(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-09-30
(54)【発明の名称】車載カメラシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 1/26 20220101AFI20240920BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240920BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240920BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240920BHJP
【FI】
B60R1/26 200
H04N23/55
G03B15/00 V
G02B7/02 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519657
(86)(22)【出願日】2022-09-27
(85)【翻訳文提出日】2024-05-23
(86)【国際出願番号】 CN2022121534
(87)【国際公開番号】W WO2023051486
(87)【国際公開日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202122360709.0
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524119440
【氏名又は名称】シャンハイ ケム ビジョン テクノロジー カンパニー
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI KEM VISION TECHNOLOGY CO.
【住所又は居所原語表記】Floor 2, No.158, Shuanglian Road, Qingpu District, Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フー ピンカイ
【テーマコード(参考)】
2H044
5C122
【Fターム(参考)】
2H044AC03
5C122DA14
5C122FA02
5C122FB02
5C122FB24
5C122GE05
(57)【要約】
本願は、目標車両に取り付けられるための車載カメラシステムを開示し、前記車載カメラシステムは、画像収集ユニットとカメラレンズを含み、画像収集ユニットが位置する平面とカメラレンズの主平面とは、車体側部のプリセット距離hで交差するように、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間には、所定の夾角を有し、カメラレンズは、前記目標車両側部の後方に焦点合わせ、その物体側焦点Fと前記目標車両の車体側部が位置する平面との水平距離は、前記プリセット距離であるか、又は前記プリセット距離hに近い。本願は、画像収集ユニットとカメラレンズとの間の角度偏向を予め設定し、この偏向をシェル体の取り付け位置の加工によりカメラに固定し、さらに、車両側部のより広い被写界深度範囲内のシーンを鮮明に撮影することができるため、運転者により良い視野範囲を提供することができ、運転者がより正確な判断を下すのに資することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標車両に取り付けられるために使用され、画像収集ユニットとカメラレンズを含む車載カメラシステムであって、
前記車載カメラシステムは、前記目標車両の側部に取り付けられ、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面とは、車体側部のプリセット距離hで交差するように、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間には、プリセット夾角を有し、前記カメラレンズは、前記目標車両側部の後方に焦点合わせ、その物体側焦点Fと前記目標車両の車体側部が位置する平面との水平距離は、前記プリセット距離に等しいか、又は前記プリセット距離hに近いことを特徴とする、車載カメラシステム。
【請求項2】
前記プリセット距離hは、以下の式を満たし、
【数1】
ここで、
【数2】
は、前記カメラレンズが車両に取り付けられた場合、目標車両の車体側部に対する前記カメラレンズの中心の突出距離を表し、
【数3】
は、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間の交線と、前記カメラレンズの中心との間の距離を表し、
【数4】
は、前記カメラレンズの焦点距離を表すことを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラシステム。
【請求項3】
前記カメラレンズの物体側焦点Fと、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との交線との間の縦方向距離Lは、
【数5】
を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の車載カメラシステム。
【請求項4】
前記画像収集ユニットが位置する平面及び/又は前記カメラレンズの主平面は、前記車載カメラシステムの主軸に対して左又は右に角度偏向していることを特徴とする、請求項3に記載の車載カメラシステム。
【請求項5】
前記カメラレンズの中心から前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との交線に垂線を引き、前記垂線と前記交線との交点の高さは、前記カメラレンズの中心の高さ以下であり、前記目標車両の側部における前記カメラレンズの物体側焦点の高さは、前記垂線と前記交線との交点の高さ以下であることを特徴とする、請求項3に記載の車載カメラシステム。
【請求項6】
前記画像収集ユニットの中心及び/又は前記カメラレンズの軸心は、前記車載カメラシステムの中心に対して横方向に平行移動しており、平行移動距離は、前記画像収集ユニットが位置する平面及び/又は前記カメラレンズの主平面との間の夾角によるイメージシフトに基づいて決定されることを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラシステム。
【請求項7】
シェル体をさらに含み、前記シェル体内には、前記カメラレンズを取り付けるための第1取り付け位置と前記画像収集ユニットを取り付けるための第2取り付け位置が設置され、前記カメラレンズと前記画像収集ユニットは、対応する位置に固定された後、所定角度の偏向及び/又は所定距離の平行移動が生じるように、前記第1取り付け位置と前記第2取り付け位置の少なくとも1つは、車載カメラシステムの主軸に対してオフセットして設置されることを特徴とする、請求項6に記載の車載カメラシステム。
【請求項8】
前記プリセット夾角は、0.1~10度の間であることを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラシステム。
【請求項9】
前記プリセット夾角は、1度、2度、3度、5度又は7度であることを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラシステム。
【請求項10】
車両の両側及び/又は車内にそれぞれ取り付けられた、画像収集ユニット、カメラレンズ及びシェル体からなる撮像構造を複数セット含むことを特徴とする、請求項1に記載の車載カメラシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年9月28日に提出された、発明名称が「車載カメラシステム」であって出願番号が202122360709.0である中国特許出願の優先権を主張している。
【0002】
本願は、光電分野に関し、具体的には、車両に取り付けられる、運転者の運転を補助するためのカメラシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
バックミラーは、運転室の座席に座った運転者が車両の後方、側方及び下方などの外部情報を直接取得するツールである。従来のバックミラーは、いずれも光学原理に基づいて、バックミラーの曲率設計により、バックミラーの視野をできるだけ拡大するという目的を達成している。
【0004】
電子カメラ技術の発展に伴い、ますます多くの車両のバックミラーに補助カメラ装置が追加されており、それは、リアカメラ又は他のカメラを介して、カメラが撮影したシーンを、スクリーンを介して運転者に表示することができ、これによって、運転者が観察する視野範囲及び視野の鮮明度を向上させることができる。
【0005】
しかし、光学系のカメラ装置は、いずれも一定の被写界深度範囲と透視角度を有しているため、カメラ装置が撮影できるシーンは、被写界深度範囲内の部分のみが鮮明であり、それ以外の距離範囲内のシーンは、ぼやけている。取り付け位置は、画像の遠近感の変化をもたらし、これらは、運転者の観察と判断に影響を及ぼし、さらには運転者の誤判断を誘発して運転の安全性に影響を及ぼす。
【0006】
従来のカメラレンズでは、中心部の画質が優れており、エッジ部の画質が比較的悪いことは避けられない。現在、よく使われている車載カメラにおいて、レンズの軸心は、センサー中心と一致しており、これによって、最適な画質が画面の中心領域にあることを確保する。電子バックミラーカメラの使用方式は、従来の画像と異なり、画面は、車両の走行姿勢に従って上下左右に移動する必要があるため、画面の鮮明な部分は、画像の最も中心部にないため、鮮明な部分をオフセットして、一般的なシーンと一時的なシーンの画面の両立を満たす必要がある。レンズは、鮮明度の中心をオフセットするように設計されている場合、コストが高くなり、生産歩留まりやコストが制御不能になる。
【0007】
本発明は、レンズの後焦平面の光軸とセンサーの表面は、夾角及び/又は平行オフセットを形成し、一定の傾斜夾角オフセットを形成することにより、画面の鮮明度オフセット、遠近感、歪みなどの問題を解決する。
【発明の概要】
【0008】
本願は、上記問題に対して、被写界深度が深く、鮮明範囲が広く、透視角度を解決できる高解像度の車載カメラシステムを提供することを目的としており、それは、車両側部の後方の目標領域内でのより人の目の視覚観察習慣に沿うリアルタイムシーンを鮮明に撮影することができ、さらに、運転者により良い視野範囲を提供することができるため、運転者が正確な判断を下すのに資することができる。
【0009】
具体的には、本願は、目標車両に取り付けるための車載カメラシステムを提供し、前記車載カメラシステムは、画像収集ユニットとカメラレンズを含み、前記車載カメラシステムは、前記目標車両の側部に取り付けられ、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面とは車体側部のプリセット距離hで交差するように、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間には、プリセット夾角を有し、前記カメラレンズは、前記目標車両側部の後方に焦点合わせ、その物体側焦点Fと、前記目標車両の車体側部が位置する平面との水平距離は、前記プリセット距離であるか、又は前記プリセット距離hに近い。この夾角と物体側焦点の設定により、シャインプルーフの原理に応じて、カメラレンズの鮮明な焦平面は、車体側部の所定距離hに位置し、車体とほぼ平行になるようにする。
【0010】
好ましくは、前記プリセット距離hは、以下の式を満たす。
【数1】
【0011】
ここで、
【数2】
は、前記カメラレンズが車両に取り付けられた場合、目標車両の車体側部に対する前記カメラレンズの中心の突出距離を表し、
【数3】
は、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間の交線と、前記カメラレンズの中心との間の距離を表し、
【数4】
は、前記カメラレンズの焦点距離を表す。
【0012】
好ましくは、前記カメラレンズの物体側焦点Fと、前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との交線との間の縦方向距離Lは、以下の式を満たす。
【数5】
【0013】
好ましくは、前記画像収集ユニットが位置する平面及び/又は前記カメラレンズの主平面は、前記車載カメラシステムの主軸に対して左又は右に角度偏向している。
【0014】
好ましくは、前記カメラレンズの中心から前記画像収集ユニットが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との交線に垂線を引き、前記垂線と前記交線との交点の高さは、前記カメラレンズの中心の高さ以下であり、前記目標車両の側部における前記カメラレンズの物体側焦点の高さは、前記垂線と前記交線との交点の高さ以下である。
【0015】
好ましくは、前記画像収集ユニットの中心及び/又は前記カメラレンズの軸心は、前記車載カメラシステムの中心に対して横方向に平行移動しており、平行移動距離は、前記画像収集ユニットが位置する平面及び/又は前記カメラレンズの主平面との間の夾角によるイメージシフトに基づいて決定される。
【0016】
好ましくは、前記車載カメラシステムは、シェル体をさらに含み、前記画像収集ユニットは、前記シェル体の後側に取り付けられ、前記カメラレンズは、前記画像収集ユニットの前方に取り付けられる。
【0017】
さらに好ましくは、前記シェル体内には、前記カメラレンズを取り付けるための第1取り付け位置と、前記画像収集ユニットを取り付けるための第2取り付け位置とが設置され、前記カメラレンズと前記画像収集ユニットが対応する位置に固定された後、所定角度の偏向及び/又は所定距離の平行移動が生じるように、前記第1取り付け位置と前記第2取り付け位置の少なくとも1つは、車載カメラシステムの主軸に対してオフセットして設置される。
【0018】
好ましくは、前記プリセット夾角は、0.1~10度の間である。この所定の夾角は、正であってもよいし、負であってもよく、すなわち、ここでは、夾角の方向は、限定されない。
【0019】
好ましくは、前記プリセット夾角は、1度、2度、3度、5度又は7度である。
【0020】
好ましくは、前記車載カメラシステムは、画像収集ユニット、カメラレンズ及びシェル体からなる撮像構造を複数セット含み、これらは、車両の両側にそれぞれ取り付けられる。
【0021】
本願の車載カメラシステムは、センサーとカメラレンズ、及び両者を固定するためのシェル体を2セット含んでもよく、これらは、車両の両側にそれぞれ取り付けられる。
【0022】
本願の車載カメラシステムにおける「角度偏向」とは、カメラシステムのシェル体の取り付け主軸に対するカメラレンズとセンサーの角度偏向であるが、その核心は、両者間の相対的な夾角を実現しようとすることであり、夾角や焦点位置の設定(すなわち、物体側焦点F)により、撮像レンズの鮮明な焦平面が車体側部に位置し、車体側部とほぼ平行になり、カメラレンズの焦平面と、画像収集ユニットとカメラレンズが位置する平面との間は、シャインプルーフの原理をほぼ満たすようにする。本願の車載カメラシステムにおける「位置平行移動」も、カメラシステムのシェル体の取り付け主軸に対するカメラレンズ中心とセンサー中心の位置平行移動であるが、その核心的な目的も、カメラレンズ中心とセンサー中心との間の相対的な位置オフセットを実現しようとすることである。本願の方案の使用中に、車種、カメラの取り付け高さ、法規で要求される視野範囲、設計案に必要な収集範囲に応じて、事前にデータを計算することもでき、視野範囲は、センサーの平行移動により調整する。
【発明の効果】
【0023】
本願のカメラシステムは、より広い範囲でより鮮明な車両側部の後方の画像を提供することができ、且つ、本願のカメラシステムは、従来のカメラのチルトシフト設計と異なり、ソフト接続された革の空洞がなく、複雑なチルトシフト調整装置がなく、使用中にチルトシフト関係や角度を調整する操作がない。本願の画像収集ユニットとレンズの偏向角度は、事前に決定され、その後、シェル体又は取り付け位置の機械加工により固定され、後からの角度調整がないからこそ、走行中の車両の振動による偏向や精度低下などの問題が生じない。したがって、本願のカメラシステムの使用は、よりシンプルで容易であり、車種に応じて、対応する型式を選択して取り付けるだけで、対応する車種に必要な、鮮明なカメラ画像を得ることができる。
【0024】
また、従来のカメラのチルトシフトの多くは、レンズの視野角がセンサーの受光面積よりも大きいためだけで、センサーは、移動中により優れた画質を得ることができるが、本願は、前期にデータに基づいて設計した後、それを固定された製造データとして、限られた製品の性能で最適な画質を得ることができるため、材料費を効果的に削減することができる。
【0025】
本願は、チルトシフトカメラの原理を車載カメラの分野に導入することに成功し、ユーザが使用時に目標シーンの必要に応じて、平行移動又は偏向の方向と角度を調整する必要がなく、ユーザが良好な写真撮影の基礎知識や豊富な撮影経験を持つ必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】本願の実施例1における車載カメラシステムのカメラ構造を示す概略図である。
【
図3】車両側部に取り付けられた実施例1におけるカメラシステムの各部の位置関係の水平面への投影を示す概略図である。
【
図4】実施例1におけるカメラ構造の簡略化拡大概略図である。
【
図5】本願の実施例2における車載カメラシステムのカメラ構造を示す概略図である。
【
図6】本願の実施例2におけるカメラ構造の簡略化拡大概略図である。
【
図7】本願の実施例3における車載カメラシステムのカメラ構造を示す概略図である。
【
図8】本願の実施例3におけるカメラ構造の簡略化拡大概略図である。
【
図9】本願の実施例の他の2つの異なる変形例のカメラ構造をそれぞれ示す概略図である。
【
図10】本願の実施例の他の2つの異なる変形例のカメラ構造をそれぞれ示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例及び図面と併せて、本願をさらに詳細に説明するが、本願の実施形態は、これに限定されるものではない。
【0028】
図1は、通常のカメラ構造概略図を示しており、カメラレンズ10は、カメラシステムのフロントシェル30に取り付けられ、センサー20は、カメラレンズ10の後方の取り付けベースに取り付けられ、カメラレンズ10と画像収集ユニットは、同軸に設置され、両者が位置する主平面は、平行である。以下の実施例では、画像収集ユニットは、いずれも画像センサー20を採用する。
【0029】
実施例1
これに対して、
図2に示すように、本実施例では、カメラレンズの左偏向(
図2A)又はカメラレンズの右偏向(
図2B)の偏向設置方式を採用する。通常のカメラと同様に、カメラレンズ10は、カメラシステムのフロントシェル30に取り付けられ、画像センサー20は、カメラレンズ10の後方の取り付けベースに取り付けられるが、本実施例では、カメラレンズ10の主平面(主軸に垂直な平面)は、カメラの主軸に対して、センサー20の主平面に対して偏向しているという点が異なる。
【0030】
図2中の
図Aは、カメラレンズの左偏向の使用状況を示し、ここで、カメラレンズ10の主軸は、センサー20が位置する平面の法線方向(すなわち、カメラシステムの主軸方向)に対して左に偏向しており、偏向角度は、a°であり、言い換えれば、カメラレンズ10が位置する主平面と、センサーが位置する平面とは、α°の夾角をなし、
図2中の
図Bは、カメラレンズの右偏向の使用状況を示し、ここで、カメラレンズ10の主軸は、センサーが位置する平面の法線方向に対して右に偏向しており、偏向角度は、α°である。
【0031】
図3は、実施例1における(
図2Aに示す変形例)構造が車体側部に逆向きる(カメラシステムのレンズが車体の後方に向ける)ように取り付けられた場合の位置関係を示す概略図である。
図4は、当該実施例のカメラシステムの構造の簡略化拡大概略図である。図に示すように、本実施例では、車載カメラシステムは、目標車両の右側部に取り付けられ、画像センサー20が位置する平面S
1とカメラレンズ10の主平面S
2との間には、プリセット夾角αを有し、言い換えれば、カメラレンズ10の法線方向N
1は、画像センサーの法線方向N
2に対して偏向しており、カメラ主軸は、画像センサーの法線方向N
2と一致しているため、カメラレンズ10の法線方向N
1とカメラ主軸との間には、プリセット夾角αを有し、このように、画像センサー20が位置する平面S
1とカメラレンズ10の主平面S
2との延長線は、車体側部のプリセット距離hで交差し、その交点(実際には交線)は、図中のM
1であり、本実施例では、画像センサー20は、カメラに正常に取り付けられ、画像センサー20の法線方向は、カメラの主軸と一致しており、そのすべてを図中にN
2で表す。プリセット夾角αの範囲は、0.1~10度であり、このプリセット夾角とプリセット距離hは、車両型式、車載カメラシステムのレンズの焦点距離及び車両に必要な視野範囲に応じて決定することができる。
【0032】
図中、画像センサー20とカメラレンズ10の中心をそれぞれO1とO2で表す。
【0033】
好ましくは、プリセット距離hは、以下の式を満たす。
【数6】
【0034】
ここで、
図3に示すように、
【数7】
は、カメラレンズ10が車両に取り付けられた場合、目標車両の車体側部(車室壁)に対するカメラレンズ10の中心の突出距離を表し、
【数8】
は、画像センサー20が位置する平面S
1とカメラレンズ10の主平面S
2との間の交線M
1と、カメラレンズ10の中心との間の距離を表し、
【数9】
は、前記カメラレンズの焦点距離、すなわち焦点Fからカメラレンズの中心までの距離を表し、αは、前記画像センサーが位置する平面と前記カメラレンズの主平面との間のプリセット夾角を表す。
【0035】
シャインプルーフの原理を満たすために、カメラレンズ10の焦点位置を調整して、カメラレンズ10を前記目標車両側部の後方に焦点合わせ、その焦点と目標車両の車体側部が位置する平面との水平距離は、前記プリセット距離であるか、又は前記プリセット距離hに近い。
【0036】
より好ましくは、カメラレンズ10の物体側焦点Fと、画像センサーが位置する平面とカメラレンズ10の主平面との交線との間の縦方向距離Lは、以下の式を満たす。
【数10】
【0037】
このような方式を採用すれば、カメラレンズ10の焦点位置は、車体側部と平行であり、車体側部からの水平距離がhである平行線上に位置するため、カメラレンズ10の主軸が位置する平面において、カメラレンズ10の焦点Fと、カメラレンズが位置する平面S2と画像センサーが位置する平面S1との交線M1との間の接続線は、車体側部と平行であり、シャインプルーフの原理に応じて、カメラレンズ10の鮮明な焦平面は、車体側部(図中のLが位置する方向にほぼ沿う)と平行であるため、より鮮明な車体後部画像を提供することができる。ここで主にカメラレンズ10の水平方位の問題を議論しているが、カメラレンズ10の俯仰角度については、当業者は、車体の高さに応じて調整することができる。
【0038】
車種、カメラの取り付け高さ、法規で要求される視野範囲、及び設計案に必要な画像収集範囲に応じて、Lとhの値を決定することができ、さらに、偏向角度とカメラレンズの焦点距離を設置することができる。フロントシェル内で画像センサーとカメラレンズの取り付け位置を直接加工調整することにより、カメラレンズと画像センサーをその取り付けワークステーションに取り付けた後、必要な偏向角度を形成することができ、さらに、カメラシステムの使用中の振動などによる撮影品質の低下を回避し、鮮明に撮影できる視野範囲を拡大することができる。
【0039】
好ましい実現方式では、カメラレンズ10又は画像センサー20の偏向角度は、0.1度~15度の間、例えば、0.3度、1度、3度、5度、7度、9度又は10度である。
【0040】
本実施例では、右側のバックミラーの設置方式が
図3により描かれているが、当業者は、他方側のバックミラーがこちら側と軸対称になるように設置調整できることを理解すべきである。
【0041】
本実施例では、画像センサー20が位置する平面S1とカメラレンズ10の主平面S2とは、車体側部に交差し、その交線が垂直方向にほぼ沿っている場合を例に説明する。すなわち、この場合、画像センサー20とカメラレンズ10の主平面とは、水平方向にのみオフセットして夾角を形成する。
【0042】
当業者は、一部の大型車両のバックミラーは、下向きに一定の傾斜角を有する必要があることを理解すべきであり、この場合、画像センサー20とカメラレンズ10は、両者の間に垂直方向に一定の夾角があるように、両者の交線が下向きにオフセットするように、すなわち、両者の交線が垂直方向ではなく、傾斜方向になるように、さらに設置することができ、この場合、次のことが要求される:カメラレンズの中心から画像センサーが位置する平面とカメラレンズの主平面との交線に垂線を引き、前記垂線と前記交線との交点の高さを前記カメラレンズの中心の高さより低くすると同時に、目標車両の側部におけるカメラレンズの物体側焦点の高さを、垂線と交線との交点の高さ以下に設置する。
【0043】
このような夾角と物体側焦点の設定により、シャインプルーフの原理によるカメラレンズの鮮明な焦平面は、車体側部の所定距離に位置し、車体側部とほぼ平行であるが、わずかに下向きに傾斜しているようにする。
【0044】
実施例2
本実施例では、カメラにおけるセンサーとカメラレンズの設置方式は、
図5に示すとおりである。本実施例では、センサー偏向の方案を採用する。
【0045】
図5に示すように、図中の
図Aは、センサーの左偏向の使用状況を示し、センサーの法線方向は、カメラレンズの主軸方向に対して左に偏向しており、偏向角度は、β°であり、
図5中の
図Bは、センサーの右偏向の使用状況を示し、センサーの法線方向は、カメラレンズの主軸方向に対して右に偏向しており、偏向角度は、β°である。
図5中のカメラを車両に取り付ける場合も、同様に逆向きに取り付け、即ち、カメラレンズを車体の後方に向ける必要がある。
【0046】
図6には、
図5B中のカメラ(センサーを右に偏向させたカメラ)の簡略化拡大概略図が描かれており、この図中のカメラの角度は、実施例1と同じであり、いずれも車両の右側に取り付けられて後方に撮影している角度である。
【0047】
図6に示すように、画像センサーが位置する平面S
1とカメラレンズの主平面S
2との間には、プリセット夾角βを有し、言い換えれば、画像センサー20の法線方向N
1は、カメラレンズ10の法線方向N
2に対して偏向しており、カメラレンズ10は、カメラに正常に取り付けられている(カメラレンズ10の法線方向は、カメラの主軸と一致しており、図中のN
2方向である)ため、画像センサー20の法線方向N
1とカメラ主軸との間には、プリセット夾角βを有し、このように、画像センサーが位置する平面S
1とカメラレンズの主平面S
2との延長線は、車体側部のプリセット距離hで交差し、交点(実際には交線)は、図中のM
1である。プリセット夾角βの範囲は、0.1~10度の間であり、この夾角とプリセット距離hは、車両型式、車載カメラシステムのレンズの焦点距離及び車両に必要な視野範囲に応じて決定することができる。
【0048】
同様に、偏向角度の設置は、目標撮影面に基づいて決定され、偏向角度の設置は、画像センサーが位置する平面と、カメラレンズの主平面と、目標撮影領域の主平面とが一直線上に交差するか、又は一直線上にほぼ交差するようにすることができる。なお、撮影可能な目標領域範囲は、広ければ広いほど良いというわけではなく、車両のニーズに応じて必要な最大の鮮明な視野範囲を満たすことができる。
【0049】
本実施例におけるカメラシステムを車両に取り付ける場合、その取り付け方式は、実施例1と同様であり、カメラレンズの鮮明な焦平面が車体側部にほぼ位置し、車体とほぼ平行になるようにシャインプルーフの原理を満たすだけでよい。
【0050】
実施例3
本実施例では、
図7に示すように、カメラレンズと、センサーの偏向と、センサーの平行移動とを組み合わせた設置方式を採用している。
図7中の
図Aは、カメラレンズの左偏向(角度)+センサーの右偏向(角度)+センサーの左平行移動(位置)の使用状況を示し、ここで、カメラレンズの主軸は、カメラの主軸方向に対して左に偏向しており、偏向角度は、α°であり、センサーの法線方向は、カメラの主軸方向に対して右に偏向しており、偏向角度は、β°であり、センサーは、左に平行移動しており、このような偏向設置を採用することで、センサーとレンズの相対的な偏向角度をさらに拡大することができる。
【0051】
図7中の
図Bは、カメラレンズの右偏向+センサーの左偏向+センサーの右平行移動の使用状況を示し、ここで、カメラレンズの主軸は、カメラの主軸方向に対して右に偏向しており、偏向角度は、α°であり、センサーの法線方向は、カメラの主軸方向に対して左に偏向しており、偏向角度は、β°であり、センサーは、右に平行移動しており、平行移動距離は、Hである。
【0052】
図8は、
図7Aに示すカメラシステムの簡略化拡大概略図であり、その視角は、車両に取り付けられた後の視角である。このカメラシステムでは、カメラレンズは、左にα°偏向しており、画像センサー20は、右にβ度偏向しており、両者がなす夾角は、α+βである。図に示すように、本実施例では、画像センサー20は、全体として平行移動しており、平行移動の垂直距離は、Hであり、図中、画像センサー20の中心O
1は、追従して横平行移動しており、O’
1にオフセットする。
【0053】
センサーの平行移動距離は、センサーとカメラの偏向角度による結像位置の変化に応じて変化することができる。好ましくは、センサーの平行移動方向は、カメラレンズとセンサーの角度偏向による結像位置(非偏向の場合に対して)の変化方向と一致しており、すなわち、カメラレンズとセンサーの角度偏向による結像位置が左に移動した場合、センサーが左にほぼ同じ距離H平行移動するように設置し、カメラレンズとセンサーの角度偏向による結像位置が右に移動した場合、センサーが右にほぼ同じ距離H平行移動するように設置する。
【0054】
本実施例及び後続の実施例では、センサーの左右オフセットは、受信する視野範囲にのみ影響を及ぼすため、当業者は、必要な視野範囲に応じて調整すれがよい。それは、カメラシステムでの設置方式が実施例1と類似しているため、ここでは繰り返さない。
【0055】
上記設置方式に加えて、センサーとレンズとの間の偏向と平行移動は、他の異なる組み合わせ方式をさらに採用することができ、例えば、
図9中の
図Aは、カメラレンズが左に偏向しており、左に平行移動している場合を示し、
図9中の
図Bは、カメラレンズが右に偏向しており、右に平行移動している場合を示し、
図10中の
図Aは、センサーが左に偏向しており、左に平行移動している場合を示し、
図10中の
図Bは、センサーが右に偏向しており、右に平行移動している場合を示す。
図9~
図10中の2つの構造変形例も、実施例1~3におけるカメラシステムと類似の撮影効果を実現し、目標撮像領域の撮影鮮明度を提供することができる。
【0056】
以上、本願の好ましい実施例と併せて、本願の原理を詳細に説明したが、当業者は、上記実施例は、本願の例示的な実現方式への説明に過ぎず、本願の包含範囲を限定するものではないことを理解すべきである。実施例における詳細は、本願の範囲を限定するものではなく、本願の精神及び範囲から逸脱することなく、本願の技術的解決手段に基づく等価変換、簡単な置換などの明白な変更は、いずれも本願の保護範囲内に含まれる。
【国際調査報告】