とは、前記支持領域(330)において全面で互いに当接している、請求項8に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項10】
-第1の角度セグメント(α)が、回転軸(130)の周りに少なくとも140°から330°までの角
度を含んでいる、請求項
8に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項11】
-前記第1の角度セグメント(α)が、少なくとも180°から300°までの角度を含んでいる、請求項10に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項12】
-転がり軸受外輪(280)及び/又はペデスタル軸受ハウジング(145)が一体的に、均一な材料で構成されている、請求項
1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項13】
-転がり軸受外輪(280)が、中間リング(305)と軸受リング(310)とを有し、
-前記中間リング(305)は、回転軸(130)の周りに中空円筒状に形成されており、径方向内側に第5の内周面(315)を有し、径方向外側に第2の外周面(320)を有し、
-前記軸受リング(310)は、前記中間リング(305)に対して径方向内側に配置され、径方向外側において前記軸受リング(310)の前記第5の内周面(315)で当接している、請求項
3に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項14】
-中間リング(305)が、第2の外周面(320)から第5の内周面(315)の方向に径方向に延在する溝形ダクト(350)を有する、請求項
13に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項15】
-少なくとも1つの第5のシール要素(255)と、第2の外周面(320)又は第1の内周面(170)に配置された第1のシール溝(340)とを有し、
-前記第1のシール溝(340)は、回転軸(130)の周りに一周するよう形成されており、
-前記第1のシール溝(340)内には、少なくとも部分的に前記第5のシール要素(255)が配置されており、
-前記第5のシール要素(255)は、冷却ダクト(325)を流体密にシールする、請求項
1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項16】
-第1のシール溝(340)及び溝形ダクト(350)が、第1の内周面(170)又は第2の外周面(320)に形成される、請求項
15に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項17】
-冷却ダクト系(261)が、ペデスタル軸受ハウジング(145)内に配置された供給ダクト(380)と、前記ペデスタル軸受ハウジング(145)内に配置された戻りダクト(385)とを有し、
-前記供給ダクト(380)と前記戻りダクト(385)とは、それぞれ、互いにオフセットして冷却ダクト(325)内に開口しており、
-冷却剤(410)は、前記供給ダクト(380)を用いて前記冷却ダクト(325)内に供給可能であり、
-前記冷却剤(410)は、前記戻りダクト(385)を用いて前記冷却ダクト(325)から排出可能である、請求項
1に記載のペデスタル軸受(125)。
【請求項18】
高温の熱間圧延材料(15
)の製造及び/又は搬送を行うための製造プラント(10
)であって、
-請求項1から
17のいずれか一項に記載のペデスタル軸受(125)と、前記熱間圧延材料(15)を案内、支持及び/又は成形するための周面に配置された転動面(121)を備えたローラ(120)とを有し、
-転がり軸受(230)は、前記ローラ(120)を回転軸(130)の周りに回転可能に支持している製造プラント(10)。
【請求項19】
-前記製造プラント(10)は連続鋳造プラントである、請求項18に記載の製造プラント(10)。
【請求項20】
-前記高温の熱間圧延材料(15)は熱間鋳造スラブストランド(85)である、請求項18に記載の製造プラント(10)。
【国際調査報告】